説明

超音波診断装置

【課題】画像サイズ変更後の画像の精度を向上させる。
【解決手段】超音波診断装置20は、被検体に対して超音波を送受信して受信信号を取得する超音波探触子20bと、超音波探触子20bにより取得された受信信号に基づいて超音波画像データを生成する画像生成部204と、予め設定された出力サイズとなるように超音波画像データに画像サイズ変更処理を施して出力画像データを生成する出力用DSC206と、超音波画像データに基づく画像と同じ画像サイズとなるように出力画像データの画像サイズを変更して比較画像データを生成する比較用DSC210と、比較画像データと超音波画像データとの差分に基づいて、出力画像データの補正を行う画像補正部211と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多数の振動子(トランスデューサ)を配列して備える超音波探触子(プローブ)を有し、生体等の被検体に対して超音波ビームによる走査を行い、受信した超音波から音線データを順次生成し、これに基づいて超音波画像を生成して表示するようにした超音波診断装置が知られている。
【0003】
このような超音波診断装置において、例えば、隣接する2つの超音波ビーム上の同一深さの2つのエコーデータの差に応じて補間データの値を決定し、決定した補間データに基づいて2つの超音波ビームの間に疑似ビームを形成することで、超音波画像の画像サイズを変更する技術が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−299340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記したような従来の技術にあっては、超音波画像の画像サイズを変更することにより画像の精度が低下する場合があるため、画像サイズ変更後の画像は信頼性が低いという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、画像サイズ変更後の画像の精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、超音波診断装置において、
被検体に対して送信超音波を出力するとともに、被検体からの反射超音波を受信することにより受信信号を取得する超音波探触子と、
前記超音波探触子により取得された受信信号に基づいて超音波画像データを生成する画像生成部と、
予め設定された出力サイズとなるように前記画像生成部により生成された超音波画像データに画像サイズ変更処理を施して出力画像データを生成する出力画像生成部と、
前記画像生成部により生成された超音波画像データに基づく画像と同じ画像サイズとなるように前記出力画像生成部により生成された出力画像データの画像サイズを変更して比較画像データを生成する比較画像生成部と、
前記比較画像生成部により生成された比較画像データと前記画像生成部により生成された超音波画像データとの差分に基づいて、前記出力画像生成部により生成された出力画像データの補正を行う画像補正部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の超音波診断装置において、
前記画像補正部は、前記比較画像生成部により生成された比較画像データと前記画像生成部により生成された超音波画像データとの差分に基づいて、前記出力画像生成部による画像サイズ変更処理の処理条件を変更し、変更した処理条件に基づいて前記出力画像生成部に新たに出力画像データを生成させることにより、出力画像データの補正を行うことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の超音波診断装置において、
予め設定された超音波の送受信条件に応じて、前記比較画像生成部による比較画像データの生成と前記画像補正部による出力画像データの補正とを繰り返す回数を設定する制御部を更に備え、
前記比較画像生成部による比較画像データの生成と前記画像補正部による出力画像データの補正とを、前記制御部により設定された回数繰り返すことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の超音波診断装置において、
前記制御部は、予め設定されたフォーカス点の深度に応じて、前記比較画像生成部による比較画像データの生成と前記画像補正部による出力画像データの補正とを繰り返す回数を設定することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の超音波診断装置において、
前記出力画像生成部により生成された出力画像データに基づいて画像の表示を行う表示部と、
ユーザによる所定操作に応じて、前記比較画像生成部による比較画像データの生成と前記画像補正部による出力画像データの補正とを繰り返す回数を設定する設定入力部と、
フリーズ操作を受け付けたとき、当該フリーズ操作を受け付けたタイミングに応じた画像を前記表示部に表示させた状態に維持するフリーズ制御を行い、前記フリーズ操作を受け付けたタイミングに応じて前記表示部に表示される画像の出力画像データに対し、前記比較画像生成部による比較画像データの生成と前記画像補正部による出力画像データの補正とを、前記設定入力部により設定された回数繰り返す制御部と、を更に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、画像サイズ変更後の画像の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】超音波診断装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】画像表示処理について説明するフローチャートである。
【図3】画像サイズの変更について説明する図である。
【図4】画像サイズの変更について説明する図である。
【図5】フリーズ画像表示処理について説明するフローチャートである。
【図6】多段フォーカスを行う場合について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0015】
超音波診断装置20は、患者(被検体)の生体内部組織の状態を超音波画像にして表示出力する装置である。即ち、超音波診断装置20は、生体等の被検体内に対して超音波(送信超音波)を送信するとともに、この被検体内で反射した超音波の反射波(反射超音波:エコー)を受信する。超音波診断装置20は、受信した反射波を電気信号に変換し、これに基づいて超音波画像データを生成する。超音波診断装置20は、生成した超音波画像データに基づき、被検体内の内部状態を超音波画像として表示する。また、超音波診断装置20は、撮影オーダ情報に基づいて、生成した超音波画像データに関する付帯情報を生成し、当該付帯情報を超音波画像データに付帯して所定の規格からなる画像ファイルを生成することが可能となっている。
【0016】
超音波診断装置20は、図1に示すように、超音波診断装置本体20aと超音波探触子20bとを備えている。超音波探触子20bは、上述したようにして超音波を送信するとともに、反射波を受信する。超音波診断装置本体20aは、ケーブル20cを介して超音波探触子20bと接続され、超音波探触子20bに電気信号の駆動信号を送信することによって、超音波探触子20bに送信超音波を送信させる。また、超音波診断装置本体20aは、超音波探触子20bにて受信した被検体内からの反射超音波に応じて超音波探触子20bで生成された電気信号である受信信号を受信し、上述のようにして超音波画像データを生成する。
【0017】
超音波探触子20bは、圧電素子からなる振動子(図示略)を備えており、この振動子は、例えば、方位方向(走査方向)に一次元アレイ状に複数配列されている。本実施の形態では、例えば、192個の振動子を備えた超音波探触子20bを用いている。なお、振動子は、二次元アレイ状に配列されたものであっても良い。また、振動子の個数は、任意に設定することができる。また、本実施の形態では、超音波探触子20bについて、リニア電子スキャンプローブを採用したが、電子走査方式あるいは機械走査方式の何れを採用しても良く、また、リニア走査方式、セクタ走査方式あるいはコンベックス走査方式の何れの方式を採用することもできる。
【0018】
超音波診断装置本体20aは、例えば、操作入力部(設定入力部)201と、送信部202と、受信部203と、画像生成部204と、メモリ部205と、出力用DSC(出力画像生成部)206と、表示部207と、制御部208と、出力画像データメモリ部209と、比較用DSC(比較画像生成部)210と、画像補正部211と、を備えて構成されている。
【0019】
操作入力部201は、例えば、診断開始を指示するコマンドや被検体の個人情報等のデータの入力、フリーズ操作、フリーズ制御における拡大表示操作の入力等を行うための各種スイッチ、ボタン、トラックボール、マウス、キーボード等を備えており、操作信号を制御部208に出力する。
具体的には、ユーザが画像の出力サイズを操作入力部201に入力することで、画像の出力サイズが設定される。また、フリーズ制御の実行中にフリーズ操作に係る画像を拡大して拡大画像を表示する場合において、ユーザが当該拡大画像に対して補正を行う回数を操作入力部201に入力することで、当該拡大画像に対して補正を行う回数が設定される。
【0020】
送信部202は、制御部208の制御に従って、超音波探触子20bにケーブル20cを介して電気信号である駆動信号を供給して超音波探触子20bに送信超音波を発生させる回路である。また、送信部202は、例えば、クロック発生回路、遅延回路、パルス発生回路を備えている。クロック発生回路は、駆動信号の送信タイミングや送信周波数を決定するクロック信号を発生させる回路である。遅延回路は、駆動信号の送信タイミングを振動子毎に対応した個別経路毎に遅延時間を設定し、設定された遅延時間だけ駆動信号の送信を遅延させて送信超音波によって構成される送信ビームの集束を行うための回路である。パルス発生回路は、所定の周期で駆動信号としてのパルス信号を発生させるための回路である。上述のように構成された送信部202は、例えば、超音波探触子20bに配列された複数(例えば、192個)の振動子のうちの連続する一部(例えば、64個)を駆動して送信超音波を発生させる。そして、送信部202は、送信超音波を発生させる毎に駆動する振動子を方位方向にずらすことで走査(スキャン)を行う。
【0021】
受信部203は、制御部208の制御に従って、超音波探触子20bからケーブル20cを介して電気信号である受信信号を受信する回路である。受信部203は、例えば、増幅器、A/D変換回路、整相加算回路を備えている。増幅器は、受信信号を、振動子毎に対応した個別経路毎に、予め設定された増幅率で増幅させるための回路である。A/D変換回路は、増幅された受信信号をA/D変換するための回路である。整相加算回路は、A/D変換された受信信号に対して、振動子毎に対応した個別経路毎に遅延時間を与えて時相を整え、これらを加算(整相加算)して音線データを生成するための回路である。
【0022】
画像生成部204は、受信部203からの音線データに対して包絡線検波処理や対数増幅などを実施し、ダイナミックレンジやゲインの調整を行って輝度変換することにより、Bモード画像データを生成する。すなわち、Bモード画像データは、受信信号の強さを輝度によって表したものである。画像生成部204は、Bモード画像データの他、Aモード画像データ、Mモード画像データ及びドプラ法による画像データが生成できるものであっても良い。
【0023】
メモリ部205は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの半導体メモリによって構成されており、画像生成部204から送信されたBモード画像データをフレーム単位で記憶する。即ち、フレーム画像データとして記憶することができる。そして、記憶されたフレーム画像データは、制御部208の制御に従って、出力用DSC206及び画像補正部211に送信される。メモリ部205は、約10秒分のフレーム画像データを保持可能な大容量メモリにより構成されており、例えば、FIFO(First-In First-Out)方式により、直近10秒分のフレーム画像データが保持される。
【0024】
出力用DSC206は、出力画像生成部として、メモリ部205より受信したフレーム画像データをテレビジョン信号の走査方式による画像データに座標変換するとともに、操作入力部201により設定された出力サイズとなるように画像サイズ変更処理を施して、出力画像データを生成する。出力用DSC206は、生成した出力画像データを出力画像データメモリ部209に送信する。
具体的には、出力用DSC206は、画像データに対し、画像サイズ変更処理として例えば、リニア補間、バイリニア補間、キュービック補間、ニアレストネイバー補間等の拡大補間処理を施すことにより、操作入力部201により設定された出力サイズとなるように画像サイズを変更する。
なお、出力用DSC206は、画像データに対し、縮小補間処理を施すものとしても良い。ここで、縮小補間処理は、例えば、図4に示すように、画像データを構成する画素データのうちいくつかの画素データから1つの画素データを生成し、全体の画素データ数を低減させる処理である。
【0025】
表示部207は、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode-Ray Tube)ディスプレイ、有機EL(Electronic Luminescence)ディスプレイ、無機ELティスプレイ及びプラズマディスプレイ等の表示装置が適用可能である。表示部207は、出力画像データメモリ部209から送信された出力画像データに基づいて表示画面上に画像の表示を行う。なお、表示装置に代えてプリンタ等の印刷装置等を適用し、プリント出力可能に構成しても良い。
【0026】
制御部208は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備えて構成され、ROMに記憶されているシステムプログラム等の各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムに従って超音波診断装置20の各部の動作を集中制御する。
ROMは、半導体等の不揮発メモリ等により構成され、超音波診断装置20に対応するシステムプログラム及び該システムプログラム上で実行可能な、例えば、後述する自動走査処理等を実行する各種処理プログラムや、ガンマテーブル等の各種データ等を記憶する。これらのプログラムは、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードの形態で格納され、CPUは、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
RAMは、CPUにより実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。
具体的には、制御部208は、設定された超音波の送受信条件に応じて、比較用DSC210による比較画像データの生成と画像補正部211による出力画像データの補正とを繰り返す回数、即ち、出力画像データに対して補正を行う回数を設定する。
また、制御部208は、操作入力部201によるフリーズ操作を受け付けたとき、当該フリーズ操作を受け付けたタイミングに応じた画像を表示部207に表示させた状態に維持するフリーズ制御を行う。
【0027】
出力画像データメモリ部209は、上記したメモリ部205と同様に構成されており、出力用DSC206により座標変換処理及び補間処理が施されて生成された出力画像データをフレーム単位で記憶する。そして、記憶された出力画像データは、制御部208の制御に従って、表示部207、比較用DSC210及び画像補正部211等に送信される。
【0028】
比較用DSC210は、比較画像生成部として、画像生成部204により生成されたフレーム画像データと同じ画像サイズとなるように、出力画像データメモリ部209より受信した出力画像データの画像サイズを変更して比較画像データを生成する。比較用DSC210は、生成した比較画像データを画像補正部211に送信する。
具体的には、比較用DSC210は、出力用DSC206と同様に、出力画像データに対し、拡大補間処理又は縮小補間処理を施すことにより画像サイズを変更する。なお、出力用DSC206による画像サイズの変更及び比較用DSC210による画像サイズの変更は不可逆的なものとする。
【0029】
画像補正部211は、メモリ部205より受信したフレーム画像データと比較用DSC210より受信した比較画像データとを画素データ毎に比較し、2つの画像データ間の差分を検知する。画像補正部211は、検知された差分に基づいて、出力画像データメモリ部209より受信した出力画像データの補正を行う。
具体的には、画像補正部211は、例えば、画像データを比較して検知された差分が0に近づくような補正値を設定し、設定した補正値に基づいて出力画像データの補間画素データに対して補正を行う。なお、画像補正部211は、補正回数に応じて補正値を変更するものとしても良い。
また、画像補正部211は、画像データを比較して検知された差分に基づいて、出力用DSC206による画像サイズ変更処理の処理条件を変更し、変更した処理条件に基づいて出力用DSC206に新たに出力画像データを生成させることにより、出力画像データの補正を行うものであっても良い。
【0030】
次に、以上のようにして構成された超音波診断装置20により実行される画像表示処理について図2〜図4を参照しながら説明する。
【0031】
先ず、制御部208は、予め設定された超音波の送受信条件に基づいてフレームレートを設定し、フレームレートに応じて補正を行う回数を設定する(ステップS101)。
【0032】
予め設定された超音波の送受信条件とは、例えば、走査線密度、視野幅、超音波探触子の振動子の数、フォーカス点の深度、送信ビームの発射回数(パルスインバージョンや多段フォーカスを行う場合等)など、画像データの生成に要する時間に影響を及ぼす各種条件をいう。予め設定された超音波の送受信条件に応じて、画像データの生成に要する時間が変化するため、制御部208は、表示部207におけるフレームレートを超音波の送受信条件に応じたフレームレートに設定する。制御部208は、フレームレートの値と補正回数とを対応付けてROMに記憶しており、超音波の送受信条件に応じて設定されたフレームレートに対応付けられた補正回数を抽出して、補正を行う回数を設定する。
【0033】
ここで、フレームレートが超音波の送受信条件に依存するものである点について詳細に説明する。
近年の超音波診断装置は、同一方向に向けて送信フォーカス点の深度を変えながら複数回の超音波の送受信を行う多段フォーカスを行うものが一般的である。そして、このような多段フォーカスを行う場合には、1フレームにおいて、送信フォーカスの点数分の走査が行われることとなる。即ち、振動子が192個配置された超音波探触子が用いられる場合には、例えば、1回の走査においては、192回の送信ビームが発射され、1フレームでは、更に、送信フォーカスの点数分乗じた回数の送信ビームが発射されることとなる。そして、1回の超音波の送受信にかかる時間は、送信フォーカス点の深度に比例して大きくなる。また、送信超音波と反射超音波との混在を回避するために、送信ビームの発射毎に一定のウエイト時間を設ける必要もある。そのため、送信フォーカスの点数及び深度を大きくするほど、高画質な超音波画像が得られるが、その画像を得るための時間が大きくなる。即ち、フレームレートが低下することとなる。
【0034】
また、近年の超音波診断装置は、THI(Tissue Harmonic Imaging)を行って超音波画像を表示する機能を備えているものがある。THIは、基本波を出力し、被検体内において基本波の波形が歪んだ結果生じる基本波の2倍の周波数である2次高調波を受信し、これに基づいて超音波画像を生成するものであり、アーチファクトの低減が図れる技術である。THIによる超音波画像を生成する場合には、反射超音波に含まれる基本波を取り除く必要があるため、基本波と位相の反転した波形を有する超音波を更に出力して基本波成分を消去するパルスインバージョンが行われているが、この場合には、更に2倍の超音波の送受信が必要となり、フレームレートは更に低下することとなる。
【0035】
次に、制御部208は、メモリ部205に記憶されるフレーム画像データ(以下、元画像データAとする)を読み出して、出力用DSC206に送信する。出力用DSC206は、例えば、図3に示すように、所望の出力サイズX2×Y2となるように、画像サイズがX1×Y1である元画像データAに画像サイズ変更処理を施し、画像サイズがX2×Y2の出力画像データBを生成する(ステップS102)。具体的には、例えば、図4に示すように、元画像データAが画素データOR0,OR1,OR2を含むものとすると、出力用DSC206は、元画像データAに対して画像サイズ変更処理として拡大補間処理を施して、画素データOR0,OR2及び補間画素データP0,P1,P2,P3を含む出力画像データBを生成する。生成された出力画像データBは出力用DSC206により出力画像データメモリ部209に送信され、出力画像データメモリ部209に記憶される。
【0036】
次に、制御部208は、出力画像データメモリ部209に記憶される出力画像データBを読み出して、比較用DSC210に送信する。比較用DSC210は、例えば、図3に示すように、元画像データAと同じ画像サイズX1×Y1となるように出力画像データBの画像サイズを変更し、画像サイズがX1×Y1の比較画像データCを生成する(ステップS103)。具体的には、例えば、図4に示すように、比較用DSC210は、画素データOR0,OR2及び補間画素データP0,P1,P2,P3を含む出力画像データBに対して縮小補間処理を施して、画素データS0,S1,S2を含む比較画像データCを生成する。生成された比較画像データCは比較用DSC210により画像補正部211に送信される。
【0037】
次に、制御部208は、メモリ部205に記憶される元画像データAを読み出して画像補正部211に送信する。画像補正部211は、受信した元画像データAと比較画像データCとを各画素単位で比較して、差分を検知する(ステップS104)。具体的には、例えば、図4に示すように、画像補正部211は、元画像データAの画素データOR0,OR1,OR2の各画素値と、比較画像データCの画素データS0,S1,S2の各画素値とをそれぞれ比較し、各画素値の間に差があるか否かを判定する。
【0038】
次に、制御部208は、画像補正部211により元画像データAと比較画像データCとの画素間に差分が検知されたか否かを判定する(ステップS105)。具体的には、例えば、図4に示すように、元画像データAの画素データOR0,OR1,PR2の各画素値と、比較画像データCの画素データS0,S1,S2の各画素値とをそれぞれ比較すると、画素データOR1の画素値と画素データS1の画素値は一致しているが、画素データOR0の画素値と画素データS0の画素値との間には差が生じており、画素データOR2の画素値と画素データS2の画素値との間にも差が生じている。したがって、図4に示される場合には、画像補正部211は元画像データAと比較画像データCとの画素間に差分を検知し、制御部208により差分が検知されたと判定されることとなる。
【0039】
差分が検知されたと判定されると(ステップS105;YES)、制御部208は、出力画像データメモリ部209に記憶された出力画像データBを読み出して画像補正部211に送信し、画像補正部211は、検知された差分に基づいて出力画像データBを補正する(ステップS106)。具体的には、例えば、図4に示すように、画像補正部211は、元画像データAの画素データOR0,OR1,OR2の各画素値と比較画像データCの画素データS0,S1,S2の各画素値との差が小さくなるように、出力画像データBを構成する補間画素データP0,P3の画素値を一定値だけ増減させる。これにより、出力画像データBが、画素データOR0,OR2及び補間画素データP0a,P1,P2,P3aを含む出力画像データBに補正される。
制御部208は、画像補正部211により補正された補正後の出力画像データBを出力画像データメモリ部209に送信し、出力画像データメモリ部209に記憶されている出力画像データBを補正後の出力画像データBで上書きする。
なお、差分が検知されたと判定された場合に(ステップS105;YES)、出力画像データBを補正する方法としては、上述のように補間画素データを補正することにより出力画像データBを補正する方法の他、検知された差分に基づいて出力用DSC206による画像サイズ変更処理の処理条件を変更し、変更した処理条件に基づいて出力用DSC206に出力画像データBを生成させることにより、出力画像データBを補正する方法が挙げられる。
【0040】
差分が検知されないと判定されると(ステップS105;NO)、制御部208は、ステップS106の処理を省略してステップS107の処理を行う。
【0041】
次に、制御部208は、出力画像データBに対して画像補正部211により補正を行った回数が、ステップS101において設定された回数に達したか否かを判定する(ステップS107)。ここで、ステップS105にて差分が検知されずにステップS106の処理が省略されたとしても、ステップS107における「補正を行った回数」に含めるものとする。
設定された回数に達していないと判定されると(ステップS107;NO)、制御部208は、ステップS103〜S107の処理を再度行う。即ち、制御部208は、ステップS106において画像補正部211により補正が施された補正後の出力画像データBを、比較用DSC210に送信し、比較用DSC210は、元画像データAと同じ画像サイズとなるように補正後の出力画像データBの画像サイズを変更して比較画像データCを生成し、以降のステップS104〜S107の処理を再度行う。
一方、設定された回数に達したと判定されると(ステップS107;YES)、制御部208は、出力画像データメモリ部209に記憶された補正後の出力画像データBを読み出して、表示部207に表示させる。
【0042】
これにより、画像表示処理を終了する。
なお、図4においては、1回の補正により元画像データと比較画像データと各画素の差分がなくなる例を示しているが、複数回の補正を行うことにより徐々に元画像データと比較画像データとの差分が低減されるようにしても良い。
【0043】
また、上記のように構成された超音波診断装置20により実行されるフリーズ画像表示処理について図5を参照しながら説明する。このフリーズ画像表示処理は、上記した画像補正処理が実行されて表示部207に順次出力画像が表示されている際に、ユーザによるフリーズ操作があった場合に実行される処理である。
【0044】
先ず、制御部208は、操作入力部201によりフリーズ操作の入力があったか否かを判定する(ステップS201)。
【0045】
制御部208は、フリーズ操作の入力があったと判定されると(ステップS201:Y)、フリーズ操作を受け付けたタイミングに応じた出力画像を表示部207の表示画面上に表示させた状態に維持するフリーズ制御を開始する(ステップS202)。
【0046】
次に、制御部208は、操作入力部201により拡大表示操作の入力があったか否かを判定する(ステップS203)。ここで、拡大表示操作とは、フリーズ操作を受け付けたタイミングに応じて表示部207に表示された出力画像を所望の拡大倍率で拡大表示させるための倍率指定操作である。
【0047】
拡大表示操作の入力があったと判定されると(ステップS203;YES)、制御部208は、操作入力部201により入力された値に応じて、補正を行う回数を設定する(ステップS204)。ここで、フリーズ画像表示処理においては、画像サイズを拡大した静止画像に対して補正を行うため、フレームレートに応じて補正を行う回数を設定するのではなく、ユーザにより設定された値に応じて補正を行う回数を設定する。
なお、拡大表示操作の入力がないと判定されると(ステップS203;NO)、制御部208は、フリーズ画像表示処理を終了する。
【0048】
次に、制御部208は、フリーズ操作を受け付けたタイミングに応じて表示部207に表示される出力画像の出力画像データ(以下、出力画像データDとする)を出力画像データメモリ部209から読み出して、出力用DSC206に送信する。出力用DSC206は、ステップS203において指定された拡大倍率で拡大表示されるように出力画像データDに画像サイズ変更処理を施し、拡大画像データ(以下、拡大画像データEとする)を生成する(ステップS205)。生成された拡大画像データEは出力用DSC206により出力画像データメモリ部209に送信され、出力画像データメモリ部209に記憶される。
【0049】
次に、制御部208は、出力画像データメモリ部209に記憶される拡大画像データEを読み出して、比較用DSC210に送信する。比較用DSC210は、図2に示す画像表示処理において出力画像データDを生成する元となったフレーム画像データ(以下、元画像データFとする)と同じ画像サイズとなるように、拡大画像データEの画像サイズを変更し、比較画像データ(以下、比較画像データGとする)を生成する(ステップS206)。生成された比較画像データGは比較用DSC210により画像補正部211に送信される。
【0050】
次に、制御部208は、メモリ部205に記憶される元画像データFを読み出して画像補正部211に送信する。画像補正部211は、受信した元画像データFと比較画像データGとを各画素単位で比較して、差分を検知する(ステップS207)。
【0051】
次に、制御部208は、画像補正部211により元画像データFと比較画像データGとの画素間に差分が検知されたか否かを判定する(ステップS208)。
【0052】
差分が検知されたと判定されると(ステップS208;YES)、制御部208は、出力画像データメモリ部209に記憶された拡大画像データEを読み出して画像補正部211に送信し、画像補正部211は、検知された差分に基づいて拡大画像データEを補正する(ステップS209)。
制御部208は、画像補正部211により補正された補正後の拡大画像データEを出力画像データメモリ部209に送信し、出力画像データメモリ部209に記憶されている拡大画像データEを補正後の拡大画像データEで上書きする。
なお、差分が検知されないと判定されると(ステップS208;NO)、制御部208は、ステップS209の処理を省略してステップS210の処理を行う。
【0053】
次に、制御部208は、拡大画像データEに対して画像補正部211により補正を行った回数が、ステップS204において設定された回数に達したか否かを判定する(ステップS210)。
設定された回数に達していないと判定されると(ステップS210;NO)、制御部208は、ステップS206〜S210の処理を再度行う。
一方、設定された回数に達したと判定されると(ステップS210;YES)、制御部208は、出力画像データメモリ部209に記憶された拡大画像データを読み出して、表示部207に表示させる。
【0054】
これにより、フリーズ画像表示処理を終了する。
なお、フリーズ制御は、操作入力部201によるフリーズ制御終了操作を受け付けたとき、又は予め規定された所定時間が経過したときに終了するものとする。
【0055】
以上のように、本実施の形態によれば、所望の出力サイズとなるようにフレーム画像データの画像サイズを変更して出力画像データを生成し、フレーム画像データと同じ画像サイズとなるように出力画像データの画像サイズを変更して比較画像データを生成し、フレーム画像データと比較画像データとの差分に基づいて出力画像データを補正するので、画像サイズ変更後の出力画像の精度を向上させることができる。これにより、画像サイズ変更後の出力画像の信頼性を高めることができる。
【0056】
また、予め設定された超音波の送受信条件に応じて、比較画像データの生成と出力画像データの補正とを繰り返す回数(補正を行う回数)を設定し、比較画像データの生成と出力画像データの補正とを設定された回数繰り返すので、超音波の送受信条件によってフレームレートが著しく低下する超音波診断装置において、出力画像に対して複数回の補正を行うことができ、フレームレートの低さに応じてより高画質の出力画像を表示させることができる。
【0057】
また、フォーカス点の深度に応じて、画像データに対し補正を行う回数を設定するので、フォーカス点の深度が大きいほど補正の回数が増大してより高画質の出力画像を表示させることができる。
【0058】
また、フリーズ操作を受け付けたタイミングに応じて表示部207に表示される画像に対し、操作入力部201による操作に応じて比較画像データの生成と出力画像データの補正とを繰り返す回数(補正を行う回数)を設定するので、ユーザの趣向や診断部位に合わせて補正を行う回数を設定することができ、ニーズに応じた高画質のフリーズ画像を表示させることができる。
【0059】
なお、本実施の形態では、超音波診断装置において記憶された出力画像データ及び拡大画像データに基づく画像を表示部に出力するようにしたが、超音波診断装置に外部接続された表示装置や印刷装置、あるいは、ネットワーク等に接続された外部機器に当該画像データを出力するようにしても良い。
【0060】
また、本実施の形態では、画像生成部により生成されるフレーム画像データの全てに対して上記した画像補正処理を行うものとしたが、必要に応じて、例えば、操作入力部により所定操作がなされた場合にのみ画像補正処理を行うものとしても良い。
【0061】
また、本実施の形態では、画像サイズを変更する場合において、画像サイズを小さくする際には、画像データに対して縮小補間処理を施すものとしたが(図4参照)、画素データの一部を間引くことにより画像サイズを変更するものとしても良い。
【0062】
また、本実施の形態では、元の画像データに対して拡大補間処理を施すことにより画像サイズを変更して出力画像データ(又は拡大画像データ)を生成するものとしたが(図3参照)、元の画像データの横方向(方位方向)のみ拡大補間処理を施すことにより画像サイズを変更して出力画像データを生成するものとしても良いし、フレーム画像データの横方向(方位方向)に拡大補間処理を施し、縦方向(深さ方向)に縮小補間処理を施すことにより画像サイズを変更して出力画像データを生成するものとしても良い。
【0063】
また、本実施の形態では、フリーズ画像表示処理において、設定された回数の補正が施された後に補正後の拡大画像を表示部に表示させるものとしたが、1回の補正が施される毎に補正後の拡大画像を表示部に表示させるものとしても良い。
【0064】
また、本実施の形態では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてハードディスクや半導体の不揮発性メモリ等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も適用される。
【実施例1】
【0065】
本実施形態に係る超音波診断装置20において、多段フォーカスを行った場合に、フレーム画像データを生成するのに要する時間について図6を参照しながら説明する。
なお、本実施例においては、図6に示すように、フォーカス点の深度を位置P1に設定して、深度0mm(被検体表面)から深度25mmまでの領域L1の音線データを取得し、次にフォーカス点の深度を位置P2に設定して、深度25mmから深度50mmまでの領域L2の音線データを取得し、続いてフォーカス点の深度を位置P3に設定して、深度50mmから深度75mmまでの領域L3の音線データを取得する場合について説明する。
【0066】
被検体内における音速を1540m/sとすると、領域L1の音線データを取得するのに要する時間は25×10−3×2/1540=0.0324675msであり、領域L2の音線データを取得するのに要する時間は50×10−3×2/1540=0.0649351msであり、領域L3の音線データを取得するのに要する時間は25×10−3×2/1540=0.0974026msである。ここで、各フォーカス点における超音波の送受信が他のフォーカス点における超音波の送受信に影響を及ぼさないように、各領域の音線データを取得するのに要する時間はそれぞれ1.5倍程度の時間としておく必要がある。したがって、1音線のデータを取得するのに要する時間は、0.0324675×1.5+0.0649351×1.5+0.0974026×1.5=0.2922078msとなる。これを192音線取得する場合には、1フレーム分の画像を生成するのに0.2922078×192=56.1038976msの時間を要する。
したがって、本実施例のような多段フォーカスを行う場合、超音波診断装置のフレームレートは18fps程度となる。
【0067】
市販のテレビジョン受信機のフレームレートは60fps程度であるため、本実施例の場合における超音波診断装置のフレームレートは、市販のテレビジョン受信機の約1/3以下であることが分かる。フレームレートが市販のテレビジョン受信機と同程度の60fps程度である場合には、上記した画像表示処理において出力画像データの補正を1回程度しか行うことができないが、本実施例の場合には上記した画像表示処理において出力画像データの補正を複数回行うことができる。このように、超音波診断装置のフレームレートは超音波の送受信条件に応じて著しく低下するため、本発明の超音波診断装置においては出力画像データに対する補正を複数回行うことができる。
【符号の説明】
【0068】
20 超音波診断装置
20a 超音波診断装置本体
20b 超音波探触子
20c ケーブル
201 操作入力部(設定入力部)
202 送信部
203 受信部
204 画像生成部
205 メモリ部
206 出力用DSC(出力画像生成部)
207 表示部
208 制御部
209 比較用DSC(比較画像生成部)
210 出力画像データメモリ部
211 画像補正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対して送信超音波を出力するとともに、被検体からの反射超音波を受信することにより受信信号を取得する超音波探触子と、
前記超音波探触子により取得された受信信号に基づいて超音波画像データを生成する画像生成部と、
予め設定された出力サイズとなるように前記画像生成部により生成された超音波画像データに画像サイズ変更処理を施して出力画像データを生成する出力画像生成部と、
前記画像生成部により生成された超音波画像データに基づく画像と同じ画像サイズとなるように前記出力画像生成部により生成された出力画像データの画像サイズを変更して比較画像データを生成する比較画像生成部と、
前記比較画像生成部により生成された比較画像データと前記画像生成部により生成された超音波画像データとの差分に基づいて、前記出力画像生成部により生成された出力画像データの補正を行う画像補正部と、を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記画像補正部は、前記比較画像生成部により生成された比較画像データと前記画像生成部により生成された超音波画像データとの差分に基づいて、前記出力画像生成部による画像サイズ変更処理の処理条件を変更し、変更した処理条件に基づいて前記出力画像生成部に新たに出力画像データを生成させることにより、出力画像データの補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
予め設定された超音波の送受信条件に応じて、前記比較画像生成部による比較画像データの生成と前記画像補正部による出力画像データの補正とを繰り返す回数を設定する制御部を更に備え、
前記比較画像生成部による比較画像データの生成と前記画像補正部による出力画像データの補正とを、前記制御部により設定された回数繰り返すことを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記制御部は、予め設定されたフォーカス点の深度に応じて、前記比較画像生成部による比較画像データの生成と前記画像補正部による出力画像データの補正とを繰り返す回数を設定することを特徴とする請求項3に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記出力画像生成部により生成された出力画像データに基づいて画像の表示を行う表示部と、
ユーザによる所定操作に応じて、前記比較画像生成部による比較画像データの生成と前記画像補正部による出力画像データの補正とを繰り返す回数を設定する設定入力部と、
フリーズ操作を受け付けたとき、当該フリーズ操作を受け付けたタイミングに応じた画像を前記表示部に表示させた状態に維持するフリーズ制御を行い、前記フリーズ操作を受け付けたタイミングに応じて前記表示部に表示される画像の出力画像データに対し、前記比較画像生成部による比較画像データの生成と前記画像補正部による出力画像データの補正とを、前記設定入力部により設定された回数繰り返す制御部と、を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−245078(P2012−245078A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117560(P2011−117560)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】