説明

超音波空間合成映像を提供する超音波システムおよび方法

【課題】超音波プローブのレンズと対象体との間の音速差、または対象体内の組織間の音速差によって発生する超音波信号の屈折を補正して超音波空間合成映像を提供する。
【解決手段】超音波システム100は、ステアリングしないスキャンラインに対して第1超音波データを取得し、所定のステアリング角度でステアリングした前記スキャンラインに対して第2超音波データを取得する超音波データ取得部110と、複数のサブステアリング角度に基づいて前記第2超音波データをリサンプリングして複数のリサンプリングデータを形成し、前記第1超音波データと前記第2超音波データおよび前記複数のリサンプリングデータとをそれぞれ比較して前記第2超音波データおよび前記複数のリサンプリングデータの中からいずれか1つのデータを抽出し、前記第1超音波データと前記で抽出されたデータとを空間合成して超音波空間合成映像を形成するプロセッサ120とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波システムに関し、特に、超音波プローブのレンズと対象体との間の音速差、または対象体内の組織間の音速差によって発生する超音波信号の屈折を補正して超音波空間合成映像を提供する超音波システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波システムは、無侵襲および非破壊特性を有しており、対象体内部の情報を得るために医療分野で広く用いられている。超音波システムは、対象体を直接切開して観察する外科手術の必要がなく、対象体の内部組織を高解像度の映像で医師に提供することができるため、医療分野で非常に重要なものとして用いられている。
【0003】
超音波システムは、超音波信号を対象体に送信し、対象体から反射される超音波信号(即ち、超音波エコー信号)を受信して対象体の超音波映像を形成する。最近、超音波映像の解像度を向上させるために、超音波システムは、スキャンラインを複数のステアリング角度(steering angles)でステアリングして超音波信号を対象体に送信し、対象体から反射される超音波エコー信号を受信して複数の超音波映像を形成し、複数の超音波映像を空間合成(spatial compound)して超音波空間合成映像を形成している。
【0004】
一方、スキャンラインをステアリング角度でステアリングして超音波信号を対象体に送信する場合、超音波プローブのレンズと対象体との間の音速差、または対象体内の組織間の音速差によって超音波信号の屈折が発生する。この屈折は、超音波エコー信号の方向に歪みを発生させるだけでなく、超音波データの位置データおよび方位データを推定するとき誤差を発生させる。これにより、複数のステアリング角度に対して形成された超音波映像を空間合成して超音波空間合成映像を形成する場合、超音波空間合成映像に不鮮明化(blurring)現象が発生する問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2003−534074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、超音波プローブのレンズと対象体との間の音速差、または対象体内の組織間の音速差によって発生する超音波信号の屈折を補正して超音波空間合成映像を提供する超音波システムおよび方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における超音波システムは、最初に、ステアリングしないスキャンラインに対して超音波信号を対象体に送信し、前記対象体から反射される超音波エコー信号を受信して第1の超音波データを取得し、次に、前記ステアリングしないスキャンラインに対して所定のステアリング角度でステアリングした前記スキャンラインに対して前記超音波信号を前記対象体に送信し、前記対象体から反射される超音波エコー信号を受信して第2の超音波データを取得する超音波データ取得部と、前記超音波データ取得部に連結されて、前記所定のステアリング角度に基づいて複数のサブステアリング角度を設定し、前記複数のサブステアリング角度に基づいて前記第2の超音波データをリサンプリングして複数のリサンプリングデータを形成し、前記第1の超音波データと前記第2の超音波データおよび前記複数のリサンプリングデータとをそれぞれ比較して前記第2の超音波データおよび前記複数のリサンプリングデータの中でいずれか1つのデータを抽出し、前記第1の超音波データと前記抽出されたデータとを空間合成して超音波空間合成映像を形成するプロセッサとを備える。
【0008】
また、本発明における超音波空間合成映像提供方法は、a)ステアリングしないスキャンラインに対して超音波信号を対象体に送信し、前記対象体から反射される超音波エコー信号を受信して第1の超音波データを取得する段階と、b)前記ステアリングしないスキャンラインに対して所定のステアリング角度でステアリングした前記スキャンラインに対して前記超音波信号を前記対象体に送信し、前記対象体から反射される超音波エコー信号を受信して第2の超音波データを取得する段階と、c)前記所定のステアリング角度に基づいて複数のサブステアリング角度を設定する段階と、d)前記複数のサブステアリング角度に基づいて前記第2の超音波データをリサンプリングして複数のリサンプリングデータを形成する段階と、e)前記第1の超音波データと、前記第2の超音波データおよび前記複数のリサンプリングデータとをそれぞれ比較して前記第2の超音波データおよび前記複数のリサンプリングデータの中でいずれか1つのデータを抽出する段階と、f)前記第1の超音波データと前記で抽出されたデータとを空間合成して超音波空間合成映像を形成する段階とを備える。
【0009】
また、本発明における、超音波空間合成映像を提供する方法を行うためのプログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、前記方法が、a)ステアリングしないスキャンラインに対して超音波信号を対象体に送信し、前記対象体から反射される超音波エコー信号を受信して第1の超音波データを取得する段階と、b)前記ステアリングしないスキャンラインに対して所定のステアリング角度でステアリングした前記スキャンラインに対して超音波信号を前記対象体に送信し、前記対象体から反射される超音波エコー信号を受信して第2の超音波データを取得する段階と、c)前記所定のステアリング角度に基づいて複数のサブステアリング角度を設定する段階と、d)前記複数のサブステアリング角度に基づいて前記第2の超音波データをリサンプリングして複数のリサンプリングデータを形成する段階と、e)前記第1の超音波データと、前記第2の超音波データおよび前記複数のリサンプリングデータとをそれぞれ比較して前記第2の超音波データおよび前記複数のリサンプリングデータの中でいずれか1つのデータを抽出する段階と、f)前記第1の超音波データと前記で抽出されたデータとを空間合成して超音波空間合成映像を形成する段階とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、超音波プローブのレンズまたは対象体の音速によって発生する超音波信号の屈折を補正することができ、超音波空間合成映像の不鮮明化(blurring)現象を最小化して超音波空間合成映像の画質を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例における超音波システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例における超音波データ取得部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例におけるプロセッサの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施例におけるステアリング角度およびサブステアリング(sub steering)角度を示す例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施例における超音波システムの構成を示すブロック図である。図1を参照すると、超音波システム100は、超音波データ取得部110、プロセッサ120、格納部130およびディスプレイ部140を備える。
【0014】
超音波データ取得部110は、超音波信号を対象体に送信し、対象体から反射される超音波信号(即ち、超音波エコー信号)を受信して超音波データを取得する。超音波データ取得部110については、図2を参照して更に具体的に説明する。
【0015】
図2は、本発明の実施例における超音波データ取得部の構成を示すブロック図である。図2を参照すると、超音波データ取得部110は、送信信号形成部111、複数の電気音響変換素子(transducer element:以下単に変換素子と呼ぶ)112a(図4参照)およびレンズ112b(図4参照)を含む超音波プローブ112、ビームフォーマ113および超音波データ形成部114を備える。
【0016】
送信信号形成部111は、変換素子と集束点との距離を考慮して、複数のフレームのそれぞれを得るための送信信号を形成する。ここで、フレームは、Bモード(brightness mode)映像を含む。しかし、フレームは、必ずしもこれに限定されない。
【0017】
本実施例において、送信信号形成部111は、図4に示すように、スキャンラインS(1≦i≦N)をステアリング(steering)しない第1のフレームを得るための第1の送信信号と、スキャンラインSを第1のステアリング角度θでステアリングした第2のフレームを得るための第2の送信信号と、スキャンラインSを第2のステアリング角度θでステアリングした第3のフレームを得るための第3の送信信号とを形成する。
【0018】
超音波プローブ112は、送信信号形成部111から提供される送信信号を超音波信号に変換して対象体に送信し、対象体から反射される超音波エコー信号を受信して受信信号を形成する。受信信号は、アナログ信号である。
【0019】
本実施例において、超音波プローブ112は、送信信号形成部111から第1の送信信号が提供されると、第1の送信信号を超音波信号に変換して対象体に送信し、対象体から反射される超音波エコー信号を受信して第1の受信信号を形成する。超音波プローブ112は、送信信号形成部111から第2の送信信号が提供されると、第2の送信信号を超音波信号に変換して対象体に送信し、対象体から反射される超音波エコー信号を受信して第2の受信信号を形成する。超音波プローブ112は、送信信号形成部111から第3の送信信号が提供されると、第3の送信信号を超音波信号に変換して対象体に送信し、対象体から反射される超音波エコー信号を受信して第3の受信信号を形成する。
【0020】
ビームフォーマ113は、超音波プローブ112から提供される受信信号をアナログデジタル変換してデジタル信号を形成する。また、ビームフォーマ113は、変換素子と集束点との距離を考慮して、デジタル信号を受信集束させて受信集束信号を形成する。
【0021】
本実施例において、ビームフォーマ113は、超音波プローブ112から第1の受信信号が提供されると、第1の受信信号をアナログデジタル変換して第1のデジタル信号を形成する。ビームフォーマ113は、変換素子と集束点との距離を考慮して、第1のデジタル信号を受信集束させて第1の受信集束信号を形成する。また、ビームフォーマ113は、超音波プローブ112から第2の受信信号が提供されると、第2の受信信号をアナログデジタル変換して第2のデジタル信号を形成する。ビームフォーマ113は、変換素子と集束点との距離を考慮して、第2のデジタル信号を受信集束させて第2の受信集束信号を形成する。また、ビームフォーマ113は、超音波プローブ112から第3の受信信号が提供されると、第3の受信信号をアナログデジタル変換して第3のデジタル信号を形成する。ビームフォーマ113は、変換素子と集束点との距離を考慮して、第3のデジタル信号を受信集束させて第3の受信集束信号を形成する。
【0022】
超音波データ形成部114は、ビームフォーマ113から提供される受信集束信号を用いて超音波データを形成する。超音波データは、格納部130に格納される。また、超音波データ形成部114は、超音波データを形成するのに必要な様々な信号処理(例えば、利得(gain)調節等)を受信集束信号に行うこともできる。
【0023】
本実施例において、超音波データ形成部114は、ビームフォーマ113から第1の受信集束信号が提供されると、第1の受信集束信号を用いて第1のフレームに対応する第1の超音波データを形成する。また、超音波データ形成部114は、ビームフォーマ113から第2の受信集束信号が提供されると、第2の受信集束信号を用いて第2のフレームに対応する第2の超音波データを形成する。また、超音波データ形成部114は、ビームフォーマ113から第3の受信集束信号が提供されると、第3の受信集束信号を用いて第3のフレームに対応する第3の超音波データを形成する。
【0024】
再び図1を参照すると、プロセッサ120は、超音波データ取得部110に連結される。プロセッサ120は、複数のステアリング角度のそれぞれの許容屈折範囲を設定し、設定された許容屈折範囲に基づいて、スキャンラインをステアリングしない超音波データとスキャンラインをステアリングした超音波データとの間に空間合成を行って超音波空間合成映像を形成する。
【0025】
図3は、本発明の実施例におけるプロセッサの構成を示すブロック図である。図3を参照すると、プロセッサ120は、サブステアリング(sub steering)角度設定部121、リサンプラ(resampler)122、MAD(mean of absolute difference)算出部123、抽出部124、空間合成部125および映像形成部126を備える。
【0026】
サブステアリング角度設定部121は、ステアリングしないスキャンラインSに対する複数のステアリング角度のそれぞれに許容屈折範囲を設定し、その設定された許容屈折範囲に基づいて、複数のステアリング角度のそれぞれに対して複数のサブステアリング角度を設定する。サブステアリング角度は、ステアリング角度を基準に予め定められた角度(例えば、1°)ずつ増加または減少する角度である。
【0027】
本実施例において、サブステアリング角度設定部121は、図4に示すように、スキャンラインSをステアリングするための第1のステアリング角度θの許容屈折範囲Δθを設定し、許容屈折範囲Δθに基づいて第1のステアリング角度θを予め定められた角度ずつ増加または減少してサブステアリング角度θ11〜θ14を設定する。また、サブステアリング角度設定部121は、スキャンラインSをステアリングするための第2のステアリング角度θの許容屈折範囲Δθを設定し、許容屈折範囲Δθを予め定められた角度ずつ増加または減少してサブステアリング角度θ21〜θ24を設定する。
【0028】
リサンプラ122は、サブステアリング角度設定部121で設定された複数のサブステアリング角度に基づいて、スキャンラインをステアリングしたフレームに対応する超音波データをリサンプリングして、各ステアリング角度に対して複数のサブステアリング角度のそれぞれに対応するリサンプリングデータを形成する。リサンプリングは、既に公知の様々な方法が用いられるので、本実施例では詳細に説明しない。リサンプラ122で形成されたリサンプリングデータは、格納部130に格納される。
【0029】
本実施例において、リサンプラ122は、第1のステアリング角度θに対してサブステアリング角度θ11〜θ14のそれぞれに基づいて第2の超音波データをリサンプリングして、サブステアリング角度θ11〜θ14のそれぞれに対応する第1のリサンプリングデータを形成する。また、リサンプラ122は、第2のステアリング角度θに対してサブステアリング角度θ21〜θ24のそれぞれに基づいて第3の超音波データをリサンプリングして、サブステアリング角度θ21〜θ24のそれぞれに対応する第2のリサンプリングデータを形成する。
【0030】
MAD算出部123は、スキャンラインをステアリングしないフレームの超音波データに対応する画素とスキャンラインをステアリングしたフレームの超音波データに対応する画素との間のMAD値、およびスキャンラインをステアリングしないフレームの超音波データに対応する画素とリサンプラ122から提供される複数のリサンプリングデータに対応する画素との間のMAD値を算出する。
【0031】
本実施例において、MAD算出部123は、第1の超音波データに対応する画素と第2の超音波データに対応する画素との間のMAD値を算出する。MAD算出部123は、第1の超音波データに対応する画素と、サブステアリング角度θ11〜θ14のそれぞれの第1のリサンプリングデータに対応する画素との間のMAD値を算出する。MAD算出部123は、第1の超音波データに対応する画素と第3の超音波データに対応する画素との間のMAD値を算出する。MAD算出部123は、第1の超音波データに対応する画素と、サブステアリング角度θ21〜θ24のそれぞれの第2のリサンプリングデータに対応する画素との間のMAD値を算出する。
【0032】
抽出部124は、MAD算出部123で算出されたMAD値を用いて複数のステアリング角度のそれぞれに対して最小のMAD値を検出し、検出された最小MAD値に該当するデータを抽出する。
【0033】
本実施例において、抽出部124は、第1のステアリング角度θに対して算出されたMAD値(第1の超音波データ対応する画素と、第2の超音波データおよび第1のリサンプリングデータに対応する画素との間のMAD値)を比較して最小のMAD値を検出し、検出された最小MAD値に該当するデータ(以下、第1のデータという)を抽出する。抽出部124は、第2のステアリング角度θに対して算出されたMAD値(第1の超音波データ対応する画素と、第3の超音波データおよび第2のリサンプリングデータに対応する画素との間のMAD値)を比較して最小のMAD値を検出し、検出された最小MAD値に該当するデータ(以下、第2のデータという)を抽出する。
【0034】
空間合成部125は、スキャンラインをステアリングしない超音波データと抽出部124で抽出されたデータとを空間合成して超音波空間合成データを形成する。本実施例において、空間合成部125は、第1の超音波データと抽出部124で抽出された第1のデータおよび第2のデータとを空間合成して超音波空間合成データを形成する。
【0035】
映像形成部126は、空間合成部125から提供される超音波空間合成データを用いて超音波空間合成映像を形成する。
【0036】
再び図1を参照すると、格納部130は、超音波データ取得部110で取得された超音波データ(第1〜第3の超音波データ)を格納する。また、格納部130は、プロセッサ120で形成された第1、第2のリサンプリングデータを格納する。
【0037】
ディスプレイ部140は、プロセッサ120で形成された超音波空間合成映像を表示する。
【0038】
以上、本発明の超音波空間合成映像を提供する超音波システムおよび方法を説明したが、当該方法は、コンピュータで読出し可能な記録媒体に記録させることができる。この記録媒体は、コンピュータシステムによって読み出されるデータが保存される全ての種類の記録装置を含む。このコンピュータで読み出し可能な記録媒体の例としては、ROM、RAM、CDROM、磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスク、光データ格納装置などの他、キャリアウェーブ(例えば、インターネットを通じた伝送)の形態で具現されるものも含む。また、コンピュータで読み出し可能な記録媒体は、ネットワークで連結されたコンピュータシステムに分散され、読み出しをコードにより行うようにすることも可能である。上述した実施例を具現するための機能的なプログラム、コードおよびコードセグメント方法は、本発明が属する技術分野の各プログラマにとっては容易に推定されることである。
【0039】
本発明は、望ましい実施例によって説明および例示をしたが、当業者であれば添付した特許請求の範囲の事項および範疇を逸脱することなく、様々な変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0040】
100 超音波システム
110 超音波データ取得部
120 プロセッサ
130 格納部
140 ディスプレイ部
111 送信信号形成部
112 超音波プローブ
112a 変換素子
112b レンズ
113 ビームフォーマ
114 超音波データ形成部
121 サブステアリング角度設定部
122 リサンプラ
123 MAD算出部
124 抽出部
125 空間合成部
126 映像形成部
スキャンライン
θ 第1のステアリング角度
θ 第2のステアリング角度
Δθ、Δθ 許容屈折範囲
θ11〜θ14 サブステアリング角度
θ21〜θ24 サブステアリング角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングしないスキャンラインに対して超音波信号を対象体に送信し、前記対象体から反射される超音波エコー信号を受信して第1の超音波データを取得し、前記ステアリングしないスキャンラインに対して所定のステアリング角度でステアリングした前記スキャンラインに対して前記超音波信号を前記対象体に送信し、前記対象体から反射される超音波エコー信号を受信して第2の超音波データを取得する超音波データ取得部と、
前記超音波データ取得部に連結されて、前記所定のステアリング角度に基づいて複数のサブステアリング角度を設定し、前記複数のサブステアリング角度に基づいて前記第2の超音波データをリサンプリングして複数のリサンプリングデータを形成し、前記第1の超音波データと、前記第2の超音波データおよび前記複数のリサンプリングデータとをそれぞれ比較して前記第2の超音波データおよび前記複数のリサンプリングデータの中からいずれか1つのデータを抽出し、前記第1の超音波データと前記抽出されたデータとを空間合成して超音波空間合成映像を形成するプロセッサと
を備えることを特徴とする超音波システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記所定のステアリング角度に対して許容屈折範囲を設定し、前記許容屈折範囲内で前記所定のステアリング角度に対して前記複数のサブステアリング角度を設定するサブステアリング角度設定部と、
前記複数のサブステアリング角度に基づいて前記第2の超音波データをリサンプリングして前記複数のリサンプリングデータを形成するリサンプラと、
前記第1の超音波データに対応する画素と前記第2の超音波データに対応する画素との間のMAD(mean of absolute difference)値、および前記第1の超音波データに対応する前記画素と前記複数のリサンプリングデータのそれぞれに対応する画素との間の複数のMAD値を算出するMAD算出部と、
前記MAD値と前記複数のMAD値とを比較して最小MAD値を検出し、前記検出された最小MAD値に該当するデータを抽出する抽出部と、
前記第1の超音波データと前記抽出されたデータとを空間合成して超音波空間合成データを形成する空間合成部と、
前記超音波空間合成データを用いて前記超音波空間合成映像を形成する映像形成部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の超音波システム。
【請求項3】
前記サブステアリング角度は、前記ステアリング角度の許容屈折範囲内で前記ステアリング角度を基準に一定の角度ずつ増加または減少する角度に設定されることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波システム。
【請求項4】
a)ステアリングしないスキャンラインに対して超音波信号を対象体に送信し、前記対象体から反射される超音波エコー信号を受信して第1の超音波データを取得する段階と、
b)前記ステアリングしないスキャンラインに対して所定のステアリング角度でステアリングした前記スキャンラインに対して前記超音波信号を前記対象体に送信し、前記対象体から反射される超音波エコー信号を受信して第2の超音波データを取得する段階と、
c)前記所定のステアリング角度に基づいて複数のサブステアリング角度を設定する段階と、
d)前記複数のサブステアリング角度に基づいて前記第2の超音波データをリサンプリングして複数のリサンプリングデータを形成する段階と、
e)前記第1の超音波データと、前記第2の超音波データおよび前記複数のリサンプリングデータとをそれぞれ比較して前記第2の超音波データおよび前記複数のリサンプリングデータの中からいずれか1つのデータを抽出する段階と、
f)前記第1の超音波データと前記抽出されたデータとを空間合成して超音波空間合成映像を形成する段階と
を備えることを特徴とする超音波空間合成映像提供方法。
【請求項5】
前記段階c)は、
前記所定のステアリング角度に対して許容屈折範囲を設定する段階と、
前記許容屈折範囲に基づいて前記所定のステアリング角度に対して前記複数のサブステアリング角度を設定する段階と
を備えることを特徴とする請求項4に記載の超音波空間合成映像提供方法。
【請求項6】
前記サブステアリング角度は、前記ステアリング角度の前記許容屈折範囲内で前記ステアリング角度を基準に一定の角度ずつ増加または減少する角度に設定されることを特徴とする請求項5に記載の超音波空間合成映像提供方法。
【請求項7】
前記段階e)は、
前記第1の超音波データに対応する画素と前記第2の超音波データに対応する画素との間のMAD(mean of absolute difference)値を算出する段階と、
前記第1の超音波データに対応する画素と前記複数のリサンプリングデータのそれぞれに対応する画素との間の複数のMAD値を算出する段階と、
前記MAD値と前記複数のMAD値とを比較して最小のMAD値を検出し、前記検出された最小MAD値に該当するデータを抽出する段階と
を備えることを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の超音波空間合成映像提供方法。
【請求項8】
前記段階f)は、
前記第1の超音波データと前記抽出されたデータとを空間合成して超音波空間合成データを形成する段階と、
前記超音波空間合成データを用いて前記超音波空間合成映像を形成する段階と
を備えることを特徴とする請求項4ないし7のいずれかに記載の超音波空間合成映像提供方法。
【請求項9】
超音波空間合成映像を提供する方法を行うためのプログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記方法は、
a)ステアリングしないスキャンラインに対して超音波信号を対象体に送信し、前記対象体から反射される超音波エコー信号を受信して第1の超音波データを取得する段階と、
b)前記ステアリングしないスキャンラインに対して所定のステアリング角度でステアリングした前記スキャンラインに対して前記超音波信号を前記対象体に送信し、前記対象体から反射される超音波エコー信号を受信して第2の超音波データを取得する段階と、
c)前記所定のステアリング角度に基づいて複数のサブステアリング角度を設定する段階と、
d)前記複数のサブステアリング角度に基づいて前記第2の超音波データをリサンプリングして複数のリサンプリングデータを形成する段階と、
e)前記第1の超音波データと、前記第2の超音波データおよび前記複数のリサンプリングデータとをそれぞれ比較して前記第2の超音波データおよび前記複数のリサンプリングデータの中からいずれか1つのデータを抽出する段階と、
f)前記第1の超音波データと前記抽出されたデータとを空間合成して超音波空間合成映像を形成する段階と
を備えることを特徴とするコンピュータ読み出し可能記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−104381(P2011−104381A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259246(P2010−259246)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(597096909)株式会社 メディソン (269)
【氏名又は名称原語表記】MEDISON CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】114 Yangdukwon−ri,Nam−myun,Hongchun−gun,Kangwon−do 250−870,Republic of Korea
【Fターム(参考)】