説明

超音波振動子

【課題】 フレームの材料として、耐熱性が良く、加工性が良く、かつ外形が崩れないPPE(ポリフェニルエーテル:Poly Phenyl Ether)を用いることにより、残留応力による不具合の発生を防止して、分割した圧電素子を高精度に配列させて良好な超音波画像を得られる信頼性および強度の高い超音波振動子を提供すること。
【解決手段】 硬質な層を含む音響整合層と、上記音響整合層より長さ寸法が短く、上記硬質な層の所定位置に固定配置され、上記固定配置された状態で切断手段によって複数の圧電素子に分割される圧電体と、上記分割された上記圧電素子の表面を内周面側に配置した状態で、上記圧電素子から突出する上記音響整合層の上記圧電素子を配置した面に固定配置されて、複数の圧電素子を所定形状に配列させる、繊維強化型熱硬化性PPE(ポリフェニルエーテル)からなる振動子形状形成部材とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置等に用いられる超音波振動子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野においては、超音波振動子から生体組織内に超音波パルスを繰り返し送信し、生体組織から反射される超音波パルスのエコーを、同一あるいは別体に設けた超音波振動子で受信して、この超音波パルスを送受信する方向を徐々にずらすことによって、生体内の複数の方向から収集した情報を可視像の超音波断層画像として表示する超音波診断装置が、種々提案されている。
【0003】
このような超音波診断装置などに用いられる超音波振動子として、複数の圧電素子を規則的に配列した電子走査方式のアレイ型超音波振動子がある。この超音波振動子には、複数の圧電素子を円筒状に配列したラジアルアレイ型、略部分円筒状に配列したコンベックスアレイ型、或いは平板状に配列したリニアアレイ型がある。
【0004】
上記ラジアルアレイ型の超音波振動子は、例えば、ダンパー効果のある可撓性を有する薄板で形成された支持部材に、例えばチタン酸ジルコン酸鉛等を素材とした圧電素子板及び音響整合層を順次接着して振動子ユニットを形成した後、下層の支持部材を残して長手方向の一辺に直交する所定ピッチの切り溝を切断手段で形成して多数の超音波振動子を有する振動子アレイを構成し、この振動子アレイを構成する支持部材の裏面を断面が円形状の固定部材を兼用したダンパー材(バッキング材ともいう)の周囲に接着して形成していた(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、圧電素子の両面にそれぞれ音響整合層と変形しやすい材料等で形成した背面負荷材とを設け、切断手段で所望の間隔で音響整合層側から背面負荷材の一部に達する切り溝を形成し、所望の曲率に形成した曲面体の外面に背面負荷材を接着固定して超音波探触子を製造していた(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
また、音響レンズの内側にバッキング材枠が配置され、このバッキング材枠の内側にケーブル配線基板が立設され、その周囲にバッキング材が充填されるようにしている超音波アレイ振動子がある(例えば、特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開平2−271839号公報
【特許文献2】特許2502685号公報
【特許文献3】特開2002−224104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載されている超音波プローブでは、可撓性の支持部材とダンパー材とを接着剤で固定して形成した超音波振動子では、支持部材とダンパー材との間に設けられる接着層によってパルス幅が延びる等の性能上の不具合が発生するおそれがあった。
【0008】
また、上記特許文献2に記載されている超音波探触子の製造方法では、可撓性を有する或いは変形しやすい弾性部材を曲げた状態にしてダンパー材或いは曲面体に接着固定することにより所定形状を形作っていた。このため、弾性部材に残留応力が発生して断線等の不具合の要因になるおそれがあった。
【0009】
さらに、柔らかな部材を接着によって固定するとき、硬質部材同士を接着する場合と異なり、接着層の厚みにばらつきが生じることや、部材形状を高精度にできないことによって、所望の形状精度を得ることが難しかった。
【0010】
また、バッキング材枠(フレーム)には、高い形状精度、絶縁性、リード線との接続があるために導体パターン付加が可能で半田付けの熱に耐えることなどが求められるが、このような用途に使用されているガラスエポキシ基板等の一般の基板材料は、形状加工したエッジの部分で樹脂とガラス繊維との剥離が発生してしまい、微細な形状が変わってしまうため、機械加工精度を高めることが困難であるという問題点があった。
【0011】
また、ポリイミドは合成が低く、接着性が低いため、フレームの使用には向いていないという問題点があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、フレームの材料として、耐熱性が良く、加工性が良く、かつ外形が崩れないPPE(ポリフェニルエーテル:Poly Phenyl Ether)を用いることにより、残留応力による不具合の発生を防止して、分割した圧電素子を高精度に配列させて良好な超音波画像を得られる信頼性および強度の高い超音波振動子を提供することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するため、下記のような構成を採用した。
すなわち、本発明の一態様によれば、本発明の超音波振動子は、硬質な層を含む音響整合層と、上記音響整合層より長さ寸法が短く、上記硬質な層の所定位置に固定配置され、上記固定配置された状態で切断手段によって複数の圧電素子に分割される圧電体と、上記分割された上記圧電素子の表面を内周面側に配置した状態で、上記圧電素子から突出する上記音響整合層の上記圧電素子を配置した面に固定配置されて、複数の圧電素子を所定形状に配列させる、繊維強化型熱硬化性PPE(ポリフェニルエーテル)からなる振動子形状形成部材とを備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様によれば、本発明の超音波振動子は、硬質な層を含む音響整合層と、上記音響整合層より長さ寸法が短く、上記硬質な層の所定位置に固定配置され、上記固定配置された状態で切断手段によって複数の圧電素子に分割される圧電体と、上記分割された上記圧電素子の表面を内周面側に配置した状態で、上記圧電素子から突出する上記音響整合層の上記圧電素子を配置した面に固定配置されて、複数の圧電素子を所定形状に配列させる硬質な振動子形状形成部材と、上記振動子形状形成部材の外側に配置され、導体部と外部とを電気的に絶縁する繊維強化型熱硬化性PPEからなる絶縁部材とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一態様によれば、本発明の超音波振動子は、少なくとも硬質な第1音響整合層及び軟質な第2音響整合層を積層して形成した音響整合層と、上記音響整合層より長さ寸法が短く、上記第1音響整合層面の所定位置に固定配置され、上記固定配置された状態で切断手段によって複数の圧電素子に分割される圧電体と、上記分割された上記圧電素子の表面を内周面側に配置した状態で、上記圧電素子から突出する上記音響整合層を構成する第1音響整合層面に固定配置されて、複数の圧電素子を所定形状に配列させる、繊維強化型熱硬化性PPEからなる振動子形状形成部材とを備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の一態様によれば、本発明の超音波振動子は、少なくとも硬質な第1音響整合層及び軟質な第2音響整合層を積層して形成した音響整合層と、上記音響整合層より長さ寸法が短く、上記第1音響整合層面の所定位置に固定配置され、上記固定配置された状態で切断手段によって複数の圧電素子に分割される圧電体と、上記分割された上記圧電素子の表面を内周面側に配置した状態で、上記圧電素子から突出する上記音響整合層を構成する第1音響整合層面に固定配置されて、複数の圧電素子を所定形状に配列させる硬質な振動子形状形成部材と、上記振動子形状形成部材の外側に配置され、導体部と外部とを電気的に絶縁する繊維強化型熱硬化性PPEからなる絶縁部材とを備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の超音波振動子は、上記圧電素子が、上記切断手段によって上記第1音響整合層に固定配置された圧電体の表面から第1音響整合層を通過して上記第2音響整合層に至る所定間隔の分割溝を設けて形成されることが望ましい。
【0017】
また、本発明の超音波振動子は、上記振動子形状形成部材が、円形形状であることが望ましい。
また、本発明の超音波振動子は、上記絶縁部材が、円形形状であることが望ましい。
【0018】
また、本発明の超音波振動子は、上記振動子形状形成部材が、略部分円筒形形状であることが望ましい。
また、本発明の超音波振動子は、上記絶縁部材が、略部分円筒形形状であることが望ましい。
【0019】
また、本発明の一態様によれば、本発明の超音波振動子は、硬質な層を含む音響整合層と、上記音響整合層を構成する硬質な層の所定位置に上記音響整合層の一部が突出する位置関係に固定配置され、上記固定配置された状態で切断手段によって複数の圧電素子に分割される両平面部に一面側電極及び他面側電極をそれぞれ設けた圧電体と、分割形成された上記圧電素子の表面を内周面側に配置した状態で、上記圧電素子から突出する上記音響整合層の上記圧電素子を配置した面に固定配置されて、複数の圧電素子を所定形状に配列させる、繊維強化型熱硬化性PPEからなる振動子形状形成部材とを備え、上記音響整合層の端部側所定位置に、上記圧電体に平行で、上記圧電体の平面部に設けた電極に対向する所定幅の帯状導電材料を設ける一方、上記振動子形状形成部材に上記圧電体から延出配置された導電材料に対向配置される導電部を設けたことを特徴とする。
【0020】
また、本発明の一態様によれば、本発明の超音波振動子は、硬質な層を含む音響整合層と、上記音響整合層を構成する硬質な層の所定位置に上記音響整合層の一部が突出する位置関係に固定配置され、上記固定配置された状態で切断手段によって複数の圧電素子に分割される両平面部に一面側電極及び他面側電極をそれぞれ設けた圧電体と、分割形成された上記圧電素子の表面を内周面側に配置した状態で、上記圧電素子から突出する上記音響整合層の上記圧電素子を配置した面に固定配置されて、複数の圧電素子を所定形状に配列させる硬質な振動子形状形成部材と、上記振動子形状形成部材の外側に配置され、導体部と外部とを電気的に絶縁する繊維強化型熱硬化性PPEからなる絶縁部材とを備え、上記音響整合層の端部側所定位置に、上記圧電体に平行で、上記圧電体の平面部に設けた電極に対向する所定幅の帯状導電材料を設ける一方、上記振動子形状形成部材に上記圧電体から延出配置された導電材料に対向配置される導電部を設けたことを特徴とする。
【0021】
また、本発明の超音波振動子は、上記圧電体の平面部に設けた電極と上記音響整合層に設けた帯状の導電材料との電気的導通、或いは上記導電材料と上記振動子形状形成部材の導電部との電気的導通の少なくとも一方を接触によって行うことが望ましい。
【0022】
また、本発明の超音波振動子は、上記圧電体の平面部に設けた電極と上記音響整合層に設けた帯状の導電材料との電気的導通、或いは上記導電材料と上記振動子形状形成部材の導電部との電気的導通の少なくとも一方を導電部材を介して行うことが望ましい。
【0023】
また、本発明の超音波振動子は、上記導電部材が、金属ロウ部材、導電性接着剤、導電性塗料或いは導体被膜であることが望ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、残留応力による不具合の発生を防止して、分割した圧電素子を高精度に配列させて良好な超音波画像を得られる高信頼性の超音波振動子を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について述べる。
図1は、超音波振動子を示す斜視図である。
図1に示すように本実施の形態の超音波振動子1は、ラジアルアレイ型に構成したものであり、音響整合層2と、後述する圧電素子と、バッキング材3と、円筒状に形成した振動子形状形成部材4とで主に構成されている。
【0026】
上記音響整合層2は、エポキシ系、シリコーン系、ポリイミド系等の樹脂部材に金属、セラミックス、ガラス等の粉体や繊維を混合したものや、ガラス、マシナブルセラミックス・シリコーン等で硬質に形成した第1音響整合層2aと、柔軟性を有する例えばシリコーン系、エポキシ系・PEEK・ポリイミド・ポリエーテルイミド・ポリサルフォン・ポリエーテルサルフォン・フッ素系樹脂等の樹脂部材やゴム状の材料で形成した第2音響整合層2bとを積層して形成したものである。なお、基板7については後述する。
【0027】
振動子形状形成部材4は、繊維強化型熱硬化性PPEで形成されている。繊維強化型熱硬化性PPEは、高い形状精度・絶縁性・導体パターン付加が可能・半田付けの熱に対する耐熱性・接着性が高いなどの特徴を有しており、例えば、京セラケミカル(株)製の「TLC−W−596」、「TLC−W−598」、旭化成工業(株)製の「PPCシリーズ」、「RCCシリーズ」、「A−PPEシリーズ」、及び利昌工業(株)製の「CS−3376シリーズ」、「CS−3665E」、等を好適に使用できる。
【0028】
図2は、超音波振動子の構成を説明する長手方向断面図であり、図3は、図2のA−A線断面図である。
図2及び図3に示すように、上記超音波振動子1は、中心側より順にバッキング材3、圧電素子5及び基板7、第1音響整合層2a、第2音響整合層2bを配置して構成されている。
【0029】
図1及び図3に示すように、上記圧電素子5及び第1音響整合層2aは、所定数である例えば192個等の複数に分割された状態で配列されている。各圧電素子5の内周面側には一面側電極5aが設けられ、外周面側には他面側電極5bが設けられている。
【0030】
図4は、図2の矢印Bで示す部分の拡大図であり、図5は、図2の矢印Bで示した部分の他の構成例を説明する図であり、図6は、図2の矢印Bで示した部分の他の構成例を説明する図であり、図7は、図2の矢印Cで示す部分の拡大図である。
【0031】
図4および図5に示すように、上記超音波振動子1の一端側では音響整合層2が上記圧電素子5より突出するように構成されている。そして、この突出した音響整合層2を構成する第1音響整合層2aの内周面には上記振動子形状形成部材4が接着固定されている。
【0032】
また、上記音響整合層2を構成する第1音響整合層2aの所定位置には、例えばこの第1音響整合層2aの表面と略面一致になるように帯状の導電材料を配置構成したグランド用導電材料(以下、グランド電極と記載する)6が設けられている。このグランド電極6上に上記他面側電極5bを載置させることによって、この他面側電極5bと上記グランド電極6とが電気的導通状態になる。
【0033】
また、本実施の形態においては、上記振動子形状形成部材4の所定位置である外周面の上記グランド電極6に対向する面及び一側面には導電部4aが設けてある。そして、この振動子形状形成部材4を上記第1音響整合層2aの内周面に対して導電部材である例えば導電接着剤(不図示)で接着固定することによって、上記導電部4aと上記グランド電極6とが電気的な導通状態になる。この導電部材としては導電接着剤に限定されるものではなく、半田や銀ロウ、金ロウ等の金属ロウ部材、或いは導体被膜等であってもよい。
【0034】
また、図6に示すように、導電部4aを上記振動子形状形成部材4の一側面に設けるのみでもよい。この場合は、上記クランド電極6が外側に露出する構成とし、導電部4aとグランド電極6との間を、導電性樹脂・導電性塗料等の導体材料や、各種の導体薄膜、導体厚膜、メッキ等の導体皮膜で電気的な導通状態とする。また、これらを組み合わせることも可能である。
【0035】
図7に示すように、上記超音波振動子1の他端側には上記圧電素子5と略同一厚み寸法で形成された基板7が隣設配置されている。この基板7は、3次元基板、アルミナ基板、ガラスエポキシ基板、リジットフレキシブル基板・フレキシブル基板等であり、この基板7に形成されている導電パターン7aと上記圧電素子5の一面側電極5aとはこの導電パターン7a上及び一面側電極5a上に配置された導電部材8によって電気的に接続されている。
【0036】
なお、上記圧電素子5は、板状に形成されたチタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸鉛・チタン酸バリウム系・BNT−BS−ST系等の圧電セラミック又は、LiNbO3・PZNT等の圧電性結晶・リラクサー強誘電体を切断して形成したものである。上記一面側電極5a及び他面側電極5bは板状の圧電セラミックの面上に金、銀、銅あるいはニッケル ・クロム等の導電部材を焼付け又は蒸着・スパッタ・イオンプレーティング等の薄膜又はメッキ等により、単層・多層又は合金層として予め設けたものである。
【0037】
また、上記バッキング材3は、エポキシ系、シリコーン系、ポリイミド系、ポリエーテルイミド、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)・ウレタン系・フッ素系等の樹脂部材やクロロプレンゴム・プロピレン系ゴム・ブタジエン系ゴム・ウレタン系ゴム・シリコーンゴム・フッ素系ゴム等のゴム材、又はこれら樹脂部材やゴム材にタングステン等の金属、アルミナ・ジルコニア・シリカ・酸化タングステン・圧電セラミックス粉・フェライト等のセラミックス、ガラス、樹脂等の粉体や繊維・中空の粒子などからなる単一又は複数の物質・形状のフィラーを混合したものであり、本実施の形態においてはアルミナ粉末入りのエポキシ樹脂を硬化させたものである。
【0038】
次に、上述のように構成される超音波振動子1の組立て手順を、図8乃至図20を参照して説明する。
(1)音響整合層2を形成する工程
図8は、音響整合層を形成する部材を説明する図であり、図9は、音響接合層を説明する図である。
【0039】
まず、上記音響整合層2を形成するため、図8に示すように所定寸法及び形状で所定の音響インピーダンス値に調整した第1音響整合層2a及び第2音響整合層2bを用意する。この第1音響整合層2aの一面側所定位置には板状のグランド電極6が配置してある。
【0040】
そして、図9に示すように上記第1音響整合層2aと第2音響整合層2bとを一体的に積層して音響整合層2を形成する。このとき、上記第2音響整合層2aを、グランド電極6が設けられていない第1音響整合層2aの他面側に配置する。音響整合層は、本実施の形態で示したように各々を所定厚さとした後に一体化すること、一体化させた後に所定厚さとすること、接合で無く一方に他方を塗布、注型、成膜等により直接形成すること、及びこれらの組合せが可能である。
【0041】
なお、上記グランド電極6は例えば、上記第1音響整合層2aの所定位置に形成した所定幅寸法及び深さ寸法の溝11に、所定幅寸法及び厚み寸法に形成した板状の導電部材12を接着配置して構成したり、或いは、上記溝11に所定幅寸法で上記深さ寸法より厚めに形成した板状の導電部材を接着配置するか、導電樹脂等を突出するように塗布或いは充填した後、この導電部材の突出部分を第1音響整合層2aの面と面一致状態になるように加工して構成したり、或いは所定厚み寸法より厚めに形成した上記第1音響整合層2aの上記溝11内に導電部材を接合ないし塗布或いは充填した後、全体を所定厚み寸法になるように加工して構成したり、或いは各種の導体膜により構成したものである。なお、グランド電極6には、導電性樹脂・導電性塗料・金属等の導体材料や、各種の導体薄膜・導体厚膜・メッキ等の導体皮膜が使用可能である。
(2)第1積層体を形成する工程
図10は、第1積層体を形成する部材を説明する図であり、図11は、第1積層体を説明する図である。
【0042】
第1積層体を形成するため、図10に示すように上記音響整合層2と、一面側電極5a及び他面側電極5bとをそれぞれ設けた圧電セラミック13とを用意する。この圧電セラミック13は、上記音響整合層2の長さ寸法より所定寸法だけ短く形成され、幅寸法は略同一寸法で形成され、厚み寸法は所定寸法に形成されている。
【0043】
図11に示すように上記音響整合層2をひっくり返した状態にして、第1音響整合層2aに設けたグランド電極6上の所定位置に上記圧電セラミック13の他面側電極5bを載置させた状態にして、この圧電セラミック13を上記第1音響整合層2aに対して接着剤(不図示)によって一体的に接着固定する。
【0044】
このことによって、上記他面側電極5bと上記圧電セラミック13のグランド電極6とが電気的導通状態で、上記音響整合層2と上記圧電セラミック13とが一体な第1積層体21が形成される。このとき、上記グランド電極6が配置されている音響整合層2の一端面側が上記圧電セラミック13の一端面側から所定量aだけ突出した状態になる。
(3)第2積層体を形成する工程
図12は、第2積層体を形成する部材を説明する図であり、図13は、第2積層体を説明する図である。
【0045】
第2積層体を形成するため、図12に示すように上記第1積層体21と、例えば一面側に複数の導電パターン7aを規則的に設けた厚み寸法が上記圧電セラミック13と略同寸法の基板7とを用意する。そして、導電パターン7aを上向きにした状態で図13に示すように上記基板7を上記圧電セラミック13に並べて隣り合わせに配設し、この基板7を上記第1音響整合層2aに対して接着固定する。
【0046】
このことによって、上記第1音響整合層2aの面上に圧電セラミック13と基板7とが隣設した第2積層体22が形成される。なお、上記基板7の幅寸法及び長さ寸法は所定寸法に設定されている。
(4)基板の導電パターン7aと圧電セラミック13の一面側電極5aとを電気的に接続する工程
図14は、基板の導電パターンと圧電セラミックの一面側電極とを電気的に接続する工程を説明する図である。
【0047】
図14に示すように上記第2積層体22の導電パターン7aが形成されている基板7及び一面側電極5aが設けられている圧電セラミック13の表面の所定位置に図示しないマスク部材を配置し、膜部材である導電性塗料又は導電性接着剤等を塗布して導電膜部14を設ける。
【0048】
このことによって、この導電膜部14によって、上記導電パターン7aと一面側電極5aとが電気的に接続される。
(5)圧電セラミック13を複数の圧電素子5に分割する工程
図15は、分割溝を形成して圧電セラミックを圧電素子に分割している状態を示す図であり、図16は、所定数の分割溝を形成した第2積層体を示す図であり、図17は、複数の圧電素子を設けた第2積層体を変形させた状態を示す図である。
【0049】
図15に示すように図示しないダイシングソー又はレーザ装置等の切断手段を使用して、圧電セラミック13及び基板7の表面側から上記音響整合層2を構成する第1音響整合層2aを通過させて、第2音響整合層2bの一部に到達する所定深さ寸法で所定幅寸法又は所定形状の分割溝15を長手方向に対して直交する方向に所定ピッチで形成していく。このとき、上記切断手段を2つの導電パターン7aを分割する中央線上に配置させる。
【0050】
このことによって、複数の導電パターン7aを設けた基板7が導電パターン7aを設けた複数の基板7に分割されるとともに、1枚の圧電セラミック13が複数の圧電素子5に分割される。このとき、上記導電膜部14も導電部材8に分割されていく。このことによって、上記音響整合層2上に導電パターン7aを導電部材8で電気的に接続した圧電素子5が配列されていく。
【0051】
そして、図16に示すように上記第2積層体22に分割溝15を所定ピッチで所定数形成することによって、上記圧電セラミック13、基板7、導電膜部14及び第1音響整合層2aが所定数に分割されて、圧電セラミック13及び基板7を有していた第2積層体22が、複数の圧電素子5及び基板7を配置した第2積層体22aに変化する。つまり、上記音響整合層2を構成する柔軟性を有する第2音響整合層2bに、複数の圧電素子5を配列した状態になる。
【0052】
したがって、上記第2音響整合層2bを最外周側に配置した状態にして、この第2積層体22を曲げ変形することにより、図17に示すように複数の圧電素子5を備えた第2積層体22aを円筒形状に形作れる。
【0053】
なお、上記分割溝15を形成した後、上記超音波振動子1を形成するに当たって不要になる、例えば図15の斜線で示す音響整合層2を除去しておく。また同様に、上記第2積層体を構成する各部材について、例えば長さなどについては所定形状よりも大きいものを用い、最終的に不要部分を除去することも可能である。さらに必要に応じ、それぞれの圧電素子5の一面側電極5aと、基板7の導電パターン7aとが導電部材8によって電気的に接続されているかの導通検査を行う。
(6)円筒状ユニット23を形成する工程
図18は、円筒状の振動子ユニットを形成する部材を説明する図であり、図19は、第1音響整合層に振動子形状形成部材を配置した状態を説明する図であり、図20は、基板に振動子形状形成部材を配置した状態を説明する図である。
【0054】
円筒状ユニット23を形成するため、図18に示すように第2積層体22aと、所定寸法に形成した繊維強化型熱硬化性PPE部材で形成した円筒状の振動子形状形成部材4A、4Bとを用意する。そして、図19に示すように上記第2積層体22aを円筒状に形作った後、上記振動子形状形成部材4Aを音響整合層2の第1音響整合層2aに導電接着剤で一体的に接着固定する。一方、図20に示すように上記振動子形状形成部材4Bを上記圧電素子5に隣設する基板7の内周面側に非導電性の接着剤によって一体的に接着固定する。
【0055】
このことによって、硬質な部材である第1音響整合層2aと繊維強化型熱硬化性PPEである振動子形状形成部材4A及び基板7と繊維強化型熱硬化性PPEである振動子形状形成部材4Bとを接着固定して上記第2積層体22aが所定の曲率の円筒状ユニット23として形成される。このとき、分割された圧電素子5にそれぞれ設けられている他面側電極5bと導通状態になっている上記グランド電極6と、振動子形状形成部材4Aの導電部4aとが一体的な導通状態になる。この導電部4aに図示しない超音波観測装置から延出するグラント線を接続することによって容量が十分に大きなグランドが確保される。なお、上記振動子形状形成部材4Aは、固定を非導電性接着剤により行い、その後に導体薄膜、導電性樹脂、導体厚膜等によって電気的に接続しても、何ら問題はない。
【0056】
バッキング材は、圧電素子5の一面電極5a側に、フェライト入りゴム材・アルミナ粉入りエポキシ等を材料として用い、接着・注型等の方式により、付加する。これにより、上記図1乃至図3に示したような構成のラジアルアレイ型の超音波振動子が形成される。
【0057】
図21は、コンベックスアレイ型振動子ユニットを形成するための振動子形状形成部材及び第2積層体を示す図であり、図22は、リニアアレイ型振動子ユニットを形成するための振動子形状形成部材及び第2積層体を示す図である。
【0058】
上述したように、本実施の形態においては振動子形状形成部材4A、4Bを用いてラジアルアレイ型の超音波振動子1を形成する工程を説明したが、上記(6)の円筒状ユニット23を形成する工程で示した振動子形状形成部材4A、4Bを使用する代わりに、図21に示すように例えば部分円形形状等に形成した振動子形状形成部材4C、4Dを上述と同様に所定形状で所定数に分割された圧電素子5を有する第2積層体22bの第1音響整合層2aに固定することによってコンベックスアレイ型振動子ユニットが形成される。
【0059】
また、図22に示すように端部が平坦である平板状の振動子形状形成部材4Eを上述と同様に第2積層体22cの第1音響整合層2aに該平坦部が接するように固定することによってリニアアレイ型振動子ユニットが形成される。さらに、振動子形状形成部材の端部形状は円弧や直線に限定されるものではなく、これらの組合せや変形も可能であり、これにより超音波走査方向を自在に設定することができる。
【0060】
このように、圧電素子から突出している音響整合層を構成する硬質な第1音響整合層に、所定形状に形成した繊維強化型熱硬化性PPEである振動子形状形成部材を固定配置することによって、所定形状の超音波振動子を高精度に形成することができるとともに、残留応力による不具合の発生を確実に防止した超音波振動子を形成することができる。
【0061】
このことによって、圧電セラミックを複数に分割して形成した圧電素子が高精度に配列されて、高画質の超音波観察像を長期にわたって安定して得られる。
なお、上述の実施の形態においては、振動子形状形成部として繊維強化型熱硬化性PPEを用いたが、振動子形状形成部材としては一般的な硬質部材を用い、さらにその外側に超音波振動子を絶縁するための部材として振動子形状形成部と同一形状の繊維強化型熱硬化性PPEを用いた絶縁部材を用意しても良い。
【0062】
図23は、繊維強化型熱硬化性PPEの絶縁部材を用いたラジアル型超音波振動子の構成を説明するための図であり、図24は、繊維強化型熱硬化性PPEの絶縁部材を用いたラジアル型超音波振動子を示す図である。
【0063】
ラジアル型超音波振動子1aを形成するため、図23に示すように音響整合層2と、所定寸法に形成した硬質部材で形成した円筒状の振動子形状形成部材31a、31bと、これら振動子形状形成部材31a、31bとほぼ同一寸法に形成した繊維強化型熱硬化性PPEで形成した円筒状の絶縁部材32aとを用意する。
【0064】
そして、図24に示すように、上記振動子形状形成部材31a、31bを音響整合層2に導電接着剤で一体的に接着固定した後、絶縁部材32aを接着固定して、ラジアル型超音波振動子1aを形成する。
【0065】
図25は、繊維強化型熱硬化性PPEの絶縁部材を用いたコンベックス型超音波振動子の構成を説明するための図であり、図26は、繊維強化型熱硬化性PPEの絶縁部材を用いたコンベックス型超音波振動子を示す図である。
【0066】
コンベックス型超音波振動子1bを形成するため、図25に示すように音響整合層2と、所定寸法に形成した硬質部材で形成した円盤状の振動子形状形成部材31c、31dと、これら振動子形状形成部材31c、31dとほぼ同一寸法に形成した繊維強化型熱硬化性PPEで形成した円盤状の絶縁部材32bとを用意する。
【0067】
そして、図26に示すように、上記振動子形状形成部材31c、31dを音響整合層2に導電接着剤で一体的に接着固定した後、絶縁部材32bを接着固定して、コンベックス型超音波振動子1bを形成する。
【0068】
なお、本発明は、以上述べた実施の形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。例えば、本例では基板7を圧電素子5に併設配置し導電部材により両者を電気的に接続したが、これに限定されるものではなく、例えばバッキング材の内部又は側面に基板を位置させることや、フレームと基板とを合一すること、基板と圧電素子との接続を金属細線等で行うことも可能である。
【0069】
以上本発明の実施の形態を図面を用いて説明してきたが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】超音波振動子を示す斜視図である。
【図2】超音波振動子の構成を説明する長手方向断面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】図2の矢印Bで示す部分の拡大図である。
【図5】図2の矢印Bで示した部分の他の構成例を説明する図である。
【図6】図2の矢印Bで示した部分の他の構成例を説明する図である。
【図7】図2の矢印Cで示す部分の拡大図である。
【図8】音響整合層を形成する部材を説明する図である。
【図9】音響接合層を説明する図である。
【図10】第1積層体を形成する部材を説明する図である。
【図11】第1積層体を説明する図である。
【図12】第2積層体を形成する部材を説明する図である。
【図13】第2積層体を説明する図である。
【図14】基板の導電パターンと圧電セラミックの一面側電極とを電気的に接続する工程を説明する図である。
【図15】分割溝を形成して圧電セラミックを圧電素子に分割している状態を示す図である。
【図16】所定数の分割溝を形成した第2積層体を示す図である。
【図17】複数の圧電素子を設けた第2積層体を変形させた状態を示す図である。
【図18】円筒状の振動子ユニットを形成する部材を説明する図である。
【図19】第1音響整合層に振動子形状形成部材を配置した状態を説明する図である。
【図20】基板に振動子形状形成部材を配置した状態を説明する図である。
【図21】コンベックスアレイ型振動子ユニットを形成するための振動子形状形成部材及び第2積層体を示す図である。
【図22】リニアアレイ型振動子ユニットを形成するための振動子形状形成部材及び第2積層体を示す図である。
【図23】繊維強化型熱硬化性PPEの絶縁部材を用いたラジアル型超音波振動子の構成を説明するための図である。
【図24】繊維強化型熱硬化性PPEの絶縁部材を用いたラジアル型超音波振動子を示す図である。
【図25】繊維強化型熱硬化性PPEの絶縁部材を用いたコンベックス型超音波振動子の構成を説明するための図である。
【図26】繊維強化型熱硬化性PPEの絶縁部材を用いたコンベックス型超音波振動子を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1 超音波振動子
1a ラジアル型超音波振動子
1b コンベックス型超音波振動子
2 音響整合層
2a 第1音響整合層
2b 第2音響整合層
3 バッキング材
4 振動子形状形成部材
4a 導電部
4A 振動子形状形成部材
4B 振動子形状形成部材
4C 振動子形状形成部材
4D 振動子形状形成部材
4E 振動子形状形成部材
5 圧電素子
5a 一面側電極
5b 他面側電極
6 グランド電極
7 基板
7a 導電パターン
8 導電部材
11 溝
12 導電部材
13 圧電セラミック
14 導電膜部
15 分割溝
21 第1積層体
22 第2積層体
22a 第2積層体
22b 第2積層体
22c 第2積層体
23 円筒状ユニット
31a 振動子形状形成部材
31b 振動子形状形成部材
31c 振動子形状形成部材
31d 振動子形状形成部材
32a 絶縁部材
32b 絶縁部材




【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質な層を含む音響整合層と、
前記音響整合層より長さ寸法が短く、前記硬質な層の所定位置に固定配置され、前記固定配置された状態で切断手段によって複数の圧電素子に分割される圧電体と、
前記分割された前記圧電素子の表面を内周面側に配置した状態で、前記圧電素子から突出する前記音響整合層の前記圧電素子を配置した面に固定配置されて、複数の圧電素子を所定形状に配列させる、繊維強化型熱硬化性PPE(ポリフェニルエーテル)からなる振動子形状形成部材と、
を備えることを特徴とする超音波振動子。
【請求項2】
硬質な層を含む音響整合層と、
前記音響整合層より長さ寸法が短く、前記硬質な層の所定位置に固定配置され、前記固定配置された状態で切断手段によって複数の圧電素子に分割される圧電体と、
前記分割された前記圧電素子の表面を内周面側に配置した状態で、前記圧電素子から突出する前記音響整合層の前記圧電素子を配置した面に固定配置されて、複数の圧電素子を所定形状に配列させる硬質な振動子形状形成部材と、
前記振動子形状形成部材の外側に配置され、導体部と外部とを電気的に絶縁する繊維強化型熱硬化性PPEからなる絶縁部材と、
を備えることを特徴とする超音波振動子。
【請求項3】
少なくとも硬質な第1音響整合層及び軟質な第2音響整合層を積層して形成した音響整合層と、
前記音響整合層より長さ寸法が短く、前記第1音響整合層面の所定位置に固定配置され、前記固定配置された状態で切断手段によって複数の圧電素子に分割される圧電体と、
前記分割された前記圧電素子の表面を内周面側に配置した状態で、前記圧電素子から突出する前記音響整合層を構成する第1音響整合層面に固定配置されて、複数の圧電素子を所定形状に配列させる、繊維強化型熱硬化性PPEからなる振動子形状形成部材と、
を備えることを特徴とする超音波振動子。
【請求項4】
少なくとも硬質な第1音響整合層及び軟質な第2音響整合層を積層して形成した音響整合層と、
前記音響整合層より長さ寸法が短く、前記第1音響整合層面の所定位置に固定配置され、前記固定配置された状態で切断手段によって複数の圧電素子に分割される圧電体と、
前記分割された前記圧電素子の表面を内周面側に配置した状態で、前記圧電素子から突出する前記音響整合層を構成する第1音響整合層面に固定配置されて、複数の圧電素子を所定形状に配列させる硬質な振動子形状形成部材と、
前記振動子形状形成部材の外側に配置され、導体部と外部とを電気的に絶縁する繊維強化型熱硬化性PPEからなる絶縁部材と、
を備えることを特徴とする超音波振動子。
【請求項5】
前記圧電素子は、前記切断手段によって前記第1音響整合層に固定配置された圧電体の表面から第1音響整合層を通過して前記第2音響整合層に至る所定間隔の分割溝を設けて形成されることを特徴とする請求項3または4に記載の超音波振動子。
【請求項6】
前記振動子形状形成部材は、円形形状であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の超音波振動子。
【請求項7】
前記絶縁部材は、円形形状であることを特徴とする請求項2または4に記載の超音波振動子。
【請求項8】
前記振動子形状形成部材は、略部分円筒形形状であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の超音波振動子。
【請求項9】
前記絶縁部材は、略部分円筒形形状であることを特徴とする請求項2または4に記載の超音波振動子。
【請求項10】
硬質な層を含む音響整合層と、
前記音響整合層を構成する硬質な層の所定位置に前記音響整合層の一部が突出する位置関係に固定配置され、前記固定配置された状態で切断手段によって複数の圧電素子に分割される両平面部に一面側電極及び他面側電極をそれぞれ設けた圧電体と、
分割形成された前記圧電素子の表面を内周面側に配置した状態で、前記圧電素子から突出する前記音響整合層の前記圧電素子を配置した面に固定配置されて、複数の圧電素子を所定形状に配列させる、繊維強化型熱硬化性PPEからなる振動子形状形成部材と、
を備え、
前記音響整合層の端部側所定位置に、前記圧電体に平行で、前記圧電体の平面部に設けた電極に対向する所定幅の帯状導電材料を設ける一方、前記振動子形状形成部材に前記圧電体から延出配置された導電材料に対向配置される導電部を設けたことを特徴とする超音波振動子。
【請求項11】
硬質な層を含む音響整合層と、
前記音響整合層を構成する硬質な層の所定位置に前記音響整合層の一部が突出する位置関係に固定配置され、前記固定配置された状態で切断手段によって複数の圧電素子に分割される両平面部に一面側電極及び他面側電極をそれぞれ設けた圧電体と、
分割形成された前記圧電素子の表面を内周面側に配置した状態で、前記圧電素子から突出する前記音響整合層の前記圧電素子を配置した面に固定配置されて、複数の圧電素子を所定形状に配列させる硬質な振動子形状形成部材と、
前記振動子形状形成部材の外側に配置され、導体部と外部とを電気的に絶縁する繊維強化型熱硬化性PPEからなる絶縁部材と、
を備え、
前記音響整合層の端部側所定位置に、前記圧電体に平行で、前記圧電体の平面部に設けた電極に対向する所定幅の帯状導電材料を設ける一方、前記振動子形状形成部材に前記圧電体から延出配置された導電材料に対向配置される導電部を設けたことを特徴とする超音波振動子。
【請求項12】
前記圧電体の平面部に設けた電極と前記音響整合層に設けた帯状の導電材料との電気的導通、或いは前記導電材料と前記振動子形状形成部材の導電部との電気的導通の少なくとも一方を接触によって行うことを特徴とする請求項10または11に記載の超音波振動子。
【請求項13】
前記圧電体の平面部に設けた電極と前記音響整合層に設けた帯状の導電材料との電気的導通、或いは前記導電材料と前記振動子形状形成部材の導電部との電気的導通の少なくとも一方を導電部材を介して行うことを特徴とする請求項10または11に記載の超音波振動子。
【請求項14】
前記導電部材は、金属ロウ部材、導電性接着剤、導電性塗料或いは導体被膜であることを特徴とする請求項13に記載の超音波振動子。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2006−87464(P2006−87464A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−273075(P2004−273075)
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】