説明

走行糸条の検査方法、および、それを用いた炭素繊維の製造方法

【課題】同一面内に並列に走行する複数の糸条の糸条毎状態をオンラインで同時に検査し、また、糸条毎の欠陥の情報を得ることにより、プロセス条件の変動等の工程異常を早期に発見し歩留まりを改善する、あるいは糸条および糸条パッケージの品質管理を行う、走行糸条の検査方法を提供する。
【解決手段】同一面内に複数、並列して走行する糸条の検査方法であって、糸条の走行面を挟んで、第1の面側に第1の照明手段2aと複数糸条を撮像するラインセンサと、第2の面側に第2の照明手段2bとを備え、前記ラインセンサで得られたデータを処理するデータ処理手段と、該データ処理手段により得られたデータを経時的に記録する記録手段8からなる走行糸条の検査方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一面内に並列して走行する複数本の走行糸条の欠陥の有無あるいは欠陥の状態を、光学的手段により得られたデータを処理することにより把握する走行糸条の検査方法に関する。本発明の走行糸条の検査方法により把握される走行糸条の欠陥としては、例えば、走行糸条に発生している毛羽、毛玉、糸条幅の変動がある。本発明の走行糸条の検査方法は、炭素繊維の製造工程における炭素繊維糸条の欠陥の検査に好ましく用いられる。
【背景技術】
【0002】
合成繊維等の多数の連続した単繊維の束からなる糸条の製造工程において、単繊維切れなどにより、毛羽あるいは毛玉が糸条に発生する場合がある。また、単繊維切れなどにより、単繊維が糸条から脱落し、単繊維の数の異常、あるいは、糸割れが糸条に発生する場合がある。更には、糸条を形成している全ての単繊維が切れることにより、糸条の切断が発生する場合がある。糸条に発生するこれらの欠陥(異常)の多くは、生産工程中の張力変動や熱処理温度変動などの種々のプロセス条件の変動に基づく糸条の外的あるいは内的構造変化により生じる。また、毛羽や毛玉が、一旦糸条から外れて空気中に浮遊した後に、糸条の製造工程中において、再度、糸条に付着する場合がある。
【0003】
このような糸条の欠陥は、糸条自体の品質および糸条から形成される繊維製品の品質に大きく影響する。従って、糸条の欠陥を精度良く検出し、それを把握することは、糸条自体、更には繊維製品の品質管理上非常に重要なことである。加えて、糸条の製造工程における走行糸条の状態を常時モニタし早期にプロセス条件の変動に起因する糸条の状態の変化や欠陥の多発を把握することができれば、糸条の製造工程における歩留まりの向上が図られる。すなわち、オンラインで、走行糸条の欠陥を把握することが、重要となる。
【0004】
糸条の製造工程の多くは、複数本の糸条を並列に走行させ、複数本の糸条を同時に製造する方式を採用している。このような製造工程においては、並列して走行している複数本の糸条を同時に検査し、かつ、糸条毎に欠陥の検出を行い、糸条毎の欠陥の情報を把握することが、製造される糸条自体および製造された糸条を巻き取った糸条パッケージの品質管理において重要となる。
【0005】
従来、糸条の状態を常時モニタし糸条に発生した欠陥を検出する方法として、投光部より、糸条幅を超える大きさの検査領域に、光を照射し、走行糸条が検査領域を通過する際の透過光量あるいは反射光量を、受光部により検出して、その光量変化により、糸条に発生した欠陥を検出するものが提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1に記載の検査方法は、一本の糸条に対し、少なくとも一つの受光部を必要とする検査方法である。例えば、100本の糸条を同時に製造する工程においては、100個の受光部が必要となる。従って、この検査方法は、全糸条を検査するために、莫大なコストがかかる。
【0006】
複数本の糸条の欠陥を同時にかつ安価に検査する方法として、糸条の片側側方に投光手段を配し、糸条を挟んで反対側に受光手段を配し、光束の中、直上部、あるいは、直下部に糸条を配し、糸条に発生した毛玉による遮光によって、毛玉の検出を行う方法が提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、特許文献2に記載の検査方法では、投光手段と受光手段の間のどの糸条の欠陥を検出したのかを判別することができないため、糸条毎の欠陥の情報を得ることができない。また、欠陥の形状が平で糸条の面上に薄く広がっているような場合は、遮光量が少ないため、この検査方法では、このような欠陥を検出することが難しい。
【0007】
多数本の糸条が並行に配列された糸条シートにおける糸条の欠陥を検査する方法として、カメラを用いて糸条を撮像し、画像処理により糸条の欠陥を検出する方法が提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、特許文献3に記載の検査方法では、カメラの幅方向分解能の問題から、同時に検査可能な糸条の本数が少ない。例えば、100本程度の並列して走行する糸条を同時に検査することが難しく、また、同時に複数本の糸条を検査した場合に、どの糸条の欠陥を検出したのかを判別できないため、糸条毎の欠陥の情報を得ることができない。
【特許文献1】特開平7−300280号公報
【特許文献2】特開昭61−114115公報
【特許文献3】特開2004−277938公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、多数の連続した単繊維の束からなる糸条の複数本が、同一面内に並列して走行している状態において、各糸条の欠陥の有無あるいは欠陥の状態を、光学的手段により得られたデータを処理することにより把握する走行糸条の検査方法を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、本発明の走行糸条の検査方法を使用した多数の連続した炭素単繊維の束からなる炭素繊維糸条の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の走行糸条の検査方法は、同一面内に、複数本、並列して走行する糸条の検査方法であって、
(a)糸条の走行面を挟んで、第1の面および第2の面の両側から照明し、第1の面に対向する位置で、各糸条からの反射光、および、各糸条間を通過する透過光を撮像手段で同時に受光するステップと、
(b)前記撮像手段により得られた受光データをデータ処理手段によりデータ処理するステップと、
(c)前記データ処理手段により得られたデータの一部または全部を記録手段により経時的に記録するステップからなり、
(d)前記データ処理手段におけるデータ処理が、
(d−1)前記受光データから糸条の位置を特定し、その糸条の位置での糸条幅および糸条幅方向の明度を算出する第1のデータ処理手順と、
(d−2)前記第1のデータ処理手順により得られたデータを、予め設定した閾値と比較する第2のデータ処理手順、および/または、前記第1のデータ処理手順により得られたデータを、走行糸条の走行方向に、予め設定した走査回数分、積算・平均化して経時的に連続して取得し、連続する前後の前記積算・平均化したデータの差分を取る第3のデータ処理手順
とからなる。
【0011】
本発明の走行糸条の検査方法において、前記撮像手段が、ラインセンサであることが好ましい。
【0012】
本発明の走行糸条の検査方法において、前記第2のデータ処理手順および/または前記第3のデータ処理手順から得たデータにより、糸条の欠陥および/または欠陥を有する糸条を特定しても良い。
【0013】
本発明の走行糸条の検査方法において、前記第2の面側からの照明が、前記第2の面側に設けられた反射板により前記第1の面側からの照明を反射することによりもたらされるようにしても良い。
【0014】
本発明の走行糸条の検査方法において、前記撮像手段と前記走行糸条面上の撮像手段視野と前記第2の面側からの照明とが、一直線上に位置し、かつ、前記撮像手段が、前記第1の面側からの照明の走行糸条面での正反射光を受光しない位置に位置することが好ましい。
【0015】
本発明の走行糸条の検査方法において、前記第1のデータ処理手順により特定された位置における糸条幅方向の明度から前記第3のデータ処理手順により得た差分データを、前記第2のデータ処理手順により、予め設定した閾値と比較するようにしても良い。
【0016】
本発明の走行糸条の検査方法において、前記第1のデータ処理手順により得られた時間的に連続する明暗データを、欠陥が発生した糸条を含むデータ部のみを抜き出し、前記記録手段により、2次元データとして保存するようにしても良い。
【0017】
本発明の走行糸条の検査方法において、前記データ処理手段により得られた明度の差分データについて、周期性の有無を判断するようにしても良い。
【0018】
本発明の炭素繊維の製造方法は、多数の連続した単繊維の束からなる前駆体糸条の複数本を並列して走行させ炭化処理を行う炭化処理工程、該炭化処理工程から導出された複数本の炭素繊維糸条を、同一面内に、並列して走行させる搬送工程、および、該搬送工程を通過した各炭素繊維糸条を巻き取る巻取工程とからなり、前記搬送工程における前記複数本の炭素繊維糸条が前記同一面内に、並列して走行している箇所において、上記本発明の走行糸条の検査方法を用いて、前記複数本の炭素繊維糸条を検査する検査工程を含んでなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の走行糸条の検査方法によれば、多数の連続した単繊維の束からなる糸条の複数本が、同一面内に、並列して走行している状態において、複数本の糸条のそれぞれの欠陥の有無あるいは欠陥の状態が、光学的手段により得られたデータを処理することにより、オンラインで把握される。従って、本発明の走行糸条の検査方法を用いることにより、複数本の糸条を同時に製造する糸条の製造工程により製造される各糸条の品質管理を、適切、かつ、迅速に行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の走行糸条の検査方法が適用される糸条としては、例えば、アクリル繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維等の合成繊維糸条、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維糸条がある。本発明の走行糸条の検査方法は、糸条部分と糸条間に形成される背景部分との輝度差を拡大することが容易であるため、本発明の走行糸条の検査方法は、素材自体により、または、染色等の加工が施されていることにより明度が低い糸条の検査に、好ましく用いられ、中でも、糸条が黒色である炭素繊維糸条の検査に、特に好ましく用いられる。
【0021】
本発明の走行糸条の検査方法が適用される糸条は、多数の連続した単繊維の束からなる。糸条は、通常、10乃至1,000,000程度の本数の単繊維からなる。
【0022】
本発明の走行糸条の検査方法(以下、単に、本発明の方法と云う場合がある)は、糸条の欠陥の把握を必要とする種々の糸条の製造工程において、使用することができる。そのような製造工程として、合成繊維の製造工程においては、例えば、油剤付与工程、延伸工程、熱処理工程があり、炭素繊維の製造工程においては、例えば、耐炎化工程、炭化工程がある。中間製品が次の工程に送られる場合は、中間製品の製造工程中の最終工程において、また、製品が顧客へ出荷される場合は、製造工程中の最終工程において、本発明の方法による糸条の欠陥の有無、欠陥の状態の検査が行われることが好ましい。
【0023】
本発明の方法に云う「同一面内に、複数本、並列して走行する糸条」における「同一面」として、例えば、複数本の並列した糸条が、互いに平行で間隔をおいて位置する2本の糸条ガイドロールに接触して走行する際に、2本の糸条ガイドロール間に形成される走行糸条に沿った面がある。この面は、糸条の走行面と云うこともできる。糸条の走行面は、本発明の方法の実施において、水平であることが好ましいが、糸条に作用している張力や糸条ガイドロールの間隔などにより、多少湾曲する場合がある。
【0024】
本発明の方法に云う「糸条の走行面を挟んだ第1の面側と第2の面側」における「第1の面」は、糸条の走行面のいずれか片側の面を指称し、選択された片側の面と糸条の走行面を挟んで反対側の面が、第2の面となる。糸条の走行面が、実質的に水平の場合、本発明の方法を実施するための設備の配置や糸条の生産設備の配置の関係から、通常、第1の面は、糸条の走行面の上面に選択される。
【0025】
本発明の方法における第1の面側からの照明のために用いられる照明手段(以下、第1の照明手段と云う)としては、並列して走行している糸条の列を横切る方向において、すなわち、幅方向において、各糸条を均一に照明できるものであれば良い。この第1の照明手段は、幅方向に、20%以内の光量差で、各糸条を照明できるものであることが好ましい。糸条に発生した欠陥からの十分な散乱光量が得られるものであれば、照明光の強度、波長、ともに限定されない。第1の照明手段は、撮像手段の受光感度から、糸条に発生した欠陥からの散乱光を0.11x・s以上の照度で撮像手段に入射可能な照明光の強度をもつものであることが好ましい。
【0026】
第1の照明手段としては、発光部分がライン状である、高周波点灯の蛍光灯やメタルハラロイドランプ等が使用できる。また、ハロゲンやLEDなどの光源からの光を複数の光ファイバを線状に配置したライトガイドで導く照明手段、円柱状のロッドレンズの端面に光を照明する照明手段、あるいは、前面にシリンドリカルレンズを設けた照明手段などを用いることができる。第1の照明手段としては、コストや保守性の観点から、高周波点灯の蛍光灯を用いることが好ましい。
【0027】
本発明の方法における第2面側からの照明に用いられる照明手段(以下、第2の照明手段と云う)としては、糸条間を通過する透過光の測定が可能な照明光が得られる照明手段であれば良く、照明光の強度、波長、ともに限定されない。第2の照明手段の照度が大きすぎると、撮像手段に入射する光量が過度に多くなる。これを防ぐため、例えば、第2の照明手段からの入射光量を抑えると、撮像手段に入射する第1の照明手段による糸条に発生した欠陥からの反射・散乱光が極端に少なくなる弊害が生じる。また、撮像手段の飽和露光量を越えた照度の光が、撮像手段に入射すると、背景部分に位置している糸条の欠陥の検出精度が低下する場合がある。従って、第2の照明手段の照明光の強度は、第1の照明手段と同等かそれ以下であることが好ましい。
【0028】
第2の照明手段としては、第1の照明手段と同様に、並列して走行している糸条の列を横切る方向において、すなわち、幅方向において、各糸条を均一に照明できるものであれば良い。第2の照明手段は、幅方向に20%以内の光量差で、各糸条を照明できるものであることが好ましい。第2の照明手段としては、例えば、第1の照明手段と同様の発光部分がライン状の高周波点灯の蛍光灯を用いることができる。
【0029】
また、第1の照明手段が、幅方向に20%以内の光量差で、各糸条を均一に照明可能なものであれば、第2の照明手段は、糸条間を通過する第1の照明手段からの照明光を反射する反射板であっても良い。この反射板による第2の照明手段は、その設置スペースが小さくて済み、また、その保守が簡単であり、好ましい。反射板としては、第1の照明手段からの照明光を反射させ、撮像手段に入光可能であるものならば、特に限定されない。反射板として、例えば、白色で、光の透過性の少ない板やシートを用いることができる。
【0030】
本発明の方法における撮像手段とは、光を受光するCCD等の受光素子(画素)が直線的に、もしくは、2次元的に配置され、明暗に関するデータを得るセンサを云う。撮像手段としては、受光素子が直線的に配置されたラインセンサが好ましい。
【0031】
撮像手段としてラインセンサを用いることが好ましい理由は、2次元データを得るエリアセンサと比較して、幅方向分解能に優れ、広範囲の検査が可能である点にある。例えば、幅1,000mmの検査範囲に対し、一般的な200万画素(1,600x1,200画素)のエリアセンサを用いた場合、センサの幅方向分解能は、最大で1,000÷1,600=0.625mmであるが、ほぼ同様のコストである7,500画素のラインセンサを用いた場合は、1,000÷7,500=0.133mmとなり、およそ4.7倍の分解能を得ることができる。そのため、必要分解能が同一の場合には、ラインセンサは、エリアセンサと比較し、4.7倍の範囲を同時に検査することが可能である。
【0032】
検査領域が幅方向に広くなる多数本の糸条を本発明の方法により検査する場合、複数台のセンサを用いることが必要となる。同時に検査する糸条の数が多ければ多いほど、エリアセンサと比較し、ラインセンサでは、必要台数を少なくすることができるため、コスト面で有利となる。例えば、上記の例の場合、測定範囲を1,000mm、必要分解能を0.1mmと仮定したとき、200万画素(1,600x1,200画素)のエリアセンサを用いた場合は、(1,000÷0.1)÷1,600=6.25となり、最低7台のセンサが必要となるが、7,500画素のラインセンサの場合は、(1,000÷0.1)÷7,500=1.33となり、2台のセンサで済むことになる。
【0033】
ラインセンサの画素数としては、上記の検査領域が幅方向に広くなる多数本の糸条の検査に対応可能とするため、2,000画素以上であることが好ましい。ラインセンサの受光感度としては、測定時に糸条の欠陥からの散乱光を受光可能とするため、10乃至1,000V/lx・s程度のものが好ましい。具体的には、日本エレクトロセンサリデバイス(株)や竹中システム機器(株)等のメーカー製品が使用できる。
【0034】
ここで、厳密に言うならば、ラインセンサは、画素方向に順番に撮像を行うため、検査範囲を同時に検査しているわけではない。しかし、一般的なラインセンサの1回の走査時間は、50乃至200μsと短い時間であり、同時と解釈しても実用上問題がないことから、本明細書においては、複数の糸条を同時に検査しているとの説明を使用している。
【0035】
本発明の方法においては、第1の面側に、第1の照明手段と複数本の糸条を撮像する撮像手段が設けられ、第2の面側に、第2の照明手段が設けられている。この構成は、第2の照明手段からの照明光が、糸条により遮光されることによって、糸条部分と背景部分の輝度差が拡大され、糸条の位置での糸条幅および糸条の幅方向の明度の精度の良い測定を可能としている。
【0036】
本発明の方法は、更に、撮像手段で得られた受光データをデータ処理手段によりデータ処理するステップと、該データ処理手段により得られたデータの一部または全部を記録手段により経時的に記録するステップを有する。
【0037】
データ処理手段におけるデータ処理は、第1のデータ処理手順と第2のデータ処理手順および/または第3のデータ処理手順とにより行われる。第1のデータ処理手順、第2のデータ処理手順、および、第3のデータ処理手順とは、次の通りのデータ処理手順を云う。
【0038】
第1のデータ処理手順:
撮像手段で得られた受光データから糸条の位置を特定し、その糸条の位置での糸条幅および糸条幅方向の明度を算出するデータ処理手順。
【0039】
第2のデータ処理手順:
第1のデータ処理手順により得られたデータを、予め設定した閾値と比較するデータ処理手順。
【0040】
第3のデータ処理手順:
第1のデータ処理手順により得られたデータを、走行糸条の走行方向に、予め設定した走査回数分、積算・平均化して経時的に連続して取得し、連続する前後の前記積算・平均化したデータの差分を取るデータ処理手順。
【0041】
撮像手段により得られた受光データとは、センサ測定範囲における明暗に関するデータを云う。
【0042】
第1のデータ処理手順は、撮像手段により得られた明暗に関するデータを、受光素子(画素)位置と明暗に関する画素値のプロファイルとして得た後に、そのプロファイルの明暗のパターンから、糸条部分を背景部分と区別し、糸条部分の画素位置から糸条の位置を特定し、かつ、特定された糸条の位置での糸条幅方向の明度を算出するものである。
【0043】
具体的な手順を、図7を用いて説明する。図7の上下に配列された3つのグラフ(a)、(b)、(c)における横軸Xは、画素位置を示し、縦軸Yは、画素値を示す。詳細は後述するが、図7(a)のグラフは、各糸条が欠陥部分を有さない、すなわち、正常部分のみを有する場合の幅方向の画素値のプロファイルである。図7(b)のグラフは、一部の糸条が欠陥部分を有する場合の幅方向の画素値のプロファイルの例である。幅方向の画素値のプロファイルは、第1のデータ処理手順における受光データ(以下、1次データと云う場合がある)の明暗のパターンおよび画素位置から、糸条の位置および糸条幅を特定するために用いられる。
【0044】
第2のデータ処理手順は、第1のデータ処理手段により得られた1次データを、予め設定した閾値と比較するものである。ここで、閾値とは、明暗の変化量や糸条幅を示す暗部の画素数がある閾値を超えたとき、あるいは、下回ったときに、糸条が欠陥を有すると判定するものである。閾値は、例えば、予めモデル的に作成した、あるいは、実際にサンプリングした、正常部と欠陥部の明暗差を測定して、その明暗差に基づき設定される。
【0045】
このような閾値は、製造される糸条の品種毎に異なる閾値の設定が必要となる場合もあり、用意する閾値は、1種で足りる場合もあれば、複数の閾値を用意し使い分ける必要がある場合もある。第2のデータ処理手順の実行において、閾値の格納手段として、パーソナルコンピューター等の記憶装置が用意されていることが好ましい。
【0046】
第1のデータ処理手順に加え、第2のデータ処理手順を有することにより、予め定めた閾値を超えた明度を持つ明部の存在を、あるいは、予め定めた閾値を下回る明度を持つ暗部の存在を把握でき、これに基づき、欠陥を有する糸条の発生の判定が行える。加えて、第1のデータ処理手順と第2のデータ処理手順との組み合わせに基づき、閾値を上回った、あるいは、下回った受光素子の位置から、センサ測定範囲において、幅方向のどの部分で、欠陥を有する糸条が発生したのかを特定することができる。
【0047】
糸条間、換言すれば、背景部分に、糸条の欠陥が現れた場合は、その欠陥が、暗部として認識される。そのため、ある閾値を下回った場合に欠陥有りと判定することにより、欠陥の検出を行うことができる。また、糸条部分に欠陥が存在する場合は、その欠陥が明部として認識される。そのため、前記のある閾値とは別の閾値を上回った場合に欠陥有りと判定することにより、欠陥の検出を行うことができる。
【0048】
第1のデータ処理手順により算出された、糸条の幅と対応する糸条位置での糸条幅方向の画素数が、予め定めた閾値を超えた、あるいは、下回った場合に、糸条の幅に欠陥有りと判定することも可能である。これにより、糸条の幅の正常、異常の検査もできる。
【0049】
第3のデータ処理手順は、第1のデータ処理手順により得られた1次データを、走行糸条の走行方向に、予め設定した走査回数分、積算・平均化して経時的に連続して取得し、連続する前後の前記積算・平均化したデータの差分を取るものである。
【0050】
ここで、糸条の走行方向とは、同一面内に、複数本、並列して走行する糸条の走行方向である。糸条の走行方向は、糸条の製造装置においては、本発明の方法が適用される位置における糸条が走行している方向を意味する。
【0051】
予め設定した走査回数は、ライン(走行糸条)速度、撮像手段の走査周期、糸条上の検出対象の大きさ、および、必要な分解能から決定される走査回数である。例えば、ライン速度を20m/min、撮像手段をラインセンサとし、その走査周期を0.1ms、検出対象のライン走行方向の大きさを1mm、必要分解能を検出対象の1/3とした場合、1回のラインセンサの走査で、糸条および検出対象は、1/30mm移動することとなるため、積算時に許容される走査回数は、10回までとなる。積算時の走査回数は、少なすぎると、突発的な変動、例えば、ラインセンサや糸条の機械的振動などを明暗の変化として顕著に捉えてしまう可能性があるため、通常2回以上行うことが好ましい。
【0052】
積算とは、予め設定した走査回数分のラインセンサの明暗データについて、画素位置ごとに和を取ることであり、また、平均化とは、積算により得られた和の値を走査回数で割ることを云う。
【0053】
経時的に連続して取得とは、予め設定した走査回数分のラインセンサの明暗データについて積算・平均化したデータを得た後、間隔を空けずに、次の予め設定した走査回数分のラインセンサの明暗データについて積算・平均化したデータを取得し、この操作を繰り返して行うことを云う。
【0054】
差分とは、連続する前記積算・平均化データの差を受光素子ごとに取ることを云う。
【0055】
第1のデータ処理手順に加え、第3のデータ処理手順を有することにより、ラインセンサの振動や糸条の振動の影響が低減され、明暗の変化分のみをモニタすることができ、変化が生じた場所にのみに着目することが可能になる。
【0056】
第1のデータ処理手順に加え、第2のデータ処理手順と第3のデータ処理手順の両方を用いることも可能である。このような構成とすることにより、ラインセンサの振動や糸条振動の影響が低減され、明暗の変化量のみで閾値との比較が可能となるため、より精度の良い糸条の欠陥(異常)の検出が可能となるほか、欠陥の発生位置の特定も容易になる。
【0057】
撮像手段として、エリアセンサを用いる場合は、撮像素子が2次元的に配置されていることから、エリアセンサ1回の走査で得られた明暗に関するデータ、および、第1のデータ処理手順により得られた1次データが、時間的に連続した2次元のデータとなる。よって、1回の走査で得られた2次元のデータをパーソナルコンピューター等の記憶装置に記憶し、記憶装置内において検出対象の2次元データをラインセンサの画素方向と同じ方向に分割することにより、データをラインセンサで得られる1次元データと同様に取り扱うことが可能になる。このようにすることにより、ラインセンサの場合と同様に、第3のデータ処理手順を実施することができる。
【0058】
本発明の方法は、上述のデータ処理手順により得られたデータの一部または全部を記録手段により経時的に記録するステップを有する。ここで、経時的に記録するとは、糸条の欠陥(異常)を検知した時間と位置、あるいは、糸条の番号を、検知する度に記録することを云う。このような記録手段を有することにより、どの糸条のどの部分で欠陥(異常)が発生したのかの特定が可能となり、糸条毎の、あるいは、糸条パッケージ毎の欠陥データとして記録することが可能となる。
【0059】
欠陥が発生した糸条を含むデータ部のみを抜き出し、第1のデータ処理手順により得られた時間的に連続する明暗データを、明暗に関する画像の2次元データとして、記録手段に記録しておくことにより、後において、発生した欠陥の種類・形状等を容易に確認することができる。
【0060】
記録手段に記録された明暗に関する2次元データを用いて、明暗の変化が発生した位置について、糸条の走行方向の明暗に関するプロファイルを作成することにより、糸条の走行方向の明暗の変化の周期性から、第3のデータ処理手順により得られた明暗の変化が、糸条に発生した欠陥によるものか、あるいは、糸条の振動によるものかを区別することが可能となる。
【0061】
まれに、糸条の巻き取り装置のトラブルなどの工程異常や作業員が走行糸条に触れることなどが原因となって、多数本並列して走行している糸条の中の1乃至2本の糸条が突如振動する場合がある。糸条に振動が生じると、第3のデータ処理手順により得られるデータにおいて、明暗の変化が生じる可能性が高く、この場合、毛羽・毛玉などによる欠陥と同様に、糸条の振動を欠陥として検出することになる。
【0062】
従って、発生した糸条の振動を欠陥と区別し、その発生データを経時的に記録したい場合や糸条の振動を欠陥とみなさない場合、第3のデータ処理手順により得られたデータ中の明暗の変化について、糸条の振動に基づくものなのか、あるいは、毛羽などの欠陥に基づくものであるのかを、自動で区別する処理手順が必要となる。
【0063】
そこで、糸条の振動が発生した場合は、毛羽などの欠陥と異なり、その明暗の変化が、糸条の走行方向に、毛羽などの欠陥の場合と比較し、長期間かつ周期的に発生する。この状況を第3のデータ処理手順により得られたデータ中の明暗の変化について、その発生した位置において、糸条の走行方向に明暗のプロファイルを作成し、その周期性の有無を判断することにより、糸条の振動の発生に基づくものなのか、あるいは、欠陥に基づくものなのかを区別することが可能になる。
【0064】
欠陥(異常)の発生、あるいは、発生位置を報知する警報手段を備えることにより、例えば、発生した欠陥の早期確認や除去を行うといった、欠陥の発生に応じた早急な対応を取ることが可能となり、糸条の生産工程においては、糸条の生産の歩留まりの向上がもたらされる。
【0065】
欠陥の発生数に応じて、工程異常を察知し、製造プロセスの変更・調整を行うことにより、工程の管理を行うことが可能となる。また、発生した欠陥の除去や製造プロセスの早期変更・調整により、更に高品質の糸条の生産が可能になる。また、得られた糸条毎の欠陥データを用いて、糸条の品位の判定を行うことができるほか、糸条パッケージのどの部分に欠陥があるのかを特定することができる。例えば、顧客に糸条パッケージを出荷する際に、その糸条パッケージの欠陥データを糸条パッケージに添付することにより、欠陥データに基づき、例えば、パッケージから糸条を巻き出す際に、欠陥の除去が可能となる。欠陥はない方が良いが、欠陥データの糸条パッケージへの添付は、品質保証になる場合もある。
【0066】
以下、本発明の走行糸条の検査方法を図面を参照しながら説明する。
【0067】
図1は、本発明の走行糸条の検査方法の実施に用いられる検査データを取得し処理する検査データ取得処理装置の概略側面図である。図2は、図1に示した検査データ取得処理装置の概略斜視図である。
【0068】
図1および2において、検査データ取得処理装置1は、互いに平行で間隔をおいて位置する2本の糸条ガイドロール4a、4bを有する。多数本の糸条Y−Yが、間隔C−Cn−1を有して並列して、糸条ガイドロール4a、4bに接触して、矢印YRDで示す方向に走行している。多数本の糸条Y−Yにより、糸条列YRが形成されている。糸条ガイドロール4aと糸条ガイドロール4bとの間の糸条列YRにより、糸条の走行面YRFが形成されている。各糸条は、この糸条の走行面YRF、すなわち、同一面内に位置している。
【0069】
糸条の走行面YRFを挟んで、第1の面F1側に、第1の照明手段2aが設けられ、第2の面F2側に、第2の照明手段2bが設けられている。撮像手段3が、第1の面F1側において、各糸条からの正反射光を受光しない位置に設けられている。図1において、第1の面F1は、糸条の走行面YRFの上面である。
【0070】
撮像手段3により得られたデータ信号は、第1のデータ処理手順5により、明暗に関する1次データに変換され、その後、第2のデータ処理手順6、あるいは、第3のデータ処理手順7、または、第3のデータ処理手順7での処理結果が、第2のデータ処理手順6へと導かれ、それぞれのデータ処理手順により、所望の比較あるいは処理がなされ、その結果の一部または全部が、各糸条毎に、記録手段8に記録され、この記録は、各糸条の品質管理等に活用される。
【0071】
各走行糸条、第1の照明手段2a、撮像手段3、および、第2の照明手段2bの位置関係について説明する。撮像手段3がラインセンサの場合は、その画素方向が、各走行糸条の走行方向YRDに直角な方向(幅方向)になるように、ラインセンサを設置することが好ましい。各糸条と撮像手段3との間の距離は、撮像手段3、レンズにより決定される画角、撮像手段の画素数、検査範囲、および、必要分解能から、一義に決定される。
【0072】
図1において記号αで示す第1の照明手段2aと各糸条との距離は、距離が離れすぎると、照明光の強度が弱くなり検出精度が落ちるため、500mm以内であることが好ましい。第1の照明手段2aと撮像手段3との位置関係は、第1の照明手段2aからの照明光の各糸条での正反射光が撮像手段3に直接入光しない位置であれば、特に限定されない。図1において記号βで示すように、撮像手段3の視野と各糸条とがおよそ垂直で、図1において記号γで示すように、第1の照明手段2aの照明光と各糸条とのなす角を、10乃至40°とすることにより、各糸条の上に発生した毛羽・毛玉欠陥を精度良く検出可能となる。第2の照明手段2bの位置は、撮像手段3の視野の延長線上にあり、かつ、測定に必要な照明光が撮像手段3に入光可能であるならば、特に限定されない。
【0073】
本発明の方法における糸条の検査原理を、第1のデータ処理手順5、第2のデータ処理手順6、および、第3のデータ処理手順7の処理内容と合わせて、図面を用いて説明する。
【0074】
先ず、第1のデータ処理手順5の処理内容について説明する。撮像手段3により欠陥の無い正常な糸条を撮像し、特に撮像手段3がラインセンサの場合は、撮像結果を予め定めた走査回数分、経時的に連続につなぎ合わせると、図4に示すような2次元画像、または、かかる2次元画像に対応するデータ列が得られる。なお、ここでは、説明の便のため、2次元画像が得られると説明するが、必ずしも画像として得ることは必須ではなく、これに対応するデータ列やその連続パターン等であっても良く、これらを含めて、2次元画像が得られると説明する。
【0075】
図4に示すように、第2の照明手段2bからの光のうち、糸条部分Y−Yに至る光は、糸条部分Y−Yにより遮光されて、撮像手段3へ入光しないため、撮像手段3においては、各糸条に対応する部分y−yが暗くなる。一方、第2の照明手段2bからの光のうち、隣接する糸条の間の糸条間隙C−Cに至る光は、その部分を通過し、透過光として、撮像手段3へ入光するため、撮像手段3においては、糸条間隙に対応する部分c−cが明るくなる。これらの糸条間隙は、背景部分となり、撮像手段3により、背景部分と糸条部分とが明確に区別された画像が得られる。
【0076】
図5に、糸条Yの上に毛玉欠陥が発生した場合を模式的に示す。図5において、糸条Yの上に毛玉欠陥10が発生した場合、毛玉欠陥10により、照明手段2aからの照明光が散乱し、散乱光9が撮像手段3に入光する。撮像手段3により、毛玉欠陥10による散乱光9を撮像して得られる画像は、図6において、欠陥10と同じ記号10で示すようなものとなる。すなわち、本来は、糸条上であり暗部となる部分が、毛玉欠陥10による散乱光9が撮像手段3に入光するため、明部となって画像に表れる。
【0077】
糸条間隙Cに毛羽が発生した際には、図6において、記号11で示すような毛羽欠陥が画像として現れる。すなわち、本来は、第2の照明手段により明部となる背景部分が、糸条間隙Cに発生した毛羽欠陥11により、第2の照明手段からの照明が遮光されるため、暗部として画像に表れる。また、糸条Yの上から糸条間隙C、C(背景部分)に渡る毛羽12が発生した際には、図6において、記号12で示すような毛羽欠陥が画像として現れる。すなわち、このような毛羽欠陥12は、糸条部分は明部として、背景部分は暗部として画像に表れる。
【0078】
従って、例えば、図6において、糸条列YRを横断する方向の範囲13について、撮像手段3から得られたデータを、先に説明した手法で、予め設定した走査回数分、積算・平均化すると、図7(a)に示す幅方向の画素値のプロファイル7Aが得られる。図7(a)では、縦軸Yが画素値(明度)を、横軸Xが画素位置(幅方向の位置)を表しており、糸条部分で、背景部分と比較して暗部であるため、糸条と対応して画素値が減少する逆ピークPy−Py(以下、マイナスのピークと記す)を持つプロファイル7Aとなっている。
【0079】
例えば、マイナスのピークPyにおいては、図7の(a)において、立ち下り17および立ち上り18の部分が、糸条部分と糸条間隙(背景部分)との境界となっている。また、糸条上の毛玉欠陥10を含む、図6の範囲13について、撮像手段3から得られたデータを任意の走査回数分、積算・平均化すると、図7の(b)で示すプロファイル7Bが得られる。すなわち、図7の(a)のプロファイル7Aと比較し、本来暗部である部分が毛玉欠陥10のため明部となり、欠陥部分でプラスのピークP3が出たプロファイル7Bとなっており、また、本来明部である部分が毛羽欠陥11のため暗部となり、欠点部分でマイナスのピークP5が出たプロファイル7Bとなる。
【0080】
図7の(a)に示すプロファイル7Aにおいて、プロファイル7Aの明部15(Pc−Pc)が背景部分と、プロファイル7Aの下側のピークの暗部16(Py−Py)が走行糸条と対応しているため、ピークの画素位置を特定することにより、走行糸条の位置が特定可能となる。また、その走行糸条の位置において、ピークの暗部の画素数を算出することにより、1画素当たりの距離はカメラの視野と画素数で一義的に決まることから、走行糸条の糸幅の算出も可能になる。また、更に、図7の(a)に示すプロファイル7AのマイナスのピークPy−Pyを予めナンバリングしておくと、何番の糸条で欠陥が発生したのかの特定が可能となり、また、糸条の位置を特定、ナンバリングしておくことで、任意の測定周期で特定のあるいは複数の走行糸条の糸条幅のモニタが可能となる。
【0081】
画像において、糸条部分に相当する暗部と背景部分に相当する明部との境界が明確である程、精度の良い糸条幅の測定が可能となるため、第2の照明手段2bにより、背景部分と糸条部分との輝度差を拡大して、境界を明確にしておくことが好ましい。
【0082】
次に、第2のデータ処理手順6の処理内容について説明する。第2のデータ処理手順6は、第1のデータ処理手順5により得られた1次データを、予め設定した閾値と比較するデータ処理手順である。例えば、図7の(a)のプロファイル7A、および、図7の(b)のプロファイル7Bにおいて、画素値が予め設定した閾値を上回ったとき、あるいは、下回ったときに、欠陥の判定を出すことや、または、第1のデータ処理手順5により算出された糸条幅を表す糸条部分の画素数が、予め設定した閾値を上回った、あるいは、下回ったときに、糸条幅の異常の判定を出すことが可能になる。
【0083】
次に、第3のデータ処理手順7の処理内容について説明する。第3のデータ処理手順7は、明暗の変化を生じた部分のみを画素値のピークとして抽出するものである。具体的には、第1のデータ処理手順5により得られた、撮像手段3の予め定められた走査回数分の積算・平均化データと、次の予め定められた走査回数分の積算・平均化データとの差を取るものである。例えば、差分を取る1次データが双方とも図7の(a)で示すようなプロファイル7Aであった場合は、ピークの無い平坦なプロファイルが得られる。他方、糸条に欠陥が発生し、一方のプロファイルが、図7の(b)のようなプロファイル7Bであった場合は、差分をとった際には、図7の(c)に示すような欠陥発生位置に、プラスのピークP3、あるいは、マイナスのピークP5を持つプロファイル7Cとなる。
【0084】
図6の記号10で示すような明部として画像上に現れる欠陥の場合は、図7の(b)で示すようなプロファイル7Bとなり、差分を取った場合には、プラスのピークP3が表れるが、図6の記号11で示すような暗部として画像上に現れる欠陥の場合は、正常時のプロファイル7Aと比較し、本来明部である背景部分が暗部となるため、差分を取った場合は、欠点部分でマイナスのピークP5が出たプロファイル7Bとなる。差分のプロファイルに表れるピークは、欠点が明部か暗部かによって、プラスのピークとマイナスのピークとに分かれるが、第2のデータ処理手順6により、閾値と比較する際には、絶対値を取ることにより、双方プラスのピークに変換して処理しても良い。また、プラス側とマイナス側の2つの閾値を設けることにより処理しても良い。
【0085】
上に説明した検出原理によって、予め設定した走査回数分の積算・平均化して得られたプロファイルを、マスタープロファイルとし、次の予め設定した走査回数分の積算・平均化して得られたプロファイルを、検査対象プロファイルとして、一連の処理を行った後で、新たに前記検査対象プロファイルを、マスタープロファイルとして、更に次の予め定めた走査回数分の積算・平均化して得られたプロファイルを、新たな検査対象プロファイルとするといった処理を連続的に行うことにより、連続して走行糸条の検査を行うことができる。
【0086】
上記のデータ処理手順の組み合わせは、第1のデータ処理手順、第2のデータ処理手順および第3のデータ処理手順の全てを用いることにより、撮像手段の振動や糸条の振動の影響などを低減し、明暗の変化量のみで閾値との比較が可能となるため、より精度の良い欠陥検出が可能となるほか、欠陥あるいは異常発生位置の特定も容易になり好ましい。しかし、第1のデータ処理手順と第2のデータ処理手順との組み合わせ、あるいは、第1のデータ処理手順と第3のデータ処理手順との組み合わせとすることも可能である。
【0087】
上記のデータ処理手順により得られた欠陥に関するデータは、記録手段8に経時的に記録される。
【0088】
欠陥が発生した糸条を含むデータ部のみを抜き出し、第1のデータ処理手順により得られた時間的に連続する明暗データを、明暗に関する画像の2次元データとして、記録手段8に記録しておくことにより、後で発生した欠陥の種類・形状等を容易に確認することができるようになる。
【0089】
記録手段8に記録された糸条の欠陥データを、工程管理に用いることにより、早期に工程異常発生の察知やプロセス改善が可能となり、生産糸条の歩留まりの向上やより高品質の糸条の製造が可能となる。
【0090】
次に、記録手段8に記録された明暗に関する2次元データを用いて、第3のデータ処理手順により得られた明暗の変化が、糸条に発生した欠点によるものか糸条の振動によるものかを区別する手順について説明する。
【0091】
図8に、糸条Yに振動が発生した場合の画像を模式的に示す。図8に示すように、糸条Yに振動19が発生した場合、第3のデータ処理手順により得られるデータにおいては、振動している糸条Yの近辺で、多数の明暗の変化yが発生し、多数の毛羽などの欠陥が発生したものとして、記録手段8にそのデータが記録される。よって、糸条Yの振動19の発生を、図8の毛羽11などの欠陥の発生と区別するためのデータ処理手順が必要となる。
【0092】
本発明の方法においては、第3のデータ処理手順により得られた明暗の変化量が、第2のデータ処理手順で設定される閾値を超えた場合、第1のデータ処理手順により得られる明度のデータのうち、前記明暗の変化yが発生した部分を含む、その前後の連続した明度データのみが、例えば、図8および図9に模式的に示すような2次元の画像データとして記録手段8に記録される。
【0093】
第1のデータ処理手順で得られた後、記録手段8に記録された2次元データについて、図9においては、明暗の変化が発生した場所は、振動している糸条Yの近辺と毛羽欠点11の部分であるが、第1のデータ処理手順および第3のデータ処理手順により得られた明暗の変化が発生した位置である図9の範囲20および範囲21において、糸条の走行方向に明暗に関するプロファイルをそれぞれ取ると、図10の(a)に示すプロファイル10Aおよび図10の(b)に示すプロファイル10Bが得られる。図10(a)および図10(b)において、横軸Xは、糸条走行方向における画素位置、縦軸Yは、画素値を示す。
【0094】
すなわち、明暗の変化が、糸条の振動によるものであった場合には、明暗の変化が発生した位置において、糸条の走行方向に明暗に関するプロファイルを取得すると、記録された2次元データ上において、糸条上と糸条間隙の明度データを交互に取得することとなるため、図10の(a)に示すように、明暗の変化が長期間かつ周期的に発生したプロファイル10Aが得られる。他方、明暗の変化が毛羽などの欠陥によるものであった場合は、発生位置のみの明暗の変化であり、明暗の変化に周期性は無く、図10の(b)で示すようなプロファイル10Bが得られる。よって、明暗の変化の周期性を確認することにより、第3のデータ処理手順により得られた明暗の変化が、糸条に発生した欠陥によるものか、糸条の振動によるものかを区別することが可能となる。
【0095】
明暗の変化の周期性を確認する方法としては、第1のデータ処理手順より得られた明暗の変化が発生した前後の2次元データを自動で監視し、そのデータ中の明暗の変化の周期性の有無を確認できる手法であれば、特に限定されない。例えば、図10の(a)に示すプロファイル10Aにおいて、マイナスのピークが多数発生していることから、第1のデータ処理手順より得られる明暗の変化が発生した前後の2次元データについて、糸条走行方向の明暗に関するプロファイルデータを取得し、プロファイルデータ中のマイナスのピークの数をカウントした後、予め定めた数以上のマイナスのピークが存在すれば周期的であると見なすようなアルゴリズムが適用できる。
【0096】
また、他の手段として、第1のデータ処理手順および第3のデータ処理手順により得られた明暗の変化が発生した前後の2次元データについて、フーリエ変換を適用することにより周波数解析を行い、ある周波数帯に強度のピークが存在すれば、周期的であると見なすようなアルゴリズムも適用することが可能である。
【0097】
上記の手順により、糸条の振動と毛羽などの欠陥とを区別することにより、発生した異常の種類に基づくプロセスの状態を細かく監視できる。糸条の振動を異常と見なしたくない場合は、糸条の振動と判断した部分を検査対象から省くことにより、糸条の振動の影響を除去した上で、毛羽などの欠陥の発生のみを検出することができる。
【0098】
第2のデータ処理手順からの信号を受けて、欠陥発生の報知を行う警報装置を用いることにより、欠陥の発生を瞬時に知ることができる。このようにすることにより、欠陥が走行糸条への毛羽あるいは毛玉の付着だった場合は、生産工程中での欠陥の除去が可能となる。糸条の製造現場に、データ処理手順において得られた欠陥発生位置の表示をするモニタを設けたり、あるいは、複数個の警報装置を糸条の幅方向に並列して設置し、データ処理手順において得られた欠陥発生位置と警報装置とを対応させることにより、幅方向のどの位置で、あるいは、どの糸条で欠陥が発生したのかを瞬時に知ることができる。
【0099】
いずれの欠陥も、第1のデータ処理手順におけるデータ処理により、その発生位置および発生糸条の特定が可能であるため、糸条毎の欠陥データを経時的に記録手段8に記録することにより、例えば、記録された糸条の欠陥データと糸条の品位判定基準とを比較することにより、糸条および糸条を巻き取った糸条パッケージの品位を判定し、品質を管理することができる。このような検査結果を有する糸条を巻き取ったパッケージは、その検査結果から、欠陥の有無だけではなく、その個数や位置も既知であるため、例えば、検査結果で得られた欠陥発生位置をもとに、当該パッケージを用いた繊維製品の加工工程において、欠陥部分を取り除いたり、また、検査結果を顧客への品質保証として使用することができる。
【0100】
以上において、図1および2に示す一組の第1の照明手段2a、第2の照明手段2bと撮像手段3からなる検査データ取得処理装置1を用いて、本発明の方法を説明したが、検査すべき糸条の本数が、検査データ取得処理装置1の場合よりも更に多い場合は、少なくとも二組の第1の照明手段、第2の照明手段と撮像手段からなる検査データ取得処理装置が用いられる。
【0101】
図3は、本発明の走行糸条の検査方法の実施に用いられる検査データを取得し処理する検査データ取得処理装置の他の一例の概略斜視図である。図3において、検査データ取得処理装置31は、二組の第1の照明手段32a1、32a2、第2の照明手段32b1、32b2と撮像手段33a、33bを有する。図3の検査データ取得処理装置31も、図1にブロック図で示すデータ処理手順と同様のデータ処理手順を有するが、その図示は、省略されている。図1の検査データ取得処理装置1と図3の検査データ取得処理装置31とは、使用される第1の照明手段、第2の照明手段と撮像手段の組の数が相違するのみであるため、図3の検査データ取得処理装置31の詳細な説明は、省略する。
【0102】
本発明の方法の実施において、受光データの処理および画像データの処理がなされるが、これらのデータ処理の手法としては、従来から良く知られているこの種のデータの処理手法が用いられているので、これらについてのより詳細な説明は、省略する。
【実施例1】
【0103】
実施例において用いた検査データ取得処理装置1の構成は、次の通りである。
【0104】
第1の照明手段2a: 高周波点灯蛍光灯(40W)
第1の照明手段と糸条との距離α: 50mm
撮像手段3: ラインセンサ NED社製 e−7450D(7450画素)
第2の照明手段2b: アクリル製白色版(反射率30乃至80%)
第2の照明手段と糸条との距離: 50mm
ラインセンサ視野と糸条とのなす角β: 90°
照明光と糸条とのなす角γ: 30°
第1のデータ処理手順の積算回数: 5
第2のデータ処理手順の閾値: 20
上記の構成により、同一面内に、50糸条、並列して、20m/minの速度で走行させた走行糸条の検査を、糸条の巻き取り工程の直前において行うことにより、毛羽欠陥の検出を行った。検査においては、第1のデータ処理手順、第2のデータ処理手順、および、第3のデータ処理手順の全て用いて、データ処理を行った。
【0105】
この検査のとき、並行して、同じ検査対象を、2人の検査員により、目視で検査した。検査対象が50本の糸条であったため、検査員の数を2人とした。
【0106】
その結果、本発明の方法により、検査員がチェックした糸条毎の毛羽欠陥を漏らすことなく検出できることが確認された。本発明の方法により得られた検査結果は、糸条および糸条を巻き取った糸条パッケージの品位判定に用いることができ、その品質管理に有効であることが確認できた。従って、本発明の方法を糸条の製造工程に適用することで、少なくとも、2名の検査員の削減が行えることが確認できた。欠陥データを用いて、欠陥発生数の増減から糸条の製造工程を管理することにより、歩留まりを向上させることができることも確認できた。
【0107】
第3のデータ処理手順で明暗差が発生した際に、第1のデータ処理手順で得られた2次元データ上で、明暗差が発生した位置について、糸条走行方向の明暗に関するプロファイルデータを取得し、このプロファイルデータ中のマイナスのピーク数をカウントし、ピークの数が10以上発生した場合は、糸条の振動に基づくものと判断し、毛羽などの欠陥データと区別して、記録手段8に記録することにより、糸条の振動の発生と毛羽などの欠陥発生とで、それぞれ異なったプロセス改善を、タイムリーに実施することができた。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明の方法によれば、並列に走行する多数本の糸条を、オンラインで、同時に検査し、欠陥の検出を行い、糸条毎の欠陥の情報を得ることができるため、糸条および糸条パッケージの品質管理を適格に行うことができる。本発明の方法は、糸条の製造工程および糸条の処理・加工工程に好適に用いることができ、欠陥の有無あるいはその状態が把握された糸条の生産を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】図1は、本発明の走行糸条の検査方法の実施に用いられる検査データを取得し処理する検査データ取得処理装置の概略側面図である。
【図2】図2は、図1に示した検査データ取得処理装置の概略斜視図である。
【図3】図3は、本発明の走行糸条の検査方法の実施に用いられる検査データを取得し処理する検査データ取得処理装置の他の一例の概略斜視図である。
【図4】図4は、走行している多数本の糸条のそれぞれが正常な糸条である場合を撮像して得られた画像の模式図である。
【図5】図5は、図1に示す検査データ取得処理装置において、糸条の上に毛玉(欠陥)が存在する糸条が、検査位置に到来した状態を模式的に示す検査データ取得処理装置の概略側面図である。
【図6】図6は、図4に示す糸条の走行状態において、それぞれが異なる状態の欠陥を有する3本の糸条が現れた場合を撮像して得られた画像の模式図である。
【図7】図7は、図1に示す検査データ取得処理装置において撮像された画像を処理することで得られるプロファイルの一例を模式的に示すグラフである。
【図8】図8は、図4に示す糸条の走行状態において、1本の糸条が振動している状態と他の1本糸条が糸条間へ突出した毛羽による欠陥を有する状態を撮像して得られた画像の模式図である。
【図9】図9は、図8において、図8に示した糸条の振動状態と糸条の毛羽による欠陥とを区別して判定する手法を書き加えた画像の模式図である。
【図10】図10は、図9に示す画像を処理することで得られるプロファイルを模式的に示すグラフである。
【符号の説明】
【0110】
1:検査データ取得処理装置
2a:第1の照明手段
2b:第2の照明手段
3:撮像手段
4a、4b:糸条ガイドロール
5:第1のデータ処理手順
6:第2のデータ処理手順
7:第3のデータ処理手順
7A、7B、7C:画素値のプロファイル
8:記録手段
9:欠陥からの散乱光
10:毛玉欠陥
10A、10B:画素値のプロファイル
11:毛羽欠陥
12:背景部分に存在する毛羽欠陥
13:マスターとなる正常部分の積算・平均化範囲
14:検査対象となる部分の積算・平均化範囲
15:明部(背景部分に対応する部分)
16:暗部(糸条部分に対応する部分)
17:マイナスのピークに向かう立ち下がり
18:プラスのピークに向かう立ち上がり
19:糸条の振動
20:糸条走行方向の明暗に関するプロファイルデータ収集手法の一例
21:糸条走行方向の明暗に関するプロファイルデータ収集手法の他の一例
31:検査データ取得処理装置
32a1、32a2:第1の照明手段
32b1、32b2:第2の照明手段
33a、33b:撮像手段
−Cn−1:糸条間隙(背景部分)
−cn−1:画像における糸条間隙対応部分
F1:第1の面
F2:第2の面
P3:プラスのピーク
P5:マイナスのピーク
Pc−Pc:プラスのピーク(明部)(背景部分)
Py−Py:マイナスのピーク(暗部)(糸条部分)
−Y:糸条(糸条部分)
−y:画像における糸条対応部分
YR:糸条列
YRD:糸条の走行方向
YRF:糸条の走行面
α:第1の照明手段と糸条との距離
β:撮像手段の視野と糸条とがなす角度
γ:第1の照明手段の照明光と糸条とがなす角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一面内に、複数本、並列して走行する糸条の検査方法であって、
(a)糸条の走行面を挟んで、第1の面および第2の面の両側から照明し、第1の面に対向する位置で、各糸条からの反射光、および、各糸条間を通過する透過光を撮像手段で同時に受光するステップと、
(b)前記撮像手段により得られた受光データをデータ処理手段によりデータ処理するステップと、
(c)前記データ処理手段により得られたデータの一部または全部を記録手段により経時的に記録するステップからなり、
(d)前記データ処理手段におけるデータ処理が、
(d−1)前記受光データから糸条の位置を特定し、その糸条の位置での糸条幅および糸条幅方向の明度を算出する第1のデータ処理手順と、
(d−2)前記第1のデータ処理手順により得られたデータを、予め設定した閾値と比較する第2のデータ処理手順、および/または、前記第1のデータ処理手順により得られたデータを、走行糸条の走行方向に、予め設定した走査回数分、積算・平均化して経時的に連続して取得し、連続する前後の前記積算・平均化したデータの差分を取る第3のデータ処理手順
とからなる走行糸条の検査方法。
【請求項2】
前記撮像手段が、ラインセンサである請求項1に記載の走行糸条の検査方法。
【請求項3】
前記第2のデータ処理手順および/または前記第3のデータ処理手順から得たデータにより、糸条の欠陥および/または欠陥を有する糸条を特定する請求項1または2に記載の走行糸条の検査方法。
【請求項4】
前記第2の面側からの照明が、前記第2の面側に設けられた反射板により前記第1の面側からの照明を反射することによりもたらされる請求項1〜3のいずれかに記載の走行糸条の検査方法。
【請求項5】
前記撮像手段と前記走行糸条面上の撮像手段視野と前記第2の面側からの照明とが、一直線上に位置し、かつ、前記撮像手段が、前記第1の面側からの照明の走行糸条面での正反射光を受光しない位置に位置する請求項1〜4のいずれかに記載の走行糸条の検査方法。
【請求項6】
前記第1のデータ処理手順により特定された位置における糸条幅方向の明度から前記第3のデータ処理手順により得た差分データを、前記第2のデータ処理手順により、予め設定した閾値と比較する請求項1〜5のいずれかに記載の走行糸条の検査方法。
【請求項7】
前記第1のデータ処理手順により得られた時間的に連続する明暗データを、欠陥が発生した糸条を含むデータ部のみを抜き出し、前記記録手段により、2次元データとして保存する請求項1〜6のいずれかに記載の走行糸条の検査方法。
【請求項8】
前記データ処理手段により得られた明度の差分データについて、周期性の有無を判断する請求項1〜7のいずれかに記載の走行糸条の検査方法。
【請求項9】
多数の連続した単繊維の束からなる前駆体糸条の複数本を並列して走行させ炭化処理を行う炭化処理工程、該炭化処理工程から導出された複数本の炭素繊維糸条を、同一面内に、並列して走行させる搬送工程、および、該搬送工程を通過した各炭素繊維糸条を巻き取る巻取工程とからなり、前記搬送工程における前記複数本の炭素繊維糸条が前記同一面内に、並列して走行している箇所において、請求項1〜8のいずれかに記載の走行糸条の検査方法を用いて、前記複数本の炭素繊維糸条を検査する検査工程を含む炭素繊維の製造方法。

【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−308335(P2008−308335A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−123035(P2008−123035)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】