説明

超音波探触子及びその製造方法

【課題】カテーテル装填用として有利に用いることができる小型の超音波探触子を提供する。
【解決手段】厚み方向に伸びた凹部1を側面に有する矩形の圧電セラミックシート片2、圧電セラミックシート片2の上面に備えられた上側電極層3と上側電極層3に電気的に接続する上側電極層用端子電極層4、圧電セラミックシート片2の下面に備えられた下側電極層5、下側電極層5に電気的に接続する上記凹部1に備えられた導電層6、導電層6に電気的に接続する圧電セラミックシート片2の上面に備えられた下側電極層用端子電極層7、上側電極層用端子電極層4と下側電極層用端子電極層7のそれぞれに付設されたリード線9a、9b、上側電極層3の上面に備えられた音響整合層10、そして下側電極層5の下面に備えられた吸音層11を含む超音波探触子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波探触子、特にカテーテルに装填するのに適した小型の超音波探触子及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
超音波探触子は、医療用超音波診断装置の超音波送受信器として利用されている。最近では、カテーテルに超音波探触子を装填して、カテーテルを体内に挿入した状態で超音波診断をすることが行なわれている。このカテーテル装填用の超音波探触子では、患者負担軽減や、血管深部など、より細径な体腔への挿入性を高めるため、小型化の要求が高い。
【0003】
超音波探触子は、一般に、上下の面が平面な薄肉の圧電セラミックシートと、圧電セラミックシートの上下面のそれぞれに対向して形成された一対の電極層からなる。超音波探触子の超音波の送受信を行なう側の電極層には、被検体への超音波の伝播効率を高めるための音響整合層が付設され、超音波の送受信を行なう側と反対側の電極層にはノイズとなる超音波を吸収するための吸音層が付設されている。音響整合層及び吸音層は、通常、非導電性の高分子材料から形成されているため、超音波探触子の小型化に伴い、圧電セラミックシートの上下面に形成された電極層をそれぞれ外部電源に接続するのが難しくなる傾向がある。
【0004】
超音波探触子の外部電源への接続を容易にする方法として、圧電セラミックシートの上下面にそれぞれ形成された電極層の一方を反対側の面にまで引き延ばして、上下面の電極層を上下いずれか一方の方向から外部電源と接続できるようにする方法が知られている。一般に、上下面の電極層を反対側の面に引き延ばした電極層は折返電極層と呼ばれる。
【0005】
特許文献1には、上側電極層を、圧電セラミックシートの側面に導電層を形成することによって、圧電セラミックの下面にまでに引き延ばした折返電極層を有する超音波探触子が開示されている。
特許文献2には、圧電セラミックシートの幅方向の周囲に配置した絶縁材料の表面に導電層を形成した、折返電極層を有する超音波探触子が開示されている。
【特許文献1】特開平8−280095号公報
【特許文献2】特開2001−292495号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、超音波探触子の電極層とリード線との接続を容易にするために、折返電極層を形成することは有用である。しかしながら、超音波探触子の小型化に伴って、折返電極層を形成することが難しくなる。特に最近では、直径が1mm以下となるような血管用カテーテルに組み込むための極めて小型の超音波探触子が望まれているが、このような小型の超音波探触子では、折返電極層を工業的に形成することは難しい。
従って、本発明の目的は、特に、カテーテル装填用に適した、小型でかつ折返電極層を有する超音波探触子を工業的に有利に製造するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記(1)乃至(7)の工程を含む超音波探触子の製造方法にある。
(1)シート平面に沿って整列配置された多数の小径貫通孔を有する圧電セラミックシートを用意する工程。
(2)該圧電セラミックシートの下面に、各貫通孔の下面開口部に接する下側電極層を形成し、また各貫通孔の内壁面に導電層を付設する工程。
(3)該圧電セラミックシートの上面に、各貫通孔の上面開口部の周囲に下側電極層用端子電極層を、そして上記下側電極層に対面し、かつ該下側電極層用端子電極層とは電気的に接触しない位置に、上側電極層と該上側電極層に電気的に接続する上側電極層用端子電極層とを形成し、さらに各貫通孔の内壁面に導電層を付設する工程。
(4)上側電極層の表面に音響整合層を付設する工程。
(5)下側電極層の表面に吸音層を付設する工程。
(6)少なくとも上記(2)の工程と(3)の工程とを経た圧電セラミックシートについて、貫通孔を横断し、かつ各貫通孔の導電層に電気的に接続されている下側電極層と下側電極層用端子電極層、そして該下側電極層と対面している上側電極層を一区画内に包含させるように裁断する工程。
(7)上側電極層用端子電極層と下側電極層用端子電極層のそれぞれにリード線を接続する工程。
ただし、(2)の工程と(3)の工程とは順序が逆でもよく、(4)の工程乃至(6)の工程の順序は任意である。
【0008】
上記本発明の超音波探触子の製造方法において、(1)の工程で用意される圧電セラミックシートは、圧電セラミック板に穿孔により所定の位置に貫通孔を形成し、ついで、該圧電セラミック板の上下面のそれぞれを研磨することによって製造されたものであることが好ましい。
【0009】
本発明はさらに、厚み方向に伸びた凹部を側面に有する矩形の圧電セラミックシート片、該圧電セラミックシート片の上面に備えられた上側電極層と該上側電極層に電気的に接続する上側電極層用端子電極層、該圧電セラミックシート片の下面に備えられた下側電極層、該下側電極層に電気的に接続する上記凹部に備えられた導電層、該導電層に電気的に接続する圧電セラミックシート片の上面に備えられた下側電極層用端子電極層、上側電極層用端子電極層と下側電極層用端子電極層のそれぞれに付設されたリード線、上側電極層の上面に備えられた音響整合層、そして下側電極層の下面に備えられた吸音層を含む超音波探触子にもある。
【0010】
上記本発明の超音波探触子において、圧電セラミックシート片は、圧電セラミック板に穿孔により所定の位置に貫通孔を形成し、ついで、該圧電セラミック板の上下面のそれぞれを研磨した後、矩形に裁断されたものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の製造方法を利用することによって、折返電極層を有する小型の超音波探触子を、一個の圧電セラミックシートから複数個製造することが可能となる。
本発明の製造方法を利用して製造された小型の超音波探触子は、カテーテル装填用として有利に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の超音波探触子、そしてその製造方法について、添付図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、本発明に従う超音波探触子の一例の斜視図である。
図1において、超音波探触子は、厚み方向に伸びた湾曲面によって形成された凹部1を側面に有する矩形の圧電セラミックシート片2、圧電セラミックシート片2の上面に備えられた上側電極層3と上側電極層3に電気的に接続する上側電極層用端子電極層4、圧電セラミックシート片2の下面に備えられた下側電極層5、下側電極層5に電気的に接続する凹部1に備えられた導電層6、導電層6に電気的に接続する圧電セラミックシート片2の上面に備えられた下側電極層用端子電極層7、上側電極層用端子電極層4と下側電極層用端子電極層7のそれぞれに接合材層8によって接続された上側電極層用リード線9aと下側電極層用リード線9b、上側電極層3の上面に備えられた音響整合層10、そして下側電極層5の下面に備えられた吸音層11からなる。
【0014】
本発明の超音波探触子では、導電層6と下側電極層用端子電極層7とで、下側電極層5を圧電セラミックシート片2の上面に引き延ばす折返電極層を形成する。
【0015】
圧電セラミックシート片2の側面に形成されている凹部1は、上から見て円弧状の湾曲面であることが製造を容易にするため好ましいが、矩形であってもよい。凹部1は、下側電極層用端子電極層7の中央に形成されていてもよいが、下側電極層用端子電極層7のリード線9bとの接続領域を拡げるために、凹部1は下側電極層用端子電極層7の中央から外れた位置に形成されていることが好ましい。
【0016】
圧電セラミックシート片2の材料の例としては、チタン酸ジルコニウム酸鉛(PZT)やニオブ酸リチウムなどの圧電セラミック材料を挙げることができる。
【0017】
上側電極層3は、超音波の送受信面となる。上側電極層3の幅Wと長さLとの比(W:L)は、0.8:1.0〜1.0:0.8の範囲にあることが好ましい。
【0018】
上側電極層用端子電極層4と下側電極層用端子電極層7とは、上側電極層3を挟んで対向する位置に配置されていてもよいが、圧電セラミックシート片2の凹部1を有する側面側にて、下側電極層用端子電極層7と隣接する位置に配置されていることが好ましい。
【0019】
上側電極層3、上側電極層用端子電極層4、下側電極層5、導電層6及び下側電極層用端子電極層7を形成する導電性材料の例としては、銀、クロム、銅、ニッケル、金などの金属、及びこれら金属の積層体を挙げることができる。
【0020】
上側電極層用リード線9aと下側電極層用リード線9bとをそれぞれ電極層4、7に固定するための接合材層8の材料の例としては、ハンダ及び導電性接着剤を挙げることができる。リード線9a、9bを溶接によって電極層4、7に固定してもよい。また、リード線9a、9bをワイヤーボンディングによって形成してもよい。
【0021】
音響整合層10の材料の例としては、エポキシ樹脂などの樹脂材料を挙げることができる。音響整合層10は、二層以上としてもよい。
【0022】
吸音層11の材料の例としては、ゴムや、タングステン粉末などの金属粉末を分散させたエポキシ樹脂などを挙げることができる。
【0023】
上記本発明の超音波探触子は、下記の(1)乃至(7)の工程を含む方法によって製造することができる。
(1)シート平面に沿って整列配置された多数の小径貫通孔を有する圧電セラミックシートを用意する工程。
(2)圧電セラミックシートの下面に、各貫通孔の下面開口部に接する下側電極層を形成し、また各貫通孔の内壁面に導電層を付設する工程。
(3)圧電セラミックシートの上面に、各貫通孔の上面開口部の周囲に下側電極層用端子電極層を、そして上記下側電極層に対面し、かつ下側電極層用端子電極層とは電気的に接触しない位置に、上側電極層と上側電極層に電気的に接続する上側電極層用端子電極層とを形成し、さらに各貫通孔の内壁面に導電層を付設する工程。
(4)上側電極層の表面に音響整合層を付設する工程。
(5)下側電極層の表面に吸音層を付設する工程。
(6)圧電セラミックシートを、貫通孔を横断し、かつ各貫通孔の導電層に電気的に接続されている下側電極層と下側電極層用端子電極層、そして下側電極層と対面している上側電極層を一区画内に包含させるように裁断する工程。
(7)上側電極層用端子電極層と下側電極層用端子電極層のそれぞれにリード線を接続する工程。
【0024】
上記の超音波探触子の製造方法を、添付図面の図2〜図8を参照して説明する。
【0025】
図2は、(1)の工程で用意する小径貫通孔21を有する圧電セラミックシート22の一例の平面図である。図2において、圧電セラミックシート22は、小径貫通孔21がシート平面に沿って縦横方向にそれぞれ4個ずつ整列配置された円形状シートである。一個の小径貫通孔21に対して、一個の超音波探触子を製造することができる。圧電セラミックシート22一枚当たりの小径貫通孔21の個数には、特には制限はないが、好ましくは2〜1000個の範囲、特に好ましくは10〜500個の範囲である。
【0026】
圧電セラミックシート22の厚さは、好ましくは0.010〜0.20mmの範囲、特に好ましくは0.020〜0.10mmの範囲である。小径貫通孔21の内径は、好ましくは0.010〜0.40mmの範囲、特に好ましくは0.020〜0.20mmの範囲である。小径貫通孔21のアスペクト比(=圧電セラミックシート22の厚さ/小径貫通孔21の内径)は、好ましくは0.1〜1.0の範囲、特に好ましくは0.2〜0.8の範囲である。
【0027】
小径貫通孔21を有する圧電セラミックシート22は、例えば、予め所望の厚さに形成した薄肉の圧電セラミックシートに穿孔により所定の位置に貫通孔を形成する方法、あるいは所望の厚さよりも厚肉の圧電セラミック板に穿孔により所定の位置に貫通孔を形成し、ついで、圧電セラミック板の上下面のそれぞれを研磨する方法によって製造することができる。後者の穿孔の後に研磨する方法が好ましい。
【0028】
図3は、(2)の工程に従って、圧電セラミックシート22の下面に、下側電極層23と導電層24とを付設した後の圧電セラミックシートの一例の部分拡大背面図である。図3において、下側電極層23は各貫通孔21に対応してそれぞれ一個ずつ形成されているが、下側電極層23は縦又は横方向に延びたストライプ状に形成してもよく、また圧電セラミックシート22の下面全体に形成してもよい。
【0029】
図4は、(3)の工程に従って、圧電セラミックシート22の上面に導電層24、下側電極層用端子電極層25、上側電極層26及び上側電極層用端子電極層27を付設した後の圧電セラミックシートの一例の部分拡大平面図であり、図5は、図4のI−I線断面図である。
【0030】
本発明では、(2)の工程において、下側電極層23と導電層24とを付設し、(3)の工程において、導電層24と下側電極層用端子電極層25とを付設することによって、下側電極層23と導電層24と下側電極層用端子電極層25とが一体的に高い導電性を持って形成される。また、(3)の工程において、上側電極層26と上側電極層用端子電極層27とを付設することによって、上側電極層26と上側電極層用端子電極層27とも一体的に高い導電性を持って形成される。なお、(2)の工程と(3)の工程は、順序を逆にしてもよい。
【0031】
各電極層のパターンは、例えば、マスク材を用いたイオンプレーティング法、蒸着法、スパッタ法により形成することができる。
【0032】
図6は、(4)の工程に従って、図4の圧電セラミックシート22に音響整合層28を形成した後の圧電セラミックシートの一例の部分拡大平面図である。図6において、音響整合層28は複数個の上側電極層26の表面に横方に延びたストライプ状に形成されているが、音響整合層28は各上側電極層26に対応してそれぞれ一個ずつ形成してもよいし、上側電極層用端子電極層27及び下側電極層用端子電極層25が形成されている部分を除く、圧電セラミックシート22の上面全体に形成してもよい。
【0033】
音響整合層28は、音響整合層形成用樹脂シートを貼り合わせる方法、あるいは液状の音響整合層形成用樹脂材料を塗布して、硬化させる方法などによって形成することができる。
【0034】
図7は、(5)の工程に従って、図6の圧電セラミックシート22に吸音層29を形成した後の圧電セラミックシートの一例の部分拡大背面図である。図7において、吸音層29は複数個の下側電極層23の表面に横方に延びたストライプ状に形成されているが、吸音層29は各下側電極層23に対応して一個ずつ形成してもよいし、圧電セラミックシート22の下面全体に形成してもよい。
【0035】
吸音層29は、吸音層形成用シートを貼り合わせる方法、あるいは液状の吸音層形成用材料を塗布して、硬化させる方法などによって形成することができる。
【0036】
上側電極層用端子電極層及び下側電極層用端子電極層とリード線とを接合材によって接続する場合は、音響整合層28の形成[(4)の工程]の後、圧電セラミックシートの裁断[(6)の工程]の前に、上側電極層用端子電極層と下側電極層用端子電極層のそれぞれに接合材層を形成しておくことが好ましい。図8は、上側電極層用端子電極層27と下側電極層用端子電極層25のそれぞれに接合材層30を形成した後の圧電セラミックシートの一例の部分拡大平面図である。接合材層30の形成は、吸音層の形成[(5)の工程]前に行なってもよい。
【0037】
図9は、(6)の工程に従って、圧電セラミックシート22を裁断する際の裁断線31を示す圧電セラミックシートの一例の部分拡大平面図である。本発明では、裁断線31に従って小径貫通孔21を横断するように、圧電セラミックシート22を裁断することによって、小径貫通孔21の内壁面が、圧電セラミックシート片の側面に凹部として現れる。小径貫通孔21と共に、リードを固定するための上側電極層用端子電極層27と下側電極層用端子電極層25とが裁断され、電極層のリード線との接続部分が狭い、小型の超音波探触子を得ることができる。
【0038】
そして、(7)の工程で、上記(6)の工程によって得られた圧電セラミックシート片の上側電極層用端子電極層と下側電極層用端子電極層のそれぞれに接合材層を介してリード線を接続することによって、前記図1に示した超音波探触子を製造することができる。
【0039】
上記(4)の工程乃至(6)の工程の順序は任意に決定することができる。例えば、音響整合層の形成と吸音層の形成とを逆にしてもよいし[(5)、(4)、(6)の工程の順]、音響整合層を形成し、ついで圧電セラミックシートを裁断した後、吸音層を形成してもよいし[(4)、(6)、(5)の工程の順]、さらに、圧電セラミックシートを裁断した後、音響整合層と吸音層とを形成してもよい[(6)、(4)、(5)の工程の順]。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に従う超音波探触子の一例の斜視図である。
【図2】本発明の超音波探触子の製造方法において用いる、小径貫通孔を有する圧電セラミックシートの一例の平面図である。
【図3】図2の圧電セラミックシートに下側電極層と貫通孔内壁面の導電層を形成した後の圧電セラミックシートの一例の部分拡大背面図である。
【図4】図3の圧電セラミックシートに上側電極層、上側電極層用端子電極層、下側電極層用端子電極層、及び貫通孔内壁面の導電層を形成した後の圧電セラミックシートの一例の部分拡大平面図である。
【図5】図4のI−I線断面図である。
【図6】図4の圧電セラミックシートに音響整合層を形成した後の圧電セラミックシートの一例の部分拡大平面図である。
【図7】図6の圧電セラミックシートに吸音層を形成した後の圧電セラミックシートの一例の部分拡大背面図である。
【図8】図7の圧電セラミックシートの上側電極層用端子電極層と下側電極層用端子電極層のそれぞれに接合材層を形成した後の圧電セラミックシートの一例の部分拡大平面図である。
【図9】圧電セラミックシートの裁断線を説明する圧電セラミックシートの一例の部分拡大平面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 凹部
2 圧電セラミックシート片
3 上側電極層
4 上側電極層用端子電極層
5 下側電極層
6 導電層
7 下側電極層用端子電極層
8 接合材層
9a 上側電極層用リード線
9b 下側電極層用リード線
10 音響整合層
11 吸音層
21 小径貫通孔
22 圧電セラミックシート
23 下側電極層
24 導電層
25 下側電極層用端子電極層
26 上側電極層
27 上側電極層用端子電極層
28 音響整合層
29 吸音層
30 接合材層
31 裁断線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の工程を含む超音波探触子の製造方法:
(1)シート平面に沿って整列配置された多数の小径貫通孔を有する圧電セラミックシートを用意する工程;
(2)該圧電セラミックシートの下面に、各貫通孔の下面開口部に接する下側電極層を形成し、また各貫通孔の内壁面に導電層を付設する工程;
(3)該圧電セラミックシートの上面に、各貫通孔の上面開口部の周囲に下側電極層用端子電極層を、そして上記下側電極層に対面し、かつ該下側電極層用端子電極層とは電気的に接触しない位置に、上側電極層と該上側電極層に電気的に接続する上側電極層用端子電極層とを形成し、さらに各貫通孔の内壁面に導電層を付設する工程;
(4)上側電極層の表面に音響整合層を付設する工程;
(5)下側電極層の表面に吸音層を付設する工程;
(6)少なくとも上記(2)の工程と(3)の工程とを経た圧電セラミックシートについて、貫通孔を横断し、かつ各貫通孔の導電層に電気的に接続されている下側電極層と下側電極層用端子電極層、そして該下側電極層と対面している上側電極層を一区画内に包含させるように裁断する工程;
(7)上側電極層用端子電極層と下側電極層用端子電極層のそれぞれにリード線を接続する工程;
ただし、(2)の工程と(3)の工程とは順序が逆でもよく、(4)の工程乃至(6)の工程の順序は任意である。
【請求項2】
(1)の工程で用意される圧電セラミックシートが、圧電セラミック板に穿孔により所定の位置に貫通孔を形成し、ついで、該圧電セラミック板の上下面のそれぞれを研磨することによって製造されたものである請求項1に記載の超音波探触子の製造方法。
【請求項3】
厚み方向に伸びた凹部を側面に有する矩形の圧電セラミックシート片、該圧電セラミックシート片の上面に備えられた上側電極層と該上側電極層に電気的に接続する上側電極層用端子電極層、該圧電セラミックシート片の下面に備えられた下側電極層、該下側電極層に電気的に接続する上記凹部に備えられた導電層、該導電層に電気的に接続する圧電セラミックシート片の上面に備えられた下側電極層用端子電極層、上側電極層用端子電極層と下側電極層用端子電極層のそれぞれに付設されたリード線、上側電極層の上面に備えられた音響整合層、そして下側電極層の下面に備えられた吸音層を含む超音波探触子。
【請求項4】
圧電セラミックシート片が、圧電セラミック板に穿孔により所定の位置に貫通孔を形成し、ついで、該圧電セラミック板の上下面のそれぞれを研磨した後、矩形に裁断されたものである請求項3に記載の超音波探触子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−152785(P2009−152785A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−327778(P2007−327778)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(000189486)上田日本無線株式会社 (29)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】