質量分析器における改良された感度のための方法および装置
質量分析器においては、質量解析器による質量解析に先行して、イオン源からのイオンは、送出のために入口開口を通過して真空チャンバに入る。入口開口の構成は、音速開口部または音速ノズルを形成し、既定の真空チャンバ圧を用いて、超音速自由ジェット膨張は、バレルショックおよびマッハディスクの範囲内にイオンを閉じ込める真空チャンバにおいて生成される。一旦形成されると、超音速自由ジェット膨張を実質的に半径方向に閉じ込めるための既定の断面を有するイオンガイドは、真空チャンバを介して送出のためにイオンを集中し得る。これは、イオン源と質量解析器との間のイオン送出を効果的に改善する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2005年12月22日に出願された米国一部継続特許出願に対する優先権を主張し、その出願番号はまだ割り当てられておらず、その出願は、2005年1月10日に出願された米国特許出願第11/032,376号の一部継続である。
【0002】
(技術分野)
本教示は、サンプルにおけるイオンの検出のためにイオンを送るための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
(序文)
質量分析器のための1つの用途は、サンプル分子がイオン化のステップにおいて、イオンに変換され、次いで、質量分離および検出のステップにおいて、質量解析器によって検出される、生物学的なサンプルの研究に向けられる。イオン化技術の多様なタイプは、現在公知であり、一般的に公称の大気圧の領域においてイオンを生成する。質量解析器は、RF/DCイオンガイドが質量電荷比(m/z)値の限られた占有の範囲内でイオンを送るために使用される四重極の解析器、大きな磁場がm/zに従ってイオンをそらせるためにイオンの動きに垂直に力を及ぼす扇形磁場解析器および各イオンの飛行時間を測定することがm/zの決定を可能にする飛行時間(「TOF」)解析器であり得る。質量解析器は、隣接する圧力分離を提供するチャンバ間開口を備える1つ以上の個別的にポンプされる真空チャンバにおける配置を一般的には必要とする低圧環境で一般に動作する。イオン化ステップと質量解析器の真空チャンバとの間に配置される1つ以上の開口は、一般に、イオンを質量解析器に送るためのインターフェースを定義する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(概要)
上述を考慮して、本教示は、サンプルにおけるイオンの検出のためにイオンを送るための装置を提供する。該装置は、高圧領域において、例えば、大気圧でサンプルからイオンを生成するためのイオン源および該イオンを受け取るための真空チャンバを備えている。該真空チャンバは、高圧領域から真空チャンバへイオンを通過させるための入口開口を有する。異なる圧力と関連して、入口開口の直径は、既定のバレルショックおよびマッハディスクを有する、超音速自由ジェット膨張を提供するように寸法を合わせられ、その結果、イオンを真空チャンバ内に閉じ込める。該装置はまた、所定の断面を有する少なくとも1つのイオンガイドを備え、その所定の断面は、超音速自由ジェット膨張を半径方向に閉じ込めるように寸法を合わせられ、その結果、実質的にすべてのイオンを捕捉する。RF電源によって供給されるRF電圧がイオンガイドに印加される際、超音速自由ジェットにおけるイオンが、出口開口に集束され向けられるように、該イオンガイドは、入口開口と出口開口との間のチャンバに位置付けられ得る。多様な実施形態において、入口開口は、音速ノズルまたは音速開口部を備えているタイプのものであり得、イオンガイドは、多極イオンガイドであり得る。
【0005】
本教示はまた、サンプルにおけるイオンの検出のためにイオンを送るための方法を提供する。該方法は、高圧領域において、例えば、大気圧でサンプルからイオンを生成するイオン源と、イオン源の下流に配置され、該イオン源を受け取る真空チャンバとを提供することを含む。該真空チャンバは、高圧領域から真空チャンバへイオンを通過させるための入口開口が提供されている。異なる圧力と関連して、該方法は、既定のバレルショックおよびマッハディスクを有する超音速自由ジェット膨張を提供するために、入口開口の直径の寸法を合わせることを含む。イオンは、入口開口を通過し、真空チャンバで生成された超音速自由ジェット膨張によって閉じ込められる。該方法は、所定の断面を有する少なくとも1つのイオンガイドを提供することをさらに含み、その所定の断面は、超音速自由ジェット膨張を半径方向に閉じ込めるように寸法を合わせられ、その結果、実質的にすべてのイオンを捕捉する。RF電源によって供給されるRF電圧がイオンガイドに印加される際、超音速自由ジェットにおけるイオンが、出口開口に集束され向けられるように、該イオンガイドは、入口開口と出口開口との間のチャンバに位置付けられ得る。
【0006】
本教示の上述および他の特徴は、本明細書中に示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
当業者は、以下に記載される図面は、例示目的のためだけであることを理解する。該図面は、決して本教示の範囲を制限することを意図されていない。
【0008】
図面においては、類似した参照番号は、類似した部分を示す。
【0009】
(多様な実施形態の説明)
多様なエレメントを参照して本教示に関連して使用される「1つ(a)」または「1つ(an)」という句は、文脈が格別に明示しない場合には、「1つ以上」または「少なくとも1つ」を含む。最初に図1が参照され、図1は、参照番号20によって概して示される質量分析器を概略的に示す。質量分析器20は、対象であるサンプル(図示されず)からイオン30を提供するためのイオン源22を備えている。イオン源22は、背景ガス(図示されず)を含み、概して24に示される高圧P0領域に配置され得る一方で、イオン30は、矢印38によって示される方向に、真空チャンバ26に向かって進む。該イオンは、入口開口28を介してチャンバ26に入り、入口開口28でイオンがガスの超音速流によって閉じ込められ、ガスの超音速流は、以下に記載されるように超音速自由ジェット膨張34として概して参照される。真空チャンバ26は、入口開口28から下流に位置する出口開口32と、開口28および32の間に位置し、超音速自由ガスジェット34からのイオン30を半径方向に閉じ込め、集中させ、送るイオンガイド36とをさらに備えている。図1の出口開口32は、チャンバ間開口として示され、チャンバ間開口は、第一の真空チャンバ26としても知られる真空チャンバ26を、次の、または第二の真空チャンバ45から分離し、第二の真空チャンバ45は、以下に記載されるように、追加のイオンガイドまたは質量解析器44を収納し得る。本教示の一般的な質量解析器44は、四重極質量解析器、イオントラップ質量解析器(線イオントラップ質量解析器を含む)および飛行時間質量解析器を含み得る。真空チャンバ26における圧力P1は、ポンプ42によって維持され得、電源40は、公知の方法でRF電圧を提供するためにイオンガイド36に接続され得る。イオンガイド36は、参照文字D(図5にもまた図示される)によって示される直径を有する内接円によって特徴付けられる所定の断面を有する一組の四極ロッドであり得、内部の体積37を定義するようにイオンガイド36の軸方向の長さに沿って伸びている。イオン30は、最初に開口部カーテンガス領域を通過し得、その開口部カーテンガス領域は、一般に当業技術に公知であり、脱溶媒を実行し、望まれない微粒子が真空チャンバに入るのを遮断するが、明瞭性のために、これは、図1に示されない。
【0010】
どのようにイオン30が、半径方向に閉じ込められ、集中させられ、入口開口28と出口開口32との間に送られるかを理解する助けとするために、ここで図2を参照する。公称の高圧P0領域から有限の背景圧力P1の領域へのガスの断熱膨張は、超音速自由ジェット34の仕切られない膨張(超音速自由ジェット膨張としてもまた公知である)を形成することが、適切に特徴付けられている。入口開口28は、音速開口部または音速ノズルを備え、開口部またはノズルを介してのガスの膨張は、音の局所的な速さに対する流れの速さの比に基づいて2つの別個の領域に分割され得る。高圧P0領域において、開口部またはノズルの近くの流れの速さは、音の局所的な速さよりも低い。この領域においては、流れは亜音速と考えられ得る。ガスが入口開口28から背景圧力P1領域へと膨張するにつれて、流れの速度は、増加し、一方、音の局所的な速さは、減少する。流れの速さが音の速度に等しい境界は、音速面と呼ばれる。この領域は、超音速領域またはより一般的には以下に記載されるように超音速自由ジェット膨張と呼ばれる。開口部の形は、音速面の形に影響を及ぼす。開口部28が薄いプレートとして定義され得る場合には、音速面は、P1圧力に向かって曲げられ得る。理想的に形成されたノズルは、図12で示されるものと類似する合流分流ダクトを従来備え、そのノズルの使用は、平らで、ノズルの出口にある音速面を生成する。合流部分はまた、図2に示されるチャンファ31の表面によって便利に定義され得る一方で、真空チャンバの体積は、分流部分を定義し得る。合流分流ダクトの最小限エリアの位置は、しばしばスロート29と呼ばれ、本教示においては、最小限エリアまたはスロート29の直径は、図2にD0として示される。スロート29を介して通過するガスの速度は、「詰まる」または「制限される」ようになり、直径D0を通るガスの絶対的な圧力比が0.528以下である際には、音速面を生成して、音の局所的な速さに到達する。超音速自由ジェット34においては、ガスの密度は、単調に減少し、高圧領域24からのガスのエンタルピーは、方向付けられた流れに変換される。ガスの運動温度は、低下し、流れの速さは、音の局所的な速さを超える(それゆえに超音速膨張という用語である)。図2に示されるように、該膨張は、同心のバレルショック46を備え、マッハディスク48として公知である垂直ショックによって終了される。イオン30が入口開口部28を介して真空チャンバ26に入るときに、イオンは、超音速自由ジェット34に閉じ込められ、バレルショック46の構成は、ガスおよびイオンが膨張する領域を定義するので、入口開口部28を介して通過するイオン30の事実上すべては、バレルショック46の領域に閉じ込められる。マッハディスク48の下流のガスは、再膨張して、一連の1つ以上の続いて起こるバレルショックおよびマッハディスクを形成し、それらは、最初のバレルショック46および最初のマッハディスク48と比較してあまりよく定義されない。しかしながら、続いて起こるバレルショックおよびマッハディスクに閉じ込められたイオン30の濃度は、最初のバレルショック46および最初のマッハディスク48に閉じ込められたイオン30と比較すると、それ相応に減少され得る。
【0011】
バレルショックの直径Dbであって、図2に示される最も幅のある部分に一般的に位置するバレルショックの直径Dbと、マッハディスク48のダウンストリームの位置Xmであって、入口開口28から、より正確には、音速面を生成する入口開口28のスロート29から測定された、マッハディスク48のダウンストリームの位置Xmとによって、超音速自由ジェット膨張34は一般に特徴付けられ得る。DbおよびXmの大きさは、入口開口のサイズ、すなわち、直径D0、イオン源P0における圧力、および、真空チャンバにおける圧力P1から計算され得え、例えば、deLeeuw,J.H.,Rarefied Gas Dynamicsの編集者、Fourth Symposium IV、volume2、Academic Press、New York、1966年、p.84におけるAshkenas、H.およびSherman,F.S.による論文から計算され得る。
【0012】
【数1】
ここに、P0は、入口開口28の上流にある領域24のイオン源22付近の圧力であり、P1は、上述されたように開口28の下流の圧力である。例えば、入口開口28の直径が約0.6ミリメートルであり、適切なポンピングの速さにすることにより、下流の真空チャンバ26における圧力が約2.6トルであり、イオン源22の領域における圧力が760トル(大気)であるならば、式(1)からバレルショックの所定の直径Dbが4.2ミリメータであり、式(2)から計算されるように、マッハディスク48が入口開口28のスロート29から約7ミリメータ下流に位置する。
【0013】
超音速自由ジェット34から、質量解析器44を含む第二の真空チャンバ45へ、イオンをサンプリングする最も一般的な先行技術の方法の1つは、図3に示されるスキマー50を通すことである。該スキマー50の頂点52は、質量解析器44へイオン30をサンプリングし、通過させるために、流体力学で周知である個別ガス濃度を有することによって特徴付けられる区間において、マッハディスク48の上流または下流に位置付けられ得る。図3においては、スキマー50は、マッハディスク48の軸方向の上流にあるイオンをサンプリングする一方で、他のものは、超音速自由ジェット34に直交して、マッハディスク48の下流にスキマーを位置付けた。図3においては、マッハディスク48の一部分は、示されるが、流体力学で一般に知られるように、バレルショックは、スキマーに取り付けられ得、それゆえに、図示されるものとは異なる変更された輪郭を生じる。マッハディスク48の上流に位置付けされようと下流に位置付けされようと、先行技術のスキマーの構成は、超音速自由ジェット膨張34から利用可能なイオン30の一部分だけをサンプリングする。図示されないが、スキマー50に向かってできるだけ多くのイオンを引き込もうとするために、入口開口28とスキマー頂点52との間に静電界(静電気の)を印加することが一般的である。しかしながら、質量解析器44が適切に機能するために必要とされるほど低く、次のチャンバ45の圧力を保つために、スキマー頂点52は、相対的に小さい直径に維持される必要がある。これは、電界を印加したとしても、必ずしもイオン30のすべてが、スキーマ50を通してサンプリングされ得るとは限らないことを意味し、それは、入口開口28の直径が、イオン源22からより多くのイオン30を通過させるために、増加されるならば、そのときは、超音速自由ジェット34内の圧力は、増加され、イオン30を静電気的に集中させることをより困難にする。
【0014】
これらのすべての要因は、単純に入口開口の直径を増加することによって先行技術の入口開口スキマー構成のサンプリングシステムにおける感度を増加することをより困難にする。ある点までは成功しても、入口開口の直径を増加すること(必要とされる低圧に真空チャンバの圧力を維持するために真空ポンプのサイズの付随的な増加を伴う)は、結局は、真空ポンプのコストおよびサイズがあまりに大きくなりすぎ、商業的には成功しないので、実際的な解決法ではない。
【0015】
上述の先行技術の構成のすべてにおいて、分析されるべきイオンは、入口開口28とイオンガイド36との間の入口の縁をなす場の領域を通過するために集中することを必要とし、それゆえに、圧力または濃度が相対的に大きい領域内にの静電気的な集中手段を必要とし、それは、感度において潜在的な損失につながる。さらに、イオンが、イオンガイドに入る前に、スキマーなどの別の制限的な開口を通過することを必要とするならば、イオンガイドに到達する前に損失し得、結果としてさらなる感度の減少を生じる。
【0016】
本出願人は、入口開口28のスロート29から下流に膨張する超音速自由ジェット膨張34およびバレルショック構造46は、イオン30が適切にイオンガイド36の体積37範囲内に存在するまで、イオン30を輸送し、イオン30の最初の膨張を閉じ込める効果的な方法であり得ることを認識する。ガスおよびイオン30のすべてが、バレルショック46内およびバレルショック46付近の超音速自由ジェット34の領域に閉じ込められる事実は、イオンガイド36が自由ジェット膨張34のすべて、またはほとんどすべてを受け入れるように設計されるならば、イオン30の大きな部分は、イオンガイド36の体積37に最初は制限され得ることを意味する。さらに、マッハディスク48がイオンガイド36の体積37の範囲内にあり得るような一定の位置にイオンガイド36が位置付けされ得ることを出願人は、認識する。イオンガイド36を、入口開口28の下流で、かつ自由ジェット膨張34の実質的にすべての直径Dbを含む位置に配置することによって、より大きな入口開口28が、使用され得、従って、より高い真空チャンバ26の圧力P1が用いられ得、同時に開口28と開口32との間のイオン30を半径方向に閉じ込め、集中させることにおいて高い効率を維持し、それによって、より多くのイオンを、第二の真空チャンバ45へ送ることを可能にする。したがって、適切なRF電圧、イオンガイドの大きさおよび真空圧を用いて、イオンガイド36は、半径方向への閉じ込めを提供するだけではなく、イオンガイド36はまた、イオン30を集中させ得る一方で、イオン30は、入口開口28と出口開口32との間の内部の体積を横断し、例えば、DouglasおよびFrenchによる米国特許第4,963,736号(736号特許)に記述されているとおりであり、736号特許の内容は、本明細書中に参照として援用される。本教示において、イオンガイド36の機能は、イオンの半径方向への閉じ込めおよび集中を提供するように記載され得るが、イオンガイド36がイオン集中効果を実行することは不可欠ではない。しかしながら、入口開口28と出口開口32との間のより効果的なイオン送出が、イオンガイド36の集中能力を用いて達成され得る。
【0017】
上述された実施例において、そこでは、バレルショック46の直径Dbが約4.2ミリメータであり、入口開口28のスロートから測定されたマッハディスク48の位置Xmが約7ミリメータであり、超音速自由ガスジェット34におけるすべて、または実質的にすべての閉じ込められたイオン30が、イオンガイド36の内部の体積37の範囲内に含まれるために、イオンガイド36の既定の断面(この例では、直径Dの内接円)は約4ミリメータであり得る。効果的なRFイオンの半径方向への閉じ込めが達成され得るように、7ミリメータよりも大きいイオンガイド36のための適切な長さが選択され得る。これは、真空ポンピング能力を増加させること、およびこのようなより大きなポンプに関連するコストを必要とすることなしに、最大の感度を生じさせる。どのように超音速自由ジェット膨張34がイオンガイド36の体積37の範囲内に閉じ込められ得るかを示すコンピュータシミュレーションからのこれらの結果のグラフ表示は、図4に示される。図4の参照番号は、図1に示された参照番号と同じである。
【0018】
上述されたように、式(1)および式(2)に従って、イオンガイド36を含む真空チャンバ26の範囲内の圧力P1は、超音速自由ジェット34構造の特徴に寄与する。圧力P1が低すぎるならば、そのときは、バレルショック46の直径Dbは大きく、イオンガイド36は、超音速自由ジェット膨張34によって閉じ込められるイオン30を閉じ込めるために十分に大きい実質的に実際的な努力を必要とし得る。結果的に、大きな内接円Dが大きなバレルショックの直径Dbに従って大きさが決められ得る場合には、そのときは、効果的なイオンの半径方向への閉じ込めおよびイオン集中を提供するために、より大きな電圧が使用されなければならない。しかしながら、より大きな電圧は、電気的破壊および放電を引き起こし得、これは、イオンガイドの適切な機能を妨害し得、安全で信頼し得る動作のための装置には相当な複雑性を導入し得る。さらに、大きな電圧を提供し得る電源は、価格が高い傾向があり、これは、市販の装置のコストを高騰させ得る。それゆえに、電圧が電気的破壊以下に維持されるように、ジェットの直径を小さく保ち、イオンガイドの直径Dを可能な限り小さく保たせるために、上記圧力を相対的に高く保つことはより効果的である。
【0019】
反対に、圧力P1が高すぎる場合には、そのときは、イオンガイド36の集中作用は、減少される。結果的に、イオン運動のコンピュータシミュレーションを通して、迅速かつ効果的な集中作用が約1トルと約10トルとの間の圧力で獲得され得ることを、出願人は、決定した。この範囲では、超音速自由ジェットの直径Dbは、約0.4ミリメータと約1ミリメータとの開口部の一般的な直径のためには小さく、イオンガイドの直径は、実際的に適用され得る。具体的には、内接円Dは、約2ミリメータと約8ミリメータとの間にあり得る。効果的な閉じ込めは、ピークからピークに約50ボルトと約300ボルトとの間のRF電圧を用いて獲得され得、動作圧でガスの破壊電圧を超えない要求だけによって上端で制限され得る。一般的なRF周波数は、約1MHzと約2MHzとの間であり得るが、約0.5MHzと約5MHzとの間の他の周波数もまた、かなり実際的であり、効果的であり得る。
【0020】
本教示は、多様な実施形態と関連して記載されるが、本教示は、このような実施形態に制限されることは意図されない。反対に、本教示は、当業者によって認識されるように、多様な代替物、変化物および等価物を含む。例えば、本出願人は、入口開口部28のスロート29が有限の長さを有し得ることを認識し、構造的な統合性を維持すると同時に長さを特定の用途のために可能な限り短くすることが望ましい一方、毛管などの長いスロート長を有する開口もまた、毛管の末端で自由ジェット膨張を提供し得ることを認識する。多様な実施形態において、図1の入口開口28は、図11に示される円錐80の頂点において音速開口部78であり得、ここに、チャンファ31は、P1(低)圧力側上にあり、または入口開口は、図12に示されるチューブ84の末端において合流ノズル82であり得る。いずれかの実施例においても、開口の構成は、以下に記載され得る。特定の圧力差(P0とP1との間)においては、スロート29を通過するガスは、詰まった流れ、またはより正確には「詰まった速度」を有するものとして特徴付けられ、ここに、ガスの速度は、音速である。これは、ダウンストリームの絶対圧P1がアップストリームの絶対圧P0の約52.8%である場合に空気流に対して生じる。図2、図11および図12においては、スロート29は、真空圧P1に隣接する直径D0を備えている。上流で、直径D0に隣接して、ガスは、音速に向かって加速し、イオン30を閉じ込めまたは引き込み、高い効率で開口28を通してイオン30を送る。スロート29の長さが、毛管のように、長い際には、スロートに入口でのガスの速度は、亜音速であり、スロートの入口へのガスの引き込みは、減じられる。それゆえに、短いスロートの効果は、高圧領域24から真空チャンバ26への最適なイオン送出をさらに達成するために使用され得る。
【0021】
上記の計算で用いられたパラメータは、改善を提供し得、それは以下の実施例で記述される一方、本教示のための入口開口の直径および圧力P1の他の組み合わせを使用することもまた実際的であり得る。例えば、多様な実施形態において、入口開口28が約0.1ミリメータの直径D0および約0.1トルの圧力P1を有する場合には、バレルショック46の既定の直径Dbは、3.6ミリメータと計算される。約4ミリメータの直径Dを有するイオンガイド36は、超音速自由ジェット34を効果的に捕捉し、イオン30を半径方向に閉じ込める。同様に、約0.2ミリメータの直径D0および約10トルの圧力P1を有する入口開口28は、結果として1.2ミリメータの規定の直径Dbになり、その結果、約1.2ミリメータの直径Dを有する小さなイオンガイド36が、それゆえに、より低いRF電圧を必要とし、使用され得る。さらに、本教示の入口開口28の構成は、その断面において円形ではないと知覚され得ることが理解され得る。例えば、多様な実施形態において、入口開口28は、直径D0を有する対応する円形断面積に同等であり得る断面積を有する正方形または三角形であり得る。
【0022】
イオンガイド36の既定の断面は、超音速自由ジェット34におけるイオンの対応する部分を閉じ込め得るように、既定の直径Dbよりも小さく大きさを合わせられ得る一方、感度においてなお相当な改善を達成する。例えば、多様な実施形態において、イオンガイド36の断面は、該断面が既定の直径Dbの少なくとも50%であるように大きさを合わせられ得る。
【0023】
図1のイオンガイド36は、内部の体積37が、完全に線状の軸に沿って、超音速自由ジェット膨張34を包むように位置付けられるが、本出願人は、イオンガイド36の体積37が、最初のバレルショック46および最初のマッハディスク48の幾つかを包むか、または全く包まないように、入口開口28の下流にイオンガイド36を配置することを考えた。図1および図2の最初のバレルショック46および最初のマッハディスク48を全く包まないが、または一部分を包むような内部の体積37のイオンガイド36のこのような下流の配置は、なおその後の再膨張されたバレルショックおよびマッハディスクを包み得ることが認識され得る。
【0024】
本出願人は、実質的に同じイオン送出効率を達成するために、1つ以上の入口開口28の使用を考えた。例えば、多様な実施形態において、2つの開口28aおよび28bは、図13に示されるが、次に記載されるように、付加的な開口およびそれらの対応するエレメントは、暗黙に実践性に従うように含意されることは、当業者によって理解される。同じ番号付けシステムが用いられ、文字「a」および「b」の付加を除いて、図1に示されるエレメントと共通のエレメントを表す。開口28aおよび28bの各々は、対応する超音速自由ジェット膨張34aおよび34bならびにバレルショック46aおよび46bを形成し得、自由ジェット34aおよび34bのうちの少なくとも1つは、それらの対応するイオンガイド36aおよび36bによって包まれる。開口28aおよび28bの累積的断面積は、上述された望まれる直径を有する単一の入口開口28の断面積と同等であり得る。イオンガイド36aおよび36bのうちの1つ以上によって半径方向に閉じ込められ、送られるイオンは、付加的なイオンガイドによって、さらに閉じ込められ集中され送られ得、その結果イオンを単一のイオンビーム(図示されず)に合成する。離散的なジェットであろうと重なるジェットであろうと、超音速自由ジェット34aおよび34bの配列は、1つのイオンガイド36cによって包まれ得、ここに、イオンガイド36cの内接直径Dは、図14に示されるように、適切に大きさを合わされる。
【0025】
イオンの閉じ込め、集中および導きのデバイスとして作用するイオンガイド36は、図5〜図10に示されるタイプのものであり得る。図5、図6および図7の多数のイオンガイドは、四極(4つの極)64、六極(6つの極)66および八極(8つの極)68またはより多い数の極74を含み得る。極74は、当該技術分野で一般に知られたRF電圧を伝送する長く延びた電極である。より多い数の極または異なる形の電極を含む他の構成もまた可能である。例えば、電極は、ワイアまたはロッドからなり得、断面が円形の代わりに正方形であり得、または電極は、長くされた長さに沿って変わる断面を有し得る。多様な実施形態において、極74は、対応する電源に接続された多数の電極セグメントであり得、その対応する電源は、隣接するセグメントの間に異なる場(fields)を提供提供するためのものである。図8、図9および図10のイオンガイドは、リングガイド70として一般的に知られ、ホール76を有する個々のリング72またはプレート72が、一般に、イオン30が横断する軸通路を形成するように互いに関係して整列されている。隣接するプレート72は、当該の技術分野で知られているように逆位相のRF電圧を伝送し得る。図9の積み重ねられたプレート72が実質的に類似の直径の孔76を有する一方で、図10のプレート72は、収束作用または集中作用を提供するように、孔の直径が変わる。収束効果と発散効果との組み合わせは、積み重ねられたプレート72または変化する断面を有する長く延びた電極のいずれかを用いて適用され得る。均質でない(空間において)交流電場によってイオン30を閉じ込める任意のRF集中デバイスが、使用され得る。多様な実施形態において、四極イオンガイドは、デバイスの中心に向かってより強い集中作用を提供するために使用され得、イオンは、軸の近くの狭い位置により強く閉じ込められ得る。これは、イオン30を小さな出口開口32を通って次のチャンバ45に送るために有利であり得る。付加的な実施形態は、図16および図17に例示され、ここで、共通のエレメントは、図1と同じ参考番号を有し、幾つかの共通エレメントは、図の明瞭性を提供するために省略された。図16においては、図1のイオンガイド36は、一連のイオンガイド36dおよび36eによって置換される。しかしながら、この実施例においては、2つのイオンガイド36dおよび36eは、以下に論じられるように、一連のイオンガイドを定義し、該一連のイオンガイドは、2つより多いイオンガイドを備え得る。各イオンガイド36dおよび36eは、内接直径D1およびD2を伴う既定の断面を有することによって特徴付けられ得る。直径D1およびD2は、各イオンガイド36dおよび36eの軸の長さに沿って延びて、各々、参照番号37によって集合的に示される内部の体積を定義する。図16に示されるように、直径D1およびD2は、似ておらず、電源40は、以下に論じられるように、イオンガイドの内部の体積37の範囲内でイオンを半径方向に閉じ込めるためにイオンガイド36dおよび36eへの独立した接続を有し得る。
【0026】
単一のRF閉じ込め場を有するイオンガイド36を備えている図1に従う構成は、特定の適用において入口開口28と出口開口32との間のイオン転送を提供するために最適ではあり得ない。例えば、印加されるRF電圧によって定義される一組の動作パラメータ、内接直径Dなどのイオンガイドの大きさ、および真空圧P1は、出口開口32に対する最適なイオン集中およびイオン送出を提供するように選ばれ得る。しかしながら、これらの同じパラメータは、バレルショックの既定の直径Dbの一部分だけを包むのに十分であり得、それゆえに、イオン30の最初の膨張の最適な受け入れは、実現され得ない。逆も可能であり、最適なイオンの受け入れ条件のために選ばれる別の組のパラメータは、出口開口32に対する最適のイオン集中およびイオン送出を提供し得ない。したがって、本出願人は、ある応用において、イオンの集中/送出とイオンの受け入れとの間の最適化を別の半径方向のRF閉じ込め場(fields)を提供することによって達成することが有利であると判断し、一方の場は、体積37内の入口開口28から現れるイオン30を受け入れ閉じ込め、他方の場は、イオン30を集中して、その結果体積37から出口開口32にイオンを通過させる。
【0027】
上述の最適化は、図16に示すように達成され得、すなわち、第1のイオンガイド36dに、RF閉じ込め場を確立するための対応するRF電圧を引加し、そのRF閉じ込め場は、イオン30の最初の膨張を受け入れるために最適化されており、第2のイオンガイド36eに、RF閉じ込め場のための対応する電圧を引加し、その閉じ込め場は、イオン30を出口開口32の大きさに集中することによって達成され得る。多様な実施形態において、イオン源に最も近く、結果的に入口開口28に最も近い、第一のイオンガイド36dは、バレルショックの直径Dbの少なくとも50パーセントを受け入れるように適宜に大きさを合わされた内接D1を有するよう構成され得て、その結果、超音速自由ジェット34に閉じ込められたイオン30のすべて、または実質的にすべてが、イオンガイド36dの体積37の範囲内に包まれ得る。第一のイオンガイド36dに印加された対応するRF電圧は、所望のイオン30の質量に加えて、効率的に包まれたイオン30を閉じ込め集中させイオン36eへの効率的な送出を可能にする直径D1およびP1に応じて選択され得る一方、動作圧でガスの破壊電圧を超えない。
【0028】
さらに、出口開口32に最も近いイオンガイド36eは、出口開口32の大きさに従って内接直径D2を有する断面を用いて構成され得る。イオンガイド36eに印加される対応するRF電圧は、出口開口32の大きさに、すべて、または実質的にすべてのイオン30を集中するために、イオンガイド36eの体積37の範囲内でRF閉じ込め場を確立するための直径D2に従って選択され得る。出口開口の大きさは、例えば、円形の開口に対する場合におけるように、該直径によって、または正方形の開口に対する場合におけるように、開口の幅などの他の幾何学的構成に対する別の大きさのパラメータによって定義され得る。特定の幾何学的形状にかかわらず、出口開口32の断面積は、直径によって定義される等しい円形の断面積により一般に記載され得る。最適なイオン送出は、イオン30が出口開口32の直径以下である直径を有するイオンビームを形成するように集中される際に実現され得る。十分なイオン送出は、イオンビームの直径が出口開口32の直径よりも大きい場合に達成され得るが、最適なイオン送出集中が、ビームの直径が出口開口32の直径以下である場合に予測され得ることは、当業者に明白である。
【0029】
一般に、第一のイオンガイド36dの機能が出口開口28からのイオン30を捕捉し、集中するためのものである一方で、第二のイオンガイド36eの機能は、第一のイオンガイド36dから出口開口32にイオン30を集中し、送るためのものである。第一のイオンガイド36dの直径D1および対応する印加されるRF電圧は、バレルショックの既定の直径Dbに従って選択される一方で、第二のイオンガイド36eの直径D2および対応する印加されたRF電圧は、上述された出口開口32の直径に従って選択される。多様な実施形態において、バレルショックの直径Dbは、しばしば出口開口32の直径よりも大きくあり得、それゆえに、第一のイオンガイド36dの対応する断面は、第二のイオンガイド36eの対応する断面よりも大きくあり得る。結果的に、入口開口28と出口開口32との間の最適なイオン送出のための多様な実施形態においては、第二のイオンガイド36eの第一のイオンガイド36dに対する断面の相対比は、1未満であり得る。一般的には、実施例2で以下に論じられるように、出願人は、入口開口28と出口開口32との間の改善されたイオン30の送出を示すために、約0.6ミリメータのイオンガイドの断面の間の相対比を付与するように、約4ミリメータの直径D2および約7ミリメータの直径D1を利用した。多様な実施形態において、第一のイオンガイド36dおよび第二のイオンガイド36eの断面が等しい一方で、対応するRF電圧は、イオンの集中/送出およびイオンの受け入れのために独立して最適化されるRF閉じ込め場を提供するように選択され得る。
【0030】
多様な実施形態において、2つより多くのイオンガイドを備えている一連のイオンガイドは、付加的な多数の集中段階を提供される。例えば、図17においては、付加的なイオンガイド36xは、第一のイオンガイド36dと第二のイオンガイド36eとの間に配置される。付加的なイオンガイド36xは、第一のイオンガイド36dおよび第二のイオンガイド36eの直径の中間または等しい内部の直径Dxを有する対応する断面を用いて構成され得る。第一のイオンガイド36dおよび第二のイオンガイド36eに印加される対応するRF電圧の詳細は、上述されたとおりである一方で、イオンガイド36xに印加される対応するRF電圧は、同じ、または異なる半径方向の閉じ込め場を提供するように構成され得る。各対応するRF電圧は、2つ以上の独立した電源40および40aによって提供され得ること、または図16および図17に示されるように、単一の電源が独立した対応するRF電圧を適切に送るように構成され得ることは、当業者に明白である。
【0031】
一連の各イオンガイド36d、36xおよび36eの長さは、対応する半径方向のRF場が体積37の範囲内でイオン30を十分に集中するために必要な距離に従って適切に選択され得る。イオンガイドの集中機能に加えて、イオンガイドは、入口開口28と出口開口32との間で転送されるガスの量を制限するように物理的な機能を実行し得る。図18を参照すると、ガス流線86は、第一のイオンガイド36dを通過する超音速自由ジェット膨張34から出現するガスの表示であり得る。イオン30が第一のイオンガイド36dと第二のイオンガイド36eとの間で収束するときに、ガス86は、第二のイオンガイド36eの末端表面88に遭遇し得、イオン30の経路から遠くにそらされ得る。そらされたガス86は、矢印92によって示されるように、イオンガイド36dとイオンガイド36eとの間のギャップ90を通過し得る。これは、出口開口32を通って質量解析器44に送られるガス86に対するイオン30における改善という結果になり得る。
【0032】
さらに、イオンガイドの形状およびサイズは、ガス流の特徴に影響を及ぼし得る。例えば、多様な実施形態において、多極のイオンガイドの極直径を増加することは、イオンガイドの長さに沿ってより多くのガス流を閉じ込めることを導き得る。増加される極直径は、直径D1を維持すると同時に、隣接する極の間のギャップに対する中心軸100の間の半径方向の距離を効果的に増加する。これは、第一のイオンガイドにより多くのガス流を閉じ込める可能性を増加し得る。代替的に、多極の形状は、極の表面積を増加するプレートのようであり得る一方、より良いガスの閉じ込めを達成するためのギャップの大きさを維持し、または減少する。
【0033】
多様な実施形態において、図19に示される単一のイオンガイド94は、出口開口部32に最も近い直径D2によって特徴付けられる出口断面よりも大きい、イオン源に最も近い直径D1によって特徴付けられる入口断面を有するように構成され得る。簡単のために、共通のエレメントが図1におけるのと同じ参照番号を有する一方で、幾つかのエレメントは、この図の明瞭性を提供するために省略された。イオンガイド94に印加される単一のRF電圧は、中心軸100に沿って測定される際、入口直径D1と出口直径D2との間の強さを増加し得るRF閉じ込め場を提供し得る。上述されるように、RF電圧は、所望のイオン30の質量に従って選択され、動作圧でガスの破壊電圧を超えない要求によってだけ上端で制限される。入口断面に対する出口断面の相対比は、1未満であり得る。一般的には、該比は、2センチメータと20センチメータとの間の長さであるイオンガイド94を超えて約0.4であり得る。入口開口部28と出口開口部32との間で利用可能であるスペースにのみ制限してより大きな長さが可能であることは、当業者に明白である。
【0034】
多様な実施形態において、第二の真空チャンバ45は、第二の真空チャンバ45から質量解析器44までイオンを通過させるための流出開口を有し得、ここに、質量解析器44は、第三の真空チャンバに収納され得る。第二の真空チャンバ45は、736号特許に記載されたように、出口開口32と流出開口との間でイオン30を半径方向に閉じ込め、集中し、輸送するためのRFのみのイオンガイドを有し得る。出口開口32は、上述されたように、チャンバ間開口32として機能する。RFのみのイオンガイドは、イオンガイド36と同様に作られ得る。使用中に、イオン30は、第一の真空チャンバから、チャンバ間開口32を通って第2の真空チャンバ45へ通過し、ここで、イオン30が、RFのみのイオンガイドを横断するときに、イオン30は、RFイオンガイドによって半径方向に閉じ込められ、集中され得る。イオン30が、第二の真空チャンバ45から、流出開口を通って第三の真空チャンバへ通過した後、質量解析器44は、質量解析のためにイオン30を受け取る。イオンガイド36にRF電圧を提供する同じ電源40または別々の電源が、知られた方式でRF電圧を提供するためにRFのみのイオンガイドに接続され得る。
【0035】
イオン源22は、解析されるべきサンプルのタイプに依存する多くの公知のタイプのイオン源の1つであり得る。多様な実施形態において、イオン源22は、エレクトロスプレーもしくはスプレーデバイス、コロナ放電ニードル、プラズマイオン源、電子衝撃もしくは化学イオン化源、光イオン化源、MALDI源またはそれらの任意の組み合わせであり得る。当業者に知られたイオン源の他の望ましいタイプが使用され得、イオン源は、大気圧で、大気圧より上で、大気圧付近で、または大気圧より下でイオンを生成し得るが、絶対圧力比は、P1/P0≦0.528であるように、真空チャンバ26での圧力と関連する圧力よりも高い。
【0036】
本教示の局面は、以下の実施例を考慮してさらに理解され得るが、決して本教示の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0037】
(実施例1)
図15は、本教示に従い三重の四極質量分析器システムの感度を示すし、本教示は、m/z609先行モデルのm/z195フラグメントイオンをモニタする動作のマルチ反応モニタリングモードを使用して、200uL/分のサンプルの流量率で合成レセルピンの50pg注入に起因する。信号のピークの高さは、該システムの感度の直接的な指標であり得る。2つの別個の実験からの反応は、図15で重ね合わされ、この場合に、垂直軸は、正規化された強度を示し、水平軸は、任意の単位における時間の関数である。
【0038】
API 4000とラベルされた第一(低い方)のピークは、先行技術の質量分析器の応答であり、その質量分析器は、0.32ミリメータの入口開口の直径および2.4ミリメータのスキマーの直径を使用する、Applied Biosystems/MDS Sciexによって製造された、API 4000の三重の四極質量分析器である。
【0039】
ラベルAPI 5000によって示される第二(高い方)のピークは、本教示に従った三重の四極質量分析器装置での応答を示し、この場合に、入口開口部の直径が0.6ミリメータに増加され、RF四重イオンガイドが、本教示に従って超音速自由ジェットからイオンを捕捉し、集中するために使用された。この実施例においては、イオンガイドの領域における圧力は、2.6トルであり、イオンガイドの直径は、4ミリメータであって、式(1)に従って計算された、マッハディスクのバレルショックの最大の直径は、4.2ミリメータであった。感度においてラベル6xで示された約6倍の増加は、本教示に従ってかなりより良い質量分析性能を達成する能力を示す。
【0040】
(実施例2)
図20は、本教示に従った三重の四極質量分析器システムの感度を示し、このシステムは、図1の単一のイオンガイド36を図16の一連のイオンガイド36dおよび36eならびに対応するRF電圧を置換することから得たものである。図15と類似して、図20の結果は、m/z609先行モデルのm/z195フラグメントイオンをモニタする動作のマルチ反応モニタリングモードを使用して、200uL/分のサンプルの流量率で合成レセルピンの10pg/uLの注入液からであった。信号のピークの高さは、該システムの感度の直接的な指標であり得る。2つの別々の実験からの応答は、図20で重ね合わされ、この場合に、垂直軸は、正規化された強度を示し、水平軸は、任意の単位における時間の関数である。
【0041】
API 5000とラベルされた第一(低い方)のピークは、図15に示されるのと同じラベルに対する応答と類似する応答を示す。ラベルAPI 5000二重イオンガイドによって示される第二(大きい方)のピークは、同じ三重の四極質量分析器システム上での反応を示すが、しかしながら、該4ミリメータのイオンガイドは、直径7ミリメータの第一のイオンガイドおよび直径4ミリメータの第二のイオンガイドによって置換された。第一のイオンガイドの長さは、7ミリメータであり、第二のイオンガイドの長さは、5ミリメータであった。感度において約2倍〜約3倍の増加は、ラベル2〜3xによって示され、本教示に従ってかなりより良い質量分析性能を達成する能力を示す。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、本教示に従う質量分析器の概略図である。
【図2】図2は、本教示に従う入口開口、イオンおよび超音速自由ジェット膨張のより詳細な概略図である。
【図3】図3は、先行技術の開口およびスキマーの構成の概略図である。
【図4】図4は、図1の実施形態のコンピュータシミュレーションのグラフ表示である。
【図5】図5は、本教示に従うイオンガイドの多様な実施形態の概略図および概略断面図である。
【図6】図6は、本教示に従うイオンガイドの多様な実施形態の概略図および概略断面図である。
【図7】図7は、本教示に従うイオンガイドの多様な実施形態の概略図および概略断面図である。
【図8】図8は、本教示に従うイオンガイドの多様な実施形態の概略図および概略断面図である。
【図9】図9は、本教示に従うイオンガイドの多様な実施形態の概略図および概略断面図である。
【図10】図10は、本教示に従うイオンガイドの多様な実施形態の概略図および概略断面図である。
【図11】図11は、本教示に従うイオンガイドの多様な実施形態の概略断面図である。
【図12】図12は、本教示に従うイオンガイドの多様な実施形態の概略断面図である。
【図13】図13は、本教示の多様な実施形態の概略図である。
【図14】図14は、本教示の多様な実施形態の概略図である。
【図15】図15は、先行技術の質量分析器に対して本教示に従う質量分析器の改善された性能を示す知られた合成物の強度の輪郭である。
【図16】図16は、本教示の多様な実施形態の概略図である。
【図17】図17は、本教示の多様な実施形態の概略図である。
【図18】図18は、本教示に従う一連のイオンガイド、ガス流およびイオン送出のより詳細な概略図である。
【図19】図19は、本教示の多様な実施形態の概略図である。
【図20】図20は、本教示に従う質量分析器の改良された性能をさらに示す知られた合成物の強度の輪郭である。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2005年12月22日に出願された米国一部継続特許出願に対する優先権を主張し、その出願番号はまだ割り当てられておらず、その出願は、2005年1月10日に出願された米国特許出願第11/032,376号の一部継続である。
【0002】
(技術分野)
本教示は、サンプルにおけるイオンの検出のためにイオンを送るための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
(序文)
質量分析器のための1つの用途は、サンプル分子がイオン化のステップにおいて、イオンに変換され、次いで、質量分離および検出のステップにおいて、質量解析器によって検出される、生物学的なサンプルの研究に向けられる。イオン化技術の多様なタイプは、現在公知であり、一般的に公称の大気圧の領域においてイオンを生成する。質量解析器は、RF/DCイオンガイドが質量電荷比(m/z)値の限られた占有の範囲内でイオンを送るために使用される四重極の解析器、大きな磁場がm/zに従ってイオンをそらせるためにイオンの動きに垂直に力を及ぼす扇形磁場解析器および各イオンの飛行時間を測定することがm/zの決定を可能にする飛行時間(「TOF」)解析器であり得る。質量解析器は、隣接する圧力分離を提供するチャンバ間開口を備える1つ以上の個別的にポンプされる真空チャンバにおける配置を一般的には必要とする低圧環境で一般に動作する。イオン化ステップと質量解析器の真空チャンバとの間に配置される1つ以上の開口は、一般に、イオンを質量解析器に送るためのインターフェースを定義する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(概要)
上述を考慮して、本教示は、サンプルにおけるイオンの検出のためにイオンを送るための装置を提供する。該装置は、高圧領域において、例えば、大気圧でサンプルからイオンを生成するためのイオン源および該イオンを受け取るための真空チャンバを備えている。該真空チャンバは、高圧領域から真空チャンバへイオンを通過させるための入口開口を有する。異なる圧力と関連して、入口開口の直径は、既定のバレルショックおよびマッハディスクを有する、超音速自由ジェット膨張を提供するように寸法を合わせられ、その結果、イオンを真空チャンバ内に閉じ込める。該装置はまた、所定の断面を有する少なくとも1つのイオンガイドを備え、その所定の断面は、超音速自由ジェット膨張を半径方向に閉じ込めるように寸法を合わせられ、その結果、実質的にすべてのイオンを捕捉する。RF電源によって供給されるRF電圧がイオンガイドに印加される際、超音速自由ジェットにおけるイオンが、出口開口に集束され向けられるように、該イオンガイドは、入口開口と出口開口との間のチャンバに位置付けられ得る。多様な実施形態において、入口開口は、音速ノズルまたは音速開口部を備えているタイプのものであり得、イオンガイドは、多極イオンガイドであり得る。
【0005】
本教示はまた、サンプルにおけるイオンの検出のためにイオンを送るための方法を提供する。該方法は、高圧領域において、例えば、大気圧でサンプルからイオンを生成するイオン源と、イオン源の下流に配置され、該イオン源を受け取る真空チャンバとを提供することを含む。該真空チャンバは、高圧領域から真空チャンバへイオンを通過させるための入口開口が提供されている。異なる圧力と関連して、該方法は、既定のバレルショックおよびマッハディスクを有する超音速自由ジェット膨張を提供するために、入口開口の直径の寸法を合わせることを含む。イオンは、入口開口を通過し、真空チャンバで生成された超音速自由ジェット膨張によって閉じ込められる。該方法は、所定の断面を有する少なくとも1つのイオンガイドを提供することをさらに含み、その所定の断面は、超音速自由ジェット膨張を半径方向に閉じ込めるように寸法を合わせられ、その結果、実質的にすべてのイオンを捕捉する。RF電源によって供給されるRF電圧がイオンガイドに印加される際、超音速自由ジェットにおけるイオンが、出口開口に集束され向けられるように、該イオンガイドは、入口開口と出口開口との間のチャンバに位置付けられ得る。
【0006】
本教示の上述および他の特徴は、本明細書中に示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
当業者は、以下に記載される図面は、例示目的のためだけであることを理解する。該図面は、決して本教示の範囲を制限することを意図されていない。
【0008】
図面においては、類似した参照番号は、類似した部分を示す。
【0009】
(多様な実施形態の説明)
多様なエレメントを参照して本教示に関連して使用される「1つ(a)」または「1つ(an)」という句は、文脈が格別に明示しない場合には、「1つ以上」または「少なくとも1つ」を含む。最初に図1が参照され、図1は、参照番号20によって概して示される質量分析器を概略的に示す。質量分析器20は、対象であるサンプル(図示されず)からイオン30を提供するためのイオン源22を備えている。イオン源22は、背景ガス(図示されず)を含み、概して24に示される高圧P0領域に配置され得る一方で、イオン30は、矢印38によって示される方向に、真空チャンバ26に向かって進む。該イオンは、入口開口28を介してチャンバ26に入り、入口開口28でイオンがガスの超音速流によって閉じ込められ、ガスの超音速流は、以下に記載されるように超音速自由ジェット膨張34として概して参照される。真空チャンバ26は、入口開口28から下流に位置する出口開口32と、開口28および32の間に位置し、超音速自由ガスジェット34からのイオン30を半径方向に閉じ込め、集中させ、送るイオンガイド36とをさらに備えている。図1の出口開口32は、チャンバ間開口として示され、チャンバ間開口は、第一の真空チャンバ26としても知られる真空チャンバ26を、次の、または第二の真空チャンバ45から分離し、第二の真空チャンバ45は、以下に記載されるように、追加のイオンガイドまたは質量解析器44を収納し得る。本教示の一般的な質量解析器44は、四重極質量解析器、イオントラップ質量解析器(線イオントラップ質量解析器を含む)および飛行時間質量解析器を含み得る。真空チャンバ26における圧力P1は、ポンプ42によって維持され得、電源40は、公知の方法でRF電圧を提供するためにイオンガイド36に接続され得る。イオンガイド36は、参照文字D(図5にもまた図示される)によって示される直径を有する内接円によって特徴付けられる所定の断面を有する一組の四極ロッドであり得、内部の体積37を定義するようにイオンガイド36の軸方向の長さに沿って伸びている。イオン30は、最初に開口部カーテンガス領域を通過し得、その開口部カーテンガス領域は、一般に当業技術に公知であり、脱溶媒を実行し、望まれない微粒子が真空チャンバに入るのを遮断するが、明瞭性のために、これは、図1に示されない。
【0010】
どのようにイオン30が、半径方向に閉じ込められ、集中させられ、入口開口28と出口開口32との間に送られるかを理解する助けとするために、ここで図2を参照する。公称の高圧P0領域から有限の背景圧力P1の領域へのガスの断熱膨張は、超音速自由ジェット34の仕切られない膨張(超音速自由ジェット膨張としてもまた公知である)を形成することが、適切に特徴付けられている。入口開口28は、音速開口部または音速ノズルを備え、開口部またはノズルを介してのガスの膨張は、音の局所的な速さに対する流れの速さの比に基づいて2つの別個の領域に分割され得る。高圧P0領域において、開口部またはノズルの近くの流れの速さは、音の局所的な速さよりも低い。この領域においては、流れは亜音速と考えられ得る。ガスが入口開口28から背景圧力P1領域へと膨張するにつれて、流れの速度は、増加し、一方、音の局所的な速さは、減少する。流れの速さが音の速度に等しい境界は、音速面と呼ばれる。この領域は、超音速領域またはより一般的には以下に記載されるように超音速自由ジェット膨張と呼ばれる。開口部の形は、音速面の形に影響を及ぼす。開口部28が薄いプレートとして定義され得る場合には、音速面は、P1圧力に向かって曲げられ得る。理想的に形成されたノズルは、図12で示されるものと類似する合流分流ダクトを従来備え、そのノズルの使用は、平らで、ノズルの出口にある音速面を生成する。合流部分はまた、図2に示されるチャンファ31の表面によって便利に定義され得る一方で、真空チャンバの体積は、分流部分を定義し得る。合流分流ダクトの最小限エリアの位置は、しばしばスロート29と呼ばれ、本教示においては、最小限エリアまたはスロート29の直径は、図2にD0として示される。スロート29を介して通過するガスの速度は、「詰まる」または「制限される」ようになり、直径D0を通るガスの絶対的な圧力比が0.528以下である際には、音速面を生成して、音の局所的な速さに到達する。超音速自由ジェット34においては、ガスの密度は、単調に減少し、高圧領域24からのガスのエンタルピーは、方向付けられた流れに変換される。ガスの運動温度は、低下し、流れの速さは、音の局所的な速さを超える(それゆえに超音速膨張という用語である)。図2に示されるように、該膨張は、同心のバレルショック46を備え、マッハディスク48として公知である垂直ショックによって終了される。イオン30が入口開口部28を介して真空チャンバ26に入るときに、イオンは、超音速自由ジェット34に閉じ込められ、バレルショック46の構成は、ガスおよびイオンが膨張する領域を定義するので、入口開口部28を介して通過するイオン30の事実上すべては、バレルショック46の領域に閉じ込められる。マッハディスク48の下流のガスは、再膨張して、一連の1つ以上の続いて起こるバレルショックおよびマッハディスクを形成し、それらは、最初のバレルショック46および最初のマッハディスク48と比較してあまりよく定義されない。しかしながら、続いて起こるバレルショックおよびマッハディスクに閉じ込められたイオン30の濃度は、最初のバレルショック46および最初のマッハディスク48に閉じ込められたイオン30と比較すると、それ相応に減少され得る。
【0011】
バレルショックの直径Dbであって、図2に示される最も幅のある部分に一般的に位置するバレルショックの直径Dbと、マッハディスク48のダウンストリームの位置Xmであって、入口開口28から、より正確には、音速面を生成する入口開口28のスロート29から測定された、マッハディスク48のダウンストリームの位置Xmとによって、超音速自由ジェット膨張34は一般に特徴付けられ得る。DbおよびXmの大きさは、入口開口のサイズ、すなわち、直径D0、イオン源P0における圧力、および、真空チャンバにおける圧力P1から計算され得え、例えば、deLeeuw,J.H.,Rarefied Gas Dynamicsの編集者、Fourth Symposium IV、volume2、Academic Press、New York、1966年、p.84におけるAshkenas、H.およびSherman,F.S.による論文から計算され得る。
【0012】
【数1】
ここに、P0は、入口開口28の上流にある領域24のイオン源22付近の圧力であり、P1は、上述されたように開口28の下流の圧力である。例えば、入口開口28の直径が約0.6ミリメートルであり、適切なポンピングの速さにすることにより、下流の真空チャンバ26における圧力が約2.6トルであり、イオン源22の領域における圧力が760トル(大気)であるならば、式(1)からバレルショックの所定の直径Dbが4.2ミリメータであり、式(2)から計算されるように、マッハディスク48が入口開口28のスロート29から約7ミリメータ下流に位置する。
【0013】
超音速自由ジェット34から、質量解析器44を含む第二の真空チャンバ45へ、イオンをサンプリングする最も一般的な先行技術の方法の1つは、図3に示されるスキマー50を通すことである。該スキマー50の頂点52は、質量解析器44へイオン30をサンプリングし、通過させるために、流体力学で周知である個別ガス濃度を有することによって特徴付けられる区間において、マッハディスク48の上流または下流に位置付けられ得る。図3においては、スキマー50は、マッハディスク48の軸方向の上流にあるイオンをサンプリングする一方で、他のものは、超音速自由ジェット34に直交して、マッハディスク48の下流にスキマーを位置付けた。図3においては、マッハディスク48の一部分は、示されるが、流体力学で一般に知られるように、バレルショックは、スキマーに取り付けられ得、それゆえに、図示されるものとは異なる変更された輪郭を生じる。マッハディスク48の上流に位置付けされようと下流に位置付けされようと、先行技術のスキマーの構成は、超音速自由ジェット膨張34から利用可能なイオン30の一部分だけをサンプリングする。図示されないが、スキマー50に向かってできるだけ多くのイオンを引き込もうとするために、入口開口28とスキマー頂点52との間に静電界(静電気の)を印加することが一般的である。しかしながら、質量解析器44が適切に機能するために必要とされるほど低く、次のチャンバ45の圧力を保つために、スキマー頂点52は、相対的に小さい直径に維持される必要がある。これは、電界を印加したとしても、必ずしもイオン30のすべてが、スキーマ50を通してサンプリングされ得るとは限らないことを意味し、それは、入口開口28の直径が、イオン源22からより多くのイオン30を通過させるために、増加されるならば、そのときは、超音速自由ジェット34内の圧力は、増加され、イオン30を静電気的に集中させることをより困難にする。
【0014】
これらのすべての要因は、単純に入口開口の直径を増加することによって先行技術の入口開口スキマー構成のサンプリングシステムにおける感度を増加することをより困難にする。ある点までは成功しても、入口開口の直径を増加すること(必要とされる低圧に真空チャンバの圧力を維持するために真空ポンプのサイズの付随的な増加を伴う)は、結局は、真空ポンプのコストおよびサイズがあまりに大きくなりすぎ、商業的には成功しないので、実際的な解決法ではない。
【0015】
上述の先行技術の構成のすべてにおいて、分析されるべきイオンは、入口開口28とイオンガイド36との間の入口の縁をなす場の領域を通過するために集中することを必要とし、それゆえに、圧力または濃度が相対的に大きい領域内にの静電気的な集中手段を必要とし、それは、感度において潜在的な損失につながる。さらに、イオンが、イオンガイドに入る前に、スキマーなどの別の制限的な開口を通過することを必要とするならば、イオンガイドに到達する前に損失し得、結果としてさらなる感度の減少を生じる。
【0016】
本出願人は、入口開口28のスロート29から下流に膨張する超音速自由ジェット膨張34およびバレルショック構造46は、イオン30が適切にイオンガイド36の体積37範囲内に存在するまで、イオン30を輸送し、イオン30の最初の膨張を閉じ込める効果的な方法であり得ることを認識する。ガスおよびイオン30のすべてが、バレルショック46内およびバレルショック46付近の超音速自由ジェット34の領域に閉じ込められる事実は、イオンガイド36が自由ジェット膨張34のすべて、またはほとんどすべてを受け入れるように設計されるならば、イオン30の大きな部分は、イオンガイド36の体積37に最初は制限され得ることを意味する。さらに、マッハディスク48がイオンガイド36の体積37の範囲内にあり得るような一定の位置にイオンガイド36が位置付けされ得ることを出願人は、認識する。イオンガイド36を、入口開口28の下流で、かつ自由ジェット膨張34の実質的にすべての直径Dbを含む位置に配置することによって、より大きな入口開口28が、使用され得、従って、より高い真空チャンバ26の圧力P1が用いられ得、同時に開口28と開口32との間のイオン30を半径方向に閉じ込め、集中させることにおいて高い効率を維持し、それによって、より多くのイオンを、第二の真空チャンバ45へ送ることを可能にする。したがって、適切なRF電圧、イオンガイドの大きさおよび真空圧を用いて、イオンガイド36は、半径方向への閉じ込めを提供するだけではなく、イオンガイド36はまた、イオン30を集中させ得る一方で、イオン30は、入口開口28と出口開口32との間の内部の体積を横断し、例えば、DouglasおよびFrenchによる米国特許第4,963,736号(736号特許)に記述されているとおりであり、736号特許の内容は、本明細書中に参照として援用される。本教示において、イオンガイド36の機能は、イオンの半径方向への閉じ込めおよび集中を提供するように記載され得るが、イオンガイド36がイオン集中効果を実行することは不可欠ではない。しかしながら、入口開口28と出口開口32との間のより効果的なイオン送出が、イオンガイド36の集中能力を用いて達成され得る。
【0017】
上述された実施例において、そこでは、バレルショック46の直径Dbが約4.2ミリメータであり、入口開口28のスロートから測定されたマッハディスク48の位置Xmが約7ミリメータであり、超音速自由ガスジェット34におけるすべて、または実質的にすべての閉じ込められたイオン30が、イオンガイド36の内部の体積37の範囲内に含まれるために、イオンガイド36の既定の断面(この例では、直径Dの内接円)は約4ミリメータであり得る。効果的なRFイオンの半径方向への閉じ込めが達成され得るように、7ミリメータよりも大きいイオンガイド36のための適切な長さが選択され得る。これは、真空ポンピング能力を増加させること、およびこのようなより大きなポンプに関連するコストを必要とすることなしに、最大の感度を生じさせる。どのように超音速自由ジェット膨張34がイオンガイド36の体積37の範囲内に閉じ込められ得るかを示すコンピュータシミュレーションからのこれらの結果のグラフ表示は、図4に示される。図4の参照番号は、図1に示された参照番号と同じである。
【0018】
上述されたように、式(1)および式(2)に従って、イオンガイド36を含む真空チャンバ26の範囲内の圧力P1は、超音速自由ジェット34構造の特徴に寄与する。圧力P1が低すぎるならば、そのときは、バレルショック46の直径Dbは大きく、イオンガイド36は、超音速自由ジェット膨張34によって閉じ込められるイオン30を閉じ込めるために十分に大きい実質的に実際的な努力を必要とし得る。結果的に、大きな内接円Dが大きなバレルショックの直径Dbに従って大きさが決められ得る場合には、そのときは、効果的なイオンの半径方向への閉じ込めおよびイオン集中を提供するために、より大きな電圧が使用されなければならない。しかしながら、より大きな電圧は、電気的破壊および放電を引き起こし得、これは、イオンガイドの適切な機能を妨害し得、安全で信頼し得る動作のための装置には相当な複雑性を導入し得る。さらに、大きな電圧を提供し得る電源は、価格が高い傾向があり、これは、市販の装置のコストを高騰させ得る。それゆえに、電圧が電気的破壊以下に維持されるように、ジェットの直径を小さく保ち、イオンガイドの直径Dを可能な限り小さく保たせるために、上記圧力を相対的に高く保つことはより効果的である。
【0019】
反対に、圧力P1が高すぎる場合には、そのときは、イオンガイド36の集中作用は、減少される。結果的に、イオン運動のコンピュータシミュレーションを通して、迅速かつ効果的な集中作用が約1トルと約10トルとの間の圧力で獲得され得ることを、出願人は、決定した。この範囲では、超音速自由ジェットの直径Dbは、約0.4ミリメータと約1ミリメータとの開口部の一般的な直径のためには小さく、イオンガイドの直径は、実際的に適用され得る。具体的には、内接円Dは、約2ミリメータと約8ミリメータとの間にあり得る。効果的な閉じ込めは、ピークからピークに約50ボルトと約300ボルトとの間のRF電圧を用いて獲得され得、動作圧でガスの破壊電圧を超えない要求だけによって上端で制限され得る。一般的なRF周波数は、約1MHzと約2MHzとの間であり得るが、約0.5MHzと約5MHzとの間の他の周波数もまた、かなり実際的であり、効果的であり得る。
【0020】
本教示は、多様な実施形態と関連して記載されるが、本教示は、このような実施形態に制限されることは意図されない。反対に、本教示は、当業者によって認識されるように、多様な代替物、変化物および等価物を含む。例えば、本出願人は、入口開口部28のスロート29が有限の長さを有し得ることを認識し、構造的な統合性を維持すると同時に長さを特定の用途のために可能な限り短くすることが望ましい一方、毛管などの長いスロート長を有する開口もまた、毛管の末端で自由ジェット膨張を提供し得ることを認識する。多様な実施形態において、図1の入口開口28は、図11に示される円錐80の頂点において音速開口部78であり得、ここに、チャンファ31は、P1(低)圧力側上にあり、または入口開口は、図12に示されるチューブ84の末端において合流ノズル82であり得る。いずれかの実施例においても、開口の構成は、以下に記載され得る。特定の圧力差(P0とP1との間)においては、スロート29を通過するガスは、詰まった流れ、またはより正確には「詰まった速度」を有するものとして特徴付けられ、ここに、ガスの速度は、音速である。これは、ダウンストリームの絶対圧P1がアップストリームの絶対圧P0の約52.8%である場合に空気流に対して生じる。図2、図11および図12においては、スロート29は、真空圧P1に隣接する直径D0を備えている。上流で、直径D0に隣接して、ガスは、音速に向かって加速し、イオン30を閉じ込めまたは引き込み、高い効率で開口28を通してイオン30を送る。スロート29の長さが、毛管のように、長い際には、スロートに入口でのガスの速度は、亜音速であり、スロートの入口へのガスの引き込みは、減じられる。それゆえに、短いスロートの効果は、高圧領域24から真空チャンバ26への最適なイオン送出をさらに達成するために使用され得る。
【0021】
上記の計算で用いられたパラメータは、改善を提供し得、それは以下の実施例で記述される一方、本教示のための入口開口の直径および圧力P1の他の組み合わせを使用することもまた実際的であり得る。例えば、多様な実施形態において、入口開口28が約0.1ミリメータの直径D0および約0.1トルの圧力P1を有する場合には、バレルショック46の既定の直径Dbは、3.6ミリメータと計算される。約4ミリメータの直径Dを有するイオンガイド36は、超音速自由ジェット34を効果的に捕捉し、イオン30を半径方向に閉じ込める。同様に、約0.2ミリメータの直径D0および約10トルの圧力P1を有する入口開口28は、結果として1.2ミリメータの規定の直径Dbになり、その結果、約1.2ミリメータの直径Dを有する小さなイオンガイド36が、それゆえに、より低いRF電圧を必要とし、使用され得る。さらに、本教示の入口開口28の構成は、その断面において円形ではないと知覚され得ることが理解され得る。例えば、多様な実施形態において、入口開口28は、直径D0を有する対応する円形断面積に同等であり得る断面積を有する正方形または三角形であり得る。
【0022】
イオンガイド36の既定の断面は、超音速自由ジェット34におけるイオンの対応する部分を閉じ込め得るように、既定の直径Dbよりも小さく大きさを合わせられ得る一方、感度においてなお相当な改善を達成する。例えば、多様な実施形態において、イオンガイド36の断面は、該断面が既定の直径Dbの少なくとも50%であるように大きさを合わせられ得る。
【0023】
図1のイオンガイド36は、内部の体積37が、完全に線状の軸に沿って、超音速自由ジェット膨張34を包むように位置付けられるが、本出願人は、イオンガイド36の体積37が、最初のバレルショック46および最初のマッハディスク48の幾つかを包むか、または全く包まないように、入口開口28の下流にイオンガイド36を配置することを考えた。図1および図2の最初のバレルショック46および最初のマッハディスク48を全く包まないが、または一部分を包むような内部の体積37のイオンガイド36のこのような下流の配置は、なおその後の再膨張されたバレルショックおよびマッハディスクを包み得ることが認識され得る。
【0024】
本出願人は、実質的に同じイオン送出効率を達成するために、1つ以上の入口開口28の使用を考えた。例えば、多様な実施形態において、2つの開口28aおよび28bは、図13に示されるが、次に記載されるように、付加的な開口およびそれらの対応するエレメントは、暗黙に実践性に従うように含意されることは、当業者によって理解される。同じ番号付けシステムが用いられ、文字「a」および「b」の付加を除いて、図1に示されるエレメントと共通のエレメントを表す。開口28aおよび28bの各々は、対応する超音速自由ジェット膨張34aおよび34bならびにバレルショック46aおよび46bを形成し得、自由ジェット34aおよび34bのうちの少なくとも1つは、それらの対応するイオンガイド36aおよび36bによって包まれる。開口28aおよび28bの累積的断面積は、上述された望まれる直径を有する単一の入口開口28の断面積と同等であり得る。イオンガイド36aおよび36bのうちの1つ以上によって半径方向に閉じ込められ、送られるイオンは、付加的なイオンガイドによって、さらに閉じ込められ集中され送られ得、その結果イオンを単一のイオンビーム(図示されず)に合成する。離散的なジェットであろうと重なるジェットであろうと、超音速自由ジェット34aおよび34bの配列は、1つのイオンガイド36cによって包まれ得、ここに、イオンガイド36cの内接直径Dは、図14に示されるように、適切に大きさを合わされる。
【0025】
イオンの閉じ込め、集中および導きのデバイスとして作用するイオンガイド36は、図5〜図10に示されるタイプのものであり得る。図5、図6および図7の多数のイオンガイドは、四極(4つの極)64、六極(6つの極)66および八極(8つの極)68またはより多い数の極74を含み得る。極74は、当該技術分野で一般に知られたRF電圧を伝送する長く延びた電極である。より多い数の極または異なる形の電極を含む他の構成もまた可能である。例えば、電極は、ワイアまたはロッドからなり得、断面が円形の代わりに正方形であり得、または電極は、長くされた長さに沿って変わる断面を有し得る。多様な実施形態において、極74は、対応する電源に接続された多数の電極セグメントであり得、その対応する電源は、隣接するセグメントの間に異なる場(fields)を提供提供するためのものである。図8、図9および図10のイオンガイドは、リングガイド70として一般的に知られ、ホール76を有する個々のリング72またはプレート72が、一般に、イオン30が横断する軸通路を形成するように互いに関係して整列されている。隣接するプレート72は、当該の技術分野で知られているように逆位相のRF電圧を伝送し得る。図9の積み重ねられたプレート72が実質的に類似の直径の孔76を有する一方で、図10のプレート72は、収束作用または集中作用を提供するように、孔の直径が変わる。収束効果と発散効果との組み合わせは、積み重ねられたプレート72または変化する断面を有する長く延びた電極のいずれかを用いて適用され得る。均質でない(空間において)交流電場によってイオン30を閉じ込める任意のRF集中デバイスが、使用され得る。多様な実施形態において、四極イオンガイドは、デバイスの中心に向かってより強い集中作用を提供するために使用され得、イオンは、軸の近くの狭い位置により強く閉じ込められ得る。これは、イオン30を小さな出口開口32を通って次のチャンバ45に送るために有利であり得る。付加的な実施形態は、図16および図17に例示され、ここで、共通のエレメントは、図1と同じ参考番号を有し、幾つかの共通エレメントは、図の明瞭性を提供するために省略された。図16においては、図1のイオンガイド36は、一連のイオンガイド36dおよび36eによって置換される。しかしながら、この実施例においては、2つのイオンガイド36dおよび36eは、以下に論じられるように、一連のイオンガイドを定義し、該一連のイオンガイドは、2つより多いイオンガイドを備え得る。各イオンガイド36dおよび36eは、内接直径D1およびD2を伴う既定の断面を有することによって特徴付けられ得る。直径D1およびD2は、各イオンガイド36dおよび36eの軸の長さに沿って延びて、各々、参照番号37によって集合的に示される内部の体積を定義する。図16に示されるように、直径D1およびD2は、似ておらず、電源40は、以下に論じられるように、イオンガイドの内部の体積37の範囲内でイオンを半径方向に閉じ込めるためにイオンガイド36dおよび36eへの独立した接続を有し得る。
【0026】
単一のRF閉じ込め場を有するイオンガイド36を備えている図1に従う構成は、特定の適用において入口開口28と出口開口32との間のイオン転送を提供するために最適ではあり得ない。例えば、印加されるRF電圧によって定義される一組の動作パラメータ、内接直径Dなどのイオンガイドの大きさ、および真空圧P1は、出口開口32に対する最適なイオン集中およびイオン送出を提供するように選ばれ得る。しかしながら、これらの同じパラメータは、バレルショックの既定の直径Dbの一部分だけを包むのに十分であり得、それゆえに、イオン30の最初の膨張の最適な受け入れは、実現され得ない。逆も可能であり、最適なイオンの受け入れ条件のために選ばれる別の組のパラメータは、出口開口32に対する最適のイオン集中およびイオン送出を提供し得ない。したがって、本出願人は、ある応用において、イオンの集中/送出とイオンの受け入れとの間の最適化を別の半径方向のRF閉じ込め場(fields)を提供することによって達成することが有利であると判断し、一方の場は、体積37内の入口開口28から現れるイオン30を受け入れ閉じ込め、他方の場は、イオン30を集中して、その結果体積37から出口開口32にイオンを通過させる。
【0027】
上述の最適化は、図16に示すように達成され得、すなわち、第1のイオンガイド36dに、RF閉じ込め場を確立するための対応するRF電圧を引加し、そのRF閉じ込め場は、イオン30の最初の膨張を受け入れるために最適化されており、第2のイオンガイド36eに、RF閉じ込め場のための対応する電圧を引加し、その閉じ込め場は、イオン30を出口開口32の大きさに集中することによって達成され得る。多様な実施形態において、イオン源に最も近く、結果的に入口開口28に最も近い、第一のイオンガイド36dは、バレルショックの直径Dbの少なくとも50パーセントを受け入れるように適宜に大きさを合わされた内接D1を有するよう構成され得て、その結果、超音速自由ジェット34に閉じ込められたイオン30のすべて、または実質的にすべてが、イオンガイド36dの体積37の範囲内に包まれ得る。第一のイオンガイド36dに印加された対応するRF電圧は、所望のイオン30の質量に加えて、効率的に包まれたイオン30を閉じ込め集中させイオン36eへの効率的な送出を可能にする直径D1およびP1に応じて選択され得る一方、動作圧でガスの破壊電圧を超えない。
【0028】
さらに、出口開口32に最も近いイオンガイド36eは、出口開口32の大きさに従って内接直径D2を有する断面を用いて構成され得る。イオンガイド36eに印加される対応するRF電圧は、出口開口32の大きさに、すべて、または実質的にすべてのイオン30を集中するために、イオンガイド36eの体積37の範囲内でRF閉じ込め場を確立するための直径D2に従って選択され得る。出口開口の大きさは、例えば、円形の開口に対する場合におけるように、該直径によって、または正方形の開口に対する場合におけるように、開口の幅などの他の幾何学的構成に対する別の大きさのパラメータによって定義され得る。特定の幾何学的形状にかかわらず、出口開口32の断面積は、直径によって定義される等しい円形の断面積により一般に記載され得る。最適なイオン送出は、イオン30が出口開口32の直径以下である直径を有するイオンビームを形成するように集中される際に実現され得る。十分なイオン送出は、イオンビームの直径が出口開口32の直径よりも大きい場合に達成され得るが、最適なイオン送出集中が、ビームの直径が出口開口32の直径以下である場合に予測され得ることは、当業者に明白である。
【0029】
一般に、第一のイオンガイド36dの機能が出口開口28からのイオン30を捕捉し、集中するためのものである一方で、第二のイオンガイド36eの機能は、第一のイオンガイド36dから出口開口32にイオン30を集中し、送るためのものである。第一のイオンガイド36dの直径D1および対応する印加されるRF電圧は、バレルショックの既定の直径Dbに従って選択される一方で、第二のイオンガイド36eの直径D2および対応する印加されたRF電圧は、上述された出口開口32の直径に従って選択される。多様な実施形態において、バレルショックの直径Dbは、しばしば出口開口32の直径よりも大きくあり得、それゆえに、第一のイオンガイド36dの対応する断面は、第二のイオンガイド36eの対応する断面よりも大きくあり得る。結果的に、入口開口28と出口開口32との間の最適なイオン送出のための多様な実施形態においては、第二のイオンガイド36eの第一のイオンガイド36dに対する断面の相対比は、1未満であり得る。一般的には、実施例2で以下に論じられるように、出願人は、入口開口28と出口開口32との間の改善されたイオン30の送出を示すために、約0.6ミリメータのイオンガイドの断面の間の相対比を付与するように、約4ミリメータの直径D2および約7ミリメータの直径D1を利用した。多様な実施形態において、第一のイオンガイド36dおよび第二のイオンガイド36eの断面が等しい一方で、対応するRF電圧は、イオンの集中/送出およびイオンの受け入れのために独立して最適化されるRF閉じ込め場を提供するように選択され得る。
【0030】
多様な実施形態において、2つより多くのイオンガイドを備えている一連のイオンガイドは、付加的な多数の集中段階を提供される。例えば、図17においては、付加的なイオンガイド36xは、第一のイオンガイド36dと第二のイオンガイド36eとの間に配置される。付加的なイオンガイド36xは、第一のイオンガイド36dおよび第二のイオンガイド36eの直径の中間または等しい内部の直径Dxを有する対応する断面を用いて構成され得る。第一のイオンガイド36dおよび第二のイオンガイド36eに印加される対応するRF電圧の詳細は、上述されたとおりである一方で、イオンガイド36xに印加される対応するRF電圧は、同じ、または異なる半径方向の閉じ込め場を提供するように構成され得る。各対応するRF電圧は、2つ以上の独立した電源40および40aによって提供され得ること、または図16および図17に示されるように、単一の電源が独立した対応するRF電圧を適切に送るように構成され得ることは、当業者に明白である。
【0031】
一連の各イオンガイド36d、36xおよび36eの長さは、対応する半径方向のRF場が体積37の範囲内でイオン30を十分に集中するために必要な距離に従って適切に選択され得る。イオンガイドの集中機能に加えて、イオンガイドは、入口開口28と出口開口32との間で転送されるガスの量を制限するように物理的な機能を実行し得る。図18を参照すると、ガス流線86は、第一のイオンガイド36dを通過する超音速自由ジェット膨張34から出現するガスの表示であり得る。イオン30が第一のイオンガイド36dと第二のイオンガイド36eとの間で収束するときに、ガス86は、第二のイオンガイド36eの末端表面88に遭遇し得、イオン30の経路から遠くにそらされ得る。そらされたガス86は、矢印92によって示されるように、イオンガイド36dとイオンガイド36eとの間のギャップ90を通過し得る。これは、出口開口32を通って質量解析器44に送られるガス86に対するイオン30における改善という結果になり得る。
【0032】
さらに、イオンガイドの形状およびサイズは、ガス流の特徴に影響を及ぼし得る。例えば、多様な実施形態において、多極のイオンガイドの極直径を増加することは、イオンガイドの長さに沿ってより多くのガス流を閉じ込めることを導き得る。増加される極直径は、直径D1を維持すると同時に、隣接する極の間のギャップに対する中心軸100の間の半径方向の距離を効果的に増加する。これは、第一のイオンガイドにより多くのガス流を閉じ込める可能性を増加し得る。代替的に、多極の形状は、極の表面積を増加するプレートのようであり得る一方、より良いガスの閉じ込めを達成するためのギャップの大きさを維持し、または減少する。
【0033】
多様な実施形態において、図19に示される単一のイオンガイド94は、出口開口部32に最も近い直径D2によって特徴付けられる出口断面よりも大きい、イオン源に最も近い直径D1によって特徴付けられる入口断面を有するように構成され得る。簡単のために、共通のエレメントが図1におけるのと同じ参照番号を有する一方で、幾つかのエレメントは、この図の明瞭性を提供するために省略された。イオンガイド94に印加される単一のRF電圧は、中心軸100に沿って測定される際、入口直径D1と出口直径D2との間の強さを増加し得るRF閉じ込め場を提供し得る。上述されるように、RF電圧は、所望のイオン30の質量に従って選択され、動作圧でガスの破壊電圧を超えない要求によってだけ上端で制限される。入口断面に対する出口断面の相対比は、1未満であり得る。一般的には、該比は、2センチメータと20センチメータとの間の長さであるイオンガイド94を超えて約0.4であり得る。入口開口部28と出口開口部32との間で利用可能であるスペースにのみ制限してより大きな長さが可能であることは、当業者に明白である。
【0034】
多様な実施形態において、第二の真空チャンバ45は、第二の真空チャンバ45から質量解析器44までイオンを通過させるための流出開口を有し得、ここに、質量解析器44は、第三の真空チャンバに収納され得る。第二の真空チャンバ45は、736号特許に記載されたように、出口開口32と流出開口との間でイオン30を半径方向に閉じ込め、集中し、輸送するためのRFのみのイオンガイドを有し得る。出口開口32は、上述されたように、チャンバ間開口32として機能する。RFのみのイオンガイドは、イオンガイド36と同様に作られ得る。使用中に、イオン30は、第一の真空チャンバから、チャンバ間開口32を通って第2の真空チャンバ45へ通過し、ここで、イオン30が、RFのみのイオンガイドを横断するときに、イオン30は、RFイオンガイドによって半径方向に閉じ込められ、集中され得る。イオン30が、第二の真空チャンバ45から、流出開口を通って第三の真空チャンバへ通過した後、質量解析器44は、質量解析のためにイオン30を受け取る。イオンガイド36にRF電圧を提供する同じ電源40または別々の電源が、知られた方式でRF電圧を提供するためにRFのみのイオンガイドに接続され得る。
【0035】
イオン源22は、解析されるべきサンプルのタイプに依存する多くの公知のタイプのイオン源の1つであり得る。多様な実施形態において、イオン源22は、エレクトロスプレーもしくはスプレーデバイス、コロナ放電ニードル、プラズマイオン源、電子衝撃もしくは化学イオン化源、光イオン化源、MALDI源またはそれらの任意の組み合わせであり得る。当業者に知られたイオン源の他の望ましいタイプが使用され得、イオン源は、大気圧で、大気圧より上で、大気圧付近で、または大気圧より下でイオンを生成し得るが、絶対圧力比は、P1/P0≦0.528であるように、真空チャンバ26での圧力と関連する圧力よりも高い。
【0036】
本教示の局面は、以下の実施例を考慮してさらに理解され得るが、決して本教示の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0037】
(実施例1)
図15は、本教示に従い三重の四極質量分析器システムの感度を示すし、本教示は、m/z609先行モデルのm/z195フラグメントイオンをモニタする動作のマルチ反応モニタリングモードを使用して、200uL/分のサンプルの流量率で合成レセルピンの50pg注入に起因する。信号のピークの高さは、該システムの感度の直接的な指標であり得る。2つの別個の実験からの反応は、図15で重ね合わされ、この場合に、垂直軸は、正規化された強度を示し、水平軸は、任意の単位における時間の関数である。
【0038】
API 4000とラベルされた第一(低い方)のピークは、先行技術の質量分析器の応答であり、その質量分析器は、0.32ミリメータの入口開口の直径および2.4ミリメータのスキマーの直径を使用する、Applied Biosystems/MDS Sciexによって製造された、API 4000の三重の四極質量分析器である。
【0039】
ラベルAPI 5000によって示される第二(高い方)のピークは、本教示に従った三重の四極質量分析器装置での応答を示し、この場合に、入口開口部の直径が0.6ミリメータに増加され、RF四重イオンガイドが、本教示に従って超音速自由ジェットからイオンを捕捉し、集中するために使用された。この実施例においては、イオンガイドの領域における圧力は、2.6トルであり、イオンガイドの直径は、4ミリメータであって、式(1)に従って計算された、マッハディスクのバレルショックの最大の直径は、4.2ミリメータであった。感度においてラベル6xで示された約6倍の増加は、本教示に従ってかなりより良い質量分析性能を達成する能力を示す。
【0040】
(実施例2)
図20は、本教示に従った三重の四極質量分析器システムの感度を示し、このシステムは、図1の単一のイオンガイド36を図16の一連のイオンガイド36dおよび36eならびに対応するRF電圧を置換することから得たものである。図15と類似して、図20の結果は、m/z609先行モデルのm/z195フラグメントイオンをモニタする動作のマルチ反応モニタリングモードを使用して、200uL/分のサンプルの流量率で合成レセルピンの10pg/uLの注入液からであった。信号のピークの高さは、該システムの感度の直接的な指標であり得る。2つの別々の実験からの応答は、図20で重ね合わされ、この場合に、垂直軸は、正規化された強度を示し、水平軸は、任意の単位における時間の関数である。
【0041】
API 5000とラベルされた第一(低い方)のピークは、図15に示されるのと同じラベルに対する応答と類似する応答を示す。ラベルAPI 5000二重イオンガイドによって示される第二(大きい方)のピークは、同じ三重の四極質量分析器システム上での反応を示すが、しかしながら、該4ミリメータのイオンガイドは、直径7ミリメータの第一のイオンガイドおよび直径4ミリメータの第二のイオンガイドによって置換された。第一のイオンガイドの長さは、7ミリメータであり、第二のイオンガイドの長さは、5ミリメータであった。感度において約2倍〜約3倍の増加は、ラベル2〜3xによって示され、本教示に従ってかなりより良い質量分析性能を達成する能力を示す。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、本教示に従う質量分析器の概略図である。
【図2】図2は、本教示に従う入口開口、イオンおよび超音速自由ジェット膨張のより詳細な概略図である。
【図3】図3は、先行技術の開口およびスキマーの構成の概略図である。
【図4】図4は、図1の実施形態のコンピュータシミュレーションのグラフ表示である。
【図5】図5は、本教示に従うイオンガイドの多様な実施形態の概略図および概略断面図である。
【図6】図6は、本教示に従うイオンガイドの多様な実施形態の概略図および概略断面図である。
【図7】図7は、本教示に従うイオンガイドの多様な実施形態の概略図および概略断面図である。
【図8】図8は、本教示に従うイオンガイドの多様な実施形態の概略図および概略断面図である。
【図9】図9は、本教示に従うイオンガイドの多様な実施形態の概略図および概略断面図である。
【図10】図10は、本教示に従うイオンガイドの多様な実施形態の概略図および概略断面図である。
【図11】図11は、本教示に従うイオンガイドの多様な実施形態の概略断面図である。
【図12】図12は、本教示に従うイオンガイドの多様な実施形態の概略断面図である。
【図13】図13は、本教示の多様な実施形態の概略図である。
【図14】図14は、本教示の多様な実施形態の概略図である。
【図15】図15は、先行技術の質量分析器に対して本教示に従う質量分析器の改善された性能を示す知られた合成物の強度の輪郭である。
【図16】図16は、本教示の多様な実施形態の概略図である。
【図17】図17は、本教示の多様な実施形態の概略図である。
【図18】図18は、本教示に従う一連のイオンガイド、ガス流およびイオン送出のより詳細な概略図である。
【図19】図19は、本教示の多様な実施形態の概略図である。
【図20】図20は、本教示に従う質量分析器の改良された性能をさらに示す知られた合成物の強度の輪郭である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧領域においてイオンを生成するイオン源と、
真空チャンバであって、該高圧領域から該真空チャンバの中へイオンを通過させるための入口開口と、該真空チャンバからイオンを通過させるための出口開口とを備える真空チャンバと、
該入口開口と該出口開口との間のイオンガイドであって、内部の体積を定義する所定の断面を有するイオンガイドと、
該イオンガイドの該内部のボリューム内で半径方向にイオンを閉じ込めるために該イオンガイドにRF電圧を提供する電源と
を備えた質量分析器であって、
該入口開口の構成、および該イオン源と該真空チャンバとの間の圧力の相違が、該入口開口下流に超音速自由ジェット膨張を提供し、該超音速自由ジェット膨張は、所定の直径のバレルショックを備えており、
該イオンガイドの断面は、該超音速自由ジェット膨張の該バレルショックの所定の直径の少なくとも50%の大きさに合わされている、質量分析器。
【請求項2】
前記入口開口は、音速ノズルまたは音速開口部を備えている、請求項1に記載の質量分析器。
【請求項3】
前記イオンガイドは、四重極イオンガイド、六重極イオンガイド、八重極イオンガイド、リングガイドおよびそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項2に記載の質量分析器。
【請求項4】
前記イオンガイドは、四重極イオンガイドである、請求項3に記載の質量分析器。
【請求項5】
前記高圧領域は、実質的に大気圧である、請求項3に記載の質量分析器。
【請求項6】
前記真空チャンバは、約0.1トルと約10トルとの間の圧力を有する、請求項5に記載の質量分析器。
【請求項7】
前記入口開口部は、円形であり、約0.1ミリメータと約1ミリメータとの間の直径を有する、請求項6に記載の質量分析器。
【請求項8】
前記所定の断面は、内接円を形成し、約1ミリメータと約8ミリメータとの間の直径を有する、請求項7に記載の質量分析器。
【請求項9】
前記真空チャンバから通過されたイオンを受け取る質量解析器をさらに備えた、請求項1に記載の質量分析器。
【請求項10】
質量解析器と、
該質量解析器によって解析されるべきイオンを生成するイオン源と、
第1の真空チャンバであって、該イオンを受け取るための入口開口と、第一の該真空チャンバから該イオンを輸送するための出口開口とを備える第一の真空チャンバと、
所定の断面を有するイオンガイドであって、該入口開口と該出口開口との間の該第一の真空チャンバに配置されたイオンガイドと、
イオンガイドに接続され、該イオンガイドにRF電圧を提供する電源と
を備えた質量分析器であって、
該入口開口のサイズ、および該イオン源と該第一の真空チャンバとの間の差圧は、該第一の真空チャンバにおいて超音速自由ジェット膨張を生成し、
該イオンガイドの断面は、該超音速自由ジェット膨張のバレルショックの所定の直径の少なくとも50%のサイズにされており、
該超音速自由ジェット膨張内のイオンは、該イオンが該イオンガイドを横断するときに、半径方向に閉じ込められる、質量分析器。
【請求項11】
前記第一の真空チャンバの下流にある第二の真空チャンバと、
該第一の真空チャンバから前記イオンを受け取るためのチャンバ間開口を備える第二の真空チャンバと、
該第二の真空チャンバから該質量解析器にイオンを輸送するための流出開口と、
該チャンバ間の開口と該流出開口との間に配置されるRFのみのイオンガイドと
をさらに備える、請求項10に記載の質量分析器。
【請求項12】
前記第二の真空チャンバにおける前記RFのみのイオンガイド接続されて、該RFのみのイオンガイドにRF電圧を提供する電源をさらに備え、
それによって、イオンが該RFのみのイオンガイドを横断するときに、該イオンは、半径方向に集束される、請求項11に記載の質量分析器。
【請求項13】
質量解析を実行する方法であって、該方法は、
高圧領域においてイオンを生成することと、
真空チャンバであって、該高圧領域から該真空チャンバの中へイオンを通過させるための入口開口と、該真空チャンバからイオンを通過させるための出口開口とを備えた該真空チャンバの中へ該イオンを通過させることと、
該入口開口と出口開口との間のイオンガイドであって、内部のボリュームを定義する所定の断面を有するイオンガイドを提供することと、
該イオンガイドの該内部のボリューム内でイオンを半径方向にイオンを閉じ込めるために該イオンガイドにRF電圧を印加することと
を含み、
該入口開口の構成、および該高圧領域と該真空チャンバとの間の圧力差が、該入口開口の下流に超音速自由ジェット膨張を提供し、該超音速自由ジェット膨張は、所定の直径のバレルショックを備えており、
該イオンガイドの断面は、該超音速自由ジェット膨張のバレルショックの所定の直径の少なくとも50%のサイズにされている、方法。
【請求項14】
前記入口開口は、音速ノズルまたは音速開口を備えている、請求項13に記載の質量解析を実行するための方法。
【請求項15】
前記イオンガイドは、四重極イオンガイド、六重極イオンガイド、八重極イオンガイド、リングガイドおよびそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項14に記載の質量解析を実行するための方法。
【請求項16】
前記イオンガイドは、四重極イオンガイドである、請求項15に記載の質量解析を実行するための方法。
【請求項17】
前記高圧領域は、実質的に大気圧である、請求項15に記載の質量解析を実行するための方法。
【請求項18】
前記真空チャンバは、約0.1トルと約10トルとの間の圧力を有する、請求項17に記載の質量解析を実行するための方法。
【請求項19】
前記入口開口は、円形であり、約0.1ミリメータと約1ミリメータとの間の直径を有する、請求項18に記載の質量解析を実行するための方法。
【請求項20】
前記所定の断面は、内接円を形成し、約1ミリメータと約8ミリメータとの間の直径を有する、請求項19に記載の質量解析を実行するための方法。
【請求項21】
高圧領域においてイオンを生成するイオン源と、
真空チャンバであって、該高圧領域から該真空チャンバの中へイオンを通過させるための入口開口と、該真空チャンバからイオンを通過させるための出口開口とを備えている真空チャンバと、
該入口開口と該出口開口との間の一連の多極イオンガイドであって、該一連のイオンガイドの各々は、内部のボリュームを定義する所定の断面を有し、該一連のイオンガイドは、該入口開口の最も近くに配置された少なくとも第一のイオンガイドと、該出口開口の最も近くに配置された第二のイオンガイドとを備える、一連のイオンガイドと、
該イオンガイドの該内部のボリューム内でイオンを半径方向に閉じ込めるために、該イオンガイドの各々に対応するRF電圧を提供する電源と
を備えた質量分析器であって、
該入口開口の構成、および該イオン源と該真空チャンバとの間の圧力の相違が、該入口開口下流にの超音速自由ジェット膨張ダウンストリームを提供し、該超音速自由ジェット膨張は、所定の直径のバレルショックを備えており、
該第一のイオンガイドの断面、および該第一のイオンガイドに印加される対応するRF電圧は、該超音速自由ジェット膨張のバレルショックの該所定の直径の少なくとも50%を受け入れるように構成されている、質量分析器。
【請求項22】
前記第二のイオンガイドの断面、および該第二のイオンガイドに印加される対応するRF電圧は、前記出口開口の大きさに前記イオンを集中させるように構成されている、請求項21に記載の質量分析器。
【請求項23】
前記第二のイオンガイドの断面、および前記第一のイオンガイドの断面は、1以下の相対比を有する、請求項22に記載の質量分析器。
【請求項24】
前記比は、0.6以下である、請求項23に記載の質量分析器。
【請求項25】
前記多極イオンガイドは、四重極イオンガイド、六重極イオンガイド、八重極イオンガイドおよびそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項21に記載の質量分析器。
【請求項26】
各イオンガイドは、四重極イオンガイドである、請求項21に記載の質量分析器。
【請求項27】
前記高圧領域は、実質的に大気圧である、請求項21に記載の質量分析器。
【請求項28】
前記真空チャンバは、約0.1トルと約10トルとの間の圧力を有する、請求項27に記載の質量分析器。
【請求項29】
前記入口開口部は、円形であり、約0.1ミリメータと約1ミリメータとの間の直径を有する、請求項28に記載の質量分析器。
【請求項30】
前記第一のイオンガイドの断面は、内接円を形成し、約1ミリメータと約8ミリメータとの間の直径を有する、請求項29に記載の質量分析器。
【請求項31】
前記電源は、対応するRF電圧を提供するための少なくとも2つの別々の電源を備えている、請求項21に記載の質量分析器。
【請求項32】
前記真空チャンバから通過されたイオンを受け取る質量解析器をさらに備えている、請求項21に記載の質量分析器。
【請求項33】
高圧領域においてイオンを生成するイオン源と、
真空チャンバであって、該高圧領域から該真空チャンバの中へイオンを通過させるための入口開口と、該真空チャンバからイオンを通過させるための出口開口とを備える真空チャンバと、
該入口開口と該出口開口との間の一連の多極イオンガイドであって、該イオンガイドは、内部のボリュームを定義する入口断面および出口断面を有し、該出口断面および該入り口断面は、1未満の相対比を有する、一連の多極イオンガイドと、
該イオンガイドの該内部のボリューム内で半径方向にイオンを閉じ込めるために該イオンガイドにRF電圧を提供する電源と
を備えた質量分析器であって、
該入口開口の構成、および該イオン源と該真空チャンバとの間の圧力の相違が、該入口開口の下流に超音速自由ジェット膨張を提供し、該超音速自由ジェット膨張は、所定の直径のバレルショックを備えており、
該入口断面は、該超音速自由ジェット膨張のバレルショックの該所定の直径の少なくとも50%を受け入れるように構成され、該出口断面は、該イオンを該出口開口に集中させるように構成されている、質量分析器。
【請求項34】
前記比は、0.4以下である、請求項33に記載の質量分析器。
【請求項35】
前記イオンガイドは、四重極イオンガイド、六重極イオンガイドおよび八重極イオンガイドから選択される、請求項33に記載の質量分析器。
【請求項36】
前記イオンガイドは、四重極イオンガイドである、請求項33に記載の質量分析器。
【請求項37】
質量解析を実行するための方法であって、該方法は、
高圧領域においてイオンを生成することと、
真空チャンバであって、該高圧領域から該真空チャンバの中へイオンを通過させるための入口開口と、該真空チャンバからイオンを通過させるための出口開口とを備える真空チャンバにイオンを通過させることと、
該入口開口と該出口開口との間の一連の多極イオンガイドであって、該一連のイオンガイドの各々は、内部のボリュームを定義する所定の断面を有し、該一連のイオンガイドは、該入口開口の最も近くに配置された少なくとも第一のイオンガイドおよび該出口開口の最も近くに配置された第二のイオンガイドを備えている一連の多極イオンガイドを提供することと、
該イオンガイドの内部のボリューム内で半径方向にイオンを閉じ込めるために、各イオンガイドに対応するRF電圧を印加することと
を備え、
該入口開口の構成、および該高圧領域と該真空チャンバとの間の圧力の相違が、該入口開口下流に超音速自由ジェット膨張を提供し、該超音速自由ジェット膨張は、所定の直径のバレルショックを備えており、
該一連のイオンガイドにおける少なくとも第一のイオンガイドの断面および対応するRF電圧は、該超音速自由ジェット膨張のバレルショックの該所定の直径の少なくとも50%を受け入れるように構成されている、方法。
【請求項38】
前記一連のイオンガイドにおける少なくとも該第二のイオンガイドの断面および該第二のイオンガイドに印加される対応するRF電圧は、該出口開口の大きさにイオンを集中するように構成されている、請求項37に記載の質量解析を実行するための方法。
【請求項39】
前記第二のイオンガイドの断面および前記第一のイオンガイドの断面は、1以下の相対比を有する、請求項38に記載の質量解析を実行するための方法。
【請求項40】
前記比は、0.6以下である、請求項39に記載の質量解析を実行するための方法。
【請求項1】
高圧領域においてイオンを生成するイオン源と、
真空チャンバであって、該高圧領域から該真空チャンバの中へイオンを通過させるための入口開口と、該真空チャンバからイオンを通過させるための出口開口とを備える真空チャンバと、
該入口開口と該出口開口との間のイオンガイドであって、内部の体積を定義する所定の断面を有するイオンガイドと、
該イオンガイドの該内部のボリューム内で半径方向にイオンを閉じ込めるために該イオンガイドにRF電圧を提供する電源と
を備えた質量分析器であって、
該入口開口の構成、および該イオン源と該真空チャンバとの間の圧力の相違が、該入口開口下流に超音速自由ジェット膨張を提供し、該超音速自由ジェット膨張は、所定の直径のバレルショックを備えており、
該イオンガイドの断面は、該超音速自由ジェット膨張の該バレルショックの所定の直径の少なくとも50%の大きさに合わされている、質量分析器。
【請求項2】
前記入口開口は、音速ノズルまたは音速開口部を備えている、請求項1に記載の質量分析器。
【請求項3】
前記イオンガイドは、四重極イオンガイド、六重極イオンガイド、八重極イオンガイド、リングガイドおよびそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項2に記載の質量分析器。
【請求項4】
前記イオンガイドは、四重極イオンガイドである、請求項3に記載の質量分析器。
【請求項5】
前記高圧領域は、実質的に大気圧である、請求項3に記載の質量分析器。
【請求項6】
前記真空チャンバは、約0.1トルと約10トルとの間の圧力を有する、請求項5に記載の質量分析器。
【請求項7】
前記入口開口部は、円形であり、約0.1ミリメータと約1ミリメータとの間の直径を有する、請求項6に記載の質量分析器。
【請求項8】
前記所定の断面は、内接円を形成し、約1ミリメータと約8ミリメータとの間の直径を有する、請求項7に記載の質量分析器。
【請求項9】
前記真空チャンバから通過されたイオンを受け取る質量解析器をさらに備えた、請求項1に記載の質量分析器。
【請求項10】
質量解析器と、
該質量解析器によって解析されるべきイオンを生成するイオン源と、
第1の真空チャンバであって、該イオンを受け取るための入口開口と、第一の該真空チャンバから該イオンを輸送するための出口開口とを備える第一の真空チャンバと、
所定の断面を有するイオンガイドであって、該入口開口と該出口開口との間の該第一の真空チャンバに配置されたイオンガイドと、
イオンガイドに接続され、該イオンガイドにRF電圧を提供する電源と
を備えた質量分析器であって、
該入口開口のサイズ、および該イオン源と該第一の真空チャンバとの間の差圧は、該第一の真空チャンバにおいて超音速自由ジェット膨張を生成し、
該イオンガイドの断面は、該超音速自由ジェット膨張のバレルショックの所定の直径の少なくとも50%のサイズにされており、
該超音速自由ジェット膨張内のイオンは、該イオンが該イオンガイドを横断するときに、半径方向に閉じ込められる、質量分析器。
【請求項11】
前記第一の真空チャンバの下流にある第二の真空チャンバと、
該第一の真空チャンバから前記イオンを受け取るためのチャンバ間開口を備える第二の真空チャンバと、
該第二の真空チャンバから該質量解析器にイオンを輸送するための流出開口と、
該チャンバ間の開口と該流出開口との間に配置されるRFのみのイオンガイドと
をさらに備える、請求項10に記載の質量分析器。
【請求項12】
前記第二の真空チャンバにおける前記RFのみのイオンガイド接続されて、該RFのみのイオンガイドにRF電圧を提供する電源をさらに備え、
それによって、イオンが該RFのみのイオンガイドを横断するときに、該イオンは、半径方向に集束される、請求項11に記載の質量分析器。
【請求項13】
質量解析を実行する方法であって、該方法は、
高圧領域においてイオンを生成することと、
真空チャンバであって、該高圧領域から該真空チャンバの中へイオンを通過させるための入口開口と、該真空チャンバからイオンを通過させるための出口開口とを備えた該真空チャンバの中へ該イオンを通過させることと、
該入口開口と出口開口との間のイオンガイドであって、内部のボリュームを定義する所定の断面を有するイオンガイドを提供することと、
該イオンガイドの該内部のボリューム内でイオンを半径方向にイオンを閉じ込めるために該イオンガイドにRF電圧を印加することと
を含み、
該入口開口の構成、および該高圧領域と該真空チャンバとの間の圧力差が、該入口開口の下流に超音速自由ジェット膨張を提供し、該超音速自由ジェット膨張は、所定の直径のバレルショックを備えており、
該イオンガイドの断面は、該超音速自由ジェット膨張のバレルショックの所定の直径の少なくとも50%のサイズにされている、方法。
【請求項14】
前記入口開口は、音速ノズルまたは音速開口を備えている、請求項13に記載の質量解析を実行するための方法。
【請求項15】
前記イオンガイドは、四重極イオンガイド、六重極イオンガイド、八重極イオンガイド、リングガイドおよびそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項14に記載の質量解析を実行するための方法。
【請求項16】
前記イオンガイドは、四重極イオンガイドである、請求項15に記載の質量解析を実行するための方法。
【請求項17】
前記高圧領域は、実質的に大気圧である、請求項15に記載の質量解析を実行するための方法。
【請求項18】
前記真空チャンバは、約0.1トルと約10トルとの間の圧力を有する、請求項17に記載の質量解析を実行するための方法。
【請求項19】
前記入口開口は、円形であり、約0.1ミリメータと約1ミリメータとの間の直径を有する、請求項18に記載の質量解析を実行するための方法。
【請求項20】
前記所定の断面は、内接円を形成し、約1ミリメータと約8ミリメータとの間の直径を有する、請求項19に記載の質量解析を実行するための方法。
【請求項21】
高圧領域においてイオンを生成するイオン源と、
真空チャンバであって、該高圧領域から該真空チャンバの中へイオンを通過させるための入口開口と、該真空チャンバからイオンを通過させるための出口開口とを備えている真空チャンバと、
該入口開口と該出口開口との間の一連の多極イオンガイドであって、該一連のイオンガイドの各々は、内部のボリュームを定義する所定の断面を有し、該一連のイオンガイドは、該入口開口の最も近くに配置された少なくとも第一のイオンガイドと、該出口開口の最も近くに配置された第二のイオンガイドとを備える、一連のイオンガイドと、
該イオンガイドの該内部のボリューム内でイオンを半径方向に閉じ込めるために、該イオンガイドの各々に対応するRF電圧を提供する電源と
を備えた質量分析器であって、
該入口開口の構成、および該イオン源と該真空チャンバとの間の圧力の相違が、該入口開口下流にの超音速自由ジェット膨張ダウンストリームを提供し、該超音速自由ジェット膨張は、所定の直径のバレルショックを備えており、
該第一のイオンガイドの断面、および該第一のイオンガイドに印加される対応するRF電圧は、該超音速自由ジェット膨張のバレルショックの該所定の直径の少なくとも50%を受け入れるように構成されている、質量分析器。
【請求項22】
前記第二のイオンガイドの断面、および該第二のイオンガイドに印加される対応するRF電圧は、前記出口開口の大きさに前記イオンを集中させるように構成されている、請求項21に記載の質量分析器。
【請求項23】
前記第二のイオンガイドの断面、および前記第一のイオンガイドの断面は、1以下の相対比を有する、請求項22に記載の質量分析器。
【請求項24】
前記比は、0.6以下である、請求項23に記載の質量分析器。
【請求項25】
前記多極イオンガイドは、四重極イオンガイド、六重極イオンガイド、八重極イオンガイドおよびそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項21に記載の質量分析器。
【請求項26】
各イオンガイドは、四重極イオンガイドである、請求項21に記載の質量分析器。
【請求項27】
前記高圧領域は、実質的に大気圧である、請求項21に記載の質量分析器。
【請求項28】
前記真空チャンバは、約0.1トルと約10トルとの間の圧力を有する、請求項27に記載の質量分析器。
【請求項29】
前記入口開口部は、円形であり、約0.1ミリメータと約1ミリメータとの間の直径を有する、請求項28に記載の質量分析器。
【請求項30】
前記第一のイオンガイドの断面は、内接円を形成し、約1ミリメータと約8ミリメータとの間の直径を有する、請求項29に記載の質量分析器。
【請求項31】
前記電源は、対応するRF電圧を提供するための少なくとも2つの別々の電源を備えている、請求項21に記載の質量分析器。
【請求項32】
前記真空チャンバから通過されたイオンを受け取る質量解析器をさらに備えている、請求項21に記載の質量分析器。
【請求項33】
高圧領域においてイオンを生成するイオン源と、
真空チャンバであって、該高圧領域から該真空チャンバの中へイオンを通過させるための入口開口と、該真空チャンバからイオンを通過させるための出口開口とを備える真空チャンバと、
該入口開口と該出口開口との間の一連の多極イオンガイドであって、該イオンガイドは、内部のボリュームを定義する入口断面および出口断面を有し、該出口断面および該入り口断面は、1未満の相対比を有する、一連の多極イオンガイドと、
該イオンガイドの該内部のボリューム内で半径方向にイオンを閉じ込めるために該イオンガイドにRF電圧を提供する電源と
を備えた質量分析器であって、
該入口開口の構成、および該イオン源と該真空チャンバとの間の圧力の相違が、該入口開口の下流に超音速自由ジェット膨張を提供し、該超音速自由ジェット膨張は、所定の直径のバレルショックを備えており、
該入口断面は、該超音速自由ジェット膨張のバレルショックの該所定の直径の少なくとも50%を受け入れるように構成され、該出口断面は、該イオンを該出口開口に集中させるように構成されている、質量分析器。
【請求項34】
前記比は、0.4以下である、請求項33に記載の質量分析器。
【請求項35】
前記イオンガイドは、四重極イオンガイド、六重極イオンガイドおよび八重極イオンガイドから選択される、請求項33に記載の質量分析器。
【請求項36】
前記イオンガイドは、四重極イオンガイドである、請求項33に記載の質量分析器。
【請求項37】
質量解析を実行するための方法であって、該方法は、
高圧領域においてイオンを生成することと、
真空チャンバであって、該高圧領域から該真空チャンバの中へイオンを通過させるための入口開口と、該真空チャンバからイオンを通過させるための出口開口とを備える真空チャンバにイオンを通過させることと、
該入口開口と該出口開口との間の一連の多極イオンガイドであって、該一連のイオンガイドの各々は、内部のボリュームを定義する所定の断面を有し、該一連のイオンガイドは、該入口開口の最も近くに配置された少なくとも第一のイオンガイドおよび該出口開口の最も近くに配置された第二のイオンガイドを備えている一連の多極イオンガイドを提供することと、
該イオンガイドの内部のボリューム内で半径方向にイオンを閉じ込めるために、各イオンガイドに対応するRF電圧を印加することと
を備え、
該入口開口の構成、および該高圧領域と該真空チャンバとの間の圧力の相違が、該入口開口下流に超音速自由ジェット膨張を提供し、該超音速自由ジェット膨張は、所定の直径のバレルショックを備えており、
該一連のイオンガイドにおける少なくとも第一のイオンガイドの断面および対応するRF電圧は、該超音速自由ジェット膨張のバレルショックの該所定の直径の少なくとも50%を受け入れるように構成されている、方法。
【請求項38】
前記一連のイオンガイドにおける少なくとも該第二のイオンガイドの断面および該第二のイオンガイドに印加される対応するRF電圧は、該出口開口の大きさにイオンを集中するように構成されている、請求項37に記載の質量解析を実行するための方法。
【請求項39】
前記第二のイオンガイドの断面および前記第一のイオンガイドの断面は、1以下の相対比を有する、請求項38に記載の質量解析を実行するための方法。
【請求項40】
前記比は、0.6以下である、請求項39に記載の質量解析を実行するための方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図15】
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【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2008−527653(P2008−527653A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550506(P2007−550506)
【出願日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/000492
【国際公開番号】WO2006/076228
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(505123697)アプレラ コーポレイション (21)
【出願人】(506183133)エムディーエス インコーポレーテッド (7)
【出願人】(507231965)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/000492
【国際公開番号】WO2006/076228
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(505123697)アプレラ コーポレイション (21)
【出願人】(506183133)エムディーエス インコーポレーテッド (7)
【出願人】(507231965)
【Fターム(参考)】
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