説明

超音波診断装置

【課題】連続波ドプラモードを有する超音波診断装置において、アレイ振動子上において局所的に発熱や劣化が生じないようにする。
【解決手段】アレイ振動子15とCW用送信部48及びCW用受信部50との間には配線切替部52が設けられる。配線切替部52によって送受信開口パターンの切替えが行われる。第1送受信開口パターンが設定されると、第1開口20が送信開口として機能し、第2開口22が受信開口として機能する。第2送受信開口パターンが選択されると、第2開口22が送信開口として機能し、第1開口20が受信開口として機能する。パターン切替後の一定時間経過、連続波送受信再開などのタイミングでパターン切替が実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波診断装置に関し、特に、連続波ドプラモードを具備する超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
連続波ドプラモードにおいては、生体内に対して超音波(連続波)が送波され、生体内の血流においてドプラシフトを受けた反射波(連続波)が受波される。その受波により得られた受信信号に含まれるドプラ周波数成分を周波数解析することによってドプラ波形が形成される(特許文献1など参照)。
【0003】
従来、連続波ドプラモードにおいては、アレイ振動子上に送信開口及び受信開口が固定的に設定される(特許文献2など)。従って、アレイ振動子上における特定部分(送信開口)が連続的に発熱し、プローブ送受波面に温度勾配が生じる。プローブ送受波面の温度は安全性の観点から一定以下に抑える必要がある。そこで、従来においては、プローブ送受波面の温度が許容限度に至るような場合には超音波パワーを下げていた。超音波のパワーの低下は感度低下を招くものである。また、アレイ振動子における特定部分のみが常に送信開口として用いられると、その特定部分のみの劣化が早まり、プローブの寿命を縮める結果を招く。特許文献3には二次元的に配列されたアレイ振動子に対する送信開口及び受信開口の設定が記載されている。しかし、その配列も固定的である。
【0004】
特許文献4には、アレイ振動子における送信開口と受信開口とのサイズ比率を計測目標の位置(ビーム方位)に応じて可変する構成が示されている。また特許文献4には、計測目標が探触子の正面よりも右側にある場合にはアレイ振動子の右側に送信開口を設定し且つ左側に受信開口を設定し、計測目標が探触子の正面よりも左側にある場合にはアレイ振動子の左側に送信開口を設定し且つ右側に受信開口を設定することが記載されている。しかし、特許文献4の構成において、計測目標の位置が不変であれば(正面位置を超えて計測目標が変更されなければ)アレイ振動子上における送信開口の位置は不変である。特許文献4にはアレイ振動子の熱的対策あるいは劣化対策については記載されていない。
【0005】
【特許文献1】特開昭62−22637号公報
【特許文献2】特開2004−159832号公報
【特許文献3】特開2004−057460号公報
【特許文献4】特開平10−75954号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、連続波ドプラモードにおいて、アレイ振動子における送信開口の画一的な設定に起因する問題を解消又は緩和することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、連続波ドプラモードにおいて、アレイ振動子における発熱部位の固定化を回避することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、連続波ドプラモードにおいて、アレイ振動子を構成する複数の振動素子についての劣化を平準化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は、連続波ドプラモードを有する超音波診断装置において、複数の振動素子からなるアレイ振動子と、前記アレイ振動子における送信開口を構成する複数の振動素子に対して複数の連続波送信信号を供給する送信部と、前記アレイ振動子における受信開口を構成する複数の振動素子からの複数の連続波受信信号を処理する受信部と、前記アレイ振動子に設定する送受信開口パターンを順次切り替え、これにより前記アレイ振動子における送信開口の位置を順次切り替える開口制御部と、を含むことを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、開口制御部により、アレイ振動子に設定される送受信開口パターンが時間軸上で順次切り替わる。アレイ振動子における送信開口の位置が時間的に順次切り替わることになるので(つまり発熱部位が分散的に設定されるので)、特定部位のみが継続的に温度上昇することを回避できる。また、複数の振動素子全体として劣化を平準化できる。
【0011】
望ましくは、2つの送受波開口パターンが交互に選択される。3つ以上の送受波開口パターンを所定順序で(場合によってはランダム的に)選択するようにしてもよい。パターン切替前後で送信開口が重複(オーバーラップ)しないようにするのが望ましい。いずれにしても、複数の送受波開口パターンをローテーションで選択することによって、アレイ振動子上における送信開口を順次移動させて、上記問題を解消又は緩和できる。典型的な送受波開口パターンは、ブロック状の送信開口と、ブロック状の受信開口と、両者間に設定される不動作の1又は複数の振動素子と、を含む。送信開口と受信開口は、アレイ振動子の中心から対称に同一サイズで構成されるのが望ましい。但し、それらのサイズを異ならせてもよいし、対称性をもたせなくてもよい。
【0012】
公知のビームステアリング技術及びフォーカス技術を用いて、送信開口によって形成される送信ビーム及び受信開口によって形成される受信ビームを所望の方向へステアリングすることができ、また、送信ビーム及び受信ビームのフォーカスを所望の深さに設定することができる。計測目標(例えば血管や弁)を両ビームが通過するようにそれぞれが設定され、また、計測目標の深さに合わせてそれぞれのビームのフォーカスが設定される。アレイ振動子は1Dアレイ振動子であるのが望ましいが、2Dアレイ振動子であってもよい。
【0013】
望ましくは、前記開口制御部は、パターン切替後の経過時間が切替時間に到達した時点で、前記アレイ振動子に設定する送受信開口パターンを切り替える。この構成によれば、送受信開口パターンの時間的な管理によって、特定パターンが過剰に時間的に長く選択され続けること、つまり同じ送信開口が長く設定されてしまうことを防止できる。経過時間の計測はタイマーなどを用いて行える。切替時間は例えば秒単位あるいは分単位で設定されるのが望ましいが、状況に応じて適宜の時間を設定可能である。
【0014】
望ましくは、前記切替時間は送信条件に応じて可変設定される。例えば、送信電力、送信電圧などの送信条件(発熱に関連する条件)を基礎として切替の間隔を設定するのが望ましい。その切替の間隔をユーザー可変設定できるようにしてもよい。
【0015】
望ましくは、前記開口制御部は、特定の計測目標に対して連続波送受信を行っている途中で、前記アレイ振動子に設定する送受信開口パターンを切り替え可能である。この構成によれば、ある特定の計測目標に対する診断が長引いたような場合であっても、自動的に送受信開口パターンを切り替えて、局所的な温度上昇などの問題を防止できる。パターン切替時に瞬時的に送信及び受信が停止する場合、その影響が波形画像上に表れないように波形画像に補正処理を施すのが望ましい。なお、波形画像が時間軸方向に成長して定期的にリフレッシュされるような表示モードが選択されている場合には、その更新タイミングに合わせて送受波開口パターンを切り替えるのが望ましい。
【0016】
望ましくは、前記送受信開口パターンの切替前後で切替前の送信開口と切替後の送信開口とが重複しない関係にある。この構成によれば、同じ振動素子が送信用として引き続いて利用されることを防止できる。
【0017】
望ましくは、前記開口制御部は、新たに連続波送受信を開始する都度、前記アレイ振動子に設定する送受信開口パターンを切り替える。例えば、連続波ドプラモードを新たに選択する都度、あるいは、計測部位を新たに設定する都度、送受波開口パターンを順番に切り替えるものである。そのような計測単位での切り替えに加えて、上記の時間管理による切り替えを併用してもよい。
【0018】
望ましくは、前記複数の送受信開口パターンには、第1送受信開口パターンと第2送受信開口パターンとが含まれ、前記第1送受信開口パターンは、前記アレイ振動子における一方側に送信開口が設定され且つ他方側に受信開口が設定されるパターンであり、前記第2送受信開口パターンは、前記アレイ振動子における一方側に受信開口が設定され且つ他
方側に送信開口が設定されるパターンであり、前記開口制御部は、前記第1送受信開口パターンと前記第2送受信開口パターンとを交互に選択する。
【0019】
上記構成において、第1送受信開口パターンの送信開口と第2送受信開口パターンの受信開口とが同じ位置及びサイズで、且つ、第1送受信開口パターンの受信開口と第2送受信開口パターンの送信開口とが同じ位置及びサイズであれば、後述するように、ビーム角度条件が不変となるので、パターン変更の前後で角度補正が不要となる。つまり、パターン切り替えの前後でドプラ波形の速度レンジやベースラインを維持できる。なお、そのような角度補正とは別に、従来装置でも行われている血流方向とビーム方向とがなす角度に依存した速度補正を行うことができる。
【0020】
(2)本発明は、連続波ドプラモードを有する超音波診断装置において、複数の振動素子からなるアレイ振動子と、前記アレイ振動子における送信開口を構成する複数の振動素子に対して複数の連続波送信信号を供給する送信部と、前記アレイ振動子における受信開口を構成する複数の振動素子からの複数の連続波受信信号を処理する受信部と、前記アレイ振動子と、前記送信部及び前記受信部と、の間に設けられた配線切替部と、前記配線切替部を制御する手段であって、前記アレイ振動子に設定する送受信開口パターンを順次切り替え、これにより前記アレイ振動子における送信開口の位置を順次切り替える開口制御部と、を含むことを特徴とする。
【0021】
望ましくは、当該超音波診断装置は、前記アレイ振動子を備えた超音波探触子と、それが接続される装置本体と、を含み、前記配線切替部は前記超音波探触子に設けられる。配線切替部はプローブコネクタ内やプローブヘッド内に収容することができる。望ましくは、当該超音波診断装置は、前記アレイ振動子を備えた超音波探触子と、それが接続される装置本体と、を含み、前記配線切替部は前記装置本体に設けられる。
【0022】
望ましくは、前記送信部は連続波ドプラモード専用の送信部であり、前記受信部は連続波ドプラモード専用の受信部であり、前記配線切替部は、前記アレイ振動子上の第1領域内の複数の振動素子に接続された複数の信号線を前記送信部又は前記受信部へ選択的に接続する手段と、前記アレイ振動子上の第2領域内の複数の振動素子に接続された複数の信号線を前記送信部又は前記受信部へ選択的に接続する手段と、を含み、前記開口制御手段は、第1送受信開口パターンの選択時に、前記第1領域内の複数の振動素子に接続された複数の信号線を前記送信部に接続し、且つ、前記第2領域内の複数の振動素子に接続された複数の信号線を前記受信部に接続し、第2送受信開口パターンの選択時に、前記第1領域内の複数の振動素子に接続された複数の信号線を前記受信部に接続し、且つ、前記第2領域内の複数の振動素子に接続された複数の信号線を前記送信部に接続する。
【0023】
(3)本発明は、連続波ドプラモードを有する超音波診断装置において、複数の振動素子からなるアレイ振動子と、前記アレイ振動子における送信開口を構成する複数の振動素子に対して複数の連続波送信信号を供給する送信部と、前記アレイ振動子における受信開口を構成する複数の振動素子からの複数の連続波受信信号を処理する受信部と、前記アレイ振動子に設定する送受信開口パターンを順次切り替え、これにより前記アレイ振動子における送信開口の位置を順次切り替える開口制御部と、前記受信部から出力される処理後の受信信号に基づいて波形画像を形成する波形画像形成手段と、前記送受信開口パターンの切り替えの影響が前記波形画像に表れないように前記波形画像を補正する画像補正手段と、を含むことを特徴とする。
【0024】
ここで、補正対象となる波形画像は、ドプラ波形自体であってもよいし、ドプラ波形をトレースして形成されるトレース波形(トレースライン)あるいは両者であってもよい。望ましくは、前記画像補正手段は、前記送受信開口パターンの切り替え時に生じる前記波形画像の途切れを補間する。
【0025】
(4)上記特許文献4には、上述したように、アレイ振動子の正面方向を基準(角度0度)として、ビーム方向(計測目標の位置)が右側にあるのか左側にあるのか(正側にあるのか負側にあるのか)によって送信開口及び受信開口の入れ換えを行う構成が記載されている。しかし、その構成では、ビーム方向が特定の側に維持されている場合には送信開口の位置は不変となる。これに対し、以下に説明する本発明に係る実施形態によれば、ビーム方向にかかわらず、発熱分散あるいは劣化分散の観点から送信開口及び受信開口の入れ換えが行われる。その入れ換えタイミングは、時間基準、イベント基準(送受信再開、計測目標再設定、表示更新など)、あるいは、それらの組み合わせに従って決定される。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明によれば、アレイ振動子における発熱部位の固定化を回避することができる。本発明によれば、アレイ振動子を構成する複数の振動素子について劣化を平準化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
図1には、本発明に係る超音波診断装置の構成がブロック図として示されている。この超音波診断装置は生体に対して超音波を送受波し、これにより得られた受信信号に基づいて超音波画像を形成する装置である。この超音波診断装置は連続波ドプラモードを有している。以下、その連続波ドプラモードに関わる構成を中心として装置構成を説明する。
【0029】
図1に示される超音波診断装置は、装置本体12と、超音波探触子(プローブ)10とを有している。超音波探触子10は、図1に示す例において、プローブヘッド14、プローブケーブル16、及び、プローブコネクタ18によって構成される。プローブコネクタ18は装置本体12に設けられたコネクタに対して着脱自在に装着される。プローブコネクタ18は、図1に示す例において、配線切替部52を有するが、後に説明するように、その配線切替部52を装置本体12内に設けることもできる。配線切替部52をプローブヘッド内に設けることもできる。通常、超音波診断装置には、複数のプローブを同時に接続することが可能であり、その場合、複数のプローブは、プローブセレクタ(スイッチング回路)を介して、送信信号を生成する回路及び受信信号を処理する回路に接続される。図1においては、プローブセレクタは図示省略されている。プローブセレクタとは別に後述するCW用配線切替部を設けてもよいし、プローブセレクタがCW用配線切替部の機能を具備するように構成してもよい。
【0030】
プローブヘッド14内にはアレイ振動子15が設けられている。アレイ振動子15は、図1に示す例において一次元配列された複数の振動素子14aによって構成されている。それら複数の振動素子14aが円弧状に配列されてもよい。プローブヘッド14内にいわゆる2Dアレイ振動子を設けることもできる。連続波ドプラモードにおいて、アレイ振動子15上には第1開口20と第2開口22とが設定される。第1開口20と第2開口22との間には、音響的な回り込みを防止するためのギャップ領域24が設定される。第1開口20及び第2開口22は、図1に示す例において、アレイ振動子15の中心から対称に同じサイズをもって設定されている。それらの開口20,22は例えば100個程度の振動素子によって構成される。ギャップ領域24は数個あるいは10個程度の動作させない振動素子によって構成される。第1送受信開口パターンが選択された場合、第1開口20が送信開口として機能し、かつ、第2開口22が受信開口として機能する。すなわち、送信ビーム26が形成され、受信ビーム28が形成される。一方、第2送受信開口パターンが選択された場合、第2開口22が送信開口として機能し、かつ、第1開口20が受信開口として機能する。その構成の場合、送信ビーム32が形成され、受信ビーム30が形成される。すなわち、パターン切替時に送信開口と受信開口の位置が相互に入れ替わる。
【0031】
送信ビーム及び受信ビームは、電子的なビームステアリング技術及び電子フォーカス技術を利用して形成され、生体内に設定されたターゲット位置すなわち計測目標において両ビームがクロスするように各ビームの偏向角度がそれぞれ設定される。連続波ドプラモードにおいて、送信ビームは連続的に形成され、受信ビームも連続的に形成される。
【0032】
以上においては連続波ドプラモードにおける送受信開口パターンについて説明を行ったが、Bモードなどの他のモードにおいては電子セクタ走査や電子リニア走査などの電子走査方式にしたがって送受信開口が形成される。
【0033】
第1開口20を構成する複数の振動素子には複数の信号線20Aの一端側が接続されている。複数の信号線20Aの他端側は送受信部40に接続される。同様に、第2開口22を構成する複数の振動素子には複数の信号線22Aの一端側が接続されている。それらの信号線22Aの他端側は、送受信部40に接続される。ギャップ領域24を構成する複数の振動素子には複数の信号線24Aの一端側が接続されており、それらの他端側は送受信部40に接続されている。
【0034】
図1に示されるように、第1開口20に対応する複数の信号線20Aには分岐点38が設定されており、それらの分岐点38から複数の信号線20Bが引き出されている。これと同様に、第2開口22に対応する複数の信号線22Aには分岐点39が設定されており、それらの分岐点39から複数の信号線22Bが引き出されている。ちなみに、ギャップ領域24に対応する複数の信号線24Aは上記のような分岐点を有していない。
【0035】
上記のような複数の分岐点38,39は、図1に示す例においてプローブコネクタ18内に設けられているが、それらの分岐点38,39をプローブヘッド14内に設定することもできるし、装置本体12内に設定することもできる。プローブヘッド14内に複数の分岐点38,39を設定した場合、プローブケーブル16を構成する信号線の本数が増大する。したがって、それらの分岐点38,39はプローブコネクタ18内に設けるのが望ましい。さらに、そのような分岐点38,39及び配線切替部52を装置本体内に設ければ、超音波探触子10と装置本体12との間における接続ラインの個数を少なくできるという利点がある。その一方において、分岐38,39と配線切替部52をプローブコネクタ18内に設ければ、既存の超音波診断装置の主要構成をそのまま維持して(配線切替制御のための構成は付加する必要があるが)、送受信開口パターンの切替えを簡易に実現できるという利点がある。
【0036】
送受信部40は、Bモードなどにおいて、複数の振動素子14aに対して複数の送信信号を供給し、複数の振動素子14aから出力される複数の受信信号に対して整相加算処理などを実行する。すなわち、送受信部40は送信ビームフォーマー及び受信ビームフォーマーとして機能する。Bモードにおいては周知のように超音波パルスが生体内に送波される。その一方において、連続波ドプラモードの場合には連続波としての超音波が生体内に送波される。
【0037】
信号処理部42は、送受信部40から出力された整相加算処理後の受信信号に対して検波、対数圧縮などの必要な信号処理を施す。その処理後の受信信号(エコーデータ)はデジタルスキャンコンバータ(DSC)44に入力され、入力されるエコーデータに対して座標変換や補間処理などが実行される。これによって二次元断層画像としてのBモード画像が構築され、その画像データは表示処理部46に出力される。もちろん、図1に示す構成に加えて、二次元血流画像を形成する構成、Mモード画像を形成する構成、パルスドプラモードにおいてドプラ波形を形成する構成などを更に付加するようにしてもよい。また三次元画像を構築する構成を付加するようにしてもよい。
【0038】
配線切替部52は、制御部58から出力されるコントロール信号62にしたがって送受信開口パターンを切り替える回路である。具体的には、配線切替部52は、一方側の端子列と他方側の端子列とを有している。一方側の端子列には、上述した第1開口に対応する複数の信号線20Bと、上述した第2開口に対応する複数の信号線22Bとが接続されている。他方側の端子列には、CW用送信部48に接続された複数の信号線48Aが接続され、また、CW用受信部50に接続された複数の信号線50Aが接続されている。
【0039】
配線切替部52は、本実施形態において、第1送受信開口パターンが選択された場合には、複数の信号線48Aを複数の信号線20Bに接続する。その例が図1においてAで表されている。すなわち、第1開口20内に含まれる複数の振動素子がCW用送信部48に接続される。これによって第1開口20は送信開口として機能することになる。また、第1送受信開口パターンが選択された場合、複数の信号線22Bが複数の信号線50Aに接続され、これによって第2開口22内に含まれる複数の振動素子がCW用受信部50に接続される。すなわち第2開口22が受信開口として機能することになる。
【0040】
その一方、第2送受信開口パターンが選択された場合、配線切替部52は、複数の信号線48Aを複数の信号線22Bに接続する(図1においてB参照)。これと同時に、複数の信号線22Bを複数の信号線50Aに接続する。このような接続により、第2開口22が送信開口として機能し、すなわち、そこに含まれる複数の振動素子がCW用送信部48に接続される。これと共に、第1開口20が受信開口として機能し、そこに含まれる複数の振動素子がCW用受信部50に接続される。
【0041】
後述する制御部58は、所定のタイミングで第1送受信開口パターンから第2送受信開口パターンへの切替えを実行し、その後において、第2送受信開口パターンから第1送信開口パターンへの切替えを行う。それ以降においても、パターン切替えを繰り返し行う。これによって送信開口と受信開口は所定のタイミングで交互に入れ替わることになる。
【0042】
CW用送信部48は複数の送信信号(連続波)を生成する回路であり、CW用受信部50は複数の受信信号に対して位相を揃えて加算する処理を実行する。その場合においては位相検波方式などが利用される。CW用受信部50から出力される処理後の受信信号は周波数解析器としてのFFT52に入力され、そのFFT52によって受信信号(ドプラ成分)に対する周波数解析が実行される。その周波数解析の結果として得られる各時点のスペクトラムのデータは波形処理部54へ出力される。この波形処理部54はいわゆるドプラ波形を形成するモジュールである。本実施形態において、波形処理部54はドプラ波形を自動的にトレースする機能も有している。また、波形処理部54は時間軸上における補間機能を有しており、時間軸上において波形の欠落あるいはラインの欠落が生じた場合にはその欠落が補間処理によって解消される。これについては後に図3を用いて説明する。波形処理部54によって生成されたドプラ波形のデータは表示処理部46へ出力される。
【0043】
表示部56にはBモード画像やドプラ波形が表示される。一般に、生体内の血流の観測を行う場合、最初にBモードが選択され、これによってBモード画像が画面上に表示される。そのBモード画像上において血流を観測するターゲット位置がユーザーによって指定される。次にCWドプラモードにおいて、そのターゲット位置において送信ビーム及び受信ビームがクロスするように送受信条件が設定され、そのターゲット位置を中心として得られるドプラ情報が時間軸上のドプラ波形として表示されることになる。その場合において、所定のイベントが発生すると、例えば一定の時間が経過した場合、あるいは新しく計測目標が設定された場合などにおいては、上述したパターンの切替えが実行され、すなわち、送信開口と受信開口の位置が相互に入れ替わる。そして、それが繰り返されることになる。
【0044】
制御部58は、図1に示される各構成の動作制御を行っている。特に、連続波ドプラモード(CWドプラモード)において、上述した送受信開口パターンの切替えを含む送受信制御を実行している。操作パネル60はキーボードやトラックボールなどを含み、操作パネル60にて設定された入力情報が制御部52へ出力されている。
【0045】
図1に示した超音波診断装置によれば、連続波ドプラモードにおいて、所定のタイミングで送受信開口パターンを切り替えて、送信開口の位置を時間的に切り替えることが可能であるので、発熱部位をアレイ振動子に対して分散的に設定することができ、また特定の振動素子の劣化が進行してしまうという問題を防止できる。従来においては、局部的な発熱によって音響パワーを下げなければならない事態が生じていたが、本実施形態によれば発熱部位の分散化により、そのようなパワー制限となる事態を極力回避することができ、その結果感度低下という問題に対処することができる。
【0046】
図2には、第1送受信開口パターンが(A)に示され、第2送受信開口パターンが(B)に示されている。図示されるように、送信開口Tと受信開口Rとが所定のタイミングをもって交互に切り替わる。なお、ギャップ領域は必要に応じて設けるのが望ましく、それを構成する振動素子の個数は任意である。アレイ振動子上において、送信用振動素子と受信用振動素子とを交互に設定してアレイ振動子全体として送信開口と受信開口を形成することも可能であるが、音響的な回り込みの観点から見れば、図2に示されるような送信開口及び受信開口がそれぞれブロック状に構成されているパターンを採用するのが望ましい。
【0047】
図3には、波形処理部54によって形成されるドプラ波形の一例が示されている。横軸は時間軸であり、縦軸はドプラシフト周波数すなわち血流速度を表している。周知のように、各時刻ごとにスペクトラムが縦方向に並ぶ複数の画素の輝度値によって表され、それが時間軸方向に展開される。連続波ドプラモードを継続的に実行している途中において、パターン切替えが行われ、その結果としてドプラ波形72上において欠落部分76が微小期間dで発生する場合、その欠落部分76については上述した補間処理によってドプラ波形の穴埋めが行われる。また、ドプラ波形72に対するオートトレース処理によってトレースライン72が描かれる場合、微小期間dにおいては補間処理によってトレースラインがつなげられる。図3においてはそれが符号74で表されている。また、ドプラ波形が時間軸方向に成長して一定周期で更新されるような表示モードが設定されている場合、表示更新タイミングとパターン切替えタイミングとを合わせることにより、欠落部分76の発生を画面上から事実上消去することもできる。
【0048】
パターン切替え時点において、流速補正が必要な場合においては、ドプラ波形の縦軸のレンジやベースラインを補正するようにすればよい。ただし本実施形態においてはアレイ振動子における中心から左右対称に第1開口及び第2開口が設定されているため、送信開口及び受信開口が入れ替わった場合においても、その入れ替わりに起因する角度補正は不要である。それに関しては以下に図4を用いて説明する。ちなみに、超音波ビームと血流方向とが相違することに起因する角度補正(速度補正)については従来装置同様に適用するのが望ましく、そのような角度補正はパターン切替えの前後においても同じ条件で実行することができる。
【0049】
次に、対称関係にある送信開口と受信開口とを入れ換えた場合において、角度補正を行う必要があるか否かについて検討する。
【0050】
図4において、送信開口がTで示され、受信開口がRで示されている。血管内の血流がベクトルVで表されている。送信ビームBTとベクトルVとの間の角度はθTであり、受信ビームBRとベクトルVとの間の角度はθRである。超音波の周波数をf0とし、生体内の音速をCとする。
【0051】
血流側で観測される送信波の周波数f1は以下の(1)式で表され、受信開口R側で観測される反射波(受信波)の周波数f2は以下の(2)式で表される。
【0052】
1=(1+V・cosθT/C)・f0 ・・・(1)
【0053】
2=(1−V・cosθR/C)-1・f1 ・・・(2)
【0054】
ここで(1)式を(2)式に代入すると、次の(3)式が得られる。
【0055】
2=((1+V・cosθT/C)/(1−V・cosθR/C))・f0
・・・(3)
【0056】
上記(3)式の右辺の分子と分母に対してそれぞれ(1+V・cosθR/C)を掛けた上で、V/C<<1ゆえに(V/C)2がほぼ0であることを考慮すると、上記(3)式は、以下のように書き換えられる。
【0057】
2=f0+(V/C)・(cosθT+cosθR)・f0 ・・・(4)
【0058】
従って、ドプラシフト周波数fdは、以下の(5)式の通りとなる。
【0059】
d=f2−f1=(V/C)・(cosθT+cosθR)・f0 ・・・(5)
【0060】
ここで、θT+θR=θとおくと、上記(5)式は以下の(6)式となる。
【0061】
d=2・V・f0・cosθ/C ・・・(6)
【0062】
上記(6)式は良く知られているドプラシフト周波数を演算する式である。ここで、送信ビームと受信ビームとを入れ換えても、θT+θR=θがそのまま成り立ち、fdは不変である。つまり、対称関係にある第1送受波開口パターンと第2送受波開口パターンとを入れ換えても(送信ビームと受信ビームとを入れ換えても)、計測結果は同じとなる。よって、図1及び図2に示したような対称性を有する2つのパターン間で切り替えを行う場合には、角度補正は不要である。但し、様々な要因から上記計算が成り立たないような場合には勿論角度補正を行うのが望ましい。なお、血流ベクトルと超音波ビームのなす角度に応じた速度補正(角度補正)については必要に応じて従来同様に行えばよい。
【0063】
次に、図5を用いて、図1に示した装置の動作例を説明する。まずS101においてはBモードが選択され、二次元白黒断層画像としてのBモード画像が画面上に表示される。その画面上において、S102では、ユーザーによって計測目標としての計測点がポイントマーカーの位置決めなどによって指定される。またその計測点から出る矢印マーカーなどを血流方向に合わせることにより、血流方向の指定が行われる。これは角度補正の情報として用いられる。
【0064】
S103においては、連続波ドプラモードの制御が開始され、その際に送受信開口パターンが設定され、また後述する切替時間txが計算される。ここで、パターン設定にあたっては、直前の計測において用いられた送受信開口パターンが存在すればその送受信開口パターンが参照され、その送受信開口パターンとは異なる送受信開口パターンが選択される。この場合において1つ前の計測において用いられた送受信開口パターンの使用時間を考慮するようにしてもよい。例えばある一定時間以上その送受信開口パターンが使われている場合に限って今回の計測において別の送受信開口パターンを選択するようにしてもよい。切替時間txは、送信条件に応じて設定される。例えば、送信電圧、送信パワー、フォーカス点の深さ、などの温度上昇に起因するパラメータを参照することにより切替時間txが計算される。その切替え時間txとして例えば数十秒〜数分が設定される。もちろん、そのような計算を省略し、切替時間txを一定値としてもよいし、ユーザーによって自在に設定できるようにしてもよい。また切替時間txを表示更新レートに合わせることも可能である。
【0065】
S104ではタイマーが動作し、連続波送受信が開始される。S105では、タイマーによって計測されている時間tが切替時間txに到達したか否かが判断され、到達していなければS106において現在の計測を終了させるか否かが判断され、終了させないと判断された場合には、S105の工程が繰り返し実行される。
【0066】
一方、tがtxに到達した場合、処理がS105からS107へ移行し、S107ではパターン切替が実行される。すなわち現在用いている送受信開口パターンからもう一方の送受信開口パターンへの切替えが実行される。これによって送信開口が別の位置にシフトすることになり発熱部位が別のところに移される。これにより、一つ前の送信開口位置に関しては温度上昇が停止され、あるいは、その温度が低下することになる。その一方において、新しく設定された送信開口の位置においては発熱が生じるが、そのような発熱も時間的な管理あるいはイベント管理によって一定の時間間隔で終了することになる。S108では、パターン切替が行われるとタイマーがリセットされ、新しい送受信開口パターンについてのタイマー計測が再び開始される。
【0067】
S106において現在の計測を終了させると判断された場合、S109では現在用いている送受信開口パターンの識別子及び必要に応じて経過時間がメモリ上に登録され、次の計測において必要に応じてそれらの情報が参照される。
【0068】
したがって、図5に示される動作例によれば、連続波ドプラモードを指定する都度あるいは計測部位を変更する都度、基本的に送受信開口パターンが切替えられることになるため、例えば短時間計測を繰り返し行う場合においても、その都度パターンを切り替えて振動子の劣化をアレイ振動子全体にわたって平準化することが可能となる。また、ある送受信開口パターンが連続的に用いられている場合において一定時間を経過すると強制的に他の送受信開口パターンへの切替が行われるため、アレイ振動子上において一部の領域が過度に温度上昇してしまうという問題を未然に回避することができる。
【0069】
図6には、2Dアレイ振動子80が示されている。(A)には第1送受信開口パターンが示され、(B)には第2送受信開口パターンが設定されている。それらのパターンにおいては対称関係にある送信開口Tと受信開口Rの位置が入れ替わっており、このような構成によっても上述した各利点を得ることができる。二次元の送受信開口パターンの設定方法としては各種のものが考えられる。
【0070】
図7には、1Dアレイ振動子15が示されている。(A)には第1送受信開口パターンが示され、(B)には第2送受信開口パターンが示され、(C)には第3送受信開口パターンが示されている。それらの送受信開口パターンはローテーションをもって順番に切り替えて使用されるものである。ちなみに図7においてTは送信開口を表しており、Rは受信開口を表しており、R’は必要に応じて追加的に設定される受信開口を示している。(A)から(C)に示すように、送信開口Tが順番にシフトすることにより、アレイ振動子全体にわたって均一な発熱及び劣化となるように制御できる。ちなみに、図7に示す構成が採用される場合、送信ビーム及び受信ビームの設定条件がパターン切替時に変更されるため、必要に応じてパターン切替時に流速補正やゲイン補正などを行うようにするのが望ましい。
【0071】
なお、図1に示した配線切替部52は、上述したように第1開口20と第2開口22とをそれぞれ送信用及び受信用として切り替えるものであったが、いわゆる配線切替部52としてスイッチングマトリクスを設け、より多様なパターン切替えに対応できるようにしてもよい。
【0072】
図8及び図9には、他の構成例が示されている。図8において、超音波診断装置の本体にはプローブセレクタ106が設けられている。プローブセレクタ106には、複数のプローブ100,102,104を同時に接続することが可能である。但し、実際に使用されるのは、その中から指定された特定のプローブである。また、プローブセレクタ106には、Bモード用送受信部108(図1の送受信部40に相当)、CWモード用送信部110(図1のCW用送信部48に相当)、及び、CWモード用受信部112(図1のCW用受信部50に相当)が接続されている。プローブセレクタ106は、マルチプレクサ、スイッチングマトリクスなどの配線切替モジュールとして構成される。プローブセレクタ106は、Bモードにおいて、Bモード用送受信部108と、選択された特定のプローブと、を相互に接続する。また、プローブセレクタ106は、CWモードにおいて、CWモード用送信部110及びCWモード用受信部112と、選択された特定のプローブと、を相互に接続する。更に、CWモードにおいて、プローブセレクタ106は、送受信開口パターンを所定のタイミングで切り替える機能(図1の配線切替部52が有する機能)を有する。例えば、所定のタイミングで、CW送信開口とCW受信開口の位置が入れ換えられ、換言すれば、CW送信開口がローテーションされる。これによって、アレイ振動子上における特定部位のみが加熱しあるいは劣化する問題を解消できる。プローブセレクタ106の動作は、図示されていないコントローラによって制御される。
【0073】
図9には、図8に示した構成例とは別の構成例が示されている。図8に示した構成と同様の構成には同一符号を付し、その説明を省略する。図9において、送信部114は、Bモード及びCWモードの両モードで機能する兼用送信部である。また、受信部116も、Bモード及びCWモードの両モードで機能する兼用受信部である。図9に示す構成でも、CWモードにおいては、プローブセレクタ106が、所定のタイミングで送受信開口パターンを切り替える機能を有する。これによって、アレイ振動子上における特定部位のみが加熱しあるいは劣化する問題を解消できる。
【0074】
図8及び図9に示す構成においては、プローブセレクタ106を用いて送受信開口パターンの切り替え(送信開口のローテーション)を行うことができ、配線切替部を別途設ける必要がなくなる。但し、プローブセレクタ106を従来同様に利用しつつ、CWモードで使用されるプローブにおいて、そのコネクタやプローブヘッド内に配線切替部を設けることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明に係る超音波診断装置の好適な実施形態を示すブロック図である。
【図2】第1送受信開口パターン及び第2送受信開口パターンを示す図である。
【図3】ドプラ波形の一例を示す図である。
【図4】送信ビーム、受信ビーム及び血流ベクトルの関係を示す図である。
【図5】図1に示された装置の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図6】2Dアレイ振動子に対する送受信開口パターンの設定を説明するための図である。
【図7】3つの送受信開口パターンを示す図である。
【図8】複数のプローブを切り替えるプローブセレクタを有する実施形態を示すブロック図である。
【図9】複数のプローブを切り替えるプローブセレクタを有する他の実施形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0076】
10 超音波探触子、12 装置本体、15 アレイ振動子、18 プローブコネクタ、48 CW用送信部、50 CW用受信部、52 配線切替部、58 制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続波ドプラモードを有する超音波診断装置において、
複数の振動素子からなるアレイ振動子と、
前記アレイ振動子における送信開口を構成する複数の振動素子に対して複数の連続波送信信号を供給する送信部と、
前記アレイ振動子における受信開口を構成する複数の振動素子からの複数の連続波受信信号を処理する受信部と、
前記アレイ振動子に設定する送受信開口パターンを順次切り替え、これにより前記アレイ振動子における送信開口の位置を順次切り替える開口制御部と、
を含むことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記開口制御部は、パターン切替後の経過時間が切替時間に到達した時点で、前記アレイ振動子に設定する送受信開口パターンを切り替えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項3】
請求項2記載の装置において、
前記切替時間は送信条件に応じて可変設定されることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項4】
請求項1記載の装置において、
前記開口制御部は、特定の計測目標に対して連続波送受信を行っている途中で、前記アレイ振動子に設定する送受信開口パターンを切り替え可能であることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項5】
請求項1記載の装置において、
前記送受信開口パターンの切替前後で切替前の送信開口と切替後の送信開口とが重複しない関係にあることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項6】
請求項1記載の装置において、
前記開口制御部は、新たに連続波送受信を開始する都度、前記アレイ振動子に設定する送受信開口パターンを切り替えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項7】
請求項1記載の装置において、
前記複数の送受信開口パターンには、第1送受信開口パターンと第2送受信開口パターンとが含まれ、
前記第1送受信開口パターンは、前記アレイ振動子における一方側に送信開口が設定され且つ他方側に受信開口が設定されるパターンであり、
前記第2送受信開口パターンは、前記アレイ振動子における一方側に受信開口が設定され且つ他方側に送信開口が設定されるパターンであり、
前記開口制御部は、前記第1送受信開口パターンと前記第2送受信開口パターンとを交互に選択することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項8】
連続波ドプラモードを有する超音波診断装置において、
複数の振動素子からなるアレイ振動子と、
前記アレイ振動子における送信開口を構成する複数の振動素子に対して複数の連続波送信信号を供給する送信部と、
前記アレイ振動子における受信開口を構成する複数の振動素子からの複数の連続波受信信号を処理する受信部と、
前記アレイ振動子と、前記送信部及び前記受信部と、の間に設けられた配線切替部と、
前記配線切替部を制御する手段であって、前記アレイ振動子に設定する送受信開口パターンを順次切り替え、これにより前記アレイ振動子における送信開口の位置を順次切り替える開口制御部と、
を含むことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項9】
請求項8記載の装置において、
当該超音波診断装置は、前記アレイ振動子を備えた超音波探触子と、それが接続される装置本体と、を含み、
前記配線切替部は前記超音波探触子に設けられたことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項10】
請求項8記載の装置において、
当該超音波診断装置は、前記アレイ振動子を備えた超音波探触子と、それが接続される装置本体と、を含み、
前記配線切替部は前記装置本体に設けられたことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項11】
請求項8記載の装置において、
前記送信部は連続波ドプラモード専用の送信部であり、
前記受信部は連続波ドプラモード専用の受信部であり、
前記配線切替部は、
前記アレイ振動子上の第1領域内の複数の振動素子に接続された複数の信号線を前記送信部又は前記受信部へ選択的に接続する手段と、
前記アレイ振動子上の第2領域内の複数の振動素子に接続された複数の信号線を前記送信部又は前記受信部へ選択的に接続する手段と、
を含み、
前記開口制御手段は、
第1送受信開口パターンの選択時に、前記第1領域内の複数の振動素子に接続された複数の信号線を前記送信部に接続し、且つ、前記第2領域内の複数の振動素子に接続された複数の信号線を前記受信部に接続し、
第2送受信開口パターンの選択時に、前記第1領域内の複数の振動素子に接続された複数の信号線を前記受信部に接続し、且つ、前記第2領域内の複数の振動素子に接続された複数の信号線を前記送信部に接続する、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項12】
連続波ドプラモードを有する超音波診断装置において、
複数の振動素子からなるアレイ振動子と、
前記アレイ振動子における送信開口を構成する複数の振動素子に対して複数の連続波送信信号を供給する送信部と、
前記アレイ振動子における受信開口を構成する複数の振動素子からの複数の連続波受信信号を処理する受信部と、
前記アレイ振動子に設定する送受信開口パターンを順次切り替え、これにより前記アレイ振動子における送信開口の位置を順次切り替える開口制御部と、
前記受信部から出力される処理後の受信信号に基づいて波形画像を形成する波形画像形成手段と、
前記送受信開口パターンの切り替えの影響が前記波形画像に表れないように前記波形画像を補正する画像補正手段と、
を含むことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項13】
請求項12記載の装置において、
前記画像補正手段は、前記送受信開口パターンの切り替え時に生じる前記波形画像の途切れを補間することを特徴とする超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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