説明

走行する撚り線を検査する方法及び装置

第1の実施形態において、走行する撚り線が、固定個所において、撚り長さ又は撚り長さの数倍と撚り線の走行速度との比に等しい時間間隔で、少なくとも撚り長さ又は撚り長さの数倍で撮影され、順次に続く撮影が少なくとも撚り長さ又は撚り長さの数倍において比較され、画像において損傷を示す変化について監視される。第2の実施形態において、走行する撚り線が、撮影する代わりに閃光で照らされ、照らされた画像が少なくとも撚り長さ又は撚り長さの数倍で検出され、画像における変化が監視される。なるべく走行する撚り線の同じ外側素線の反復が同じ個所で検査され、各反復又はそれぞれ第2又は第3の反復が撮影または閃光の開始のために利用される。第3の実施形態において、撚り線が特殊カメラにより大きい長さで撮影され、撮影が撚り長さ又は撚り長さの数倍の大きさの反復する単位長さに分けられ、順次に続く単位長さが比較され、損傷を表示する画像の変化について検査される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は走行する撚り線を検査する方法に関する。本発明は更にこの方法を実施する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撚り線は、毎日視覚により線の破断及び他の欠陥の発生について検査されねばならない。これは実際には行うことが不可能である。検査のため撚り線は停止するか又は非常にゆっくり走行せねばならず、作業は中断されねばならない。
【0003】
磁気誘導による撚り線検査は走行する撚り線で可能であるが、費用がかかる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の基礎になっている課題は、走行する撚り線を検査する別の簡単な方法を利用可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、第1の実施形態において、走行する撚り線が、固定個所において、撚り長さ又は撚り長さの数倍と撚り線の走行速度との比に等しい時間間隔で、少なくとも撚り長さ又は撚り長さの数倍で撮影され、順次に続く撮影が少なくとも撚り長さ又は撚り長さの数倍において比較され、画像において損傷を示す変化について監視される。
【0006】
第2の実施形態において、走行する撚り線を検査する方法において、走行する撚り線が、固定個所において、撚り長さ又は撚り長さの数倍と撚り線の走行速度との比に等しい時間間隔で、少なくとも撚り長さ又は撚り長さの数倍で閃光で照らされ、照らされた画像が撚り長さ又は撚り長さの数倍で検査され、画像において損傷を示す変化について監視される。
【0007】
撚り線の撚られる素線は、撚り長さ後再び撚り線周囲の同じ個所に再び現れる。撚り長さの大きさの撚り線の順次に続く部分は、従って同じ素線画像を示し、各素線は再び同じ個所にある。このことは、撚り長さの数倍の大きさを持つ部分についても当てはまる。素線内の線画像は一般にずれている。素線における線の撚り長さが撚り線における素線の撚り長さに対して特定の比にある時にのみ、線画像は正確に同じであり、即ち各線は再び同じ個所にある。線がちょうど線の太さ又は線の太さの整数倍だけ互いにずれている時、線画像は外見上不変である。
【0008】
ちょうど撚り長さ又は撚り長さの数倍がそばを通過する時常に、走行する撚り線が固定的に設けられるカメラ又は固定的に設けられるストロボスコープにより撮影されるか閃光を当てられると、撮影されるか又は充分暗い背景の前で閃光により見えるようにされる画像は、常に同じである。特定の頻度(1秒当たり約24の画像頻度)から、眼の前の画像は中断されない画像にぼやける。素線の「静止画像」が生じる。素線内の線は一般にゆっくり「移動」し、素線は自身の軸線の周りにねじれるように見える。
【0009】
撚り線における損傷は、すばやく通過して大抵は画像のようには検出できないけれども認められる線の変化又は線の移動運動の見える変化を生じる。
【0010】
不変であるか又はゆっくり移動する画像を見ると、目は疲れない。変化が認められると、それにより発見される欠陥は後で詳細に検査される。
【0011】
閃光照明の変形例は、とりわけ眼による即時の直接観察のために考慮されている。撮影の変形例は、後で同様に眼による観察を可能にする。しかしこれらの機能は、部分的ないし完全に自動化される。
【0012】
本発明の有利な構成によれば、走行する撚り線の同じ外側素線の反復が同じ個所で検査され、各反復又はそれぞれ第2又は第3の反復が撮影または閃光の開始のために利用される。
【0013】
それにより撚り線の走行開始又は制動の際、又は垂れ下がる撚り線の長さにわたる撚り長さ変化のような別の理由から、時間間隔が変化しても、次の撮影又は閃光照明のために、正しい時点が簡単に保証される。
【0014】
しかし原理的には別の可能性もある。例えば撚り線の駆動円板の駆動装置における撚り線の走行速度を取出して、前記の比を計算機により常に新たに計算し、それに応じて撮影又は閃光の時間間隔を制御することができる。撚り長さも変化する場合、これを別個の撚り長さ発信器で検出し、比の計算のために一緒に入力することができる。
【0015】
好都合なように、素線の反復が、なるべく素線隆起に反応する近接センサによるすべての素線の検出及び素線の計数により検出される。即ち例えば外側層に6つの素線がある場合、それぞれ6番目の素線隆起が同じ素線に属し、撮影又は閃光を開始する。同時に素線の反復の間に撚り線送りが測定されると、この情報を撚り線長さに関係して万一の撚り長さ変化の確認に利用することができる。この場合同じ素線の反復を、ずれて配置される複数のセンサにより検出するのが有利である。こうして例えば同じ素線の順次に続く2つの識別の間隔の短縮が、撚り長さの実際の短縮より行われたのか、又はセンサ位置の間で撚り線のねじりにより行われたのかが、確認される。
【0016】
本発明の別の構成によれば、素線の反復が素線の標識の検出によって検出される。標識は、例えば光学的なものであり、例えば銅めっきから成るか、又は磁化から成るか、又は放射能標識であってもよい。その点で、本発明は、初めから後での検査のために用意されている線部分の製造にも及んでいる。
【0017】
このことは、素線内における線の移動を一層よく見えるようにするため、外側素線のそれぞれ1つの線を見えるように標識付けするという別の提案にも当てはまる。
【0018】
本発明の別の構成によれば、走行する撚り線の同じ素線の反復が、素線の反復の記録又は隆起の記録により、撚り線のどの個所が前記の固定個所にあるかを追跡し、それから始まって撚り線における損傷個所の位置を記録するのに利用される。
【0019】
しかしこれも別個の変位発信器により可能であろう。その場合損傷個所は後で一層正確に検査可能である。
【0020】
画像において検出される撚り線の長さは、撚り長さ又は撚り長さの数倍に限定される必要がない。この長さが大きいと、欠陥は画像中に2回現れる。しかしこれはいら立ちの原因となってはならず、認識を強めることができる。
【0021】
方法の有利な構成によれば、検出される画像において認められる変化に基づいて、撚り線の走行方向において前記の固定個所の後にある個所における損傷個所が撮影される。
【0022】
視覚による直接の検査では、場合によっては撚り線を直ちに逆走行させて、損傷個所を検査することができる。
【0023】
一般に撚り線の全周を検出するため、方法が異なる側から同時に行われる。
【0024】
方法を実施する装置では、撚り線の通過する場所でカメラが撚り線へ向けられ、かつ制御装置に接続され、カメラに評価兼記録装置が接続されている。
【0025】
一般にカメラ又は光電池は多重に存在し、撚り線の周囲を完全に検出するため、異なる側から撚り線へ向けられている。
【0026】
制御装置及び評価兼記録装置が異なるカメラ又は光電池に対して共通であるのがよい。
【0027】
最後に本発明の第3の実施形態では、走行する撚り線が大きい長さを撮影され、撮影が例えば撚り長さ又は撚り長さの数倍の大きさの反復する単位長さに分けられ、順次に続く単位長さが比較され、損傷を表示する画像の変化について検査される。
【0028】
撚り線全体の1つの撮影をなるべく単位長さに分けるのは、手動方法で行なうか、又は計算機によりなるべく自動的に行うことができる。その場合単位長さは、上述したようにカメラの反復する始動により直接画像列として生じたのと同じように更に処理可能である。
【0029】
撚り線直径の幅及び撚り線の全長でなるべくディジタルの画像を形成するため、アナログまたはディジタルパノラマ写真の撮影の際使用されるように、スリット状絞りによる露光の同じ技術が適用される。カメラ又はレンズの揺動のみが行われない。即ちスリットを通して写される画像部分の変化は、撚り線自体の走行によって行われる。カメラの速度は撚り線速度に同期化しさえすればよい。
【0030】
図面により本発明が以下に更に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
図1において矢印1,2及び3は、撚り線10の周囲のそれぞれ撚り長さlだけずれた同じ個所における同じ素線の順次に続く出現を示している。矢印1と2との間及び矢印2と3との間で、同じ素線が同じ構成で見える。この構成が単独で図2に示されている。
【0032】
この構成は図3,4及び5にもう一度示され、そこでは線破断4又は5又は6と共に示されている。線破断4及び5は誇張して示されている。線破断6の所では、線は少しだけ引込められ、隙間を残し、この隙間が汚物及び潤滑剤で満たされ、短く暗い線分として認められる。
【0033】
図6は、異なる側から撚り線10へ向けられる3つのカメラ7を持つ場所を示している。線8にカメラ7により検出される範囲を示している。
【0034】
撚り線10の素線9の撚り長さは、この例では250mm、図の面に対して直角な撚り線10の走行速度は5m/sec、カメラの閃光頻度は20Hzである。即ち撚り長さの大きさの撚り線の次の部分がカメラ7の前にある時常に、撚り線は0.05secの間隔で撮影される。
【0035】
なお上述した説明を参照することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】撚り線の一部を示す。
【図2】図1の一部を示す。
【図3】図2に相当する第2の部分を示す。
【図4】図2に相当する第3の部分を示す。
【図5】図2に相当する第4の部分を示す。
【図6】実施例として走行する撚り線を検査する装置を概略的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行する撚り線を検査する方法において、走行する撚り線が、固定個所において、撚り長さ又は撚り長さの数倍と撚り線の走行速度との比に等しい時間間隔で、少なくとも撚り長さ又は撚り長さの数倍で撮影され、順次に続く撮影が少なくとも撚り長さ又は撚り長さの数倍において比較され、画像において損傷を示す変化について監視されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
走行する撚り線を検査する方法において、走行する撚り線が、固定個所において、撚り長さ又は撚り長さの数倍と撚り線の走行速度との比に等しい時間間隔で、少なくとも撚り長さ又は撚り長さの数倍で閃光で照らされ、照らされた画像が撚り長さ又は撚り長さの数倍で検査され、画像において損傷を示す変化について監視されることを特徴とする、方法。
【請求項3】
走行する撚り線の同じ外側素線の反復が同じ個所で検査され、各反復又はそれぞれ第2又は第3の反復が撮影または閃光の開始のために利用されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
素線の反復が、なるべく素線隆起に反応する近接センサによるすべての素線の検出及び素線の計数により検出されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
素線の反復が素線の標識の検出によって検出されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
素線の反復の記録又は隆起の記録により、撚り線のどの個所が前記の固定個所にあるかが追跡され、それから始まって撚り線における損傷個所の位置が記録されることを特徴とする、請求項3〜5の1つに記載の方法。
【請求項7】
方法が、外側素線のそれぞれ1つの線が見えるように標識をつけられている撚り線の検査のために考慮されていることを特徴とする、請求項1〜5の1つに記載の方法。
【請求項8】
検出される画像において認められる変化に基いて、撚り線の走行方向において前記の固定個所の後にある個所における損傷個所が撮影されることを特徴とする、請求項1〜7の1つに記載の方法。
【請求項9】
方法が異なる側から同時に行われることを特徴とする、請求項1〜8の1つに記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜9の1つに記載の方法を実施する装置であって、撚り線(10)の通過する場所でカメラ(7)が撚り線(10)へ向けられ、かつ制御装置に接続され、カメラに評価兼記録装置が接続されていることを特徴とする、装置。
【請求項11】
カメラ(7)が多重に存在し、異なる側から撚り線(10)へ向けられていることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
制御装置及び評価兼記録装置が異なるカメラに対して共通であることを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
走行する撚り線を検査する方法であって、走行する撚り線が大きい長さを撮影され、撮影が撚り長さ又は撚り長さの数倍の大きさの反復する単位長さに分けられ、順次に続く単位長さが比較され、損傷を表示する画像の変化について検査されることを特徴とする方法。
【請求項14】
走行する撚り線がカメラにより撮影され、このカメラにおいて撚り線の走行速度に同期化されて連続的に持続する撮影が、スリット絞りを使用して行われることを特徴とする、請求項13に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2009−512879(P2009−512879A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−539276(P2008−539276)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/009908
【国際公開番号】WO2007/045403
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(508141106)カザール・ドラートザイルヴエルク・ザール・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (2)
【Fターム(参考)】