説明

超音波プローブ素子

【課題】検査対象物の外形に沿って変形可能な、アレイ圧電振動素子を用いた超音波プローブ素子を提供する。
【解決手段】本発明の超音波プローブ素子1は、超音波を発振する高分子圧電材料からなる第1のフィルム15と、第1のフィルム15に共振する第2のフィルム19と、第1のフィルム15にアレイ状に配置され、超音波を発振させ、検査対象物2から反射された超音波を受信するための複数のシグナル電極13と、第1のフィルム15と第2のフィルム19に挟まれたグランド電極16,18と、これらを搭載し、弾性的に屈曲可能な基板11とを備え、各シグナル電極13で画成された領域の第1のフィルム15、第2のフィルム19、グランド電極16,18及び当該シグナル電極13により圧電振動素子12が構成され、基板11に圧電振動素子12がアレイ状に搭載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波プローブ素子に関する。詳しくは、曲面形状を有する検査対象物を超音波で非破壊検査するための高分子圧電素子を用いた超音波プローブ素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、超音波探査装置として圧電振動素子をアレイ状に配列したアレイ圧電振動素子が知られており、精度の良い超音波探傷や管厚測定を可能にしている。圧電振動素子には主としてセラミック圧電体が使用されていた。このため、検査対象物の表面が曲面形状を有する場合には、曲面に合わせて配列したアレイ圧電振動素子を製作する必要があり、直径の異なる複数種類の鋼管を探査するには、鋼管の直径毎に対応する曲率のアレイ圧電振動素子に交換して探査する必要があった。
【0003】
これに対し、アレイ圧電振動素子に柔軟性を有する高分子圧電体を用い、これを検査対象物の表面形状に沿うように変形させて配置することで曲面形状を有する検査対象物への適用を可能とし、鋼管の直径に拘らず使用可能な超音波探査装置が提案されている。(例えば特許文献1参照)
【特許文献1】特開2007−192649号公報(段落0012〜0050、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記高分子圧電体を用いたアレイ圧電振動素子は、高分子圧電体としてポリイミドフィルム等の屈曲性の良いフィルムを使用していた。ところで、超音波探査の際にはアレイ圧電振動素子を鋼管の円周方向に屈曲密着させる必要がある。しかし、圧電振動素子に柔軟性が高く屈曲性の良い高分子圧電体を用い、電極に剛性が高い金属を用いると、電極がある部分とない部分の素子剛性が大きく異なり、電極がない部分で素子が折れ曲がり、鋼管円周部に素子が密着しないため、超音波を鋼管内に有効に伝達できないという問題があった。他方、超音波探査装置と検査対象物の間に伝播材を介在させて超音波探査を行なうと、すなわち、超音波プローブ素子を構成する高分子圧電体と検査対象物としての鋼管との間に5mm程度の隙間をあけ、そこに伝播材として水等の液体を封入すると、音響インピーダンスの整合がとれ、超音波の伝播損失を微小にできる。しかし、かかる水等の液体を伝播材として用いる超音波探査を行なうには液体中でアレイ圧電振動素子の曲面形状を垂線が検査対象物の表面に略直角になるように保持する必要があり、その実現が困難であった。
【0005】
ところで、アレイ圧電振動素子を搭載する基板に弾性的な屈曲性を有するガラスエポキシ等の材料、又は薄い板バネ様の材料を用い、電極に銅のような比較的柔らかい金属を用いれば、アレイ圧電振動素子を鋼管等の検査対象物の外形に沿って屈曲密着させることができると考えられる。また、係る基板にリニアアクチュエータのような外力付与手段を用いれば、伝播材としての液体中にアレイ圧電振動素子を検査対象物の外形に沿って一定の間隔を保つように変形させ、屈曲したまま保持することが可能と考えられる。
【0006】
本発明は、検査対象物の外形に沿って変形可能な、アレイ圧電振動素子を用いた超音波プローブ素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る超音波プローブ素子1は、例えば図1に示すように、電圧印加により超音波を発振する高分子圧電材料からなる第1のフィルム15と、第1のフィルム15に共振する第2のフィルム19と、第1のフィルム15にアレイ状に配置され、第1のフィルム15に電圧を印加して超音波を発振させ、検査対象物2から反射された超音波を受信するための複数のシグナル電極13と、第1のフィルム15と第2のフィルム19に挟まれたグランド電極16,18と、第1のフィルム15、第2のフィルム19、複数のシグナル電極13及びグランド電極16,18を搭載し、外力により弾性的に屈曲可能な基板11とを備え、シグナル電極13毎に、当該シグナル電極13で画成された領域の第1のフィルム15、第2のフィルム19、グランド電極16,18及び当該シグナル電極13を含んで圧電振動素子12が構成され、基板11に圧電振動素子12がアレイ状に搭載されている。
【0008】
ここにおいて、アレイは鋼管等の外周に沿って一様に屈曲させる上でリニアアレイが好ましいが、必ずしもリニアアレイに限られず、二次元アレイでも良い。また、第1、第2のフィルムは使用する超音波の周波数(例えば1〜50MHz)に相当するパルス電圧又はバースト波形状の電圧印加により発振、共振するものであれば良い。第1、第2のフィルムには異なる組成を用いても良く、同じ組成を用いても良い。また、グランド電極は1層からなるものに限られず、絶縁体を挟み複数層から構成されていても良い。また、弾性的に屈曲可能とは外力の大きさに応じて屈曲し、外力を除去した時に元の形状に戻ることをいう。また、基板の屈曲は、典型的には鋼管の外周に沿って円弧状に屈曲するものであるが、これに限られず検査対象物の外形に応じて任意の形状に屈曲しても良い。また、シグナル電極13で画成された領域とは、基板11面を水平にし、その上にシグナル電極13を配置した時に、当該シグナル電極13上に位置する第1のフィルム15、第2のフィルム19、グランド電極16,18等の部分をいう。
【0009】
このように構成すると、外力により弾性的に屈曲可能な基板を使用するので、検査対象物の外形に沿って変形可能な、アレイ圧電振動素子を用いた超音波プローブ素子を提供できる。ここで、変形可能とは、例えば検査対象物としての鋼管の外形に沿って、超音波プローブ素子を検査対象物に対して密着屈曲可能なこと又は一定の間隔を保って保持可能なことをいう。また、一つの超音波プローブ素子で、例えば曲率半径の異なる複数種類の鋼管等の検査に適用可能である。また、リニアアクチュエータ等の外力付与手段を用いれば液体中でも検査対象物の外形に沿って適当な形状に保持できるので、伝播材として液体を用いる超音波探査が可能となる。
【0010】
本発明の第2の態様に係る超音波プローブ素子は、例えば図1に示すように、第1の態様において、各圧電振動素子12は第1のフィルム15、第2のフィルム19及びグランド電極16,18を含む圧電共振体20を有し、圧電共振体20の共振周波数fが1〜50MHzの範囲にある。
このように構成すると、グランド電極は、第1のフィルムと第2のフィルムに挟まれているので、超音波プローブの表面に露出しないため、検査対象物との電気絶縁性が確保でき好ましい。また、第2のフィルムの膜厚に応じて共振周波数を調整可能である。また、第1のフィルムと第2のフィルムにそれぞれグランド電極を付着し、貼りあわせて圧電共振体を形成できるので、グランド電極を二重化でき、一方が途中で切断されていても静電結合により安定動作が担保される。
【0011】
本発明の第3の態様に係る超音波プローブ素子1は、例えば図1に示すように、第1又は第2の態様において、基板11がガラスエポキシ系材料で形成される。
このように構成すると、ガラスエポキシ系材料の使用により、外力により検査対象物の外形に応じて弾性的に屈曲可能な基板を実現するのに好適である。
【0012】
本発明の第4の態様に係る超音波プローブ素子1は、例えば図1に示すように、第1ないし第3のいずれかの態様において、シグナル電極13が銅を主成分とする金属又は合金で形成される。
このように構成すると、シグナル電極は導電性が高くかつ比較的柔らかい金属又は合金なので、基板に追随して屈曲する。
【0013】
本発明の第5の態様に係る超音波プローブ素子1は、例えば図1に示すように、第1ないし第4のいずれかの態様において、第1のフィルム15がフッ化ビニリデン三フッ化エチレン共重合体で形成され、第2のフィルム19がポリフッ化ビニリデンで形成される。
このように構成すると、フッ化ビニリデン三フッ化エチレン共重合体は電気機械結合係数が高く、弾性常数が高いので第1のフィルムとして好適であり、ポリフッ化ビニリデンはフッ化ビニリデン三フッ化エチレン共重合体と音響インピーダンスがほぼ等しいため、第2のフィルムとして好適である。これらを使用すると、効率良く超音波を発振し、受信感度の高い圧電振動素子を提供できる。
【0014】
本発明の第6の態様に係る超音波プローブ素子は、電圧印加により超音波を発振する高分子圧電材料からなる第1のフィルム15と、第1のフィルム15に電圧を付与するためにアレイ状に配置された複数のシグナル電極13と、グランド電極16と、第1のフィルム15、複数のシグナル電極13、グランド電極16を搭載する弾性的に屈曲可能な基板11とを備える。
このように構成すると、外力により弾性的に屈曲可能な基板を使用するので、検査対象物の外形に沿って変形可能な、アレイ圧電振動素子を用いた超音波プローブ素子を提供できる。
【0015】
本発明の第7の態様に係る超音波探査装置10は、例えば図3に示すように、第1ないし第6のいずれかの態様の超音波プローブ素子1と当該超音波プローブ素子1の基板11に外力を付与するリニアアクチュエータ5とを備え、外力により円弧状に屈曲された基板11の円弧の曲率を少なくとも0〜200m−1の一部の範囲で可変にできる。
【0016】
ここにおいて、曲率0は平面を意味し、曲率200m−1は半径5mmに相当する。また、曲率は1つの超音波プローブ素子で0〜200m−1の全範囲をカバーするという意味ではなく、少なくとも一部の範囲内で可変であれば良いという意味である。また、基板の複数の部位に外力を付与する場合には、例えば複数のリニアアクチュエータを使用できる。この場合、複数のリニアアクチュエータは治具等により相互に連結されて、検査期間中は基板の屈曲形状を検査対象物に対して一定の間隔を保って保持できるようにされている。このように構成すると、本発明による超音波プローブ素子とリニアアクチュエータとを組み合わせて、検査対象物の外形に沿って変形可能な、アレイ圧電振動素子を用いた超音波探査装置を提供できる。また、伝播材として液体を用いた超音波探査が可能となる。
【0017】
本発明の第8の態様に係る超音波プローブ素子の製造方法は、例えば図5に示すように、外力により弾性的に屈曲可能な基板11の一方の面に導電性に優れた第1の導電体を形成するシグナル電極層形成工程(S001)と、シグナル電極層形成工程(S001)で形成された第1の導電体をパターニング及びエッチングすることにより基板11にアレイ状に配置されたシグナル電極13を形成するシグナル電極形成工程(S002)と、シグナル電極形成工程(S002)で形成されたアレイ状に配置されたシグナル電極13を搭載した基板11と電圧印加により超音波を発振可能な高分子圧電材料からなる第1のフィルム15を第1の接着剤14で接着して、基板11に第1のフィルム15を固着する第1の接着工程(S003)と、第1のフィルム15にスパッタリングにより付着力が強い第2の導電体16aと導電性に優れた第3の導電体16bを積層形成する第1のグランド電極形成工程(S004)と、第1のフィルム15に共振可能な第2のフィルム19にスパッタリングにより付着力が強い第4の導電体18aと導電性に優れた第5の導電体18bを積層形成する第2のグランド電極形成工程(S005)と、第1のグランド電極形成工程(S004)で形成された第3の導電体16bと第2のグランド電極形成工程(S005)で形成された第5の導電体18bを第2の接着剤17で接着して、第1のフィルム15と第2のフィルム19で第2ないし第5の導電体16a,16b,18a,18bからなるグランド電極16,18を挟んだ圧電共振体20を形成する第2の接着工程(S006)とを備え、基板11に圧電振動素子12がアレイ状に搭載された超音波プローブ素子1を製造する。
【0018】
ここにおいて、工程の順序は変更可能である。例えば、S004とS005とはどちらを先に行なっても良く、同時に行なっても良い。また、第2の導電体と第4の導電体を同じ導電体とし、第3の導電体と第5の導電体を同じ導電体としても良い。また、第1の導電体〜第5の導電体は金属又は合金であっても良い。このように構成すると、検査対象物の外形に沿って変形可能な、アレイ圧電振動素子を用いた超音波プローブ素子の製造方法を提供できる。また、電圧印加により超音波を発振する高分子圧電材料からなる第1のフィルムと第1のフィルムに共振する第2のフィルムでグランド電極を挟んだ圧電共振体を有する超音波プローブ素子を容易に製造できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、検査対象物の外形に沿って変形可能な、アレイ圧電振動素子を用いた超音波プローブ素子を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に図面に基づき本発明の実施の形態について説明する。
【0021】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態では、基板に圧電振動素子がリニアアレイ状に搭載されている超音波プローブ素子をリニアアクチュエータで屈曲し、伝播材として水を用い、検査対象物である鋼管の欠陥を探査する例を説明する。
【0022】
図1は第1の実施の形態による超音波プローブ素子1の構成例を示す断面図である。図1において、基板11は略長方形の平板状であり、弾性的に屈曲可能である。すなわち、外力により検査対象物2(図3参照)としての鋼管の外径に沿って円弧状に屈曲し、外力を除去すると元の形状(平板状)に回復するのに適当な剛性及び屈曲性を有している。基板11として典型的にはガラスエポキシ系材料を使用できるが、ステンレス製又は燐青銅製薄板バネを絶縁性樹脂で被覆したコンポジット材を使用しても良い。基板11にはリニアアレイ状に圧電振動素子12(図1中、点線の内側の部分)が搭載されている。圧電振動素子12は基板11の長辺方向の中央ラインに沿って等間隔に同一サイズのものが複数個配置されている(図2参照、ここで圧電振動素子12はシグナル電極13と同じ位置にある)。圧電振動素子12はシグナル電極13、第1の接着剤14、高分子圧電材料からなる第1のフィルム15、第1のグランド電極層16、第2の接着剤17、第2のグランド電極層18、第1のフィルム15に共振する第2のフィルム19がこの順に積層されて構成される。このうち、シグナル電極13は圧電振動素子12毎に個別に形成され、シグナル電極13の無い部分は第1の接着剤14で埋められる。第1のフィルム15、第1のグランド電極層16、第2の接着剤17、第2のグランド電極層18、第2のフィルム19は全ての圧電振動素子12に亘って連続して形成される。検査対象物2としての鋼管には、シームレス鋼管(継目無鋼管)、スパイラル方式の大径溶接鋼管、電気抵抗溶接鋼管、鍛接鋼管等が含まれる。
【0023】
第1のフィルム15は電圧印加により超音波を発振可能な高分子圧電材料からなるフィルムで、例えばフッ化ビニリデン三フッ化エチレン共重合体、フッ化ビニリデン重合体を使用できる。フッ化ビニリデン三フッ化エチレン共重合体は電気機械結合係数が高く、弾性常数が高いので第1のフィルムとして好適である。また、第2のフィルムは第1のフィルムの発振に合わせて共振するフィルムで、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレン(PE)を使用できる。ポリフッ化ビニリデンは音響インピーダンスが第1のフィルムとほぼ同じであり、第2のフィルムとして好適である。また、第1の接着剤14、第1のフィルム15、第2の接着剤17、第2のフィルム19は絶縁体である。第1の接着剤14及び第2の接着剤17には例えば常温硬化性又は熱硬化性のエポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系粘着剤を使用できる。
【0024】
図2は第1の実施の形態による超音波プローブ素子1の電極及び配線の構成例を示す平面図である。図2はシグナル電極13及びシグナル電極13への配線21を示すものである。略正方形の複数のシグナル電極13が同一サイズで略長方形の基板11の長辺方向の中央ラインに沿ってリニアアレイ状に等間隔に配置されている。シグナル電極の個数、寸法及び間隔は測定対象物に応じて任意に設計できるが、例えばシグナル電極数16、面積5mm角、厚さ0.07〜0.1mm、電極間の間隔0.1〜0.5mmである。各シグナル電極13からの配線21は短辺方向の中央ラインの近傍まで延びて、その先端にはピン穴22がシグナル電極13の両側で各2列に整列されている。ピン穴22には図示しないピンが挿入され、各ピンはそれぞれ独立に図示しないリード線を介して電源及び信号処理系に電気的に接続される。シグナル電極13及び配線21は例えば銅製とし、基板11上に銅箔を接着し、フォトリソグラフィー及びエッチングによりパターニングされる。銅のエッチングには例えば塩化第二鉄(FeCl)水溶液を使用できる。銅は導電性が高くかつ比較的柔らかい金属なので基板11に追随して屈曲する。第1の接着剤14は例えば常温硬化性又は熱硬化性のエポキシ系樹脂とし、シグナル電極13及び配線21を搭載する基板11に第1のフィルム15を接着する。シグナル電極13及び配線21の間は第1の接着剤14で埋められる。このように、シグナル電極13は、同一寸法の電極がリニアアレイ状に配列されるので、検査対象物2の表面に沿って一定の範囲を線状に探査できる超音波プローブ素子1を提供できる。また、基板の中央近傍にピン穴22が配列されているので、電源及び信号処理系からのリード線を束ねて配線し、ピンに接続できる。なお、ピン穴に直接リード線の端子を挿し込む構成にすることも、配線を短くして各シグナル電極の傍にピン穴を設けることも可能である。
【0025】
ここで、図1に戻る。各圧電振動素子12は各シグナル電極13と当該シグナル電極13で画成された領域の(すなわち、基板11が水平に置かれている場合には、当該シグナル電極13の直上にある)第1の接着剤14、第1のフィルム15、第1のグランド電極16、第2の接着剤17、第2のグランド電極18及び第2のフィルム19により構成され、このうち、シグナル電極13を除いた部位により圧電共振体20が構成されている。そして、圧電共振体20の厚さ(共振器長)で共振周波数が定まる。共振周波数fは、圧電体中の音速をv、共振器長をlとすると、例えばλ/4共振モード(λは波長)の場合は、f=v/4lと表される。共振周波数f=7.5MHzを得るには、圧電体中の音速を2300m/secとして、共振器長l=78μmとなる。超音波探査には、共振周波数f=1〜50MHz、共振器長l=約10〜500μmが好ましい。
【0026】
各シグナル電極13はそれぞれ図示しない電源に接続され、それぞれ、個別のタイミング(周波数)で個別の電圧を印加できるようになっている。例えば16個のシグナル電極に一括して電圧を印加し、検査対象物の16箇所を一括探査しても良く、16個のシグナル電極にタイミングをずらして順次電圧を印加し、16箇所を順次探査しても良く、隣接するシグナル電極を10個まとめて電圧を印加し、順次シグナル電極を1極ずつずらして7回に分けて探査しても良い。第1のグランド電極16及び第2のグランド電極18は共に接地されている。第1のグランド電極16は第1のフィルム15上に付着性の良いニッケルと導電性に優れた金をスパッタリングにより積層して形成する。第2のグランド電極18は第2のフィルム19上に同様に付着性の良いニッケルと導電性に優れた金をスパッタリングにより積層して形成する。その後、第1のグランド電極16と第2のグランド電極18を第2の接着剤17で接着する。第1のグランド電極16と第2のグランド電極18とは共に接地されるが、さらに第2の接着剤17を介して静電結合される。これにより、もしも、第1のグランド電極16又は第2のグランド電極18の一方が途中で断線していても、静電結合を介してグランド電位に保持される。例えば、f=7.5MHz近傍の場合の一例として、第1のグランド電極16及び第2のグランド電極18は共に0.1μm、第1のフィルム15は50〜55μm、第2のフィルム19は25〜30μmとする。第2のフィルム19は共振器長の調整に使用される。
【0027】
図3に本実施の形態による超音波プローブ素子1に屈曲を付与する例を示す。超音波プローブ素子1は基板11上に圧電振動素子12をリニアアレイ状に搭載しており(図1、図2参照)、外力により弾性的に屈曲する。図3では検査対象物2として鋼管を用いる例を示す。鋼管2の探査面2aは曲率半径rの円筒状になっている。本実施の形態では、超音波探査に水浸法が用いられ、検査対象物2としての鋼管と超音波プローブ素子1の間には約5mmの間隔を保って伝播材3としての水を介在させる。超音波プローブ素子1は伝播材3を介して鋼管2の探査面2aに沿って円弧状に屈曲されて設置される。伝播材3として水等の液体を使用でき、水はフッ化ビニリデン三フッ化エチレン共重合体の音響インピーダンスに良く整合し、また、取り扱い易いので好適である。伝播材3の層厚をΔrとすると、超音波プローブ素子1の曲率半径はR=r+Δrとなる。超音波プローブ素子1の両面を弾性的に屈曲する鋼板又はプラスチック板4a、4bで挟み、リニアアクチュエータ5で鋼板又はプラスチック板4a、4bを介して超音波プローブ素子1を挟み、曲率半径Rの円弧状に変形させる。超音波プローブ素子1及び鋼板又はプラスチック板4a、4bにはリニアアクチュエータ5を通すための孔が開けられ、リニアアクチュエータ5は固定部6で孔の両側から超音波プローブ素子1及び鋼板又はプラスチック板4a、4bを挟んで固定する。なお、鋼板又はプラスチック板4a、4bは超音波プローブ素子1を保護するために使用されるが、使用しなくても良い。リニアアクチュエータ5は圧電振動素子12の配列方向に沿って所定間隔で配置されている。通常は圧電振動素子12の配列方向中心付近を固定し、両側の2点又は4点を固定し、リニアアクチュエータ5の位置を軸方向(図の上下方向)に移動調整することで、曲率半径Rに合わせた曲面を実現できる。図3は5個のリニアアクチュエータ5を用いる例を示す。鋼管2側の鋼板又はプラスチック板4bには圧電振動素子12からの超音波を送信し、鋼管2から反射された超音波を受信するために窓(図示しない)が設けられている。また、鋼管2と反対側の鋼板又はプラスチック板4aにはシグナル電極13に連なるピンを引き出すために窓(図示しない)が設けられている。
【0028】
圧電振動素子12からの超音波は基板11に対して垂直方向の振動モードで発振され、垂直方向に出力され、伝播材3を介して鋼管2の探査面2aに垂直に入射し、鋼管2の内部の傷等の欠陥又は鋼管の管厚を探査する。超音波は傷が有れば傷により反射され、傷が無ければ鋼管2の裏面から反射される。反射された超音波は圧電振動素子12に入射され、シグナル電極13により検出される。傷までの距離は超音波の発振から反射波を検出するまでの時間から導かれる。リニアアクチュエータ5を除去すると、超音波プローブ素子1の形状が元に戻る。
【0029】
図4に本実施の形態による超音波プローブ素子1を超音波探査装置10として使用する場合の装置構成例を示す。なお、図面の複雑化を避けるためにリニアアクチュエータ5は省略した。各圧電振動素子12に、駆動素子選択部31が電気的に接続されており、駆動素子選択部31に、信号発生部30で発生させた超音波発生用信号が入力される。駆動素子選択部31は、スイッチング回路等により構成され、所望の圧電振動素子12に対し信号(パルス電圧又はバースト波形状の電圧)を加えて超音波発振をさせることができる。また、圧電振動素子12では、受信した超音波信号が信号検出回路32に出力され、信号検出回路32には、駆動素子選択部31からの出力信号が圧電振動素子12からの発振信号と共に入力されている。これにより動作している圧電振動素子12の確定及び出力同期がなされる。信号検出回路32で検出された信号は信号処理部33に出力され、信号処理部33において増幅部33aで増幅された後、A/D変換部33bでデジタル変換される。信号処理部33には、表示部34が接続されており、表示部34では、信号処理部33で得られた信号に基いて画像を表示することができる。また、信号処理部33には、各リニアアクチュエータ5の電気モータ等を個別に制御可能な制御部35が接続されている。各圧電振動素子12で受信した信号が信号処理部33で信号処理された後、制御部35に出力される。制御部35では、中央処理ユニットCPUとこれを動作させるプログラムを主として構成され、受信した超音波信号に基いて、各圧電振動素子12と検査対象物2の探査面2aの距離を算出できる。制御部35では、算出結果に基いて、各圧電振動素子12と検査対象物2の探査面2aの距離を調整するように各リニアアクチュエータ5の伸縮制御を行なう。この結果、超音波プローブ素子1は位置が調整され、探査面2aの曲率(曲率半径r)に合わせて屈曲(曲率半径R)される。なお、個々の圧電振動素子12と探査面2aとは平行であることが好ましいが、平行の程度は2度以内であれば、検査対象物2に対して略垂直に超音波を入射できるので探査結果への影響を無視できる。すなわち、超音波プローブ素子1は曲率Rの円弧状に屈曲されるのが理想的であるが、測定誤差が微小な範囲で略円弧状に屈曲されても良い。
【0030】
図5に本実施の形態による超音波プローブ素子1の製造方法の処理フロー例を示す。本実施の形態では、基板11にシグナル電極13を、第1、第2のフィルム15,19にそれぞれ第1、第2のグランド電極層16,18を形成し、これらを接着剤14,17で接着して超音波プローブ素子1を製造する例を示す。例えば、外力により弾性的に屈曲可能な基板11としてのガラスエポキシ基板を準備し、ガラスエポキシ基板11の一方の面に導電性に優れた第1の導電体としての銅Cuを形成する(S001:シグナル電極層形成工程)。銅Cuの形成は、例えば基板11上に銅箔を接着することにより行なう。次に、シグナル電極層形成工程で形成された銅Cuをフォト処理でパターニングし、例えば、塩化第二鉄(FeCl)水溶液でエッチングすることによりガラスエポキシ基板11にアレイ状に配置されたシグナル電極13を形成する(S002:シグナル電極形成工程)。次に、シグナル電極形成工程(S002)で形成された複数のシグナル電極13を搭載した基板11と、電圧印加により超音波を発振可能な高分子圧電材料からなる第1のフィルム15としてのフッ化ビニリデン三フッ化エチレン共重合体P(VDF/TrFE)を、第1の接着剤14としての常温硬化性又は熱硬化性のエポキシ系樹脂で接着して、基板11に第1のフィルム15を固着する(S003:第1の接着工程)。次に、第1のフィルム15としてのフッ化ビニリデン三フッ化エチレン共重合体P(VDF/TrFE)にスパッタリングにより付着力が強い第2の導電体16aとしてのニッケルNiと導電性に優れた第3の導電体16bとしての金Auを積層形成する(S004:第1のグランド電極形成工程)。第2の導電体16aと第3の導電体16bにより第1のグランド電極16が構成される。また、第1のフィルム15に共振可能な第2のフィルム19としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)にスパッタリングにより付着力が強い第4の導電体18aとしてのニッケルNiと導電性に優れた第5の導電体18bとしての金Auを積層形成する(S005:第2のグランド電極形成工程)。第4の導電体18aと第5の導電体18bにより第2のグランド電極18が構成される。ここで、第1のグランド電極形成工程(S004)、第2のグランド電極形成工程(S005)は順序を入れ替えても良く、並行して行なっても良い。
【0031】
次に、第1のグランド電極形成工程(S004)で形成された第3の導電体(Au)16bと第2のグランド電極形成工程(S005)で形成された第5の導電体(Au)18bを第2の接着剤17としての常温硬化性又は熱硬化性のエポキシ系樹脂で接着して、第1のフィルム15としてのフッ化ビニリデン三フッ化エチレン共重合体P(VDF/TrFE)と第2のフィルム19としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)で第2ないし第5の導電体(Ni及びAu)からなるグランド電極(第1のグランド電極層16、第2のグランド電極層18からなり、間に第2の接着剤17を挟んでいる)を挟んだ圧電共振体20を形成する(S006:第2の接着工程)。なお、圧電共振体20は、第1の接着剤14、第1のフィルム15、第1のグランド電極層16、第2の接着剤17、第2のグランド電極層18、第2のフィルム19で構成される。これにより、基板11に圧電振動素子12(シグナル電極13及び圧電共振体20からなる)がアレイ状に搭載された超音波プローブ素子1が製造される。
【0032】
以上説明したように、本実施の形態によれば、検査対象物の外形に沿って変形可能な、アレイ圧電振動素子を用いた超音波プローブ素子を提供できる。なお、本実施の形態では主として鋼管の欠陥を探査する例を説明したが、鋼管の管厚を測定することも可能である。
【0033】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、伝播材3として水を用い、検査対象物2である鋼管の欠陥を探査する例を説明したが、本実施の形態では、超音波プローブ素子1を鋼管2の外周に沿って変形させ、屈曲した状態で密着配置し、検査対象物2である鋼管の欠陥を探査する例を説明する。
【0034】
図6に本実施の形態による超音波プローブ素子1に屈曲を付与する例を示す。図3と同じ部位には同一の符号を付して説明を省略する。図示しない載置台上の検査対象物2としての鋼管に超音波プローブ素子1の基板11側を接触させ、押さえ治具23を用いて超音波プローブ素子1に外力を付与し、鋼管2の探査面2aに添って変形させ、屈曲した状態で密着配置させる。鋼板又はプラスチック板4a,4bの両方又は一方を超音波プローブ素子1を保護するために使用しても良いが、使用しなくても良い。圧電振動素子12からの超音波は基板11に対して垂直方向に発振され、鋼管2の探査面2aに垂直に入射し、鋼管2の内部の傷等の欠陥の有無又は鋼管の管厚を探査する。反射された超音波は圧電振動素子12に入射され、シグナル電極13により検出される。その他の構成は第1の実施の形態と同様であり、第1の実施の形態と同様に検査対象物の外形に沿って変形可能な、アレイ圧電振動素子を用いた超音波プローブ素子を提供できる。
【0035】
[第3の実施の形態]
図7に本実施の形態による超音波プローブ素子のシグナル電極13aの配列の例を示す。第1の実施の形態では、シグナル電極数16、面積5mm角、厚さ0.07〜0.1mm、電極間の間隔0.1〜0.5mmである例を説明した。これらの寸法は検査対象物に合わせて任意に設計できるが、本実施の形態では、例えば電極数32、面積1.4mm×3mm、厚さ0.07〜0.1mm、電極間の間隔0.1mmである。例えば32個のシグナル電極に一括して電圧を印加し、検査対象物の32箇所を一括探査しても良く、32個のシグナル電極にタイミングをずらして順次電圧を印加し、32箇所を順次探査しても良く、隣接するシグナル電極を10個まとめて電圧を印加し、順次シグナル電極を1極ずつずらして23回に分けて探査しても良い。これにより、第1の実施の形態に比してより詳細な傷等の探査ができる。その他の構成は第1の実施の形態と同様であり、同様の効果を奏する。なお、シグナル電極数64、面積0.7×3mm、厚さ0.07〜0.1mm、電極間の間隔0.1mmとして、さらにより詳細な傷等の探査ができるようにしても良い。
【0036】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、実施の形態に種々変更を加えられることは明白である。
【0037】
例えば、以上の実施の形態では、圧電振動素子をリニアアレイ状に配列する例を説明したが、二次元アレイ状に配列してもよく、同心円状に配列しても良い。また、以上の実施の形態では、第1のフィルムにはフッ化ビニリデン三フッ化エチレン共重合体を、第2のフィルムにはポリフッ化ビニリデンを用いる例を説明したが、第1のフィルムにフッ化ビニリデン重合体等の高分子圧電材料からなるフィルムを、第3のフィルムにポリエチレンテレフタレート等のフィルムを使用しても良い。また、第1の導電体として銅を用いる例を説明したが、その他の導電性が高くかつ比較的柔らかいアルミニウムを主成分とする金属や合金等を使用しても良い。また、第2の導電体〜第5の導電体の材料、シグナル電極の個数、寸法、基板の材料等も検査対象物に応じて適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、曲面形状を有する検査対象物を超音波で非破壊検査するために利用される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】第1の実施の形態による超音波プローブ素子の構成例を示す断面図である。
【図2】第1の実施の形態による超音波プローブ素子の電極及び配線の構成例を示す平面図である。
【図3】第1の実施の形態による超音波プローブ素子に屈曲を付与する例を示す図である。
【図4】第1の実施の形態による超音波プローブ素子を超音波探査装置として使用する場合の装置構成例を示す図である。
【図5】第1の実施の形態による超音波プローブ素子の製造方法の処理フロー例を示す図である。
【図6】第2の実施の形態による超音波プローブ素子に屈曲を付与する例を示す図である。
【図7】第3の実施の形態による超音波プローブ素子のシグナル電極の配列の例を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
1 超音波プローブ素子
2 検査対象物
2a 探査面
3 伝播材
4a,4b 鋼板又はプラスチック板
5 リニアアクチュエータ
6 固定部
10 超音波探査装置
11 基板
12 圧電振動素子
13,13a シグナル電極
14 第1の接着剤
15 第1のフィルム
16 第1のグランド電極層
16a 第2の導電体
16b 第3の導電体
17 第2の接着剤
18 第2のグランド電極層
18a 第4の導電体
18b 第5の導電体
19 第2のフィルム
20 圧電共振体
21 配線
22 ピン穴
23 押さえ治具
30 信号発生部
31 駆動素子選択部
32 信号検出回路
33 信号処理部
33a 増幅部
33b A/D変換部
34 表示部
35 制御部
共振周波数
共振器長
R 超音波プローブ素子の曲率半径
r 鋼管の曲率半径
v 圧電体中の音速
Δr 伝播材の層厚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧印加により超音波を発振する高分子圧電材料からなる第1のフィルムと;
前記第1のフィルムに共振する第2のフィルムと;
前記第1のフィルムにアレイ状に配置され、前記第1のフィルムに電圧を印加して超音波を発振させ、検査対象物から反射された超音波を受信するための複数のシグナル電極と;
前記第1のフィルムと前記第2のフィルムに挟まれたグランド電極と;
前記第1のフィルム、前記第2のフィルム、前記複数のシグナル電極及び前記グランド電極を搭載し、外力により弾性的に屈曲可能な基板とを備え;
前記シグナル電極毎に、当該シグナル電極で画成された領域の第1のフィルム、第2のフィルム、グランド電極及び当該シグナル電極を含んで圧電振動素子が構成され、前記基板に前記圧電振動素子がアレイ状に搭載された;
超音波プローブ素子。
【請求項2】
各前記圧電振動素子は第1のフィルム、第2のフィルム及びグランド電極を含む圧電共振体を有し、前記圧電共振体の共振周波数が1〜50MHzの範囲にある;
請求項1に記載の超音波プローブ素子。
【請求項3】
前記基板がガラスエポキシ系材料で形成される;
請求項1又は請求項2に記載の超音波プローブ素子。
【請求項4】
前記シグナル電極が銅を主成分とする金属又は合金で形成される;
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の超音波プローブ素子。
【請求項5】
前記第1のフィルムがフッ化ビニリデン三フッ化エチレン共重合体で形成され、
前記第2のフィルムがポリフッ化ビニリデンで形成される;
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の超音波プローブ素子。
【請求項6】
電圧印加により超音波を発振する高分子圧電材料からなる第1のフィルムと、前記第1のフィルムに電圧を付与するためにアレイ状に配置された複数のシグナル電極と、グランド電極と、前記第1のフィルム、前記複数のシグナル電極、前記グランド電極を搭載する弾性的に屈曲可能な基板とを備える;
超音波プローブ素子。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の超音波プローブ素子と当該超音波プローブ素子の前記基板に外力を付与するリニアアクチュエータとを備え;
前記外力により円弧状に屈曲された基板の円弧の曲率を少なくとも0〜200m−1の一部の範囲で可変にできる;
超音波探査装置。
【請求項8】
外力により弾性的に屈曲可能な基板の一方の面に導電性に優れた第1の導電体を形成するシグナル電極層形成工程と;
前記シグナル電極層形成工程で形成された前記第1の導電体をパターニング及びエッチングすることにより前記基板にアレイ状に配置されたシグナル電極を形成するシグナル電極形成工程と;
前記シグナル電極形成工程で形成されたアレイ状に配置されたシグナル電極を搭載した基板と電圧印加により超音波を発振可能な高分子圧電材料からなる第1のフィルムを第1の接着剤で接着して、前記基板に前記第1のフィルムを固着する第1の接着工程と;
前記第1のフィルムにスパッタリングにより付着力が強い第2の導電体と導電性に優れた第3の導電体を積層形成する第1のグランド電極形成工程と;
前記第1のフィルムに共振可能な第2のフィルムにスパッタリングにより付着力が強い第4の導電体と導電性に優れた第5の導電体を積層形成する第2のグランド電極形成工程と;
前記第1のグランド電極形成工程で形成された第3の導電体と前記第2のグランド電極形成工程で形成された第5の導電体を第2の接着剤で接着して、前記第1のフィルムと前記第2のフィルムで前記第2ないし第5の導電体からなるグランド電極を挟んだ圧電共振体を形成する第2の接着工程とを備え;
前記基板に圧電振動素子がアレイ状に搭載された超音波プローブ素子を製造する;
超音波プローブ素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−50796(P2010−50796A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213819(P2008−213819)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000001100)株式会社クレハ (477)
【出願人】(598085261)エルメック電子工業株式会社 (7)
【出願人】(594029263)日鋼検査サービス株式会社 (5)
【出願人】(500305508)株式会社検査技術研究所 (2)
【Fターム(参考)】