超音波非破壊検査
【課題】近位端で試験対象物に結合される細長い超音波伝達材料のストリップを備える、超音波非破壊検査のための装置及び方法を提供する。
【解決手段】細長いストリップは、幅及び厚さが1対1よりも大きなアスペクト比をもつ縦断面を有し、超音波トランスデューサに整合し、励起により、細長いストリップに沿って近位端に進行して試験対象物に進入する、実質的に非分散性の超音波信号を誘導する。この非分散性パルスは、飛行時間測定、厚さ測定、クラック測定等に特に好適である。細長いストリップにより、トランスデューサは試験対象物に伴う潜在的に不適切な環境から分離される。細長いストリップは、試験対象物との大きな接触面積も有し、試験対象物への効率的な照射が可能になる。
【解決手段】細長いストリップは、幅及び厚さが1対1よりも大きなアスペクト比をもつ縦断面を有し、超音波トランスデューサに整合し、励起により、細長いストリップに沿って近位端に進行して試験対象物に進入する、実質的に非分散性の超音波信号を誘導する。この非分散性パルスは、飛行時間測定、厚さ測定、クラック測定等に特に好適である。細長いストリップにより、トランスデューサは試験対象物に伴う潜在的に不適切な環境から分離される。細長いストリップは、試験対象物との大きな接触面積も有し、試験対象物への効率的な照射が可能になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波非破壊検査のための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
材料の非破壊検査における超音波信号の利用が知られている。厚さの測定は、超音波信号を試験材内に送信し、その試料を横断する信号の飛行時間測定により行われる。欠陥モニタリングは、超音波信号を試験材内に送信し、欠陥構造物からの信号の反射の観察により行われる。一般に、超音波トランスデューサは、試験対象物に直接当接配置される。送信された超音波信号は、続いて、受信トランスデューサとして作動する送信トランスデューサにより受信してもよく、第2の受信トランスデューサを用いてもよい。このような手順は、過酷でない環境においては容易であるが、過酷な(例えば、高温の)環境においてこのようなトランスデューサを動作させるにはかなりの技術上の障害を克服する必要がある。
【0003】
長時間高温に耐える超音波トランスデューサ及びトランスデューサの付属品の開発は、困難である。ほとんどのトランスデューサの材料は高温により悪影響を受け、さらに、同軸ケーブルに沿った伝達のための信号を変換するには耐性のあるバッファアンプが必要で、このバッファアンプ自体が環境に耐えなければならない。また、好適なコネクタ及び電源も提供される必要がある。
【0004】
そうした過酷な環境に耐える材料から成る音響導波路を用いて、過酷でない領域に配置されたトランスデューサ及び付属品から超音波信号を検査対象内へ送信することは、興味深い代替手段であろう。導波路の先端は、試料の関心領域に直接取り付けられるものである。しかしながら中継導波路の使用は、些細なことではない。超音波検査は、一般に、高周波(>1MHz)パルス波形を用いるが、この波形は、分散、複数モード及び減衰が原因となって、長い導波路にわたって忠実度が高いまま容易には送信されない。さらに、トランスデューサ及び試料には大きなエネルギー損失は禁物であり、これを避けるために導波路に効率的に結合されなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
克服すべき主な課題は、分散及び複数モードの存在である。添付の図面のうち図1は、円柱状のロッド型導波路の場合の分散曲線を示す。送信信号のエネルギーにおいて幾らかの拡散は避けられないので、例えば、2MHzの中心周波数において発生した信号は、一般に1MHz〜3MHzの間のエネルギーを有する。ゆえに、試料から来る超音波信号の正確な特定及びタイミングは、上述した非破壊検査の手順より優先するため、主として非分散性である信号、すなわち、信号の速度が周波数に対してほぼ一定であり、単一モードを主成分とする信号を送信することが非常に望ましい。
【0006】
導波路における分散及び可能なモードは、主に、信号の周波数と導波路の最小寸法の積の関数である。さらに、超音波厚さ計測の場合に良好な精度を得るには、通常1MHz以上で動作することが必要である。しかしながら周波数と寸法の積が大きいほど、高次モードが伝播する恐れがあるため、導波路の最小寸法を制限することが必要である。従って、薄いロッド型導波路の使用が当技術分野に公知である。薄いロッド内へ充分なエネルギーを伝送して強力な信号を生成することが困難なため、このような装置は、装置自体に困難が伴う。また、薄い導波路が大きな構造物に連結される場合、強い表面反射があり、この構造物にはエネルギーがほとんど入らない。さらに、構造物の表面に結合された薄いロッド型導波路は、結果的に点源として作動するため、この振動源からのエネルギーは球状に拡散し、構造物底面等の強力な反射体からでさえ、受信導波路に戻るエネルギーがほとんどないことを意味する。
【0007】
米国特許第5962790号(例えば、参考文献1、2及び3並びに参考文献4)は、分散を最小限にする薄いワイヤを用いるシステム及び薄いワイヤの束を用いることによって単一の薄いワイヤが抱える問題のうちの幾つかを克服することを開示している。各ワイヤは、周波数と直径の積が適度に小さな条件で動作し、しかも単一ワイヤを通してよりも著しく大きなエネルギーが束状の多重並行ワイヤを通して伝達される。それにもかかわらず、ワイヤ束の生産は比較的高価であり、ワイヤの直径が大きくなるに従ってむしろ柔軟性がなくなり、ワイヤを配置する幾何学的形状が制限される。さらに個別のワイヤとワイヤの間のクロストークが信号解析を複雑にする場合があり、各個別のワイヤを検査構造物に取り付けるか、又は分散の問題を生じない薄板を用いて束を終端処理するかのいずれかに関連した実用上の困難がある。モード励起に関しては、拡張モードかねじれモードのいずれかが単一ワイヤにおいて励起されてもよい。ねじれモードは、通常、ワイヤの側面に当接しているトランスデューサにより、又は電磁コイルを取り囲むことにより励起される。このような手法は、ワイヤ束の場合には実用的ではなく、現実的に拡張モードだけが用いられてもよい。
【0008】
米国特許第A−6400648号(参考文献5)は、ロッド束の代替手段としてコイル状の金属箔導波路を開示している。金属箔の厚さは、伝播した信号の最短波長よりずっと小さく、非分散伝達のための周波数と寸法の積が小さいことを満足する。金属箔は、信号伝播の方向に平行な軸回りに巻かれ、広げると、信号伝播方向の垂直方向には非常に長くなる。しかしながらコイル直径を大きくすると導波路は剛体化し、層間の擦れによる減衰が生じることがある。ワイヤ束のように、コイル状の金属箔は、ねじれ波よりむしろ拡張波により好適である。
【0009】
米国特許第A−5828274号(参考文献6)は、減衰クラッディング(attenuative cladding)の外層を備えた、先細の超音波導波路を開示している。このクラッディングは、表面反射を減衰し、制限することによって導波路境界の効果を除去する。これは残存エコーをほとんど全て除去する効果を有するが、分散の効果は、全く除去されず、信号が幾分遅延し、幾分歪みを生じ、強く減衰される。後者の不利な点により導波路の長さは制限され、また比較的柔軟性もない。これは、不均一なネジ付きの棒を導波路として用いるこれまでの提案(参考文献7及び8)に対しては改良である。
【0010】
米国特許第A−6047602号は、端部断面に角度の付いた長方形断面の棒である、流体流れ測定のための超音波導波路を開示している。角度の付いた端部表面は、棒に沿って進行するエネルギーを、被検査流体に入る狭指向性ビーム内へ反射させる。導波路は、導管を通過するエネルギー伝送を最大化するように設計される。この装置は、柔軟性がなく、試料の非破壊検査におけるタイミング測定において極めて重要な、きれいな歪みのない信号形状となるような波の伝播が最適化されず、厚さ測定又は欠陥モニタリングの分野においては著しく不利である。
【0011】
本発明の技術的課題は、過酷な環境において動作し、かつ上述の課題に対処しうる超音波非破壊検査のための実用的な装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明においては、試験対象物を超音波非破壊検査する装置が提供され、前記装置は、超音波透過性材料の細長いストリップであって、前記ストリップは前記試験対象物と結合するための近位端及び遠位端を有するストリップ;及び、
前記細長いストリップと結合する超音波トランスデューサを含んでなり、ここに、
前記細長いストリップは1対1を超えるアスペクト比を与える幅及び厚さを伴う縦方向の断面を有し、前記超音波トランスデューサの励起が実質的に非分散の超音波信号を誘導して前記細長いストリップを進行し、前記試験対象物に進入するように前記超音波トランスデューサと整合する。
【0013】
本発明は、実質的に非分散状態で伝導し、正確なタイミング測定がなされうる、非破壊目的のための超音波信号にニーズがあることを認識する。さらに、本発明は、取り扱いにくい配置において装置が稼動するような、フレキシブルな超音波伝導コンポーネントにニーズがあることを認識する。従って、幅及び厚さのアスペクト比が1対1を超える細長いストリップに沿って超音波を伝導し、実質的に非分散の信号を励起することにより、被験物の超音波非破壊検査は、従来の超音波トランスデューサでは適さない環境において実施してもよく、介在する被験物をフレキシブルに取り囲む伝導コンポーネントを要する構成において実施してもよい。
【0014】
細長いストリップは、せん断速度Cs及びせん断波長λBを有する材料から形成され、ここにλB=Cs/Fであって、Fは、λBに対応する周波数であり、前記の実質的に非分散性超音波信号は、異なる周波数成分から形成され、λShortからλlongにまで達するせん断波長を有する。いくつかの超音波のせん断モードには非分散性の利点があり、波長は最も短い。波長が最短であれば、検査目的において空間分解能はより微細になる。
【0015】
同様に、前記細長いストリップは、棒速度Cbar及び棒波長λbarを有する材料で形成され、ここにλbar=Cbar/Fであって、Fは、λbarに対応する周波数であり、前記の実質的に非分散性超音波信号は異なる周波数成分から形成され、λshortからλlongにまで達する棒波長を有する。いくつかの状況に対しては圧縮波がより好適でありうる。
【0016】
細長いストリップの寸法は非常に変化しうるが、好適な実施形態において、細長いストリップの厚さはλshortの2.5倍未満である。特定の実施形態において、細長いストリップの厚さはλshort未満である。このような寸法の制約により、望ましくない高次モードの励起を防げる。
【0017】
好適な実施形態において、前記幅はλlongの3.5倍を超える。さらにより好適な実施形態において、前記幅はλlongの5倍を超える。このような寸法の制約により、超音波の進行は実質的に非分散であり、導波路端において低振幅であり、モード形状は略一定になる。
【0018】
好適な実施形態においては超音波モードを変化させうる一方、前記実質的に非分散の超音波信号は、進行方向に垂直かつ前記幅に平行に偏向した最低次せん断モード振動を含む。このような信号は、上述の導波路に沿って低歪みで高効率に伝送されうる。
【0019】
他の実施形態において、前記実質的に非分散の超音波信号は、進行方向に平行に偏向した垂直最低次せん断モード振動を含む。このような波の使用は、被験物中のせん断波の減衰が大きいか、又は被験物中で圧縮波の使用が有利なアプリケーションにおいて利点がある。
【0020】
適切なタイプの複数モードの同時励起が可能である一方、好適な実施形態においては、前記超音波トランスデューサは、進行ガイド波の実質的に単一のモードのみを励起する。他の実施形態において、前記超音波トランスデューサは、前記実質的に非分散の超音波信号を誘導するために、進行ガイド波の前記単一モードのみを励起するよう最適化される。単一モードへの制限は、別個に受信された信号は、異なるモードにより生じるよりもむしろ被験物内の別個の特徴から発生したものと直ちに判定しうるので、正確な時間情報を必要とするアプリケーションにおいて利点がある。
【0021】
試験対象物内の所望の進行距離と比較して、好適な実施形態においては、前記実質的に非分散の超音波信号は、試験下で前記近位端から前記遠位端に、実質的に円筒状に広がる。円筒状に広がる波の振幅の減衰率は、音源からの距離の平方根に反比例し、球状に広がる波は音源からの距離に反比例する。このため、前者の進行の方がエネルギー損失が低い。
【0022】
トランスデューサは細長いストリップの種々の位置に取り付けうるが、好適な実施形態においては、前記超音波トランスデューサを前記遠位端に結合することが有利である。この文脈において、前記超音波トランスデューサは、
(i)接着接続、
(ii)機械固定及び超音波透過カプラー、並びに、
(iii)機械固定及び種々の力、
の1つにより、前記遠位端に結合する。このように超音波トランスデューサと導波路の遠位端を結合することにより、両者間の効率的なエネルギー伝送が促進される。
【0023】
(溶接及びろう付けを含む接着並びに他の接着技法)トランスデューサと細長いストリップの結合には多くの様々な方法を用いうる。1つの好適な実施形態において、前記超音波トランスデューサは、前記細長いストリップの少なくとも1の縦方呼応の側面に結合する。別の好適な実施形態において、前記超音波トランスデューサは、電磁超音波変換を発生するよう動作可能なコイルを含む。このような配置により、導波路の超音波信号の励起には他の効率的な方法がありうる。
【0024】
本発明の一実施形態において、前記細長いストリップは、前記細長いストリップの前記幅に実質的に平行で、進行方向に実質的に垂直な軸回りに曲げられる。これにより、制約された現実の状況における超音波信号の経路選択が特に容易になる。
【0025】
超音波信号の受信は種々の異なる手法にて行われうる。ひとつの好適な実施形態において、前記装置は、前記実質的に非分散の超音波信号が前記試験対象物に進入して発生する、前記試験対象物からの反射超音波受信動作が可能な超音波受信器を含む。この文脈において、前記超音波受信器は、さらに、試験下において前記反射超音波を受信するためにそれぞれの位置において個々が前記試験対象物に結合し、前記反射超音波を検出するために受信超音波トランスデューサを有する、1以上の細長いストリップを含む。別の好適な実施形態において、前記細長いストリップ及び前記超音波トランスデューサは、前記超音波受信器も形成する。
【0026】
本発明の技法には多様な超音波試験の方法論を組み合わせうる一方、好適な実施形態においては、前記反射超音波は、少なくとも1の反射信号を含み、前記超音波受信器は前記反射信号の時間差を測定する。このような時間差は被験物の構造に関する情報を与える。
【0027】
本発明においては、前記細長いストリップと前記試験対象物への結合が多くの異なる方法でなされうる一方、好適な実施形態において、前記近位端が前記被験物に、
(i)溶接、
(ii)ろう付け、
(iii)はんだ付け、及び、
(iv)接着、
のいずれかにより固定されることが前記装置の性能に重要であることを認識する。
【0028】
別の実施形態において、前記近位端は前記試験対象物にクランプされる。この文脈において、前記近位端と前記試験対象物との間に超音波透過性カプラを配置することにより、結合は改善しうる。さらに、クランプが調節可能な力で前記細長いストリップを前記試験対象物にクランプする実施形態において、結合は改善しうる。好適な実施形態において、前記クランプは、前記試験対象物に溶接されたスタッドにより前記試験対象物に結合する。別のクランプの好適な実施形態は、例えばパイプ回り等、試験対象物の周囲を囲むものである。
【0029】
本発明の技法は、前記超音波非破壊検査が厚さ測定又はクラックモニタであるときに特に有用である。
【0030】
本発明の技法は、前記試験対象物の状況が、
(i)200℃を超える温度にある場合、及び
(ii)電離放射のバックグラウンドレベルに曝される場合、
に特に好適である。
【0031】
本発明の第2の態様においては、試験対象物の超音波非破壊検査方法が提供され、前記方法は、
細長いストリップの近位端を試験対象物に結合するステップ、
実質的に非分散の超音波信号を前記細長いストリップ内に励起し、前記細長いストリップに沿って進行させ、前記試験対象物に進入させるステップ、を含んでなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本手法は、薄いストリップ型導波路(細長いストリップ)を用いる。図2に、周波数−厚さの積の関数として薄板の位相速度分散を示す。1.4MHz−mm以下では、3つのモード、すなわち、S0(伝播に平行して偏向する最低次圧縮波)、A0(低周波数におけるたわみ波)及びSH0(伝播に垂直かつストリップ幅に平行して偏向する最低次せん断モード)のみが伝播しうる。これらの波は、ロッド内におけるそれぞれL(0、1)、F(1、1)及びT(0、1)に類似している。A0モードは非常に分散性があり、検査目的では魅力的ではないが、S0モードは、低周波数において分散性が最小であり、一方SH0は、全周波数において完全に非分散性である。図2に、1.4MHz−mm以下の周波数範囲においてSH0モードの位相速度がS0モードの位相速度よりずっと低いことを示す。周波数で割った位相速度によって波長が得られるので、結果として、ある所定の周波数においてSH0モードは、S0モードより短い波長を有することになる。このため、多くの場合に検査利用において波長はより敏感になる。ゆえに、本手法の好ましい実施形態は、せん断水平モードを用いるが、S0モードのように圧縮モードが好ましい環境もある(例えば、せん断波を備えた信号があまりに弱くて利用できないほど、せん断波減衰が伸縮波の減衰よりずっと高くなる利用において)。
【0033】
ストリップ型導波路の利用は、先に提案されている単一ワイヤ、束及びコイル式解決方法に勝る以下の利点を有する。
断面積が単一ワイヤよりずっと大きくなるため、強力な信号を得ることがより容易であり、また、導波路と構造物との間のインターフェイスがより小さくなるので、より多くのエネルギーが被検査構造物に入る。
ストリップから被検査構造物に入るときに、波は円柱状に拡散する傾向にある。このことは、ビーム拡散のために構造物における波の振幅が1/√r(rは、設置点からの距離である)に比例した割合で小さくなることを意味する。
ビーム拡散が球状になるワイヤシステムの場合、1/rに比例した減衰の割合に匹敵する。円柱状ビーム拡散パターンは、飛行時間回折法(TOFD)に基づく単純な厚さ計測及びひび割れの寸法計測の両方に非常に好適である(図3及び図4参照)。
ストリップの先端にトランスデューサを取り付けることによってストリップ内においてせん断波又は縦波を励起することが容易になる。また、適切なトランスデューサをストリップの側面に取り付けることによってどちらかのタイプの波を励起することがより便利であれば、これも可能である。
導波路を構造物に溶接、半田付け、ろう付け、又は接着することが可能である。また、単に低温において粘性のある超音波ゲル接触媒質を使用すること、及び/又は高温及び低音において動作する構造上に導波路をしっかりクランプすることも(例えば、クランプ力を調節可能なネジ付きスタッドを溶接することにより)可能である。導波路は薄いため、導波路の全底面が構造物に取り付けられることを比較的容易に確認でき、従って信号伝達が改善される。永久接合技法では望ましくない幾何学的歪みを避けられないが、構造物への導波路のクランプにおいてはこの欠点を除去できるという利点がある。クランプすることによって充分な信号伝達を達成することができる。
ストリップ型導波路は、典型的な束よりも一方向においてより柔軟であり、コーナーを回って構造物にアクセスすることがより容易になる。
【0034】
図5に、本発明の一実施形態を示す。図6は、図3の厚さ計測の利用において受信される信号を示しており、ここで厚さは、音速を既知として、頂面反射と底面反射の間の時間又は連続した背面エコーとエコーの間の時間から得ることができる。試料は、例えば>200度の高温にあって、及び/又は電離放射のバックグラウンドレベルを上回るレベルにさらしてもよい。
【0035】
厚さ方向への高次モード励起を回避するために、ストリップの厚さは、一般に、厚さ及び励起した最大周波数の積がSH型波の場合3MHz−mm未満、及び縦型波の場合1.4MHz−mmになるように選択されるのがよい。縦波を使用すれば分散の補正も可能であるが、分散を最小限に抑えるには、周波数と厚さの積をより小さくすることが望ましい場合が多い(参考文献10を参照)。ストリップの幅もまた重要なパラメータである。
【0036】
せん断速度Csとせん断波長λBとを有する材料から細長いストリップが形成され、ここにλB=Cs/Fであって、Fは、λBに対応する周波数であり、前記の実質的に非分散性超音波信号が異なる周波数成分から形成され、λShortからλlongにまで達するせん断波長を有するとき、厚さは、2.5λShort未満であることが必須ではないにしても望ましく、λShort未満であることが特に好ましい。同様に、幅は、3.5λlongより大きいことが好ましく、特に5λlongより大きいことが特に好ましい。同じように、前記の細長いストリップが棒速度Cbarと棒波長λbarとを有する材料から形成され、ここにλbar=Cbar/Fであって、Fは、λbarに対応する周波数であり、前記の実質的に非分散性超音波信号が異なる周波数の成分から形成され、λshortからλlongにまで達する棒波長を有するときにも、同一の好適な範囲が適用される。
【0037】
図2における分散曲線は、無限幅の薄板における波伝播を表したものである。この無限幅の仮定を極めて正確に表すとすれば、非常に大きな幅対厚さ比を備えた構造物となるであろう。しかしながら、側面を共により近接させて長方形断面のストリップを作成すると、波の伝播は、ストリップの境界の存在により影響を受けるであろう。長方形断面の棒の伝播モデルを最初に記載したのは、Mindlin及びFoxである(参考文献11)。彼らの解決方法は、幅と厚さのそれぞれが当該棒と等しい無限の板の中を伝播する、幾つかのたわみモード、縦モード及びせん断モードの重畳から成る。断面の周囲全体では応力がゼロであるという境界条件を満たすために、無限の板についての解が重ね合わされた。この方法は、彼らが棒の異なった周波数及びアスペクト比において棒の分散特性を測定することを可能にした。しかしながら全周波数及びアスペクト比に対する解決方法は、可能ではなかった。しかしながらより最近になって、任意の断面の構造物内における波伝播について、分散曲線を連続したトレースが有限要素(FE)固有ソルバーの利用によって可能になった。Wilcoxら(参考文献12)、Mukdadiら(参考文献13)及びHayashiら(参考文献14)は、L型断面、レールヘッド及びストリップの分散曲線をトレースする方法を報告している。
【0038】
ここでは厚さ1mm及び幅30mmの鋼製ストリップにおいて伝播するモードを解析するためにWilcoxらの方法を用いた。図7に、位相速度分散曲線を示す。より太い線によって強調されたモードが、このストリップの第1せん断水平モードSH*として確認された。無限の板の場合とは異なり、有限ストリップにおいて伝播SH0モードは存在しない。これは、ストリップ側面上のゼロ応力境界条件が原因であって、その条件は、剛体の運動又はSH*及びより高い次元モードによってのみ満足させられる。それゆえに非分散性伝播せん断モードは有限幅のストリップには全く存在しない。しかしながら、ストリップが厚くなればなるほど、SH*モードのカットオフ周波数は低くなる。SH*モードは、材料内における群せん断速度に漸近するため、より高い周波数において実質的に非分散性になる。本発明においては、被験標本まで導波路又は「音響ケーブル」を伝って超音波エネルギーを伝えるのに、圧縮性又はせん断性の純粋な実質的非分散性ストリップモードを用いる。モードの純度により、被験構造物内において欠陥又は機構に間違えられる恐れのある幾つかの信号の到着は回避され、モードが非分散性であることにより、波のエネルギーは狭い時間ウィンドウ内に集中でき、これにより導波路内において信号の伝播範囲が広がり、かつ構造物がモニタされる空間解像度も決定される(参考文献15を参照)。ここでSH*モード系の実施例について詳述するが、圧縮性の類似したモードの利用もまた可能である。
【0039】
図8に、2MHzにおける15mm幅のストリップの断面及びSH*モードのモード形状を示す。ストリップの幅方向に平行な変位である、y変位がSH*モードのモード形状を特徴付けているのが分かる。しかしながら無限薄板におけるSH*モードのモード形状と異なり、有限幅のストリップにおけるSH*モードのモード形状は周波数によって変化する。図9は、周波数の一範囲にわたるSH*モードの支配的なy変位成分の展開を示す。周波数が高ければ高いほど、このモードはストリップの中心に集中する。よって高い周波数においては、このモードは、ほぼ群せん断速度でストリップの中心に沿ってエネルギーを伝播し、端部ではほとんどエネルギーをもたないため感度もほとんどない。
【0040】
当該モードのモード形状を模倣するアポダイズ(apodized)トランスデューサを用いることにより、純粋なモード形状の励起が達成される。コイルトランスデューサを用いてもよい。トランスデューサは、ストリップの先端又は側面上に配置することができる。短い一瞬のパルスは広帯域信号であり、当該モードのモード形状は、励起パルスの周波数帯域幅以上に著しく変化してはならない。このことは、より高い周波数(中心周波数2MHz近傍)において、より幅の広いストリップのSH*モードの場合にあてはまる。それゆえにストリップのアスペクト比の許容範囲を決定する2つの基準がある。第1には、当該モードが関心周波数帯域において実質的に非分散性であること(速度変位が5%未満)、第2には、関心周波数帯域にわたって比較的一定であるモードが存在すること(正規化振幅において10%未満の差)である。SH*モードについて両方の基準が満たされるアスペクト比の限界を見つけることが、目下の課題である。
【0041】
無限の板に対する分散曲線は、周波数と厚さ(FT)の積に対して曲線をプロットすると、幾何学的形状には自由に作成しうる。すなわち、厚さが2倍ある板のカットオフモードは半周波数で生じる。我々の場合、幅/厚さ比が大きいため(>5)、システムは、2つの積、つまりストリップの周波数−厚さについてはFT積及びストリップの周波数−幅についてはFW積によって、大まかに拡大縮小できる。これらの線の関係を考慮し、ストリップの厚さを一定に維持すると(FT一定)、分散曲線及びモード形状が前述の良好な単一モード励起及び伝播のための基準を満たさない極端なケースにまで、ストリップの幅を調整しうる。図10に、厚さ1mm及び幅30mmのストリップ並びに厚さ1mm及び幅15mmのストリップに関するSH*モードの位相速度分散曲線を示す。幅15mmのストリップにおけるモードのカットオフ周波数は、2倍の周波数で生じた。図11に、カットオフ周波数近傍(点1)及び位相速度がストリップの群せん断速度に向かって漸近しはじめる点(点2)の近傍の周波数におけるSH*モードのモード形状を示す。カットオフにおいて、モードは、ストリップの端部において大きな変位を示す。端部における変位は、より高い周波数では無視できる。
【0042】
検査に有用な周波数は、1MHzから5MHzにわたる。しかしながら欠陥及び厚さのモニタリングにおいては、パルスによる広帯域の励起が一般に用いられる。これは、信号の中心周波数の下半分、及び信号の中心周波数の半分上の帯域を必要とする。よって1MHzの中心周波数パルスの場合、導波路は、0.5〜1.5MHzの範囲にわたって類似した非分散性波伝播を示す必要がある。同様に、2MHzの中心周波数信号の場合、この範囲が1MHz〜3MHzに拡大する。図10に見られるように、1MHzパルスを送信するのに、厚さ1mm及び幅15mmのストリップは不適切になる。SH*モードの位相速度は、まだせん断群速度に漸近していない。モードは依然、500〜800kHzの周波数範囲において比較的に分散性であり、このモード形状(図11(b))は、端部において無視できない振幅(〜25%)を有する。図11(a)及び(b)においては、モードがせん断波速度に対して漸近しはじめるまで、そのモード形状がY方向にある成分によって特徴付けられないということも分かる。しかしながらこの同一ストリップは、中心周波数2MHzにおいて信号を送信するには好適である。2MHz信号(1〜3MHz)の帯域内において、分散は非常に制限されており、モード形状は、ほぼ一定である(+/−5%)。従って、ストリップに沿った(SH*モードの形態における)波の伝播を成功させるには、周波数幅は15MHzmmより大きくする必要がある。幅は、導波路材料の群せん断波長を超える幅の比で表され、信号内に含まれる最低周波数成分において、5群せん断波長より広くなければならない。
【0043】
(圧縮波)
圧縮型ストリップモードについて上記と同一の手順を実施することができる。構造物内において高いせん断波減衰が見られる場合、又は構造物内において圧縮波の利用が有利である場合は、このモードの利用が有用である。
【0044】
(取り付け)
「音響ケーブル(導波路)」の「接合部」を介して、モニタする構造物までエネルギーを伝達することもまた重要である。弾性半空間上の法線の点力及び線力に関する問題は、Lambの問題としてよく知られており、最初にLambによって解決された(参考文献16参照)。異なる幾何学的形状及び偏向源を用いて同様の問題に対する解決方法を示した他の研究者もいる。Miller及びPurseyは、無限に長いストリップ及び表面を法線方向、接線方向、及びねじれた方向に装着している円盤について考察した(参考文献17参照)。Achenbachは、弾性半空間上における非平面せん断の無限線源に対する解決方法を提示しており、その方法は、より大きな構造物に入る導波路におけるSH*モードの簡略化された2次元分解である(参考文献18参照)。この場合、半空間において励起された非平面せん断波は、発生源から構造内へと円柱状に広がる。他のどの負荷条件においても生じる表面波の励起は、非平面せん断負荷においては生じない。モード変換を除くことによって、生成する信号の複雑さは抑えられるので、これは欠陥モニタリング又は厚さ計測に望ましい。また、Miller及びPurseyによって他の発生源について記載された放射パターンは、もっと複雑であり、エネルギーの大部分を必要とする表面波を常に含む。圧縮導波路のストリップ源は、発生源からの波の球状拡散を円柱状拡散に減少させるため、点源に比べて有益でもある。また、ストリップが薄ければ薄いほど、表面波に変換されるエネルギーは小さくなる。
【0045】
導波路を構造物に接合する方法は、重要である。ドライ接点を大きな法線力の下で溶接、ろう付け又は半田付け並びにクランピングするような方法が可能である。溶接又は半田付けによる取り付けは、多くの場合に導波路の構造物内への進入の幾何学的形状を変化させる。導波路が構造物に接触する端部に沿って隅肉、充填金属の残留物、及びバリが生成されることが考えられる。隅肉又は残留物は、構造物及び導波路に非常近いため、これらを除去することは困難である。薄い導波路と構造物との間の厚さにおける大きな差もまた構造物を損傷することなくストリップを構造物上に溶接又は半田付けすることを困難にしている。接合技法によって生ぜしめられる幾何学的形状における変化は、ほぼ常に、導波路の厚さの大きさ、及び材料内における波の波長と(所与の周波数において)同程度である。この変化は、接合部内において信号の反射を生じる原因となり、トランスデューサに戻る信号を劣化させる。図12は、6mmのバックプレートに溶接された導波路のこのような信号を示す。入口反射(entry reflection)及び背面エコーが確認できるが、信号は、接合部内における反射に起因する大量のノイズによって覆われる。このことは、構造物の特性であるより弱い信号をマスクすることができる。当初は、導波路を構造物に溶接、ろう付け、半田付け又は接着することが導波路を取り付ける最良の解決方法と考えられた。確かに、これは大きなエネルギーを構造物内に伝達する解決方法であり、パルス−エコーモード(同一トランスデューサ上で送受信を行う)における良好な選択肢である。永久接合方法による欠点は、接合部内における反射に起因する大きなノイズによる信号の汚染である。こうした欠点は、取り除くことが困難であり、そのため、信号の「明瞭さ」が重要になる場合においてはクランプ法が好ましい。このクランプ法は、ピッチキャッチモード(一トランスデューサ上で送信して別のトランスデューサ上で受信する)に有用である。信号は、一導波路を経由して構造物内へ注入され、送信導波路のすぐ隣に配置された導波路によってピックアップされる。「パルスエコー」モードにおける送信ストリップ内の信号は、クランプされた又は固定されていない導波路の場合、ほとんど変化しない。その理由は、導波路及び構造物がクランプされて一緒に押圧される際にあまり良好な当接にないためである。大きな入口反射、リンギング及び他のモードの存在(信号より30dB低い)は、構造物からの低振幅信号を完全にマスクする。この問題は、ピッチキャッチモードを動作させ、別の導波路を構造物内に送信された信号用ピックアップとして用いることにより、克服される。図6に、結果を示す。ピッチキャッチ構成は、構造物内に送信されたエネルギーをピックアップするだけであって、それゆえに導波路及び構造物の接合部における送信振幅の反射振幅に対する比への依存を低減するという利点を有する。
【0046】
図13及び図14に、薄板状の構造物及びパイプに対して可能なクランプ構成を示す略図を示す。薄板状の構造物の場合、クランプされた導波路が構造物の表面上に付勢されるのを可能にする機構が構造物上に取り付けられる必要がある。可能なら、スタッドがベースプレート上に溶接されて、導波路用クランプがこれらのスタッド上にねじで留められる。このほかにも考えられる変形はたくさんある。図14に、クランプされた導波路が2つのパイプ用クランプによってパイプに取り付けられる場合の完全に取り外し可能な解決方法を示す。クランプがストリップの中心において波の伝播に影響を与えないように導波路の端部に接触するだけのクランプを有することが重要である。また、導波路の先端近傍のグリップは、表面上に付勢されるときの薄い導波路の湾曲を回避する。
【0047】
(参考文献)
1.L.C.Lynnworth、”Marginally dispersive ultrasonic waveguides”、米国特許第5159838号、1992年
2.L.C.Lynnworth、”Ultrasonic path bundle and systems”、米国特許第5962790号、1999年
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12.P.Wilcox、M.Evans、O.Diligent、M.Lowe、P.Cawley、”Dispersion and excitability of guided acoustic waves in isotropic beams with arbitrary cross section”、Review of Progress in quantitative NDE 21、D.O. Thompson and D.E. Chimenti、 AIP
13.O.M.Mukdadi、Y.M.Datta S.Desai、A.H.Shah、A.J.Niklasson、”Elastic guided waves in a layered plate with rectangular cross section”、J.Acoust.Soc.Am.112巻、1766−1779ページ、2002年
14.T.Hayashi、W.Song、J. L.Rose、”Guided wave dispersion curves for a bar with an arbitrary cross−section, a rod and rail example”、Ultrasonics、41巻、175−183ページ、2003年
15.P.Wilcox、M.Lowe、P.Cawley、”The effect of dispersion on long−range inspection using ultrasonic guided waves”、NDT&E international、34巻、1−9ページ、2001年
16.H.Lamb、”On the propagation of tremors over the surface of an elastic solid”、Phil.Trans.R.Soc.、A203巻、1−42ページ、1904年
17.G.F.Miller、H.Pursey、”The field and radiation impedance of mechanical radiators on the free surface of a semi−infinite isotropic solid.”、Proc.R.Soc.、223巻、521−541ページ、1954年
18.J.D.Achenbach、”Wave propagation in elastic solids”、North−Holland Publishing Company、283−289ページ、1975年
【図面の簡単な説明】
【0048】
本発明の実施形態を、例示のためのみとしての以下の添付図面を参照して記載する。
【図1】スチールロッドの種々の超音波モードに対する位相速度分散カーブを示す図である。
【図2】スチール板の種々の超音波モードに対する位相速度分散カーブを示す図である。
【図3】導波路センサを用いる厚さ計測を模式的に示す図である。
【図4】導波路センサを用いる飛行時間回折を模式的に示す図である。
【図5】本発明の技法に従うセンサーの部分を形成する細長いストリップの寸法を模式的に示す図である。
【図6】中心周波数2MHzの信号を用い、6mm厚のプレート(50×50mm)から、長さ300mmの1/15mmストリップを用いて受信した時間トレースを例示する図である。
【図7】最低次せん断水平モードSH*を強調した、1/30mmの細長いスチールストリップ内の超音波モードに対する位相速度分散カーブを示す図である。
【図8】ストリップ断面(1/15mm)及び2MHzにおけるSH*(X,Y,Z)置換モード形状を模式的に示す図である。
【図9】SH*Y−置換モード形状の対周波数展開を模式的に示す図である。
【図10】1/30mm及び1/15mm断面のそれぞれのストリップ中を伝達するときの、図7において分散カーブが強調された最低次せん断水平モードSH*の位相速度を模式的に示す図である。
【図11】カットオフ周波数0.14MHz近傍及び漸近線近くの0.5MHzにおけるSH*(X,Y,Z)置換モード形状を模式的に示す図である。
【図12】スチールプレート(6mm厚)に溶接された導波管からの信号を示す図である。
【図13】試験中試料に導波管を取り付けるためクランプ構成を模式的に示す図である。
【図14】試験中試料に導波管を取り付けるためクランプ構成を模式的に示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波非破壊検査のための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
材料の非破壊検査における超音波信号の利用が知られている。厚さの測定は、超音波信号を試験材内に送信し、その試料を横断する信号の飛行時間測定により行われる。欠陥モニタリングは、超音波信号を試験材内に送信し、欠陥構造物からの信号の反射の観察により行われる。一般に、超音波トランスデューサは、試験対象物に直接当接配置される。送信された超音波信号は、続いて、受信トランスデューサとして作動する送信トランスデューサにより受信してもよく、第2の受信トランスデューサを用いてもよい。このような手順は、過酷でない環境においては容易であるが、過酷な(例えば、高温の)環境においてこのようなトランスデューサを動作させるにはかなりの技術上の障害を克服する必要がある。
【0003】
長時間高温に耐える超音波トランスデューサ及びトランスデューサの付属品の開発は、困難である。ほとんどのトランスデューサの材料は高温により悪影響を受け、さらに、同軸ケーブルに沿った伝達のための信号を変換するには耐性のあるバッファアンプが必要で、このバッファアンプ自体が環境に耐えなければならない。また、好適なコネクタ及び電源も提供される必要がある。
【0004】
そうした過酷な環境に耐える材料から成る音響導波路を用いて、過酷でない領域に配置されたトランスデューサ及び付属品から超音波信号を検査対象内へ送信することは、興味深い代替手段であろう。導波路の先端は、試料の関心領域に直接取り付けられるものである。しかしながら中継導波路の使用は、些細なことではない。超音波検査は、一般に、高周波(>1MHz)パルス波形を用いるが、この波形は、分散、複数モード及び減衰が原因となって、長い導波路にわたって忠実度が高いまま容易には送信されない。さらに、トランスデューサ及び試料には大きなエネルギー損失は禁物であり、これを避けるために導波路に効率的に結合されなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
克服すべき主な課題は、分散及び複数モードの存在である。添付の図面のうち図1は、円柱状のロッド型導波路の場合の分散曲線を示す。送信信号のエネルギーにおいて幾らかの拡散は避けられないので、例えば、2MHzの中心周波数において発生した信号は、一般に1MHz〜3MHzの間のエネルギーを有する。ゆえに、試料から来る超音波信号の正確な特定及びタイミングは、上述した非破壊検査の手順より優先するため、主として非分散性である信号、すなわち、信号の速度が周波数に対してほぼ一定であり、単一モードを主成分とする信号を送信することが非常に望ましい。
【0006】
導波路における分散及び可能なモードは、主に、信号の周波数と導波路の最小寸法の積の関数である。さらに、超音波厚さ計測の場合に良好な精度を得るには、通常1MHz以上で動作することが必要である。しかしながら周波数と寸法の積が大きいほど、高次モードが伝播する恐れがあるため、導波路の最小寸法を制限することが必要である。従って、薄いロッド型導波路の使用が当技術分野に公知である。薄いロッド内へ充分なエネルギーを伝送して強力な信号を生成することが困難なため、このような装置は、装置自体に困難が伴う。また、薄い導波路が大きな構造物に連結される場合、強い表面反射があり、この構造物にはエネルギーがほとんど入らない。さらに、構造物の表面に結合された薄いロッド型導波路は、結果的に点源として作動するため、この振動源からのエネルギーは球状に拡散し、構造物底面等の強力な反射体からでさえ、受信導波路に戻るエネルギーがほとんどないことを意味する。
【0007】
米国特許第5962790号(例えば、参考文献1、2及び3並びに参考文献4)は、分散を最小限にする薄いワイヤを用いるシステム及び薄いワイヤの束を用いることによって単一の薄いワイヤが抱える問題のうちの幾つかを克服することを開示している。各ワイヤは、周波数と直径の積が適度に小さな条件で動作し、しかも単一ワイヤを通してよりも著しく大きなエネルギーが束状の多重並行ワイヤを通して伝達される。それにもかかわらず、ワイヤ束の生産は比較的高価であり、ワイヤの直径が大きくなるに従ってむしろ柔軟性がなくなり、ワイヤを配置する幾何学的形状が制限される。さらに個別のワイヤとワイヤの間のクロストークが信号解析を複雑にする場合があり、各個別のワイヤを検査構造物に取り付けるか、又は分散の問題を生じない薄板を用いて束を終端処理するかのいずれかに関連した実用上の困難がある。モード励起に関しては、拡張モードかねじれモードのいずれかが単一ワイヤにおいて励起されてもよい。ねじれモードは、通常、ワイヤの側面に当接しているトランスデューサにより、又は電磁コイルを取り囲むことにより励起される。このような手法は、ワイヤ束の場合には実用的ではなく、現実的に拡張モードだけが用いられてもよい。
【0008】
米国特許第A−6400648号(参考文献5)は、ロッド束の代替手段としてコイル状の金属箔導波路を開示している。金属箔の厚さは、伝播した信号の最短波長よりずっと小さく、非分散伝達のための周波数と寸法の積が小さいことを満足する。金属箔は、信号伝播の方向に平行な軸回りに巻かれ、広げると、信号伝播方向の垂直方向には非常に長くなる。しかしながらコイル直径を大きくすると導波路は剛体化し、層間の擦れによる減衰が生じることがある。ワイヤ束のように、コイル状の金属箔は、ねじれ波よりむしろ拡張波により好適である。
【0009】
米国特許第A−5828274号(参考文献6)は、減衰クラッディング(attenuative cladding)の外層を備えた、先細の超音波導波路を開示している。このクラッディングは、表面反射を減衰し、制限することによって導波路境界の効果を除去する。これは残存エコーをほとんど全て除去する効果を有するが、分散の効果は、全く除去されず、信号が幾分遅延し、幾分歪みを生じ、強く減衰される。後者の不利な点により導波路の長さは制限され、また比較的柔軟性もない。これは、不均一なネジ付きの棒を導波路として用いるこれまでの提案(参考文献7及び8)に対しては改良である。
【0010】
米国特許第A−6047602号は、端部断面に角度の付いた長方形断面の棒である、流体流れ測定のための超音波導波路を開示している。角度の付いた端部表面は、棒に沿って進行するエネルギーを、被検査流体に入る狭指向性ビーム内へ反射させる。導波路は、導管を通過するエネルギー伝送を最大化するように設計される。この装置は、柔軟性がなく、試料の非破壊検査におけるタイミング測定において極めて重要な、きれいな歪みのない信号形状となるような波の伝播が最適化されず、厚さ測定又は欠陥モニタリングの分野においては著しく不利である。
【0011】
本発明の技術的課題は、過酷な環境において動作し、かつ上述の課題に対処しうる超音波非破壊検査のための実用的な装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明においては、試験対象物を超音波非破壊検査する装置が提供され、前記装置は、超音波透過性材料の細長いストリップであって、前記ストリップは前記試験対象物と結合するための近位端及び遠位端を有するストリップ;及び、
前記細長いストリップと結合する超音波トランスデューサを含んでなり、ここに、
前記細長いストリップは1対1を超えるアスペクト比を与える幅及び厚さを伴う縦方向の断面を有し、前記超音波トランスデューサの励起が実質的に非分散の超音波信号を誘導して前記細長いストリップを進行し、前記試験対象物に進入するように前記超音波トランスデューサと整合する。
【0013】
本発明は、実質的に非分散状態で伝導し、正確なタイミング測定がなされうる、非破壊目的のための超音波信号にニーズがあることを認識する。さらに、本発明は、取り扱いにくい配置において装置が稼動するような、フレキシブルな超音波伝導コンポーネントにニーズがあることを認識する。従って、幅及び厚さのアスペクト比が1対1を超える細長いストリップに沿って超音波を伝導し、実質的に非分散の信号を励起することにより、被験物の超音波非破壊検査は、従来の超音波トランスデューサでは適さない環境において実施してもよく、介在する被験物をフレキシブルに取り囲む伝導コンポーネントを要する構成において実施してもよい。
【0014】
細長いストリップは、せん断速度Cs及びせん断波長λBを有する材料から形成され、ここにλB=Cs/Fであって、Fは、λBに対応する周波数であり、前記の実質的に非分散性超音波信号は、異なる周波数成分から形成され、λShortからλlongにまで達するせん断波長を有する。いくつかの超音波のせん断モードには非分散性の利点があり、波長は最も短い。波長が最短であれば、検査目的において空間分解能はより微細になる。
【0015】
同様に、前記細長いストリップは、棒速度Cbar及び棒波長λbarを有する材料で形成され、ここにλbar=Cbar/Fであって、Fは、λbarに対応する周波数であり、前記の実質的に非分散性超音波信号は異なる周波数成分から形成され、λshortからλlongにまで達する棒波長を有する。いくつかの状況に対しては圧縮波がより好適でありうる。
【0016】
細長いストリップの寸法は非常に変化しうるが、好適な実施形態において、細長いストリップの厚さはλshortの2.5倍未満である。特定の実施形態において、細長いストリップの厚さはλshort未満である。このような寸法の制約により、望ましくない高次モードの励起を防げる。
【0017】
好適な実施形態において、前記幅はλlongの3.5倍を超える。さらにより好適な実施形態において、前記幅はλlongの5倍を超える。このような寸法の制約により、超音波の進行は実質的に非分散であり、導波路端において低振幅であり、モード形状は略一定になる。
【0018】
好適な実施形態においては超音波モードを変化させうる一方、前記実質的に非分散の超音波信号は、進行方向に垂直かつ前記幅に平行に偏向した最低次せん断モード振動を含む。このような信号は、上述の導波路に沿って低歪みで高効率に伝送されうる。
【0019】
他の実施形態において、前記実質的に非分散の超音波信号は、進行方向に平行に偏向した垂直最低次せん断モード振動を含む。このような波の使用は、被験物中のせん断波の減衰が大きいか、又は被験物中で圧縮波の使用が有利なアプリケーションにおいて利点がある。
【0020】
適切なタイプの複数モードの同時励起が可能である一方、好適な実施形態においては、前記超音波トランスデューサは、進行ガイド波の実質的に単一のモードのみを励起する。他の実施形態において、前記超音波トランスデューサは、前記実質的に非分散の超音波信号を誘導するために、進行ガイド波の前記単一モードのみを励起するよう最適化される。単一モードへの制限は、別個に受信された信号は、異なるモードにより生じるよりもむしろ被験物内の別個の特徴から発生したものと直ちに判定しうるので、正確な時間情報を必要とするアプリケーションにおいて利点がある。
【0021】
試験対象物内の所望の進行距離と比較して、好適な実施形態においては、前記実質的に非分散の超音波信号は、試験下で前記近位端から前記遠位端に、実質的に円筒状に広がる。円筒状に広がる波の振幅の減衰率は、音源からの距離の平方根に反比例し、球状に広がる波は音源からの距離に反比例する。このため、前者の進行の方がエネルギー損失が低い。
【0022】
トランスデューサは細長いストリップの種々の位置に取り付けうるが、好適な実施形態においては、前記超音波トランスデューサを前記遠位端に結合することが有利である。この文脈において、前記超音波トランスデューサは、
(i)接着接続、
(ii)機械固定及び超音波透過カプラー、並びに、
(iii)機械固定及び種々の力、
の1つにより、前記遠位端に結合する。このように超音波トランスデューサと導波路の遠位端を結合することにより、両者間の効率的なエネルギー伝送が促進される。
【0023】
(溶接及びろう付けを含む接着並びに他の接着技法)トランスデューサと細長いストリップの結合には多くの様々な方法を用いうる。1つの好適な実施形態において、前記超音波トランスデューサは、前記細長いストリップの少なくとも1の縦方呼応の側面に結合する。別の好適な実施形態において、前記超音波トランスデューサは、電磁超音波変換を発生するよう動作可能なコイルを含む。このような配置により、導波路の超音波信号の励起には他の効率的な方法がありうる。
【0024】
本発明の一実施形態において、前記細長いストリップは、前記細長いストリップの前記幅に実質的に平行で、進行方向に実質的に垂直な軸回りに曲げられる。これにより、制約された現実の状況における超音波信号の経路選択が特に容易になる。
【0025】
超音波信号の受信は種々の異なる手法にて行われうる。ひとつの好適な実施形態において、前記装置は、前記実質的に非分散の超音波信号が前記試験対象物に進入して発生する、前記試験対象物からの反射超音波受信動作が可能な超音波受信器を含む。この文脈において、前記超音波受信器は、さらに、試験下において前記反射超音波を受信するためにそれぞれの位置において個々が前記試験対象物に結合し、前記反射超音波を検出するために受信超音波トランスデューサを有する、1以上の細長いストリップを含む。別の好適な実施形態において、前記細長いストリップ及び前記超音波トランスデューサは、前記超音波受信器も形成する。
【0026】
本発明の技法には多様な超音波試験の方法論を組み合わせうる一方、好適な実施形態においては、前記反射超音波は、少なくとも1の反射信号を含み、前記超音波受信器は前記反射信号の時間差を測定する。このような時間差は被験物の構造に関する情報を与える。
【0027】
本発明においては、前記細長いストリップと前記試験対象物への結合が多くの異なる方法でなされうる一方、好適な実施形態において、前記近位端が前記被験物に、
(i)溶接、
(ii)ろう付け、
(iii)はんだ付け、及び、
(iv)接着、
のいずれかにより固定されることが前記装置の性能に重要であることを認識する。
【0028】
別の実施形態において、前記近位端は前記試験対象物にクランプされる。この文脈において、前記近位端と前記試験対象物との間に超音波透過性カプラを配置することにより、結合は改善しうる。さらに、クランプが調節可能な力で前記細長いストリップを前記試験対象物にクランプする実施形態において、結合は改善しうる。好適な実施形態において、前記クランプは、前記試験対象物に溶接されたスタッドにより前記試験対象物に結合する。別のクランプの好適な実施形態は、例えばパイプ回り等、試験対象物の周囲を囲むものである。
【0029】
本発明の技法は、前記超音波非破壊検査が厚さ測定又はクラックモニタであるときに特に有用である。
【0030】
本発明の技法は、前記試験対象物の状況が、
(i)200℃を超える温度にある場合、及び
(ii)電離放射のバックグラウンドレベルに曝される場合、
に特に好適である。
【0031】
本発明の第2の態様においては、試験対象物の超音波非破壊検査方法が提供され、前記方法は、
細長いストリップの近位端を試験対象物に結合するステップ、
実質的に非分散の超音波信号を前記細長いストリップ内に励起し、前記細長いストリップに沿って進行させ、前記試験対象物に進入させるステップ、を含んでなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本手法は、薄いストリップ型導波路(細長いストリップ)を用いる。図2に、周波数−厚さの積の関数として薄板の位相速度分散を示す。1.4MHz−mm以下では、3つのモード、すなわち、S0(伝播に平行して偏向する最低次圧縮波)、A0(低周波数におけるたわみ波)及びSH0(伝播に垂直かつストリップ幅に平行して偏向する最低次せん断モード)のみが伝播しうる。これらの波は、ロッド内におけるそれぞれL(0、1)、F(1、1)及びT(0、1)に類似している。A0モードは非常に分散性があり、検査目的では魅力的ではないが、S0モードは、低周波数において分散性が最小であり、一方SH0は、全周波数において完全に非分散性である。図2に、1.4MHz−mm以下の周波数範囲においてSH0モードの位相速度がS0モードの位相速度よりずっと低いことを示す。周波数で割った位相速度によって波長が得られるので、結果として、ある所定の周波数においてSH0モードは、S0モードより短い波長を有することになる。このため、多くの場合に検査利用において波長はより敏感になる。ゆえに、本手法の好ましい実施形態は、せん断水平モードを用いるが、S0モードのように圧縮モードが好ましい環境もある(例えば、せん断波を備えた信号があまりに弱くて利用できないほど、せん断波減衰が伸縮波の減衰よりずっと高くなる利用において)。
【0033】
ストリップ型導波路の利用は、先に提案されている単一ワイヤ、束及びコイル式解決方法に勝る以下の利点を有する。
断面積が単一ワイヤよりずっと大きくなるため、強力な信号を得ることがより容易であり、また、導波路と構造物との間のインターフェイスがより小さくなるので、より多くのエネルギーが被検査構造物に入る。
ストリップから被検査構造物に入るときに、波は円柱状に拡散する傾向にある。このことは、ビーム拡散のために構造物における波の振幅が1/√r(rは、設置点からの距離である)に比例した割合で小さくなることを意味する。
ビーム拡散が球状になるワイヤシステムの場合、1/rに比例した減衰の割合に匹敵する。円柱状ビーム拡散パターンは、飛行時間回折法(TOFD)に基づく単純な厚さ計測及びひび割れの寸法計測の両方に非常に好適である(図3及び図4参照)。
ストリップの先端にトランスデューサを取り付けることによってストリップ内においてせん断波又は縦波を励起することが容易になる。また、適切なトランスデューサをストリップの側面に取り付けることによってどちらかのタイプの波を励起することがより便利であれば、これも可能である。
導波路を構造物に溶接、半田付け、ろう付け、又は接着することが可能である。また、単に低温において粘性のある超音波ゲル接触媒質を使用すること、及び/又は高温及び低音において動作する構造上に導波路をしっかりクランプすることも(例えば、クランプ力を調節可能なネジ付きスタッドを溶接することにより)可能である。導波路は薄いため、導波路の全底面が構造物に取り付けられることを比較的容易に確認でき、従って信号伝達が改善される。永久接合技法では望ましくない幾何学的歪みを避けられないが、構造物への導波路のクランプにおいてはこの欠点を除去できるという利点がある。クランプすることによって充分な信号伝達を達成することができる。
ストリップ型導波路は、典型的な束よりも一方向においてより柔軟であり、コーナーを回って構造物にアクセスすることがより容易になる。
【0034】
図5に、本発明の一実施形態を示す。図6は、図3の厚さ計測の利用において受信される信号を示しており、ここで厚さは、音速を既知として、頂面反射と底面反射の間の時間又は連続した背面エコーとエコーの間の時間から得ることができる。試料は、例えば>200度の高温にあって、及び/又は電離放射のバックグラウンドレベルを上回るレベルにさらしてもよい。
【0035】
厚さ方向への高次モード励起を回避するために、ストリップの厚さは、一般に、厚さ及び励起した最大周波数の積がSH型波の場合3MHz−mm未満、及び縦型波の場合1.4MHz−mmになるように選択されるのがよい。縦波を使用すれば分散の補正も可能であるが、分散を最小限に抑えるには、周波数と厚さの積をより小さくすることが望ましい場合が多い(参考文献10を参照)。ストリップの幅もまた重要なパラメータである。
【0036】
せん断速度Csとせん断波長λBとを有する材料から細長いストリップが形成され、ここにλB=Cs/Fであって、Fは、λBに対応する周波数であり、前記の実質的に非分散性超音波信号が異なる周波数成分から形成され、λShortからλlongにまで達するせん断波長を有するとき、厚さは、2.5λShort未満であることが必須ではないにしても望ましく、λShort未満であることが特に好ましい。同様に、幅は、3.5λlongより大きいことが好ましく、特に5λlongより大きいことが特に好ましい。同じように、前記の細長いストリップが棒速度Cbarと棒波長λbarとを有する材料から形成され、ここにλbar=Cbar/Fであって、Fは、λbarに対応する周波数であり、前記の実質的に非分散性超音波信号が異なる周波数の成分から形成され、λshortからλlongにまで達する棒波長を有するときにも、同一の好適な範囲が適用される。
【0037】
図2における分散曲線は、無限幅の薄板における波伝播を表したものである。この無限幅の仮定を極めて正確に表すとすれば、非常に大きな幅対厚さ比を備えた構造物となるであろう。しかしながら、側面を共により近接させて長方形断面のストリップを作成すると、波の伝播は、ストリップの境界の存在により影響を受けるであろう。長方形断面の棒の伝播モデルを最初に記載したのは、Mindlin及びFoxである(参考文献11)。彼らの解決方法は、幅と厚さのそれぞれが当該棒と等しい無限の板の中を伝播する、幾つかのたわみモード、縦モード及びせん断モードの重畳から成る。断面の周囲全体では応力がゼロであるという境界条件を満たすために、無限の板についての解が重ね合わされた。この方法は、彼らが棒の異なった周波数及びアスペクト比において棒の分散特性を測定することを可能にした。しかしながら全周波数及びアスペクト比に対する解決方法は、可能ではなかった。しかしながらより最近になって、任意の断面の構造物内における波伝播について、分散曲線を連続したトレースが有限要素(FE)固有ソルバーの利用によって可能になった。Wilcoxら(参考文献12)、Mukdadiら(参考文献13)及びHayashiら(参考文献14)は、L型断面、レールヘッド及びストリップの分散曲線をトレースする方法を報告している。
【0038】
ここでは厚さ1mm及び幅30mmの鋼製ストリップにおいて伝播するモードを解析するためにWilcoxらの方法を用いた。図7に、位相速度分散曲線を示す。より太い線によって強調されたモードが、このストリップの第1せん断水平モードSH*として確認された。無限の板の場合とは異なり、有限ストリップにおいて伝播SH0モードは存在しない。これは、ストリップ側面上のゼロ応力境界条件が原因であって、その条件は、剛体の運動又はSH*及びより高い次元モードによってのみ満足させられる。それゆえに非分散性伝播せん断モードは有限幅のストリップには全く存在しない。しかしながら、ストリップが厚くなればなるほど、SH*モードのカットオフ周波数は低くなる。SH*モードは、材料内における群せん断速度に漸近するため、より高い周波数において実質的に非分散性になる。本発明においては、被験標本まで導波路又は「音響ケーブル」を伝って超音波エネルギーを伝えるのに、圧縮性又はせん断性の純粋な実質的非分散性ストリップモードを用いる。モードの純度により、被験構造物内において欠陥又は機構に間違えられる恐れのある幾つかの信号の到着は回避され、モードが非分散性であることにより、波のエネルギーは狭い時間ウィンドウ内に集中でき、これにより導波路内において信号の伝播範囲が広がり、かつ構造物がモニタされる空間解像度も決定される(参考文献15を参照)。ここでSH*モード系の実施例について詳述するが、圧縮性の類似したモードの利用もまた可能である。
【0039】
図8に、2MHzにおける15mm幅のストリップの断面及びSH*モードのモード形状を示す。ストリップの幅方向に平行な変位である、y変位がSH*モードのモード形状を特徴付けているのが分かる。しかしながら無限薄板におけるSH*モードのモード形状と異なり、有限幅のストリップにおけるSH*モードのモード形状は周波数によって変化する。図9は、周波数の一範囲にわたるSH*モードの支配的なy変位成分の展開を示す。周波数が高ければ高いほど、このモードはストリップの中心に集中する。よって高い周波数においては、このモードは、ほぼ群せん断速度でストリップの中心に沿ってエネルギーを伝播し、端部ではほとんどエネルギーをもたないため感度もほとんどない。
【0040】
当該モードのモード形状を模倣するアポダイズ(apodized)トランスデューサを用いることにより、純粋なモード形状の励起が達成される。コイルトランスデューサを用いてもよい。トランスデューサは、ストリップの先端又は側面上に配置することができる。短い一瞬のパルスは広帯域信号であり、当該モードのモード形状は、励起パルスの周波数帯域幅以上に著しく変化してはならない。このことは、より高い周波数(中心周波数2MHz近傍)において、より幅の広いストリップのSH*モードの場合にあてはまる。それゆえにストリップのアスペクト比の許容範囲を決定する2つの基準がある。第1には、当該モードが関心周波数帯域において実質的に非分散性であること(速度変位が5%未満)、第2には、関心周波数帯域にわたって比較的一定であるモードが存在すること(正規化振幅において10%未満の差)である。SH*モードについて両方の基準が満たされるアスペクト比の限界を見つけることが、目下の課題である。
【0041】
無限の板に対する分散曲線は、周波数と厚さ(FT)の積に対して曲線をプロットすると、幾何学的形状には自由に作成しうる。すなわち、厚さが2倍ある板のカットオフモードは半周波数で生じる。我々の場合、幅/厚さ比が大きいため(>5)、システムは、2つの積、つまりストリップの周波数−厚さについてはFT積及びストリップの周波数−幅についてはFW積によって、大まかに拡大縮小できる。これらの線の関係を考慮し、ストリップの厚さを一定に維持すると(FT一定)、分散曲線及びモード形状が前述の良好な単一モード励起及び伝播のための基準を満たさない極端なケースにまで、ストリップの幅を調整しうる。図10に、厚さ1mm及び幅30mmのストリップ並びに厚さ1mm及び幅15mmのストリップに関するSH*モードの位相速度分散曲線を示す。幅15mmのストリップにおけるモードのカットオフ周波数は、2倍の周波数で生じた。図11に、カットオフ周波数近傍(点1)及び位相速度がストリップの群せん断速度に向かって漸近しはじめる点(点2)の近傍の周波数におけるSH*モードのモード形状を示す。カットオフにおいて、モードは、ストリップの端部において大きな変位を示す。端部における変位は、より高い周波数では無視できる。
【0042】
検査に有用な周波数は、1MHzから5MHzにわたる。しかしながら欠陥及び厚さのモニタリングにおいては、パルスによる広帯域の励起が一般に用いられる。これは、信号の中心周波数の下半分、及び信号の中心周波数の半分上の帯域を必要とする。よって1MHzの中心周波数パルスの場合、導波路は、0.5〜1.5MHzの範囲にわたって類似した非分散性波伝播を示す必要がある。同様に、2MHzの中心周波数信号の場合、この範囲が1MHz〜3MHzに拡大する。図10に見られるように、1MHzパルスを送信するのに、厚さ1mm及び幅15mmのストリップは不適切になる。SH*モードの位相速度は、まだせん断群速度に漸近していない。モードは依然、500〜800kHzの周波数範囲において比較的に分散性であり、このモード形状(図11(b))は、端部において無視できない振幅(〜25%)を有する。図11(a)及び(b)においては、モードがせん断波速度に対して漸近しはじめるまで、そのモード形状がY方向にある成分によって特徴付けられないということも分かる。しかしながらこの同一ストリップは、中心周波数2MHzにおいて信号を送信するには好適である。2MHz信号(1〜3MHz)の帯域内において、分散は非常に制限されており、モード形状は、ほぼ一定である(+/−5%)。従って、ストリップに沿った(SH*モードの形態における)波の伝播を成功させるには、周波数幅は15MHzmmより大きくする必要がある。幅は、導波路材料の群せん断波長を超える幅の比で表され、信号内に含まれる最低周波数成分において、5群せん断波長より広くなければならない。
【0043】
(圧縮波)
圧縮型ストリップモードについて上記と同一の手順を実施することができる。構造物内において高いせん断波減衰が見られる場合、又は構造物内において圧縮波の利用が有利である場合は、このモードの利用が有用である。
【0044】
(取り付け)
「音響ケーブル(導波路)」の「接合部」を介して、モニタする構造物までエネルギーを伝達することもまた重要である。弾性半空間上の法線の点力及び線力に関する問題は、Lambの問題としてよく知られており、最初にLambによって解決された(参考文献16参照)。異なる幾何学的形状及び偏向源を用いて同様の問題に対する解決方法を示した他の研究者もいる。Miller及びPurseyは、無限に長いストリップ及び表面を法線方向、接線方向、及びねじれた方向に装着している円盤について考察した(参考文献17参照)。Achenbachは、弾性半空間上における非平面せん断の無限線源に対する解決方法を提示しており、その方法は、より大きな構造物に入る導波路におけるSH*モードの簡略化された2次元分解である(参考文献18参照)。この場合、半空間において励起された非平面せん断波は、発生源から構造内へと円柱状に広がる。他のどの負荷条件においても生じる表面波の励起は、非平面せん断負荷においては生じない。モード変換を除くことによって、生成する信号の複雑さは抑えられるので、これは欠陥モニタリング又は厚さ計測に望ましい。また、Miller及びPurseyによって他の発生源について記載された放射パターンは、もっと複雑であり、エネルギーの大部分を必要とする表面波を常に含む。圧縮導波路のストリップ源は、発生源からの波の球状拡散を円柱状拡散に減少させるため、点源に比べて有益でもある。また、ストリップが薄ければ薄いほど、表面波に変換されるエネルギーは小さくなる。
【0045】
導波路を構造物に接合する方法は、重要である。ドライ接点を大きな法線力の下で溶接、ろう付け又は半田付け並びにクランピングするような方法が可能である。溶接又は半田付けによる取り付けは、多くの場合に導波路の構造物内への進入の幾何学的形状を変化させる。導波路が構造物に接触する端部に沿って隅肉、充填金属の残留物、及びバリが生成されることが考えられる。隅肉又は残留物は、構造物及び導波路に非常近いため、これらを除去することは困難である。薄い導波路と構造物との間の厚さにおける大きな差もまた構造物を損傷することなくストリップを構造物上に溶接又は半田付けすることを困難にしている。接合技法によって生ぜしめられる幾何学的形状における変化は、ほぼ常に、導波路の厚さの大きさ、及び材料内における波の波長と(所与の周波数において)同程度である。この変化は、接合部内において信号の反射を生じる原因となり、トランスデューサに戻る信号を劣化させる。図12は、6mmのバックプレートに溶接された導波路のこのような信号を示す。入口反射(entry reflection)及び背面エコーが確認できるが、信号は、接合部内における反射に起因する大量のノイズによって覆われる。このことは、構造物の特性であるより弱い信号をマスクすることができる。当初は、導波路を構造物に溶接、ろう付け、半田付け又は接着することが導波路を取り付ける最良の解決方法と考えられた。確かに、これは大きなエネルギーを構造物内に伝達する解決方法であり、パルス−エコーモード(同一トランスデューサ上で送受信を行う)における良好な選択肢である。永久接合方法による欠点は、接合部内における反射に起因する大きなノイズによる信号の汚染である。こうした欠点は、取り除くことが困難であり、そのため、信号の「明瞭さ」が重要になる場合においてはクランプ法が好ましい。このクランプ法は、ピッチキャッチモード(一トランスデューサ上で送信して別のトランスデューサ上で受信する)に有用である。信号は、一導波路を経由して構造物内へ注入され、送信導波路のすぐ隣に配置された導波路によってピックアップされる。「パルスエコー」モードにおける送信ストリップ内の信号は、クランプされた又は固定されていない導波路の場合、ほとんど変化しない。その理由は、導波路及び構造物がクランプされて一緒に押圧される際にあまり良好な当接にないためである。大きな入口反射、リンギング及び他のモードの存在(信号より30dB低い)は、構造物からの低振幅信号を完全にマスクする。この問題は、ピッチキャッチモードを動作させ、別の導波路を構造物内に送信された信号用ピックアップとして用いることにより、克服される。図6に、結果を示す。ピッチキャッチ構成は、構造物内に送信されたエネルギーをピックアップするだけであって、それゆえに導波路及び構造物の接合部における送信振幅の反射振幅に対する比への依存を低減するという利点を有する。
【0046】
図13及び図14に、薄板状の構造物及びパイプに対して可能なクランプ構成を示す略図を示す。薄板状の構造物の場合、クランプされた導波路が構造物の表面上に付勢されるのを可能にする機構が構造物上に取り付けられる必要がある。可能なら、スタッドがベースプレート上に溶接されて、導波路用クランプがこれらのスタッド上にねじで留められる。このほかにも考えられる変形はたくさんある。図14に、クランプされた導波路が2つのパイプ用クランプによってパイプに取り付けられる場合の完全に取り外し可能な解決方法を示す。クランプがストリップの中心において波の伝播に影響を与えないように導波路の端部に接触するだけのクランプを有することが重要である。また、導波路の先端近傍のグリップは、表面上に付勢されるときの薄い導波路の湾曲を回避する。
【0047】
(参考文献)
1.L.C.Lynnworth、”Marginally dispersive ultrasonic waveguides”、米国特許第5159838号、1992年
2.L.C.Lynnworth、”Ultrasonic path bundle and systems”、米国特許第5962790号、1999年
3.L.C.Lynnworth、Yi Liu、J.A.Umina、”Extensional bundle waveguide techniques for measuring flow of hot fluids”、IEEE Trans UFFC、52巻、538−544ページ、2005年
4.T.R.Winston及びJ.A.Brunk、”Method and apparatus for ultrasonic inspection of inaccessible areas”、米国特許第6230568号、2001年
5.A.M.Heijnsdijk、及びJ.M.van Klooster、”Ultrasonic waveguide”、米国特許第6400648号、2002年
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9.L.C.Lynnworth、”Ultrasonic Buffer/Waveguide”、米国特許第6047602号、2000年
10.P.D.Wilcox、”A Signal Processing Technique to Remove the Effect of Dispersion from Guided Wave Signals”、IEEE trans.on Ultrason.Ferroelec. and Freq. Cant.、50巻、4号、419−427ページ、2003年
11.R.D.Mindlin、及びE.A.Fox、”Vibrations and Waves in Elastic Bars of Rectangular Cross Section”、J.App.Mech.、152−158ページ、1960年
12.P.Wilcox、M.Evans、O.Diligent、M.Lowe、P.Cawley、”Dispersion and excitability of guided acoustic waves in isotropic beams with arbitrary cross section”、Review of Progress in quantitative NDE 21、D.O. Thompson and D.E. Chimenti、 AIP
13.O.M.Mukdadi、Y.M.Datta S.Desai、A.H.Shah、A.J.Niklasson、”Elastic guided waves in a layered plate with rectangular cross section”、J.Acoust.Soc.Am.112巻、1766−1779ページ、2002年
14.T.Hayashi、W.Song、J. L.Rose、”Guided wave dispersion curves for a bar with an arbitrary cross−section, a rod and rail example”、Ultrasonics、41巻、175−183ページ、2003年
15.P.Wilcox、M.Lowe、P.Cawley、”The effect of dispersion on long−range inspection using ultrasonic guided waves”、NDT&E international、34巻、1−9ページ、2001年
16.H.Lamb、”On the propagation of tremors over the surface of an elastic solid”、Phil.Trans.R.Soc.、A203巻、1−42ページ、1904年
17.G.F.Miller、H.Pursey、”The field and radiation impedance of mechanical radiators on the free surface of a semi−infinite isotropic solid.”、Proc.R.Soc.、223巻、521−541ページ、1954年
18.J.D.Achenbach、”Wave propagation in elastic solids”、North−Holland Publishing Company、283−289ページ、1975年
【図面の簡単な説明】
【0048】
本発明の実施形態を、例示のためのみとしての以下の添付図面を参照して記載する。
【図1】スチールロッドの種々の超音波モードに対する位相速度分散カーブを示す図である。
【図2】スチール板の種々の超音波モードに対する位相速度分散カーブを示す図である。
【図3】導波路センサを用いる厚さ計測を模式的に示す図である。
【図4】導波路センサを用いる飛行時間回折を模式的に示す図である。
【図5】本発明の技法に従うセンサーの部分を形成する細長いストリップの寸法を模式的に示す図である。
【図6】中心周波数2MHzの信号を用い、6mm厚のプレート(50×50mm)から、長さ300mmの1/15mmストリップを用いて受信した時間トレースを例示する図である。
【図7】最低次せん断水平モードSH*を強調した、1/30mmの細長いスチールストリップ内の超音波モードに対する位相速度分散カーブを示す図である。
【図8】ストリップ断面(1/15mm)及び2MHzにおけるSH*(X,Y,Z)置換モード形状を模式的に示す図である。
【図9】SH*Y−置換モード形状の対周波数展開を模式的に示す図である。
【図10】1/30mm及び1/15mm断面のそれぞれのストリップ中を伝達するときの、図7において分散カーブが強調された最低次せん断水平モードSH*の位相速度を模式的に示す図である。
【図11】カットオフ周波数0.14MHz近傍及び漸近線近くの0.5MHzにおけるSH*(X,Y,Z)置換モード形状を模式的に示す図である。
【図12】スチールプレート(6mm厚)に溶接された導波管からの信号を示す図である。
【図13】試験中試料に導波管を取り付けるためクランプ構成を模式的に示す図である。
【図14】試験中試料に導波管を取り付けるためクランプ構成を模式的に示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験対象物の超音波非破壊検査のための装置であって、前記装置は、
超音波透過性材料の細長いストリップであって、前記細長いストリップは前記試験対象物と結合するための近位端及び遠位端を有するストリップ;及び、
前記細長いストリップに結合される超音波トランスデューサを含んでなり、
ここに前記細長いストリップは、1対1を超えるアスペクト比を与える幅及び厚さを伴う縦方向の断面を有し、前記超音波トランスデューサの励起が前記細長いストリップに沿って進行する実質的に非分散の超音波信号を誘導して前記試験対象物に進入するように、前記超音波トランスデューサと整合する、装置。
【請求項2】
前記細長いストリップはせん断速度Cs及びせん断波長λBを有する材料で形成され、ここにλB=Cs/Fであり、FはλBに対応する周波数であり、前記実質的に非分散の超音波パルスは異なる周波数成分を生成してλshortからλlongまでの範囲のせん断波長を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記厚さは2.5λshort未満である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記厚さはλshort未満である、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記幅は3.5λlong未満である、請求項2から4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記幅は5λlong未満である、請求項2から4のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記幅はλlong未満である、請求項2から4のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記実質的に非分散の超音波信号は、進行方向に垂直かつ前記幅に平行な偏向を有する最低次せん断モード振動である、請求項2から7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記細長いストリップは棒速度Cbar及び棒波長λbarを有する材料で形成され、ここにλbar=Cbar/Fであり、Fはλbarに対応する周波数であり、前記実質的に非分散の超音波パルスは異なる周波数成分を生成してλshortからλlongまでの範囲の棒波長を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記厚さは2.5λshort未満である、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記厚さはλshort未満である、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記幅は3.5λlong未満である、請求項9から11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記幅は5λlong未満である、請求項9から11のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記実質的に非分散の超音波信号は、進行方向に垂直かつ前記幅に平行な偏向を有する最低次せん断モード振動である、請求項9から13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記超音波トランスデューサは実質的に単一モードの進行ガイド波のみを励起する、請求項1から14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
前記超音波トランスデューサは実質的に単一モードの進行ガイド波のみを励起して前記実質的に非分散超音波信号を誘導する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記実質的に非分散の超音波信号は、前記近位端から前記試験対象物へ実質的に円筒状に広がる、請求項1から16のいずれかに記載の装置。
【請求項18】
前記超音波トランスデューサは前記遠位端に結合される、請求項1から17のいずれかに記載の装置。
【請求項19】
前記超音波トランスデューサは、
(iv)接着結合;
(v)機械的固定及び超音波透過性カプラ;並びに、
(vi)機械的固定及び可変の力の1により前記遠位端に結合する、
請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記超音波トランスデューサは、前記細長いストリップの少なくとも1の縦側の側面に結合されたトランスデューサを含む、請求項1から19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】
前記超音波トランスデューサは、電磁的な超音波変換のために動作しうるコイルを含む、請求項1から19のいずれかに記載の装置。
【請求項22】
前記細長いストリップは、前記細長いストリップの前記幅に実質的に平行で進行方向に実質的に垂直な軸の回りに屈曲する、請求項1から21のいずれかに記載の装置。
【請求項23】
前記細長いストリップは進行方向に実質的に平行な軸の回りに屈曲する、請求項1から22のいずれかに記載の装置。
【請求項24】
前記試験対象物に進行する前記実質的に非分散の超音波信号から生じる、試験対象物からの反射超音波の受信動作が可能な超音波受信器を含む、請求項1から23のいずれかに記載の装置。
【請求項25】
前記超音波受信器は、前記反射した超音波を受信する相対的な位置においてそれぞれが前記試験対象物に結合され、前記反射した超音波を検出するために超音波受信トランスデューサを有する1以上のさらなる細長いストリップを含む、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記細長いストリップ及び前記超音波トランスデューサは前記超音波受信器も形成する、請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記反射した超音波は少なくとも1の反射した信号を含み、前記超音波受信器は前記反射した信号の時間変化を測定する、請求項24から26のいずれかに記載の装置。
【請求項28】
前記近位端は前記試験対象物に対して、
(i)溶接;
(ii)ろう付け;
(iii)はんだ付け;及び
(iv)接着
のいずれかにより固定される、請求項1から27のいずれかに記載の装置。
【請求項29】
前記近位端は前記試験対象物にクランプされる、請求項1から27のいずれかに記載の装置。
【請求項30】
前記近位端と前記試験対象物との間に超音波透過性カプラが配置される、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記細長いストリップを前記試験対象物に対して調節可能な力によりクランプがクランプする、請求項29から30のいずれかに記載の装置。
【請求項32】
前記クランプは、前記試験対象物に溶接されるスタッドにより前記試験対象物に結合される、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記超音波信号が前記試験対象物に非法線角度で進入するように、前記進行方向は前記表面に対する法線とならないよう、前記近位端は前記試験対象物の表面に結合される、請求項1から32のいずれかに記載の装置。
【請求項34】
前記超音波非破壊検査は厚さ測定である、請求項1から33のいずれかに記載の装置。
【請求項35】
前記超音波非破壊検査はひび割れモニタである、請求項1から33のいずれかに記載の装置。
【請求項36】
前記試験対象物は、
(i)200度を超える温度で、
(ii)電離放射のバックグラウンドレベルに曝される、
請求項1から35のいずれかに記載の装置。
【請求項37】
細長いストリップを試験対象物の近位端に結合するステップ;
前記細長いストリップ内に実質的に非分散の超音波信号を励起し、前記細長いストリップに沿って進行させ前記試験対象物に進入させるステップ;
を含んでなる、試験対象物の超音波非破壊検査方法。
【請求項38】
前記細長いストリップはせん断速度Cs及びせん断波長λBを有する材料で形成され、ここにλB=Cs/Fであり、FはλBに対応する周波数であり、前記実質的に非分散の超音波パルスは異なる周波数成分を生成してλshortからλlongまでの範囲のせん断波長を有する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記細長いストリップは、縦方向に厚さ2.5λshort未満の断面を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記細長いストリップは、横方向に厚さλshort未満の断面を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記細長いストリップは、横方向に幅3.5λlongを超える断面を有する、請求項38、39及び40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
前記細長いストリップは、横方向に幅5λlongを超える断面を有する、請求項38、39及び40のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
前記細長いストリップは、横方向に厚さλlong未満の断面を有する、請求項38、39及び40のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記実質的に非分散の超音波信号は、進行方向に垂直かつ前記細長いストリップの幅に平行な偏向を有する最低次せん断モード振動を含む、請求項37から42のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
前記細長いストリップは棒速度Cbar及び棒波長λbarを有する材料で形成され、ここにλbar=Cbar/Fであり、Fはλbarに対応する周波数であり、前記実質的に非分散の超音波パルスは異なる周波数成分を生成してλshortからλlongまでの範囲の棒波長を有する、請求項37に記載の方法。
【請求項46】
前記厚さは2.5λshort未満である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記厚さはλshort未満である、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記幅は3.5λlong未満である、請求項45、46及び47のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
前記幅は5λlong未満である、請求項45、46及び47のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
前記厚さはλlong未満である、請求項45、46及び47のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
前記実質的に非分散の超音波信号は、進行方向に平行な偏向を有する最低次せん断モード振動である、請求項45から50のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
前記細長い導波路内で実質的に単一モードの進行ガイド波のみが励起される、請求項37から51のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
前記超音波非破壊検査は厚さ測定である、請求項37から52のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
前記超音波非破壊検査はひび割れモニタである、請求項37から53のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
前記試験対象物は、
(i)200度を超える温度で、
(ii)電離放射のバックグラウンドレベルに曝される、
請求項37から53のいずれかに記載の方法。
【請求項1】
試験対象物の超音波非破壊検査のための装置であって、前記装置は、
超音波透過性材料の細長いストリップであって、前記細長いストリップは前記試験対象物と結合するための近位端及び遠位端を有するストリップ;及び、
前記細長いストリップに結合される超音波トランスデューサを含んでなり、
ここに前記細長いストリップは、1対1を超えるアスペクト比を与える幅及び厚さを伴う縦方向の断面を有し、前記超音波トランスデューサの励起が前記細長いストリップに沿って進行する実質的に非分散の超音波信号を誘導して前記試験対象物に進入するように、前記超音波トランスデューサと整合する、装置。
【請求項2】
前記細長いストリップはせん断速度Cs及びせん断波長λBを有する材料で形成され、ここにλB=Cs/Fであり、FはλBに対応する周波数であり、前記実質的に非分散の超音波パルスは異なる周波数成分を生成してλshortからλlongまでの範囲のせん断波長を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記厚さは2.5λshort未満である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記厚さはλshort未満である、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記幅は3.5λlong未満である、請求項2から4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記幅は5λlong未満である、請求項2から4のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記幅はλlong未満である、請求項2から4のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記実質的に非分散の超音波信号は、進行方向に垂直かつ前記幅に平行な偏向を有する最低次せん断モード振動である、請求項2から7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記細長いストリップは棒速度Cbar及び棒波長λbarを有する材料で形成され、ここにλbar=Cbar/Fであり、Fはλbarに対応する周波数であり、前記実質的に非分散の超音波パルスは異なる周波数成分を生成してλshortからλlongまでの範囲の棒波長を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記厚さは2.5λshort未満である、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記厚さはλshort未満である、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記幅は3.5λlong未満である、請求項9から11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記幅は5λlong未満である、請求項9から11のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記実質的に非分散の超音波信号は、進行方向に垂直かつ前記幅に平行な偏向を有する最低次せん断モード振動である、請求項9から13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記超音波トランスデューサは実質的に単一モードの進行ガイド波のみを励起する、請求項1から14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
前記超音波トランスデューサは実質的に単一モードの進行ガイド波のみを励起して前記実質的に非分散超音波信号を誘導する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記実質的に非分散の超音波信号は、前記近位端から前記試験対象物へ実質的に円筒状に広がる、請求項1から16のいずれかに記載の装置。
【請求項18】
前記超音波トランスデューサは前記遠位端に結合される、請求項1から17のいずれかに記載の装置。
【請求項19】
前記超音波トランスデューサは、
(iv)接着結合;
(v)機械的固定及び超音波透過性カプラ;並びに、
(vi)機械的固定及び可変の力の1により前記遠位端に結合する、
請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記超音波トランスデューサは、前記細長いストリップの少なくとも1の縦側の側面に結合されたトランスデューサを含む、請求項1から19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】
前記超音波トランスデューサは、電磁的な超音波変換のために動作しうるコイルを含む、請求項1から19のいずれかに記載の装置。
【請求項22】
前記細長いストリップは、前記細長いストリップの前記幅に実質的に平行で進行方向に実質的に垂直な軸の回りに屈曲する、請求項1から21のいずれかに記載の装置。
【請求項23】
前記細長いストリップは進行方向に実質的に平行な軸の回りに屈曲する、請求項1から22のいずれかに記載の装置。
【請求項24】
前記試験対象物に進行する前記実質的に非分散の超音波信号から生じる、試験対象物からの反射超音波の受信動作が可能な超音波受信器を含む、請求項1から23のいずれかに記載の装置。
【請求項25】
前記超音波受信器は、前記反射した超音波を受信する相対的な位置においてそれぞれが前記試験対象物に結合され、前記反射した超音波を検出するために超音波受信トランスデューサを有する1以上のさらなる細長いストリップを含む、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記細長いストリップ及び前記超音波トランスデューサは前記超音波受信器も形成する、請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記反射した超音波は少なくとも1の反射した信号を含み、前記超音波受信器は前記反射した信号の時間変化を測定する、請求項24から26のいずれかに記載の装置。
【請求項28】
前記近位端は前記試験対象物に対して、
(i)溶接;
(ii)ろう付け;
(iii)はんだ付け;及び
(iv)接着
のいずれかにより固定される、請求項1から27のいずれかに記載の装置。
【請求項29】
前記近位端は前記試験対象物にクランプされる、請求項1から27のいずれかに記載の装置。
【請求項30】
前記近位端と前記試験対象物との間に超音波透過性カプラが配置される、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記細長いストリップを前記試験対象物に対して調節可能な力によりクランプがクランプする、請求項29から30のいずれかに記載の装置。
【請求項32】
前記クランプは、前記試験対象物に溶接されるスタッドにより前記試験対象物に結合される、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記超音波信号が前記試験対象物に非法線角度で進入するように、前記進行方向は前記表面に対する法線とならないよう、前記近位端は前記試験対象物の表面に結合される、請求項1から32のいずれかに記載の装置。
【請求項34】
前記超音波非破壊検査は厚さ測定である、請求項1から33のいずれかに記載の装置。
【請求項35】
前記超音波非破壊検査はひび割れモニタである、請求項1から33のいずれかに記載の装置。
【請求項36】
前記試験対象物は、
(i)200度を超える温度で、
(ii)電離放射のバックグラウンドレベルに曝される、
請求項1から35のいずれかに記載の装置。
【請求項37】
細長いストリップを試験対象物の近位端に結合するステップ;
前記細長いストリップ内に実質的に非分散の超音波信号を励起し、前記細長いストリップに沿って進行させ前記試験対象物に進入させるステップ;
を含んでなる、試験対象物の超音波非破壊検査方法。
【請求項38】
前記細長いストリップはせん断速度Cs及びせん断波長λBを有する材料で形成され、ここにλB=Cs/Fであり、FはλBに対応する周波数であり、前記実質的に非分散の超音波パルスは異なる周波数成分を生成してλshortからλlongまでの範囲のせん断波長を有する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記細長いストリップは、縦方向に厚さ2.5λshort未満の断面を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記細長いストリップは、横方向に厚さλshort未満の断面を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記細長いストリップは、横方向に幅3.5λlongを超える断面を有する、請求項38、39及び40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
前記細長いストリップは、横方向に幅5λlongを超える断面を有する、請求項38、39及び40のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
前記細長いストリップは、横方向に厚さλlong未満の断面を有する、請求項38、39及び40のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記実質的に非分散の超音波信号は、進行方向に垂直かつ前記細長いストリップの幅に平行な偏向を有する最低次せん断モード振動を含む、請求項37から42のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
前記細長いストリップは棒速度Cbar及び棒波長λbarを有する材料で形成され、ここにλbar=Cbar/Fであり、Fはλbarに対応する周波数であり、前記実質的に非分散の超音波パルスは異なる周波数成分を生成してλshortからλlongまでの範囲の棒波長を有する、請求項37に記載の方法。
【請求項46】
前記厚さは2.5λshort未満である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記厚さはλshort未満である、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記幅は3.5λlong未満である、請求項45、46及び47のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
前記幅は5λlong未満である、請求項45、46及び47のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
前記厚さはλlong未満である、請求項45、46及び47のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
前記実質的に非分散の超音波信号は、進行方向に平行な偏向を有する最低次せん断モード振動である、請求項45から50のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
前記細長い導波路内で実質的に単一モードの進行ガイド波のみが励起される、請求項37から51のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
前記超音波非破壊検査は厚さ測定である、請求項37から52のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
前記超音波非破壊検査はひび割れモニタである、請求項37から53のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
前記試験対象物は、
(i)200度を超える温度で、
(ii)電離放射のバックグラウンドレベルに曝される、
請求項37から53のいずれかに記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2009−515158(P2009−515158A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−538388(P2008−538388)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際出願番号】PCT/GB2006/003415
【国際公開番号】WO2007/051959
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(599008621)インペリアル イノベーションズ リミテッド (25)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際出願番号】PCT/GB2006/003415
【国際公開番号】WO2007/051959
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(599008621)インペリアル イノベーションズ リミテッド (25)
【Fターム(参考)】
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