説明

走行台車

【課題】補助外気導入口の防塵部材に付着する藁屑等の塵埃を除去して、冷却風が良好に取り入れられる状態を保持することができる走行台車の提供を目的とする。
【解決手段】付着した塵埃を吸引ファン44によって除去するために回転する第一防塵部材であるロータリースクリーン41を有する主外気導入口24aと、主外気導入口24aの上方に配置され、第二防塵部材である防塵部材24cを有する補助外気導入口24bと、を具備し、補助外気導入口24bには、補助外気導入口24bを開放または遮蔽する開閉弁46が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行台車の技術に関する。詳しくは、走行台車の徐塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種作業装置を搭載可能な走行台車においては、エンジンが走行装置により支持された走行機台の内側に配置され、走行台車の外側面に設けられる主外気導入口からエンジンの冷却風が取り入れられる。この際、主外気導入口に配置されている防塵部材に刈取後の草や藁屑等の塵埃が付着する場合がある。この塵埃を除去するために除塵装置を具備した走行台車が知られている。このような走行台車において、防塵部材に付着した塵埃の除去が十分でないと冷却風の導入量が不足してエンジンの冷却効率が低下する。この状態でエンジンの負荷が大きくなると冷却能力が不足することがあった。
【0003】
そこで、補助外気導入口が設けられた除塵装置を具備する走行台車(コンバイン等)が提案されている。補助外気導入口は、主外気導入口と別個に設けられる。補助外気導入口から取り入れられる外気は、主外気導入口から取り入れられる外気と合流して冷却風としてエンジンに送られる。この技術によれば、主外気導入口の防塵部材に付着した塵埃の除去が十分でなくても補助外気導入口から外気が取り入れられるのでエンジンの冷却効率が低下することを防止することができる。例えば特許文献1の如くである。
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、主外気導入口に配置されている防塵部材に付着した塵埃は除塵装置によって自動的に除去されるが、補助外気導入口に配置されている防塵部材に付着した塵埃を自動的に除去することができない。従って、補助外気導入口に配置されている防塵部材は、清掃等のメンテナンスを人手で随時行う必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−58613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の如き課題を鑑みてなされたものであり、補助外気導入口の防塵部材に付着する藁屑等の塵埃を容易に除去して、冷却風が良好に取り入れられる状態を保持することができる走行台車の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1においては、付着した塵埃を吸引ファンによって除去するために回転する第一防塵部材を有する主外気導入口と、前記主外気導入口の上方に配置され、第二防塵部材を有する補助外気導入口と、を具備し、前記補助外気導入口には、当該補助外気導入口を開放または遮蔽する開閉弁が設けられるものである。
【0008】
請求項2においては、作業装置の作業状態を検知する作業状態検知手段と、前記開閉弁を制御する制御装置と、を具備し、前記制御装置は、前記作業状態検知手段の検知結果に基づいて前記作業装置が非作業状態であると判断すると、前記開閉弁により前記補助外気導入口を遮蔽するものである。
【0009】
請求項3においては、ロールベーラ装置と、前記ロールベーラ装置によるロールベールの放出を検知する放出検知手段と、前記開閉弁を制御する制御装置と、を具備し、前記制御装置は、前記放出検知手段がロールベールの放出を検知すると、前記開閉弁により前記補助外気導入口を遮蔽するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0011】
請求項1の如く構成したので、補助外気導入口に発生している吸引力を低下させて第二防塵部材に付着した塵埃をその自重によって落下させることができる。また、落下した塵埃は、冷却ファンの吸引力によって主外気導入口の第一防塵部材に付着し、除塵装置によって吸引除去されるため、塵埃が拡散されることがない。従って、第二防塵部材に付着する藁屑等の塵埃を容易に除去して、冷却風が良好に取り入れられる状態を保持することができる。
【0012】
請求項2の如く構成したので、エンジンの負荷が比較的低く、エンジンを冷却する能力に余裕がある場合に補助外気導入口を遮蔽する。従って、エンジンの冷却を適切におこないつつ、第二防塵部材に付着する藁屑等の塵埃を容易に除去して、冷却風が良好に取り入れられる状態を保持することができる。
【0013】
請求項3の如く構成したので、エンジンを冷却する能力に余裕があるロールベールの放出時に補助外気導入口を遮蔽する。従って、エンジンの冷却を適切におこないつつ、第二防塵部材に付着する藁屑等の塵埃を容易に除去して、冷却風が良好に取り入れられる状態を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る走行台車の走行台車を示す全体側面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る走行台車の走行台車を示す全体後面図。
【図3】本発明の一実施形態に係る走行台車の徐塵装置を示す部分断面を含む側面図。
【図4】本発明の一実施形態に係る走行台車の徐塵装置を示す部分断面を含む斜視図。
【図5】本発明の一実施形態に係る走行台車の徐塵装置の動作態様を示す後面図。
【図6】本発明における作業装置の一実施形態であるロールベーラを搭載した走行台車示す全体側面図。
【図7】本発明の一実施形態に係る走行台車の制御装置の構成を示す概略図。
【図8】本発明の一実施形態に係る走行台車の制御態様を示すフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係る走行台車1の全体構成について、図1から図4を用いて説明する。なお、以下の説明では矢印F方向を前方向、矢印U方向を上方向としてとして前後方向、左右方向、上下方向を規定する。
【0016】
図1、及び図2に示すように、走行台車1は、ロールベーラ装置等の各種作業装置を積載し、走行しながら作業装置によって作業を行うものである。走行台車1は、走行機台9に対して走行部10、操作部20、原動機部30、除塵装置40、作業装置(本実施形態においては後述のロールベーラ装置50)、制御装置100(図7参照)等、を具備する。
【0017】
走行部10は、走行機台9を移動可能にするものである。走行部10は、走行機台9の下部に設けられる。走行部10は、左右一対のクローラ11aを有するクローラ式走行装置11を具備し、走行機台9を前進または後進方向に走行させることができるように構成される。
【0018】
操作部20は、走行部10、原動機部30、作業装置等を操作するものである。操作部20は、走行機台9の前部右側方であって後述のエンジン31の右側方に配置される。操作部20は、ステアリングハンドル21、運転席22、作業クラッチレバー23、導入ダクト24等を具備する。
【0019】
ステアリングハンドル21は、走行台車1を操向するものである。ステアリングハンドル21は、操作部20の前方であって略左右中央部に配置されるハンドルコラム21aの上面に設けられる。運転席22は、運転者が走行台車1を操作する際に着座するものである。運転席22は、ステアリングハンドル21の後方に配置される。
【0020】
作業クラッチレバー23は、図示しない作業クラッチがエンジン31からの動力を作業装置に伝達する入り状態と動力を伝達しない切り状態に切り替えるものである。作業クラッチレバー23は、運転席22の左側方に立設されるサイドコラムの上面に配置される。作業クラッチレバー23には、走行台車1に積載される作業装置の稼動状態を検知する作業状態検知装置として、作業クラッチが作業装置に動力を伝達する入り状態と動力を伝達しない切り状態とを検知する入り切り状態検知センサー23aが設置される(図7参照)。
【0021】
導入ダクト24は、冷却風を機内に取り入れる導入口が構成されるものである。導入ダクト24は、中空の平箱状に構成されて運転席22の右側方に配置される。導入ダクト24には、右側面下方に略円形状の主外気導入口24aが開口され、右側面上方に略三角形状の補助外気導入口24bが開口される。主外気導入口24aには、第一防塵部材として後述のロータリースクリーン41が設けられる。補助外気導入口24bには、冷却風のみを通過させ、藁屑等の塵埃を通過させない網等で構成される第二防塵部材である防塵部材24cが設けられる。また、導入ダクト24の左側面下部は開口されて後述の冷却風ダクト35が接続される。よって、導入ダクト24は、主外気導入口24a及び補助外気導入口24bから取り入れられる冷却風を冷却風ダクト35に導入可能に構成される(図4参照)。
【0022】
原動機部30は、走行部10や作業装置に動力を伝達するものである。原動機部30は、エンジン31、吸気ユニット32、排気ユニット33、ラジエーター34、冷却風ダクト35、トランスミッション36、燃料タンク37、カウンタユニット等を具備して走行機台9に設けられる。
【0023】
エンジン31は、エンジンルーム内の略中央部分に配置される。エンジンルームは、走行機台9の左端部と操作部20の左側方とに配置される側面視アーチ型の支持フレーム9a・9aと、支持フレーム9a・9a間を連結する連結フレーム9bとから構成される。つまり、エンジン31は、操作部20の左側方に配置される。エンジン31の右側方であって操作部20の左側方には、エンジン31からの回転動力によって回転駆動される冷却ファン31aが配置される。
【0024】
吸気ユニット32は、外気を浄化してエンジン31に送給するものである。吸気ユニット32は、プレクーナー32a、エアクリーナー32b、吸気通路32c、図示しない給気マニホールド等を具備する。プレクーナー32a及びエアクリーナー32bは、操作部20の後方に配置され、吸気通路32cを介してエンジン31の図示しない吸気マニホールドに接続される。
【0025】
排気ユニット33は、排気を機外へ排出するものである。排気ユニット33は、マフラー33a、テールパイプ33b、図示しない排気マニホールド等を具備する。マフラー33aは、エンジン31の上方に配置され、一側端に図示しない排気マニホールドが接続される。マフラー33aの他側端には、走行機台9の左側方の操作部20から離間した位置まで延伸するように構成されたテールパイプ33bが接続される。
【0026】
ラジエーター34は、エンジン31本体の冷却水を冷却風によって冷却するものである。ラジエーター34は、冷却ファン31aの右側方に冷却ファン31aと対向するようにして配置される。ラジエーター34の右側方には、冷却風ダクト35が配置される。
【0027】
冷却風ダクト35は、機外からの冷却風をラジエーター34まで導くための通路を構成するものである。冷却風ダクト35の一側(左側)開口部は、ラジエーター34の右側放熱部に対向するように配置される。また、冷却風ダクト35他側(右側)開口部は、導入ダクト24の左側面下部に接続するように配置される。これにより、冷却風ダクト35は、冷却ファン31aの回転に伴って、外気を冷却風として導入ダクト24の主外気導入口24a、補助外気導入口24bからラジエーター34に導入する。
【0028】
トランスミッション36は、エンジン31の出力軸の回転速度を増減して走行部10等の各装置へ伝達するものである。トランスミッション36は、エンジン31の前方であって左右一対のクローラ11a間に配置される。エンジン31の左側方には、燃料タンク37等が配置され、その後方には、作業装置に動力を伝達するためのカウンタユニットや油圧ユニットが配置される。
【0029】
このようにして、走行台車1は、操作部20での操作具類の操作によって、原動機部30のエンジン31の動力を走行部10や搭載される作業装置に伝達して、走行部10にて走行機台9を走行させながら、各種作業を行うことができるように構成される。
【0030】
次に、図1から図4を用いて除塵装置40について説明する。
【0031】
除塵装置40は、藁屑等の塵埃が導入ダクト24や冷却風ダクト35の中に侵入しないようにするものである。除塵装置40は、ロータリースクリーン41、アクチュエータ(電動モータ42)、吸引ダクト43、吸引ファン44、接続ダクト45及び開閉弁46を具備する。
図1に示すように、除塵装置40は、導入ダクト24に設けられる冷却風の主外気導入口24a、補助外気導入口24b及びその近辺に配置される。
【0032】
図1から図4に示すように、ロータリースクリーン41は、冷却風のみを通過させ、藁屑等の塵埃を通過させない略円形状の防塵部材から構成される。ロータリースクリーン41は、導入ダクト24の主外気導入口24aに設けられる。ロータリースクリーン41は、その中心を回転中心としてアクチュエータである電動モータ42により回転可能に構成される。
【0033】
吸引ダクト43は、ロータリースクリーン41の外面に付着した塵埃を吸引するものである。吸引ダクト43は、ロータリースクリーン41の回転中心から前方にむかって、ロータリースクリーン41の右側面(機外側面)に近接するようにして配置される。吸引ダクト43は、ロータリースクリーン41と近接する面が吸引面としてロータリースクリーン41の外面に付着した塵埃を吸引可能に構成される。
【0034】
吸引ファン44は、空気や塵埃を吸引するものである。吸引ファン44は、操作部20の下方に配置される。図3に示すように、吸引ファン44は、略円筒状のケース44a内に回転自在に支持される回転軸44cにファン44bが固設されて構成されている。吸引ファン44は、回転軸44cを介してファン44bを回転させることでケース44a内を負圧にして図示しない吸引口から空気や塵埃を吸引可能に構成される。吸引ファン44には、その吸引口に接続ダクト45を介して吸引ダクト43が接続される。
【0035】
図3及び図4に示すように、開閉弁46は、導入ダクト24の補助外気導入口24bを遮蔽して冷却風の流れを遮断する状態と補助外気導入口24bを開放して冷却風の流れを遮断しない状態とに切り替えるものである。開閉弁46は、板状部材からなり、板面が補助外気導入口24bと略同一形状になるように形成される。開閉弁46は、導入ダクト24の内部であって、右側板面が補助外気導入口24bの防塵部材24cに密接するようにして設けられる。
【0036】
開閉弁46の後端部上方と後端部下方とには、蝶番46a・46aが回転軸を上下方向として取り付けられる。そして、開閉弁46は、蝶番46a・46aを介して導入ダクト24に設けられる支持部材47に取り付けられる。但し、蝶番46a・46aの取り付け位置は本実施形態に限定されるものではなく、上端部や下端部等に取り付けてもよい。これにより、開閉弁46は、後端部の蝶番46a・46aの回転軸を中心として、防塵部材24cに密接する位置と防塵部材24cから離間する位置とに回転可能に構成される。すなわち、開閉弁46は、防塵部材24cに密接して補助外気導入口24bを遮蔽する状態である閉位置Aと、防塵部材24cから離間して補助外気導入口24bを開放する状態である開位置Bとに切り替え可能に構成される(図4黒矢印参照)。開閉弁46は、閉位置Aにおいて補助外気導入口24bを遮蔽することで冷却ファン31aによる冷却風の流れを遮断して、補助外気導入口24bに発生している吸引力を低下させることができる。
【0037】
開閉弁46の左側板面には、開閉部材46bが固定される。開閉部材46bは、導入ダクト24の内部から外部(左方)に向かって設けられ、アクチュエータ48(図7参照)に接続される。アクチュエータ48は、操作部20に具備される操作具類と配線されて当該操作具類を介して操作可能に構成される。また、開閉部材46bは、操作部20に設けられる開操作具類とワイヤー等を介して連動連結される構成としてもよい。これにより、開閉弁46は、操作部20の操作具の操作によって閉位置Aと開位置Bとに切り替え可能に構成される。なお、なお、アクチュエータ48は、導入ダクト24の外部に設ける構成に限らず、導入ダクト24の内部に設ける構成としてもよい。
【0038】
このように構成される除塵装置40は、吸引ファン44の吸引により、主外気導入口24aから冷却風を取り入れる際にロータリースクリーン41の右側面(機外側面)に付着した塵埃を順次吸引除去することができる。また、除塵装置40は、開閉弁46を閉位置Aに切り替えて補助外気導入口24bに発生している吸引力を低下させる。これにより、補助外気導入口24bから冷却風を取り入れる際に防塵部材24cの右側面(機外側面)に付着した塵埃を、その自重によって落下させることができる。これにより、ロータリースクリーン41及び防塵部材24cのメンテナンスを容易にすることができる。
【0039】
次に、図4及び図5を用いて、除塵装置40の動作態様について説明する。
【0040】
図4及び図5(a)に示すように、エンジン31の稼働に伴って冷却風を取り入れる場合、主外気導入口24aのロータリースクリーン41は、電動モータ42によって回転される(本実施形態において図4斜線矢印方向)。さらに、その右側面(機外側面)は、吸引ダクト43を介して吸引ファン44によって吸引される。また、開閉弁46は、操作部20の操作具の操作等によって開位置Bに切り替わる。このようにして、主外気導入口24a及び補助外気導入口24bから冷却風の取り入れが開始される。主外気導入口24a及び補助外気導入口24bから取り入れられた冷却風は、導入ダクト24及び冷却風ダクト35を通じてラジエーター34及びエンジン31まで導入される(図4及び図5(a)白矢印参照)。
【0041】
この際、排藁等の塵埃が主外気導入口24aから取り入れられる冷却風によってロータリースクリーン41の右側面(機外側面)に付着する。ロータリースクリーン41の右側面に付着した塵埃は、ロータリースクリーン41の回転によって順次吸引ダクト43が配置されている位置に送られる。そして、その塵埃は、吸引ファン44の吸引力によって吸引ダクト43に吸引され、ロータリースクリーン41の右側面から除去される。
【0042】
同様にして、排藁等の塵埃が補助外気導入口24bから取り入れられる冷却風によって防塵部材24cの右側面(機外側面)に付着する。図5(b)に示すように、開閉弁46がアクチュエータ48によって閉位置Aに切り替えられて(図5(b)黒矢印方向)補助外気導入口24bが遮蔽されると、補助外気導入口24bに発生している吸引力が低下する。よって、防塵部材24cの右側面に付着した塵埃は、その自重により防塵部材24cの右側面から離間して落下する。すなわち、防塵部材24cに付着した塵埃は、開閉弁46の閉位置Aへの切り替えによって防塵部材24cの右側面から除去される。
【0043】
防塵部材24cから離間した塵埃は、補助外気導入口24bの下方に開口される主外気導入口24aの周辺に到達すると、主外気導入口24aに取り入れられる冷却風によってロータリースクリーン41に付着する。ロータリースクリーン41に付着した防塵部材24cからの塵埃は、吸引ファン44の吸引力によって吸引ダクト43に吸引除去される。これにより、防塵部材24cから離間した塵埃が周辺に撒き散らされることがない。
【0044】
以上の如く、本発明に係る走行台車の一実施形態である走行台車1は、付着した塵埃を吸引ファン44によって除去するために回転する第一防塵部材であるロータリースクリーン41を有する主外気導入口24aと、主外気導入口24aの上方に配置され、第二防塵部材である防塵部材24cを有する補助外気導入口24bと、を具備し、補助外気導入口24bには、補助外気導入口24bを開放または遮蔽する開閉弁46が設けられるものである。
このように構成することで、補助外気導入口24bに発生している吸引力を低下させて第二防塵部材である防塵部材24cに付着した塵埃をその自重により落下させることができる。また、落下した塵埃は、冷却ファン31aの吸引力によって主外気導入口24aの防塵部材であるロータリースクリーン41に付着し、除塵装置40によって吸引除去されるため、塵埃が拡散することがない。従って、第二防塵部材である防塵部材24cに付着する藁屑等の塵埃を容易に除去して、冷却風が良好に取り入れられる状態を保持することができる。
【0045】
次に、図6から図8を用いて、本発明の走行台車1において作業装置の一実施形態としてロールベーラ装置50を搭載した場合ついて説明する。
【0046】
まず、図6を用いて、作業装置の一実施形態であるロールベーラ装置50について説明する。
【0047】
図6に示すように、ロールベーラ装置50は、飼料作物を刈り取り、ロールベールを成形するものである。ロールベーラ装置50は、刈取部60、搬送部70、成形部80等を具備する。
【0048】
刈取部60は、飼料作物を刈り取るものである。刈取部60は、カバー61、駆動軸62、フレール刃63、固定刃64等を有し、走行機台9の前方に配置される。
【0049】
刈取部60は、カバー61内に左右水平方向に向けて駆動軸62が回転自在に支持される。駆動軸62には、フレール刃63が放射状に所定間隔、かつ所定角度で位置をずらして配置される。カバー61内には、固定刃64が水平方向にフレール刃63と対向して配置される。これにより、フレール刃63は、立毛状態の飼料作物(稈)を切断可能であるとともに、回転により搬送部70方向に向かう搬送風を発生させて切断された飼料作物を搬送部70内に跳ね上げるように構成される。
【0050】
搬送部70は、刈取部60で刈り取られた飼料作物を成形部80へ搬送するものである。搬送部70は、搬送ダクト71、支持アーム72、揺動軸73、昇降シリンダ74等を有し、走行機台9の前部上側方に配置される。
【0051】
搬送ダクト71の一側端部は、刈取部60の後部上側面に連通するようにして固定される。搬送ダクト71は、一側端部から後上方に向かって延設され、側面視略逆J字状に形成される。搬送ダクト71の他側端部は、刈り取られた飼料作物の排出口71aとして、成形部80の前部上側面から成形部80内部に挿入されている。これにより、搬送部70は、刈取部60で刈り取られた飼料作物を、搬送風によって搬送ダクト71を通じて成形部80内に投入可能に構成される。
【0052】
搬送ダクト71の左側面には、支持アーム72が後方に向かって略水平に配置される。支持アーム72の後側端部は、走行機台9の連結フレーム9bに軸方向を左右方向として設けられる揺動軸73に回転自在に支持される。また、搬送ダクト71の後側面には、伸縮方向を略上下方向として昇降シリンダ74が設けられ、走行機台9の前端部に連結されている。従って、搬送ダクト71、及び搬送ダクト71の一側端部に固定される刈取部60は、昇降シリンダ74が伸縮されることにより、揺動軸73を中心として昇降自在に構成される。昇降シリンダ74には、刈取部60の昇降位置を検知する検知装置として、昇降シリンダ74の伸縮量から刈取部60の昇降位置を検知する昇降位置検知センサー74aが設置される。
【0053】
成形部80は、刈り取られた飼料作物をロールベールに成形するものである。成形部80は、固定側筐体81、開閉側筐体82、揺動軸83、開閉シリンダ84、ロールベール形成装置85等を有し、エンジン31の後方である走行機台9上の後部に配置される。
【0054】
成形部80は、固定側筐体81と開閉側筐体82とによって前後半割状に構成される。開閉側筐体82は、その前側上端部を固定側筐体81の後側上端部に軸方向を左右方向として設けられる揺動軸83に回転自在に支持される。固定側筐体81の上側面には、伸縮方向を前後方向として開閉シリンダ84が設けられ、開閉側筐体82の上側面に連結されている。よって、開閉側筐体82は、開閉シリンダ84が伸縮されることにより、揺動軸83を中心として開閉回転自在に構成される。固定側筐体81の前部上側面には、刈り取られた飼料作物の投入口81aとして、搬送ダクト71(搬送部70の排出口71a)が挿入されている。
【0055】
成形部80の内部には、軸方向を左右方向として回転自在に支持される複数の回転ローラ86を、側面視略C字状に配置し、その開口部分を投入口81aに向けたロールベール形成装置85が構成される。複数の回転ローラ86は、エンジン31から図示しないカウンタユニットを介して伝達される動力により同一方向に回転可能に構成される。よって、投入口81aから投入された飼料作物は、ロールベール形成装置85の内側に投入されて複数の回転ローラ86によって円柱状に形成される。新たに投入される飼料作物は、すでにロールベール形成装置85の内側で円柱状に形成された飼料作物の外径部分に順次巻きつけられ、所定の外径のロールベールに形成される。
【0056】
ロールベール形成装置85の後側部分を構成する複数の回転ローラ86は、開閉側筐体82に配置されている。すなわち、ロールベール形成装置85の後部は、開閉側筐体82の開閉に伴って開閉される。すなわち、ロールベール形成装置85は、形成したロールベールを機外に放出可能に構成される。
【0057】
開閉シリンダ84には、ロールベールの放出を検知する放出検知装置として、開閉シリンダ84の伸縮量によって開閉側筐体82の開放状態と閉鎖状態とを検知する開閉状態検知センサー84aが設置される。ロールベールを放出する際に開放される開閉側筐体82の開放状態を検知することで、ロールベールの放出を検出するように構成される。
【0058】
以上より、走行台車1は、走行部10の上部に配置される走行機台9の前部に原動機部30が配置され、その右側方に操作部20が配置される。そして、走行機台9の後部には、ロールベーラ装置50が配置される。このようにして、走行台車1は、操作部20での操作具類の操作によって、原動機部30のエンジン31の動力を走行部10やロールベーラ装置50に伝達して、走行部10にて走行機台9を走行させながら、ロールベーラ装置50でロールベールの成形、及び放出を行うことができるように構成される。
【0059】
次に、図7を用いて、制御装置100の構成について説明する。
【0060】
制御装置100は、作業状態か、あるいは、非作業状態かによってアクチュエータ48の制御を行う。制御装置100は、具体的には、入り切り状態検知センサー23aが検知する作業クラッチの入り切り状態、昇降位置検知センサー74aが検知する刈取部60の昇降位置、及び開閉状態検知センサー84aが検知する開閉側筐体82の開閉状態に基づいて、作業状態か、あるいは、非作業状態であるかを判断してアクチュエータ48を制御する。
【0061】
制御装置100には、アクチュエータ48を制御するための種々のプログラムやデータが格納される。また、制御装置100は、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。また、制御装置100は、エンジン31を制御する図示しないECUと一体的に構成することも可能である。
【0062】
図7に示すように、制御装置100は、入り切り状態検知センサー23a、昇降位置検知センサー74a、開閉状態検知センサー84a、及びアクチュエータ48にそれぞれ接続される。
【0063】
制御装置100は、入り切り状態検知センサー23aが検知する作業クラッチの入り切り状態、昇降位置検知センサー74aが検知する刈取部60の昇降位置、及び開閉状態検知センサー84aが検知する開閉側筐体82の開閉状態、をそれぞれ取得することが可能である。
【0064】
制御装置100は、アクチュエータ48を制御して、開閉弁46を閉位置Aと開位置Bとに切り替えることが可能である。
【0065】
次に、開閉弁46の制御態様について説明する。
【0066】
走行台車1に搭載されたロールベーラ装置50が作業状態である場合、エンジン31の負荷が増大するため冷却水温度が上昇する。よって、冷却ファン31aの回転によって効率的に機外から冷却風を取り入れるために、開閉弁46は、アクチュエータ48により開位置Bに切り替えられる。ロールベーラ装置50が非作業状態である場合、エンジン31の負荷が減少するため冷却水温度が低下する。よって、主外気導入口24aから取り入れられる冷却風だけで冷却水を冷却することができるので、開閉弁46は、アクチュエータ48により閉位置Aに切り替えられる。この結果、防塵部材24cに付着している塵埃は、防塵部材24cから除去される。
【0067】
以下では、制御装置100がアクチュエータ48を制御することで行われる開閉弁46の制御態様について図8を用いて具体的に説明する。
【0068】
ステップS110において、制御装置100は、入り切り状態検知センサー23aの検知値に基づいて、作業クラッチが動力を伝達していない切り状態にあるか否か判断する。
その結果、作業クラッチが動力を伝達していない切り状態にあると判断した場合、すなわち、ロールベーラ装置50が非作業状態であると判断した場合、制御装置100は制御段階をステップS120に移行する。
また、作業クラッチの位置が動力を伝達していない切り状態にない場合、すなわち、ロールベーラ装置50に動力が伝達されている場合、制御装置100は制御段階をステップS220に移行する。
【0069】
ステップS120において、制御装置100は、アクチュエータ48を制御して、開閉弁46を閉位置Aに切り替えた後、制御段階をステップS110へ繰り返し移行する。
【0070】
ステップS220において、制御装置100は、昇降位置検知センサー74aの検知値に基づいて、刈取部60が上昇位置にあるか否か判断する。
その結果、刈取部60が上昇位置にあると判断した場合、すなわち、ロールベーラ装置50が非作業状態であると判断した場合、制御装置100は制御段階をステップS230に移行する。
また、刈取部60が上昇位置にない場合、すなわち、すなわち、刈取部60が下降位置にあると判断した場合、制御装置100は制御段階をステップS330に移行する。
【0071】
ステップS230において、制御装置100は、アクチュエータ48を制御して、開閉弁46を閉位置Aに切り替えた後、制御段階をステップS110へ繰り返し移行する。
【0072】
ステップS330において、制御装置100は、開閉状態検知センサー84aの検知値に基づいて、開閉側筐体82が開放されているか否か判断する。
その結果、開閉側筐体82が開放されていると判断した場合、すなわち、ロールベーラ装置50がロールベールを放出するために、非作業状態であると判断した場合、制御装置100は制御段階をステップS340に移行する。
また、開閉側筐体82が開放されていないと判断した場合、すなわち、すなわち、ロールベーラ装置50がロールベールを形成しており、作業状態であると判断した場合、制御装置100は制御段階をステップS440に移行する。
【0073】
ステップS340において、制御装置100は、アクチュエータ48を制御して、開閉弁46を閉位置Aに切り替えた後、制御段階をステップS110へ繰り返し移行する。
【0074】
ステップS440において、制御装置100は、アクチュエータ48を制御して、開閉弁46を開位置Bに切り替えた後、制御段階をステップS110へ繰り返し移行する。
【0075】
以上の如く、本発明に係る走行台車の一実施形態である走行台車1は、作業装置の作業状態を検知する作業状態検知手段である作業クラッチの入り切り状態検知センサー23a等と、開閉弁46を制御する制御装置100と、を具備し、制御装置100は、作業状態検知手段である入り切り状態検知センサー23a等の検知結果に基づいて作業装置が非作業状態であると判断すると、開閉弁46により補助外気導入口24bを遮蔽するものである。
このように構成することで、エンジン31の負荷が比較的低く、エンジン31を冷却する能力に余裕がある場合に補助外気導入口24bを遮蔽する。従って、エンジン31の冷却を適切におこないつつ、第二防塵部材である防塵部材24cに付着する藁屑等の塵埃を容易に除去して、冷却風が良好に取り入れられる状態を保持することができる。
【0076】
また具体的には、ロールベーラ装置50と、ロールベーラ装置50によるロールベールの放出を検知する放出検知手段である開閉状態検知センサー84aと、開閉弁46を制御する制御装置100と、を具備し、制御装置100は、放出検知手段である開閉状態検知センサー84aがロールベールの放出を検知すると、開閉弁46により補助外気導入口24bを遮蔽するものである。
このように構成することで、エンジン31を冷却する能力に余裕があるロールベールの放出時に補助外気導入口24bを遮蔽する。従って、エンジン31の冷却を適切におこないつつ、第二防塵部材である防塵部材24cに付着する藁屑等の塵埃を容易に除去して、冷却風が良好に取り入れられる状態を保持することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 走行台車
24a 主外気導入口
24b 補助外気導入口
24c 防塵部材
40 防塵装置
41 ロータリースクリーン
44 吸引ファン
46 開閉弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
付着した塵埃を吸引ファンによって除去するために回転する第一防塵部材を有する主外気導入口と、
前記主外気導入口の上方に配置され、第二防塵部材を有する補助外気導入口と、
を具備し、
前記補助外気導入口には、当該補助外気導入口を開放または遮蔽する開閉弁が設けられる走行台車。
【請求項2】
作業装置の作業状態を検知する作業状態検知手段と、
前記開閉弁を制御する制御装置と、
を具備し、
前記制御装置は、
前記作業状態検知手段の検知結果に基づいて前記作業装置が非作業状態であると判断すると、前記開閉弁により前記補助外気導入口を遮蔽する請求項1に記載の走行台車。
【請求項3】
ロールベーラ装置と、
前記ロールベーラ装置によるロールベールの放出を検知する放出検知手段と、
前記開閉弁を制御する制御装置と、
を具備し、
前記制御装置は、
前記放出検知手段がロールベールの放出を検知すると、前記開閉弁により前記補助外気導入口を遮蔽する請求項1に記載の走行台車。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate