説明

超音波診断装置

【課題】操作者が自然な体勢でスキャンを行うことができる超音波診断装置を提供する。
【解決手段】超音波画像を表示するための画像表示装置6と、超音波を送波して得られたエコー信号に基づいて超音波画像を作成し、前記画像表示装置6に表示する制御を行う処理装置7とを備えた超音波診断装置1であって、前記画像表示装置6は、前記処理装置7と別体であり、設置部屋Rの天井Cにアーム11を介して取り付けられており、アーム11は、前記画像表示装置6の位置を変えるための可動部13〜16を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を送波して得られたエコー信号に基づいて超音波画像を作成する超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の超音波診断装置は、操作者が指示を入力するための操作装置と、超音波画像を表示するための画像表示装置と、超音波を送波して得られたエコー信号に基づいて超音波画像データを作成し表示する制御を行うための処理装置とが一体的に移動可能な構造になっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−339708号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の超音波診断装置は、操作者から手の届く位置に操作装置を位置させるために、患者が寝ているベッドに対して操作者が居る側に置かれる。従って、操作者は、ベッドサイドにおける超音波診断装置の近傍において、前記画像表示装置に表示される超音波画像を見ながら、ベッドに横たわる被検体にプローブをあててスキャンを行うことになり、不自然な体勢でスキャンを行うことになってしまう。また、診断部位によっては、被検体がベッドに座り、操作者が屈んだ状態でスキャンを行うこともあり、このような場合には操作者は前記画像表示装置を見上げるような格好でスキャンを行うことになり、無理な体勢を強いられる。
【0004】
また、前記操作装置、前記画像表示装置及び前記処理装置が一体的になっているためにサイズが大きな従来の超音波診断装置を、ベッドに対し操作者と同側に置くと、操作者の居る側の空間が大きく占有されてしまうことになっていた。
【0005】
本発明の目的は、操作者が自然な体勢でスキャンを行うことができる超音波診断装置を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、操作者が自然な体勢でスキャンを行うことができるとともに、超音波診断装置を設置する部屋のスペースを有効に利用することができる超音波診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、第1の観点の発明は、超音波画像を表示するための画像表示装置と、超音波を送波して得られたエコー信号に基づいて超音波画像を作成し、前記画像表示装置に表示する制御を行う処理装置とを備えた超音波診断装置であって、前記画像表示装置は、前記処理装置と別体であり、設置部屋の天井または壁にアームを介して取り付けられており、該アームは、前記画像表示装置の位置を変えるための可動部を有することを特徴とする超音波診断装置である。
【0008】
第2の観点の発明は、第1の観点の発明において、前記アームは、複数のアーム部材に分かれて構成され、前記可動部は、前記各アーム部材が互いに回動自在に接続された接続部により構成されることを特徴とする超音波診断装置である。
【0009】
第3の観点の発明は、第1,2の観点の発明において、前記アームを伸縮可能とすることにより、前記可動部が構成されることを特徴とする超音波診断装置である。
【0010】
第4の観点の発明は、第1〜3のいずれか一の観点の発明において、前記アームは、設置部屋の天井又は壁に、移動可能に取り付けられていることを特徴とする超音波診断装置である。
【0011】
第5の観点の発明は、第1〜4のいずれか一の観点の発明において、前記画像表示装置及び前記処理装置は、相互に無線通信するための無線通信部を有することを特徴とする超音波診断装置である。
【0012】
第6の観点の発明は、第1〜5のいずれか一の観点の発明において、操作者が指示を入力するための操作装置を備えており、前記処理装置は前記操作装置と別体で、前記設置部屋の壁に取り付けられているか又は前記設置部屋の壁近傍に設置されていることを特徴とする超音波診断装置である。
【0013】
第7の観点の発明は、第6の観点の発明において、前記操作装置は、キャスター付の移動台上に設置されていることを特徴とする超音波診断装置である。
【0014】
第8の観点の発明は、第6,7のいずれかの観点の発明において、前記処理装置及び前記操作装置は、相互に無線通信するための無線通信部を有することを特徴とする超音波診断装置である。
【0015】
第9の観点の発明は、第1〜8のいずれか一の観点の発明において、超音波の送受信を行うためのプローブが前記処理装置に接続されており、前記プローブにおけるプローブ本体と前記処理装置とを接続するケーブルを収容するためのケーブル収容部を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【0016】
第10の観点の発明は、第9の観点の発明において、前記ケーブル収容部は、内部に前記ケーブルの収容空間が形成されたケーブル収容筐体を有することを特徴とする超音波診断装置である。
【0017】
第11の観点の発明は、第10の観点の発明において、前記ケーブル収容筐体には、設置部屋の床面から高さ120cm以上の位置に開口部が設けられ、前記ケーブルは、前記開口部から前記ケーブル収容空間に収容されていることを特徴とする超音波診断装置である。
【0018】
第12の観点の発明は、第10,11の観点の発明において、前記処理装置は、前記設置部屋の床面から高さ70cm以下の部分の厚さが15cm以下である前記ケーブル収容筐体の上方に一体に設けられることを特徴とする超音波診断装置である。
【0019】
第13の観点の発明は、第1〜12のいずれか一の観点の発明において、前記処理装置は、前記設置部屋の床面から高さ70cm以下の部分を有し、この部分の厚さが15cm以下であることを特徴とする超音波診断装置である。
【発明の効果】
【0020】
第1の観点の発明によれば、前記画像表示装置は、前記処理装置と別体であり、前記画像表示装置の位置を変えるための可動部を有するアームを介して、前記超音波診断装置の設置部屋の天井又は壁に取り付けられているので、操作者は診断時の体勢に応じて、自然な体勢でスキャンを行える位置に前記画像表示装置を配置することができる。
【0021】
第2の観点の発明によれば、前記接続部を軸にして前記各アーム部材を互いに回動させることにより、操作者が自然な体勢でスキャンを行うことができる位置に前記画像表示装置を配置することができる。
【0022】
第3の観点の発明によれば、前記アームを伸縮させることにより、操作者が自然な体勢でスキャンを行うことができる位置に前記画像表示装置を配置することができる。
【0023】
第4の観点の発明によれば、前記アームが設置部屋の天井又は壁に移動可能に取り付けられているので、操作者が自然な体勢でスキャンを行うことができる位置に前記画像表示装置を配置することができ、また装置を使用しないときには設置部屋内の邪魔にならない場所へ移動させることもできる。
【0024】
第5の観点の発明によれば、前記画像表示装置と前記処理装置とを接続するケーブルを無くすことができるので、前記画像表示装置の移動がケーブルによって妨げられることを防止でき、またケーブルが邪魔になることを防止することができる。
【0025】
第6の観点の発明によれば、第1の観点の発明と同様に、操作者が自然な体勢でスキャンを行うことができるほか、患者が寝ているベッドに対して操作者が居る側に置かなければならない前記操作装置と、前記処理装置とが別体であり、前記処理装置が前記設置部屋の壁に取り付けられているか又は前記設置部屋の壁近傍に設置されているので、ベッドを挟んで、壁側に前記処理装置が配置され、壁側とは反対側の操作者が居る側に前記操作装置が配置される構成とすることができる。これにより、操作者が居る側の空間は、前記処理装置が無くなることによって従来よりも広くなり、設置部屋のスペースを有効に利用することができる。
【0026】
第7の観点の発明によれば、前記移動台を移動させることによって、前記操作装置の位置を自由に変えることができる。
【0027】
第8の観点の発明によれば、前記処理装置と前記操作装置とを接続するケーブルを無くすことができるので、前記操作装置を自由に移動させることができ、またケーブルが邪魔になることを防止することができる。
【0028】
第9の観点の発明によれば、前記ケーブル収容部に前記ケーブルを収容しうるので、前記ケーブルが邪魔になるのを防止することができる。
【0029】
第10の観点の発明によれば、前記ケーブルを前記ケーブル収容筐体に収容することができるので、前記ケーブルが邪魔になるのを防止することができる。
【0030】
第11の観点の発明によれば、前記ケーブル収容筐体には、前記超音波診断装置の設置部屋の床面から高さ120cm以上の位置に、前記ケーブル収容空間の開口部が設けられているので、前記設置部屋内においてベッドに寝た患者よりも十分高い位置から前記ケーブルが出入りすることになり、前記ケーブルが患者に不快感を与えることを防止することができる。
【0031】
第12の観点の発明によれば、通常のベッドの高さは70cm未満であり、前記設置部屋の床面から高さ70cm以下の部分の厚さが15cm以下である前記ケーブル収容筐体の上方に前記処理装置が一体に設けられるため、ベッドと壁との隙間を例えば16cmに設定することができ、ベッドをできるだけ壁に近づけることができる。これにより、操作者の居る側の空間が従来よりもさらに広くなり、前記超音波診断装置の設置部屋のスペースを有効に利用することができる。
【0032】
第13の観点の発明によれば、前記処理装置における床面から高さ70cm以下の部分の厚さが15cm以下であるため、第11の観点の発明と同様に、ベッドと壁との隙間を例えば16cmに設定することができ、ベッドをできるだけ壁に近づけることができる。これにより、操作者の居る側の空間が従来よりもさらに広くなり、前記超音波診断装置の設置部屋のスペースを有効に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
(第一実施形態)
先ず、第一実施形態について説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係る超音波診断装置を示す一部破断側面図、図2は図1に示す超音波診断装置の正面図、図3は図1に示す超音波診断装置の平面図、図4は、図1に示す超音波診断装置の開口部付近を示す一部破断拡大側面図、図5は、図1に示す超音波診断装置の開口部付近を示す拡大正面図である。なお、図3においては、後述する第一上下アーム11aが破断された状態で示されている。
【0034】
超音波診断装置1は、操作者が指示を入力するための操作装置2と、超音波の送受信を行うためのプローブ3と、このプローブ3のケーブル4を収容するケーブル収容装置5と、超音波画像を表示するための画像表示装置6と、操作者の指示に基づいて前記プローブ3を駆動し得られたエコー信号に基づいて超音波画像を作成し前記画像表示装置6に表示する制御を行うための処理装置7とを備えている。
【0035】
前記操作装置2は、前記画像表示装置6及び前記処理装置7と別体であり、キャスター付の移動台8上に設置され、被検体が横たわるベッドBに対して操作者の座るイスAが置かれた側に置かれている。また、前記操作装置2は、前記処理装置7と無線通信するための操作装置側無線通信部9を有している。そして、操作者が、前記操作装置2によって指示を入力すると、その指示信号が前記操作装置側無線通信部9により、前記処理装置7へ送信されるようになっている。
【0036】
前記画像表示装置6は、前記処理装置7と別体であり、前記処理装置7と無線通信するための画像表示装置側無線通信部10を有している。前記画像表示装置6へは、前記処理装置7から超音波画像のデータが送信されるようになっており、このデータを前記画像表示装置側無線通信部10で受信するようになっている。
【0037】
前記画像表示装置6は、前記超音波診断装置1の設置部屋Rの天井Cにアーム11を介して取り付けられている。このアーム11は、第一上下アーム11a、第一水平アーム11b、第二水平アーム11c及び第二上下アーム11dの4つのアーム部材に分かれて構成されており、前記第二上下アーム11dの下端に、前記画像表示装置6が取り付けられている。
【0038】
前記第一上下アーム11aは、天井Cに固定されたべ一ス体12に設けられ、このべ一ス体12から垂直に延びている。また、前記第一水平アーム11bは、前記第一上下アーム11aから水平に延びており、前記第二水平アーム11cは、前記第一水平アーム11bから水平に延びている。さらに、前記第二上下アーム11dは、前記第二水平アーム11cから垂直に延びている。
【0039】
前記アーム11は、前記画像表示装置6の位置を変えるための可動部として、第一可動部13、第二可動部14、第三可動部15及び第四可動部16を有している。前記第一可動部13は、前記第一上下アーム11aと前記第一水平アーム11bとが接続された第一接続部17であり、この第一接続部17を軸にして前記第一水平アーム11bが水平方向に回動するようになっている。前記第二可動部14は、前記第一水平アーム11bと前記第二水平アーム11cとが接続された第二接続部18であり、この第二接続部18を軸にして前記第一水平アーム11b及び前記第二水平アーム11cが水平方向に回動するようになっている。前記第三可動部15は、前記第二水平アーム11cと前記第二上下アーム11dとが接続された第三接続部19であり、この第三接続部19を軸にして前記第二水平アーム11c及び前記第二上下アーム11dが水平方向に回動するようになっている。前記第四可動部16は、前記第二上下アーム11dを伸縮可能とすることにより構成されている。
【0040】
前記画像表示装置6は、前記第二上下アーム11dとの接続部20において、上下方向に回動するようになっており、画面の角度を調節することができるようになっている。
【0041】
前記処理装置7は、前記ケーブル収容装置5の上方に一体に設けられており、このケーブル収容装置5とともに、前記超音波診断装置1の設置部屋Rの壁Wに取り付けられている。そして、前記処理装置7は、前記操作装置2及び前記画像表示装置6と無線通信するための処理装置側無線通信部21を有している。この処理装置側無線通信部21からは、前記処理装置7で作成された超音波画像のデータが前記画像表示装置6へ送信されるようになっている。また、前記処理装置7は、前記ケーブル4のコネクタ4aを接続するためのプローブコネクタ22を有している。
【0042】
前記ケーブル収容装置5は、本発明におけるケーブル収容部の実施の形態の一例である。このケーブル収容装置5は、前記プローブ3におけるプローブ本体3aと前記処理装置7とを接続する前記ケーブル4を収容するためのケーブル収容空間23aが形成され、壁Wに取り付けられたケーブル収容筐体23を有し、前記処理装置7はこのケーブル収容筐体23と一体になっている。このケーブル収容筐体23は、壁Wに取り付けられた状態で、床面Fからの高さが150cmであり、床面Fからの高さH=100cm(ベッドBよりも高い)までの部分は厚さT=10cmになっている。本発明では、T=10cmに限られるものではないが、ベッドBをできるだけ壁Wに近づけるという観点からは、T=15cm以下であることが望ましい。また、前記ケーブル収容筐体23は、壁Wに取り付けられた状態で、床面Fからの高さ100cm〜130cmの範囲は突出部24になっており、この突出部24の厚さは20cmになっている。
【0043】
前記ケーブル収容筐体23には、上下方向にスライド可能なカバー25が取り付けられている。そして、このカバー25を下方にスライドさせることにより、前記ケーブル収容筐体23の床面Fからの高さ65cm〜100cmの範囲の内部が露出し、操作者が前記ケーブル収容空間23aにアクセスすることができるようになっている。これにより、保守作業を行いやすくなり、前記プローブ3のケーブル4を後述する動滑車28から外したり、前記ケーブル4を前記動滑車28に装着することが可能になる。
【0044】
前記ケーブル収容筐体23の突出部24の床面Fからの高さ120cm〜130cmの範囲は、開口部23bになっている。前記プローブコネクタ22は、前記開口部23bよりも上方の位置となっていて、前記プローブ3のケーブル4は、前記開口部23bから前記ケーブル収容空間23a内に収容されている。
【0045】
前記ケーブル4は、前記ケーブル収容空間23a内において、U宇状に曲がった状態で収容されている。このような状態で前記ケーブル4が収容されることにより、このケーブル4が曲げられる部分が、U字状の下端(前記動滑車28を掛けた部分)の1カ所だけで済み、前記ケーブル4を傷めなくてすむ。
【0046】
前記開口部23bには、ケーブルストッパ26が設けられている。このケーブルストッパ26は、前記ケーブル4の外径より狭い隙間のスリット26aである。そして、このスリット26aに前記ケーブル4を弾性変形させて挟むことにより、前記ケーブル4を係止させることができるようになっており、これにより、操作者の意に反して前記ケーブル4が前記開口部23bから出たり、前記ケーブル収容空間23aに引き込まれたりすることを防止できるようになっている。
【0047】
また、前記開口部23bには、前記ケーブル4の下面に当たりうるローラ27が設けられている。このローラ27により、前記開口部23bからの前記ケーブル4の出入りが円滑に行われるようになっている。
【0048】
前記ケーブル収容筐体23の内部構成について図6に基づいて説明する。図6は、前記ケーブル収容筐体23に取り付けられた前記カバー25を下方にスライドさせ、前記ケーブル収容筐体23の床面F(図6では図示省略)からの高さ65cm〜100cmの範囲の内部を露出させた状態の動滑車28付近の拡大側面図である。
【0049】
前記ケーブル4のU字状の下端には、例えば直径10mm以上の動滑車28が掛けられている。この動滑車28により、動滑車28の半径(例えば5mm以上)より小さな曲率で前記ケーブル4が曲がることを防止することができる。
【0050】
前記動滑車28は、前記ケーブル収容空間23a内における前記ケーブル収容筐体23の背面に上下方向に固定されたレール29に、ホルダ28aを介して上下移動可能に保持されている。また、前記動滑車28は、重り30により、下向きに付勢されている。この重り30は、前記ケーブル4を前記ケーブル収容空間23aに円滑に引き込むカとなる。
【0051】
さらに、前記動滑車28には、ケーブルロック31が設置されている。このケーブルロック31は、回動可能なレバー状部材からなっている。このようなケーブルロック31により、前記動滑車28から前記ケーブル4が外れることを防止でき、安定性・信頼性が向上する。
【0052】
前記レール29の床面Fから高さ70cmの位置には、動滑車ロック32が設けられている。この動滑車ロック32は、シーソー状に動いて姿勢を変えるシーソー状部材である。この動滑車ロック32により、後述するように前記ケーブル4を外した前記動滑車28を、床面Fから高さ70cm以上の位置に止めておくことができ、前記動滑車28に前記ケーブル4を脱着する際の作業が行いやすくなる。
【0053】
図7〜図9は、前記ケーブル4を前記動滑車28から外す手順を示している。前記ケーブル4を前記動滑車28から外すには、先ず、前記カバー25を下方にスライドさせ、前記ケーブル収容筐体23の床面F(図7〜9では図示省略)からの高さ65cm〜100cmの範囲の内部を露出させた状態で、前記ケーブル4を引き出し、図7に示すように前記動滑車28を前記動滑車ロック32よりも上の位置まで上昇させる。
【0054】
次に、図8に示すように、前記動滑車ロック32をシーソー状に動かして前記レール29の上面29aよりも突出させ、前記動滑車28を下げて、前記動滑車ロック32に前記動滑車28を載せる。そして、図9に示すように、前記ケーブルロック31を回して上げ、前記ケーブル4を前記動滑車28から外す。
【0055】
前記ケーブル4に前記動滑車28を掛ける手順は、前記ケーブル4を前記動滑車28から外す手順の逆である。
【0056】
本例の超音波診断装置1によれば、前記画像表示装置6は、前記操作装置2及び前記処理装置7と別体であり、前記アーム11を介して前記天井Cに取り付けられていて、前記第一水平アーム10b、前記第二水平アーム10c及び前記第二上下アーム10dを水平方向に回動させ、また前記第二上下アーム10dを伸縮させて長さを変えることにより、操作者が自然な体勢でスキャンを行える位置に前記画像表示装置6を移動させることができる。
【0057】
また、ベッドBに対して操作者が居る側に置かなければならない前記操作装置2と、前記処理装置7とが別体であり、この処理装置7が前記設置部屋Rの壁Wに取り付けられているので、前記ベッドBを挟んで、壁W側に前記処理装置7が配置され、壁W側とは反対側の操作者が居る側に前記操作装置2が配置される構成とすることができる。これにより、操作者が居る側の空間は、前記処理装置7が無くなることによって従来よりも広くなり、前記設置部屋Rのスペースを有効に利用することができる。
【0058】
そして、本例では、前記設置部屋Rの床面Fからの高さH=100cm以下の部分の厚さが10cm以下である前記ケーブル収容筐体23の上方に前記処理装置7が一体に設けられているため、高さ100cmよりも低いベッドBと壁Wとの隙間を例えば11cmに設定することができ、前記ベッドBをできるだけ壁Wに近づけることができる。これにより、操作者の居る側の空間が従来よりもさらに広くなり、設置部屋Rのスペースを有効に利用することができる。
【0059】
また、前記ケーブル収容筐体23には、前記設置部屋Rの床面Fから高さ120cm以上の位置に、前記ケーブル収容空間23aの開口部23bが設けられているので、前記設置部屋R内においてベッドBに寝た患者よりも十分高い位置から前記ケーブル4が出入りすることになり、前記ケーブルが患者に不快感を与えることを防止することができる。
【0060】
さらに、前記画像表示装置6と前記処理装置7との通信は無線で行われ、これらの装置を接続する接続ケーブルを無くすことができるので、この接続ケーブルによって前記画像表示装置6の移動が妨げられることを防止でき、また接続ケーブルが邪魔になることを防止することができる。同様に、前記操作装置2と前記処理装置7との通信も無線で行われ、これらの装置を接続する接続ケーブルを無くすことができるので、前記移動台8により前記操作装置2を自由に移動させることができ、また接続ケーブルが邪魔になることを防止することができる。
【0061】
また、前記ケーブル4を前記ケーブル収容筐体23に収容することができるので、前記ケーブル4が邪魔になるのを防止することができる。
【0062】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態について、図10,11に基づいて説明する。図10は、本発明の第二実施形態に係る超音波診断装置を示す一部破断側面図、図11は図10に示す超音波診断装置の正面図である。
【0063】
本例の超音波診断装置40では、前記処理装置7及び前記ケーブル収容装置5は、ベッドBと壁Wの間に設置されている。具体的には、前記処理装置7と一体の前記ケーブル収容筐体23が床面Fに設置されている。このケーブル収容筐体23は、転倒防止脚41を有しており、この転倒防止脚41により床面Fに安定した状態で設置されている。前記転倒防止脚4王は、床面Fにアンカーボルト(図示省略)で固定することが望ましい。
【0064】
本例においても、前記ケーブル収容筐体23は、床面Fからの高さが150cmで、高さH=100cmまでの部分は厚さT=10cmとなっている。ここで、T論10cmに限られるものではないが、T=15cm以下であることが望ましい点については、第一実施形態と同様である。また、前記ケーブル収容筐体23の高さ100cm〜130cmの範囲は前記突出部24となっており、この突出部24の高さ120cm〜130cmの範囲は、前記開口部23bになっている。
【0065】
本例の超音波診断装置40によっても、前記処理装置5が前記操作装置2と別体で壁Wの近傍に設置されているので、第一実施形態の超音波診断装置1と同様に、設置部屋Rのスペースを有効に利用することができ、その他第一実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。
【0066】
(第三実施形態)
次に、本発明の第三実施形態について、図12に基づいて説明する。図12は、本発明の第三実施形態に係る超音波診断装置を示す正面図である。
【0067】
本例の超音波診断装置50では、アーム11が、天井Cから下方に延びた第一上下アーム11aと、第一上下アーム11aの下端から回動可能に水平方向に延びた第一水平アーム11bと、第一水平アーム11bから上下方向に変形可能に延びた平行リンクアーム11eと、平行リンクアーム11eから延び且つ画像表示装置6を回動可能に支持する回転軸11fとから構成されている。
平行リンクアーム11eは、垂直辺を垂直に維持したまま水平辺が傾斜しうる平行リンク機構である。
【0068】
(第四実施形態)
次に、本発明の第四実施形態について、図13,14に基づいて説明する。図13は、本発明の第四実施形態に係る超音波診断装置を示す正面図である。図14は、本発明の第四実施形態に係る第二水平スライドガイドを示す仰観図である。
【0069】
本例の超音波診断装置60では、アーム11が、天井Cに取り付けられ且つ水平に左右に延びた第一水平スライドガイド11gと、第一水平スライドガイド11gに沿って左右方向に摺動可能に第一水平スライドガイド11gに支持され且つ前後方向に延びた第二水平スライドガイド11hと、第二水平スライドガイド11hに沿って前後方向に摺動可能に支持され且つ画像表示装置6を上下可能かつ回動可能に支持する第二上下アーム11dとから構成されている。
【0070】
(第五実施形態)
次に、本発明の第五実施形態について、図15に基づいて説明する。図15は、本発明の第五実施形態に係る超音波診断装置を示す正面図である。
【0071】
本例の超音波診断装置70では、アーム11が、天井Cから下方に延びた第一上下アーム11aと、第一上下アーム11aの下端から回動可能に水平方向に延びた第二水平スライドガイド11hと、第二水平スライドガイド11hに沿って摺動可能に支持され且つ画像表示装置6を上下可能かつ回動可能に支持する第二上下アーム11dとから構成されている。
【0072】
(第六実施形態)
次に、本発明の第六実施形態について、図16に基づいて説明する。図16は、本発明の第六実施形態に係る超音波診断装置を示す正面図である。
【0073】
本例の超音波診断装置80では、アーム11が、天井Cから下方に延び且つ回転可能な第一上下スライドガイド11iと、第一上下スライドガイド11iに沿って上下方向に摺動可能に第一上下スライドガイド11iに支持され水平に延びた第二水平スライドガイド11hと、第二スライドガイド11hに沿って摺動可能に支持され且つ画像表示装置6を回動可能に支持する上下アーム11kとから構成されている。
【0074】
以上、本発明を前記各実施形態によって説明したが、この発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。例えば、特に図示しないが、前記アーム11が壁Wに取り付けられ、前記画像表示装置4が、前記アーム11を介して壁Wに取り付けられている構成となっていてもよい。また、前記アーム11は、特に図示しないが、壁Wにレール等を介して移動可能に取り付けられていてもよい。このように前記アーム11を移動可能にすることで、操作者が自然な体勢でスキャンを行うことができる位置に前記画像表示装置6を配置することができ、また装置を使用しないときには設置部屋R内の邪魔にならない場所へ移動させることもできる。
【0075】
また、本発明におけるケーブル収容部は、前記処理装置7の一部として構成されていてもよい。さらに、前記処理装置7は、床面Fに直接設置されていてもよい。前記処理装置7が、床面Fから高さ70cm以下の部分を有する揚合は、この部分の厚さが15cm以下となっていることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第一実施形態に係る超音波診断装置を示す一部破断側面図である。
【図2】図1に示す超音波診断装置の正面図である。
【図3】図1に示す超音波診断装置の平面図である。
【図4】図1に示す超音波診断装置の開口部付近を示す一部破断拡大側面図である。
【図5】図1に示す超音波診断装置の開口部付近を示す拡大正面図である。
【図6】図1に示す超音波診断装置のケーブル収容筐体に取り付けられたカバーを下方にスライドさせ、内部を露出させた状態の動滑車付近の拡大側面図である。
【図7】動滑車ロックを解除した状態を示す動滑車ロック付近の拡大側面図である。
【図8】動滑車ロックを作動させた状態を示す動滑車ロック付近の拡大側面図である。
【図9】ケーブルロックを解除した状態を示す動滑車付近の拡大側面図である。
【図10】本発明の第二実施形態に係る超音波診断装置を示す一部破断側面図である。
【図11】図10に示す超音波診断装置の正面図である。
【図12】本発明の第三実施形態に係る超音波診断装置の正面図である。
【図13】本発明の第四実施形態に係る超音波診断装置の正面図である。
【図14】本発明の第四実施形態に係る第二水平スライドガイドを示す仰観図である。
【図15】本発明の第五実施形態に係る超音波診断装置の正面図である。
【図16】本発明の第六実施形態に係る超音波診断装置の正面図である。
【符号の説明】
【0077】
1,40,50,60,70,80 超音波診断装置
2 操作装置
3 プローブ
3a プロー一ブ本体
4 ケーブル
5 ケーブル収容装置(ケーブル収容部)
6 画像表示装置
7 処理装置
8 移動台
9 操作装置側無線通信部
10 画像表示装置側無線通信部
11 アーム
21 処理装置側無線通信部
23 ケーブル収容筐体
23a ケーブル収容空間
23b 開口部
C 天井
W 壁
F 床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波画像を表示するための画像表示装置と、超音波を送波して得られたエコー信号に基づいて超音波画像を作成し、前記画像表示装置に表示する制御を行う処理装置とを備えた超音波診断装置であって、
前記画像表示装置は、前記処理装置と別体であり、設置部屋の天井または壁にアームを介して取り付けられており、該アームは、前記画像表示装置の位置を変えるための可動部を有する
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記アームは、複数のアーム部材に分かれて構成され、前記可動部は、前記各アーム部材が互いに回動自在に接続された接続部により構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記アームを伸縮可能とすることにより、前記可動部が構成される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記アームは、設置部屋の天井又は壁に、移動可能に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記画像表示装置及び前記処理装置は、相互に無線通信するための無線通信部を有する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
操作者が指示を入力するための操作装置を備えており、前記処理装置は前記操作装置と別体で、前記設置部屋の壁に取り付けられているか又は前記設置部屋の壁近傍に設置されている
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記操作装置は、キャスター付の移動台上に設置されている
ことを特徴とする請求項6に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記処理装置及び前記操作装置は、相互に無線通信するための無線通信部を有する
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
超音波の送受信を行うためのプローブが前記処理装置に接続されており、前記プローブにおけるプローブ本体と前記処理装置とを接続するケーブルを収容するためのケーブル収容部を備える
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記ケーブル収容部は、内部に前記ケーブルの収容空間が形成されたケーブル収容筐体を有する
ことを特徴とする請求項9に記載の超音波診断装置。
【請求項11】
前記ケーブル収容筐体には、設置部屋の床面から高さ120cm以上の位置に開口部が設けられ、前記ケーブルは、前記開口部から前記ケーブル収容空間に収容されている
ことを特徴とする請求項10に記載の超音波診断装置。
【請求項12】
前記処理装置は、前記設置部屋の床面から高さ70cm以下の部分の厚さが15cm以下である前記ケーブル収容筐体の上方に一体に設けられる
ことを特徴とする請求項10又は11に記載の超音波診断装置。
【請求項13】
前記処理装置は、前記設置部屋の床面から高さ70cm以下の部分を有し、この部分の厚さが15cm以下である
ことを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−201967(P2009−201967A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−137563(P2008−137563)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】