説明

超音波探傷データの処理方法、探傷データ処理プログラム及び超音波探傷

【課題】超音波画像に複数の欠陥像が表れている場合に、実際には単一の欠陥に起因するのか複数の欠陥に起因するのかを、デジタル演算処理によってより正確に判別する。
【解決手段】本発明による超音波探傷データの処理方法は、超音波探傷によって得られた探傷データをデジタル演算処理によって処理する処理方法である。当該超音波探傷データの処理方法は(A)前記探傷データに基づいて被検体に存在する欠陥に対応する欠陥像(21)を認識し、欠陥像(21)のそれぞれについて、欠陥像(21)の位置を表わす領域代表点(23)を定めるステップ(S02〜S04)と、(B)領域代表点(23)の間の距離から、欠陥像(21)のうちの一の欠陥像(21)が他の欠陥像(21)と同一の欠陥に起因するか否かを判断するステップ(S05、S06)とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波探傷データの処理方法に関しており、特に、超音波探傷によって検出された欠陥の大きさをデジタル演算処理によって評価するために有用な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波探傷では、欠陥の存在を検出するのみならず、その欠陥の大きさを評価することが重要である。検出された欠陥の大きさは、ある構造体の安全性を評価するために重要な情報である。
【0003】
欠陥の大きさはデジタル演算処理によって自動的に算出されることが望まれるが、超音波探傷によって得られた探傷データから欠陥の大きさをデジタル演算処理によって正確に算出することは、必ずしも容易なことではない。超音波探傷における一つの困難性は、超音波画像がそのまま欠陥の構造を表しているとはいえない点である。超音波が反射される方向は欠陥の向きに依存しているため、欠陥の向きによっては欠陥によって反射された超音波が探触子によって検出されないことがある。超音波が反射されない部分は、超音波画像においては欠陥として映し出されない。このため、欠陥の延伸方向が3次元的に変化している場合には、一つの欠陥が超音波画像において複数の欠陥像に分離して表れることがある。これは、欠陥の大きさの正しい評価を妨げる。
【0004】
特開2005−274444号公報は、探傷データから指示高さを演算する技術を開示している。しかしながら、公知のその技術は、上述された困難性について何ら言及していない。
【0005】
このような背景から、超音波画像に複数の欠陥像が表れている場合に、実際には単一の欠陥に起因するのか複数の欠陥に起因するのかをデジタル演算処理によって正しく識別するための技術の提供が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−274444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、超音波画像に複数の欠陥像が表れている場合に、実際には単一の欠陥に起因するのか複数の欠陥に起因するのかを、デジタル演算処理によってより正確に判別するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、以下に述べられる手段を採用する。その手段を構成する技術的事項の記述には、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための形態]の記載との対応関係を明らかにするために、[発明を実施するための形態]で使用される番号・符号が付加されている。但し、付加された番号・符号は、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲を限定的に解釈するために用いてはならない。
【0009】
本発明による超音波探傷データの処理方法は、超音波探傷によって得られた探傷データをデジタル演算処理によって処理する処理方法である。当該超音波探傷データの処理方法は
(A)前記探傷データに基づいて被検体(2)に存在する欠陥に対応する欠陥像(21)を認識し、欠陥像(21)のそれぞれについて、欠陥像(21)の位置を表わす領域代表点(23)を定めるステップ(S02〜S04)と、
(B)領域代表点(23)の間の距離から、欠陥像(21)のうちの一の欠陥像(21)が他の欠陥像(21)と同一の欠陥に起因するか否かを判断するステップ(S05、S06)
とを具備する。
【0010】
前記(B)ステップは、同一の断面の2つの欠陥像(21)の領域代表点(23)の間の距離から、前記2つの欠陥像(21)が同一の欠陥に起因するか否かを判断するステップ(S05)を備えることが好ましい。また、前記(B)ステップは、異なる断面の2つの欠陥像(21)の前記領域代表点(23)の間の前記断面に平行な面内方向における距離から、前記2つの欠陥像(21)が同一の欠陥に起因するか否かを判断するステップ(S06)を備えることも好ましい。
【0011】
このような超音波探傷データの処理方法では、領域代表点(23)によって欠陥像(21)の位置が代表して表され、且つ、その領域代表点(23)の間の距離に基づいて欠陥の同一性が判断される。従って、複数の欠陥像が表れている場合に、その複数の欠陥像が単一の欠陥に起因するのか複数の欠陥に起因するのかを、デジタル演算処理によってより正確に判別することができる。
【0012】
前記(A)ステップは、
(A1)欠陥像(21)を囲むように矩形領域(22)を定めるステップと、
(A2)矩形領域(22)の対角線の交点を領域代表点(23)として定めるステップ
とを備えることが好ましい。
【0013】
その代わりに、前記(A)ステップは、
(A3)欠陥像(21)のうちの、エコー高さが所定値以上であるエコーピーク領域を囲むように矩形領域を定めるステップと
(A4)前記矩形領域の対角線の交点を前記領域代表点(23)として定めるステップ
とを備えることも好ましい。
【0014】
前記超音波探傷では、所定の走査方向に沿って探触子(6)を走査しながら、複数の断面の探傷データが取得されることがある。この場合、当該処理方法が、更に、(C)前記複数の断面のうちの対象断面の前記探傷データを、前記対象断面の前記走査方向前方及び/又は前記走査方向後方に隣接する所定数の隣接断面の探傷データを用いて修正することにより修正後探傷データを生成するステップ(S11)を具備し、且つ、前記(A)ステップでは、前記修正後探傷データから欠陥に対応する欠陥像(21)が認識されることが好ましい。
【0015】
前記(C)ステップは、(C1)前記対象断面の各位置のエコー高さのデータが前記隣接断面の同一位置のエコー高さに応じて増加されるように前記対象断面の前記探傷データを修正することにより前記修正後探傷データを生成するステップ(S11)を備えることが好ましい。
【0016】
この場合、前記(C1)ステップは、前記対象断面の前記各位置のエコー高さのデータが、前記対象断面及び前記隣接断面の同一位置のエコー高さの最大値になるように前記探傷データを修正することにより前記修正後探傷データを生成するステップを備えることが好ましい。
【0017】
欠陥の走査方向の長さは、当該欠陥に対応する欠陥像が現れている連続した断面の数に基づいて測定可能である。ただし、対象断面の探傷データが、隣接断面の探傷データを用いて修正される場合には、欠陥の長さは、修正に用いられた前記隣接断面の数に加えて、前記対象断面の前記探傷データの修正に用いられた前記隣接断面の数に基づいて算出されることが好適である。
【0018】
本発明による探傷データ処理プログラムは、超音波探傷によって得られた探傷データを演算装置(10)に処理させるためのプログラムである。当該プログラムは、
(A)前記探傷データに基づいて被検体(2)に存在する欠陥に対応する欠陥像(21)を認識し、欠陥像(21)のそれぞれについて、欠陥像(21)の位置を表わす領域代表点(23)を定めるステップと、
(B)領域代表点(23)の間の距離から、欠陥像(21)のうちの一の欠陥像(21)が他の欠陥像(21)と同一の欠陥に起因するか否かを判断するステップ
とを演算装置(10)に実行させる。
【0019】
本発明による超音波探傷データ処理装置は、超音波探傷によって得られた探傷データに基づいて被検体(2)に存在する欠陥に対応する欠陥像(21)を認識し、欠陥像(21)のそれぞれについて、欠陥像(21)の位置を表わす領域代表点(23)を定める手段(10)と、領域代表点(23)の間の距離から、欠陥像(21)のうちの一の欠陥像(21)が他の欠陥像(21)と同一の欠陥に起因するか否かを判断する手段(10)とを具備する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、超音波画像に複数の欠陥像が表れている場合に、実際には単一の欠陥に起因するのか複数の欠陥に起因するのかを、より正確に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明による超音波探傷データの処理方法の第1の実施形態において使用される自動超音波探傷システムの構成を示す図である。
【図2】図2は、図1の自動超音波探傷システムによって探傷データを取得する手順を示す概念図である。
【図3】図3は、図1の自動超音波探傷システムによって探傷データを取得する手順を示す概念図である。
【図4】図4は、探傷データから生成されるBスコープ画像の例を示す概念図である。
【図5】図5は、探傷データに含まれるAスコープデータの例を示す概念図である。
【図6】図6は、第1の実施形態における超音波探傷データの処理方法を示すフローチャートである。
【図7A】図7Aは、欠陥像に矩形領域及び領域代表点を定める方法を示す図である。
【図7B】図7Bは、欠陥像に矩形領域及び領域代表点を定める他の方法を示す図である。
【図8】図8は、同一の断面に表れている複数の欠陥像が同一の欠陥に起因するものか否かを判定する処理を示す図である。
【図9】図9は、隣接する断面に表れている欠陥像が同一の欠陥に起因するものか否かを判定する処理を示す図である。
【図10】図10は、欠陥の延伸方向が3次元的に変化すると、隣接する断面の間の欠陥像の対応付けが正しく行われないことがある理由を説明する図である。
【図11】図11は、第2の実施形態における超音波探傷データの処理方法を示すフローチャートである。
【図12】図12は、第2の実施形態における断面間強調処理を説明する図である。
【図13】図13は、第2の実施形態における断面間強調処理を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、本発明による超音波探傷データの処理方法が、以下に述べられるような超音波探傷検査に適用される。
【0023】
図1は、本実施形態において使用される自動超音波探傷システム1の構成、及び被検体2の構成を示している。本実施形態では、自動超音波探傷システム1によって探傷される被検体2は、突合せ溶接された2枚の鋼板3、4である。以下では、鋼板3、4の溶接部5、及びその周辺の探傷が行われる場合について説明が行われるが、被検体2がこのような構造に限定されないことは、当業者に自明であろう。
【0024】
本実施形態では、自動超音波探傷システム1は、探触子6と、探触子6を所望の走査方向に走査する走査装置7と、制御装置8と、表示装置9と、演算装置10を備えている。本実施形態では、鋼板3、4の溶接線に沿った方向に探触子6の走査方向が定められる。以下の説明では、走査方向をz軸方向とし、走査方向に垂直で、且つ、鋼板3の表面に平行な方向をx軸方向とするxyz直交座標系が使用されることに留意されたい。
【0025】
探触子6は、制御装置8から供給される電気信号に応答して超音波ビームを被検体2に入射し、更に、被検体2から反射波を受けとって反射波に対応する電気信号を生成する。探触子6は、探触子6はxy平面に平行な平面内で一列に並べられた複数の超音波振動子で構成されており、探触子6は、xy平面に平行な面内で超音波ビームを電子的に走査するフェイズドアレイとして機能することが可能である。
【0026】
走査装置7は、レール11と探触子保持機構12とを備えている。レール11は、走査方向、即ち、被検体2の溶接線の方向に延設されている。探触子保持機構12は、探触子6を保持する。探触子保持機構12は、レール11の上に探傷方向に移動可能に載置されており、探触子6の走査は、探触子保持機構12がレール11の上を移動することによって行われる。探触子6の走査方向の位置は、レール11に設けられたエンコーダ(図示されない)によって検出可能である。
【0027】
制御装置8は、探触子6を制御すると共に、被検体2の探傷を行うための様々な演算を行う。具体的には、制御装置8は、探触子6に電気信号を供給して探触子6に超音波ビームを発生させる。更に、制御装置8は、探触子6が受け取った反射波の波形に対応するデータである探傷データを記憶装置(図示されない)に保存する。制御装置8は、更に、探傷データから様々な超音波画像、即ち、Aスコープ画像、Bスコープ画像、Cスコープ画像、Dスコープ画像を生成し、表示装置9に表示する機能を有している。
【0028】
演算装置10は、制御装置8に保存された探傷データについて様々なデジタル演算処理を行い、これにより、被検体2に存在する欠陥の分析、特に、欠陥の大きさの算出を行う。
【0029】
本実施形態の自動超音波探傷システム1は、図2に示されているように、超音波ビームをxy平面内については電子的に走査し、z軸方向については機械的に走査するように構成されている。超音波ビームは、探触子6と被検体2との接触面の任意の位置から任意の方向に向けて入射可能である。詳細には、探触子6を構成する複数の超音波振動子のうち、連続して並ぶ所定数の超音波振動子が選択され、その選択された超音波振動子が励起されて超音波ビームが被検体2に入射される。励起される超音波振動子の組み合わせは、しばしば「フォーカルロー」と呼ばれる。例えば、6個の超音波振動子が同時に励起される場合には、探触子6の左端から6番目までの超音波振動子が、一の「フォーカルロー」を構成し、左から2番目から7番目までの超音波振動子が、他の「フォーカルロー」を構成する。超音波ビームが入射される位置は、探触子6を構成する超音波振動子のうちの励起される超音波振動子の組み合わせ(すなわち、フォーカルロー)によって定まり、超音波ビームが入射される方向は、励起される超音波振動子に供給される電気信号の位相差によって定まる。
【0030】
超音波ビームの経路特性は、励起される超音波振動子の組み合わせ、及び超音波ビームの入射方向(即ち、電気信号の位相差)で決定される。例えば、図2に示されているように、左端から6番目までの超音波振動子が励起される超音波振動子として選択され、それらの超音波振動子に所定の位相差の電気信号が供給されることにより、フォーカルロー”1”の超音波ビームが発生される。その超音波ビームの反射波の波形が、フォーカルロー”1”のAスコープデータとして取得される。同様に、左から2番目から7番目までの超音波振動子が励起される超音波振動子として選択され、それらの超音波振動子に所定の位相差の電気信号が供給されることにより、フォーカルロー”2”の超音波ビームが発生される。自動超音波探傷システム1によって取得される探傷データは、フォーカルローを識別する識別子と、各フォーカルローのAスコープデータ(即ち、各フォーカルローについて発生された超音波ビームの反射波の波形を示すデータ)で構成される。
【0031】
自動超音波探傷システム1による探傷データの取得は、下記の手順で行われる。図3を参照して、まず、走査装置7によって探触子6が被検体2の所望の断面iに位置合わせされる。その断面iのあるフォーカルローが選択され、そのフォーカルローについてAスコープデータが取得される。図5に示されているように、本実施形態では、Aスコープデータは、当該フォーカルローの各路程におけるエコー高さ(即ち、反射波の信号レベル)として記述される。エコー高さは、所定の数値範囲の数値で、本実施形態では0以上100以下の数値で表現される。ただし、反射波の信号レベルが所定値以上である場合、Aスコープデータに記述されるエコー高さは数値範囲の上限値と定められる。同様の手順により、断面iの規定されたフォーカルローの全てについて、Aスコープデータが取得される。
【0032】
続いて探触子6が走査方向(z軸方向)に移動され、隣接する断面i+1に位置合わせされる。断面i+1についても同様に、規定されたフォーカルローの全てについて、Aスコープデータが取得される。同様な手順が被検体2の所望の全ての断面について繰り返されることにより、被検体2全体について探傷データが取得される。本実施形態では、Aスコープデータが取得されるフォーカルローは、全ての断面について同一である。即ち、同一のフォーカルローの同一の路程のエコー高さのデータは、全ての断面の同一位置のエコー高さのデータを表している。
【0033】
取得されたAスコープデータを演算処理することにより、様々な超音波画像、即ち、Bスコープ画像、Cスコープ画像、Dスコープ画像を得ることができる。例えば、ある断面について得られたAスコープデータからは、当該断面のBスコープ画像を生成することができる。図4は、ある断面のBスコープ画像の概念図である。Bスコープ画像は、被検体2のxy平面に平行な(即ち、走査方向に垂直な)断面の各位置におけるエコーの高さを色調又は階調によって表す画像である。図4において、横軸は、超音波ビームが入射される位置(即ち、励起される超音波振動子の組み合わせ)を示しており、θは、超音波ビームの入射方向を示している。ある断面のBスコープ画像は、当該断面において欠陥が存在すると考えられる位置を視覚的に示している。図4に示されているように、Bスコープ画像に欠陥像13が表れている場合には、その欠陥像13の位置に欠陥が存在すると考えられる。
【0034】
Bスコープ画像は欠陥の位置を概ね表しているが、各断面のBスコープ画像から欠陥の大きさを得るには2つの問題がある。第1の問題は、上述されているように、Bスコープ画像に現れた欠陥像は、実際に被検体2に存在する欠陥と必ずしも1対1に対応していないことである;同一の断面に2つの欠陥像が現れても、それらは実際には1つの欠陥に起因するかもしれない。第2の問題は、隣接する断面のBスコープ画像に表れる欠陥像の間の対応付けである。指示長さ、即ち、欠陥の走査方向への長さを同定するためには、ある断面のBスコープ画像に表れている欠陥像と、他の断面のBスコープ画像に表れている欠陥像とが同一の欠陥に起因するものか否かを判断する必要がある。
【0035】
本実施形態の超音波探傷データの処理方法の主題は、Bスコープ画像に現れる欠陥像と実際の欠陥との対応付けをデジタル演算処理によって自動的に行い、これにより、欠陥の寸法を自動的に算出可能にすることにある。以下、演算装置10によって行われるデジタル演算処理が詳細に説明される。
【0036】
図6は、本実施形態で行われるデジタル演算処理の処理手順を示すフローチャートである。演算装置10には、下記の処理手順を実行するためのプログラムがインストールされており、そのプログラムが演算装置10によって実行されることによって探傷データの処理が行われる。
【0037】
まず、得られた探傷データについて閾値カット処理が行われる(ステップS01)。閾値カット処理では、全てのAスコープデータについて、所定の閾値よりも小さいエコー高さのデータを、全て0に置換する処理が行われる。これにより、バックグラウンドレベルのエコーが全て除去される。この閾値カット処理は、欠陥像を互いに分離する役割も有している。ある位置のエコー高さが0でない(即ち、所定の閾値以上である)場合には、その位置は、欠陥に対応する欠陥像が存在する領域に属しており、一方、ある位置のエコー高さが0であれば、その位置は、欠陥像の領域の外側である。
【0038】
続いて、Bスコープ画像が作成される(ステップS02)。このBスコープ画像には、被検体2の各位置のエコー高さが色調又は階調として表現される。
【0039】
更に、Bスコープ画像に表れる欠陥像が識別される(ステップS03)。欠陥像の識別は、以下の手順で行われる。まず、Bスコープ画像上で、エコー高さが0でない位置が検索される。エコー高さが0でない位置が発見されると、その位置を始点としてBスコープ画像内を垂直方向及び水平方向の両方に走査することにより、当該位置を含む、その内部の全ての位置についてエコー高さが0でない連続した領域が認識される。その領域が、欠陥像の領域として認識される。
【0040】
続いて、各断面のBスコープ画像に表れた欠陥像のそれぞれについて矩形領域が定められ、更に、その矩形領域について領域代表点が定められる(ステップS04)。領域代表点とは、矩形領域の位置、即ち、欠陥像の位置を表わす点である。一実施形態では、図7Aに示されているように、欠陥像21を囲んで外接する矩形領域22が定められ、その矩形領域22の対角線の交点が領域代表点23として定められる。
【0041】
その代わりに、図7Bに示されているように、矩形領域22が、欠陥像21のうちのエコーピーク領域24を囲んで外接するように定められ、その矩形領域22の対角線の交点が領域代表点23として定められてもよい。エコーピーク領域24とは、その内部の全ての位置において、エコー高さが上限値をとる連続した領域のことである。上述されているように、Aスコープデータのエコー高さの数値範囲には上限値が定められていることに留意されたい。被検体2のある位置のエコー高さが所定値よりも高い場合、Aスコープデータでは、その位置のエコー高さは当該上限値であると記述される。
【0042】
欠陥像21に外接する矩形領域22の対角線の交点を領域代表点23として定める前者の方法は、エコーピーク領域24に基づく後者の方法と比較して、データ処理量が少な移転で優れている。一方、エコーピーク領域24を用いる後者の方法は、欠陥の位置を正確に表現できる点において優れている。
【0043】
続いて、図6に示されているように、同一の断面に表れている複数の欠陥像21が同一の欠陥に起因するものか否かを判定する処理が行われる(ステップS05)。この判定には、欠陥像21それぞれに定められた矩形領域22の領域代表点23の位置が使用される。図8に示されているように、2つの欠陥像21の矩形領域22の領域代表点23の間の距離dが、所定値Aよりも大きい場合、その2つの欠陥像21は、異なる欠陥に起因すると判断される。一方、当該領域代表点23の間の距離が、所定値A以下である場合、当該2つの欠陥像21は同一の欠陥に起因すると判断される。
【0044】
例えば、各矩形領域22の領域代表点23の座標を(x,y)とすると、矩形領域22、22j+1それぞれの領域代表点23j、23j+1の間の距離dj、j+1は、下記式で表される:
(j,j+1)=√{(x−xj+1+(y−yj+1}.
図8の例では、d(j,j+1)が所定値Aよりも大きいため、矩形領域22、22j+1にそれぞれに対応する欠陥像21は、異なる欠陥に起因すると判断される。一方、矩形領域22j+1、22j+2それぞれの領域代表点23j+1、23j+2の間の距離d(j+1,j+2)が所定値A以下であるため、矩形領域22、22j+1にそれぞれに対応する欠陥像21は、同一の欠陥に起因すると判断される。
【0045】
演算装置10は、超音波探傷が行われた断面のそれぞれについて、同一の欠陥に起因すると判断された当該欠陥像21を関連付ける。これは、同一の欠陥に起因する欠陥像21に同一の欠陥IDを付与し、異なる欠陥に起因する欠陥像21に、異なる欠陥IDを付与することによって行われる。
【0046】
続いて、図6に示されているように、隣接する断面に表れている欠陥像21が同一の欠陥に起因するものか否かを判定する処理が行われる(ステップS06)。この判定においても、欠陥像21のそれぞれに定められた矩形領域22の領域代表点23の位置が使用される。ある断面の欠陥像21と、それに隣接する断面の欠陥像21との全ての組み合わせについて、対応する矩形領域22の領域代表点23の間の面内方向における距離dが算出される。面内方向における距離dとは、異なる断面の矩形領域22の領域代表点23をxy平面に投影したときにおける、領域代表点23の投影点の間の距離のことである。断面iの矩形領域22i,jの領域代表点23i,jと、断面iに隣接する断面i+1の矩形領域22i+1,kの領域代表点23i+1,kの、面内方向における距離d(i,j)(i+1、k)は、下記の式で表される:
i,i+1(j、k)=√{(xi,j−xi+1,k+(yi,j−yi+1,k},
ここで、(xi,j,yi,j)は、断面iの矩形領域22i,jの領域代表点23i,jのxy座標であり、(xi+1,k,yi+1,k)は、断面i+1の矩形領域22i+1,kの領域代表点23i+1,jのxy座標である。
【0047】
図9に示されているように、断面iの矩形領域22i,jの領域代表点23i,jと、断面iに隣接する断面i+1の矩形領域22i+1,kの領域代表点23i+1,kの、面内方向における距離dが所定値Bよりも大きい場合、断面iの矩形領域22i,jに対応する欠陥像21と、断面i+1の矩形領域22i+1,kに対応する欠陥像21とは、異なる欠陥に起因すると判断される。所定値Bは、上述のステップS05で使用される所定値Aよりも大きい一定の値である。一方、領域代表点23i,j、23i+1、kの間の距離が、所定値B以下である場合、当該2つの欠陥像21は同一の欠陥に起因すると判断される。
【0048】
図9の例では、断面iの矩形領域22i,j、断面i+1の矩形領域22i+1,k、断面i+2の矩形領域22i+1,mのそれぞれに対応する欠陥像21が同一の欠陥に起因すると判断されている一方、断面i+3の矩形領域22i+1,nに対応する欠陥像21は、異なる欠陥に起因すると判断されている。
【0049】
演算装置10は、同一の欠陥に起因すると判断された当該欠陥像21を関連付ける。これは、同一の欠陥に起因する欠陥像21に同一の欠陥IDを付与し、異なる欠陥に起因する欠陥像21に、異なる欠陥IDを付与することによって行われる。
【0050】
ステップS05において、ある断面の2つの欠陥像21が異なる欠陥に起因すると判断されたとしても、ステップS06においてその判断が修正され、その結果、同一の欠陥IDが付与され得ることに留意されたい。例えば、ステップS05において、断面iの2つの欠陥像21が異なる欠陥に起因すると判断された場合でも、ステップS06において、それに隣接する断面iのある欠陥像21と、それら2つの欠陥像21が同一の欠陥に起因すると判断された場合には、最終的には、それら3つの欠陥像21が同一の欠陥に起因すると判断され、同一の欠陥IDが付与される。
【0051】
続いて、欠陥のそれぞれについて、欠陥の指示長さが測定される(ステップS07)。同一の欠陥に起因すると判断された(即ち、同一の欠陥IDが付与された)欠陥像21が、連続するN枚の断面に現れている場合、指示長さは、(N−1)・Dであると判断される。ここでDは、隣接する2枚の断面の間の距離である。
【0052】
以上に説明されているように、本実施形態では、同一の断面内にある欠陥像21それぞれに定められた矩形領域22の領域代表点23の間の距離に基づいて、当該欠陥像21が同一の欠陥に起因するかが判断される。更に、隣接する断面にある欠陥像21それぞれに定められた矩形領域22の領域代表点23の間の面内方向の距離に基づいて、当該欠陥像21が同一の欠陥に起因するかが判断される。これにより、欠陥像が単一の欠陥に起因するのか複数の欠陥に起因するのかを正しく識別し、欠陥の大きさをデジタル演算処理によって正しく評価することができる。
【0053】
(第2の実施形態)
欠陥の延伸方向が3次元的に変化すると、隣接する断面の間の欠陥像の対応付けが正しく行われない場合がある。図10は、その理由を説明する図である。図10に示されているように、欠陥25は、必ずしも、被検体2の表面に平行に延伸しているとは限らない。例えば、断面i、iにおいては欠陥25の延伸方向が被検体2の表面に平行であるが、その間の断面iでは欠陥25の延伸方向が被検体2の表面に対して斜めである場合があり得る。このような場合、断面i、iにおいては探触子6に反射波が帰ってくるものの、断面iにおいては、探触子6に反射波が帰ってこない可能性がある。即ち、断面i、iにおいては欠陥25によるエコーの高さが高いものの断面iにおいては欠陥25によるエコーの高さが低い場合がある。このような場合、断面iに欠陥像が現れないことがある。例えば、断面iにおける欠陥25によるエコーの高さが、閾値カット処理(ステップS01)で使用される閾値よりも低いと、その断面iには欠陥25に対応する欠陥像が現れない。このような場合、単一の欠陥25に起因するにも関らず、断面i、iに現れる欠陥像が2つの欠陥であると認識され、結果として、欠陥の大きさが正しく評価されない。
【0054】
このような不具合を防ぐために、本実施形態では、断面間強調処理が行われる。断面間強調処理とは、ある対象断面の探傷データを(即ち、ある対象断面の各位置のエコー高さのデータ)を、当該対象断面の近傍の断面の探傷データを用いて修正する処理である。以下では、本実施形態で行われるデジタル演算処理の処理手順が詳細に説明される。
【0055】
図11は、本実施形態で行われるデジタル演算処理の処理手順を示すフローチャートである。本実施形態では、閾値カット処理(ステップS01)が行われた後に、上述された断面間強調処理が行われる(ステップS11)。更に、断面間強調処理が行われた探傷データからBスコープ画像が作成される(ステップS12)。その後、第1の実施形態と同様に、欠陥像の認識(ステップS02)、矩形領域と領域代表点の定義(ステップS04)、欠陥像の同一性の判定(ステップS05、S06)、及び欠陥の指示長さの算出(ステップS07)が行われる。
【0056】
本実施形態の断面間強調処理(ステップS11)では、図12に示されているように、断面iの探傷データが、走査方向後方に隣接する2枚の断面i−2、i−1、及び走査方向前方に隣接する断面i+1、i+2の探傷データを用いて修正される。詳細には、本実施形態の断面間強調処理では、断面iのある位置のエコー高さのデータは、5枚の断面i−2〜i+2の同一位置のエコー高さのデータの最大値に修正される。Aスコープデータが取得されるフォーカルローが全ての断面について同一である本実施形態では、処理後の断面iのフォーカルローjの路程kのエコー高さのデータH’i,j,kは、下記のように表される:
H’i,j,k
max[Hi−2,j,k,Hi−1,j,k,Hi,j,k,Hi+1,j,k,Hi+2,j,k],
ここで、max[x,x,x,x,x]は、x〜xの最大値であり、Hi,j,kは、断面iのフォーカルローjの路程kのエコー高さである。
【0057】
図13は、断面間強調処理の具体例を示すグラフである。図13の上段は、断面i−2〜i+2のある同一のフォーカルローのAスコープデータを示しており、下段は、断面間強調処理後における断面iの当該フォーカルローのAスコープデータを示している。例えば、断面i−2の路程”4”のエコー高さが、「70」であり、他の断面i−1、i、i+1、i+2の路程”4”のエコー高さが「0」である場合、断面間強調処理後の断面iの当該フォーカルローのAスコープデータの路程”4”のエコー高さのデータは、「70」である。同様に、断面i−1の路程”5”のエコー高さが、「80」であり、他の断面i−2、i、i+1、i+2の路程”5”のエコー高さが「0」である場合、断面間強調処理後の断面iの当該フォーカルローのAスコープデータの路程”5”のエコー高さのデータは、「80」である。
【0058】
このような断面間強調処理によれば、ある対象断面のある位置のエコー高さが低い場合でも、隣接する断面の同一位置のエコー高さが高ければ、当該対象断面の当該位置のエコー高さのデータが高くなるように修正される。従って、欠陥の形状の3次元的な変化によって対象断面のエコー高さが低くなっても、その対象断面のBスコープ画像から欠陥像が失われない。これは、単一の欠陥25に起因するにも関らず、断面i、iに現れる欠陥像が2つの欠陥であると認識されることを有効に防ぐ。
【0059】
断面間強調処理では、断面iのある位置のエコー高さよりも断面i−2、i−1、i+1、i+2の同一位置のエコー高さが高い場合に、断面iの当該位置のエコー高さのデータが増加されるように修正されるような処理であれば、異なる処理が行われてもよい。例えば、断面iのある位置のエコー高さのデータが、5枚の断面i−2〜i+2の同一位置のエコー高さのデータの平均値よりも低いレベルの場合にのみ当該平均値に修正されることも可能である。ただし、断面iのある位置のエコー高さのデータを、5枚の断面i−2〜i+2の同一位置のエコー高さのデータの最大値に修正する処理は、欠陥の大きさを実際より小さく評価することがない点で好適である。
【0060】
なお、本実施形態の断面間強調処理では、走査方向前方に隣接する2枚の断面、及び走査方向後方に隣接する2枚の断面の探傷データが対象断面の探傷データの修正に使用されるが、修正に使用される断面の数が、適宜変更可能であることは当業者には自明的である。走査方向前方に隣接するn枚(nは1以上の整数)の断面、及び走査方向後方に隣接するn枚の断面の探傷データが、対象断面の探傷データの修正に使用されることが可能である。
【0061】
また、走査方向前方に隣接するn枚の断面のみの探傷データのみが対象断面の探傷データの修正に使用され、走査方向後方に隣接するn枚の断面が対象断面の探傷データの修正に使用されないことも可能である。同様に、走査方向後方に隣接するn枚の断面のみの探傷データのみが対象断面の探傷データの修正に使用され、走査方向前方に隣接するn枚の断面が対象断面の探傷データの修正に使用されないことも可能である。ただし、欠陥の大きさが実際より小さく評価されることを防ぐという観点からは、走査方向前方に隣接するn枚(nは1以上の整数)の断面、及び走査方向後方に隣接するn枚の断面の探傷データの両方が対象断面の探傷データの修正に使用されることが好適である。
【0062】
上述された断面強調処理を行うと、欠陥の形状の3次元的な変化に起因する欠陥像の欠落の問題を有効に回避できる一方で、ステップS07の欠陥の指示長さ(走査方向の長さ)の測定の際、指示長さが実際よりも長く測定されることになる。例えば、走査方向前方に隣接する2枚の断面、及び走査方向後方に隣接する2枚の断面の探傷データが対象断面の探傷データの修正に使用される場合には、指示長さが、断面の間隔の4倍分(即ち、走査方向前方の2断面及び後方の2断面に対応する長さ)だけ実際よりも長く測定されることになる。
【0063】
このような指示長さの過大評価を避けるためには、ステップS07において、対象断面の探傷データの修正に使用された断面の数に応じて、指示長さが補正されることが好ましい。例えば、走査方向前方に隣接するn枚(nは1以上の整数)の断面、及び走査方向後方に隣接するn枚の断面の探傷データが、対象断面の探傷データの修正に使用される場合には、指示長さLは、下記式に基づいて算出されることが好ましい:
=(N−2n−1)・D,
ここでNは、同一の欠陥に対応する欠陥像が連続して現れている断面の数であり、Dは、隣接する2枚の断面の間の距離である。
【0064】
また、走査方向前方に隣接するn枚の断面のみが対象断面の探傷データの修正に使用される場合、及び、走査方向後方に隣接するn枚の断面のみが対象断面の探傷データの修正に使用される場合には、指示長さLは、下記式に基づいて算出されることが好ましい:
=(N−n−1)・D.
【0065】
ステップS11の断面間強調処理は、ステップS1の閾値カット処理の前に行われることも可能である。ただし、演算量を減らすという観点からは、ステップS11の断面間強調処理がステップS01の閾値カット処理の後で行われることがより好適である。断面間強調処理を閾値カット処理の後で行う場合には、対象断面及び当該対象断面の探傷データの修正に使用される断面の全ての断面について、ある処理対象の位置(即ち、路程)のエコー高さが0である場合には、当該位置について最大値の算出を行う必要がない。
【0066】
なお、上述された実施形態では、探触子6をフェイズドアレイとして機能させることによってx軸方向への超音波ビームの走査が行われているが、探触子6を機械的にx軸方向に走査させながら探傷データを取得してもよい。本願発明が、超音波ビームの走査方法に依存せずに適用可能であることは、当業者には自明的であろう。
【符号の説明】
【0067】
1:自動超音波探傷システム
2:被検体
3、4:鋼板
5:溶接部
6:探触子
7:走査装置
8:制御装置
9:表示装置
10:演算装置
11:レール
12:探触子保持機構
13、21:欠陥像
22:矩形領域
23:領域代表点
24:エコーピーク領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波探傷によって得られた探傷データをデジタル演算処理によって処理する処理方法であって、
(A)前記探傷データに基づいて被検体に存在する欠陥に対応する欠陥像を認識し、前記欠陥像のそれぞれについて、前記欠陥像の位置を表わす領域代表点を定めるステップと、
(B)前記領域代表点の間の距離から、前記欠陥像のうちの一の欠陥像が他の欠陥像と同一の欠陥に起因するか否かを判断するステップ
とを具備し、
前記(A)ステップは、
(A1)前記欠陥像を囲むように矩形領域を定めるステップと、
(A2)前記矩形領域の対角線の交点を前記領域代表点として定めるステップ
とを備える
超音波探傷データの処理方法。
【請求項2】
超音波探傷によって得られた探傷データをデジタル演算処理によって処理する処理方法であって、
(A)前記探傷データに基づいて被検体に存在する欠陥に対応する欠陥像を認識し、前記欠陥像のそれぞれについて、前記欠陥像の位置を表わす領域代表点を定めるステップと、
(B)前記領域代表点の間の距離から、前記欠陥像のうちの一の欠陥像が他の欠陥像と同一の欠陥に起因するか否かを判断するステップ
とを具備し、
前記(A)ステップは、
(A3)前記欠陥像のうちの、エコー高さが所定値以上であるエコーピーク領域を囲むように矩形領域を定めるステップと
(A4)前記矩形領域の対角線の交点を前記領域代表点として定めるステップ
とを備える
超音波探傷データの処理方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の超音波探傷データの処理方法であって、
前記超音波探傷では、所定の走査方向に沿って探触子を走査しながら、複数の断面の探傷データが取得され、
当該処理方法は、更に、
(C)前記複数の断面のうちの対象断面の前記探傷データを、前記対象断面の前記走査方向前方及び/又は前記走査方向後方に隣接する所定数の隣接断面の探傷データを用いて修正することにより修正後探傷データを生成するステップ
を具備し、
前記(A)ステップでは、前記修正後探傷データから前記欠陥に対応する前記欠陥像が認識される
超音波探傷データの処理方法。
【請求項4】
請求項3に記載の超音波探傷データの処理方法であって、
前記(C)ステップは、
(C1)前記対象断面の各位置のエコー高さのデータが前記隣接断面の同一位置のエコー高さに応じて増加されるように前記対象断面の前記探傷データを修正することにより前記修正後探傷データを生成するステップ
を備える
超音波探傷データの処理方法。
【請求項5】
請求項4に記載の超音波探傷データの処理方法であって、
前記(C1)ステップは、
前記対象断面の前記各位置のエコー高さのデータが前記対象断面及び前記隣接断面の同一位置のエコー高さの最大値になるように前記探傷データを修正することにより前記修正後探傷データを生成するステップ
を備える
超音波探傷データの処理方法。
【請求項6】
請求項5に記載の超音波探傷データの処理方法であって、
更に、
(D)同一の欠陥に対応する欠陥像が現れている連続した断面の数と、前記対象断面の前記探傷データの修正に用いられた前記隣接断面の数に基づいて、前記同一の欠陥の長さを測定するステップを具備する
超音波探傷データの処理方法。
【請求項7】
所定の走査方向に沿って探触子を走査しながら複数の断面について行われる超音波探傷によって得られた探傷データをデジタル演算処理によって処理する処理方法であって、
(C)前記複数の断面のうちの対象断面の前記探傷データを、前記対象断面の前記走査方向前方及び/又は前記走査方向後方に隣接する所定数の隣接断面の探傷データを用いて修正することにより修正後探傷データを生成するステップと、
(A’)前記修正後探傷データに基づいて被検体に存在する欠陥に対応する欠陥像を認識し、前記欠陥像のそれぞれについて、前記欠陥像の位置を表わす領域代表点を定めるステップと、
(B)前記領域代表点の間の距離から、前記欠陥像のうちの一の欠陥像が他の欠陥像と同一の欠陥に起因するか否かを判断するステップ
とを具備する
超音波探傷データの処理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の超音波探傷データの処理方法であって、
前記(C)ステップは、
(C1)前記対象断面の各位置のエコー高さのデータが前記隣接断面の同一位置のエコー高さに応じて増加されるように前記対象断面の前記探傷データを修正することにより前記修正後探傷データを生成するステップ
を備える
超音波探傷データの処理方法。
【請求項9】
超音波探傷によって得られた探傷データを演算装置に処理させるための探傷データ処理プログラムであって、
(A)前記探傷データに基づいて被検体に存在する欠陥に対応する欠陥像を認識し、前記欠陥像のそれぞれについて、前記欠陥像の位置を表わす領域代表点を定めるステップと、
(B)前記領域代表点の間の距離から、前記欠陥像のうちの一の欠陥像が他の欠陥像と同一の欠陥に起因するか否かを判断するステップ
とを前記演算装置に実行させ、
前記(A)ステップは、
(A1)前記欠陥像を囲むように矩形領域を定めるステップと、
(A2)前記矩形領域の対角線の交点を前記領域代表点として定めるステップ
とを備える
探傷データ処理プログラム。
【請求項10】
超音波探傷によって得られた探傷データを演算装置に処理させるための探傷データ処理プログラムであって、
(A)前記探傷データに基づいて被検体に存在する欠陥に対応する欠陥像を認識し、前記欠陥像のそれぞれについて、前記欠陥像の位置を表わす領域代表点を定めるステップと、
(B)前記領域代表点の間の距離から、前記欠陥像のうちの一の欠陥像が他の欠陥像と同一の欠陥に起因するか否かを判断するステップ
とを前記演算装置に実行させ、
前記(A)ステップは、
(A3)前記欠陥像のうちの、エコー高さが所定値以上であるエコーピーク領域を囲むように矩形領域を定めるステップと
(A4)前記矩形領域の対角線の交点を前記領域代表点として定めるステップ
とを備える
探傷データ処理プログラム。
【請求項11】
所定の走査方向に沿って探触子を走査しながら複数の断面について行われる超音波探傷によって得られた探傷データを演算装置によって処理するための探傷データ処理プログラムであって、
(C)前記複数の断面のうちの対象断面の前記探傷データを、前記対象断面の前記走査方向前方及び/又は前記走査方向後方に隣接する所定数の隣接断面の探傷データを用いて修正することにより修正後探傷データを生成するステップと、
(A’)前記修正後探傷データに基づいて被検体に存在する欠陥に対応する欠陥像を認識し、前記欠陥像のそれぞれについて、前記欠陥像の位置を表わす領域代表点を定めるステップと、
(B)前記領域代表点の間の距離から、前記欠陥像のうちの一の欠陥像が他の欠陥像と同一の欠陥に起因するか否かを判断するステップ
とを前記演算装置に実行させる
探傷データ処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−53060(P2012−53060A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239404(P2011−239404)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【分割の表示】特願2006−125127(P2006−125127)の分割
【原出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(391021710)株式会社インテック (11)
【Fターム(参考)】