説明

超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズ及びその製造方法

【課題】磁場のない場合の分散性に優れ、磁場下での回収速度が速く、光特性などの機能性に優れ、光特性などのカスタマイズ機能を付与することのできる複合ビーズを提供する。
【解決手段】超常磁性クラスタ10・ナノ粒子30・多孔体複合ビーズは、超常磁性クラスタと、クラスタを囲む多孔体ビーズ20と、多孔体ビーズの外面に近い内部の同心球S上に放射状に分布しているナノ粒子とを含み、ナノ粒子が、発光ナノ粒子、超常磁性ナノ粒子、金属ナノ粒子、及び金属酸化物ナノ粒子からなる群から選択される少なくとも1つであり、超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズの製造方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合ビーズ及びその製造方法に関し、特に、超常磁性クラスタ(本明細書で「超常磁性クラスタ」とは、超常磁性ナノ粒子が集まって形成されたクラスタをいう。)と、発光ナノ粒子、超常磁性ナノ粒子、金属ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子などのナノ粒子とを含む多孔体複合ビーズ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光物質や金属物質を含む複合ビーズは、その優れた物理化学的特性により、LED材料やディスプレイ材料、フォトニック結晶レーザ、バイオセンサ、環境関連センサなどに活用度が高いと期待され、様々なタイプの複合ビーズに関する研究が活発に行われている。
【0003】
一方、携帯用センサや環境関連センサなどのように数分以内の迅速な分析を必要とする分野に複合ビーズを活用するためには、複合ビーズを回収する時間が短いほどよく、分散性に優れていなければならない。特に、回収過程では超常磁性などを利用して短時間で回収することが求められ、回収過程でない場合は分散性に優れた特性が求められる。
【0004】
従来、ビーズの表面に近い位置に磁性ナノ粒子を内在させる研究が行われていたが、製造過程の特性により、超常磁性ナノ粒子の数を蛍光ナノ粒子の数の5%以上にして入れることができず、磁場を用いて複合ビーズを回収するのに困難があった。従来の技術による複合ビーズの場合は、サブミクロンないしミクロンサイズの複合ビーズに占める超常磁性ナノ粒子の重量の割合が0.05%以下であるので、通常の実験室用磁石を当てて回収するのに約5〜10時間と長い時間がかかるのが普通であった。
【0005】
超常磁性ナノ粒子と蛍光ナノ粒子との混合物を、レーズンパンのようにビーズの内部に(非特許文献1)、又は表面の近くに(非特許文献2)含む構造も、複合ビーズに占める超常磁性ナノ粒子の重量の割合が0.5%未満と非常に小さいので、磁場下で反応する時間が長くかかるのは同じであった。さらに、レーズンパンのような構造により、複合体ビーズの深い場所に位置する蛍光ナノ粒子から放出される蛍光は、かえって蛍光ナノ粒子単独の場合よりも大きく減少するという問題があった。
【0006】
一方、強磁性又はフェリ磁性の粒子を使用した場合は、磁場下で速く反応するという利点はあるが、磁場のない場合も磁性粒子同士の凝集力が強く、これらを含む複合ビーズ粒子は分散性が非常に低いという問題があった。
【0007】
よって、複合ビーズ内の超常磁性ナノ粒子の含有量を増やすことにより、磁場のない場合の分散性を向上させ、磁場が印加された場合ははるかに速く引き寄せられる構造が求められる。また、このような問題を解決すると共に、複合ビーズ構造体において、ナノ粒子の光特性などの機能性に優れた複合ビーズが求められる。
つまり、少なくとも数分以内に通常の実験室用磁石に引き寄せられると共に、光特性などの機能性に優れ、磁場のない場合の分散性に優れた複合ビーズが、センサなどへの使用のために最も好ましい。しかしながら、現在までこのような条件を満たす複合ビーズは知られていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Journal of the American Chemical Society,2006,128,688−689
【非特許文献2】ACS nano,2008,2,197−202
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、磁場のない場合の分散性に優れ、磁場下での回収速度が速く、光特性などの機能性を有するナノ粒子を含むことにより、光特性などの機能性に優れ、カスタマイズ機能を付与することのできる複合ビーズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的は、超常磁性クラスタと、前記クラスタを囲む多孔体ビーズと、前記多孔体ビーズの外面に近い内部の同心球上に放射状に分布しているナノ粒子とを含み、前記ナノ粒子が、発光ナノ粒子、超常磁性ナノ粒子、金属ナノ粒子、及び金属酸化物ナノ粒子からなる群から選択される少なくとも1つである、超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズ、又は超常磁性クラスタと、前記クラスタを囲む中心多孔体ビーズと、静電気的引力により前記中心多孔体ビーズの外面に放射状に結合されているナノ粒子と、前記ナノ粒子を囲むように形成された多孔体層とを含み、前記ナノ粒子が、発光ナノ粒子、超常磁性ナノ粒子、金属ナノ粒子、及び金属酸化物ナノ粒子からなる群から選択される少なくとも1つである、超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズにより達成することができる。
【0011】
また、上記の目的は、(a)超常磁性クラスタを含有する第1の溶液と多孔体の製造に必要な物質とを混合して、前記クラスタと前記クラスタの表面を囲むように成長した中心多孔体ビーズとを含む溶液を製造する工程と、(b)前記中心多孔体ビーズの外面に第1の電荷を帯びる分子を結合させて第2の溶液を製造する工程と、(c)前記第1の電荷と反対の第2の電荷を帯びる、ナノ粒子を含有する第3の溶液を準備する工程と、(d)前記第2の溶液と前記第3の溶液とを混合して、静電気的引力により前記中心多孔体ビーズの外面に前記ナノ粒子を結合させる工程と、(e)前記工程(d)を経た溶液と前記多孔体の製造に必要な物質とを混合して、前記ナノ粒子を囲むように多孔体層を形成する工程とを含み、前記工程(c)のナノ粒子が、発光ナノ粒子、超常磁性ナノ粒子、金属ナノ粒子、及び金属酸化物ナノ粒子からなる群から選択される少なくとも1つである、超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズの製造方法により達成することができる。
【発明の効果】
【0012】
超常磁性ナノ粒子からなるクラスタは、超常磁性を示すと共に飽和磁化値が十分に大きいことから、分散性がよいと共に、磁場に速く引き寄せられる特性を示すため、本発明によれば、超常磁性(磁場下での速い回収)及び分散性(磁場のない場合の分散性)に優れた超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズを得ることができ、超常磁性クラスタが光特性などを発揮するナノ粒子より複合ビーズの内部に位置する構造により、光特性などの機能性を効果的に発揮するため、本発明によれば、光特性などの機能性に優れ、かつ耐久性が向上した超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズを得ることができる。
【0013】
一方、本発明の製造方法によれば、超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズを数十ナノメートルないし数ミクロンサイズの領域で、定量的収率で製造することができる。
【0014】
特に、本発明により製造される超常磁性発光多孔体複合ビーズ又は超常磁性プラズモン多孔体複合ビーズは、磁場下で速く反応するので、携帯用バイオセンサや環境関連センサの材料として非常に有用に使用することができるだけでなく、磁気共鳴画像、蛍光画像、プラズモン画像などが共に得られるバイオ画像材料にも活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズの断面図である。
【図2】本発明の実施例1の工程(1)で製造した超常磁性クラスタのXRDパターンのグラフである。
【図3】本発明の実施例1の各粒子の透過電子顕微鏡(TEM)画像であって、(a)は、工程(1)で製造した超常磁性クラスタのTEM画像であり、(b)は、工程(2)で製造した中心に超常磁性クラスタを含むシリカ複合ビーズのTEM画像であり、(c)は、工程(5)で製造した量子ドット層が表面にドープされたシリカ複合ビーズのTEM画像であり、(d)は、工程(6)で製造した超常磁性クラスタ・発光ナノ粒子・シリカ複合ビーズのTEM画像である。
【図4】本発明の実施例1の各粒子の磁気履歴曲線(magnetic hysteresis loop)であって、(a)は、工程(1)で製造した超常磁性クラスタの磁気履歴曲線であり、(b)は、工程(2)で製造した中心に超常磁性クラスタを含むシリカ複合ビーズの磁気履歴曲線であり、(c)は、工程(6)で製造した超常磁性クラスタ・発光ナノ粒子・シリカ複合ビーズの磁気履歴曲線である。
【図5】本発明の実施例1の各溶液の蛍光スペクトルグラフであって、(a)は、工程(4)で製造した荷電可能な分子を結合させた量子ドット溶液の蛍光スペクトルグラフであり、(b)は、工程(5)で製造した量子ドット層が表面にドープされた超常磁性クラスタ・シリカビーズ溶液の蛍光スペクトルグラフであり、(c)は、工程(6)で製造した超常磁性クラスタ・発光ナノ粒子・シリカ複合ビーズ溶液の蛍光スペクトルグラフである。
【図6】本発明の実施例2の各粒子の透過電子顕微鏡(TEM)画像であって、(a)は、工程(1)で製造した超常磁性クラスタのTEM画像であり、(b)は、工程(2)で製造した中心に超常磁性クラスタを含むシリカ複合ビーズのTEM画像であり、(c)は、工程(6)で製造した超常磁性クラスタ・発光ナノ粒子・シリカ複合ビーズのTEM画像である。
【図7】実施例3の透析膜損傷検知実験前後の比較写真である。
【図8】本発明の実施例4の各粒子の透過電子顕微鏡(TEM)画像であって、(a)は、工程(2)で製造した金ナノ粒子のTEM画像であり、(b)は、工程(3)で製造した金ナノ粒子層が表面にドープされたシリカ複合ビーズのTEM画像であり、(c)は、工程(4)で製造した超常磁性クラスタ・金ナノ粒子・シリカ複合ビーズのTEM画像である。
【図9】本発明の実施例4の各金ナノ粒子溶液のプラズモンバンドによる吸光スペクトルであって、(a)は、工程(1)で製造した荷電可能な分子を結合させた金ナノ粒子溶液の吸光スペクトルであり、(b)は、工程(2)で製造した超常磁性クラスタ・シリカビーズ溶液の吸光スペクトルであり、(c)は、工程(3)で製造した金ナノ粒子層が表面にドープされた超常磁性クラスタ・シリカビーズ溶液の吸光スペクトルであり、(d)は、工程(4)で製造した超常磁性クラスタ・金ナノ粒子・シリカ複合ビーズ溶液の吸光スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明による超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズは、超常磁性クラスタと、前記クラスタを囲む多孔体ビーズと、前記多孔体ビーズの外面に近い内部の同心球上に放射状に分布しているナノ粒子とを含み、前記ナノ粒子が、発光ナノ粒子、超常磁性ナノ粒子、金属ナノ粒子、及び金属酸化物ナノ粒子からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0017】
図1は本発明による超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズの断面図である。本発明の一態様による超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズは、超常磁性ナノ粒子からなるクラスタ10と、クラスタを中心に囲む多孔体ビーズ20と、静電気的引力により多孔体ビーズ20の表面に近い内部の同心球上に放射状に結合されているナノ粒子30とを含む。
【0018】
本発明において、超常磁性ナノ粒子からなるクラスタ10は、多孔体ビーズ20の中心に位置して複合ビーズに超常磁性を提供し、ナノ粒子30は、中心から等距離に放射状に位置して、ナノ粒子層からなる球殻(sphere shell)形状を形成するように、多孔体ビーズ20の表面に近い内部にドープされている。特に、ナノ粒子30が機能性ナノ粒子の一例である発光ナノ粒子の場合は、発光ナノ粒子30が同心球の表面上で静電気的単一層として存在するため、吸光は最も効率的であるのに対して自己消光現象が最小限に抑えられ、多孔体ビーズとの共鳴結合(resonance coupling)現象により、増大した蛍光を放出したり、増大したプラズモンバンドを有する。また、発光ナノ粒子30が多孔体層22に囲まれて多孔体ビーズ20の内部に閉じ込められることにより、多孔体層22がなく発光ナノ粒子30単独の場合より光安定性及び耐久性が向上すると共に、発光ナノ粒子30と多孔体ビーズ20との共鳴結合現象により、発光の強度又はプラズモンバンドの強度がさらに増大する。
【0019】
ナノ粒子30として、前記発光ナノ粒子の他に、特定の機能を有するナノ粒子、すなわち超常磁性ナノ粒子、金属ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子などを共に入れて目的とする機能を付与することもできる。
【0020】
多孔体ビーズ20は、ナノ粒子30と結合する同心球の表面を外面として有する中心多孔体ビーズ21と、中心多孔体ビーズ21の外面に静電気的引力により結合されているナノ粒子30を囲むように形成された多孔体層22とを含むものでもよい。すなわち、多孔体ビーズ20は、超常磁性ナノ粒子からなるクラスタ10を囲み、ナノ粒子30と結合する外面(同心球、S)を有する中心多孔体ビーズ21と、中心多孔体ビーズ21の表面に静電気的引力で結合しているナノ粒子30を囲むように形成された多孔体層22とを含むものでもよい。
【0021】
ここで、同心球は、クラスタ10を含む多孔体ビーズ20の中心から表面までの距離(半径(R))の0.5倍以上1倍未満の半径(r)を有することが好ましい。同心球が半径(R)の0.5倍未満の半径を有する場合、ナノ粒子30が多孔体ビーズ20内部のあまりに深い場所にドープされるため、外部から多孔体ビーズ20に吸収されるか、又は多孔体ビーズ20から放出される光の光特性などの機能性が非常に弱くなる。また、半径(R)の1倍未満という上限は、ナノ粒子30が多孔体ビーズ20の外部に露出しないことを意味する。
【0022】
本発明は、超常磁性や光特性などの機能性を全て有する多孔体ビーズを製造する上で、ナノ粒子を個別粒子の混合物の形態で多孔体ビーズにドープした場合に、超常磁性ナノ粒子の少ない含有量とビーズ自体の重い重量により磁石への吸着に5〜10時間かかることを改善するためのものである。また、同心円をなすナノ粒子で構成されたシェルを多孔体ビーズの表面の近くにドープして、光特性やプラズモンバンド特性などの機能性の強度を増大させると共に、超常磁性ナノ粒子からなるクラスタが、多孔体ビーズの中心に置かれるように製造されることにより、構造を改善して超常磁性クラスタにおける超常磁性ナノ粒子の含有量を20%以上に増やして磁石への吸着時間を数分以内に短縮することを一つの特徴とする。従来、多孔体ビーズの内部に混合ナノ粒子(磁性ナノ粒子と発光ナノ粒子)を内在させようとする努力はしばしば行われていたが、個別ナノ粒子からなる混合物のナノ粒子をドープしていたため、最終的に得られる複合ビーズの重量に比べて磁性が弱く、磁石への吸着に数時間かかるため、携帯用センサなどのように速い効果を必要とする場合に活用することはできなかった。そこで、本発明者らは、超常磁性や光特性などの機能性を同時にかつ最も効果的に活用できる複合構造材料を考案して、超常磁性ナノ粒子からなるクラスタを中心に内包し、表面の近くに光特性などの機能性ナノ粒子層をドープした超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズを発明した。
【0023】
なお、本発明において層とは、完全な膜を形成する場合だけでなく、同心球上に位置するものの、完全な膜を形成せずに存在する場合も含む。
【0024】
クラスタは50nm以上1μm以下であり、中心多孔体ビーズの内径はクラスタの直径より大きく、中心多孔体ビーズの外径は10μm以下であり、各ナノ粒子のサイズは1nm以上100nm未満であり、多孔体層の厚さはナノ粒子の直径より大きく100nm以下でもよい。超常磁性クラスタは、10nm内外の超常磁性ナノ粒子で構成されることが好ましく、粒子が集まった最低の直径が50nm以上の場合に十分に大きな磁性を示す。しかしながら、1μmより大きくなると、最終複合ビーズの直径が大きすぎるため活用度が下がる。半導体ナノ粒子である量子ドットは、一般的にサイズが1nm以上20nm以下の場合に量子閉じ込め効果による発光特性を示す。金や銀などの金属ナノ粒子は、一般的にサイズが1nm以上100nm以下の場合にプラズモン特性をよく示し、均一な単一層の形成に好ましい。多孔体層の厚さを増加させると、発光の強度が20nmまでは増加し、その後は減少し始め、100nmを超えると、発光の強度が多孔体層を形成する前の発光の強度と同程度になることを確認し、本発明の多孔体層の厚さを決定した。
【0025】
ナノ粒子が分布する同心球は、多孔体ビーズの内面と外面との間に位置し、多孔体ビーズは、シリカ、チタニア、ジルコニア、及びゼオライトからなる群から選択される少なくとも1つである。ただし、本発明は、これに限定されるものではなく、屈折率の高い無機物質からなる多孔体ビーズであれば特に限定されない。
【0026】
本発明による超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズは、超常磁性クラスタと、前記クラスタを囲む中心多孔体ビーズと、静電気的引力により前記中心多孔体ビーズの外面に放射状に結合されているナノ粒子と、前記ナノ粒子を囲むように形成された多孔体層とを含み、前記ナノ粒子が、発光ナノ粒子、超常磁性ナノ粒子、金属ナノ粒子、及び金属酸化物ナノ粒子からなる群から選択される少なくとも1つであり、前記各ナノ粒子は、前記中心多孔体ビーズの中心から等距離に位置して静電気的単一層を形成するものでもよく、前記中心多孔体ビーズと前記多孔体層とは、同種の物質でも異種の物質でもよい。前記中心多孔体ビーズ及び前記多孔体層は、それぞれシリカ、チタニア、ジルコニア、及びゼオライトからなる群から選択される少なくとも1つである。
【0027】
本発明による発光ナノ粒子は、II−VI族化合物半導体ナノ結晶、III−V族化合物半導体ナノ結晶、及び無機蛍光体からなる群から選択される少なくとも1つのナノ粒子であり、下記(1)〜(3)のいずれか1つのコア/シェル構造を有するものでもよい。
【0028】
(1)II−VI族化合物半導体ナノ結晶(コア)/II−VI族化合物半導体ナノ結晶(シェル)
(2)III−V族化合物半導体ナノ結晶(コア)/III−V族化合物半導体ナノ結晶(シェル)
(3)III−V族化合物半導体ナノ結晶(コア)/II−VI族化合物半導体ナノ結晶(シェル)
【0029】
II−VI族化合物半導体ナノ結晶は、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、及びHgTeからなる群から選択される少なくとも1つであり、III−V族化合物半導体ナノ結晶は、GaN、GaP、GaAs、InP、及びInAsからなる群から選択される少なくとも1つであり、無機蛍光体は、LaS:Eu、LiMg(MoO):Eu,Sm、(Ba,Sr)SiO:Eu、ZnS:Cu,Al、SrGa:Eu、Sr(POCl:Eu、(SrMg)POCl:Eu、及びBaMgAl1627:Euからなる群から選択される少なくとも1つである。
【0030】
例えば、発光ナノ粒子30は、II−VI族化合物半導体ナノ結晶(コア)/II−VI族化合物半導体ナノ結晶(シェル)構造(例えば、CdSe/ZnS)を有するか、III−V族化合物半導体ナノ結晶(コア)/III−V族化合物半導体ナノ結晶(シェル)構造(例えば、InP/GaN)を有するか、又はIII−V族化合物半導体ナノ結晶(コア)/II−VI族化合物半導体ナノ結晶(シェル)構造(例えば、InP/ZnS)を有する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】
本発明による超常磁性ナノ粒子は、FeO、Fe、Fe、MnFe、CoFe、NiFe、Fe、Co、及びNiからなる群から選択される少なくとも1つのナノ粒子である。一方、超常磁性クラスタを構成する超常磁性ナノ粒子も、前記超常磁性ナノ粒子と同様に、FeO、Fe、Fe、MnFe、CoFe、NiFe、Fe、Co、及びNiからなる群から選択される少なくとも1つのナノ粒子である。目的とする機能を付与するために、超常磁性クラスタを構成する超常磁性ナノ粒子と多孔体ビーズ中で同心円をなす超常磁性ナノ粒子とは、異なるナノ粒子を使用してもよい。
【0032】
本発明において、金属は、Au、Ag、Fe、Co、及びNiからなる群から選択される少なくとも1つであり、金属酸化物は、FeO、Fe、Fe、MnFe、CoFe、及びNiFeからなる群から選択される少なくとも1つである。
【0033】
本発明による超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズの製造方法は、(a)超常磁性クラスタを含有する第1の溶液と多孔体の製造に必要な物質とを混合して、前記クラスタと前記クラスタの表面を囲むように成長した中心多孔体ビーズとを含む溶液を製造する工程と、(b)前記中心多孔体ビーズの外面に第1の電荷を帯びる分子を結合させて第2の溶液を製造する工程と、(c)前記第1の電荷と反対の第2の電荷を帯びる、ナノ粒子を含有する第3の溶液を準備する工程と、(d)前記第2の溶液と前記第3の溶液とを混合して、静電気的引力により前記中心多孔体ビーズの外面に前記ナノ粒子を結合させる工程と、(e)前記工程(d)を経た溶液と前記多孔体の製造に必要な物質とを混合して、前記ナノ粒子を囲むように多孔体層を形成する工程とを含み、前記工程(c)のナノ粒子が、発光ナノ粒子、超常磁性ナノ粒子、金属ナノ粒子、及び金属酸化物ナノ粒子からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0034】
前記工程(a)の第1の溶液は、超常磁性ナノ粒子のクラスタを含有する溶液に2つ以上のカルボキシル基を有する物質を追加して、超音波処理して分散させた溶液でもよく、前記2つ以上のカルボキシル基を有する物質は、クエン酸三ナトリウム、ジメルカプトコハク酸、アスパラギン酸、又はアクリレートオリゴマーでもよく、前記第1の電荷を帯びる分子は、アミノプロピル基を有する分子でもよい。
【0035】
前記工程(d)では、各溶液のpHを調節して前記第2の溶液と前記第3の溶液が単分散溶液となるようにしてもよい。
【0036】
本発明による超常磁性多孔体ビーズは、球形状であることが好ましく、場合によっては、超常磁性多孔体ビーズが2つ以上結合されてなるダンベル状のものを少量含んでもよい。
【実施例】
【0037】
以下、実施例及び図面に基づいて本発明をより詳細に説明するが、これは好ましい一実施例に過ぎず、本発明がこれに限定されるものではない。
【0038】
実施例1:超常磁性クラスタ(約150nm)と発光ナノ粒子とを内包する多孔体複合ビーズの製造
(1)超常磁性クラスタの製造
FeCl(0.65g、4.0mmol)及びクエン酸三ナトリウム(0.20g、0.68mmol)をエチレングリコール(20ml)に溶解し、酢酸ナトリウム(1.20g)を添加して30分間攪拌した。この溶液をオートクレーブに移して密封し、200℃のオーブンで12時間反応させて超常磁性クラスタを製造した。この溶液を常温に冷却した後、クラスタを、エタノール及び蒸留水で1回ずつ洗浄し、磁石で引き寄せてエタノール(20ml)に分散させて保管した。以下、これを溶液Aという。前記溶液Aの一部を取ってXRD、TEM、及び磁気履歴分析を実施した。その結果を図2、図3(a)、及び図4(a)に示す。TEM分析の結果、超常磁性クラスタの平均サイズは約150nmであった。ただし、本実施例の製造方法に限定されるものではなく、いずれの方法で製造されたクラスタでも本発明による多孔体複合ビーズの製造に使用できる。
【0039】
(2)中心に超常磁性クラスタを内包する超常磁性クラスタ・多孔体複合ビーズの製造
前記(1)で製造した溶液Aを2.5ml取って1Lのフラスコに移し、エタノールを追加して0.5Lにした。ここに、3次蒸留水50ml、及びクエン酸三ナトリウム0.225gを追加して攪拌し、10分間超音波浴処理を施した。ここに、濃アンモニア水15mlを追加して1時間攪拌し、TEOS(tetraethyl orthosilicate)22.5mlを添加して20℃で10〜14時間攪拌して、中心に超常磁性クラスタを内包する超常磁性クラスタ・シリカ多孔体複合ビーズを製造した。磁石とエタノールを用いて多孔体複合ビーズを数回洗い、エタノール20mlに分散して保管した。以下、これを溶液Bという。前記溶液Bの一部を取ってTEM及び磁気履歴分析を実施した。その結果を図3(b)及び図4(b)に示す。
【0040】
一方、前記(1)で製造した溶液Aの一部を取って超常磁性クラスタを内包する超常磁性多孔体複合ビーズを製造する過程において、既存の方式でクエン酸三ナトリウムを追加せずに反応させた場合は、超常磁性クラスタが凝集したり、鎖状に連結された表面上にシリカシェルが形成された。本発明においては、このような現象を改善するためにクエン酸三ナトリウムを追加することにより、超常磁性多孔体複合ビーズの製造に成功した。すなわち、クエン酸三ナトリウムがポリアニオンに解離して超常磁性クラスタとシリカの表面に吸着し、静電気的な反発力を与えることにより、クラスタ同士又は多孔体ビーズ同士が凝集する現象を防止する。つまり、前記(1)では、少量のクエン酸三ナトリウムが、超常磁性ナノ粒子を凝集させてクラスタにする接着剤の役割を果たしたのに対して、前記(2)では、過剰量のクエン酸三ナトリウムが、超常磁性クラスタが凝集しないように分散剤の役割を果たしたのである。
【0041】
(3)ポリカチオン性磁性シリカビーズ溶液の製造
前記(2)で製造した溶液B20mlに、エタノール80mlを追加して100mlにした。ここに、濃アンモニア水3ml及びアミノプロピルトリメトキシシラン0.011mlを加えて16時間攪拌した。この溶液を遠心分離によりメタノールで洗浄した。最終的に、蒸留水20mlに分散させ、希塩酸を数滴加えて溶液のpHを約6に調節した。このシリカビーズのFT−IRスペクトルを分析した結果、1630cm−1及び1576cm−1でN−Hピークが観察され、2939cm−1でC−Hピークが観察されて、アミノプロピル基が結合されたことが確認された。下記工程(5)の反応においては、溶液のpHを約4に調節してポリカチオン性を増加させて使用した。
【0042】
(4)ポリアニオン性単分散量子ドットCdSe/CdS(−SCHCHCOex溶液の製造
表面がオクタデシルアミン(ODA)で保護されているコア/シェル構造のCdSe/CdS−ODA量子ドット溶液(2×10−5M)2mlを取って、真空下でヘキサン溶媒を除去し、クロロホルム4mlに分散させ、0.05Mのメルカプトプロピオン酸(MPA)及び0.06Mの水酸化ナトリウムを共に溶解させたメタノール溶液を過剰量加えて30分間強く攪拌した。この溶液に蒸留水を2〜3ml追加すると、量子ドットが水層に上がった。この水層を分離してメタノール及び酢酸エチルを加え、遠心分離により量子ドットを回収した。この量子ドットを水に分散させて、単分散量子ドット溶液(2×10−6M)20mlを製造した。この溶液の一部を取って5×10−8Mの溶液を製造して蛍光スペクトルを分析した。その結果を、図5の(a)に示す。また、この溶液2.5mlを薄め、希水酸化ナトリウム溶液を使用して溶液のpHを約10に調節して、量子ドット表面のカルボン酸が−CO状態のポリアニオン性単分散量子ドットCdSe/CdS(−SCHCHCOex溶液20ml(2.5×10−7M)を製造し、下記工程(5)の反応に使用した。ここで、熱分析の結果、量子ドットの表面に結合したMPA分子の数は粒子当たり300個以上と判断され、これをexと表記する。
【0043】
(5)表面に量子ドット(発光ナノ粒子)層がドープされた超常磁性シリカビーズの製造
前記工程(3)で製造したポリカチオン性超常磁性シリカビーズ溶液を、前記(4)で製造したポリアニオン性単分散量子ドット溶液に徐々に加えながら、均一に混合されるように振とうした。白く濁った時点で止めて、さらにこの溶液をしばらく振とうして遠心分離した。濾液は、蛍光がほとんど検出されなかったので廃棄し、沈殿物を、エタノール100mlに分散させて表面に量子ドット層がドープされた超常磁性シリカビーズ溶液を製造した。このシリカビーズのTEM画像を図3の(c)に示す。また、複合ビーズ内の量子ドットが5×10−8Mの溶液を製造した。その蛍光スペクトルを図5の(b)に示す。
【0044】
(6)内部に量子ドット(発光ナノ粒子)層がドープされた超常磁性シリカビーズの製造
前記工程(5)で製造した、表面に量子ドット(発光ナノ粒子)層がドープされた超常磁性シリカビーズ溶液100mlに、蒸留水3ml及び濃アンモニア水2mlを入れて30分間攪拌した。次に、テトラエトキシシラン(TEOS)0.5mlを入れて5時間攪拌して、表面に量子ドット層がドープされた磁性シリカビーズ上にシリカ層をさらに成長させることにより、中心には約150nmサイズの超常磁性クラスタがあり、表面に近い内部には量子ドット層がドープされたシリカ複合ビーズを製造した。磁石及びエタノールを用いて合成されたビーズを3回以上洗浄し、エタノール10mlに分散した。このシリカ複合ビーズのTEM画像及び磁気履歴測定結果を、図3の(d)及び図4の(c)に示す。また、複合ビーズ内の量子ドットが5×10−8Mの溶液を製造した。その蛍光スペクトルを図5の(c)に示す。このシリカ複合ビーズ溶液の入った容器に磁石を当てると、10分以内に全てのシリカ複合ビーズが磁石に引き寄せられ、磁石を除去して振とうすると、均一な元の溶液に戻った。
【0045】
実施例2:超常磁性クラスタ(約340nm)と発光ナノ粒子とを内包する多孔体複合ビーズの製造
まず、実施例1の工程(1)で他の条件は同一にし、FeClの量を0.975g(6.0mmol)に増加させて、約340nmサイズの超常磁性クラスタを製造した。そのTEM画像を図6の(a)に示す。次に、実施例1の工程(2)から(6)を繰り返して、中心に約340nmサイズの超常磁性クラスタを含む超常磁性クラスタ・多孔体複合ビーズを製造した。そのTEM画像を図6の(b)に示す。また、中心に約340nmサイズの超常磁性クラスタを含み、表面に近い内部に量子ドット層がドープされた最終サイズ約650nmの超常磁性クラスタ・ナノ粒子・シリカ多孔体複合ビーズを製造した。そのTEM画像を図6の(c)に示す。このシリカ複合ビーズ溶液の入ったバイアルに磁石を当てると、1分以内に全てのシリカ複合ビーズが磁石に引き寄せられ、磁石を除去して振とうすると、均一な元の溶液に戻った。
【0046】
実施例3:超常磁性クラスタ・発光ナノ粒子・多孔体複合ビーズを用いた透析膜損傷検知
透析容器(dialysis jar)に10μm注射器の針先を用いて微細気孔を5つ作った。実施例1で最終生成物として得られた超常磁性クラスタ・発光ナノ粒子・多孔体複合ビーズ22mgを蒸留水10mlに溶解した溶液を透析容器に入れ、図7の写真のように0.5Lの水を含むビーカーに設置し、ビーカーの水をマグネチックバーを用いて攪拌した。図7は、透析膜損傷検知実験の前後の比較写真である。365nmの紫外線を照射した写真によれば、最初はマグネチックバーから複合ビーズの赤色蛍光が全く検出されなかったが、1日後は透析容器から漏れ出た複合ビーズがマグネチックバーに付いて、赤色蛍光を放出することが肉眼ではっきりと識別された。この現象は、一般灯の下では、透析容器から漏れ出た複合ビーズがマグネチックバーに付いて茶色に見える。よって、本発明で製造した複合ビーズにより透析膜の小さい損傷も簡単かつ容易に検知することができる。
【0047】
実施例4:超常磁性クラスタ(約340nm)と金ナノ粒子とを内包する多孔体複合ビーズの製造
(1)ポリアニオン性単分散金ナノ粒子Au(クエン酸)ex溶液の製造
表面がクエン酸で保護されている金ナノ粒子溶液(直径約13nm、濃度2.65×10−7M)を合成し、この溶液10mlを取ってpHを約10に調節した。合成された金ナノ粒子のTEM画像を図8の(a)に示し、5×10−9Mの溶液の吸光スペクトルを図9の(a)に示す。
【0048】
(2)ポリカチオン性超常磁性シリカビーズ溶液の製造
実施例2の過程で得られた、中心に約340nmサイズの超常磁性クラスタを含み、表面にアミノプロピル基が結合されている超常磁性クラスタ・多孔体複合ビーズ溶液の、pHを約4に調節した溶液を準備した。この溶液の0.02%溶液の吸光スペクトルを図9の(b)に示す。
【0049】
(3)表面に金ナノ粒子層がドープされた超常磁性シリカビーズの製造
前記工程(2)で製造したポリカチオン性超常磁性シリカビーズ溶液を前記(1)で製造したポリアニオン性単分散金ナノ粒子溶液に徐々に加えながら均一に混合されるように振とうした。白く濁った時点で止めて、さらにこの溶液をしばらく振とうして遠心分離した。濾液は、金ナノ粒子がほとんど検出されなかったので廃棄し、沈殿物を、エタノール100mlに分散させて、表面に金ナノ粒子層がドープされた超常磁性シリカビーズ溶液を製造した。このシリカビーズのTEM画像を図8の(b)に示す。また、複合ビーズ内の金ナノ粒子が5×10−9Mの溶液を製造した。その吸光スペクトルを図9の(c)に示す。
【0050】
(4)内部に金ナノ粒子層がドープされた超常磁性シリカビーズの製造
前記工程(3)で製造した、表面に金ナノ粒子層がドープされた超常磁性シリカビーズ溶液100mlに、蒸留水3ml及び濃アンモニア水2mlを入れて1分間攪拌した。次に、テトラエトキシシラン(TEOS)0.5mlを入れて3時間攪拌して、表面に金ナノ粒子層がドープされた磁性シリカビーズ上にシリカ層をさらに成長させることにより、中心には約340nmサイズの超常磁性ナノ粒子のクラスタがあり、表面に近い内部には金ナノ粒子層がドープされたシリカ複合ビーズを製造した。磁石とエタノールを用いて合成されたビーズを3回以上洗浄し、エタノール10mlに分散させた。このシリカ複合ビーズのTEM画像を図8の(c)に示す。複合ビーズ内の金ナノ粒子が5×10−9Mの溶液を製造した。その吸光スペクトルを図9の(d)に示す。このシリカ複合ビーズ溶液の入った容器に磁石を当てると、1分以内に全てのシリカ複合ビーズが磁石に引き寄せられ、磁石を除去して振とうすると、均一な元の溶液に戻った。
【0051】
上記実施例1、2、及び4で、反応後の溶液に不溶性溶媒を加えるか、又は反応後の溶液をそのまま遠心分離して廃棄する液体から、蛍光又はプラズモンバンドがほとんど検出されなかったことから、ナノ粒子層がドープされたシリカビーズの製造が定量的収率で行われたことが分かる。
【0052】
以上、本発明を、図示の例を中心に説明したが、これは単なる例示に過ぎず、これに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0053】
10 超常磁性クラスタ(超常磁性ナノ粒子からなるクラスタ)
20 多孔体ビーズ
21 中心多孔体ビーズ
22 多孔体層
30 ナノ粒子
S 同心球

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超常磁性クラスタと、
前記クラスタを囲む多孔体ビーズと、
前記多孔体ビーズの外面に近い内部の同心球上に放射状に分布しているナノ粒子と
を含み、
前記ナノ粒子が、発光ナノ粒子、超常磁性ナノ粒子、金属ナノ粒子、及び金属酸化物ナノ粒子からなる群から選択される少なくとも1つである、超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズ。
【請求項2】
前記多孔体ビーズが、
前記ナノ粒子と結合する前記同心球の表面を外面として有する中心多孔体ビーズと、
前記中心多孔体ビーズの外面に静電気的引力により結合されている前記ナノ粒子を囲むように形成された多孔体層と
を含む、請求項1記載の超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズ。
【請求項3】
前記クラスタが50nm以上1μm以下であり、前記中心多孔体ビーズの内径が前記クラスタの直径より大きく、前記中心多孔体ビーズの外径が10μm以下であり、前記各ナノ粒子のサイズが1nm以上100nm未満であり、前記多孔体層の厚さが前記ナノ粒子の直径より大きく100nm以下である、請求項2記載の超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズ。
【請求項4】
前記同心球が、前記多孔体ビーズの内面と外面との間に位置する、請求項1記載の超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズ。
【請求項5】
前記多孔体ビーズが、シリカ、チタニア、ジルコニア、及びゼオライトからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1記載の超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズ。
【請求項6】
超常磁性クラスタと、
前記クラスタを囲む中心多孔体ビーズと、
静電気的引力により前記中心多孔体ビーズの外面に放射状に結合されているナノ粒子と、
前記ナノ粒子を囲むように形成された多孔体層と
を含み、
前記ナノ粒子が、発光ナノ粒子、超常磁性ナノ粒子、金属ナノ粒子、及び金属酸化物ナノ粒子からなる群から選択される少なくとも1つである、超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズ。
【請求項7】
前記各ナノ粒子が、前記中心多孔体ビーズの中心から等距離に位置して静電気的単一層を形成する、請求項6記載の超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズ。
【請求項8】
前記中心多孔体ビーズと前記多孔体層とが同種の物質である、請求項6記載の超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズ。
【請求項9】
前記中心多孔体ビーズ及び前記多孔体層が、それぞれ、シリカ、チタニア、ジルコニア、及びゼオライトからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項6記載の超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズ。
【請求項10】
前記発光ナノ粒子が、II−VI族化合物半導体ナノ結晶、III−V族化合物半導体ナノ結晶、及び無機蛍光体からなる群から選択される少なくとも1つのナノ粒子である、請求項1又は6記載の超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズ。
【請求項11】
前記発光ナノ粒子が、下記(1)〜(3)のいずれか1つのコア/シェル構造を有する、請求項10記載の超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズ。
(1)前記II−VI族化合物半導体ナノ結晶(コア)/前記II−VI族化合物半導体ナノ結晶(シェル)
(2)前記III−V族化合物半導体ナノ結晶(コア)/前記III−V族化合物半導体ナノ結晶(シェル)
(3)前記III−V族化合物半導体ナノ結晶(コア)/前記II−VI族化合物半導体ナノ結晶(シェル)
【請求項12】
前記II−VI族化合物半導体ナノ結晶が、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、及びHgTeからなる群から選択される少なくとも1つであり、前記III−V族化合物半導体ナノ結晶が、GaN、GaP、GaAs、InP、及びInAsからなる群から選択される少なくとも1つであり、前記無機蛍光体が、LaS:Eu、LiMg(MoO):Eu,Sm、(Ba,Sr)SiO:Eu、ZnS:Cu,Al、SrGa:Eu、Sr(POCl:Eu、(SrMg)POCl:Eu、及びBaMgAl1627:Euからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項10記載の超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズ。
【請求項13】
前記超常磁性ナノ粒子が、FeO、Fe、Fe、MnFe、CoFe、NiFe、Fe、Co、及びNiからなる群から選択される少なくとも1つのナノ粒子である、請求項1又は6記載の超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズ。
【請求項14】
前記金属が、Au、Ag、Fe、Co、及びNiからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1又は6に記載の超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズ。
【請求項15】
前記金属酸化物が、FeO、Fe、Fe、MnFe、CoFe、及びNiFeからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1又は6記載の超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズ。
【請求項16】
(a)超常磁性クラスタを含有する第1の溶液と多孔体の製造に必要な物質とを混合して、前記クラスタと前記クラスタの表面を囲むように成長した中心多孔体ビーズとを含む溶液を製造する工程と、
(b)前記中心多孔体ビーズの外面に第1の電荷を帯びる分子を結合させて、第2の溶液を製造する工程と、
(c)前記第1の電荷と反対の第2の電荷を帯びる、ナノ粒子を含有する第3の溶液を準備する工程と、
(d)前記第2の溶液と前記第3の溶液とを混合して、静電気的引力により前記中心多孔体ビーズの外面に前記ナノ粒子を結合させる工程と、
(e)前記工程(d)を経た溶液と前記多孔体の製造に必要な物質とを混合して、前記ナノ粒子を囲むように多孔体層を形成する工程と
を含み、
前記工程(c)のナノ粒子が、発光ナノ粒子、超常磁性ナノ粒子、金属ナノ粒子、及び金属酸化物ナノ粒子からなる群から選択される少なくとも1つである、超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズの製造方法。
【請求項17】
前記工程(a)の第1の溶液が、超常磁性ナノ粒子のクラスタを含有する溶液に、2つ以上のカルボキシル基を有する物質を追加し、超音波処理して分散させた溶液である、請求項16記載の超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズの製造方法。
【請求項18】
前記2つ以上のカルボキシル基を有する物質が、クエン酸三ナトリウム、ジメルカプトコハク酸、アスパラギン酸、又はアクリレートオリゴマーである、請求項17記載の超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズの製造方法。
【請求項19】
前記第1の電荷を帯びる分子が、アミノプロピル基を有する分子である、請求項16記載の超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズの製造方法。
【請求項20】
前記工程(d)で、各溶液のpHを調節して前記第2の溶液と前記第3の溶液が単分散溶液となるようにする、請求項16記載の超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズの製造方法。
【請求項21】
前記中心多孔体ビーズが球形状である、請求項16記載の超常磁性クラスタ・ナノ粒子・多孔体複合ビーズの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−255494(P2011−255494A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3993(P2011−3993)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(304039548)コリア・インスティテュート・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジー (36)
【Fターム(参考)】