説明

赤外線通信システム、送信端末、受信端末および赤外線通信方法

【課題】 赤外線信号の送信方向を撮像することで、赤外線信号の受信部を視認しながら赤外線通信を行うことができ、当該赤外線通信が失敗する確率を著しく減少させることが可能となる。
【解決手段】 本発明の赤外線通信方法は、送信端末400と、送信端末400と赤外線通信を行う受信端末とからなる赤外線通信方法であって、赤外線通信が失敗した場合に、赤外線送信部402から送信される赤外線信号の送信方向の画像を撮影する画像撮影ステップS408と、画像撮影ステップS408にて撮影された画像を解析し、対応付けられた赤外線通信の失敗理由を抽出する画像解析ステップS410と、失敗理由を報知する報知ステップS412とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線を介して無線通信を実行する赤外線通信システム、送信端末、受信端末および赤外線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、PHS(Personal Handy-phone System)や携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)など、様々な携帯端末が提供されている。これらの携帯端末は、表示インターフェースとして液晶などの表示部や、複数のスイッチ(キー)やタッチパネルといった操作部を備え、使用者が外出先で簡便に情報を参照、入力しうるように構成されている。
【0003】
また、従来から携帯端末には赤外線通信機能が搭載され、携帯端末同士、あるいは携帯端末とコンピュータ等の機器との間で赤外線通信によるデータの送受信が行われている(例えば特許文献1)。
【0004】
赤外線通信に用いられる赤外線は、指向性があり、通信可能な距離が限られているため、通信相手の特定が容易である。このため、送受信されるデータにおいて、高い秘匿性を維持することが可能である。従って、個人情報等の重要情報は、通常、赤外線通信を用いて送受信されている。
【特許文献1】特開平11−113059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述したように、赤外線には指向性があるため、赤外線通信が失敗に終わることが多い。この赤外線通信の失敗原因としては、赤外線送信部と赤外線受信部との距離が長すぎることや向かい合う角度が適切でなかったり、赤外線送信部と赤外線受信部とがズレていたり、赤外線送信部と赤外線受信部との間に障害物が存在していたりすること等が考えられる。
【0006】
しかし、赤外線通信を行うユーザは、上述の失敗原因が明確にならないまま、成功するまで何度も作業を行わなければならないという問題点があった。
【0007】
一方、近年のめざましい技術の発展により携帯端末は高機能化し、大画面、高画質を有する表示機能はもちろんのこと、画像を撮影する撮像部を備えているものも極めて多い。かかる撮像に関してはCCD(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCMOS(Charge Coupled Device)などの撮像素子の高速・低消費電力化、MPUの高速化、内蔵メモリの大容量化が相俟って、動画撮影機能も当たり前のように搭載されるようになってきた。
【0008】
本発明は従来の赤外線通信に関する上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、携帯端末に、既存の撮像部を利用して赤外線通信を円滑に行うことが可能な赤外線通信システム、送信端末、受信端末および赤外線通信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、受信端末と、当該受信端末と赤外線通信を行う送信端末とからなる赤外線通信システムであって、受信端末は、赤外線信号を受信する赤外線受信部を備え、送信端末は、赤外線受信部に赤外線信号を送信する赤外線送信部と、赤外線送信部の赤外線信号の送信方向の画像を撮像可能に配置された送信側撮像部と、送信方向の画像を表示する送信側表示部と、を備えることを特徴とする赤外線通信システムが提供される。
【0010】
自己が送信する赤外線信号の送信方向の画像を送信側撮像部にて撮像する構成により、撮像した送信方向の画像を送信側表示部に表示することができる。従って、送信端末のユーザは自己の送信端末が送信する赤外線信号の送信方向を、画像を通して視認することができる。これにより、送信端末のユーザは送信方向を視認しながら、赤外線信号を送信することが可能となる。従って、送信端末のユーザは、自己の送信方向を受信端末(赤外線通信相手)の赤外線受信部に向けて、赤外線信号を送信することができる。即ち、受信端末の赤外線受信部を視認しながら正しい位置関係で赤外線通信を行うことができるため、赤外線通信が失敗する確率が著しく減少する。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の他の観点によれば、受信端末と赤外線通信を行う送信端末において、赤外線受信部に赤外線信号を送信する赤外線送信部と、赤外線送信部の赤外線信号の送信方向の画像を撮像可能に配置された送信側撮像部と、送信方向の画像を表示する送信側表示部と、を備えることを特徴とする送信端末が提供される。
【0012】
また、送信側表示部には、赤外線通信を実行するために受信端末の赤外線受信部が配置されるべき当該送信側表示部上の位置を示した送信側案内枠がさらに設けられていてもよい。
【0013】
即ち、送信端末は、赤外線信号の送信方向の画像を送信側撮像部にて撮像し、撮像した画像を送信側表示部に表示する。そして、送信側表示部には送信側案内枠が固定され、ユーザは自己の送信端末を動かしながら、送信側表示部に表示された受信端末の赤外線受信部をこの送信側案内枠に収めるだけで、赤外線送信部を正しく配置することができ、安定した赤外線通信が可能となる。
【0014】
また、赤外線通信が失敗した場合に送信側撮像部によって撮像された画像を解析し、対応付けられた赤外線通信の失敗理由を抽出する送信側画像解析部と、失敗理由を報知する送信側報知部と、をさらに備えてもよい。
【0015】
かかる構成により、赤外線通信に失敗した場合、送信側撮像部が、赤外線信号の送信方向の画像を撮像し、さらに、撮像された画像を解析し、対応付けられた赤外線通信の失敗理由を抽出して、失敗理由を送信端末に報知することとなる。従って、送信端末のユーザは、赤外線通信に失敗した場合、その失敗理由を確認することができ、失敗理由を排除した後、再度赤外線通信を試みることができる。
【0016】
また、送信側画像解析部は、受信端末の赤外線受信部を認識できるか否かを判断してもよい。
【0017】
これにより、送信端末のユーザは、赤外線送信部と受信端末の赤外線受信部が、全く違う方向を向いている否か、もしくは赤外線送信部と受信端末の赤外線受信部の間に障害物が存在しているか否かを確認することができる。
【0018】
また、送信側画像解析部は、赤外線通信を実行するために受信端末の赤外線受信部が配置されるべき当該送信側表示部上の位置にあるか否かを判断してもよい。
【0019】
これにより、送信端末のユーザは、赤外線送信部と受信端末の赤外線受信部が、赤外線通信のために適した位置にあるか否かを確認することができる。
【0020】
また、送信側画像解析部は、受信端末の赤外線受信部との距離が赤外線通信を実行するために維持すべき所定距離内であるか否かを判断してもよい。
【0021】
これにより、送信端末のユーザは、赤外線送信部と受信端末の赤外線受信部との距離が赤外線通信のために適切であるか否かを確認することができる。
【0022】
また、送信側画像解析部は、受信端末の赤外線受信部の受光面の角度が赤外線通信を実行するために必要な角度内にあるか否かを判断してもよい。
【0023】
これにより、送信端末のユーザは、赤外線送信部と受信端末の赤外線受信部との角度が赤外線通信のために適切であるか否かを確認することができる。
【0024】
また、送信側画像解析部による判断は、受信端末の赤外線受信部に別途設けられたマーキングを認識することで為されてもよい。
【0025】
上記マーキングの画像を用いると、縦と横の画像の比によって赤外線受信部の向いている角度が、マーキングの間隔によって赤外線受信部との距離が、マーキングの有無によって障害物の有無を把握することができる。これにより、送信端末のユーザは、赤外線通信を成功させるためにはどの失敗理由の排除をしなければならないかを迅速かつ容易に把握することができる。
【0026】
また、送信側撮像部と、赤外線送信部は略同一平面に設けられていてもよい。
【0027】
かかる構成では、送信側撮像部と赤外線送信部とを容易に同一方向に向けることが可能となる。
【0028】
上記課題を解決するために、本発明のさらに他の観点によれば、送信端末と、当該送信端末と赤外線通信を行う受信端末とからなる赤外線通信システムであって、送信端末は、赤外線信号を送信する赤外線送信部を備え、受信端末は、赤外線送信部からの赤外線信号を受信する赤外線受信部と、赤外線受信部の赤外線信号の受信方向の画像を撮像可能に配置された受信側撮像部と、受信方向の画像を表示する受信側表示部と、を備えることを特徴とする赤外線通信システムが提供される。
【0029】
上記課題を解決するために、本発明のさらに他の観点によれば、送信端末と、当該送信端末と赤外線通信を行う受信端末とを用いて赤外線通信を行う赤外線通信方法であって、送信端末の赤外線送信部から送信される赤外線信号の送信方向の画像を撮像する送信方向撮像ステップと、赤外線通信を実行する際に受信端末の赤外線受信部が配置されるべき送信端末の送信側表示部上の位置に案内させるため、送信方向撮像ステップにて撮像された画像を表示する画像表示ステップと、赤外線通信を開始させる赤外線通信開始ステップと、を含むことを特徴とする赤外線通信方法が提供される。
【0030】
上記課題を解決するために、本発明のさらに他の観点によれば、受信端末と、当該受信端末と赤外線通信を行う送信端末とを用いて赤外線通信を行う赤外線通信方法であって、受信端末の赤外線受信部が赤外線信号を受信する受信方向の画像を撮像する受信方向撮像ステップと、赤外線通信を実行する際に送信端末の赤外線送信部が配置されるべき受信端末の受信側表示部上の位置に案内させるため、受信方向撮像ステップにて撮像された画像を表示する画像表示ステップと、赤外線通信を開始させる赤外線通信開始ステップと、を含むことを特徴とする赤外線通信方法が提供される。
【0031】
上記課題を解決するために、本発明のさらに他の観点によれば、受信端末と、当該受信端末と赤外線通信を行う送信端末とからなる赤外線通信方法であって、赤外線通信が失敗した場合に、送信端末の赤外線送信部から送信される赤外線信号の送信方向の画像を撮影する画像撮影ステップと、画像撮影ステップにて撮影された画像を解析し、対応付けられた赤外線通信の失敗理由を抽出する画像解析ステップと、失敗理由を報知する報知ステップと、を含むことを特徴とする赤外線通信方法が提供される。
【0032】
上記課題を解決するために、本発明のさらに他の観点によれば、送信端末と、当該送信端末と赤外線通信を行う受信端末とからなる赤外線通信方法であって、赤外線通信が失敗した場合に、受信端末の赤外線受信部の赤外線信号の受信方向の画像を撮影する画像撮影ステップと、画像撮影ステップにて撮影された画像を解析し、対応付けられた赤外線通信の失敗理由を抽出する画像解析ステップと、失敗理由を報知する報知ステップと、を含むことを特徴とする赤外線通信方法が提供される。
【0033】
上述した赤外線通信システムおよび送信端末の技術的思想に基づく構成要素やその説明は、当該受信端末および当該赤外線通信方法にも適用可能である。
【発明の効果】
【0034】
以上説明したように本発明の赤外線通信システムによれば、赤外線信号の送信方向を撮像することで、赤外線信号の受信部を視認しながら赤外線通信を行うことができ、当該赤外線通信が失敗する確率を著しく減少させることが可能となる。従って、既存の撮像部を利用して赤外線通信を円滑に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下に図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0036】
赤外線には指向性があり、赤外線通信は失敗に終わることが多い。従来、赤外線通信を行うユーザは、このような通信の失敗時に赤外線通信の失敗理由が明確に分からないまま、成功するまで、何度も通信開始処理を試みていた。
【0037】
以下の実施形態では、携帯端末に、既存の撮像部を利用して赤外線通信を円滑に行うことが可能な赤外線通信システム、送信端末、受信端末および赤外線通信方法を説明する。ここでは、理解を容易にするために、送信端末および受信端末としてそれぞれ折り畳み式携帯電話端末を用いているが、送信端末および受信端末としては、無線通信機能を有することに限定されず、少なくとも赤外線通信機能、撮像機能および表示機能を備えていれば足り、様々な赤外線通信機器で構成することができる。
【0038】
(赤外線通信システム100)
図1は、赤外線通信システム100を説明するためのシステムブロック図である。かかる赤外線通信システム100は、送信端末200と、受信端末300とを含んで構成される。
【0039】
上記赤外線通信システム100では、IrDA(Infrared Data Association)が策定したIrDA DATAという規格を採用している。IrDA規格は、一般的に携帯電話に広く採用されている規格であり、具体的には、通信速度がSIR(標準IrDA)の115kbps、MIR(中速IrDA)の1Mbps、FIR(高速IrDA)の4Mbps、VFIR(超高速IrDA)の16Mbpsという4種類あり、距離が1mと0.3mの2種類があり、これらの組み合わせによって、IrDA DATA 1.0、1.1、1.2、1.3、1.4の5種類が策定されている。この中で携帯電話には、IrDA1.0および1.1が、主に採用されている。以下の実施形態では、IrDA規格を用いて赤外線通信を行っているが、他の通信形式や通信規格も好適に用いることができる。
【0040】
赤外線通信システム100では、送信端末ユーザ102が送信端末200を利用して受信端末300に赤外線通信をしようと試みた場合、受信端末300の赤外線受信部に送信端末200の赤外線送信部を向け、データの送信操作を開始する。送信端末ユーザ102の送信端末200の送信操作に応じて、データが変調され、送信端末200から変調されたデータに対応した赤外線信号110が送信される。
【0041】
そして、受信端末300は、赤外線信号110を受信し、赤外線信号110に対応した変調データを復調する。
【0042】
以下、赤外線通信システム100における送信端末200および受信端末300の構成を個々に説明する。ここでは、送信端末200および受信端末300が、それぞれ撮像部と表示部を有する形態を説明しているが、かかる場合に限られず、送信端末もしくは受信端末のどちらか一方が、撮像部および表示部を備えていれば足りる。
【0043】
(第一の実施形態)
本実施形態では、案内枠を用いて赤外線通信を実行可能な位置に誘導する送信端末、受信端末および赤外線通信方法について説明する。ここで、理解を容易にするため送信端末および受信端末として折り畳み式PHSを用いているが、これに限定されず、携帯電話、PDA等の携帯端末や、撮像部つきノート型コンピュータ等の携帯機器、テレビ電話等の家庭用機器等、様々な電子機器で構成することができる。
【0044】
(送信端末200)
図2は、送信端末200の概略的な機能を示した機能ブロック図を示したものであり、図3は送信端末200の外観図である。特に、図3(a)は後述する送信側表示部206および送信側操作部216が配された面を示し、図3(b)は後述する赤外線送信部202および送信側撮像部204が配された面を示す。かかる送信端末200は、折り畳み式PHSであり、赤外線送信部202、送信側撮像部204と、送信側表示部206と、送信側端末制御部210と、送信側メモリ214と、送信側操作部216と、送信側音声入力部218と、送信側音声出力部220と、送信側無線通信部222とを含んで構成される。
【0045】
上記赤外線送信部202は、赤外LED(Light Emitting Diode)等で構成されており、赤外線波長の光による赤外線信号を送信する。赤外線信号は、後述する送信側メモリ214に記憶された電話帳情報や過去に撮像された画像等のデータが、後述する赤外線変調部212によって変調されたものであり、赤外線送信部202によって受信端末300に送信される。
【0046】
上記送信側撮像部204は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の映像素子で構成されており、ユーザは、かかる送信側撮像部204を介して静止画や動画を撮影することができる。本実施形態において、送信側撮像部204は、受信端末300付近の動画像を撮像し、撮像した動画像は後述する送信側表示部206にリアルタイムに表示される。
【0047】
また、送信側撮像部204と赤外線送信部202は、略同一平面上に設置され、さらに赤外線送信部202は送信側撮像部204の近傍に設けられている。これにより、送信側撮像部204と赤外線送信部202とを容易に同一方向に向けることが可能となる。
【0048】
上記送信側表示部206は、カラーまたは単色のディスプレイで構成され、送信側撮像部204にて撮像された動画像を表示する。また、送信側表示部206は、送信側メモリ214に記憶された、または通信網を介してアプリケーションサーバ(図示せず)から提供される、WebブラウザやアプリケーションのGUI(Graphical User Interface)を表示することができる。
【0049】
上記送信側撮像部204により、赤外線送信部202が赤外線信号を送信する方向の画像を、動画像で撮像することができる。また動画像を送信側表示部206にて表示することにより、送信端末200のユーザは、送信側表示部206を赤外線を送信する視点で認識でき、自己の送信端末200の赤外線送信部202からの赤外線信号の送信方向を視覚的に捉えることが可能となる。従って、送信端末200のユーザは、赤外線信号を送信したい相手(受信端末)に向かって赤外線信号が送信されているかどうかを確認することができる。
【0050】
上記送信側表示部206にはさらに送信側案内枠208が、設置されている。図4は送信側表示部206の拡大図である。特に、図4(a)は、送信側表示部206に送信側案内枠208が表示されている図であり、図4(b)は、送信側表示部206に赤外線送信部202からの赤外線信号の送信方向が概略的に表示されている図である。
【0051】
図4(a)に示すように、送信側案内枠208は送信側表示部206中央上側に設けられ、送信端末200が、赤外線通信を実行するために適した受信端末300の赤外線受信部302の位置に赤外線受信部302を案内する送信側表示部206上の位置を示すものである。
【0052】
送信端末200のユーザは、送信側表示部206を通して、送信側表示部206内における赤外線受信部302と送信側案内枠208との現在の位置関係を把握することができ、その距離を埋めるための対応をとることができる。
【0053】
図4(b)に示すように、送信側表示部206では、自己が有する送信端末200の赤外線送信部202からの赤外線信号の送信方向を概略的に表示するため、送信端末200のユーザは、視覚的に赤外線信号の送信方向を捉えることができる。さらに、送信端末200のユーザが、送信方向の動画像の一部である受信端末300の赤外線受信部302の画像を送信側案内枠208に誘導することによって、受信端末300の赤外線受信部302を送信端末200が赤外線通信を実行するのに適した位置へ導くことができる。
【0054】
また、送信側案内枠208の付近には、送信端末200のユーザに、赤外線通信相手(受信端末300)の赤外線受信部302の送信側案内枠208への案内を促すコメント(例えば「赤外線受信部がこの枠に入るように設置してください。」等)を表示させてもよい。これにより、送信端末200のユーザが、初めて赤外線通信を行う際等、赤外線通信操作に不慣れな場合であっても、確実かつ簡単に赤外線通信を実行するために適した位置に自己の送信端末200を誘導することができる。
【0055】
上記送信側端末制御部210は、中央処理装置(CPU)を含む半導体集積回路により送信端末200全体を管理および制御する。送信側端末制御部210は、後述する送信側メモリ214のプログラムを用いて、送信端末200を利用した通話機能やメール配信機能を遂行する。また、送信側端末制御部210は、後述する赤外線変調部212としても機能する。
【0056】
上記赤外線変調部212は、後述する送信側メモリ214に記憶された電話帳情報や過去に送信側撮像部204によって撮像された画像等のデータをIrDA(Infrared Data Association)規格を用いて赤外線信号に変換する。
【0057】
上記送信側メモリ214は、ROM、RAM、EPROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、送信側端末制御部210で処理されるプログラムや電話帳情報、過去に送信側撮像部204によって撮像された画像等を記憶する。
【0058】
上記送信側操作部216は、キーボード、十字キー、ジョイスティック等のスイッチから構成されユーザの操作入力を受けつける。
【0059】
上記送信側音声入力部218は、マイク等により通話時に入力された送信端末200のユーザの音声を音声信号に変換する。
【0060】
上記送信側音声出力部220は、スピーカ等により、受信端末300からの音声信号を音声に変換して出力する。また送信側音声出力部220は、着信音や送信側操作部216による操作音、アラーム音等も出力できる。
【0061】
上記送信側無線通信部222は、携帯電話網における基地局と無線通信を行う。
【0062】
(受信端末300)
図5は、受信端末300の概略的な機能を示した機能ブロック図である。かかる受信端末300は、折り畳み式携帯電話端末であり、赤外線受信部302と、受信側撮像部304と、受信側表示部306と、受信側端末制御部310と、受信側メモリ314と、受信側操作部316と、受信側音声入力部318と、受信側音声出力部320と、受信側無線通信部322とを含んで構成される。
【0063】
上記赤外線受信部302は、例えば、フォトダイオードやフォトトランジスタ等を好適に用いることができる。赤外線受信部302は、送信端末200の赤外線送信部202から送信された赤外線信号を受信し、後述する赤外線復調部312に赤外線信号を伝送する。
【0064】
上記受信側撮像部304は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の映像素子で構成されており、ユーザは、かかる受信側撮像部304を介して静止画や動画を撮影することができる。本実施形態において、送信側撮像部204は、受信端末300付近の動画像を撮像し、撮像した動画像は後述する送信側表示部206にリアルタイムに表示される。
【0065】
また、受信側撮像部304と赤外線受信部302は、略同一平面上に設置され、さらに赤外線受信部302は受信側撮像部304の近傍に設けられている。これにより、受信側撮像部304と赤外線受信部302とを容易に同一方向に向けることが可能となる。
【0066】
上記受信側表示部306は、カラーまたは単色のディスプレイで構成され、受信側撮像部304にて撮像された動画像を表示する。また、受信側表示部306は、受信側メモリ314に記憶された、または通信網を介してアプリケーションサーバ(図示せず)から提供される、WebブラウザやアプリケーションのGUI(Graphical User Interface)を表示することができる。
【0067】
また上記受信側表示部306には、送信端末200同様、受信側案内枠308が設けられている。これにより、受信端末300のユーザが、受信方向の動画像の一部である送信端末200の赤外線送信部202の画像を受信側案内枠308に誘導することによって、送信端末200の赤外線送信部202を受信端末300が赤外線通信を実行するのに適した位置へ導くことができる。
【0068】
上記受信側端末制御部310は、中央処理装置(CPU)を含む半導体集積回路により受信端末300全体を管理および制御する。受信側端末制御部310は、受信側メモリ314のプログラムを用いて、受信端末300を利用した通話機能やメール配信機能を遂行する。また、受信側端末制御部310は、後述する赤外線復調部312としても機能する。
【0069】
上記赤外線復調部312は、赤外線受信部302にて受信した赤外線信号を、復調する。
【0070】
これにより、赤外線受信部302が赤外線信号を受信する方向の画像を、動画像で撮像することができる。また動画像を受信側表示部306にて表示することにより、受信端末300のユーザは、受信側表示部306を視認することにより、送信端末200の赤外線送信部202を視覚的に捉えることが可能となる。
【0071】
上記受信側メモリ314は、ROM、RAM、EPROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、受信側端末制御部310で処理されるプログラムや電話帳情報、過去に受信側撮像部304によって撮像された画像等を記憶する。
【0072】
上記受信側操作部316は、キーボード、十字キー、ジョイスティック等のスイッチから構成されユーザの操作入力を受けつける。
【0073】
上記受信側音声入力部318は、マイク等により通話時に入力された受信端末300のユーザの音声を音声信号に変換する。
【0074】
上記受信側音声出力部320は、スピーカ等により、送信端末200からの音声信号を音声に変換して出力する。また受信側音声出力部320は、着信音や受信側操作部316による操作音、アラーム音等も出力できる。
【0075】
上記受信側無線通信部322は、携帯電話網における基地局と無線通信を行う。
【0076】
(赤外線通信方法)
続いて、上述した送信端末200が受信端末300と適切に赤外線通信を行う赤外線通信方法を説明する。
【0077】
図6は、送信端末200を用いた赤外線通信方法の流れを示したフローチャート図である。まず、送信端末200が受信端末300に赤外線信号を送信するための専用アプリケーションを立ち上げる(S202:赤外線送信準備ステップ)。次に、赤外線送信準備ステップS202に応じて、送信端末200の赤外線送信部202から送信される赤外線信号の送信方向の画像を撮像する(S204:送信方向撮像ステップ)。赤外線通信を実行する際に受信端末300の赤外線受信部302が配置されるべき送信端末200の送信側表示部206上の位置に案内させるため、送信方向撮像ステップS204にて撮像された画像を表示する(S206:画像表示ステップ)。画像表示ステップS206にて、表示させた赤外線受信部302の画像が送信端末200にとって適した位置に案内されたか否かを判定し(S208:画像案内判定ステップ)、赤外線通信を開始させる(S210:赤外線通信開始ステップ)。
【0078】
上記赤外線送信準備ステップS202を介在させることにより、常に赤外線信号を送信する必要がないため、消費電力を削減することができる。送信方向撮像ステップS204により、赤外線信号の送信方向の画像を撮像し、画像表示ステップS206により、送信端末200のユーザに赤外線信号の送信方向の画像を送信側表示部206を通して視認させ、赤外線通信を実行するために受信端末300の赤外線受信部302が配置されるべき送信端末200の送信側表示部206上の位置に案内させることができる。従って、送信端末200のユーザは、自己の送信方向を受信端末300(赤外線通信相手)の赤外線受信部302に向けて、赤外線信号を送信することができる。つまり、受信端末300の赤外線受信部302を視認しながら正しい位置関係で赤外線通信を行うことができるため、赤外線通信が失敗する確率が著しく減少することとなる。
【0079】
続いて、上述した受信端末300が送信端末200と適切に赤外線通信を行う赤外線通信方法を説明する。
【0080】
図7は、受信端末300を用いた赤外線通信方法の流れを示したフローチャート図である。まず、受信端末300が送信端末から送信される赤外線信号を受信するための専用アプリケーションを立ち上げる(S302:赤外線受信準備ステップ)。次に、赤外線受信準備ステップS302に応じて、受信端末300の赤外線受信部302が赤外線信号を受信する受信方向の画像を撮像する(S304:受信方向撮像ステップ)。次に、赤外線通信を実行する際に送信端末200の赤外線送信部202が配置されるべき受信端末300の受信側表示部306上の位置に案内させるため、受信方向撮像ステップS304にて撮像された画像を表示する(S306:画像表示ステップ)。画像表示ステップS306にて、表示させた赤外線送信部202の画像が受信端末300にとって適した位置に案内されたか否かを判定し(S308:画像案内判定ステップ)、赤外線通信を開始させる(S310:赤外線受信開始ステップ)。
【0081】
上記赤外線受信準備ステップS302を介在させることにより、常に赤外線信号を受信可能な状態にしておく必要がないため、消費電力を削減することができる。受信方向撮像ステップS304により赤外線信号の受信方向の画像を撮像し、画像表示ステップS306により、受信端末300のユーザに赤外線信号の受信方向の画像を受信側表示部306を通して視認させ、赤外線通信を実行するために送信端末200の赤外線送信部202が配置されるべき受信端末300の受信側表示部306上の位置に案内させることができる。従って、受信端末300のユーザは、自己の受信方向を送信端末200(赤外線通信相手)の赤外線送信部202に向けて、赤外線信号を受信することができる。つまり、送信端末200の赤外線送信部202を視認しながら正しい位置関係で赤外線通信を行うことができるため、赤外線通信が失敗する確率が著しく減少することとなる。
【0082】
(第二の実施形態)
第一の実施形態においては、適した位置で赤外線通信が行えるように案内枠を用いて誘導する送信端末、受信端末および赤外線通信方法について説明したが、赤外線通信が失敗した場合に、撮像部を用いて失敗理由を解析し、ユーザに報知し、次の赤外線通信に備えさせることも可能である。第二の実施形態においては、かかる送信端末、受信端末および赤外線通信方法による構成に関して説明する。ここでも、理解を容易にするため送信端末および受信端末として折り畳み式携帯電話端末を用いているが、これに限定されず、PHS、PDA等の携帯端末や、撮像部つきノート型コンピュータ等の携帯機器、テレビ電話等の家庭用機器等、様々な電子機器で構成することができる。
【0083】
(送信端末400)
図8は、送信端末400の概略的な機能を示した機能ブロック図を示したものである。かかる送信端末400は、折り畳み式携帯電話端末であり、赤外線送信部402、送信側端末制御部410と、送信側撮像部204と、送信側表示部406と、送信側メモリ214と、送信側操作部216と、送信側音声入力部218と、送信側音声出力部220と、送信側無線通信部222とを含んで構成される。上述した送信端末200と機能が実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0084】
上記赤外線送信部402は、赤外LED等で構成されており、赤外線波長の光を発生し赤外線信号を送信する。赤外線信号は後述する送信側メモリ214に記憶された電話帳情報や過去に撮像された画像等のデータが、後述する赤外線変調部212によって変調されたものであり、赤外線送信部402によって赤外線信号として受信端末500に送信される。また本実施形態の赤外線送信部402は、赤外線送信部202と同様に送信側撮像部204と略同一平面に設置され、さらに赤外線送信部402は送信側撮像部204の近傍に設けられている。これにより、送信側撮像部204と赤外線送信部402とを容易に同一方向に向けることが可能となる。
【0085】
図9は、赤外線送信部402近傍の拡大図である。図9中矢印X方向は、送信端末400の使用時すなわち送信端末400を開いた時に鉛直上方向を示す。図9に示すように、赤外線送信部402にはマーキング450が施されている。具体的には、赤外線送信部402の片側に赤点452、および青点454が、赤点452および青点454の水平方向反対側にさらに黒点456が施されている。また、本実施形態において、3つの点452、454、456およびそれぞれの距離は、規格化されており、後述する送信側画像解析部412によって解析可能なものである。本実施形態では、赤点452、青点454および黒点456は、略円形状を有しており、上記3つの点452、454、456の色はそれぞれ異なっているが、これに限定されるものではなく、3つの点が同色で異なる形状(例えば、円形状、三角形状、四角形状等)を有しているものでもよいし、後述する受信側画像解析部512によって赤外線送信部402に対する後述する赤外線受信部502の位置関係および距離関係が解析できるものであればよい。
【0086】
上記送信側端末制御部410は、中央処理装置(CPU)を含む半導体集積回路により送信端末400全体を管理および制御する。送信側端末制御部410は、送信側メモリ214のプログラムを用いて、送信端末400を利用した通話機能やメール配信機能を遂行する。
【0087】
また、送信側端末制御部410は、後述する送信側画像解析部412および赤外線変調部212としても機能する。
【0088】
上記送信側撮像部204は、赤外線送信部402の送信方向の画像を撮像する。また、送信側撮像部204は、赤外線通信が失敗した場合にのみ起動させてもよい。
【0089】
上記送信側画像解析部412は、送信側撮像部204によって撮像された画像すなわち後述する受信端末500の赤外線受信部502の画像を解析し、対応付けられた失敗理由を抽出する。送信側画像解析部412による解析とは、「受信端末の赤外線受信部を認識できるか否か」、「赤外線通信を実行するために受信端末の赤外線受信部が配置されるべき位置にあるか否か」、「受信端末の赤外線受信部との距離が赤外線通信を実行するために維持すべき所定距離内であるか否か」、「受信端末の赤外線受信部の発光方向の角度が赤外線通信を実行するために必要な角度内にあるか否か」を判断し、失敗理由を抽出することである。
【0090】
上記送信側表示部406は、カラーまたは単色のディスプレイで構成され、送信側撮像部204にて撮像された画像を表示する。また、送信側表示部406には、送信端末200と同様に送信側案内枠208が設置されている。さらに、送信側表示部406は、後述する送信側報知部408としても機能する。
【0091】
図10は、送信端末400の送信側撮像部204が後述する赤外線受信部502を撮像し、撮像した画像を表示した送信側表示部406の拡大図であり、図10中矢印X方向は、受信端末500の使用時すなわち受信端末500を開いた時に鉛直上方向を示し、図10(a)は、受信端末500の赤外線受信部502を認識できない状態を、図10(b)は赤外線通信を実行するために受信端末500の赤外線受信部502が配置されるべき位置にない状態を、図10(c)は、受信端末500の赤外線受信部502との距離が赤外線通信を実行するために維持すべき所定距離内でない状態を、図10(d)は、受信端末500の赤外線受信部502の受信方向の角度が赤外線通信を実行するために必要な角度内にない状態を表示した送信側表示部406の送信側案内枠208をそれぞれ示している。
【0092】
図10に示すように、赤外線受信部502には、送信端末400の赤外線送信部402と同一のマーキング450が施されている。
【0093】
図10(a)の表示では、赤外線受信部502のマーキング450が、案内枠208にまったく表示されていない。この表示で、解析される失敗理由は、「赤外線受信部502を認識できない」であり、原因として、赤外線送信部402と赤外線受信部502との間に障害物が存在する、もしくは赤外線送信部402を赤外線受信部502がまったく別の方向にあるの2つが推測される。図10(a)では、送信端末ユーザ102の指が赤外線送信部402と赤外線受信部502の間に障害物として存在してしまっている。
【0094】
図10(b)の表示では、赤外線受信部502のマーキング450の赤点452および青点454は表示されているが、黒点456が表示されていない。この表示で、解析される失敗理由は、「赤外線受信部502が配置されるべき位置にない」であり、原因として、赤外線受信部502が、赤外線送信部402に対して、ずれていると推測される。図10(b)では、黒点456が、表示されていないため、赤外線受信部502は、送信端末400から見て右方向(受信端末500からみて左方向)にずれてしまっていることがわかる。
【0095】
図10(c)の表示では、赤外線受信部502のマーキング450の赤点452および青点454の距離Hもしくは青点454および黒点456の距離Wが、所望する距離より短い。所望する距離とは、即ち赤外線通信を行うのに適した赤外線送信部と赤外線受信部の距離であり、予めマーキング450を規格化してあるため、距離Hおよび距離Wが一定の比例関係を維持して、短くなっていれば、赤外線通信を行うのに適した距離よりも赤外線受信部が遠くにあり、長くなっていれば、赤外線受信部が近すぎるということを解析することができる。図10(c)の表示で、解析される失敗理由は、「赤外線受信部502が遠すぎる」である。
【0096】
図10(d)の表示では、赤外線受信部502のマーキング450の赤点452および青点454の距離Hと青点454および黒点456の距離Wの比例関係が一定でなく、距離Hに対して距離Wが長くなっている。この表示で、解析される失敗理由は、「赤外線受信部502の受信方向の角度が赤外線通信を実行するために必要な角度内にない」であり、原因として、赤外線受信部502の受光面が、赤外線送信部402に対して、適した角度内にないことが推測される。本実施形態では、赤外線送信部402から送信される赤外線信号は略円錐状に送信され、赤外線送信部402に対する赤外線受信部502の受光面の角度は、±25°程度が通信可能角度である。図10(d)では、距離Hに対して距離Wが長くなっているため、赤外線受信部502の、送信端末400から見て左側(受信端末500から見て右側)の距離が赤外線送信部402から遠くなっていることが分かる。
【0097】
上記した赤外線受信部502のマーキング450を送信側画像解析部412が解析することによって、「赤外線受信部を認識できない」「赤外線受信部がずれている」「赤外線受信部の距離が適切でない」「赤外線受信部の角度が適切でない」のうちいずれかの失敗理由を抽出することができる。この際、マーキング450を規格化しているため、送信側撮像部204が撮像する際に、ズーム機能を用いることもでき、より確実かつ簡単に失敗理由を抽出することができる。
【0098】
上記送信側報知部408は、送信側画像解析部412によって抽出された失敗理由を表示する。本実施形態では、送信側表示部406を送信側報知部408として用いているが、これに限定されるものではなく、例えば異なる色を発光する4つのLEDを別途設け、上記4つの失敗理由ごとに対応付けられた色のLEDを点灯させる構成をとってもよい。
【0099】
これにより、送信端末400のユーザは、赤外線通信に失敗した場合、その失敗理由を視覚的に確認することができ、失敗理由を考慮してから、再度赤外線通信を行うことができる。
【0100】
(受信端末500)
図11は、受信端末500の概略的な機能を示した機能ブロック図である。かかる受信端末500は、折り畳み式携帯電話端末であり、赤外線受信部502と、受信側端末制御部510と、受信側撮像部304と、受信側表示部506と、受信側メモリ314と、受信側操作部316と、受信側音声入力部318と、受信側音声出力部320と、受信側無線通信部322とを含んで構成される。上述した受信端末300と機能が実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0101】
上記赤外線受信部502は、例えば、フォトダイオードやフォトトランジスタ等を好適に用いることができる。赤外線受信部502は、送信端末400の赤外線送信部402から送信された赤外線信号を受信し、赤外線復調部312に赤外線信号を伝送する。また本実施形態の赤外線受信部502は、赤外線受信部302と同様に受信側撮像部304と略同一平面に設置され、さらに赤外線受信部502は受信側撮像部304の近傍に設けられている。これにより、受信側撮像部304と赤外線受信部502とを容易に同一方向に向けることが可能となる。
【0102】
赤外線受信部502は、上記送信端末400の赤外線送信部402と同一のマーキング450が施されており、送信端末400の送信側画像解析部412によって赤外線受信部502に対する赤外線送信部402の位置関係および距離関係が解析することができる。
【0103】
上記受信側端末制御部510は、中央処理装置(CPU)を含む半導体集積回路により受信端末500全体を管理および制御する。受信側端末制御部510は、受信側メモリ314のプログラムを用いて、受信端末500を利用した通話機能やメール配信機能を遂行する。
【0104】
また、受信側端末制御部510は、後述する受信側画像解析部512および赤外線復調部312としても機能する。
【0105】
上記受信側撮像部304は、赤外線受信部502の受信方向の画像を撮像する。また、受信側撮像部304は、赤外線通信が失敗した場合にのみ起動させてもよい。
【0106】
上記受信側画像解析部512は、受信側撮像部304によって撮像された画像すなわち送信端末400の赤外線送信部402の画像を解析し、対応付けられた失敗理由を抽出する。
【0107】
具体的には、送信端末400の送信側画像解析部412と同様に、送信端末400の赤外線送信部402に設けられたマーキング450を用いて解析し、「送信端末の赤外線送信部を認識できるか否か」、「赤外線通信を実行するために送信端末の赤外線送信部が配置されるべき位置にあるか否か」、「送信端末の赤外線送信部との距離が赤外線通信を実行するために維持すべき所定距離内であるか否か」、「送信端末の赤外線送信部の発光方向の角度が赤外線通信を実行するために必要な角度内にあるか否か」を判断し、失敗理由を抽出する。
【0108】
この際、マーキング450を規格化しているため、受信側撮像部304が撮像する際に、ズーム機能を用いることもでき、より確実かつ簡単に失敗理由を抽出することができる。
【0109】
上記受信側表示部506は、カラーまたは単色のディスプレイで構成され、受信側撮像部304にて撮像された画像を表示する。また、受信側表示部506には、受信端末300と同様に受信側案内枠308が設置されている。さらに、受信側表示部506は、後述する受信側報知部508としても機能する。
【0110】
上記受信側報知部508は、受信側画像解析部512によって抽出された失敗理由を表示する。本実施形態では、受信側表示部506を受信側報知部508として用いているが、これに限定されるものではなく、例えば異なる色を発光する4つのLEDを別途設け、上記4つの失敗理由ごとに対応付けられた色のLEDを点灯させる構成をとってもよい。
【0111】
これにより、受信端末500のユーザは、赤外線通信に失敗した場合、その失敗理由を視覚的に確認することができ、失敗理由を考慮してから、再度赤外線通信を行うことができる。
【0112】
(赤外線通信方法)
続いて、上述した送信端末400と受信端末500が赤外線通信を行う赤外線通信方法を説明する。
【0113】
図12は、送信端末400を用いた赤外線通信方法の流れを示したフローチャート図である。まず、送信端末400は赤外線通信を開始すべく、赤外線送信部402から赤外線信号を送信する(S402:赤外線信号送信ステップ)。赤外線信号送信ステップS402にて、赤外線信号が受信端末の赤外線受信部に到達したか否かを判定し(S404:接続結果判定ステップ)、赤外線信号が赤外線受信部502に到達すれば、送信端末400の送信側表示部406に通信完了の旨が報知される(S406赤外線通信完了報知ステップ)。
【0114】
接続結果判定ステップS404にて、赤外線信号が赤外線受信部502に到達しなければ(赤外線通信が失敗すれば)、赤外線送信部402から送信される赤外線信号の送信方向の画像(即ち受信端末500の赤外線受信部502の画像)を撮影する(S408:画像撮影ステップ)。さらに、画像撮影ステップS408にて撮影された画像を解析し、「赤外線受信部の非認識」、「赤外線受信部のずれ」、「赤外線受信部の不適切な距離」、「赤外線受信部の不適切な角度」の4つの失敗原因のうちどの失敗原因であるかを抽出し(S410:画像解析ステップ)、抽出した失敗理由を送信側表示部406に表示し、さらにその失敗理由に対する解決案を送信側表示部406に表示する(S412:報知ステップ)。
【0115】
これにより、送信端末400のユーザは、赤外線通信に失敗したとしても、送信端末400が自動的に送信側撮像部204に赤外線送信方向(即ち受信端末500の赤外線受信部502)の画像を撮影させ(S408)、画像解析を行い(S410)、失敗理由を送信側表示部406にて報知する。従って、送信端末400のユーザは、送信側表示部406を視認することにより、赤外線通信の失敗理由を確認することができる。さらに、失敗理由の解決案が送信側表示部406に表示されるため、送信端末400のユーザが、次に行う赤外線通信を失敗せずに行える可能性が著しく上昇する。
【0116】
続いて、上述した受信端末500と送信端末400が赤外線通信を行う赤外線通信方法を説明する。
【0117】
図13は、受信端末500を用いた赤外線通信方法の流れを示したフローチャート図である。まず、受信端末500は赤外線通信を開始すべく、赤外線受信部502を受光可能状態にする。(S502:受信待機ステップ)。受信待機ステップS502にて、送信端末400の赤外線送信部402からの赤外線信号が赤外線受信部502に到達したか否かを判定し(S504:接続結果判定ステップ)、赤外線信号が赤外線受信部502に到達すれば、受信端末500の受信側表示部506に通信完了の旨が報知される(S506赤外線通信完了報知ステップ)。
【0118】
接続結果判定ステップS504にて、赤外線信号が赤外線受信部502に到達しなければ(赤外線通信が失敗すれば)、赤外線受信部502の受信方向(受光方向)の画像(即ち送信端末400の赤外線送信部402の画像)を撮影する(S508:画像撮影ステップ)。さらに、画像撮影ステップS508にて撮影された画像を解析し、「赤外線送信部の非認識」、「赤外線送信部のずれ」、「赤外線送信部の不適切な距離」、「赤外線送信部の不適切な角度」の4つの失敗原因のうちどの失敗原因であるかを抽出し(S510:画像解析ステップ)、抽出した失敗理由を受信側表示部506に表示し、さらにその失敗理由に対する解決案を受信側表示部506に表示する(S512:報知ステップ)。
【0119】
これにより、受信端末500のユーザは、赤外線通信に失敗したとしても、受信端末500が自動的に受信側撮像部304に赤外線受信方向(即ち送信端末400の赤外線送信部402)の画像を撮影させ(S508)、画像解析を行い(S510)、失敗理由を受信側表示部506にて報知する。従って、受信端末500のユーザは、受信側表示部506を視認することにより、赤外線通信の失敗理由を確認することができる。さらに、失敗理由の解決案が受信側表示部506に表示されるため、受信端末500のユーザが、次に行う赤外線通信を失敗せずに行える可能性が著しく上昇する。
【0120】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0121】
例えば、本明細書において、理解を容易にするために、送信端末には赤外線送信部のみを、受信端末には赤外線受信部のみを備えているが、当然にして送信端末および受信端末共に、赤外線送信部および赤外線受信部の両方を備えてもよい。
【0122】
なお、本明細書の赤外線通信方法における各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明は、赤外線通信システム、送信端末、受信端末および赤外線通信方法に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】赤外線通信システムを説明するためのシステムブロック図である。
【図2】第一の実施形態にかかる送信端末の概略的な機能を示した機能ブロック図である。
【図3】第一の実施形態にかかる送信端末の外観図である。
【図4】第一の実施形態にかかる表示部の拡大図である。
【図5】第一の実施形態にかかる受信端末の概略的な機能を示した機能ブロック図である。
【図6】第一の実施形態にかかる送信端末を用いた赤外線通信方法の流れを示したフローチャート図である。
【図7】第一の実施形態にかかる受信端末を用いた赤外線通信方法の流れを示したフローチャート図である。
【図8】第二の実施形態にかかる送信端末の概略的な機能を示した機能ブロック図である。
【図9】第二の実施形態にかかる赤外線送信部近傍の拡大図である。
【図10】第二の実施形態にかかる送信端末の撮像部が赤外線受信部を撮像し、撮像した画像を表示した表示部の拡大図である。
【図11】第二の実施形態にかかる受信端末の概略的な機能を示した機能ブロック図である。
【図12】第二の実施形態にかかる送信端末を用いた赤外線通信方法の流れを示したフローチャート図である。
【図13】第二の実施形態にかかる受信端末を用いた赤外線通信方法の流れを示したフローチャート図である。
【符号の説明】
【0125】
100 …赤外線通信システム
102 …送信端末ユーザ
110 …赤外線信号
200、400 …送信端末
202、402 …赤外線送信部
204 …送信側撮像部
206、406 …送信側表示部
208 …送信側案内枠
210、410 …送信側端末制御部
212 …赤外線変調部
214 …送信側メモリ
216 …送信側操作部
218 …送信側音声入力部
220 …送信側音声出力部
222 …送信側無線通信部
300、500 …受信端末
302、502 …赤外線受信部
304 …受信側撮像部
306、506 …受信側表示部
308 …受信側案内枠
310、510 …受信側端末制御部
312 …赤外線復調部
314 …受信側メモリ
316 …受信側操作部
318 …受信側音声入力部
320 …受信側音声出力部
322 …受信側無線通信部
408 …送信側報知部
412 …送信側画像解析部
450 …マーキング
452 …赤点
454 …青点
456 …黒点
508 …受信側報知部
512 …受信側画像解析部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信端末と、該受信端末と赤外線通信を行う送信端末とからなる赤外線通信システムであって、
前記受信端末は、
赤外線信号を受信する赤外線受信部を備え、
前記送信端末は、
前記赤外線受信部に赤外線信号を送信する赤外線送信部と、
前記赤外線送信部の赤外線信号の送信方向の画像を撮像可能に配置された送信側撮像部と、
前記送信方向の画像を表示する送信側表示部と、
を備えることを特徴とする赤外線通信システム。
【請求項2】
受信端末と赤外線通信を行う送信端末において、
前記赤外線受信部に赤外線信号を送信する赤外線送信部と、
前記赤外線送信部の赤外線信号の送信方向の画像を撮像可能に配置された送信側撮像部と、
前記送信方向の画像を表示する送信側表示部と、
を備えることを特徴とする送信端末。
【請求項3】
前記送信側表示部には、赤外線通信を実行するために前記受信端末の赤外線受信部が配置されるべき当該送信側表示部上の位置を示した送信側案内枠がさらに設けられていることを特徴とする請求項2に記載の送信端末。
【請求項4】
赤外線通信が失敗した場合に前記送信側撮像部によって撮像された画像を解析し、対応付けられた赤外線通信の失敗理由を抽出する送信側画像解析部と、
前記失敗理由を報知する送信側報知部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の送信端末。
【請求項5】
前記送信側画像解析部は、前記受信端末の赤外線受信部を認識できるか否かを判断することを特徴とする、請求項4に記載の送信端末。
【請求項6】
前記送信側画像解析部は、赤外線通信を実行するために前記受信端末の赤外線受信部が配置されるべき当該送信側表示部上の位置にあるか否かを判断することを特徴とする、請求項4に記載の送信端末。
【請求項7】
前記送信側画像解析部は、前記受信端末の赤外線受信部との距離が赤外線通信を実行するために維持すべき所定距離内であるか否かを判断することを特徴とする、請求項4に記載の送信端末。
【請求項8】
前記送信側画像解析部は、前記受信端末の赤外線受信部の受光面の角度が赤外線通信を実行するために必要な角度内にあるか否かを判断することを特徴とする、請求項4に記載の送信端末。
【請求項9】
前記送信側画像解析部による判断は、前記受信端末の赤外線受信部に別途設けられたマーキングを認識することで為されることを特徴とする請求項4から8のいずれかに記載の送信端末。
【請求項10】
前記送信側撮像部と、前記赤外線送信部は略同一平面に設けられていることを特徴とする請求項2から9のいずれかに記載の送信端末。
【請求項11】
送信端末と、該送信端末と赤外線通信を行う受信端末とからなる赤外線通信システムであって、
前記送信端末は、
赤外線信号を送信する赤外線送信部を備え、
前記受信端末は、
前記赤外線送信部からの赤外線信号を受信する赤外線受信部と、
前記赤外線受信部の赤外線信号の受信方向の画像を撮像可能に配置された受信側撮像部と、
前記受信方向の画像を表示する受信側表示部と、
を備えることを特徴とする赤外線通信システム。
【請求項12】
送信端末と赤外線通信を行う受信端末において、
前記赤外線送信部からの赤外線信号を受信する赤外線受信部と、
前記赤外線受信部の赤外線信号の受信方向の画像を撮像可能に配置された受信側撮像部と、
前記受信方向の画像を表示する受信側表示部と、
を備えることを特徴とする受信端末。
【請求項13】
前記受信側表示部には、赤外線通信を実行するために前記送信端末の赤外線送信部が配置されるべき当該受信側表示部上の位置を示した受信側案内枠がさらに設けられていることを特徴とする請求項12に記載の受信端末。
【請求項14】
赤外線通信が失敗した場合に前記受信側撮像部によって撮像された画像を解析し、対応付けられた赤外線通信の失敗理由を抽出する受信側画像解析部と、
前記失敗理由を報知する受信側報知部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項12に記載の受信端末。
【請求項15】
前記受信側画像解析部は、前記送信端末の赤外線送信部を認識できるか否かを判断することを特徴とする、請求項14に記載の受信端末。
【請求項16】
前記受信側画像解析部は、赤外線通信を実行するために前記送信端末の赤外線送信部が配置されるべき当該受信側表示部上の位置にあるか否かを判断することを特徴とする、請求項14に記載の受信端末。
【請求項17】
前記受信側画像解析部は、前記送信端末の赤外線送信部との距離が赤外線通信を実行するために維持すべき所定距離内であるか否かを判断することを特徴とする、請求項14に記載の受信端末。
【請求項18】
前記受信側画像解析部は、前記送信端末の赤外線送信部の発光方向の角度が赤外線通信を実行するために必要な角度内にあるか否かを判断することを特徴とする、請求項14に記載の受信端末。
【請求項19】
前記受信側画像解析部による判断は、前記送信端末の赤外線送信部に別途設けられたマーキングを認識することで為されることを特徴とする請求項14から18のいずれかに記載の受信端末。
【請求項20】
前記受信側撮像部と、前記赤外線受信部は略同一平面に設けられていることを特徴とする請求項12から19のいずれかに記載の受信端末。
【請求項21】
送信端末と、該送信端末と赤外線通信を行う受信端末とを用いて赤外線通信を行う赤外線通信方法であって、
前記送信端末の赤外線送信部から送信される赤外線信号の送信方向の画像を撮像する送信方向撮像ステップと、
赤外線通信を実行する際に前記受信端末の赤外線受信部が配置されるべき前記送信端末の送信側表示部上の位置に案内させるため、前記送信方向撮像ステップにて撮像された画像を表示する画像表示ステップと、
赤外線通信を開始させる赤外線通信開始ステップと、
を含むことを特徴とする赤外線通信方法。
【請求項22】
受信端末と、該受信端末と赤外線通信を行う送信端末とを用いて赤外線通信を行う赤外線通信方法であって、
前記受信端末の赤外線受信部が赤外線信号を受信する受信方向の画像を撮像する受信方向撮像ステップと、
赤外線通信を実行する際に前記送信端末の赤外線送信部が配置されるべき前記受信端末の受信側表示部上の位置に案内させるため、前記受信方向撮像ステップにて撮像された画像を表示する画像表示ステップと、
赤外線通信を開始させる赤外線通信開始ステップと、
を含むことを特徴とする赤外線通信方法。
【請求項23】
受信端末と、該受信端末と赤外線通信を行う送信端末とからなる赤外線通信方法であって、
赤外線通信が失敗した場合に、前記送信端末の赤外線送信部から送信される赤外線信号の送信方向の画像を撮影する画像撮影ステップと、
前記画像撮影ステップにて撮影された画像を解析し、対応付けられた赤外線通信の失敗理由を抽出する画像解析ステップと、
前記失敗理由を報知する報知ステップと、
を含むことを特徴とする赤外線通信方法。
【請求項24】
送信端末と、該送信端末と赤外線通信を行う受信端末とからなる赤外線通信方法であって、
赤外線通信が失敗した場合に、前記受信端末の赤外線受信部の赤外線信号の受信方向の画像を撮影する画像撮影ステップと、
前記画像撮影ステップにて撮影された画像を解析し、対応付けられた赤外線通信の失敗理由を抽出する画像解析ステップと、
前記失敗理由を報知する報知ステップと、
を含むことを特徴とする赤外線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−10682(P2009−10682A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−170031(P2007−170031)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】