説明

貼付剤

【課題】肩、肘、膝、足首等の痛みに対する療法としてプラスター剤(硬膏剤)等の貼付剤に関し、指先の力が弱くなっており動きも鈍っている高齢者であっても、指が滑り難くしっかりと剥離シートを摘んで剥離シートを簡単に剥がすことができ剥離作業性に優れるとともに、皮膚に円滑に貼付することができる貼付剤を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の貼付剤1は、支持体2と、支持体2の一面に積層された粘着層と、前記粘着層に剥離可能に付着され一方の縁部5からこれに対向する他方の縁部6に延びる切れ目7が形成された剥離シート4と、を備え、剥離シート4が、切れ目7の左右に切り込み線8により形成される指の一部を掛ける指掛け孔を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスター剤(硬膏剤)等の貼付剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、肩、肘、膝、足首等の痛みに対する療法としてプラスター剤(硬膏剤)等の貼付剤が広く利用されている。貼付剤は、支持体の一面に粘着層を積層し粘着層に剥離シートを付着させたものが一般的であり、使用時には剥離シートを剥がして粘着層を皮膚に貼着するものである。例えば、膏体が積層された支持体と、前記膏体に付着された剥離シートと、を備えた貼付剤であって、前記剥離シートが、直線状,波形状,鋸歯状の切り込み線により一定幅で形成された剥離帯体を備えたものが知られている(特許文献1)。
しかし、剥離シートは粘着層に密着しているので剥離し難く、特に高齢者は指先の力が弱くなっており動きも鈍っているため剥離シートの剥離作業は一苦労であり、年齢が高くなるにつれ貼付剤の使用頻度が高くなり、さらに剥離シートの剥離作業の困難性が増していた。
そこで、高齢者であっても簡単に剥離シートを粘着層から剥離できる貼付剤の開発が進められている。
従来の技術としては、例えば(特許文献2)に「膏体が積層された支持体と、前記膏体に付着され端部で折り返された凸状の端縁形状の第一摘み部を有する第一剥離シートと、前記膏体に付着され前記第一摘み部の上に一部が重ねられた第二剥離シートと、を備えた貼付剤」が開示されている。
【特許文献1】実公昭60−36563号公報
【特許文献2】特開2007−68948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献2)に開示の技術では、第一摘み部と第二摘み部が突出しているので各々を指で摘んで引っ張ることにより、第一剥離シートと第二剥離シートを膏体から剥がすことができる。しかしながら、第一摘み部及び第二摘み部はいずれも、厚みが10〜80μmと薄い剥離シートの一部なので摘み難く、さらに膏体と接する側の剥離シートの面は、シリコンコーティング等の剥離処理がなされており滑り易くなっているため、特に高齢者の場合は指先の力が弱っており、また指先が乾燥しがちなこともあって、摘んだ指の間から第一摘み部や第二摘み部が滑り抜けてしまうことがあり、剥離シートを簡単に剥がせないという課題を有していた。
(2)貼付剤の製造面からいえば、第一剥離シートの一部を折り返して第一摘み部を形成し、その上に重ねて第二摘み部を形成する工程が煩雑で、生産性に著しく欠けるという課題を有していた。
(3)第一摘み部と第二摘み部は膏体に付着しておらず突出しているため、貼付剤を包装用袋に収容するとき等、第一摘み部や第二摘み部が包装用袋の縁に引っ掛かり、使用前に剥離シートが剥がれたり剥離シートが剥がれて露出した膏体が付着したりする等の問題が生じ易く、製造ラインが停止したり不良品が発生したりするという課題を有していた。
(4)第一摘み部と第二摘み部は膏体に付着しておらず突出しているため、使用時に包装用袋から取り出す際にも第一摘み部や第二摘み部が包装用袋の縁に引っ掛かり易いため取り出し難く、取扱性に欠けるという課題を有していた。
【0004】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、指が滑り難くしっかりと剥離シートを摘んで剥離シートを簡単に剥がすことができ剥離作業性に優れるとともに、皮膚に円滑に貼付することができる貼付剤を提供することを目的とする。さらに、粘着層に経皮吸収性薬物を含有させることにより、手指の力の弱った高齢者であっても自ら剥離シートを剥がして円滑に皮膚に貼付でき、一定量の有効成分をコントロールしながら持続的に経皮吸収させて投与できる貼付剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記従来の課題を解決するために本発明の貼付剤は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の貼付剤は、支持体と、前記支持体の一面に積層された粘着層と、前記粘着層に剥離可能に付着され一方の縁部からこれに対向する他方の縁部に延びる切れ目が形成された剥離シートと、を備えた貼付剤であって、前記剥離シートが、前記切れ目の左右に切り込み線により形成される指の一部を掛ける指掛け孔を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)剥離シートが切れ目の左右に切り込み線により形成される指の一部を掛ける指掛け孔を備えているので、切り込み線が形成されている部分を支持体側から指で押し上げると、切り込み線の周囲の剥離シートが押し上げられて粘着層から剥がれ、切り込み線が開口し指掛け孔が形成される。切れ目に沿って浮き上がらせた剥離シートと粘着層の間に指を潜り込ませて指掛け孔に指を掛け、別の指で剥離シートを挟むようにして反対側から指掛け孔に指を掛けると、指同士が指掛け孔を通して合わさるので、しっかりと剥離シートを摘むことができ、指が滑り難くなるため、剥離シートを簡単に剥がすことができる。
(2)粘着層に面した剥離シートの面は、シリコンコーティング等の剥離処理がなされており、さらに粘着層の基剤成分の影響により非常に滑り易くなっているが、指掛け孔を通して剥離シートを摘んだ指同士を接触させられるので、滑ることなく剥離シートをしっかりと摘んで剥がすことができる。
(3)切り込み線が形成されている部分を支持体側から指で押し上げると、切り込み線の周囲の剥離シートが押し上げられ粘着層から剥がれて切り込み線を開口させて指掛け孔を形成させることができるが、切り込み線が略円弧状、略コ字状、十字状等に形成されている場合は、切り込み線の周囲の剥離シート(舌片)の押し上げ量を大きくできるため、舌片を立ち上げて折り曲げることで指掛け孔を大きく開口させることができる。このため、指掛け孔にしっかりと指を掛けて剥離シートを把持して簡単に剥がすことができる。
(4)使用前には切り込み線の周囲は粘着層に付着しており突出していないため、製造面からいえば、剥離シートに切れ目及び切り込み線を形成するだけでよいため、既存の生産設備や材料を活用することができ、新たな設備投資等をほとんど必要としない。また、剥離シートに突出した部分がないため、製造ラインを搬送されるときや貼付剤を包装用袋に収容するとき等、装置や包装用袋の縁に引っ掛かることがなく、使用前に剥離シートが剥がれたり剥離シートが剥がれて露出した粘着層が付着したりする等の問題が生じ難く、製造ラインが停止したり不良品が発生したりするという問題が生じることがなく、生産性に著しく優れる。
(5)使用前には切り込み線の周囲は粘着層に付着しており突出していないため、使用時に包装用袋から取り出す際に包装用袋の縁に引っ掛かることがなく、スムーズに取り出せるため取扱性に優れる。
【0006】
剥離シートは、粘着層の全面に剥離可能に付着されているもので、使用時には剥離されるものである。粘着層の全面に剥離可能に貼着されることで、貼付剤を使用する前においては、柔軟性の高い貼付剤に皺ができてしまうことを防止する効果や、粘着層中の薬効成分や水分の逃散を防止する効果を有する。また、貼付剤を貼付する際には、剥離シートを剥がしながら粘着層を患部に密着させていくことで、柔軟性の高い貼付剤に剛性を付与し綺麗に貼付する効果を有する。
剥離シートの構成材料は特に制限されず、ポリエステル,ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂製フィルム、上質紙又はグラシン紙とポリオレフィンとのラミネートフィルム、シリコン加工紙等が適宜選択される。
【0007】
剥離シートの厚さとしては、300μm以下、好ましくは20〜150μm、より好ましくは35〜90μmが好適である。適度な剛性を付与し、剥離シートの剥離作業の取扱性を向上させるとともに、支持体を皺なく皮膚患部に貼付するためである。
剥離シートの厚さが35μmより薄くなるにつれ貼付剤の腰が弱くなり、剥離シートを剥がし難くなるとともに、貼付する際に支持体に皺が生じ易くなる傾向がみられ、90μmより厚くなるにつれ、剥離シートが次第に硬くなり貼付し難くなる傾向がみられる。特に、20μmより薄くなるか300μmより厚くなると、これらの傾向が著しくなるため、いずれも好ましくない。
【0008】
剥離シートに指掛け孔を形成する切り込み線の形状としては、剥離シートを剥がす際に指の一部が掛かるようなものであれば特に制限されず、剥離シートに形成された切れ目の左右に、直線状、波線状、鋸歯状、略円弧状、半楕円状、十字状、放射状、T状、Y状、V状、略H状、略I状、略コ字状、山形状等に形成されたものが用いられる。
切り込み線は、剥離シートの切れ目寄りに形成される。切り込み線により形成される指掛け孔に指を掛けて、切れ目側から剥離シートを剥がすためである。
なお、剥離シートの切れ目から切り込み線の末端までの最短距離(後述する寸法A)としては、2〜30mm、好ましくは3〜25mm、より好ましくは5〜20mmが好適である。また、貼付剤の横幅(剥離シートの縁部の長さ)との比率に換算すると、剥離シートの切れ目から切り込み線の末端までの最短距離(寸法A)は、貼付剤の横幅の1/50〜1/5、好ましくは3/100〜3/20、より好ましくは1/20〜1/10が好適である。この最短距離が短くなるにつれ、剥離シートの厚さにもよるが、切り込み線の周囲の剥離シートを立ち上げたときや摘んだときに、切り込み線の末端から切れ目に向かって剥離シートに裂け目が生じて剥離シートの縁部分が切断され易くなる傾向がみられ、特に2mm未満になるか該比率が1/50未満になると、この傾向が著しくなるため好ましくない。剥離シートの縁部分が切断されて切り込み線が切れ目と繋がってしまうと、指掛け孔に指を掛けて剥離シートを剥がすことが困難になるからである。また、この最短距離が長くなるにつれ、切れ目から指掛け孔までの距離が長くなるので、指掛け孔に指を掛け難くなる傾向がみられ、特に30mmを超えるか該比率が1/5を超えると、この傾向が著しくなるため好ましくない。
【0009】
切り込み線により形成される指掛け孔は、切れ目の左右に少なくとも一つずつ形成されていればよい。剥離シートを摘んで剥がす際に、指掛け孔に指が掛かれば良いからである。また、指掛け孔は、剥離シートの一方の縁部と他方の縁部のほぼ中央位置に形成されるのが好ましい。指掛け孔に指を掛けて剥離シートを剥がす際に、支持体が捻れ難く皺なく綺麗に貼付できるからである。
切れ目の左右に一つずつ指掛け孔が形成される場合、剥離シートの切れ目が形成された一方の縁部から切り込み線までの最短距離、他方の縁部から切り込み線までの最短距離(後述する寸法D)としては、10mm以上、好ましくは20mm以上あれば好適である。また、貼付剤の縦の長さ(剥離シートの対向する縁部間の距離)との比率に換算すると、剥離シートの縁部から切り込み線までの最短距離(寸法D)は、剥離シートの対向する縁部間の長さの1/7以上、好ましくは2/7以上が好適である。この最短距離が短くなるにつれ、切り込み線により形成される指掛け孔が大きくなり、指掛け孔から露出する粘着層の面積が大きくなるため、貼付する際に粘着層同士が粘着し絡まり易くなる傾向がみられる。特に、10mm未満になるか該比率が1/7未満になると、この傾向が著しくなるため好ましくない。
【0010】
剥離シートには、切り込み線の外側(切れ目の反対側)に、一方の縁部からこれに対向する他方の縁部に延びる折り線を形成しておくこともできる。これにより、指掛け孔に指を掛けて剥離シートを切れ目側から剥がしていくと、折り線の存在により剥離シートは折り線に沿って折れ曲がり、粘着層に再付着することが防止される。この状態で患部に貼付剤を押し当てれば、粘着層が露出状態を維持しているため、患部に付着させ予備的に固定させることができる。そして、剥離シートの指掛け孔を指で把持したまま引っ張るだけで剥離シートは粘着層から剥離し、同時に粘着層全体を皮膚に付着させることができる。
ここで、折り線としては、ミシン目等の弱化線が用いられる。弱化線は剥離シートを切断することを目的としたものではないため、ミシン目を構成している各切込みは剥離シートを貫通している必要はなく、剥離シートを薄肉にするものでもよい。さらに弱化線は、剥離シートの折り曲げを容易に行うことができれば良いため、ミシン目に限定する必要はなく、溝や切れ線、加熱して剥離シートを劣化させた線等、種々の形態が考えられる。
【0011】
剥離シートの切れ目としては、直線状、波線状、鋸歯状等の種々の形状に形成されたものが用いられる。特に、波線状に形成されたものが好適である。支持体が内側になるように貼付剤を切れ目で折り曲げるだけで波線状が突出し、剥離シートが浮き上がるため、浮き上がらせた剥離シートの縁部分と粘着層の間に指を潜り込ませて剥離シートの裏側から指掛け孔に指を掛け、別の指で剥離シートの表側から指掛け孔に指を掛けて剥離シートを摘んで、剥離シートを簡単に剥がすことができ、また角張っていないので指に当たっても痛くないからである。
【0012】
剥離シートには、切り込み線の舌片や切れ目の縁に着色を施したり、矢印や記号等の印を付けたり、指掛け孔の作り方の説明文を記載したりするのが好ましい。支持体側から指で押し上げるときの押し上げ位置の目標や使用方法の参考にすることができ、視力が低下した高齢者等であっても一連の剥離動作をスムーズに行うことができるからである。
また、指掛け孔は、切り込み線に対して略左右対称に形成されていることが好ましい。指掛け孔に指を掛けて皮膚患部の面に沿って剥離シートをスライドさせるようにして引張り、剥離シートを徐々に剥がしながら貼付剤を皮膚患部に貼付する際、左右の剥離シートに均等に力がかかるので、貼付剤に皴ができたり空気が入ったりすることなく貼付できるからである。
【0013】
支持体としては、構成材料は特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンもしくはスチレン−イソプレンを主体とするブロック共重合樹脂、ナイロン、ポリウレタン、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート共重合体、ポリビニルアセタール、ポリアミド、レイヨン等の合成樹脂からなるフィルム、織布、編布、不織布、またはこれらの積層体が好ましく使用される。
また、支持体は適度な柔軟性、および伸縮性を有していることが好ましい。さらに、支持体の厚みは0.01mm〜5mmが好ましい。支持体の厚みが0.01mm未満となるとハンドリングが悪くなり、シワが生じ易くなる傾向にあり、他方、5mmを超えると柔軟性が低下し、貼付時に違和感が生じ、また物理的な刺激が付与され易くなる傾向にあるからである。
【0014】
支持体の一面に積層された粘着層の主成分は、感圧性接着剤が用いられる。その構成材料は、特に限定されないが、常温で薬物を皮膚表面に長時間固定し得る粘着力を有するものが好ましく、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコン系粘着剤等が挙げられる。中でも粘着物性および薬物の放出性がよいという観点からゴム系粘着剤が好ましく用いられ、特に、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ブチル、天然ゴム、合成イソプレンゴム、ポリイソブチレン、ポリビニルエーテル、ポリウレタン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック(SIS)共重合体等がより好ましく用いられる。さらに、SIS共重合体を用いる場合は、シェル化学社製のSIS基剤(商品名:カリフレックスTR−1107、カリフレックスTR−1111、カリフレックスTR−1112、カリフレックスTR−1117)、クレイトン社のSIS基剤(商品名:D-KX401CS)、日本合成ゴム社製のSIS基剤(商品名:JSR5000、JSR5002、JSR5100、JSR5200)、日本ゼオン社製のSIS基剤(商品名:クインタック3570C、クインタック3421)等が最も好ましく用いられる。
【0015】
粘着層には、必要に応じて粘着付与剤、軟化剤、充填剤、抗酸化剤、溶解剤、吸収促進剤等の配合剤を添加してもよい。このような配合剤としては、例えば、脂環族飽和炭化水素樹脂(荒川化学工業社製、商品名:アルコンP−100等)、ロジンエステル(荒川化学工業社製、商品名:KE−311、KE−100等)、水素添加ロジンエステル(ハーキュレス社製、商品名:フォーラル105、フォーラル85等)、水素化脂環族系炭化水素(エクソン化学社製、商品名:エスコレッツ5300等)、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、フェノール樹脂の粘着付与剤;流動パラフィン、ポリブテン、液状ポリイソブチレン、動植物油等の軟化剤;酸化亜鉛、酸化チタン等の充填剤;ブチルヒドロキシトルエン等の抗酸化剤;クロタミトン、ポリエチレングリコール(マクロゴール各種を含む)、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール等の溶解剤等が挙げられる。また必要に応じて、薬剤の皮膚透過性を向上させるために感圧性接着剤中に吸収促進剤を含有してもよく、このような吸収促進剤としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、セバシン酸ジエチル、炭酸プロピレン、オレイン酸ソルビタン、クロタミトン、L−メントール、ハッカ油、N-メチル−2−ピロリドン、dl−カンフル、ソルビタンモノラウレート、オレイルリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、オクチルフェニルエーテル、ラウリルエーテル、ソルビタンモノラウレート、ラウロイルジエタノールアミド、ラウロイルサルコシン、オレオイルサルコシンシュガーエステル等が挙げられる。その他、色素、香料、清涼剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、安定化剤、充填剤、抗酸化剤、pH調整剤等の貼付剤を処方するうえで通常使用される各種添加物を、貼付剤の目的に応じて感圧性接着剤中に1種または2種以上適宜配合してもよい。
【0016】
粘着層には薬物を配合することができる。配合される薬物としては、経皮吸収可能な薬物であれば特に制限はなく、全身性又は局所性の経皮吸収性薬物であればいずれでもよい。例えば全身性の薬物としては、抗炎症剤(ステロイド又は非ステロイド系の抗炎症剤、麻薬性鎮痛剤、催眠鎮静剤、ステロイド剤、精神安定剤、抗高血圧剤、降圧利尿剤、抗生物質、全身麻酔剤、抗菌剤、抗真菌剤、冠血管拡張剤、抗ヒスタミン剤、鎮該剤、性ホルモン剤、抗うつ剤、脳循環改善剤、抗腫瘍剤、局所麻酔剤、殺菌消毒剤、副腎皮質ホルモン剤、禁煙補助剤、認知症治療剤等が挙げられる。配合量としては、0.001〜20質量%の範囲内にて適宜処方される。
より具体的なものとしては、コルチゾン、ハイドロコルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドノゾロン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、パラメタゾン等のステロイド系抗炎症剤;サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、インドメタシン、ジクロフェナック、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェルビナク、ロキソプロフェン等の非ステロイド系抗炎症剤;フェンタニル、ブプレノルフィン等の麻薬性鎮痛剤;ニトログリセリン、イソソルビド等の狭心症薬;ツロブテロール等の気管支拡張薬;リドカイン等の経皮帯状疱疹後疼痛治療剤;ニコチンなどの禁煙治療補助剤;ベルゴリド等の抗パーキンソン剤;オキシブチニン等の尿失禁・頻尿治療剤;クロニジン等の抗高血圧剤;塩酸ドネペジル(商品名アリセプト)、リバスチグミン(商品名エクセロン)、イスプロニクリン、塩酸メマンチン、臭化水素酸ガランタミン、レコゾタン塩酸塩等の認知症治療剤が好ましい。ここに挙げている薬物については、無機塩(塩酸、硫酸塩、硝酸塩、ナトリウム、カリウム、カルシウム等)又は有機塩(クエン酸、フマル酸、酒石酸、メシル酸、酢酸等)等の薬学的に許容される付加塩を形成しうる薬物も含まれる。
これらの薬物のなかでも、特にサリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、インドメタシン、ジクロフェナック又はその塩、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェルビナク、ロキソプロフェン又はその塩等の非ステロイド系抗炎症剤が好ましい。配合量としては、0.1〜20質量%、好ましくは0.3〜10質量%配合するのが望ましい。
また、ハッカ油、メントール又はメントール類縁化合物を、薬効補助剤又は清涼剤として配合してもよい。あるいはトウガラシ、トウガラシエキス、カプサイシン、ノナン酸バニリルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル等の温感刺激薬を配合してもよい。
【0017】
粘着層の厚み(塗工厚)は、10〜400μmが好ましい。粘着層の厚みが400μmを超えると感圧性接着剤に含まれる薬剤の放出性が悪くなる傾向にあり、他方、10μm未満では皮膚への接着性が劣り、剥がれの原因となる傾向にあるからである。
【0018】
貼付剤は、その角が円弧状に切断されていることが好ましい。貼付剤は、一旦一部がめくれ剥がれてしまうと、その部分に皮膚の角層やほこりが付着し再度貼付することは難しい。特に、貼付剤の形状が長方形である場合は、角が衣類等に引っかかり、真っ先にめくれて剥がれやすい傾向にある。そこで、貼付剤の角を円弧状にし、衣類等に引っかかりにくくすることが好ましく、それによって剥離の発生がより十分に防止される傾向にある。さらに、貼付剤においてその角を円弧状にする場合、円弧は曲率半径が5mm以上であることが好ましい。この半径が5mm未満の場合は、貼付時の剥がれの低減が十分に達成されない傾向にあるからである。
【0019】
本発明の貼付剤は、プラスター剤(硬膏剤)等の皮膚に適用する外用剤の他、テープ剤、ドレッシング、冷却シート、化粧用シート等に適用することができる。
【0020】
本発明の請求項2に記載の貼付剤は、支持体と、前記支持体の一面に積層された粘着層と、前記粘着層に剥離可能に付着された剥離シートと、前記剥離シートの一方の縁部からこれに対向する他方の縁部に延びる第一切れ目と、前記第一切れ目と間隔をあけて前記剥離シートの一方の縁部からこれに対向する他方の縁部に延びる第二切れ目と、を備えた貼付剤であって、前記剥離シートが、前記第一切れ目の左側と前記第二切れ目の右側に切り込み線により形成される指の一部を掛ける指掛け孔を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)まず、第一切れ目と第二切れ目の間の剥離シートを剥がして粘着層を露出させ、この粘着層を患部に貼付して予備的に固定させ、次に、指掛け孔を利用して残りの剥離シートを摘んで剥がし粘着層の全面を患部に貼付させることができる。このように、剥離シートが間隔をあけて形成された第一切れ目と第二切れ目を有しており、粘着層の一部を患部に貼着して予備的に固定させることができるため、貼付部位が悪ければ予備的な固定の段階で貼り直すことができ、確実に患部の所望する部位に貼付することができる。
(2)粘着層の全面を貼付する前に患部に粘着層の一部を貼付し固定できるので、残りの剥離シートを引き剥がす際にずれ難く、片手でも簡単に皺なく綺麗に貼付できる。
【0021】
ここで、支持体、粘着層、剥離シート、切り込み線、指掛け孔としては、請求項1で説明したものと同様なので、説明を省略する。また、第一切れ目、第二切れ目としては、請求項1で説明した切れ目と同様なので、説明を省略する。
【0022】
第一切れ目と第二切れ目は、第一切れ目と第二切れ目の全長に亘って間隔を実質的に等しく形成するのが好ましい。全長に亘って間隔が実質的に等しいというのは、第一切れ目と第二切れ目が波線状や鋸歯状等に形成されている場合、波線や鋸歯の振幅を二等分する中心線同士の間隔が全長に亘って等しいことを意味する。これにより、剥離シートを剥がす際に支持体が捻れ難いため、支持体を患部に皺なく綺麗に貼付することができる。
第一切れ目と第二切れ目の間隔としては、最短距離で10〜30mmが好適に用いられる。これにより、第一切れ目と第二切れ目に挟まれた剥離シートを剥がして患部に貼付し予備的に固定させたときの粘着力を確保し、支持体を皺なく綺麗に貼付することができるとともに、予備的な固定の際に貼り直すこともできる。
【0023】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の貼付剤であって、前記切り込み線が、前記切れ目,前記第一切れ目,前記第二切れ目と間隔をあけて形成された主切り込み部と、前記主切り込み部から前記切れ目,前記第一切れ目,前記第二切れ目の方向に延設された切れ目側延設部と、を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)切り込み線が主切り込み部と切れ目側延設部とを備えているので、支持体側から切り込み線を押し上げて、主切り込み部と切れ目側延設部により形成された切り込み線の舌片を大きく立ち上げ、切り込み線を大きく開口させて大きな指掛け孔を形成できる。このため、指掛け孔にしっかりと指を掛けて剥離シートを把持して簡単に剥がすことができる。
(2)立ち上げた切り込み線の舌片を剥離シートの切れ目側に折り返すと、切れ目に沿って浮き上がらせた剥離シートと折り返した舌片とを重ねて厚さを増やすことができるので、指掛け孔に指を掛けて折り返した舌片が重なった部分を摘めば、指先の力が弱った高齢者でも摘んだ指の間から剥離シートが滑り抜け難くなるため、剥離シートを簡単に剥がすことができる。
(3)立ち上げた切り込み線の舌片を折り曲げておくと、剥離シートをテーブル等の上に置いたり床に落としたりしたときでも簡単に拾い上げることができる。剥離シートは薄くてすべすべしているため、テーブル等の面に密着して拾い上げるのに苦労するが、折り曲げた舌片を下にして剥離シートがテーブル等の上にあるときは、剥離シートとテーブル等との間に隙間があるため剥離シートがテーブル等に密着せず拾い上げるのが容易で、折り曲げた舌片を上にして剥離シートがテーブル等の上にあるときは、折り曲げた舌片を摘めば拾い上げることができるからである。
【0024】
ここで、主切り込み部としては、直線状、波線状、鋸歯状、略山形状等に形成されたものが用いられる。
切れ目側延設部としては、主切り込み部の末端から延設されたもの、主切り込み部の線上から分岐状に延設されたもののいずれも用いることができ、切り込み線の全体形状を、略円弧状、半楕円状、十字状、放射状、T字状、略H状、略I状、略コ字状、山形状等に形成させるものが用いられる。
【0025】
切れ目が形成された剥離シートの縁部と直交方向における主切り込み部と切れ目側延設部とを有する切り込み線の幅(縦方向の幅)(後述する寸法C)としては、5〜30mm、好ましくは7〜25mm、より好ましくは10〜20mmが好適である。貼付剤の縦の長さ(剥離シートの対向する縁部間の距離)との比率に換算すると、切り込み線の幅(縦方向の幅)(寸法C)は、剥離シートの対向する縁部間の長さの1/14〜6/7、好ましくは1/10〜5/14、より好ましくは1/7〜3/7が好適である。
また、剥離シートの該縁部と平行方向における該切り込み線の幅(横方向の幅)(後述する寸法B)としては、5〜50mm、好ましくは10〜35mm、より好ましくは12〜25mmが好適である。貼付剤の横幅(剥離シートの縁部の長さ)との比率に換算すると、切り込み線の幅(横方向の幅)(寸法B)は、貼付剤の横幅の1/20〜3/10、好ましくは1/10〜1/4、より好ましくは3/25〜1/5が好適である。
切り込み線の縦方向の幅(寸法C)が10mmより短くなるか該比率が1/7より小さくなるにつれ、指掛け孔に指を掛け難くなって剥離シートを剥がし難くなる傾向がみられ、20mmより長くなるか該比率が3/7より大きくなるにつれ、指掛け孔から露出する粘着層の面積が大きくなるため、貼付する際に粘着層同士が粘着し絡まり易くなる傾向がみられる。特に、5mm未満になるか該比率が1/14未満になる、30mmを超えるか該比率が6/7を超えると、これらの傾向が著しくなるため好ましくない。
また、切り込み線の横方向の幅(寸法B)が12mmより短くなるか該比率が3/25より小さくなるにつれ、指掛け孔に指を掛け難くなって剥離シートを剥がし難くなる傾向がみられ、25mmより長くなるか該比率が1/5より大きくなるにつれ、指掛け孔から露出する粘着層の面積が大きくなるため、貼付する際に粘着層同士が粘着し支持体が絡まり易くなる傾向がみられる。特に、5mm未満になるか該比率が1/20未満になる、50mmを超えるか該比率が3/10を超えると、これらの傾向が著しくなるため好ましくない。
【0026】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の貼付剤であって、前記切り込み線が、前記主切り込み部から前記切れ目,前記第一切れ目,前記第二切れ目の反対側に延設された外側延設部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項3で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)主切り込み部に延設された外側延設部を備えているので、切り込み線が大きく開き指掛け孔が大きく開口するため、指掛け孔に指を挿入するようにして指を掛けて剥離シートを把持して簡単に剥がすことができる。
【0027】
ここで、外側延設部としては、主切り込み部の末端から延設されたもの、主切り込み部の線上から分岐状に延設されたもののいずれも用いることができ、切り込み線の全体形状を、十字状、放射状、T状、Y状、略H状、略I状等に形成させるものが用いられる。
【0028】
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の貼付剤であって、前記切り込み線が、前記切れ目側延設部の末端から前記切れ目,前記第一切れ目,前記第二切れ目と略平行方向に延設された平行切り込み部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項3又は4で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)切れ目側延設部の末端から切れ目等と略平行方向に延設された平行切り込み部を備えているので、切り込み線で形成された舌片を立ち上げたときや摘んだときに切れ目側延設部から切れ目に向かって剥離シートに裂け目が生じるのを防止することができ、剥離シートが裂けて切り込み線が切れ目と繋がってしまうのを防止できる。切り込み線が切れ目と繋がってしまうと、指掛け孔に指を掛けて剥離シートを剥がすことが困難になるからである。
【0029】
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項3乃至5の内いずれか1に記載の貼付剤であって、前記剥離シートが、前記切れ目側延設部又は前記平行切り込み部に延設された折り線を備えた構成を有している。
この構成により、請求項3乃至5の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)切れ目側延設部又は平行切り込み部に延設された折り線を備えているので、立ち上げた切り込み線の舌片を折り線で簡単に折り曲げたり折り返したりすることができ、舌片が粘着層に再付着することが防止される。このため、一連の剥離動作をスムーズに行うことができ取扱性に著しく優れる。
【0030】
ここで、折り線としては、ミシン目等の弱化線が用いられる。弱化線は剥離シートを切断することを目的としたものではないため、ミシン目を構成している各切込みは剥離シートを貫通している必要はなく、剥離シートを薄肉にするものでもよい。さらに弱化線は、剥離シートの折り曲げを容易に行うことができれば良いため、ミシン目に限定する必要はなく、溝や切れ線、加熱して剥離シートを劣化させた線等、種々の形態が考えられる。
【0031】
本発明の請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の内いずれか1に記載の貼付剤であって、前記粘着層が、経皮吸収性薬物を含有した構成を有している。
この構成により、請求項1乃至6の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)粘着層に経皮吸収性薬物を含有させることにより、持続的かつコントロール制御を行いながら、一定用量の有効成分を皮膚より経皮吸収させることができる。しかも血中における薬物濃度が一定に長時間にわたり維持され、経口剤のように胃や腸などの消化管や肝臓などに負担をかけることなく副作用の軽減を図ることができる。
(2)高齢者や小児に対しても投与可能であり、安全性かつ有効な治療効果を期待できる。
(3)貼付剤とすることにより、薬剤の使用状況が一目で確認することが出来るため、介護者にとっても服薬順守状況の把握が容易になるなどのメリットが期待できる。
【0032】
経皮吸収性薬物の具体的な内容は請求項1で説明したので、ここでの説明は省略する。
【0033】
本発明の請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の貼付剤であって、前記経皮吸収性薬物が、抗炎症剤である構成を有している。
この構成により、請求項7で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)抗炎症剤の薬効成分が皮膚より経皮吸収され、炎症を起こしている筋肉や関節に直接作用するために、肩こり、腰痛、関節痛、筋肉痛、打撲、捻挫、腱鞘炎、肘の痛みなどにおいて効果を期待できる。
【0034】
抗炎症剤としては、ステロイド系抗炎症剤、非ステロイド系抗炎症剤のいずれも用いることができる。これら抗炎症剤の具体的な内容は請求項1で説明したので、ここでの説明は省略する。
【0035】
本発明の請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の貼付剤であって、前記経皮吸収性薬物が、認知症治療剤である構成を有している。
この構成により、請求項7で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)従来、経口剤として用いられてきた認知症治療剤を、経皮吸収を目的とした貼付剤とすることにより、薬効成分である認知症治療剤を安全かつ効果的に皮膚を通じて生体内に移行させることができる。また、長時間にわたり治療効果を維持することが可能となる。
【0036】
認知症治療剤の具体的な内容は請求項1で説明したので、ここでの説明は省略する。
【発明の効果】
【0037】
以上のように、本発明の貼付剤によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)剥離シートが切れ目の左右に切り込み線により形成される指の一部を掛ける指掛け孔を備えているので、切れ目に沿って浮き上がらせた剥離シートと粘着層の間に指を潜り込ませて指掛け孔に指を掛け、別の指で剥離シートを挟むようにして反対側から指掛け孔に指を掛けると、指同士が指掛け孔を通して接触するので、しっかりと剥離シートを摘むことができ、指が滑り難くなるため、剥離シートを簡単に剥がすことができ剥離作業性に優れた貼付剤を提供できる。
(2)粘着層に面した剥離シートの面は、シリコンコーティング等の剥離処理がなされており、さらに粘着層の基剤成分の影響により非常に滑り易くなっているが、指掛け孔を通して剥離シートを摘んだ指同士を接触させられるので、滑ることなく剥離シートをしっかりと摘んで剥がすことができ剥離作業性に優れた貼付剤を提供できる。
(3)切り込み線が略円弧状、略コ字状、十字状等に形成されている場合は、切り込み線で作られる舌片の押し上げ量を大きくできるため、舌片を立ち上げて折り曲げることで切り込み線を大きく開口させて大きな指掛け孔を形成することができ、指掛け孔にしっかりと指を掛けて剥離シートを把持して簡単に剥がすことができる剥離作業性に優れた貼付剤を提供できる。
(4)使用前には切り込み線の舌片は粘着層に付着しており突出していないため、製造面からいえば、剥離シートに切れ目及び切り込み線を形成するだけでよいため、既存の生産設備や材料を活用することができ、新たな設備投資等をほとんど必要としない貼付剤を提供できる。また、剥離シートに突出した部分がないため、製造ラインを搬送されるときや貼付剤を包装用袋に収容するとき等、装置や包装用袋の縁に引っ掛かることがなく、使用前に剥離シートが剥がれたり剥離シートが剥がれて露出した粘着層が付着したりする等の問題が生じ難く、製造ラインが停止したり不良品が発生したりするという問題が生じることがなく、生産性に著しく優れた貼付剤を提供できる。
(5)使用前には切り込み線の舌片は粘着層に付着しており突出していないため、使用時に包装用袋から取り出す際に包装用袋の縁に引っ掛かることがなく、スムーズに取り出せるため取扱性に優れた貼付剤を提供できる。
【0038】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)剥離シートが間隔をあけて形成された第一切れ目と第二切れ目を有しており、粘着層の一部を患部に貼着して予備的に固定させることができるため、貼付部位が悪ければ予備的な固定の段階で貼り直すことができ、確実に患部の所望する部位に貼付することができる使用性に優れた貼付剤を提供できる。
(2)粘着層の全面を貼付する前に患部に粘着層の一部を貼付し固定できるので、残りの剥離シートを引き剥がす際にずれ難く、片手でも簡単に皺なく綺麗に貼付できる貼付剤を提供できる。
【0039】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、
(1)切り込み線が主切り込み部と切れ目側延設部とを備えているので、支持体側から切り込み線を押し上げて、主切り込み部と切れ目側延設部により形成された切り込み線の舌片を大きく立ち上げ、切り込み線を大きく開口させて大きな指掛け孔を形成することができる。このため、指掛け孔にしっかりと指を掛けて剥離シートを把持して簡単に剥がすことができる貼付剤を提供できる。
(2)立ち上げた切り込み線の舌片を剥離シートの切れ目側に折り返すと、切れ目に沿って浮き上がらせた剥離シートと折り返した舌片とを重ねて厚さを増やすことができるので、指掛け孔に指を掛けて折り返した舌片が重なった部分を摘めば、指先の力が弱った高齢者でも摘んだ指の間から剥離シートが滑り抜け難くなるため、剥離シートを簡単に剥がすことができる貼付剤を提供できる。
(3)立ち上げた切り込み線の舌片を折り曲げておくと、剥離シートをテーブル等の上に置いたり床に落としたりしたときでも簡単に拾い上げることができる貼付剤を提供できる。
【0040】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3の効果に加え、
(1)主切り込み部に延設された外側延設部を備えているので、切り込み線が大きく開き指掛け孔が大きく開口するため、指掛け孔に指を挿入するようにして指を掛けて剥離シートを把持して簡単に剥がすことができる貼付剤を提供できる。
【0041】
請求項5に記載の発明によれば、請求項3又は4の効果に加え、
(1)切れ目側延設部の末端から切れ目等と略平行方向に延設された平行切り込み部を備えているので、切り込み線の舌片を立ち上げたときや摘んだときに切れ目側延設部から切れ目に向かって剥離シートに裂け目が生じるのを防止することができ、剥離シートが裂けて切り込み線が切れ目と繋がってしまうのを防止できる貼付剤を提供できる。
【0042】
請求項6に記載の発明によれば、請求項3乃至5の内いずれか1の効果に加え、
(1)切れ目側延設部又は平行切り込み部に延設された折り線を備えているので、立ち上げた切り込み線の舌片を折り線で簡単に折り曲げたり折り返したりすることができ、舌片が粘着層に再付着することが防止される。このため、一連の剥離動作をスムーズに行うことができ取扱性に著しく優れた貼付剤を提供できる。
【0043】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1乃至6の内いずれか1の効果に加え、
(1)粘着層に経皮吸収性薬物を含有させることにより、持続的かつコントロール制御を行いながら、一定用量の有効成分を皮膚より経皮吸収させることができる。また、血中における薬物濃度が一定に長時間にわたり維持され、経口剤のように胃や腸などの消化管や肝臓などに負担をかけることなく副作用の軽減を図ることができる。また、高齢者や小児に対しても投与可能であり、安全性かつ有効な治療効果を期待でき、さらに薬剤の使用状況が一目で確認することが出来るため、介護者にとっても服薬順守状況の把握が容易になるなどのメリットが期待できる等の優れた作用効果を有する貼付剤を提供できる。
【0044】
請求項8に記載の発明によれば、請求項7の効果に加え、
(1)抗炎症剤の薬効成分が皮膚より経皮吸収され、炎症を起こしている筋肉や関節に直接作用するために、肩こり、腰痛、関節痛、筋肉痛、打撲、捻挫、腱鞘炎、肘の痛みなどにおいて作用効果を有する貼付剤を提供できる。
【0045】
請求項9に記載の発明によれば、請求項7の効果に加え、
(1)従来、経口剤として用いられてきた認知症治療剤を、経皮吸収を目的とした貼付剤とすることにより、薬効成分である認知症治療剤を安全かつ効果的に皮膚を通じて生体内に移行させることができる。また、長時間にわたり治療効果を維持することができる等の作用効果を有する貼付剤を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における貼付剤の平面図であり、図2は実施の形態1における貼付剤の底面図であり、図3は実施の形態1における貼付剤の正面図であり、図4は実施の形態1における貼付剤の左側面図であり、図5は図1のX−X線における断面図である。
図中、1は実施の形態1における貼付剤、2は合成樹脂製フィルム,織布,編布,不織布等で形成された柔軟な支持体、3は感圧性接着剤を主成分とし支持体2の一面に積層された粘着層、4は合成樹脂製フィルムやシリコン加工紙等で形成され粘着層3の全面に付着された剥離シート、5は剥離シート4の一方の縁部、6は縁部5に対向する剥離シート4の他方の縁部、7は一方の縁部5から他方の縁部6に延びる波線状に形成され剥離シート4を二分する切れ目、8は二分された剥離シート4の切れ目7の左右の各々に縁部5,6からの距離がほぼ等しい位置に形成された切り込み線、9は切れ目7と間隔をあけて直線状に形成された切り込み線8の主切り込み部、10は主切り込み部9の末端から切れ目7の方向に向かって円弧状に延設された切れ目側延設部、11は切れ目部延設部10の末端から切れ目7と略平行方向に内側に延設された平行切り込み部、12は切り込み線8で切り込み線8の内側に形成された舌片、13は切れ目7と切り込み線8との間の剥離シート4の縁部分である。
【0047】
ここで、本実施の形態においては、剥離シート4の切れ目7から切り込み線8の末端(平行切り込み部11)までの最短距離をAとすると、Aは2〜30mm、好ましくは3〜25mm、より好ましくは5〜20mmに形成されている。また、剥離シート4の縁部5,6の長さとの比率に換算すると、Aは縁部5,6の長さの1/50〜1/5、好ましくは3/100〜3/20、より好ましくは1/20〜1/10に形成されている。
また、剥離シート4の縁部5,6と平行方向における切り込み線8の幅(横方向の幅)をBとすると、Bは5〜50mm、好ましくは10〜35mm、より好ましくは12〜25mmに形成されている。また、剥離シート4の縁部5,6の長さとの比率に換算すると、Bは縁部5,6の長さの1/20〜3/10、好ましくは1/10〜1/4、より好ましくは3/25〜1/5に形成されている。
また、剥離シート4の縁部5,6と直交方向における切り込み線8の幅(縦方向の幅)をCとすると、Cは5〜30mm、好ましくは7〜25mm、より好ましくは10〜20mmに形成されている。また、Cは、剥離シート4の対向する縁部5,6間の距離の1/14〜6/7、好ましくは1/10〜5/14、より好ましくは1/7〜3/7に形成されている。
また、剥離シート4の縁部5,6から切り込み線8までの最短距離をDとすると、Dは10mm以上、好ましくは20mm以上に形成されている。また、Dは、剥離シート4の対向する縁部5,6間の長さの1/7以上、好ましくは2/7以上に形成されている。
【0048】
以上のように構成された本発明の実施の形態1における貼付剤1は、剥離シート4に感圧性接着剤を主成分とする粘着材を展延塗布した後、剥離シート4の粘着材の塗布面と支持体2とを貼り合せ、次に剥離シート4だけに切れ目7及び切り込み線8を形成することにより製造することができる。
【0049】
次に、本発明の実施の形態1における貼付剤1の使用方法について、図面を参照しながら説明する。
図6は実施の形態1における貼付剤に指掛け孔を形成する状態を示す図であり、図7は実施の形態1における貼付剤の切り込み線で形成された舌片を折り曲げた状態を示す図であり、図8は実施の形態1における貼付剤の皮膚患部への貼付作業の一例を示す図である。
図中、14は切り込み線8の舌片12が支持体2側から押し上げられて形成された指掛け孔、15は皮膚患部である。
はじめに貼付剤1を持ち、図6に示すように、二分された一方の剥離シート4の切り込み線8が形成されている部分を支持体2側から指で押し上げると、切り込み線8の舌片12が押し上げられて粘着層3から剥がれ、切り込み線8が開口し指掛け孔14が形成される。次いで、図7に示すように、舌片12を摘んで平行切り込み部11の位置で折り曲げ、指掛け孔14を大きく開口させる。二分された他方の剥離シート4の切り込み線8についても同様にして、舌片12を折り曲げて指掛け孔14を形成しておく。
次に、貼付剤1を剥離シート4の切れ目7に沿ってわずかに屈曲させると、切れ目7が波線状に形成されているので、切れ目7に沿って剥離シート4の縁部分13が粘着層3から浮き上がる。浮き上がらせた剥離シート4の縁部分13と粘着層3の間に指を潜り込ませて剥離シート4の裏側から指掛け孔14に指を掛け、別の指で剥離シート4の表側から折り曲げた舌片12を縁部分13に重ねるようにして指掛け孔14に指を掛け、剥離シート4の表側と裏側の指同士を指掛け孔14を通して合わせて剥離シート4を摘み、剥離シート4の一部を引き剥がして粘着層3の一部を露出させる。この露出させた粘着層3を皮膚患部15に貼付する。
次に、図8に示すように、指を掛けた剥離シート4の指掛け孔14を皮膚患部15の面に沿ってスライドさせるようにして引張り、剥離シート4を徐々に剥がしながら貼付剤1に皺ができないように皮膚患部15に貼付する。
次に、粘着層3に他方の剥離シート4が付着したままの貼付剤1をわずかに屈曲させて剥離シート4を反り返らせることにより、剥離シート4の切れ目7に沿った縁部分13を粘着層3から浮き上がらせる。浮き上がらせた剥離シート4の縁部分13と粘着層3の間に指を潜り込ませて剥離シート4の裏側から指掛け孔14に指を掛け、別の指で剥離シート4の表側から折り曲げた舌片12を縁部分13に重ねるようにして指掛け孔14に指を掛けて剥離シート4を摘む。摘んだ指掛け孔14を皮膚患部15の面に沿ってスライドさせるようにして引張り、剥離シート4を徐々に剥がしながら貼付剤1に皺ができないように皮膚患部15に貼付する。
【0050】
以上のように、本発明の実施の形態1における貼付剤は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)剥離シート4が切れ目7の左右に切り込み線8により形成される指の一部を掛ける指掛け孔14を備えているので、切り込み線8が形成されている部分を支持体2側から指で押し上げると、切り込み線8の舌片12が押し上げられて粘着層3から剥がれ指掛け孔14が開口する。切れ目7に沿って浮き上がらせた剥離シート4の縁部分13と粘着層3の間に指を潜り込ませて指掛け孔14に指を掛け、別の指で剥離シート4を挟むようにして反対側から指掛け孔14に指を掛けると、指同士が指掛け孔14を通して接触するので、しっかりと剥離シート4を摘むことができ、指が滑り難くなるため、剥離シート4を簡単に剥がすことができる。
(2)粘着層3に面した剥離シート4の面は、シリコンコーティング等の剥離処理がなされており、さらに粘着層3の基剤成分の影響により非常に滑り易くなっているが、指掛け孔14を通して剥離シート4を摘んだ指同士を接触させられるので、滑ることなく剥離シート4をしっかりと摘んで剥がすことができる。
(3)使用前には切り込み線8の舌片12は粘着層3に付着しており突出していないため、製造面からいえば、剥離シート4に切れ目7及び切り込み線8を形成するだけでよいため、既存の生産設備や材料を活用することができ、新たな設備投資等をほとんど必要としない。また、剥離シート4に突出した部分がないため、製造ラインを搬送されるときや貼付剤1を包装用袋に収容するとき等、装置や包装用袋の縁部分に引っ掛かることがなく、使用前に剥離シート4が剥がれたり剥離シート4が剥がれて露出した粘着層3が付着したりする等の問題が生じ難く、製造ラインが停止したり不良品が発生したりするという問題が生じることがなく、生産性に著しく優れる。
(4)使用前には切り込み線8の舌片12は粘着層3に付着しており突出していないため、使用時に包装用袋から取り出す際に包装用袋の縁部分に引っ掛かることがなく、スムーズに取り出せるため取扱性に優れる。
(5)切り込み線8が主切り込み部9と切れ目側延設部10とを備えているので、支持体2側から切り込み線8を押し上げて、主切り込み部9と切れ目側延設部10により形成された切り込み線8の舌片12を大きく立ち上げ、切り込み線8を大きく開口させて大きな指掛け孔14を形成できる。このため、指掛け孔14にしっかりと指を掛けて剥離シート4を把持して簡単に剥がすことができる。
(6)切れ目側延設部10を備えているので、立ち上げた切り込み線8の舌片12を剥離シート4の切れ目7側に折り返すことができ、切れ目7に沿って浮き上がらせた剥離シート4の縁部分13と折り返した舌片12とを重ねて厚さを増やすことができるので、指掛け孔14に指を掛けて折り返した舌片12が重なった縁部分13を摘めば、指先の力が弱った高齢者でも摘んだ指の間から剥離シート4が滑り抜け難くなるため、剥離シート4を簡単に剥がすことができる。
(7)立ち上げた切り込み線8の舌片12を折り曲げておくと、剥離シート4をテーブル等の上に置いたり床に落としたりしたときでも簡単に拾い上げることができる。
(8)切れ目側延設部10の末端から切れ目7と略平行方向に延設された平行切り込み部11を備えているので、切り込み線8の舌片12を立ち上げたときや摘んだときに切れ目側延設部10から切れ目7に向かって剥離シート4に裂け目が生じるのを防止することができ、剥離シート4が裂けて切り込み線8が切れ目7と繋がってしまうのを防止できる。切り込み線8が切れ目7と繋がってしまうと、指掛け孔14に指を掛けて剥離シート4を剥がすことが困難になるからである。
(9)切れ目7から切り込み線8の末端(平行切り込み部11)までの最短距離Aが2〜30mm、好ましくは3〜25mm、より好ましくは5〜20mmに形成されている、または、縁部5,6の長さの1/50〜1/5、好ましくは3/100〜3/20、より好ましくは1/20〜1/10に形成されているので、切り込み線8の舌片12を立ち上げたときや摘んだときに切り込み線8の末端から切れ目7に向かって剥離シート4に裂け目が生じ難く、指掛け孔14を確実に形成させることができる。
(10)剥離シート4の縁部5,6と平行方向における切り込み線8の幅(横方向の幅)Bが5〜50mm、好ましくは10〜35mm、より好ましくは12〜25mmに形成されている、または、縁部5,6の長さの1/20〜3/10、好ましくは1/10〜1/4、より好ましくは3/25〜1/5に形成されているので、指掛け孔14に指を掛け易いため剥離シート4を剥がし易く、また指掛け孔14から露出する粘着層3の面積が大きくなり過ぎないため、貼付剤1を貼付する際に粘着層3同士が粘着して支持体2が絡まることがなく綺麗に貼付できる。
(11)剥離シート4の縁部5,6と直交方向における切り込み線8の幅(縦方向の幅)Cが5〜30mm、好ましくは7〜25mm、より好ましくは10〜20mmに形成されている、または、剥離シート4の対向する縁部5,6間の距離の1/14〜6/7、好ましくは1/10〜5/14、より好ましくは1/7〜3/7に形成されているので、指掛け孔14に指を掛け易いため剥離シート4を剥がし易く、また指掛け孔14から露出する粘着層3の面積が大きくなり過ぎないため、貼付剤1を貼付する際に粘着層3同士が粘着して支持体2が絡まることがなく綺麗に貼付できる。
(12)剥離シート4の縁部5,6から切り込み線8までの最短距離Dが10mm以上好ましくは20mm以上に形成されている、または、剥離シート4の対向する縁部5,6間の長さの1/7以上、好ましくは2/7以上に形成されているので、切り込み線8により形成される指掛け孔14が大き過ぎないため、貼付剤1を貼付する際に粘着層3同士が粘着して支持体2が絡まることがなく綺麗に貼付できる。
【0051】
ここで、本実施の形態においては、切れ目7が波線状に形成された場合について説明したが、直線状、鋸歯状等に形成されたものを用いる場合もある。この場合も同様の作用が得られる。
【0052】
(実施の形態2)
図9は本発明の実施の形態2における貼付剤の平面図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
また、これ以降に説明する実施の形態においては、切れ目や切り込み線等が形成された剥離シート以外は実施の形態1で説明したものと同様のものなので平面図だけを記載し、底面図、正面図、左側面図、断面図は省略する。
図中、1aは本発明の実施の形態2における貼付剤、16は切り込み線8の外側(切れ目7の反対側)の剥離シート4に一方の縁部5から他方の縁部6に延びて形成されたミシン目,溝,切れ線,加熱して剥離シート4を劣化させた線等の弱化線からなる折り線である。
【0053】
実施の形態2における貼付剤1aは、実施の形態1において説明したものと同様に使用することができる。
はじめに、切り込み線8の舌片12を立ち上げることにより切り込み線8を開口させ指掛け孔14を形成した後、指掛け孔14に指を掛けて剥離シート4を切れ目7側から剥がしていく。折り線16の位置まで剥離シート4を剥がしていくと、折り線16の存在により剥離シート4は折り線16に沿って折れ曲がり、折り曲げた剥離シート4が粘着層3に再付着することが防止される。次に、この状態で患部に貼付剤1aを押し当てれば、粘着層3が露出状態を維持しているため、患部に貼付剤1aを付着させ予備的に固定させることができる。そして、剥離シート4の指掛け孔14を指で把持したまま引っ張るだけで剥離シート4は粘着層3から剥離し、同時に粘着層3全体を皮膚に付着させることができる。
【0054】
以上のように、本発明の実施の形態2における貼付剤は構成されているので、実施の形態1に記載した作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)剥離シート4を切れ目7から剥がし、折り線16で剥離シート4を折り曲げることで粘着層3の露出状態を維持できるため、粘着層3の一部を患部に貼着して予備的に固定させる場合や、片手で貼付剤1aを貼付しなければならない場合等でも簡単に皺なく綺麗に貼付できる。
【0055】
(実施の形態3)
図10は本発明の実施の形態3における貼付剤の平面図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1bは本発明の実施の形態3における貼付剤、8bは二分された剥離シート4の切れ目7の左右の各々に形成された切り込み線、9bは切れ目7と間隔をあけて波線状に形成された切り込み線8bの主切り込み部、10bは主切り込み部9bの末端から切れ目7の方向に向かって円弧状に延設された切れ目側延設部、11bは切れ目部延設部10aの末端から切れ目7と略平行方向に内側に延設された平行切り込み部、12bは切り込み線8bの内側の舌片である。
実施の形態3における貼付剤1bが実施の形態1と異なる点は、切り込み線8bの主切り込み部9bが波線状に形成されている点である。
【0056】
以上のように、本発明の実施の形態2における貼付剤は構成されているので、実施の形態1に記載した作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)切り込み線8bの主切り込み部9bが波線状に形成されているので、舌片12bを立ち上げた際に、指先が舌片12bの縁部で擦れても指先が切れたりすることがなく取扱性に優れる。
(2)主切り込み部9bが波線状に形成されているので、舌片12bを立ち上げる際に貼付剤1bを主切り込み部9bに沿ってわずかに屈曲させると、主切り込み部9bに沿って舌片12bが粘着層3から浮き上がるため、舌片12bの立ち上げを容易に行うことができる。
【0057】
(実施の形態4)
図11は本発明の実施の形態4における貼付剤の平面図である。なお、実施の形態1又は3で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1cは本発明の実施の形態4における貼付剤、17は平行切り込み部11bに延設され平行切り込み部11b,11b間を繋ぐ折り線である。折り線17はミシン目,溝,切れ線,加熱して剥離シート4を劣化させた線等の弱化線により形成されている。
【0058】
以上のように、実施の形態4における貼付剤は構成されているので、実施の形態1に記載した作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)平行切り込み部11bに延設された折り線17を備えているので、舌片12bを立ち上げた際に、折り線17の存在により舌片12bは折り線17に沿って折れ曲がり、粘着層3に再付着することが防止されるため、指掛け孔が大きく開口した状態を維持させることができ、貼付や剥離シート4の後始末等を容易に行うことができる。
【0059】
(実施の形態5)
図12は本発明の実施の形態5における貼付剤の平面図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1dは本発明の実施の形態5における貼付剤、8dは切れ目7の左右に各々に形成された切り込み線、9dは切れ目7と間隔をあけて緩やかに湾出した曲線状に形成された切り込み線8dの主切り込み部、10dは主切り込み部9dの末端から切れ目7の方向に向かって直線状に延設された切れ目側延設部、11dは切れ目部延設部10dの末端から切れ目7と略平行方向に内側に延設された平行切り込み部、12dは切り込み線8dの内側に切り込み線8dで形成された舌片である。
【0060】
以上のように、実施の形態5における貼付剤は構成されているので、実施の形態1に記載した作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)切り込み線8dの主切り込み部9dが湾出した曲線状に形成されているので、舌片12dを立ち上げる際、貼付剤1dを主切り込み部9dに沿ってわずかに屈曲させると、主切り込み部9dに沿って舌片12dが粘着層3から浮き上がり易いため、舌片12dの立ち上げを容易に行うことができる。
【0061】
(実施の形態6)
図13は本発明の実施の形態6における貼付剤の平面図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1eは本発明の実施の形態6における貼付剤、7eは剥離シート4の縁部5から縁部6に延びる直線状に形成され剥離シート4を二分する切れ目、8eは切れ目7eの左右に各々に形成された切り込み線、9eは切れ目7eと間隔をあけて緩やかに湾出した曲線状に形成された切り込み線8eの主切り込み部、10eは主切り込み部9eの末端から切れ目7eの方向に向かって円弧状に延設された切れ目側延設部、12eは切り込み線8eの内側に形成された舌片である。
実施の形態6における貼付剤1eも、実施の形態1において説明したものと同様に使用することができ、実施の形態1に記載した作用と同様の作用が得られる。
【0062】
(実施の形態7)
図14は本発明の実施の形態7における貼付剤の平面図である。なお、実施の形態1又は6で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1fは本発明の実施の形態7における貼付剤、8fは切れ目7eの左右に各々に形成された切り込み線、9fは切れ目7eと間隔をあけて凹状の曲線状に形成された切り込み線8fの主切り込み部、12fは切り込み線8fの内側に形成された舌片、18は主切り込み部9fの末端から切れ目7eと反対方向に向かって円弧状に延設された外側延設部である。
実施の形態7における貼付剤1fも、実施の形態1において説明したものと同様に、舌片12fを立ち上げて指掛け孔を形成し、これに指を掛けて剥離シートを剥がすことができるため、実施の形態1に記載したのと同様の作用が得られる。
【0063】
(実施の形態8)
図15は本発明の実施の形態8における貼付剤の平面図である。なお、実施の形態1又は7で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1gは本発明の実施の形態8における貼付剤、7gは剥離シート4の縁部5から縁部6に延びる波線状に形成され剥離シート4を二分する切れ目である。
実施の形態8における貼付剤1gの使用方法及び作用は、実施の形態7で説明したものと同様である。
【0064】
(実施の形態9)
図16は本発明の実施の形態9における貼付剤の平面図である。なお、実施の形態1又は6で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1hは本発明の実施の形態9における貼付剤、8hは切れ目7eの左右に各々に形成された切り込み線、9hは切れ目7eと間隔をあけて直線状に形成された切り込み線8hの主切り込み部、12hは切り込み線8hの内側に形成された舌片、18hは主切り込み部9hの末端から屈曲して切れ目7eと反対方向に向かって拡開した直線状に延設された外側延設部である。
実施の形態9における貼付剤1hの使用方法及び作用は、実施の形態7で説明したものと同様である。
【0065】
(実施の形態10)
図17は本発明の実施の形態10における貼付剤の平面図である。なお、実施の形態1又は6で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1iは本発明の実施の形態10における貼付剤、8iは切れ目7eの左右に各々に形成された切り込み線、9iは切れ目7eと間隔をあけて直線状に形成された切り込み線8iの主切り込み部、10iは主切り込み部9iの末端から屈曲して切れ目7eの方向に向かって拡開した直線状に延設された切れ目側延設部、12iは切り込み線8iの内側に形成された舌片である。
実施の形態10における貼付剤1iも、実施の形態1において説明したものと同様に使用することができ、実施の形態1に記載した作用と同様の作用が得られる。
【0066】
(実施の形態11)
図18は本発明の実施の形態11における貼付剤の平面図である。なお、実施の形態1又は6で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1jは本発明の実施の形態11における貼付剤、8jは二分された剥離シート4の切れ目7eの左右の各々に形成された切り込み線、9jは切れ目7eと間隔をあけて直線状に形成された切り込み線8jの主切り込み部、10jは主切り込み部9jの末端から切れ目7eの方向に向かって円弧状に延設された切れ目側延設部、11jは切れ目部延設部10jの末端から切れ目7eと略平行方向に内側に延設された平行切り込み部、12jは切り込み線8jの内側に形成された舌片である。
実施の形態11における貼付剤1jも、実施の形態1において説明したものと同様に使用することができ、実施の形態1に記載した作用と同様の作用が得られる。
【0067】
(実施の形態12)
図19は本発明の実施の形態12における貼付剤の平面図である。なお、実施の形態1又は6で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1kは本発明の実施の形態12における貼付剤、8kは二分された剥離シート4の切れ目7eの左右の各々に形成された切り込み線、9kは切れ目7eと間隔をあけて曲線状に形成された切り込み線8kの主切り込み部、10kは主切り込み部9kの末端から切れ目7eの方向に向かって円弧状に延設された切れ目側延設部、17kは切れ目部延設部10kの末端に切れ目7eと略平行に延設され切れ目部延設部10k,10k間を繋ぐ折り線である。折り線17kはミシン目,溝,切れ線,加熱して剥離シート4を劣化させた線等の弱化線により形成されている。
実施の形態12における貼付剤1kは、実施の形態1及び4において説明したものと同様に使用することができ、実施の形態1及び4に記載した作用と同様の作用が得られる。
【0068】
(実施の形態13)
図20は本発明の実施の形態13における貼付剤の平面図である。なお、実施の形態1又は6で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1lは本発明の実施の形態13における貼付剤、8lは切れ目7eの左右に各々に形成された切り込み線、9lは切れ目7eと間隔をあけて凹状の曲線状に形成された切り込み線8lの主切り込み部、12lは切り込み線8lの内側に形成された舌片、18lは主切り込み部9lの末端から切れ目7eと反対方向に向かって円弧状に延設された外側延設部、19は外側延設部18lの末端に切れ目7eと略平行に延設され外側延設部18l,18l間を繋ぐ折り線である。折り線18lはミシン目,溝,切れ線,加熱して剥離シート4を劣化させた線等の弱化線により形成されている。
実施の形態13における貼付剤1lも、実施の形態1において説明したものと同様に、舌片12lを立ち上げて指掛け孔を形成し、これに指を掛けて剥離シートを剥がすことができるため、実施の形態1に記載したのと同様の作用が得られる。また、折り線19が形成されているので、立ち上げた舌片12lは折り線19に沿って折れ曲がり、粘着層3に再付着することが防止されるため、指掛け孔が大きく開口した状態を維持させることができ、貼付や剥離シート4の後始末等を容易に行うことができる。
【0069】
(実施の形態14)
図21は本発明の実施の形態14における貼付剤の平面図である。なお、実施の形態1又は6で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1mは本発明の実施の形態14における貼付剤、8mは二分された剥離シート4の切れ目7eの左右の各々に形成された切り込み線、9mは切れ目7eと間隔をあけて直線状に形成された切り込み線8mの主切り込み部、10mは主切り込み部9mの末端から切れ目7eの方向に向かって直線状の先窄まり状に延設された切れ目側延設部、12mは切り込み線8mの内側に形成された舌片である。
実施の形態14における貼付剤1mは、実施の形態1において説明したものと同様に使用することができ、実施の形態1に記載した作用と同様の作用が得られる。
【0070】
(実施の形態15)
図22は本発明の実施の形態15における貼付剤の平面図である。なお、実施の形態1又は6で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1nは本発明の実施の形態15における貼付剤、8nは切れ目7eの左右の各々に形成された切り込み線、9nは切れ目7eと間隔をあけて波線状に形成された切り込み線8nの主切り込み部、10nは主切り込み部9nの末端から切れ目7eの方向に向かって直線状の先窄まり状に延設された切れ目側延設部、12nは切り込み線8nの内側に形成された舌片、17nは切れ目部延設部10nの末端に切れ目7eと略平行に延設され切れ目部延設部10n,10n間を繋ぐミシン目,溝,切れ線,加熱して剥離シート4を劣化させた線等の弱化線により形成された折り線である。
実施の形態15における貼付剤1nは、実施の形態1又は4において説明したものと同様に使用することができ、実施の形態1又は4に記載した作用と同様の作用が得られる。
【0071】
(実施の形態16)
図23は本発明の実施の形態16における貼付剤の平面図である。なお、実施の形態1又は6で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1oは本発明の実施の形態16における貼付剤、8oは切れ目7eの左右の各々に切れ目7eと略平行して直線状に形成された切り込み線、13oは切り込み線8oと切れ目7eとの間の剥離シート4の縁部分である。
【0072】
次に、実施の形態16における貼付剤1oの使用方法について説明する。
貼付剤1oを手にとり、切れ目7eで二分された一方の剥離シート4の切り込み線8oが形成されている部分を支持体2側から指で押し上げると、剥離シート4の縁部分13oが押し上げられて粘着層から剥がれて浮き上がり、切り込み線8oが開口し指掛け孔が形成される。次に、縁部分13oを浮き上がらせて形成した指掛け孔に剥離シート4の表側から指を掛け、剥離シート4の裏側から別の指を潜り込ませて指掛け孔に指を掛け、剥離シート4の表側と裏側の指同士を指掛け孔を通して合わせて剥離シート4を摘み、剥離シート4の一部を引き剥がして粘着層を露出させ、皮膚患部に貼付する。他方の剥離シート4も同様にして剥離し、粘着層を露出させて皮膚患部に貼付する。
実施の形態16における貼付剤1oは以上のように構成されているので、実施の形態1で説明したものと同様の作用が得られる。
【0073】
(実施の形態17)
図24は本発明の実施の形態17における貼付剤の平面図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1pは本発明の実施の形態17における貼付剤、8pは切れ目7の左右の各々に切れ目7と実質的に略平行して波線状に形成された切り込み線、13pは切り込み線8pと切れ目7との間の剥離シート4の縁部分である。
【0074】
ここで、本実施の形態においては、剥離シート4の切れ目7から切り込み線8pまでの最短距離Aは、2〜30mm、好ましくは3〜25mm、より好ましくは5〜20mmに形成されている。また、剥離シート4の縁部5,6の長さとの比率に換算すると、Aは縁部5,6の長さの1/50〜1/5、好ましくは3/100〜3/20、より好ましくは1/20〜1/10に形成されている。
また、剥離シート4の縁部5,6と直交方向における切り込み線8pの幅(縦方向の幅)Cは5〜30mm、好ましくは7〜25mm、より好ましくは10〜20mmに形成されている。また、Cは、剥離シート4の対向する縁部5,6間の距離の1/14〜6/7、好ましくは1/10〜5/14、より好ましくは1/7〜3/7に形成されている。
また、剥離シート4の縁部5,6から切り込み線8pまでの最短距離Dは10mm以上、好ましくは20mm以上に形成されている。また、Dは、剥離シート4の対向する縁部5,6間の長さの1/7以上、好ましくは2/7以上に形成されている。
【0075】
実施の形態17における貼付剤1pも、実施の形態16において説明したものと同様に使用することができ、実施の形態1に記載した作用と同様の作用が得られる。
【0076】
(実施の形態18)
図25は本発明の実施の形態18における貼付剤の平面図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1qは本発明の実施の形態18における貼付剤、8qは切れ目7の左右の各々に切れ目7と実質的に略平行して波線状に形成された切り込み線、13qは切り込み線8qと切れ目7との間の剥離シート4の縁部分である。
実施の形態18における貼付剤1qも、実施の形態16において説明したものと同様に使用することができ、実施の形態1に記載した作用と同様の作用が得られる。
【0077】
(実施の形態19)
図26は本発明の実施の形態19における貼付剤の平面図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1rは実施の形態19における貼付剤、8rは切れ目7の左右の各々に略I状に形成された切り込み線、9rは切れ目7と間隔をあけて切れ目7と実質的に平行な直線状に形成された切り込み線8rの主切り込み部、10rは主切り込み部9rの末端から切れ目7の方向に向かって主切り込み部9rと略直交する直線状に延設された切れ目側延設部、12rは切り込み線8rの内側に形成された舌片、18rは主切り込み部9rの末端から切れ目7の反対方向に向かって主切り込み部9rと略直交する直線状に延設された外側延設部である。
ここで、本実施の形態においては、剥離シート4の切れ目7から切り込み線8rの末端(切れ目側延設部10r)までの最短距離をAは、2〜30mm、好ましくは3〜25mm、より好ましくは5〜20mmに形成されている。また、剥離シート4の縁部5,6の長さとの比率に換算すると、Aは縁部5,6の長さの1/50〜1/5、好ましくは3/100〜3/20、より好ましくは1/20〜1/10に形成されている。
また、剥離シート4の縁部5,6と平行方向における切り込み線8rの幅(横方向の幅)Bは5〜50mm、好ましくは10〜35mm、より好ましくは12〜25mmに形成されている。また、剥離シート4の縁部5,6の長さとの比率に換算すると、Bは縁部5,6の長さの1/20〜3/10、好ましくは1/10〜1/4、より好ましくは3/25〜1/5に形成されている。
また、剥離シート4の縁部5,6と直交方向における切り込み線8rの幅(縦方向の幅)Cは5〜30mm、好ましくは7〜25mm、より好ましくは10〜20mmに形成されている。また、Cは、剥離シート4の対向する縁部5,6間の距離の1/14〜6/7、好ましくは1/10〜5/14、より好ましくは1/7〜3/7に形成されている。
また、剥離シート4の縁部5,6から切り込み線8rまでの最短距離Dは10mm以上、好ましくは20mm以上に形成されている。また、Dは、剥離シート4の対向する縁部5,6間の長さの1/7以上、好ましくは2/7以上に形成されている。
実施の形態19における貼付剤1rは、実施の形態1において説明したものと同様に使用することができる。
【0078】
以上のように、実施の形態19における貼付剤は構成されているので、実施の形態1に記載した作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)主切り込み部9rに延設された外側延設部18rを備えているので、切り込み線8rが大きく開き指掛け孔が大きく開口するため、指掛け孔に指を挿入するようにして指を掛けて剥離シート4を把持して簡単に剥がすことができる。
【0079】
(実施の形態20)
図27は本発明の実施の形態20における貼付剤の平面図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1sは実施の形態20における貼付剤、8sは切れ目7の左右の各々に略H状に形成された切り込み線、9sは切れ目7と間隔をあけて切れ目7と実質的に平行な直線状に形成された切り込み線8sの主切り込み部、10sは主切り込み部9rの略中央から切れ目7の方向に向かって主切り込み部9sと略直交する直線状に延設された切れ目側延設部、11sは切れ目部延設部10sの末端から剥離シート4の縁部5,6に向かって切れ目7と実質的に略平行な直線状に形成された平行切り込み部である。
以上のように、実施の形態20における貼付剤は構成されているので、実施の形態19の貼付剤と同様の作用が得られる。
【0080】
(実施の形態21)
図28は本発明の実施の形態21における貼付剤の平面図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1tは実施の形態21における貼付剤、8tは切れ目7の左右の各々に略十字状に形成された切り込み線、9tは切れ目7と間隔をあけて切れ目7と実質的に平行な直線状に形成された切り込み線8tの主切り込み部、10tは主切り込み部9tの略中央から切れ目7の方向に向かって主切り込み部9tと略直交する直線状に延設された切れ目側延設部、18tは主切り込み部9tの略中央から切れ目7と反対方向に向かって主切り込み部9tと略直交する直線状に延設された外側延設部である。
以上のように、実施の形態21における貼付剤は構成されているので、実施の形態19の貼付剤と同様の作用が得られる。
【0081】
(実施の形態22)
図29は本発明の実施の形態22における貼付剤の平面図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1uは実施の形態22における貼付剤、8uは切れ目7の左右の各々に略I状に形成された切り込み線、9uは切れ目7と間隔をあけて切れ目7と実質的に平行な直線状に形成された切り込み線8uの主切り込み部、10uは主切り込み部9uの両末端から切れ目7の方向に向かって拡開した直線状に延設された切れ目側延設部、18uは主切り込み部9uの両末端から切れ目7と反対方向に向かって拡開した直線状に延設された外側延設部である。
以上のように、実施の形態22における貼付剤は構成されているので、実施の形態19の貼付剤と同様の作用が得られる。
【0082】
(実施の形態23)
図30は本発明の実施の形態23における貼付剤の平面図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1vは実施の形態23における貼付剤、8vは切れ目7の左右の各々に形成された切り込み線、9vは切れ目7と間隔をあけて緩やかな曲線状に形成された切り込み線8vの主切り込み部、18vは主切り込み部9vの両末端から切れ目7の反対方向に向かって拡開した直線状に延設された外側延設部である。
以上のように、実施の形態23における貼付剤は構成されているので、実施の形態7の貼付剤と同様の作用が得られる。
【0083】
(実施の形態24)
図31は本発明の実施の形態24における貼付剤の平面図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1wは本発明の実施の形態24における貼付剤、20は剥離シート4の縁部5から対向する他方の縁部6に延びる直線状の第一切れ目、21は第一切れ目20と間隔をあけて略平行に剥離シート4の縁部5から縁部6に延びる第二切れ目、22は第一切れ目20と第二切れ目21により分断された剥離シート4の帯部、8wは第一切れ目20の左側と第二切れ目21の右側に各々波線状に形成された切り込み線、13wは切り込み線8w,8wと第一切れ目20,第二切れ目21との間の剥離シート4の縁部分である。
本実施の形態においては、帯部22の幅(第一切れ目20と第二切れ目21の間隔)は、最短距離で10〜30mmに形成されている。
【0084】
次に、実施の形態24における貼付剤1wの使用方法について説明する。
まず、貼付剤1wの剥離シート4の帯部22を指で摘み剥離する。次に、帯部22の剥離によって露出した粘着層3を皮膚患部に貼付して貼付剤1wを予備的に固定する。
次に、実施の形態16において説明したように、切り込み線8wが形成されている部分を支持体2側から指で押し上げると、縁部分13wが粘着層から剥がれて押し上げられて浮き上がり、切り込み線8wが開口して指掛け孔が形成される。次に、指掛け孔に剥離シート4の表側から指を掛け、剥離シート4の裏側から別の指を潜り込ませて指掛け孔に指を掛け、剥離シート4の表側と裏側の指同士を指掛け孔を通して合わせて剥離シート4を摘み、剥離シート4を引き剥がして皮膚患部に貼付する。他方の剥離シート4も同様にして剥離し皮膚患部に貼付する。
【0085】
以上のように、実施の形態24における貼付剤は構成されているので、実施の形態1に記載した作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)間隔をあけて形成された第一切れ目20と第二切れ目21を有しているので、帯部22の剥離によって露出した粘着層の一部を患部に貼着して予備的に固定させることができるため、貼付部位が悪ければ予備的な固定の段階で貼り直すことができ、確実に患部の所望する部位に貼付することができる。
(2)粘着層の全面を貼付する前に患部に粘着層の一部を貼付し固定できるので、残りの剥離シート4を引き剥がす際にずれ難く、片手でも簡単に皺なく綺麗に貼付できる。
【0086】
(実施の形態25)
図32は本発明の実施の形態25における貼付剤の平面図である。なお、実施の形態1、実施の形態24で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1xは本発明の実施の形態25における貼付剤、20xは剥離シート4の縁部5から対向する他方の縁部6に延びる波線状の第一切れ目、21xは第一切れ目21xと間隔をあけて実質的に略平行に剥離シート4の縁部5から縁部6に延びる波線状の第二切れ目である。
【0087】
ここで、本実施の形態においては、剥離シート4の第一切れ目20x(又は第二切れ目21x)から切り込み線8wまでの最短距離Aは、2〜30mm、好ましくは3〜25mm、より好ましくは5〜20mmに形成されている。また、剥離シート4の縁部5,6の長さとの比率に換算すると、Aは縁部5,6の長さの1/50〜1/5、好ましくは3/100〜3/20、より好ましくは1/20〜1/10に形成されている。
また、剥離シート4の縁部5,6と直交方向における切り込み線8wの幅(縦方向の幅)Cは5〜30mm、好ましくは7〜25mm、より好ましくは10〜20mmに形成されている。また、Cは、剥離シート4の対向する縁部5,6間の距離の1/14〜6/7、好ましくは1/10〜5/14、より好ましくは1/7〜3/7に形成されている。
また、剥離シート4の縁部5,6から切り込み線8wまでの最短距離Dは10mm以上、好ましくは20mm以上に形成されている。また、Dは、剥離シート4の対向する縁部5,6間の長さの1/7以上、好ましくは2/7以上に形成されている。
【0088】
以上のように、実施の形態25における貼付剤は構成されているので、実施の形態25で説明した作用に加え、第一切れ目20xと第二切れ目21xが波線状に形成されているため、帯部22の縁部分がめくり易くなり帯部22の剥離を容易に行うことができるという作用が得られる。
【0089】
(実施の形態26)
図33は本発明の実施の形態26における貼付剤の平面図である。なお、実施の形態1又は24で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1yは本発明の実施の形態26における貼付剤、8yは第一切れ目20の左側と第二切れ目21の右側の各々に形成された半円状の切り込み線、9yは第一切れ目20と第二切れ目21の各々と間隔をあけて緩やかに湾出した曲線状に形成された切り込み線8yの主切り込み部、10yは主切り込み部9yの末端から第一切れ目20又は第二切れ目21の方向に向かって円弧状に延設された切れ目側延設部である。
実施の形態26における貼付剤1yも、実施の形態24において説明したものと同様に使用することができ、実施の形態24及び実施の形態1で説明した作用と同様の作用が得られる。
【0090】
(実施の形態27)
図34は本発明の実施の形態27における貼付剤の平面図である。なお、実施の形態1,24,26で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1zは本発明の実施の形態27における貼付剤、16zは切り込み線8yの外側(第一切れ目20又は第二切れ目21の反対側)の剥離シート4に一方の縁部5から他方の縁部6に延びて形成されたミシン目,溝,切れ線,加熱して剥離シート4を劣化させた線等の弱化線からなる折り線である。
実施の形態27における貼付剤1zも、実施の形態24において説明したものと同様に使用することができ、実施の形態24及び実施の形態1で説明した作用と同様の作用が得られる。また、折り線16zで剥離シート4を折り曲げることで粘着層3の露出状態を維持できるため、粘着層3の一部を患部に貼着して予備的に固定させる場合や、片手で貼付剤1zを貼付しなければならない場合等でも簡単に皺なく綺麗に貼付できる。
【0091】
(実施の形態28)
図35は本発明の実施の形態28における貼付剤の平面図である。
図中、1αは本発明の実施の形態28における貼付剤である。その他は実施の形態1,25,26で説明したものと同様のものなので、同じ符号を付して説明を省略する。
実施の形態28における貼付剤1αも、実施の形態24において説明したものと同様に使用することができ、実施の形態24及び実施の形態1で説明した作用と同様の作用が得られる。
【0092】
(実施の形態29)
図36は本発明の実施の形態29における貼付剤の平面図である。なお、実施の形態1,24,26で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1βは本発明の実施の形態29における貼付剤、16βは切り込み線8yの外側(第一切れ目20x又は第二切れ目21xの反対側)の剥離シート4に一方の縁部5から他方の縁部6に延びて形成されたミシン目,溝,切れ線,加熱して剥離シート4を劣化させた線等の弱化線からなる折り線である。
実施の形態29における貼付剤1βも、実施の形態24において説明したものと同様に使用することができ、実施の形態24及び実施の形態1で説明した作用と同様の作用が得られる。また、折り線16βで剥離シート4を折り曲げることで粘着層3の露出状態を維持できるため、粘着層3の一部を患部に貼着して予備的に固定させる場合や、片手で貼付剤1βを貼付しなければならない場合等でも簡単に皺なく綺麗に貼付できる。
【0093】
(実施の形態30)
図37は本発明の実施の形態30における貼付剤の平面図である。なお、実施の形態1又は26で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1γは本発明の実施の形態30における貼付剤、7γは一方の縁部5から他方の縁部6に亘って大きく屈曲しながらS字状に形成されて剥離シート4を二分する切れ目である。
本実施の形態においては、切り込み線8yの剥離シート4の縁部5,6からの距離が等しくない点でこれまでの実施の形態とは異なるが、実施の形態1で説明した貼付剤と同様に使用することができ、同様の作用が得られる。
【0094】
(実施の形態31)
図38は本発明の実施の形態31における貼付剤の平面図である。なお、実施の形態1,26,30で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1δは本発明の実施の形態31における貼付剤、16δは切り込み線8yの外側(切れ目7γの反対側)の剥離シート4に一方の縁部5から他方の縁部6に亘って形成されたミシン目,溝,切れ線,加熱して剥離シート4を劣化させた線等の弱化線からなる折り線である。
実施の形態31における貼付剤1δは、実施の形態2で説明した貼付剤と同様に使用することができ、同様の作用が得られる。
【実施例】
【0095】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例になんら制約されるものではない。
(試験例1)
実施例と比較例の貼付剤を作成し、貼付する際の「剥離シートの掴み易さ」、「貼付のし易さ」、「貼付後、剥がした剥離シートを平らなテーブルに置いたときの剥離シートの掴み易さ」について比較試験を行った。
(実施例1)
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(以下、SISと表記する)20質量%、流動パラフィン50質量%、ポリイソブチレン(以下、PIBと表記する)7質量%、アルコンP−100を15質量%及びブチルヒドロキシトルエン(以下、BHTと表記する)2質量%を加熱混合し、次にインドメタシン1質量%、L−メントール2質量%及びクロタミトン3質量%を加え混練し均一な融解物を得た。ドクターナイフ展膏機を用いて、得られた融解物をシリコン処理されたポリエステルテレフタレートからなる剥離シート(厚さ70μm)に100g/mで展延塗布した後、塗布面にポリエチレンテレフタレート製の不織布からなる支持体を貼り合わせた。次に、実施の形態1(図1)で説明した形状の切れ目及び切り込み線を剥離シートに形成し、貼付剤とした。なお、貼付剤の横幅は100mm、縦の長さは70mmとした。また、切り込み線を特定する寸法は、A:5mm、B:12mm、C:20mm、D:25mmであった。
【0096】
(実施例2)
SISを21質量%、流動パラフィン49質量%、PIBを6質量%、アルコンP−100を12質量%及びBHTを2質量%加熱混合し、次にフルルビプロフェン3質量%、L−メントール3質量%及びクロタミトン4質量%を加え混練し均一な融解物を得た。ドクターナイフ展膏機を用いて、得られた融解物をシリコン処理されたポリエステルテレフタレートからなる剥離シート(厚さ70μm)に100g/mで展延塗布した後、塗布面にポリエチレンテレフタレート製の不織布からなる支持体を貼り合わせた。次に、実施の形態12(図19)で説明した形状の切れ目及び切り込み線を剥離シートに形成し、貼付剤とした。なお、貼付剤の横幅は100mm、縦の長さは70mmとした。また、切り込み線を特定する寸法は、A:7mm、B:15mm、C:15mm、D:27.5mmであった。
【0097】
(実施例3)
SISを20質量%、流動パラフィン50質量%、PIBを7質量%、アルコンP−100を13質量%及びBHTを2質量%加熱混合し、次にケトプロフェン3質量%、L−メントール2質量%及びクロタミトン3質量%を加え混練し均一な融解物を得た。ドクターナイフ展膏機を用いて、得られた融解物をシリコン処理されたポリエステルテレフタレートからなる剥離シート(厚さ70μm)に100g/mで展延塗布した後、塗布面にポリエチレンテレフタレート製の不織布からなる支持体を貼り合わせた。次に、実施の形態28(図35)で説明した形状の切れ目及び切り込み線を剥離シートに形成し、貼付剤とした。なお、貼付剤の横幅は100mm、縦の長さは70mmとした。また、切り込み線を特定する寸法は、A:10mm、B:10mm、C:20mm、D:25mmであった。
【0098】
(実施例4)
SISを20質量%、流動パラフィン50質量%、PIB7質量%、アルコンP−100を15質量%及びBHT2質量%を加熱混合し、次にフェルビナク1質量%、L−メントール2質量%及びクロタミトン3質量%を加え混練し均一な融解物を得た。ドクターナイフ展膏機を用いて、得られた融解物をシリコン処理されたポリエステルテレフタレートからなる剥離シート(厚さ70μm)に100g/mで展延塗布した後、塗布面にポリエチレンテレフタレート製の不織布からなる支持体を貼り合わせた。次に、実施の形態1(図1)で説明した形状の切れ目及び切り込み線を剥離シートに形成し、貼付剤とした。なお、貼付剤の横幅は100mm、縦の長さは70mmとした。また、切り込み線を特定する寸法は、A:5mm、B:12mm、C:20mm、D:25mmであった。
【0099】
(実施例5)
SISを24質量%、流動パラフィン50質量%、PIBを6質量%、アルコンP−100を12質量%及びBHTを2質量%加熱混合し、次にロキソプロフェンナトリウム3質量%、L−メントール3質量%を加え混練し均一な融解物を得た。ドクターナイフ展膏機を用いて、得られた融解物をシリコン処理されたポリエステルテレフタレートからなる剥離シート(厚さ70μm)に100g/mで展延塗布した後、塗布面にポリエチレンテレフタレート製の不織布からなる支持体を貼り合わせた。次に、実施の形態17(図24)で説明した形状の切れ目及び切り込み線を剥離シートに形成し、貼付剤とした。なお、貼付剤の横幅は100mm、縦の長さは70mmとした。また、切り込み線を特定する寸法は、A(波線状に形成された切れ目と、波線状に形成された切り込み線と、の波間の最短距離):7mm、C:20mm、D:25mmであった。
【0100】
(実施例6)
SISを20質量%、流動パラフィン48質量%、PIB6質量%、アルコンP−100を15質量%及びBHT1質量%を加熱混合し、次にサリチル酸グリコール7質量%、L−メントール3質量%を加え混練し均一な融解物を得た。ドクターナイフ展膏機を用いて、得られた融解物をシリコン処理されたポリエステルテレフタレートからなる剥離シート(厚さ70μm)に100g/mで展延塗布した後、塗布面にポリエチレンテレフタレート製の不織布からなる支持体を貼り合わせた。次に、実施の形態25(図32)で説明した形状の切れ目及び切り込み線を剥離シートに形成し、貼付剤とした。なお、貼付剤の横幅は100mm、縦の長さは70mmとした。また、切り込み線を特定する寸法は、A(波線状に形成された切れ目と、波線状に形成された切り込み線と、の波間の最短距離):5mm、C:25mm、D:22.5mmであった。
【0101】
(実施例7)
SISを21質量%、流動パラフィン49質量%、PIBを7質量%、アルコンP−100を12質量%及びBHTを2質量%加熱混合し、次にジクロフェナックナトリウム3質量%、L−メントール3質量%及びクロタミトン3質量%を加え混練し均一な融解物を得た。ドクターナイフ展膏機を用いて、得られた融解物をシリコン処理されたポリエステルテレフタレートからなる剥離シート(厚さ70μm)に100g/mで展延塗布した後、塗布面にポリエチレンテレフタレート製の不織布からなる支持体を貼り合わせた。次に、実施の形態6(図13)で説明した形状の切れ目及び切り込み線を剥離シートに形成し、貼付剤とした。なお、貼付剤の横幅は100mm、縦の長さは70mmとした。また、切り込み線を特定する寸法は、A:7mm、B:13mm、C:15mm、D:27.5mmであった。
【0102】
(実施例8)
SISを21質量%、流動パラフィン47質量%、PIB8質量%、アルコンP−100を15質量%及びBHT1質量%を加熱混合し、次にロキソプロフェンナトリウム5質量%、L−メントール2質量%及びクロタミトン1質量%を加え混練し均一な融解物を得た。ドクターナイフ展膏機を用いて、得られた融解物をシリコン処理されたポリエステルテレフタレートからなる剥離シート(厚さ70μm)に100g/mで展延塗布した後、塗布面にポリエチレンテレフタレート製の不織布からなる支持体を貼り合わせた。次に、実施の形態1(図1)で説明した形状の切れ目及び切り込み線を剥離シートに形成し、貼付剤とした。なお、貼付剤の横幅は100mm、縦の長さは70mmとした。また、切り込み線を特定する寸法は、A:5mm、B:12mm、C:20mm、D:25mmであった。
【0103】
(実施例9)
SISを21質量%、流動パラフィン49質量%、PIBを7質量%、アルコンP−100を12質量%及びBHTを1質量%加熱混合し、次にフェルビナク3質量%、L−メントール3質量%及びポリエチレングリコール(マクロゴール1000)4質量%を加え混練し均一な融解物を得た。ドクターナイフ展膏機を用いて、得られた融解物をシリコン処理されたポリエステルテレフタレートからなる剥離シート(厚さ70μm)に100g/mで展延塗布した後、塗布面にポリエチレンテレフタレート製の不織布からなる支持体を貼り合わせた。次に、実施の形態12(図19)で説明した形状の切れ目及び切り込み線を剥離シートに形成し、貼付剤とした。なお、貼付剤の横幅は100mm、縦の長さは70mmとした。また、切り込み線を特定する寸法は、A:7mm、B:12mm、C:16mm、D:27mmであった。
【0104】
(実施例10)
SISを18.5質量%、流動パラフィン30.5質量%、PIBを7.5質量%、アルコンP−100を32.5質量%及びBHTを1質量%加熱混合し、次に塩酸ドネペジル3質量%、L−メントール1質量%及びポリエチレングリコール(マクロゴール1000)5質量%を加え混練し均一な融解物を得た。ドクターナイフ展膏機を用いて、得られた融解物をシリコン処理されたポリエステルテレフタレートからなる剥離シート(厚さ70μm)に100g/mで展延塗布した後、塗布面にポリエチレンテレフタレート製の不織布からなる支持体を貼り合わせた。次に、実施の形態12(図19)で説明した形状の切れ目及び切り込み線を剥離シートに形成し、貼付剤とした。なお、貼付剤の横幅は100mm、縦の長さは70mmとした。また、切り込み線を特定する寸法は、A:5mm、B:15mm、C:18mm、D:26mmであった。
【0105】
(実施例11)
SIS20質量%、流動パラフィン35質量%、PIB8質量%、アルコンP−100を29質量%及びBHT2質量%を加熱混合し、次にリバスチグミン1質量%、L−メントール2質量%及びクロタミトン3質量%を加え混練し均一な融解物を得た。ドクターナイフ展膏機を用いて、得られた融解物をシリコン処理されたポリエステルテレフタレートからなる剥離シート(厚さ70μm)に100g/mで展延塗布した後、塗布面にポリエチレンテレフタレート製の不織布からなる支持体を貼り合わせた。次に、実施の形態1(図1)で説明した形状の切れ目及び切り込み線を剥離シートに形成し、貼付剤とした。なお、貼付剤の横幅は100mm、縦の長さは70mmとした。また、切り込み線を特定する寸法は、A:5mm、B:12mm、C:20mm、D:25mmであった。
【0106】
(比較例)
実施例1と同様に、SISを20質量%、流動パラフィン50質量%、PIBを7質量%、アルコンP−100を15質量%及びBHTを2質量%加熱混合し、次にインドメタシン1質量%、L−メントール2質量%及びクロタミトン3質量%を加え混練し均一な融解物を得た。ドクターナイフ展膏機を用いて、得られた融解物をシリコン処理されたポリエステルテレフタレートからなる剥離シート(厚さ70μm)に100g/mで展延塗布した後、塗布面にポリエチレンテレフタレート製の不織布からなる支持体を貼り合わせた。次に、実施の形態1(図1)で説明した形状の切れ目のみ(切り込み線は設けない)を剥離シートに形成し、貼付剤とした。なお、貼付剤の横幅は100mm、縦の長さは70mmとした。
【0107】
(剥離及び貼付試験)
40〜75歳の健康成人10名(A〜J)に実施例1〜11及び比較例の貼付剤を貼付してもらい、貼付する際の「剥離シートの掴み易さ」、「貼付のし易さ」、「貼付後、剥がした剥離シートを平らなテーブルに置いたときの剥離シートの掴み易さ(片付け易さ)」について、比較例を基準にして以下の評価基準に従って採点してもらった。
評価基準は以下のとおりであった。
(1)剥離シートの掴み易さ
3:比較例に比べて非常に掴み易い、2:比較例に比べ掴み易い、1:比較例と同程度。
(2)貼付のし易さ
3:比較例に比べて非常に貼付し易い、2:比較例に比べ貼付し易い、1:比較例と同程度。
(3)テーブルに置いた剥離シートの掴み易さ(片付け易さ)
3:比較例に比べて非常に掴み易い、2:比較例に比べ掴み易い、1:比較例と同程度。
表1に、「剥離シートの掴み易さ(「掴み易さ」と表記)」、「貼付のし易さ(「貼付」と表記)」、「貼付後、剥がした剥離シートを平らなテーブルに置いたときの剥離シートの掴み易さ(「片付け」と表記)」についての、10人の採点の平均値を示す。なお、比較例の採点は1のため、平均値が1より大きい値であれば、比較例より優れていることを示している。
【0108】
【表1】

【0109】
以上のように本実施例によれば、剥離シートを非常に掴み易く支持体から容易に剥離することができ貼付し易く、さらに貼付後、剥がした剥離シートを平らなテーブルに置いたときの剥離シートも掴み易いため、後片付けも簡単にできることが明らかになった。
【0110】
(試験例2)
実施の形態1(図1)で説明した形状の貼付剤を実施例1と同様の方法で複数枚作成した。厚さ70μmの剥離シートに切り込み線を形成するときに、切り込み線を特定する寸法B:10mm、C:20mm、D:25mmは同じにして、寸法Aだけを変えた貼付剤を各10枚ずつ作成した。なお、寸法Aは(1)1mm、(2)2mm、(3)3mm、(4)5mmのものを作成した。また、貼付剤の横幅は100mm、縦の長さは70mmとした。
作成した(1)〜(4)の各10枚の貼付剤を上腕部に貼付する試験を行い、切り込み線から剥離シートの縁部分に裂け目が生じるかどうかを調べた。その結果は以下のとおりであった。
(1)の貼付剤:10枚中6枚は剥離シートの縁部分が裂けて切断された。4枚は切り込み線からわずかに裂け目が生じた。
(2)の貼付剤:10枚中2枚は剥離シートの縁部分が裂けて切断された。4枚は切り込み線からわずかに裂け目が生じた。2枚は切り込み線からの裂け目も生じなかった。
(3)の貼付剤:10枚中3枚は切り込み線からわずかに裂け目が生じた。7枚は切り込み線からの裂け目も生じなかった。
(4)の貼付剤:10枚中1枚は切り込み線からわずかに裂け目が生じた。9枚は切り込み線からの裂け目も生じなかった。
以上のように本試験例によれば、切れ目から切り込み線までの寸法Aが5mm以上あれば、剥離シートの縁部分の強度も十分確保できることが明らかになった。
【0111】
(試験例3)
実施の形態19(図26)で説明した形状の貼付剤を実施例1と同様の方法で複数枚作成した。切り込み線を形成するときに、切り込み線を特定する寸法A:5mm、B:20mmは同じにして、寸法C及びDを変えた貼付剤を各5枚ずつ作成した。なお、寸法C及びDは(1)64mm及び3mm、(2)60mm及び5mm、(3)50mm及び10mm、(4)40mm及び15mm、(5)24mm及び23mmのものを作成した。また、貼付剤の横幅は100mm、縦の長さは70mmとした。
作成した(1)〜(5)の各5枚の貼付剤を上腕部に貼付する試験を行い、綺麗に貼付できるかどかを調べた。その結果は以下のとおりであった。
(1)の貼付剤:5枚とも剥離シートが撓んで粘着層同士が貼り付き支持体が絡まり綺麗に貼付できなかった。
(2)の貼付剤:1枚は剥離シートが撓んで粘着層同士が貼り付き支持体が絡まり綺麗に貼付できなかった。4枚は時間を要したが何とか貼付することができた。
(3)の貼付剤:支持体に皺が生じたが、5枚とも貼付することができた。
(4)の貼付剤:支持体に若干皺が生じたが、5枚とも貼付することができた。
(5)の貼付剤:5枚ともスムーズに貼付することができた。
以上のように本試験例によれば、剥離シートの縁部から切り込み線までの寸法Dが20mm以上あれば、皺なく綺麗に貼付できることが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、プラスター剤(硬膏剤)等の貼付剤に関し、指が滑り難くしっかりと剥離シートを摘んで簡単に剥がすことができ剥離作業性に優れ、また既存の生産設備や材料を活用して製造でき新たな設備投資等をほとんど必要とせず、また剥離シートに突出した部分がないため、製造中に剥離シートが引っ掛って製造ラインの停止や不良品の発生等の問題が生じず生産性にも著しく優れ、さらに使用時に包装用袋から取り出す際にもスムーズに取り出せて取扱性にも優れた貼付剤を提供できる。さらに、粘着層に経皮吸収性薬物を含有させることにより、手指の力の弱った高齢者であっても自ら剥離シートを剥がして円滑に皮膚に貼付でき、一定量の有効成分をコントロールしながら持続的に経皮吸収させて投与できる貼付剤を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】実施の形態1における貼付剤の平面図
【図2】実施の形態1における貼付剤の底面図
【図3】実施の形態1における貼付剤の正面図
【図4】実施の形態1における貼付剤の左側面図
【図5】図1のX−X線における断面図
【図6】実施の形態1における貼付剤に指掛け孔を形成する状態を示す図
【図7】実施の形態1における貼付剤の切り込み線の舌片を折り曲げた状態を示す図
【図8】実施の形態1における貼付剤の皮膚患部への貼付作業の一例を示す図
【図9】実施の形態2における貼付剤の平面図
【図10】実施の形態3における貼付剤の平面図
【図11】実施の形態4における貼付剤の平面図
【図12】実施の形態5における貼付剤の平面図
【図13】実施の形態6における貼付剤の平面図
【図14】実施の形態7における貼付剤の平面図
【図15】実施の形態8における貼付剤の平面図
【図16】実施の形態9における貼付剤の平面図
【図17】実施の形態10における貼付剤の平面図
【図18】実施の形態11における貼付剤の平面図
【図19】実施の形態12における貼付剤の平面図
【図20】実施の形態13における貼付剤の平面図
【図21】実施の形態14における貼付剤の平面図
【図22】実施の形態15における貼付剤の平面図
【図23】実施の形態16における貼付剤の平面図
【図24】実施の形態17における貼付剤の平面図
【図25】実施の形態18における貼付剤の平面図
【図26】実施の形態19における貼付剤の平面図
【図27】実施の形態20における貼付剤の平面図
【図28】実施の形態21における貼付剤の平面図
【図29】実施の形態22における貼付剤の平面図
【図30】実施の形態23における貼付剤の平面図
【図31】実施の形態24における貼付剤の平面図
【図32】実施の形態25における貼付剤の平面図
【図33】実施の形態26における貼付剤の平面図
【図34】実施の形態27における貼付剤の平面図
【図35】実施の形態28における貼付剤の平面図
【図36】実施の形態29における貼付剤の平面図
【図37】実施の形態30における貼付剤の平面図
【図38】実施の形態31における貼付剤の平面図
【符号の説明】
【0114】
1,1a,1b,1c,1d,1e,1f,1g,1h,1i,1j,1k,1l,1m,1n,1o,1p,1q,1r,1s,1t,1u,1v,1w,1x,1y,1z,1α,1β,1γ,1δ 貼付剤
2 支持体
3 粘着層
4 剥離シート
5,6 縁部
7,7e,7g,7γ 切れ目
8,8b,8d,8e,8f,8h,8i,8j,8k,8l,8m,8n,8o,8p,8q,8s,8t,8u,8v,8w,8y 切り込み線
9,9b,9d,9e,9f,9h,9i,9j,9k,9l,9m,9n,9r,9s,9t,9u,9v,9y 主切り込み部
10,10b,10d,10e,10r,10s,10t,10u,10y 切れ目側延設部
11,11b,11d,11s 平行切り込み部
12,12b,12d,12e,12f,12h,12i,12j,12l,12m,12n,12r 舌片
13,13o,13p,13q,13w 縁部分
14 指掛け孔
15 皮膚患部
16,16β,16δ 折り線
17,17k,17n 折り線
18,18h,18l,18r,18t,18u,18v 外側延設部
19 折り線
20,20x 第一切れ目
21,20x 第二切れ目
22 帯部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、前記支持体の一面に積層された粘着層と、前記粘着層に剥離可能に付着され一方の縁部からこれに対向する他方の縁部に延びる切れ目が形成された剥離シートと、を備えた貼付剤であって、
前記剥離シートが、前記切れ目の左右に切り込み線により形成される指の一部を掛ける指掛け孔を備えていることを特徴とする貼付剤。
【請求項2】
支持体と、前記支持体の一面に積層された粘着層と、前記粘着層に剥離可能に付着された剥離シートと、前記剥離シートの一方の縁部からこれに対向する他方の縁部に間隔をあけて延びる第一切れ目と、前記第一切れ目と間隔をあけて前記剥離シートの一方の縁部からこれに対向する他方の縁部に延びる第二切れ目と、を備えた貼付剤であって、
前記剥離シートが、前記第一切れ目の左側と前記第二切れ目の右側に切り込み線により形成される指の一部を掛ける指掛け孔を備えていることを特徴とする貼付剤。
【請求項3】
前記切り込み線が、前記切れ目,前記第一切れ目,前記第二切れ目と間隔をあけて形成された主切り込み部と、前記主切り込み部から前記切れ目,前記第一切れ目,前記第二切れ目の方向に延設された切れ目側延設部と、を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の貼付剤。
【請求項4】
前記切り込み線が、前記主切り込み部から前記切れ目,前記第一切れ目,前記第二切れ目の反対側に延設された外側延設部を備えていることを特徴とする請求項3に記載の貼付剤。
【請求項5】
前記切り込み線が、前記切れ目側延設部の末端から前記切れ目,前記第一切れ目,前記第二切れ目と略平行方向に延設された平行切り込み部を備えていることを特徴とする請求項3又は4に記載の貼付剤。
【請求項6】
前記剥離シートが、前記切れ目側延設部又は前記平行切り込み部に延設された折り線を備えていることを特徴とする請求項3乃至5の内いずれか1に記載の貼付剤。
【請求項7】
前記粘着層が、経皮吸収性薬物を含有していることを特徴とする請求項1乃至6の内いずれか1に記載の貼付剤。
【請求項8】
前記経皮吸収性薬物が、抗炎症剤であることを特徴とする請求項7に記載の貼付剤。
【請求項9】
前記経皮吸収性薬物が、認知症治療剤であることを特徴とする請求項7に記載の貼付剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公開番号】特開2009−22730(P2009−22730A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282346(P2007−282346)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(591154577)共立薬品工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】