超音波センサ,それを用いた超音波検査方法および超音波検査装置
【課題】総素子数を変えることなく、センサ開口の大型化できるとともに、オーバーピッチのセンサを用いても、斜角探傷においてノイズの低い検査画像を得ることができる超音波センサ,それを用いた超音波検査方法および超音波検査装置を提供することにある。
【解決手段】アレイセンサSは、検査対象10の内部に超音波を送信し、検査対象からのエコーを受信し、このエコーから検査対象を評価する超音波検査装置に用いられる。アレイセンサSは、超音波を発振する複数の超音波発振素子Eを配列されたものである。アレイセンサSを構成する複数の超音波発振素子Eは、一定方向に向かって、ピッチが大きくなっている。そして、検査対象部位に近い側のピッチが遠い側のピッチよりも大きくなるように、アレイセンサSが配置される。
【解決手段】アレイセンサSは、検査対象10の内部に超音波を送信し、検査対象からのエコーを受信し、このエコーから検査対象を評価する超音波検査装置に用いられる。アレイセンサSは、超音波を発振する複数の超音波発振素子Eを配列されたものである。アレイセンサSを構成する複数の超音波発振素子Eは、一定方向に向かって、ピッチが大きくなっている。そして、検査対象部位に近い側のピッチが遠い側のピッチよりも大きくなるように、アレイセンサSが配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波センサ,それを用いた超音波検査方法および超音波検査装置に係り、特に、斜角探傷においてノイズの低い検査画像を得るに好適な超音波センサ,それを用いた超音波検査方法および超音波検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工業分野や医療分野における非破壊検査方法の一つに、超音波検査が用いられている。超音波検査は、超音波を対象物にあててその反射波を映像化し、検査する方法である。工業分野においては、この超音波を用いて欠陥を検査する方法を超音波探傷法と呼ぶこともある。
【0003】
超音波検査方法の中でも、有効な手法の一つとしてフェーズドアレイ方式が知られている(例えば、特許文献1参照)。フェーズドアレイ方式は、電子走査方式や電子スキャン方式とも呼ばれ、例えば圧電素子などの、超音波を発振可能な超音波発生素子をアレイ状に配置したアレイセンサを用い、検査装置により、各素子に電気信号を所定の時間だけ遅延させて与えることで、各素子から発生した超音波が被検体中で焦点を形成し、さらに、この各素子への電気信号を遅延させるパターン(遅延パターン)を高速で変化させることにより、被検査体中への超音波の送受信角度(屈折角)、焦点位置などを制御できるようにした方法のことである。
【0004】
この方式が重要視されている理由は、被検体の内部でも特に欠陥が想定される範囲や近傍において、反射波をより強く受信できる角度や位置に焦点を形成することで、反射源である欠陥を検出しやすくできるからである。
【0005】
例えば、溶接部における検査では、溶接による熱影響の範囲において欠陥の発生が予測されるので、この範囲に対して斜角方向から超音波が照射されるように、また、板厚あるいはその数倍程度の伝搬距離で焦点を形成するように遅延パターンを作成することで、効率よく検査できる。フェーズドアレイ方式で用いるアレイセンサとしては、多数の素子を直線上、あるいは曲線上に1次元配列し、断面検査を可能としたリニアアレイセンサ、素子を2次元配列し、体積検査を可能としたマトリクスセンサが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−276465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらのセンサの総素子数を制御可能な数に抑えつつ、センサ開口を大型化すると、各素子の間の距離(ピッチ)が大きくなる。ピッチが大きくなると、本来の探傷に用いる超音波(メインローブ)の他に、妨害波となる超音波(グレーティングローブ)が発生する。例えば、リニアアレイセンサにおけるグレーティングローブが発生しないピッチの条件は、ピッチをp、伝搬する対象物中での波長をλ、伝搬方向をθとすると、p<λ/(1+|sinθ|)であり、ピッチには制限があることが知られている。広範囲の探傷を行うためには、前記の式にθ=90度を代入し、ピッチをp〜λ/2(半波長)にする必要があることが分かる。このとき、センサ開口は、センサの総素子数に装置による制限があるため、制御可能な最大総素子数をNとすれば、pN=λN/2程度に限られる。すなわち、センサ開口に上限があるため、斜角方向のセンサの分解能、感度に上限がある。
【0008】
本発明の目的は、総素子数を変えることなく、センサ開口の大型化できるとともに、オーバーピッチのセンサを用いても、斜角探傷においてノイズの低い検査画像を得ることができる超音波センサ,それを用いた超音波検査方法および超音波検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、検査対象の内部に超音波を送信し、前記検査対象からのエコーを受信し、前記エコーから検査対象を評価する装置に用いられ、超音波を発振する複数の超音波発振素子を配列したアレイセンサであって、前記アレイセンサを構成する前記複数の超音波発振素子は、一定方向に向かって、ピッチが大きくなっているものである。
かかる構成により、総素子数を変えることなく、センサ開口の大型化できるとともに、オーバーピッチのセンサを用いても、斜角探傷においてノイズの低い検査画像を得ることができるものとなる。
【0010】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記アレイセンサが、ある開口面積と、ある素子数を有する場合、前記超音波発振素子の平均ピッチは、同じピッチの超音波発信素子からなり、前記開口面積と同じ開口面積で、前記素子数と同じ素子数で、グレーティングローブが発生するようなアレイセンサのピッチと等しいものである。
【0011】
(3)上記(2)において、好ましくは、前記アレイセンサは、前記複数の超音波発振素子は、一定方向に向かって、ピッチが大きくなっている配列構造を一部に有するものである。
【0012】
(4)上記目的を達成するために、本発明は、アレイセンサを用い、超音波の送信時に結ばれる焦点を検査対象箇所中の複数個所に設定し、前記複数の焦点のそれぞれに対し、検査対象内部からの反射信号をそれぞれ収録し、得られた反射信号を閾値処理し、前記検査対象の内部を画像化して検査を行う超音波検査方法であって、前記アレイセンサとして、検査対象の内部に超音波を送信し、前記検査対象からのエコーを受信し、前記エコーから前記検査対象を評価する装置に用いられ、超音波を発振する複数の超音波発振素子を配列したアレイセンサであり、かつ、前記アレイセンサを構成する前記複数の超音波発振素子は、一定方向に向かって、ピッチが大きくなっているアレイセンサを用い、検査対象部位に近い側のピッチが遠い側のピッチよりも大きくなるように、前記アレイセンサが配置されるものである。
かかる方法により、総素子数を変えることなく、センサ開口の大型化できるとともに、オーバーピッチのセンサを用いても、斜角探傷においてノイズの低い検査画像を得ることができるものとなる。
【0013】
(5)上記(4)において、好ましくは、前記アレイセンサとして、前記アレイセンサを構成する前記複数の超音波発振素子は、一定方向に向かって、ピッチが大きくなっている配列構造を一部に有するアレイセンサを用い、超音波の送信時に結ばれる焦点を、検査対象箇所中の複数範囲に対応して設定し、前記各検査範囲に対し、アレイセンサを構成する超音波発生素子のうち使用する素子パターンを選択し、各検査範囲内部からの反射信号を複数回収録し、前記各検査範囲から得られた反射信号を閾値処理してデータを加算平均処理して画像データを生成するようにしたものである。
【0014】
(6)上記目的を達成するために、本発明は、アレイセンサを用い、被検体に超音波を送信し、前記被検体の表面または内部からの反射波により前記被検体の表面および内部を検査する超音波検査装置であって、センサ中心を基準とし、各素子に対応する送信信号に遅延時間を与える送信遅延手段と、遅延時間の与えられた超音波を送信する手段を備えるパルサと、受信した超音波をアナログ‐デジタル変換するA/D変換手段と、受信信号に遅延時間を与える手段からなるレシーバから構成される送・受信部と、遅延時間を制御する遅延制御手段と、受信信号を加算する加算手段と、受信信号を収録するとともに閾値処理する処理する制御・処理用コンピュータから構成される制御部と、前記受信手段により前記受信信号に基づいて、3次元または2次元の画像データを生成し、表示する表示部とを有し、前記アレイセンサは、検査対象の内部に超音波を送信し、前記検査対象からのエコーを受信し、前記エコーから前記検査対象を評価する装置に用いられ、超音波を発振する複数の超音波発振素子を配列したアレイセンサであり、かつ、前記アレイセンサを構成する前記複数の超音波発振素子は、一定方向に向かって、ピッチが大きくなっているアレイセンサであるものである。
かかる構成により、総素子数を変えることなく、センサ開口の大型化できるとともに、オーバーピッチのセンサを用いても、斜角探傷においてノイズの低い検査画像を得ることができるものとなる。
【0015】
(7)上記(6)において、好ましくは、前記アレイセンサは、前記アレイセンサを構成する前記複数の超音波発振素子は、一定方向に向かって、ピッチが大きくなっている配列構造を一部に有するアレイセンサであり、さらに、前記複数の超音波発振素子から使用する超音波発振素子を選択する使用素子選択手段を備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、総素子数を変えることなく、センサ開口の大型化できるとともに、オーバーピッチのセンサを用いても、斜角探傷においてノイズの低い検査画像を得ることができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態による超音波検査方法の基本概念を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態による超音波検査方法の基本概念を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態によるアレイセンサの第1の構成を示す平面図である。
【図4】本発明の一実施形態による超音波検査方法により得られる信号の説明図である。
【図5】本発明の一実施形態によるアレイセンサの第1の構成を示す平面図である。
【図6】本発明の一実施形態による超音波検査装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の一実施形態による超音波検査装置により検査方法の内容を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態による超音波検査方法の変形例を示す説明図である。
【図9】本発明の他の実施形態によるアレイセンサの構成を示す平面図である。
【図10】本発明の他の実施形態による超音波検査装置の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の他の実施形態による超音波検査装置により検査方法の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1〜図8を用いて、本発明の一実施形態による超音波検査装置の構成及び動作について説明する。
最初に、図1〜図5を用いて、本実施形態による超音波検査方法の基本概念について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による超音波検査方法の基本概念を示す説明図である。なお、図1(A)は断面図であり、図1(B)は平面図である。図2は、本発明の一実施形態による超音波検査方法の基本概念を示す斜視図である。図3は、本発明の一実施形態によるアレイセンサの第1の構成を示す平面図である。図4は、本発明の一実施形態による超音波検査方法により得られる信号の説明図である。図5は、本発明の一実施形態によるアレイセンサの第1の構成を示す平面図である。なお、図1〜図5において、同一符号は同一部分を示している。
【0019】
図1に示すように、被検体10は、第1の母材MM1と、第2の母材MM2とを、溶接部WPにより溶接した構造を有するものである。このような被検体が、検査範囲を考慮すべき検査対象例である。
【0020】
溶接部WPの近傍では熱影響を受けるため、母材MM1,MM2と比較して検査する必要性が高い。この溶接部WPとその近傍に対し、アレイセンサSを用いて検査する場合、アレイセンサSの素子配列方向X1を溶接線Y1に直交するような角度で検査する。なお、アレイセンサSは、被検体の表面に対して斜めに超音波を出力する斜角探傷により、想定欠陥DEを検出する。この場合、アレイセンサSから見て、溶接部WPとは逆方向にある母材(ここでは、第1母材MM1)は、もはや熱影響を受けておらず、検査の必要性が低いことが多い。
【0021】
このように検査すべき箇所が予め分かっている場合(想定欠陥DEの位置が予め分かっている場合)、アレイセンサSを構成する超音波発生素子のうち、検査部位から遠い素子部分から発振される超音波は、一素子あたりの指向性ゆえに、集束に対する寄与が小さくなる。
【0022】
そこで、図2に示すように、本実施形態で用いるアレイセンサSが、複数個の超音波発生素子E1,…,Enから構成される場合、検査範囲Adに近いところ(超音波発生素子E1等)はピッチが大きく、検査範囲から遠いところ(超音波発生素子En等)はピッチが小さいアレイセンサSを用いている。
【0023】
検査対象の検査範囲を考慮し、素子配列に対称性をなくしたアレイセンサSを用いることで、検査対称の検査範囲を考慮して斜角方向の検査性能を向上することができる。
【0024】
図3は、アレイセンサSがリニアアレイセンサの場合の構成を示している。本実施形態のアレイセンサは、素子の大きさが一定ではなく、大きさ素子と小さな素子を有し、一定方向に向かって、小さい素子から大きい素子となるように素子を配列している。
【0025】
アレイセンサSは、n個の超音波発生素子E1,E2,…,E(n−1),Enから構成されている。ここで、各超音波発生素子E1,E2,…,E(n−1),Enの超音波伝搬方向X1における各素子の幅をそれぞれWe1,We2,…,We(n−1),Wenとすると、一方の端部側から他方の端部側にかけて、素子の幅が順次狭くなるように、すなわち、We1>We2>…>We(n−1)>Wenとしている。
【0026】
また、各素子のギャップgはできるだけ狭い方がよいため、全て等しくしている。この場合、隣接する素子間の距離であるピッチを、それぞれ、Pe1−e2,Pe2−e3,…,Pe(n−2)−e(n−1),Pe(n−1)−enとすると、一方の端部側から他方の端部側にかけて、素子のピッチが順次狭くなるように、すなわち、Pe1−e2>Pe2−e3>,…,>Pe(n−2)−e(n−1)>Pe(n−1)−enとしている。
【0027】
また、センサの中心Oを通り、伝搬方向X1に直交する線分をncとすると、この線分ncに対して伝搬方向X1の方向に存在する素子Eの数は、伝搬方向X1とは反対方向に存在する素子Eの数よりも少なくなる。
【0028】
次に、図4を用いて、本実施形態により発生する超音波の強度について、従来構成のセンサにより発生する超音波の強度を比較して説明する。
【0029】
図4(A)は、被検体10に対してセンサSを配置したときの断面図を示している。アレイセンサSから集束点Pfに向けて斜角方向に超音波が出力される。ここで、アレイセンサSの中心位置をOとする。
【0030】
図4(B)は、本実施形態の効果についてのシミュレーションした結果を示している。
【0031】
図4(B)の実線は、本実施形態によるアレイセンサSにより発生した超音波の強度について、図4(A)に示したように、センサSの中心位置をOとして図示している。集束点Pfの近傍には、本来の探傷に用いる超音波(メインローブML)が発生するともに、中心位置Oに対して集束点Pfとは反対側に、妨害波となる超音波(グレーティングローブGL)が発生する。
【0032】
また、図4(B)の一点鎖線は、従来のアレイセンサ(各素子の幅が同じで、ピッチも同じもの)を用いた場合の、メインローブとグレーティングローブの強度を示している。
【0033】
例えば、3MHzの素子を均等配置したリニアアレイセンサの場合、鋼材中45度方向にグレーティングローブを発生することなく、音を集束させるには、ピッチは1.1mm以下である必要がある。これを、例えば1.5mmピッチのオーバーピッチでアレイセンサを作成すれば、図4(B)に一点鎖線で示すように、集束点PfのメインローブMLと同等の強さのグレーティングローブGLが発生する。
【0034】
それに対して、同じ素子数で、同じセンサ開口面積、すなわち、平均1.5mmピッチとなるように、2.0mm〜1.1mmまで0.1mmずつ変化させた素子で構成されたアレイセンサを用いれば、図4(B)に実線で示すようにグレーティングローブGLの強度を、メインローブMLの強度の約1/3低減することが可能となる。
【0035】
この平均ピッチは、従来の同じピッチの超音波発信素子からなり、同じ開口面積で、同じ素子数で、グレーティングローブが発生するようなアレイセンサのピッチと等しいものである。
【0036】
図5は、アレイセンサS’がマトリクスアレイセンサの場合の構成を示している。本実施形態のアレイセンサは、素子の大きさが一定ではなく、大きさ素子と小さな素子を有し、一定方向に向かって、小さい素子Esから大きい素子Elとなるように素子を配列している。
【0037】
センサS’の中心Oを通り、第1の方向に直交する線分をncとすると、この線分ncに対して第1の方向に存在する素子Eの数(線分ncから線分n1の間の素子の数)は、第1の方向とは反対方向に存在する素子Eの数(線分ncから線分n2の間の素子の数)よりも少なくなる。
【0038】
また、センサS’の中心Oを通り、第1の方向と直交する第2の方向に直交する線分をmcとすると、この線分mcに対して第2の方向に存在する素子Eの数(線分mcから線分m1の間の素子の数)は、第1の方向とは反対方向に存在する素子Eの数(線分mcから線分m2の間の素子の数)よりも少なくなる。
【0039】
ここで、超音波の伝搬方向X1は、第1及び第2の方向に対して45度の方向である。この超音波の伝搬方向X1に向かっても、小さい素子Esから大きい素子Elとなるように素子を配列している。
【0040】
なお、図3に示したリニアアレイセンサや、図5に示したマトリクスセンサとしては、平坦なものとしているが、それ以外にも、例えばコンベックスセンサのように、センサ接触面が、ゆるやかな曲率をもっているものにも適用することができる。
【0041】
次に、図6を用いて、本実施形態による超音波検査装置の構成について説明する。
図6は、本発明の一実施形態による超音波検査装置の構成を示すブロック図である。
【0042】
アレイセンサSは、図3や図5に示した構成を有するものであり、被検体10の表面に直接、あるいは間接的に当てられ、検査装置本体から超音波センサに電圧パルスの駆動信号が送られる。
【0043】
検査装置本体は、アレイセンサSは、ケーブルにより、検査装置本体と電気的に接続されている。検査装置本体は、送受信部102と、制御部103と、表示部104とから構成される。これらの詳細は後述する。送受信部102からの駆動信号は、超音波センサSの電極を介して圧電素子に伝えられ、超音波に変換される。被検体10に送波された超音波は被検体内を伝搬し、境界あるいは異質な箇所など音響インピーダンスが異なる部位で反射され、反射波の一部がアレイセンサSの圧電素子で受信される。ここで反射波は再び圧電素子によって電気信号に変換され、検査装置本体に入力される。入力された受信信号は、検査装置本体の制御部103にて信号処理され、例えば断層画像として表示部104に出力される。
【0044】
被検体10としては、生体などの有機構造物、あるいは、建築物などの無機構造物などを対象に、検査装置を利用することも可能である。したがって、本実施形態にかかる超音波センサは、特に、人体などの被検体の超音波診断を行う各種医療分野、材料や構造物の検査を目的とした工業分野において利用が可能である。
【0045】
図6に示すように、本実施形態の超音波検査装置は、検査対象である被検体10に設置され、検査対象に超音波を送・受信する超音波発振素子を備えるアレイセンサSと、アレイセンサSに遅延時間を与えて超音波を送信するパルサ102Aと受信した超音波をアナログ‐デジタル変換して受信信号とするレシーバ102からなる送・受信部102と、送・受信時の遅延時間の制御回路103D、受信信号の加算回路103Z、さらにはこれらを制御するとともに受信した信号を収録するとともに処理を行う制御・処理用コンピュータ103Aからなる制御部103と、各種設定を入力表示する素子設定入力画面104Aと、受信信号及び検査画像を表示する表示画面104Zを有する表示部104とから構成されている。
【0046】
次に、それぞれの動作について説明する。
【0047】
まず、制御・処理用コンピュータ103Aは、超音波を送・受信して検査対象からの反射信号を収録する際に、遅延制御回路103Dを通じて、超音波を集束して送・受信するための超音波発振素子への遅延時間を与える。送信信号と遅延時間を受取った送信遅延回路102Bは、送信信号を送信増幅器102Eへ送信する。送信増幅器102Eは送信信号を増幅して、アレイセンサの超音波発振素子に超音波を送信するための駆動電圧を印加する。増幅された送信信号を受けた複数の超音波発振素子は、圧電効果で超音波を遅延時間に対応した時間遅れで超音波を送信する。超音波を集束する場合には、各超音波発振素子から集束位置までの幾何学的な距離、つまり各媒質での超音波の音速と境界面での屈折を考慮した距離に対応した遅延時間で各超音波発振素子に電圧を印加し、検査範囲中、所定の位置に超音波を集束して送信する。
【0048】
一方、超音波をレシーバ102Zで受信し圧電効果により生じた電気信号を処理する際には、超音波発振素子101Aのそれぞれで受信した超音波に対応して、受信信号を受信増幅器102Yで増幅して、アナログ‐デジタル変換器102Xでアナログであった受信信号をデジタル信号に変換する。デジタル信号に変換され、選択された受信信号は、遅延メモリ102Vに記憶される。この際に、遅延メモリ102Vでは、超音波送信時と同様に超音波を集束して受信する際には、遅延制御回路103Dから送信された遅延時間を各超音波発振素子からの受信信号に付与して、記憶部103Bに記憶される。加算回路103Zで加算し、制御・処理用コンピュータ103Aに送る。処理装置103Cにより、画像処理する場合は、閾値などを決定し、閾値以上の強度の波高値のみを画像に出力し、表示部104で表示する。
【0049】
次に、図7を用いて、本実施形態による超音波検査装置による検査方法について説明する。
図7は、本発明の一実施形態による超音波検査装置により検査方法の内容を示すフローチャートである。
【0050】
ここでは、検査範囲に、複数個の焦点F(i)を設定し、超音波検査を実施する場合について説明する。
【0051】
最初に、アレイセンサに関する初期設定として、前述のアレイセンサを構成する超音波発振素子の素子情報や材質情報などを入力する(ステップS101)。さらに、ステップS101で与えた情報を元に、これら超音波発振素子に対し、遅延時間や画像表示の際の基準となるセンサ中心位置を設定する(ステップS102)。一般的には、図3や図5に示すように、超音波発振素子の中心Oをセンサ中心として設定している。
【0052】
次に、被検体のどの検査範囲に超音波を集束させるか設定する(ステップS103)。ステップS103で与えた検査範囲に対して、焦点F(i)を設定し、遅延時間を設定する(ステップS104)。この遅延時間の設定法は、センサ中心から焦点F(i)までの到達時間を基準とし、ステップS101で与えた各素子の中心位置の素子情報を元に、焦点F(i)までの到達時間を求めることで設定できる。
【0053】
そして、上記のように設定した超音波の送・受信を行い(ステップS105)、焦点F(i)に対するデータ(反射データ)を収録する(ステップS106)。さらに、全領域でのデータ収録を終了したかどうかの判別(ステップS107)を行い、終了していない(NO)場合には、次の焦点F(i+1)へ移行し、再び超音波の送・受信行い、反射データを収録することを全検査領域での反射データの収録が終了するまで順次繰り返す。
【0054】
全終了した(YES)場合は、画素と画素値のマップを作成し(ステップS108)、画像の表示を行い(ステップS109)、画像処理の必要性を確認して、画像処理の必要性がない場合は、終了する(ステップS110)。
【0055】
アーチファクトが出現し、画像処理の必要性がある場合は、図3に示したように、本発明ではグレーティングローブの強度を低減することが可能となるため、例えば、閾値を与えることで画像処理をし(ステップS111)、終了する。
【0056】
次に、図8を用いて、本実施形態による超音波検査方法の変形例について説明する。
図8は、本発明の一実施形態による超音波検査方法の変形例を示す説明図である。なお、図1〜図5と同一符号は、同一部分を示している。
【0057】
図1に示した例では、アレイセンサSは直接被検体10の表面に設置されていたが、図8に示すように、アレイセンサSと被検体10との間に、シューSHを配置するようにしてもよいものである。
【0058】
かかる構成により、被検体の表面から被検体に斜角入射する超音波の角度を小さくして、かつ、入射する超音波の強度を大きくしたい場合に有効である。
【0059】
以上説明したように、本実施形態によれば、総素子数を変えることなく、センサ開口の大型化できるとともに、オーバーピッチのセンサを用いても、斜角探傷においてノイズの低い検査画像を得ることができるものとなる。
【0060】
次に、図9〜図11を用いて、本発明の他の実施形態による超音波検査装置の構成及び動作について説明する。
最初に、図9を用いて、本実施形態によるアレイセンサの構成について説明する。
図9は、本発明の他の実施形態によるアレイセンサの構成を示す平面図である。
【0061】
図9に示すアレイセンサS”は、図3に示した構造を一部にもつアレイセンサである。
【0062】
図9(A)は平面図を示し、図9(B)は断面図を示している。本実施形態のアレイセンサS”は、線分nc1を中心として左右対称の構成となっている。線分nc1から左方向の端部側の線分n1の方向に向かって、小さな素子Esから大きな素子Elが配列されている。また、線分nc1から右方向の端部側の線分n2の方向に向かっても、小さな素子Esから大きな素子Elが配列されている。
【0063】
本アレイセンサS”も用い方は、次のようにする。すなわち、斜角方向の探傷は両側に配置される素子を用いて探傷する。すなわち、左斜角方向については、センサ中心を線分nc2として、線分nc1から線分n1の間に配置される素子を用いて探傷する。また、右斜角方向については、センサ中心を線分nc3として、線分nc1から線分n2の間に配置される素子を用いて探傷する。
【0064】
また、垂直方向は、線分n1から線分n2の間の素子の全体を用いて、あるいは、線分nc2から線分nc3の間の中央部分の素子のみを用いて探傷する。全体の素子を用いれば開口径を大きくして深い部分の探傷が可能である。中央部分のみを用いれば、浅い部分の探傷が可能となる。これらの場合、センサ中心は線分nc1となる。
【0065】
なお、センサ接触面には、コンベックスのように、曲率があってもよいものである。
【0066】
次に、図10を用いて、本実施形態による超音波検査装置の構成について説明する。
図10は、本発明の他の実施形態による超音波検査装置の構成を示すブロック図である。なお、図6と同一符号は同一部分を示している。
【0067】
本例では、図6の構成に加えて、使用素子範囲パターンの記憶部103Fと、送信側、受信側に使用素子範囲選択部102F、102Wを設けている。
【0068】
使用素子パターンを記憶部103Fに予め記憶させておき、このパターンに即し、使用素子範囲選択部102F、および使用素子範囲選択部102WでスイッチのON・OFFにより、信号の伝達の可否を選択する。
【0069】
また、各使用素子範囲で描いた画像を一度に表示するため、画像の加算平均処理する機能を処理装置103Cに新たに持たせる。
【0070】
次に、図11を用いて、本実施形態による超音波検査装置による検査方法について説明する。
図11は、本発明の他の実施形態による超音波検査装置により検査方法の内容を示すフローチャートである。なお、図7と同一ステップは同一内容を示している。
【0071】
本例では、使用素子範囲パターンの設定ステップS200を設け、使用素子範囲を選択し、その素子中心を決める処理を追加する。また、この使用素子範囲パターンを切り替えるステップS201を設ける。さらに、各使用素子範囲で描いた画像を一度に表示するため、ステップS111に、画像の加算平均処理する機能を持たせる。
【0072】
以上説明したように、本実施形態によれば、総素子数を変えることなく、センサ開口の大型化できるとともに、オーバーピッチのセンサを用いても、斜角探傷においてノイズの低い検査画像を得ることができるものとなる。
【0073】
また、使用する素子を選択することで、探傷箇所等に応じた超音波探傷が可能となる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波センサ,それを用いた超音波検査方法および超音波検査装置に係り、特に、斜角探傷においてノイズの低い検査画像を得るに好適な超音波センサ,それを用いた超音波検査方法および超音波検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工業分野や医療分野における非破壊検査方法の一つに、超音波検査が用いられている。超音波検査は、超音波を対象物にあててその反射波を映像化し、検査する方法である。工業分野においては、この超音波を用いて欠陥を検査する方法を超音波探傷法と呼ぶこともある。
【0003】
超音波検査方法の中でも、有効な手法の一つとしてフェーズドアレイ方式が知られている(例えば、特許文献1参照)。フェーズドアレイ方式は、電子走査方式や電子スキャン方式とも呼ばれ、例えば圧電素子などの、超音波を発振可能な超音波発生素子をアレイ状に配置したアレイセンサを用い、検査装置により、各素子に電気信号を所定の時間だけ遅延させて与えることで、各素子から発生した超音波が被検体中で焦点を形成し、さらに、この各素子への電気信号を遅延させるパターン(遅延パターン)を高速で変化させることにより、被検査体中への超音波の送受信角度(屈折角)、焦点位置などを制御できるようにした方法のことである。
【0004】
この方式が重要視されている理由は、被検体の内部でも特に欠陥が想定される範囲や近傍において、反射波をより強く受信できる角度や位置に焦点を形成することで、反射源である欠陥を検出しやすくできるからである。
【0005】
例えば、溶接部における検査では、溶接による熱影響の範囲において欠陥の発生が予測されるので、この範囲に対して斜角方向から超音波が照射されるように、また、板厚あるいはその数倍程度の伝搬距離で焦点を形成するように遅延パターンを作成することで、効率よく検査できる。フェーズドアレイ方式で用いるアレイセンサとしては、多数の素子を直線上、あるいは曲線上に1次元配列し、断面検査を可能としたリニアアレイセンサ、素子を2次元配列し、体積検査を可能としたマトリクスセンサが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−276465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらのセンサの総素子数を制御可能な数に抑えつつ、センサ開口を大型化すると、各素子の間の距離(ピッチ)が大きくなる。ピッチが大きくなると、本来の探傷に用いる超音波(メインローブ)の他に、妨害波となる超音波(グレーティングローブ)が発生する。例えば、リニアアレイセンサにおけるグレーティングローブが発生しないピッチの条件は、ピッチをp、伝搬する対象物中での波長をλ、伝搬方向をθとすると、p<λ/(1+|sinθ|)であり、ピッチには制限があることが知られている。広範囲の探傷を行うためには、前記の式にθ=90度を代入し、ピッチをp〜λ/2(半波長)にする必要があることが分かる。このとき、センサ開口は、センサの総素子数に装置による制限があるため、制御可能な最大総素子数をNとすれば、pN=λN/2程度に限られる。すなわち、センサ開口に上限があるため、斜角方向のセンサの分解能、感度に上限がある。
【0008】
本発明の目的は、総素子数を変えることなく、センサ開口の大型化できるとともに、オーバーピッチのセンサを用いても、斜角探傷においてノイズの低い検査画像を得ることができる超音波センサ,それを用いた超音波検査方法および超音波検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、検査対象の内部に超音波を送信し、前記検査対象からのエコーを受信し、前記エコーから検査対象を評価する装置に用いられ、超音波を発振する複数の超音波発振素子を配列したアレイセンサであって、前記アレイセンサを構成する前記複数の超音波発振素子は、一定方向に向かって、ピッチが大きくなっているものである。
かかる構成により、総素子数を変えることなく、センサ開口の大型化できるとともに、オーバーピッチのセンサを用いても、斜角探傷においてノイズの低い検査画像を得ることができるものとなる。
【0010】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記アレイセンサが、ある開口面積と、ある素子数を有する場合、前記超音波発振素子の平均ピッチは、同じピッチの超音波発信素子からなり、前記開口面積と同じ開口面積で、前記素子数と同じ素子数で、グレーティングローブが発生するようなアレイセンサのピッチと等しいものである。
【0011】
(3)上記(2)において、好ましくは、前記アレイセンサは、前記複数の超音波発振素子は、一定方向に向かって、ピッチが大きくなっている配列構造を一部に有するものである。
【0012】
(4)上記目的を達成するために、本発明は、アレイセンサを用い、超音波の送信時に結ばれる焦点を検査対象箇所中の複数個所に設定し、前記複数の焦点のそれぞれに対し、検査対象内部からの反射信号をそれぞれ収録し、得られた反射信号を閾値処理し、前記検査対象の内部を画像化して検査を行う超音波検査方法であって、前記アレイセンサとして、検査対象の内部に超音波を送信し、前記検査対象からのエコーを受信し、前記エコーから前記検査対象を評価する装置に用いられ、超音波を発振する複数の超音波発振素子を配列したアレイセンサであり、かつ、前記アレイセンサを構成する前記複数の超音波発振素子は、一定方向に向かって、ピッチが大きくなっているアレイセンサを用い、検査対象部位に近い側のピッチが遠い側のピッチよりも大きくなるように、前記アレイセンサが配置されるものである。
かかる方法により、総素子数を変えることなく、センサ開口の大型化できるとともに、オーバーピッチのセンサを用いても、斜角探傷においてノイズの低い検査画像を得ることができるものとなる。
【0013】
(5)上記(4)において、好ましくは、前記アレイセンサとして、前記アレイセンサを構成する前記複数の超音波発振素子は、一定方向に向かって、ピッチが大きくなっている配列構造を一部に有するアレイセンサを用い、超音波の送信時に結ばれる焦点を、検査対象箇所中の複数範囲に対応して設定し、前記各検査範囲に対し、アレイセンサを構成する超音波発生素子のうち使用する素子パターンを選択し、各検査範囲内部からの反射信号を複数回収録し、前記各検査範囲から得られた反射信号を閾値処理してデータを加算平均処理して画像データを生成するようにしたものである。
【0014】
(6)上記目的を達成するために、本発明は、アレイセンサを用い、被検体に超音波を送信し、前記被検体の表面または内部からの反射波により前記被検体の表面および内部を検査する超音波検査装置であって、センサ中心を基準とし、各素子に対応する送信信号に遅延時間を与える送信遅延手段と、遅延時間の与えられた超音波を送信する手段を備えるパルサと、受信した超音波をアナログ‐デジタル変換するA/D変換手段と、受信信号に遅延時間を与える手段からなるレシーバから構成される送・受信部と、遅延時間を制御する遅延制御手段と、受信信号を加算する加算手段と、受信信号を収録するとともに閾値処理する処理する制御・処理用コンピュータから構成される制御部と、前記受信手段により前記受信信号に基づいて、3次元または2次元の画像データを生成し、表示する表示部とを有し、前記アレイセンサは、検査対象の内部に超音波を送信し、前記検査対象からのエコーを受信し、前記エコーから前記検査対象を評価する装置に用いられ、超音波を発振する複数の超音波発振素子を配列したアレイセンサであり、かつ、前記アレイセンサを構成する前記複数の超音波発振素子は、一定方向に向かって、ピッチが大きくなっているアレイセンサであるものである。
かかる構成により、総素子数を変えることなく、センサ開口の大型化できるとともに、オーバーピッチのセンサを用いても、斜角探傷においてノイズの低い検査画像を得ることができるものとなる。
【0015】
(7)上記(6)において、好ましくは、前記アレイセンサは、前記アレイセンサを構成する前記複数の超音波発振素子は、一定方向に向かって、ピッチが大きくなっている配列構造を一部に有するアレイセンサであり、さらに、前記複数の超音波発振素子から使用する超音波発振素子を選択する使用素子選択手段を備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、総素子数を変えることなく、センサ開口の大型化できるとともに、オーバーピッチのセンサを用いても、斜角探傷においてノイズの低い検査画像を得ることができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態による超音波検査方法の基本概念を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態による超音波検査方法の基本概念を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態によるアレイセンサの第1の構成を示す平面図である。
【図4】本発明の一実施形態による超音波検査方法により得られる信号の説明図である。
【図5】本発明の一実施形態によるアレイセンサの第1の構成を示す平面図である。
【図6】本発明の一実施形態による超音波検査装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の一実施形態による超音波検査装置により検査方法の内容を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態による超音波検査方法の変形例を示す説明図である。
【図9】本発明の他の実施形態によるアレイセンサの構成を示す平面図である。
【図10】本発明の他の実施形態による超音波検査装置の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の他の実施形態による超音波検査装置により検査方法の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1〜図8を用いて、本発明の一実施形態による超音波検査装置の構成及び動作について説明する。
最初に、図1〜図5を用いて、本実施形態による超音波検査方法の基本概念について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による超音波検査方法の基本概念を示す説明図である。なお、図1(A)は断面図であり、図1(B)は平面図である。図2は、本発明の一実施形態による超音波検査方法の基本概念を示す斜視図である。図3は、本発明の一実施形態によるアレイセンサの第1の構成を示す平面図である。図4は、本発明の一実施形態による超音波検査方法により得られる信号の説明図である。図5は、本発明の一実施形態によるアレイセンサの第1の構成を示す平面図である。なお、図1〜図5において、同一符号は同一部分を示している。
【0019】
図1に示すように、被検体10は、第1の母材MM1と、第2の母材MM2とを、溶接部WPにより溶接した構造を有するものである。このような被検体が、検査範囲を考慮すべき検査対象例である。
【0020】
溶接部WPの近傍では熱影響を受けるため、母材MM1,MM2と比較して検査する必要性が高い。この溶接部WPとその近傍に対し、アレイセンサSを用いて検査する場合、アレイセンサSの素子配列方向X1を溶接線Y1に直交するような角度で検査する。なお、アレイセンサSは、被検体の表面に対して斜めに超音波を出力する斜角探傷により、想定欠陥DEを検出する。この場合、アレイセンサSから見て、溶接部WPとは逆方向にある母材(ここでは、第1母材MM1)は、もはや熱影響を受けておらず、検査の必要性が低いことが多い。
【0021】
このように検査すべき箇所が予め分かっている場合(想定欠陥DEの位置が予め分かっている場合)、アレイセンサSを構成する超音波発生素子のうち、検査部位から遠い素子部分から発振される超音波は、一素子あたりの指向性ゆえに、集束に対する寄与が小さくなる。
【0022】
そこで、図2に示すように、本実施形態で用いるアレイセンサSが、複数個の超音波発生素子E1,…,Enから構成される場合、検査範囲Adに近いところ(超音波発生素子E1等)はピッチが大きく、検査範囲から遠いところ(超音波発生素子En等)はピッチが小さいアレイセンサSを用いている。
【0023】
検査対象の検査範囲を考慮し、素子配列に対称性をなくしたアレイセンサSを用いることで、検査対称の検査範囲を考慮して斜角方向の検査性能を向上することができる。
【0024】
図3は、アレイセンサSがリニアアレイセンサの場合の構成を示している。本実施形態のアレイセンサは、素子の大きさが一定ではなく、大きさ素子と小さな素子を有し、一定方向に向かって、小さい素子から大きい素子となるように素子を配列している。
【0025】
アレイセンサSは、n個の超音波発生素子E1,E2,…,E(n−1),Enから構成されている。ここで、各超音波発生素子E1,E2,…,E(n−1),Enの超音波伝搬方向X1における各素子の幅をそれぞれWe1,We2,…,We(n−1),Wenとすると、一方の端部側から他方の端部側にかけて、素子の幅が順次狭くなるように、すなわち、We1>We2>…>We(n−1)>Wenとしている。
【0026】
また、各素子のギャップgはできるだけ狭い方がよいため、全て等しくしている。この場合、隣接する素子間の距離であるピッチを、それぞれ、Pe1−e2,Pe2−e3,…,Pe(n−2)−e(n−1),Pe(n−1)−enとすると、一方の端部側から他方の端部側にかけて、素子のピッチが順次狭くなるように、すなわち、Pe1−e2>Pe2−e3>,…,>Pe(n−2)−e(n−1)>Pe(n−1)−enとしている。
【0027】
また、センサの中心Oを通り、伝搬方向X1に直交する線分をncとすると、この線分ncに対して伝搬方向X1の方向に存在する素子Eの数は、伝搬方向X1とは反対方向に存在する素子Eの数よりも少なくなる。
【0028】
次に、図4を用いて、本実施形態により発生する超音波の強度について、従来構成のセンサにより発生する超音波の強度を比較して説明する。
【0029】
図4(A)は、被検体10に対してセンサSを配置したときの断面図を示している。アレイセンサSから集束点Pfに向けて斜角方向に超音波が出力される。ここで、アレイセンサSの中心位置をOとする。
【0030】
図4(B)は、本実施形態の効果についてのシミュレーションした結果を示している。
【0031】
図4(B)の実線は、本実施形態によるアレイセンサSにより発生した超音波の強度について、図4(A)に示したように、センサSの中心位置をOとして図示している。集束点Pfの近傍には、本来の探傷に用いる超音波(メインローブML)が発生するともに、中心位置Oに対して集束点Pfとは反対側に、妨害波となる超音波(グレーティングローブGL)が発生する。
【0032】
また、図4(B)の一点鎖線は、従来のアレイセンサ(各素子の幅が同じで、ピッチも同じもの)を用いた場合の、メインローブとグレーティングローブの強度を示している。
【0033】
例えば、3MHzの素子を均等配置したリニアアレイセンサの場合、鋼材中45度方向にグレーティングローブを発生することなく、音を集束させるには、ピッチは1.1mm以下である必要がある。これを、例えば1.5mmピッチのオーバーピッチでアレイセンサを作成すれば、図4(B)に一点鎖線で示すように、集束点PfのメインローブMLと同等の強さのグレーティングローブGLが発生する。
【0034】
それに対して、同じ素子数で、同じセンサ開口面積、すなわち、平均1.5mmピッチとなるように、2.0mm〜1.1mmまで0.1mmずつ変化させた素子で構成されたアレイセンサを用いれば、図4(B)に実線で示すようにグレーティングローブGLの強度を、メインローブMLの強度の約1/3低減することが可能となる。
【0035】
この平均ピッチは、従来の同じピッチの超音波発信素子からなり、同じ開口面積で、同じ素子数で、グレーティングローブが発生するようなアレイセンサのピッチと等しいものである。
【0036】
図5は、アレイセンサS’がマトリクスアレイセンサの場合の構成を示している。本実施形態のアレイセンサは、素子の大きさが一定ではなく、大きさ素子と小さな素子を有し、一定方向に向かって、小さい素子Esから大きい素子Elとなるように素子を配列している。
【0037】
センサS’の中心Oを通り、第1の方向に直交する線分をncとすると、この線分ncに対して第1の方向に存在する素子Eの数(線分ncから線分n1の間の素子の数)は、第1の方向とは反対方向に存在する素子Eの数(線分ncから線分n2の間の素子の数)よりも少なくなる。
【0038】
また、センサS’の中心Oを通り、第1の方向と直交する第2の方向に直交する線分をmcとすると、この線分mcに対して第2の方向に存在する素子Eの数(線分mcから線分m1の間の素子の数)は、第1の方向とは反対方向に存在する素子Eの数(線分mcから線分m2の間の素子の数)よりも少なくなる。
【0039】
ここで、超音波の伝搬方向X1は、第1及び第2の方向に対して45度の方向である。この超音波の伝搬方向X1に向かっても、小さい素子Esから大きい素子Elとなるように素子を配列している。
【0040】
なお、図3に示したリニアアレイセンサや、図5に示したマトリクスセンサとしては、平坦なものとしているが、それ以外にも、例えばコンベックスセンサのように、センサ接触面が、ゆるやかな曲率をもっているものにも適用することができる。
【0041】
次に、図6を用いて、本実施形態による超音波検査装置の構成について説明する。
図6は、本発明の一実施形態による超音波検査装置の構成を示すブロック図である。
【0042】
アレイセンサSは、図3や図5に示した構成を有するものであり、被検体10の表面に直接、あるいは間接的に当てられ、検査装置本体から超音波センサに電圧パルスの駆動信号が送られる。
【0043】
検査装置本体は、アレイセンサSは、ケーブルにより、検査装置本体と電気的に接続されている。検査装置本体は、送受信部102と、制御部103と、表示部104とから構成される。これらの詳細は後述する。送受信部102からの駆動信号は、超音波センサSの電極を介して圧電素子に伝えられ、超音波に変換される。被検体10に送波された超音波は被検体内を伝搬し、境界あるいは異質な箇所など音響インピーダンスが異なる部位で反射され、反射波の一部がアレイセンサSの圧電素子で受信される。ここで反射波は再び圧電素子によって電気信号に変換され、検査装置本体に入力される。入力された受信信号は、検査装置本体の制御部103にて信号処理され、例えば断層画像として表示部104に出力される。
【0044】
被検体10としては、生体などの有機構造物、あるいは、建築物などの無機構造物などを対象に、検査装置を利用することも可能である。したがって、本実施形態にかかる超音波センサは、特に、人体などの被検体の超音波診断を行う各種医療分野、材料や構造物の検査を目的とした工業分野において利用が可能である。
【0045】
図6に示すように、本実施形態の超音波検査装置は、検査対象である被検体10に設置され、検査対象に超音波を送・受信する超音波発振素子を備えるアレイセンサSと、アレイセンサSに遅延時間を与えて超音波を送信するパルサ102Aと受信した超音波をアナログ‐デジタル変換して受信信号とするレシーバ102からなる送・受信部102と、送・受信時の遅延時間の制御回路103D、受信信号の加算回路103Z、さらにはこれらを制御するとともに受信した信号を収録するとともに処理を行う制御・処理用コンピュータ103Aからなる制御部103と、各種設定を入力表示する素子設定入力画面104Aと、受信信号及び検査画像を表示する表示画面104Zを有する表示部104とから構成されている。
【0046】
次に、それぞれの動作について説明する。
【0047】
まず、制御・処理用コンピュータ103Aは、超音波を送・受信して検査対象からの反射信号を収録する際に、遅延制御回路103Dを通じて、超音波を集束して送・受信するための超音波発振素子への遅延時間を与える。送信信号と遅延時間を受取った送信遅延回路102Bは、送信信号を送信増幅器102Eへ送信する。送信増幅器102Eは送信信号を増幅して、アレイセンサの超音波発振素子に超音波を送信するための駆動電圧を印加する。増幅された送信信号を受けた複数の超音波発振素子は、圧電効果で超音波を遅延時間に対応した時間遅れで超音波を送信する。超音波を集束する場合には、各超音波発振素子から集束位置までの幾何学的な距離、つまり各媒質での超音波の音速と境界面での屈折を考慮した距離に対応した遅延時間で各超音波発振素子に電圧を印加し、検査範囲中、所定の位置に超音波を集束して送信する。
【0048】
一方、超音波をレシーバ102Zで受信し圧電効果により生じた電気信号を処理する際には、超音波発振素子101Aのそれぞれで受信した超音波に対応して、受信信号を受信増幅器102Yで増幅して、アナログ‐デジタル変換器102Xでアナログであった受信信号をデジタル信号に変換する。デジタル信号に変換され、選択された受信信号は、遅延メモリ102Vに記憶される。この際に、遅延メモリ102Vでは、超音波送信時と同様に超音波を集束して受信する際には、遅延制御回路103Dから送信された遅延時間を各超音波発振素子からの受信信号に付与して、記憶部103Bに記憶される。加算回路103Zで加算し、制御・処理用コンピュータ103Aに送る。処理装置103Cにより、画像処理する場合は、閾値などを決定し、閾値以上の強度の波高値のみを画像に出力し、表示部104で表示する。
【0049】
次に、図7を用いて、本実施形態による超音波検査装置による検査方法について説明する。
図7は、本発明の一実施形態による超音波検査装置により検査方法の内容を示すフローチャートである。
【0050】
ここでは、検査範囲に、複数個の焦点F(i)を設定し、超音波検査を実施する場合について説明する。
【0051】
最初に、アレイセンサに関する初期設定として、前述のアレイセンサを構成する超音波発振素子の素子情報や材質情報などを入力する(ステップS101)。さらに、ステップS101で与えた情報を元に、これら超音波発振素子に対し、遅延時間や画像表示の際の基準となるセンサ中心位置を設定する(ステップS102)。一般的には、図3や図5に示すように、超音波発振素子の中心Oをセンサ中心として設定している。
【0052】
次に、被検体のどの検査範囲に超音波を集束させるか設定する(ステップS103)。ステップS103で与えた検査範囲に対して、焦点F(i)を設定し、遅延時間を設定する(ステップS104)。この遅延時間の設定法は、センサ中心から焦点F(i)までの到達時間を基準とし、ステップS101で与えた各素子の中心位置の素子情報を元に、焦点F(i)までの到達時間を求めることで設定できる。
【0053】
そして、上記のように設定した超音波の送・受信を行い(ステップS105)、焦点F(i)に対するデータ(反射データ)を収録する(ステップS106)。さらに、全領域でのデータ収録を終了したかどうかの判別(ステップS107)を行い、終了していない(NO)場合には、次の焦点F(i+1)へ移行し、再び超音波の送・受信行い、反射データを収録することを全検査領域での反射データの収録が終了するまで順次繰り返す。
【0054】
全終了した(YES)場合は、画素と画素値のマップを作成し(ステップS108)、画像の表示を行い(ステップS109)、画像処理の必要性を確認して、画像処理の必要性がない場合は、終了する(ステップS110)。
【0055】
アーチファクトが出現し、画像処理の必要性がある場合は、図3に示したように、本発明ではグレーティングローブの強度を低減することが可能となるため、例えば、閾値を与えることで画像処理をし(ステップS111)、終了する。
【0056】
次に、図8を用いて、本実施形態による超音波検査方法の変形例について説明する。
図8は、本発明の一実施形態による超音波検査方法の変形例を示す説明図である。なお、図1〜図5と同一符号は、同一部分を示している。
【0057】
図1に示した例では、アレイセンサSは直接被検体10の表面に設置されていたが、図8に示すように、アレイセンサSと被検体10との間に、シューSHを配置するようにしてもよいものである。
【0058】
かかる構成により、被検体の表面から被検体に斜角入射する超音波の角度を小さくして、かつ、入射する超音波の強度を大きくしたい場合に有効である。
【0059】
以上説明したように、本実施形態によれば、総素子数を変えることなく、センサ開口の大型化できるとともに、オーバーピッチのセンサを用いても、斜角探傷においてノイズの低い検査画像を得ることができるものとなる。
【0060】
次に、図9〜図11を用いて、本発明の他の実施形態による超音波検査装置の構成及び動作について説明する。
最初に、図9を用いて、本実施形態によるアレイセンサの構成について説明する。
図9は、本発明の他の実施形態によるアレイセンサの構成を示す平面図である。
【0061】
図9に示すアレイセンサS”は、図3に示した構造を一部にもつアレイセンサである。
【0062】
図9(A)は平面図を示し、図9(B)は断面図を示している。本実施形態のアレイセンサS”は、線分nc1を中心として左右対称の構成となっている。線分nc1から左方向の端部側の線分n1の方向に向かって、小さな素子Esから大きな素子Elが配列されている。また、線分nc1から右方向の端部側の線分n2の方向に向かっても、小さな素子Esから大きな素子Elが配列されている。
【0063】
本アレイセンサS”も用い方は、次のようにする。すなわち、斜角方向の探傷は両側に配置される素子を用いて探傷する。すなわち、左斜角方向については、センサ中心を線分nc2として、線分nc1から線分n1の間に配置される素子を用いて探傷する。また、右斜角方向については、センサ中心を線分nc3として、線分nc1から線分n2の間に配置される素子を用いて探傷する。
【0064】
また、垂直方向は、線分n1から線分n2の間の素子の全体を用いて、あるいは、線分nc2から線分nc3の間の中央部分の素子のみを用いて探傷する。全体の素子を用いれば開口径を大きくして深い部分の探傷が可能である。中央部分のみを用いれば、浅い部分の探傷が可能となる。これらの場合、センサ中心は線分nc1となる。
【0065】
なお、センサ接触面には、コンベックスのように、曲率があってもよいものである。
【0066】
次に、図10を用いて、本実施形態による超音波検査装置の構成について説明する。
図10は、本発明の他の実施形態による超音波検査装置の構成を示すブロック図である。なお、図6と同一符号は同一部分を示している。
【0067】
本例では、図6の構成に加えて、使用素子範囲パターンの記憶部103Fと、送信側、受信側に使用素子範囲選択部102F、102Wを設けている。
【0068】
使用素子パターンを記憶部103Fに予め記憶させておき、このパターンに即し、使用素子範囲選択部102F、および使用素子範囲選択部102WでスイッチのON・OFFにより、信号の伝達の可否を選択する。
【0069】
また、各使用素子範囲で描いた画像を一度に表示するため、画像の加算平均処理する機能を処理装置103Cに新たに持たせる。
【0070】
次に、図11を用いて、本実施形態による超音波検査装置による検査方法について説明する。
図11は、本発明の他の実施形態による超音波検査装置により検査方法の内容を示すフローチャートである。なお、図7と同一ステップは同一内容を示している。
【0071】
本例では、使用素子範囲パターンの設定ステップS200を設け、使用素子範囲を選択し、その素子中心を決める処理を追加する。また、この使用素子範囲パターンを切り替えるステップS201を設ける。さらに、各使用素子範囲で描いた画像を一度に表示するため、ステップS111に、画像の加算平均処理する機能を持たせる。
【0072】
以上説明したように、本実施形態によれば、総素子数を変えることなく、センサ開口の大型化できるとともに、オーバーピッチのセンサを用いても、斜角探傷においてノイズの低い検査画像を得ることができるものとなる。
【0073】
また、使用する素子を選択することで、探傷箇所等に応じた超音波探傷が可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の内部に超音波を送信し、前記検査対象からのエコーを受信し、前記エコーから検査対象を評価する装置に用いられ、超音波を発振する複数の超音波発振素子を配列したアレイセンサであって、
前記アレイセンサを構成する前記複数の超音波発振素子は、一定方向に向かって、ピッチが大きくなっていることを特徴とするアレイセンサ。
【請求項2】
請求項1記載のアレイセンサにおいて、
前記アレイセンサが、ある開口面積と、ある素子数を有する場合、
前記超音波発振素子の平均ピッチは、
同じピッチの超音波発信素子からなり、前記開口面積と同じ開口面積で、前記素子数と同じ素子数で、グレーティングローブが発生するようなアレイセンサのピッチと等しいことを特徴とするアレイセンサ。
【請求項3】
請求項2記載のアレイセンサにおいて、
前記アレイセンサは、前記複数の超音波発振素子は、一定方向に向かって、ピッチが大きくなっている配列構造を一部に有することを特徴とするアレイセンサ。
【請求項4】
アレイセンサを用い、
超音波の送信時に結ばれる焦点を検査対象箇所中の複数個所に設定し、
前記複数の焦点のそれぞれに対し、検査対象内部からの反射信号をそれぞれ収録し、
得られた反射信号を閾値処理し、
前記検査対象の内部を画像化して検査を行う超音波検査方法であって、
前記アレイセンサとして、
検査対象の内部に超音波を送信し、前記検査対象からのエコーを受信し、前記エコーから前記検査対象を評価する装置に用いられ、超音波を発振する複数の超音波発振素子を配列したアレイセンサであり、かつ、
前記アレイセンサを構成する前記複数の超音波発振素子は、一定方向に向かって、ピッチが大きくなっているアレイセンサを用い、
検査対象部位に近い側のピッチが遠い側のピッチよりも大きくなるように、前記アレイセンサが配置されることを特徴とする超音波検査方法。
【請求項5】
請求項4記載の超音波検査方法において、
前記アレイセンサとして、前記アレイセンサを構成する前記複数の超音波発振素子は、一定方向に向かって、ピッチが大きくなっている配列構造を一部に有するアレイセンサを用い、
超音波の送信時に結ばれる焦点を、検査対象箇所中の複数範囲に対応して設定し、
前記各検査範囲に対し、アレイセンサを構成する超音波発生素子のうち使用する素子パターンを選択し、
各検査範囲内部からの反射信号を複数回収録し、
前記各検査範囲から得られた反射信号を閾値処理してデータを加算平均処理して画像データを生成することを特徴とする超音波検査方法。
【請求項6】
アレイセンサを用い、被検体に超音波を送信し、前記被検体の表面または内部からの反射波により前記被検体の表面および内部を検査する超音波検査装置であって、
センサ中心を基準とし、各素子に対応する送信信号に遅延時間を与える送信遅延手段と、遅延時間の与えられた超音波を送信する手段を備えるパルサと、
受信した超音波をアナログ‐デジタル変換するA/D変換手段と、受信信号に遅延時間を与える手段からなるレシーバから構成される送・受信部と、
遅延時間を制御する遅延制御手段と、受信信号を加算する加算手段と、受信信号を収録するとともに閾値処理する処理する制御・処理用コンピュータから構成される制御部と、
前記受信手段により前記受信信号に基づいて、3次元または2次元の画像データを生成し、表示する表示部とを有し、
前記アレイセンサは、
検査対象の内部に超音波を送信し、前記検査対象からのエコーを受信し、前記エコーから前記検査対象を評価する装置に用いられ、超音波を発振する複数の超音波発振素子を配列したアレイセンサであり、かつ、
前記アレイセンサを構成する前記複数の超音波発振素子は、一定方向に向かって、ピッチが大きくなっているアレイセンサであることを特徴とする超音波検査装置。
【請求項7】
請求項6記載の超音波検査装置において、
前記アレイセンサは、前記アレイセンサを構成する前記複数の超音波発振素子は、一定方向に向かって、ピッチが大きくなっている配列構造を一部に有するアレイセンサであり、
さらに、前記複数の超音波発振素子から使用する超音波発振素子を選択する使用素子選択手段を備えることを特徴とする超音波検査装置。
【請求項1】
検査対象の内部に超音波を送信し、前記検査対象からのエコーを受信し、前記エコーから検査対象を評価する装置に用いられ、超音波を発振する複数の超音波発振素子を配列したアレイセンサであって、
前記アレイセンサを構成する前記複数の超音波発振素子は、一定方向に向かって、ピッチが大きくなっていることを特徴とするアレイセンサ。
【請求項2】
請求項1記載のアレイセンサにおいて、
前記アレイセンサが、ある開口面積と、ある素子数を有する場合、
前記超音波発振素子の平均ピッチは、
同じピッチの超音波発信素子からなり、前記開口面積と同じ開口面積で、前記素子数と同じ素子数で、グレーティングローブが発生するようなアレイセンサのピッチと等しいことを特徴とするアレイセンサ。
【請求項3】
請求項2記載のアレイセンサにおいて、
前記アレイセンサは、前記複数の超音波発振素子は、一定方向に向かって、ピッチが大きくなっている配列構造を一部に有することを特徴とするアレイセンサ。
【請求項4】
アレイセンサを用い、
超音波の送信時に結ばれる焦点を検査対象箇所中の複数個所に設定し、
前記複数の焦点のそれぞれに対し、検査対象内部からの反射信号をそれぞれ収録し、
得られた反射信号を閾値処理し、
前記検査対象の内部を画像化して検査を行う超音波検査方法であって、
前記アレイセンサとして、
検査対象の内部に超音波を送信し、前記検査対象からのエコーを受信し、前記エコーから前記検査対象を評価する装置に用いられ、超音波を発振する複数の超音波発振素子を配列したアレイセンサであり、かつ、
前記アレイセンサを構成する前記複数の超音波発振素子は、一定方向に向かって、ピッチが大きくなっているアレイセンサを用い、
検査対象部位に近い側のピッチが遠い側のピッチよりも大きくなるように、前記アレイセンサが配置されることを特徴とする超音波検査方法。
【請求項5】
請求項4記載の超音波検査方法において、
前記アレイセンサとして、前記アレイセンサを構成する前記複数の超音波発振素子は、一定方向に向かって、ピッチが大きくなっている配列構造を一部に有するアレイセンサを用い、
超音波の送信時に結ばれる焦点を、検査対象箇所中の複数範囲に対応して設定し、
前記各検査範囲に対し、アレイセンサを構成する超音波発生素子のうち使用する素子パターンを選択し、
各検査範囲内部からの反射信号を複数回収録し、
前記各検査範囲から得られた反射信号を閾値処理してデータを加算平均処理して画像データを生成することを特徴とする超音波検査方法。
【請求項6】
アレイセンサを用い、被検体に超音波を送信し、前記被検体の表面または内部からの反射波により前記被検体の表面および内部を検査する超音波検査装置であって、
センサ中心を基準とし、各素子に対応する送信信号に遅延時間を与える送信遅延手段と、遅延時間の与えられた超音波を送信する手段を備えるパルサと、
受信した超音波をアナログ‐デジタル変換するA/D変換手段と、受信信号に遅延時間を与える手段からなるレシーバから構成される送・受信部と、
遅延時間を制御する遅延制御手段と、受信信号を加算する加算手段と、受信信号を収録するとともに閾値処理する処理する制御・処理用コンピュータから構成される制御部と、
前記受信手段により前記受信信号に基づいて、3次元または2次元の画像データを生成し、表示する表示部とを有し、
前記アレイセンサは、
検査対象の内部に超音波を送信し、前記検査対象からのエコーを受信し、前記エコーから前記検査対象を評価する装置に用いられ、超音波を発振する複数の超音波発振素子を配列したアレイセンサであり、かつ、
前記アレイセンサを構成する前記複数の超音波発振素子は、一定方向に向かって、ピッチが大きくなっているアレイセンサであることを特徴とする超音波検査装置。
【請求項7】
請求項6記載の超音波検査装置において、
前記アレイセンサは、前記アレイセンサを構成する前記複数の超音波発振素子は、一定方向に向かって、ピッチが大きくなっている配列構造を一部に有するアレイセンサであり、
さらに、前記複数の超音波発振素子から使用する超音波発振素子を選択する使用素子選択手段を備えることを特徴とする超音波検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−225840(P2012−225840A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95196(P2011−95196)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【Fターム(参考)】
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