説明

超音波切断装置

【課題】超音波外科手術切断方法および装置を提供する。
【解決手段】上記方法および装置により、中空経路内からの骨切断が可能になり、これにより、上記超音波方法および装置と関連付けられたカッターは十分に冷却された状態のままであり、これにより切断中の骨の壊死を回避する。さらに、上記超音波デバイスおよび方法は、軟組織の切断用に用いることができ、その場合、冷却されたカッターを用いることで、上記デバイスの切断刃に軟組織が固着するのを回避する。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願〕
本出願は、米国特許出願シリアル番号第11/050,265(出願日:2005年2月2日)および米国特許出願シリアル番号第11/050,158(出願日:2005年2月2日)に関する恩恵を主張し、本明細書中、同文献の内容を参考によって援用する。
【0002】
〔発明の分野〕
本発明は、超音波切断装置に関し、より詳細には、骨および近隣組織に対する熱損傷を回避しつつ超音波切断装置を用いて骨切断を行うシステムおよび方法に関する。
【0003】
〔発明の背景〕
外科手術における超音波医療装置の使用は、多様な外科手術分野において公知である。超音波周波数を用いた従来の外科手術器具の場合、外科手術時における生体組織の切開、凝固および切断を行うために、超音波エネルギーを用いることが多い。既存の超音波外科手術装置の場合、超音波変換器を用いて、上記変換器に提供された電気エネルギーを、意図する外科手術において用いられる機械的エネルギーに変換することが多い。この機械的振動は、カッターが配置された外科手術器具の遠位端部へと送達されることが多い。この機械的振動に起因して、上記カッターにおいて熱が発生する。従来の医療手術では、この熱は、外科手術器具によって切断されている組織の凝固を支援するため、カッターに送達される超音波機械的エネルギーの副産物として求められている。
【0004】
しかし、従来の超音波外科手術装置からの熱出力の場合、多様な形態の外科手術において用いられると、幾つかの固有の問題を引き起こす。すなわち、例えばこれらの装置を骨切断に用いると、熱および機械的振動が集中して、当該外科手術装置と接触した骨領域への血液供給が一時的または永続的に停止し得る。このような骨への血液供給の停止が発生すると、骨の壊死に繋がり、骨組織の壊死に繋がる。このような骨組織壊死は、臨床的に望ましくない。この点を鑑みて、骨などの高密度物質に対してこれらの超音波切断技術を使用するのは実際的ではなく、一般的に回避されている。そのため、骨切断の必要性が有る場合、従来の侵襲的手術が一般的に用いられている。これらの侵襲的手術の場合、切開部分が大きく、患者が負傷または感染に晒される危険性も高いことが多い。その上、従来の骨切断に用いられてきた機械的手段では、振動器具または回転器具を用いることが多い。このような器具の場合、骨とその周囲の軟組織とを区別できないため、過失により骨周囲の軟組織に損傷が生じて、患者に対し永久的負傷を与えてしまう可能性が未だに存在する。
【0005】
さらに、既存の骨切断外科手術装置の場合、超音波範囲の外部にある低周波数と、骨切断を低速で行うための低振幅レベルとを組み合わせて用いる。しかし、このようなアプローチの場合、骨領域切断に要する時間が長くなる。患者が知覚感覚を持っている状態での外科手術においては、外科医は、手術所要時間を最小限にしたいと望むことが多い。骨切断装置の周波数または振幅を増加させると、骨切断所要時間は低減するものの、このように周波数または振幅が上昇すると、当該カッターにおいて過剰な熱が発生し、上述した問題が発生する。その上、装置が高温になると、軟組織が焼灼され得、その結果、患者に対し、回復不能な負傷を与えることになり得る。
【0006】
〔発明の概要〕
既存の外科手術切断技術の固有の問題および懸念を鑑みて、超音波外科手術装置のカッターに取り付けられた冷却機構が有利である。上記超音波装置を骨切断に用いる場合、上記カッターにおける熱低減により、骨壊死が回避される。さらに、上記カッターが、上昇が抑えられた温度で動作するため、上記カッター周囲の組織の損傷の問題がより小さくなる。これを鑑みて、冷却された超音波カッターが意図する対象から外れて誤って組織の意図しない領域と接触するかまたは近接した場合、この組織が損傷を受ける可能性が低減する。
【0007】
本発明は、外科手術切断装置に関する。この外科手術切断装置において、超音波振動を冷却機構と関連して用いることができる。本発明において設けられるような切断および冷却構成を用いて、冷却されたカッターを用いて骨などの硬質組織を切断することができ、使用対象となる部位周囲の硬質組織または軟組織に対する熱関連損傷をさらに回避することができる。
【0008】
上記カッターが低温で維持された超音波切断装置が提供されると、既存の外科手術装置と比較して多数の利点が得られる。第1に、超音波切断周波数の組み合わせにより、外科手術時において骨除去を迅速に行うことが可能になる。さらに、切断先端部の動作温度が低温であるため、熱に起因する骨壊死に関連する従来の問題が低減される。この点を鑑みて、切断対象位置周囲の硬質組織または軟組織の領域に対する損傷が最小になる。
【0009】
さらに、低温のカッター温度を維持する超音波外科手術装置により、未切断の硬質組織または軟組織に近隣する高温超音波切断装置を用いる際の外科医に固有の問題がさらに解消される。例えば、70℃における皮質骨における広範壊死が報告されている。組織損傷が発生する閾温度は56℃であることが分かっている。いくつかの研究においては、組織の熱損傷と、温度の大きさおよび当該組織が損傷発生温度にさらされる時間とが相関付けられている。この熱損傷は、骨再構成を引き起こすことが分かっている。骨を47℃または50℃で1分間加熱すると、骨再構成を大幅に低減することができる。さらに、神経組織は、温度上昇によって特に傷付きやすく、42℃の温度で損傷し得る。この点を鑑みて、本発明は、上記切断対象領域中の硬質組織または軟組織の損傷が回避されるように、熱が低減された切断先端部を提供する。
【0010】
本発明の一実施形態において、骨切断を行う外科手術時において、外科医が誤って上記意図するターゲット骨を外してしまい周囲の神経組織と接触した場合に、低温超音波切断装置の場合、神経組織が損傷を受ける可能性がより低い。この点を鑑みて、低温超音波切断装置を用いることで、不慮の神経損傷および麻痺が結果的に回避できる。
【0011】
本発明は、さらに横方向切断動作を行うことができる。例えば、本発明を用いて、外科医は、上記骨中に設けられた所定の中空部内から骨の所与の領域を横方向に切断することができる。例えば、脊髄外科手術時に用いた場合、本発明は、コンパクトな超音波装置による利点を外科医に提供する。この超音波装置は、所定の中空経路を通じて固定深さまで容易に誘導することができる。1つのこのような外科手術(すなわち、狭窄矯正手術)において、椎骨の椎弓根(pedicles of a vertebrae)を対応ポイントにおいて切断し、これにより、上記椎弓根を上記脊椎分節の主要部位から分離できるようにする。このような手術について、米国特許出願第US2003/0212400号(Bloemer)および米国特許第US6,358,254 B1号(Anderson)に記載がある。本明細書中、これらの文献双方を参考によって援用する。上記のBloemer出願およびAnderson特許に従って、椎骨の椎弓根領域中に中空経路を設ける。この中空経路は、既存の穿孔技術を用いて生成することができる。中空経路の穿孔後、上記中空経路内に拡張可能ネジを設けることができるように上記椎弓根領域の物質を切断する必要がある。上記必要な切断を上記所定の中空領域内において完了した場合、本質的に横方向に行われているはずである。本発明およびその横方向切断態様により、上記骨中の所定の中空部を用いて外科手術器具を適切に方向付けることが可能になる。この時点で切断された椎弓根中に配置されたこの拡張可能ネジにより、狭窄を無くすように椎骨の主要部位から当該椎弓根を分離することが可能になる。
【0012】
本発明を用いて、上記椎弓根領域を固定位置において横方向に注意深く切断することができ、これにより、上記拡張可能ネジをその後植え込みおよび拡張することができる。このような構成により、椎骨の所与の領域の切断における過失の可能性が無くなる。なぜならば、上記所定の中空部を用いてカッターを方向付けることと、さらには椎骨の多様な領域に沿った容易に反復可能な切断とが可能になるからである。さらに、本超音波カッターは、外科医による操作が容易であり、ハンドピースアセンブリを簡単に挿入および回転するだけでよい。この点を鑑みて、所定の中空経路と関連して用いた場合、侵襲性を最低限にした様式で脊髄外科手術を行うことができ、これにより、周囲の軟組織に不慮の損傷を与えること無く、反復可能な結果を得ることができる。上記外科手術は従来技術と比較して侵襲性をより低くすることができ、患者に対する不要な外傷が回避され、感染の可能性が大幅に低減する。
【0013】
さらに、上記装置を高振幅信号と共に用いた場合、軟組織を切断することができる。本発明が冷却されたカッターを含む場合、上記冷却カッター構成は、本発明によって切断された軟組織が上記カッターに不要に固着しないようになっている。
【0014】
本発明は、以下の説明および添付図面を参照すると、より深く理解される。
【0015】
〔詳細な説明〕
本発明は、超音波外科手術切断システムに主に関する。このシステムにおいて、横方向カッターを用いて、意図する切断対象組織に隣接する組織に対する不慮の損傷を同時に回避しつつ、骨などの硬質組織を切断する。さらに、本発明は、横方向カッターを用いた対象物質の切断を可能にする。ここで、上記横方向カッターは、低下した温度(reduced temperature)を有する。冷却されたカッターによる構成を用いるため、超音波切断器具の固有問題が低減する。例えば、低初期振幅と連結された冷却されたカッター構成を用いて、壊死が進展しないように骨切断を行うことができる。さらに、骨などの硬質組織を切断中に冷却されたカッターが周囲の軟組織と接触した場合も、軟組織の損傷が発生しない。さらに、軟組織切断用の振幅増加と相まって、当該カッターの温度を低減することで、本発明によって切断される軟組織がカッターに不必要に固着しないようにする。
【0016】
図1は、本発明の一態様による、本発明と共に用いられるシステムの例示的図式的実施形態である。本システムは、超音波周波数を生成することが可能な超音波生成器100を含む。この生成器の周波数は、約22Khz〜45Khzの範囲にあり、可変振幅成分を含む。例えば、骨などの硬質組織の切断時に低振幅を用い、意図する切断対象組織が柔軟である場合に、より高い振幅を用いることができる。生成器100は超音波変換器104と関連付けられる。この超音波変換器は、超音波生成器100から供給された電気エネルギーを機械的エネルギーに変換することを可能にする。この機械的エネルギーは、変換器104と関連付けられた振動シャフト112に伝達されることができる。超音波生成器100と変換器104との間のエネルギー移動は、電気経路102を用いて行われる。この電気経路は、信号生成器100と変換器104との間の電気コネクタであればよく、これにより、電気エネルギーを変換器104に送達することができる。代替構成において、電気経路102を無くして、遠隔配置された超音波生成器100を外科手術切断システム内に直接一体化させることもできる。変換器104と振動シャフト112との連結は、変換器104によって生成された機械的運動が振動シャフト112へと直接移動されるように、行う。そのため、振動シャフト112は、超音波信号の不必要な減衰を引き起こすこと無く変換器104の機械的運動を十分に伝達できるような適切な物質でサイズ決めかつ構成される。例えば、外科手術グレードのステンレス鋼またはチタンを用いて、振動シャフト112を構成してもよい。超音波生成器100、変換器104および電気経路102は、当業者によって理解されるように、多数の形態をとり得る。例えば、上述した要素を含む既存の市販の外科手術器具を用いて、本発明を実施してもよい。さらに、使用する変換器104の形状および配置方向に基づいて、振動シャフト112の必要性を低減または除去してもよい。
【0017】
振動シャフト112は、ガイドチューブ108内に収容される。ガイドチューブ108のサイズは、ガイドチューブ108を所定の中空経路(図示せず)中に容易に配置できるようなサイズにし、これにより、当該中空経路が、ガイドチューブ108および関連付けられた超音波外科手術切断システムを方向付ける役割を果たすようにする。さらに、このガイドチューブは、振動シャフト112が周囲の組織または骨と接触しないように、振動シャフト112を収容する役割を果たす。この所定の中空経路は、穿孔などの既存の技術を用いて、容易に設けることができる。例えば、狭窄矯正外科手術における使用時において、中空経路を椎骨の各椎弓根中に設けて、これにより、当該椎弓根の切断の際に前方領域および後方領域が形成されるようにする。機械的手段を用いて、これらの前方領域および後方領域を分離して、椎骨内で繊細な組織が圧縮される事態が無くなるようにすることができる。
【0018】
振動シャフト112の遠位端部には、カッター114が関連付けられる。この実施形態において、図示のカッターは、振動シャフト112に対して垂直に配置された横方向カッターである。しかし、当業者であれば、上記カッターをバイブレータシャフト112に対して多様な角度で配置することで、上記カッター114によってトレースされる円周方向切断が、行うべき外科手術特有の必要角度で行われるようにすることができる、ことを容易に認識する。カッター144は、保存位置において、カッターのフットプリントが上記ガイドチューブによって画定された領域内に存在するような、サイズおよび配置方向にする。このカッターは、任意の生体適合性材料(例えば、チタンまたは外科手術グレードのステンレス鋼)で形成可能であり、多様な厚さを持つことができる。本発明の一実施形態において、狭窄矯正において使用する場合、カッターの厚さは2〜3ミリメートルの範囲である。しかし、当業者であれば、上記カッター厚さを、意図する手術における外科手術に関連する必要性に応じて容易に変更することが可能であることを理解する。ガイドチューブを、カッター114が挿入時に中空経路壁と接触しないように、中空経路中へ挿入することができる。例示目的のため、カッター114が振動シャフト112に永続的に固定されている様子が図示されている。当業者であれば、機械的締結手段(例えば、ネジ)などの多様な構成を用いてカッター114を振動シャフト112に固定することが可能であることを容易に認識する。代替構成において、振動シャフト112の遠位端部はネジ山部を含み得、これにより、進行中の外科手術に基づいて、意図するカッター114を超音波切断システムに簡単にねじ止めすることができる。このような構成を用いて、外科医は、骨切断用途の特殊なカッター114を必要とする複数の外科手術において、本発明を用いることができる。
【0019】
ガイドチューブ108の中空経路中への挿入に関連して、ガイドチューブ108上に配置された調節可能停止部110を用いて、ガイドチューブ108の中空経路内での挿入深さを画定することができる。外科医は、ガイドチューブ108を中空経路中に挿入する前に、調節可能停止部110を事前構成することができる。本発明の一実施形態において、1組の較正マーキングをガイドチューブ108の長さに沿って配置することで、カッター114から調節可能停止部110への距離を容易に設定することができる。これを鑑みて、固定深さにおける反復可能な切断を容易に行うことができる。狭窄矯正外科手術と関連して用いる場合、例えば、椎弓根の双方の領域における切断深さを調節可能停止部110を用いて容易に維持することができる。調節可能停止部110は、当業者によって理解されるような複数手段を用いて固定することができる。例えば、簡単に設定されたネジ構成を用いることができるため、外科医は、供給された器具を用いて、調節可能停止部をガイドチューブ108上で所定位置にロックすることができる。代替構成において、調節可能停止部110は、摩擦固定を用いて、ガイドチューブ108の長さに沿って簡単に保持することができる。
【0020】
本発明の振動シャフト112は、ガイドチューブ108の中心線に対してオフセットした様態で配置され、これにより、カッター114は、退避部位(the retracted portion)中に保存されている様態で、ガイドチューブの周囲内において配置される。図2Aは、展開前のカッター114が退避している様子を示す。図2Aは、偏心した様態で取り付けられた振動シャフト112をさらに示し、この振動シャフト112は、ガイドチューブ108の長さ方向軸150に関連して、本発明の偏心軸152上に配置される。偏心した様態で取り付けられた振動シャフト112により、図2Bに示すように、この振動シャフト112を回転させることで、上記カッターを展開位置まで展開させることができる。図2Bに示すようにカッター114を伸展させる(extension)と、本超音波外科手術切断システムをガイドチューブの中央軸周囲に回転させることで、カッター114は、周囲の骨120中に円周方向溝を提供することができる。
【0021】
本発明のカッター114は、回転可能なハンドピース116の動作を通じて、伸展位置(extended position)に展開することができる。一実施形態において、回転可能なハンドピース116は、振動シャフト112と連動するギア付き機構を含み、これにより、回転可能なハンドピース116が回転すると、カッター114は、ガイドチューブ108に対して平行に配置された偏心軸152に沿って回転する。振動シャフトおよび取り付けられたカッター114が回転すると、上記カッターは、ガイドチューブ108の外壁を越える伸展長さの多様なレベルで展開することができ、これにより、上記カッターは、周囲の骨または組織を多様な深さで切断することができる。カッター114の展開後、供給された回転可能なハンドピース116を用いて超音波外科手術切断システム全体を回転させることができ、これにより、上記カッターは、円周方向経路を通じて掃引する。このようにカッター114が円周方向に掃引すると、カッター114の幅に対応する切断幅、およびガイドチューブ108外部を越えて伸展されたカッターの深さに関連する切断深さで、当該周囲の骨または組織が円周方向に切断される。
【0022】
このような構成により、インクリメンタルアプローチを用いて、周囲の骨または組織を多様な深さで切断することができる。初期カッター深さを設定し、超音波外科手術切断システムを旋回させることで、周囲の骨または組織中を第1の円周方向において切断することができる。その後、カッター114の深さを増加させ、2回目旋回によってカッターが掃引され、それによって周囲の骨または組織の初期切断と比較してより深い深さで切断を行うことができる。当業者であれば、このようなアプローチを用いれば、多経路構成を用いて周囲の骨または組織の深い切断を行って、各経路において最小量の物質を除去することでカッター振幅および周波数を最小に保持し、これにより、カッター114における熱蓄積を低減することが可能であることを容易に認識する。このような構成を用いれば、カッター先端部が低温で保持されるため、周囲骨における壊死進展可能性が低減するという恩恵が得られる。代替構成において、当業者であれば、全体深さの切断を単一通過で行うことが外科手術的に必要でありかつ受容可能である場合、本発明を用いて当該切断を行うことが可能であること、を理解する。さらに、代替構成において、椎弓根領域の形状に対応できるように、単一通過の間、切断半径を変更することも可能である。椎弓根断面は横長であるため、切断深さを制御する要望に対して最適となる。振動シャフト112の軸がガイドチューブ108の軸からオフセットしているため、カッターがガイドチューブ108を越えて伸展する範囲および超音波切断装置の回転を同時に操作することにより、切断半径を変更することができる。例えば、上記超音波切断器具はガイドチューブ108の中央軸に沿って回転するため、カッター伸展範囲を無限に変更することができる。このような構成により、カッター114の最大伸展長さまで、無限の切断長さが可能となる。
【0023】
脊髄狭窄矯正外科手術用途の場合、例えば、所定の中空経路領域内から開始する円周方向切断を固定深さにおいて行うことができる。この椎弓根領域を通じた円周方向切断は、フル展開状態の横方向カッターを用いて単一通過において行うこともできるし、あるいは、カッターの展開深さを各通過回において増加させつつカッターを円周方向において複数回通過させることによって行うこともできる。ガイドチューブ108は所定の中空経路内に配置されているため、超音波外科手術カッターの関係は、均等な切断が得られるように、切断手術全体において維持される。さらに、上記切断は所定中空領域内から開始するため、切断手術の侵襲性が最小限になる。
【0024】
超音波生成器100によって供給される信号は、振幅および周波数の双方を含む。一実施形態において、周波数22kHzおよび振幅80μmを超音波切断において用いることができる。当業者によって理解されるように、超音波外科手術切断システムの特定用途に応じて、振幅および周波数の両方を変更することができる。例えば、骨切断用途の場合、生成される信号を低振幅に維持することで、カッター114において過剰熱が発生しないようにすることができる。骨切断用途における使用時においてカッター144に過剰熱が発生すると、骨壊死に繋がり得る。さらに、低振幅を使用すると、カッターが骨の外縁に到達した際に接触して軟組織が切断される可能性が低減する。従って、低振幅信号を使用することにより、先端における過剰熱発生および壊死開始が低減する。代替構成において、本超音波外科手術切断システムを軟組織の切断に用いる場合、供給される信号の振幅を増加することで、軟組織切断における本発明の性能を向上させることができる。例えば、刃速度の増加は、関連付けられた振幅および周波数の増加によって管理されているため、カッターと関連付けられた冷却機構に起因してカッター温度を低温で維持しつつ、骨などの軟組織の切断能力を向上することができる。より高い振幅を用いると、カッター114の温度が上昇し、その結果、超音波外科手術切断システムによって切断される領域が焼灼され、これにより、失血を回避する。
【0025】
本発明の図2Cは、本発明の回転可能なハンドピースアセンブリ116の例示的な切り取り図である。回転可能なハンドピースアセンブリ116は、図2Bのカッター114をガイドチューブ108の外面という境界を越えた所定の切断深さまで伸展させる機能と、外科医が超音波外科手術カッターシステム全体を回転することを可能にすることで、図2Bのカッター114が意図する運動範囲全体を掃引する機能とを両方行う。よって、図2Bのカッター114が運動することにより、カッターと接触した周囲の骨または組織において円周方向溝が作成される。例示目的のため、本明細書中、カッターについて1回転掃引に関連して説明するが、当業者であれば、分離された運動範囲においてカッターを掃引させることも可能であることを容易に認識する。この点を鑑みて、骨領域の詳細な除去を本発明を用いて達成することが可能である。図2Cに示すように、変換器104および関連付けられた振動シャフト112は、回転可能なハンドピース16およびガイドチューブ108の中心線150に対してオフセットした様態で配置され、これにより、図2Bのカッター114は、ガイドチューブ内の退避位置から伸展位置へと移動する際、偏心した運動範囲を維持する。さらに、上記例示的実施形態において、回転可能なハンドピース116は、カッターを収容位置から展開させるためのギア付き機構を含む。本実施形態に示すように、ギア付き機構200は、上記回転可能なハンドピースと関連付けられたリングギア210を含む。このリングギアは、上記回転可能なハンドピースが回転すると、回転エネルギーを中間平歯車212に伝達する。中間平歯車212は、回転可能なハンドピース116の初期回転を上記振動シャフトと関連付けられたピニオンギア214へとさらに移動させる。このような回転エネルギーの移動により、振動シャフト112が回転し、その後、取り付けられたカッター114が展開する。当業者であれば、図示の歯車のサイズ設定および歯数については、必要な機械的利点および回転速度が本発明の必要性に従って得られるように決定すればよいこと、を容易に理解する。
【0026】
本実施形態のギア付き機構200は、ひとえに例示目的のために用いられる。当業者であれば、ギア付き機構200をカッター114の伸展を行うことが可能な多数の別の機構で代替することが可能であることを容易に理解する。例えば、本実施形態の円形歯車列の代わりにラックアンドピニオン構成を用いてもよい。代替構成において、カッター114を伸展させるためと、超音波外科手術切断システムをガイドチューブ108の長さ方向軸に沿って回転させることを可能にする手段を得るためとにおいて使用するために、遊星歯車構成を用いてもよい。
【0027】
さらに、図2Bのカッター114を展開させる際、回転可能なハンドピース116をさらに回転させて、超音波外科手術切断システム全体をガイドチューブ108の長さ方向軸(図示せず)周囲で回転させる。超音波外科手術切断システムが回転し、偏心状に取り付けられた振動シャフト112および取り付けられたカッター114により、周囲の中空経路122から物質が除去される。これにより、回転可能なハンドピース116がフル回転すると、中空経路122周囲の物質中に円形溝が生成される。さらに、カッター114の深さは、回転可能なハンドピース116を数回回転させることにより、深化する円形溝がトレースされることができるように、徐々に深くなることができる。
【0028】
図3Aは、本発明を用いて脊椎の椎弓根領域の切断により狭窄矯正を行う際に必要な工程を示すフローチャートである。工程300に従って、先ず、切断対象としての脊椎の椎弓根領域中に中空経路を設ける。当業者は理解するように、この中空経路は、多数の既存の技術を用いて設けることができる。例えば、穿孔機構を用いて、意図する切断対象領域中に円形穴を穿孔することができる。工程302に従って、横方向超音波カッターは、固定距離において上記中空経路内において方向付けられ、これにより、上記カッターは、上記切断対象としての脊椎の椎弓根領域に対して適切に配置される。その後、この横方向超音波カッターを上記中空経路の中空領域を越えて伸展させ(304)、脊椎の周囲の骨中へと伸展させる。上記横方向超音波カッターの伸展後、上記カッターを円周方向において回転させ、これにより、上記中空経路の周囲の骨内において円周方向溝を切り込む(工程306)。この超音波横方向カッターは、単一通過で上記椎弓根領域を切断通過することができ、あるいは、切断深さをインクリメンタル増分させて、上記超音波横方向カッターを複数回旋回させて上記椎弓根領域を切断することもできる。
【0029】
図3Bは、ヒト患者の下部脊椎における狭窄矯正において用いられる、本発明の一実施形態を示す。下部脊椎において、既存の骨穿孔技術を用いて穿孔することが可能な中空経路122が設けられる。上記中空経路を設けた後、ガイドチューブ108を配置する際のガイドとしての周囲の骨120を用いて、上記ガイドチューブおよび関連付けられたカッター114を中空経路122中に挿入することができる。このガイドチューブ108は、手動で固定距離となるように展開することもできるし、あるいは、調節可能停止部110が中空経路122の上領域と接触するまで、中空経路122内に配置することもできる。上記ガイドチューブを中空経路122内に挿入した後、偏心した様態で取り付けられた振動シャフト112を回転させることで、現時点で退避しているカッター114を展開させることができる。振動シャフト112の回転は、図2Cのハンドピースアセンブリ116の回転後に発生する。振動シャフト112が偏心位置にあるため、ガイドチューブ108の中心線に対して見たとき、カッター114は、カッターがガイドチューブ108の境界を越えて伸展するように展開する。このような構成により、上記カッターは、振幅および周波数を含む超音波振動を受信し、円周方向に回転することができ、これにより、周囲の骨120中に溝を生成する。当業者であれば、このカッター114は振動シャフト112に対して垂直方向に方向付けられるが、カッター114と振動シャフト112との間において任意数の相対角度を用いることが可能であることを容易に認識する。
【0030】
本発明の図4は、本発明と共に用いられる対流冷却機構の使用例を示す。対流冷却経路400は、振動シャフト112内に配置され、振動シャフト112と関連付けられたカッター114を適切に冷却できるよう、振動シャフト112に沿って適切な距離にわたって延びる。本発明のカッター114は、本実施形態の振動シャフト112と接触熱し、動作時にカッター中に発生した熱は、伝導を通じて振動シャフトへと移動する。その後、カッター114に隣接する振動シャフトの遠位端部へと移動した熱は、振動シャフト112内部に配置された対流冷却経路400へと移動する。対流冷却経路400内には、温度勾配が確立し、これにより、カッター領域114から対流冷却経路の対向端部へと発生している温度勾配に沿って作動流体が循環する。
【0031】
一実施形態において、上記対流冷却経路は、対流冷却経路400内に配置された細胞マトリックス構成を含む。当業者であれば、外科手術用鉗子用途の既存の伝導性冷却経路を認識することができる。対流冷却経路の一例について、IsoCool(商標)双極鉗子(製造元:ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社コッドマン事業部(Codman, a Johnson&Johnson Company))がある。本明細書中、同製品を参考によって援用する。この細胞マトリックスは、振動シャフト112の中心線に対して平行な中空中央領域を持ち、これにより、加熱された作動流体が中空中央領域まで移動することができる。動作時において、上記作動流体は、振動シャフト112とカッター114との間の界面において、瞬間的に蒸発する。この時点において、ガス状作動流体は、対流冷却経路400の中空中央領域まで移動し、この中空中央領域において、加熱された振動シャフト112とカッター114との間の界面からさらに移動する間に、ゆっくりと冷却される。その後、作動流体は、対流冷却経路の細胞マトリックスを通過することにより、界面402へと戻ることができる。一実施形態において、上記細胞マトリックスは銅化合物で作ることができる。本実施形態において、対流冷却経路400内における作動流体の移動は、加熱された界面402領域と、伝導性冷却経路400の冷却対向端部との間に設けられた上記関連付けられた温度勾配により、駆動される。当業者であれば、上記の細胞マトリックス構成はひとえに例示目的のために用いたものであり、当業者によって理解されるような多数の対流冷却機構と代替可能であることを容易に理解する。
【0032】
本発明による対流冷却経路400を用いることにより、使用時においてカッターに発生する熱を部分的または全体的に除去するように、カッター114の冷却を可能にする。これを鑑みれば、従って、冷却されたカッター114は、骨壊死またはカッター114の周囲領域の軟組織の不慮の損傷に関連する固有の問題を低減する。さらに、軟組織の切断用途に本発明を用いた場合、冷却されたカッターの使用により、既存のカッターに関連する高温に起因するカッターへの組織固着に関連する固有問題を防ぐ。
【0033】
図1〜図4において、類似の構成要素は類似の参照符号で示す。図1〜図4は、本発明による超音波切断装置の一例の実施形態を示す。本発明について図1〜図4中のこれらの例示的実施形態を参照して説明していくが、多くの代替的形態によっても本発明を具現化することが可能であることが理解されるべきである。当業者であれば、開示された実施形態のパラメータ(例えば、サイズ、形状、または要素種類または物質)を本発明の意図および範囲を保持する様態で変更するための多数の方法をさらに理解する。
【0034】
当業者にとって、上記記載を読めば、本発明の実施形態の多数の改変例および代替例が明らかである。よって、上記記載は、ひとえに例示的なものとして解釈されるべきであり、本発明を実施するための最適な態様を当業者に教示する目的のためのものである。上記構造の詳細は、本発明の意図から実質的に逸脱すること無く変更可能であり、添付の請求の範囲の範囲内に収まる全ての変更の専用が留保される。本発明は、添付の請求の範囲および適用可能な法秩序によって要求されている範囲のみに限定されることが意図される。
【0035】
本発明の実施形態は、以下を含み得る。
【0036】
A.超音波外科手術カッターから熱を除去する方法において、
超音波変換器およびカッターと関連付けられた中空振動シャフトを提供する工程であって、上記超音波変換器は、上記振動シャフトの第1の端部と関連付けられ、上記カッターは、上記中空振動シャフトの第2の端部と関連付けられる、工程と、
上記振動シャフトの所与の領域内に熱伝導性細胞マトリックスを提供する工程であって、上記細胞マトリックスは、上記細胞マトリックス内に配置された中空中央領域を有する、工程と、
上記細胞マトリックスと共に用いられる作動流体を提供する工程であって、上記提供工程は、上記カッターと関連付けられた第2の端部から開始する上記細胞マトリックスを通じて対流温度勾配が確立されるように行われ、これにより、上記カッターと関連付けられた上記第2の端部から熱が除去される、工程と、
を含む、方法。
【0037】
B.上記方法Aにおいて、
上記超音波外科手術カッターは、骨の切断において用いられる、方法。
【0038】
C.上記方法Aにおいて、
上記細胞マトリックスは、銅基化合物(a copper based compound)である、方法。
【0039】
D.上記方法Aにおいて、
上記熱伝導性細胞マトリックスは、上記カッターにおいて発生した熱の除去を可能にする、方法。
【0040】
E.外科手術を行う方法において、
椎骨に近接するためのアクセス通路を皮膚切開を通じて生成する工程と、
上記アクセス通路を通じて超音波切断器具を導入する工程と、
上記超音波切断器具により、上記椎骨の一部位または上記椎骨に近接する椎間板物質を切断する工程と、
を含む、方法。
【0041】
F.上記方法Eにおいて、
上記皮膚切開を通じて少なくとも1つの拡張器を挿入する工程と、
上記拡張器の遠位端部を上記椎骨の近隣に前進させて、上記切開を拡張し、上記アクセス通路を生成する工程と、
をさらに含む、方法。
【0042】
G.上記方法Fにおいて、
上記拡張器上にアクセスポートを送達する工程であって、上記アクセスポートは、上記椎骨に近接するための上記アクセス通路を画定する、工程、
をさらに含む、方法。
【0043】
H.上記方法Eにおいて、
上記皮膚切開を通じて開創器を挿入する工程と、
上記開創器の遠位端部を上記椎骨の近隣中まで前進させる工程と、
上記開創器を拡張して、上記アクセスポータルを生成する工程と、
をさらに含む、方法。
【0044】
I.外科手術を行う方法において、
超音波切断器具の切断先端部を椎骨の近隣に送達する工程と、
上記超音波切断器具の切断先端部により、上記椎骨の一部位を切断する工程と、
上記切断先端部に近接する組織の壊死を抑制するのに十分な温度まで上記切断先端部を冷却する工程と、
を含む、方法。
【0045】
J.上記方法Iにおいて、
上記切断先端部は、およそ50℃よりも低い温度まで冷却される、方法。
【0046】
K.上記方法Iにおいて、
上記切断先端部は、およそ45℃よりも低い温度まで冷却される、方法。
【0047】
L.上記方法Iにおいて、
上記切断先端部は、およそ40℃よりも低い温度まで冷却される、方法。
【0048】
M.上記方法Iにおいて、
上記切断先端部は、体温に近い温度まで冷却される、方法。
【0049】
N.上記方法Iにおいて、
上記切断先端部は、上記超音波切断器具に連結された対流冷却システムによって冷却される、方法。
【0050】
O.超音波外科手術切断システムにおいて、
超音波出力を生成するための超音波変換器要素と、
上記超音波変換器要素と関連付けられた超音波横方向カッターであって、上記横方向カッターは、外科手術切断における使用用途に合わせて方向付けることが可能である、超音波横方向カッターと、
を含む、システム。
【0051】
P.上記システムOにおいて、
振動シャフトであって、上記超音波変換器によって生成された機械的運動を上記超音波横方向カッターへと伝達するようにサイズおよび配置方向が決定された、上記バイブレータシャフト、
を含む、システム。
【0052】
Q.上記システムOにおいて、
上記変換器は、約22Khz〜約45Khzの周波数範囲の超音波信号を伝達することが可能である、システム。
【0053】
R.上記システムOにおいて、
上記変換器は、約50〜約100μmの範囲の振幅の超音波信号を伝達することが可能である、システム。
【0054】
S.上記システムPにおいて、
上記振動シャフトは、ガイドチューブ中に収容され、これにより、上記振動シャフトと関連付けられた上記超音波横方向カッターは、上記ガイドチューブに対して偏心した様態で方向付けられる、システム。
【0055】
T.上記システムSにおいて、
上記振動シャフトは、上記振動シャフト内に配置された対流冷却経路をさらに含む、システム。
【0056】
U.上記システムTにおいて、
上記対流冷却経路は、外科手術の切断作業時において、上記横方向カッターにおいて発生した熱を除去する、システム。
【0057】
V.上記システムTにおいて、
上記対流冷却経路は、横方向カッター温度をおよそ50℃未満に維持する、システム。
【0058】
W.上記システムTにおいて、
上記対流冷却経路は、横方向カッター温度をおよそ45℃未満に維持する、システム。
【0059】
X.上記システムTにおいて、
上記対流冷却経路は、横方向カッター温度をおよそ40℃未満に維持する、システム。
【0060】
Y.上記システムSにおいて、
上記ガイドチューブの長さに沿った複数の点において方向付けることが可能なように、調節可能停止部が上記ガイドチューブと関連付けられる、システム。
【0061】
Z.上記システムSにおいて、
関連付けられたキャビティ中の上記ガイドチューブの挿入深さを決定する際に使用するために、上記ガイドチューブの長さに沿って較正マーキングが設けられる、システム。
【0062】
A1.上記システムOにおいて、
上記システムは、所定の振幅および周波数信号を用いて骨を切断することができる、システム。
【0063】
B1.上記システムOにおいて、
上記超音波横方向カッターは、生体適合性材料から作られる、システム。
【0064】
C1.上記システムPにおいて、
上記超音波横方向カッターは、モジュール式であり、これにより、複数の異なるサイズおよび配置方向の横方向カッターを上記振動シャフトに取り付けることができる、システム。
【0065】
D1.上記システムOにおいて、
上記超音波横方向カッターは、上記超音波変換器に対して垂直方向に方向付けられる、システム。
【0066】
E1.上記システムOにおいて、
上記超音波横方向カッターは、上記超音波変換器に対して複数の角度において方向付けられる、システム。
【0067】
F1.上記システムOにおいて、
上記超音波カッターは、上記カッター周囲の物質の可変半径深さの切断をトレースする、システム。
【0068】
G1.上記システムOにおいて、
上記システムは、狭窄矯正外科手術において用いられる、システム。
【0069】
H1.骨切断に使用するための、冷却されたカッターを有する超音波切断装置において、
超音波出力を生成する超音波変換器と、
上記超音波変換器と関連付けられた超音波カッターと、
上記超音波カッターおよび超音波変換器と関連付けられた対流冷却機構であって、上記対流冷却機構は、上記超音波切断装置中に冷却されたカッターを提供する、対流冷却機構と、
を含む、超音波切断装置。
【0070】
I1.上記超音波切断装置H1において、
上記装置は、約22Khz〜約45Khzの範囲の周波数を有する信号を生成することが可能な超音波生成器をさらに含む、超音波切断装置。
【0071】
J1.上記超音波切断装置H1において、
上記装置は、約50〜約100μmの範囲の振幅を有する信号を生成することが可能な超音波生成器をさらに含む、超音波切断装置。
【0072】
K1.上記超音波切断装置H1において、
上記対流冷却機構は、上記対流冷却機構内に配置された熱伝導性細胞マトリックスを含む、超音波切断装置。
【0073】
L1.上記超音波切断装置H1において、
上記対流冷却機構は、作動流体を含み、上記作動流体は、上記対流冷却機構内の流体還流を受ける、超音波切断装置。
【0074】
M1.上記超音波切断装置H1において、
上記カッターから開始して上記超音波変換器に向かって伸展する対流温度勾配が、上記対流冷却機構内において確立される、超音波切断装置。
【0075】
O1.上記装置K1において、
上記熱伝導性細胞マトリックスは、上記対流冷却機構のカッター端部において発生した加熱された作動流体を送ることが可能な中空中央領域を含む、装置。
【0076】
P1.上記装置K1において、
冷却された作動流体は、上記対流冷却機構の細胞マトリックスを介して、上記カッターと関連付けられた上記対流冷却機構の端部に戻る、装置。
【0077】
Q1.組織を切断するための器具において、
機械的切断先端部と、
組織壊死を抑制するのに十分な温度まで上記機械的切断先端部を冷却するための上記器具内に配置された対流冷却システムと、
を含む、器具。
【0078】
R1.上記器具Q1において、
上記機械的切断先端部は、ドリル錐(drill bit)である、器具。
【0079】
S1.上記器具Q1において、
上記機械的切断先端部は、刻み目(burr)である、器具。
【0080】
T1.上記器具Q1において、
上記機械的切断先端部は、刃(blade)である、器具。
【0081】
U1.上記器具Q1において、
上記機械的切断先端部は、超音波切断先端部である、器具。
【0082】
V1.上記器具U1において、
近位端部および遠位端部を有する器具本体をさらに含み、上記対流冷却システムは、上記器具本体内に配置される、器具。
【0083】
W1.上記器具U1において、
上記対流冷却システムは、熱伝導性細胞マトリックス、および作動流体を有する、器具。
【0084】
本発明について説明してきたが、新規なものとして特許証による保護が望まれるものを特許請求の範囲に示す。
【0085】
〔実施の態様〕
(1) 超音波切断器具による脊髄外科手術時に椎骨の椎弓根領域を切断する方法において、
切断対象としての前記椎骨の椎弓根中に経路を設ける工程と、
前記経路中に超音波切断器具を固定距離で配置する工程であって、前記器具は切断先端部を含む、工程と、
前記経路内から前記切断先端部を伸展させる工程と、
前記椎骨の椎弓根領域が前記先端部によって切断されるように、前記切断先端部を円周方向に回転させる工程と、
を含む、方法。
(2) 実施態様1に記載の方法において、
前記切断先端部は、生体適合性材料で構成される、方法。
(3) 実施態様1に記載の方法において、
前記超音波切断器具は、約22Khz〜約45Khzの周波数範囲において動作する、方法。
(4) 実施態様1に記載の方法において、
前記超音波切断器具は、約50〜約100μmの振幅範囲において動作する、方法。
(5) 実施態様1に記載の方法において、
ガイドチューブを提供する工程、
をさらに含み、
前記ガイドチューブは、前記椎骨中への前記中空経路内に適合するようにサイズ設定および方向付けられる、方法。
(6) 実施態様1に記載の方法において、
ハンドピースアセンブリを提供する工程、
をさらに含み、
前記ハンドピースアセンブリは、前記ガイドチューブ内から前記切断先端部を伸展させる際に用いられる、方法。
(7) 実施態様6に記載の方法において、
前記超音波切断先端部が円周方向に回転するように前記ハンドピースアセンブリを回転させる工程、
をさらに含む、方法。
(8) 実施態様1に記載の方法において、
前記ガイドチューブの長さ方向軸に対して平行な軸上に前記切断先端部を配置する工程、
をさらに含む、方法。
(9) 実施態様1に記載の方法において、
前記超音波カッターによって生成された熱が対流冷却経路によって除去されるように、前記超音波カッターと関連付けられた前記対流冷却経路を提供する工程、
をさらに含む、方法。
(10) 実施態様5に記載の方法において、
調節可能停止部を提供する工程、
をさらに含み、
前記調節可能停止部は、前記ガイドチューブが前記中空経路中に挿入される距離が所定となるように、前記ガイドチューブと関連付けられる、方法。
【0086】
(11) 超音波外科手術切断システムにおいて、
超音波出力を生成するための超音波変換器要素と、
前記超音波変換器要素と関連付けられた超音波横方向カッターであって、前記横方向カッターは、外科手術における切断用途に合わせて方向付けることができる、超音波横方向カッターと、
を含む、システム。
(12) 実施態様11に記載のシステムにおいて、
超音波生成器、
をさらに含み、
前記超音波生成器は、前記超音波変換器と共に用いられる超音波信号を生成することができる、システム。
(13) 実施態様11に記載のシステムにおいて、
回転可能なハンドピース、
をさらに含み、
前記ハンドピースは、前記超音波変換器を含むようにサイズ設定および方向付けされる、システム。
(14) 実施態様11に記載のシステムにおいて、
振動シャフト、
をさらに含み、
前記バイブレータシャフトは、前記超音波変換器によって生成された機械的運動を前記超音波横方向カッターへと伝達するようにサイズ設定および方向付けされる、システム。
(15) 実施態様13に記載のシステムにおいて、
前記ハンドピースアセンブリは、歯車をさらに含み、
前記ハンドピースが回転すると、前記振動シャフト、および関連付けられた取り付けられたカッターが回転させられ、これにより、前記横方向超音波振動カッターによって円周方向経路がトレースされる、システム。
(16) 実施態様14に記載のシステムにおいて、
前記振動シャフトと関連付けられた前記超音波横方向カッターがガイドチューブに対して偏心した様態で方向付けられるように、前記振動シャフトが前記ガイドチューブ内に収容される、システム。
(17) 実施態様14に記載のシステムにおいて、
前記振動シャフトは、前記振動シャフト内に配置された対流冷却経路をさらに含む、システム。
(18) 実施態様11に記載のシステムにおいて、
前記超音波横方向カッターは、前記超音波変換器に対して垂直方向に方向付けられる、システム。
(19) 実施態様11に記載のシステムにおいて、
前記超音波横方向カッターは、前記超音波変換器に対して複数の角度で方向付けられる、システム。
(20) 実施態様11に記載のシステムにおいて、
前記超音波カッターは、前記カッター周囲の前記物質中における切断の可変半径深さをトレースする、システム。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一態様に従って本発明と共に用いられるシステムの例示的な図式的実施形態である。
【図2A】本発明の例示的実施形態であり、カッターが所定の中空部に配置されている様態で退避している状態を示す。
【図2B】本発明の例示的実施形態であり、カッターが所定の中空部に配置されている様態で伸展している状態を示す。
【図2C】システムの一部の例示的実施形態の詳細図であり、回転可能なハンドピースの内部動作を詳細に示す。
【図3A】椎弓根領域を切断する際の脊柱管狭窄矯正に必要な工程を示すフローチャートである。
【図3B】患者の椎骨内の狭窄矯正外科手術において用いられる本発明の例示的図式的実施形態である。
【図4】本発明の横方向カッターの切り取り図であり、この横方向カッターは、横方向カッターの対流冷却において用いられる中空振動シャフト上に設けられている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波切断器具による脊髄外科手術時に椎骨の椎弓根領域を切断する方法において、
切断対象としての前記椎骨の椎弓根中に経路を設ける工程と、
前記経路中に超音波切断器具を固定距離で配置する工程であって、前記器具は切断先端部を含む、工程と、
前記経路内から前記切断先端部を伸展させる工程と、
前記椎骨の椎弓根領域が前記先端部によって切断されるように、前記切断先端部を円周方向に回転させる工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
超音波外科手術切断システムにおいて、
超音波出力を生成するための超音波変換器要素と、
前記超音波変換器要素と関連付けられた超音波横方向カッターであって、前記横方向カッターは、外科手術における切断用途に合わせて方向付けることができる、超音波横方向カッターと、
を含む、システム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムにおいて、
超音波生成器、
をさらに含み、
前記超音波生成器は、前記超音波変換器と共に用いられる超音波信号を生成することができる、システム。
【請求項4】
請求項2に記載のシステムにおいて、
回転可能なハンドピース、
をさらに含み、
前記ハンドピースは、前記超音波変換器を含むようにサイズ設定および方向付けされる、システム。
【請求項5】
請求項2に記載のシステムにおいて、
振動シャフト、
をさらに含み、
前記バイブレータシャフトは、前記超音波変換器によって生成された機械的運動を前記超音波横方向カッターへと伝達するようにサイズ設定および方向付けされる、システム。
【請求項6】
請求項4に記載のシステムにおいて、
前記ハンドピースアセンブリは、歯車をさらに含み、
前記ハンドピースが回転すると、前記振動シャフト、および関連付けられた取り付けられたカッターが回転させられ、これにより、前記横方向超音波振動カッターによって円周方向経路がトレースされる、システム。
【請求項7】
請求項5に記載のシステムにおいて、
前記振動シャフトと関連付けられた前記超音波横方向カッターがガイドチューブに対して偏心した様態で方向付けられるように、前記振動シャフトが前記ガイドチューブ内に収容される、システム。
【請求項8】
請求項5に記載のシステムにおいて、
前記振動シャフトは、前記振動シャフト内に配置された対流冷却経路をさらに含む、システム。
【請求項9】
請求項2に記載のシステムにおいて、
前記超音波横方向カッターは、前記超音波変換器に対して垂直方向に方向付けられる、システム。
【請求項10】
請求項2に記載のシステムにおいて、
前記超音波横方向カッターは、前記超音波変換器に対して複数の角度で方向付けられる、システム。
【請求項11】
請求項2に記載のシステムにおいて、
前記超音波カッターは、前記カッター周囲の前記物質中における切断の可変半径深さをトレースする、システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−528242(P2008−528242A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554198(P2007−554198)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際出願番号】PCT/US2006/003616
【国際公開番号】WO2006/083988
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(504003396)デピュイ・スパイン・インコーポレイテッド (75)
【氏名又は名称原語表記】DePuy Spine,Inc.
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive,Raynham,MA 02767,U.S.A.
【Fターム(参考)】