説明

超吸収性ポリマー粒子の再利用

本発明は、固化熱可塑性組成物によって以前に固定されている再利用超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性コアに関する。超吸収性ポリマー粒子は、二酸化炭素、プロパン、又はこれらの混合物などの超臨界流体を使用することによって熱可塑性組成物から分離され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固化された熱可塑性組成物によって以前に固定されている超吸収性ポリマー粒子の再利用に関する。超吸収性ポリマー粒子は、二酸化炭素、プロパン、又はこれらの混合物を含む超臨界流体を使用することによって、固化熱可塑性組成物から分離され得る。
【背景技術】
【0002】
おむつ及び生理用ナプキンなどの使い捨て吸収性物品の高速製造の過程において、欠陥又は不完全物品を発見し、それらを生産プロセスから廃棄することが通常である。これらの廃棄物は販売に好適ではないが、捨てるには高価すぎる材料を含み得る。捨てる代わりに、欠陥製品から所定の材料を回収することが望ましい場合がある。特に、使い捨て吸収性物品に一般に含まれる超吸収性ポリマー粒子を取り戻すことが望ましい。
【0003】
今日では、殆どの使い捨ておむつが、例えば、セルロース繊維などのパルプ繊維(所謂「エアフェルト」)と混合された超吸収性ポリマー粒子を有する吸収性コアを使用している。これらのおむつ内で、超吸収性ポリマー粒子の大部分は、それを包囲するパルプ繊維により定位置に保持されている。したがって、超吸収性ポリマー粒子は、物品を切り刻み、超吸収性ポリマー粒子を、例えば、振動を介して揺り動かし、包囲するパルプ繊維から遊離させることにより回収することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、吸収性コアがエアフェルトを含まず、又は少量のみのエアフェルトを含む吸収性物品の場合、ポリマー粒子は、包囲パルプ繊維によって定位置に保持されることができないため、異なる手段により固定される必要がある。超吸収性ポリマー粒子を吸収性コア内にて固定する方法の1つは、接着剤を使用することによる。これらの接着剤は、超吸収性ポリマー粒子の量と比較して少量で使用されても、超吸収性ポリマー粒子に密接に接着する。接着剤は、超吸収性ポリマー粒子を互いに付着させるだけでなく、超吸収性ポリマー粒子を、例えば、不織布ウェブなどのキャリア基材に付着させ得る。それにより、粒子は、単にそれらを揺り動かして再利用することができない。
【0005】
超吸収性ポリマー粒子を接着剤から分離して、粒子を取り戻す方法を有することが望ましいであろう。超吸収性ポリマー粒子を分離した後、それらを他の新たに製造される吸収性物品に導入することによって、超吸収性ポリマー粒子を再利用できることが更に望ましいであろう。したがって、超吸収性ポリマー粒子の性能、特にそれらの透過性に関連し、またそれらの容量及び自由膨潤速度にも関連した性能は、超吸収性ポリマー粒子が固化熱可塑性組成物から分離される再利用プロセスにおいて過度に低下してはならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性コアに言及する。超吸収性ポリマー粒子の少なくとも一部は、再利用された超吸収性ポリマー粒子であり、前記再利用は、固化熱可塑性組成物から汚染超吸収性ポリマー粒子を分離する工程を含む。
【0007】
本発明はまた、超吸収性ポリマー粒子の少なくとも一部が再利用超吸収性ポリマー粒子である、吸収性コア内での超吸収性ポリマー粒子の使用にも言及する。
【0008】
更に、本発明は、固化熱可塑性組成物から超吸収性ポリマー粒子を分離する方法に関し、前記方法は、
a)超吸収性ポリマー粒子及び固化熱可塑性組成物の粒塊を提供する工程であって、超吸収性ポリマー粒子の少なくとも一部が、固化熱可塑性組成物の少なくとも一部に接着されている、工程と、
b)粒塊を二酸化炭素、プロパン、又はこれらの混合物を含む超臨界流体に供する工程と、を含む。
【0009】
本発明により得られる、分離された超吸収性ポリマー粒子のUPM値は、超吸収性ポリマー粒子が工程a)及びb)に供されている間、40%以下に低下しない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明のこれらの特徴、態様、及び利点、並びに他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付図面を考慮することで、より良好に理解されるであろう。
【図1】本発明の吸収性物品に関する一実施例としてのおむつの平面図。
【図2】尿透過性測定試験を実行するための、好適な透過性測定システムの部分的な断面側面図。
【図3】尿透過性測定試験を実行する際に使用するための、ピストン/シリンダーアセンブリの断面側面図。
【図4】図3に示したピストン/シリンダーアセンブリに使用するのに好適なピストンヘッドの平面図。
【図5】膨潤面用にガラス濾板上に配置された図3のピストン/シリンダーアセンブリの断面側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
定義
「吸収性物品」とは、身体の排出物を吸収及び保持する装置のことを指し、より具体的には、着用者の身体に接して、又は近接して配置されることにより身体から排出される様々な排出物を吸収及び保持する装置のことを指す。吸収性物品としては、おむつ、パンツ、トレーニングパンツ、成人用失禁下着、生理用ナプキンなどが挙げられる。本明細書で使用するところの「体液」又は「身体排出物」なる用語には、これらに限定されるものではないが、尿、血液、膣排泄物、母乳、汗及び糞便が含まれる。本発明の好ましい吸収性物品は、おむつ、パンツ、トレーニングパンツ及び/又は生理用ナプキンである。
【0012】
「吸収性コア」は、典型的には吸収性物品のトップシートとバックシートとの間に配置されて、吸収性物品が受容する液体を吸収及び収容する構造を意味する。吸収性コアは、典型的には、エアフェルト(セルロース繊維を含む)、超吸収性ポリマー粒子(以後、SAP粒子と称する)及びおそらくは不織布ウェブなどの吸収性材料を含む。一実施形態において、吸収性コアは、10%未満のセルロース繊維を含んでもよく、又は更には実質的にセルロースを含まなくてもよく(すなわち、1%未満のセルロース)、かつ1種以上の基材、前記1種以上の基材上に配置されたSAP粒子、及び固化熱可塑性組成物を含んでもよい。固化熱可塑性組成物は、SAP粒子及び1種以上の基材の少なくとも一部分上に適用されて、SAP粒子を1種以上の基材上に固定する。1種以上の基材は、不織布ウェブを含み、又は不織布ウェブからなっていてもよい。不織布ウェブは、SAP粒子及び固化熱可塑性組成物を少なくとも部分的に包囲し、したがってこれらの不織布は、多くの場合、コアラップ又はコアカバーと称される。コアラップ又はコアカバーは、吸収性物品の身体に面する表面を向いた上側層と、吸収性物品の下着に面する面を向いた下側層とからなっていてもよい。これら2つの層は、その外周に沿って互いに連続的又は断続的に結合させることができる。上側層と下側層とは同じ不織布ウェブで製造されてもよく、又は異なる不織布ウェブで製造されてもよく、即ち、上側層を流体透過性とする一方で下側層を流体不透過性とすることができる。コアラップ/コアカバーはまた、SAP粒子及び固化熱可塑性組成物を封入する単一の不織布からなっていてもよい。多層の吸収性コアでは、基材(例えば、不織布ウェブ)の1つ以上の層が、吸収性コア内に追加的に設けられて、SAP粒子を少なくとも部分的に分離及び分割してもよい。
【0013】
本発明において、吸収性コアは、典型的には吸収性材料(即ち、任意の基材層を除く)の80重量%を超える、より好ましくは90%を超えるSAP粒子を含むであろう。吸収性コアは、更にはエアフェルトを含まなくてもよい。吸収性コアの吸収性材料はまた、SAP粒子のみからなっていてもよい。
【0014】
一実施形態において、吸収性コアはSAP粒子に加えて臭気制御化合物を含む。臭気制御化合物は、臭気制御粒子の形態で提供されてもよい。臭気制御粒子は、吸収性コア全体にわたって均質に分散されていてもよく、又は代替的に、区別される範囲内のみに提供されると共に、他の範囲は臭気制御粒子を含まなくてもよい。例えば、臭気制御粒子は、吸収性コア内の1つ以上の区別される層の形態で提供されてもよい。臭気制御粒子は、SAP粒子の粒径と類似した粒径を有してもよい。一実施形態において、臭気制御化合物、例えば、臭気制御粒子は、テトラアセチルエチレンジアミン及び過炭酸塩を含む。過炭酸塩及びテトラアセチルエチレンジアミンを含む臭気制御粒子は、吸収性コア当たり200mg〜400mg、好ましくは250mg〜350mgの量で含まれてもよい。典型的には、吸収性コア内のSAP粒子の重量は、臭気制御化合物の重量の30倍〜50倍であり、好ましくは臭気制御化合物の重量の35倍〜45倍であろう。
【0015】
本発明では、固化熱可塑性組成物は吸収特性を有さないため、吸収性材料は、固化熱可塑性組成物−及び存在する場合、臭気制御化合物−を含むとは考慮されないであろうことが理解される。更に、本発明では、吸収性コアは、吸収性物品のトップシート、バックシート及び(存在する場合)捕捉システムを含まない。
【0016】
本明細書で使用される「超吸収性ポリマー粒子」(「SAP粒子」)は、遠心分離保持容量試験(Edana 441.2−01)を使用して測定したときに、0.9%食塩水溶液をその重量の少なくとも5倍吸収可能な架橋された高分子材料を指す。SAP粒子は、乾燥状態で流動可能であるように微粒子の形態を有する。本発明の好ましいSAP粒子は、ポリ(メタ)アクリル酸ポリマーで形成されている。しかしながら、例えば、澱粉ベースのSAP粒子も、本発明の範囲内に含まれ得る。
【0017】
本明細書で使用される「汚染SAP粒子」は、本発明の固化熱可塑性組成物が接着しているSAP粒子を指す。
【0018】
本明細書で使用される「再利用SAP粒子」は、以前にSAP粒子が接着された固化熱可塑性組成物から分離された、SAP粒子を指す。SAP粒子は、二酸化炭素、プロパン、又はこれらの混合物などの超臨界流体を使用することによって、固化熱可塑性組成物から分離されることが好ましい。
【0019】
本明細書で使用される「非再利用SAP粒子」は、固化熱可塑性組成物から以前に分離されていないSAP粒子を指す。非再利用SAP粒子は、本発明の吸収性物品内で使用される前に、任意の吸収性物品内に又は吸収性物品の一部内(例えば、吸収性コア内)に組み込まれていないことが好ましい。しかしながら、所定の実施形態では、非再利用SAP粒子が吸収性繊維と共に組み込まれており、SAP粒子は単に繊維と直近しているために固定されている吸収性物品から、非再利用SAP粒子が取り戻されている。SAP粒子はこれらの吸収性繊維に付着されていず、また互いに又は吸収性物品の他の材料(不織布ウェブなど)に付着されていない。そのような吸収性物品の例は、SAP粒子に加えて比較的大量の吸収性繊維を含む使い捨ておむつである。
【0020】
本明細書で使用される「エアフェルト」は、セルロース繊維(吸収性繊維)の形態を有する粉砕木材パルプを指す。
【0021】
「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」、及び「備える(comprises)」は非限定的な用語であり、それぞれの語の後に記載されるもの(例えば構成要素)の存在を特定するものであるが、他の特徴(例えば要素、工程、当該技術分野において既知であるか、又は本明細書に開示される構成要素)の存在を除外するものではない。
【0022】
「使い捨て」は、通常の意味では、様々な期間にわたって限定された使用回数、例えば、約20回未満、約10回未満、約5回未満、若しくは約2回未満の後に、処分される又は廃棄される物品を意味するのに使用される。使い捨て吸収性物品は、殆どの場合、1回の使用後に捨てられる。
【0023】
「おむつ」とは、幼児及び失禁患者によって胴体下部の周囲に一般に着用されることにより、着用者の腰部及び脚部を包囲する吸収性物品のことであって、尿及び糞便を受容して閉じ込めるように特に適合されたもののことを指す。
【0024】
「パンツ」又は「トレーニングパンツ」は、本明細書で使用するとき、幼児又は成人の着用者用に設計された腰部開口部及び脚部開口部を有する使い捨て衣類を指す。パンツは、着用者の脚を脚部開口部に挿入し、パンツを着用者の胴体下部の周囲にまでずらすことによって着用者に対して定位置に置くことができる。パンツは、再び取り付け可能な及び/又は再び取り付け不可能な接着(例えば、縫い目、溶接、接着剤、粘着接着、締め具など)を用いて、物品の一部分を共に接合することが挙げられるが、これらに限定されない、いずれかの好適な技術により予備成形されてもよい。パンツは、物品の周囲沿いのいずれかの箇所で(例えば、側面締結、前側腰部締結)予備形成されてよい。用語「パンツ」又は「パンツ類」が本明細書では使用されるが、パンツはまた一般的に「密閉型おむつ」、「事前締結型おむつ」、「プルオンおむつ」、「トレーニングパンツ」、及び「おむつパンツ」とも呼ばれる。
【0025】
「不織布ウェブ」とは、摩擦及び/又は粘着及び/又は接着により結合させ、指向性繊維又はランダムに配向された繊維で作られているシート、ウェブ、又は詰め物であり、紙と、さらなるニードル加工の有無を問わず、結合糸若しくはフィラメントを組み込んだ織り製品、編み製品、タフテッド製品、ステッチで結合した製品、又は湿式粉砕によるフェルト製品は含まれない。繊維は天然起源のものであっても人工起源のものであってもよく、ステープル又は連続フィラメントであっても、若しくはその場で形成されてもよい。市販の繊維は、約0.001mm未満から約0.2mmを超える範囲の直径を有し、短繊維(ステープル繊維又は細断繊維として知られる)、連続単繊維(フィラメント又はモノフィラメント)、連続フィラメントの撚っていない束(麻くず)、及び連続フィラメントの撚り束(編み糸)などのいくつかの異なる形態によって提供される。不織布ウェブは、例えば溶融ブロー法、スパンボンド法、溶剤紡糸法、電界紡糸法、カーディング及びエアレイイングなどの多数のプロセスにより形成することができる。不織布ウェブの坪量は、通常、1平方メートル当たりのグラム数(gsm)で表される。
【0026】
吸収性物品
以下、本発明の吸収性物品の一例として使い捨ておむつについて記載する。しかしながら、他の使い捨て吸収性物品、特にパンツ、トレーニングパンツ及び生理用ナプキンも本発明に包含されることが理解される。
【0027】
本明細書に記載する吸収性物品は、一方では、SAP粒子を固化熱可塑性組成物から分離することによって、該物品からSAP粒子が再利用される物品であってもよいことを理解するべきである。本明細書に記載する吸収性物品は、他方では、本発明の吸収性コアを含む物品であってもよい。これらの吸収性コアは、再利用SAP粒子を含む。
【0028】
図1は、本発明の所定の実施形態に基づいたおむつ210の平面図である。おむつ210は、その広げられた非収縮(即ち、弾性による収縮がない)状態で示され、おむつ210の一部は、おむつ210の下層構造をより明瞭に示すために切り取られている。着用者に接触するおむつ210の部分は、図1において観察者の方を向いている。おむつ210は、一般に、シャーシ212と、シャーシ212内に配置された吸収性コア214と、を含んでもよい。
【0029】
図1のおむつ210のシャーシ212は、おむつ210の本体を構成する。シャーシ212は、液体透過性であってよいトップシート218、及び/又は液体不透過性であってよいバックシート220を含む外側カバー216を有し得る。吸収性コア214は、トップシート218とバックシート220との間に収容されてもよい。シャーシ212はまた、サイドパネル222、弾性レッグカフ224、及び弾性腰部機構226も有し得る。
【0030】
レッグカフ224及び弾性腰部機構226は、典型的には、それぞれ弾性部材228を有し得る。おむつ210の一方の末端部分は、おむつ210の第1の腰部領域230として構成される。おむつ210の反対側の末端部は、おむつ210の第2の腰部領域232として構成される。おむつ210の中間部は、第1の腰部領域230と第2の腰部領域232の間で長手方向に延びる股領域234として構成されている。腰部領域230及び232は弾性要素を有することにより、着用者の腰部の周囲に寄り集まって高いフィット感及び密閉性をもたらすことができる(弾性腰部機構226)。股部領域234は、おむつ210が着用される際に着用者の脚の間に概ね位置するおむつ210の部分である。
【0031】
おむつ210は、その長手方向軸236及び横断方向軸238と共に図1に描かれている。おむつ210の周辺部240はおむつ210の外縁部によって画定され、長手方向の縁部242がおむつ210の長手方向軸236にほぼ平行に延び、端縁部244がおむつ210の横断方向軸238にほぼ平行に長手方向の縁部242の間に延びている。おむつ220はまた、フィット感、密閉性、美的特徴を向上させるための前方及び後方イヤーパネル、腰部キャップ機構、伸縮材などの当技術分野では既知の他の機構を含んでもよい。
【0032】
おむつ210を着用者の周囲の定位置に保持するため、第1の腰部領域230の少なくとも一部を締結部材246により第2の腰部領域232の少なくとも一部に取り付けることによって、脚部開口部及び物品の腰部を形成することができる。これを目的として、所定の実施形態によれば、おむつ210は再閉鎖可能な締結システムを備えてもよく、あるいはパンツ型のおむつの形態で提供されてもよい。吸収性物品がおむつである場合、おむつを着用者に固定するために、シャーシに接合した再閉止可能な締結装置を含むことが可能である。締結システムは、少なくとも1つの締着部材246と、少なくとも1つのランディングゾーン248と、を含んでもよい。吸収性物品がパンツ型おむつの場合、物品は、2つの側部パネルを腰部領域230、232に1つずつ含んでもよく、前記側部パネルは、長手方向軸線236の方に向いた側部パネルの長手方向縁に沿ってシャーシに連結されている。第1の腰部領域230の側部パネルは、更に、長手方向軸線236の反対方向に向いた側部パネルの長手方向縁に沿って、第2の腰部領域232のそれぞれの側部パネルに連結されて、パンツを形成する。
【0033】
図1の切断線2−2に沿って図1の断面を取ると、おむつ210は、着用者に面した面から順に、トップシート218、吸収性コア214の構成要素、及びバックシート220を含み得る。おむつ210は更に、液体透過性のトップシート218と、吸収性コア214の着用者に面した面との間に配される捕捉システム250を含み得る。捕捉システム250は、吸収性コアと直接接触し得る。
【0034】
捕捉システム250は、単一層からなってもよく、又は着用者の皮膚に面する上部捕捉層252及び着用者の衣類に面する下部捕捉層254などの多層からなってもよい。所定の実施形態によれば、捕捉システム250は尿の放出などの大量の液体を受容する機能を有してもよい。別の言い方をすれば、捕捉システム250は、吸収性コア214が液体を吸収できるようになるまでの間、液体の一時的な貯留部として機能し得る。
【0035】
所定の実施形態では、捕捉システム250は、化学的に架橋されたセルロース繊維及び/又は不織布ウェブを含んでもよい。
【0036】
本発明の吸収性コアはSAP粒子を含んでもよく、該SAP粒子の一部は再利用される。SAP粒子の再利用は、固化熱可塑性組成物から汚染超吸収性ポリマー粒子を分離する工程を含む。汚染SAP粒子は、二酸化炭素、プロパン、又はこれらの混合物を含む超臨界流体を使用することによって、固化熱可塑性組成物から分離されることが好ましい。代替的に、汚染SAP粒子は、ソックスレー抽出を用いて固化熱可塑性組成物から分離されてもよい。
【0037】
再利用SAP粒子は、吸収性コアが含むSAP粒子の総量の1重量%を超え、より好ましくは5重量%を超えることが好ましい。再利用SAP粒子は、吸収性コアが含むSAP粒子の総量の70重量%未満、好ましくは50重量%未満、尚より好ましくは50重量%未満又は20重量%未満であってもよい。最も好ましい実施形態では、再利用SAP粒子は、吸収性コアが含むSAP粒子の総量の15重量%未満である。
【0038】
吸収性コア内のSAP粒子の残りの部分は、非再利用SAP粒子である。好ましくは、再利用超吸収性ポリマー粒子及び非再利用超吸収性ポリマー粒子は、それらを吸収性コア内に組み込む前に互いに混合されている。
【0039】
再利用SAP粒子を含む吸収性コアは、おむつ、トレーニングパンツ及び生理用ナプキンから選択される吸収性物品に含まれることが好ましい。これらの吸収性物品は、例えば捕捉システムなどの、物品の他の構成要素中のSAP粒子を更に含んでもよい。捕捉システム中に含まれるSAP粒子は、部分的に再利用SAP粒子であってもよい。
【0040】
本発明の所定の実施形態は、少なくとも一部が再利用SAP粒子であるSAP粒子を含む吸収性コアに言及する。これらの吸収性コアは、吸収性物品内に含まれていない。これらの吸収性コアは、例えば、吸収性物品内の使用済み吸収性コアを代替するために、別個に販売されてもよい。
【0041】
超臨界流体
気体は、十分高圧に圧縮された際、液体となる。他方、気体は、特定の温度を超えて加熱された場合、圧縮によって液体状態に転移しない場合がある。この温度は臨界温度と称され、対応する蒸気圧は臨界圧力と称される。これらの温度及び圧力の値は、所定の物質に独特な臨界点を規定する。下記の図に示すように、物質の状態は、温度及び圧力の両方が臨界点を超えた場合に超臨界状態と称される。二酸化炭素に関する臨界温度及び圧力の値は、31.1℃及び7380kPa(73.8バール)である。プロパンに関しては、臨界温度及び圧力の値は、38.8℃及び4250kPa(42.5バール)である。

【0042】
この超臨界流体(SCF)は、気体及び液体の両方の多数の特性を所有する。超臨界状態では、温度及び圧力の比較的小さい変化により、溶媒容量の増大と溶媒特性の変化とが達成され得る。SCFは、その有利な拡散性、粘度、表面張力、及び他の物理的特性により、抽出用の溶媒として特に好適である。例えば、SC二酸化炭素は、エタノール、イソプロパノール又はn−ヘキサンなどの典型的な液体溶媒と比較して、遙かに高い拡散率と、相当高い粘度とを有する。
【0043】
その低い粘度と低い表面張力とにより、SCFは固体物質に浸透することができ、該固体物質から活性構成成分が抽出される。
【0044】
更に、COを用いたSCF抽出においては、抽出物中に溶媒残留物が存在しない。本発明において、CO純度は、少なくとも99.95%でなければならない。またそのほぼ室温の臨界温度は、熱不安定な製品にとって理想的に好適なものとする。その非常に低い蒸発の潜熱により、抽出物の分離には比較的低いエネルギー投入を必要とする。更に、COの超臨界状態を得るのに必要なエネルギーは、多くの場合、従来の有機溶媒の蒸留に関連したエネルギーよりも小さい。超臨界流体抽出プロセスに必要なCOは、発酵プロセス又は肥料産業から副産物として得られるため、容易に入手することができる。したがって、その抽出溶媒としての使用は、大気中に存在するCOの量をこれ以上増大させない。SCF溶媒としてのCOの使用において、追加的な「温室効果」は存在しない。その上、COは、低コストで容易に入手することができる。
【0045】
再利用SAP粒子を得る方法
本発明の方法を実行するためのシステムは、少なくとも1つの抽出器、1つの沈殿器、及び抽出器と沈殿器とを接続するチューブを含む。更に、システムは、該システム内の超臨界流体の流速及び圧力を一定に維持するポンプなどの装置を含む必要がある。全部の構成要素は、閉鎖システム内にて組み合わされる必要がある。SCFは、抽出器を通過し、(抽出器の)少なくとも1つの出口を介して抽出器を去ってチューブ内に入り、(沈殿器の)少なくとも1つの入口を介して沈殿器に移動する。沈殿器内での拡張後、拡張された気体(以前のSCF)は、(沈殿器の)少なくとも1つの出口を介して沈殿器を去り、チューブを通過して抽出器に戻る。気体は、(抽出器の)少なくとも1つの入口を介して再び抽出器に進入する前に圧縮されて、その超臨界状態に転移する必要がある。弁は、異なる構成要素(例えば、抽出器、沈殿器)を切り離すことができるよう機能し、それにより抽出器及び/又は沈殿器が閉鎖システムから分離されて、完全なシステムを周囲条件に供することなく、これらの構成要素の開放を可能することができる。場合により、システムは更に、(例えば、沈殿器を冷却し、及び/又は超臨界状態に転移する前にチューブ内で気体を冷却するように)冷却器を含んでもよい。システムは、超臨界流体を所望の温度に維持するように、加熱装置も含み得る。
【0046】
SAP粒子を再利用するために、SAP粒子を本明細書で抽出器と称される適切な容器内に配置する。抽出器内に配置されたSAP粒子の少なくとも一部は、固化熱可塑性組成物の重量に基づいて少なくとも30重量%の熱可塑性ポリマーを含む固化熱可塑性組成物に密接に接着している。殆どの実施形態において、SAP粒子の大部分(即ち、50%を超える)は、固化熱可塑性組成物に密接に接着しているであろう。しかしながら、50%を超える、例えば、70%を超える、又は80%を超える、又は更には95%を超えるSAP粒子が、固化熱可塑性組成物に密接に接着していてもよい。密接に接着するためには、SAP粒子の比較的小さい表面部分が、該表面に密接に接着した固化熱可塑性組成物を有する一方、その残りの表面が、固化熱可塑性組成物を有さなくて十分である。本発明では、そのようなSAP粒子は、固化熱可塑性組成物で汚染されていると既に考えられているであろう。典型的には、SAP粒子は、固化熱可塑性組成物の繊維状ネットワーク内に固定されるであろう。
【0047】
名称が既に示しているように、SAP粒子が配置される抽出器は、抽出用の器の役割を果たす。抽出器は、例えば、オートクレーブであってもよい。抽出器は、適切な圧力及び温度が蓄積できるように、周囲空気に対して密閉可能である必要がある。
【0048】
抽出器内に配置される材料は、固化熱可塑性組成物が接着されているSAP粒子のみであってもよい。しかしながら、驚くべきことに、本発明の方法は、本発明の方法に供される間、固化熱可塑性組成物が密接に接着しているSAP粒子が、吸収性物品の吸収性コア内に含まれている場合でも、実行できることが見出された。吸収性コアは、汚染SAP粒子に加えて、不織布ウェブ、エアフェルト、及び/又は吸収性発泡体などの他の液体吸収材料を含んでもよい。一実施形態において、吸収性コアは、汚染SAP粒子及び1種以上の不織布ウェブを含む。
【0049】
一実施形態において、本発明の方法に供される吸収性コアは、吸収性コアの総重量に基づいて、少なくとも75重量%のSAP粒子を含むであろう。別の実施形態では、吸収性コアは、吸収性コアの総重量に基づいて、少なくとも80重量%のSAP粒子を含むであろう。尚別の実施形態では、吸収性コア、吸収性コアの総重量に基づいて、少なくとも90重量%のSAP粒子を含むであろう。
【0050】
更に、一実施形態において、本発明の方法に供される吸収性コアは、吸収性コアの総重量に基づいて、8重量%未満の固化熱可塑性組成物を含むであろう。別の実施形態では、吸収性コアは、吸収性コアの総重量に基づいて、6重量%未満の固化熱可塑性組成物を含むであろう。尚別の実施形態では、吸収性コアは、吸収性コアの総重量に基づいて、5重量%未満の固化熱可塑性組成物を含むであろう。
【0051】
代替的に、本発明の方法に供される材料は、汚染SAP粒子を有する吸収性コアに加えて、捕捉システムなどの、吸収性物品の他の構成要素も含む。
【0052】
その上、本発明の発明者らは、完全な吸収性物品、例えば完全なおむつを本発明の方法に供することができることを見出した。このことは、本発明の方法に供する前に、吸収性物品から吸収性コアを回収する必要性を排除する。かくして、尚更なる実施形態では、使い捨ておむつ、トレーニングパンツ又は生理用ナプキンなどの完全な吸収性物品が本発明の方法に供される。これらの吸収性物品は、固化熱可塑性組成物が接着しているSAP粒子を含む。SAP粒子は、吸収性物品の内部に含まれ、即ち、固化熱可塑性組成物が接着しているSAP粒子は、不織布ウェブ、フィルム及び/又はエアフェルトなどの他の材料に包囲されている。完全な吸収性物品は、該物品の一部上(例えば、バックシート又はランディングゾーン上)に印刷物を提供するのに使用されているインクも含み得る。
【0053】
一実施形態において、本発明の方法に供される使い捨て吸収性物品は、使い捨て吸収性物品の総重量に基づいて、少なくとも25重量%のSAP粒子を含む。別の実施形態では、使い捨て吸収性物品は、使い捨て吸収性物品の総重量に基づいて、少なくとも30重量%のSAP粒子を含む。
【0054】
更に、一実施形態において、本発明の方法に供される吸収性コアは、使い捨て吸収性物品の総重量に基づいて、3重量%未満の固化熱可塑性組成物を含むであろう。別の実施形態では、使い捨て吸収性物品は、使い捨て吸収性物品の総重量に基づいて、2.5重量%未満の固化熱可塑性組成物を含むであろう。
【0055】
固化熱可塑性組成物が接着しているSAP粒子を抽出器内に配置した後、抽出器に少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を接続し、抽出器を周囲空気から密閉する。
【0056】
超臨界二酸化炭素などの超臨界流体をシステム内に供給し、超臨界流体は、少なくとも1つの入口管路を介して抽出器に進入する。超臨界流体は、抽出器を通過する間、抽出器内に収容されている材料も通過する。
【0057】
超臨界流体は、その低い粘度及び高い拡散係数により、抽出器内に配置されている材料に容易に浸透することができ、それ故、SAP粒子が吸収性物品内に含まれている場合であっても、固化熱可塑性組成物が接着しているSAP粒子と密接に接触する。超臨界流体は材料を通過して固化熱可塑性組成物を抽出し、それにより固化熱可塑性組成物がSAP粒子から少しずつ除去される。
【0058】
超臨界流体は抽出された固化熱可塑性組成物と共に、少なくとも1つの出口を介して抽出器を去り、チューブを通過して沈殿器内に入る。超臨界流体は沈殿器内で超臨界温度及び圧力未満の状態に拡張することができ、例えば、超臨界二酸化炭素及び/又はプロパンは再び気体状態に転移する。超臨界流体が拡張すると、気体二酸化炭素及び/又はプロパンがもはや抽出媒体としての役割を果たすことができないため、抽出された固化熱可塑性組成物は沈殿用の器内で沈殿する。
【0059】
しかしながら、固化熱可塑性組成物の化学的形態は、固化熱可塑性組成物がSAP粒子に接着していた間に有していた化学的形態と同一ではない可能性が最も高いであろう。例えば、固化熱可塑性組成物が純粋な化学的化合物ではなく、異なる構成成分の混合物である場合、異なる構成成分は抽出によって少なくとも部分的に互いに分離される場合があり、今、液体状態(例えば、存在する場合、油)である以前固化されていた熱可塑性組成物の一部をもたらす可能性がある。
【0060】
抽出材料が沈殿器内で沈殿した後、二酸化炭素及び/プロパンは再生され、即ち、もはや抽出材料が「負荷」されていない。二酸化炭素及び/又はプロパンは、少なくとも1つの出口を介して沈殿器を去り、それらを沈殿器に戻すパイプ内に進入する。気体が戻る途中、気体は、その超臨界状態に達するまで、再び圧縮される。その後、超臨界流体は、固化熱可塑性組成物が接着しているSAP粒子が配置されている抽出器に再び進入することができる。
【0061】
説明したように、本発明の方法を、二酸化炭素及び/又はプロパンがSAP粒子を有する抽出器を何度も通過して、多数のサイクルにて少なくとも部分的に再利用及び再使用され得る閉鎖システム内で実行できる。
【0062】
圧力及び温度
より高い圧力は、容易に達成することがより困難であるため、比較的低い圧力がプロセス工学及びコストの観点から望ましい。しかしながら、比較的高い圧力が本発明の方法の効率を高める可能性があり、SAP粒子を再可動化し、固化熱可塑性組成物から遊離させるために汚染SAP粒子を超臨界流体に供する必要がある時間を短縮させ得ることが見出された。高圧は、所定の容積当たりにより多数の超臨界流体の分子が存在することを意味し、それ故、より速い抽出が可能となる。本発明の方法では、超臨界流体は、10000kPa(100バール)〜60000kPa(600バール)、又は15000kPa(150バール)〜45000kPa(450バール)、又は20000kPa(200バール)〜40000kPa(400バール)、又は20000kPa(200バール)〜37500kPa(375バール)の圧力下にあってもよい。
【0063】
二酸化炭素が圧力7380kPa(73.8バール)及び温度31.1℃のその超臨界状態に達すると、超臨界流体の温度は少なくとも40℃にならなければならない。40℃未満の温度は、システム内に超臨界温度を下回る31.1℃の温度を有する範囲を少なくとも一時的にもたらし得る。それ故、プロセスの安定性を確実にするために、温度は少なくとも40℃でなければならない。しかしながら、超臨界流体としてプロパン(又は優位にプロパンからなる混合物)が使用される場合、二酸化炭素と比較して僅かに高いプロパンの臨界温度により、少なくとも45℃の温度を有することが所望され得る。一般に、超臨界流体の温度は、40℃〜100℃、好ましくは40℃〜75℃、より好ましくは40℃〜60℃であることが望ましい。100℃を上回る温度は、システムのランニングコストを増大させるのみでなく、例えば、SAP粒子の黄変など、SAP粒子に悪影響を与える場合がある。
【0064】
本発明の方法に供される汚染SAP粒子が、過炭酸塩及びテトラアセチルエチレンジアミンを含む臭気制御粒子などの臭気制御化合物を含む場合、臭気制御化合物は、高温にて悪化し得る。例えば、過炭酸塩は、分解して遊離過酸化水素を遊離させ得る。しかしながら、本発明の場合、本発明に供された後に臭気制御化合物が分解し、不活性化されるか否かは、SAP粒子に悪影響を与えない限り重要ではない。
【0065】
臭気制御化合物の活性を維持することが望ましい場合、臭気制御化合物が不活性化される温度を決定してもよく、またそれに従って臭気制御化合物を含む汚染SAP粒子が超臨界流体に供される温度を選定して、不活性化を回避してもよい(40℃未満の温度が必要とされない限り−これらの実施形態では、臭気制御化合物の活性は維持することができない)。例えば、過炭酸塩は、分解と過酸化水素の遊離とを回避するために、60℃を超える温度に供されてはならない。
【0066】
超臨界流体の量及び時間
超臨界流体は、連続流として汚染SAP粒子を収容する抽出器に提供される。この流れは、少なくとも1つの入口を介して抽出器に進入し、少なくとも1つの出口を介して抽出器から去る。
【0067】
一般に、超臨界流体の量は、固化熱可塑性組成物をSAP粒子から分離するために抽出される固化熱可塑性組成物の数倍の量であることが望ましい。
【0068】
実際に必要な量は、とりわけ、二酸化炭素及び/又はプロパンに加えて共溶媒が適用されるか否かに依存する。共溶媒が使用される場合、より少量の超臨界流体で十分であり得る。純粋な二酸化炭素が使用される場合、抽出器を通って流れる超臨界流体の量は、固化熱可塑性組成物の量の50倍〜500倍(重量による)、より好ましくは70倍〜150倍(重量による)が望ましい。
【0069】
純粋なプロパン又は二酸化炭素とプロパンと(のみ)の混合物が使用される(即ち、追加の共溶媒が存在しない)場合、抽出器を通って流れる超臨界流体の量は、固化熱可塑性組成物の量の40倍〜300倍(重量による)、より好ましくは50倍〜100倍(重量による)が望ましい。二酸化炭素とプロパンとの混合物が使用される場合、混合物は、超臨界流体の総重量に基づいて、60重量%〜95重量%の二酸化炭素及び5重量%〜40重量%のプロパン、より好ましくは75重量%〜95重量%の二酸化炭素及び5重量%〜25重量%のプロパンからなることが好ましい。
【0070】
共溶媒が使用される場合、抽出器を通って流れる超臨界流体の量は、固化熱可塑性組成物の量の20倍〜120倍(重量による)、好ましくは20倍〜80倍(重量による)、より好ましくは20倍〜60倍の量の使用で十分であり得る。
【0071】
SAP粒子を固化熱可塑性組成物から分離するために汚染SAP粒子が超臨界流体処理に供される必要がある時間は、とりわけ、超臨界流体の圧力、流速、及び使用される超臨界流体に依存するであろう。
【0072】
汚染SAP粒子は、一般に、超臨界流体に15分間〜180分間、又は30分間〜90分間供されてもよい。
【0073】
本発明の方法は、バッチプロセス又は準連続プロセスにて実行されてもよい。本明細書で使用される「バッチプロセス」は、固化熱可塑性組成物が接着されている所定量のSAP粒子を抽出器内に配置し、SAP粒子が固化熱可塑性組成物から完全に分離されるまで、超臨界流体で処理することを意味する。その後、SAP粒子(及び存在する場合、使い捨て吸収性物品の他の部分/完全な吸収性物品)を抽出器から取り出し、固化熱可塑性組成物が接着されている新たな量のSAP粒子(即ち、新たなバッチ)を抽出器内に配置する。また、固化熱可塑性組成物の抽出がもたらした沈殿材料が大量すぎる場合、沈殿器を空にする必要があり得る。しかしながら、本発明は、SAP粒子を準連続プロセスにて処理する方法も包含する。本明細書で使用される「準連続」は、システムが2つ以上の抽出器を含むことを意味する。システムは、1つ以上の抽出器を−他の抽出器(1つ又は複数)を有する−システムの残りに影響を与えずに開放できるように、1つ以上の抽出器をシステムから係合解除できるように適切に設定される。
【0074】
本発明の方法にて使用される超臨界流体
本発明において、超臨界流体は、二酸化炭素、プロパン、又はこれらの混合物を含むであろう。二酸化炭素及びプロパンは、両方とも非極性溶媒である。
【0075】
一般に、SCFを用いた化合物の抽出能力は、これらの化合物中の個々の官能基の存在、それらの分子量及び極性に依存する。
【0076】
多数の非極性有機溶媒(二酸化炭素又はプロパンなど)は、極性物質を溶解することが可能である。同様のモル質量を有する極性及び非極性分子を比較した場合、極性分子は、極性分子間の双極子−双極子相互作用により、概してより高い沸点を有する。そのような極性相互作用の最も通常の形態は、H−結合としても知られる水素結合である。
【0077】
本発明の方法に使用されるSCFの溶解力を更に改善するために、二酸化炭素、プロパン、又は二酸化炭素/プロパン混合物に加えて1種以上の共溶媒を使用することができる。それ故、本発明の一実施形態では、SCFは、二酸化炭素、プロパン、又は二酸化炭素/プロパン混合物に加えて、1種以上の共溶媒を含む。また、本発明の一実施形態では、SCFは、二酸化炭素と1種以上の共溶媒との混合物である。本発明の代替的な実施形態では、SCFは二酸化炭素からなる。
【0078】
本発明の方法に使用され、抽出器に提供されるSCFに含まれる共溶媒は、エタノール、酢酸エチル、ブタン、酢酸ブチル、アセトン、亜酸化窒素、二酸化炭素、窒素、水、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。抽出器に提供される、SCFが含む共溶媒の量(又は2種以上の共溶媒が使用される場合、共溶媒の総量)は、超臨界流体の総重量に基づいて0.1重量%〜40重量%、好ましくは0.5重量%〜30重量%、より好ましくは1重量%〜20重量%であってもよい。全部の超臨界流体は、互いに完全に混和性であるため、混合物の臨界点を超える場合、混合物の単一相が保証され得る。
【0079】
本発明の方法は、完全な吸収性コアを使用して実行可能であるのみではく、吸収性コアを含む完全な吸収性物品を使用してさえも実行可能であることが見出されている。驚くべきことに、本方法は、むしろ完全な吸収性コア又は完全な若しくは少なくとも部分的に組み立てられた吸収性物品を使用した場合、より良好に機能し得ることが見出されている。
【0080】
理論に束縛されるものではないが、この改善の理由の一つは、吸収性コア又は吸収性物品が含む所定の化合物が、共溶媒として作用することであると考えられる。例えば、吸収性物品は、典型的には、物品のウェブ及び材料を互いに結合するのに使用される接着剤を含んでいる。その上、多数の吸収性物品は弾性部材を有し、前記弾性部材は、共溶媒として有用な物質を含み得る。吸収性物品に用途を見出す他の化合物は、界面活性剤(例えば、トップシートを親水性にする)である。それらの界面活性剤も、本発明の方法において共溶媒として働き得る。本発明において、超臨界流体に使用される共溶媒を指す場合、これらの「固有の共溶媒」は考慮されないことを理解するべきである(特に、好ましい化合物及び共溶媒の量を決定する際)。代わりに、共溶媒を指す際、連続的に及び制御様式で超臨界流体中に混合される化合物にのみを指す。
【0081】
SCFは、汚染SAP粒子のみを通して浸透するのではなく、全体的な吸収性物品を通して浸透する。それ故、固化熱可塑性組成物が抽出されるのみでなく、物品の他の範囲に使用されている接着剤、界面活性剤、インク及びおそらくは弾性要素中の弾性化剤などの他の化合物が抽出の影響を受ける。このことは、吸収性物品が−少なくともある程度−例えば、トップシート、バックシート、テープなどの、以前に吸収性物品内に組み込まれている吸収性物品の個々の要素に分解及び解体される事実により、容易に示されることができる。
【0082】
かくして、他の化合物が抽出されるにつれてそれらが解放され、SCFの流れ中に含まれ、SCFと共に抽出器を通過することにより汚染SAP粒子と接触する。超臨界CO2及びプロパンとは対照的に、これらの化合物の多数は極性物質であり、前記極性物質は、特に固化熱可塑性組成物が幾分極性の物質(即ち、固化熱可塑性組成物のポリマーに追加される物質)を含む場合、固化熱可塑性組成物の抽出を支持し得る。しかしながら、吸収性コア又は吸収性物品から抽出される幾分非極性の化合物も、勿論、共溶媒の可能性を有する。
【0083】
上記に提示した方法の代替として、再利用SAP粒子は、当技術分野にて周知のソックスレー抽出により汚染SAP粒子から得ることができる。ソックスレー抽出のための好適な溶媒は、ヘキサン、クロロホルム、アセトン又は酢酸エチルである。
【0084】
固化熱可塑性組成物
SAP粒子に接着される本発明の固化熱可塑性組成物は、接着剤、好ましくはホットメルト接着剤であってもよい。接着剤は最初に適用されてSAP粒子を固定していてもよい。そのようなSAP粒子の固定は、概して、使い捨て吸収性物品の吸収性コアがエアフェルトを殆ど含まず(例えば、収性材料の総重量の10%未満)、又は吸収性コアがエアフェルトを全く含まない実施形態にて必要であり得る。典型的には、SAP粒子が不織布キャリアウェブ上に配置され、該ウェブ上で固定されて製造、保管及び使用中、定位置に留まることを確実にする。
【0085】
固化熱可塑性組成物は、SAP粒子上へ適用されている間、固化状態になくてもよく、固化熱可塑性組成物が半流体又は流体である温度まで加熱されてSAP粒子上への適用を容易にしてもよいことを理解する必要がある。それ故、本発明の固化熱可塑性組成物は、室温で固化する組成物を指す。一般に、本発明における固化熱可塑性組成物はまた、吸収性物品の使用中の温度又は該温度より僅かに高い温度、即ち約40℃までの温度で固体でなければならない(吸収性物品の一部は、より低い使用中の温度を有するとしても)。固化熱可塑性組成物はSAP粒子を容易に固定し、それらを定位置に保持する。
【0086】
固化熱可塑性組成物は、少なくとも部分的に、固化熱可塑性組成物が半流体又は流体状態(加熱後)に転移されている間、繊維状形態でSAP粒子に適用されて(例えば噴霧により)、SAP粒子の周囲に一種の繊維状の接着剤網状組織を形成してもよい。固化熱可塑性組成物が繊維状形態で適用される場合、繊維は、典型的には約1〜約50マイクロメートル又は約1〜約35マイクロメートルの平均厚さと、約5mm〜約50mm又は約5mm〜約30mmの平均長さとを有するであろう。
【0087】
固化熱可塑性組成物は、単一の熱可塑性ポリマー又は熱可塑性ポリマー類のブレンドを含んでもよい。熱可塑性ポリマー(類)は、ASTM Method D−36−95「Ring and Ball」により測定して、50℃〜300℃の範囲内の軟化点を有してもよい、熱可塑性ポリマー(類)は、10,000を超える分子量(重量平均Mw、単位ダルトン)と、室温(25℃)未満又は−6℃>Tg<16℃のガラス転移温度(Tg)とを有することが好ましい。固化熱可塑性組成物中の熱可塑性ポリマー(類)の典型的な濃度は、重量により30重量%〜約50重量%、好ましくは重量により30重量%〜約40重量%の範囲内である。固化熱可塑性組成物の熱可塑性ポリマー類は、(固化熱可塑性組成物の5重量%を超える量で)水不混和性であることが好ましい。
【0088】
代表的な熱可塑性ポリマー類は、A−B−A三元ブロック構造、A−B二元ブロック構造、及び(A−B)n放射状ブロックコポリマー構造を含むスチレンブロックコポリマー類などのブロックコポリマー類であり、Aブロックは、典型的にはポリスチレンを含む非エラストマーポリマーブロックであり、またBブロックは、不飽和共役ジエン又はその(部分的に)水素添加したものである。Bブロックは一般的に、イソプレン、ブタジエン、エチレン/ブチレン(水素添加ブタジエン)、エチレン/プロピレン(水素添加イソプレン)、及びこれらの混合物である。固化熱可塑性組成物中のポリマーは、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロックコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロックコポリマー又はこれらの混合物であることが好ましい。スチレン−ブロック−コポリマーは度々、吸収性物品に用途を見出す接着剤中に使用される。固化熱可塑性組成物が2種以上のポリマーを含む本発明の実施形態では、固体組成物は、固化熱可塑性組成物の総重量に基づいて、少なくとも30重量%の、スチレンイソプレンブロックコポリマーなどのスチレン−ブロック−コポリマーを含むことが好ましい。
【0089】
使用することが可能な他の好適な熱可塑性ポリマーとして、シングルサイト触媒又はメタロセン触媒を使用して調製されるエチレンポリマーであるメタロセンポリオレフィンがある。その場合、少なくとも1種類のコモノマーをエチレンと重合して、コポリマー、ターポリマー、又はより高次のポリマーを調製することができる。C2〜C8のαオレフィンのホモポリマー、コポリマー、又はターポリマーである、非晶質ポリオレフィン又は非晶質ポリαオレフィン(APAO)も同様に適用可能である。少なくとも30重量%の熱可塑性ポリマーに加えて、固化熱可塑性組成物は更に、粘着性付与樹脂及び/又は油類を含んでもよい。更に、固化熱可塑性組成物は、抗酸化剤、充填剤(例えば、砂及び/又はシリケート類)及び/又は界面活性剤などの比較的少量の添加剤を含んでもよい。
【0090】
固化熱可塑性組成物中に存在する場合、粘着性付与樹脂の量は、固化熱可塑性組成物の重量に基づいて、典型的には1重量%〜60重量%、好ましくは5重量%〜40重量%より好ましくは5重量%〜30重量%であろう。固化熱可塑性組成物中に存在する場合、油の量は、固化熱可塑性組成物の重量に基づいて、1重量%〜40重量%、好ましくは5重量%〜30重量%、又は5重量%〜20重量%であろう。本発明の固化熱可塑性組成物は、2種以上の油(即ち、異なる油類)及び/又は2種以上の粘着性付与樹脂(即ち、異なる粘着性付与樹脂類)を含んでもよい。固化熱可塑性組成物中に使用される場合、添加剤の全量は、固化熱可塑性組成物の重量に基づいて、15重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは8重量%以下であってもよい。
【0091】
本発明のための樹脂は、多数の植物、特に針葉樹の炭化水素分泌物、例えば、ロジンエステル(度々、粘着性付与剤として使用される)である。本明細書にて樹脂という用語は、類似した特性を有する合成樹脂にも使用される。合成樹脂は、天然樹脂と類似した特性を有する材料、即ち硬化可能な粘性液体である。合成樹脂は、典型的には、有機化合物のエステル化又はソーピングにより製造される。伝統的な種類としては、エポキシ樹脂がある。固化熱可塑性組成物の粘着性付与樹脂は、典型的には5,000未満の重量平均Mw(単位ダルトン)を有する。Tgは、通常、室温を超えるであろう。本発明において「油」は、室温で液体であり、かつ疎水性であるが有機溶媒に可溶な任意の物質である。油類は、高い炭素及び水素の含有率を有し、非極性物質である。本発明の固化熱可塑性組成物に有用な油類は、鉱油類である。一実施形態において、油はペトロラタム油、例えば,パラフィン系油、ナフテン油又はこれらの混合物である。油は、1,000未満の低い重量平均Mw(単位ダルトン)を有し得る。Tgは、室温(25℃)未満であることが好ましいであろう。
【0092】
本発明の固化熱可塑性組成物の例は、以下のホットメルト接着剤である。Bostik Findley H2401、弾性接着剤;H.B.Fuller製のLunatack D 3155 B Zeropack及びD 3166 Zeropack;H.B.Fuller製のHL 1358;National Starchにより販売されているDispomelt(DM526及びDM519 A)。
【0093】
本発明の固化熱可塑性組成物により固定されているSAP粒子を有する吸収性コアを含む吸収性物品の一例は、2011年2月にProcter and Gamble Companyにより販売されたPampers「Cruisers」おむつである。これらのおむつは、いずれの再利用SAP粒子も含まない。
【0094】
超吸収性ポリマー粒子
SAP粒子は、多数の形状を有してもよい。「粒子」という用語は、顆粒、繊維、フレーク、球体、粉末、小板、並びにSAP粒子の当業者に既知のその他の形状及び形態のことを指す。例えば、粒子は、約10μm〜約1000μm、好ましくは約100μm〜約1000μm、更により好ましくは約150μm〜約850μm、最も好ましくは約150μm〜約500μmの粒径を有する顆粒又はビーズの形態であってもよい。別の実施形態において、SAP粒子は、繊維の形状、即ち細長い針状のSAP粒子であってもよい。こうした実施形態において、SAP繊維は、約1mm未満、普通は約500μm未満、好ましくは250μm未満から50μmまでの小さい寸法(即ち、繊維の直径)を有する。繊維の長さは、好ましくは約3mm〜約100mmである。繊維はまた、織ることのできる長いフィラメントの形態であることができる。
【0095】
本発明の好ましいSAP粒子は、球状粒子である。本発明によれば、繊維とは対照的に、「球状粒子」は、微粒子の最長粒径対最短粒径の比が1〜5の範囲内である、最長及び最短の寸法を有し、値1は完全な球形粒子と等しく、値5は、そのような球形粒子から幾分か逸脱し得る。
【0096】
本発明で有用なSAP粒子としては、大量の流体を吸収できる非水溶性であるが水膨潤性の多様なポリマーが挙げられる。そのようなポリマー材料は、概して当技術分野で既知であり、使い捨て吸収性物品技術の関連で使用され又は有用であると考えられる、それらの周知の全ポリマーを含む。
【0097】
SAP粒子の作製に使用される好ましいポリマー材料は、部分的に中和されたポリアクリル酸の、僅かに網状架橋したポリマー類及びそれらの澱粉誘導体である。澱粉ベースのSAP粒子も本発明に包含される。SAP粒子は、25重量%〜95重量%、より好ましくは50重量%〜80重量%の中和された、僅かに網状架橋したポリアクリル酸を含むことが好ましい。網状架橋はポリマーを実質的に非水溶性にして、ヒドロゲル形成吸収性ポリマーの吸収能力と、抽出可能ポリマー含有物の特性とを部分的に決定する。
【0098】
本発明において、SAPは1種類(即ち、均質)が好ましいが、ポリマーの混合物を使用してもよい。SAP粒子は、低いレベルの、例えば,粉末シリカ、界面活性剤、接着剤、バインダーなどの1種以上の添加剤との混合物も含み得る。更に、SAP粒子は、粒径に勾配を含んでもよく、又は所定の粒径範囲を含んでもよい。
【0099】
本発明の吸収性物品中に使用されるSAP粒子は、再利用SAP粒子と非再利用SAP粒子との混合物であることが好ましい。
【0100】
以前知られたSAP粒子の多数は、ゲルブロッキングを有した。「ゲルブロッキング」は、SAPの粒子が濡れて、吸収性構造の他のゾーン又は領域への流体の移送を抑制するように粒子が膨潤するときに起こる。したがって、吸収性コアのこれらの他の領域の濡れは、非常に遅い拡散プロセスを経て起こる。実際的には、これは吸収性構造体による流体の獲得が、特に噴出の状況で、流体が排泄される速度よりはるかに遅いことを意味する。吸収性物品からの漏れは、吸収性コア内のSAP粒子の完全な飽和に更に近いか、又は流体が「ブロッキング」粒子を超えて残りの吸収性部材内に拡散又は吸い上げられる前に起こりうる。
【0101】
ゲルブロッキングを減少させるために一般的に適用される一方法は、粒子をより硬くすることであり、それによってSAP粒子がその元の形状を保持できるため、粒子間の空隙が作り出されるか又は維持される。剛性を高める周知の方法は、SAP粒子の表面上に露出しているカルボキシル基を共有結合的に架橋することである。この方法は一般に表面架橋と呼ばれている。
【0102】
SAP粒子は、80を超える、好ましくは100を超えるUPM(尿透過性測定)値として表される、平衡における透過性を有してもよい。UPM値は、300 UPM単位未満、好ましくは150 UPM単位未満、より好ましくは120 UPM単位未満であってもよく、1 UPM単位は、1×10−7(cm3.s)/gである。
【0103】
UPM値は、下記に提示する試験方法に従って測定される。この方法は、先行技術によるSFC試験方法と密接に関連している。UPM試験方法は、典型的には、超吸収性ポリマー粒子の予備膨潤層の流動抵抗を測定し、即ち、流動抵抗は平衡にて測定される。したがって、高いUPM値を有するそれらのSAP粒子は、吸収性物品の有意な容積が、液体排出物によって既に濡れている場合、高い透過性を有する。これらの実施形態は、最初の噴出のみでなく、続く噴出においても良好な吸収特性を有する。
【0104】
いくつかの実施形態では、SAP粒子は、0.1g/g/sを超える、又は0.1〜2g/g/s、好ましくは0.3〜1g/g/s、より好ましくは0.3〜0.6g/g/s、更により好ましくは0.4〜0.6g/g/sのFSR(自由膨潤速度)を有してもよい。
【0105】
SAP粒子の自由膨潤速度は、以下に提示するFSR試験方法に従って測定される。高い自由膨潤速度値を有するSAP粒子は、液体を比較的急速に吸収できるであろう。自由膨潤速度を測定するために、ゲルベッドに外部圧力は印加されない。
【0106】
SAP粒子は、EDANA法WSP 241.2−05に従って測定して、20g/gを超える、好ましくは24g/gを超える、又は20〜50g/g、好ましくは20〜40g/g、より好ましくは24〜30g/gのCRC(遠心分離保持容量)値を有してもよい。CRCは、過剰の液体中で自由膨潤するSAP粒子によって吸収される液体を測定する。液体吸収に必要な全体的な能力を促進するのにより少量のSAP粒子が必要であるため、高いCRC値を有するSAP粒子が好ましい。
【0107】
本発明において、再利用SAP粒子のUPM値は、汚染SAP粒子の再利用プロセス中、40%以下に、好ましくは35%以下に、尚より好ましくは30%以下に低下しないことが好ましい。再利用SAP粒子は、非再利用SAP粒子のUPM値と比較して、60%〜95%のUPM値を有することが好ましい。
【0108】
再利用及び非再利用SAP粒子を含む本発明の吸収性物品では、再利用SAP粒子は少なくとも50(10−7(cm.s)/g)、好ましくは少なくとも60(10−7(cm.s)/g)のUPM値を有してもよく、非再利用SAP粒子は、少なくとも80(10−7(cm.s)/g)、好ましくは少なくとも100(10−7(cm.s)/g)のUPM値を有してもよい。
【0109】
UPM及びFSRを決定するための試験方法
以下の試験方法は、非再利用SAP粒子及び再利用SAP粒子に使用することができる。
【0110】
尿透過性測定(UPM)試験方法
尿透過性測定システム
この方法は、膨潤SAP粒子から形成されている膨潤ヒドロゲル層1318の透過性を測定した。この方法のために使用される備品が以下に記載される。この方法は、先行技術によるSFC(塩水流伝導度)試験方法と密接に関連している。
【0111】
図2は、一定静水頭部リザーバ1014、空気取込み用の開口管1010、補充用のストッパ付き通気孔1012、実験用ジャッキ1016、配送管1018、ストップコック1020、リングスタンド支持体1022、受取容器1024、天秤1026及びピストン/シリンダーアセンブリ1028を備えた、透過性測定システム1000の構成を示す。
【0112】
図3は、金属おもり1112、ピストンシャフト1114、ピストンヘッド1118、蓋1116及びシリンダー1120を含む、ピストン/シリンダーアセンブリ1028を示す。シリンダー1120は、透明なポリカーボネート(例えば、Lexan(登録商標))から形成され、かつ滑らかなシリンダー内壁1150を備えた6.00cmの内径p(面積=28.27cm)を有する。シリンダー1120の底部1148は、米国規格の400メッシュのステンレス鋼スクリーンクロス(図示せず)に面しており、これはシリンダー1120の底部1148に取り付ける前に2軸方向に伸張されて張り詰められたものである。ピストンシャフト1114は、透明なポリカーボネート(例えば、Lexan(登録商標))から形成され、およそ127mmの全長qを有する。ピストンシャフト1114の中央部1126は、21.15mmの直径rを有する。ピストンシャフト1114の上部1128は、15.8mmの直径を有し、肩部1124を形成している。ピストンシャフト1114の下部1146は、およそ1.59cm(5/8インチ)の直径tを有し、ピストンヘッド1118の中心孔1218(図4を参照)内にしっかりとねじ込むためにねじ付きである。ピストンヘッド1118は穿孔され、透明なポリカーボネート(例えば、Lexan(登録商標))から形成され、これもまた、伸張された米国規格の400メッシュのステンレス鋼スクリーンクロス(図示せず)で覆い隠されている。おもり1112は、ステンレス鋼であり、中心穴1130を有し、ピストンシャフト1114の上部1128上へと滑動し、肩部1124上で停止する。ピストンヘッド1118、ピストンシャフト1114、及びおもり1112の組み合わせた重量は、596g(±6g)であり、これは、シリンダー1120の面積にわたる2.07kPa(0.30psi)に対応する。合計重量は、ピストンシャフト1114の中心軸1132に止まり穴を掘って材料を除去する、及び/又は空洞を提供しておもりを加えることによって調節され得る。シリンダー蓋1116は、ピストンシャフト1114を垂直に位置合わせするために、その中心に第1の蓋開口部1134を、及び一定静水頭部リザーバ1014からシリンダー1120内に流体を導入するために、縁部1138付近に第2の蓋開口部1136を有する。
【0113】
第1の線状指標マーク(図示せず)は、おもり1112の上部表面1152に沿って半径方向にスクライビングされ、第1の線状指標マークは、ピストンシャフト1114の中心軸1132に対して横断方向である。対応する第2の線状指標マーク(図示せず)は、ピストンシャフト1114の頂面1160に沿って半径方向にスクライビングされ、第2の線状指標マークは、ピストンシャフト1114の中心軸1132に対して横断方向である。対応する第3の線状指標マーク(図示せず)は、ピストンシャフト1114の中央部1126に沿ってスクライビングされ、第3の線状指標マークは、ピストンシャフト1114の中心軸1132と平行である。対応する第4の線状指標マーク(図示せず)は、シリンダー蓋1116の上部表面1140に沿って半径方向にスクライビングされ、第4の線状指標マークは、ピストンシャフト1114の中心軸1132に対して横断方向である。更に、対応する第5の線状指標マーク(図示せず)は、シリンダー蓋1116のリップ1154に沿ってスクライビングされ、第5の線状指標マークは、ピストンシャフト1114の中心軸1132と平行である。対応する第6の線状指標マーク(図示せず)は、外側シリンダー壁1142に沿ってスクライビングされ、第6の線状指標マークは、ピストンシャフト1114の中心軸1132と平行である。第1、第2、第3、第4、第5及び第6の線状指標マークの位置合わせは、おもり1112、ピストンシャフト1114、シリンダー蓋1116及びシリンダー1120を、各測定において、互いに関して同じ向きで再配置することを可能にする。
【0114】
シリンダー1120の仕様の詳細は以下のとおりである:
シリンダー1120の外径u:70.35mm
シリンダー1120の内径p:60.0mm
シリンダー1120の高さv:60.5mm
シリンダー蓋1116の仕様の詳細は以下のとおりである:
シリンダー蓋1116の外径w:76.05mm
シリンダー蓋1116の内径x:70.5mm
リップ1154を含むシリンダー蓋1116の厚さy:12.7mm
リップ1154を除いたシリンダー蓋1116の厚さz6.35mm
第1の蓋開口部1134の直径a:22.25mm
第2の蓋開口部1136の直径b:12.7mm
第1の蓋開口部1134の中心と第2蓋開口部1136の中心との間の距離:23.5mm
おもり1112の仕様の詳細は以下のとおりである:
外径c:50.0mm
中心穴1130の直径d:16.0mm
高さe:39.0mm
ピストンヘッド1118の仕様の詳細は以下のとおりである
直径f:59.7mm
高さg:16.5mm
【0115】
9.65mmの直径hを有する外側孔1214(合計14)、外側孔1214は等間隔であり、中心は、中心孔1218の中心から47.8mmである。
【0116】
9.65mmの直径iを有する内側孔1216(合計7)、内側孔1216は等間隔であり、中心は、中心孔1218の中心から26.7mmである。
【0117】
中心孔1218は、1.59cm(5/8インチ)の直径jを有し、ピストンシャフト1114の下部1146を受容するためにねじ付きである。
【0118】
使用する前に、ピストンヘッド1118及びシリンダー1120のステンレス鋼スクリーン(図示せず)は、目詰まり、孔、又は伸び過ぎについて検査し、必要に応じて取り替えるべきである。損傷したスクリーンを有する尿透過性測定装置は、誤ったUPM結果を与える場合があり、スクリーンを交換するまで使用してはならない。
【0119】
5.00cmのマーク1156が、シリンダー1120上において、シリンダー1120の底部1148に取り付けられたスクリーン(図示せず)の上方5.00cm(±0.05cm)の高さkでスクライビングされる。これは、分析の間維持されるべき流体の液面の印となる。正確かつ一定した流体の液面(静水圧)の維持は、測定精度のために重要である。
【0120】
一定静水頭部リザーバ1014は、シリンダー1120に食塩水1032を供給し、食塩水1032の液面を、シリンダー1120の底部1148に取り付けられたスクリーン(図示せず)の上方5.00cmの高さkに維持するために使用される。吸気管1010の底部1034は、測定中に必要とされる5.00cmの高さkに、シリンダー1120内の食塩水1032の液面を維持するように位置付けられ、即ち、空気管1010の底部1034は、受取容器1024の上方で、リングスタンド1040上の支持スクリーン(図示せず)上に設置されたときのシリンダー1120の5.00cmマーク1156とおよそ同じ平面1038にある。吸気管1010と、シリンダー1120上の5.00cmマーク1156の適正な高さの位置合わせは、分析にとって重要である。好適なリザーバ1014は、流体供給のための水平に向けられたL型配送管1018、一定静水頭部リザーバ1014内に固定高さにて空気が入るように垂直に向けられた末端開口チューブ1010、及び一定静水頭部リザーバ1014に再充填するためのストッパ付き通気孔1012を含むジャー1030から構成される。チューブ1010は、12.5mm±0.5mmの内径を有する。一定静水頭部リザーバ1014の底部1042の付近に位置付けられる配送管1018は、食塩水1032の供給を開始/停止するための、ストップコック1020を含む。配送管1018の出口1044は、シリンダー蓋1116の第2の蓋開口部1136を通じて挿入されるような寸法であり、その端部は、シリンダー1120内の食塩水1032の表面より下方に位置付けられる(シリンダー1120内で、食塩水1032の5.00cm高さが得られた後)。吸気管1010は、o−リングカラー(図示せず)と共に適所に保持される。一定静水頭部リザーバ1014は、その高さをシリンダー1120の高さに対して調節するために、実験用ジャッキ1016上に位置付けることができる。一定静水頭部リザーバ1014の構成要素は、シリンダー1120を必要な高さ(即ち、静水頭部)まで急速に充填し、この高さを測定の持続時間にわたって維持するような大きさである。一定静水頭部リザーバ1014は、少なくとも3g/秒の流速で、少なくとも10分間、食塩水1032を供給することが可能でなくてはならない。
【0121】
ピストン/シリンダーアセンブリ1028は、リングスタンド1040又は好適な別の剛性スタンド上に支持された16メッシュの剛性ステンレス鋼支持スクリーン(図示せず)(又は同等のもの)上に位置付けられている。この支持スクリーン(図示せず)は、食塩水1032の流れを阻害しないように十分に透過性があり、ステンレス鋼メッシュクロス(図示せず)を支持し、伸張を防ぐために十分な剛性がある。支持スクリーン(図示せず)は、試験中にピストン/シリンダーアセンブリ1028を傾けることを避けるために、平坦かつ水平であるべきである。支持スクリーン(図示せず)を通過する食塩水1032は、支持スクリーン(図示せず)の下方に位置付けられている(が、支持スクリーンを支持しない)受取容器1024内に収集される。受取容器1024は、少なくとも0.01gの精度の天秤1026上に位置付けられる。天秤1026のデジタル出力は、コンピュータ化されたデータ取得システム(図示せず)に接続される。
【0122】
試薬の調製(例示されない)
ジェイコ合成尿(Jayco Synthetic Urine)(JSU)1312(図5参照)は膨潤面(以下のUPM手順参照)に使用され、0.118M塩化ナトリウム(Nacl)溶液は流れ面(以下のUP手順参照)に使用される。以下の調製は、標準的な1リットル容積に言及する。1リットル以外の容積の調製では、全ての量が適宜に測られる。
【0123】
JSU:蒸留水を1Lのメスフラスコにその容積の80%まで充填し、フラスコ内に電磁攪拌棒を配置する。別個に計量紙、又はビーカーを使用して、以下の量の乾燥成分を、化学天秤を使用して±0.01gまで計量し、以下に挙げるものと同じ順序で、体積測定フラスコに、定量的に加える。溶液は、好適な攪拌プレート上で、全ての固体が融解するまで攪拌され、攪拌棒が取り除かれ、溶液が蒸留水で1L体積まで希釈される。攪拌棒が再び挿入され、溶液が攪拌プレート上で、更に数分間攪拌される。
【0124】
1リットルのジェイコ合成尿を作製するための塩の量
塩化カリウム(KCl)2.00g
硫酸ナトリウム(Na2SO4)2.00g
リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)0.85g
二塩基性リン酸アンモニウム((NH4)2HPO4)0.15g
塩化カルシウム(CaCl2)0.19g−[又は塩化カルシウム水和物(CaCl2・2H2O)0.25g]
塩化マグネシウム(MgCl2)0.23g−[又は塩化マグネシウム水和物(MgCl2・6H2O)0.50g]
【0125】
調製を早くするために、各塩は、次のものを加える前に完全に溶解させる。ジェイコ合成尿は、清浄なガラス容器内に、2週間貯蔵されてもよい。溶液は、これが濁った場合は使用するべきではない。清浄なプラスチック容器内での貯蔵寿命は、10日である。
【0126】
0.118M塩化ナトリウム(NaCl)溶液:食塩水1032として0.118M塩化ナトリウムを使用する。計量紙又はビーカーを用いて6.90g(±0.01g)の塩化ナトリウムを秤量し、1Lのメスフラスコ内に定量的に移動し、フラスコに蒸留水を容量まで充填する。攪拌棒を加え、攪拌プレート上で、全ての固体が溶解するまで溶液を混合する。
【0127】
試験準備
固体基準円筒おもり(図示せず)(直径40mm;高さ140mm)を使用して、キャリパゲージ(図示せず)(例えば、Mitotoyo Digimatic Height Gage)を読取り値ゼロに設定する。この作業は、平滑で水平なベンチトップ1046上で、都合よく行われる。ピストン/シリンダーアセンブリ1028は、SAP粒子なしでキャリパゲージ(図示せず)の下方に位置付けられ、測定値L1は、0.01mm単位にて記録される。
【0128】
一定静水頭部リザーバ1014は、食塩水1032を充填される。吸気管1010の底部1034は、測定中に、シリンダー1120内の液体メニスカス(図示せず)の頂部(図示せず)を、5.00cmマーク1156で維持するように位置付けられる。吸気管1010の、シリンダー1120上の5.00cmマーク1156における適正な高さの位置合わせは、分析にとって重要である。
【0129】
受取容器1024は、天秤1026上に配置され、天秤1026のデジタル出力は、コンピュータ化されたデータ取得システム(図示せず)に接続される。16メッシュの剛性ステンレス鋼支持スクリーン(図示せず)を備えるリングスタンド1040は、受取容器1024の上方に位置付けられる。16メッシュスクリーン(図示せず)は、測定中にピストン/シリンダーアセンブリ1028を支持するために十分に剛性があるべきである。支持スクリーン(図示せず)は平坦かつ水平でなければならない。
【0130】
UPM手順
化学天秤を使用して、1.5g(±0.05g)のSAP粒子を好適な秤量紙又は秤量補助物上で秤量する。SAP粒子の含水率は、Edana含水率試験方法430.1−99(「超吸収性材料−ポリアクリレート超吸収性粉末−含水率−加熱時の重量喪失(99年2月)」)によって測定される。SAP粒子の含水率が5%を超える場合、SAP粒子の重量を水分に関して補正しなければならない(即ち、その特定の場合では、加えられたSAP粒子は、乾燥重量基準で1.5gでなければならない)。
【0131】
空のシリンダー1120を水平なベンチトップ1046上に置き、SAP粒子を定量的にシリンダー1120内に移す。シリンダー1120を緩やかに振盪、回転、及び/又はタッピングすることによって、SAP粒子をシリンダー1120の底部1148に取り付けられたスクリーン(図示せず)上に均一に分散させる。最も精密な結果を得るために、シリンダー1120の底部1148に取り付けられたスクリーン(図示せず)上に、粒子を均等に分散させることは重要である。シリンダー1120の底部1148に取り付けられたスクリーン(図示せず)上に、SAP粒子が均等に分散した後に、粒子が内側シリンダー壁1150に粘着してはならない。ピストンシャフト1114が、第1の蓋開口部1134を介して挿入され、蓋1116のリップ1154は、ピストンヘッド1118の方に向いている。ピストンヘッド1118は、シリンダー1120内に、数センチメートルの深さまで注意深く挿入される。次に、ピストンヘッド1118をSAP粒子から離して維持するように注意を払いながら、蓋1116をシリンダー1120の上方のリム1144上に配置する。次に、第3、第4、第5、及び第6の線状指標マークが位置合わせするように、蓋1116及びピストンシャフト1126を注意深く回転させる。次に、ピストンヘッド1118を(ピストンシャフト1114によって)静かに下げて、乾燥したSAP粒子上で停止させる。おもり1112をピストンシャフト1114の上部1128上に位置付け、これが肩部1124上に停止し、それによって第1及び第2の線状指標マークが位置合わせされる。蓋1116の適切な配置は、おもりの結合を防ぎ、ヒドロゲル層1318上のおもりの均等な分配を確実にする。
【0132】
膨潤面:直径8cmのガラス濾板(厚さ7mm、例えば、Chemglass Inc.# CG 201−51、粗い多孔性)1310を、ガラス濾板1310が飽和するまでガラス濾板1310に超過のJSU 1312を加えることによって飽和させる。飽和したガラス濾板1310を、広い平坦な底部を有するペトリ皿1314内に配置し、JSU 1312を、ガラス濾板1310の頂面1316に達するまで加える。JSUの高さは、ガラス濾板1310の高さを超えてはならない。
【0133】
シリンダー1120の底部1148に取り付けられたスクリーン(図示せず)は、容易に伸張される。伸張を防ぐために、ピストン/シリンダーアセンブリ1028のシリンダー1120を把持しながら、蓋1116のすぐ上で、ピストンシャフト1114に人差し指で横からの圧力を適用する。これは、ピストンシャフト1114を、蓋1116に対して定位置に「固定」し、その結果、ピストン/シリンダーアセンブリ1028は、過度な力をスクリーン(図示せず)上に働かせることなく、持ち上げることができる。
【0134】
ピストン/シリンダーアセンブリ1028全体を、この方法で持ち上げ、ペトリ皿1314内のガラス濾板1310上に配置する。ペトリ皿1314からのJSU 1312は、ガラス濾板1310を通過し、SAP粒子(図示せず)に吸収されて、ヒドロゲル層1318を形成する。ペトリ皿1314内で利用可能なJSU 1312は、全ての膨潤面にとって十分なものでなければならない。必要であれば、JSU 1312の液面をガラス濾板1310の頂面1316に維持するために、水和期間中に一層多くのJSU 1312をペトリ皿1314に加えてもよい。60分後、上記のようにピストンシャフト1114を蓋1116に対して固定するように注意を払いながら、ピストン/シリンダーアセンブリ1028をガラス濾板1310から取り外し、この手順の間にヒドロゲル層1318がJSU 1312を失わないか又は空気を吸収しないことを確実にする。ピストン/シリンダーアセンブリ1028をキャリパーゲージ(図示せず)の下に配置し、読取り値L2を、0.01mm単位で記録する。読取り値が時間と共に変化する場合、初期値のみが記録される。ヒドロゲル層1318の厚さL0は、L2−L1から0.1mm単位で決定される。
【0135】
ピストンシャフト1114を蓋1116に対して定位置に固定するように注意を払いながら、ピストン/シリンダーアセンブリ1028をリング支持スタンド1040に取り付けられた支持スクリーン(図示せず)に移動する。一定静水頭部リザーバ1014は、配送管1018が第2の蓋開口部1136を介して配置されるように、位置付けられる。測定は以下の順序で開始される:
a)一定静水頭部リザーバ1014のストップコック1020が開放されて、食塩水1032が、シリンダー1120上の5.00cmマーク1156に達するようにする。この食塩水1032の液面は、ストップコック1020を開いて10秒以内に得られるべきである。
b)一度5.00cmの食塩水1032が達成されると、データ収集プログラムが開始される。
【0136】
天秤1026に取り付けられたコンピュータ(図示せず)の補助により、ヒドロゲル層1318を通過する食塩水1032の量を、20秒間隔で10分間にわたって記録する。10分間終了時に、一定静水頭部リザーバ1014上のストップコック1020を閉じる。
【0137】
60秒から実験の終わりまでのデータをUPM計算に使用する。60秒よりも前に収集されたデータは、計算に含めない。流速Fs(単位g/s)は、60秒から600秒までの時間(単位秒)の関数として収集された食塩水1032の重量(単位グラム)のグラフに対する線形最小2乗適合の傾きである。
【0138】
ヒドロゲル層1318の尿透過性測定値(Q)は、以下の等式に従って計算する。
Q=[Fg×L0]/[ρ×A×ΔP]、
式中、Fgは、流量結果の回帰分析から決定される流量(単位g/秒)であり、L0は、ヒドロゲル層1318の初期厚さ(単位cm)であり、ρは、食塩水1032の密度(単位g/cm)である。A(上記の等式の)はヒドロゲル層1318の面積(単位cm)であり、ΔPは静水圧(単位ダイン/cm)であり、尿透過性測定Qは、単位cm秒/gmである。3つの測定値の平均が報告されるべきである。
【0139】
FSR試験方法
この方法は、SAP粒子、特に架橋ポリアクリレート類などの高分子ヒドロゲル化粒子が、0.9%生理食塩水(0.9質量%NaCl水溶液)中で膨潤する速度を決定する。測定の原理は、SAP粒子に既知の量の流体を吸収させ、流体の吸収に要する時間を測定する。次に、吸収された流体(単位グラム)/材料(単位グラム)/秒で結果を表す。全部の試験は、23±2℃で行われる。
【0140】
SAP粒子の代表的な試料4グラムを、測定前に、覆いのない直径5cmのペトリ皿内にて、23±2℃及び1.33Pa(0.01トル)以下の真空チャンバ内で48時間乾燥する。
【0141】
約1g(+/−0.1g)の試験標本を真空チャンバから除去し、直ぐに32〜34mmの内径及び50mmの高さを有する25mLビーカー内にて0.001gの精度まで秤量する。材料を底部上に均等に拡げる。20gの0.9%生理食塩水を、50mLビーカー内にて+/−0.01gの精度まで秤量した後、試験材料を収容するビーカー内に注意深く、しかし急速に注ぐ。液体が材料に接触した直後に、タイマーを開始する。ビーカーは、膨潤中、移動されず又は掻き回されない。
【0142】
流体の最後の部分が、膨潤している粒子により到達された際、タイマーを停止し、時間を秒単位で記録する。終点の決定の再現性を増大させるために、液体表面を小ランプで、そのランプにより加熱することなく照射してもよい。ビーカーを再び秤量して、実際に捕捉された液体を±0.1gの範囲内で決定する。
【0143】
SAP粒子の重量を、実際に捕捉された液体の量で除算し、結果をこの捕捉に要した時間で除算することにより自由膨潤速度を計算し、単位「g/g/s」で表す。3回の測定を行い、結果を平均してFSR値(単位g/g/s)を得、3桁の有効数字まで報告する。
【実施例】
【0144】
実施例1及び2では、Zetzl et al.(2003),「Standardised Low Cost SFE−Units for University Education and Comparative Research」,Proceedings of 6th International Symposium on Supercritical Fluides,Versailles,(2),577〜581,ISBN 2−905−267−37−02に記載されている超臨界流体抽出ユニットを使用した。実施例3及び4では、使用した備品は概ね類似していたが、抽出器は1000mLの容積を有した。また、溶媒(例えば、CO)の再利用を可能にする「閉鎖ループ」システムであった点で、備品は実施例1及び2の備品とは異なっていた。1000ユニットは、有意により高い質量流量を可能にする。実施例1及び2の100mLユニットは2kg/時間までの溶媒流を可能にするが、1000mLユニットは、10kg/時間までの溶媒流を可能にする。また、1000mLユニットは、100MPa(1000バール)までの圧力と、100℃までの温度とを可能にする。
【0145】
(実施例1)
実施例1のSAP粒子は、2011年2月に米国内で販売されたPampers「Cruisers」おむつ内で使用されている超吸収性ポリマー粒子である。これらのSAP粒子は、概して、米国特許第2009/0275470A1号に従って作製されている。2つの試料(試料1及び2)は、同一条件下で試験された。
【表1】

【0146】
試料を超臨界流体処理に供する前、及び供した後、CRC、FSR及びUPMを測定した。
【表2】

【0147】
データは、SAP粒子の容量(CRC)、自由膨潤速度(FSR)及び透過性(UPM)が、少なくとも純粋なSAP粒子試料が試験されている限り、即ち、SAP粒子が汚染されていず、かつ吸収性物品内に含まれていない限り、SCF処理中に低下しないことを示す。
【0148】
実施例2〜4は、SCF処理に供した際の、吸収性物品内の汚染SAP粒子の挙動に焦点を当てる。
【0149】
(実施例2)
2011年2月に米国内で販売されたPampers「Cruisers」おむつ、サイズ5(試料3〜6)は、異なる抽出条件に供されている。これらのおむつの吸収性コアは、12.8gのSAP粒子と、0.84gの固化熱可塑性組成物とを含む。SAP粒子は、固化熱可塑性組成物によって固定されている。しかしながら、物品内の様々な構成要素はそのような固化熱可塑性組成物を使用して互いに接着されているため(例えば、トップシートをバックシートに周辺部において接着する際、又はレッグ伸縮材を、それらを包囲する不織布層に取り付ける際)、完全なおむつは1.83gの固化熱可塑性組成物を含むことに留意するべきである。抽出中、物品内の全部の熱可塑性組成物は、超臨界流体の影響を受ける。全部の固化熱可塑性組成物が抽出されるため、吸収性物品は、SCF処理後に、比較的容易に崩れて別個の部分となるであろう。
【表3】

【0150】
SCFユニット内での抽出処理後、SAP粒子が固化熱可塑性組成物から分離され、前記固化熱可塑性組成物によってSAP粒子が抽出前におむつ中で汚染されていた。次に、再利用粒子をそれらのCRC及びUPM値に関して試験した。試料3〜6のおむつの製造に使用した原材料SAP粒子のそれぞれの値も測定した。CRC測定に関して、試料3〜6から再利用されたSAP粒子の含水率は、原材料SAP粒子の含水率と同一であった。
【表4】

【0151】
データは、SAP粒子の容量(CRC)がSCF処理により低下しないが、透過性値(UPM)は低下することを示す。UPM値は、再利用SAP粒子が、特にそれらが非再利用SAP粒子と混合される場合に、吸収性物品内で使用できない程、低下することはない。SAP粒子の全般的な品質は、4つの異なる抽出条件の全部において良好であった。
【0152】
(実施例3)
2011年2月に米国内で販売されたPampers「Cruisers」おむつ(試料7)、サイズ5は、1000mL抽出器を有するユニット内でSCF処理に供されている。
【表5】

【0153】
SCFユニット内での抽出処理後、SAP粒子が固化熱可塑性組成物から分離され、前記固化熱可塑性組成物によってSAP粒子が抽出前におむつ中で汚染されていた。次に、再利用粒子を、それらのCRC、FSR及びUPM値に関して試験した。試料7のおむつの製造に使用した原材料SAP粒子のそれぞれの値も測定した。CRC測定に関して、試料7から再利用されたSAP粒子の含水率は、原材料SAP粒子の含水率と同一であった。
【表6】

【0154】
データは、SAP粒子の容量(CRC)及びFSRがSCF処理により低下しないが、透過性値(UPM)は低下することを示す。実施例2の試料に関しては、試料7のUPM値は、特に非再利用SAP粒子と混合される場合に、再利用SAP粒子が吸収性物品内で使用できない程、低下することはない。SAP粒子の全般的な品質は、良好であった。
【0155】
(実施例4)
2011年2月に米国内で販売されたPampers「Cruisers」おむつ(試料7)、サイズ5は、1000mL抽出器を有するユニット内で、また異なる抽出条件を用いて、SCF処理に供されている。
【表7】

【0156】
SCFユニット内での抽出処理後、SAP粒子が固化熱可塑性組成物から分離され、前記固化熱可塑性組成物によってSAP粒子が抽出前におむつ中で汚染されていた。次に、再利用粒子を、それらのCRC、FSR及びUPM値に関して試験した。試料8、9及び10のおむつの製造に使用した原材料SAP粒子のそれぞれの値も測定した。CRC測定に関して、試料8、9及び10から再利用されたSAP粒子の含水率は、原材料SAP粒子の含水率と同一であった。
【表8】

【0157】
データは、SAP粒子の容量(CRC)及びFSRがSCF処理により低下しないが、透過性値(UPM)は低下することを示す。実施例2及び3の試料に関しては、試料8、9及び10のUPM値は、特に非再利用SAP粒子と混合される場合に、再利用SAP粒子が吸収性物品内で使用できない程、低下することはない。SAP粒子の全般的な品質は、良好であった。
【0158】
本明細書で言及されているProcter & Gamble Companyに譲渡された全ての特許及び特許出願(それに関して発行された任意の特許)は、本明細書と矛盾しない程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
【0159】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく制限されるものとして理解されるべきでない。それよりむしろ、特に指定されない限り、それぞれのそのような寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示した寸法は、「約40mm」を意味することを意図したものである。
【0160】
本発明の発明を実施するための形態の中で引用されたすべての文献は、関連部分において、本明細書に参考として組み込まれ、いかなる文書の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを認めるものとして解釈されるべきではない。本明細書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文献における同一の用語のいずれの意味又は定義とも相反する限りにおいては、本明細書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0161】
本発明の特定の諸実施形態を図示し、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には自明である。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性コアであって、前記超吸収性ポリマー粒子の一部が、再利用された超吸収性ポリマー粒子であり、前記再利用が、固化熱可塑性組成物から汚染超吸収性ポリマー粒子を分離することを含む、吸収性コア。
【請求項2】
前記汚染超吸収性ポリマー粒子が、10〜1、好ましくは10〜0.5の、超吸収性ポリマー粒子の固化熱可塑性組成物に対する比を有する、請求項1に記載の吸収性コア。
【請求項3】
前記汚染超吸収性ポリマー粒子が、二酸化炭素、プロパン、又はこれらの混合物を含む超臨界流体を使用して、前記固化熱可塑性組成物から分離される、請求項1又は2に記載の吸収性コア。
【請求項4】
前記再利用超吸収性ポリマー粒子が、前記吸収性コアに含まれる超吸収性ポリマー粒子の総量の1重量パーセントを超える、好ましくは5重量%を超える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸収性コア。
【請求項5】
前記再利用超吸収性ポリマー粒子が、前記吸収性コアに含まれる超吸収性ポリマー粒子の総量の70重量パーセント未満、好ましくは50重量パーセント未満、尚より好ましくは20重量パーセント未満、最も好ましくは15重量パーセント未満である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸収性コア。
【請求項6】
前記吸収性コアが、前記再利用超吸収性ポリマー粒子及び非再利用超吸収性ポリマー粒子のブレンドを含み、前記再利用超吸収性ポリマー粒子及び前記非再利用超吸収性ポリマー粒子が、前記吸収性コア内に組み込まれる前に互いに混合されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸収性コア。
【請求項7】
前記再利用超吸収性ポリマー粒子のUPM値が、前記再利用プロセス中、40%、好ましくは35%、尚より好ましくは30%以下に低下しない、請求項1〜6のいずれか一項に記載の吸収性コア。
【請求項8】
前記再利用超吸収性粒子が、前記非再利用超吸収性ポリマー粒子の前記UPM値と比較して60%〜95%のUPM値を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の吸収性コア。
【請求項9】
前記再利用超吸収性ポリマー粒子が、少なくとも50(10−7(cm.s)/g)、好ましくは少なくとも60(10−7(cm.s)/g)のUPM値を有し、前記非再利用超吸収性ポリマー粒子が、少なくとも約80(10−7(cm.s)/g)、好ましくは少なくとも100(10−7(cm.s)/g)のUPM値を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の吸収性コア。
【請求項10】
固化熱可塑性組成物から汚染超吸収性ポリマー粒子を分離することが、
a)汚染超吸収性ポリマー粒子及び前記固化熱可塑性組成物の粒塊を提供する工程であって、前記汚染超吸収性ポリマー粒子の少なくとも一部が、前記固化熱可塑性組成物の少なくとも一部に接着されている、工程と、
b)前記粒塊を、二酸化炭素、プロパン、又はこれらの混合物を含む超臨界流体に供する工程と、
を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の吸収性コア。
【請求項11】
前記固化熱可塑性組成物が、前記固化熱可塑性組成物の重量に基づいて、少なくとも約30重量%の熱可塑性ポリマーを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の吸収性コア。
【請求項12】
前記吸収性コアが吸収性物品内に含まれ、前記吸収性物品がおむつ、トレーニングパンツ、及び生理用ナプキンからなる群から選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の吸収性コア。
【請求項13】
吸収性コア内での超吸収性ポリマー粒子の使用であって、前記超吸収性ポリマー粒子の少なくとも一部が、再利用された超吸収性ポリマー粒子であり、前記再利用が、固化熱可塑性組成物から汚染超吸収性ポリマー粒子を分離することを含む、使用。
【請求項14】
前記再利用超吸収性ポリマー粒子が、前記吸収性コア内の超吸収性ポリマー粒子の総量の1重量%を超え、好ましくは5重量パーセントを超え、前記再利用超吸収性ポリマー粒子が、前記吸収性コアに含まれる超吸収性ポリマー粒子の総量の70重量%未満、好ましくは50重量%未満、尚より好ましくは20重量%未満、最も好ましくは15重量%未満である、請求項13に記載の超吸収性ポリマー粒子の使用。
【請求項15】
固化熱可塑性組成物から超吸収性ポリマー粒子を分離する方法であって、
c)前記超吸収性ポリマー粒子及び前記固化熱可塑性組成物の粒塊を提供する工程であって、前記超吸収性ポリマー粒子の少なくとも一部が、前記固化熱可塑性組成物の少なくとも一部に接着されている、工程と、
d)前記粒塊を、二酸化炭素、プロパン、又はこれらの混合物を含む超臨界流体に供する工程と、
を含み、前記分離された超吸収性ポリマー粒子のUPM値が、前記超吸収性ポリマー粒子が工程a)及びb)に供されている間、40%以下に低下しない、方法。
【請求項16】
工程a)において、超吸収性ポリマー粒子の固化熱可塑性組成物に対する比が10〜1、好ましくは10〜0.5である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記超臨界流体が、超臨界流体の総量に基づいて、0.1重量%〜40重量%、好ましくは0.5重量%〜30重量%、より好ましくは1重量%〜20重量%の1種以上の共溶媒を更に含み、前記共溶媒が、エタノール、酢酸エチル、ブタン、酢酸ブチル、アセトン、亜酸化窒素、二酸化炭素、窒素、水、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
吸収性コア内での超吸収性ポリマー粒子の使用であって、前記超吸収性ポリマー粒子の少なくとも一部が、再利用された超吸収性ポリマー粒子であり、前記再利用超吸収性ポリマー粒子が請求項15又は17に記載の方法により得られる、使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−520244(P2013−520244A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554109(P2012−554109)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【国際出願番号】PCT/US2011/026245
【国際公開番号】WO2011/106646
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】