説明

足場

本発明は、組織の増大、修復および再生において使用するための組織インプラントを調製する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織培養の分野、ならびに組織置換のための組織代用物を調製する分野において適用される。
【背景技術】
【0002】
関節軟骨は、主にII型コラーゲン、プロテオグリカンおよび水からなる高密度な細胞外マトリックスによって囲まれた非常に特殊化された軟骨細胞からなる。この無血管の組織は修復の能力が制限されている。疾患、例えば関節リウマチおよび/もしくは関節炎によって生じる軟骨の障害、または外傷は、重篤な肉体的な変形および衰弱をもたらす場合がある。
【0003】
軟骨修復のための組織工学による従来の解決法は、軟骨の欠損をその全体で修復することができる、軟骨の連続的な破片を生産するという辺りに集中していた。このアプローチには大きな欠点があった。
【0004】
インビトロで生産可能な軟骨の破片の大きさは制限される。大規模の細胞-足場(cell-scaffold)培養は、増殖および分化を調節する点において制限がある。これらの問題は、主として、足場を通過する不十分な栄養素の拡散によって引き起こされ、足場内で細胞の壊死および未分化細胞の領域を生じさせる。
【0005】
さらなる問題は、軟骨欠損の寸法が患者によって異なるということである。結果として、軟骨の破片は、移植部位に合わせて調整されなければならず、軟骨の複数の破片は、大きな欠損を修復するためにモザイクにして合わせなければならず、または標準サイズの軟骨置換インプラントを挿入可能にするように欠損を整えることを必要とする「モザイク形成術」と呼ばれる技術が用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
細胞を含むインプラントを加工するための細胞微小担体を使用して、これらの課題のいくつかが解決された。典型的には、球状ビーズ、立方体、円柱またはプレートなどの吸収性微小担体上に細胞を低密度で播種し、次に培養増殖させ凝集体を形成させる。次に、これらの細胞微小担体の凝集体は、凝集体の注射可能な分散物として、または欠損の形状を反映している形状を有する鋳型デバイス中で凝集体をさらに培養することによって調製された固結凝集体の固体構造として構築することができる。しかしながら、この技術の大きな欠点は、微小担体表面への細胞接着に依存していることである。多くの場合、この接着を改善するために、例えば生物活性ペプチドで微小担体の表面を被覆する必要がある。さらに、培養を拡大する段階では微小担体の吸収が僅かであることが多く、顕著な吸収率は微小担体が移植された時点でのみ起こるので、これは治癒過程に大きな影響を及ぼし得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、組織インプラントをインビトロで調製する方法が提供され、この方法は、
(a)適切な組織源から単離された細胞を提供する段階;
(b)細胞を少なくとも2つの第1の足場に播種し、細胞が細胞外マトリックスを分泌するのに十分な時間、これらの足場を培養する段階;および
(c)(b)で得られた少なくとも2つの足場を第2の足場に添加する段階
を含む。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、対象内で組織を増大、修復または再生する方法が提供され、この方法は、
(a)適切な組織源から細胞を得る段階;
(b)細胞を少なくとも2つの第1の足場に播種し、細胞が細胞外マトリックスを分泌するのに十分な時間、第1の足場を培養する段階;
(c)(b)で得られた少なくとも2つの足場を第2の足場に添加する段階;および
(d)対象内の部位に第2の足場を移植する段階
を含む。
【0009】
細胞外マトリックスを生成する細胞は第1の足場に播種され、この足場は、生体適合性、生分解性材料の不織布繊維から好ましくは構成される小さな3-D足場である。
【0010】
適切な大きさの足場の例としては、直径が約1〜3mm、深さが約0.5〜3mmであり、さらに特定すると直径が1〜2mm、深さが約0.5〜1mmである。
【0011】
第1の足場は、任意の適切な形状をとることができ、例えば円柱、ディスクまたは立方体が挙げられる。
【0012】
細胞は、好ましくは均一に第1の足場に播種され、典型的には約50,000〜1×106細胞/足場、または約100,000〜300,000細胞/足場またはさらに特定すると約150,000〜250,000細胞/足場である。
【0013】
足場上の典型的な播種密度は、約100,000〜3×106細胞/mm3、または約300,000〜800,000細胞/mm3またはさらに特定すると約400,000〜700,000細胞/mm3である。
【0014】
本発明の特定の実施形態では、第1の足場上の典型的な細胞の播種密度は約650,000細胞/mm3である。
【0015】
細胞は、当業者に知られている方法を用いて、足場に播種することができる。これらには、限定されないが、足場に細胞懸濁液をピペッティングし、ある割合の細胞が足場表面の少なくとも一部に接着するのに十分に長い時間、細胞懸濁液中で足場をインキュベートし、または液体中で足場と細胞とを組み合わせることによって、ならびにこれらの2つの成分間の接触を促進するために遠心分離することが含まれる。
【0016】
次に、これらの細胞播種足場は、細胞が細胞凝集体を生成するのに十分な期間、培養される。第1の足場は、例えば三角フラスコ、ローラーボトル、テクネフラスコまたはバイオリアクター中で培養することができる。
【0017】
本発明の実施形態では、細胞は、適した凝集体形成を確実にするために、少なくとも12時間、足場上で低容量の培地を連続的に流しながら培養される。この低容量の培地は、任意の特定の大きさの培養容器中で培養される足場の数と相対的であり、細胞播種足場を互いに密接に接触させることによって凝集体形成を促す。次に、培地の容積を増やし、細胞播種足場を静止状態で、または断続的もしくは一定に撹拌しながら培養する。適したインキュベーション時間後、少なくとも2つの第1の細胞播種足場を第2の足場に添加する。その後、この第2の足場は、対象内の部位に直接的に移植されるかまたは代わりに移植前に培養されてもよい。
【0018】
移植前の第2の足場のインキュベーションにより、第1の足場は、移植時により安定であり得るより大きな凝集体に融合可能である。これらの足場は、典型的には、12時間〜7日間インキュベートされる。
【0019】
第1の足場を含めるための第2の足場の使用は、さらなる機械的強度、移植中の第1の足場の保護を与え、さらに一方では、組織が再生または修復されている。
【0020】
第2の足場は、限定されないが、カップ、ディスク、立方体および円柱を含む種々の構造に設計されてもよい。
【0021】
第2の足場は、例えばガラス製または高分子繊維を用いて、必要以上の機械的強度を与えるように補強されてもよい。
【0022】
組織移植を基準として、用いられた多数の従来の足場、例えば不織布および織布フェルト、セラミックス、スポンジに関する欠点には、生成過程に加えられる、あるレベルの製造の複雑性と費用が挙げられる。繊維の使用は、製造の複雑性を低下させ、したがって、費用を低下させることが予測される。また、繊維の使用により、よりハイスループットな播種技術の開発を可能にする。
【0023】
したがって、本発明の第3の態様によれば、組織インプラントをインビトロで調製する方法が提供され、この方法は、
(a)適切な組織源から単離された細胞を提供する段階;
(b)複数の繊維を提供する段階;および
(c)細胞が細胞外マトリックスを分泌し、細胞凝集体を形成するのに十分な時間、細胞と繊維を一緒に培養する段階
を含む。
【0024】
本発明の第4の態様によれば、対象内で組織を増大、修復または再生する方法が提供され、この方法は、
(a)適切な組織源から細胞を得る段階;
(b)複数の繊維を提供する段階;
(c)細胞が細胞外マトリックスを分泌し、細胞凝集体を形成するのに十分な時間、細胞と繊維を一緒に培養する段階;および
(d)対象内の部位に凝集体を移植する段階
を含む。
【0025】
適切な大きさの繊維の例としては、直径が約10〜100μm、長さが約0.5〜5mm、さらに特定すると直径が約10〜100μm、長さが約0.5〜3mm、さらにより好ましくは直径が約10〜100μm、長さが約1〜3mmである。
【0026】
足場が実質的に円柱状であることが望ましい場合、繊維の直径は、好ましくはその長さの半分である。
【0027】
当業者に知られている方法を用いて、細胞を繊維と混合することができる。これらには、限定されないが、繊維に細胞懸濁液をピペッティングし、ある割合の細胞が繊維表面の少なくとも一部に接着するのに十分な長時間、細胞懸濁液中で繊維をインキュベートし、または液体中で繊維と細胞を組み合わせることによって、ならびにこれらの2つの成分間の接触を促進するために遠心分離することが含まれる。
【0028】
次に、細胞/繊維は、細胞が細胞外マトリックスを分泌し、細胞凝集体を形成するのに十分な期間、培養される。培養は、例えば三角フラスコ、ローラーボトル、テクネフラスコまたはバイオリアクター中で行うことができる。
【0029】
本発明の実施形態では、細胞は、適した凝集体形成を確実にするために、少なくとも12時間、低容量の培地を連続的に流しながら繊維とともに培養される。この低容量の培地は、任意の特定の大きさの培養容器中で培養される繊維の数と相対的であり、細胞と繊維を互いに密接に接触させることによって凝集体形成を促す。次に、培地の容積を増やし、細胞-繊維凝集体を静止状態で、または断続的もしくは一定に撹拌しながら培養する。
【0030】
繊維性材料は、培養期間の終了までに完全に吸収され、または繊維材料の残量はそのままにし、繊維材料は分泌された細胞外マトリックスによって置換されていることが好ましい。
【0031】
繊維は、細胞の凝集中に細胞のための足場として機能する。
【0032】
典型的な細胞播種密度は、約2×104〜約3×106細胞/μg繊維、または約3×104〜約3×105細胞/μg繊維、あるいはさらに特定すると約4×104〜約7×104細胞/μg繊維である。
【0033】
本発明の特定の実施形態では、典型的な細胞播種密度は、約40,000細胞/μg繊維である。
【0034】
典型的な細胞凝集体は、約50,000〜約1×106細胞、または約100,000〜約300,000細胞、あるいはさらに特定すると約150,000〜約250,000細胞を含む。
【0035】
細胞数および/または繊維量は、形成される細胞凝集体の大きさと密度に依存して異なってもよい。このようにして、足場は、生成要求に合わせて調整され、最適な大きさおよび繊維/細胞密度を与えることができる。
【0036】
適したインキュベーション時間後、細胞凝集体を対象内の部位に直接的に移植してもよい。例えば、細胞凝集体は、修復、増大および再生を必要としている部位にまたはその近傍に注入することができる。
【0037】
本発明のさらなる実施形態では、少なくとも2つの細胞凝集体は、第2の足場に添加される。この第2の足場は、対象内の部位に直接的に移植されるかまたは代わりに移植前に培養されてもよい。移植前の第2の足場のインキュベーションにより、第1の細胞凝集体は、移植時により安定であり得るより大きな凝集体に融合可能である。これらの足場は、典型的には、12時間〜7日間インキュベートされる。さらに、第1の細胞凝集体を含めるための第2の足場の使用は、さらなる機械的強度、移植中の第1の細胞凝集体の保護を与え、さらに一方では、組織が再生または修復されている。
【0038】
繊維、第1の足場および第2の足場は、任意の適切な生体適合性材料で形成されてもよい。生体適合性材料は、生体組織において毒性、有害性または免疫応答を生じさせないことによって生物学的に適合可能である特性を有するものとして定義される。
【0039】
繊維または足場は、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウムまたはそれらの組み合わせからなる群から選択される無機材料;コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、プロテオグリカン、キチン、キトサン、キトサン誘導体、フィブリン、デキストラン、アガロース、アルギン酸カルシウム、シルクもしくはそれらの組み合わせからなる生体高分子の群から選択される有機材料、または脂肪族ポリエステル、ポリ(アミノ酸)、ポリ(プロピレンフマレート)、コポリ(エーテル-エステル)、ポリオルトエステル、ポリアルキレンオキサレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリカプロラクトン、ポリ(イミノカーボネート)、ポリオルトエステル、ポリオキサエステル、ポリアミドエステル、アミン基を含むポリオキサエステル、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリウレタン、ヒドロキシブチレート、ジオキサノン、もしくはハイドロゲル、例えばポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールもしくはポリエチレンイミン、あるいはそれらの任意の共重合体、混和物または化学的誘導体からなる群から選択される合成高分子材料で形成されてもよい。
【0040】
脂肪族ポリエステルは、ポリ乳酸もしくはポリグリコール酸またはそれらの共重合体もしくは混和物であってもよい。
【0041】
適切な足場は、下記のモノマーまたはそれによって形成されるポリマーおよび/もしくは共重合体の混合物を含む共重合体で形成される:乳酸;グリコール酸;カプロラクトン;ヒドロキシブチレート;ジオキサノン;オルトエステル;オルトカーボネート;アミノカーボネート。
【0042】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも一部の繊維および/または第1の足場および/または第2の足場は、生分解性、生体吸収性(bioresorbable)または生体吸収性(bioabsorbable)材料である。
【0043】
繊維および第1の足場が生体吸収性である本発明の実施形態では、残量の足場材料だけが培養後にそのままであり、足場材料は、播種された細胞および分泌されたマトリックスタンパク質によって置換されていることが好ましい。
【0044】
本発明の実施形態では、少なくとも2つの第1の足場は同じ材料で形成される。あるいは、第1の足場は異なる材料で形成される。
【0045】
本発明の実施形態では、少なくとも2つの第1の足場および第2の足場は同じ材料で形成される。あるいは、第1の足場の少なくとも1つは、第2の足場とは異なる材料で形成される。
【0046】
本発明の実施形態では、複数の繊維は、同じ材料で作製された繊維からなっていてもよい。あるいは、複数の繊維は、異なる材料で作製された繊維からなっていてもよい。
【0047】
本発明の実施形態では、繊維および/または第1の足場および/または第2の足場の少なくとも一部は多孔性である。この多孔性は、細胞移動、および足場を通じた栄養素の流れを可能にし、足場の内部が無酸素となるのを防ぎ、したがっていずれの細胞成分がなくなることを防ぐ。
【0048】
本発明の特定の実施形態では、第1の足場は、不織布フェルトで作製される。
【0049】
本発明による方法は、場合により、生物学的作用物質および/または化学的作用物質の存在下で、細胞播種繊維および/または第1の細胞播種足場および/または第2の足場をインキュベートする段階を含む。
【0050】
少なくとも1つの生物学的作用物質および/または化学的作用物質は、培地に提供されてもよい。細胞は、持続期間またはインキュベーション期間を通じて一定にまたは断続的に少なくとも1つの生物学的作用物質おび/または化学的作用物質に晒されてもよい。
【0051】
あるいは、少なくとも1つの生物学的作用物質および/または化学的作用物質は、繊維および/または第1の足場および/または第2の足場の少なくとも一部に結合される。
【0052】
少なくとも1つの生物学的作用物質および/または化学的作用物質は、分化剤、増殖因子、マトリックスタンパク質、ペプチド、抗体、酵素、サイトカイン、ウイルス、核酸、ペプチド、骨形成因子、軟骨形成因子、免疫抑制剤、鎮痛剤またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0053】
例えば、下記の活性物は、細胞の培養に用いられ、または足場インプラントとともに追加して送達されてもよい:形質転換増殖因子ベータ(TGFβ)ファミリーのメンバー、骨形成タンパク質(BMP)タンパク質ファミリーのメンバー、線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリーのメンバー、血小板由来増殖因子(PDGF)、副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP)、インスリンもしくはインスリン様増殖因子、ビスホスフォネートまたはピロホスフェート。
【0054】
インキュベーション期間中、細胞は、未分化のままであってもよく、または少なくとも1つの適した細胞系統に沿って、部分的に分化する(即ち、「プライムされる」)か、もしくは完全に分化されるように誘導されてもよい。これは、分化因子を含む培地中で細胞を培養することによって達成することができる。
【0055】
細胞が軟骨形成の系統に沿って分化するように誘導される本発明の実施形態では、細胞は、形質転換増殖因子ベータ(TGFβ)ファミリーのメンバー、例えばTGFβ-3の存在下で培養される。
【0056】
本発明の第5の態様によれば、本発明の第1の態様または第3の態様による方法によって得ることができる組織インプラントが提供される。
【0057】
本発明の第6の態様によれば、少なくとも2つの第1の足場および第2の足場を含むキットオブパーツ(kit of parts)が提供される。
【0058】
本発明の第7の態様によれば、少なくとも複数の繊維および第2の足場を含むキットオブパーツが提供される。
【0059】
キットは、細胞源、例えば凍結細胞をさらに含むことができる。
【0060】
キットは、適した組織源から細胞を単離する手段、例えば組織生検において使用するための手術器具、および/または組織を粉砕する手段、例えば機械装置および/または酵素をさらに含むことができる。
【0061】
キットは、適した培地および/または組織培養容器をさらに含むことができる。
【0062】
キットは、分化剤、増殖因子、マトリックスタンパク質、ペプチド、抗体、酵素、サイトカイン、ウイルス、核酸、ペプチド、骨形成因子、軟骨形成因子、免疫抑制剤、鎮痛剤またはそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの生物学的作用物質および/または化学的作用物質をさらに含むことができる。
【0063】
本発明の実施形態では、細胞外マトリックスを生成する細胞は、軟骨細胞、骨芽細胞、線維芽細胞、脂肪細胞、筋芽細胞、周皮細胞、間充織幹細胞もしくは細胞外マトリックス成分を合成することができる任意の他の細胞型、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される間質細胞である。
【0064】
細胞外マトリックス成分は、コラーゲン、例えばII型コラーゲンであり得る。
【0065】
細胞外マトリックス成分は、グリコサミノグリカン(GAG)、例えばコンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラチン硫酸、ヘパリン硫酸、ヘパリンまたはヒアルロナンであり得る。GAG鎖は、タンパク質に共有結合的に連結されて、プロテオグリカンを形成してもよい。
【0066】
細胞外マトリックスを生産する単離された細胞は、ドナー組織から得ることができる。ドナー組織は、自家、同種または異種であってもよく、軟骨、骨、皮膚、腱、靱帯または半月を含む任意の適した組織から得ることができる。標準的な機械的方法(例えば、生検、解剖、粉砕)および/または酵素消化(例えば、コラゲナーゼ、プロテアーゼなど)によって、これらの組織から細胞を得ることができる。
【0067】
本発明の代替の実施形態では、細胞外マトリックスを生産する単離された細胞は、初代細胞または樹立細胞株の供給源から得てもよい。
【0068】
本発明のさらなる実施形態では、細胞外マトリックスを生産する細胞は、幹細胞もしくは前駆細胞またはそれらの組み合わせである。幹細胞または前駆細胞は、胎児、胚または成体の供給源から得ることができる。これらの細胞の適した供給源には、限定されないが、骨髄、血液および臍帯血が含まれる。
【0069】
本発明の特定の実施形態では、幹細胞は、間充織幹細胞(MSC)である。MSCは、骨芽細胞、軟骨細胞、筋細胞、脂肪細胞およびベータ-膵島細胞を含む様々な細胞型に分化することができる多能性幹細胞である。また、MSCは、神経細胞に分化形質転換することが示されている。
【0070】
本発明のさらなる実施形態では、細胞外マトリックスを生産する細胞は遺伝子操作されて、功を奏するおよび/または改善された移植に有用な遺伝子産物を構成的に、一過性にまたは誘導的に発現することができる。
【0071】
本発明による方法によって増大、修復または再生されるべき組織には、限定されないが、結合組織、例えば骨、軟骨、腱、靱帯、半月、筋肉および脂肪が挙げられる。しかしながら、他の組織が想定される。
【0072】
組織が増大、再生または修復されている対象は、ヒトまたはヒト以外の動物であってもよい。
【0073】
本発明の第8の態様によれば、組織インプラントを形成する方法、そこで形成される組織インプラント、組織インプラントの調製に使用するためのキット、ならびに添付の図を参照して、本明細書に実質的に記載されている組織インプラントの使用が提供される。
【0074】
本発明は、細胞-微小担体凝集体の形成を必要としないで、細胞凝集体を生産するためのミリオーダーの足場上に細胞を播種する方法を提供する。
【0075】
さらに、本発明は、連続プロセスにおいて組織工学的に作製された軟骨の破片を生産することができる。細胞の増殖および分化は、培養容器の変更を必要としないで、連続プロセスにおいて同一の容器中で行われる。これは、培養物の滅菌性が損なわれるというリスクを減らし、人為的ミスのリスクを減らし、ならびに培養プロセスに関与する人時数を減らす。この発明は、組織修復に使用するための組織工学的に作製された軟骨凝集体を大規模で製造できるように拡張可能である。従来技術の発明とは異なって、本明細書に記載される本発明は、様々な軟骨の欠損サイズを処理することができ、それは、これが直面する技術的困難性を伴う大きな破片の設計を必要としないで、種々の大きさおよび/または組成の第2の足場に組み込むことによる。本発明は、軟骨組織のより小さな破片を融合させることによって、単一の連続した破片を生産することができる。
【0076】
本発明は、細胞-微小担体凝集体の形成を必要とせず、細胞凝集体を生成するための繊維状の足場に細胞を派出する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】打ち抜きによって作製された1mm×0.5mmの第1の足場を示す図である。
【図2】ヒツジ骨髄幹細胞を播種し、1週間培養した第1の足場を示す図である。
【図3】図2に示した第1の足場をサフラニンOで染色した図である。
【図4】カップ状の第2の足場に添加された、複数の第1の細胞播種足場を示す図である。
【図5】成人ヒト間充織幹細胞を播種し、(a)TGF-β3を用いて、または(b)TGF-β3を用いず21日間培養し、次にサフラニンOで染色した第1の足場を示す図である。
【図6】成体ヒツジ軟骨細胞を播種し、21日間培養し、次にサフラニンOで染色した第1の足場を示す図である。
【図7】切断によって作製した1〜3mm×0.5mmの第1の繊維を示す図である。
【図8】遠心分離直後にヒト骨髄幹細胞を播種した第1の繊維足場を示す図である。
【図9】培養10日後のいくつかの繊維足場ペレットを示す図である。
【図10】ヒト骨髄幹細胞を播種し、10日間培養し、サフラニンOで染色した第1の繊維足場を示す図である。
【図11】ヒツジ骨髄幹細胞を播種し、10日間培養し、サフラニンOで染色した第1の繊維足場を示す図である。
【図12】カップ状の第2の足場に添加された複数の第1の細胞播種繊維足場を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
以下に概説される方法は、軟骨修復用の組織インプラントを調製するために用いることができる。
【実施例1】
【0079】
[ヒツジ骨髄幹細胞を播種した第1の足場]
(工程1:第1の足場の調製)
ポリグリコール酸(PGA)不織布フェルトは、ポリ(L-ラクチド-co-グリコール酸)(PLLGA)の溶液にフェルトを浸すことによってPLLGAで補強し、乾燥する。直径が約0.5mm×1mmの間、深さが約0.5〜3mmの間のディスクを打ち抜いた。
【0080】
エタノール:アセトン:水の70:20:10の溶液を用いてディスクを殺菌し、次に、ウシ胎仔血清(FCS)およびリン酸緩衝食塩水(PBS)の50:50の溶液中で、2時間室温でインキュベートして、細胞接着を補助するFCS成分でフェルトを被覆した。
【0081】
(工程2:第1の足場への細胞の播種)
ヒツジ骨髄幹細胞を、約250,000細胞/足場の細胞数で45個の第1の足場に播種した。第1の足場を、ファルコンチューブ中で、10%HIFCS、2mM L-グルタミン、1%非必須アミノ酸、100IU/mlペニシリン、100μg/ストレプトマイシン、50μg/mlアスコルビン酸および5mg/ml FGF-2を含む、全量が5mlのαMEM培地に播種した。細胞および足場をスピロミックス(spiromix)プラットフォーム上で一晩培養し、細胞を含む培地に常に足場を浸した。24時間後、培地の体積を25mlに調整し、非接着性の通気された組織培養用の三角フラスコに移した。細胞をさらに数週間、平床式シェーカー上で一定に撹拌しながら培養し、培地を2〜3日ごとに交換した。図2は、1週間培養した細胞播種足場の例を示し、足場への細胞の浸潤を示す。
【0082】
(工程3:軟骨形成剤の存在下での第1の細胞播種足場の培養)
1週間後、細胞播種足場は、下記の1×10-7Mデキサメタゾン、50μg/mlアスコルビン酸、1×ITS(インスリン、トランスフェリング、亜セレン酸)、40μg/mlプロリン、1mMピルビン酸ナトリウムおよび20ng/ml TGFβ3を含む、2mM L-グルタミン、1%非必須アミノ酸、100IU/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシンを含む低グルコースDMEMからなる軟骨細胞分化培地に移した。足場は、平床式シェーカー上で一定に撹拌しながら、三角フラスコ中のこの培地で最大28時間培養し、培地を3〜4日ごとに交換した。
【0083】
(工程4:サフラニンOを用いた足場の染色)
図3は、ヒツジ骨髄幹細胞が、培養期間中に、グリコサミノグリカンを含む細胞外マトリックスを分泌する軟骨細胞に分化したことを示す。
【0084】
(工程5:第2の足場への第1の足場の添加)
次に、第1の細胞播種足場を、PLLGAで補強された不織布PGAフェルトで形成されたカップ状の第2の足場に播種し、移植/保存前に最大7日間、さらに培養した。図4は、培養前に35個の第1の細胞播種足場を播種したカップ状の足場の例を示す。
【実施例2】
【0085】
[成人ヒト骨髄幹細胞を播種した第1の足場]
(工程1:第1の足場の調製)
ポリグリコール酸(PGA)不織布フェルトは、ポリ(L-ラクチド-co-グリコール酸)(PLLGA)の溶液にフェルトを浸すことによってPLLGAで補強し、乾燥する。直径が約0.5mm×1mmの間、深さが約0.5〜3mmの間のディスクを打ち抜いた。
【0086】
エタノール:アセトン:水の70:20:10の溶液を用いてディスクを殺菌し、次に、FCSおよびPBSの50:50の溶液中で、2時間室温でインキュベートして、細胞接着を補助するFCS成分でフェルトを被覆した。
【0087】
(工程2:第1の足場への細胞の播種)
成人ヒト骨髄幹細胞を蘇生し、90%のコンフルエントになるまで2D培養で増殖した。トリプシン(0.05%w/v)およびEDTA(0.02%w/v)溶液を用いてフラスコから細胞を脱着させ、次に10%FCSを含むα-MEM培地を細胞懸濁液に添加し、トリプシンの活性を中和した。細胞を計数し、体積を調整して、培地500μlあたり250,000細胞である細胞濃度を得た。
【0088】
工程1で調製したディスクは、個別に、非組織培養用に処理された2mlの深さであるポリプロピレン製の96ウェルプレートの単一のウェルに入れた。250,000細胞を含む培地のアリコートを個々のウェルに添加した。プレートを400gで5分間遠心分離し、細胞とフェルトとの間の接触を促進した。
【0089】
(工程3:軟骨形成剤の存在下での第1の細胞播種足場の培養)
細胞播種ディスクを、20ng/ml TGFβ-3を補足された培地中で最大18日間インキュベートし、定期的に培地を交換した。
【0090】
(工程4:サフラニンOを用いた足場の染色)
図5は、培養18日後、サフラニンOを用いた足場の染色を示す。矢印は染色強度の異なるレベルを示し、次の通りである:
1:非常に強いサフラニンO染色
2:強いサフラニンO染色
3:中程度のサフラニンO染色
4:PGA繊維の非特異的なサフラニンO染色
5:非染色
【0091】
高レベルのサフラニンO染色は、軟骨細胞分化、および軟骨の細胞外マトリックスの分泌を示す。足場は、軟骨細胞によって再吸収された。
【実施例3】
【0092】
[成体ヒツジ軟骨細胞を播種した第1の足場]
(工程1:第1の足場の調製)
ポリグリコール酸(PGA)不織布フェルトは、ポリ(L-ラクチド-co-グリコール酸)(PLLGA)の溶液にフェルトを浸すことによってPLLGAで補強し、乾燥する。直径が約0.5mm×1mmの間、深さが約0.5〜3mmの間のディスクを打ち抜いた。
【0093】
エタノール:アセトン:水の70:20:10の溶液を用いてディスクを殺菌し、次に、FCSおよびPBSの50:50の溶液中で、2時間室温でインキュベートして、細胞接着を補助するFCS成分でフェルトを被覆した。
【0094】
(工程2:第1の足場への細胞の播種)
成体ヒツジ軟骨細胞を蘇生し、90%のコンフルエントになるまで2D培養で増殖した。トリプシン(0.05%w/v)およびEDTA(0.02%w/v)溶液を用いてフラスコから細胞を脱着させ、次に10%FCSを含むα-MEM培地を細胞懸濁液に添加し、トリプシンの活性を中和した。細胞を計数し、体積を調整して、培地500μlあたり250,000細胞である細胞濃度を得た。
【0095】
工程1で調製したディスクは、個別に、非組織培養用に処理された2mlの深さであるポリプロピレン製の96ウェルプレートの単一のウェルに入れた。250,000細胞を含む培地のアリコートを個々のウェルに添加した。プレートを400gで5分間遠心分離し、細胞とフェルトとの間の接触を促進した。
【0096】
(工程3:軟骨形成剤の存在下での第1の細胞播種足場の培養)
細胞播種ディスクを、20ng/ml TGFβ-3を補足された培地中で最大18日間インキュベートし、定期的に培地を交換した。
【0097】
(工程4:サフラニンOを用いた足場の染色)
図5は、培養18日後、サフラニンOを用いた足場の染色を示す。矢印は染色強度の異なるレベルを示し、次の通りである:
1:非常に強いサフラニンO染色
2:強いサフラニンO染色
3:中程度のサフラニンO染色
4:PGA繊維の非特異的なサフラニンO染色
5:非染色
【0098】
高レベルのサフラニンO染色は、軟骨細胞分化、および軟骨の細胞外マトリックスの分泌を示す。足場は、軟骨細胞によって再吸収された。
【実施例4】
【0099】
[細胞足場の調製における複数の繊維の使用]
(工程1:第1の足場の調製)
ポリグリコール酸(PGA)繊維は、繊維を0.5〜3mmの長さに切り刻むことによって生成した(図1)。
【0100】
エタノール:アセトン:水の70:20:10の溶液を用いて繊維を殺菌し、次に、ウシ胎仔血清(FCS)およびリン酸緩衝食塩水(PBS)の50:50の溶液中で、2時間室温でインキュベートして、細胞接着を補助するFCS成分でフェルトを被覆した。
【0101】
(工程2:第1の足場への細胞の播種)
工程1に従って調製した65μgの繊維は、2mM L-グルタミン、1%非必須アミノ酸、100IU/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、50μg/mlアスコルビン酸、1×10-7Mデキサメタゾン、50μg/mlアスコルビン酸、1×ITS(インスリン、トランスフェリン、亜セレン酸)、40μg/mlプロリン、1mMピルビン酸ナトリウムおよび20ng/ml TGFβ3を含む、全量が5mlのDMEM培地に懸濁させた。1μgの繊維あたり40,000細胞の濃度(5ml繊維および上述した培地における全細胞数が5×106個である)の細胞(ヒトおよびヒツジの骨髄由来の間充織幹細胞)を繊維懸濁液に添加した。次に、上記の懸濁液を試料あたり500μlの体積で、無菌の2mlの深さであるポリプロピレン製の96ウェルプレートの個々のウェルに等分し、200gで5分間遠心分離して、細胞および繊維をともにコンパクトにした(図2を参照)。これにより10細胞/繊維ペレットを生成した。試料周辺のウェルにPBSを満たし、試料周辺の微環境の湿度を上昇させた。次に、試料を37℃、5%CO2、および90%湿度で10日間インキュベートし、図3に示されるペレットを得た。
【0102】
(工程3:サフラニンOを用いた細胞/繊維凝集体の染色)
図4は、ヒト骨髄由来の幹細胞が、培養期間中に、グリコサミノグリカンを含む細胞外マトリックスを分泌する軟骨細胞に分化したことを示す。図5は、ヒツジ骨髄幹細胞を用いて得られた同様の結果を示す。
【0103】
(工程5:第2の足場への第1の繊維足場の添加)
細胞/繊維を、PLLGAで補強された不織布PGAフェルトで形成されたカップ状の第2の足場に播種し、移植/保存前に最大7日間、さらに培養した。図6は、培養前に6個の第1の細胞播種足場を播種したカップ状の足場の例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織インプラントをインビトロで調製する方法であって、
(a)適切な組織源から単離された細胞を提供する段階;
(b)前記細胞を少なくとも2つの第1の足場に播種し、前記細胞が細胞外マトリックスを分泌するのに十分な時間、これらの足場を培養する段階;および
(c)(b)で得られた少なくとも2つの足場を第2の足場に添加する段階
を含む方法。
【請求項2】
組織インプラントをインビトロで調製する方法であって、
(a)適切な組織源から単離された細胞を提供する段階;
(b)複数の繊維を提供する段階;および
(c)前記細胞が細胞外マトリックスを分泌し、細胞凝集体を形成するのに十分な時間、前記細胞と繊維を一緒に培養する段階
を含む方法。
【請求項3】
細胞外マトリックスを生成する前記細胞が、軟骨細胞、骨芽細胞、線維芽細胞、脂肪細胞、筋芽細胞、周皮細胞、間充織幹細胞、もしくは細胞外マトリックス成分を合成することができる他の細胞型またはそれらの組み合わせからなる群から選択される間質細胞である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記細胞外マトリックス成分がコラーゲンまたはグリコサミノグリカンである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記細胞が、幹細胞もしくは前駆細胞またはそれらの組み合わせである、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記幹細胞が間充織幹細胞である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記幹細胞または前駆細胞が、胎児、胚または成体源由来である、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記細胞が、自家、同種または異種である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記繊維、第1の足場および第2の足場が、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウムまたはそれらの組み合わせからなる群から選択される無機材料;コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、プロテオグリカン、キチン、キトサン、キトサン誘導体、フィブリン、デキストラン、アガロース、アルギン酸カルシウム、シルクまたはそれらの組み合わせからなる生体高分子の群から選択される有機材料、あるいは脂肪族ポリエステル、ポリ(アミノ酸)、ポリ(プロピレンフマレート)、コポリ(エーテル-エステル)、ポリオルトエステル、ポリアルキレンオキサレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリカプロラクトン、ポリ(イミノカーボネート)、ポリオルトエステル、ポリオキサエステル、ポリアミドエステル、アミン基を含むポリオキサエステル、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリウレタン、ヒドロキシブチレート、ジオキサノン、またはハイドロゲル、例えばポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールもしくはポリエチレンイミン、またはそれらの共重合体、混和物もしくは化学的誘導体からなる群から選択される合成高分子材料で形成される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記脂肪族ポリエステルが、ポリ乳酸もしくはポリグリコール酸またはそれらの共重合体もしくは混和物である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記繊維、第1の足場および/または第2の足場の少なくとも一部が生分解性材料である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記繊維、第1の足場および/または第2の足場の少なくとも一部が多孔性である、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
生物学的作用物質および/または化学的作用物質の存在下で、細胞播種繊維、第1の細胞播種足場および/または第2の足場をインキュベートする段階をさらに含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの生物学的作用物質および/または化学的作用物質が、前記繊維、第1の足場および/または第2の足場の少なくとも一部と結合している、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの生物学的作用物質および/または化学的作用物質が、分化剤、増殖因子、マトリックスタンパク質、ペプチド、抗体、酵素、サイトカイン、ウイルス、核酸、ペプチド、骨形成因子、軟骨形成因子、免疫抑制剤、鎮痛剤またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の方法によって得られる組織インプラント。
【請求項17】
対象内で組織を増大、修復または再生する方法であって、
(a)適切な組織源から細胞を得る段階;
(b)前記細胞を少なくとも2つの第1の足場に播種する段階;
(c)前記細胞が細胞外マトリックスを分泌するのに十分な時間、前記第1の足場を培養する段階;
(d)(c)で得られた少なくとも2つの足場を第2の足場に添加する段階;および
(e)前記対象内の部位に第2の足場を移植する段階
を含む方法。
【請求項18】
対象内で組織を増大、修復または再生する方法であって、
(a)適切な組織源から細胞を得る段階;
(b)複数の繊維を提供する段階;
(c)前記細胞が細胞外マトリックスを分泌し、細胞凝集体を形成するのに十分な時間、前記細胞と繊維をともに培養する段階;および
(f)前記対象内の部位に第2の足場を移植する段階
を含む方法。
【請求項19】
前記対象がヒトまたはヒト以外の動物である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
細胞外マトリックスを生成する前記細胞が、軟骨細胞、骨芽細胞、線維芽細胞、脂肪細胞、筋芽細胞、周皮細胞、間充織幹細胞もしくは細胞外マトリックス成分を合成することができる他の細胞型またはそれらの組み合わせからなる群から選択される間質細胞である、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記細胞外マトリックス成分がコラーゲンまたはグリコサミノグリカンである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記細胞が、幹細胞もしくは前駆細胞またはそれらの組み合わせである、請求項18から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記幹細胞が間充織幹細胞である、請求項26に記載の方法。
【請求項24】
前記幹細胞または前駆細胞が、胎児、胚または成体源由来である、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記細胞が、自家、同種または異種である、請求項18から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記繊維、第1の足場および第2の足場が、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウムまたはそれらの組み合わせからなる群から選択される無機材料;コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、プロテオグリカン、キチン、キトサン、キトサン誘導体、フィブリン、デキストラン、アガロース、アルギン酸カルシウム、シルクもしくはそれらの組み合わせからなる生体高分子の群から選択される有機材料、または脂肪族ポリエステル、ポリ(アミノ酸)、ポリ(プロピレンフマレート)、コポリ(エーテル-エステル)、ポリオルトエステル、ポリアルキレンオキサレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリカプロラクトン、ポリ(イミノカーボネート)、ポリオルトエステル、ポリオキサエステル、ポリアミドエステル、アミン基を含むポリオキサエステル、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリウレタン、ヒドロキシブチレート、ジオキサノン、またはハイドロゲル、例えばポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールもしくはポリエチレンイミン、またはそれらの共重合体、混和物もしくは化学的誘導体からなる群から選択される合成高分子材料で形成される、請求項18から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記脂肪族ポリエステルが、ポリ乳酸もしくはポリグリコール酸またはそれらの共重合体もしくは混和物である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記繊維、第1の足場および/または第2の足場の少なくとも一部が生分解性材料である、請求項18から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記繊維、第1の足場および/または第2の足場が多孔性である、請求項18から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
生物学的作用物質および/または化学的作用物質の存在下で、細胞播種繊維、第1の細胞播種足場および/または第2の足場をインキュベートする段階をさらに含む、請求項18から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
少なくとも1つの生物学的作用物質および/または化学的作用物質が、前記繊維、第1の足場および/または第2の足場の少なくとも一部と結合している、請求項18から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも1つの生物学的作用物質および/または化学的作用物質が、分化剤、増殖因子、マトリックスタンパク質、ペプチド、抗体、酵素、サイトカイン、ウイルス、核酸、ペプチド、骨形成因子、軟骨形成因子、免疫抑制剤、鎮痛剤またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
前記組織インプラントが軟骨および/または骨欠損部位に移植される、請求項18から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
添付の図および実施例を参照して実質的に本明細書に記載されている組織インプラント、方法またはキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−535605(P2010−535605A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520623(P2010−520623)
【出願日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際出願番号】PCT/GB2008/002743
【国際公開番号】WO2009/022133
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(391018787)スミス アンド ネフュー ピーエルシー (79)
【氏名又は名称原語表記】SMITH & NEPHEW PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】