超音波探傷装置及び超音波探傷方法
【課題】検査対象の底面又はコーナー近傍に存在する欠陥を正確にかつ迅速に検出することができる超音波探傷技術を提供する。
【解決手段】超音波探傷装置において、検査対象3に超音波を送信してエコー信号Uを受信する複数の圧電素子25が配列してなるトランスデューサ2と、前記複数の圧電素子25を所定の周期でスキャンして前記超音波を送信させる素子駆動部11と、前記複数の圧電素子25が受信したそれぞれの前記エコー信号Uに基づき前記検査対象3の内部画像を合成する合成処理部15と、前記受信したエコー信号Uを前記検査対象3の底面3bのエコーが除去されたエコー信号に置換する信号置換部17と、を備える。
【解決手段】超音波探傷装置において、検査対象3に超音波を送信してエコー信号Uを受信する複数の圧電素子25が配列してなるトランスデューサ2と、前記複数の圧電素子25を所定の周期でスキャンして前記超音波を送信させる素子駆動部11と、前記複数の圧電素子25が受信したそれぞれの前記エコー信号Uに基づき前記検査対象3の内部画像を合成する合成処理部15と、前記受信したエコー信号Uを前記検査対象3の底面3bのエコーが除去されたエコー信号に置換する信号置換部17と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子により送受信される超音波を用いて、構造物や部品内の欠陥、ボイド及び接合部の剥がれ等の状態を可視化する超音波探傷技術に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波探傷装置を用い、検査対象である構造物や部品内の、欠陥、ボイド及び接合部の剥がれ等の状態を評価することが広く実施されている。
この検査対象に対し圧電素子から送信された超音波は、主にその表面、欠陥及び底面を反射し、再び圧電素子においてエコー信号が受信される。そして、表面エコーの通過後を始点とし、底面エコーの通過前を終点とし、この始点と終点との間を通過するエコー信号を欠陥エコーとして取り扱う。そして、この欠陥エコーの強度およびタイミングを検出することにより、検査対象における欠陥の位置、大きさ等の情報を可視化している(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−121426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、超音波探傷装置においては、検査対象の深度が深くなる程に、検出される欠陥の空間分解能が低下することが知られている。このために、従来の超音波探傷装置においては、検査対象の底面又はコーナー近傍に存在する欠陥は、多重エコーに欠陥エコーが干渉し、可視化した場合の欠陥の視認性が低下する課題があった(図6(C)参照)。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、検査対象の底面又はコーナー近傍に存在する欠陥を正確にかつ迅速に検出することができる超音波探傷技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る超音波探傷装置は、検査対象に超音波を送信してエコー信号を受信する複数の圧電素子が配列してなるトランスデューサと、前記複数の圧電素子を所定の周期でスキャンして前記超音波を送信させる素子駆動部と、前記複数の圧電素子が受信したそれぞれの前記エコー信号に基づき前記検査対象の内部画像を合成する合成処理部と、前記受信したエコー信号を前記検査対象の底面エコーが除去されたエコー信号に置換する信号置換部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、検査対象の底面又はコーナー近傍に存在する欠陥を正確にかつ迅速に検出することができる超音波探傷技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る超音波探傷装置による検査対象(角ビレット)の超音波探傷方法の実施形態を示す図。
【図2】第1実施形態に係る超音波探傷装置のブロック図。
【図3】(A)圧電素子による超音波スキャンの説明図、(B)送信される超音波と受信されるエコー信号の説明図。
【図4】第1実施形態に係る超音波探傷装置の変形例を示すブロック図。
【図5】(A)信号置換部による処理前のエコー信号の説明図、(B)信号置換部による処理の説明図、(C)信号置換部による処理後のエコー信号の説明図。
【図6】(A)検査対象に含まれる欠陥分布の概念図、(B)底面エコーを除去して可視化された欠陥分布の画像、(C)底面エコーを残存させたまま可視化された欠陥分布の画像。
【図7】(A)第2実施形態に係る超音波探傷装置による超音波スキャンの説明図、(B)比較例における超音波スキャンの説明図、(C)第2実施形態で合成された内部画像における画素強度の分布図、(D)比較例で合成された内部画像における画素強度の分布図。
【図8】(A)第3実施形態に係る超音波探傷装置による超音波スキャンの説明図、(B),(C)比較例における超音波スキャンの説明図、(D)第3実施形態で合成された内部画像、(E)(F)比較例で合成された内部画像。
【図9】(A)(B)(C)第4実施形態に係る超音波探傷装置による超音波スキャンの説明図。
【図10】第5実施形態に係る超音波探傷装置のブロック図。
【図11】第6実施形態に係る超音波探傷装置のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る超音波探傷装置は、その本体部1にケーブルを介してトランスデューサ2が接続されている。
そして、この超音波探傷装置は、検査対象である鋼材(角ビレット3)の表面3aにトランスデューサ2を当接させて角ビレット3を移動させることにより、開口合成法によりその内部の三次元画像を合成する。
これにより、角ビレット3の内部に含まれる欠陥4をオンライン検出する超音波探傷方法が実現される。
【0009】
トランスデューサ2には、図2に示されるように、角ビレット3に超音波を送信してエコー信号を受信する複数の圧電素子25が配列している。これら圧電素子25は、角ビレット3の移動方向(Y軸方向)とは垂直方向(X軸方向)に直線状に配置されている。なお、圧電素子25は、一列に配列される場合もあるし、マトリックス状に配列される場合もある。
そして、トランスデューサ2の前面に密着するシュー24、及び液体からなる音響伝播媒体であるカップラント26を介して、超音波が角ビレット3に送信される。そしてこの送信された超音波は、角ビレット3の内部に含まれる欠陥4から反射される欠陥エコー、表面3aから反射される表面エコー、及び底面3bから反射される底面エコー等からなるエコー信号Uとしてトランスデューサ2で受信される。
【0010】
超音波探傷装置の本体部1は、図2に示すように、信号発生部10と、素子駆動部11と、信号検出部12と、増幅部13と、A/D変換部14と、合成処理部15と、置換設定部16と、信号置換部17と、表示部22と、これら各機能部の動作を統括する制御部23とから構成される。
このように本体部1が構成されることにより、開口合成法(SAFT;Synthetic Aperture Focusing Technique)に基づいて欠陥4を画像化することができる。
この開口合成法とは、欠陥エコーを受信した圧電素子25を中心とする伝播距離の半径の円弧上に欠陥4が存在することに着目し、超音波を送信する圧電素子25の位置を順次変化させつつ欠陥4の位置を同定する手法である。
【0011】
信号発生部10は、圧電素子25から超音波を送信させるためにパルス状または連続的な電気信号を発生するものである。発生した電気信号は素子駆動部11に導かれ、順次選択される圧電素子25に入力され、超音波スキャンが実行される。
圧電素子25は、その圧電体としての性質から電気信号が入力すると超音波を発生し、逆に超音波が入力すると電気信号を出力するものである。
【0012】
素子駆動部11は、図3(A)に示されるように、複数の圧電素子25を所定の周期でスキャンして角ビレット3に向けて超音波を送信させるものである。
ここで、圧電素子25の配列数Nに対し超音波スキャンの周期Tとすると、隣接する圧電素子25間における超音波の送信間隔Δtは、Δt=T/Nであらわされる。
そして、次に説明するように、素子駆動部11においては、角ビレット3の表面エコーの多重反射が内部画像に反映されないように周期Tが調整される。なおこの周期Tの調整は、合成された内部画像に、多重反射のゴーストが現れないように試行錯誤的に行われる。
【0013】
ここで、図3(A)上段の斜線で示される位置の圧電素子25が駆動したとする。
すると、図3(B)上段に示されるように、超音波T1が送信され、最初に表面エコーS11が受信された後に底面エコーB1が受信される。さらに遅れて表面の多重エコーS12,S13,S14,S15,S16が順次減衰しながら所定間隔で検出される。
【0014】
そして、送信間隔Δtが経過すると、図3(A)中段の斜線で示される位置の圧電素子25が駆動し、図3(B)中段のように超音波T2が送信され、最初に表面エコーS21が受信された後に底面エコーB2が受信される。さらに遅れて表面の多重エコーS22,S23,S24が順次減衰しながら所定間隔で検出される。
さらに、送信間隔Δtが経過し、図3(A)下段、及び図3(B)下段で示される場合についても同様である。
【0015】
このとき、角ビレット3の内部画像を形成する信号領域Vに、前回送信の超音波に由来する多重エコーが重畳されると、この内部画像にゴーストが表示されることになる。このために、超音波スキャンの周期T(又は隣接する圧電素子25における超音波の送信間隔Δt)は、この信号領域Vに前回送信の多重エコーが重畳されないように調整される。
【0016】
信号検出部12は、図2に示されるように、圧電素子25でエコー信号Uから変換した電気信号を検出するものである。この検出された微弱なアナログの電気信号は、増幅部13で増幅された後に、A/D変換部14においてデジタル信号に変換される。
【0017】
合成処理部15は、これらデジタル信号に変換されたそれぞれのエコー信号に基づき角ビレット3の内部画像を合成するものである。この合成処理部15は、内部に並列プロセッサが設けられ入力したデジタル信号を開口合成処理して角ビレット3の内部を可視化した三次元画像情報を生成する。
【0018】
置換設定部16は、後述する図5(B)に基づき、エコー信号に対し閾値又は最大ピークの判定をするとともにこの判定時点を含む前後の一定範囲を底面エコーの範囲に設定するものである。
信号置換部17は、受信したエコー信号(図5(A))を角ビレット3の底面エコーが除去されたエコー信号(図5(C))に置換するものである。
なお、図2において信号置換部17は、エコー信号を合成処理部15に入力させた後に置換を実行しているが、図4に変形例が示されるように、信号置換部17は、エコー信号を合成処理部15に入力させる前に置換を実行するように構成されてもよい。
【0019】
なお合成処理部15は、このような信号置換処理が行われた場合に、底面エコーが除去された部分で合成される内部画像の画素信号をその周辺の画素信号の平均強度レベルに修正する機能を有している。
これにより、底面エコーの信号部分を単純に0として合成処理をした場合、対応する部分の三次元画像情報が、無欠陥の正常部分と相違するといった事態を回避できる。
【0020】
次に図5に基づいて、置換設定部16及び信号置換部17の動作説明を行う。
図5(A)に示されるように、信号置換部17による処理前の三次元画像情報を構成するエコー信号には表面エコーS、底面エコーB、及び欠陥エコーDの波形が含まれている。これらのうち、置換設定部16で設定される表面エコーS及び底面エコーBの除去方法として、閾値Rを用いる方法、及びピークトップPを検出する方法について例示する。
【0021】
まず閾値Rを用いる方法について説明する。
置換設定部16には閾値Rが設定され、信号置換部17は合成処理部15が生成した三次元画像情報(もしくは三次元画像情報が生成される前のエコー信号)に対し、この設定されている閾値Rを超えた信号の強度を0に置換する。
すると、図5(B)の斜線に示されるように、0に置換された信号前後の閾値R未満の信号波形が残存してしまう。この残存波形は、欠陥として誤検出される可能性があるので、閾値Rを越えた信号前後の拡張範囲Wに亘り信号強度を0に置換し、表面エコーS及び底面エコーBを除去する。
【0022】
次にピークトップPを検出する方法について説明する。
この場合、置換設定部16にはエコー信号のピークトップPを設定する機能が備わる。通常、表面エコーS及び底面エコーBの強度は、欠陥エコーDの強度よりも大きいために、表面エコーS及び底面エコーBの位置を確実に捉えることができる。
なお、深度の深い所に位置する欠陥を高精度に検出するためには、表面エコーSよりも底面エコーBの方の位置を確実に捉えることが重要である。検査対象である角ビレット3の形状が定まれば、表面エコーS及び底面エコーBの出現範囲をおおよそ特定できるので、この特定される出現範囲においてピークトップPの検出を行えばよい。
検出されたピークトップPの信号前後の拡張範囲Wに亘り信号強度を0に置換する必要があることは、上述した閾値Rを用いる場合と同様である。
【0023】
このように閾値Rを用いる方法とピークトップPを検出する方法を用いた信号置換部17の機能により、図5(C)に示されるように、置換処理後の三次元画像情報からは表面エコーS(破線部)、底面エコーB(破線部)が除去され、欠陥エコーDの波形のみが抽出される。
【0024】
表示部22(図2)は、信号置換部17が置換処理をした三次元画像情報を取り込んで表示するものである。
図6(A)は、角ビレット3に含まれる欠陥4の分布を概念的に示したものである。そして図6(B)の画像は、信号置換部17による置換処理を実行し、底面エコーを除去して可視化された欠陥分布を示している。さらに、図6(C)は、信号置換部17を機能させずに、底面エコーを残存させたまま可視化させた画像である。
このように置換処理をすることにより、底面からの多重エコーの影響を回避して、検査対象である角ビレット3に含まれる欠陥4を正確に検出することができる。
【0025】
(第2実施形態)
第2実施形態においては、複数の圧電素子25を少なくとも二つ以上の領域に分割して素子駆動部11が超音波スキャンを実行することとした(図7(A)においては二分割したものが例示されている)。
図7(A)に概念的に示された欠陥分布を有する角ビレット3を、二つの領域G1,G2に分割して、超音波スキャンを行った。この場合、超音波スキャンの周期が、分割をしない場合の二分の一(分割数の逆数倍)になるために、角ビレット3の検査時間の短縮を図ることができる。
【0026】
図7(C)は、このようなスキャン分割を実施して合成処理した場合における画素強度の分布図であり、四つの欠陥4に対応する信号が有為に検出されている。そして、比較例として領域Gに対し分割スキャンを実施しない場合(図7(B))の画素強度分布(図7(D))と遜色のない結果が得られている。
【0027】
(第3実施形態)
第3実施形態においては、それぞれの圧電素子25から下ろした垂線に対し、コーナーに近い領域の方を合成処理部15において広く合成することとした。
具体的には、図8(A)に示される欠陥4が分布する角ビレット3に対し、コーナーに近い領域を5°とし中心に近い領域を3°として外側領域に偏重した画像合成を行った。その結果、図8(D)に示されるように、コーナー及び平坦部の近傍に位置する欠陥像が明瞭である画像が得られた。
【0028】
一方、比較例として、圧電素子25から下ろした垂線に対し、合成処理する領域を対称とした場合を示す。
コーナーに近い領域、及び中心に近い領域を共に5°に設定した場合は(図8(B))、コーナーの近傍に位置する欠陥像は明瞭であるが、平坦部の近傍に位置する欠陥像は不明瞭である画像が得られた(図8(E))。これは、平坦部を構成する合成像の数が増えすぎたことが、かえって画像品質の低下を招いたと考えられる。
またコーナーに近い領域、及び中心に近い領域を共に3°に設定した場合は(図8(C))、平坦部の近傍に位置する欠陥像は明瞭であるが、コーナーの近傍に位置する欠陥像は不明瞭である画像が得られた(図8(F))。これは、コーナーを構成する合成像の数が少なすぎたことが、画像品質の低下を招いたと考えられる。
【0029】
(第4実施形態)
第4実施形態においては、角ビレット3の大きさに対応させて送信及び受信する複数の圧電素子25の範囲を可変するように素子駆動部11が動作することとした。
これにより、図9(A)(B)(C)のように、大きさの異なる角ビレット3a,3b,3cに対し、トランスデューサ2の位置を変更することなく超音波探傷を実行することができる。
さらに、第4実施形態ではそれぞれの大きさの異なる角ビレット3に対し、第2実施形態のスキャン分割、及び第3実施形態の外側領域に偏重した画像合成を実施することもできる。
【0030】
(第5実施形態)
図10は、第5実施形態に係る超音波探傷装置のブロック図である。なお、図10において図2と同一又は相当する部分は、同一符号で示し、すでにした記載を援用して、詳細な説明を省略する。
第5実施形態に係る超音波探傷装置には、二次元像生成部18と、ゲート設定部19とが追加されている。
【0031】
二次元像生成部18は、合成処理部15において合成された三次元画像情報から検査対象の表面3a又は底面3bに平行な透視像を生成するものである。すなわち、図10において、角ビレット3をX−Y平面視した欠陥4の分布を示す透視画像を表示部22に表示させる。これにより、角ビレット3のどの位置に欠陥4が分布しているかを容易に認識することができる。
【0032】
ゲート設定部19は、二次元像生成部18において、透視像を深さ方向のレベル毎に生成させる。ゲート設定部19は、深さ方向(Z方向)に一つ又は複数の範囲にゲートを設定し、そのゲート範囲に含まれる欠陥4のX−Y平面透視画像を表示部22に表示させる。これにより深さレベル毎の欠陥分布を認識することができる。
【0033】
(第6実施形態)
図11は、第6実施形態に係る超音波探傷装置のブロック図である。なお、図11において図10と同一又は相当する部分は、同一符号で示し、すでにした記載を援用して、詳細な説明を省略する。第6実施形態に係る超音波探傷装置には、閾値設定部20と、二値化生成部21とが追加されている。
二値化生成部21は、内部画像を二値化して輝度表示させるものであり、閾値設定部20は、輝度表示を二値化するための閾値を設定するものである。
二値化生成部21は、二次元像生成部18が生成した二次元画像において、閾値を越える部分を抽出し、二値化された画像を表示部22に表示させる。
これにより、角ビレット3の欠陥4の有無をより容易に認識、判定できるようになる。
【0034】
本発明は前記した実施形態に限定されるものでなく、共通する技術思想の範囲内において、適宜変形して実施することができる。実施形態において検査対象は、角ビレットであることを例示して説明したが、平板にも適用することができる。
またオンラインで検査対象の欠陥検出をする装置について例示したが、本発明はオフライン装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1…本体部、2…トランスデューサ、3…角ビレット(検査対象)、3a…表面、3b…底面、4…欠陥、10…信号発生部、11…素子駆動部、12…信号検出部、13…増幅部、14…A/D変換部、15…合成処理部、16…置換設定部、17…信号置換部、18…二次元像生成部、19…ゲート設定部、20…閾値設定部、21…二値化生成部、22…表示部、23…制御部、24…シュー、25…圧電素子、26…カップラント、S…表面エコー、B…底面エコー、U…エコー信号。
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子により送受信される超音波を用いて、構造物や部品内の欠陥、ボイド及び接合部の剥がれ等の状態を可視化する超音波探傷技術に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波探傷装置を用い、検査対象である構造物や部品内の、欠陥、ボイド及び接合部の剥がれ等の状態を評価することが広く実施されている。
この検査対象に対し圧電素子から送信された超音波は、主にその表面、欠陥及び底面を反射し、再び圧電素子においてエコー信号が受信される。そして、表面エコーの通過後を始点とし、底面エコーの通過前を終点とし、この始点と終点との間を通過するエコー信号を欠陥エコーとして取り扱う。そして、この欠陥エコーの強度およびタイミングを検出することにより、検査対象における欠陥の位置、大きさ等の情報を可視化している(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−121426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、超音波探傷装置においては、検査対象の深度が深くなる程に、検出される欠陥の空間分解能が低下することが知られている。このために、従来の超音波探傷装置においては、検査対象の底面又はコーナー近傍に存在する欠陥は、多重エコーに欠陥エコーが干渉し、可視化した場合の欠陥の視認性が低下する課題があった(図6(C)参照)。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、検査対象の底面又はコーナー近傍に存在する欠陥を正確にかつ迅速に検出することができる超音波探傷技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る超音波探傷装置は、検査対象に超音波を送信してエコー信号を受信する複数の圧電素子が配列してなるトランスデューサと、前記複数の圧電素子を所定の周期でスキャンして前記超音波を送信させる素子駆動部と、前記複数の圧電素子が受信したそれぞれの前記エコー信号に基づき前記検査対象の内部画像を合成する合成処理部と、前記受信したエコー信号を前記検査対象の底面エコーが除去されたエコー信号に置換する信号置換部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、検査対象の底面又はコーナー近傍に存在する欠陥を正確にかつ迅速に検出することができる超音波探傷技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る超音波探傷装置による検査対象(角ビレット)の超音波探傷方法の実施形態を示す図。
【図2】第1実施形態に係る超音波探傷装置のブロック図。
【図3】(A)圧電素子による超音波スキャンの説明図、(B)送信される超音波と受信されるエコー信号の説明図。
【図4】第1実施形態に係る超音波探傷装置の変形例を示すブロック図。
【図5】(A)信号置換部による処理前のエコー信号の説明図、(B)信号置換部による処理の説明図、(C)信号置換部による処理後のエコー信号の説明図。
【図6】(A)検査対象に含まれる欠陥分布の概念図、(B)底面エコーを除去して可視化された欠陥分布の画像、(C)底面エコーを残存させたまま可視化された欠陥分布の画像。
【図7】(A)第2実施形態に係る超音波探傷装置による超音波スキャンの説明図、(B)比較例における超音波スキャンの説明図、(C)第2実施形態で合成された内部画像における画素強度の分布図、(D)比較例で合成された内部画像における画素強度の分布図。
【図8】(A)第3実施形態に係る超音波探傷装置による超音波スキャンの説明図、(B),(C)比較例における超音波スキャンの説明図、(D)第3実施形態で合成された内部画像、(E)(F)比較例で合成された内部画像。
【図9】(A)(B)(C)第4実施形態に係る超音波探傷装置による超音波スキャンの説明図。
【図10】第5実施形態に係る超音波探傷装置のブロック図。
【図11】第6実施形態に係る超音波探傷装置のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る超音波探傷装置は、その本体部1にケーブルを介してトランスデューサ2が接続されている。
そして、この超音波探傷装置は、検査対象である鋼材(角ビレット3)の表面3aにトランスデューサ2を当接させて角ビレット3を移動させることにより、開口合成法によりその内部の三次元画像を合成する。
これにより、角ビレット3の内部に含まれる欠陥4をオンライン検出する超音波探傷方法が実現される。
【0009】
トランスデューサ2には、図2に示されるように、角ビレット3に超音波を送信してエコー信号を受信する複数の圧電素子25が配列している。これら圧電素子25は、角ビレット3の移動方向(Y軸方向)とは垂直方向(X軸方向)に直線状に配置されている。なお、圧電素子25は、一列に配列される場合もあるし、マトリックス状に配列される場合もある。
そして、トランスデューサ2の前面に密着するシュー24、及び液体からなる音響伝播媒体であるカップラント26を介して、超音波が角ビレット3に送信される。そしてこの送信された超音波は、角ビレット3の内部に含まれる欠陥4から反射される欠陥エコー、表面3aから反射される表面エコー、及び底面3bから反射される底面エコー等からなるエコー信号Uとしてトランスデューサ2で受信される。
【0010】
超音波探傷装置の本体部1は、図2に示すように、信号発生部10と、素子駆動部11と、信号検出部12と、増幅部13と、A/D変換部14と、合成処理部15と、置換設定部16と、信号置換部17と、表示部22と、これら各機能部の動作を統括する制御部23とから構成される。
このように本体部1が構成されることにより、開口合成法(SAFT;Synthetic Aperture Focusing Technique)に基づいて欠陥4を画像化することができる。
この開口合成法とは、欠陥エコーを受信した圧電素子25を中心とする伝播距離の半径の円弧上に欠陥4が存在することに着目し、超音波を送信する圧電素子25の位置を順次変化させつつ欠陥4の位置を同定する手法である。
【0011】
信号発生部10は、圧電素子25から超音波を送信させるためにパルス状または連続的な電気信号を発生するものである。発生した電気信号は素子駆動部11に導かれ、順次選択される圧電素子25に入力され、超音波スキャンが実行される。
圧電素子25は、その圧電体としての性質から電気信号が入力すると超音波を発生し、逆に超音波が入力すると電気信号を出力するものである。
【0012】
素子駆動部11は、図3(A)に示されるように、複数の圧電素子25を所定の周期でスキャンして角ビレット3に向けて超音波を送信させるものである。
ここで、圧電素子25の配列数Nに対し超音波スキャンの周期Tとすると、隣接する圧電素子25間における超音波の送信間隔Δtは、Δt=T/Nであらわされる。
そして、次に説明するように、素子駆動部11においては、角ビレット3の表面エコーの多重反射が内部画像に反映されないように周期Tが調整される。なおこの周期Tの調整は、合成された内部画像に、多重反射のゴーストが現れないように試行錯誤的に行われる。
【0013】
ここで、図3(A)上段の斜線で示される位置の圧電素子25が駆動したとする。
すると、図3(B)上段に示されるように、超音波T1が送信され、最初に表面エコーS11が受信された後に底面エコーB1が受信される。さらに遅れて表面の多重エコーS12,S13,S14,S15,S16が順次減衰しながら所定間隔で検出される。
【0014】
そして、送信間隔Δtが経過すると、図3(A)中段の斜線で示される位置の圧電素子25が駆動し、図3(B)中段のように超音波T2が送信され、最初に表面エコーS21が受信された後に底面エコーB2が受信される。さらに遅れて表面の多重エコーS22,S23,S24が順次減衰しながら所定間隔で検出される。
さらに、送信間隔Δtが経過し、図3(A)下段、及び図3(B)下段で示される場合についても同様である。
【0015】
このとき、角ビレット3の内部画像を形成する信号領域Vに、前回送信の超音波に由来する多重エコーが重畳されると、この内部画像にゴーストが表示されることになる。このために、超音波スキャンの周期T(又は隣接する圧電素子25における超音波の送信間隔Δt)は、この信号領域Vに前回送信の多重エコーが重畳されないように調整される。
【0016】
信号検出部12は、図2に示されるように、圧電素子25でエコー信号Uから変換した電気信号を検出するものである。この検出された微弱なアナログの電気信号は、増幅部13で増幅された後に、A/D変換部14においてデジタル信号に変換される。
【0017】
合成処理部15は、これらデジタル信号に変換されたそれぞれのエコー信号に基づき角ビレット3の内部画像を合成するものである。この合成処理部15は、内部に並列プロセッサが設けられ入力したデジタル信号を開口合成処理して角ビレット3の内部を可視化した三次元画像情報を生成する。
【0018】
置換設定部16は、後述する図5(B)に基づき、エコー信号に対し閾値又は最大ピークの判定をするとともにこの判定時点を含む前後の一定範囲を底面エコーの範囲に設定するものである。
信号置換部17は、受信したエコー信号(図5(A))を角ビレット3の底面エコーが除去されたエコー信号(図5(C))に置換するものである。
なお、図2において信号置換部17は、エコー信号を合成処理部15に入力させた後に置換を実行しているが、図4に変形例が示されるように、信号置換部17は、エコー信号を合成処理部15に入力させる前に置換を実行するように構成されてもよい。
【0019】
なお合成処理部15は、このような信号置換処理が行われた場合に、底面エコーが除去された部分で合成される内部画像の画素信号をその周辺の画素信号の平均強度レベルに修正する機能を有している。
これにより、底面エコーの信号部分を単純に0として合成処理をした場合、対応する部分の三次元画像情報が、無欠陥の正常部分と相違するといった事態を回避できる。
【0020】
次に図5に基づいて、置換設定部16及び信号置換部17の動作説明を行う。
図5(A)に示されるように、信号置換部17による処理前の三次元画像情報を構成するエコー信号には表面エコーS、底面エコーB、及び欠陥エコーDの波形が含まれている。これらのうち、置換設定部16で設定される表面エコーS及び底面エコーBの除去方法として、閾値Rを用いる方法、及びピークトップPを検出する方法について例示する。
【0021】
まず閾値Rを用いる方法について説明する。
置換設定部16には閾値Rが設定され、信号置換部17は合成処理部15が生成した三次元画像情報(もしくは三次元画像情報が生成される前のエコー信号)に対し、この設定されている閾値Rを超えた信号の強度を0に置換する。
すると、図5(B)の斜線に示されるように、0に置換された信号前後の閾値R未満の信号波形が残存してしまう。この残存波形は、欠陥として誤検出される可能性があるので、閾値Rを越えた信号前後の拡張範囲Wに亘り信号強度を0に置換し、表面エコーS及び底面エコーBを除去する。
【0022】
次にピークトップPを検出する方法について説明する。
この場合、置換設定部16にはエコー信号のピークトップPを設定する機能が備わる。通常、表面エコーS及び底面エコーBの強度は、欠陥エコーDの強度よりも大きいために、表面エコーS及び底面エコーBの位置を確実に捉えることができる。
なお、深度の深い所に位置する欠陥を高精度に検出するためには、表面エコーSよりも底面エコーBの方の位置を確実に捉えることが重要である。検査対象である角ビレット3の形状が定まれば、表面エコーS及び底面エコーBの出現範囲をおおよそ特定できるので、この特定される出現範囲においてピークトップPの検出を行えばよい。
検出されたピークトップPの信号前後の拡張範囲Wに亘り信号強度を0に置換する必要があることは、上述した閾値Rを用いる場合と同様である。
【0023】
このように閾値Rを用いる方法とピークトップPを検出する方法を用いた信号置換部17の機能により、図5(C)に示されるように、置換処理後の三次元画像情報からは表面エコーS(破線部)、底面エコーB(破線部)が除去され、欠陥エコーDの波形のみが抽出される。
【0024】
表示部22(図2)は、信号置換部17が置換処理をした三次元画像情報を取り込んで表示するものである。
図6(A)は、角ビレット3に含まれる欠陥4の分布を概念的に示したものである。そして図6(B)の画像は、信号置換部17による置換処理を実行し、底面エコーを除去して可視化された欠陥分布を示している。さらに、図6(C)は、信号置換部17を機能させずに、底面エコーを残存させたまま可視化させた画像である。
このように置換処理をすることにより、底面からの多重エコーの影響を回避して、検査対象である角ビレット3に含まれる欠陥4を正確に検出することができる。
【0025】
(第2実施形態)
第2実施形態においては、複数の圧電素子25を少なくとも二つ以上の領域に分割して素子駆動部11が超音波スキャンを実行することとした(図7(A)においては二分割したものが例示されている)。
図7(A)に概念的に示された欠陥分布を有する角ビレット3を、二つの領域G1,G2に分割して、超音波スキャンを行った。この場合、超音波スキャンの周期が、分割をしない場合の二分の一(分割数の逆数倍)になるために、角ビレット3の検査時間の短縮を図ることができる。
【0026】
図7(C)は、このようなスキャン分割を実施して合成処理した場合における画素強度の分布図であり、四つの欠陥4に対応する信号が有為に検出されている。そして、比較例として領域Gに対し分割スキャンを実施しない場合(図7(B))の画素強度分布(図7(D))と遜色のない結果が得られている。
【0027】
(第3実施形態)
第3実施形態においては、それぞれの圧電素子25から下ろした垂線に対し、コーナーに近い領域の方を合成処理部15において広く合成することとした。
具体的には、図8(A)に示される欠陥4が分布する角ビレット3に対し、コーナーに近い領域を5°とし中心に近い領域を3°として外側領域に偏重した画像合成を行った。その結果、図8(D)に示されるように、コーナー及び平坦部の近傍に位置する欠陥像が明瞭である画像が得られた。
【0028】
一方、比較例として、圧電素子25から下ろした垂線に対し、合成処理する領域を対称とした場合を示す。
コーナーに近い領域、及び中心に近い領域を共に5°に設定した場合は(図8(B))、コーナーの近傍に位置する欠陥像は明瞭であるが、平坦部の近傍に位置する欠陥像は不明瞭である画像が得られた(図8(E))。これは、平坦部を構成する合成像の数が増えすぎたことが、かえって画像品質の低下を招いたと考えられる。
またコーナーに近い領域、及び中心に近い領域を共に3°に設定した場合は(図8(C))、平坦部の近傍に位置する欠陥像は明瞭であるが、コーナーの近傍に位置する欠陥像は不明瞭である画像が得られた(図8(F))。これは、コーナーを構成する合成像の数が少なすぎたことが、画像品質の低下を招いたと考えられる。
【0029】
(第4実施形態)
第4実施形態においては、角ビレット3の大きさに対応させて送信及び受信する複数の圧電素子25の範囲を可変するように素子駆動部11が動作することとした。
これにより、図9(A)(B)(C)のように、大きさの異なる角ビレット3a,3b,3cに対し、トランスデューサ2の位置を変更することなく超音波探傷を実行することができる。
さらに、第4実施形態ではそれぞれの大きさの異なる角ビレット3に対し、第2実施形態のスキャン分割、及び第3実施形態の外側領域に偏重した画像合成を実施することもできる。
【0030】
(第5実施形態)
図10は、第5実施形態に係る超音波探傷装置のブロック図である。なお、図10において図2と同一又は相当する部分は、同一符号で示し、すでにした記載を援用して、詳細な説明を省略する。
第5実施形態に係る超音波探傷装置には、二次元像生成部18と、ゲート設定部19とが追加されている。
【0031】
二次元像生成部18は、合成処理部15において合成された三次元画像情報から検査対象の表面3a又は底面3bに平行な透視像を生成するものである。すなわち、図10において、角ビレット3をX−Y平面視した欠陥4の分布を示す透視画像を表示部22に表示させる。これにより、角ビレット3のどの位置に欠陥4が分布しているかを容易に認識することができる。
【0032】
ゲート設定部19は、二次元像生成部18において、透視像を深さ方向のレベル毎に生成させる。ゲート設定部19は、深さ方向(Z方向)に一つ又は複数の範囲にゲートを設定し、そのゲート範囲に含まれる欠陥4のX−Y平面透視画像を表示部22に表示させる。これにより深さレベル毎の欠陥分布を認識することができる。
【0033】
(第6実施形態)
図11は、第6実施形態に係る超音波探傷装置のブロック図である。なお、図11において図10と同一又は相当する部分は、同一符号で示し、すでにした記載を援用して、詳細な説明を省略する。第6実施形態に係る超音波探傷装置には、閾値設定部20と、二値化生成部21とが追加されている。
二値化生成部21は、内部画像を二値化して輝度表示させるものであり、閾値設定部20は、輝度表示を二値化するための閾値を設定するものである。
二値化生成部21は、二次元像生成部18が生成した二次元画像において、閾値を越える部分を抽出し、二値化された画像を表示部22に表示させる。
これにより、角ビレット3の欠陥4の有無をより容易に認識、判定できるようになる。
【0034】
本発明は前記した実施形態に限定されるものでなく、共通する技術思想の範囲内において、適宜変形して実施することができる。実施形態において検査対象は、角ビレットであることを例示して説明したが、平板にも適用することができる。
またオンラインで検査対象の欠陥検出をする装置について例示したが、本発明はオフライン装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1…本体部、2…トランスデューサ、3…角ビレット(検査対象)、3a…表面、3b…底面、4…欠陥、10…信号発生部、11…素子駆動部、12…信号検出部、13…増幅部、14…A/D変換部、15…合成処理部、16…置換設定部、17…信号置換部、18…二次元像生成部、19…ゲート設定部、20…閾値設定部、21…二値化生成部、22…表示部、23…制御部、24…シュー、25…圧電素子、26…カップラント、S…表面エコー、B…底面エコー、U…エコー信号。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象に超音波を送信してエコー信号を受信する複数の圧電素子が配列してなるトランスデューサと、
前記複数の圧電素子を所定の周期でスキャンして前記超音波を送信させる素子駆動部と、
前記複数の圧電素子が受信したそれぞれの前記エコー信号に基づき前記検査対象の内部画像を合成する合成処理部と、
前記受信したエコー信号を前記検査対象の底面エコーが除去されたエコー信号に置換する信号置換部と、を備えることを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波探傷装置において、
前記信号置換部は、前記エコー信号を前記合成処理部に入力させる前又は後に前記置換を実行することを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の超音波探傷装置において、
前記受信したエコー信号に対し閾値又は最大ピークの判定をするとともにこの判定時点を含む前後の一定範囲を前記底面エコーの範囲に設定する置換設定部を、備えることを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の超音波探傷装置において、
前記合成処理部は、前記底面エコーが除去された部分から合成される前記内部画像の画素信号をその周辺の画素信号の平均強度レベルに修正することを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の超音波探傷装置において、
前記合成処理部において、それぞれの前記圧電素子から前記検査対象の表面に下ろした垂線に対し前記検査対象のコーナーに近い領域の方を広く合成させることを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の超音波探傷装置において、
前記素子駆動部において、前記複数の圧電素子が少なくとも前記検査対象を二つ以上の領域に分割して前記スキャンを実行することを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の超音波探傷装置において、
前記素子駆動部において、前記検査対象の大きさに対応させて前記送信及び前記受信する複数の圧電素子の範囲を可変させることを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の超音波探傷装置において、
前記素子駆動部において、前記検査対象の表面エコーの多重反射が前記内部画像に反映されないように前記周期が調整されることを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の超音波探傷装置において、
前記合成処理部において合成された前記内部画像から前記検査対象の表面又は底面に平行な透視像を生成する二次元像生成部を備えることを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項10】
請求項9に記載の超音波探傷装置において、
前記透視像を深さ方向のレベル毎に生成させるゲート設定部を備えることを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の超音波探傷装置において、
前記内部画像を二値化して輝度表示する二値化生成部を備えることを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項12】
超音波を送信してエコー信号を受信する複数の圧電素子が配列してなるトランスデューサに検査対象をセットするステップと、
前記複数の圧電素子を所定の周期でスキャンして前記超音波を送信させる素子駆動ステップと、
前記複数の圧電素子が受信したそれぞれの前記エコー信号に基づき前記検査対象の内部画像を合成する合成処理ステップと、
前記受信したエコー信号を前記検査対象の底面エコーが除去されたエコー信号に置換する信号置換ステップと、を含むことを特徴とする超音波探傷方法。
【請求項1】
検査対象に超音波を送信してエコー信号を受信する複数の圧電素子が配列してなるトランスデューサと、
前記複数の圧電素子を所定の周期でスキャンして前記超音波を送信させる素子駆動部と、
前記複数の圧電素子が受信したそれぞれの前記エコー信号に基づき前記検査対象の内部画像を合成する合成処理部と、
前記受信したエコー信号を前記検査対象の底面エコーが除去されたエコー信号に置換する信号置換部と、を備えることを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波探傷装置において、
前記信号置換部は、前記エコー信号を前記合成処理部に入力させる前又は後に前記置換を実行することを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の超音波探傷装置において、
前記受信したエコー信号に対し閾値又は最大ピークの判定をするとともにこの判定時点を含む前後の一定範囲を前記底面エコーの範囲に設定する置換設定部を、備えることを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の超音波探傷装置において、
前記合成処理部は、前記底面エコーが除去された部分から合成される前記内部画像の画素信号をその周辺の画素信号の平均強度レベルに修正することを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の超音波探傷装置において、
前記合成処理部において、それぞれの前記圧電素子から前記検査対象の表面に下ろした垂線に対し前記検査対象のコーナーに近い領域の方を広く合成させることを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の超音波探傷装置において、
前記素子駆動部において、前記複数の圧電素子が少なくとも前記検査対象を二つ以上の領域に分割して前記スキャンを実行することを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の超音波探傷装置において、
前記素子駆動部において、前記検査対象の大きさに対応させて前記送信及び前記受信する複数の圧電素子の範囲を可変させることを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の超音波探傷装置において、
前記素子駆動部において、前記検査対象の表面エコーの多重反射が前記内部画像に反映されないように前記周期が調整されることを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の超音波探傷装置において、
前記合成処理部において合成された前記内部画像から前記検査対象の表面又は底面に平行な透視像を生成する二次元像生成部を備えることを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項10】
請求項9に記載の超音波探傷装置において、
前記透視像を深さ方向のレベル毎に生成させるゲート設定部を備えることを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の超音波探傷装置において、
前記内部画像を二値化して輝度表示する二値化生成部を備えることを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項12】
超音波を送信してエコー信号を受信する複数の圧電素子が配列してなるトランスデューサに検査対象をセットするステップと、
前記複数の圧電素子を所定の周期でスキャンして前記超音波を送信させる素子駆動ステップと、
前記複数の圧電素子が受信したそれぞれの前記エコー信号に基づき前記検査対象の内部画像を合成する合成処理ステップと、
前記受信したエコー信号を前記検査対象の底面エコーが除去されたエコー信号に置換する信号置換ステップと、を含むことを特徴とする超音波探傷方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−203037(P2011−203037A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69348(P2010−69348)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【出願人】(390014568)東芝プラントシステム株式会社 (273)
【出願人】(592244376)住友金属テクノロジー株式会社 (43)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【出願人】(390014568)東芝プラントシステム株式会社 (273)
【出願人】(592244376)住友金属テクノロジー株式会社 (43)
【Fターム(参考)】
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