説明

超音波探傷装置及び超音波探傷プログラム

【課題】反射源の特徴を高精度で取得し、形状分析のための情報を提供する超音波探傷装置を提供する。
【解決手段】超音波探傷装置1000は、探触子1(103)、探触子2(203)に、超音波を送信させるタイミング制御部1、2と、探触子1(103)が送信した超音波のエコー信号であって探触子1(103)自身が受信したエコー信号を記憶する波形データ保存部1(107)と、探触子2(203)が送信した超音波のエコー信号であって探触子2(203)自身が受信したエコー信号を記憶する波形データ保存部2(207)と、波形データ保存部1(107)のエコー信号と、波形データ保存部2(207)のエコー信号とを比較し、予め指定されている比較結果を生成するデータ比較部300と、データ比較部300によって生成された比較結果を表示する画像表示部500とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2チャンネルの送受信部を備えた非破壊検査を行うためのデジタル超音波探傷器(超音波探傷装置)に関する。特に超音波探傷の反射源に関する解析と解析結果を表示する超音波探傷装置、超音波探傷プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
1チャンネル又は複数チャンネルの送受信回路を備えたデジタル超音波探傷器と探触子とを使用して検査計測する方法には、受信したエコー波形、または透過法にて受信したエコー波形を表示器に表示し、各チャンネル別にエコー波形を解析、欠陥判定などの信号処理をするものがある(例えば特許文献1〜4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−070011号公報
【特許文献2】特開平11−006820号公報
【特許文献3】特開平09−251010号公報
【特許文献4】特開平07−244028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の方法では一つ反射源について、受信したエコー信号から反射源のエコー高さ、長さ、幅、及び面積から、反射源(キズ)の検出と欠陥判定とを行っている。
また、複数チャンネルの探触子を組み合わせた探傷装置、例えばフェイズドアレイ探傷器では反射源の画像化を行っている。
【0005】
しかし従来の超音波探傷では、反射源の形状分析は行っていない。
また従来では、反射源が複数個隣接して存在する場合には、一つの大きな反射源として抽出することがあり、反射源の特定精度が十分とはいえない。
【0006】
この発明は、反射源の特徴を高精度で取得し、形状分析のための情報を提供する超音波探傷装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の超音波探傷装置は、
超音波を発し、発した超音波のエコーである反射信号を受信する第1探触子による超音波送信を指令する第1超音波送信指令信号を入力した場合に前記第1探触子に超音波を送信させる第1送信部と、
超音波を発し、発した超音波のエコーである反射信号を受信する第2探触子による超音波送信を指令する第2超音波送信指令信号を入力した場合に前記第2探触子に超音波を送信させる第2送信部と、
前記第1送信部と前記第2送信部とに、それぞれ前記第1超音波送信指令信号と前記第2超音波送信指令信号とを出力することにより、前記第1探触子と、前記第2探触子とに、超音波を送信させるタイミング制御部と、
前記タイミング制御部によって出力された前記第1超音波送信指令信号に起因して前記第1探触子の送信した超音波の反射信号であって前記第1探触子の受信した反射信号である第1反射信号と、前記タイミング制御部によって出力された前記第2超音波送信指令信号に起因して前記第2探触子の送信した超音波の反射信号であって前記第2探触子の受信した反射信号である第2反射信号とを記憶する反射信号記憶部と、
前記反射信号記憶部に記憶された前記第1反射信号と前記第2反射信号とを比較し、予め指定されている比較結果を生成する比較結果生成部と、
前記比較結果生成部によって生成された比較結果を出力する比較結果出力部と
を備えたことを特徴とする。
【0008】
前記比較結果生成部は、
前記反射信号記憶部に記憶された前記第1反射信号と前記第2反射信号との周波数を解析し、周波数の解析結果を用いて、前記第1反射信号と前記第2反射信号との予め指定されている周波数特性の比較結果を生成する周波数特性比較部を備え、
前記比較結果出力部は、
前記周波数特性比較部による周波数特性の比較結果を出力することを特徴とする。
【0009】
前記周波数特性比較部は、
予め指定されている周波数特性として、前記第1反射信号と前記第2反射信号との中心周波数、最大周波数、最低周波数、帯域幅の4つのうちの少なくとも一つを比較することを特徴とする。
【0010】
前記比較結果生成部は、さらに、
前記反射信号記憶部に記憶された前記第1反射信号と前記第2反射信号とを前記第1反射信号の波形形状の画像データを示す第1波形画像データと、前記第2反射信号の波形形状の画像データを示す第2波形画像データとに変換し、前記第1波形画像データと、前記第2波形画像データとの波形形状における相違箇所を特定し、特定した相違箇所の情報を比較結果として生成する波形形状比較部を備え、
前記比較結果出力部は、
前記波形形状比較部によって生成された前記相違箇所の情報を出力することを特徴とする。
【0011】
前記比較結果生成部は、さらに、
前記反射信号記憶部に記憶された前記第1反射信号と前記第2反射信号との位相差を比較結果として算出する位相差検出部を備え、
前記比較結果出力部は、
前記位相差検出部によって算出された位相差を出力することを特徴とする。
【0012】
前記タイミング制御部は、
前記第1探触子の連続的な超音波送信を前記第1送信部に指令する第1連続送信指令信号を前記第1送信部に出力し、前記第2探触子の連続的な超音波送信を前記第2送信部に指令する第2連続送信指令信号を前記第2送信部に出力し、
前記反射信号記憶部は、
前記第1探触子が前記第1連続送信指令信号に基づき超音波を連続的に送信しつつ試験体の所定の範囲の表面に沿って動かされた際に受信した反射信号である第1連続反射信号と、前記第2探触子が前記第2連続送信指令信号に基づき超音波を連続的に送信しつつ試験体の所定の範囲の表面に沿って動かされた際に受信した反射信号である第2連続反射信号とを記憶し、
前記超音波探傷装置は、さらに、
前記反射信号記憶部に記憶された前記第1連続反射信号と前記第2連続反射信号とのそれぞれのエコー高さを検出するエコー高さ抽出部を備え、
前記反射信号記憶部は、
前記エコー高さ抽出部によって検出された前記所定の範囲の表面における前記第1連続反射信号と前記第2連続反射信号とのそれぞれの前記エコー高さをもとに特定された前記試験体の表面における前記第1探触子に対応する第1ピーク位置と前記第2探触子に対応する第2ピーク位置であって、前記第1連続反射信号と前記第2連続反射信号とのそれぞれの前記エコー高さのほぼピーク値が検出された前記試験体の表面における前記第1ピーク位置と前記第2ピーク位置とに設置された前記第1探触子と前記第2探触子とから、前記第1超音波送信指令信号と前記第2超音波送信指令信号とに基づき送信された超音波に起因する前記第1反射信号であるピーク位置第1反射信号と前記第2反射信号であるピーク位置第2反射信号とを記憶し、
前記比較結果生成部は、さらに、
前記第1ピーク位置に設置された前記第1探触子が超音波を送信してから、送信されたこの超音波に対応する前記ピーク位置第1反射信号を受信するまでの時間を示す第1伝搬時間と、前記第2ピーク位置に設置された前記第2探触子が超音波を送信してから、送信されたこの超音波に対応する前記ピーク位置第2反射信号を受信するまでの時間を示す第2伝搬時間とを計測し、前記第1伝搬時間と前記第2伝搬時間とを比較し、前記第1伝搬時間と前記第2伝搬時間との時間差を比較結果として算出する伝搬時間計測比較部を備え、
前記比較結果出力部は、
前記伝搬時間計測比較部によって算出された時間差を出力することを特徴とする。
【0013】
前記比較結果生成部は、さらに、
前記反射信号記憶部に記憶された前記ピーク位置第1反射信号と前記ピーク位置第2反射信号とのエコー高さを比較し、比較結果としてエコー高さの差を算出するエコー高さ比較部を備え、
前記比較結果出力部は、
前記エコー高さ比較部によって算出された前記ピーク位置第1反射信号と前記ピーク位置第2反射信号とのエコー高さの差を出力することを特徴とする。
【0014】
前記超音波探傷装置は、さらに、
TOFD(Time of Flight Diffraction)法により、前記第1探触子と前記第2探触子とのそれぞれによって受信された回折波の伝搬時間を計測し、前記第1探触子と前記第2探触子とに対する反射源位置からのラテラル波の差、試験体の上端、下端及び底面からの伝搬時間の差を求めるTOFD処理部を備えたことを特徴とする。
【0015】
この発明の超音波探傷プログラムは、
コンピュータを、
超音波を発し、発した超音波のエコーである反射信号を受信する第1探触子による超音波送信を指令する第1超音波送信指令信号を入力した場合に前記第1探触子に超音波を送信させる第1送信部、
超音波を発し、発した超音波のエコーである反射信号を受信する第2探触子による超音波送信を指令する第2超音波送信指令信号を入力した場合に前記第2探触子に超音波を送信させる第2送信部、
前記第1超音波送信指令信号と、前記第2超音波送信指令信号とを、それぞれ、前記第1送信部と前記第2送信部とに出力することにより、前記第1探触子と、前記第2探触子とに、超音波を送信させるタイミング制御部、
前記第1超音波送信指令信号に起因して前記第1探触子の送信した超音波の反射信号であって前記第1探触子の受信した反射信号である第1反射信号と、前記第2超音波送信指令信号に起因して前記第2探触子の送信した超音波の反射信号であって前記第2探触子の受信した反射信号である第2反射信号とを記憶する反射信号記憶部、
前記反射信号記憶部に記憶された前記第1反射信号と前記第2反射信号とを比較し、予め指定されている比較結果を生成する比較結果生成部、
前記比較結果生成部によって生成された比較結果を出力する比較結果出力部、
として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の超音波探傷装置によれば、2チャンネルの各チャンネルによる受信エコー信号を対象として、比較処理を実行するので、反射源の特徴を高精度で取得し、形状分析のための情報を提供する超音波探傷装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態1における超音波探傷装置1000によって試験体10を検査する様子を示す図。
【図2】実施の形態1における探触子1、2の送信信号、受信信号を示す図。
【図3】実施の形態1における超音波探傷装置1000のブロック図。
【図4】実施の形態1におけるエコー信号103−2を示す図。
【図5】実施の形態1におけるエコー高さと、試験体10の表面における位置との関係を概念的に示す図。
【図6】実施の形態1における超音波探傷装置1000により実行可能な分析内容の一例を示す図。
【図7】実施の形態2における超音波探傷装置1000のハードウェア構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施の形態1.
図1〜図6を参照して、実施の形態1の超音波探傷装置1000を説明する。
図1は、超音波探傷装置1000によって、試験体10を検査する様子を示す図である。超音波探傷装置1000は、超音波探傷装置本体1001と、第1チャンネル側の探触子1(103)と、第2チャンネル側の探触子2(203)とを備えている。
【0019】
(探触子の周波数及び試験体10への設置箇所)
探触子1(103)と探触子2(203)とは、同じ周波数の超音波(例えば、いずれも5MHz)を送信するものであってもよいし、異なる周波数を送信するものであってもよい(例えば、一方が5MHzで他方が1MHz)。また、探触子1(103)と探触子2(203)との試験体10に対する設置箇所は、想定される同一の欠陥11に対して、探触子1(103)と探触子2(203)とによる超音波のエコーが得られる位置である。
【0020】
図1に示すように、探触子1(103)は、送信超音波103−1を送信し、欠陥11による送信超音波103−1の反射信号であるエコー信号103−2を受信する。同様に、探触子2(203)は、送信超音波203−1を送信し、欠陥11による送信超音波203−1の反射信号であるエコー信号203−2を受信する。
【0021】
図2は、探触子1(103)、探触子2(203)の送信信号、受信信号を示す図である。縦軸は電圧を示し横軸は時間を示す。図2(a)は、探触子1(103)(第1チャンネル側)を示し、(b)は探触子2(203)(第2チャンネル側)を示す。図2に示すように、探触子1(103)は送信部1(102)からパルス電圧を入力すると送信超音波103−1を送信し、所定の時間経過後にエコー信号103−2を受信する。探触子2(203)も同様である。なお、後述のように、送信超音波103−1と送信超音波203−1とは、同時に(ほぼ同じタイミングで)又は任意の遅延タイミングで送信される。
「任意のタイミング」とは、以下の意味である。
例えば、第1チャネル側の探触子1(103)が送信超音波103−1を送信した時点から予め設定された遅延時間ΔT(秒)経過後に、第2チャネル側の探触子2(203)が送信超音波203−1を送信するという意味である。もちろん、第2チャネル側の探触子2(203)が先に送信してもよい。第1チャネル側の探触子1(103)と第2チャネル側の探触子2(203)とは、同時又は任意の遅延タイミングで送信するように、CPU400によって同期がとられている。なお、ΔT=0という設定も含めるとすれば「同時送信」の場合も遅延タイミングの一種と考えることもできる。
【0022】
(超音波探傷装置1000の構成)
図3は、超音波探傷装置1000のブロック構成図である。図3に示すように、超音波探傷装置1000は、第1チャンネル側探傷部100、第2チャンネル側探傷部200、データ比較部300、CPU400、画像表示部500(比較結果出力部)、入力装置510を備えている。
【0023】
第1チャンネル側探傷部100は、タイミング制御部1(101)、送信部1(102)、探触子1(103)、受信部1(104)、信号増幅部1(105)、A/D変換部1 10、波形データ保存部1(107)、高速フーリエ変換部1(108)、位相分析部1(109)、エコー高さ抽出部1(110)を備えている。これらの機能は、動作の説明で後述する。
【0024】
(エコー信号103−2の保存までの動作)
第1チャンネル側探傷部100について、探触子1(103)の送信した送信超音波103−1のエコー信号103−2を探触子1(103)自身が受信し、このエコー信号103−2が波形データ保存部1(107)に保存されるまでの処理を説明する。なお、第2チャンネル側探傷部200によるエコー信号203−2の保存も同様である。
(1)まず入力装置510において、操作者が計測開始ボタン(図示していない)を押す。
(2)CPU400は計測開始ボタンが押されたことを検出し、タイミング制御部1(101)、タイミング制御部2(201)に送信を指示する。この場合、CPU400は、同時タイミングと任意の遅延タイミングとのいずれかの同期設定に応じて、タイミング制御部1(101)、タイミング制御部2(201)に送信指示を送る。
(3)タイミング制御部1(101)は、CPU400から送信指示されると、探触子1(103)による超音波送信を指令する第1超音波送信指令信号を送信部1(102)に出力する。
(4)送信部1(102)はタイミング制御部1(101)から第1超音波送信指令信号を入力すると、探触子1(103)に送信超音波103−1を送信させる。
(5)なお、第2チャンネル側探傷部200のタイミング制御部2(201)も、CPU400からタイミング制御部1(101)と同時に送信指示されるので、探触子1(103)と探触子2(203)とは、ほぼ同時タイミング又は任意の遅延タイミングで超音波を送信する。「ほぼ同時に超音波を送信」とは、物理的な意味での「完全同一の送信」は困難である意味である。
(6)探触子1(103)が送信超音波103−1のエコーであるエコー信号103−2を受信すると、エコー信号103−2は、受信部1(104)から信号増幅部1(105)に送られ、信号増幅部1(105)によって増幅される。
(7)信号増幅部1(105)によって増幅されたエコー信号103−2は、A/D変換部1(106)によってアナログデータからデジタルデータに変換される。
(8)そして、デジタルデータに変換さたエコー信号103−2(第1反射信号)は、波形データ保存部1(107)に保存される。
(9)なお、第2チャンネル側探傷部200についてのエコー信号203−2の保存も同様である。第2チャンネル側探傷部200では、A/D変換部2(206)によってアナログデータからデジタルデータに変換されたエコー信号203−2(第2反射信号)が波形データ保存部2(207)に保存される。上記のように、波形データ保存部2(207)に保存されたエコー信号203−2のもととなる送信超音波203−1と、波形データ保存部1(107)に保存されたエコー信号103−2のもととなる送信超音波103−1とは、CPU400の同期設定(ほぼ同時タイミングと任意の遅延タイミングとのいずれか)に応じて送信されたものである。なお、波形データ保存部1(107)と波形データ保存部2(207)とは、反射信号記憶部を構成する。
【0025】
(超音波探傷装置1000による比較処理の種類)
超音波探傷装置1000では、波形データ保存部1(107)、波形データ保存部2(207)に保存されたエコー信号103−2とエコー信号203−2との特性を比較することによって、試験体10の欠陥11を高い精度で探傷する点が特徴である。超音波探傷装置1000は、以下のA〜Eの特性の比較処理を実行する。
A.周波数特性の比較、
B.波形形状の比較、
C.位相の比較、
D.送信超音波の伝搬時間及びエコー高さの比較、
E.TOFD法による回折波の伝搬時間の比較。
以下に、これらA〜Eの比較処理を説明する。なお、超音波探傷装置1000はA〜Eの全部を実行してもよいし、これらのうちの任意の組合せを実行する構成でもよいし、いずれか一つを実行する構成でも構わない。
【0026】
(A.周波数特性の比較)
まず「A.周波数特性の比較」について説明する。「A.周波数特性の比較」は、高速フーリエ変換部1(108)、高速フーリエ変換部2(208)及び周波数比較部301により構成される周波数特性比較部によって実行される。
(1)波形データ保存部1(107)に記憶されたエコー信号103−2は、高速フーリエ変換部1(108)によって高速フーリエ変換され、周波数解析される。また、波形データ保存部2(207)に記憶されたエコー信号203−2は、高速フーリエ変換部2(208)によって高速フーリエ変換され、周波数解析される。
(2)周波数比較部301は、高速フーリエ変換部1(108)、高速フーリエ変換部2(208)によってフーリエ変換され、周波数解析されたそれぞれのデータを用いて、エコー信号103−2と、エコー信号203−2との予め指定された周波数特性を比較する。「予め指定された周波数特性」とは、例えば、エコー信号103−2と、エコー信号203−2との、中心周波数、最大周波数、最低周波数、帯域幅等である。周波数比較部301は、これら4つの特性を個別に比較する。「個別に比較する」とは、エコー信号103−2と、エコー信号203−2とについて中心周波数、最大周波数、最低周波数、帯域幅の4つのうちのいずれか一つどうしを比較してもよいし、4つのうちのいずれか二つどうしを比較してもよいし、4つのうちのいずれか三つどうしを比較してもよいし、四つの全部どうしを比較してもよいという意味である。
図4は、エコー信号103−2を示す図である。図4(a)は、波形データ保存部1(107)に記憶された第1チャンネル側のエコー信号103−2を示す図である。横軸は時間を示し、縦軸は電圧を示す。なお時間情報はタイミング制御部1(101)が取得する。図4(b)は、高速フーリエ変換部1(108)によるエコー信号103−2に対する周波数解析結果の例を示す図である。横軸は周波数を示し、縦軸は振幅を示す。高速フーリエ変換部2(208)も、図4(b)と同じ周波数解析を実行する。周波数比較部301は、図4(b)のような周波数解析結果をもとに、エコー信号103−2と、エコー信号203−2との予め指定された周波数特性、例えば、中心周波数、最大周波数、最低周波数、帯域幅を比較する。
(3)データ比較部300の周波数比較部301による周波数特性の比較結果はCPU400に送られ、CPU400の表示処理を介して、周波数特性の比較結果が画像表示部500によって表示される。
【0027】
(B.波形形状の比較)
次に、「B.波形形状の比較」について説明する。「B.波形形状の比較」は、波形形状比較部302によって実行される。波形形状比較部302は、波形データ保存部1(107)のエコー信号103−2と、波形データ保存部2(207)のエコー信号203−2とを元に、以下のように、波形形状の比較を行う。
(1)波形形状比較部302は、波形データ保存部1(107)のエコー信号103−2を、例えば図4(a)のように表示可能な、エコー信号103−2の波形形状の画像データを示す第1波形画像データに変換する。同様に、波形形状比較部302は、波形データ保存部2(207)のエコー信号203−2を、エコー信号203−2の波形形状の画像データを示す第2波形画像データに変換する。波形形状比較部302は、第1波形画像データと、第2波形画像データとの波形形状における相違箇所を特定する。
(2)データ比較部300の波形形状比較部302による波形形状の比較結果はCPU400に送られ、CPU400の表示処理を介して、波形形状の相違箇所が画像表示部500によって表示される。
【0028】
(C.位相の比較)
次に、「C.位相の比較」について説明する。
「C.位相の比較」は、位相分析部1(109)、位相分析部2(209)、位相比較部303によって構成される位相差検出部が実行する。位相差検出部は、波形データ保存部1(107)のエコー信号103−2と、波形データ保存部2(207)のエコー信号203−2とを元に、以下のように、波形形状の比較を行う。
(1)位相分析部1(109)は、波形データ保存部1(107)のエコー信号103−2の位相を分析する。同様に、位相分析部2(209)は、波形データ保存部2(207)のエコー信号203−2の位相を分析する。
(2)位相比較部303は、位相分析部1(109)、位相分析部2(209)による位相の分析結果を用いて、エコー信号103−2と、エコー信号203−2との位相差を求める。
(3)データ比較部300の位相比較部303の求めた位相差はCPU400に送られ、CPU400の表示処理を介して、位相差が画像表示部500によって表示される。
【0029】
(D.送信超音波の伝搬時間及びエコー高さの比較)
次に、「D.送信超音波の伝搬時間及びエコー高さの比較」について説明する。
「D.送信超音波の伝搬時間及びエコー高さの比較」は、タイミング制御部1(101)、タイミング制御部2(201)及び伝搬時間比較部304から構成される伝搬時間計測比較部と、エコー高さ抽出部1(110)及びエコー高さ抽出部2(210)及びエコー高さ比較部305とによって実行される。
(1)タイミング制御部1(101)は、CPU400からの送信指示によって、探触子1(103)の連続的な超音波送信を送信部1(102)に指令する第1連続送信指令信号を送信部1(102)に出力する。また、タイミング制御部2(201)は、CPU400からの送信指示によって、探触子2(203)の連続的な超音波送信を送信部2(202)に指令する第2連続送信指令信号を送信部1(102)に出力する。
(2)送信部1(102)は、第1連続送信指令信号を入力すると、探触子1(103)に超音波を連続的に送信させる。送信部2(202)も同様である。この場合、探触子1(103)、探触子2(203)の送信開始のタイミングは同時でなくても構わない。これは試験体10の表面におけるエコー高さのピーク位置(後述)を特定するためだからである。
(3)波形データ保存部1(107)は、探触子1(103)が第1連続送信指令信号に基づき超音波を連続的に送信しつつ試験体10の「所定の範囲の表面」に沿って例えば手動で動かされた際に受信したエコー信号である第1連続反射信号を保存する。同様に、波形データ保存部2(207)は、探触子2(203)が第2連続送信指令信号に基づき超音波を連続的に送信しつつ試験体10の「所定の範囲の表面」(探触子1(103)が動かされる範囲の近傍)に沿って例えば手動で動かされた際に受信したエコー信号である第2連続反射信号を保存する。
(4)エコー高さ抽出部1(110)は、波形データ保存部1(107)に記憶された第1連続反射信号のエコー高さを検出する。この検出結果はCPU400に出力され、CPU400の表示処理を介して、図5のような画面が表示される。
図5は、探触子1(103)が、第1連続送信指令信号に基づき超音波を連続的に送信しつつ試験体10の「所定の範囲の表面」に沿って動かされた際に受信した第1連続反射信号におけるエコー高さと、試験体10の表面における位置との関係を概念的に示す図である。横軸は試験体10の表面における位置を示し、縦軸はエコー高さを示す。図5の様に、エコー高さは、試験体10の表面のある位置で、ほぼピーク値となる。このように探触子1(103)に関してほぼピーク値となる試験体10の表面位置を「第1ピーク位置」と呼ぶこととする。同様に、探触子2(203)に関しもほぼピーク値となる位置が存在し、試験体10のこの表面位置を「第2ピーク位置」と呼ぶこととする。つまり、図5は、探触子1(103)が超音波を送信している最中に、人が試験体10の表面に沿って探触子1(103)を移動させた結果、画像表示部500に表示される画面である。操作者はこの画面から「第1ピーク位置」を特定する。「第2ピーク位置」も同様である。
(5)波形データ保存部1(107)、波形データ保存部2(207)は、それぞれ、第1ピーク位置に設置された探触子1(103)と、第2ピーク位置に設置された探触子2(203)とから、第1超音波送信指令信号、第2超音波送信指令信号に基づき、CPU400の同期設定(ほぼ同じタイミングと任意の遅延タイミングとのいずれか一方の設定)に応じて送信された送信超音波103−1、送信超音波203−1に起因するエコー信号103−2(ピーク位置第1反射信号)、エコー信号203−2(ピーク位置第2反射信号)を記憶する。つまり、「第1ピーク位置」、「第2ピーク位置」が特定された後に、この位置にそれぞれ探触子1(103)、探触子2(203)を設置し、超音波探傷装置1000は「エコー信号103−2の保存までの動作」で説明したのと同様の処理により、エコー信号103−2(ピーク位置第1反射信号)、エコー信号203−2(ピーク位置第2反射信号)を取得して記憶する。
(6)この記憶の際は、タイミング制御部1(101)は、第1ピーク位置に設置された探触子1(103)が超音波を送信してから、この超音波に対応するエコー信号103−2(ピーク位置第1反射信号)を受信するまでの時間を示す第1伝搬時間を計測し、伝搬時間比較部304に出力する。同様に、タイミング制御部2(201)は、第2ピーク位置に設置された探触子2(203)が超音波を送信してから、この超音波に対応するエコー信号203−2(ピーク位置第2反射信号)を受信するまでの時間を示す第2伝搬時間を計測し、伝搬時間比較部304に出力する。これらの伝搬時間は、タイミング制御部1(101)が、自身の第1超音波送信指令信号の出力から、受信部1(104)によるエコー信号103−2受信までの時間を計測することで得ることができる。タイミング制御部2(201)も同様である。伝搬時間比較部304は、第1伝搬時間と第2伝搬時間とを比較し、第1伝搬時間と第2伝搬時間との差を算出する。
(7)データ比較部300の伝搬時間比較部304の求めた時間差はCPU400に送られ、CPU400の表示処理を介して、時間差が画像表示部500によって表示される。
(8)エコー高さ抽出部1(110)、エコー高さ抽出部2(210)は、それぞれ、波形データ保存部1(107)のエコー信号103−2(ピーク位置第1反射信号)と、波形データ保存部2(207)のエコー信号203−2(ピーク位置第2反射信号)とのエコー高さを抽出する。
(9)エコー高さ比較部305は、比較結果として、エコー高さ抽出部1(110)、エコー高さ抽出部2(210)によって抽出されたエコー高さを用いて、エコー高さの差を算出する。
(10)データ比較部300のエコー高さ比較部305の求めたエコー高さの差はCPU400に送られ、CPU400の表示処理を介して、高さの差が画像表示部500によって表示される。
【0030】
(E.TOFD法による回折波の伝搬時間の比較)
(1)CPU400の反射源分析解析ソフトウェア410のTOFD処理部411は、第1チャンネル側探傷部100のデータ、第2チャンネル側探傷部200のデータ及びデータ比較部300のデータを用いて、TOFD(Time of Flight Diffraction)法により、各チャンネル(探触子1(103)、探触子2(203))の回折波の伝搬時間を計測し、各チャンネルの反射源位置からのラテラル波、上端、下端及び底面からの伝搬時間を計測し、その差を求める機能を有する。
(2)TOFD処理部411は表示処理を実行し、TOFD法の処理結果を、画像表示部500に表示する。
【0031】
図6は、上記で説明したA〜Eの超音波探傷装置1000により実行可能な分析内容の一例を表形式にまとめた図である。図6に示すように、「A.周波数特性の比較」及び「B.波形形状の比較」は、「同一欠陥かどうかの判別」に好適である。「C.位相の比較」は、「同一欠陥かどうかの判別」、「横穴形状かどうかの判別」及び「割れ形状かどうかの判別」のいずれにも好適である。「D.送信超音波の伝搬時間及びエコー高さの比較」は、「横穴形状かどうかの判別」及び「割れ形状かどうかの判別」に好適である。「E.TOFD法による回折波の伝搬時間の比較」は、「同一欠陥かどうかの判別」、「横穴形状かどうかの判別」及び「割れ形状かどうかの判別」のいずれにも好適である。これらのA〜Eの処理は、上記で述べたように、単独で用いてもよいし、互いに組合せて使用することができる。つまり、単独でもよいし、いずれか2組、いずれか3組、いずれか4組、あるいは、A〜Eの全部を用いてもよい。
【0032】
実施の形態1の超音波探傷装置1000は、探触子1(103)と探触子2(203)とがほぼ同時又は任意の遅延のタイミングで送信して各探触子自身(信号の送受の探触子が同一)が受信したエコー信号どうしを対象に、「A.周波数特性比較」、「B.波形形状の比較」、「C.位相の比較」、「D.送信超音波の伝搬時間及びエコー高さの比較」及び「E.TOFD法による回折波の伝搬時間の比較」を実行する。よって、超音波探傷装置1000によれば、反射源の形状分析が可能となる。
【0033】
なお、上記で述べたA〜Eの比較処理において、タイミング制御部1、2、高速フーリエ変換部1、2、位相分析部1、2及びデータ比較部300は、比較結果生成部を構成する。
【0034】
実施の形態1で述べた超音波探傷装置1000は、第1チャンネル側探傷部100と、これと同じ構成の第2チャンネル側探傷部200を備えているが、探触子1(103)、探触子2(203)以外の「〜部」と表記している構成要素は、共通化が可能なものは共通化しても構わない。例えば、タイミング制御部1(101)とタイミング制御部2(201)、波形データ保存部1(107)と波形データ保存部2(207)、高速フーリエ変換部1(108)と高速フーリエ変換部2(208)、位相分析部1(109)と位相分析部2(209)、エコー高さ抽出部1(110)とエコー高さ抽出部2(210)等は、並列処理可能な一つの機能部としても構わない。また波形データ保存部1(107)と波形データ保存部2(207)とは、一つの記憶装置としても構わない。
【0035】
以上の実施の形態1では、反射源の分析に必要なデータを抽出し、一次集約処理を実行する超音波探傷装置を説明した。この超音波探傷装置は、2チャンネルの送信部と受信部を有し、各チャンネルからの受信エコー信号に対して比較処理を実行する周波数比較部、波形比較部、位相検出部、伝搬時間比較部、エコー高さ比較部を備えるものである。また、超音波探傷装置は、これらの信号処理部から出力される情報を基に反射源の分析を行う演算処理部(CPU)、結果の記憶部、表示器及び入力装置等を備えるものである。
【0036】
実施の形態2.
図7を用いて実施の形態2を説明する。実施の形態2は、実施の形態1の超音波探傷装置1000の動作を、プログラム及びプログラムを記録した記録媒体により実施する実施形態である。
【0037】
前記の実施の形態1においては、超音波探傷装置1000における「〜部」として示した各構成要素の動作は互いに関連しており、これらの動作は、コンピュータである超音波探傷装置1000に実施させる一連の処理(プログラム)に置き換えることができる。つまり、各構成要素の動作を一連の処理に置き換えることにより、超音波探傷プログラムの実施形態とすることができる。また、この超音波探傷プログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録させることで、プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体の実施の形態とすることができる。
【0038】
図7は、コンピュータである超音波探傷装置1000のハードウェア構成の一例である。図7において、コンピュータである超音波探傷装置1000は、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)810を備えている。CPU810は、バス825を介してROM811、RAM812、液晶ディスプレイなどの表示813、操作キー814、探触子1(103)、探触子2(203)複合探触子13、プリンタ装置815、及びフラッシュメモリ820等と接続されている。
【0039】
フラッシュメモリ820には、オペレーティングシステム(OS)821、プログラム群823、ファイル群824が記憶されている。プログラム群823は、CPU810、OS821により実行される。
【0040】
上記プログラム群823には、実施の形態1の説明において「〜部」として説明した機能を実行する超音波探傷プログラム、反射源分析解析ソフトウェアが記憶されている。プログラムは、CPU810により読み出され実行される。
【0041】
また、ファイル群824にはエコー信号103−2、エコー信号203−2などが記憶される。
【0042】
例えば図2において「〜部」として説明したものは、ROM811に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、ハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。
【0043】
プログラムの実施の形態及びプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体の実施の形態における各処理は、プログラムで実行されるが、このプログラムは、前述のようにプログラム群823に記録されている。そして、プログラム群823からCPU810に読み込まれ、CPU810によって、プログラムの各処理が実行される。また、ソフトウェア、あるいはプログラムは、ROM811に記憶されたファームウェアで実行されても構わない。あるいは、ソフトウェアとファームウェアとハードウェアの組み合わせでプログラムを実行しても構わない。
【0044】
このように実施の形態2の超音波探傷プログラムにより、反射源の形状分析が可能となる。超音波探傷プログラムの形態であれば、他の超音波探傷装置本体にこのプログラムを組み込むことで、実施の形態1の超音波探傷装置1000を実現できる。
【符号の説明】
【0045】
10 試験体、11 欠陥、100 第1チャンネル側探傷部、101 タイミング制御部1、102 送信部1、103 探触子1、103−1,203−1 送信超音波、103−2,203−2 エコー信号、104 受信部1、105 信号増幅部1、106 A/D変換部1、107 波形データ保存部1、108 高速フーリエ変換部1、109 位相分析部1、110 エコー高さ抽出部1、200 第2チャンネル側探傷部、201 タイミング制御部2、202 送信部2、203 探触子2、204 受信部2、205 信号増幅部2、206 A/D変換部2、207 波形データ保存部2、208 高速フーリエ変換部2、209 位相分析部2、210 エコー高さ抽出部2、300 データ比較部、301 周波数比較部、302 波形形状比較部、303 位相比較部、304 伝搬時間比較部、305 エコー高さ比較部、400 CPU、410 反射源分析解析ソフトウェア、411 TOFD処理部、500 画像表示部、510 入力装置、1000 超音波探傷装置、1001 超音波探傷装置本体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を発し、発した超音波のエコーである反射信号を受信する第1探触子による超音波送信を指令する第1超音波送信指令信号を入力した場合に前記第1探触子に超音波を送信させる第1送信部と、
超音波を発し、発した超音波のエコーである反射信号を受信する第2探触子による超音波送信を指令する第2超音波送信指令信号を入力した場合に前記第2探触子に超音波を送信させる第2送信部と、
前記第1送信部と前記第2送信部とに、それぞれ前記第1超音波送信指令信号と前記第2超音波送信指令信号とを出力することにより、前記第1探触子と、前記第2探触子とに、超音波を送信させるタイミング制御部と、
前記タイミング制御部によって出力された前記第1超音波送信指令信号に起因して前記第1探触子の送信した超音波の反射信号であって前記第1探触子の受信した反射信号である第1反射信号と、前記タイミング制御部によって出力された前記第2超音波送信指令信号に起因して前記第2探触子の送信した超音波の反射信号であって前記第2探触子の受信した反射信号である第2反射信号とを記憶する反射信号記憶部と、
前記反射信号記憶部に記憶された前記第1反射信号と前記第2反射信号とを比較し、予め指定されている比較結果を生成する比較結果生成部と、
前記比較結果生成部によって生成された比較結果を出力する比較結果出力部と
を備えたことを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項2】
前記比較結果生成部は、
前記反射信号記憶部に記憶された前記第1反射信号と前記第2反射信号との周波数を解析し、周波数の解析結果を用いて、前記第1反射信号と前記第2反射信号との予め指定されている周波数特性の比較結果を生成する周波数特性比較部を備え、
前記比較結果出力部は、
前記周波数特性比較部による周波数特性の比較結果を出力することを特徴とする請求項1記載の超音波探傷装置。
【請求項3】
前記周波数特性比較部は、
予め指定されている周波数特性として、前記第1反射信号と前記第2反射信号との中心周波数、最大周波数、最低周波数、帯域幅の4つのうちの少なくとも一つを比較することを特徴とする請求項2記載の超音波探傷装置。
【請求項4】
前記比較結果生成部は、さらに、
前記反射信号記憶部に記憶された前記第1反射信号と前記第2反射信号とを前記第1反射信号の波形形状の画像データを示す第1波形画像データと、前記第2反射信号の波形形状の画像データを示す第2波形画像データとに変換し、前記第1波形画像データと、前記第2波形画像データとの波形形状における相違箇所を特定し、特定した相違箇所の情報を比較結果として生成する波形形状比較部を備え、
前記比較結果出力部は、
前記波形形状比較部によって生成された前記相違箇所の情報を出力することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の超音波探傷装置。
【請求項5】
前記比較結果生成部は、さらに、
前記反射信号記憶部に記憶された前記第1反射信号と前記第2反射信号との位相差を比較結果として算出する位相差検出部を備え、
前記比較結果出力部は、
前記位相差検出部によって算出された位相差を出力することを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の超音波探傷装置。
【請求項6】
前記タイミング制御部は、
前記第1探触子の連続的な超音波送信を前記第1送信部に指令する第1連続送信指令信号を前記第1送信部に出力し、前記第2探触子の連続的な超音波送信を前記第2送信部に指令する第2連続送信指令信号を前記第2送信部に出力し、
前記反射信号記憶部は、
前記第1探触子が前記第1連続送信指令信号に基づき超音波を連続的に送信しつつ試験体の所定の範囲の表面に沿って動かされた際に受信した反射信号である第1連続反射信号と、前記第2探触子が前記第2連続送信指令信号に基づき超音波を連続的に送信しつつ試験体の所定の範囲の表面に沿って動かされた際に受信した反射信号である第2連続反射信号とを記憶し、
前記超音波探傷装置は、さらに、
前記反射信号記憶部に記憶された前記第1連続反射信号と前記第2連続反射信号とのそれぞれのエコー高さを検出するエコー高さ抽出部を備え、
前記反射信号記憶部は、
前記エコー高さ抽出部によって検出された前記所定の範囲の表面における前記第1連続反射信号と前記第2連続反射信号とのそれぞれの前記エコー高さをもとに特定された前記試験体の表面における前記第1探触子に対応する第1ピーク位置と前記第2探触子に対応する第2ピーク位置であって、前記第1連続反射信号と前記第2連続反射信号とのそれぞれの前記エコー高さのほぼピーク値が検出された前記試験体の表面における前記第1ピーク位置と前記第2ピーク位置とに設置された前記第1探触子と前記第2探触子とから、前記第1超音波送信指令信号と前記第2超音波送信指令信号とに基づき送信された超音波に起因する前記第1反射信号であるピーク位置第1反射信号と前記第2反射信号であるピーク位置第2反射信号とを記憶し、
前記比較結果生成部は、さらに、
前記第1ピーク位置に設置された前記第1探触子が超音波を送信してから、送信されたこの超音波に対応する前記ピーク位置第1反射信号を受信するまでの時間を示す第1伝搬時間と、前記第2ピーク位置に設置された前記第2探触子が超音波を送信してから、送信されたこの超音波に対応する前記ピーク位置第2反射信号を受信するまでの時間を示す第2伝搬時間とを計測し、前記第1伝搬時間と前記第2伝搬時間とを比較し、前記第1伝搬時間と前記第2伝搬時間との時間差を比較結果として算出する伝搬時間計測比較部を備え、
前記比較結果出力部は、
前記伝搬時間計測比較部によって算出された時間差を出力することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の超音波探傷装置。
【請求項7】
前記比較結果生成部は、さらに、
前記反射信号記憶部に記憶された前記ピーク位置第1反射信号と前記ピーク位置第2反射信号とのエコー高さを比較し、比較結果としてエコー高さの差を算出するエコー高さ比較部を備え、
前記比較結果出力部は、
前記エコー高さ比較部によって算出された前記ピーク位置第1反射信号と前記ピーク位置第2反射信号とのエコー高さの差を出力することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の超音波探傷装置。
【請求項8】
前記超音波探傷装置は、さらに、
TOFD(Time of Flight Diffraction)法により、前記第1探触子と前記第2探触子とのそれぞれによって受信された回折波の伝搬時間を計測し、前記第1探触子と前記第2探触子とに対する反射源位置からのラテラル波の差、試験体の上端、下端及び底面からの伝搬時間の差を求めるTOFD処理部を備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の超音波探傷装置。
【請求項9】
コンピュータを、
超音波を発し、発した超音波のエコーである反射信号を受信する第1探触子による超音波送信を指令する第1超音波送信指令信号を入力した場合に前記第1探触子に超音波を送信させる第1送信部、
超音波を発し、発した超音波のエコーである反射信号を受信する第2探触子による超音波送信を指令する第2超音波送信指令信号を入力した場合に前記第2探触子に超音波を送信させる第2送信部、
前記第1超音波送信指令信号と、前記第2超音波送信指令信号とを、それぞれ、前記第1送信部と前記第2送信部とに出力することにより、前記第1探触子と、前記第2探触子とに、超音波を送信させるタイミング制御部、
前記第1超音波送信指令信号に起因して前記第1探触子の送信した超音波の反射信号であって前記第1探触子の受信した反射信号である第1反射信号と、前記第2超音波送信指令信号に起因して前記第2探触子の送信した超音波の反射信号であって前記第2探触子の受信した反射信号である第2反射信号とを記憶する反射信号記憶部、
前記反射信号記憶部に記憶された前記第1反射信号と前記第2反射信号とを比較し、予め指定されている比較結果を生成する比較結果生成部、
前記比較結果生成部によって生成された比較結果を出力する比較結果出力部、
として機能させるための超音波探傷プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−104787(P2013−104787A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249012(P2011−249012)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(392036153)菱電湘南エレクトロニクス株式会社 (13)
【Fターム(参考)】