説明

超音波流量計

【課題】復帰漏洩確認動作前の増幅率の大小にかかわらず早く適切に計量機能、保安機能の停止を解除し、保安機能の停止が継続されて誤計量・誤動作の発生の惧れが生じるのを防止することができる流量計を提供する。
【解決手段】流体の流路1と、遮断弁2と、超音波センサ31a,31bで発生した検知電圧を所定の電圧範囲に収まるように増幅する増幅手段と、伝播時間計測手段と、流量算出手段と、復帰漏洩確認手段と、復帰後、増幅手段における増幅率Gが解除用閾値G2以下となるまで計量機能、保安機能を停止する計量保安停止手段とを備える。所定時間T4毎に、その所定時間T4内の増幅率Gの情報から基準増幅率G3を算出する基準増幅率算出手段と、復帰前の基準増幅率G3をもとに解除用閾値G2を設定する解除値設定手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスのような流体の流量を計測する超音波流量計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、流体(特に、都市ガスのようなガス)の流量を計測するのに膜式ガス流量計と呼ばれる機械式のメーターが用いられてきたが、近年、超音波により計測する超音波流量計が開発されている。
【0003】
超音波流量計は、流体の流路の上流側と下流側に一対の超音波センサが配置される。上流側から送信した超音波を下流側で受信するまでの時間と、下流側から送信した超音波を上流側で受信するまでの時間をそれぞれ計測し、この伝播時間の逆数差から流体の流量Q(L/h)を求める。通常この流量計測は例えば2秒等、1〜3秒の所定時間毎に行われ、2秒の場合にはQ÷3600×2(L)が積算値として加算されていく。
【0004】
また、膜式ガス流量計にしても超音波流量計にしても、計量機能に加え、感震器、圧力センサ、遮断弁を内蔵し、異常時にガスを止める保安機能を備えるのが一般的である。
【0005】
すなわち、一定以上の震度の地震を感震器で検知したときや、一定以下の圧力の低下を圧力センサで検知したとき、ガスの異常に大きな流れを検知したときに遮断弁を閉止する。
【0006】
さらに、流量計は復帰機能を備えるのが一般的である。
【0007】
メーター前面に配された復帰ボタンを押すことで、メーターは一連の復帰漏洩確認機能の動作を開始する。
【0008】
これは、まず、遮断弁を例えば5秒等の所定時間開き、メーター上流側のガスを流入させた後、遮断弁を閉止し、例えば10秒等の所定時間待つことで、圧力の安定を図る。
【0009】
その後、遮断弁を閉止したまま、例えば30秒等の所定時間の圧力が低下するか否かを判定する。
【0010】
例えば30秒等の前記所定時間に圧力が低下しなかった場合、超音波流量計の下流側に異常がないものと判断し、遮断弁を開き、通常通りガスが使えるようになる。
【0011】
例えば30秒等の前記所定時間に圧力が低下した場合は、下流側にガス配管の折損等の異常が懸念されると判断し、遮断弁を閉じたまま、復帰漏洩確認異常の表示を出力する。
【0012】
この機能を備えることで、顧客が超音波流量計を安全に自ら復帰できる。
【0013】
さて、超音波流量計においては、受信側で検知する超音波の大きさは、流体の種類(13Aガス、空気)や温度、流速により変化するため、受信回路の後段に検知電圧を所定の電圧範囲に収まるように自動で増幅する増幅手段を備える。
【0014】
増幅の度合いは限られているため、なんらかの故障等の要因で極端に検知電圧が低下したときは限界まで増幅の度合いを上げるものの、所定の電圧範囲に収めることができず、計測が不正確な状態となる。不正確な計測値を元に計量機能、保安機能を動作させるのは好ましくないため、超音波流量計は、増幅手段での増幅率Gが所定の閾値G1以上となることが一定回数以上継続すると、遮断弁を閉じる異常検知手段を備えている。
【0015】
しかしながら、超音波流量計において、故障等の要因がなくても、空気とガスが流路内に偏在し、一対の超音波センサ間の流体が均一な気体でないとき、一時的に検知電圧が低下することが知られている。
【0016】
この状態は、空気とガスが混じりあい、およそ均一な状態になれば解消され、その時間は数分であることがわかっている。
【0017】
超音波流量計が取り付けられるときは超音波流量計内は空気であり、取り付け後、ガスに置換される。このため、取り付け後の復帰漏洩確認機能を動作終了した後にこのような状況になることがある。
【0018】
このことから、不正確な計測値を元に計量機能、保安機能を動作させるのを防ぐため、復帰漏洩確認機能の動作完了後、増幅率Gが一定の解除用閾値G2以下になるまでは、計量機能、保安機能を停止することが考えられる。
【0019】
なお、この方法において、復帰漏洩確認機能の動作完了後、増幅率Gが解除用閾値G2以下であれば、計量機能、保安機能は停止することなく、即、動作開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2004−144642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、解除用閾値G2を所定の固定値としたとき、復帰漏洩確認動作前の増幅率Gがもともと大きかった場合には、正常時の増幅率Gがもともと小さい場合に比べて、増幅率Gが解除用閾値G2以下となるのに時間を要し、場合によっては解除用閾値G2以下にならず、計量機能、保安機能を停止した状態の継続時間が長くなってしまい、場合によっては保安機能の停止が解除されないこともあり、保安上好ましくないものであった。また、この点を解消するため解除用閾値G2に大きな値を設定すると、保安機能の回復は早くなるものの、増幅率Gが大きい状態での流量の計測は不安定で、誤計量・誤動作の発生の惧れが生じてしまうものであった。
【0022】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、復帰漏洩確認動作前の増幅率の大小にかかわらず早く適切に計量機能、保安機能の停止を解除し、保安機能の停止が継続されて誤計量・誤動作の発生の惧れが生じるのを防止することができる流量計を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る超音波流量計は、
流体の流路1の上流側と下流側とに配置されそれぞれ超音波の送受波を行う一対の超音波センサ31a,31bと、
前記流路1の途中に設けられる遮断弁2と、
前記一対の超音波センサ31a,31bで発生した検知電圧を所定の電圧範囲に収まるように自動で増幅する増幅手段と、
前記増幅手段で増幅された増幅電圧を受けて前記一対の超音波センサ31a,31b間の超音波の伝播時間t1,t2を計測する伝播時間計測手段と、
前記伝播時間計測手段で計測した前記伝播時間t1,t2から前記流路1を流れる流体の流量を算出する流量算出手段と、
所定圧力低下判定時間T1内の圧力低下が一定値未満であれば復帰成功として遮断弁を開き、一定値以上であれば復帰失敗として遮断弁を閉じたまま復帰失敗の表示を出力する復帰漏洩確認動作を行う復帰漏洩確認手段と、
復帰成功として遮断弁を開いた後、前記増幅手段における増幅率Gが解除用閾値G2以下となるまで計量機能、保安機能を停止し前記解除用閾値G2以下となると計量機能、保安機能の停止を解除する計量保安停止手段と、
を備え、
所定時間T4毎に、その所定時間T4内の前記増幅率Gの情報から基準増幅率G3を算出する基準増幅率算出手段と、前記基準増幅率G3を直近の2つ以上記憶する記憶手段と、前記復帰漏洩確認動作前の前記基準増幅率G3をもとに前記解除用閾値G2を設定する解除値設定手段と、
を設けてなることを特徴とする。
【0024】
これにより、復帰漏洩確認動作前の増幅率の大小にかかわらず早く適切に計量機能、保安機能の停止を解除することができる。
【0025】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記基準増幅率算出手段は、前記所定時間T4内の前記増幅率Gの最小値を基準増幅率G3として算出することを特徴とする。
【0026】
これにより、所定時間T4内に最も増幅率Gが低く安定であったときの値を基準として用いることができる。
【0027】
また、請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、前記解除用閾値G2は、2つ以上前の基準増幅率G3をもとに設定することを特徴とする。
【0028】
これにより、1つ前の基準増幅率G3は超音波流量計が取り付けられる直前であるがゆえに基準増幅率G3が参照する値として適切でない可能性があるため、この場合に適切でない値が参照されることを排除できる。
【0029】
また、請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に係る発明において、前記解除用閾値G2は、前記基準増幅率G3に所定の値を加算することで設定することを特徴とする。
【0030】
一般的に内部の気体が空気の場合に比してガスの場合の方が、増幅率は高い。そして、超音波流量計が取り付けられるときは超音波流量計内は空気であり、取り付け後、ガスに置換される。このため、この差に応じた所定の値を加算することで、妥当な閾値が得られる。
【発明の効果】
【0031】
本発明にあっては、計量・保安機能の停止が継続されて誤計量・誤動作の発生の惧れが生じるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の流量計の一実施形態の概略構成図である。
【図2】増幅率のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の一実施形態について説明する。流体は、本実施形態は都市ガスのようなガスであるが、他の流体であってもよく特に限定されない。
【0034】
超音波流量計は、図1に示すように、流体(ガス)の流路1の適宜箇所に配置され、遮断弁2と流量計測部3とを備えている。流量計測部3は、流路1の上流側と下流側とにそれぞれ超音波の送受波を行う一対の超音波センサ31a,31bを配置した構成を有する。一対の超音波センサ31a,31bは、互いに対向するとともに、超音波センサ31a,31bの間で送受される超音波の進行方向と流体が流路1を通過する方向とが角度θをなして交差するように配置される。両超音波センサ31a,31bは、超音波センサ駆動回路30に接続される。超音波センサ駆動回路30は、超音波センサ31a,31bの各一方を駆動して超音波パルスを送波させるとともに他方で受波した超音波パルスの波形整形を行う。
【0035】
制御部4は、マイクロコンピュータを主構成要素とし、レジスタやタイマー機能をはじめとする後述する各種機能を備え、流量計測部3の動作の制御、流量計測部3の出力によるガスの流量の計測、流量計測部3の出力に基づく遮断弁2の制御などを行う。ガスの使用量は流量計測部3でのガスの流量の計測結果に基づいて制御部4で求められ制御部4に接続した液晶表示器からなる表示部5に表示される。制御部4にはEEPROMのような書換可能な不揮発性のメモリ6が接続される。また、制御部4には制御信号によって遮断弁2を駆動する遮断弁駆動回路7も接続される。
【0036】
制御部4では超音波センサ駆動回路30を介して超音波センサ31a,31bの送波タイミングを制御している。そして、超音波流量計は、超音波センサ31a,31bで発生した検知電圧を所定の電圧範囲に収まるように自動で増幅する増幅手段を備えるもので、本実施形態の増幅手段は、増幅器32と、制御部4が一機能として備える増幅率設定部46とで構成される。なお、このような増幅手段は公知のものが適宜使用可能であり、詳細な説明は省略する。
【0037】
また超音波流量計は、増幅器32からの増幅電圧を受けて超音波センサ31a,31b間の超音波の伝播時間を計測する伝播時間計測手段と、伝播時間計測手段で計測した伝播時間から流路1を流れる流体の流量を算出する流量算出手段と、を備えている。本実施形態の伝播時間計測手段と流量算出手段は、制御部4が一機能として備える伝播時間計測部41と流量算出部42とで構成される。
【0038】
図1に示す構成の超音波流量計を用いて流量を計測するには、上流側の超音波センサ31aから下流側の超音波センサ31bに向かって超音波を送波したときの超音波の伝播時間t1と、下流側の超音波センサ31bから上流側の超音波センサ31aに向かって超音波を送波したときの超音波の伝播時間t2とを用いる。いま、両超音波センサ31a,31bの間の距離をd、流体の流速をv、音速をcとすると、以下の関係が得られる。
(c+v・cosθ)t1=d
(c−v・cosθ)t2=d
従って、流速vは、
v=(d/2cosθ){(1/t1)−(1/t2)}
のように表すことができる。このように流速vを求める方法を伝播時間逆数差法という。ここで、一般に超音波センサ31a,31bの間の距離dは8〜10cm程度に設定され、流路内での音速cは約400m/secであるから、伝播時間t1,t2は200〜250μsec程度になる。
【0039】
このように求めた流速vに流路1の断面積Sを乗じた値が瞬時流量qになる。つまり、瞬時流量qは次式で表される。
q=v・S
超音波流量計では各超音波センサ31a,31bをそれぞれ送波側として超音波パルスを1回ずつ送受波する動作が1組の動作になり、少なくとも1組の動作を行えば瞬時流量qを求めることができる。また、瞬時流量qは間欠的に計測され、瞬時流量qを求めた時間間隔(例えば2〜3sec)を瞬時流量qに乗じることによって積算流量Qが求められる。このようにして求めた各時間間隔毎の積算流量Qを積算した値は流路1を通過した流体の総量(ガスの使用量)に相当する。
【0040】
ここで、上記のように1個の超音波パルスのみで流速vを決定すると十分な計測精度が得られないため、計測精度を高めるためにシングアラウンド法と称される方法により計測処理を行う。すなわち、シングアラウンド法においては、両超音波センサ31a,31bのうちの一方から複数個の超音波パルスを繰り返して発生させた後、遅延時間をおいて他方から複数個の超音波パルスを繰り返して発生させ、複数個の平均をとるものである。例えば、一方の超音波センサ31aから100個の超音波パルスを繰り返して発生させて計測した合計伝播時間を個数の100で除した値が、平均された伝播時間t1となり、その後に他方の超音波センサ31bから100個の超音波パルスを繰り返して発生させて計測した合計伝播時間を個数の100で除した値が、平均された伝播時間t2となる。各合計伝播時間は200〜250μsec×100=20〜25msec程度であり、両合計伝播時間を合わせても40〜50msec程度であり、瞬時流量qを求めるための上記時間間隔(例えば2〜3sec)内に充分に収まるものである。
【0041】
また超音波流量計は、上述した計量機能に加え、感震器21と圧力センサ22を内蔵し、一定以上の震度の地震を感震器21で検知した時や、一定以下の圧力の低下を圧力センサ22で検知した時や、上記計量機能にてガスの異常に大きな流れを検知した時に、遮断弁2を閉止してガスを止める保安機能を備えるもので、本実施形態では、遮断弁2と、制御部4が一機能として備え感震器21や圧力センサ22の検知値を処理する保安制御部43と、遮断弁駆動回路7とで構成される。また超音波流量計は、復帰機能を備えている。超音波流量計には、前面等に復帰ボタン(図示せず)が設けられており、この復帰ボタンを押すことで、復帰漏洩確認手段により、一連の復帰漏洩確認機能の動作が開始される。
【0042】
復帰漏洩確認手段は、制御部4が一部として備える復帰漏洩確認部44で構成されるもので、復帰漏洩確認機能は、例えば30秒等の所定圧力低下判定時間T1内の圧力低下が一定値未満であれば復帰成功として遮断弁2を開き、前記一定値以上であれば復帰失敗として遮断弁2を閉じたまま復帰失敗の表示を出力するもので、以下に詳述する。
【0043】
まず、遮断弁2を例えば5秒等の所定時間T2開き、超音波流量計の上流側のガスを流入させた後、遮断弁2を閉止し、例えば10秒等の所定時間T3待つことで、圧力の安定を図る。その後、遮断弁2を閉止したまま、例えば30秒等の所定圧力低下判定時間T1の圧力が低下するか否かを判定する。
【0044】
所定圧力低下判定時間T1内に圧力が低下しなかった場合、下流側に異常がないものと判断して遮断弁2を開き、通常通りガスが使えるようにする。
【0045】
所定圧力低下判定時間T1に圧力が低下した場合は、下流側にガス配管の折損等の異常が懸念されると判断して遮断弁2を閉じた状態を維持し、復帰漏洩確認異常の表示を出力する。
【0046】
また超音波流量計は、復帰成功として遮断弁2を開いた後、増幅率Gが解除用閾値G2以下に減少するまで計量機能、保安機能を停止し、増幅率Gが解除用閾値G2以下に減少すると計量機能、保安機能の停止を解除する計量保安停止手段を備えるもので、本実施形態では制御部4が一機能として備える計量保安停止部45で構成される。
【0047】
本発明においては、解除用閾値G2として、所定の固定値ではなく、復帰漏洩確認動作前の増幅率Gに応じた値を用いるべく、例えば1時間等の所定時間T4毎に、その所定時間T4内の増幅率Gの情報から基準増幅率G3を算出する基準増幅率算出手段と、基準増幅率G3を直近の2つ以上記憶する記憶手段と、復帰漏洩確認動作前の基準増幅率G3をもとに解除用閾値G2を設定する解除値設定手段と、を備えるもので、本実施形態では、記憶手段はメモリ6で構成されると共に、基準増幅率算出手段と解除値設定手段は、制御部4が一機能として備える基準増幅率算出部47と、解除値設定部48で構成される。
【0048】
基準増幅率算出手段は、所定時間T4毎に、その所定時間T4内の増幅率Gの情報から基準増幅率G3を算出するもので、本実施形態では前記所定時間T4内の増幅率Gの最小値を基準増幅率G3として算出するものである。
【0049】
記憶手段は、基準増幅率G3を直近の2つ以上記憶するもので、例えば、図2に示すように、現時点より前のある時点からその1時間前までの所定時間T4内の増幅率Gから算出された基準増幅率G3(1)と、ある時点より1時間前からある時点より2時間前までの所定時間T4内の増幅率Gから算出された基準増幅率G3(2)と、を少なくとも記憶するもので、同様にして更に以前の所定時間T4内の増幅率Gから算出された基準増幅率基準増幅率G3(3)、G(4)等を記憶してもよい。本実施形態では、2つ以上前の所定時間T4内の基準増幅率G3、すなわちn≧2なるG3(n)を用いて、解除値設定部48で解除用閾値G2を設定する。
【0050】
解除値設定部48は、復帰漏洩確認動作前の基準増幅率G3をもとに解除用閾値G2を設定するのであるが、本実施形態では前記基準増幅率G3に所定の値を加算することで設定するものである。
【0051】
以上のように、復帰漏洩確認動作前の前記基準増幅率G3をもとに前記解除用閾値G2を設定することで、復帰漏洩確認動作前の増幅率Gの大小にかかわらず早く適切に計量機能、保安機能の停止を解除することができる。
【0052】
また、増幅率Gの最小値を基準増幅率G3とすることで、所定時間内に最も増幅率Gが低く安定であったときの値を基準として用いることができる。
【0053】
また、解除用閾値G2を2つ以上前の基準増幅率G3をもとに設定するで、1つ前の基準増幅率G3が、超音波流量計が取り付けられる直前であって適切でない場合でも、この1つ前の適切でない値が参照されるのを排除できる。
【0054】
また、解除用閾値G2を基準増幅率G3に所定の値を加算して設定することで、空気とガスの置換による増幅率Gの変化に応じた所定の値を加算することで、妥当な閾値が得られる。
【符号の説明】
【0055】
1 流路
2 遮断弁
3 流量計測部
30 超音波センサ駆動回路
31a 超音波センサ
31b 超音波センサ
32 増幅器
4 制御部
41 伝播時間計測部
42 流量算出部
43 保安制御部
44 復帰漏洩確認部
45 計量保安停止部
46 増幅率設定部
47 基準増幅率算出部
48 解除値設定部
5 表示部
6 メモリ
7 遮断弁駆動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流路の上流側と下流側とに配置されそれぞれ超音波の送受波を行う一対の超音波センサと、
前記流路の途中に設けられる遮断弁と、
前記一対の超音波センサで発生した検知電圧を所定の電圧範囲に収まるように自動で増幅する増幅手段と、
前記増幅手段で増幅された増幅電圧を受けて前記一対の超音波センサ間の超音波の伝播時間を計測する伝播時間計測手段と、
前記伝播時間計測手段で計測した前記伝播時間から前記流路を流れる流体の流量を算出する流量算出手段と、
所定圧力低下判定時間内の圧力低下が一定値未満であれば復帰成功として遮断弁を開き、一定値以上であれば復帰失敗として遮断弁を閉じたまま復帰失敗の表示を出力する復帰漏洩確認動作を行う復帰漏洩確認手段と、
復帰成功として遮断弁を開いた後、前記増幅手段における増幅率が解除用閾値以下となるまで計量機能、保安機能を停止し前記解除用閾値以下となると計量機能、保安機能の停止を解除する計量保安停止手段と、
を備えた超音波流量計であって、
所定時間毎に、その所定時間内の前記増幅率の情報から基準増幅率を算出する基準増幅率算出手段と、前記基準増幅率を直近の2つ以上記憶する記憶手段と、前記復帰漏洩確認動作前の前記基準増幅率をもとに前記解除用閾値を設定する解除値設定手段と、
を設けてなることを特徴とする超音波流量計。
【請求項2】
前記基準増幅率算出手段は、前記所定時間内の前記増幅率の最小値を基準増幅率として算出することを特徴とする請求項1記載の超音波流量計。
【請求項3】
前記解除用閾値は、2つ以上前の基準増幅率をもとに設定することを特徴とする請求項1または2記載の超音波流量計。
【請求項4】
前記解除用閾値は、前記基準増幅率に所定の値を加算することで設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の超音波流量計。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−215464(P2012−215464A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80767(P2011−80767)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】