説明

超音波燃料測定システム

この発明は、燃料タンクシステムに飛行機の超音波燃料測定システムを与える。燃料タンクシステムは、燃料タンク、分離壁で覆われて燃料タンクの表面に結合されるトランスデューサキャリアテープ、およびトランスデューサキャリアテープに取付けられる少なくとも1つの超音波トランスデューサを含む。少なくとも1つの超音波トランスデューサからの超音波信号は燃料−空気の表面から反射され、反射される信号は少なくとも1つの超音波トランスデューサによって受取られて、燃料タンクの燃料の液位を判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
この発明は一般に流体の液位測定システムおよびそれらのシステムの統合に関する。特に、より具体的には、この発明は燃料タンクの燃料の量を判断するための超音波燃料タンク測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
飛行機の燃料監視システムは、典型的には容量型燃料測定センサを使用する。これらのセンサは、燃料−空気の界面上部の圧力の測定に対してタンクの底部付近の圧力を測定し、その圧力差から流体の高さを判断することによって、タンクの燃料の量を判断する。流体の高さおよびタンクの幾何学的形状の知識から、タンクの燃料の量が確かめられるであろう。容量型燃料測定センサは、ダイヤフラムまたは他の変形可能なエレメントを撓ませ、容量性ピックオフメカニズムでその撓みを測定することによって、圧力差を判断する。このような検出メカニズムには典型的に、燃料タンクの内側もしくは燃料パイプに沿って存在するであろう配線またはケーブル布線とともに、燃料タンクおよび関連付けられる管の1箇所以上に、圧力測定のための圧力ポートにアクセスするための入口が必要となる。これらの比較的大きく、嵩高いトランスデューサを有する燃料の量の測定システムは重く、いくつかのタンクとの接続箇所を必要とする。
【0003】
改良された飛行機の燃料監視システムにより、圧力センサおよびその関連付けられる圧力ポートの必要性が無くなり、燃料との接触が最小になるか、または燃料との接触がなくなることになる。このシステムは電磁干渉(EMI)の影響を受けにくく、燃料タンクまたは燃料測定システムに対する損傷を検出することもできる。燃料タンク測定システムは、小さく小型で軽量の、燃料の高さまたは燃料の液位測定システムから恩恵を受けることになり、その結果かなりの重量およびスペースの節約につながる。
【0004】
燃料タンクの燃料の液位を監視するための容量型燃料測定センサの欠点および障害を克服する、統合された燃料タンクシステムを与えることは望ましい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
この発明の1つの局面は燃料タンクシステムを与える。このシステムは、燃料タンク、燃料タンク構造に埋込まれるトランスデューサキャリアテープ、およびトランスデューサキャリアテープに取付けられる少なくとも1つの超音波トランスデューサを含む。少なくとも1つの超音波トランスデューサから送られる超音波信号は燃料−空気の表面から反射され、反射される信号は少なくとも1つの超音波トランスデューサによって受取られて、燃料タンクの燃料の液位を判断する。
【0006】
トランスデューサキャリアテープはフレックス回路またはフレックステープであってもよい。トランスデューサキャリアテープは燃料タンクの基部に埋込まれてもよい。複合材料からなる1つ以上の層などの分離壁が、トランスデューサキャリアテープを燃料タンクの燃料から分離するように、トランスデューサテープを覆ってもよい。コントローラがトランスデューサキャリアテープおよび少なくとも1つの超音波トランスデューサに接続されてもよい。燃料タンクの燃料の液位は、超音波トランスデューサの少なくとも1つからの送られる超音波信号と反射される信号との間の経過時間を測定し、燃料における音速を
燃料の液位を判断するために使用することによって、判断される。
【0007】
この発明の別の局面は、燃料タンクの燃料の液位を判断する方法である。燃料タンクの燃料の液位は、燃料タンクの内側表面から超音波信号を送り、燃料タンクの燃料−空気の表面から反射される信号を受取り、超音波放出および反射信号に基づいて燃料の液位を判断することによって判断されるであろう。超音波放出は、燃料タンクの基部に埋込まれる複数の超音波トランスデューサのうちの1つから送られるであろう。燃料の液位は、超音波信号と反射信号との間の経過時間を測定することによって判断されるであろう。反射信号は、1つ以上の埋込まれる超音波トランスデューサで受取られるであろう。燃料の液位の判断を補償するために、燃料の温度が測定され、使用されるであろう。
【0008】
この発明の別の局面は、超音波燃料液位測定システムを有する燃料タンクを製造する方法である。少なくとも1つの超音波トランスデューサを有するトランスデューサキャリアテープが、燃料タンクの外殻の内側表面に接して位置決めされ、トランスデューサキャリアテープは分離壁で覆われる。
【0009】
この発明は、さまざまな実施例の添付の図面および以下に与えられる詳細な記載によって示される。図面はこの発明を特定の実施例に限定するために取り入れられるべきではなく、説明および理解のために取り入れられる。詳細な記載および図面はこの発明を限定するものではなく、単に示すものであり、この発明の範囲は特許請求の範囲およびその等価物によって規定される。この発明の前述の局面および他の付随する利点は、添付の図面とともに取り入れられる詳細な記載によってより容易に理解される。
【0010】
この発明のさまざまな実施例は、さまざまな実施例の添付の図面によって図示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
現在の好ましい実施例の詳細な説明
図1は、この発明の1つの実施例に従う、機器を備えた燃料タンクシステムを100に図示する。燃料タンクシステム100は、燃料120を入れる燃料タンク110、1つ以上の超音波トランスデューサ140を有するトランスデューサキャリアテープ130、および分離壁150を含む。
【0012】
燃料タンク110は、ガソリン、燃料油またはジェット燃料などを含んでもよい燃料120の格納容器である。たとえば、ジェット機での使用の1つの実施例では、燃料タンク110はより小さなプロペラ駆動の一般的な飛行機で使用するために50ガロンもしくはそれより少ない燃料を入れるか、またはより大きな民間航空機および軍用機のために1万ガロン以上の燃料を入れてもよい。燃料タンク110は、翼、胴体、または飛行機内の任意の好適な場所に位置してもよい。燃料タンク110は燃料で満たされるか、または部分的に満たされてもよい。部分的に満たされる燃料タンク110は、燃料120と、燃料タンク110の満たされていない部分を含む空気または他の気体材料との間の界面に、燃料−空気の表面122を有するであろう。
【0013】
ガラス繊維またはグラファイトエポキシを含む複合材料などのさまざまな材料が、燃料タンク110を構成するために使用されてもよい。燃料タンク110は複合材料を含んでもよい。複合材料は典型的には2つの構成要素、つまり繊維とマトリックスとを含む。高い引張強度の繊維がマトリックス全体に散布されてさらなる強度を与え、マトリックス材料の靭性および化学的不活性を増大させる。典型的なマトリックスシステムおよび繊維材料は、以下のうちの1つを含んでもよい。
【0014】
複合材料のためのマトリックス(樹脂)システムの典型的なタイプ
熱硬化性マトリックス樹脂
・ビスマレイミド
・シアン酸エステル
・エポキシ、250硬化
・エポキシ、350硬化
・強化エポキシ
・フェノール
・ポリエステル
・ポリイミド
・ビニルエステル
熱可塑性マトリックス樹脂
・液晶
・ポリアミド
・ポリアミド−イミド
・ポリアリーレンケトンスルフィド
・ポリエーテルケトン族(PEK、PEKK、PEEK)
・ポリエーテルイミド
・ポリエーテルスルホン
・ポリイミド
・ポリフェニレンスルフィド
複合材料のための繊維の典型的なタイプ
前駆物質を原料とする炭素繊維
・PAN繊維を原料とする炭素繊維
・ピッチ繊維を原料とする炭素繊維
・レーヨンを原料とする炭素繊維
有機繊維
・アラミド(ケブラー)
・PAN系炭素
・ピッチ系炭素
・レーヨン系炭素
・ポリベンゾイミダゾール
・ポリエチレン
無機繊維
・構造高強度ガラス繊維
・E−ガラス繊維
・アルミニウム
・ボラン
・クォーツ
・シリコンカーバイド
・他のセラミックス
タンクは単一の部品であり、単一の構成を有するか、またはいくつかのより小さな部品から組み立てられてもよい。
【0015】
トランスデューサキャリアテープ130は燃料タンク110の表面に結合される。トランスデューサキャリアテープ130は、基部または上部などの燃料タンク110の壁のうちの1つに取付けられるか、または燃料タンク110の壁のうちの1つの中に埋込まれてもよい。トランスデューサキャリアテープ130は、タンクの内側または外側に取付けられてもよい。トランスデューサキャリアテープ130はタンクの壁に取付けられ、タンクの壁の中にトランスデューサキャリアテープ130を埋込むようにタンクの材料で覆われてもよい。トランスデューサキャリアテープ130は、テープに据え付けられるか、また
は取付けられる1つ以上の超音波トランスデューサ140を含む。
【0016】
トランスデューサキャリアテープ130はフレックス回路またはフレックステープを含んでもよい。トランスデューサキャリアテープ130は概して、超音波トランスデューサ140、およびテープ内部の電気線の1つ以上の層を含むフレキシブルテープまたは回路である。トランスデューサキャリアテープ130は、ポリイミドなどの1つ以上のパシベーション層によって分離される、銅、アルミニウムまたは金などの1つ以上の金属層上に、超音波トランスデューサおよび相互配線を含むフレックス回路またはフレックステープであってもよい。フレックステープおよびフレックス回路は典型的には、1つ以上の能動または受動の電子デバイス、金属層の間のビア、および任意の能動または受動の電子デバイスを取付けるためのはんだパッドを含む、薄い、多層のフレキシブル回路基板である。フレックステープおよびフレックス回路は、短いストリップ、長いストリップ、相互接続ストリップ、長方形部分、円形部分、またはその任意の組合せなどのさまざまな形状に形成されてもよい。トランスデューサ、相互配線、線、コネクタおよび任意の他の回路素子が、燃料の高さまたは燃料の液位の表示を与えるのに所望であるように、トランスデューサキャリアテープ130上に位置決めされてもよい。
【0017】
超音波トランスデューサ140はトランスデューサキャリアテープ130に沿って、1つ以上のトランスデューサパッドに位置決めされる。1つ以上の超音波トランスデューサが各々のトランスデューサパッドに位置してもよい。超音波トランスデューサ140の位置は、飛行機のタンクの幾何学的形状およびタンクの向きによって決定される。超音波トランスデューサ140は、上部および底部、または底部に沿ったさまざまな場所などの、タンクの1箇所以上の場所に位置してもよい。複数の超音波トランスデューサ140は燃料の液位の判断における精度の向上のためにさらなる信号を与え、信頼性および冗長性を付加する。超音波トランスデューサ140は、平均的な燃料の液位が判断され得るように複数の燃料の液位の測定を行なう目的で、燃料タンク110の幅または長さに沿って位置決めされてもよい。
【0018】
少なくとも1つの超音波トランスデューサ140は燃料120に超音波信号142を放出し、送る。燃料−空気の界面122で、音波は部分的に反射し、反射される超音波信号または反射される信号144は燃料を介して超音波トランスデューサ140に戻る。反射信号144は少なくとも1つの超音波トランスデューサ140によって受取られて、燃料タンクの燃料の液位を判断する。超音波トランスデューサ140は、反射信号144によって変形されると、典型的に電圧または電荷を発生させる。発生する電圧または電荷は超音波燃料測定コントローラによって燃料の液位を判断するために使用され得る。
【0019】
分離壁150は、トランスデューサキャリアテープ130を覆うか、または包み、トランスデューサキャリアテープ130を燃料タンクの燃料から絶縁または分離するように、トランスデューサキャリアテープ130上に配置されてもよい。分離壁150はまた、燃料120をトランスデューサキャリアテープ130内部の接続線から分離する。分離壁150は、トランスデューサキャリアテープ130が燃料タンクの内側または外側に取付けられた後、そのテープの上に置かれてもよい。分離壁150は複合材料を含んでもよい。分離壁150はタンクを形成するために使用されるのと同様の材料から形成されてもよく、それによってトランスデューサキャリアテープ130をタンクの壁の中に埋込む。超音波トランスデューサ140からの超音波放出は、燃料120を介して伝播する前に、タンクの壁のある部分を横切るであろう。タンクの壁を横切るのに必要な時間は、燃料の液位を判断するときには、減算されてもよい。
【0020】
図2は、この発明の1つの実施例に従う、超音波燃料測定計測のための超音波トランスデューサを有するトランスデューサキャリアテープの図を200に示す。超音波燃料測定
システム200は、トランスデューサキャリアテープ230および少なくとも1つの超音波トランスデューサ240を含む。超音波燃料測定システムコントローラ260は、超音波燃料測定システム200に接続されて示される。
【0021】
トランスデューサキャリアテープ230は、相互接続配線または線232の少なくとも1つの層、およびテープに取付けられる少なくとも1つの超音波トランスデューサ240を含む。線232は、テープに沿って超音波トランスデューサ240に電気的な接続を与える。線232は、当該技術に周知であるように、たとえば段部をパターニングおよびエッチングすることによって形成されるトランスデューサキャリアテープ230の1つ以上の金属層上に位置してもよい。線は、ポリイミド、ポリエステル、マイラー、または他の好適な高分子材料からなる薄い絶縁層の間に挟まれる、銅、ベリリウム銅、ニッケル、錫、ステンレス鋼、アルミニウムまたは金からなる薄く、狭いストリップを含んでもよい。1つ以上の線が各々の超音波トランスデューサ240に接続されてもよい。線232はトランスデューサキャリアテープ230上の各々のトランスデューサに接続されてもよい。たとえば、代替的には、共通の駆動信号または共通の接地などの1つ以上の線が、テープに沿ったすべてのトランスデューサに共通して接続されてもよい。線のさらなる組が戻り信号のために含まれるか、または戻り信号がトランスデューサを駆動するために使用されるのと同じ組の線に沿って送り返されてもよい。終端抵抗器およびデカップリングコンデンサなどの他の活性および不活性の構成要素もまた、トランスデューサキャリアテープ230に取付けられてもよい。標準的または特定用途向けの集積回路を使用して構成される駆動回路および信号処理回路は、各々の超音波トランスデューサ240に近接するトランスデューサパッド上など、トランスデューサキャリアテープ230上に取付けられてもよい。線232は超音波トランスデューサ240をコントローラ260に接続するために使用されてもよい。
【0022】
超音波トランスデューサ240は、たとえば圧電ディスクなどの任意の好適な超音波ドライバ、レシーバ、またはドライバ/レシーバの対を含んでもよい。圧電ディスクは圧電材料からなる円盤形のボタンを含む。超音波トランスデューサ240は、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)、無鉛圧電セラミック、クォーツ、酸化亜鉛、またはポリビニリデンフルオライド(PVDF)のような圧電性高分子などの圧電材料から構成される。ディスクの上部および底部に電気的な接触がなされる。少なくとも1つの超音波トランスデューサ240はトランスデューサキャリアテープ230に取付けられる。超音波トランスデューサ240は、当該技術に公知であるように、さまざまなはんだ、伝導性エポキシおよび接着剤を使用して、トランスデューサキャリアテープ230および線232に取付けられてもよい。
【0023】
圧電材料の全域にかかる電圧は内部電界を発生させ、圧電材料に歪みをもたらす。圧電材料の急速な膨張および収縮により音波が発生する。発生する音波または音波放出は、超音波トランスデューサから、任意の分離壁またはタンクの壁を介して、タンクに伝播する。音波は、燃料−空気の表面に突き当たるまで、タンクの燃料または空気を介して横切るであろう。音波のうち透過される部分は同じ方向に進み続けるが、反射部分は超音波トランスデューサに向かって戻る。反射部分が超音波トランスデューサに突き当たると、トランスデューサの機械的変形によって電荷または電圧が発生する。信号は線232を介してコントローラ260に直接に送られるか、または信号はトランスデューサ付近で局所的に調整されて、コントローラ260または別の好適な信号処理システムに送られるであろう。電気コネクタ、およびワイヤハーネスまたは多芯ケーブルなどの他の電気的連結装置(図示せず)が、トランスデューサキャリアテープ230をコントローラ260に接続するために使用されてもよい。
【0024】
コントローラ260は少なくとも1つの超音波トランスデューサ240に動作可能に接
続される。コントローラ260は、超音波トランスデューサの少なくとも1つからの音波放出と反射信号との間の経過時間を測定するために、電子回路およびタイミング回路を含む。タンクの燃料または空気を介する音波信号の経過時間または飛行時間は、燃料の液位を判断するために使用される。媒体における音波の速度などの燃料パラメータが、タンクの燃料の高さまたは燃料の液位を判断する目的で、経過時間のデータに適用される。流体の温度または圧力による音速の小さな変化はコントローラ260で補償されてもよい。燃料温度を正確に、局所的に測定するために、各々の超音波トランスデューサ付近など、トランスデューサキャリアテープ230上に、1つ以上の温度センサが含まれてもよい。たとえば、コントローラ260は、統合された燃料タンクのシステムを搭載する民間航空機または軍用機のコックピットでの表示および記録に好適な任意のデジタルまたはアナログ形式で出力を与える。
【0025】
図3は、この発明の1つの実施例に従う、燃料タンクの燃料の高さまたは燃料の液位を判断する方法のブロック図を300に示す。燃料の液位の判断方法300は、超音波燃料タンクシステム内の燃料の液位を判断するためのステップを含む。
【0026】
ブロック310に見られるように、超音波放出は燃料タンクの内側表面から送られる。超音波放出は燃料タンクの壁の任意の部分を横切り、燃料タンクの燃料または空気に伝播する。燃料タンクの壁に取付けられるか、または燃料タンクの壁の中に埋込まれる1つ以上の超音波トランスデューサは超音波放出を発生させるであろう。超音波トランスデューサは、フレックス回路またはフレックステープなどのトランスデューサキャリアテープに取付けられる。圧電ディスクなどの超音波トランスデューサは、フレックス回路またはフレックステープに電気的に接続される。複数の超音波トランスデューサはフレックス回路またはフレックステープに沿って位置決めされてもよい。フレックス回路またはフレックステープは金属性の相互配線からなる1つ以上の層を含む。トランスデューサキャリアテープは、タンクの壁の内側表面または外側表面に取付けられるか、またはタンクの壁の内側表面または外側表面の中に埋込まれてもよい。たとえば、トランスデューサキャリアテープは燃料タンクの底部に取付けられ、分離壁で覆われてもよい。超音波信号は、燃料タンクの基部部分に埋込まれる複数の超音波トランスデューサのうちの1つから送られるであろう。代替的には、複数の超音波トランスデューサを有するトランスデューサキャリアテープは燃料タンクの上部表面に取付けられるか、または燃料タンクの上部表面の中に埋込まれてもよく、超音波放出はトランスデューサの前にある燃料タンクの壁の任意の部分を介して燃料タンクの空気に伝播する。
【0027】
少なくとも1つの超音波トランスデューサからの超音波放出は燃料−空気の表面から反射され、燃料−空気の表面から反射される信号は少なくとも1つの超音波トランスデューサによって受取られて、燃料タンクの燃料の液位を判断する。反射信号はトランスデューサキャリアテープ上の1つ以上の超音波トランスデューサで受取られてもよい。超音波放出は燃料を介して燃料−空気の表面に伝わり、発生源のトランスデューサまたはトランスデューサキャリアテープに沿った他のトランスデューサに戻ってもよい。代替的には、超音波放出はタンクの空気を介して伝わり、燃料−空気の表面に反射し、発生源のトランスデューサまたはトランスデューサキャリアテープ上の別のトランスデューサに戻ってもよい。超音波放出はトランスデューサキャリアテープ上の1つ以上の超音波トランスデューサから発生し、送られてもよい。コントローラまたは他の好適な電子インターフェイスが、超音波トランスデューサからの超音波放出を開始する目的で、駆動電圧を発生させるために使用されてもよい。
【0028】
ブロック320に見られるように、反射信号は燃料タンクの燃料−空気の表面から受取られる。反射信号はトランスデューサキャリアテープに沿った1つ以上の超音波トランスデューサで受取られてもよい。超音波トランスデューサは超音波によって圧縮または引伸
ばされるときに電荷または電圧を発生させ、その電荷または電圧は反射信号が受取られるときに判断のために使用される。
【0029】
ブロック330に見られるように、送られる超音波放出と受取られる反射信号との間の経過時間が測定される。飛行時間とも呼ばれる経過時間は、超音波がトランスデューサから送られ、燃料を介して伝わり、1つ以上のトランスデューサに戻って受取られるのに経過する時間である。トランスデューサキャリアテープに沿った複数の超音波トランスデューサのうちの1つから複数の超音波トランスデューサのうちの1つへの音の伝播の経過時間が測定されてもよい。代替的には、1つのトランスデューサとそのトランスデューサ自体との間の音の伝播、または1つ以上の超音波トランスデューサトランシーバの対の間の音の伝播の経過時間が測定されてもよい。1つの超音波トランスデューサから複数の超音波トランスデューサへの音波の伝播の経過時間が測定されてもよい。任意の介在する燃料タンクの壁の材料を介する音波の伝播の経過時間は、飛行時間または経過時間の判断から減算されるか、または較正されてもよい。
【0030】
ブロック340に見られるように、燃料タンク内部の燃料の燃料液位は、送られる超音波放出および受取られる反射信号に基づいて判断される。燃料の液位は、送られる超音波放出と受取られる反射信号との間の経過時間を測定することによって判断されてもよい。燃料の液位は、燃料タンクの基部部分に埋込まれる1つ以上の超音波トランスデューサからの送られる超音波放出と複数の受取られる反射信号との間の1つ以上の経過時間を測定することによって判断されてもよい。1つの実施例では、燃料の液位は燃料を介する音波の音速に経過時間を乗算し、媒体を介して音波の2つの通路を占めるために2で除算することによって判断される。ルックアップ表または他の好適なアルゴリズムの使用などの他の燃料液位判断方法が、経過時間からなされてもよい。平均的な燃料の高さの測定は、経過時間の測定を平均し、燃料の液位を判断することによって、複数の連続する経過時間の測定からなされるであろう。平均的な経過時間は音速で乗算され、2で除算されることができて、燃料の液位を判断する。代替的には、ルックアップ表または他のアルゴリズムが燃料の高さを判断するために使用されてもよい。また、代替的に、燃料の液位は1つ以上のトランスデューサからの経過時間を平均し、この平均的な経過時間から燃料の液位を判断することによって判断されてもよい。トランスデューサキャリアテープ上の1つ以上の超音波トランスデューサからの測定はより高い精度を与えることができ、飛行機の回転、高度調整および速度の変化によるタンクのローリングおよびバンキングを補償する。
【0031】
燃料の高さまたは燃料の液位の判断は、中央処理装置、アルゴリズムを実行するためのマイクロコードを有するメモリ、ならびに燃料の液位を判断するための他のソフトウェアおよびハードウェアを含むコントローラ内でなされてもよい。コントローラならびにその関連付けられるハードウェアおよびソフトウェアは、燃料の液位の判断からの情報を、表示および記録の目的に好適な形式に処理することができる。燃料の液位が判断されると、燃料の液位の表示が出力または更新されるであろう。燃料の液位の表示は、任意の適用可能な燃料システム基準に準拠する形式で燃料の液位を表示する、コントローラからのデジタル信号またはアナログ信号を与えることによってなされてもよい。
【0032】
燃料の液位の測定は、コントローラおよび超音波トランスデューサによって、連続して、予め定められたときに、外部の要請に応じて、またはその何らかの組合せで、ブロック310、320、330および340をそれに従って繰返すことによって、行なわれてもよい。
【0033】
流体における音速の僅かな変化が温度変化によって生じる。温度変化は燃料の液位測定の精度に影響を与え得る。燃料の液位の補償は、ブロック350に見られるように、燃料タンクの燃料の燃料温度を測定し、ブロック360に見られるように、燃料温度に基づい
て燃料の液位の判断を補償することによって行なわれ得る。燃料温度は燃料タンクの熱電対または抵抗性温度装置(RTD)などの温度センサによって直接に測定されるか、または燃料タンクの外側での温度測定または燃料タンクの外側付近の温度測定から推測されてもよい。RTDまたは他の好適な温度感知装置が、超音波トランスデューサを有するトランスデューサキャリアテープ上に含まれてもよい。温度補償される燃料の液位の表示はそれに従って出力されるか、または更新されるであろう。燃料の液位のさらなる測定は、ブロック310からブロック360を繰返すことによって可能である。温度補償される燃料の液位の表示は連続して、予め定められたときに、外部の要請に応じて、またはその何らかの組合せで出力されるであろう。
【0034】
ブロック370に見られるように、燃料タンクの形状の近似値は、燃料タンクが燃料で満たされるときに、1つ以上の超音波トランスデューサからの送られる超音波放出および受取られる反射信号に基づいて判断されるであろう。ブロック380に見られるように、判断される形状は燃料タンクの保存される形状と比較されるであろう。ブロック390に見られるように、凹みまたは膨れなどの燃料タンクの構造上の変化は、燃料タンクの判断される形状および保存される形状に基づいて判断されるであろう。たとえば、タンクの形状を表わす、各々のトランスデューサの経過時間の基準値が、タンクが燃料で満たされるときに作られ、保存されてもよい。その後タンクが再び燃料で満たされるときに、経過時間のさらなる組が測定され、保存される値と比較されてもよい。経過時間のさらなる組のいずれかが保存される値からかなり変化するかどうかを判断するために、チェックがなされてもよい。
【0035】
判断される形状および保存される形状が著しく異なるときに、構造上の変化の表示が出力されるであろう。代替的には、構造上の変化の表示は、外部のシステムまたは照会によって要求されたときに出力されてもよい。さらなる構造上の変化の表示は、連続して、予め定められたときに、外部の要請に応じて、またはその何らかの組合せで判断され、出力されるであろう。
【0036】
図4は、この発明の1つの実施例に従う、超音波燃料液位測定システムを有する燃料タンクを製造する方法のブロック図を400に示す。燃料タンクの製造方法400は、統合された燃料の液位測定システムを有する飛行機の燃料タンクを製造するためのステップを含む。
【0037】
ブロック410に見られるように、燃料タンクの外殻が与えられる。燃料タンクの外殻は単一の部品として、またはともに組立てられる部分または区分で与えられてもよい。燃料タンクの外殻は、強く丈夫で非金属性の、飛行機およびジェット燃料に対して化学的に耐性のある材料から構成されてもよい。燃料タンクの外殻は複合材料を含んでもよい。グラファイトエポキシ、ガラス繊維などの材料、および丈夫なマトリックスの中に高張力繊維を有する他の好適な複合材料が典型的には使用される。埋込まれる繊維を有する複合材料からなる積層板は、タンクの壁を形成するために張り合わされ、形づくられてもよい。未硬化の複合材料または蒸発性溶媒を有する複合材料が、燃料タンクに所望の形状および強度を与えるために、タンクの形状または型に散布または塗布され、乾燥または硬化されてもよい。
【0038】
ブロック420に見られるように、1つ以上の超音波トランスデューサを有するトランスデューサキャリアテープは、燃料タンクの外殻の表面に接して位置決めされる。トランスデューサキャリアテープはフレックス回路、フレックステープ、または任意の好適なフレキシブル回路基板もしくはテープを含む。超音波トランスデューサは、タンクの内側もしくはタンクの外側、タンクの底部もしくはタンクの上部、または燃料タンクの外殻の任意の好適な表面に接して、所望であるように位置決めされてもよい。
【0039】
ブロック430に見られるように、トランスデューサキャリアテープは分離壁で覆われてもよい。分離壁は部分的または完全にキャリアテープを覆ってもよい。超音波トランスデューサは分離壁で覆われるか、または露出されるままにされてもよい。分離壁は複合材料からなる1つ以上のプライまたは層から形成されてもよい。各々の層はトランスデューサキャリアテープの上に加えられ、好適に接着され、乾燥または硬化されてもよい。代替的には、未硬化の複合材料は、刷毛塗り、塗装、吹付け、計量分配、または圧延などの任意の好適な適用手段によって塗布され、乾燥または硬化されてもよい。電気コネクタ、トランスデューサキャリアテープ用のスロット、または超音波トランスデューサへの電気的な信号および超音波トランスデューサからの電気的な信号を得るための他の好適な構造に備えられてもよい。
【0040】
ここに開示されるこの発明の実施例は現在のところ好ましいが、この発明の精神および範囲から逸脱することなくさまざまな変更および修正がなされ得る。この発明の範囲は特許請求の範囲に示され、等価物の意味および範囲の中に入るすべての変更がその中に包含されるように意図される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明の1つの実施例に従う飛行機の燃料タンクシステムの図である。
【図2】この発明の1つの実施例に従う超音波トランスデューサを有するトランスデューサキャリアテープの図である。
【図3】この発明の1つの実施例に従う飛行機の燃料タンクの燃料の液位を判断するための方法のブロック図である。
【図4】この発明の1つの実施例に従う超音波燃料液位測定システムを有する燃料タンクを製造する方法のブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクシステムであって、
燃料タンクと、
燃料タンクの表面に結合されるトランスデューサキャリアテープと、
トランスデューサキャリアテープに取付けられる少なくとも1つの超音波トランスデューサとを含み、少なくとも1つの超音波トランスデューサからの音波放出は燃料−空気の表面から反射され、反射される信号は少なくとも1つの超音波トランスデューサによって受取られて、燃料タンクの燃料の液位を判断する燃料タンクシステム。
【請求項2】
燃料タンクは複合材料を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
トランスデューサキャリアテープはフレックス回路またはフレックステープのうちの1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
トランスデューサキャリアテープは金属性の相互配線からなる少なくとも1つの層を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
トランスデューサキャリアテープは燃料タンクの基部に埋込まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
超音波トランスデューサは圧電ディスクを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
トランスデューサキャリアテープ上に配置される分離壁をさらに含み、分離壁はトランスデューサキャリアテープを燃料タンクの燃料から分離する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
分離壁は複合材料を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
少なくとも1つの超音波トランスデューサに動作可能に接続されるコントローラをさらに含み、燃料タンクの燃料の液位は超音波トランスデューサのうちの少なくとも1つからの音波放出と反射信号との間の経過時間を測定することによって判断される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
燃料タンクの燃料の液位を判断する方法であって、
燃料タンクの内側表面から超音波放出を送ることと、
燃料タンクの燃料−空気の表面から反射信号を受取ることと、
送られる超音波放出および受取られる反射信号に基づいて燃料の液位を判断することとを含む方法。
【請求項11】
超音波放出は燃料タンクの基部部分に埋込まれる複数の超音波トランスデューサのうちの1つから送られる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
複数の超音波トランスデューサはフレックス回路またはフレックステープのうちの1つに沿って位置決めされる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
燃料の液位を判断することは送られる超音波放出と受取られる反射信号との間の経過時間を測定することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
燃料の液位を判断することは燃料タンクの基部部分に埋込まれる複数の超音波トランス
デューサからの送られる超音波放出と複数の受取られる反射信号との間の複数の経過時間を測定することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
燃料タンクの燃料の燃料温度を測定することと、
燃料温度に基づいて燃料の液位の判断を補償することとをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
送られる超音波放出および受取られる反射信号に基づいて燃料タンクの形状を判断することをさらに含み、燃料タンクは燃料で満たされ、前記方法は、さらに、
燃料タンクの判断される形状を燃料タンクの保存される形状と比較することと、
燃料タンクの判断される形状および保存される形状に基づいて燃料タンクの構造上の変化を判断することとを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
超音波燃料液位測定システムを有する燃料タンクを製造する方法であって、
燃料タンクの外殻を与えることと、
少なくとも1つの超音波トランスデューサを有するトランスデューサキャリアテープを、燃料タンクの外殻の内側表面に接して位置決めすることと、
トランスデューサキャリアテープを分離壁で覆うこととを含む方法。
【請求項18】
燃料タンクの外殻は複合材料を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
トランスデューサキャリアテープはフレックス回路またはフレックステープのうちの1つを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
分離壁は複合材料からなる少なくとも1つの層を含む、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−518857(P2006−518857A)
【公表日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508640(P2006−508640)
【出願日】平成16年1月28日(2004.1.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/002550
【国際公開番号】WO2005/015134
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】