説明

超音波探傷システム

【課題】被検面が平滑ではない複雑な形状を有している検査対象の部位を超音波探傷すること。
【解決手段】検査対象の部位の表面に接触し得る大きさであって、超音波の送信用の超音波振動子と、超音波の受信用の超音波振動子とを有する超音波探触子100と、超音波探触子の受信用の超音波振動子が受信した超音波の大きさを示す信号であって、超音波探触子100から出力された信号を、開口合成処理する信号処理装置300とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波探傷システムに関する。特に本発明は、被検面が平滑ではない複雑な形状を有している検査対象の部位を超音波探傷する超超音波探傷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所では、その安全性や信頼性を確保するために定期的に検査が行われている。原子力発電所の配管や圧力容器の検査には、主として超音波を使った非破壊検査が適用されている。超音波を使った非破壊検査は、材料の内部検査が可能で、多くの箇所に適用されている。しかしながら、被検面が平滑ではない複雑な形状を有している部位では、超音波探触子の倣い性が悪いといった問題点等が残されている。
【0003】
また、近年、原子力発電所は、運転を開始して30年以上経過し、高経年化が叫ばれており、健全性を確保するニーズが高まっている。そのため、超音波を使った非破壊検査による欠陥の定量化ニーズは、高まりを見せており、精度の高い超音波を使った非破壊検査の手法が望まれている。
【0004】
近年においては、この課題を解決するため、フェーズドアレイ超音波探傷装置が開発されてきている(例えば、特許文献1参照。)。フェーズドアレイ超音波探傷装置は、超音波を任意の角度へ発生させたり、任意の位置へ集束させたりすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−170877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の超音波探傷方法においては、水浸法を用いて超音波探傷を行うアダプティブ超音波探傷法と呼ばれる方法を採用している。しかしながら、アダプティブ超音波探傷法は、超音波探触子と被検面との間に水を介在させた水浸法を利用するため、検査対象の部位の浅い位置に欠陥があった場合、欠陥からのエコーが検査対象表面直下のエコーに隠れてしまうという問題がある。
【0007】
また、原子炉容器のBMI(Bottom Mounted Instrumentation)管台やCRDM(Control Rod Drive Mechanism)管台の外周J溶接部のような部位は、その形状が非常に狭隘なため、サイズの大きいフェーズドアレイ超音波探触子を、検査対象の部位に接触させて走査することが難しいという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によると、被検面が平滑ではない複雑な形状を有している検査対象の部位を超音波探傷する超音波探傷システムであって、検査対象の部位の表面に接触し得る大きさであって、超音波の送信用の超音波振動子と、超音波の受信用の超音波振動子とを有する超音波探触子と、超音波探触子の受信用の超音波振動子が受信した超音波の大きさを示す信号であって、超音波探触子から出力された信号を、開口合成処理する信号処理装置とを備える。
【0009】
超音波探触子は、検査対象の部位に接触させたときに、検査対象の部位の表面からの浮き上がりが0.4mm以内に抑えられる大きさであってよい。
【0010】
超音波探触子を走査制御するにあたり、超音波探触子の3次元の位置及び傾きを含む位置情報を取得する位置情報取得装置を更に有し、信号処理装置は、位置情報取得装置が取得した位置情報を利用して開口合成処理を行ってよい。
【0011】
位置情報取得装置は、走査制御されている超音波探触子の3次元の位置と傾きをリアルタイムで計測することによって、超音波探触子の位置情報を取得してよい。
【0012】
位置情報取得装置は、検査対象の部位の表面形状を予め取得しておき、当該検査対象の部位に倣って超音波探触子が走査制御される際に、予め取得しておいた検査対象の部位の表面形状に基づいて、超音波探触子の位置情報を取得してよい。
【0013】
なおまた、上記のように発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
【発明の効果】
【0014】
以上の説明から明らかなように、この発明によれば、原子炉容器のBMI管台やCRDM管台のJ溶接部のように、被検面が平滑ではない複雑な形状を有している検査対象の部位においても、表面近傍の欠陥に対して欠陥検出及び深さサイジングが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一実施形態に係る超音波探傷システムの一例を示す図である。
【図2】一実施形態に係る超音波探触子100の一例を示す断面図である。
【図3】一実施形態に係る位置情報取得装置200の一例を示す図である。
【図4】複数のワイヤ215が接続されている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
図1は、一実施形態に係る超音波探傷システムの一例を示す。超音波探傷システムは、被検面が平滑ではない複雑な形状を有している検査対象の部位を超音波探傷するためのシステムである。超音波探傷システムは、超音波探触子100、位置情報取得装置200、信号処理装置300、及び制御装置400を備える。
【0018】
超音波探触子100は、入力を受け付けた電気信号のレベルに応じたレベルの超音波を送信すると共に、受信した超音波のレベルに応じたレベルの電気信号を出力する手段である。具体的には、超音波探触子100は、制御装置400から出力された電気信号の入力を受け付けると、その電気信号のレベルに応じたレベルの超音波を出力する。また、超音波探触子100は、超音波を受信すると、その超音波のレベルに応じたレベルの電気信号を、信号処理装置300へ出力する。
【0019】
位置情報取得装置200は、検査対象の部位を探傷しているときの超音波探触子100の位置情報を取得する手段である。具体的には、位置情報取得装置200は、超音波探触子100の位置情報として、検査対象の部位に対する超音波探触子100の3次元の位置と、傾きとを取得する。そして、位置情報取得装置200は、超音波探触子100の位置情報を取得すると、その位置情報を示すデータを、信号処理装置300へ出力する。
【0020】
信号処理装置300は、超音波探触子100から出力された電気信号を信号処理する手段である。具体的には、信号処理装置300は、超音波探触子100から出力された電気信号を開口合成処理する。その際、信号処理装置300は、位置情報取得装置200から出力されたデータによって示される超音波探触子100の位置情報を用いて、超音波探触子100から出力された電気信号を補正しながら開口合成処理する。
【0021】
制御装置400は、超音波探触子100を電気的に制御する手段である。具体的には、制御装置400は、超音波探触子100から送信されるべき超音波のレベルを決定するレベルの電気信号を、超音波探触子100へ出力する。
【0022】
図2は、一実施形態に係る超音波探触子100の一例を示す。具体的には、図2は、超音波探触子100が、その筐体110の下面の接触面111を介して、検査対象の部位900と接触している状態を示している。
【0023】
超音波探触子100の筐体110の内部には、2つの超音波振動子120、130、遮音板140、及び楔150が内蔵されている。超音波振動子120は、制御装置400から出力され、入力を受け付けた電気信号のレベルに応じたレベルの超音波を送信する手段である。超音波振動子130は、受信した超音波のレベルに応じたレベルの電気信号を出力する手段である。このように、超音波探触子100は、超音波の送信用の超音波振動子120と、超音波の受信用の超音波振動子130とを分離した2探探触子構造とされる。これにより、本発明に係る超音波探傷システムでは、超音波探触子100を、検査対象の部位900に接触させて超音波探傷する際に、検査対象の部位900の表面直下のエコーに欠陥信号が隠れてしまうことを防ぐことができる。
【0024】
遮音板140は、超音波探触子100の筐体110の内部において、超音波振動子120と超音波振動子130との間に配設されている板状の部材である。遮音板140は、超音波を伝導させないような材質によって形成される。このようにして、遮音板140は、超音波探触子100の筐体110の内部において、超音波振動子130から送信された超音波を遮断し、超音波振動子140へ直接的に伝播しないようにする。
【0025】
楔150は、超音波探触子100の筐体110の内部に充填されている樹脂である。楔150によって、各振動子と接触面111との距離をとっている。これによって、本発明に係る超音波探傷システムにおいては、検査対象の部位900の表面を伝わる音によって欠陥信号が隠れてしまうことを防ぐことができる。
【0026】
また、各超音波振動子120、130には、ハの字になるように所定の角度が付けられている。これによって、本発明に係る超音波探傷システムにおいては、接触面111より大きい各超音波振動子120、130を、筐体110に収容することができる。また、これにより欠陥端部エコーの検出性を高めることができる。
【0027】
なお、本発明に係る超音波探傷システムにおいては、原子炉容器のBMI管台やCRDM管台のJ溶接部の表面の曲率を考慮し、検査対象の部位900と探触子との隙間での多重エコーを軽減させるために、検査対象の部位900からの探触子の浮き上がりを0.4mm以内に抑えるようにする。この条件を満たしつつ、良好な倣い性も確保できる接触面111の形状を検討した結果、接触面111の形状は、5×5mmの正方形、又はφ5mmの円形とする。
【0028】
このように、本発明に係る超音波探傷システムにおいて用いられる超音波探触子100は、極めて小さいサイズの探触子である。しかしながら、超音波探触子100が受信することができる超音波のレベルは、超音波探触子100のサイズが小さくなるにつれ低下してしまう。そこで、本発明に係る超音波探傷システムにおいては、超音波探触子100の出力信号を開口合成処理することによって、欠陥信号レベルを向上させる。
【0029】
このようにして、原子炉容器のBMI管台やCRDM管台のJ溶接部のように、被検面が平滑ではない複雑な形状を有している検査対象の部位においても、表面近傍の欠陥に対して欠陥検出及び深さサイジングが可能になる。
【0030】
ところで、被検面が平滑ではない複雑な形状を有している検査対象の部位900を超音波探傷する場合、検査対象の部位900の表面の凹凸形状により超音波探触子100の位置が上下したり傾いたりするため、開口合成処理の精度が低下してしまう。
【0031】
そこで、本発明に係る超音波探傷システムでは、検査対象の部位900の表面上で超音波探触子100を走査させる際に、その探触子の3次元位置情報(X、Y、Z)と傾き(θ)を取得し、超音波の入射点位置に対して、精確な位置情報を与えることで、開口合成処理の精度を向上させる。具体的には、超音波探触子100の3次元の位置情報と傾きを利用することによって、探触子から発せられるビームの広がりを精確に把握することができる。これにより、欠陥エコーのSN向上と信号位置精度が向上し、検出性とサイジング精度が向上する。超音波探触子100の位置情報を取得するには、様々な方法が考えられる。
【0032】
超音波探触子100の位置情報を取得する方法としては、走査制御されている超音波探触子100の3次元の位置と傾きをリアルタイムで計測することによって、超音波探触子100の位置情報を取得する方法が考えられる。具体的には、超音波探触子100をカメラで撮影し、画像処理を加えて位置情報を得る方法が考えられる。他には、超音波探触子100から超音波を発し、複数設けた受信素子により得られる音のズレを処理することにより位置情報を得る方法が考えられる。他には、超音波探触子100へ複数位置からワイヤエンコーダを取り付け、各ワイヤの長さにより位置情報を計算する方法が考えられる。他には、多関節機構で超音波探触子100を保持し、各関節の長さ、角度情報から位置情報を得る方法が考えられる。
【0033】
また、超音波探触子100の位置情報を取得する他の方法としては、検査対象の部位900の表面形状を予め取得しておき、その後表面形状を把握した検査対象の部位900に倣って超音波探触子100を走査制御することで、予め取得しておいた検査対象の部位900の表面形状に基づいて、超音波探触子100の位置情報を取得する方法が考えられる。具体的には、3Dデジタイザで探傷部位の表面形状を取得し、その部位を探傷する方法が考えられる。他には、設計図から走査面の表面形状を得て、その部位を探傷する方法が考えられる。他には、レーザービームで探傷部位の表面形状を取得し、その部位を探傷する方法が考えられる。他には、水浸超音波探傷で探傷部位の表面形状を取得し、その部位を探傷する方法が考えられる。
【0034】
本発明に係る超音波探傷システムにおいては、上記のような方法によって超音波探触子100の位置情報を取得し、その位置情報を用いて開口合成処理を行うので、開口合成処理の精度が向上し、欠陥の深さをより精確にサイジングすることができる。
【0035】
図3は、一実施形態に係る位置情報取得装置200の一例を示す。位置情報取得装置200は、上記の超音波探触子100の位置情報を取得する方法のうち、超音波探触子100へ複数位置からワイヤエンコーダを取り付け、各ワイヤの長さにより位置情報を算出する装置である。
【0036】
位置情報取得装置200は、保持機構210、及び走査機構220によって構成される。保持機構210は、超音波探触子100を保持する手段である。走査機構220は、保持機構210を目標探傷部位へと移動せしめる手段である。
【0037】
保持機構210は、ホルダ211、板ばね212、XYステージ213、ワイヤ基部214、及び複数のワイヤ215(図中には、1本だけ示されている)によって構成される。ホルダ211は、超音波探触子100を回転自在に保持している部材である。板ばね212は、ホルダ211の一端を支持し、押付圧力を生じさせる部材である。XYステージ213は、超音波探触子100、ホルダ211、及び板ばね212を溶接部に沿う2次元平面上で直交2軸に走査させる部材である。ワイヤ基部214は、XYステージ213と剛接続している部材である。
【0038】
各ワイヤ215は、その一端がワイヤ基部214に接続され、他端が超音波探触子100に接続されている(図4参照)。具体的には、各ワイヤ215a〜hの一端は、ワイヤ基部214の表面上に設けられた8点の位置にそれぞれ接続されている。この8点を、α(i=1〜8)と呼ぶ。また、各ワイヤ215a〜cの他端は、超音波探触子側面に超音波探触子から一定距離をとった点βにそれぞれ接続されている。同様に、各ワイヤ215d〜fの他端は、超音波探触子側面に超音波探触子から一定距離をとった点βにそれぞれ接続されている。また、各ワイヤ215g、215hの他端は、超音波探触子上の点βにそれぞれ接続されている。これら各ワイヤ215a〜hは、ワイヤエンコーダのように長さが変化し、且つその長さの計測が可能となっている。
【0039】
走査機構220は、複数のアーム部材221a〜c(以下、アーム221と総称する。)、複数の関節部材222a、b(以下、関節部材222と総称する。)、及び走査制御装置223によって構成される。各アーム部材221は、少なくともその一端が関節部材222に接続されており、関節部材が回動すると、その動きに伴い駆動する。走査制御装置220は、保持機構210、及び関節部材222の動作を制御することによって超音波探触子100を走査制御すると共に、そのときの超音波探触子100の位置情報を算出する。
【0040】
走査制御装置223は、下記のような方法によって超音波探触子100の位置情報を算出する。まず、走査制御装置223は、走査機構に設けられたアーム221の長さ、関節部材222より出力される回転角度からXYステージの位置情報を取得する。XYステージからの超音波探触子100の相対位置情報については、複雑形状をなす溶接部上を板ばねで保持した超音波探触子100が移動することになるため、ワイヤ基部から伸びるワイヤ長を計測し、この長さを基にして超音波探触子100の3次元位置、傾きを得る。
【0041】
具体的には、走査制御装置223は、ワイヤ基部214の8点から、超音波探触子100の3点までのそれぞれのワイヤ長を計測し、超音波探触子100の中心位置座標を求める。ワイヤ基部上のα(i=1〜8)から超音波探触子上の点β、β、βまでの距離l(i=1〜8)を計測する。点α(i=1〜3)の位置座標と距離l(i=1〜3)から点β、点α(i=4〜6)の位置座標と距離l(i=4〜6)からβの位置座標を算出する。点α、α、β、βの位置座標と距離l、lから点βの位置座標を算出する。
【0042】
そして、走査制御装置223は、点β、β、βの位置座標から超音波探触子100の接触面111の中心座標点Aの位置座標を算出する。なお、点A、β、β、βの超音波探触子100上での相対位置関係は予め把握されている。また、走査制御装置223は、点A、βの位置座標から超音波探触子100の傾きを算出する。なお、ワイヤ基部214の表面をXY平面とする座標系において、平面上の3点(x、y、0)、(x、y、0)、(x、y、0)からの距離がl、l、lとなる点の座標(X、Y、Z)を求める算出式を連立方程式(1)に示す。但し、Z>0とする。
【数1】

X、Y、Zの各値は、連立方程式(1)を展開することによって、それぞれ式(2)のようになる。
【数2】

【0043】
このようにして、走査制御装置223は、走査機構220の各関節より得られる情報を利用して算出したXYステージの位置と、ワイヤ長を利用して得られる超音波探触子100のXYステージからの相対距離より、超音波探触子100の接触面111の中心座標点A(X、Y、Z)を算出する。
【0044】
また、走査制御装置223は、保持機構210におけるXYステージ213が一定距離動作する度に、超音波探触子100の出力信号を取得するためのトリガー信号を、信号処理装置300に出力する。信号処理装置300は、このトリガー信号を受信した時の超音波探触子100の出力信号を取得する。そして、信号処理装置300は、トリガー信号を基にして、超音波探触子100の位置情報と超音波探傷データの紐付けを行うことにより、開口合成処理を実施する。その際、信号処理装置300は、波面の位置を2つの振動子の中心位置をそれぞれ焦点とした楕円形の波面を基にして開口合成処理を行う。このようにすることで、2探探触子を用いた場合の開口合成処理の精度を向上させることができる。
【0045】
欠陥からの信号レベルは、超音波探触子100から離れた位置にあるほど弱くなる。そこで、信号処理装置300は、音波が帰ってくるまでにかかる時間が長くなるほど、その信号レベルに利得をかけて、各々の深さの欠陥から得られる信号レベルが等しくなるようにした後に、開口合成処理を行う。このようにすることで、深い欠陥の検出性が向上する。なお、各深さに対応した利得の値は、予め深さの分かっている開口欠陥を設けた試験体(探傷部位と同材料)を探傷し、その結果を利用して決定する。
【0046】
以上説明したように、本発明に係る超音波探傷システムでは、BMI管台やCRDM管台のJ溶接部においても高精度な超音波探傷を実現することができる。
【0047】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0048】
100 超音波探触子
110 筐体
111 接触面
120 超音波振動子
130 超音波振動子
140 遮音板
200 位置情報取得装置
210 保持機構
211 ホルダ
212 板ばね
213 XYステージ
214 ワイヤ基部
215 ワイヤ
220 走査機構
221 アーム部材
222 関節部材
223 走査制御装置
300 信号処理装置
400 制御装置
900 検査対象の部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検面が平滑ではない複雑な形状を有している検査対象の部位を超音波探傷する超音波探傷システムであって、
前記検査対象の部位の表面に接触し得る大きさであって、超音波の送信用の超音波振動子と、超音波の受信用の超音波振動子とを有する超音波探触子と、
前記超音波探触子の受信用の超音波振動子が受信した超音波の大きさを示す信号であって、前記超音波探触子から出力された信号を、開口合成処理する信号処理装置と
を備える超音波探傷システム。
【請求項2】
前記超音波探触子は、前記検査対象の部位に接触させたときに、前記検査対象の部位の表面からの浮き上がりが0.4mm以内に抑えられる大きさである
請求項1に記載の超音波探傷システム。
【請求項3】
前記超音波探触子を走査制御するにあたり、前記超音波探触子の3次元の位置及び傾きを含む位置情報を取得する位置情報取得装置
を更に有し、
前記信号処理装置は、前記位置情報取得装置が取得した位置情報を利用して開口合成処理を行う
請求項1又は2に記載の超音波探傷システム。
【請求項4】
前記位置情報取得装置は、走査制御されている前記超音波探触子の3次元の位置と傾きをリアルタイムで計測することによって、前記超音波探触子の位置情報を取得する
請求項3に記載の超音波探傷システム。
【請求項5】
前記位置情報取得装置は、前記検査対象の部位の表面形状を予め取得しておき、当該検査対象の部位に倣って前記超音波探触子が走査制御される際に、予め取得しておいた前記検査対象の部位の表面形状に基づいて、前記超音波探触子の位置情報を取得する
請求項3に記載の超音波探傷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−252759(P2011−252759A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125935(P2010−125935)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】