説明

赤外吸収インキ印刷物

【課題】紙基材へオフセット印刷及び/又は活版印刷による赤外吸収インキを使用しても、反りの発生が少なく、低コストで、使用する際にも容易である赤外吸収インキ印刷物を提供する。
【解決手段】紙基材11の一方の面に、赤外吸収インキ印刷層21を有し、かつ、紙基材11の他方の面の前記赤外吸収インキ印刷層21に相対する部分に反り低減印刷層23を有し、上記反り低減印刷層23の絵柄が上記赤外吸収インキ印刷層21の絵柄と略同一であり、また、上記赤外吸収インキ印刷層21と上記反り低減印刷層23の印刷方法がオフセット印刷及び/又は活版印刷であり、さらに上記赤外吸収インキ印刷層21と上記反り低減印刷層23の印刷インキが酸化重合インキ及び/又は紫外線硬化インキであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外吸収インキ印刷物に関し、さらに詳しくは、紙基材へオフセット印刷及び/又は活版印刷による赤外吸収インキを使用しても、反りの少ない赤外吸収インキ印刷物に関するものである。
【0002】
本明細書において、配合を示す「比」、「部」、「%」などは特に断わらない限り質量基準であり、「/」印は一体的に積層されていることを示す。また、「UV」は「紫外線」の略語、機能的表現、通称、又は業界用語である。
【背景技術】
【0003】
(主なる用途)本発明の赤外吸収インキ印刷物の主なる用途としては、通常環境では視認しにくく、赤外線照射して赤外線検出装置により画像を検出できる赤外吸収インキを用いたセキュリティ印刷物で、チケットやクジなどの金券やプリペイドカードなどの有価証券類、パスポート、あるいはIDカードなどの偽造を防止することが必要とされている印刷物で、印刷による紙基材の反りを解消したものである。しかしながら、紙基材へオフセット印刷及び/又は活版印刷による赤外吸収インキを使用しても、反りの少なさを必要とする用途であれば、特に限定されるものではない。
【0004】
(背景技術)従来、金券や有価証券類などの偽造防止が必要とされている印刷物については、セキュリティ性を高めるために、通常環境である可視光下で肉眼により視認しがたく、赤外線を照射することにより赤外線検出カメラなどにより画像を検出することが可能となる赤外吸収インキが開発されている。該赤外吸収インキとしては、可視光領域に吸収を実質的に持たず、赤外領域に吸収を有する材料を含有させた透明な赤外吸収インキが知られている。このような赤外吸収インキの利用法としては、赤外吸収インキによりバーコードを印刷し、赤外線検出器などによりそのコード情報を利用する方法や、赤外吸収インキにより印刷物中にあるパターンを印刷しておき、赤外線カメラにより確認する方法などが知られている。該赤外吸収インキを紙基材に印刷した赤外吸収インキ印刷物の赤外吸収インキ印刷層は比較的厚く、及び/又は紙基材の表面へある程度吸収されるために、印刷後の赤外吸収インキ印刷物は、著しく反り(カールともいう)が発生してしまう。この反りは製本、丁合、梱包などの後加工の生産性が低下し高コストとなる。また、実使用する際に、取扱いしにくいという欠点がある。
そこで、赤外吸収インキ印刷物は、反りの発生が少なく、低コストで、取扱する際にも容易であることが求められている。
【0005】
(先行技術)従来、基材上にクツション層、シート状物層、受容層を順次設けてなり、基材裏面にカール防止処理層を設けて、保存時にカールが発生しない優れた被熱転写シートが知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、カール防止処理層はコーティング法による全面塗布層であり、高価なコーティング機械を用いて、不要な部分まで層を形成するので高コストであるという欠点がある。
また、像面に染料または顔料を含む少なくとも一種類の水性インクが付加された基材の反対面に、透明水性液または水性インクを付加し、該付加の前、間中および後の各段階でインク乾燥手段による任意の基材加熱によって行なう紙カール低減式印刷方法と装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、水性インキによる吸収と脱湿を強制的に行うので、水性インキの付与と乾燥の制御と管理を厳密に行わければならず、また専用の装置を必要とするという欠点がある。
【0006】
【特許文献1】特開平01−44781号公報
【特許文献2】特開平09−216389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は上記のような問題点を解消するために、本発明者らは鋭意研究を進め、本発明の完成に至ったものである。その目的は、紙基材へオフセット印刷及び/又は活版印刷による赤外吸収インキを使用しても、反りの発生が少なく、低コストで、使用する際にも容易である赤外吸収インキ印刷物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明に係わる赤外吸収インキ印刷物は、紙基材に対する赤外吸収インキの印刷物であって、紙基材の一方の面に赤外吸収インキ印刷層を有し、かつ、紙基材の他方の面の前記赤外吸収インキ印刷層に相対する部分に反り低減印刷層を有するように、したものである。
請求項2の発明に係わる赤外吸収インキ印刷物は、上記反り低減印刷層の絵柄が、上記赤外吸収インキ印刷層の絵柄と略同一であるように、したものである。
請求項3の発明に係わる赤外吸収インキ印刷物は、上記赤外吸収インキ印刷層と上記反り低減印刷層の印刷方法が、オフセット印刷及び/又は活版印刷であるように、したものである。
請求項4の発明に係わる赤外吸収インキ印刷物は、上記赤外吸収インキ印刷層と上記反り低減印刷層の印刷インキが、酸化重合インキ及び/又は紫外線硬化インキであるように、したものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の本発明によれば、反りの発生が少なく、製本、丁合、梱包などの後加工の生産性が低下しないので、低コストで、実使用する際にも取扱いやすく容易である赤外吸収インキ印刷物が提供される。
請求項2の本発明によれば、請求項1の効果に加えて、赤外吸収インキ印刷層の絵柄と、裏面の反り低減印刷層の絵柄が略同一であればよいので、より低コストな赤外吸収インキ印刷物が提供される。
請求項3の本発明によれば、請求項1〜2の効果に加えて、赤外吸収インキ印刷層及び反り低減印刷層の絵柄印刷と、品名、デザイン及び説明文などの他の一般印刷層とを、同様な印刷方法で印刷でき、多色印刷機で同時に印刷できるので、より低コストである赤外吸収インキ印刷物が提供される。
請求項4の本発明によれば、請求項1〜3の効果に加えて、赤外吸収インキ印刷層及び反り低減印刷層の印刷インキが、酸化重合及び/又は紫外線硬化したインキ層となり、強固で耐久性の高い赤外吸収インキ印刷物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1は、本発明の1実施例を示す赤外吸収インキ印刷物の断面図である。
図2は、本発明の1実施例を示す赤外吸収インキ印刷物の断面図である。
図3は、本発明の1実施例を示す赤外吸収インキ印刷物の断面図である。
【0011】
(赤外吸収インキ印刷物)本発明の赤外吸収インキ印刷物10は、図1に示すように、紙基材11の一方の面に赤外吸収インキ印刷層21を有し、紙基材11の他方の面の前記赤外吸収インキ印刷層21の相対する部分には反り低減印刷層23を有する。即ち、赤外吸収インキ印刷層21/紙基材11/反り低減印刷層23の構成で、紙基材11を挟んで赤外吸収インキ印刷層21と反り低減印刷層23とが対称する構造となるので、反りが極めて発生しにくくなる。
【0012】
(紙基材)紙基材11としては、具体的には、賦型性、耐屈曲性、剛性等を持たせる紙を主体とする基材であり、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは純白ロール紙、クラフト紙、板紙、上質紙、OCR用紙、アート紙、コート紙、ミラーコート紙、コンデンサー紙、パラフィン紙などの紙類や、ポリエステル、ポリプロピレン、セロファン、アセテート、塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリルなどのプラスティックフィルム、銅、アルミニウムなどの金属類などを組み合わせた加工紙などの複合紙基材としてもよい。
【0013】
上記の紙層を構成する紙基材11の坪量としては特に制限はないが、通常40〜1000g/m2程度のもの、好ましくは、60〜600g/m2位のものである。また、赤外吸収画像パターンを正しく検出するためには、赤外線を80%以上反射する材質であることが好ましい。基体として要求される物性、例えば強度、剛性、隠蔽性、光不透過性などを考慮して、上記材料から適宜選択すればよい。
【0014】
(赤外吸収インキ印刷層)赤外吸収インキ印刷層21は赤外吸収インキを印刷した層であり、該赤外吸収インキは赤外吸収材料とビヒクルとからなり、必要に応じて、充填剤、可塑剤、分散剤、潤滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、防黴剤、などの添加剤を、適宜加えても良く、無色でも有色でもよい。これらの組成物を、分散、混練して、また、必要に応じて、溶剤で固形分量や粘度を調整して、インキ組成物とすればよい。有色はシアン、マゼンタ、イエロー、赤、緑、青など、何色でもよく、可視光下での色調の限定はない。
【0015】
前記赤外吸収性材料としては、赤外線を吸収する物質であって、赤外吸収性顔料と赤外吸収性染料に大別することができる。可視光をほとんどあるいは全く吸収しない無色の赤外吸収性顔料と、可視領域にある程度の吸収帯を持つ有色の赤外吸収性顔料とに大別できるが、無色のものは高価であり、本発明においては有色のものでも赤外吸収により形成する画像パターンの隠蔽性に優れているので、製造コストを低減する目的で有色の赤外吸収性顔料を用いることが好ましい。
【0016】
赤外吸収性顔料としては、鉄、銅、クロム、コバルト、ニッケルなどの遷移金属化合物及び錯体を用いることができる。例えば、鉄錯体(鉄フェリシアン化錯体)であるミロリーブルー顔料が好ましく用いられる。また、上記の化合物を単独で使用するほか、2種以上を混合して使用することもできる。また、赤外吸収性染料としては、ポリメチン系(シアニン色素)、フタロシアニン系、ナフトキノン系、アントラキノン系、ジチオール系、トリフェニルメタン系などの色素を用いることができる。
【0017】
耐光性(赤外線に対する褪色性)などの点においては、赤外吸収性染料よりも赤外吸収性顔料の方が優れており、上記の金属顔料などの無機物を使用することが好ましい。赤外吸収性インキを構成する組成全体に対する赤外吸収性顔料の含有量は、十分な赤外吸収強度と印刷する紙基体への接着性の双方の向上を図る上で0.5〜35重量%が好ましい。含有量が少ないと赤外吸収強度が十分でなく赤外吸収により形成した画像パターンを判別できなくなる可能性がある。また、含有量が多いと印刷性が悪化する。
(反り低減印刷層)反り低減印刷層23は紙基材11の他方の面(裏面)の赤外吸収インキ印刷層21に相対する部分に設ける。反り低減印刷層23のインキは、特に制限はないが、好ましくは、赤外吸収インキ印刷層21の赤外吸収剤を含まないメジウムインキである。該メジウムインキには透明樹脂(ビヒクル)と溶剤からなるインキであるが、必要に応じて、充填剤、可塑剤、分散剤、潤滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、防黴剤、などの添加剤を、適宜加えても良く、無色でも有色でもよい。これらの組成物を、分散、混練して、また、必要に応じて、溶剤で固形分量や粘度を調整して、インキ組成物とすればよい。
【0018】
(ビヒクル)赤外吸収インキ印刷層21及び/又は反り低減印刷層23の印刷方法を公知で一般的な印刷技術であるオフセット印刷及び/又は活版印刷で行うことで、より低コストにすることができる。該赤外吸収インキ印刷層21及び反り低減印刷層23のビヒクルは、同様なものでよい。通常、オフセット印刷インキ又は活版印刷インキには、酸化重合型インキと紫外線硬化型インキが適用できるが、紙基材への浸透の少ない点から紫外線硬化型インキが好ましい。
【0019】
酸化重合型インキは、油性インキと呼ばれ、ビヒクルの酸化重合による固化、不溶化によって皮膜をつくるもので、乾性油ワニス、乾性アルキドなどがこの部類に入る。酸化促進剤としてコバルトやマンガンが添加されている。さらに、必要に応じて乾燥、粘度、分散性の向上や、印刷後のインキ表面の耐摩擦性などの耐久性の向上のためのの各種反応剤などの補助剤を適宜添加することができる。
【0020】
紫外線硬化型インキの樹脂形成材料としては、プレポリマーまたはオリゴマーとして、ポリオールアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、アルキッドアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系等、モノマーとしては、モノアクリレート系、ジアクリレート系、トリアクリレート系等を使用したインキが挙げられる。このようなインキを印刷し乾燥して、必要に応じて、温度30℃〜70℃で適宜エージングしたり、紫外線硬化型インキは紫外線を照射すれば反り低減印刷層23が形成できる。
【0021】
(印刷方法)赤外吸収インキ印刷層21及び/又は反り低減印刷層23の印刷方法を公知で一般的な印刷技術であるオフセット印刷及び/又は活版印刷で行うことで、より低コストにすることができる。特に好ましくは、赤外吸収インキ印刷層21及び/又は反り低減印刷層23の印刷を、同じインキ系を用いて、同じ印刷方法で行うことである。同じインキ系とは、赤外吸収インキ印刷層21と反り低減印刷層23の印刷インキが酸化重合インキ又は紫外線硬化インキであり、同じ印刷方法とは、赤外吸収インキ印刷層21と反り低減印刷層23を印刷オフセット印刷又は活版印刷で行うことである。このようにすると、赤外吸収インキ印刷層及び反り低減印刷層の絵柄印刷と、品名、デザイン及び説明文などの他の一般印刷層とを、同様な印刷方法で印刷でき、多色印刷機で同時に印刷できるので、より低コストとすることができる。紙基材11を挟んだ赤外吸収インキ印刷層21と反り低減印刷層23との対称構造がより正確となるので、反りが極めて発生しにくくなる。もちろん、それぞれを組合わせてもよい。
【0022】
(絵柄)赤外吸収インキ印刷層21と反り低減印刷層23の絵柄は略同一の絵柄とする。反り低減印刷層23の絵柄は、図1に示すように赤外吸収インキ印刷層21と同一でも、図2に示すように赤外吸収インキ印刷層21より大きくても、図3に示すように赤外吸収インキ印刷層21より小さくてもよい。但し、赤外吸収インキ印刷層21と反り低減印刷層23の絵柄とは、表裏それぞれの面から見た場合には鏡像絵柄となるが、一方の面から透視した状態の絵柄をいい、該絵柄が略同一とすればよい。反りに影響のない範囲であれば、表裏での多少の絵柄ズレも許容されるものである。紙基材11を挟んだ赤外吸収インキ印刷層21と反り低減印刷層23との対称構造は維持されるので、反りが防止される。
【0023】
また、赤外吸収インキ印刷層21と反り低減印刷層23の絵柄はそれぞれが、ベタ印刷だけでなく、文字、イラスト、写真、網点、及び/又はバーコードなどでもよい。赤外吸収インキ印刷層21の絵柄は赤外線検出器などを用いて、目視で観察してもよく、また、赤外吸収インキによるパターンと可視インキによるパターンを印刷しておき、不可視の赤外吸収インキによるパターンを赤外線カメラにより確認し、可視インキによるパターンと照合したり、してもよい。さらに、赤外吸収インキによりバーコードを印刷し、赤外線検出器などによりそのコード情報を利用して、機械的に偽造かどうかを確認することもできる。
【0024】
(他の印刷層)紙基材11と赤外吸収インキ印刷層21、及び/又は紙基材11と反り低減印刷層23との間、又は表裏表面に、図1中に図示しない目止め印刷層、中間層及び保護層などを形成してもよい。
【0025】
(目止め印刷)例えば、目止め印刷層は、赤外吸収インキ印刷層21インキ及び/又は反り低減印刷層23インキが紙基材への浸透を抑止するための印刷層である。通常は、無色のメジウムインキを印刷した印刷層が用いられる。メジウムインキは、透明樹脂(ビヒクル)と溶剤からなるインキで僅かに添加剤が添加される場合もある。現今、オフセット印刷インキまたは活版印刷インキには、酸化重合型インキと紫外線硬化型インキが多用されているが、目止め効果の点からは前記のように紫外線硬化型インキが、紙基材への浸透が少ない点から好ましい。目止め印刷層を設けた赤外吸収インキ印刷層21は、オフセット印刷及び/又は活版印刷で紙基材へ印刷しても、着肉量が多く、紙基材への赤外吸収インキの浸透もないので、十分な香りが得られる。また、目止め印刷層を設けた反り低減印刷層23は、より反り防止効果に優れる。
【0026】
保護層としては、上述の赤外吸収インキ印刷層21の赤外吸収性インキのビヒクル成分を構成する樹脂として例示したものを用いることができる。特に溶剤を用いない光重合硬化型のものが好ましく、例えばアクリル系樹脂などがある。これは、前述のアクリル系モノマーを用いて形成することができる。尚、前述のように重合開始剤などの添加剤が含有されるが、これらの添加剤も可視光及び赤外線に対して透過性の高いものが適宜選択すればよい。また、最表面にはメジウムなどのオフセット印刷などによりOP層を形成してもよい。
【実施例】
【0027】
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
【0028】
(実施例1)紙基材11として上質紙(64g/m2)を用いた。該上質紙の一方の面に、赤外吸収インキとしてUV−M−SDP10(ザ・インテック社製、商品名)を用いて、UVオフセット印刷で、文字「OK」を繰返し印刷絵柄の赤外吸収インキ印刷層21を印刷し、同時に品名、説明分などの通常印刷も行った。
次いで、上質紙の他方の面に、オフセット枚葉印刷機を用いて、無色の紫外線硬化型メジウムインキ(ザ・インクテック社製、商品名UV−BF−SGメジウム)を使用し、UVオフセット印刷で、赤外吸収インキ印刷層21の相対する部分に、逆OK文字模様(結果的には同じ絵柄)を印刷して反り低減印刷層23を設けて、実施例1の赤外吸収インキ印刷物を得た。
【0029】
(実施例2)反り低減印刷層23のインキを酸化重合型インキ(ザインクテック社製、商品名NSインキ)を用いて、オフセット印刷する以外は実施例1と同様にして、実施例2の赤外吸収インキ印刷物を得た。
【0030】
(実施例3)UVオフセット印刷をUV活版印刷とする以外は実施例1と同様にして、実施例3の赤外吸収インキ印刷物を得た。
【0031】
(実施例4)紙基材11の両面に、紫外線硬化型メジウムインキ(エポキシアクリレート系オリゴマー)を用いて目止め印刷をオフセット枚葉印刷機で印刷した後、実施例1と同様にして、実施例4の赤外吸収インキ印刷物を得た。
【0032】
(比較例1)反り低減印刷層23を設けない以外は実施例1と同様にして、比較例1の赤外吸収インキ印刷物を得た。
【0033】
(比較例2)反り低減印刷層23を設けない以外は実施例3と同様にして、比較例2の赤外吸収インキ印刷物を得た。
【0034】
(評価)実施例及び比較例の赤外吸収インキ印刷物を100mm×100mmに切断して、常温で平らな常盤上に静置したところ、比較例1〜2の赤外吸収インキ印刷物では一端が30mmも浮き上がり反りが激しかったが、実施例1〜4の赤外吸収インキ印刷物では、5mm以下と反りが少なかった。
また、実施例1〜4の赤外吸収インキ印刷物を、75mm×150mmに断裁してチケットにしたところ、取扱い性に支障はなかった。なお、実施例1〜4及び比較例1〜2の赤外吸収インキ印刷物を赤外線検出カメラで観察したところ、「OK」の文字を検出できた。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の1実施例を示す赤外吸収インキ印刷物の断面図である。
【図2】本発明の1実施例を示す赤外吸収インキ印刷物の断面図である。
【図3】本発明の1実施例を示す赤外吸収インキ印刷物の断面図である。
【符号の説明】
【0036】
10:赤外吸収インキ印刷物
11:紙基材
21:赤外吸収インキ印刷層
23:反り低減印刷層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙基材に対する赤外吸収インキの印刷物であって、紙基材の一方の面に赤外吸収インキ印刷層を有し、かつ、紙基材の他方の面の前記赤外吸収インキ印刷層に相対する部分に反り低減印刷層を有することを特徴とする赤外吸収インキ印刷物。
【請求項2】
上記反り低減印刷層の絵柄が、上記赤外吸収インキ印刷層の絵柄と略同一であることを特徴とする請求項1記載の赤外吸収インキ印刷物。
【請求項3】
上記赤外吸収インキ印刷層と上記反り低減印刷層の印刷方法が、オフセット印刷及び/又は活版印刷であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の赤外吸収インキ印刷物。
【請求項4】
上記赤外吸収インキ印刷層と上記反り低減印刷層の印刷インキが、酸化重合インキ及び/又は紫外線硬化インキであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の赤外吸収インキ印刷物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−245439(P2007−245439A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−70145(P2006−70145)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】