走行ペース表示制御装置および走行ペース表示制御方法
【課題】 マラソン競技などの走行中において、簡単な操作で通過地点の直前の走行ペースを通過地点で使用者に提示することが可能な走行ペース表示制御装置および電子時計を提供する。
【解決手段】 予め定められている地点通過である3km、7km、15kmでスプリット・ラップスイッチB2が操作される都度、当該スプリット・ラップスイッチB2が前回操作された時点からの走行歩数(STN)と予め定められた歩幅(STW)「500mm」とに基づいて、その地点通過に対応する走行距離を計算し、この計算された走行距離と計測された走行時間とに基づいて、スプリット・ラップスイッチB2が操作される直前の走行ペースを計算し、この計算された直前の走行ペースの表示「5分10秒」「5分18秒」・・・をスプリット・ラップスイッチB2が操作された直後に行う。これらにより簡単なスイッチ操作でスプリット・ラップスイッチB2が操作される都度、直前の走行ペースを使用者に提示できる。
【解決手段】 予め定められている地点通過である3km、7km、15kmでスプリット・ラップスイッチB2が操作される都度、当該スプリット・ラップスイッチB2が前回操作された時点からの走行歩数(STN)と予め定められた歩幅(STW)「500mm」とに基づいて、その地点通過に対応する走行距離を計算し、この計算された走行距離と計測された走行時間とに基づいて、スプリット・ラップスイッチB2が操作される直前の走行ペースを計算し、この計算された直前の走行ペースの表示「5分10秒」「5分18秒」・・・をスプリット・ラップスイッチB2が操作された直後に行う。これらにより簡単なスイッチ操作でスプリット・ラップスイッチB2が操作される都度、直前の走行ペースを使用者に提示できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、走行ペースの表示を行う走行ペース表示制御装置および走行ペース表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マラソンなどの競技において、スタート地点から、計測点までにかかったトータルでの経過時間、すなわち、スタート地点から任意の地点を通過したタイミングまでの経過時間をスプリットタイムまたは走行時間(以下、「スプリットタイム」という。)と呼び、他方、5km地点から10km地点までのように、地点間にかかった時間、すなわち、任意の区間の走行にかかった区間時間または走路を周回するのにかかった周回タイムをラップタイム(語源はトラックなどの周回タイム)または区間時間(以下、「ラップタイム」という。)と呼ばれるが、このようなスプリットタイムとラップタイムを簡単な操作で計測できる機能が付いているストップウォッチ装置、或いは、このような機能を備えた腕時計型電子時計が知られている。
【0003】
また、このようなストップウォッチ装置において、使用者がトータルの目標時間を入力することで、使用者に合った区間毎の目標時間を自動的に求めて、使用者に表示する機能の提案もなされている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平9−61558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、マラソンランナーは、自分や他人の走行ペースを表わすのに、「キロ6分」「キロ4分半」などと単位距離の走行時間を用いて表現し、レース中もこのペースを考慮しながら走ることが多い。フルマラソンのレース中、自分のスプリットタイムまたはラップタイムを把握することができると、ペースの確認に役立つ。
【0005】
上記の走行ペースは、2点間を走るのに要した時間をその2点間の走行距離で割って算出することができるが、このような演算を装置に行わせるためには、例えば装置にGPS(全地球測位システム)などを搭載し、この測位モジュールによって任意の2点間の走行距離を測定して、2点間の走行時間を測定走行距離で除算して求める必要がある。しかしながら、測位モジュールの搭載は、装置を大型化させ、また、製品コストも高騰させる。
【0006】
また、測位モジュールを搭載しない装置の場合、使用者は、例えば、コース中の「〜キロ地点」の走行距離表示等を頼りに、走行距離が既知となる区間のラップタイムをストップウォッチ装置により計測するとともに、走行距離表示から暗算により区間距離を求め、さらに、上記のラップタイムを区間距離で割って走行ペースを求めるしかなかった。
【0007】
この発明の目的は、測位モジュールなどを用いずに、簡単な操作で地点通過に対応する走行距離と地点通過の直前の区間の走行ペースとのうち、少なくとも直前の区間の走行ペースを迅速かつ確実に使用者に提示することが可能な走行ペース表示制御装置および走行ペース表示制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、装置本体と表示部とを備えている走行ペース表示制御装置において、
使用者の歩数を検出する歩数検出手段と、
走行時間を計測する計時手段と、
予め定められている地点通過をする際に使用者により操作される操作手段と、
この操作手段が操作された場合において前記計時手段により計測された当該操作手段が操作された前回の地点通過時点からの走行時間、予め定められた歩幅、および、前記歩数検出手段により検出された歩数に基づいて、前記地点通過に対応する走行距離と前記操作手段が操作される直前の区間の走行ペースとのうち、少なくとも直前の区間の走行ペースを、前記操作手段が操作された直後に前記表示部に表示させる表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明にかかる走行ペース表示制御方法は、
前記表示制御手段の制御により表示された走行距離を変更するために操作される変更操作手段と、
この変更操作手段により変更された走行距離を表示させる変更距離表示制御手段と、
を更に備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明にかかる走行ペース表示制御方法は、
走行する前に前記予め定められた歩幅を入力する入力手段を更に備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明にかかる走行ペース表示制御方法は、
前記表示制御手段は、前記計時手段により計測された当該操作手段が前回操作された時点からの歩数と前記予め定められた歩幅とを乗算して計算された乗算走行距離または当該乗算走行距離を最適化した最適化走行距離を前記地点通過に対応する直前の走行距離として処理する距離処理手段と、
を備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明にかかる走行ペース表示制御方法は、
前記装置本体は、当該装置本体を腕に装着するための腕装着部を備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の発明にかかる走行ペース表示制御方法は、
使用者の身体に装着される装置本体、データを表示する表示部、使用者の歩数を検出する歩数検出手段、および、走行時間を計測する計時手段を備えている走行ペース表示制御装置に用いられる走行ペース表示制御方法において、
予め定められている地点通過をする際に使用者により操作される操作手段が操作された場合において、前記計時手段により計測された当該操作手段が操作された前回の地点通過時点からの走行時間、予め定められた歩幅、および、前記歩数検出手段により検出された歩数に基づいて、前記地点通過に対応する走行距離と前記操作手段が操作される直前の走行ペースを計算する計算ステップと、
この計算ステップにより計算された地点通過に対応する走行距離と前記操作手段が操作される直前の区間の走行ペースとのうち、少なくとも直前の区間の走行ペースを、前記操作手段が操作された直後に前記表示部に表示させる表示制御ステップと、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の発明にかかる走行ペース表示制御方法は、
前記表示制御ステップの制御により表示された走行距離を変更するために操作される変更操作手段が操作されると、この変更操作手段により変更された走行距離を表示させる変更距離表示制御ステップを更に備えたことを特徴とする。
請求項8記載の発明にかかる走行ペース表示制御方法は、
走行する前に前記予め定められた歩幅を使用者の操作により入力する入力ステップを更に備えたことを特徴とする。
請求項9記載の発明にかかる走行ペース表示制御方法は、
前記表示制御ステップは、前記計時手段により計測された当該操作手段が前回操作された時点からの歩数と、前記予め定められた歩幅を乗算し、この乗算された乗算走行距離または当該乗算走行距離を最適化した最適化走行距離を前記地点通過に対応する直前の走行距離として処理する距離処理ステップを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1または請求項7記載の発明によれば、予め定められている地点通過をする際にスイッチを操作するという簡単な操作で、地点通過に対応する走行距離と直前の区間の走行ペースとのうち、少なくとも直前の区間の走行ペースを使用者に提示することができる。
【0016】
請求項2または請求項8記載の発明によれば、表示された走行距離を変更するために操作される変更操作手段により変更された走行距離を表示させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の走行ペース表示制御機能を有する電子時計の内部構成を示すブロック図およびRAMの構成図、図2は、この電子時計の外観を示す正面図である。
【0019】
この第1実施形態の電子時計1は、例えばマラソン競技者等により使用される腕時計型の電子時計であり、電子時計の装置本体H1と当該装置本体を使用者の腕または身体の一部に装着するための装着部であるバンドH2とを備えている。この装置本体H1の内部には、図1(a)に示すように、装置の全体的な制御を行うCPU(中央演算処理装置)10と、CPU10により実行される制御プログラムや制御データが格納されるROM(Read Only Memory)13と、CPU10に作業用のメモリ空間を提供するRAM(Random Access Memory)14と、これらの間でデータを伝送するバス17と、時間表示や計測表示等の種々の表示を行う液晶パネルなどの表示部12と、表示部12を駆動する表示駆動回路11と、複数のスイッチSW1〜SW5を有し使用者操作によって信号入力を行う操作部18と、計時を行うための計時回路15および発振回路16等が設けられている。また、使用者の歩数を検出するための歩数検出センサSが設けられている。
【0020】
RAM14は、図1(b)に示すように、現在時刻領域14a、歩幅設定値領域14b、計測時間領域14c、歩数カウント値領域14d、区間タイム領域14e、推定区間距離領域14f、推定総区間距離領域14g、区間走行ペース領域14h、モード設定領域14mを備えている。
現在時刻領域14aは、現在時刻を記憶する領域であり、歩幅設定値領域14bは、歩幅設定値を記憶する領域であり、計測時間領域14cは、計測時間を記憶する領域であり、歩数カウント値領域14dは、歩数カウント値を記憶する領域であり、区間タイム領域14eは、区間タイムを記憶する領域であり、推定区間距離領域14fは、推定区間距離を記憶する領域であり、推定総区間距離領域14gは、推定総区間距離を記憶する領域であり、区間走行ペース領域14hは、区間走行ペースを記憶する領域であり、モード設定領域14mは、モードを設定する領域である。
計時回路15には、図1(a)に示すように、例えば、年月日時分秒などの現在時刻を計時するための日時カウンタ15aと、走行ペース表示制御の機能動作時にスタートからの経過時間であるスプリットタイムまたは各区間のラップタイムを計時する計測時間カウンタ15bとが設けられている。日時カウンタ15aと計測時間カウンタ15bとは、CPU10の制御と発振回路16から供給される発振信号とに基づき各カウンタにより計時動作が行われるようになっている。
【0021】
この電子時計1は、図2に示すように、正面側に上記表示部12が風防ガラスGに覆われて露出されているとともに、正面部の上側と下側とに第1スイッチB1と第2スイッチB2が設けられている。また、側面部に第3〜第5スイッチB3〜B5が設けられている。これらの第1〜第5スイッチB1〜B5は、上記操作部18のスイッチSW1〜SW5をオン・オフする操作部を構成するものである。さらに、使用者の歩数を検出するための歩数検出センサSが収納されるセンサ収納部S1を備えている。
【0022】
表示部12は、上下2段の表示領域12a,12bと12cに分割され、さらに、上段には左右に2つの表示領域12a,12bが設けられている。時計モードの場合には、図2に示すように、表示領域12aに西暦年、例えば、「‘07」が、表示領域12bに月日、たとえば、「6-28」が、表示領域12cに時分秒、たとえば、「2:47:18」が表示されるようになっている。
【0023】
次に、上記構成の電子時計1の動作説明を行う。
【0024】
図3には、CPU10により実行されるメイン制御処理のフローチャートを示す。
【0025】
この実施形態の電子時計1においては、電源投入時からこのメイン制御処理が開始され、そのステップS1〜S6のループ処理が繰り返し実行されるようになっている。
すなわち、ループ処理では、先ず、モードスイッチB3の操作状態を読み取り、この操作状態に基づいて、RAM14のモード設定領域14mのモード情報を切り替える(ステップS1)。
例えば、モードスイッチB3が長押しされて一定時間以上のオン信号が入力されれば、CPU10はRAM14のモード設定領域14mの情報を、歩幅設定モードを示す情報に書き換え、また、スイッチSW3の出力が短時間オン状態であればCPU10はRAM14のモード設定領域14mの情報を、走行ペース表示制御モードを示す情報に書き換え、また、スイッチSW3の出力がオフ信号のままであればRAM14のモード設定領域14mの情報をそのままとする。
【0026】
続いて、上記のように設定されたRAM14のモード設定領域14mに格納されたモード情報に従って各モードの処理ルーチンに分岐する(ステップS2,S3)。
すなわち、RAM14のモード設定領域14mの情報が歩幅設定モードになっていればステップS4の歩幅設定ルーチン(図4)に移行し、走行ペース表示制御モードになっていればステップS5の走行ペース表示制御動作ルーチン(図6)に移行し、時計モードになっていればステップS6の時刻、日付等の表示ルーチン(図2)に移行する。
【0027】
そして、この分岐後のルーチン(ステップS4〜S6)を遂行したら、再びステップS1に戻って、これらのステップS1〜S6のループ処理を繰り返す。このメイン制御処理によって、使用者がスイッチB3を操作して歩幅設定モードや走行ペース表示制御モードに移行して、これらの処理を実行させることが可能になっている。
【0028】
図4には、上記メイン制御処理のステップS4で実行される歩幅設定ルーチンのフローチャートを、図5には、この歩幅設定ルーチンにおける表示内容の一例を表わした腕時計の正面図を示す。
【0029】
歩幅設定ルーチンは、後述の走行距離推定の演算に使用される歩幅設定値を使用者により装置に設定させる処理である。歩幅設定値は、使用者の走行時における歩幅を表わす値で、例えば、「500mm(50cm)」として表されるものである。第1〜第5スイッチB1〜B5のいずれかのキー操作により入力された歩幅設定値、たとえば、500mm(50cm)は、RAM14の歩幅設定値領域14bに格納される。
図4に示す歩幅設定ルーチンに移行すると、先ず、現在、RAM14の歩幅設定値領域14bに格納されている歩幅設定値を読み出して、この読み出された歩幅設定値を表示部12に出力させる(ステップS11)。
【0030】
図4(a)に示すように、この歩幅設定値は、例えば、「FOOTSTEP 500mm」と表示部12の第2表示領域12bに表示される。また、図4(b)に示すように、歩幅設定値の表示後、1kmの走行時間であることを示すために、第1表示領域12aに「1km」の表示がなされ、第2表示領域12bの上下には「PERSONAL PACE」等の題目表示と、「/km」等の単位表示がなされるようになっている。
【0031】
上記のような表示出力を行ったら、次に、操作部18からの入力に応じた分岐処理を行う(ステップS12〜S15)。すなわち、スクロールアップスイッチB4の入力に応じた判別(ステップS12)、スクロールダウンスイッチB5の入力に応じた判別(ステップS13)、モードスイッチB3の入力に応じた判別(ステップS14)、或いは、一定時間スイッチ入力がない場合の判別(ステップS15)を行う。
【0032】
そして、スクロールアップスイッチB4が押されていれば、ステップS12の判別処理でイエス側に分岐して、歩幅設定値を1mmずつ加算する処理を行う(ステップS12)。そして、加算処理が済んだらステップS11に戻る。これらの処理により、使用者はスクロールアップスイッチB4を間欠的に押したり連続的に押し続けたりすることで、RAM14の歩幅設定値領域14bに設定されている歩幅設定値を逐次大きな値にしていくことができる。
【0033】
一方、スクロールダウンスイッチB5が押されていれば、ステップS13の判別処理でイエス側に分岐して、歩幅設定値を1mmずつ減算する処理を行う(ステップS17)。そして、減算処理が済んだらステップS11に戻る。このような処理により、使用者はスクロールダウンスイッチB5を間欠的に押したり連続的に押し続けたりすることで、RAM14の歩幅設定値領域14bに設定されている歩幅設定値を逐次小さな値にしていくことができる。
【0034】
さらに、モードスイッチB3が押されたか、或いは、しばらくスイッチ操作がなく、一定時間以上のスイッチ入力がない場合には、ステップS14,S15の判別処理でステップS18に分岐して、次に時計モードに移行するためにRAM14中のモード設定領域14mに時計モードを示すデータを書き込む(ステップS18)。そして、この歩幅設定ルーチンを終了する。一方、ステップS12〜S15の判別処理の何れもノーであればステップS11に戻って、再び、ステップS11からのループ処理を繰り返す。
【0035】
この歩幅設定ルーチンにより、使用者は表示部12の表示を見ながら、スクロールアップスイッチB4とスクロールダウンスイッチB5とのいずれかを押すことで、走行距離推定に必要な歩幅設定値を1mm単位で設定変更できるようになっている。そして、設定が済んだら第3スイッチB3を押すか、押さないで一定時間放置するかを行い、歩幅設定ルーチンを抜けて時計モードに戻るようになっている。
【0036】
図6には、メイン制御処理(図3)のステップS5で実行される走行ペース表示制御動作ルーチンのフローチャートを、図7は、その走行ペース表示制御動作中の表示内容の一例の腕時計の正面図を示す。
【0037】
走行ペース表示制御機能は、(1)スタート/ストップスイッチB1を押すことで計測時間カウンタ15bの計時をスタートさせたりストップさせたりして、スタートからストップまでの時間であるスプリットタイムを計測する機能と、(2)後に詳述するが、使用者が、例えば「3km地点」や「7km地点」などの走行距離表示がなされている測定地点を通過した際にスプリット・ラップスイッチB2を押すことで、その押された時点における歩数(図7参照)、走行距離の推定演算や走行ペースの演算の結果である推定の区間距離dd、総距離d、直前の区間の走行ペースの表示を行う機能とを備えている。
【0038】
この走行ペース表示制御動作ルーチンに移行すると、先ず、計時回路15の計測時間カウンタ15bの値の表示処理を行う(ステップS21)。計測のスタート前には計測時間カウンタ15bの値はゼロなので、表示領域12cに「00:00:00」の表示が行われる。また、計測のスタート後にはカウントアップされていく計測時間カウンタ15bの値が表示される。
【0039】
表示処理をしたら、次いで、スイッチ操作の入力確認を行う(ステップS22〜S24)。すなわち、スタート/ストップスイッチB1の押下、例えば「3km地点」や「7km地点」などの走行距離表示の測定地点を通過した際に使用者により操作されるスプリット・ラップスイッチB2の押下、モードスイッチB3の押下がなされたか否かを判別し、これらの押下がなされていないと判別されたならばステップS21に戻って、ステップS21〜S24のループ処理を繰り返し実行する。一方、何れかのスイッチB1〜B3が押下されれば、それらに応じた分岐処理を行う。
【0040】
その結果、スタート/ストップスイッチB1の押下がなされていないと判別されたら、ステップS22の判別処理でイエス側に分岐し、先ず、今現在、走行ペース表示制御の計測中か否かを判別する(ステップS25)。そして、計測中でないと判断されたら、スイッチB1の押下は計測スタートの要求を表わすものと認識して、走行ペース表示制御機能に使用する各種変数等の初期化を行い(ステップS26)、続いて、計時回路15の計測時間カウンタ15bをカウントアップ状態にして計測を開始させる(ステップS27)。そして、ステップS21に戻る。
【0041】
一方、ステップS25で計測中であると判別されたら、スタート/ストップスイッチB1の押下は計測ストップの要求を表わすものと認識して、先ず、計時時間カウンタ15bの値を最後のラップタイムとしてRAM14の領域14cに記憶し(ステップS28)、前回のスプリット・ラップスイッチB2の押下時からの走行ペースの計算処理を行い(ステップS29:後に詳述)、次いで、計時時間カウンタ15bを停止させる(ステップS30)。そして、ステップS21に戻って、停止時のカウンタ値を表示する。
【0042】
また、ステップS23のスイッチ操作の判別処理において、スプリット・ラップスイッチB2の押下がなされたと判別された場合には、まず、この時点での計時時間カウンタ15bの値を読み込んでこの値をラップタイムとしてRAM14の領域14cに記憶する(ステップS31)。そして、このラップタイムの値から前回のスプリット・ラップスイッチB2の押下時からの走行ペースの計算処理を行い(ステップS32:後に詳述)、ステップS21に戻る。
【0043】
また、ステップS24のスイッチ操作の判別処理において、モードスイッチB3の押下がなされたと判別された場合には、この走行ペース表示制御動作ルーチンのループ処理を抜けて、次に時計モードに移行するためにRAM14中のモード設定領域14mに時計モードを示すデータを書き込む(ステップS33)。そして、この走行ペース表示制御動作ルーチンを終了する。
【0044】
図8には、走行ペース表示制御動作ルーチン(図6)のステップS29,S32において実行されるペース計算処理のフローチャートを、図9には、ペース計算の処理内容を説明する図を示す。
【0045】
ペース計算処理は、使用者が「3km地点」や「7km地点」などの走行距離表示が行われている計測地点を通過してスプリット・ラップスイッチB2を押下した場合、或いは、ゴールの計測地点でスタート/ストップスイッチB1を押下した場合に移行される処理である。
【0046】
このペース計算処理に移行すると、まず、CPU10はRAM14の計測時間領域14cに記憶されている前回のラップタイムと今回のラップタイムとから、これらの区間タイムdtを計算する(ステップS41)。
【0047】
次いで、CPU10は、使用者により設定された歩幅設定値(STW)と歩数検出センサSにより検出された歩数(STN)とから、推定区間距離ddの演算を行う(ステップS42)。歩幅設定値は、スタート開始前に入力された歩幅設定値であるが、使用者の走行中の歩幅の想定値を示すものなので、先ず、検出された歩数と歩幅設定値を乗算することで、想定される歩幅で走っていた場合における区間距離が計算される。
図9の例に示す場合、例えば、3km地点での推定距離では、スタート開始の0km地点から3km地点までの、歩数検出センサSにより検出された歩数(STN)は、6007(歩)」であり、スタート開始前に入力されていた歩幅設定値STWは、「500mm」であることから、それら歩数(STN)「6007(歩)」と歩幅設定値STW「500mm」とを乗算する。この乗算結果の値をキロメートルの単位に直すため1000で除算すると、スタート開始の0km地点から3km地点までの間の区間距離として「3.0035(km)」が得られている。また、7km地点での推定距離では、3km地点から7km地点までの、歩数検出センサSにより検出された歩数(STN)は、「8050(歩)」であるから、この歩数「8050(歩)」と歩幅設定値STW「500mm」とを乗算し、これをキロメートルの単位に直すため1000で除算すると、3km地点から7km地点までの間の区間距離として「4.025(km)」が得られている。また、15km地点での推定距離でも同様に計算を行い、7km地点から15km地点までの間の区間距離として、「8.6000(km)」が得られている。
【0048】
しかし、実際の走行距離と推定された走行距離とでは走行時の歩幅のばらつきなどにより誤差が生じうるため、上記の乗算結果から計算された区間距離には誤差が生じているはずである。一方、このペース計算処理が実行されるタイミングは、使用者が走行距離表示の計測地点を通過してスプリット・ラップスイッチB2が押した際などである。したがって、推定される区間距離としては単位距離の整数倍の走行距離が候補となる。それゆえ、上記乗算結果の値からその端数を四捨五入する処理を行うことで、上記の誤差を除去して、推定される区間距離の候補の中から一番近い区間距離ddが得られる。
例えば、図9の例では、3km地点では3.0035[km]を3[km]に、7km地点では4.025[km]を4[km]に、15km地点では8.6000[km]を9[km]のように端数を処理して、候補中の単位距離の整数倍の距離の中から一番近い走行距離が得られている。
【0049】
上記のような端数処理により、使用者の予め設定した歩幅設定値に基づいて想定された走行距離がさほどずれていない場合には、そのずれをうまく除去して、使用者が走行した走行距離の推定値を得ることができる。
例えば、図9の3kmの計測地点や7kmの計測地点では、誤差が除去されて、実際の走行距離と一致した推定走行距離ddが得られている。
一方、使用者の走行ペースと予め設定した歩幅設定値とに基づいた想定された走行ペースとが大きくずれている場合には、ずれがうまく除去されないことも生じる。例えば、図9の15kmの計測地点では、推定走行距離ddが実際の走行距離と1kmずれてしまっている。
【0050】
区間距離ddを演算したら、続いて、RAM14に記憶してある前回の総距離と区間距離ddとを足し合わせて新たな総距離dを計算し(ステップS43)、また、区間タイムdtを上記推定した区間距離ddで除算して現在の走行ペース(区間の走行ペース)pを計算する(ステップS44)。
【0051】
そして、上記ステップで算出した走行距離d、実際の走行ペースp、並びに、RAM14に記憶してある今回のラップタイムをそれぞれ表示部14に表示出力する(ステップS45)。
【0052】
図10には、図8に示すペース計算処理において、表示部14に出力された表示内容の一例と、その後に走行距離修正を行った場合の表示の一例を示す。同図(a)はペース計算処理により最初に出力された腕時計の表示例、(b)はダウンスイッチを押した際の腕時計の表示例である。
【0053】
図10(a)は、3kmの通過地点における表示例であるが、同図に示すように、ステップS45の表示出力処理によって、第1表示領域12aには推定された総距離d「DISTANCE 16km」が、第2表示領域12bには推定区間距離ddを元に計算された走行ペースp「PACE 4:59/km」が、第3表示領域12cには区間タイムdt「SPLIT 1:21:35」が、それぞれ表示出力される。使用者はこのうちの走行ペースp「4:59/km」の表示を見て、スプリット・ラップスイッチB2が操作された直前の自分の走行ペースを確認することができる。
【0054】
表示処理を行ったら、次に、スイッチ入力を判別するループ処理を行う(ステップS46,S48,S50)。すなわち、距離アップスイッチB4または距離ダウンスイッチB5の押下があるか、或いは、一定時間(例えば10秒など)何れのスイッチB4,B5の操作がないかを判別する。そして、何れの条件も発生しなければ、このスイッチ入力のループ処理(ステップS46,S48,S50)を繰り返し行う。
【0055】
ここで、距離アップスイッチB4と距離ダウンスイッチB5の押下は、ステップS42の推定走行距離との間にずれが生じていた場合に、使用者が走行距離表示を見てそれに合わせて修正するために行われるものである。上述したように、推定区間距離ddの計算処理においては、推定距離のとの間にずれが生じていた場合があり、例えば、図9の15kmの測定地点の例では、推定距離が「16km」と表示されたことから、使用者が実際に計測地点を通過している実際の走行距離と対比してみた場合、1kmずれて推定されている。
【0056】
図11には、ペース計算処理においてダウンスイッチが押された場合の処理内容の説明図を示す。
【0057】
使用者は、このような実際の走行距離と推定の走行距離との間のずれを、表示部12の第1表示領域12aに表示される推定総距離の値(dd)と、コース上の計測地点における実際の走行距離表示の値とを比べることですぐに認識できるので、このようなずれがあった場合に、距離アップスイッチB4または距離ダウンスイッチB5を押下して推定走行距離の修正操作を行う。
【0058】
ここで、実際の走行距離に対する推定の走行距離のずれは、1kmの整数倍の差異で生じているはずである。したがって、距離アップスイッチB4または距離ダウンスイッチB5の押下により、1km単位で推定距離をずらす修正を行う。
例えば、図11の例では、15kmの走行距離表示の計測地点で、推定された総距離が「16km(区間距離9km)」と使用者が実際に走った走行距離とを対比してみた場合、実際に走った走行距離15kmよりも1km長く推定表示(図10(a))されているので、距離ダウンスイッチB5を1回押して、推定された総距離dを「15km(区間距離8km)」に修正する。推定された総距離dが短い場合には、同様に距離アップスイッチB4を押して1km長く修正することができるし、また、2kmや3kmなど複数kmずれている場合には、スイッチB4,B5を複数回押すことでそれらを修正することができる。
【0059】
上述のスイッチ判別のループ処理(ステップS46,S48,S50:図8)において、距離アップスイッチB4が押下された場合には、ステップS46の判別処理のイエス側に分岐して、推定総距離dと推定区間距離ddとの値を「1」ずつ加算する処理を行う(ステップS47)。これにより、推定区間距離や推定総距離が単位距離ずつ加算されて修正される。
【0060】
また、距離ダウンスイッチB5が押下された場合には、ステップS48の判別処理でイエス側に分岐して、推定総距離dと推定区間距離ddとの値を「1」ずつ減算する処理を行う(ステップS47)。これにより、推定区間距離や推定総距離が単位距離ずつ減算されて修正される。
【0061】
ステップS47,S49で修正処理が行われたら、次いで、ステップS44に戻って実際の走行ペースpの計算処理からやり直す。そして、続くステップS45において、修正後の総距離dの表示や走行ペースpの表示が行われて、使用者は修正内容を確認することができる。その際の表示内容の遷移は、図10(a)〜(b)に示すごとくである。
すなわち、第1表示領域12aには実際の総距離d「DISTANCE 15km」が、第2表示領域12bには直前の走行ペースp「PACE 5:37/km」が、第3表示領域12cには区間タイムdt「SPLIT 1:21:35」がそれぞれ表示出力される。
【0062】
そして、推定区間距離の値が正しい区間距離の値になって、或いは、初めから正しい区間距離の値であって、距離アップスイッチB4や距離ダウンスイッチB5が押されないまま予め定められている一定時間(たとえば、10秒)が経過すると、ステップS50の判別処理でループ処理を抜けて、上記の演算処理により得られた総距離d、走行ペースp、今回のラップタイムをRAM14に保存する(ステップS51)。そして、このペース計算処理を終了する。
【0063】
このようなペース計算処理により、走行ペース表示制御動作中、使用者が走行距離表示の測定地点を通過するときに、スプリット・ラップスイッチB2を押すことで、図10(a)に示すように、その時点でのラップタイムに加え、その地点の総距離や走行ペースが表示出力されて使用者に提示されるようになっている。また、総距離の推定値が間違っている場合には、距離アップスイッチB4や距離ダウンスイッチB5を押すことで、図10(b)に示すように、総距離を修正してその修正された総距離に基づいて再計算されたあとの正しい走行ペースを使用者に提示できるようになっている。
【0064】
以上のように、この実施形態の電子時計1によれば、使用者はマラソンなどの競技において、スタート地点から走行ペース表示制御動作により計時を開始することで、その後、競技に有用な区間ごとの走行ペースの情報を簡単な操作で取得することができる。
すなわち、コース上の走行距離表示があった計測地点で使用者がスプリット・ラップスイッチB2を押すことで、そこまでの走行距離や区間距離が自動的に推定され、それにより現在の走行ペース(1キロあたりの走行時間)が算出されてこれらが表示される。使用者は、この走行ペースの表示により、現在の走行ペースがいつもより遅いか早いか、或いは、レース中の走行ペースの変動量などを直ちに判断することができる。さらに、このような機能のために測位システムなどを利用していないので、電子時計1の大型化やコストの高騰を回避できる。
【0065】
また、走行距離推定の際に使用される使用者の想定される走行ペースの値の基礎となる「歩幅設定値」は、使用者が設定入力できるようになっているので、使用者の能力に合わせて歩幅設定値を設定することで、走行ペースの速い使用者から遅い使用者まで様々な使用者に対応して精度の高い走行距離推定を行わせることができる。
【0066】
また、走行距離推定の際には、検出された歩数(STN)と歩幅設定値(STW)を乗算し、その値の端数を四捨五入することで、推定区間距離を得るようにしているので、負荷の小さな処理で距離の推定が可能になっている。
【0067】
また、推定された走行距離が実際の走行距離とずれて推定された場合には、使用者はその間ずれて推定された表示を見てそのずれを容易に確認することができ、また使用者の操作によりそれを修正することができる。さらに、修正後の走行距離の値を用いて実際の走行ペースが自動的に計算し直されるので、それにより使用者は正しい走行ペースの情報を取得することができる。また、推定距離を修正は2個のスイッチB4,B5を用いて単位距離ずつ距離を増減する方式で行われるので、使用者は走行中でも簡単に推定距離の修正を行うことができる。
【0068】
なお、上記の実施形態では、距離推定の際に、1kmを単位距離とし、この単位距離の整数倍の距離を走行距離の候補として推定を行っているが、例えば、1マイルを単位距離としてこの単位距離の整数倍の距離を走行距離の候補として距離推定を行うようにしたり、或いは、400mトラックの一周分を単位距離として、この単位距離の整数倍の距離を走行距離の候補として距離推定を行うようにしたりすることも出来る。また、このような単位距離を使用者が選択的に切り換えられるように構成しても良い。
【0069】
また、上記の実施形態では、歩数(STN)と歩幅設定値(STW)を乗算する処理を用いて推定区間距離を算出するようにしているが、スタート地点からの歩数と歩幅(STW)を乗算しスタートからの総距離を推定するようにしてもよい。また、上記実施の形態では、実際の走行ペースとして、スプリット・ラップスイッチB2が押された区間ごとの走行ペースを算出し表示するようにしているが、スタートから通した走行ペースを算出し表示するようにすることもできる。また、これらを切り替えられるようにしてもよい。
【0070】
また、上記の実施形態では、想定される走行ペースを「歩幅設定値」として使用者が設定入力できるようにしているが、予め一般的な走行ペースの値を装置に設定しておき、この値を用いて距離推定を行うように構成することも出来る。また、上記実施の形態では、走行ペース表示制御の計時スタートから終了まで、想定される走行ペースを固定値として距離推定に用いているが、例えば、計時スタートから終了にかけて走行ペースに既知の変化パターンがある場合には、この変化パターンに合わせて想定される走行ペースの値を設定値から変化させて距離推定に用いるようにしてもよい。
【0071】
なお、上記実施形態では腕時計型の電子時計に走行ペース表示制御機能を搭載した構成について説明したが、種々の形態の走行ペース表示制御装置に本発明を適用することもできる。その他、実施の形態で示した細部構成および処理方法は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】(a)は本発明の走行ペース表示制御機能を有する電子時計の内部構成を示すブロック図、(b)はその電子時計内のRAMの構成を示す図である。
【図2】図1の電子時計の外観を示す要部の正面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るCPUにより実行されるメイン制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】図3のメイン制御処理中の歩幅設定ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【図5】(a)および(b)は図4に示す歩幅設定モード下の表示内容の一例を示す腕時計の正面図である。
【図6】図3のメイン制御処理中の走行ペース表示制御動作ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図6の走行ペース表示制御動作ルーチン下の走行ペース表示制御動作中の表示内容の一例を示す正面図である。
【図8】図3のメイン制御処理中のペース計算処理の内容の一例を示すフローチャートである。
【図9】歩幅設定値の設定から直前の走行ペースペースの計算までの一連の手順をスタート地点からゴール地点までの項目別の計算・表示を示す図である。
【図10】(a)および(b)は図8のペース計算ルーチンにおける距離ダウンスイッチを押す前と押した後の表示内容の一例を示す腕時計の正面図である。
【図11】15kmの計測地点における項目別の計算・表示を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
1 電子時計
10 CPU
12 表示部
13 ROM
14 RAM
14a 歩幅設定値の記憶領域
15 計時回路
15b 計測時間カウンタ
16 発振回路
18 操作部
B1〜B5 第1〜第5スイッチ
S 歩数検出センサ
【技術分野】
【0001】
この発明は、走行ペースの表示を行う走行ペース表示制御装置および走行ペース表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マラソンなどの競技において、スタート地点から、計測点までにかかったトータルでの経過時間、すなわち、スタート地点から任意の地点を通過したタイミングまでの経過時間をスプリットタイムまたは走行時間(以下、「スプリットタイム」という。)と呼び、他方、5km地点から10km地点までのように、地点間にかかった時間、すなわち、任意の区間の走行にかかった区間時間または走路を周回するのにかかった周回タイムをラップタイム(語源はトラックなどの周回タイム)または区間時間(以下、「ラップタイム」という。)と呼ばれるが、このようなスプリットタイムとラップタイムを簡単な操作で計測できる機能が付いているストップウォッチ装置、或いは、このような機能を備えた腕時計型電子時計が知られている。
【0003】
また、このようなストップウォッチ装置において、使用者がトータルの目標時間を入力することで、使用者に合った区間毎の目標時間を自動的に求めて、使用者に表示する機能の提案もなされている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平9−61558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、マラソンランナーは、自分や他人の走行ペースを表わすのに、「キロ6分」「キロ4分半」などと単位距離の走行時間を用いて表現し、レース中もこのペースを考慮しながら走ることが多い。フルマラソンのレース中、自分のスプリットタイムまたはラップタイムを把握することができると、ペースの確認に役立つ。
【0005】
上記の走行ペースは、2点間を走るのに要した時間をその2点間の走行距離で割って算出することができるが、このような演算を装置に行わせるためには、例えば装置にGPS(全地球測位システム)などを搭載し、この測位モジュールによって任意の2点間の走行距離を測定して、2点間の走行時間を測定走行距離で除算して求める必要がある。しかしながら、測位モジュールの搭載は、装置を大型化させ、また、製品コストも高騰させる。
【0006】
また、測位モジュールを搭載しない装置の場合、使用者は、例えば、コース中の「〜キロ地点」の走行距離表示等を頼りに、走行距離が既知となる区間のラップタイムをストップウォッチ装置により計測するとともに、走行距離表示から暗算により区間距離を求め、さらに、上記のラップタイムを区間距離で割って走行ペースを求めるしかなかった。
【0007】
この発明の目的は、測位モジュールなどを用いずに、簡単な操作で地点通過に対応する走行距離と地点通過の直前の区間の走行ペースとのうち、少なくとも直前の区間の走行ペースを迅速かつ確実に使用者に提示することが可能な走行ペース表示制御装置および走行ペース表示制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、装置本体と表示部とを備えている走行ペース表示制御装置において、
使用者の歩数を検出する歩数検出手段と、
走行時間を計測する計時手段と、
予め定められている地点通過をする際に使用者により操作される操作手段と、
この操作手段が操作された場合において前記計時手段により計測された当該操作手段が操作された前回の地点通過時点からの走行時間、予め定められた歩幅、および、前記歩数検出手段により検出された歩数に基づいて、前記地点通過に対応する走行距離と前記操作手段が操作される直前の区間の走行ペースとのうち、少なくとも直前の区間の走行ペースを、前記操作手段が操作された直後に前記表示部に表示させる表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明にかかる走行ペース表示制御方法は、
前記表示制御手段の制御により表示された走行距離を変更するために操作される変更操作手段と、
この変更操作手段により変更された走行距離を表示させる変更距離表示制御手段と、
を更に備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明にかかる走行ペース表示制御方法は、
走行する前に前記予め定められた歩幅を入力する入力手段を更に備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明にかかる走行ペース表示制御方法は、
前記表示制御手段は、前記計時手段により計測された当該操作手段が前回操作された時点からの歩数と前記予め定められた歩幅とを乗算して計算された乗算走行距離または当該乗算走行距離を最適化した最適化走行距離を前記地点通過に対応する直前の走行距離として処理する距離処理手段と、
を備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明にかかる走行ペース表示制御方法は、
前記装置本体は、当該装置本体を腕に装着するための腕装着部を備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の発明にかかる走行ペース表示制御方法は、
使用者の身体に装着される装置本体、データを表示する表示部、使用者の歩数を検出する歩数検出手段、および、走行時間を計測する計時手段を備えている走行ペース表示制御装置に用いられる走行ペース表示制御方法において、
予め定められている地点通過をする際に使用者により操作される操作手段が操作された場合において、前記計時手段により計測された当該操作手段が操作された前回の地点通過時点からの走行時間、予め定められた歩幅、および、前記歩数検出手段により検出された歩数に基づいて、前記地点通過に対応する走行距離と前記操作手段が操作される直前の走行ペースを計算する計算ステップと、
この計算ステップにより計算された地点通過に対応する走行距離と前記操作手段が操作される直前の区間の走行ペースとのうち、少なくとも直前の区間の走行ペースを、前記操作手段が操作された直後に前記表示部に表示させる表示制御ステップと、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の発明にかかる走行ペース表示制御方法は、
前記表示制御ステップの制御により表示された走行距離を変更するために操作される変更操作手段が操作されると、この変更操作手段により変更された走行距離を表示させる変更距離表示制御ステップを更に備えたことを特徴とする。
請求項8記載の発明にかかる走行ペース表示制御方法は、
走行する前に前記予め定められた歩幅を使用者の操作により入力する入力ステップを更に備えたことを特徴とする。
請求項9記載の発明にかかる走行ペース表示制御方法は、
前記表示制御ステップは、前記計時手段により計測された当該操作手段が前回操作された時点からの歩数と、前記予め定められた歩幅を乗算し、この乗算された乗算走行距離または当該乗算走行距離を最適化した最適化走行距離を前記地点通過に対応する直前の走行距離として処理する距離処理ステップを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1または請求項7記載の発明によれば、予め定められている地点通過をする際にスイッチを操作するという簡単な操作で、地点通過に対応する走行距離と直前の区間の走行ペースとのうち、少なくとも直前の区間の走行ペースを使用者に提示することができる。
【0016】
請求項2または請求項8記載の発明によれば、表示された走行距離を変更するために操作される変更操作手段により変更された走行距離を表示させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の走行ペース表示制御機能を有する電子時計の内部構成を示すブロック図およびRAMの構成図、図2は、この電子時計の外観を示す正面図である。
【0019】
この第1実施形態の電子時計1は、例えばマラソン競技者等により使用される腕時計型の電子時計であり、電子時計の装置本体H1と当該装置本体を使用者の腕または身体の一部に装着するための装着部であるバンドH2とを備えている。この装置本体H1の内部には、図1(a)に示すように、装置の全体的な制御を行うCPU(中央演算処理装置)10と、CPU10により実行される制御プログラムや制御データが格納されるROM(Read Only Memory)13と、CPU10に作業用のメモリ空間を提供するRAM(Random Access Memory)14と、これらの間でデータを伝送するバス17と、時間表示や計測表示等の種々の表示を行う液晶パネルなどの表示部12と、表示部12を駆動する表示駆動回路11と、複数のスイッチSW1〜SW5を有し使用者操作によって信号入力を行う操作部18と、計時を行うための計時回路15および発振回路16等が設けられている。また、使用者の歩数を検出するための歩数検出センサSが設けられている。
【0020】
RAM14は、図1(b)に示すように、現在時刻領域14a、歩幅設定値領域14b、計測時間領域14c、歩数カウント値領域14d、区間タイム領域14e、推定区間距離領域14f、推定総区間距離領域14g、区間走行ペース領域14h、モード設定領域14mを備えている。
現在時刻領域14aは、現在時刻を記憶する領域であり、歩幅設定値領域14bは、歩幅設定値を記憶する領域であり、計測時間領域14cは、計測時間を記憶する領域であり、歩数カウント値領域14dは、歩数カウント値を記憶する領域であり、区間タイム領域14eは、区間タイムを記憶する領域であり、推定区間距離領域14fは、推定区間距離を記憶する領域であり、推定総区間距離領域14gは、推定総区間距離を記憶する領域であり、区間走行ペース領域14hは、区間走行ペースを記憶する領域であり、モード設定領域14mは、モードを設定する領域である。
計時回路15には、図1(a)に示すように、例えば、年月日時分秒などの現在時刻を計時するための日時カウンタ15aと、走行ペース表示制御の機能動作時にスタートからの経過時間であるスプリットタイムまたは各区間のラップタイムを計時する計測時間カウンタ15bとが設けられている。日時カウンタ15aと計測時間カウンタ15bとは、CPU10の制御と発振回路16から供給される発振信号とに基づき各カウンタにより計時動作が行われるようになっている。
【0021】
この電子時計1は、図2に示すように、正面側に上記表示部12が風防ガラスGに覆われて露出されているとともに、正面部の上側と下側とに第1スイッチB1と第2スイッチB2が設けられている。また、側面部に第3〜第5スイッチB3〜B5が設けられている。これらの第1〜第5スイッチB1〜B5は、上記操作部18のスイッチSW1〜SW5をオン・オフする操作部を構成するものである。さらに、使用者の歩数を検出するための歩数検出センサSが収納されるセンサ収納部S1を備えている。
【0022】
表示部12は、上下2段の表示領域12a,12bと12cに分割され、さらに、上段には左右に2つの表示領域12a,12bが設けられている。時計モードの場合には、図2に示すように、表示領域12aに西暦年、例えば、「‘07」が、表示領域12bに月日、たとえば、「6-28」が、表示領域12cに時分秒、たとえば、「2:47:18」が表示されるようになっている。
【0023】
次に、上記構成の電子時計1の動作説明を行う。
【0024】
図3には、CPU10により実行されるメイン制御処理のフローチャートを示す。
【0025】
この実施形態の電子時計1においては、電源投入時からこのメイン制御処理が開始され、そのステップS1〜S6のループ処理が繰り返し実行されるようになっている。
すなわち、ループ処理では、先ず、モードスイッチB3の操作状態を読み取り、この操作状態に基づいて、RAM14のモード設定領域14mのモード情報を切り替える(ステップS1)。
例えば、モードスイッチB3が長押しされて一定時間以上のオン信号が入力されれば、CPU10はRAM14のモード設定領域14mの情報を、歩幅設定モードを示す情報に書き換え、また、スイッチSW3の出力が短時間オン状態であればCPU10はRAM14のモード設定領域14mの情報を、走行ペース表示制御モードを示す情報に書き換え、また、スイッチSW3の出力がオフ信号のままであればRAM14のモード設定領域14mの情報をそのままとする。
【0026】
続いて、上記のように設定されたRAM14のモード設定領域14mに格納されたモード情報に従って各モードの処理ルーチンに分岐する(ステップS2,S3)。
すなわち、RAM14のモード設定領域14mの情報が歩幅設定モードになっていればステップS4の歩幅設定ルーチン(図4)に移行し、走行ペース表示制御モードになっていればステップS5の走行ペース表示制御動作ルーチン(図6)に移行し、時計モードになっていればステップS6の時刻、日付等の表示ルーチン(図2)に移行する。
【0027】
そして、この分岐後のルーチン(ステップS4〜S6)を遂行したら、再びステップS1に戻って、これらのステップS1〜S6のループ処理を繰り返す。このメイン制御処理によって、使用者がスイッチB3を操作して歩幅設定モードや走行ペース表示制御モードに移行して、これらの処理を実行させることが可能になっている。
【0028】
図4には、上記メイン制御処理のステップS4で実行される歩幅設定ルーチンのフローチャートを、図5には、この歩幅設定ルーチンにおける表示内容の一例を表わした腕時計の正面図を示す。
【0029】
歩幅設定ルーチンは、後述の走行距離推定の演算に使用される歩幅設定値を使用者により装置に設定させる処理である。歩幅設定値は、使用者の走行時における歩幅を表わす値で、例えば、「500mm(50cm)」として表されるものである。第1〜第5スイッチB1〜B5のいずれかのキー操作により入力された歩幅設定値、たとえば、500mm(50cm)は、RAM14の歩幅設定値領域14bに格納される。
図4に示す歩幅設定ルーチンに移行すると、先ず、現在、RAM14の歩幅設定値領域14bに格納されている歩幅設定値を読み出して、この読み出された歩幅設定値を表示部12に出力させる(ステップS11)。
【0030】
図4(a)に示すように、この歩幅設定値は、例えば、「FOOTSTEP 500mm」と表示部12の第2表示領域12bに表示される。また、図4(b)に示すように、歩幅設定値の表示後、1kmの走行時間であることを示すために、第1表示領域12aに「1km」の表示がなされ、第2表示領域12bの上下には「PERSONAL PACE」等の題目表示と、「/km」等の単位表示がなされるようになっている。
【0031】
上記のような表示出力を行ったら、次に、操作部18からの入力に応じた分岐処理を行う(ステップS12〜S15)。すなわち、スクロールアップスイッチB4の入力に応じた判別(ステップS12)、スクロールダウンスイッチB5の入力に応じた判別(ステップS13)、モードスイッチB3の入力に応じた判別(ステップS14)、或いは、一定時間スイッチ入力がない場合の判別(ステップS15)を行う。
【0032】
そして、スクロールアップスイッチB4が押されていれば、ステップS12の判別処理でイエス側に分岐して、歩幅設定値を1mmずつ加算する処理を行う(ステップS12)。そして、加算処理が済んだらステップS11に戻る。これらの処理により、使用者はスクロールアップスイッチB4を間欠的に押したり連続的に押し続けたりすることで、RAM14の歩幅設定値領域14bに設定されている歩幅設定値を逐次大きな値にしていくことができる。
【0033】
一方、スクロールダウンスイッチB5が押されていれば、ステップS13の判別処理でイエス側に分岐して、歩幅設定値を1mmずつ減算する処理を行う(ステップS17)。そして、減算処理が済んだらステップS11に戻る。このような処理により、使用者はスクロールダウンスイッチB5を間欠的に押したり連続的に押し続けたりすることで、RAM14の歩幅設定値領域14bに設定されている歩幅設定値を逐次小さな値にしていくことができる。
【0034】
さらに、モードスイッチB3が押されたか、或いは、しばらくスイッチ操作がなく、一定時間以上のスイッチ入力がない場合には、ステップS14,S15の判別処理でステップS18に分岐して、次に時計モードに移行するためにRAM14中のモード設定領域14mに時計モードを示すデータを書き込む(ステップS18)。そして、この歩幅設定ルーチンを終了する。一方、ステップS12〜S15の判別処理の何れもノーであればステップS11に戻って、再び、ステップS11からのループ処理を繰り返す。
【0035】
この歩幅設定ルーチンにより、使用者は表示部12の表示を見ながら、スクロールアップスイッチB4とスクロールダウンスイッチB5とのいずれかを押すことで、走行距離推定に必要な歩幅設定値を1mm単位で設定変更できるようになっている。そして、設定が済んだら第3スイッチB3を押すか、押さないで一定時間放置するかを行い、歩幅設定ルーチンを抜けて時計モードに戻るようになっている。
【0036】
図6には、メイン制御処理(図3)のステップS5で実行される走行ペース表示制御動作ルーチンのフローチャートを、図7は、その走行ペース表示制御動作中の表示内容の一例の腕時計の正面図を示す。
【0037】
走行ペース表示制御機能は、(1)スタート/ストップスイッチB1を押すことで計測時間カウンタ15bの計時をスタートさせたりストップさせたりして、スタートからストップまでの時間であるスプリットタイムを計測する機能と、(2)後に詳述するが、使用者が、例えば「3km地点」や「7km地点」などの走行距離表示がなされている測定地点を通過した際にスプリット・ラップスイッチB2を押すことで、その押された時点における歩数(図7参照)、走行距離の推定演算や走行ペースの演算の結果である推定の区間距離dd、総距離d、直前の区間の走行ペースの表示を行う機能とを備えている。
【0038】
この走行ペース表示制御動作ルーチンに移行すると、先ず、計時回路15の計測時間カウンタ15bの値の表示処理を行う(ステップS21)。計測のスタート前には計測時間カウンタ15bの値はゼロなので、表示領域12cに「00:00:00」の表示が行われる。また、計測のスタート後にはカウントアップされていく計測時間カウンタ15bの値が表示される。
【0039】
表示処理をしたら、次いで、スイッチ操作の入力確認を行う(ステップS22〜S24)。すなわち、スタート/ストップスイッチB1の押下、例えば「3km地点」や「7km地点」などの走行距離表示の測定地点を通過した際に使用者により操作されるスプリット・ラップスイッチB2の押下、モードスイッチB3の押下がなされたか否かを判別し、これらの押下がなされていないと判別されたならばステップS21に戻って、ステップS21〜S24のループ処理を繰り返し実行する。一方、何れかのスイッチB1〜B3が押下されれば、それらに応じた分岐処理を行う。
【0040】
その結果、スタート/ストップスイッチB1の押下がなされていないと判別されたら、ステップS22の判別処理でイエス側に分岐し、先ず、今現在、走行ペース表示制御の計測中か否かを判別する(ステップS25)。そして、計測中でないと判断されたら、スイッチB1の押下は計測スタートの要求を表わすものと認識して、走行ペース表示制御機能に使用する各種変数等の初期化を行い(ステップS26)、続いて、計時回路15の計測時間カウンタ15bをカウントアップ状態にして計測を開始させる(ステップS27)。そして、ステップS21に戻る。
【0041】
一方、ステップS25で計測中であると判別されたら、スタート/ストップスイッチB1の押下は計測ストップの要求を表わすものと認識して、先ず、計時時間カウンタ15bの値を最後のラップタイムとしてRAM14の領域14cに記憶し(ステップS28)、前回のスプリット・ラップスイッチB2の押下時からの走行ペースの計算処理を行い(ステップS29:後に詳述)、次いで、計時時間カウンタ15bを停止させる(ステップS30)。そして、ステップS21に戻って、停止時のカウンタ値を表示する。
【0042】
また、ステップS23のスイッチ操作の判別処理において、スプリット・ラップスイッチB2の押下がなされたと判別された場合には、まず、この時点での計時時間カウンタ15bの値を読み込んでこの値をラップタイムとしてRAM14の領域14cに記憶する(ステップS31)。そして、このラップタイムの値から前回のスプリット・ラップスイッチB2の押下時からの走行ペースの計算処理を行い(ステップS32:後に詳述)、ステップS21に戻る。
【0043】
また、ステップS24のスイッチ操作の判別処理において、モードスイッチB3の押下がなされたと判別された場合には、この走行ペース表示制御動作ルーチンのループ処理を抜けて、次に時計モードに移行するためにRAM14中のモード設定領域14mに時計モードを示すデータを書き込む(ステップS33)。そして、この走行ペース表示制御動作ルーチンを終了する。
【0044】
図8には、走行ペース表示制御動作ルーチン(図6)のステップS29,S32において実行されるペース計算処理のフローチャートを、図9には、ペース計算の処理内容を説明する図を示す。
【0045】
ペース計算処理は、使用者が「3km地点」や「7km地点」などの走行距離表示が行われている計測地点を通過してスプリット・ラップスイッチB2を押下した場合、或いは、ゴールの計測地点でスタート/ストップスイッチB1を押下した場合に移行される処理である。
【0046】
このペース計算処理に移行すると、まず、CPU10はRAM14の計測時間領域14cに記憶されている前回のラップタイムと今回のラップタイムとから、これらの区間タイムdtを計算する(ステップS41)。
【0047】
次いで、CPU10は、使用者により設定された歩幅設定値(STW)と歩数検出センサSにより検出された歩数(STN)とから、推定区間距離ddの演算を行う(ステップS42)。歩幅設定値は、スタート開始前に入力された歩幅設定値であるが、使用者の走行中の歩幅の想定値を示すものなので、先ず、検出された歩数と歩幅設定値を乗算することで、想定される歩幅で走っていた場合における区間距離が計算される。
図9の例に示す場合、例えば、3km地点での推定距離では、スタート開始の0km地点から3km地点までの、歩数検出センサSにより検出された歩数(STN)は、6007(歩)」であり、スタート開始前に入力されていた歩幅設定値STWは、「500mm」であることから、それら歩数(STN)「6007(歩)」と歩幅設定値STW「500mm」とを乗算する。この乗算結果の値をキロメートルの単位に直すため1000で除算すると、スタート開始の0km地点から3km地点までの間の区間距離として「3.0035(km)」が得られている。また、7km地点での推定距離では、3km地点から7km地点までの、歩数検出センサSにより検出された歩数(STN)は、「8050(歩)」であるから、この歩数「8050(歩)」と歩幅設定値STW「500mm」とを乗算し、これをキロメートルの単位に直すため1000で除算すると、3km地点から7km地点までの間の区間距離として「4.025(km)」が得られている。また、15km地点での推定距離でも同様に計算を行い、7km地点から15km地点までの間の区間距離として、「8.6000(km)」が得られている。
【0048】
しかし、実際の走行距離と推定された走行距離とでは走行時の歩幅のばらつきなどにより誤差が生じうるため、上記の乗算結果から計算された区間距離には誤差が生じているはずである。一方、このペース計算処理が実行されるタイミングは、使用者が走行距離表示の計測地点を通過してスプリット・ラップスイッチB2が押した際などである。したがって、推定される区間距離としては単位距離の整数倍の走行距離が候補となる。それゆえ、上記乗算結果の値からその端数を四捨五入する処理を行うことで、上記の誤差を除去して、推定される区間距離の候補の中から一番近い区間距離ddが得られる。
例えば、図9の例では、3km地点では3.0035[km]を3[km]に、7km地点では4.025[km]を4[km]に、15km地点では8.6000[km]を9[km]のように端数を処理して、候補中の単位距離の整数倍の距離の中から一番近い走行距離が得られている。
【0049】
上記のような端数処理により、使用者の予め設定した歩幅設定値に基づいて想定された走行距離がさほどずれていない場合には、そのずれをうまく除去して、使用者が走行した走行距離の推定値を得ることができる。
例えば、図9の3kmの計測地点や7kmの計測地点では、誤差が除去されて、実際の走行距離と一致した推定走行距離ddが得られている。
一方、使用者の走行ペースと予め設定した歩幅設定値とに基づいた想定された走行ペースとが大きくずれている場合には、ずれがうまく除去されないことも生じる。例えば、図9の15kmの計測地点では、推定走行距離ddが実際の走行距離と1kmずれてしまっている。
【0050】
区間距離ddを演算したら、続いて、RAM14に記憶してある前回の総距離と区間距離ddとを足し合わせて新たな総距離dを計算し(ステップS43)、また、区間タイムdtを上記推定した区間距離ddで除算して現在の走行ペース(区間の走行ペース)pを計算する(ステップS44)。
【0051】
そして、上記ステップで算出した走行距離d、実際の走行ペースp、並びに、RAM14に記憶してある今回のラップタイムをそれぞれ表示部14に表示出力する(ステップS45)。
【0052】
図10には、図8に示すペース計算処理において、表示部14に出力された表示内容の一例と、その後に走行距離修正を行った場合の表示の一例を示す。同図(a)はペース計算処理により最初に出力された腕時計の表示例、(b)はダウンスイッチを押した際の腕時計の表示例である。
【0053】
図10(a)は、3kmの通過地点における表示例であるが、同図に示すように、ステップS45の表示出力処理によって、第1表示領域12aには推定された総距離d「DISTANCE 16km」が、第2表示領域12bには推定区間距離ddを元に計算された走行ペースp「PACE 4:59/km」が、第3表示領域12cには区間タイムdt「SPLIT 1:21:35」が、それぞれ表示出力される。使用者はこのうちの走行ペースp「4:59/km」の表示を見て、スプリット・ラップスイッチB2が操作された直前の自分の走行ペースを確認することができる。
【0054】
表示処理を行ったら、次に、スイッチ入力を判別するループ処理を行う(ステップS46,S48,S50)。すなわち、距離アップスイッチB4または距離ダウンスイッチB5の押下があるか、或いは、一定時間(例えば10秒など)何れのスイッチB4,B5の操作がないかを判別する。そして、何れの条件も発生しなければ、このスイッチ入力のループ処理(ステップS46,S48,S50)を繰り返し行う。
【0055】
ここで、距離アップスイッチB4と距離ダウンスイッチB5の押下は、ステップS42の推定走行距離との間にずれが生じていた場合に、使用者が走行距離表示を見てそれに合わせて修正するために行われるものである。上述したように、推定区間距離ddの計算処理においては、推定距離のとの間にずれが生じていた場合があり、例えば、図9の15kmの測定地点の例では、推定距離が「16km」と表示されたことから、使用者が実際に計測地点を通過している実際の走行距離と対比してみた場合、1kmずれて推定されている。
【0056】
図11には、ペース計算処理においてダウンスイッチが押された場合の処理内容の説明図を示す。
【0057】
使用者は、このような実際の走行距離と推定の走行距離との間のずれを、表示部12の第1表示領域12aに表示される推定総距離の値(dd)と、コース上の計測地点における実際の走行距離表示の値とを比べることですぐに認識できるので、このようなずれがあった場合に、距離アップスイッチB4または距離ダウンスイッチB5を押下して推定走行距離の修正操作を行う。
【0058】
ここで、実際の走行距離に対する推定の走行距離のずれは、1kmの整数倍の差異で生じているはずである。したがって、距離アップスイッチB4または距離ダウンスイッチB5の押下により、1km単位で推定距離をずらす修正を行う。
例えば、図11の例では、15kmの走行距離表示の計測地点で、推定された総距離が「16km(区間距離9km)」と使用者が実際に走った走行距離とを対比してみた場合、実際に走った走行距離15kmよりも1km長く推定表示(図10(a))されているので、距離ダウンスイッチB5を1回押して、推定された総距離dを「15km(区間距離8km)」に修正する。推定された総距離dが短い場合には、同様に距離アップスイッチB4を押して1km長く修正することができるし、また、2kmや3kmなど複数kmずれている場合には、スイッチB4,B5を複数回押すことでそれらを修正することができる。
【0059】
上述のスイッチ判別のループ処理(ステップS46,S48,S50:図8)において、距離アップスイッチB4が押下された場合には、ステップS46の判別処理のイエス側に分岐して、推定総距離dと推定区間距離ddとの値を「1」ずつ加算する処理を行う(ステップS47)。これにより、推定区間距離や推定総距離が単位距離ずつ加算されて修正される。
【0060】
また、距離ダウンスイッチB5が押下された場合には、ステップS48の判別処理でイエス側に分岐して、推定総距離dと推定区間距離ddとの値を「1」ずつ減算する処理を行う(ステップS47)。これにより、推定区間距離や推定総距離が単位距離ずつ減算されて修正される。
【0061】
ステップS47,S49で修正処理が行われたら、次いで、ステップS44に戻って実際の走行ペースpの計算処理からやり直す。そして、続くステップS45において、修正後の総距離dの表示や走行ペースpの表示が行われて、使用者は修正内容を確認することができる。その際の表示内容の遷移は、図10(a)〜(b)に示すごとくである。
すなわち、第1表示領域12aには実際の総距離d「DISTANCE 15km」が、第2表示領域12bには直前の走行ペースp「PACE 5:37/km」が、第3表示領域12cには区間タイムdt「SPLIT 1:21:35」がそれぞれ表示出力される。
【0062】
そして、推定区間距離の値が正しい区間距離の値になって、或いは、初めから正しい区間距離の値であって、距離アップスイッチB4や距離ダウンスイッチB5が押されないまま予め定められている一定時間(たとえば、10秒)が経過すると、ステップS50の判別処理でループ処理を抜けて、上記の演算処理により得られた総距離d、走行ペースp、今回のラップタイムをRAM14に保存する(ステップS51)。そして、このペース計算処理を終了する。
【0063】
このようなペース計算処理により、走行ペース表示制御動作中、使用者が走行距離表示の測定地点を通過するときに、スプリット・ラップスイッチB2を押すことで、図10(a)に示すように、その時点でのラップタイムに加え、その地点の総距離や走行ペースが表示出力されて使用者に提示されるようになっている。また、総距離の推定値が間違っている場合には、距離アップスイッチB4や距離ダウンスイッチB5を押すことで、図10(b)に示すように、総距離を修正してその修正された総距離に基づいて再計算されたあとの正しい走行ペースを使用者に提示できるようになっている。
【0064】
以上のように、この実施形態の電子時計1によれば、使用者はマラソンなどの競技において、スタート地点から走行ペース表示制御動作により計時を開始することで、その後、競技に有用な区間ごとの走行ペースの情報を簡単な操作で取得することができる。
すなわち、コース上の走行距離表示があった計測地点で使用者がスプリット・ラップスイッチB2を押すことで、そこまでの走行距離や区間距離が自動的に推定され、それにより現在の走行ペース(1キロあたりの走行時間)が算出されてこれらが表示される。使用者は、この走行ペースの表示により、現在の走行ペースがいつもより遅いか早いか、或いは、レース中の走行ペースの変動量などを直ちに判断することができる。さらに、このような機能のために測位システムなどを利用していないので、電子時計1の大型化やコストの高騰を回避できる。
【0065】
また、走行距離推定の際に使用される使用者の想定される走行ペースの値の基礎となる「歩幅設定値」は、使用者が設定入力できるようになっているので、使用者の能力に合わせて歩幅設定値を設定することで、走行ペースの速い使用者から遅い使用者まで様々な使用者に対応して精度の高い走行距離推定を行わせることができる。
【0066】
また、走行距離推定の際には、検出された歩数(STN)と歩幅設定値(STW)を乗算し、その値の端数を四捨五入することで、推定区間距離を得るようにしているので、負荷の小さな処理で距離の推定が可能になっている。
【0067】
また、推定された走行距離が実際の走行距離とずれて推定された場合には、使用者はその間ずれて推定された表示を見てそのずれを容易に確認することができ、また使用者の操作によりそれを修正することができる。さらに、修正後の走行距離の値を用いて実際の走行ペースが自動的に計算し直されるので、それにより使用者は正しい走行ペースの情報を取得することができる。また、推定距離を修正は2個のスイッチB4,B5を用いて単位距離ずつ距離を増減する方式で行われるので、使用者は走行中でも簡単に推定距離の修正を行うことができる。
【0068】
なお、上記の実施形態では、距離推定の際に、1kmを単位距離とし、この単位距離の整数倍の距離を走行距離の候補として推定を行っているが、例えば、1マイルを単位距離としてこの単位距離の整数倍の距離を走行距離の候補として距離推定を行うようにしたり、或いは、400mトラックの一周分を単位距離として、この単位距離の整数倍の距離を走行距離の候補として距離推定を行うようにしたりすることも出来る。また、このような単位距離を使用者が選択的に切り換えられるように構成しても良い。
【0069】
また、上記の実施形態では、歩数(STN)と歩幅設定値(STW)を乗算する処理を用いて推定区間距離を算出するようにしているが、スタート地点からの歩数と歩幅(STW)を乗算しスタートからの総距離を推定するようにしてもよい。また、上記実施の形態では、実際の走行ペースとして、スプリット・ラップスイッチB2が押された区間ごとの走行ペースを算出し表示するようにしているが、スタートから通した走行ペースを算出し表示するようにすることもできる。また、これらを切り替えられるようにしてもよい。
【0070】
また、上記の実施形態では、想定される走行ペースを「歩幅設定値」として使用者が設定入力できるようにしているが、予め一般的な走行ペースの値を装置に設定しておき、この値を用いて距離推定を行うように構成することも出来る。また、上記実施の形態では、走行ペース表示制御の計時スタートから終了まで、想定される走行ペースを固定値として距離推定に用いているが、例えば、計時スタートから終了にかけて走行ペースに既知の変化パターンがある場合には、この変化パターンに合わせて想定される走行ペースの値を設定値から変化させて距離推定に用いるようにしてもよい。
【0071】
なお、上記実施形態では腕時計型の電子時計に走行ペース表示制御機能を搭載した構成について説明したが、種々の形態の走行ペース表示制御装置に本発明を適用することもできる。その他、実施の形態で示した細部構成および処理方法は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】(a)は本発明の走行ペース表示制御機能を有する電子時計の内部構成を示すブロック図、(b)はその電子時計内のRAMの構成を示す図である。
【図2】図1の電子時計の外観を示す要部の正面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るCPUにより実行されるメイン制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】図3のメイン制御処理中の歩幅設定ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【図5】(a)および(b)は図4に示す歩幅設定モード下の表示内容の一例を示す腕時計の正面図である。
【図6】図3のメイン制御処理中の走行ペース表示制御動作ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図6の走行ペース表示制御動作ルーチン下の走行ペース表示制御動作中の表示内容の一例を示す正面図である。
【図8】図3のメイン制御処理中のペース計算処理の内容の一例を示すフローチャートである。
【図9】歩幅設定値の設定から直前の走行ペースペースの計算までの一連の手順をスタート地点からゴール地点までの項目別の計算・表示を示す図である。
【図10】(a)および(b)は図8のペース計算ルーチンにおける距離ダウンスイッチを押す前と押した後の表示内容の一例を示す腕時計の正面図である。
【図11】15kmの計測地点における項目別の計算・表示を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
1 電子時計
10 CPU
12 表示部
13 ROM
14 RAM
14a 歩幅設定値の記憶領域
15 計時回路
15b 計測時間カウンタ
16 発振回路
18 操作部
B1〜B5 第1〜第5スイッチ
S 歩数検出センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と表示部とを備えている走行ペース表示制御装置において、
使用者の歩数を検出する歩数検出手段と、
走行時間を計測する計時手段と、
予め定められている地点通過をする際に使用者により操作される操作手段と、
この操作手段が操作された場合において前記計時手段により計測された当該操作手段が操作された前回の地点通過時点からの走行時間、予め定められた歩幅、および、前記歩数検出手段により検出された歩数に基づいて、前記地点通過に対応する走行距離と前記操作手段が操作される直前の区間の走行ペースとのうち、少なくとも直前の区間の走行ペースを、前記操作手段が操作された直後に前記表示部に表示させる表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする走行ペース表示制御装置。
【請求項2】
前記表示制御手段の制御により表示された走行距離を変更するために操作される変更操作手段と、
この変更操作手段により変更された走行距離を表示させる変更距離表示制御手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の走行ペース表示制御装置。
【請求項3】
走行する前に前記予め定められた歩幅を入力する入力手段を更に備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の走行ペース表示制御装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記計時手段により計測された当該操作手段が前回操作された時点からの歩数と前記予め定められた歩幅とを乗算して計算された乗算走行距離または当該乗算走行距離を最適化した最適化走行距離を前記地点通過に対応する直前の走行距離として処理する距離処理手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の走行ペース表示制御装置。
【請求項5】
前記装置本体は、当該装置本体を腕に装着するための腕装着部を備えていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の走行ペース表示制御装置。
【請求項6】
使用者の身体に装着される装置本体、データを表示する表示部、使用者の歩数を検出する歩数検出手段、および、走行時間を計測する計時手段を備えている走行ペース表示制御装置に用いられる走行ペース表示制御方法において、
予め定められている地点通過をする際に使用者により操作される操作手段が操作された場合において、前記計時手段により計測された当該操作手段が操作された前回の地点通過時点からの走行時間、予め定められた歩幅、および、前記歩数検出手段により検出された歩数に基づいて、前記地点通過に対応する走行距離と前記操作手段が操作される直前の走行ペースを計算する計算ステップと、
この計算ステップにより計算された地点通過に対応する走行距離と前記操作手段が操作される直前の区間の走行ペースとのうち、少なくとも直前の区間の走行ペースを、前記操作手段が操作された直後に前記表示部に表示させる表示制御ステップと、
を備えたことを特徴とする走行ペース表示制御方法。
【請求項7】
前記表示制御ステップの制御により表示された走行距離を変更するために操作される変更操作手段が操作されると、この変更操作手段により変更された走行距離を表示させる変更距離表示制御ステップを更に備えたことを特徴とする請求項6記載の走行ペース表示制御方法。
【請求項8】
走行する前に前記予め定められた歩幅を使用者の操作により入力する入力ステップを更に備えたことを特徴とする請求項6または請求項7記載の走行ペース表示制御方法。
【請求項9】
前記表示制御ステップは、前記計時手段により計測された当該操作手段が前回操作された時点からの歩数と、前記予め定められた歩幅を乗算し、この乗算された乗算走行距離または当該乗算走行距離を最適化した最適化走行距離を前記地点通過に対応する直前の走行距離として処理する距離処理ステップを備えていることを特徴とする請求項6から請求項8のいずれかに記載の走行ペース表示制御方法。
【請求項1】
装置本体と表示部とを備えている走行ペース表示制御装置において、
使用者の歩数を検出する歩数検出手段と、
走行時間を計測する計時手段と、
予め定められている地点通過をする際に使用者により操作される操作手段と、
この操作手段が操作された場合において前記計時手段により計測された当該操作手段が操作された前回の地点通過時点からの走行時間、予め定められた歩幅、および、前記歩数検出手段により検出された歩数に基づいて、前記地点通過に対応する走行距離と前記操作手段が操作される直前の区間の走行ペースとのうち、少なくとも直前の区間の走行ペースを、前記操作手段が操作された直後に前記表示部に表示させる表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする走行ペース表示制御装置。
【請求項2】
前記表示制御手段の制御により表示された走行距離を変更するために操作される変更操作手段と、
この変更操作手段により変更された走行距離を表示させる変更距離表示制御手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の走行ペース表示制御装置。
【請求項3】
走行する前に前記予め定められた歩幅を入力する入力手段を更に備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の走行ペース表示制御装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記計時手段により計測された当該操作手段が前回操作された時点からの歩数と前記予め定められた歩幅とを乗算して計算された乗算走行距離または当該乗算走行距離を最適化した最適化走行距離を前記地点通過に対応する直前の走行距離として処理する距離処理手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の走行ペース表示制御装置。
【請求項5】
前記装置本体は、当該装置本体を腕に装着するための腕装着部を備えていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の走行ペース表示制御装置。
【請求項6】
使用者の身体に装着される装置本体、データを表示する表示部、使用者の歩数を検出する歩数検出手段、および、走行時間を計測する計時手段を備えている走行ペース表示制御装置に用いられる走行ペース表示制御方法において、
予め定められている地点通過をする際に使用者により操作される操作手段が操作された場合において、前記計時手段により計測された当該操作手段が操作された前回の地点通過時点からの走行時間、予め定められた歩幅、および、前記歩数検出手段により検出された歩数に基づいて、前記地点通過に対応する走行距離と前記操作手段が操作される直前の走行ペースを計算する計算ステップと、
この計算ステップにより計算された地点通過に対応する走行距離と前記操作手段が操作される直前の区間の走行ペースとのうち、少なくとも直前の区間の走行ペースを、前記操作手段が操作された直後に前記表示部に表示させる表示制御ステップと、
を備えたことを特徴とする走行ペース表示制御方法。
【請求項7】
前記表示制御ステップの制御により表示された走行距離を変更するために操作される変更操作手段が操作されると、この変更操作手段により変更された走行距離を表示させる変更距離表示制御ステップを更に備えたことを特徴とする請求項6記載の走行ペース表示制御方法。
【請求項8】
走行する前に前記予め定められた歩幅を使用者の操作により入力する入力ステップを更に備えたことを特徴とする請求項6または請求項7記載の走行ペース表示制御方法。
【請求項9】
前記表示制御ステップは、前記計時手段により計測された当該操作手段が前回操作された時点からの歩数と、前記予め定められた歩幅を乗算し、この乗算された乗算走行距離または当該乗算走行距離を最適化した最適化走行距離を前記地点通過に対応する直前の走行距離として処理する距離処理ステップを備えていることを特徴とする請求項6から請求項8のいずれかに記載の走行ペース表示制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−240663(P2009−240663A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−93122(P2008−93122)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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