説明

超音波霧化器ユニット

【課題】筐体の底部に設置した超音波振動子の振動を、筐体に充填した水と、その上面を覆うダイヤフラムを介して薬液に伝導し、薬液を霧化する、薬液霧化システムユニット。超音波振動子の振動を、薬液槽内で薬液に効率良く伝導でき、従来の構造のような筐体ごとの設計が不要で、いかなる薬液槽にも自在に適応しうる、且つ消耗品のダイヤフラムを簡単に交換できる超音波霧化ユニット。
【解決手段】超音波振動子4を内底部に設けた筐体1に超音波伝導体(水)8を充填し、筐体上面をダイヤフラム3で覆い、蓋2で筐体の中心部開口の周縁で固定し、防水ケーブル5及び防水グロメット6を介し、制御ユニット7で構成され、超音波振動子4の振動を超音波伝導体(水)8とダイヤフラム3を介して薬液を霧化する超音波霧化ユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波振動を水などの超音波伝導体とダイヤフラムを介して薬液に伝播し、薬液を霧化する超音波霧化ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の超音波霧化装置は、水を蓄えた作用槽に薬液槽の底部を水に浸かるように作用槽上部に固定し、作用槽の底外部に設けた超音発生器が発生する超音波振動を作用槽の水を介し、液薬槽の底部に伝播して、該薬液を霧化していた。例えば、米国特許第3561444号及び特許出願公開番号、特開2005−278742公報参照。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の超音波霧化装置では、作用槽の枠体上部の内面に薬液槽を固着し、作用槽内で薬液槽の底部が水に浸かる程度に水を注入し、作用槽底外部に設けた超音波発生器の振動を作用槽の水を経て薬液槽の底部に伝播し、薬液を霧化していたが、薬液槽の底部は、超音波の伝播を効率化するために、薬液槽の厚みは極力薄くする必要があり、現実には、0.2〜0.3mmと薄く、薬液の浸食を受け易くピンホ−ルを通して作用槽内の水により、薬液槽内に汚染が広がる欠点があった。また、この場合、固着されている薬液槽の交換に手間がかかりすぎ、問題点が多々あった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は超音波振動子4を内底部に設けた筐体1を超音波伝導体水8で充填し、その上面開口をダイヤフラム3で覆い、それを蓋2で固定し、防水ケーブル5及び防水グロメット6を介し、制御ユニット7から独立型超音波霧化器ユニットを構成する。図2のように超音波霧化器ユニットを薬液槽9内底部に設置し、超音波振動子の振動を、該筐体1上面を覆ったダイヤグラム3を経て、薬液10を霧化する手段とした。
【発明の効果】
【0005】
本発明の超音波霧化ユニットは、超音波振動子4が筐体1に充填されている水8に浸漬されているので、薬液10による、腐食を防止することができ、どのような種類の薬液の霧化にも適している。
【0006】
本発明では、ダイヤフラム3の交換は、筺体1と筺体の蓋2の嵌合、脱却により、必要に応じ随時,自在になし得る。
【0007】
本発明の超音波霧化ユニットは、超音波振動子4と筐体1、ダイヤフラム3、筐体の蓋2とからなるユニットを薬液霧化の使用者に、薬液槽とは別個に供給すことができる。該使用者は薬液霧化の必要量に応じた薬液槽9を自由に選択できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は所望の薬液霧化を得るために、筐体1の内底部に超音波振動子4を設け、該筐体1に水を充填し、その上面をダイヤフラム3で覆った筐体1を薬液槽9の底部に設け、薬液を注入し後、超音波振動子4に通電し、超音波振動がダイヤフラム3を経て、超音波振動を薬液10に伝播することにより、該薬液10の霧化するシステムである。
【0009】
本発明におけるダイヤグラム3は、約1mmの薄膜であり、例えば、シリコン膜や、テフロン膜が好ましい。該ダイヤグラム3は、筐体1の蓋2の自由な嵌合・脱却により、容易に着脱自在とした。
【0010】
筐体1の形状は、底部のある開口円筒状であり、筒状筐体1の上部外周に螺線状形状凸状溝を施している。該筐体1の蓋2の形状は、上面の大半を円形に開口し、側部内周部には、筐体1の外周に施されている螺旋状と嵌合し得る凹状溝を螺旋形状に施し、筐体1に超音波伝導体水8を充填した後、ダイヤフラム3で筐体1の上部の開口を覆い、その上から、蓋2を嵌合してなる。筐体1と蓋2は容易に着脱自在としているので、ダイヤフラム3の交換が容易となっている。
【0011】
水を充填し、ダイヤフラム3で覆われた筐体1は、薬液槽9の底部におかれた後、所望の薬液が注入された後、超音波振動子4に通電すると、該薬液10の霧化が始まる。
【0012】
実施例について、図面を参照して説明する。筐体1の内底部に、超音波振動子4を設け、水8を充填し、筐体1の上面をダイヤフラム3で覆い、その上から、蓋2を筐体1に嵌合してダイヤフラム3を固着させた筐体1を薬液槽9の底部に設け、該薬液槽9に、所望の薬液を注入し、超音波振動子に通電すると、薬液槽9の薬液面の上方に該薬液10の霧化を生ずる。
【0013】
ダイヤフラム3を固着する蓋2は、中心部開口の周縁側面部で、筐体1の上部側面において各側面部に施された螺線形状の凹凸溝で嵌合され、ダイヤフラム3を固着する。超音波振動子は防水信号ケーブル5によって制御ユニット7に連結されており制御される。筐体1に対しては、防水信号ケーブル5は、防水グロメット6を介して超音波振動子4に連結されている。通電時間の経過と共に、薬液の霧化された分が減少するから、随時薬液を補給注入する必要がある。
【産業上利用の可能性】
【0014】
本発明は以上説明した形態で実施され、以下に記載する効果が顕著である。即ち、本発明の超音波霧化システムは、超音波振動子4が筐体1に充填されている水8に浸漬されているので、超音波振動子4が薬液10で腐食されることがない。従ってどのような薬液槽にも本発明霧化ユニットが使用できる。
【0015】
具体的には、該システムユニットを構成するのは、耐食性、耐熱性を持つ材料からなる筐体1、に設けられた耐水コーテングを施した超音波振動子4、超音波振動を伝導する水8と、筐体1の上面を覆うダイヤフラム3であり、これらの要素を介して、薬液に伝播し、薬液を霧化するユニットである。
【0016】
本発明の薬液霧化の容易性から、医療産業の分野では、病院における呼吸器、吸入器への使用が容易に実施でき、臨床医療の現場、治療現場での貢献は大である。
【0017】
さらに、本発明の薬液霧化は、医療機関の特定空間、例えば、手術室、病室、待合室等の殺菌・消毒・消臭等への実施が極めて容易となる。
【0018】
あるいは、学校、幼稚園、企業の職場における、疫病の消毒・消臭等の感染予防への実施が極めて容易となる。
【0019】
一般家庭・住居内のキッチン・トイレ・バス、介護室等の消毒、消臭、湿度調整に本発明の実施が極めて有効である。
【0021】
さらには、養鶏育成舎・畜産業厩舎等の感染予防の消毒、殺菌が容易となった。
【0020】
植物育成、例えば、ミスト栽培における、養分補給、湿度・温度調整操作の分野においても、本発明に係る薬液霧化技術の実施により、消毒、施肥等、植物の生育、開花時期の調整等が容易となった効果は大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシステム概要図である。
【図2】本発明の一つの実施例の概要図である。
【図3】筐体1の円筒形状上部と、ダイヤグラム3と、筐体1の蓋2の関連説明図である。
【図4】図2における、A−A線断面図である。
【符号の説明】
1 筐体
2 蓋
3 ダイヤフラム
4 超音波振動子
5 防水ケーブル
6 防水グロメット
7 制御ユニット
8 超音波伝導体(水など)
9 薬液槽
10 薬液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体1の底部に設けた超音波振動子4と、筐体1の上面を覆うダイヤフラム3を固着する筐体の蓋2とから構成される超音波霧化ユニット。
【請求項2】
底部に超音波振動子4を設けた筐体1に超音波伝導体である水8を充填し、該筺体1の上面をダイヤフラム3で覆い、該筺体1に嵌合する蓋2でダイヤフラム3を固着した超音波ユニットを、薬液槽9の底部に設けて、薬液を霧化する霧化システム。
【請求項3】
薬液槽9内の下部において、筺体1の底部に設けた超音波振動子4の超音波振動を、該筺体1内に充填した伝導体の水8と、筺体1の上面を覆うダイヤフラム3とを介して薬液槽9内の薬液10に伝播してなる薬液を霧化する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−136116(P2011−136116A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−299581(P2009−299581)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(506312869)株式会社ラヴォックス (2)
【Fターム(参考)】