説明

足先用マッサージユニット

【課題】 足裏に緩急のあるマッサージを施すことができ、まるで人にマッサージを施してもらっているような感覚のマッサージを行なうことのできる足先用マッサージユニットを提供する。
【解決手段】 被施療者の足先を収容する凹状受部13を有し、該凹状受部13の底面に被施療者の足裏81をマッサージする指圧棒40を凹状受部13の底面から突出及び収容可能且つ足裏81の長手方向に沿って往復移動可能に設けた足先用マッサージユニット10において、指圧棒40は、凹状受部13の底面から突出した状態で足裏の長手方向に沿って所定距離移動した後、凹状受部13の底面に収納し、該所定距離よりも短い距離だけ戻る方向に移動し、再度、凹状受部13の底面から突出した状態で足裏81の長手方向に沿って所定距離移動する動作を繰り返すようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療者の足裏を効果的にマッサージすることのできる足先用マッサージユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
被施療者の足先(くるぶしよりも下側)をマッサージ手段によってマッサージすることのできる足先用マッサージユニットが提案されている。
この種足先用マッサージユニットとして、足先を挿入することのできる凹状の受部を有し、凹状受部の側面にエアバック、凹状受部の底面に指圧棒をマッサージ手段として配置したものが提案されている(例えば特許文献1参照)。エアバックの膨張、収縮を繰り返したり、また、指圧棒を足裏に向けて往復作動させることによって、被施療者の足先と足裏にマッサージが施される。
【0003】
【特許文献1】特開2004−129896号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、指圧棒は、単に被施療者の足裏に向けて往復移動するだけであるため、マッサージ動作が単調であり、また、人の親指で足裏のマッサージを行なう場合のように、局所局所で力の加減を変えるような緩急のある動作はできなかった。このため、マッサージ効果が十分ではなかった。
【0005】
本発明の目的は、足裏に緩急のあるマッサージを施すことができ、まるで人にマッサージを施してもらっているような感覚のマッサージを行なうことのできる足先用マッサージユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の第1の足先用マッサージユニットは、
被施療者の足先を収容する凹状受部を有し、該凹状受部の底面に被施療者の足裏をマッサージする指圧棒を凹状受部の底面から突出及び収容可能且つ足裏の長手方向に沿って往復移動可能に設けた足先用マッサージユニットにおいて、
指圧棒は、凹状受部の底面から突出した状態で足裏の長手方向に沿って所定距離移動した後、凹状受部の底面に収納し、該所定距離よりも短い距離だけ戻る方向に移動し、再度、凹状受部の底面から突出した状態で足裏の長手方向に沿って所定距離移動する動作を繰り返すようにした。
【0007】
また、本発明の第2の足先用マッサージユニットは、
被施療者の足先を収容する凹状受部を有し、該凹状受部の底面に被施療者の足裏をマッサージする指圧棒を凹状受部の底面から突出した状態で足裏の長手方向に沿って往復移動可能に設けた足先用マッサージユニットにおいて、
指圧棒は、先端に、被施療者の足裏の長手方向と直交且つ凹状受部の底面と平行な支持軸を具え、該支持軸にローラを偏心して軸支した。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1の足先用マッサージユニットは、指圧棒を突出させた状態で所定距離移動させた後、指圧棒を収納して所定距離よりも短い距離戻り、再度、指圧棒を突出させた状態で所定距離移動するようなマッサージ動作を行なうことができるから、足裏の局所局所を順に指圧してもらうような感覚のマッサージを提供でき、緩急のあるマッサージを提供できる。
【0009】
本発明の第2の足先用マッサージユニットは、指圧棒の先端のローラが、足裏に沿って移動する際に、足裏又はローラと足裏との間に布カバー等を配備した場合には布カバーとの摩擦抵抗によって偏心回転する。ローラの偏心回転によって、ローラ上端の軌跡は波形になるため、足裏に対する押圧力が変化する。従って、まるで、人の親指で足裏を順に指圧マッサージしてもらう如きマッサージ感覚の緩急のあるマッサージを提供できる。また、ローラには、ローラを回転させるための駆動源は不要であり、指圧棒を突出した状態で配置しておくだけで、指圧棒を上下させる駆動源をもたなくても、ローラが足裏に及ぼす押圧力を変えることができる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<第1実施例>
以下、本発明を被施療者の足先とふくらはぎをマッサージすることのできる足用マッサージ機(70)に適用した実施例について説明する。なお、本発明の足先用マッサージユニット(10)は、単体で実施することもできるし、勿論、公知の椅子型マッサージ機に取り付けて実施することもできる。
【0011】
図1は、本発明の足用マッサージ機(70)の斜視図、図2は正面図を示している。
足用マッサージ機(70)は、被施療者の足先、具体的には、足首のくるぶしよりも下の足先をマッサージする足先用マッサージユニット(10)と、足先用マッサージユニット(10)の後端に傾動可能且つ上下にスライド可能に連繋され、被施療者のふくらはぎ(82)をマッサージするふくらはぎ用マッサージユニット(50)とを具えている。
【0012】
<足先用マッサージユニット>
足先用マッサージユニット(10)は、図1に示すように、樹脂製のカバー(12)に、被施療者の足先(くるぶしよりも下の部分)を挿入する断面コ字状の左右一対の凹状受部(13)(13)が形成されている。凹状受部(13)(13)間には、図1及び図2に示すように中央壁(14)が突設されており、両凹状受部(13)(13)を仕切っている。凹状受部(13)には、後述するように、指圧棒(40)(40)、側面エアバック(20)(20)、及び、足首用エアバック(30)等が配置されているが、これらが直接外部に露出しないように、凹状受部(13)の内部は、布カバー(16)で被覆されている。
【0013】
図3は、足先用マッサージユニット(10)の布カバー(16)を取り外した状態を示す平面図、図4は、図3の線IV−IVに沿う矢視断面図である。なお、図4について、足先用マッサージユニット(10)の内部構造は省略している。
【0014】
凹状受部(13)は、図4に示すように、底面は、前方が高く、後方が低くなるように傾斜して構成されている。これは、被施療者が足先を入れたときに、足先の安定性を高めるためである。また、凹状受部(13)の後端には、足先が凹状受部(13)から後方に脱落しないように、凹状受部(13)の側面どうしを繋ぐ立ち壁(15)が上向きに突設して形成されている。立ち壁(15)は、かかとが合致するように後方に向けて凹んだ形状をしている。立ち壁(15)は、20〜50mmの高さとすることが望ましい。
【0015】
凹状受部(13)の側面には、マッサージ手段として、側面エアバック(20)(20)が取り付けられている。側面エアバック(20)(20)は、連結ホース(図示せず)によって、電磁弁を介してエアポンプ(図示せず)に接続されている。図示の側面エアバック(20)は、ブロー成型により作ることができ、押圧時の膨張度合いを調整するためにひだ状の膨張部(21)が形成されている。側面エアバック(20)は、ナイロン製の布地にウレタンシートをラミネートして作製すること等もできる。
なお、本実施例では、凹状受部(13)の両側面に夫々マッサージ手段として側面エアバック(20)(20)を配備しているが、一方をスポンジ、ウレタン等の弾力性を有する弾性部材としてもよい。また、凹状受部(13)の側面にはエアバック(20)(20)を配備せずに、凹状受部(13)の底面のみにマッサージ手段を配備する構成としてもよい。
【0016】
凹状受部(13)(13)の後端側には、図3及び図4に示すように、被施療者の足首(80)を凹状受部(13)内で保持し、また、足首(80)を押圧マッサージする足首用エアバック(30)(30)が配備されている。足首用エアバック(30)は、凹状受部(13)の内面の一方の側面から立ち壁(15)を経由し、他方の側面まで略U字状に配置されている。
足首用エアバック(30)は、図5に示すように、横長に作製することができ、膨張時に被施療者の足首(80)をうまく保持することができるように、柔らかい材料、例えば、ナイロン製の布地等から構成することが望ましい。
足首用エアバック(30)には、図5及び図6に示すように、圧縮空気を送給しても膨張しない非膨張部(31)(31)が形成されている。非膨張部(31)は、溶着等により形成することができる。非膨張部(31)(31)は、被施療者のくるぶしと対向する位置に設けることが望ましい。非膨張部(31)を設けたことにより、足首用エアバック(30)を膨張させたときに、図6に示すように、非膨張部(31)で足首用エアバック(30)が屈曲するので、被施療者の足首(80)に足首用エアバック(30)が絡みつき、うまく足首(80)を保持することができる。
また、足首用エアバック(30)は、凹状受部(13)の立ち壁(15)と対向する部分の上部に凹み(32)を形成することが望ましい。該凹み(32)は、後述するふくらはぎ用マッサージユニット(50)と足首用エアバック(30)が干渉しないようにするためであり、また、足首(80)の保持感を高めるために形成されている。
【0017】
足首用エアバック(30)には、空気供給口(33)が設けられており、該空気供給口(33)に連結ホース(図示せず)が接続される。連結ホースは、電磁バルブを介してエアポンプ(図示せず)に接続され、エアポンプからの圧縮空気の送給によって、足首用エアバック(30)が膨張する。空気供給口(33)は、足首用エアバック(30)が膨張したときに、被施療者の足首(80)に当たり難い位置に設けることが望ましい。具体的には、例えば、被施療者のかかと側、つまり、図5に示すように、足首用エアバック(30)の左右方向中心に設けることが望ましい。
【0018】
足首用エアバック(30)は、膨張したときに、被施療者の足首(80)に絡みついて、足首(80)をうまく保持できるように、凹状受部(13)(13)の側面に直接貼り付けるのではなく、伸縮性材料、例えばゴムバンドなどによって取り付けることが望ましい。また、側面用エアバック(20)(20)を配備している場合には、側面用エアバック(20)(20)に伸縮性材料を介して取り付けてもよい。具体的には、足首用エアバック(30)の非膨張部(31)と、側面エアバック(20)とをゴムバンドにより連結すればよい。
【0019】
凹状受部(13)の底面には、図3及び図4に示すように、被施療者の足裏(81)をマッサージするマッサージ手段として、指圧棒(40)が配備されている。凹状受部(13)の底面には、被施療者の足裏(81)に沿う方向に一対の長孔(17)(17)が開設されており、該長孔(17)(17)から夫々指圧棒(40)(40)が出没可能となっている。
指圧棒(40)(40)の下端は、指圧棒用エアバック(41)に取り付けられており、指圧棒(40)及び指圧棒用エアバック(41)は、上面が開口したケーシング(42)に収容されている。指圧棒用エアバック(41)は、連結ホース(43)(図10参照)、電磁バルブ(図示せず)を介してエアポンプ(図示せず)に連結されている。指圧棒用エアバック(41)を膨張、収縮させることによって、指圧棒(40)は、長孔(17)から図4の矢印B方向に出没する。
ケーシング(42)は、図示しない移動機構によって、凹状受部(13)の底面に沿って前後方向(図4の矢印A方向)に往復移動可能となっており、被施療者の所望の位置で指圧棒(40)を上下に作動させることによって、足裏(81)に指圧マッサージが施される。また、指圧棒(40)を長孔(17)から突出させた状態で、ケーシング(42)を移動させることによって、足裏(81)にローリングマッサージが施される。
なお、指圧棒の動作機構は上記実施例に限定されるものではない。
【0020】
<ふくらはぎ用マッサージユニット>
上記構成の足先用マッサージユニット(10)には、図1及び図2に示すように、被施療者のふくらはぎ(82)をマッサージするふくらはぎ用マッサージユニット(50)が取り付けられて、足用マッサージ機(70)を構成する。
ふくらはぎ用マッサージユニット(50)は、図1に示すように、足先用マッサージユニット(10)の後端に連結機構(72)を介して連結されており、連結機構(72)によって足先用マッサージユニット(10)に対して前後に傾動可能且つ上下に位置調節可能となっている。連結機構(72)は、ふくらはぎ用マッサージユニット(50)を、足先用マッサージユニット(10)に対して所定角度で維持するようにバネ等によりふくらはぎに当たる方向、即ち前方向に付勢しておくことが望ましい。
ふくらはぎ用マッサージユニット(50)は、図1、図2及び図7に示すように、樹脂製カバー(52)に、被施療者のふくらはぎ(82)を挿入する断面コ字状の左右一対の脚受部(53)(53)が形成されている。脚受部(53)(53)間は中央壁(54)で仕切られており、後述する側面エアバック(60)(60)や底面エアバック(61)、指圧突起(62)等が直接外部に露出しないように、脚受部(53)の内面は、布カバー(55)で被覆されている。
【0021】
図7は、ふくらはぎ用マッサージユニット(50)の平面図であって、布カバー(55)を取り外した状態を示している。図7に示すように、脚受部(53)の両側面には側面エアバック(60)(60)が取り付けられている。側面エアバック(60)(60)は、夫々連結ホース(図示せず)によって電磁バルブを介してエアポンプ(図示せず)に接続されている。
なお、脚受部(53)の両側面に夫々側面エアバック(60)(60)を設けているが、一方又は両方をスポンジ、ウレタン等の弾力性を有する弾性部材としてもよい。
【0022】
図7に示すように、ふくらはぎ用マッサージユニット(50)は、脚受部(53)の底面にもエアバック(61)が配備されている。底面エアバック(61)も連結ホース(図示せず)によって、上記と同様電磁バルブ、エアポンプ(図示せず)に接続されている。図示の底面エアバック(61)には、被施療者のふくらはぎ(82)に当たる部分に指圧突起(62)を形成している。指圧突起(62)は、底面エアバック(61)と一体に形成したり、底面エアバック(61)に接着等により取り付けることができる。
【0023】
被施療者が椅子に腰掛けた状態で足用マッサージ機(70)に足を挿入すると、足先用マッサージユニット(10)に対してふくらはぎ用マッサージユニット(50)がほぼ垂直な状態で、ふくらはぎ(82)がふくらはぎ用マッサージユニット(50)の脚受部(53)の底面に当たって、マッサージを受けることができる。また、被施療者が寝転んで膝を立てた状態で足用マッサージ機(70)に足を挿入すると、ふくらはぎ(82)がふくらはぎ用マッサージユニット(50)を後方に押し込むため、足先用マッサージユニット(10)に対してふくらはぎ用マッサージユニット(50)が後方に傾動した状態でマッサージを受けることができる。なお、最も後方にふくらはぎ用マッサージユニット(50)が傾動した状態でも、足先用マッサージユニット(10)が浮き上がらないように、足先用マッサージユニット(10)の重心は前方側に設定しておくことが望ましい。
被施療者は、足用マッサージ機(70)に足を挿入したときに、ふくらはぎ(82)の位置に合わせてふくらはぎ用マッサージユニット(50)を上下に移動させることができる。また、ふくらはぎ用マッサージユニット(50)を上下に移動させて、広い範囲にマッサージを施すことができる。
【0024】
<マッサージ動作>
上記構成の足用マッサージ機(70)について、被施療者は足先を凹状受部(13)に、ふくらはぎ(82)を脚受部(53)に挿入する。
被施療者が足先を凹状受部(13)に挿入し、立ち壁(15)側にかかとを押しつける。立ち壁(15)によって、被施療者の足先は、凹状受部(13)内でしっかりと保持され、前後に動くことはない。また、ふくらはぎ用マッサージユニット(50)は、被施療者のふくらはぎに当たる方向に付勢されているから、被施療者のふくらはぎは、脚受部(53)にしっかりと当たる。
この状態で、操作パネル(図示せず)を操作することにより、種々のマッサージを受けることができる。以下、マッサージの一例について説明する。
【0025】
<足先用マッサージユニットによるマッサージ>
足先のマッサージは、指圧棒(40)による指圧マッサージ、足の先端からくるぶしに亘る足先の側面を側面エアバック(20)で押圧する押圧マッサージ、足首用エアバック(30)による足首(80)のマッサージ、さらに、これらを組み合わせたマッサージを例示できる。
【0026】
指圧マッサージは、指圧棒用エアバック(41)を膨張、収縮し、指圧棒(40)を凹状受部(13)の底面から出没させることにより行なうことができる。また、指圧棒(40)の出没と共に、指圧棒(40)を所望の位置に移動させたり、足裏(81)の全長に亘って往復移動させることにより(ローリングマッサージを施すことにより)、足裏(81)、特に土踏まずや足指の付け根に効果の高い指圧マッサージを行なうことができる。
【0027】
図8は、本発明のマッサージ動作の一例を示す指圧棒(40)の先端の軌跡Pを示している。
指圧棒(40)を用いたマッサージを行なう際に、単に指圧棒(40)を足裏(81)の全長に亘って往復移動させるのではなく、図8に示すように、指圧棒(40)を突出させた状態で、所定距離Lだけ移動させ、指圧棒(40)を収納し、所定距離Lよりも短い距離L’だけ戻す動作を繰り返すことにより、足裏の局所局所を順に指圧してもらうような感覚のマッサージを提供でき、緩急のあるマッサージを提供できる。
指圧棒(40)の往路の移動距離である所定距離Lは、40mm以下とすることが望ましい。これは、人に親指で足裏に指圧マッサージしてもらう際の平均的な移動距離であり、足裏(81)の局所局所に緩急のあるマッサージを施すためにも40mmを上限とすることが望ましい。
指圧棒(40)の復路の移動距離L’は、所定距離Lよりも短い距離とする。指圧棒(40)による施療範囲を順に移動させるためである。往路の所定距離Lが40mmである場合、復路の移動距離L’は、例えば、30mm以下とすることができる。図8は、復路の移動距離L’を往路の移動距離の半分にした実施例である。
指圧棒(40)の移動は、足裏(81)の先端から開始し、指圧棒(40)が長孔(17)の後端まで移動した後は、再度足裏(81)の先端まで指圧棒(40)を移動させて、上記動作を繰り返すことが望ましい。
【0028】
上記では、指圧棒(40)は、往路にて単に突出させた状態で移動させているが、指圧棒(40)の軌跡Qを図9に示すように、往路にて指圧棒(40)が収納された状態から徐々に突出させていくマッサージとしてもよい。この場合、指圧棒(40)の往路移動の開始と共に、指圧棒用エアバック(41)を徐々に膨張させればよい。指圧棒(40)の足裏(81)に沿う往路移動距離L、復路移動距離L’は上記と同様である。
図9に示すように、指圧棒(40)による足裏(81)への押圧力を徐々に強くしていくマッサージを施すと、より人の親指による指圧動作に近いマッサージ感覚とすることができる。
【0029】
指圧マッサージは、足裏(81)を指圧棒(40)で押し上げるマッサージであるため、被施療者の足が凹状受部(13)から浮き上がってしまう。
このとき、足首用エアバック(30)を膨張させると、図6に示すように、被施療者の足首(80)が足首用エアバック(30)に包み込まれて保持され、凹状受部(13)内で固定される。これにより、被施療者の足先は凹状受部(13)から浮き上がってしまうことがない。足首用エアバック(30)に非膨張部(31)を形成している場合には、図6に示すように、足首用エアバック(30)が足首(80)に絡みつくように膨張するから、より効果的に足首(80)を保持できる。
なお、この状態で、側面エアバック(20)を膨張させると(図6中矢印Cで示す)、足首(80)よりも先の部分を側面エアバック(20)(20)によって、図6の破線の如く、挟み込むことができ、しっかりと足先を保持できる。
【0030】
押圧マッサージは、側面エアバック(20)を膨張、収縮させることにより(図6中矢印Cで示す)、足の先端からくるぶしに亘る足先の側面を側面エアバック(20)(20)によって挟み込み、押圧するマッサージである。これにより、足の甲からつま先にかかる部分の血行改善効果や足先のむくみの改善を図ることができる。
【0031】
足首マッサージは、足首用エアバック(30)を膨張、収縮させることにより、足首(80)を足首用エアバック(30)で圧迫したり、押圧するものである。具体的には、図3に示すように、足首用エアバック(30)が収縮した状態から、足首用エアバック(30)を膨張させて、図6に示すように、足首(80)を圧迫、押圧する。このマッサージによって、足首、特に、アキレス腱伸ばしやアキレス腱ほぐしが効果的に行なわれ、足首への施療効果だけでなく、足や身体の凝り、疲れに対してすぐれた施療効果を発揮できる。なお、図3、図6では、足先の輪郭を符号Fで表わしている。
【0032】
指圧マッサージ、押圧マッサージ、足首マッサージの2種又は3種を組み合わせたマッサージも勿論可能であり、その場合、上記動作を同時に行なえばよい。
また、上記マッサージを順に行なったり、組み合わせて行なうようにプログラムしたマッサージも施療効果の高いマッサージを提供できる。
【0033】
<ふくらはぎ用マッサージユニットによるマッサージ>
ふくらはぎ(82)には、底面エアバック(61)の指圧突起(62)による指圧マッサージと、側面エアバック(60)(60)による押圧マッサージを行なうことができる。
指圧マッサージは、底面エアバック(61)を膨張、収縮し、指圧突起(62)をふくらはぎ(82)に押し当てることにより行なうことができる。このとき、側面エアバック(60)(60)を膨張させておくと(図7中矢印Dで示す)、被施療者のふくらはぎ(82)が脚受部(53)から押し出されることはないので(図7の破線状態)、効果の高い指圧マッサージを施すことができる。
【0034】
押圧マッサージは、側面エアバック(60)(60)を膨張、収縮させることにより(図7中矢印Dで示す)、ふくらはぎ(82)を側面エアバック(60)(60)によって挟み込み、押圧するマッサージである。ふくらはぎ(82)を押圧マッサージすることによって、血行促進効果を得ることができる。
【0035】
なお、ふくらはぎ(82)をマッサージする際に、足先用マッサージユニット(10)の足首用エアバック(30)を膨張させて、足首用エアバック(30)によって、被施療者の足首(80)を固定することにより、ふくらはぎ(82)が、ふくらはぎ用マッサージユニット(50)の脚受部(53)から浮き上がることを防止でき、ふくらはぎ用マッサージユニット(50)による施療効果を高めることができる。
【0036】
勿論、指圧マッサージと押圧マッサージを組み合わせたマッサージを行なうこともできる。
さらに、足先用マッサージユニット(10)とふくらはぎ用マッサージユニット(50)を同時に作動させて、上記に記載したすべてのマッサージを組み合わせて行なうこともできる。
【0037】
<第2実施例>
以下、指圧棒(40)の先端に偏心回転可能なローラ(44)を配備した実施例について説明する。指圧棒(40)の先端構造が異なる以外は、上記実施例と構成は同様であるため説明は省略する。
【0038】
図10は、足先用マッサージユニット(10)について、被施療者の右足を収容する凹状受部(13)を断面して示す図、図11は、図10の線XI−XIに沿う断面図である。
図10及び図11に示すように、指圧棒(40)の上部先端には、左右に一対の軸受部材(45)(45)が突設されている。軸受部材(45)(45)は、足裏(81)の長手方向に垂直となるように対抗して配置されている。
軸受部材(45)(45)間には、支持軸(46)が足裏(81)の長手方向に垂直且つ凹状受部(13)の底面と平行となるように固定されている。該支持軸(46)には、短円柱形のローラ(44)が回転中心を偏心した状態で軸支されている。ローラ(44)は、ゴム等の摩擦抵抗の大きい材料から構成することが望ましく、摩擦抵抗の少ない材料の場合、外周にゴム等のの摩擦抵抗の大きい材料を巻回したり、周面に凹凸を形成することによって摩擦抵抗を高めることが望ましい。
なお、ローラ(44)を偏心して支持軸(46)に固定し、支持軸(46)を軸受部材(45)(45)に回転可能に軸支してもよい。
指圧棒(40)は、第1実施例と同様に、凹状受部(13)の底面の長孔(17)に沿って往復移動可能且つ出没可能に配備されている。
【0039】
凹状受部(13)の内面は、図10に示すように、布カバー(16)で覆われている。後述するとおり、ローラ(44)が布カバー(16)の裏面に当たって上手く回転できるように、布カバー(16)の裏面は、ローラ(44)に対して摩擦抵抗の高い材料を用いることが望ましい。布カバー(16)として、起毛トリコットを例示できる。
【0040】
上記構成の足先用マッサージユニット(10)について、被施療者が足裏(81)を凹状受部(13)に挿入した状態で、指圧棒(40)を突出させて、ローラ(44)を被施療者の足裏に布カバー(16)を介して当接させる。
この状態で、指圧棒(40)を被施療者の足裏(81)の長手方向に沿って往復移動させると(図11中矢印Rで示す)、支持軸(46)に軸支されたローラ(44)は、足裏(81)との間に作用する押圧力と、布カバー(16)(図11には図示せず)とローラ(44)の周面との摩擦抵抗によって、図11中矢印Sで示すように転動する。
ローラ(44)は、回転中心が偏心して軸支されているから、ローラ(44)の上端の軌跡は、図11中線Tで示すように波形となり、足裏(81)に対する押圧力が変化する。
指圧棒(40)を図11の矢印Rとは逆方向に移動させると、ローラ(44)は矢印Sとは逆方向に回転し、線Tで示す波形の軌跡を描く。
これにより、まるで、人の親指で足裏を順に指圧マッサージしてもらう如きマッサージ感覚の緩急のあるマッサージを提供できる。ローラ(44)を回転させるための別段の駆動手段を配備しておかなくても、上記のように簡便な構成で、ローラ(44)を回転させることができ、足裏(81)に対する押圧力を変化させることができるという利点がある。
【0041】
なお、上記第2実施例の足先用マッサージユニット(10)であれば、指圧棒(40)は、上下移動可能な構成とせずに、長孔(17)から常に突出した構成としても、被施療者が凹状受部(13)に足先を挿入し、指圧棒(40)を足裏(81)に沿って往復移動させるだけでローラ(44)による押圧力を変化させることができる。
【0042】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の足先用マッサージユニットは、被施療者の足裏に対して、まるで人に施療してもらう如き感覚の緩急のある効果的なマッサージを行なうことができる足先用マッサージユニットとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】足用マッサージ機の斜視図である。
【図2】足用マッサージ機の正面図である。
【図3】本発明の足先用マッサージユニットの平面図である。
【図4】図3の線IV−IVに沿う矢視断面図である。
【図5】足首用エアバックの展開図である。
【図6】足首用エアバックが膨張した状態を示す足先用マッサージユニットの平面図である。
【図7】ふくらはぎ用マッサージユニットの平面図である。
【図8】本発明の指圧棒の軌跡を示した足先用マッサージユニットの要部断面図である。
【図9】本発明の指圧棒の軌跡の異なる実施例を示す足先用マッサージユニットの要部断面図である。
【図10】指圧棒の先端にローラを偏心回転可能に支持した足先用マッサージユニットの要部断面図である。
【図11】図10の線XI−XIに沿う矢視断面図であって、ローラの軌跡を示している。
【符号の説明】
【0045】
(10) 足先用マッサージユニット
(13) 凹状受部
(20) 側面エアバック
(30) 足首用エアバック
(31) 非膨張部
(40) 指圧棒
(44) ローラ
(50) ふくらはぎ用マッサージユニット
(70) 足用マッサージ機
(80) 足首
(81) 足裏

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の足先を収容する凹状受部を有し、該凹状受部の底面に被施療者の足裏をマッサージする指圧棒を凹状受部の底面から突出及び収容可能且つ足裏の長手方向に沿って往復移動可能に設けた足先用マッサージユニットにおいて、
指圧棒は、凹状受部の底面から突出した状態で足裏の長手方向に沿って所定距離移動した後、凹状受部の底面に収納し、該所定距離よりも短い距離だけ戻る方向に移動し、再度、凹状受部の底面から突出した状態で足裏の長手方向に沿って所定距離移動する動作を繰り返すようにしたことを特徴とする足先用マッサージユニット。
【請求項2】
被施療者の足先を収容する凹状受部を有し、該凹状受部の底面に被施療者の足裏をマッサージする指圧棒を凹状受部の底面から突出及び収容可能且つ足裏の長手方向に沿って往復移動可能に設けた足先用マッサージユニットにおいて、
指圧棒は、凹状受部の底面から突出しながら足裏の長手方向に沿って所定距離移動した後、凹状受部の底面に収納し、該所定距離よりも短い距離だけ戻る方向に移動し、再度、凹状受部の底面から突出しながら足裏の長手方向に沿って所定距離移動する動作を繰り返すようにしたことを特徴とする足先用マッサージユニット。
【請求項3】
指圧棒が足裏の長手方向に沿って移動する所定距離は、40mm以下である請求項1又は請求項2に記載の足先用マッサージユニット。
【請求項4】
凹状受部の側面には、被施療者の足先を保持する側面マッサージ手段を具えており、指圧棒を移動させる際に、側面マッサージ手段によって足先を保持しておく請求項1乃至請求項3の何れかに記載の足先用マッサージユニット。
【請求項5】
指圧棒は、先端に、被施療者の足裏の長手方向と直交且つ凹状受部の底面と平行な支持軸を具え、該支持軸にローラを偏心して軸支している請求項1乃至請求項4の何れかに記載の足先用マッサージユニット。
【請求項6】
被施療者の足先を収容する凹状受部を有し、該凹状受部の底面に被施療者の足裏をマッサージする指圧棒を凹状受部の底面から突出した状態で足裏の長手方向に沿って往復移動可能に設けた足先用マッサージユニットにおいて、
指圧棒は、先端に、被施療者の足裏の長手方向と直交且つ凹状受部の底面と平行な支持軸を具え、該支持軸にローラを偏心して軸支したことを特徴とする足先用マッサージユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−340772(P2006−340772A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−166772(P2005−166772)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】