説明

超音波モータ

【課題】 板状圧電素子と弾性体とを容易に位置決めできる超音波モータを提供すること。
【解決手段】 超音波モータ1は、平面124aと斜面124bと貫通口124cとを有する中空の柱形状の中部基本弾性体124と、貫通口19aを有し斜面124bに傾斜した状態で積み重なる積層型圧電素子18と、平面126aと斜面126bと貫通口126cとを有し、斜面126bにて積層型圧電素子18に積み重なり、斜面124bと斜面126bとの間で積層型圧電素子18を挟み込む中空の柱形状の上部基本弾性体126と、平面126aの上方に配設される摩擦子26と、摩擦子26によって駆動されるロータ53と、ロータ53を摩擦子26に押圧する押圧機構70と、上部基本弾性体126と積層型圧電素子18と中部基本弾性体124とに配設され、それぞれの積層方向に対する周方向における積層型圧電素子18の位置決めを行う位置決め機構140と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子を駆動源とした超音波モータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電磁型モータに代わる新しいモータとして、超音波モータが注目されている。超音波モータは、圧電素子などの振動子の振動を利用する。超音波モータは、従来の電磁型モータと比較して、ギアなしで低回転高トルクが得られる点、保持力が大きい点、高分解能である点、静粛性に富む点、磁気的ノイズを発生せず、また、磁気的ノイズの影響を受けない点等の利点を有している。
【0003】
例えば特許文献1には、厚み方向に分極した一種の圧電素子のみで構成され、さらに駆動電圧を低電圧化することが可能な超音波モータが開示されている。
【0004】
この超音波モータにおいて、少なくとも1枚の板状圧電素子は、厚み方向に分極され各々分割電極を備えている。板状圧電素子は、圧電体として、弾性体の高さ方向に向かって傾斜した状態で弾性体に挟まれて配置されている。つまり高さ方向において、第1の弾性体、板状圧電素子、第2の弾性体の順で積み重なり、第1の弾性体と板状圧電素子と第2の弾性体とは、振動体を構成している。超音波モータは、第1の弾性体と板状圧電素子と第2の弾性体とにネジを挿通させて締め付けることで、組み立てられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−117168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に開示されている超音波モータにおいて、ネジを締め付ける際に、弾性体が回転してしまう虞が生じる。これにより板状圧電素子と弾性体との位置決めが困難となってしまう。
【0007】
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、板状圧電素子と弾性体とを容易に位置決めできる超音波モータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は目的を達成するために、自身の中心軸方向に対して垂直に形成される平面と、自身の中心軸方向に対して所望する角度を有するように斜めに形成される斜面と、自身の中心軸に沿って貫通して配設される貫通口とを有する中空の柱形状の中部基本弾性体と、自身の中心軸に沿って貫通して配設される貫通口を有し、前記中部基本弾性体の前記斜面に傾斜した状態で積み重なる積層型圧電素子と、自身の中心軸方向に対して垂直に形成される平面と、自身の中心軸方向に対して所望する角度を有するように斜めに形成される斜面と、自身の中心軸に沿って貫通して配設される貫通口とを有し、自身の斜面にて前記積層型圧電素子に積み重なり、前記中部基本弾性体の前記斜面と自身の斜面との間で前記積層型圧電素子を挟み込む中空の柱形状の上部基本弾性体と、前記上部基本弾性体の前記平面の上方に配設される摩擦子と、前記摩擦子によって駆動されるロータと、前記ロータを前記摩擦子に押圧する押圧機構と、前記上部基本弾性体と前記積層型圧電素子と前記中部基本弾性体とに配設され、前記上部基本弾性体と前記積層型圧電素子と前記中部基本弾性体とが積み重なる際に、前記上部基本弾性体と前記積層型圧電素子と前記中部基本弾性体との積み重ね方向に対する周方向における前記積層型圧電素子の位置決めを行う位置決め機構と、を具備する超音波モータを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、板状圧電素子と弾性体とを容易に位置決めできる超音波モータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態の超音波振動子の側面図である。
【図2】図2は、超音波振動子の分解図である。
【図3】図3は、積層型圧電素子における上部基本弾性体が載置される圧電素子と、中部基本弾性体との斜視図である。
【図4】図4は、超音波振動子を用いた超音波モータの側面図である。
【図5】図5は、超音波振動子を用いた超音波モータの分解図である。
【図6】図6は、圧電素子の変形例を示す斜視図である。
【図7】図7は、第2の実施形態における超音波振動子の分解図である。
【図8A】図8Aは、超音波振動子の組み立てを説明する図である。
【図8B】図8Bは、超音波振動子の組み立てを説明する図である。
【図8C】図8Cは、超音波振動子の組み立てを説明する図である。
【図8D】図8Dは、超音波振動子の組み立てを説明する図であり、超音波振動子の概略側面図である。
【図8E】図8Eは、超音波振動子を用いた超音波モータの分解図である。
【図8F】図8Fは、超音波振動子を用いた超音波モータの概略側面図である。
【図9】図9は、第3の実施形態における超音波振動子の分解図である。
【図10A】図10Aは、超音波振動子の組み立てを説明する図である。
【図10B】図10Bは、超音波振動子の組み立てを説明する図である。
【図10C】図10Cは、超音波振動子の組み立てを説明する図であり、超音波振動子の概略側面図である。
【図10D】図10Dは、超音波振動子を用いた超音波モータの分解図である。
【図10E】図10Eは、超音波振動子を用いた超音波モータの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1乃至図5を参照して第1の実施形態について説明する。
超音波モータ1は、図1に示すような超音波による振動を発生させる超音波振動子10(振動体)と、超音波振動子10の振動が伝達され駆動される被駆動部材であるロータ53と、被駆動部材(ロータ53)と超音波振動子10とに押圧力を与える押圧機構70と、超音波モータ1(超音波振動子10)の長手方向に対する周方向における積層型圧電素子18の位置決めを行う位置決め機構140とを有している。
【0012】
超音波振動子10は、例えば黄銅材(C2801PのO材)といった金属製であり、中空の円柱形状の基本弾性体12と、図示しない駆動源により交番電圧が印加され励振する電気機械変換素子である積層型圧電素子18と、基本弾性体12の長手方向上端部に被駆動部材(ロータ53)と対向して配置され、積層型圧電素子18による振動を被駆動部材(ロータ53)に伝達する摺動用駆動子26とを有している。
【0013】
この基本弾性体12は、下部基本弾性体122と、下部基本弾性体122に積み重なる中部基本弾性体124と、上部基本弾性体126と、上部基本弾性体126に積み重なる予圧弾性体128とから構成される。下部基本弾性体122と、中部基本弾性体124と、上部基本弾性体126と、予圧弾性体128とは、中空の円柱形状である。
【0014】
超音波振動子10の長手方向において、中部基本弾性体124と上部基本弾性体126との間には、超音波による振動を発生させる振動本体部であり、電気機械変換素子である積層型圧電素子18が挟み込まれ配設される。つまり中部基本弾性体124と積層型圧電素子18と上部基本弾性体126とは、積み重なる。このように基本弾性体12は、積層型圧電素子18を挟む中部基本弾性体124と上部基本弾性体126と、下部基本弾性体122と、予圧弾性体128とを有している。
【0015】
下部基本弾性体122は、下端から例えば11mmの位置の外周にて、全周に渡って形成(凹設)されている深さ略1mm〜略2mmの溝部14を有している。溝部14より下方(積層型圧電素子18と反対側)の長さ寸法を変化させ、溝部14の相対位置を適切(所望)な位置とすることで、共振縦振動モードと共振捻れ振動との共振周波数をほぼ一致させる。
【0016】
この下部基本弾性体122には、中部基本弾性体124の後述する平面124aが積み重なっている。また下部基本弾性体122は、積層型圧電素子18と中部基本弾性体124と上部基本弾性体126と予圧弾性体128とを挿通可能な中空の軸122aを有している。
詳細には積層型圧電素子18と中部基本弾性体124と上部基本弾性体126とは、平面中央において厚み方向に貫通している後述する貫通口19a,124c,126cとをそれぞれ有している。軸122aは、貫通口124cから積み重なっている状態の中部基本弾性体124と積層型圧電素子18と上部基本弾性体126とのそれぞれの貫通口124c,19a,126cを挿通する。
【0017】
軸122aの外周には、オネジが形成されている。下部基本弾性体122は、軸122aを上部基本弾性体126と積層型圧電素子18と中部基本弾性体124とに挿通させる際、貫通口19a,124c,126cに形成されるメネジとネジ止めを行う。また軸122aは、貫通口126cから突出する長さを有し、さらに下部基本弾性体122と中部基本弾性体124と積層型圧電素子18と上部基本弾性体126と予圧弾性体128とが積み重なった際に、予圧弾性体128から突出しない長さを有している。
【0018】
また軸122aは、後述する軸51が上部基本弾性体126側から嵌装可能な中空形状を有している。詳細には軸122aには、軸122aの長手方向に沿って形成される貫通口122bが配設されている。この貫通口122bには、後述する軸51が嵌装される。また貫通口122bの超音波振動子10の縦振動の節位置には、メネジ32が螺刻されている(図2参照)。このように軸122aは、軸51が基本弾性体12の縦振動の節位置に固定するための固定部であるメネジ32を有することとなる。軸51の端部のオネジ58は、メネジ32に螺合した後に接着固定される。これにより軸51は、基本弾性体12の縦振動の節位置と接着固定していることとなる。
【0019】
中部基本弾性体124は、中部基本弾性体124の中心軸方向(中部基本弾性体124と上部基本弾性体126と積層型圧電素子18との積み重ね方向、中部基本弾性体124の厚み方向、軸122aの軸方向)に対して垂直に形成され、下部基本弾性体122に載置される平面124aと、積層型圧電素子18が積み重なり(載置され)、下部基本弾性体122の中心軸方向に対して所望する角度を有するように斜めに形成されている斜面124bと、軸122aが中部基本弾性体124の厚み方向に貫通可能であり、中部基本弾性体124の中心軸に沿って貫通して配設される貫通口124cとを有している。貫通口124cは、中空形状の基本弾性体12の中空部である。
【0020】
斜面124bは、積層型圧電素子18を介して後述する斜面126bと対向している。
貫通口124cは、中部基本弾性体124の厚み方向に沿って中部基本弾性体124の中心軸上に配設されており、中部基本弾性体124の径方向における中心部に配設されている。
【0021】
中部基本弾性体124は、斜面124bにおいて、斜面124bに積み重なる積層型圧電素子18の後述する凹部19bと係合し、基本弾性体12の周方向における積層型圧電素子18の位置決めをする2つの凸部124dを有している。凸部124dは、斜面124bの平面方向(基本弾性体12の長手方向に直交する方向、斜面124bの長径方向)において、基本弾性体12の長手方向(貫通口124c)を中心に対称に配設されている。これにより斜面124bの長径方向の中心線と後述する圧電素子18fの長径方向の中心線とは、一致することとなる。
【0022】
上部基本弾性体126は、上部基本弾性体126の中心軸方向(中部基本弾性体124と上部基本弾性体126と積層型圧電素子18との積み重ね方向、上部基本弾性体126の厚み方向、軸122aの軸方向)に対して垂直に形成され、予圧弾性体128が載置される平面126aと、積層型圧電素子18に積み重なり(載置され)、上部基本弾性体126の中心軸方向に対して所望する角度を有するように斜めに形成されている斜面126bと、軸122aが上部基本弾性体126の厚み方向に貫通可能であり、上部基本弾性体126の中心軸に沿って貫通して配設される貫通口126cとを有している。貫通口126cは、中空形状の基本弾性体12の中空部である。
【0023】
斜面126bは、積層型圧電素子18を介して斜面124bと対向している。
貫通口126cは、上部基本弾性体126の厚み方向に沿って上部基本弾性体126の中心軸上に配設されており、上部基本弾性体126の径方向における中心部に配設されている。
【0024】
上部基本弾性体126は、斜面126bにて積層型圧電素子18に積み重なり、斜面124bと斜面126bとの間で積層型圧電素子18を挟み込む。
【0025】
上部基本弾性体126は、斜面126bにおいて、積層型圧電素子18の後述する凹部19cと係合し、基本弾性体12の周方向における積層型圧電素子18の位置決めをする2つの凸部126dを有している。凸部126dは、斜面126bの平面方向(基本弾性体12の長手方向に直交する方向、斜面126bの長径方向)において、基本弾性体12の長手方向(貫通口126c)を中心に対称に配設されている。これにより斜面124bの長径方向の中心線と圧電素子18fの長径方向の中心線とは、一致することとなる。
【0026】
このように中部基本弾性体124と上部基本弾性体126との形状は、略同一である。
【0027】
中部基本弾性体124(斜面124b)に積層型圧電素子18が積み重なり、凸部124dが凹部19bと係合し、積層型圧電素子18に上部基本弾性体126(斜面126b)が積み重なり、凸部126dが凹部19cと係合する際、積層型圧電素子18は、中部基本弾性体124と上部基本弾性体126(斜面124bと斜面126b)との間に挟み込まれて、接着固定される。
つまり基本弾性体12は、基本弾性体12の厚み方向に対して、所望する傾斜角度を持たせた状態で積層型圧電素子18を挟持し、接着固定し、基本弾性体12の周方向における積層型圧電素子18の位置決めする。
【0028】
次に積層型圧電素子18について詳細に説明する。
この積層型圧電素子18は、複数の板状の圧電素子18fを有している。複数の板状の圧電素子18fは、基本弾性体12の長手方向に対し傾斜して積層されている。このような積層化は接着剤を用いても良いし、一体焼成法によっても良い。
【0029】
圧電素子18fは、超音波振動子10の駆動用の圧電素子である。なお圧電素子18fの一部は、例えば振動検出用として用いられても良い。圧電素子18fは、例えば100μmの厚みを有し、例えばチタン酸ジルコン酸鉛系圧電セラミックス素子(PZT)である。
【0030】
駆動用の圧電素子18fには、+用電極と−用電極のいずれかを有している内部電極18hが形成されている。上述したように圧電素子18fが積層する際、+用電極の内部電極18hを有している圧電素子18fと、−用電極の内部電極18hを有している圧電素子18fと、が交互に積層している。
【0031】
内部電極18hは、例えば4μmの厚さを有し、例えば銀パラジウム合金である。内部電極18hの面積は、圧電素子18fの面積に可能な限り近いことが好適である。
【0032】
積層の際の接続は、それぞれを短絡した外部電極で行う。そして+用電極の内部電極18hと−電極の内部電極18hとの間に高電圧を印加して、積層型圧電素子18を分極させ、圧電的に活性化させる。分極しない部分、または内部電極18hのない部分は、不活性層となる。
【0033】
このような積層型圧電素子18における圧電素子18fは、軸122aが貫通可能で、積層型圧電素子18の中心軸に沿って貫通して配設される貫通口19aを有している。つまり貫通口19aは、積層型圧電素子18の径方向における中心部にて、積層型圧電素子18の厚み方向に沿って配設される。
【0034】
また積層型圧電素子18は、斜面124bに積層する圧電素子18fにて凸部124dと係合する2つの凹部19bと、斜面126bが積層する圧電素子18fにて凸部126dと係合する2つの凹部19cとを有している。凹部19bと凹部19cとは、内部電極18hと重ならないように圧電素子18fに配設されている。また凹部19bと凹部19cとは、圧電素子18fの平面方向(基本弾性体12の長手方向に直交する方向)において、基本弾性体12の長手方向(貫通口19a)を中心に対称に配設されている。
【0035】
このような積層型圧電素子18は、上述したように斜面124bに傾斜した状態で積み重なり、中部基本弾性体124と上部基本弾性体126とに挟まれる。その際、中部基本弾性体124と積層型圧電素子18と上部基本弾性体126とは、この順で積み重なる。
【0036】
また予圧弾性体128は、予圧弾性体128の径方向における中心部に軸122aが貫通可能な貫通口128aを有している。貫通口128aには、軸122aに形成されるオネジと螺合するメネジが形成されている。予圧弾性体128は、貫通口126cから突出する軸122aにネジ止めすることにより、上部基本弾性体126を介して、積層型圧電素子18を中部基本弾性体124側に向って予圧する。この予圧は、積層型圧電素子18の振動を基本弾性体12に伝達させるための圧縮力である。
予圧弾性体128は、平面126aに配設され、上部基本弾性体126と後述する摺動用駆動子26との間に配設される。
【0037】
超音波モータ1(超音波振動子10)は、積層型圧電素子18が中部基本弾性体124と上部基本弾性体126とに挟まれて、中部基本弾性体124と積層型圧電素子18と上部基本弾性体126とが積み重なる際に、図2と図3と図5とに示すように、超音波モータ1(超音波振動子10)の長手方向に対する周方向における積層型圧電素子18の位置決めを行う位置決め機構140を有している。
超音波モータ1の長手方向は、基本弾性体12における上部基本弾性体126と積層型圧電素子18と中部基本弾性体124との積み重ね方向でもあり、上部基本弾性体126と中部基本弾性体124との厚み方向でもある。なお超音波モータ1の長手方向は、積層型圧電素子18における圧電素子18fの積層方向であってもよい。
【0038】
この位置決め機構140は、上部基本弾性体126と積層型圧電素子18と中部基本弾性体124とに配設される。位置決め機構140は、中部基本弾性体124の斜面124bに配設される凸部124dと、上部基本弾性体126の斜面126bに配設される凸部126dと、積層型圧電素子18に配設され、凸部124d,126dそれぞれと係合する凹部19b,19cとから構成される。
【0039】
ここまでで構成される部品が、本実施形態に於ける超音波モータ1の振動子、若しくは超音波振動子10と称される。
【0040】
本実施形態の基本弾性体12の先端(上端)部である予圧弾性体128には、例えば円環状のフェノール樹脂にアルミナセラミックの砥粒を分散させた砥石からなる摩擦子や複合樹脂である摺動用駆動子26が接合されている。摺動用駆動子26は、超音波振動子10の上端部である。
【0041】
上述したように基本弾性体12の中心軸上には、貫通口124c,19a,126c,128aが穿設されている。
【0042】
貫通口124c,19a,126c,128aには、下部基本弾性体122における軸122aが嵌装される。また軸122aにおける貫通口122bには、軸51が嵌装される。軸51は、基本弾性体12の先端部(予圧弾性体128)から突出する長さを有している。突出する長さは、摺動用駆動子26とロータ53と押圧機構70とが配設される長さである。このように軸51は、図4に示すように摺動用駆動子26とロータ53と押圧機構70とを支持する支持軸である。
【0043】
軸51には図5に示すように、メネジ32の配設位置(超音波振動子10の縦振動の節位置)に対応するようにオネジ58が螺刻され、ナット57の配設位置に対応するように軸51にオネジ59が螺刻されている。オネジ58は、メネジ32(図2と図5とを参照)に螺合した後に接着固定される。これにより軸51は、基本弾性体12の縦振動の節位置と接着固定していることとなる。つまり軸51は、軸122aを介して積み重なっている状態の上部基本弾性体126と積層型圧電素子18と中部基本弾性体124とのそれぞれの貫通口126c,19a,124cを挿通し、基本弾性体12の縦振動の節位置に固定される。
【0044】
また基本弾性体12の先端部から突出する軸51の端部のオネジ59には、ナット57が嵌合する。
【0045】
超音波振動子10の上端部である摺動用駆動子26には、摺動用駆動子26によって駆動される円環状のロータ53が配設される。詳細には、摺動用駆動子26に対向するロータ53の下面には、例えば円環状のセラミックスからなる摺動材53aが貼付されている。ロータ53の断面形状と摺動材53aの断面形状とは同一であり、ロータ53は摺動材53aを介して摺動用駆動子26と接触し、駆動される。
【0046】
またロータ53の内部には、ラジアルベアリング54が配置されている。またロータ53の上部には、バネ保持体55が配設される。バネ保持体55は、コイルバネ56を位置決め保持している。
【0047】
ロータ53と摺動材53aとラジアルベアリング54とバネ保持体55とには、軸51が挿通している。
【0048】
ロータ53は、コイルバネ56によって、バネ保持体55とラジアルベアリング54とを介して摺動用駆動子26に向けて回転可能に押圧固定されている。より詳細には、摺動材53aが摺動用駆動子26に対して押圧固定される。
【0049】
コイルバネ56は、バネ保持体55によって保持され、ナット57によってバネ保持体55(軸51)からの抜けを防止されている。このナット57は、コイルバネ56の押圧力を調整する。
【0050】
つまりコイルバネ56は、軸51を螺旋状に囲み、バネ保持体55によって保持され、ナット57によって軸51から外れないように配設される。コイルバネ56の押圧力は、ナット57により調節される。コイルバネ56は、コイルバネ56の押圧力によって、バネ保持体55とラジアルベアリング54とを介してロータ53を摺動用駆動子26へと押圧する。
【0051】
このようにナット57とコイルバネ56とバネ保持体55とラジアルベアリング54とは、ロータ53を摺動用駆動子26に押圧する押圧機構70である。
【0052】
次に実施形態の動作方法について説明する。
まず超音波振動子10の作製方法について説明する。
積層型圧電素子18は、斜面124bに載置され、接着固定される。このとき凸部124dは、凹部19bと係合する。
次に上部基本弾性体126は、積層型圧電素子18に載置され、接着固定される。このとき凸部126dは、凹部19cと係合する。
これにより中部基本弾性体124と上部基本弾性体126とは、積層型圧電素子18を挟み込む。このとき位置決め機構140(凸部124d,126dと凹部19b,19c)は、超音波振動子10の長手方向に対する周方向における積層型圧電素子18の位置決めを行う。
【0053】
また中部基本弾性体124と上部基本弾性体126と積層型圧電素子18との長手方向が一致し、貫通口124c,19a,126cは超音波振動子10の長手方向において連通する。
【0054】
次に貫通口124c,19a,126cには軸122aが挿通し、中部基本弾性体124は平面124aにて下部基本弾性体122に積み重なる。このとき軸122aは、上部基本弾性体126(貫通口126c)から突出する。
【0055】
上部基本弾性体126から突出する軸122aは、貫通口128aを挿通する。これにより軸122aには、予圧弾性体128が挿入される。また予圧弾性体128は、平面126aに積み重なる。積み重なった予圧弾性体128は、ネジ止めすることで、上部基本弾性体126を通じて積層型圧電素子18を予圧する。これにより積層型圧電素子18は、上部基本弾性体126と中部基本弾性体124とに密着固定される。またこのとき軸122aは、予圧弾性体128(貫通口128a)から突出しない。
【0056】
次に、超音波振動子10の動作について説明する。
超音波振動子10は、超音波振動子10の寸法が1次の共振縦振動、および1次の(溝部14より下方の捻れまで考慮すると2次の)共振捻れ振動がほぼ同一周波数Frで励起できるようになっている。
共振縦振動は、図4に示す矢印Z方向の振動である。1次の共振捻れ振動は、図4に示す矢印ω方向の振動であり、共振縦振動の振動方向(矢印Z方向)を捻れの軸とする振動である。この周波数近傍には、共振屈曲振動の固有振動はないような形状寸法に形成されている。
【0057】
つぎに、図4と図5とを用いて、超音波振動子10を用いた本実施形態の超音波モータ1の動作方法について説明する。図4と図5とにおいて、軸122a(貫通口122b)には、軸51が嵌装される。オネジ58はメネジ32に螺合すると、軸51は基本弾性体12の縦振動の節位置にて基本弾性体12と接着固定することとなる。
【0058】
予圧弾性体128には、摺動用駆動子26が接合されている。この摺動用駆動子26(超音波振動子10の上端部)には、ロータ53がラジアルベアリング54およびバネ保持体55を介して、コイルバネ56により押圧固定されている。コイルバネ56の押圧力はナット57により調節される。ロータ53は、摺動材53aを介して摺動用駆動子26と当接する。これにより押圧機構70が形成される。
【0059】
上述したように+用電極の内部電極18hと−電極の内部電極18hとの間に高電圧が印加されると、積層型圧電素子18は、分極し、圧電的に活性化される。これにより積層型圧電素子18を含む超音波振動子10は、縦振動と捻り振動を発生する。このとき積層型圧電素子18への入力電圧位相を同じ(位相角0度)にすると共振縦振動のみ生じ、入力電圧位相を反転(位相角180度)すると共振捻り振動のみ生じる。この時、共振縦振動の節位置は、基本弾性体12の中心軸上で、超音波振動子10の長手方向の略中央に存在する。また、共振捻れ振動では、基本弾性体12の中心軸上で、溝部14より上部で、超音波振動子10の長手方向の略中央に節位置が存在する。積層型圧電素子18への入力電圧位相が調整されると、共振縦振動と共振捻り振動とが合成され同時に励起し、摺動用駆動子26の位置に超音波楕円振動が励起される。
【0060】
つまり先に示したように、超音波振動子10に、周波数Fr、振幅Vr、位相差+90度または−90度の交番電圧を印加する。すると、ロータ53が摺動用駆動子26に対して時計回りまたは反時計回りに回転する。
このように本実施形態では、斜めに配設する積層型圧電素子18に対して、凸部124d,126dをそれぞれ凹部19b,19cに係合させ、積層型圧電素子18を斜面124b,126bにて接着固定している。これにより本実施形態では、積層型圧電素子18と基本弾性体12とを容易に位置決めすることができる。
【0061】
また本実施形態では、予圧弾性体128によって積層型圧電素子18を予圧しているために、積層型圧電素子18の振動を無駄なく基本弾性体12に伝達することができ、ロータ53の回転性を向上することができ、安定した駆動を提供することができる。
【0062】
また本実施形態では、軸122aを超音波振動子10の縦振動の節位置に固定しているため、超音波振動子10(積層型圧電素子18)の振動を押圧機構70とロータ53とに伝達させることを防止でき、ロータ53の回転性を向上することができる。これにより本実施形態では、安定した駆動を提供することができる。
【0063】
また本実施形態では、予圧弾性体128によって積層型圧電素子18を予圧することにより、積層型圧電素子18に予圧を与えた状態で、上部基本弾性体126と積層型圧電素子18と中部基本弾性体124とを振動体の一部として組み立てることができる。
【0064】
なお基本弾性体12は、中空であれば角柱形状であってもよい。
【0065】
また位置決め機構140は、凹部19b,19cの代わりに、凸部124d,126dが係合する貫通口19dを有していても良い。
【0066】
また凹部19bの配設位置は、図6に示すように貫通口19aを中心に対称に配設されていれば、限定されない。また凹部19bの数についても同様にある。これらのことは、凹部19cと凸部124d,126dとについても同様である。
【0067】
次に図7と、図8A乃至図8Fとを参照して第2の実施形態について説明する。第1の実施形態と同一の構成については第1の実施形態と同一の参照符号を付すことにより説明を省略する。
本実施形態において、図7と図8Dとに示すように基本弾性体12は、中部基本弾性体124と、上部基本弾性体126と、軸122aを有する頂部基本弾性体134と、予圧弾性体128の代わりとなる予圧部材136と、軸51を有する下部基本弾性体122とから構成される。
【0068】
頂部基本弾性体134は、貫通口126cから積み重なっている状態の上部基本弾性体126と積層型圧電素子18と中部基本弾性体124とのそれぞれの貫通口126c,19a,124cを挿通し、貫通口124cから突出し、軸51が中部基本弾性体124側から嵌装可能な中空の軸122aを有している。また頂部基本弾性体134は、軸122aの貫通口122bと連通している貫通口134aを有している。
【0069】
頂部基本弾性体134は、中部基本弾性体124と積層型圧電素子18と上部基本弾性体126とが積み重なった際、平面126aに積み重なる。その際、軸122aは、貫通口126c,19a,124cを貫通(挿通)し、図8Bに示すように中部基本弾性体124の貫通口124cから突出する長さを有している。このように軸122aには、中部基本弾性体124と積層型圧電素子18と上部基本弾性体126とが積み重なった状態で貫通口126c,19a,124cを挿通する。また頂部基本弾性体134には、摺動用駆動子26が接合される。
【0070】
予圧部材136は、例えばナットである。予圧部材136は、貫通口124cから突出する軸122aと係合し、ネジ止めする。これにより予圧部材136には、図8Cに示すように中部基本弾性体124が積み重なる。また予圧部材136は、ネジ止めすることにより、中部基本弾性体124を介して、積層型圧電素子18を上部基本弾性体126側に向って予圧する。
【0071】
下部基本弾性体122には、図8Dに示すように予圧部材136が積み重なる。言い換えると下部基本弾性体122には、予圧部材136を介して中部基本弾性体124が積み重なる。また下部基本弾性体122は、積み重なっている状態の上部基本弾性体126と積層型圧電素子18と中部基本弾性体124とのそれぞれの貫通口126c,19a,124aを挿通している軸122aに対して、中部基本弾性体124側から挿入される軸51を有している。
【0072】
下部基本弾性体122は、この軸51を、下部基本弾性体122の基端側から凸設されている凸部122dにて有している。この凸部122dは、予圧部材136が下部基本弾性体122に積み重なった際に、凸部122dの周縁を溝部14とするために配設されている。
【0073】
軸51は、積み重なっている予圧部材136と中部基本弾性体124と積層型圧電素子18と上部基本弾性体126と頂部基本弾性体134とにおいて、貫通口122b,134aとを挿通し、図8Dに示すように頂部基本弾性体134(貫通口134a)から突出する長さを有している。この突出する長さは、摺動用駆動子26とロータ53と押圧機構70とが配設される長さである。
【0074】
また軸51は、貫通口122bと、超音波振動子10の縦振動の節位置にて接触し固定しており、この接触位置以外にて軸122aとは非接触である。より詳細には、貫通口122bの先端側(正確には超音波振動子10の縦振動の節位置)には、メネジ32が螺刻されている(図7参照)。言い換えると軸122aは、軸51が基本弾性体12の縦振動の節位置に固定するための固定部であるメネジ32を有することとなる。軸51の端部のオネジ58は、メネジ32の配設位置(超音波振動子10の縦振動の節位置)に対応するように軸51に配設されており、メネジ32に螺合した後に接着固定される。これにより軸51は、基本弾性体12の縦振動の節位置と接着固定していることとなる。
なおこの固定とは、軸51は、軸122aと超音波振動子10の縦振動の節位置にて接着固定することや、超音波振動子10の縦振動の節位置にまで圧入されることを示す。このように下部基本弾性体122は、軸51を挿通させてネジ止めを行う。
【0075】
次に本発明の動作方法について説明する。
まず超音波振動子10の作製方法について説明する。
中部基本弾性体124と積層型圧電素子18と上部基本弾性体126との積み重ね方法と位置決め方法とは、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0076】
図8Aに示すように積み重なっている中部基本弾性体124と積層型圧電素子18と上部基本弾性体126とは、軸122aに挿入される。つまり軸122aは、貫通口126c,19a,124cを貫通する。このとき図8Bに示すように平面126aには、頂部基本弾性体134が積み重なる。また軸122aは、貫通口124cから突出する。
【0077】
次に図8Bに示すように貫通口124cから突出する軸122aは、予圧部材136によってネジ止めされる。このとき予圧部材136は、中部基本弾性体124を通じて、積層型圧電素子18を上部基本弾性体126側に向って予圧する。これにより積層型圧電素子18は、中部基本弾性体124と上部基本弾性体126とに密着固定する。
【0078】
そして図8Cに示すように軸51は、貫通口122b,134aを挿通する。そのときオネジ58は、メネジ32と螺合し、超音波振動子10の縦振動の節位置にて接触して固定する。また図8Dに示すように軸51は、縦振動の節位置にて接触し固定しており、この接触位置以外にて軸122aとは非接触である。また軸51は、頂部基本弾性体134(貫通口134a)から突出する。また予圧弾性体128と下部基本弾性体122とが積み重なることによって、凸部122dの周縁に溝部14が形成される。
【0079】
これにより図8Dに示すように超音波振動子10が形成される。
【0080】
超音波振動子10の動作と超音波モータ1の動作方法とは、第1の実施形態と同様であり、図8Eと図8Fとに示すため詳細な説明は省略する。
【0081】
このように本実施形態では、超音波振動子10の構造が変わっても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0082】
次に図9と図10A乃至図10Eとを参照して第3の実施形態について説明する。第1,2の実施形態と同一の構成については第1,2の実施形態と同一の参照符号を付すことにより説明を省略する。
本実施形態の基本弾性体12は、図9と図10Cとに示すように中部基本弾性体124と、上部基本弾性体126と、軸122aを有する頂部基本弾性体134と、軸51を有する下部基本弾性体122とから構成される。
【0083】
本実施形態の頂部基本弾性体134は、第2の実施形態と同様に図10Bに示すように平面126aに積み重なる。また本実施形態の頂部基本弾性体134は、貫通口126cから積み重なっている状態の上部基本弾性体126と積層型圧電素子18と中部基本弾性体124とのそれぞれの貫通口126c,19a,124cを挿通し、軸51が中部基本弾性体124側から嵌装可能な中空の軸122aを有している。また頂部基本弾性体134は、軸122aの貫通口122bと連通している貫通口134aを有している。
【0084】
本実施形態の軸122aの貫通口122bには、ネジ山122cが形成されている。また軸122aは、積み重なっている上部基本弾性体126と積層型圧電素子18と中部基本弾性体124とにおいて、図10Bに示すように中部基本弾性体124の貫通口124cから突出せずに、平面124aまで延設されている長さを有している。
【0085】
本実施形態の下部基本弾性体122には、第1の実施形態と同様に図10Cに示すように中部基本弾性体124の平面124aが積み重なる。本実施形態の下部基本弾性体122は、積み重なっている状態の上部基本弾性体126と積層型圧電素子18と中部基本弾性体124とのそれぞれの貫通口126c,19a,124cを挿通している軸122aに対して、中部基本弾性体124側から挿入される軸51を有している。
【0086】
本実施形態の下部基本弾性体122における軸51には、貫通口122bの先端側にてネジ山122cと螺合するネジ山51aが形成されている。ネジ山51aは、ネジ山122cの配設位置(超音波振動子10の縦振動の節位置)に対応するように軸51に配設されている。ネジ山122cとネジ山51aとが螺合する際、軸51は、第2の実施形態と同様に軸122aと超音波振動子10の縦振動の節位置にて接触し固定する。つまり軸51は、第2の実施形態と同様に、貫通口122bと超音波振動子10の縦振動の節位置にて接触し固定しており、この接触位置以外にて軸122aとは非接触である。より詳細には、貫通口122bの先端側(正確には超音波振動子10の縦振動の節位置)には、ネジ山122cが螺刻されている(図9参照)。言い換えると軸122aは、軸51が基本弾性体12の縦振動の節位置に固定するための固定部であるネジ山122cを有することとなる。軸51の端部のネジ山51aは、ネジ山122cに螺合した後に接着固定される。これにより軸51は、基本弾性体12の縦振動の節位置と接着固定していることとなる。
【0087】
軸51は、積み重なっている中部基本弾性体124と積層型圧電素子18と上部基本弾性体126と頂部基本弾性体134とにおいて、貫通口122b,134aを挿通し、図10Cに示すように頂部基本弾性体134(貫通口134a)から突出する長さを有している。この長さは、摺動用駆動子26とロータ53と押圧機構70とが配設される長さである。
【0088】
また下部基本弾性体122は、ネジ山122cとネジ山51aとを螺合し、中部基本弾性体124側から軸51を介して軸122aをネジ止めすることにより、中部基本弾性体124を介して積層型圧電素子18を上部基本弾性体126側に向って予圧する予圧弾性体128(予圧部材136)を兼ねている。
【0089】
本実施形態の動作方法は、上述した第1,2の実施形態と略同様であり、図10A乃至図10Eに示す過程は図8A乃至図8Fに示す過程と略同様であるため詳細な説明は省略する。
【0090】
このように本実施形態では、第1,2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また本実施形態では、下部基本弾性体122のネジ止めによって積層型圧電素子18を予圧でき、また予圧を調整することができる。よって本実施形態では、より積層型圧電素子18の振動を基本弾性体12に効率良く伝達することができる。
【0091】
また本実施形態では、下部基本弾性体122が予圧弾性体128を兼ねているために、部品点数を削減でき、超音波モータ1を軽量にすることができ、超音波モータ1を安価にすることができる。
【0092】
また本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
【符号の説明】
【0093】
1…超音波モータ、10…超音波振動子、12…基本弾性体、14…溝部、18…積層型圧電素子、18f…圧電素子、18h…内部電極、19a…貫通口、19b,19c…凹部、19d…貫通口、26…摺動用駆動子(摩擦子)、32…メネジ、51…軸、51a…ネジ山、70…押圧機構、122…下部基本弾性体、122a…軸、122b…貫通口、122c…ネジ山、122d…凸部、124…中部基本弾性体、124a…平面、124b…斜面、124c…貫通口、124d…凸部、126…上部基本弾性体、126a…平面、126b…斜面、126c…貫通口、126d…凸部、128…予圧弾性体、128a…貫通口、134…頂部基本弾性体、134a…貫通口、136…予圧部材、140…位置決め機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身の中心軸方向に対して垂直に形成される平面と、自身の中心軸方向に対して所望する角度を有するように斜めに形成される斜面と、自身の中心軸に沿って貫通して配設される貫通口とを有する中空の柱形状の中部基本弾性体と、
自身の中心軸に沿って貫通して配設される貫通口を有し、前記中部基本弾性体の前記斜面に傾斜した状態で積み重なる積層型圧電素子と、
自身の中心軸方向に対して垂直に形成される平面と、自身の中心軸方向に対して所望する角度を有するように斜めに形成される斜面と、自身の中心軸に沿って貫通して配設される貫通口とを有し、自身の斜面にて前記積層型圧電素子に積み重なり、前記中部基本弾性体の前記斜面と自身の斜面との間で前記積層型圧電素子を挟み込む中空の柱形状の上部基本弾性体と、
前記上部基本弾性体の前記平面の上方に配設される摩擦子と、
前記摩擦子によって駆動されるロータと、
前記ロータを前記摩擦子に押圧する押圧機構と、
前記上部基本弾性体と前記積層型圧電素子と前記中部基本弾性体とに配設され、前記上部基本弾性体と前記積層型圧電素子と前記中部基本弾性体とが積み重なる際に、前記上部基本弾性体と前記積層型圧電素子と前記中部基本弾性体との積み重ね方向に対する周方向における前記積層型圧電素子の位置決めを行う位置決め機構と、
を具備する超音波モータ。
【請求項2】
前記位置決め機構は、
前記上部基本弾性体の前記斜面と前記中部基本弾性体の前記斜面とのそれぞれに配設される凸部と、
前記積層型圧電素子に配設され、前記凸部それぞれと係合する貫通口または凹部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の超音波モータ。
【請求項3】
前記押圧機構を支持する支持軸は、積み重なっている状態の前記上部基本弾性体と前記積層型圧電素子と前記中部基本弾性体とのそれぞれの貫通口を挿通し、前記上部基本弾性体と前記中部基本弾性体と前記下部基本弾性体とによって構成される基本弾性体の縦振動の節位置に固定されることを特徴とする請求項2に記載の超音波モータ。
【請求項4】
前記中部基本弾性体側の貫通口から積み重なっている状態の前記上部基本弾性体と前記積層型圧電素子と前記中部基本弾性体とのそれぞれの貫通口を挿通し、前記上部基本弾性体の貫通口から突出し、前記支持軸が前記上部基本弾性体側から嵌装可能な中空の軸を有し、前記中部基本弾性体の前記平面が積み重なる下部基本弾性体と、
前記上部基本弾性体側の貫通口から突出する前記軸にネジ止めすることにより、前記上部基本弾性体を介して前記積層型圧電素子を予圧する予圧弾性体と、
をさらに具備し、
前記軸は、前記支持軸が前記基本弾性体の縦振動の節位置に固定するための固定部を有することを特徴とする請求項3に記載の超音波モータ。
【請求項5】
前記上部基本弾性体側の貫通口から積み重なっている状態の前記上部基本弾性体と前記積層型圧電素子と前記中部基本弾性体とのそれぞれの貫通口を挿通し、前記中部基本弾性体の貫通口から突出し、前記支持軸が前記中部基本弾性体側から嵌装可能な中空の軸を有し、前記上部基本弾性体の前記平面に積み重なる頂部基本弾性体と、
前記中部基本弾性体の貫通口から突出する前記軸にネジ止めすることにより、前記中部基本弾性体を介して前記積層型圧電素子を予圧する予圧部材と、
積み重なっている状態の前記上部基本弾性体と前記積層型圧電素子と前記中部基本弾性体とのそれぞれの貫通口を挿通している前記軸に対して、前記中部基本弾性体側から挿入され前記支持軸を有し、前記予圧部材が積み重なる下部基本弾性体と、
をさらに具備し、
前記軸は、前記支持軸が基本弾性体の縦振動の節位置に固定するための固定部を有することを特徴とする請求項3に記載の超音波モータ。
【請求項6】
前記上部基本弾性体側の貫通口から積み重なっている状態の前記上部基本弾性体と前記積層型圧電素子と前記中部基本弾性体とのそれぞれの貫通口を挿通し、前記支持軸が前記中部基本弾性体側から嵌装可能な中空の軸を有し、前記上部基本弾性体の前記平面に積み重なる頂部基本弾性体と、
積み重なっている状態の前記上部基本弾性体と前記積層型圧電素子と前記中部基本弾性体とのそれぞれの貫通口を挿通している前記軸に対して、前記中部基本弾性体側から挿入される前記支持軸を有し、前記中部基本弾性体側から前記支持軸を介して前記軸をネジ止めすることにより、前記中部基本弾性体を介して前記積層型圧電素子を予圧する予圧部材を兼ね、前記中部弾性体の前記平面が積み重なる下部基本弾性体と、
をさらに具備し、
前記軸は、前記支持軸が基本弾性体の縦振動の節位置に固定するための固定部を有することを特徴とする請求項3に記載の超音波モータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【公開番号】特開2010−193592(P2010−193592A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−34058(P2009−34058)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】