超音波プローブ
【課題】 開腹部の範囲や隣接臓器の配置などに制限があっても、目的の臓器の超音波画像を広範囲に亘って取得できる超音波プローブを提供する。
【解決手段】 複数の超音波振動子を有する振動子部2と、振動子部2を被検体内に挿入して遠隔操作するときに検者に保持される保持部4と、検者により回動操作される操作部6と、操作部6の回動を歯車51に伝達するジョイント部52と、歯車51と係合する振動子部2に形成された歯車22とを備える。検者が操作部6を軸O2周りに回動させると、ジョイント部52を介して歯車51が軸O3周りに回動され、それと係合する歯車22が軸O1周りに回動されて振動子部2が回動される。回動軸O1は、振動子部2の複数の超音波振動子の配列面に直交している。それにより、振動子部2による超音波スキャンの方向が変更される。
【解決手段】 複数の超音波振動子を有する振動子部2と、振動子部2を被検体内に挿入して遠隔操作するときに検者に保持される保持部4と、検者により回動操作される操作部6と、操作部6の回動を歯車51に伝達するジョイント部52と、歯車51と係合する振動子部2に形成された歯車22とを備える。検者が操作部6を軸O2周りに回動させると、ジョイント部52を介して歯車51が軸O3周りに回動され、それと係合する歯車22が軸O1周りに回動されて振動子部2が回動される。回動軸O1は、振動子部2の複数の超音波振動子の配列面に直交している。それにより、振動子部2による超音波スキャンの方向が変更される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体の超音波断層像を取得するために被検体内に挿入されて使用される超音波プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波プローブ(超音波探触子)は、従来から各種の手術に利用されている。例えば、超音波プローブを被検体内に挿入し臓器に接触させて得たエコー信号から超音波断層像を形成し、当該臓器のモニタリングを行うなどの使用法が典型的である。
【0003】
超音波プローブを用いた手術では、術者等の検者が超音波プローブを直接手に保持して取り扱うこともあるが、開腹部が狭く手を挿入できない場合や、隣接する臓器に手を触れて影響を与えたくない場合などには、超音波振動子を備える振動子部から延設された例えば棒状の保持部を備えた超音波プローブが使用されることがある。
【0004】
特許文献1は、そのような保持部(把持部)を有する超音波プローブの一例を開示している。当該文献に記載の超音波プローブは、超音波振動子が収納された振動子部と、この振動子部に接続され操作者が把持して振動子部を操作し所定の診断を行うための把持部とを備え、把持部と振動子部とが着脱自在に構成されている。更に、振動子部及び把持部が各々複数種類用意されており、診断目的、用途に応じてそれぞれ交換可能に構成されている。なお、把持部のオプションとしては、棒状、クランク形状、屈曲形状のものが記載されている。
【0005】
図10は、従来の保持部付き超音波プローブの一構成例を示している。同図に示す超音波プローブ100は、そのケーブル102を介して超音波診断装置本体200に接続されている。超音波プローブ100は、振動子部101と、それを固定し支持する保持部103とを有する。振動子部101は、図示は省略するが、正負の電極を備えた圧電素子からなる(複数の)超音波振動子、この超音波振動子から発せられた超音波を収束させる音響レンズ、不要な振動を吸収するバッキング材、振動子電極に各々接続された接続導体などを含んで構成される。振動子部101は、超音波診断装置本体200からケーブル102内の接続導体を通じて供給される電気信号を受けて各超音波振動子から超音波を発生させる。このとき、振動子部101は、超音波振動子の配列面であり超音波の送受面である下面101aの長手方向に超音波をスキャンさせる。振動子部101は、超音波の反射波を受信しエコー信号として超音波診断装置本体200に送る。超音波診断装置本体200は、このエコー信号に基づいて超音波断層像を作成してモニタに表示させる。ここで、取得される断層像は、振動子部101の下面101aの長手方向における断層像である。
【0006】
図11は、超音波プローブ100が開腹部300を介して被検体内に挿入されている状態の概略を示している。開腹部300は、コッヘル400により保持されている。図示しない検者は、超音波プローブ100の保持部103を保持して振動子部101を狭い開腹部300に挿入して被検体深部の臓器500(図11中に斜線部で示す)に接触させる。その状態で振動子部101から超音波を照射することにより、臓器500の超音波断層像が得られる。
【0007】
手術において臓器500の様々な位置や角度の断層像を確認したい場合が多々あるが、その場合、臓器500に対する振動子部101の接触位置や接触角度を適宜変更して、超音波のスキャン方向を変えてやる必要がある。従来の超音波プローブ100でこの操作を行うには、振動子部101と保持部103が固着されているため、保持部103を適当な位置に移動させなければならない。しかし、開腹部300の大きさや形状、臓器500に隣接する臓器の配置などの制限を考慮すると、目的の接触位置や接触角度を達成できず、所望の断層像を得られないおそれがある。このように、従来の超音波プローブ100では、被検体内における振動子部101の移動範囲が限られていることにより、狭い範囲の超音波断層画像しか取得できないという問題があった。
【0008】
【特許文献1】特開平8−154932号公報(請求項1、請求項2、明細書段落[0015]、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、開腹部の範囲や隣接する臓器の配置などに制限のある環境下であっても、目的の臓器の超音波画像を広範囲に亘って取得できる超音波プローブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、超音波を送受信する複数の超音波振動子を有する振動子部と、前記超音波振動子の受信結果に基づいて被検体の超音波断層像を形成する超音波診断装置本体と前記超音波振動子とを接続する接続線と、一端が前記振動子部に取り付けられ、前記振動子部を被検体内に挿入して検査を行うときに検者により保持される保持手段と、を有する超音波プローブであって、前記複数の超音波振動子の配列面に直交する回動軸周りに前記複数の超音波振動子を前記保持手段に対して回動させる回動機構を備えていることを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の超音波プローブであって、前記回動機構によって前記複数の超音波振動子を回動させるために回動操作される操作手段を更に備え、前記超音波振動子の前記回動軸は、前記操作手段の回動軸とは異なる方向とされることを特徴とする。
【0012】
また、上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の超音波プローブであって、前記保持手段は、前記超音波振動子の前記回動軸に対する角度方向を変更可能に前記振動子部に取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
また、上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の超音波プローブであって、前記保持手段は、前記振動子部に対し着脱可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0014】
また、上記目的を達成するために、請求項5に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の超音波プローブであって、前記保持手段は、長手方向に沿う中空部を有する形状であり、前記接続線は、前記保持手段の前記中空部を案内されて前記複数の超音波振動子に接続されていることを特徴とする。
【0015】
また、上記目的を達成するために、請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の超音波プローブであって、前記保持手段は、前記一端が前記振動子部に対して回動可能に取り付けられ、かつ、長手方向に沿う中空部を有する形状であり、前記操作手段は、前記保持手段の前記中空部を案内された軸部と、当該軸部の一端にかつ前記保持手段の他端を越えた位置に設けられ、検者により回動操作される操作部とを備え、前記回動機構は、前記超音波振動子の前記回動軸を中心に前記振動子部に形成された第1の歯車と、前記第1の歯車と係合された第2の歯車と、前記操作手段の前記軸部の他端と前記第2の歯車とを連結し、前記操作手段の前記軸部の回動を前記第2の歯車に伝達するジョイント部とを備えている、ことを特徴とする。
【0016】
また、上記目的を達成するために、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の超音波プローブであって、前記ジョイント部は、前記操作手段の前記軸部の前記他端と前記第2の歯車とをユニバーサルジョイント構造で連結することを特徴とする。
【0017】
また、上記目的を達成するために、請求項8に記載の発明は、請求項2に記載の超音波プローブであって、前記操作手段は、軸部と、当該軸部の一端に設けられて検者により回動操作される操作部とを備え、前記回動機構は、前記操作手段の前記軸部の他端と前記振動子部とを連結し、前記操作手段の前記軸部の回動を前記振動子部に伝達する回動伝達機構部を備えていることを特徴とする。
【0018】
また、上記目的を達成するために、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の超音波プローブであって、前記回動伝達機構部は、前記操作手段の前記軸部の前記他端と前記振動子部とをユニバーサルジョイント構造で連結することを特徴とする。
【0019】
また、上記目的を達成するために、請求項10に記載の発明は、請求項8に記載の超音波プローブであって、前記回動伝達機構部は、前記操作手段の前記軸部の回動に応じて前記振動子部を前記超音波振動子の前記回動軸の方向に移動させるネジ機構部を備え、前記操作手段を所定方向に回動させることにより、前記保持手段、前記操作手段及び前記回動伝達機構部を前記振動子部から取り外し可能とすることを特徴とする。
【0020】
また、上記目的を達成するために、請求項11に記載の発明は、請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の超音波プローブであって、前記回動機構により回動された前記複数の超音波振動子の回動状態を表示する表示手段を更に備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る超音波プローブは、複数の超音波振動子の配列面に直交する回動軸周りに前記複数の超音波振動子を振動子部に対して回動させる回動機構を備えているので、振動子部を被検体の体内に挿入して検査を行うときに、振動子部を目的の臓器に接触させた状態で回動させることができる。したがって、保持手段をあちらこちらに動かさなくても、当該臓器に対する振動子部のスキャン方向を変更することができる。それにより、開腹部が狭い場合や隣接臓器が邪魔になるような場合であっても、目的の臓器の超音波画像を広範囲に亘って取得することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明に係る超音波プローブの好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明に係る超音波プローブは、図11に示したように、狭い開腹部から被検体内に挿入して遠隔操作により臓器の断層像を取得するときに好適に使用されるもので、特に、広範囲に亘る断層像の取得を可能とするものである。
【0023】
[第1の実施の形態]
〔超音波プローブの構成〕
(外観構成)
図1は、本発明の第1の実施形態の超音波プローブ1を備えた超音波診断装置本体200の外観構成の概略を示している。ここで、超音波診断装置本体200は従来と同様に、超音波プローブ1から送信されるエコー信号等に基づいて、図示しない被検体の超音波断層像を作成するための構成を備えている。
【0024】
本実施形態の超音波プローブ1は、超音波の送受波を行う振動子部2と、振動子部2と超音波診断装置本体200との間でやりとりされる電気信号を伝送するケーブル3と、図示しない術者等の検者が振動子部2を遠隔操作するときに保持するための保持部4と、この保持部4の振動子部2側に形成され、操作部6の操作に応じて振動子部2を図1中の軸O1を中心に回動させるための機構を備えた回動伝達機構部5と、保持部4の先端(振動子部2の反対側の端部)に設けられ、振動子部2を回動させるときに操作される操作部6とを含んで構成されている。なお、保持部4は、本発明にいう保持手段を構成している。
【0025】
振動子部2は、従来と同様に、正負の電極を備えた圧電素子からなる複数の超音波振動子、この超音波振動子から発せられた超音波を収束させる音響レンズ、不要な振動を吸収するバッキング材、振動子電極に各々接続された接続導体などを含んで構成されている。この接続導体は、ケーブル3内を通じて超音波診断装置本体200に導かれている(図2を参照)。
【0026】
振動子部2の複数の超音波振動子は、図1に示す振動子部2の下面2a側に当該下面2aに沿って配列されている。超音波はこの下面2a側から送波され、受波される。検者は、図示しない被検体の目的の臓器の断層像を取得するために、振動子部2の下面2aをその臓器に接触させる。振動子部2は、超音波診断装置本体200からの信号に基づき、振動子部2の長手方向に超音波をスキャンさせる。そして、その超音波の反射波を受信してエコー信号に変換しケーブル3を介して超音波診断装置本体200に送信する。超音波診断装置本体200は、このエコー信号を従来と同様の解析処理を行って当該臓器の断層像を形成する。
【0027】
ここで、振動子部2の回動軸O1は、振動子部2に設けられた超音波振動子の配列面の中心位置を通るように設計されていることが好ましい。すなわち、振動子部2が回転されても臓器内の目的の部位を様々な角度から超音波スキャンできるからである。図9に、振動子部2の超音波振動子の配列及びその中心位置の一例を概略的に示す。同図は、振動子部2を下面2a側から見たときの図である。図9(A)は、超音波振動子が直線状に(つまり一方向に)配列された状態及びそのときの中心位置を表し、図9(B)は、超音波振動子がアレイ状に配列された状態及びそのときの中心位置を表している。
【0028】
操作部6には、検者がこれを操作するときの滑り止めとしての溝が設けられている。なお、溝を設ける代わりに、操作部6にゴムカバーを被せるなどして操作時の摩擦を増大させることにより滑り止め作用を持たせてもよい。
【0029】
検者が、操作部6を軸O2周りに回動させると、回動伝達機構部5内の機構は、操作部6の回動動作を振動子部2の回動動作に変換する。それにより、振動子部2は、例えば図1中に2点鎖線で示すように、超音波振動子の配列面であり超音波の送受面である下面2aに直交する方向の回動軸O1周りに回転される。以下、このような動作を実現する超音波プローブ1の内部構成を詳細に説明する。
【0030】
(内部構成)
図2は、超音波プローブ1の内部構成を示す断面側面図であり、図3は、回動伝達機構部5周辺の内部構成を示す拡大断面側面図である。図2に示すように、振動子部2は、その筐体2A内に、例えば図9に示すように直線状やアレイ状に超音波振動子が配列された振動子配列部2bと、下面2aに配設された音響レンズ2cとを備えている。
【0031】
振動子部2とケーブル3とは、テーパ形状のコネクタ部32を介して接続されている。また、コネクタ部32は、ケーブル3に固定されている。ケーブル3内に挿通された接続導体31は、コネクタ部32を介して振動子部2に導かれ、振動子配列部2bの各超音波振動子に接続されている。なお、この接続導体31は、本発明にいう接続線を構成している。
【0032】
また、振動子部2の筐体2Aの上面(下面2aの対向面)には、振動子部2にコネクタ部32を結合させるための円筒状の凸部21が形成されている(図2では断面L字型に描写されている)。この凸部21の外周面には、円周方向に沿って歯車22が形成されている。ここで、振動子部2は、回動伝達機構部5に対し、軸O1を中心として回動自在に接続される。
【0033】
保持部4は、その長手方向に沿って中空部を備えた略管状に形成されている。操作部6には、保持部4内に挿通された軸(操作軸と呼ぶ)6aが操作部6と同軸に設けられている。したがって、操作部6が検者によって軸O2周りに回動操作されると、当該操作軸6aも軸O2周りに回動される。ここで、操作部6及び操作軸6aは、本発明の操作手段を構成し、操作軸6aは、操作手段の軸部を構成している。
【0034】
回動伝達機構部5内には、超音波プローブ1の回動軸O1に平行な回動軸O3を有する歯車51と、この歯車51と操作部6の操作軸6aとを連結するジョイント部52とが含まれている。歯車51は、振動子部2の円筒状凸部21の外周面に形成された歯車22と係合するように配置されている。
【0035】
ジョイント部52は、操作軸6aの操作部6とは反対側の端部に接続された操作部側接続部材52aと、歯車51の軸として設けられた歯車側接続部材52bと、操作部側接続部材52aと歯車側接続部材52bとを連結し、操作部側接続部材52aの回動運動を歯車側接続部材52bに伝達して歯車51を回動させる回動機構部52cとを備えている。回動機構部52cは、例えばユニバーサルジョイント構造により操作部側接続部材52aと歯車側接続部材52bとを連結している。
【0036】
検者が操作部6を軸O2周りに回動させると、その回動運動は、回動機構部52cによって歯車51の軸O3周りの回動運動に変換される。更に、歯車51の回動運動は、これに係合する振動子部2の凸部21の外周面の歯車22に伝達され、振動子部2を軸O1周りに回動させる。ここで、歯車51、ジョイント部52及び振動子部2の歯車22は、本発明にいう回動機構を構成している。
【0037】
ここで、振動子部2は、図1に実線で表す基準位置を含んで、少なくとも180°の範囲を回動可能に構成されている。例えば、当該基準位置から左右両方向(同図中の両側矢印の示す方向)にそれぞれ90°ずつ回動可能に構成される。また、当該基準位置から一方の方向に180°回動可能に構成される。この回転範囲の限定は、回動伝達機構部5の歯車51及び/又は振動子部2の凸部21の歯車22の係合範囲を限定することによって実現される。また、操作部6の回動範囲を限定することにより振動子部2の回動範囲を限定するようにしてもよい。このように振動子部2の回動範囲を限定することにより、接続導体31のねじれに起因する断線等の発生が防止される。なお、振動子部2の筐体2Aに形成された歯車22は本発明の第1の歯車を構成し、回動伝達機構部5の歯車51は第2の歯車を構成している。
【0038】
図2に示すように、振動子部2と操作部6とは、異なる方向の回動軸O1、O2を有する。これは、振動子部2の回動軸O1方向に対して操作部6の回動軸O2を傾けて設けることにより、操作部6の操作性を良好にするためである。なお、操作部6の回動軸O3を振動子部2の回動軸O1方向に対し平行に構成してもよい。また、回動運動変換機構部52cとしては、ユニバーサルジョイント構造以外にもワイヤ等の部材を用いて同様の作用を提供できる。
【0039】
〔作用効果〕
検者は、手術中において被検体内の目的の臓器の超音波断層像を取得するとき、超音波プローブ1の保持部4を保持し、被検体表面に開口された開腹部を介して振動子部2を被検体内に挿入するとともに、超音波振動子の配列面であり超音波の送受面である下面2aを目的の臓器に接触させる。ここで、振動子部2は、例えば、図1の実線で表す基準位置に配置されているとする。振動子部2は、超音波診断装置本体200からの信号に基づいて、当該振動子部2の長手方向に超音波をスキャンさせる。この超音波スキャンに基づいて作成される断層像は、当該長手方向に沿った臓器の断面を表す画像である。
【0040】
本実施形態の超音波プローブ1は、ケーブル3、保持部4、回動伝達機構部5等の位置を固定したままで振動子部2を回転可能な構成を備えている。そこで検者は、操作部6を操作して振動子部2を回転させることにより超音波のスキャン方向を所望の方向に変更する。その状態で超音波スキャンを行うことにより、前回とは異なるスキャン方向の断層像を取得することができる。このように、検者は、操作部6を操作して振動子部2によるスキャン方向を変更することにより、隣接する他の臓器に影響を与えることなく、目的の臓器の様々な位置及び方向における断層像を取得することができる。
【0041】
〔各種変形例〕
(変形例1)
本実施形態の超音波プローブ1の変形例について説明する。超音波プローブ1を用いる場合には振動子部2が被検体内部に配置されているため、検者は、振動子部2の回動状態を視認できずに所望の超音波スキャン方向を設定できない場合があると考えられる。そのような場合に対処するために、振動子部2の回動状態を表示する表示手段を設けることが有効となる。
【0042】
図4に、振動子部2の回動状態を表示する表示手段の一例を示す。図4に示す当該表示手段は、操作部6に設けられたマーク6bと、保持部4の操作部6側の端面に設けられ、振動子部2のスキャン方向(長手方向)を示すスキャン方向情報4aとにより構成される。保持部4のスキャン方向情報4aは、操作部6の回動角度に対応する振動子部2の回動角度を示している。図4の例では、図1に実線で示す基準位置に振動子部2がある場合を角度「0」で示すとともに、振動子部2が当該基準位置に対して左右に回動されるときの角度を30°毎に示している。なお、回動角度を例えば15°毎など、他の単位角度毎に示してもよい。
【0043】
この表示手段によれば、マーク6bを所望のスキャン方向情報4aに合わせるように操作部6を回動させると、振動子部2のスキャン方向がその角度まで回動される。例えば、マーク6bをスキャン方向情報「90」に合わせるように操作部6を回動させると、振動子部2は、図1に実線で示す基準位置から2点鎖線で示す位置まで90°回動される。それにより、振動子部2が被検体内にあって直接に視認できないような場合であっても、検者は、振動子部2のスキャン方向を確認することができ、また、所望のスキャン方向を設定することができる。
【0044】
なお、本発明の表示手段としては、上述のような構成以外にも、振動子部2の回動状態を表示するための各種の構成を用いることが可能である。例えば、振動子部2の回動角度を検出するポジションセンサを設け、その検出角度を表示させる構成や、回動状態を画像表示させる構成などを採用することができる。
【0045】
(変形例2)
本実施形態の超音波プローブ1は、振動子部2のスキャン方向を少なくとも180°の範囲内で連続的に変更できるように構成されているが、スキャン方向が離散的に変更されるように構成してもよい。例えば、振動子部2のスキャン方向を少なくとも180°の範囲内で15°ステップで変更するように構成できる。すなわち、スキャン方向の上記基準位置を0°として、左右方向にそれぞれ15°、30°、45°、60°、75°、90°のスキャン方向を設定可能に構成できる。そのために、例えば、回動伝達機構部5の歯車51及び振動子部2の歯車22として、15°毎にストッパが形成された歯車を用いればよい。
【0046】
(変形例3)
本実施形態の超音波プローブ1は、検者による操作部6の回動操作を振動子部2の回動に伝達する構成とされているが、モータ等を用いて振動子部2を回動させるようにしてもよい。例えば、操作部6としてボタンを2つ設けるとともに、回動操作部5の歯車51を回動させるモータを設ける。2つのボタンは、振動子部2の左右の回動方向に対応する。一方のボタンが押下されるとモータに電流が供給され、モータは所定の方向に回転して歯車51を回転させる。それにより振動子部2が所定の方向に回転される。また、他方のボタンが押下されるとモータに+−が逆の電流が供給され、モータは逆方向に回転し、振動子部2を逆方向に回転させる。
【0047】
ここで、モータとしてステッピングモータを用いれば、変形例2で説明したような、振動子部2のスキャン方向を離散的に変更する構成が実現される。
【0048】
(その他の変形例)
本実施形態の超音波プローブ1では、操作部6は常時回動自在に構成されているが、操作部6の誤操作を防止するために操作部6の回動状態を維持するためのロック機構を設けてもよい。また、保持部4、回動伝達機構部5、操作部6を振動子部2から取り外し可能な構成としてもよい。例えば、回動伝達機構部5の筐体を2つ(あるいはそれ以上)に分離可能に構成し、歯車51と歯車22との係合状態を解除して保持部4等を振動子部2から取り外すように構成することができる。また、保持部4と回動伝達機構部5とを別構成とし、回動伝達機構部5を振動子部2に固定するとともに、保持部4を回動伝達機構部5に対して角度可変に取り付けた構成としてもよい。この構成によれば、振動子部2の回動軸O1に対する操作部6の回動軸O2の角度方向を変更することにより超音波プローブの操作性が向上される。
【0049】
なお、以上で説明した各変形例は、以下の第2、3の実施形態の超音波プローブにおいても適宜採用することができる。
【0050】
[第2の実施の形態]
図5は、本発明の第2の実施形態の超音波プローブの概略構成を表している。なお、第1の実施形態の超音波プローブ1と同様の構成部位については同一の符号を付して説明する。本実施形態の超音波プローブの特徴は、振動子部と超音波診断装置本体200(図示省略)とを電気的に接続する接続導体を保持部4内に設けることにより操作性の向上が図られていることにある。
【0051】
図5に示すように、本実施形態の超音波プローブ10は、振動子部2、ケーブル3、保持部4、操作部6及び回動伝達機構部11を含んで構成されている。振動子部2と操作部6については、第1の実施形態と同一の構成とされている。
【0052】
超音波プローブ10の保持部4には、ケーブル3を取り付けるためのケーブル取付部41が形成されている。ケーブル取付部41は、保持部4の側面部にテーパ状に突出して設けられており、中空に形成されている。このケーブル取付部41の先端には、ケーブル3が嵌入され固定されている。更に、ケーブル3内に挿通された接続導体31は、このケーブル取付部41を通じて保持部4内に案内され、振動子部2の超音波振動子に導かれている。なお、保持部4内には、この接続導体31とともに、操作部6の操作軸6aが挿通されている。
【0053】
図6は、本発明にいう回動機構を構成する超音波プローブ10の回動伝達機構部11の構成を示す拡大図である。この回動伝達機構部11は、操作部6の操作軸6aと振動子部2とを連結するジョイント部53を備えている。このジョイント部53は、操作軸6aの一端に設けられた操作部側接続部材53aと、振動子部2に固定された振動子側接続部材53bと、操作部側接続部材53aの回動運動を振動子側接続部材53bに伝達して振動子部2を回動させる回動機構部53cとを備えている。回動機構部53cは、例えばユニバーサルジョイント構造やワイヤ等によって構成される。
【0054】
振動子部2の上面(下面2aの対向面)には、この振動子部2と保持部4とを接続するための円形の接続口を形成する接続部23が設けられている。また、操作部6とは反対側の保持部4の端部4bは円柱状に形成されており、接続部23が形成する接続口に嵌入される。ここで、接続部23の内径は、端部4bの外径よりも僅かに大きく形成されており、接続部23は端部4bに対して摺動可能になっている。それにより、接続部23は、軸O1を中心として回動自在とされている。
【0055】
また、振動子部2の接続部23の内周部と、保持部4の端部4bの外周部には、それぞれ周方向に凹部が形成されている。この凹部には、端部4bと接続部23との間隙からの血液等の侵入を阻止する環状のパッキン等からなるシール部材54が配設される。このシール部材54は、端部4bに対する接続部23の摺動動作を大きく妨げないように、その表面が滑らかに形成されている。
【0056】
本実施形態の超音波プローブ10によれば、検者が操作部6を軸O2周りに回転させると、それと一体の操作軸6aの回転が伝達されて振動子部2が軸O1周りに回転される。したがって、第1の実施形態の超音波プローブと同様に、検者は、操作部6を操作して振動子部2によるスキャン方向を変更することにより、隣接する他の臓器に影響を与えることなく、目的の臓器の様々な位置及び方向における断層像を取得することができる。
【0057】
また、接続導体31が保持部4内を通じて振動子部2まで案内されており、第1の実施形態のようにケーブル3を振動子部2に接続する必要がないので、超音波プローブ10の操作や被検体内への挿入、更には被検体内での位置の変更を容易に行うことができる。また、血液等の体液の侵入を阻止するシール部材54を備えているので、被検体内に挿入して使用する場合における故障の発生を防止することができる。
【0058】
[第3の実施形態]
図7は、本発明の第3の実施形態の超音波プローブの概略構成を表している。なお、第1の実施形態の超音波プローブ1と同様の構成部位については同一の符号を付して説明する。本実施形態の超音波プローブの特徴は、保持手段、操作手段、回動伝達機構部を振動子部に対して着脱可能に構成することにより、振動子部を把持して行う通常の使用形態と、保持手段等を取り付けて遠隔操作する使用形態との双方に適用できる点である。また、操作性の向上を図るために、振動子部の回動軸O1に対する操作手段の回動軸O2の角度方向を変更可能に構成されている点も特徴的である。
【0059】
図7に示すように、本実施形態の超音波プローブ20は、振動子部2、ケーブル3、操作部6及び回動伝達機構部60を含んで構成されている。振動子部2と操作部6については、第1の実施形態と同一の構成とされている。また、当該超音波プローブ20を使用するとき、検者は、操作部6の操作軸6aを保持して振動子部2の遠隔操作を行うようになっている。すなわち、本実施形態では、操作部6を保持手段として用いている。
【0060】
図8は、操作部6の操作軸6aと振動子部2とを連結する回動伝達機構部60の構成を表す断面側面図である。この回動伝達機構部60は、本発明の回動機構を構成している。振動子部2の上面には、振動子側接続部材65の台座部65bが形成されている。この振動子側接続部材65の円柱状の側面にはネジ山が螺刻されている。回動伝達機構部60の筐体66の内周面には、振動子側接続部材65のネジ山を螺入するためのネジ山が形成されている。すなわち、振動子側接続部材65は雄ネジとして作用し、筐体66は雌ネジとして作用して、互いに螺合されている。なお、振動子側接続部材65及び筐体66は、本発明にいうネジ機構部を構成している。また、振動子側接続部材65の平坦状の頂部には、例えば直方体状の凹部65aが形成されている。この凹部65aの形状は、軸O1に対して回転対称でない任意の形状でよい。
【0061】
操作部6の操作軸6aの下端6a1には、ユニバーサルジョイント構造で操作軸6aと振動子部2とを連結する回動機構部61が接続されている。この回動機構部61には、接続部材62が軸O1に沿うように接続されている。それにより、回動機構部61は、操作部6の操作軸6aの軸O2周りの回動運動を接続部材62に伝達して、この接続部材62を軸O1周りに回動運動させるように作用する。
【0062】
接続部材62の下部には、この接続部材62と一体となって回動する回動板63が固着されている。更に、回動板63の下面には、振動子側接続部材65の凹部65aと同一形状の凸部64が設けられており、凹部65aに係合されている。
【0063】
また、筐体66の上部には、ゴム等の変形自在な材質からなるカバー67が設けられている。カバー67は、その下端部を筐体66に固定され、上端部を操作軸6aに固定されている。このカバー67は、振動子部2を被検体内にて使用するときに、血液等の体液が回動伝達機構部60内に侵入しないようにするための部材である。
【0064】
ケーブル3は、振動子部2の上面に係合されたコネクタ部70によって振動子部2に導かれ、その内部に挿通された接続導体31を超音波振動子に案内している。
【0065】
このような超音波プローブ20によれば、検者が操作部6を軸O2周りに回転させると、それと一体の操作軸6aの回転が回動機構部61によって接続部材62に伝達されて回動板63及び凸部64が回転される。凸部64及び凹部65aの形状は、軸O1に対して回転対称ではないので、振動子側接続部材65は、回動板63の回転に応じて回転される。このとき、振動子側接続部材65は、その回転方向に応じて、筐体66内を上方又は下方に移動する。振動子部2は、振動子側接続部材65に固着されているので、振動子側接続部材65の回転とともに軸O1を中心として回転される。したがって、本実施形態の超音波プローブ20によれば、第1の実施形態の超音波プローブと同様に、検者は、操作部6を操作して振動子部2によるスキャン方向を変更することができるので、隣接する他の臓器に影響を与えることなく、目的の臓器の様々な位置及び方向における断層像を取得することが可能となる。
【0066】
また、回動機構部61はユニバーサルジョイント構造であり、カバー67は変形可能な材質で構成されていることから、検者は、振動子部2の回動軸O1に対する操作軸6aの角度方向を様々に変更できるので、超音波プローブの操作性が向上される。
【0067】
また、振動子側接続部材65が筐体66内を下方に移動する方向に操作部6を回転させ続けることにより、振動子部2と振動子側接続部材65を筐体66から取り外すことができる。更に、振動子側接続部材65は振動子部2から取り外し可能であるので、振動子部2を把持して行う通常の使用形態に用いることができる。また、このように取り外し可能な構成とすることにより、超音波プローブのクリーニングを容易に行うことができる。
【0068】
以上に説明した構成は、本発明に係る超音波プローブを実施するときの一構成例に過ぎないものであり、本発明の要旨の範囲内における各種の変形を施すことができる。例えば、上述の各実施形態は、超音波プローブの振動子部自体を回動させるように構成されているが、振動子部の筐体の位置は変更させずに、その内部の複数の超音波振動子を回動させるように構成できる。このとき、当該複数の超音波振動子は、その配列を維持した状態で一体的に回動される。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係る超音波プローブの第1の実施の形態の外観構成を表す概略斜視図である。
【図2】本発明に係る超音波プローブの第1の実施の形態の内部構成を表す断面側面図である。
【図3】本発明に係る超音波プローブの第1の実施の形態の内部構成を表す拡大断面側面図である。
【図4】本発明に係る超音波プローブの第1の実施の形態の変形例の概略構成を表す拡大斜視図である。
【図5】本発明に係る超音波プローブの第2の実施の形態の内部構成を表す断面側面図である。
【図6】本発明に係る超音波プローブの第2の実施の形態の内部構成を表す拡大断面側面図である。
【図7】本発明に係る超音波プローブの第3の実施の形態の内部構成を表す断面側面図である。
【図8】本発明に係る超音波プローブの第3の実施の形態の内部構成を表す拡大断面側面図である。
【図9】本発明に係る超音波プローブの実施の形態の振動子部における超音波振動子の配列及びその中心位置を表す概略図である。
【図10】従来の超音波プローブの外観構成を表す概略斜視図である。
【図11】手術中における超音波プローブの使用形態を表す概略図である。
【符号の説明】
【0070】
1 超音波プローブ
2 振動子部
2a 下面
2b 振動子配列部
2c 音響レンズ
2A 筐体
21 凸部
22 歯車
3 ケーブル
31 接続導体
32 コネクタ部
4 保持部
4a スキャン方向情報
5 回動伝達機構部
51 歯車
52 ジョイント部
52a 操作部側接続部材
52b 歯車側接続部材
52c 回動機構部
6 操作部
6a 軸(操作軸)
6b マーク
O1 振動子部の回動軸
O2 操作部の回動軸
O3 回動伝達機構部の歯車の回動軸
200 超音波診断装置本体
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体の超音波断層像を取得するために被検体内に挿入されて使用される超音波プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波プローブ(超音波探触子)は、従来から各種の手術に利用されている。例えば、超音波プローブを被検体内に挿入し臓器に接触させて得たエコー信号から超音波断層像を形成し、当該臓器のモニタリングを行うなどの使用法が典型的である。
【0003】
超音波プローブを用いた手術では、術者等の検者が超音波プローブを直接手に保持して取り扱うこともあるが、開腹部が狭く手を挿入できない場合や、隣接する臓器に手を触れて影響を与えたくない場合などには、超音波振動子を備える振動子部から延設された例えば棒状の保持部を備えた超音波プローブが使用されることがある。
【0004】
特許文献1は、そのような保持部(把持部)を有する超音波プローブの一例を開示している。当該文献に記載の超音波プローブは、超音波振動子が収納された振動子部と、この振動子部に接続され操作者が把持して振動子部を操作し所定の診断を行うための把持部とを備え、把持部と振動子部とが着脱自在に構成されている。更に、振動子部及び把持部が各々複数種類用意されており、診断目的、用途に応じてそれぞれ交換可能に構成されている。なお、把持部のオプションとしては、棒状、クランク形状、屈曲形状のものが記載されている。
【0005】
図10は、従来の保持部付き超音波プローブの一構成例を示している。同図に示す超音波プローブ100は、そのケーブル102を介して超音波診断装置本体200に接続されている。超音波プローブ100は、振動子部101と、それを固定し支持する保持部103とを有する。振動子部101は、図示は省略するが、正負の電極を備えた圧電素子からなる(複数の)超音波振動子、この超音波振動子から発せられた超音波を収束させる音響レンズ、不要な振動を吸収するバッキング材、振動子電極に各々接続された接続導体などを含んで構成される。振動子部101は、超音波診断装置本体200からケーブル102内の接続導体を通じて供給される電気信号を受けて各超音波振動子から超音波を発生させる。このとき、振動子部101は、超音波振動子の配列面であり超音波の送受面である下面101aの長手方向に超音波をスキャンさせる。振動子部101は、超音波の反射波を受信しエコー信号として超音波診断装置本体200に送る。超音波診断装置本体200は、このエコー信号に基づいて超音波断層像を作成してモニタに表示させる。ここで、取得される断層像は、振動子部101の下面101aの長手方向における断層像である。
【0006】
図11は、超音波プローブ100が開腹部300を介して被検体内に挿入されている状態の概略を示している。開腹部300は、コッヘル400により保持されている。図示しない検者は、超音波プローブ100の保持部103を保持して振動子部101を狭い開腹部300に挿入して被検体深部の臓器500(図11中に斜線部で示す)に接触させる。その状態で振動子部101から超音波を照射することにより、臓器500の超音波断層像が得られる。
【0007】
手術において臓器500の様々な位置や角度の断層像を確認したい場合が多々あるが、その場合、臓器500に対する振動子部101の接触位置や接触角度を適宜変更して、超音波のスキャン方向を変えてやる必要がある。従来の超音波プローブ100でこの操作を行うには、振動子部101と保持部103が固着されているため、保持部103を適当な位置に移動させなければならない。しかし、開腹部300の大きさや形状、臓器500に隣接する臓器の配置などの制限を考慮すると、目的の接触位置や接触角度を達成できず、所望の断層像を得られないおそれがある。このように、従来の超音波プローブ100では、被検体内における振動子部101の移動範囲が限られていることにより、狭い範囲の超音波断層画像しか取得できないという問題があった。
【0008】
【特許文献1】特開平8−154932号公報(請求項1、請求項2、明細書段落[0015]、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、開腹部の範囲や隣接する臓器の配置などに制限のある環境下であっても、目的の臓器の超音波画像を広範囲に亘って取得できる超音波プローブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、超音波を送受信する複数の超音波振動子を有する振動子部と、前記超音波振動子の受信結果に基づいて被検体の超音波断層像を形成する超音波診断装置本体と前記超音波振動子とを接続する接続線と、一端が前記振動子部に取り付けられ、前記振動子部を被検体内に挿入して検査を行うときに検者により保持される保持手段と、を有する超音波プローブであって、前記複数の超音波振動子の配列面に直交する回動軸周りに前記複数の超音波振動子を前記保持手段に対して回動させる回動機構を備えていることを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の超音波プローブであって、前記回動機構によって前記複数の超音波振動子を回動させるために回動操作される操作手段を更に備え、前記超音波振動子の前記回動軸は、前記操作手段の回動軸とは異なる方向とされることを特徴とする。
【0012】
また、上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の超音波プローブであって、前記保持手段は、前記超音波振動子の前記回動軸に対する角度方向を変更可能に前記振動子部に取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
また、上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の超音波プローブであって、前記保持手段は、前記振動子部に対し着脱可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0014】
また、上記目的を達成するために、請求項5に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の超音波プローブであって、前記保持手段は、長手方向に沿う中空部を有する形状であり、前記接続線は、前記保持手段の前記中空部を案内されて前記複数の超音波振動子に接続されていることを特徴とする。
【0015】
また、上記目的を達成するために、請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の超音波プローブであって、前記保持手段は、前記一端が前記振動子部に対して回動可能に取り付けられ、かつ、長手方向に沿う中空部を有する形状であり、前記操作手段は、前記保持手段の前記中空部を案内された軸部と、当該軸部の一端にかつ前記保持手段の他端を越えた位置に設けられ、検者により回動操作される操作部とを備え、前記回動機構は、前記超音波振動子の前記回動軸を中心に前記振動子部に形成された第1の歯車と、前記第1の歯車と係合された第2の歯車と、前記操作手段の前記軸部の他端と前記第2の歯車とを連結し、前記操作手段の前記軸部の回動を前記第2の歯車に伝達するジョイント部とを備えている、ことを特徴とする。
【0016】
また、上記目的を達成するために、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の超音波プローブであって、前記ジョイント部は、前記操作手段の前記軸部の前記他端と前記第2の歯車とをユニバーサルジョイント構造で連結することを特徴とする。
【0017】
また、上記目的を達成するために、請求項8に記載の発明は、請求項2に記載の超音波プローブであって、前記操作手段は、軸部と、当該軸部の一端に設けられて検者により回動操作される操作部とを備え、前記回動機構は、前記操作手段の前記軸部の他端と前記振動子部とを連結し、前記操作手段の前記軸部の回動を前記振動子部に伝達する回動伝達機構部を備えていることを特徴とする。
【0018】
また、上記目的を達成するために、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の超音波プローブであって、前記回動伝達機構部は、前記操作手段の前記軸部の前記他端と前記振動子部とをユニバーサルジョイント構造で連結することを特徴とする。
【0019】
また、上記目的を達成するために、請求項10に記載の発明は、請求項8に記載の超音波プローブであって、前記回動伝達機構部は、前記操作手段の前記軸部の回動に応じて前記振動子部を前記超音波振動子の前記回動軸の方向に移動させるネジ機構部を備え、前記操作手段を所定方向に回動させることにより、前記保持手段、前記操作手段及び前記回動伝達機構部を前記振動子部から取り外し可能とすることを特徴とする。
【0020】
また、上記目的を達成するために、請求項11に記載の発明は、請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の超音波プローブであって、前記回動機構により回動された前記複数の超音波振動子の回動状態を表示する表示手段を更に備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る超音波プローブは、複数の超音波振動子の配列面に直交する回動軸周りに前記複数の超音波振動子を振動子部に対して回動させる回動機構を備えているので、振動子部を被検体の体内に挿入して検査を行うときに、振動子部を目的の臓器に接触させた状態で回動させることができる。したがって、保持手段をあちらこちらに動かさなくても、当該臓器に対する振動子部のスキャン方向を変更することができる。それにより、開腹部が狭い場合や隣接臓器が邪魔になるような場合であっても、目的の臓器の超音波画像を広範囲に亘って取得することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明に係る超音波プローブの好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明に係る超音波プローブは、図11に示したように、狭い開腹部から被検体内に挿入して遠隔操作により臓器の断層像を取得するときに好適に使用されるもので、特に、広範囲に亘る断層像の取得を可能とするものである。
【0023】
[第1の実施の形態]
〔超音波プローブの構成〕
(外観構成)
図1は、本発明の第1の実施形態の超音波プローブ1を備えた超音波診断装置本体200の外観構成の概略を示している。ここで、超音波診断装置本体200は従来と同様に、超音波プローブ1から送信されるエコー信号等に基づいて、図示しない被検体の超音波断層像を作成するための構成を備えている。
【0024】
本実施形態の超音波プローブ1は、超音波の送受波を行う振動子部2と、振動子部2と超音波診断装置本体200との間でやりとりされる電気信号を伝送するケーブル3と、図示しない術者等の検者が振動子部2を遠隔操作するときに保持するための保持部4と、この保持部4の振動子部2側に形成され、操作部6の操作に応じて振動子部2を図1中の軸O1を中心に回動させるための機構を備えた回動伝達機構部5と、保持部4の先端(振動子部2の反対側の端部)に設けられ、振動子部2を回動させるときに操作される操作部6とを含んで構成されている。なお、保持部4は、本発明にいう保持手段を構成している。
【0025】
振動子部2は、従来と同様に、正負の電極を備えた圧電素子からなる複数の超音波振動子、この超音波振動子から発せられた超音波を収束させる音響レンズ、不要な振動を吸収するバッキング材、振動子電極に各々接続された接続導体などを含んで構成されている。この接続導体は、ケーブル3内を通じて超音波診断装置本体200に導かれている(図2を参照)。
【0026】
振動子部2の複数の超音波振動子は、図1に示す振動子部2の下面2a側に当該下面2aに沿って配列されている。超音波はこの下面2a側から送波され、受波される。検者は、図示しない被検体の目的の臓器の断層像を取得するために、振動子部2の下面2aをその臓器に接触させる。振動子部2は、超音波診断装置本体200からの信号に基づき、振動子部2の長手方向に超音波をスキャンさせる。そして、その超音波の反射波を受信してエコー信号に変換しケーブル3を介して超音波診断装置本体200に送信する。超音波診断装置本体200は、このエコー信号を従来と同様の解析処理を行って当該臓器の断層像を形成する。
【0027】
ここで、振動子部2の回動軸O1は、振動子部2に設けられた超音波振動子の配列面の中心位置を通るように設計されていることが好ましい。すなわち、振動子部2が回転されても臓器内の目的の部位を様々な角度から超音波スキャンできるからである。図9に、振動子部2の超音波振動子の配列及びその中心位置の一例を概略的に示す。同図は、振動子部2を下面2a側から見たときの図である。図9(A)は、超音波振動子が直線状に(つまり一方向に)配列された状態及びそのときの中心位置を表し、図9(B)は、超音波振動子がアレイ状に配列された状態及びそのときの中心位置を表している。
【0028】
操作部6には、検者がこれを操作するときの滑り止めとしての溝が設けられている。なお、溝を設ける代わりに、操作部6にゴムカバーを被せるなどして操作時の摩擦を増大させることにより滑り止め作用を持たせてもよい。
【0029】
検者が、操作部6を軸O2周りに回動させると、回動伝達機構部5内の機構は、操作部6の回動動作を振動子部2の回動動作に変換する。それにより、振動子部2は、例えば図1中に2点鎖線で示すように、超音波振動子の配列面であり超音波の送受面である下面2aに直交する方向の回動軸O1周りに回転される。以下、このような動作を実現する超音波プローブ1の内部構成を詳細に説明する。
【0030】
(内部構成)
図2は、超音波プローブ1の内部構成を示す断面側面図であり、図3は、回動伝達機構部5周辺の内部構成を示す拡大断面側面図である。図2に示すように、振動子部2は、その筐体2A内に、例えば図9に示すように直線状やアレイ状に超音波振動子が配列された振動子配列部2bと、下面2aに配設された音響レンズ2cとを備えている。
【0031】
振動子部2とケーブル3とは、テーパ形状のコネクタ部32を介して接続されている。また、コネクタ部32は、ケーブル3に固定されている。ケーブル3内に挿通された接続導体31は、コネクタ部32を介して振動子部2に導かれ、振動子配列部2bの各超音波振動子に接続されている。なお、この接続導体31は、本発明にいう接続線を構成している。
【0032】
また、振動子部2の筐体2Aの上面(下面2aの対向面)には、振動子部2にコネクタ部32を結合させるための円筒状の凸部21が形成されている(図2では断面L字型に描写されている)。この凸部21の外周面には、円周方向に沿って歯車22が形成されている。ここで、振動子部2は、回動伝達機構部5に対し、軸O1を中心として回動自在に接続される。
【0033】
保持部4は、その長手方向に沿って中空部を備えた略管状に形成されている。操作部6には、保持部4内に挿通された軸(操作軸と呼ぶ)6aが操作部6と同軸に設けられている。したがって、操作部6が検者によって軸O2周りに回動操作されると、当該操作軸6aも軸O2周りに回動される。ここで、操作部6及び操作軸6aは、本発明の操作手段を構成し、操作軸6aは、操作手段の軸部を構成している。
【0034】
回動伝達機構部5内には、超音波プローブ1の回動軸O1に平行な回動軸O3を有する歯車51と、この歯車51と操作部6の操作軸6aとを連結するジョイント部52とが含まれている。歯車51は、振動子部2の円筒状凸部21の外周面に形成された歯車22と係合するように配置されている。
【0035】
ジョイント部52は、操作軸6aの操作部6とは反対側の端部に接続された操作部側接続部材52aと、歯車51の軸として設けられた歯車側接続部材52bと、操作部側接続部材52aと歯車側接続部材52bとを連結し、操作部側接続部材52aの回動運動を歯車側接続部材52bに伝達して歯車51を回動させる回動機構部52cとを備えている。回動機構部52cは、例えばユニバーサルジョイント構造により操作部側接続部材52aと歯車側接続部材52bとを連結している。
【0036】
検者が操作部6を軸O2周りに回動させると、その回動運動は、回動機構部52cによって歯車51の軸O3周りの回動運動に変換される。更に、歯車51の回動運動は、これに係合する振動子部2の凸部21の外周面の歯車22に伝達され、振動子部2を軸O1周りに回動させる。ここで、歯車51、ジョイント部52及び振動子部2の歯車22は、本発明にいう回動機構を構成している。
【0037】
ここで、振動子部2は、図1に実線で表す基準位置を含んで、少なくとも180°の範囲を回動可能に構成されている。例えば、当該基準位置から左右両方向(同図中の両側矢印の示す方向)にそれぞれ90°ずつ回動可能に構成される。また、当該基準位置から一方の方向に180°回動可能に構成される。この回転範囲の限定は、回動伝達機構部5の歯車51及び/又は振動子部2の凸部21の歯車22の係合範囲を限定することによって実現される。また、操作部6の回動範囲を限定することにより振動子部2の回動範囲を限定するようにしてもよい。このように振動子部2の回動範囲を限定することにより、接続導体31のねじれに起因する断線等の発生が防止される。なお、振動子部2の筐体2Aに形成された歯車22は本発明の第1の歯車を構成し、回動伝達機構部5の歯車51は第2の歯車を構成している。
【0038】
図2に示すように、振動子部2と操作部6とは、異なる方向の回動軸O1、O2を有する。これは、振動子部2の回動軸O1方向に対して操作部6の回動軸O2を傾けて設けることにより、操作部6の操作性を良好にするためである。なお、操作部6の回動軸O3を振動子部2の回動軸O1方向に対し平行に構成してもよい。また、回動運動変換機構部52cとしては、ユニバーサルジョイント構造以外にもワイヤ等の部材を用いて同様の作用を提供できる。
【0039】
〔作用効果〕
検者は、手術中において被検体内の目的の臓器の超音波断層像を取得するとき、超音波プローブ1の保持部4を保持し、被検体表面に開口された開腹部を介して振動子部2を被検体内に挿入するとともに、超音波振動子の配列面であり超音波の送受面である下面2aを目的の臓器に接触させる。ここで、振動子部2は、例えば、図1の実線で表す基準位置に配置されているとする。振動子部2は、超音波診断装置本体200からの信号に基づいて、当該振動子部2の長手方向に超音波をスキャンさせる。この超音波スキャンに基づいて作成される断層像は、当該長手方向に沿った臓器の断面を表す画像である。
【0040】
本実施形態の超音波プローブ1は、ケーブル3、保持部4、回動伝達機構部5等の位置を固定したままで振動子部2を回転可能な構成を備えている。そこで検者は、操作部6を操作して振動子部2を回転させることにより超音波のスキャン方向を所望の方向に変更する。その状態で超音波スキャンを行うことにより、前回とは異なるスキャン方向の断層像を取得することができる。このように、検者は、操作部6を操作して振動子部2によるスキャン方向を変更することにより、隣接する他の臓器に影響を与えることなく、目的の臓器の様々な位置及び方向における断層像を取得することができる。
【0041】
〔各種変形例〕
(変形例1)
本実施形態の超音波プローブ1の変形例について説明する。超音波プローブ1を用いる場合には振動子部2が被検体内部に配置されているため、検者は、振動子部2の回動状態を視認できずに所望の超音波スキャン方向を設定できない場合があると考えられる。そのような場合に対処するために、振動子部2の回動状態を表示する表示手段を設けることが有効となる。
【0042】
図4に、振動子部2の回動状態を表示する表示手段の一例を示す。図4に示す当該表示手段は、操作部6に設けられたマーク6bと、保持部4の操作部6側の端面に設けられ、振動子部2のスキャン方向(長手方向)を示すスキャン方向情報4aとにより構成される。保持部4のスキャン方向情報4aは、操作部6の回動角度に対応する振動子部2の回動角度を示している。図4の例では、図1に実線で示す基準位置に振動子部2がある場合を角度「0」で示すとともに、振動子部2が当該基準位置に対して左右に回動されるときの角度を30°毎に示している。なお、回動角度を例えば15°毎など、他の単位角度毎に示してもよい。
【0043】
この表示手段によれば、マーク6bを所望のスキャン方向情報4aに合わせるように操作部6を回動させると、振動子部2のスキャン方向がその角度まで回動される。例えば、マーク6bをスキャン方向情報「90」に合わせるように操作部6を回動させると、振動子部2は、図1に実線で示す基準位置から2点鎖線で示す位置まで90°回動される。それにより、振動子部2が被検体内にあって直接に視認できないような場合であっても、検者は、振動子部2のスキャン方向を確認することができ、また、所望のスキャン方向を設定することができる。
【0044】
なお、本発明の表示手段としては、上述のような構成以外にも、振動子部2の回動状態を表示するための各種の構成を用いることが可能である。例えば、振動子部2の回動角度を検出するポジションセンサを設け、その検出角度を表示させる構成や、回動状態を画像表示させる構成などを採用することができる。
【0045】
(変形例2)
本実施形態の超音波プローブ1は、振動子部2のスキャン方向を少なくとも180°の範囲内で連続的に変更できるように構成されているが、スキャン方向が離散的に変更されるように構成してもよい。例えば、振動子部2のスキャン方向を少なくとも180°の範囲内で15°ステップで変更するように構成できる。すなわち、スキャン方向の上記基準位置を0°として、左右方向にそれぞれ15°、30°、45°、60°、75°、90°のスキャン方向を設定可能に構成できる。そのために、例えば、回動伝達機構部5の歯車51及び振動子部2の歯車22として、15°毎にストッパが形成された歯車を用いればよい。
【0046】
(変形例3)
本実施形態の超音波プローブ1は、検者による操作部6の回動操作を振動子部2の回動に伝達する構成とされているが、モータ等を用いて振動子部2を回動させるようにしてもよい。例えば、操作部6としてボタンを2つ設けるとともに、回動操作部5の歯車51を回動させるモータを設ける。2つのボタンは、振動子部2の左右の回動方向に対応する。一方のボタンが押下されるとモータに電流が供給され、モータは所定の方向に回転して歯車51を回転させる。それにより振動子部2が所定の方向に回転される。また、他方のボタンが押下されるとモータに+−が逆の電流が供給され、モータは逆方向に回転し、振動子部2を逆方向に回転させる。
【0047】
ここで、モータとしてステッピングモータを用いれば、変形例2で説明したような、振動子部2のスキャン方向を離散的に変更する構成が実現される。
【0048】
(その他の変形例)
本実施形態の超音波プローブ1では、操作部6は常時回動自在に構成されているが、操作部6の誤操作を防止するために操作部6の回動状態を維持するためのロック機構を設けてもよい。また、保持部4、回動伝達機構部5、操作部6を振動子部2から取り外し可能な構成としてもよい。例えば、回動伝達機構部5の筐体を2つ(あるいはそれ以上)に分離可能に構成し、歯車51と歯車22との係合状態を解除して保持部4等を振動子部2から取り外すように構成することができる。また、保持部4と回動伝達機構部5とを別構成とし、回動伝達機構部5を振動子部2に固定するとともに、保持部4を回動伝達機構部5に対して角度可変に取り付けた構成としてもよい。この構成によれば、振動子部2の回動軸O1に対する操作部6の回動軸O2の角度方向を変更することにより超音波プローブの操作性が向上される。
【0049】
なお、以上で説明した各変形例は、以下の第2、3の実施形態の超音波プローブにおいても適宜採用することができる。
【0050】
[第2の実施の形態]
図5は、本発明の第2の実施形態の超音波プローブの概略構成を表している。なお、第1の実施形態の超音波プローブ1と同様の構成部位については同一の符号を付して説明する。本実施形態の超音波プローブの特徴は、振動子部と超音波診断装置本体200(図示省略)とを電気的に接続する接続導体を保持部4内に設けることにより操作性の向上が図られていることにある。
【0051】
図5に示すように、本実施形態の超音波プローブ10は、振動子部2、ケーブル3、保持部4、操作部6及び回動伝達機構部11を含んで構成されている。振動子部2と操作部6については、第1の実施形態と同一の構成とされている。
【0052】
超音波プローブ10の保持部4には、ケーブル3を取り付けるためのケーブル取付部41が形成されている。ケーブル取付部41は、保持部4の側面部にテーパ状に突出して設けられており、中空に形成されている。このケーブル取付部41の先端には、ケーブル3が嵌入され固定されている。更に、ケーブル3内に挿通された接続導体31は、このケーブル取付部41を通じて保持部4内に案内され、振動子部2の超音波振動子に導かれている。なお、保持部4内には、この接続導体31とともに、操作部6の操作軸6aが挿通されている。
【0053】
図6は、本発明にいう回動機構を構成する超音波プローブ10の回動伝達機構部11の構成を示す拡大図である。この回動伝達機構部11は、操作部6の操作軸6aと振動子部2とを連結するジョイント部53を備えている。このジョイント部53は、操作軸6aの一端に設けられた操作部側接続部材53aと、振動子部2に固定された振動子側接続部材53bと、操作部側接続部材53aの回動運動を振動子側接続部材53bに伝達して振動子部2を回動させる回動機構部53cとを備えている。回動機構部53cは、例えばユニバーサルジョイント構造やワイヤ等によって構成される。
【0054】
振動子部2の上面(下面2aの対向面)には、この振動子部2と保持部4とを接続するための円形の接続口を形成する接続部23が設けられている。また、操作部6とは反対側の保持部4の端部4bは円柱状に形成されており、接続部23が形成する接続口に嵌入される。ここで、接続部23の内径は、端部4bの外径よりも僅かに大きく形成されており、接続部23は端部4bに対して摺動可能になっている。それにより、接続部23は、軸O1を中心として回動自在とされている。
【0055】
また、振動子部2の接続部23の内周部と、保持部4の端部4bの外周部には、それぞれ周方向に凹部が形成されている。この凹部には、端部4bと接続部23との間隙からの血液等の侵入を阻止する環状のパッキン等からなるシール部材54が配設される。このシール部材54は、端部4bに対する接続部23の摺動動作を大きく妨げないように、その表面が滑らかに形成されている。
【0056】
本実施形態の超音波プローブ10によれば、検者が操作部6を軸O2周りに回転させると、それと一体の操作軸6aの回転が伝達されて振動子部2が軸O1周りに回転される。したがって、第1の実施形態の超音波プローブと同様に、検者は、操作部6を操作して振動子部2によるスキャン方向を変更することにより、隣接する他の臓器に影響を与えることなく、目的の臓器の様々な位置及び方向における断層像を取得することができる。
【0057】
また、接続導体31が保持部4内を通じて振動子部2まで案内されており、第1の実施形態のようにケーブル3を振動子部2に接続する必要がないので、超音波プローブ10の操作や被検体内への挿入、更には被検体内での位置の変更を容易に行うことができる。また、血液等の体液の侵入を阻止するシール部材54を備えているので、被検体内に挿入して使用する場合における故障の発生を防止することができる。
【0058】
[第3の実施形態]
図7は、本発明の第3の実施形態の超音波プローブの概略構成を表している。なお、第1の実施形態の超音波プローブ1と同様の構成部位については同一の符号を付して説明する。本実施形態の超音波プローブの特徴は、保持手段、操作手段、回動伝達機構部を振動子部に対して着脱可能に構成することにより、振動子部を把持して行う通常の使用形態と、保持手段等を取り付けて遠隔操作する使用形態との双方に適用できる点である。また、操作性の向上を図るために、振動子部の回動軸O1に対する操作手段の回動軸O2の角度方向を変更可能に構成されている点も特徴的である。
【0059】
図7に示すように、本実施形態の超音波プローブ20は、振動子部2、ケーブル3、操作部6及び回動伝達機構部60を含んで構成されている。振動子部2と操作部6については、第1の実施形態と同一の構成とされている。また、当該超音波プローブ20を使用するとき、検者は、操作部6の操作軸6aを保持して振動子部2の遠隔操作を行うようになっている。すなわち、本実施形態では、操作部6を保持手段として用いている。
【0060】
図8は、操作部6の操作軸6aと振動子部2とを連結する回動伝達機構部60の構成を表す断面側面図である。この回動伝達機構部60は、本発明の回動機構を構成している。振動子部2の上面には、振動子側接続部材65の台座部65bが形成されている。この振動子側接続部材65の円柱状の側面にはネジ山が螺刻されている。回動伝達機構部60の筐体66の内周面には、振動子側接続部材65のネジ山を螺入するためのネジ山が形成されている。すなわち、振動子側接続部材65は雄ネジとして作用し、筐体66は雌ネジとして作用して、互いに螺合されている。なお、振動子側接続部材65及び筐体66は、本発明にいうネジ機構部を構成している。また、振動子側接続部材65の平坦状の頂部には、例えば直方体状の凹部65aが形成されている。この凹部65aの形状は、軸O1に対して回転対称でない任意の形状でよい。
【0061】
操作部6の操作軸6aの下端6a1には、ユニバーサルジョイント構造で操作軸6aと振動子部2とを連結する回動機構部61が接続されている。この回動機構部61には、接続部材62が軸O1に沿うように接続されている。それにより、回動機構部61は、操作部6の操作軸6aの軸O2周りの回動運動を接続部材62に伝達して、この接続部材62を軸O1周りに回動運動させるように作用する。
【0062】
接続部材62の下部には、この接続部材62と一体となって回動する回動板63が固着されている。更に、回動板63の下面には、振動子側接続部材65の凹部65aと同一形状の凸部64が設けられており、凹部65aに係合されている。
【0063】
また、筐体66の上部には、ゴム等の変形自在な材質からなるカバー67が設けられている。カバー67は、その下端部を筐体66に固定され、上端部を操作軸6aに固定されている。このカバー67は、振動子部2を被検体内にて使用するときに、血液等の体液が回動伝達機構部60内に侵入しないようにするための部材である。
【0064】
ケーブル3は、振動子部2の上面に係合されたコネクタ部70によって振動子部2に導かれ、その内部に挿通された接続導体31を超音波振動子に案内している。
【0065】
このような超音波プローブ20によれば、検者が操作部6を軸O2周りに回転させると、それと一体の操作軸6aの回転が回動機構部61によって接続部材62に伝達されて回動板63及び凸部64が回転される。凸部64及び凹部65aの形状は、軸O1に対して回転対称ではないので、振動子側接続部材65は、回動板63の回転に応じて回転される。このとき、振動子側接続部材65は、その回転方向に応じて、筐体66内を上方又は下方に移動する。振動子部2は、振動子側接続部材65に固着されているので、振動子側接続部材65の回転とともに軸O1を中心として回転される。したがって、本実施形態の超音波プローブ20によれば、第1の実施形態の超音波プローブと同様に、検者は、操作部6を操作して振動子部2によるスキャン方向を変更することができるので、隣接する他の臓器に影響を与えることなく、目的の臓器の様々な位置及び方向における断層像を取得することが可能となる。
【0066】
また、回動機構部61はユニバーサルジョイント構造であり、カバー67は変形可能な材質で構成されていることから、検者は、振動子部2の回動軸O1に対する操作軸6aの角度方向を様々に変更できるので、超音波プローブの操作性が向上される。
【0067】
また、振動子側接続部材65が筐体66内を下方に移動する方向に操作部6を回転させ続けることにより、振動子部2と振動子側接続部材65を筐体66から取り外すことができる。更に、振動子側接続部材65は振動子部2から取り外し可能であるので、振動子部2を把持して行う通常の使用形態に用いることができる。また、このように取り外し可能な構成とすることにより、超音波プローブのクリーニングを容易に行うことができる。
【0068】
以上に説明した構成は、本発明に係る超音波プローブを実施するときの一構成例に過ぎないものであり、本発明の要旨の範囲内における各種の変形を施すことができる。例えば、上述の各実施形態は、超音波プローブの振動子部自体を回動させるように構成されているが、振動子部の筐体の位置は変更させずに、その内部の複数の超音波振動子を回動させるように構成できる。このとき、当該複数の超音波振動子は、その配列を維持した状態で一体的に回動される。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係る超音波プローブの第1の実施の形態の外観構成を表す概略斜視図である。
【図2】本発明に係る超音波プローブの第1の実施の形態の内部構成を表す断面側面図である。
【図3】本発明に係る超音波プローブの第1の実施の形態の内部構成を表す拡大断面側面図である。
【図4】本発明に係る超音波プローブの第1の実施の形態の変形例の概略構成を表す拡大斜視図である。
【図5】本発明に係る超音波プローブの第2の実施の形態の内部構成を表す断面側面図である。
【図6】本発明に係る超音波プローブの第2の実施の形態の内部構成を表す拡大断面側面図である。
【図7】本発明に係る超音波プローブの第3の実施の形態の内部構成を表す断面側面図である。
【図8】本発明に係る超音波プローブの第3の実施の形態の内部構成を表す拡大断面側面図である。
【図9】本発明に係る超音波プローブの実施の形態の振動子部における超音波振動子の配列及びその中心位置を表す概略図である。
【図10】従来の超音波プローブの外観構成を表す概略斜視図である。
【図11】手術中における超音波プローブの使用形態を表す概略図である。
【符号の説明】
【0070】
1 超音波プローブ
2 振動子部
2a 下面
2b 振動子配列部
2c 音響レンズ
2A 筐体
21 凸部
22 歯車
3 ケーブル
31 接続導体
32 コネクタ部
4 保持部
4a スキャン方向情報
5 回動伝達機構部
51 歯車
52 ジョイント部
52a 操作部側接続部材
52b 歯車側接続部材
52c 回動機構部
6 操作部
6a 軸(操作軸)
6b マーク
O1 振動子部の回動軸
O2 操作部の回動軸
O3 回動伝達機構部の歯車の回動軸
200 超音波診断装置本体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を送受信する複数の超音波振動子を有する振動子部と、
前記超音波振動子の受信結果に基づいて被検体の超音波断層像を形成する超音波診断装置本体と前記超音波振動子とを接続する接続線と、
一端が前記振動子部に取り付けられ、前記振動子部を被検体内に挿入して検査を行うときに検者により保持される保持手段と、
を有する超音波プローブであって、
前記複数の超音波振動子の配列面に直交する回動軸周りに前記複数の超音波振動子を前記保持手段に対して回動させる回動機構を備えていることを特徴とする超音波プローブ。
【請求項2】
前記回動機構によって前記複数の超音波振動子を回動させるために回動操作される操作手段を更に備え、
前記超音波振動子の前記回動軸は、前記操作手段の回動軸とは異なる方向とされることを特徴とする請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項3】
前記保持手段は、前記超音波振動子の前記回動軸に対する角度方向を変更可能に前記振動子部に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超音波プローブ。
【請求項4】
前記保持手段は、前記振動子部に対し着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の超音波プローブ。
【請求項5】
前記保持手段は、長手方向に沿う中空部を有する形状であり、
前記接続線は、前記保持手段の前記中空部を案内されて前記複数の超音波振動子に接続されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の超音波プローブ。
【請求項6】
前記保持手段は、前記一端が前記振動子部に対して回動可能に取り付けられ、かつ、長手方向に沿う中空部を有する形状であり、
前記操作手段は、
前記保持手段の前記中空部を案内された軸部と、
当該軸部の一端にかつ前記保持手段の他端を越えた位置に設けられ、検者により回動操作される操作部とを備え、
前記回動機構は、
前記超音波振動子の前記回動軸を中心に前記振動子部に形成された第1の歯車と、
前記第1の歯車と係合された第2の歯車と、
前記操作手段の前記軸部の他端と前記第2の歯車とを連結し、前記操作手段の前記軸部の回動を前記第2の歯車に伝達するジョイント部とを備えている、
ことを特徴とする請求項2に記載の超音波プローブ。
【請求項7】
前記ジョイント部は、前記操作手段の前記軸部の前記他端と前記第2の歯車とをユニバーサルジョイント構造で連結することを特徴とする請求項6に記載の超音波プローブ。
【請求項8】
前記操作手段は、軸部と、当該軸部の一端に設けられて検者により回動操作される操作部とを備え、
前記回動機構は、前記操作手段の前記軸部の他端と前記振動子部とを連結し、前記操作手段の前記軸部の回動を前記振動子部に伝達する回動伝達機構部を備えていることを特徴とする請求項2に記載の超音波プローブ。
【請求項9】
前記回動伝達機構部は、前記操作手段の前記軸部の前記他端と前記振動子部とをユニバーサルジョイント構造で連結することを特徴とする請求項8に記載の超音波プローブ。
【請求項10】
前記回動伝達機構部は、前記操作手段の前記軸部の回動に応じて前記振動子部を前記超音波振動子の前記回動軸の方向に移動させるネジ機構部を備え、
前記操作手段を所定方向に回動させることにより、前記保持手段、前記操作手段及び前記回動伝達機構部を前記振動子部から取り外し可能とすることを特徴とする請求項8に記載の超音波プローブ。
【請求項11】
前記回動機構により回動された前記複数の超音波振動子の回動状態を表示する表示手段を更に備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の超音波プローブ。
【請求項1】
超音波を送受信する複数の超音波振動子を有する振動子部と、
前記超音波振動子の受信結果に基づいて被検体の超音波断層像を形成する超音波診断装置本体と前記超音波振動子とを接続する接続線と、
一端が前記振動子部に取り付けられ、前記振動子部を被検体内に挿入して検査を行うときに検者により保持される保持手段と、
を有する超音波プローブであって、
前記複数の超音波振動子の配列面に直交する回動軸周りに前記複数の超音波振動子を前記保持手段に対して回動させる回動機構を備えていることを特徴とする超音波プローブ。
【請求項2】
前記回動機構によって前記複数の超音波振動子を回動させるために回動操作される操作手段を更に備え、
前記超音波振動子の前記回動軸は、前記操作手段の回動軸とは異なる方向とされることを特徴とする請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項3】
前記保持手段は、前記超音波振動子の前記回動軸に対する角度方向を変更可能に前記振動子部に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超音波プローブ。
【請求項4】
前記保持手段は、前記振動子部に対し着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の超音波プローブ。
【請求項5】
前記保持手段は、長手方向に沿う中空部を有する形状であり、
前記接続線は、前記保持手段の前記中空部を案内されて前記複数の超音波振動子に接続されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の超音波プローブ。
【請求項6】
前記保持手段は、前記一端が前記振動子部に対して回動可能に取り付けられ、かつ、長手方向に沿う中空部を有する形状であり、
前記操作手段は、
前記保持手段の前記中空部を案内された軸部と、
当該軸部の一端にかつ前記保持手段の他端を越えた位置に設けられ、検者により回動操作される操作部とを備え、
前記回動機構は、
前記超音波振動子の前記回動軸を中心に前記振動子部に形成された第1の歯車と、
前記第1の歯車と係合された第2の歯車と、
前記操作手段の前記軸部の他端と前記第2の歯車とを連結し、前記操作手段の前記軸部の回動を前記第2の歯車に伝達するジョイント部とを備えている、
ことを特徴とする請求項2に記載の超音波プローブ。
【請求項7】
前記ジョイント部は、前記操作手段の前記軸部の前記他端と前記第2の歯車とをユニバーサルジョイント構造で連結することを特徴とする請求項6に記載の超音波プローブ。
【請求項8】
前記操作手段は、軸部と、当該軸部の一端に設けられて検者により回動操作される操作部とを備え、
前記回動機構は、前記操作手段の前記軸部の他端と前記振動子部とを連結し、前記操作手段の前記軸部の回動を前記振動子部に伝達する回動伝達機構部を備えていることを特徴とする請求項2に記載の超音波プローブ。
【請求項9】
前記回動伝達機構部は、前記操作手段の前記軸部の前記他端と前記振動子部とをユニバーサルジョイント構造で連結することを特徴とする請求項8に記載の超音波プローブ。
【請求項10】
前記回動伝達機構部は、前記操作手段の前記軸部の回動に応じて前記振動子部を前記超音波振動子の前記回動軸の方向に移動させるネジ機構部を備え、
前記操作手段を所定方向に回動させることにより、前記保持手段、前記操作手段及び前記回動伝達機構部を前記振動子部から取り外し可能とすることを特徴とする請求項8に記載の超音波プローブ。
【請求項11】
前記回動機構により回動された前記複数の超音波振動子の回動状態を表示する表示手段を更に備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の超音波プローブ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−20828(P2006−20828A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−201494(P2004−201494)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]