説明

資産管理システム、RFIDリーダ及びRFIDリーダの出力調整方法

【課題】本来読み取る必要のないRFIDタグの情報を読み取った場合に、RFIDリーダの送信パラメータを自動的に調整する資産管理システムを提供する。
【解決手段】複数の資産にそれぞれ取り付けたRFIDタグに対して電波を送信し、RFIDタグからの応答電波を受信するRFIDリーダと、予め設定したエリア内にあるRFIDタグの情報をRFIDリーダから受け取り管理を行う資産管理部と、エリア外のRFIDタグの情報が読み取られた場合にRFIDリーダの送信パラメータを調整し、送信パラメータの出力値を、エリア外に配置したRFIDタグからの情報が読み取れなくなる第1の出力値と、エリア内に配置したRFIDタグからの情報が読み取れなくなる第2の出力値の中間になるように設定するパラメータ調整部と、を具備する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグを利用して書類、備品等の資産を管理する資産管理システム、RFIDリーダ及びRFIDリーダの出力調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、企業(会社、店舗、銀行など)では、自身が保有する資産(パーソナルコンピュータ等の物品や書類等)が帳簿上の数量と一致するか否かを確認するために定期的に棚卸を行っている。棚卸は、資産が不正に持ち出されたり、紛失していないか等を確認するものである。近年では、資産管理のために各物品や書類等にRFID(Radio Frequency Identification)タグを取り付け、RFIDタグに各資産のID情報を記憶し、棚卸の際にRFIDタグの情報を非接触で読み取って、各物品や書類の有無等をチェックするようにしている。
【0003】
例えば管理対象となる物品或いは書類を入れるダンボール・袋などのホルダーや、物品自体にID情報を記憶したRFIDタグを貼り付け、タグリーダを備えたハンディタイブのリーダライタによって非接触でRFIDタグの情報を読み読取り、各物品の有無や、収納位置等を検知するようにしている。また各収納棚にどの物品やホルダーが保管されているかを予めデータベースに記憶しておき、読み取ったRFIDタグの管理情報とデータベースの記憶情報を照合して棚卸を行っていた。
【0004】
ところで、RFIDタグを物品やホルダーに取り付けて棚卸管理を行う場合、RFIDタグは目視できなくても、電波により同時に複数個のタグの情報を読み取ることができるため、設定したエリア以外にあるRFIDタグの情報も読み取ってしまうことがある。このため、本来読み取る必要のないRFIDタグの情報を読み取った場合は、目視にて再確認する等の作業が発生してしまう。
【0005】
このため、読み取る必要のない(読み取りたくない)RFIDタグの情報を読み取った場合は、担当者が設置現場に出向き、RFIDリーダからの電波出力を小さくしたり、アンテナの向き等を設置環境(周辺環境、タグの貼付状態、管理方法等)に応じて調整する必要があった。
【0006】
特許文献1には、複数の収納庫内にそれぞれICタグが付加された物品を収納し、各収納庫にそれぞれリーダ装置を設けた在庫管理システムが開示されている。この特許文献1の例では、各収納庫を互いに電磁的に遮蔽して、リーダ装置による読み取り機能が別の収納庫内の物品に及ばないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−264942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来、RFIDタグを物品やホルダーに取り付けて棚卸管理を行う場合、本来読み取る必要のないRFIDタグの情報を読み取ってしまうことがあった。このため担当者が設置現場に出向き、RFIDリーダからの電波出力を小さくしたり、アンテナの向き等を、設置環境に応じて調整する必要があった。また特許文献1のように物品の収納庫を個々に遮蔽するのも構成が複雑である。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みて成されたもので、本来読み取る必要のないRFIDタグの情報を読み取ってしまう場合に、RFIDリーダの送信パラメータを自動的に調整して、以後はリードエラーを低減できる資産管理システム、RFIDリーダ及びRFIDリーダの出力調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の本発明の資産管理システムは、管理対象の複数の資産にそれぞれ取り付けられ、前記複数の資産を特定する情報を記憶したRFIDタグに対して電波を送信し、前記RFIDタグからの応答電波を受信して前記RFIDタグの情報を読み取るRFIDリーダと、予め設定したエリア内にある前記資産のRFIDタグの情報を前記RFIDリーダから受け取り、前記各資産の管理を行う資産管理部と、前記設定したエリア外のRFIDタグの情報が読み取られた場合に前記RFIDリーダの送信パラメータを調整し、前記送信パラメータの出力値を、前記設定エリア外に配置した前記RFIDタグからの情報が読み取れなくなる第1の出力値と、前記設定エリア内に配置した前記RFIDタグからの情報が読み取れなくなる第2の出力値の中間になるように設定するパラメータ調整部と、を具備したことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4記載の本発明のRFIDリーダは、予め設定したエリア内にある複数のRFIDタグに対して電波を送信し、前記RFIDタグからの応答電波を受信して前記RFIDタグの情報を読み取る送受信部と、前記設定したエリア外のRFIDタグの情報が読み取られた場合に送信パラメータを調整し、前記送信パラメータの出力値を、前記設定エリア外に配置した前記RFIDタグからの情報が読み取れなくなる第1の出力値と、前記設定エリア内に配置した前記RFIDタグからの情報が読み取れなくなる第2の出力値の中間になるように設定する送信パラメータ調整部と、を具備したことを特徴とする。
【0012】
また、請求項7記載の本発明のRFIDリーダの出力調整方法は、管理対象の複数の資産にそれぞれ前記複数の資産を特定する情報を記憶したRFIDタグを取り付け、予め設定したエリア内にある前記複数のRFIDタグに対してRFIDリーダから電波を送信し、前記RFIDタグからの応答電波を前記RFIDリーダで受信して前記RFIDタグの情報を読み取り、前記設定したエリア外のRFIDタグの情報が読み取られた場合に、前記RFIDリーダの送信パラメータを調整し、前記送信パラメータの出力値を、前記設定エリア外に配置した前記RFIDタグからの情報が読み取れなくなる第1の出力値と、前記設定エリア内に配置した前記RFIDタグからの情報が読み取れなくなる第2の出力値の中間になるように設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、RFIDタグを使用した資産管理システムにおいて、読み取る必要のないRFIDタグが読み取られた場合は、RFIDリーダの送信パラメータを調整することにより、自動的に読み取れないように設定することができ、リードエラーを低減して効率よく管理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る資産管理システムを示す構成図。
【図2】一実施形態に係る資産管理システムの構成を示すブロック図。
【図3】RFIDリーダの出力調整の動作を示す説明図。
【図4】RFIDリーダの出力調整の他の動作を示す説明図。
【図5】RFIDリーダの出力調整の準備動作を示すフローチャート。
【図6】RFIDリーダの出力調整動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の一実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は本発明の一実施形態に係る資産管理システムの構成図である。この実施形態の資産管理システムは、保管棚100,101に保管された物品・書類等の資産10,11に取り付けられたRFIDタグ(無線タグ)20,21と、RFIDタグ20,21の情報を読み取るハンディタイプのRFIDリーダ30(以下ハンディターミナル30と呼ぶ)を含む。
【0017】
ハンディターミナル30は、RFIDタグ20,21と無線で通信可能であり、ハンディターミナル30からRFIDタグ20,21に対して電波を発信し、RFIDタグ20,21からの応答電波をハンディターミナル30で読み取る。また、ハンディターミナル30は、パーソナルコンピュータ等の上位システム40に接続している。ハンディターミナル30は、表示部301と各種の入力キーを含む操作部302を有し、ユーザ(操作者)によって操作される。
【0018】
保管棚100,101は、例えば多段の保管場所を有し、各段に物品・書類等の資産を収納したホルダー10,11を保管している。尚、資産としては、パーソナルコンピュータ、ソフトウェア、スキャナ、電話機等の物品のほかに、各種の書類(契約書、設計書、企画書など)も含まれる。
【0019】
以下の説明では、特定のホルダー10,11に資産である書類や物品を保管し、各ホルダー10,11にそれぞれRFIDタグ20,21を貼り付けて管理する例を説明する。なお、説明の便宜上、保管棚100にあるホルダー10に取り付けたRFIDタグを符号20で示し,保管棚101にあるホルダー11に取り付けたRFIDタグを符号21で示しているが、RFIDタグ20と21は同じ構成である。またホルダー10,11に、RFIDタグ20,21を貼り付けた例を示しているが、物品個々にRFIDタグを貼り付けたり、書類1枚毎にRFIDタグを貼り付けてもよい。また保管棚100,102は、管理する資産の数に応じて増減する。
【0020】
図2は、ハンディターミナル30及び周辺装置の構成を示すブロック図である。ハンディターミナル10は、主制御部を構成するCPU31(Central Processing Unit)と、ROM32(Read Only Memory)、RAM33(Random Access Memory)を含む記憶部と、上位システム40(パーソナルコンピュータ:PC)とデータ通信を行う通信部34を有する。また、RFIDタグ20,21との間で通信を行うため、RFID制御部35、送信制御部36、受信制御部37、サーキュレータ38及びアンテナ39を有している。
【0021】
RFID制御部35は、CPU31の制御のもとに送信制御部36及び受信制御部37を制御するもので送信パラメータの調整も行う。送信制御部36は、RFID制御部35からの高周波信号をデジタルデータで変調してサーキュレータ38に出力する。サーキュレータ38は、送信制御部36からの信号をアンテナ39に出力し、アンテナ39からはサーキュレータ38の出力信号に応じた電波を発信する。なお、送信制御部36及び受信制御部37は、送受信部を構成する。
【0022】
一方、ホルダー10,11に取り付けたRFIDタグ20,21は、アンテナ39から発信された電波を受信すると、ハンディターミナル30に対して応答電波を発信する。RFIDタグ20,21からの応答電波は、アンテナ39で受信される。アンテナ39で受信した応答電波は、サーキュレータ38に入力され、受信制御部37で受信処理される。受信制御部37は、入力された信号を増幅した後ベースバンド信号に変換し、このベースバンド信号を復調してデジタルデータに変換し、RFID制御部35に出力する。ハンディターミナル30は、図1で示す表示部301と操作部302を備えている。
【0023】
またハンディターミナル30は、上位システムであるPC40に接続されている。PC40は、内蔵した管理プログラム401にしたがって資産管理(例えば棚卸)を実行するもので、資産管理部を構成する。さらにPC40はデータベース50に接続している。データベース50には、棚卸用の管理情報が記憶されている。例えば管理棚100,101の設置場所、管理部門、担当者、各棚に保管されている資産名、各RFIDタグ20,21のID情報などが記憶されている。尚、データベース50とPC40は、別体として構成してもよいが、データベース50をPC40内に組み込んでもよい。
【0024】
棚卸を実行する際には、保管棚100,101の所定のエリアに保管されたホルダー10,11に対してハンディターミナル30から電波を送信する。各ホルダー10,11に取り付けられたRFIDタグ20,21は、ハンディターミナル30からの電波を受信するとハンディターミナル30に対して、応答電波を送信する。ハンディターミナル30は、受信した電波に含まれるRFIDタグ20,21の固有のID情報を読み取り、PC40に送る。即ち、RFIDタグ20,21にはそれぞれホルダー10,11(資産)を特定する情報(ID情報)が記憶されており、ハンディターミナル30からの読み取り要求に応じてID情報を含む信号を返送する。
【0025】
PC40は、データベース50に格納された管理情報とRFIDタグ20,21から送信されたID情報を照合して、保管棚100,101の所定の位置(段)にホルダー10,11が保管されているか否かをチェックする。つまりデータベース50には、予めどの保管棚100,101の何段目にどのホルダー10,11が保管されているかをRFIDタグ20,21のID情報を含めて格納しているため、ハンディターミナル30が読み取った情報をPC40で受取り、データベース50に記憶されている管理情報と比較することで、各ホルダー10,11が正規の位置にあるか否かを判断して、管理対象の資産の有無を確認する。
【0026】
ところで、このような資産管理システムでは、保管棚の数や段数が多くなると、一度に全てのホルダー10,11の棚卸を実行することが困難であるため、例えば保管棚100の第1段目、第2段目…のように所定のエリアに分けて棚卸するのが一般的である。つまり、ハンディターミナル30からの電波強度や周波数、指向性等を調整することでエリアを指定することができ、幾つかのエリア毎に棚卸を実施することができる。
【0027】
しかしながら、所定のエリア(例えば、保管棚100の1段目にあるホルダー10)を指定してRFIDタグ20の情報を読み取ろうとしても、指定エリア外(例えば奥の保管棚101にあるホルダー11)のRFIDタグ21の情報を読み取ることがあり、棚卸の照合にズレを生じることがある。
【0028】
このように指定エリア外にあるRFIDタグのID情報を読み取ってしまうことを、以下の説明ではリードエラーと呼ぶ。例えば、ホルダー10が密集して配置されている場合、ハンディターミナル30からの電波送信の電力を強くする必要があるため、エリア外(保管棚101)にあるRFIDタグ21が反応することは稀にある。
【0029】
或いは隣の保管棚に限らず、高さ位置の異なる段にあるホルダーのタグデータを読み取ってしまう。このため、本来読み取る必要のないRFIDタグの情報を読み取った場合は、リードエラーとなり、目視にて再確認する作業が発生してしまい、棚卸効率が低下してしまう。特に何万件もの資産について棚卸する場合は、再確認作業に多くの時間を費やすことになる。
【0030】
本発明の実施形態は、このようなリードエラーに対処したものである。即ち、エリア外のRFIDタグの情報を読み取ってしまった場合は、そのタグの情報を読み取らないように、ハンディターミナル(RFIDリーダ)30は、自動で出力パラメータを調整する機能を有する。以下、出力パラメータの調整動作を図3、図4を参照して説明する。
【0031】
例えば、RFIDタグ20が指定したエリア内にあり、RFIDタグ21がエリア外にあり、エリア外のRFIDタグ21の情報を読み取ってしまった場合を想定する。この場合、先ずは図3に示すように、本来読み取りたいRFIDタグ20をハンディターミナル30で読み取り可能なエリア内の位置に配置し、読み取りたくないRFIDタグ21をエリア外の位置に配置する。そして、ハンディターミナル30の操作部302に備えた自動調整ボタンを押すと、アンテナ39からRFIDタグ20,21に対して電波が送信される。
【0032】
次にハンディターミナル30からの送信パラメータ、例えば電波出力が段階的に変更され、図4で示すように、読みたいRFIDタグ20の情報が読み取れ、且つ、読みたくないRFIDタグ21の情報が読み取れなくなる電波出力を見極め、見極め値に基づいて送信パラメータが設定される。図4は、ハンディターミナル30からの電波出力を徐々に下げて行き、RFIDタグ20の情報だけが読み取れ、RFIDタグ21の情報が読めなくなった状態を示している。
【0033】
実際には、RFIDタグ21の情報が読み取れなくなる出力を上限値とし、RFIDタグ20の情報が読み取れなくなる出力を下限値として、その上限値と下限値の中間値、或いは中間値よりもやや下限値側に出力を設定する。設定された送信パラメータ(電波出力等)は、ハンディターミナル30内の記憶部(例えばRAM33)に保管され、次に更新されるまで設定値を保持する。
【0034】
この設定時に使用する読み取りたくないタグ21は、受信性能が良いタグを使用し、読み取りたいタグ20は、受信性能がやや劣るタグを用いると良い。またアンテナ39は、使用するRFIDタグ用に意図的に設計したものが望ましい。また管理対象物品に貼り付けた時の特性変動を考慮する必要がある。例えばRFIDタグを紙に貼り付けた場合と、プラスチックに貼り付けた場合などでも特性変動が生じるため、RFIDタグ20,21は、管理対象物(ホルダー10,11)に実際に貼り付けて調整するのが望ましい。さらに鉄筋の部屋、木造の部屋等によって電波の反射特性が異なるため、RFIDタグ20,21の設置環境も実際に使用する環境内にて調整するのがよい。
【0035】
尚、送信パラメータとしては、上述した電波出力以外に、ハンディターミナル30からの送信周波数を変えたり、Q値(一度に読み取り可能なタグの枚数を示す値)や、DR(TRリンク周波数)、M(符号周期)等を変えてもよい。実際に送信パラメータの調整に強い影響を与えるのは、電波出力又は送信周波数であるため、電波出力又は送信周波数を調整するのがよい。
【0036】
以下、本発明の実施形態における出力パラメータの調整動作を、図5、図6のフローチャートを参照して具体的説明する。なお、以下の説明では、送信パラメータの調整例としてハンディターミナル30の電波出力を変更する例を述べる。またRFIDタグ20,21を単にタグ20,22と呼ぶこともある。
【0037】
図5は、パラメータ調整の準備段階を示すフローチャートであり、先ずステップS1では、図3で示すように、読ませたくない位置にタグ21を置く。つまり、読み取りたくないRFIDタグ21をエリア外の位置に配置する。ステップS2では、読ませたい位置にタグ20を置き、本来読み取りたいRFIDタグ20を読み取り可能なエリア内の位置に配置する。
【0038】
ステップS3では、ハンディターミナル30の操作部302に備えた自動調整ボタンを押すことで出力自動設定が開始され、ステップS4では、RFID制御部(送信パラメータ調整部)35から読み取り要求のコマンドが送信され、図6のステップS5に移行する。
【0039】
図6は、出力パラメータの調整動作を示すフローチャートであり、ステップS5では、ハンディターミナル30の電波出力を上限値、即ちRFIDタグ21の情報が読み取れなくなると想定される出力値に設定し、ステップS6でタグ20,21に向けて電波を送信する。ステップS7では、タグ21からの応答電波の有無をもとにタグ21の情報が読めたか否かを判断する。
【0040】
タグ21の情報が読めた場合は、ステップS8に進み、一旦送信を停止して次のステップS9で現出力値よりも所定値だけ出力を下げ(−)、ステップS6に戻って電波を送信する。以下、S7、S8,S9、S6を繰り返し、ステップS7でタグ21の情報が読めなくなるまで現出力値を段階的に下げていく。ステップS7でタグ21の情報が読めなくなったと判断すると、ステップS10で一旦送信を停止し、ステップS11ではタグ21の情報が読めなくなったときの現出力値(D1)を一時保管する。
【0041】
次にステップS12では、現出力値(D1)よりも所定値だけ出力を下げ(−)、ステップS13で電波を送信する。ステップS14では、タグ20からの応答電波の有無をもとにタグ20の情報が読めたか否かを判断する。タグ20の情報が読めた場合は、ステップS15に進み、一旦送信を停止して次のステップS16で現出力値よりも所定値だけ出力を下げ(−)、ステップS13に戻って電波を送信する。以下、S14、S15,S16、S13を繰り返し、ステップS14でタグ20の情報が読めなくなるまで現出力値を段階的に下げていく。
【0042】
ステップS14でタグ20の情報が読めなくなったと判断すると、ステップS17で送信を停止し、ステップS18では、タグ20の情報が読めなくなったときの現出力値(D2)を一時保管する。そしてステップS19では、ステップS11とステップS18で保管した出力値D1,D2を基に最適値を算出する。ここでは、例えば(D1+D2)/2を最適値として算出し、D1とD2の中間の出力値に設定し、ステップS20で設定値を保存して終了する。
【0043】
こうして、ハンディターミナル30からの電波出力を段階的に変更し、図4で示すように、読みたいRFIDタグ20の情報が読み取れ、且つ、読みたくないRFIDタグ21の情報が読み取れなくなる電波出力に設定する。例えば、ステップS11の上限値D1とステップS18の下限値D2の中間値に設定する。或いは中間値よりもやや下限値側に出力を設定すると、読みたくないRFIDタグ21の情報は確実に読み取れなくなる。
【0044】
尚、以上の説明では、ハンディターミナル30から電波出力を段階的に変更する例を述べたが、周波数を変える場合も同様に徐々に変更して最適周波数を求めることができる。
【0045】
以上説明した本発明の実施形態によれば、資産管理(例えば棚卸)において指定エリア以外のタグの情報が読み取られた場合は、送信パラメータを調整することにより、読み取れなくすることができるため、リードエラーを低減して効率よく管理を行うことができる。
【0046】
また本発明の実施形態は、以上の説明に限定されることなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0047】
100…保管棚
10…ホルダー(管理対象資産)
20…RFIDタグ
30…ハンディターミナル(RFIDリーダ)
31…CPU
35…RFID制御部(パラメータ調整部)
36…送信制御部
37…受信制御部
38…サーキュレータ
39…アンテナ
40…PC(資産管理部)
50…データベース
301…表示部
302…操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象の複数の資産にそれぞれ取り付けられ、前記複数の資産を特定する情報を記憶したRFIDタグに対して電波を送信し、前記RFIDタグからの応答電波を受信して前記RFIDタグの情報を読み取るRFIDリーダと、
予め設定したエリア内にある前記資産のRFIDタグの情報を前記RFIDリーダから受け取り、前記各資産の管理を行う資産管理部と、
前記設定したエリア外のRFIDタグの情報が読み取られた場合に前記RFIDリーダの送信パラメータを調整し、前記送信パラメータの出力値を、前記設定エリア外に配置した前記RFIDタグからの情報が読み取れなくなる第1の出力値と、前記設定エリア内に配置した前記RFIDタグからの情報が読み取れなくなる第2の出力値の中間になるように設定するパラメータ調整部と、
を具備したことを特徴とする資産管理システム。
【請求項2】
前記パラメータ調整部は、ユーザ操作に応答して前記送信パラメータの出力値を段階的に可変して前記第1の出力値と前記第2の出力値の中間値を自動的に算出し、前記送信パラメータを、前記中間値又は前記中間値よりも前記第2の出力値側に設定することを特徴とする請求項1記載の資産管理システム。
【請求項3】
前記パラメータ調整部は、前記送信パラメータとして、前記RFIDリーダからの電波出力又は周波数を可変することを特徴とする請求項1記載の資産管理システム。
【請求項4】
予め設定したエリア内にある複数のRFIDタグに対して電波を送信し、前記RFIDタグからの応答電波を受信して前記RFIDタグの情報を読み取る送受信部と、
前記設定したエリア外のRFIDタグの情報が読み取られた場合に送信パラメータを調整し、前記送信パラメータの出力値を、前記設定エリア外に配置した前記RFIDタグからの情報が読み取れなくなる第1の出力値と、前記設定エリア内に配置した前記RFIDタグからの情報が読み取れなくなる第2の出力値の中間になるように設定する送信パラメータ調整部と、
を具備したことを特徴とするRFIDリーダ。
【請求項5】
前記送信パラメータ調整部は、ユーザ操作に応答して前記送信パラメータの出力値を段階的に可変して前記第1の出力値と前記第2の出力値の中間値を自動的に算出し、前記送信パラメータを、前記中間値又は前記中間値よりも前記第2の出力値側に設定することを特徴とする請求項4記載のRFIDリーダ。
【請求項6】
前記送信パラメータ調整部は、前記送信パラメータとして、電波出力又は周波数を可変することを特徴とする請求項4記載のRFIDリーダ。
【請求項7】
管理対象の複数の資産にそれぞれ前記複数の資産を特定する情報を記憶したRFIDタグを取り付け、
予め設定したエリア内にある前記複数のRFIDタグに対してRFIDリーダから電波を送信し、前記RFIDタグからの応答電波を前記RFIDリーダで受信して前記RFIDタグの情報を読み取り、
前記設定したエリア外のRFIDタグの情報が読み取られた場合に、前記RFIDリーダの送信パラメータを調整し、前記送信パラメータの出力値を、前記設定エリア外に配置した前記RFIDタグからの情報が読み取れなくなる第1の出力値と、前記設定エリア内に配置した前記RFIDタグからの情報が読み取れなくなる第2の出力値の中間になるように設定することを特徴とするRFIDリーダの出力調整方法。
【請求項8】
前記パラメータ調整は、ユーザ操作に応答して前記送信パラメータの出力値を段階的に可変して前記第1の出力値と前記第2の出力値の中間値を自動的に算出し、前記送信パラメータを、前記中間値又は前記中間値よりも前記第2の出力値側に設定することを特徴とする請求項7記載のRFIDリーダの出力調整方法。
【請求項9】
前記パラメータ調整は、前記送信パラメータとして、前記RFIDリーダからの電波出力又は周波数を可変することを特徴とする請求項7記載のRFIDリーダの出力調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−60042(P2011−60042A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209720(P2009−209720)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】