超音波診断装置
【課題】奥行が抑制されて省スペースでの設置が可能な超音波診断装置を提供する。
【解決手段】装置筐体2と、この装置筐体2よりも上方に設けられた取付部15に上下方向に回動可能に取り付けられ、前記装置筐体2の上方において装置前後方向に延びるアーム13と、このアーム13の先端側に設けられた操作パネル22と、を備え、前記取付部15は、前記アーム13が水平となる位置よりも上方及び下方へ回動可能なように、前記装置筐体2の上面4から所定の高さの位置に設けられていることを特徴とする。
【解決手段】装置筐体2と、この装置筐体2よりも上方に設けられた取付部15に上下方向に回動可能に取り付けられ、前記装置筐体2の上方において装置前後方向に延びるアーム13と、このアーム13の先端側に設けられた操作パネル22と、を備え、前記取付部15は、前記アーム13が水平となる位置よりも上方及び下方へ回動可能なように、前記装置筐体2の上面4から所定の高さの位置に設けられていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作パネルの高さ位置を変えることができる超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、被検体に対して超音波の送受信を行なってエコー信号を取得する超音波プローブと、この超音波プローブで取得されたエコー信号に基づいて超音波画像データを作成する演算処理部を含む回路基板が収納された装置筐体と、前記超音波画像データに基づく超音波画像を表示するディスプレイと、操作者の指示などを入力する操作パネルとを備えている。
【0003】
上述のような構成の超音波診断装置において、操作パネルを上下動させて高さ位置を変えることができる超音波診断装置が、例えば特許文献1に開示されている。この特許文献1の超音波診断装置では、前記操作パネルがアームに取り付けられ、このアームが回動することにより、前記操作パネルを上下動させることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4393506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示された超音波診断装置では、前記操作パネルを上方に位置させた時よりも下方に位置させた時の方が装置全体の奥行きが大きくなり、その分設置スペースが広くなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するためになされた第1の観点の発明は、装置筐体と、該装置筐体よりも上方に設けられた取付部に上下方向に回動可能に取り付けられ、前記装置筐体の上方において装置前後方向に延びるアームと、該アームの先端側に設けられた操作パネルと、を備え、前記取付部は、前記アームが水平となる位置よりも上方及び下方へ回動可能なように、前記装置筐体の上面から所定の高さの位置に設けられていることを特徴とする超音波診断装置である。
【0007】
第2の観点の発明は、第1の観点の発明において、前記取付部は、前記装置筐体の上面よりも上方へ突出するアーム取付部材に設けられていることを特徴とする超音波診断装置である。
【0008】
第3の観点の発明は、第2の観点の発明において、前記アーム取付部材は、前記超音波診断装置の背面側に設けられており、前記アームは、背面側から正面側に延びるように設けられていることを特徴とする超音波診断装置である。
【0009】
第4の観点の発明は、第1〜3のいずれか一の観点の発明において、前記アームの回動を確保するための空間部が前記装置筐体の上方に形成されるように、前記装置筐体の上面からの前記取付部の高さが設定されていることを特徴とする超音波診断装置である。
【0010】
第5の観点の発明は、第1〜4のいずれか一の観点の発明において、前記アームは、水平位置から上方への回動角度と、水平位置から下方への回動角度とが同じになっていることを特徴とする超音波診断装置である。
【0011】
第6の観点の発明は、第1〜4のいずれか一の観点の発明において、前記アームは、水平位置から上方への回動角度と、水平位置から下方への回動角度とが異っていることを特徴とする超音波診断装置である。
【0012】
第7の観点の発明は、第1〜6の観点の発明において、前記超音波診断装置を設置面において支持するキャスターが、前記装置筐体の側方に突出して設けられたキャスター取付部材に取り付けられていることを特徴とする超音波診断装置である。
【0013】
第8の観点の発明は、第7の観点の発明において、前記装置筐体の下面よりも前記キャスター取付部材における前記キャスターの取付面の高さ位置が高くなっていることを特徴とする超音波診断装置である。
【0014】
第9の観点の発明は、第1〜8のいずれか一の観点の発明において、略直方体形状に形成された前記装置筐体の四つの側面のうち、操作者が前記操作パネルにおいて操作を行なう側の面である正面と隣接する面である右側面又は左側面に、超音波プローブを接続するコネクタが設けられていることを特徴とする超音波診断装置である。
【0015】
第10の観点の発明は、第1〜9のいずれか一の観点の発明において、前記操作パネルには、ディスプレイがディスプレイ取付アームを介して取り付けられており、該ディスプレイ取付アームは、前記操作パネルの上面側に取り付けられ、なおかつ前記アームが最下位の位置にあって前記操作パネルよりも上方へ延びる状態においても、前記アームと干渉しないように上方に向かって形成されていることを特徴とする超音波診断装置である。
【0016】
第11の観点の発明は、第1〜10のいずれか一の観点の発明において、前記アームは、平行リンク機構によって回動することを特徴とする超音波診断装置である。
【0017】
第12の観点の発明は、第1〜11のいずれか一の観点の発明において、前記装置筐体内には、超音波を送信して得られたエコー信号を処理する演算処理部を含む回路基板が収納されていることを特徴とする超音波診断装置である。
【発明の効果】
【0018】
上記観点の発明によれば、前記アームを回動させることにより、このアームの先端側に設けられた前記操作パネルを上下動させることができる。そして、前記アームは、前記装置筐体よりも上方に設けられた取付部に取り付けられて装置前後方向に延び、前記装置筐体の上方において上下方向に回動するようになっているので、超音波診断装置の奥行(装置前後方向の長さ)を抑制することができる。しかも、前記アームは、水平となる位置よりも上方及び下方へ回動可能なので、前記アームの回動による装置前後方向における前記操作パネルの位置の差が小さくなる。以上より、前記超音波診断装置の奥行が抑制されて、省スペースでの設置が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る超音波診断装置の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示す超音波診断装置の正面図である。
【図3】図1に示す超音波診断装置の右側面図である。
【図4】図1に示す超音波診断装置の平面図である。
【図5】図1に示す超音波診断装置を背面側から見た斜視図である。
【図6】図1に示す超音波診断装置におけるアームの回動角度の説明図である。
【図7】図1に示す超音波診断装置におけるアームのリンク機構の説明図であり、(A)はアームが水平位置にある状態の図、(B)はアームが最上位位置にある状態の図、(C)はアームが最下位位置にある状態の図である。
【図8】アームが最上位位置にある状態の超音波診断装置を示す右側面図である。
【図9】アームが最下位位置にある状態の超音波診断装置を示す右側面図である。
【図10】操作者がしゃがんでスキャンを行なう時の様子を説明するための図であり、(A)は正面図、(B)は平面図である。
【図11】操作パネルを図1に示す状態から水平方向に回動させた状態の超音波診断装置を示す斜視図である。
【図12】キャスター取付部材がベッドの下に入り込むようにして配置された超音波診断装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図1〜図12に基づいて説明する。図1に示す超音波診断装置1は、略直方体形状の装置筐体2を備えている。この装置筐体2内には、超音波プローブ(図示省略)から超音波を送受信して得られたエコー信号を演算処理して超音波画像データを作成する演算処理部を含む回路基板等が収納されている。
【0021】
前記装置筐体2の四つの側面3(上面4と下面5以外の面)のうち、操作者が後述の操作パネル22において操作を行なう側の面を正面6とする。従って、前記装置筐体2の四つの側面3のうち、符合7は右側面、符合8は左側面である。
【0022】
ちなみに、以下の説明では、前記超音波診断装置1において、前記装置筐体2の正面6側を前記超音波診断装置1の正面側Fといい、前記右側面7側を前記超音波診断装置1の右側面側Rといい、前記左側面8側を前記超音波診断装置1の左側面側Lというものとする。また、前記正面側Fと対向する側を前記超音波診断装置1の背面側Bというものとする。
【0023】
前記装置筐体2の前記右側面7には、前記超音波プローブを接続するためのコネクタ9が複数設けられている(本例では五つ)。このように前記コネクタ9は、前記右側面7に設けられているので、前記正面6に設けられる場合と比べて、前記装置筐体2の幅(横幅)を抑制することができるようになっている。ちなみに、前記コネクタ9は、前記左側面8に設けられていてもよい。
【0024】
前記装置筐体2の下部には、この装置筐体2の側方へ突出するようにしてキャスター取付部材10が四つ設けられている。本例では、このキャスター取付部材10は、前記装置筐体2の右側面7及び左側面8に二つずつ設けられている。そして、前記各キャスター取付部材10には、前記超音波診断装置1を設置面において支持するキャスター11が一つずつ取り付けられている。
【0025】
ちなみに、前記装置筐体2の側方とは、前記超音波診断装置1の周囲の方へという意味である。従って、前記キャスター取付部材10の突出方向は、前記超音波診断装置1の周囲の360°いずれの方向であってもよい。本例では、前記キャスター取付部材10は、前記装置筐体2の右側面7及び左側面8に対し、平面視で前記正面側F及び前記背面側Bの方へ斜め方向に突出している。
【0026】
前記キャスター取付部材10は、基端部10a側から先端部10b側へ向かって斜め上方へ傾斜する傾斜部10cを有しており、前記超音波診断装置1の設置面からの前記先端部10bの高さ位置が前記基端部10aよりも高くなっている。また、前記設置面からの前記先端部10bの高さ位置は、前記装置筐体2の下面5よりも高くなっている。
【0027】
ここで、前記キャスター11は、前記先端部10bの下面10b1に取り付けられている。従って、前記筐体2の下面5よりも、前記キャスター11の取付面である前記下面10b1の方が、前記設置面からの高さ位置が高くなっている。これにより、前記装置筐体2の下面5を前記設置面により近づけることができるので、前記装置筐体2の前記設置面からの高さを抑制することができるようになっている。
【0028】
前記超音波診断装置1の背面側Bには、平板状のアーム取付部材12が設けられている。このアーム取付部材12は、前記装置筐体2と一体に設けられており、また前記装置筐体2の上面4よりも上方へ突出している。前記アーム取付部材12には、装置筐体2側の面にアーム13が設けられており、反対側の面には棒状の把持部材14が設けられている。操作者は、前記把持部材14を持って超音波診断装置1を押すことにより、この超音波診断装置1を移動させることができるようになっている。
【0029】
前記アーム13は、前記アーム取付部材12に設けられた取付部15に上下方向に回動可能に取り付けられている。詳しく説明すると、前記アーム13は、前記取付部15から前記正面側Fに向かって延びるように設けられている。ここで、前記正面側Fは前記超音波診断装置1の前面側であり、前記背面側Bは前記超音波診断装置1の後面側である。従って、前記アーム13は、前記超音波診断装置1の前後方向(装置前後方向)に延びているということもできる。前記アーム13の長さは、前記装置筐体2の奥行(前後方向の長さ)とほぼ同じ長さになっている。
【0030】
前記取付部15は、前記装置筐体2よりも上方に設けられている。従って、前記アーム13は、前記装置筐体2の上方に位置している。前記取付部15の高さ位置について説明すると、前記取付部15は、前記装置筐体2の上面4から所定の高さの位置に設けられている。この所定の高さは、前記アーム13を、水平方向に位置する水平位置Xよりも下方へ回動可能とするための空間部16が、前記装置筐体2の上方に形成される高さに設定されている。
【0031】
ここで、前記アーム13の回動角度について説明する。前記アーム13は、図6に示すように水平方向に位置する水平位置Xから、上方と下方に同じ角度θ°だけ回動するようになっている。前記アーム13が前記水平位置Xから上方へθ°回動した最上位位置をY、前記水平位置Xから下方へθ°回動した最下位位置をZとする。このように、前記アーム13が水平位置Xから上方と下方に同じ角度回動するようになっているので、前記アーム13の先端に取り付けられた操作パネル22の前記最上位位置Y及び前記最下位位置Zにおける装置前後方向の位置は同じ位置になっている。また、前記水平位置Xにおける前記操作パネル22の装置前後方向の位置は、前記最上位位置Y及び前記最下位位置Zよりも前記正面側Fの方向になっている。
【0032】
また、前記アーム13は、前記水平位置Xから上方と下方に同じ角度θ°だけ回動するようになっているので、仮に前記アーム13が前記水平位置Xよりも上方のみ又は下方のみに回動するようになっている場合と比べると、前記水平位置Xと前記最上位位置Y及び前記最下位位置Zとの装置前後方向の位置の差が小さくなる。
【0033】
ちなみに、図1〜図5では、前記アーム13が前記水平位置Xにある状態が図示されている。また、後述の図8では、前記アーム13が前記最上位位置Yにある状態が図示され、後述の図9では、前記アーム13が前記最下位位置Zにある状態が図示されている。
【0034】
ここで、前記アーム13の先端には、後述するように操作パネル22が取り付けられている。前記アーム13が前記最上位位置Yまで回動した状態においては、操作パネル22は、設置面から120〜130cmの位置にあることが望ましい。また、前記アーム13が前記最下位位置Zまで回動した状態においては、前記操作パネル22は、設置面から60cm程度の位置にあることが望ましい。前記水平位置Xは、前記最上位位置Yと前記最下位位置Zとの中間の位置である。
【0035】
前記アーム13は、基端側の第一部材17と先端側の第二部材18とで構成されている。前記第一部材17は、上部材17aと下部材17bとで構成されている。より詳細に説明すると、図7(A)〜(C)に示すように、前記上部材17a及び前記下部材17bは、両端部が前記アーム取付部材12の軸支部19a,19bと前記第二部材18の軸支部20a,20bに軸支された平行リンク機構を構成している。そして、前記上部材17aの前記第二部材18側の軸支部20aと前記下部材17bの前記アーム取付部材10側の軸支部19bとが、ガススプリング21によって接続されている。なお、図7は説明のための概念図になっている。
【0036】
前記ガススプリング21により、前記アーム13の位置が固定されるようになっている。具体的には、前記ガススプリング21は、そのシャフト21aのスライドがロックされるロック機構(図示省略)を有している。そして、前記ガススプリング21は、前記シャフト21aの動きがロックされた状態で、前記軸支部20aと前記軸支部19bとを押圧するようになっており、これにより、前記アーム13の位置が固定されるようになっている。
【0037】
前記シャフト21aは、操作パネル22に設けられたボタン(図示省略)を押した状態で前記ロック機構が解除されてスライド可能になり、これにより図7(A)〜(C)に示すように、前記アーム13が回動できるようになる。そして、前記ボタンの押圧を解除すると、前記シャフト21aがロックされ、前記アーム13の位置が固定される。
【0038】
前記第二部材18の先端には、操作パネル22が設けられている。従って、このような位置に設けられた前記操作パネル22は、前記超音波診断装置1の正面側Fに位置する。
【0039】
前記第二部材18は、前記操作パネル22の下面に設けられており、またこの操作パネル22は、前記第二部材18に対して水平方向に回動可能に設けられている。
【0040】
前記操作パネル22上には、キーボード、操作ボタン、トラックボール等の操作具23が設けられている。操作具23は、前記操作パネル22の上面に全て設けられている。また、前記操作パネル22には、タッチパネル式のサブディスプレイ24が設けられている。このサブディスプレイ24には、操作用のボタンが表示されるようになっている。
【0041】
前記操作パネル22の左右両側には、前記超音波プローブを保持するプローブホルダ25が複数設けられている。また、前記操作パネル22の右側には、ゲル容器を保持するゲルホルダ26が設けられている。
【0042】
前記操作パネル22の一部分には、上方へ立ち上がる立ち上がり部22aが形成されている。この立ち上がり部22aは、前記アーム13の上方に形成されている。そして、前記立ち上がり部22aの下面側は、傾斜面22bとなっており、この傾斜面22bは、前記アーム13を下方へ回動させる際に、このアーム13と前記操作パネル22とが干渉しないように形成されている。
【0043】
前記操作パネル22には、超音波画像を表示するディスプレイ27がディスプレイ取付アーム28を介して取り付けられている。このディスプレイ取付アーム28は、前記操作パネル22の上面側に取り付けられ、第一取付アーム28a、第二取付アーム28b、第三取付アーム28c及びディスプレイ取付部材28dからなる。前記第一取付アーム28aは、前記操作パネル22の立ち上がり部22aに水平方向に回動可能に取り付けられている。また、前記第一取付アーム28aは、前記操作パネル22から上方へ延び、また上方へアーチ状に形成されており、これにより、前記アーム13が前記最下位位置Zにある状態においても、前記アーム取付部材12及び前記アーム13と、前記第一取付アーム28aとが干渉しないようになっている(図9参照)。
【0044】
前記第二取付アーム28bは、前記第一取付アーム28aに対して水平方向に回動可能に取り付けられている。この第二取付アーム28bは、前記第一取付アーム28aにおける取付面から垂直に延び、先端部に前記第三取付アーム28cが取り付けられている。また、前記第三取付アーム28の先端部には、前記ディスプレイ取付部材28dが取り付けられている。
【0045】
前記第三取付アーム28cは、前記第二取付アーム28bに対して上下方向に回動するようになっている。また、前記ディスプレイ取付部材28dも、前記第三取付アーム25cに対して上下方向に回動するようになっている。
【0046】
前記ディスプレイ取付部材28dは、第一取付部材28d1と第二取付部材28d2とで構成されている。前記第一取付部材28d1は、前記第三取付アーム28cに取り付けられており、この第三取付アーム28cに対して上下方向に回動可能になっている。また、前記第二取付部材28d2には前記ディスプレイ28が取り付けられている。前記第二取付部材28d2は、前記第一取付部材28d1に対して水平方向に回動可能になっており、これにより前記ディスプレイ27の向きを変えることができるようになっている。
【0047】
さて、本例の超音波診断装置1の作用について説明する。前記超音波診断装置1では、前記アーム13の回動とともに、前記操作パネル22及び前記ディスプレイ27の高さ位置が変わるようになっている。操作者は、超音波のスキャン時における姿勢に応じて、前記操作パネル22及び前記ディスプレイ27の高さ位置を設定する。
【0048】
前記超音波診断装置1においては、操作者が立った状態や椅子に座った状態のほか、しゃがんだ状態で前記操作パネル2の操作や超音波のスキャンを行なう場合にも対応した高さ位置に、前記操作パネル22及び前記ディスプレイ27を位置させることができる。具体的には、操作者が立った状態の場合、前記アーム13を、図8に示すように前記最上位位置Yまで回動させ、前記操作パネル22及び前記ディスプレイ27の高さ位置が最も高い状態とする。また、操作者が椅子に座った状態の場合、前記アーム13を、図1〜図5に示すように前記水平位置Xに位置させる。さらに、操作者がしゃがんだ状態の場合、前記アーム13を図9に示すように前記最下位位置Zまで回動させ、前記操作パネル22及び前記ディスプレイ27の高さが最も低い状態とする。
【0049】
ここで、前記アーム13を前記最下位位置Zまで回動させた時における前記超音波診断装置1の使用状態の一例について図10に基づいて説明する。これら図10において、50はベッドであり、このベッド50の上に被検体Pが足を投げ出すようにして座っている。このような姿勢の被検体Pの足首などを超音波プローブ51(図10(A)のみ図示)によってスキャンする場合、操作者Oはしゃがんだ状態で被検体Pと向き合ってスキャンを行なう。前記超音波診断装置1は、被検体Pと向き合っている操作者Oの左側に置かれている(図10では、前記操作パネル22のみ仮想線で示されている)。ただし、図10に示された操作者Oの体勢や前記超音波診断装置1の位置及び向きなどは一例であり、図示されたものに限定されるものではない。
【0050】
前記アーム13を前記最下位位置Zに位置させることにより、前記操作パネル22の高さ位置が65cm程度になる。従って、操作者がしゃがんだ状態で、前記アーム13を前記最下位位置Zに位置させれば、操作者は無理な体勢をとらずに前記操作パネル27の操作を行なうことができる。また、ディスプレイ27の高さ位置も最も低い位置にあり、より見易い位置となる。
【0051】
操作者は、前記操作パネル22が操作者にとって操作し易い方向を向くように、例えば図11に示すように前記操作パネルを22を水平方向に回動させてもよい。
【0052】
本例の超音波診断装置1によれば、前記アーム13は、前記背面側Bに設けられたアーム取付部材12の取付部15に取り付けられている。この取付部15は、前記装置筐体2の上方に設けられており、前記アーム13は装置前後方向に延びるようにして前記装置筐体2の上方に設けられて、この装置筐体2の上方において上下方向に回動するようになっているので、前記超音波診断装置1の奥行(装置前後方向の長さ)を抑制することができる。しかも、前記アーム13は、前記水平位置Xよりも上方及び下方に回動するので、前記アーム13の回動による装置前後方向における前記操作パネル22の位置の差が小さくなる。以上より、前記超音波診断装置1の奥行が抑制されて、省スペースでの設置が可能である。
【0053】
また、前記超音波診断装置1においては、複数の前記コネクタ9は、前記装置筐体2の右側面に設けられているので、この装置筐体2の幅を抑制することができる。そして、前記キャスター取付部材10は、前記装置筐体2の側方に突出して設けられているので、前記装置筐体2の幅を小さくしても、前記超音波診断装置1の安定性を確保することができる。また、例えば図12に示すように、前記キャスター取付部材10が前記ベッド50の下に入り込むようにして前記超音波診断装置1を配置すれば、この超音波診断装置1をベッドサイドにより近づけることができるので、操作者にとって前記操作パネル22の操作性や前記ディスプレイ27の視認性を良好にすることができる。また、ベッドサイドのスペースが狭くても設置することができる。
【0054】
以上、本発明を前記実施形態によって説明したがこれに限られるものではなく、本発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。例えば、上記実施形態において、前記アーム13は、前記水平位置Xから上方への回動角度と前記水平位置Xから下方への回動角度とが、ともにθ°で同じ角度になっているが、前記水平位置Xから上方への回動角度と前記水平位置Xから下方への回動角度とが異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 超音波診断装置
2 装置筐体
3 側面
4 上面
5 下面
6 正面
7 右側面
8 左側面
9 コネクタ
10 キャスター取付部材
10b1 下面(キャスターの取付面)
11 キャスター
12 アーム取付部材
13 アーム
15 取付部
16 空間部
22 操作パネル
27 ディスプレイ
28 ディスプレイ取付アーム
F 正面側
B 背面側
X 水平位置
Y 最上位位置
Z 最下位位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作パネルの高さ位置を変えることができる超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、被検体に対して超音波の送受信を行なってエコー信号を取得する超音波プローブと、この超音波プローブで取得されたエコー信号に基づいて超音波画像データを作成する演算処理部を含む回路基板が収納された装置筐体と、前記超音波画像データに基づく超音波画像を表示するディスプレイと、操作者の指示などを入力する操作パネルとを備えている。
【0003】
上述のような構成の超音波診断装置において、操作パネルを上下動させて高さ位置を変えることができる超音波診断装置が、例えば特許文献1に開示されている。この特許文献1の超音波診断装置では、前記操作パネルがアームに取り付けられ、このアームが回動することにより、前記操作パネルを上下動させることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4393506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示された超音波診断装置では、前記操作パネルを上方に位置させた時よりも下方に位置させた時の方が装置全体の奥行きが大きくなり、その分設置スペースが広くなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するためになされた第1の観点の発明は、装置筐体と、該装置筐体よりも上方に設けられた取付部に上下方向に回動可能に取り付けられ、前記装置筐体の上方において装置前後方向に延びるアームと、該アームの先端側に設けられた操作パネルと、を備え、前記取付部は、前記アームが水平となる位置よりも上方及び下方へ回動可能なように、前記装置筐体の上面から所定の高さの位置に設けられていることを特徴とする超音波診断装置である。
【0007】
第2の観点の発明は、第1の観点の発明において、前記取付部は、前記装置筐体の上面よりも上方へ突出するアーム取付部材に設けられていることを特徴とする超音波診断装置である。
【0008】
第3の観点の発明は、第2の観点の発明において、前記アーム取付部材は、前記超音波診断装置の背面側に設けられており、前記アームは、背面側から正面側に延びるように設けられていることを特徴とする超音波診断装置である。
【0009】
第4の観点の発明は、第1〜3のいずれか一の観点の発明において、前記アームの回動を確保するための空間部が前記装置筐体の上方に形成されるように、前記装置筐体の上面からの前記取付部の高さが設定されていることを特徴とする超音波診断装置である。
【0010】
第5の観点の発明は、第1〜4のいずれか一の観点の発明において、前記アームは、水平位置から上方への回動角度と、水平位置から下方への回動角度とが同じになっていることを特徴とする超音波診断装置である。
【0011】
第6の観点の発明は、第1〜4のいずれか一の観点の発明において、前記アームは、水平位置から上方への回動角度と、水平位置から下方への回動角度とが異っていることを特徴とする超音波診断装置である。
【0012】
第7の観点の発明は、第1〜6の観点の発明において、前記超音波診断装置を設置面において支持するキャスターが、前記装置筐体の側方に突出して設けられたキャスター取付部材に取り付けられていることを特徴とする超音波診断装置である。
【0013】
第8の観点の発明は、第7の観点の発明において、前記装置筐体の下面よりも前記キャスター取付部材における前記キャスターの取付面の高さ位置が高くなっていることを特徴とする超音波診断装置である。
【0014】
第9の観点の発明は、第1〜8のいずれか一の観点の発明において、略直方体形状に形成された前記装置筐体の四つの側面のうち、操作者が前記操作パネルにおいて操作を行なう側の面である正面と隣接する面である右側面又は左側面に、超音波プローブを接続するコネクタが設けられていることを特徴とする超音波診断装置である。
【0015】
第10の観点の発明は、第1〜9のいずれか一の観点の発明において、前記操作パネルには、ディスプレイがディスプレイ取付アームを介して取り付けられており、該ディスプレイ取付アームは、前記操作パネルの上面側に取り付けられ、なおかつ前記アームが最下位の位置にあって前記操作パネルよりも上方へ延びる状態においても、前記アームと干渉しないように上方に向かって形成されていることを特徴とする超音波診断装置である。
【0016】
第11の観点の発明は、第1〜10のいずれか一の観点の発明において、前記アームは、平行リンク機構によって回動することを特徴とする超音波診断装置である。
【0017】
第12の観点の発明は、第1〜11のいずれか一の観点の発明において、前記装置筐体内には、超音波を送信して得られたエコー信号を処理する演算処理部を含む回路基板が収納されていることを特徴とする超音波診断装置である。
【発明の効果】
【0018】
上記観点の発明によれば、前記アームを回動させることにより、このアームの先端側に設けられた前記操作パネルを上下動させることができる。そして、前記アームは、前記装置筐体よりも上方に設けられた取付部に取り付けられて装置前後方向に延び、前記装置筐体の上方において上下方向に回動するようになっているので、超音波診断装置の奥行(装置前後方向の長さ)を抑制することができる。しかも、前記アームは、水平となる位置よりも上方及び下方へ回動可能なので、前記アームの回動による装置前後方向における前記操作パネルの位置の差が小さくなる。以上より、前記超音波診断装置の奥行が抑制されて、省スペースでの設置が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る超音波診断装置の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示す超音波診断装置の正面図である。
【図3】図1に示す超音波診断装置の右側面図である。
【図4】図1に示す超音波診断装置の平面図である。
【図5】図1に示す超音波診断装置を背面側から見た斜視図である。
【図6】図1に示す超音波診断装置におけるアームの回動角度の説明図である。
【図7】図1に示す超音波診断装置におけるアームのリンク機構の説明図であり、(A)はアームが水平位置にある状態の図、(B)はアームが最上位位置にある状態の図、(C)はアームが最下位位置にある状態の図である。
【図8】アームが最上位位置にある状態の超音波診断装置を示す右側面図である。
【図9】アームが最下位位置にある状態の超音波診断装置を示す右側面図である。
【図10】操作者がしゃがんでスキャンを行なう時の様子を説明するための図であり、(A)は正面図、(B)は平面図である。
【図11】操作パネルを図1に示す状態から水平方向に回動させた状態の超音波診断装置を示す斜視図である。
【図12】キャスター取付部材がベッドの下に入り込むようにして配置された超音波診断装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図1〜図12に基づいて説明する。図1に示す超音波診断装置1は、略直方体形状の装置筐体2を備えている。この装置筐体2内には、超音波プローブ(図示省略)から超音波を送受信して得られたエコー信号を演算処理して超音波画像データを作成する演算処理部を含む回路基板等が収納されている。
【0021】
前記装置筐体2の四つの側面3(上面4と下面5以外の面)のうち、操作者が後述の操作パネル22において操作を行なう側の面を正面6とする。従って、前記装置筐体2の四つの側面3のうち、符合7は右側面、符合8は左側面である。
【0022】
ちなみに、以下の説明では、前記超音波診断装置1において、前記装置筐体2の正面6側を前記超音波診断装置1の正面側Fといい、前記右側面7側を前記超音波診断装置1の右側面側Rといい、前記左側面8側を前記超音波診断装置1の左側面側Lというものとする。また、前記正面側Fと対向する側を前記超音波診断装置1の背面側Bというものとする。
【0023】
前記装置筐体2の前記右側面7には、前記超音波プローブを接続するためのコネクタ9が複数設けられている(本例では五つ)。このように前記コネクタ9は、前記右側面7に設けられているので、前記正面6に設けられる場合と比べて、前記装置筐体2の幅(横幅)を抑制することができるようになっている。ちなみに、前記コネクタ9は、前記左側面8に設けられていてもよい。
【0024】
前記装置筐体2の下部には、この装置筐体2の側方へ突出するようにしてキャスター取付部材10が四つ設けられている。本例では、このキャスター取付部材10は、前記装置筐体2の右側面7及び左側面8に二つずつ設けられている。そして、前記各キャスター取付部材10には、前記超音波診断装置1を設置面において支持するキャスター11が一つずつ取り付けられている。
【0025】
ちなみに、前記装置筐体2の側方とは、前記超音波診断装置1の周囲の方へという意味である。従って、前記キャスター取付部材10の突出方向は、前記超音波診断装置1の周囲の360°いずれの方向であってもよい。本例では、前記キャスター取付部材10は、前記装置筐体2の右側面7及び左側面8に対し、平面視で前記正面側F及び前記背面側Bの方へ斜め方向に突出している。
【0026】
前記キャスター取付部材10は、基端部10a側から先端部10b側へ向かって斜め上方へ傾斜する傾斜部10cを有しており、前記超音波診断装置1の設置面からの前記先端部10bの高さ位置が前記基端部10aよりも高くなっている。また、前記設置面からの前記先端部10bの高さ位置は、前記装置筐体2の下面5よりも高くなっている。
【0027】
ここで、前記キャスター11は、前記先端部10bの下面10b1に取り付けられている。従って、前記筐体2の下面5よりも、前記キャスター11の取付面である前記下面10b1の方が、前記設置面からの高さ位置が高くなっている。これにより、前記装置筐体2の下面5を前記設置面により近づけることができるので、前記装置筐体2の前記設置面からの高さを抑制することができるようになっている。
【0028】
前記超音波診断装置1の背面側Bには、平板状のアーム取付部材12が設けられている。このアーム取付部材12は、前記装置筐体2と一体に設けられており、また前記装置筐体2の上面4よりも上方へ突出している。前記アーム取付部材12には、装置筐体2側の面にアーム13が設けられており、反対側の面には棒状の把持部材14が設けられている。操作者は、前記把持部材14を持って超音波診断装置1を押すことにより、この超音波診断装置1を移動させることができるようになっている。
【0029】
前記アーム13は、前記アーム取付部材12に設けられた取付部15に上下方向に回動可能に取り付けられている。詳しく説明すると、前記アーム13は、前記取付部15から前記正面側Fに向かって延びるように設けられている。ここで、前記正面側Fは前記超音波診断装置1の前面側であり、前記背面側Bは前記超音波診断装置1の後面側である。従って、前記アーム13は、前記超音波診断装置1の前後方向(装置前後方向)に延びているということもできる。前記アーム13の長さは、前記装置筐体2の奥行(前後方向の長さ)とほぼ同じ長さになっている。
【0030】
前記取付部15は、前記装置筐体2よりも上方に設けられている。従って、前記アーム13は、前記装置筐体2の上方に位置している。前記取付部15の高さ位置について説明すると、前記取付部15は、前記装置筐体2の上面4から所定の高さの位置に設けられている。この所定の高さは、前記アーム13を、水平方向に位置する水平位置Xよりも下方へ回動可能とするための空間部16が、前記装置筐体2の上方に形成される高さに設定されている。
【0031】
ここで、前記アーム13の回動角度について説明する。前記アーム13は、図6に示すように水平方向に位置する水平位置Xから、上方と下方に同じ角度θ°だけ回動するようになっている。前記アーム13が前記水平位置Xから上方へθ°回動した最上位位置をY、前記水平位置Xから下方へθ°回動した最下位位置をZとする。このように、前記アーム13が水平位置Xから上方と下方に同じ角度回動するようになっているので、前記アーム13の先端に取り付けられた操作パネル22の前記最上位位置Y及び前記最下位位置Zにおける装置前後方向の位置は同じ位置になっている。また、前記水平位置Xにおける前記操作パネル22の装置前後方向の位置は、前記最上位位置Y及び前記最下位位置Zよりも前記正面側Fの方向になっている。
【0032】
また、前記アーム13は、前記水平位置Xから上方と下方に同じ角度θ°だけ回動するようになっているので、仮に前記アーム13が前記水平位置Xよりも上方のみ又は下方のみに回動するようになっている場合と比べると、前記水平位置Xと前記最上位位置Y及び前記最下位位置Zとの装置前後方向の位置の差が小さくなる。
【0033】
ちなみに、図1〜図5では、前記アーム13が前記水平位置Xにある状態が図示されている。また、後述の図8では、前記アーム13が前記最上位位置Yにある状態が図示され、後述の図9では、前記アーム13が前記最下位位置Zにある状態が図示されている。
【0034】
ここで、前記アーム13の先端には、後述するように操作パネル22が取り付けられている。前記アーム13が前記最上位位置Yまで回動した状態においては、操作パネル22は、設置面から120〜130cmの位置にあることが望ましい。また、前記アーム13が前記最下位位置Zまで回動した状態においては、前記操作パネル22は、設置面から60cm程度の位置にあることが望ましい。前記水平位置Xは、前記最上位位置Yと前記最下位位置Zとの中間の位置である。
【0035】
前記アーム13は、基端側の第一部材17と先端側の第二部材18とで構成されている。前記第一部材17は、上部材17aと下部材17bとで構成されている。より詳細に説明すると、図7(A)〜(C)に示すように、前記上部材17a及び前記下部材17bは、両端部が前記アーム取付部材12の軸支部19a,19bと前記第二部材18の軸支部20a,20bに軸支された平行リンク機構を構成している。そして、前記上部材17aの前記第二部材18側の軸支部20aと前記下部材17bの前記アーム取付部材10側の軸支部19bとが、ガススプリング21によって接続されている。なお、図7は説明のための概念図になっている。
【0036】
前記ガススプリング21により、前記アーム13の位置が固定されるようになっている。具体的には、前記ガススプリング21は、そのシャフト21aのスライドがロックされるロック機構(図示省略)を有している。そして、前記ガススプリング21は、前記シャフト21aの動きがロックされた状態で、前記軸支部20aと前記軸支部19bとを押圧するようになっており、これにより、前記アーム13の位置が固定されるようになっている。
【0037】
前記シャフト21aは、操作パネル22に設けられたボタン(図示省略)を押した状態で前記ロック機構が解除されてスライド可能になり、これにより図7(A)〜(C)に示すように、前記アーム13が回動できるようになる。そして、前記ボタンの押圧を解除すると、前記シャフト21aがロックされ、前記アーム13の位置が固定される。
【0038】
前記第二部材18の先端には、操作パネル22が設けられている。従って、このような位置に設けられた前記操作パネル22は、前記超音波診断装置1の正面側Fに位置する。
【0039】
前記第二部材18は、前記操作パネル22の下面に設けられており、またこの操作パネル22は、前記第二部材18に対して水平方向に回動可能に設けられている。
【0040】
前記操作パネル22上には、キーボード、操作ボタン、トラックボール等の操作具23が設けられている。操作具23は、前記操作パネル22の上面に全て設けられている。また、前記操作パネル22には、タッチパネル式のサブディスプレイ24が設けられている。このサブディスプレイ24には、操作用のボタンが表示されるようになっている。
【0041】
前記操作パネル22の左右両側には、前記超音波プローブを保持するプローブホルダ25が複数設けられている。また、前記操作パネル22の右側には、ゲル容器を保持するゲルホルダ26が設けられている。
【0042】
前記操作パネル22の一部分には、上方へ立ち上がる立ち上がり部22aが形成されている。この立ち上がり部22aは、前記アーム13の上方に形成されている。そして、前記立ち上がり部22aの下面側は、傾斜面22bとなっており、この傾斜面22bは、前記アーム13を下方へ回動させる際に、このアーム13と前記操作パネル22とが干渉しないように形成されている。
【0043】
前記操作パネル22には、超音波画像を表示するディスプレイ27がディスプレイ取付アーム28を介して取り付けられている。このディスプレイ取付アーム28は、前記操作パネル22の上面側に取り付けられ、第一取付アーム28a、第二取付アーム28b、第三取付アーム28c及びディスプレイ取付部材28dからなる。前記第一取付アーム28aは、前記操作パネル22の立ち上がり部22aに水平方向に回動可能に取り付けられている。また、前記第一取付アーム28aは、前記操作パネル22から上方へ延び、また上方へアーチ状に形成されており、これにより、前記アーム13が前記最下位位置Zにある状態においても、前記アーム取付部材12及び前記アーム13と、前記第一取付アーム28aとが干渉しないようになっている(図9参照)。
【0044】
前記第二取付アーム28bは、前記第一取付アーム28aに対して水平方向に回動可能に取り付けられている。この第二取付アーム28bは、前記第一取付アーム28aにおける取付面から垂直に延び、先端部に前記第三取付アーム28cが取り付けられている。また、前記第三取付アーム28の先端部には、前記ディスプレイ取付部材28dが取り付けられている。
【0045】
前記第三取付アーム28cは、前記第二取付アーム28bに対して上下方向に回動するようになっている。また、前記ディスプレイ取付部材28dも、前記第三取付アーム25cに対して上下方向に回動するようになっている。
【0046】
前記ディスプレイ取付部材28dは、第一取付部材28d1と第二取付部材28d2とで構成されている。前記第一取付部材28d1は、前記第三取付アーム28cに取り付けられており、この第三取付アーム28cに対して上下方向に回動可能になっている。また、前記第二取付部材28d2には前記ディスプレイ28が取り付けられている。前記第二取付部材28d2は、前記第一取付部材28d1に対して水平方向に回動可能になっており、これにより前記ディスプレイ27の向きを変えることができるようになっている。
【0047】
さて、本例の超音波診断装置1の作用について説明する。前記超音波診断装置1では、前記アーム13の回動とともに、前記操作パネル22及び前記ディスプレイ27の高さ位置が変わるようになっている。操作者は、超音波のスキャン時における姿勢に応じて、前記操作パネル22及び前記ディスプレイ27の高さ位置を設定する。
【0048】
前記超音波診断装置1においては、操作者が立った状態や椅子に座った状態のほか、しゃがんだ状態で前記操作パネル2の操作や超音波のスキャンを行なう場合にも対応した高さ位置に、前記操作パネル22及び前記ディスプレイ27を位置させることができる。具体的には、操作者が立った状態の場合、前記アーム13を、図8に示すように前記最上位位置Yまで回動させ、前記操作パネル22及び前記ディスプレイ27の高さ位置が最も高い状態とする。また、操作者が椅子に座った状態の場合、前記アーム13を、図1〜図5に示すように前記水平位置Xに位置させる。さらに、操作者がしゃがんだ状態の場合、前記アーム13を図9に示すように前記最下位位置Zまで回動させ、前記操作パネル22及び前記ディスプレイ27の高さが最も低い状態とする。
【0049】
ここで、前記アーム13を前記最下位位置Zまで回動させた時における前記超音波診断装置1の使用状態の一例について図10に基づいて説明する。これら図10において、50はベッドであり、このベッド50の上に被検体Pが足を投げ出すようにして座っている。このような姿勢の被検体Pの足首などを超音波プローブ51(図10(A)のみ図示)によってスキャンする場合、操作者Oはしゃがんだ状態で被検体Pと向き合ってスキャンを行なう。前記超音波診断装置1は、被検体Pと向き合っている操作者Oの左側に置かれている(図10では、前記操作パネル22のみ仮想線で示されている)。ただし、図10に示された操作者Oの体勢や前記超音波診断装置1の位置及び向きなどは一例であり、図示されたものに限定されるものではない。
【0050】
前記アーム13を前記最下位位置Zに位置させることにより、前記操作パネル22の高さ位置が65cm程度になる。従って、操作者がしゃがんだ状態で、前記アーム13を前記最下位位置Zに位置させれば、操作者は無理な体勢をとらずに前記操作パネル27の操作を行なうことができる。また、ディスプレイ27の高さ位置も最も低い位置にあり、より見易い位置となる。
【0051】
操作者は、前記操作パネル22が操作者にとって操作し易い方向を向くように、例えば図11に示すように前記操作パネルを22を水平方向に回動させてもよい。
【0052】
本例の超音波診断装置1によれば、前記アーム13は、前記背面側Bに設けられたアーム取付部材12の取付部15に取り付けられている。この取付部15は、前記装置筐体2の上方に設けられており、前記アーム13は装置前後方向に延びるようにして前記装置筐体2の上方に設けられて、この装置筐体2の上方において上下方向に回動するようになっているので、前記超音波診断装置1の奥行(装置前後方向の長さ)を抑制することができる。しかも、前記アーム13は、前記水平位置Xよりも上方及び下方に回動するので、前記アーム13の回動による装置前後方向における前記操作パネル22の位置の差が小さくなる。以上より、前記超音波診断装置1の奥行が抑制されて、省スペースでの設置が可能である。
【0053】
また、前記超音波診断装置1においては、複数の前記コネクタ9は、前記装置筐体2の右側面に設けられているので、この装置筐体2の幅を抑制することができる。そして、前記キャスター取付部材10は、前記装置筐体2の側方に突出して設けられているので、前記装置筐体2の幅を小さくしても、前記超音波診断装置1の安定性を確保することができる。また、例えば図12に示すように、前記キャスター取付部材10が前記ベッド50の下に入り込むようにして前記超音波診断装置1を配置すれば、この超音波診断装置1をベッドサイドにより近づけることができるので、操作者にとって前記操作パネル22の操作性や前記ディスプレイ27の視認性を良好にすることができる。また、ベッドサイドのスペースが狭くても設置することができる。
【0054】
以上、本発明を前記実施形態によって説明したがこれに限られるものではなく、本発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。例えば、上記実施形態において、前記アーム13は、前記水平位置Xから上方への回動角度と前記水平位置Xから下方への回動角度とが、ともにθ°で同じ角度になっているが、前記水平位置Xから上方への回動角度と前記水平位置Xから下方への回動角度とが異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 超音波診断装置
2 装置筐体
3 側面
4 上面
5 下面
6 正面
7 右側面
8 左側面
9 コネクタ
10 キャスター取付部材
10b1 下面(キャスターの取付面)
11 キャスター
12 アーム取付部材
13 アーム
15 取付部
16 空間部
22 操作パネル
27 ディスプレイ
28 ディスプレイ取付アーム
F 正面側
B 背面側
X 水平位置
Y 最上位位置
Z 最下位位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置筐体と、
該装置筐体よりも上方に設けられた取付部に上下方向に回動可能に取り付けられ、前記装置筐体の上方において装置前後方向に延びるアームと、
該アームの先端側に設けられた操作パネルと、を備え、
前記取付部は、前記アームが水平となる位置よりも上方及び下方へ回動可能なように、前記装置筐体の上面から所定の高さの位置に設けられている
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記取付部は、前記装置筐体の上面よりも上方へ突出するアーム取付部材に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記アーム取付部材は、前記超音波診断装置の背面側に設けられており、前記アームは、背面側から正面側に延びるように設けられていることを特徴とする請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記アームの回動を確保するための空間部が前記装置筐体の上方に形成されるように、前記装置筐体の上面からの前記取付部の高さが設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記アームは、水平位置から上方への回動角度と、水平位置から下方への回動角度とが同じになっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記アームは、水平位置から上方への回動角度と、水平位置から下方への回動角度とが異なっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記超音波診断装置を設置面において支持するキャスターが、前記装置筐体の側方に突出して設けられたキャスター取付部材に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜6に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記装置筐体の下面よりも前記キャスター取付部材における前記キャスターの取付面の高さ位置が高くなっていることを特徴とする請求項7に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
略直方体形状に形成された前記装置筐体の四つの側面のうち、操作者が前記操作パネルにおいて操作を行なう側の面である正面と隣接する面である右側面又は左側面に、超音波プローブを接続するコネクタが設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記操作パネルには、ディスプレイがディスプレイ取付アームを介して取り付けられており、
該ディスプレイ取付アームは、前記操作パネルの上面側に取り付けられ、なおかつ前記アームが最下位の位置にあって前記操作パネルよりも上方へ延びる状態においても、前記アームと干渉しないように上方に向かって形成されている
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項11】
前記アームは、平行リンク機構によって回動することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項12】
前記装置筐体内には、超音波を送信して得られたエコー信号を処理する演算処理部を含む回路基板が収納されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項1】
装置筐体と、
該装置筐体よりも上方に設けられた取付部に上下方向に回動可能に取り付けられ、前記装置筐体の上方において装置前後方向に延びるアームと、
該アームの先端側に設けられた操作パネルと、を備え、
前記取付部は、前記アームが水平となる位置よりも上方及び下方へ回動可能なように、前記装置筐体の上面から所定の高さの位置に設けられている
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記取付部は、前記装置筐体の上面よりも上方へ突出するアーム取付部材に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記アーム取付部材は、前記超音波診断装置の背面側に設けられており、前記アームは、背面側から正面側に延びるように設けられていることを特徴とする請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記アームの回動を確保するための空間部が前記装置筐体の上方に形成されるように、前記装置筐体の上面からの前記取付部の高さが設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記アームは、水平位置から上方への回動角度と、水平位置から下方への回動角度とが同じになっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記アームは、水平位置から上方への回動角度と、水平位置から下方への回動角度とが異なっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記超音波診断装置を設置面において支持するキャスターが、前記装置筐体の側方に突出して設けられたキャスター取付部材に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜6に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記装置筐体の下面よりも前記キャスター取付部材における前記キャスターの取付面の高さ位置が高くなっていることを特徴とする請求項7に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
略直方体形状に形成された前記装置筐体の四つの側面のうち、操作者が前記操作パネルにおいて操作を行なう側の面である正面と隣接する面である右側面又は左側面に、超音波プローブを接続するコネクタが設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記操作パネルには、ディスプレイがディスプレイ取付アームを介して取り付けられており、
該ディスプレイ取付アームは、前記操作パネルの上面側に取り付けられ、なおかつ前記アームが最下位の位置にあって前記操作パネルよりも上方へ延びる状態においても、前記アームと干渉しないように上方に向かって形成されている
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項11】
前記アームは、平行リンク機構によって回動することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項12】
前記装置筐体内には、超音波を送信して得られたエコー信号を処理する演算処理部を含む回路基板が収納されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【図6】
【図7】
【図10】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図7】
【図10】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−167305(P2011−167305A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−32778(P2010−32778)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】
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