説明

距離測定装置および距離測定方法

【課題】
光コムを用いた距離測定装置において、光量不足、多数の自己ビートから必要なビートのみを信号雑音比(SN比)よく抽出することが困難であるという課題を解決し、反射率が低い表面または表面が散乱面である10m程度遠方の被測定物までの絶対距離を0.1mm以上の精度で光学的で非接触な手法により簡便に測定できるようにする。
【解決手段】
対象物までの距離を測定する距離測定装置において、光源と対象物で反射または散乱された複数のCWレーザーの間のビート信号のビート信号の位相と,光源と対象物へ照射する前の複数のCWレーザーによるビート信号のビート信号の位相を比較することによって対象物までの距離を測定するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械工業、電気工業などの精密機器・精密加工部材の生産分野における精密測長・精密測距を行うための距離測定装置および距離測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から多くの測長・測距法が考案され実用化されている。機械工業や電気工業において、精密機器や精密加工部材の形状や位置を測定する目的で、測長・測距が行われている。それらの測距・測定においては、例えば精密加工部品の形状・寸法を出荷前に測定して検査とするが、そのためには被測定物に非接触で測定を行わなければならない。また、特に精密加工部品においては、高い測定精度が求められており、一般的には0.1 mm以下の精度が求められている。さらに、例えば発電機の部材や航空機の部品のように被測定物が大型の場合は、測定器から被測定物までの距離を大きくしなければならない等の条件も要求される。加えて、測定は部材の加工や組み立てを行いながら作業現場で実施できることが望ましく、そのためには距離精度のみならず、機械振動等の外乱に対して強く、測定の再現性や安定性が優れた手法でなければならない。
【0003】
被測定物へ非接触で測長・測距をする方法としては、光学的手段が適しており、測定方式としては、ホモダイン干渉法やヘテロダイン干渉法、飛行時間法(Time of flight: TOF)、ドップラー法、三角測量法などがある(非特許文献1、非特許文献2、特許文献1)。測長・測距を行う場合は、必要な精度や被測定物までの距離、測定時間、装置構成を考慮し、これらの側長・測距方法から選択される。例えば、高精度な距離測定や形状測定が必要である場合には、光干渉計を用いたホモダイン干渉法により被測定物から反射または散乱された光と、被測定物に照射される前の光との位相の変化を抽出し、距離測定する方法が広く用いられている(非特許文献1、非特許文献2)。この方法では、用いる光の波長の100分の1程度の精度で測定可能となるが、光干渉系が外乱に弱いことや比較的大掛かりな装置が必要となること、被測定物までの絶対距離を測定するために多くの時間を要すること等の理由により、実際の機械工業・電気工場の現場での適用は限られている。
【0004】
飛行時間法は、パルス状の光を用い、光源から発せられた時刻と被測定物で反射または散乱された光を光検出器で検出した時刻の差から、被測定物までの絶対距離を測定する手法である。原理が単純であるため比較的簡便に距離測定が可能であるが、光の伝播速度が速いため光検出器・回路の周波数応答性の制限を受け、現状での測定精度はミリメートル程度となっている。高い測定精度が求められる精密機器や精密加工部材の形状や位置測定には不十分であるため、現場での適用は限定的である。
【0005】
ドップラー法は被測定物で反射または散乱された光の周波数変化から、被測定物の移動速度や振動を0.05μm/s程度の測定精度で測定可能な手法である。ドップラー法では、測定量は被測定物の移動速度や振動であり、被測定物までの距離は距離基準からの移動速度を積算して求める。距離基準からの相対的な位置は比較的精度よく測定可能であり、装置構成も比較的簡便であるため、機械工業や電気工業で広く用いられている。しかし、被測定物までの絶対的な距離の測定には向いていないほか、移動速度を積算して基準距離からの相対的な距離の変化を求める手法であるため、形状測定には適していない。
【0006】
三角測量法は土木作業等で広く用いられており、簡便に絶対距離や位置を測定可能であるが、必要測定精度を得るためには大掛かりな装置が必要であること等の理由により、機械工業や電気工業の分野で用いられることは少ない。
【0007】
トラッキングという手法は、前記の距離計測の手段を用い被測定物の形状を測定する手法である。トラッキングでは被測定物の表面にターゲットを配し、光源から発した光をターゲットで反射させ、戻ってきた光を用いてターゲットまでの距離を測定する。被測定物の表面に配したターゲットの各点で距離を測定し、それらの点を繋いで被測定物の形状を求める方法である。被測定物にターゲットを配するため、光検出器に戻る光量を大きくすることができ、光源から各ターゲットまでの距離を精度よく測定することができる。しかし、被測定物表面にターゲットを配する必要があるため準備が非常に煩雑である。また、ターゲットの点数しか測定ができないため測定点が空間で離散的となり、被測定物の細かな形状の変化を捉えることは非常に困難である。そのため、機械工業や電気工業の分野では極限られた分野でしか用いられていない。
【0008】
以上のように、機械工業や電気工業の作業現場において、実際の作業環境において精度良く被測定物までの絶対距離または形状を測定することは困難である。しかし、一方で、工業製品の高機能化や安全性の向上を目的として製品の高度化、高精度化が進んでおり、被測定物までの絶対距離または形状を高精度に計測したいという要求は、年々高まっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】応用光学 光計測入門(丸善、谷田貝豊彦 著、ISBN:4−621−07530−6)
【非特許文献2】“Multi-Wavelength Interferometry for Length Measurments Using Diode Lasers”,K. Meiners-Hagen et al., Measurement Science Review, vol.9, sec.3, No. 1 2009 p16.
【非特許文献3】“High-accuracy absolute distance measurement using frequency comb referenced multiwavelength source”,Y. Salvade et al., Applied Optics vol.47(14), p2715(2008).
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−51674号公報
【特許文献2】特表平1−503172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、近年では光コムと呼ばれる光源を用いた測距・測長が開発され、注目を集めている。ここで、光コムとは可干渉である多数の周波数成分からなる光である。光コムは主としてモードロックしたパルスレーザーにより得られ、その特徴としては、図1に示すように、周波数成分1(各周波数成分をモードと呼ぶ)が等間隔(n番目のモードとn+1番目のモードの間隔3)であり、スペクトル2の半値全幅内に約105もの多数のモードが含まれること、外部の周波数参照を用いるなどしてモード間隔3を精密に制御可能であること、が挙げられる。
【0012】
図2に模式図を示すように、一般的に、光を光検出器7で検出すると、光検出器の周波数帯域の上限が光の周波数に達していないことから、検出される信号の周波数は、入力である光の周波数(f1とf2)の差周波数成分6(|f1-f2|)となる。多数のモードからなる光コムを同様に光検出器で検出すると、各モードの周波数成分は検出されず、例えば図3に示すような光コムの各モード間の干渉成分の中の光検出器の帯域に入る低周波数成分のみを検出することになる。これら光コムに含まれるモード同士の干渉を自己ビート8と呼び、その周波数は光コムの周波数の特徴を反映し、モード間隔3に等しい周波数間隔となることが特徴である。例えば、モード間隔が50 MHzである光コムの場合、図1において隣接するモードnとn+1の間隔3が50 MHzで、n番目のモードと二つ隣のモードn+2との間隔4は100 MHz、さらに隣のモードn+3との間隔5は150 MHzとなる。この場合に観測される自己ビートは図3に示すように、最低周波数がモード間隔3に等しく50 MHzとなり、次に二つ隣のモード同士の干渉に起因する100 MHz, 三つめのモードとの干渉に起因する150 MHzと順に高周波となる。
【0013】
このような特徴を持つ光コムを用いた測距・測長は、自己ビートの位相を測定することにより行われる。すなわち、図4に示すように、発振器で発振された光コム9をビームスプリッター10で二つに分割し、一方を参照光11としてある周波数のビートの位相を観測し、もう一方を測定光12として被測定物13へ照射し、戻ってきた測定光の参照光と同じ周波数のビートの位相を測定する。測定した同一周波数のビートの位相を比較し、その位相差14から光を分割した後の光路の長さの差(図4では測定光を参照光から分岐した地点から被測定物までの距離d15の2倍)を求める。測長・測距の精度は用いるビートの周波数と位相を検出する精度で決まり、例えば、50 MHzのビートを用いてその位相を1/100の精度で測定した場合は、60 mmの分解能で被測定物までの距離d15を決定できる。
【0014】
この測定を光コムで行った場合、多数の自己ビートの中から測定に好適な周波数を必要な数だけ選択可能であり、被測定物までの絶対距離を一回の測定で精度良く求められる。
これは次のよう理解できる。図5に示すように、ある波長l1の波16で距離測定をしてその1周期内での位相をa1 rad17と求めた場合、実際の位相はa1+2π×n(nは未知の整数)と2π×nの不確定性があるため被測定物までの距離はl1×(a1/2π)であるのかl1×(a1/2π+1)なのかl1×(a1/2π+1)なのか定められない。つまり、位相のみでは波長より長い距離での測長・測距が行えない。ここに、より波長の長い波長l2(l1<l2)の波18を導入する。先ほどと同様に、波長l2の波の1周期内での位相をa2 rad19と決定した場合、l2による距離測定ではl2×(a2/2π+m)と距離を決定できる。相変わらずmという不確定性が存在するが、l1>l2であるため、l1での測定より広い範囲で距離を決定できる。また、l2の測定で被測定物の位置がl2×(a2/2π+m)と決まるため、l1での測定による不確定性nはn=(l2×a2/2π)/l1と決まる。結局、l1とl2で同時に測定するとl2の波長単位での不確定性は残るものの、l2のみで測定するより精度をl1/l2に向上でき、l1のみで測定するより測定レンジをl2/l1だけ拡大できる。このように複数の波長を用い、複数のビートを測定することにより測定レンジを大きくし、かつ分解能を向上させて被測定物までの距離を測定できる。
【0015】
具体的には、例えば、5 GHzの自己ビート信号と50 MHzの自己ビート信号を1/100の位相分解能で測定した場合を考える。すると50 MHzの自己ビートから6000 mmの測定レンジで60 mmの分解能で距離を決定でき、さらに、5 GHzの自己ビートからその距離分解能を0.6 mmに向上可能となる。光コムを用いた場合はMHz-THzの帯域に多数の自己ビートが存在するために、自己ビートを適切に選択することにより被測定物までの距離を一意に高精度に決定できる。この、一意に決められた被測定物までの距離を“絶対距離”と表現する。
【0016】
以上のように、光コムを用いる測長・測距の方法は、一度の測定で被測定物までの絶対距離を精度よく測定することが可能である。しかし、機械工業や電気工業の作業現場においては以下に挙げるような課題があり未だ普及していない。
(A)光量不足
(B)多数の自己ビートから必要なビートのみを信号雑音比(Signal to noise ratio:SN比)よく抽出することが困難
(C)被測定物に対する要求
上記課題を鑑み、本発明は、特に上記(A)(B)を解決し、反射率が低い表面または表面が散乱面である10m程度遠方の被測定物までの絶対距離を0.1mm以上の精度で光学的で非接触な手法により簡便に測定する距離測定装置及び距離測定方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば次の通りである。
(1)対象物までの距離を測定する距離測定装置であって、一定周波数間隔の光を発振する光源と、前記光源の周波数に対して一定の周波数差となるように制御された複数のCWレーザーと、前記複数のCWレーザーを前記対象物へ照射する手段と、前記複数のCWレーザーを対象物表面上で空間的に走査する手段と、前記光源と前記対象物で反射または散乱された前記複数のCWレーザーを受光しビートを観測する手段と、前記光源と前記対象物で反射または散乱された前記複数のCWレーザーによるビート信号のビート信号を生成する手段と、前記光源と前記対象物で反射または散乱された前記複数のCWレーザーによるビート信号のビート信号の位相を抽出する手段と、前記光源と前記対象物へ照射する前の前記複数のCWレーザーによるビート信号のビート信号の位相を抽出する手段を備え、前記光源と前記対象物で反射または散乱された前記複数のCWレーザーの間のビート信号のビート信号の位相と,前記光源と前記対象物へ照射する前の前記複数のCWレーザーによるビート信号のビート信号の位相を比較することによって前記対象物までの距離を測定することを特徴とする距離測定装置である。
(2)対象物までの距離を測定する距離測定装置であって、一定周波数間隔の光を発振する光源と、前記光源の周波数に対して一定の周波数差となるように制御された複数のCWレーザーと、前記複数のCWレーザーを前記対象物へ照射する手段と、前記複数のCWレーザーを前記対象物表面上で空間的に走査する手段と、前記光源と前記対象物で反射または散乱された前記複数のCWレーザーを受光しビートを観測する手段と、前記光源と前記対象物で反射または散乱された前記複数のCWレーザーによるビート信号のビート信号を生成する手段と、前記光源と前記対象物で反射または散乱された前記複数のCWレーザーによるビート信号のビート信号の位相を抽出する手段と、前記光源と前記対象物へ照射する前の前記複数のCWレーザーによるビート信号のビート信号の位相を抽出する手段を備え、前記光源と前記対象物で反射または散乱された前記複数のCWレーザーの間のビート信号のビート信号の位相と,前記光源と前記対象物へ照射する前の前記複数のCWレーザーによるビート信号のビート信号の位相を比較することによって前記対象物までの距離を測定することを特徴とする距離測定装置である。
(3)対象物までの距離を測定する距離測定装置であって、複数の発振周波数が可変であるCWレーザーと、前記複数のCWレーザーによるビートを取得する手段と、前記複数のCWレーザーの発振周波数差を一定に保つ周波数安定化の手段と、前記対象物に前記CWレーザーを照射する光学系と、前記複数のCWレーザーを前記対象物表面上で走査させる光学系と、前記対象物から反射または散乱した前記複数のCWレーザーを受光する光学系と、前記対象物から反射または散乱した前記複数のCWレーザーの間のビートを抽出する手段と、前記対象物から反射または散乱した前記複数のCWレーザーの間のビートの位相を抽出する手段と、前記抽出した位相から前記対象物までの距離を算出する手段を備え、前記対象物からの反射光または散乱光の少なくともどちらか一方の位相と前記対象物へ照射する前の位相の差によって前記対象物までの距離を測定することを特徴とする距離測定装置である。
(4)対象物までの距離を測定する距離測定装置であって、複数の発振周波数が可変であるCWレーザーと、前記複数のCWレーザーによるビートを取得する手段と、前記複数のCWレーザーの発振周波数差を一定に保つ周波数安定化の手段と、前記対象物に前記CWレーザーを照射する光学系と、前記複数のCWレーザーを前記対象物表面上で走査させる光学系と、前記対象物から反射または散乱した前記複数のCWレーザーを受光する光学系と、前記対象物から反射または散乱した前記複数のCWレーザーの間のビートを抽出する手段と、前記対象物から反射または散乱した前記複数のCWレーザーの間のビートの位相を抽出する手段と、前記抽出した位相から前記対象物までの距離を算出する手段を用い、前記対象物からの反射光または散乱光の少なくともどちらか一方の位相と前記対象物へ照射する前の位相の差によって前記対象物までの距離を測定することを特徴とする距離測定装置である。
(5)対象物までの距離を測定する距離測定装置であって、複数の発振周波数を有する光源CWレーザーと、前記光源のビートを取得する手段と、前記対象物に前記光源から発せられた光を照射する光学系と、前記光源から発せられた光を前記対象物表面上で走査させる光学系と、前記対象物から反射または散乱した前記光源から発せられた光を受光する光学系と、前記対象物から反射または散乱した前記光源から発せられた光の間のビートを抽出する手段と、前記対象物から反射または散乱した前記光源から発せられた光の間のビートの位相を抽出する手段と、前記抽出した位相から前記対象物までの距離を算出する手段を備え、前記対象物からの反射光または散乱光の少なくともどちらか一方の位相と前記対象物へ照射する前の光の位相の差によって前記対象物までの距離を測定することを特徴とする距離測定装置である。
(6)対象物までの距離を測定する距離測定方法であって、複数の発振周波数を有する光源CWレーザーと、前記光源のビートを取得する手段と、前記対象物に前記光源から発せられた光を照射する光学系と、前記光源から発せられた光を前記対象物表面上で走査させる光学系と、前記対象物から反射または散乱した前記光源から発せられた光を受光する光学系と、前記対象物から反射または散乱した前記光源から発せられた光の間のビートを抽出する手段と、前記対象物から反射または散乱した前記光源から発せられた光の間のビートの位相を抽出する手段と、前記抽出した位相から前記対象物までの距離を算出する手段を用い、前記対象物からの反射光または散乱光の少なくともどちらか一方の位相と前記対象物へ照射する前の光の位相の差によって前記対象物までの距離を測定することを特徴とする距離測定方法である。
(7)対象物までの距離を測定する距離測定装置であって、一定周波数間隔の光を発振する光源と、前記光源の周波数に対して一定の周波数差となるように制御された複数のCWレーザーと、前記複数のCWレーザーによる光を測定光と参照光とに分岐する光分岐手段と、前記光分岐手段により得た測定光を前記対象物に照射し、前記測定光による前記対象物からの反射光または散乱光と、前記光源からの光と、を検出する第一の検出手段と、前記参照光と、前記光源からの光と、を検出する第二の検出手段と、前記第一の検出手段により得られた信号に基づいて算出される、前記光源からの光と前記測定光による反射光又は散乱光によるビート信号の位相と、前記第二の検出手段により得られた信号に基づいて算出される、前記光源からの光と前記参照光によるビート信号の位相と、を比較することによって前記対象物までの距離を算出する処理手段と、を有することを特徴とする距離測定装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、反射率が低い表面または表面が散乱面である10m程度遠方の被測定物までの絶対距離を0.1mm以上の精度で光学的で非接触な手法により簡便に測定する距離測定装置及び距離測定方法の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】光コムのスペクトルの模式図である。
【図2】光検出器によってビート信号が生成される様子を表した模式図である。
【図3】光コムから発生したビート信号の周波数スペクトルを表す模式図である。
【図4】被測定物までの距離と測定光と検出光の位相差の関係を表す模式図である。
【図5】2つのビートによる測定精度向上と測定レンジ拡大の関係である。
【図6】光コムと光コムと周波数が一定の関係になるように制御されたレーザーのスペクトルを表す模式図である。
【図7】光コムとCWレーザーによって発生するビート信号の周波数スペクトルを表す模式図である。
【図8】光コムとCWレーザーのビートを混合して得られたビートの周波数スペクトルである。
【図9】光コムに周波数ロックしたCWレーザーを用いた測長・測距装置の構成を表す模式図である。
【図10】周波数源の一例を表す図である。
【図11】レーザードライバの構成例を表す図である。
【図12】回路の構成例を表す図である。
【図13】回路の構成例を表す図である。
【図14】回路の構成例を表す図である。
【図15】光学系の構成例を表す図である。
【図16】測定光を走査する光学系の構成例を表す図である。
【図17】測定光を走査する光学系の構成例を表す図である。
【図18】測定光を走査する光学系の構成例を表す図である。
【図19】測定光を走査する光学系の構成例を表す図である。
【図20】光コムに独立して周波数ロックしたCWレーザーを用いた測長・測距装置の構成を表す模式図である。
【図21】回路の構成例を表す図である。
【図22】回路の構成例を表す図である。
【図23】回路の構成例を表す図である。
【図24】差周波数が制御されたレーザーのスペクトルを模式的に表す図である。
【図25】周波数制御された複数台のレーザーを光源とする測長・測距計の構成例を表す模式図である。
【図26】回路の構成例を表す図である。
【図27】回路の構成例を表す図である。
【図28】回路の構成例を表す図である。
【図29】3つの異なる周波数のCWレーザーとそれらによって発生するビート信号の周波数の関係を模式的に表す図である。
【図30】3つの周波数が制御されたCWレーザーによって測長・測距を行う装置の構成を模式的に表した図である。
【図31】回路の構成例を表す図である。
【図32】回路の構成例を表す図である。
【図33】回路の構成例を表す図である。
【図34】回路の構成例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上記した課題(A)については、用いる光コムの強度を強くすることにより解決可能であるが、実際の作業現場においては安全上の制約から光強度の増強はさほど望めない。そこで、本発明では、この問題を解決するために、被測定物に照射する光の総量は安全な範囲に留めつつ、測長に必要な光のみを強くする方式を提案する。
【0021】
以下、図を用いて説明する。
本発明においては、光コムに加えて波長が制御可能なCWレーザーを2台用いる。これらCWレーザーの周波数スペクトルと光コムの周波数スペクトルの関係を図6に示す。光コムの各モード1はスペクトル2の分布をしており、各モード間隔3は一定である。この光コムの分布する範囲にCWレーザーの周波数を調整する。第一のCWレーザーの周波数20は、光コムのr番目のモードとr+1番目のモードの間に固定し、その周波数はr番目のモードよりfr-LD1だけ高周波数のfLD1とする。もう一方の第二のCWレーザーの周波数21は、光コムのs番目のモードとs+1番目のモードの間に固定し、その周波数はs番目のモードよりfs-LD2だけ高周波数のfLD2とする。第一のCWレーザーの周波数20と第二のCWレーザーの周波数21の周波数差22はfLD2-fLD1となる。このように光コムの周波数に対してその発振周波数を一定の周波数差に固定するために、第一及び第二のCWレーザーとしては、周波数が可変で、その発振スペクトルの幅が光コムのモード間隔3より十分に狭いCWレーザーを用いる。
【0022】
このように光コムのモードに対して発振周波数を一定の周波数差に固定したCWレーザーを用いた場合、光コムを被測定物へ照射せずに2つのCWレーザーのみを照射することで、CWレーザーの周波数差22に対応したビートの位相を測定して測長ができる。この場合、光コムを被測定物へ照射する場合に比べて、測定に用いる光の強度を光コムのみの場合に比べて強くしつつ被測定物へ照射する光の全強度を弱くすることが可能であり、実際の作業現場において使用が可能となる。
【0023】
光コムとCWレーザーを光検出器で一緒に検出した場合のスペクトルを図7に示す。即ち、光コムの自己ビート8が低周波数側から等間隔に観測され、そのスペクトルに重畳するようにCWレーザーの周波数差22に対応したモードが観測され、かつ、光コムとCWレーザーのビート23, 24も観測される。ここで、ビート23, 24の周波数はfr-LD1とfs-LD2である。高精度の測長・測距を行う場合、CWレーザーの周波数差22を大きくして、ビート周波数を高周波にしてその位相を求める必要があるが、高周波数にすると光検出器の帯域の制限や、位相を乱さずに抽出する際に困難が生じる。そこで、本発明では光コムとCWレーザーのビート23, 24の間のビート生成し、CWレーザー間のビート22の位相を求める。まず初めに、光検出器から得られる図7に示す周波数信号から、ビート23, 24のみを各々別々に抽出する。その後に、ビート23とビート24を電気的に混合して、ビート23とビート24のビート25, 26を生成する。最後に、ビート25とビート26のどちらか片方のビートのみをフィルターによって抽出する。このようにビートのビートを抽出する操作を、参照光と測定光の両方で行い、光コムとCWレーザーの間のビートの間のビートの位相を比較して被測定物までの距離を求める。ここで、光コムとCWレーザーの間のビートの間のビートのビート25, 26は、図8に示すように、光コムとCWレーザーのビート23, 24の周波数差と周波数和に対応しており、どちらを用いても含まれる情報は同じである。
【0024】
次に、図9で上記の測長・測距を行う装置の例を説明する。
光コムの発振器101は、CWレーザー102で励起され、光ファイバー103へ導かれる。光ファイバー103には、反射光や散乱光により光コム発振器101の発振が不安定にならないようにアイソレーター104が挿入されている。光ファイバー103の他端はアプトプットカプラー105と接続されており、光ファイバー103から射出される。光ファイバー103から出た光コムはビームスプリッター106で二つに分割され、ビームスプリッター107で反射されて光検出器108へ導かれる。光検出器108で検出された光コムは、図3に示した様なスペクトルとなる。光検出器108の前には特定の波長の光のみ透過するフィルター109を配置する。光検出器108で検出されたビート信号は、回路110によって増幅され、回路111に導かれる。回路111には、周波数参照112から一定周波数の信号が入力として与えられている。回路111は、光コムのモード間隔3に対応するビート信号のみを抽出し、周波数参照112から導かれた一定周波数の信号とモード間隔3の周波数を比較し、その周波数差を出力する。出力された周波数差の信号は、光コム発振器101へ導かれ、光コムの発振周波数を一定に保つように用いられる。
【0025】
被測定物までの測長・測距に用いるCWレーザーは本実施例においては113と114である。第一のCWレーザー113と第二のCWレーザー114は各々レーザードライバ115と116で駆動・制御される。第一のCWレーザー113の周波数は第二のCWレーザー114の周波数より低周波数であるとし、第一のCWレーザー113の発振周波数は図6の20に、第二のCWレーザー114の発振周波数は図6の21に対応する。第一のCWレーザー113と第二のCWレーザー114から発振された光は各々光ファイバーで導かれ、二つの光ファイバーはカプラー117で一本の光ファイバーへ導かれる。ここでも、反射光・散乱光を防ぎCWレーザーの発振が安定化するようにそれぞれにアイソレーター104を挿入する。カプラー117で結合したCWレーザーはアウトプットカプラー108から射出される。射出されたCWレーザーはビームスプリッター119で分割され、一方を測定光、もう一方を参照光として用いる。参照光はビームスプリッター119で反射された後、ビームスプリッター120で光コムと結合され、光検出器121へ導かれる。光検出器121の前には特定周波数の光のみを透過するフィルター122を配置する。光検出器121で検出された光コムおよびCWレーザーのビート信号は、回路123によって増幅・混合・周波数フィルタリングされる。
【0026】
回路123では、光コムとCWレーザーのビート23と24をフィルタリングで抽出し、各々を混合してビート25と26を生成する。ビート25と26の一方をフィルタリングで抽出し、測定光に対する参照信号として位相比較器124へ導く。光コムとCWレーザーのビート23と24は、CWレーザーの発振周波数を安定化させるために、レーザードライバ115と116に導く。すなわち、ビート23はレーザードライバ115へ、ビート24はレーザードライバ116へ導く。
【0027】
ビームスプリッター119で分割されたCWレーザーのもう一方は、光学系125を透過して被測定物126へ照射される。被測定物によって反射・散乱された測定光は、光学系125によって採光され、ビームスプリッター119で反射され、ビームスプリッター107で光コムと同軸になり、フィルター109を透過して光検出器108に達する。光検出器で検出された光コムとCWレーザーのビート23と24は、回路110でフィルタリングによって各々別々に抽出され、抽出されたビート信号23と24を混合してビート信号25と26を生成し、一方をフィルタリングで抽出する。抽出する周波数は、回路123から位相比較器124へ導かれる信号の周波数と同じ周波数とする。抽出されたビート信号は位相比較器124に導かれ、参照信号と比較してその位相を算出する。算出された位相は演算器127において距離に換算され、換算された距離が表示手段(図示しない)に表示される。
【0028】
次に、図9に示した各構成要素について、図9乃至図19を用いて説明する。
図10には周波数参照112の一例を示す。周波数参照112とは、光コムのモード間隔3に近い一定の周波数を外部に発する周波数源である。周波数参照112は安定化した発振器128からの信号または原子時計129からの信号、またはGPS信号130を受信するアンテナ131を備えたものであり、各信号源から受信した周波数信号を分周器132で光コムのモード間隔3に近い周波数まで周波数を下げる機能を有する。ここで、安定化発振器128には、必要な測定精度に応じて、水晶振動子や弾性波発振器、フェーズロック発振器、ルビジウム発振器などを用いる。
【0029】
図11にレーザードライバ115、116の構成例を示す。
回路123から伝わってきた周波数fr-LD1またはfs-LD2の信号は、分周期133で周波数を降下させ、FVコンバーター134で周波数を比例する電圧に変換し、PI制御器135によってFVコンバーター134の出力の電圧が一定になるようにCWレーザー駆動器136へ印加する電圧を制御する。このような構成により、周波数fr-LD1またはfs-LD2を一定に保つことができ、各CWレーザー113、114の周波数差22を一定に保つことができる。
【0030】
図12に回路110の構成例を示す。
光検出器108からの入力は増幅器137で増幅され、信号a, b, cの三つに分割する。信号aは光コムの各モードの周波数間隔に対応する成分のみを抽出するバンドパスフィルター138によって光コムの自己ビート8の最低周波数成分のみを抽出され、周波数比較器111へ送る(出力A)。信号bは周波数fr-LD1付近のみを透過するバンドパスフィルター139によって、光コムとCWレーザーのビート23のみを抽出し、ミキサー140へ入れる。信号cは周波数fs-LD2付近のみを透過するバンドパスフィルター141によって、光コムとCWレーザーのビート24のみを抽出され、ミキサー140へ入れる。ミキサー140によってビート信号23と24が掛け算され、ビート信号23と24のビート信号25と26が生成される。ビート信号25と26は、バンドパスフィルター142によって、例えば、低周波数側のビート25のみを抽出され、位相比較器124へ送られる(出力B)。
【0031】
図13に回路123の構成例を示す。
光検出器121からの入力は、増幅器137で増幅され、信号d, eの二つに分割される。分割された信号dは、周波数fr-LD1の周波数のみを透過するバンドパスフィルター139によって光コムとCWレーザーのビート23のみを抽出され、二つに分割される。分割された信号の一方はCWレーザーの周波数を安定化させるために用いる(出力D)。もう一方の信号はミキサー140へ導かれる。信号eは周波数fs-LD2付近のみを透過するバンドパスフィルター141によって、光コムとCWレーザーのビート24のみを抽出され、二つに分割される。分割された信号の一方はCWレーザーの周波数を安定化させるために用いる(出力E)。もう一方の信号はミキサー140へ導かれる。ミキサー140では、バンドパスフィルター139、141で抽出された周波数fr-LD1とfs-LD2の周波数信号を混合し、ビート信号25と26を生成する。ビート信号25と26は、バンドパスフィルター142によって、例えば、低周波数側のビート25のみを抽出され、位相比較器124へ送られる(出力F)。なお、回路110と回路123でビート信号25と26に対して用いられるバンドパスフィルター142は、高周波数側のビート26を抽出するように設定しても良い。
【0032】
図14に回路111の構成例を示す。
周波数参照112から発振された一定周波数の信号gと回路110の出力Aからの入力hを周波数比較器143導き、信号gと信号hの周波数差を抽出する。周波数比較器からの出力は制御器144に導かれ、制御器144の出力は光コムの周波数を制御する制御器145へ導かれる。制御器144はその入力が設定値となるように制御器145を制御し、制御器145は制御器144の出力に従って光コムの発振周波数を制御する。光コムの発振周波数の制御は、例えば、光コム発振器101が光ファイバーで構成されている場合は、光ファイバーに応力を印加して発振器長を変えることや、応力を加えるまたは温度を変えて屈折率を変化させて光路長を変化させで実現できる。この回路111により、光コムの発振周波数、すなわちモード間隔3を周波数参照112に対して一定に保つことができる。
【0033】
図15乃至図19に光学系125の例を模式的に示す。
図15は、光学系125の被測定物126に最も近い部分を示している。レンズ146は光学系125の被測定物126に最も近いレンズであり、レンズ146と被測定物126は距離147(X m)だけ離れているとする。(a)に示すように被測定物126が光学系125に対して角度148(Y rad)だけ傾いている場合、測定光149の被測定物126からの反射光150は2×X×Y mだけレンズ146上で変位する。そのため、想定される被測定物までの距離147と被測定物鏡面の傾き148を考慮し、レンズ146の口径を2×X×Y m以上とする。(b)に示すように被測定物表面が散乱面151であった場合は、散乱光152がレンズ146へ戻ってくる。散乱光152が測定光149照射位置から等方的に散乱される場合、レンズ146で採光可能な光量はレンズ146の口径の自乗に比例するため口径を大きくして光量を稼ぎ、信号対雑音比を大きくすることができる。
【0034】
図16乃至図19に測定光を2次元的に走査する光学系の例を示す。
図16は、ポリゴンミラー153を用いる例を示す。(a)のように走査光学系に入射してきた測定光154はポリゴンミラー153でその伝播方向を変えられ、伝播方向を変えられた測定光155は被測定物へ照射される。また(b)に示すように、被測定物へ照射される測定光155は、ポリゴンミラーの回転156に伴いその方向を変え、被測定物表面上を1次元的に走査する。回転軸が直交する二つのポリゴンミラーを組み合わせて用いることにより、測定光155を被測定物表面で2次元走査可能である。
【0035】
図17は、円筒157断面に設けられた斜めミラー158を用いて測定光154を2次元的に走査する光学系の例を示す。(a)に示したように、走査光学系に入射してきた測定光154は、斜めミラー158でその方向を変えられ、方向を変えられた測定光155は被測定物へ照射される。この測定光155は、円筒157、即ち斜めミラー158の回転159に伴い、その方向160を回転させる。円筒の回転159により、測定光155を円形に走査可能である。一方、(b)に示すように、斜めミラー158の測定光が照射されている点を通り、円筒長軸と直角方向の回転軸161で斜めミラー158を回転すると、測定光155を、回転159と異なる方向に走査可能である。このように斜めミラー158を円筒軸回りの回転159と回転軸161回りでの回転を組み合わせることにより、測定光を被測定物表面上で3次元的に走査可能である。
【0036】
図18は、放物面鏡163とポリゴンミラー153を用いて測定光154を走査する光学系の模式図を示す。(a)に示すように、放物面鏡163の焦点に回転軸を持つポリゴンミラー153を回転させ、測定光154が放物面鏡163表面に当たる位置と角度を変化させる。放物面鏡163表面に当たる位置と角度に応じて、放物面鏡163から被測定物へ照射される測定光155を1次元的に走査可能である。更に、(b)に示すように放物面鏡163とポリゴンミラー153を一体としてポリゴンミラー153回転軸と直交方向に回転することで、測定光154を被測定物表面上で2次元走査可能である。本方式は、被測定物に照射する測定光155が平行とできる。なお、放物面鏡163とポリゴンミラー153の組み合わせでは、ポリゴンミラー153が放物面鏡163の中に設置されるため、被測定物上で走査できない領域が存在する。そのため、(c)に示すように、放物面鏡164の様に放物面鏡163を半分にした物を用いることで、ポリゴンミラー153のために走査できない範囲を無くすことができる。
【0037】
図19は、対になったミラー165, 166を用いて測定光154を走査する光学系の模式図を示す。(a)に示すように、ミラー165、166はその鏡面が対面しており、各々直交する回転軸167, 168で回転する。ミラー166の回転軸167の回転により、走査光学系から射出される測定光155を1次元的に走査可能である。(b)に示すように、ミラー165の回転軸168の回転により、ミラー166に当たる位置を変化させることができ、そのため走査光学系から照射される測定光155を1次元的に走査可能である。ミラー166の回転軸167の回転と、ミラー165の回転軸168の回転を組み合わせることにより、測定光155を被測定物表面上で2次元的に走査可能である。なお、ミラー165とミラー166を回転させる替りに、回転軸167, 168回りで振動させることで測定光155を走査してもよい。
【0038】
図20に測長・測距を行う装置の別の例を示す。図20に示した装置構成では、第一のCWレーザー113と第二のCWレーザー114の発振周波数fLD1, fLD2をより安定させるための構成となる。
光コム発振器101から発振した光は、光ファイバー103に結合され、光コム共振器101を安定化させるためのアイソレーター104をとおり伝播する。図20に示した構成では、光コムはファイバーカプラー169によって三つに分岐される。3分割する際の光の強度比は必ずしも3等分の必要は無く、アウトプットカプラー170へ伝播する光に対してファイバーカプラー172, 175へ伝播する光は弱くして、測定光や参照光と結合する光を強くするなど、測定精度向上や装置構成などを考慮して適宜決定することができる。
【0039】
分岐した光コムの一つはアウトプットカプラー170に伝播する。アウトプットカプラー170から先は図9と同じであり、一部説明を省略する。三つに分岐した一部は、ファイバーカプラー172でCWレーザー113の光と結合し光検出器177で検出される。光検出器177で検出される光は、光コムとCWレーザー113の周波数差fr-LD1のビート信号であり、図7のビート23に当たる。光検出器177で検出されたビート信号は、回路178に導かれ、CWレーザー113の発振周波数を光コムの周波数に対して一定の関係に保つために用いられる。回路178の具体的例を図21に示す。光検出器177からの入力jからフィルター182によってfr-LD1の周波数だけ抽出し、FVコンバーター134で周波数を比例する電圧に変換し、PI制御器135によってFVコンバーター134の出力の電圧が一定になるようにCWレーザー駆動器136へ印加する電圧を制御する。このような構成により、周波数fr-LD1を一定に保つことができ、CWレーザー113の周波数差22を一定に保つことができる。
【0040】
ファイバーカプラー169で三つに分岐した光で、ファイバーカプラー175へと導かれた光は、CWレーザー114からでた光とファイバーカプラー175で結合する。結合した光は光検出器179で検出される。光検出器179で検出される信号は光コムとCWレーザー114の周波数差fr-LD2のビート信号であり、図7のビート24に当たる。光検出器179で検出されたビート信号は回路180に導かれ、CWレーザー114の発振周波数を安定化させるために用いる。回路180の具体的構成例を図22に示す。光検出器179からの入力kをフィルター183でfs-LD2の周波数だけを抽出し、FVコンバーター134で周波数をそれに比例する電圧に変換し、PI制御器135によってFVコンバーター134の出力電圧が一定になるようにCWレーザー駆動器136に印加される電圧を制御する。このような構成により、周波数fs-LD2を一定に保つことができ、CWレーザー114の周波数差23を一定に保つことができる。
【0041】
ここで用いるフィルター182は周波数fr-LD1を透過し、fr+1-LD1以上の周波数を透過させないローパスフィルターを用いることができる。また、fr-LD1より低周波数の信号も除去したい場合はバンドパスフィルターを用いても良く、また、ローパスフィルターとハイパスフィルターを組み合わせて用いてもよい。フィルター183は周波数fs-LD2を透過し、fs+S-LD2以上の周波数を透過させないローパスフィルターを用いることができる。また、fs-LD2より低周波数の信号も除去したい場合はバンドパスフィルターを用いてもよく、また、ローパスフィルターとハイパスフィルターを組み合わせて用いてもよい。
【0042】
図20に示したような構成によって第一のCWレーザー113と第二のCWレーザー114の周波数を光コムと一定の関係に保つようにすると、(a)周波数fr-LD1とfs-LD2の接近した周波数のビート信号を分離して抽出するような減衰特性の優れたフィルターを準備する必要が無い、(b)CWレーザー113と114の周波数を光コムに対して安定化させる過程における不安定要素を取り除ける、といった利点がある。
【0043】
ここで、上記(b)について簡単に説明する。
第一のCWレーザー113または第二のCWレーザー114を光コムに対して安定化させる場合、CWレーザーの周波数と最も周波数が近い光コムのモードとの間の周波数差を用いる。最終的に各CWレーザー113、114の発振周波数を必要測定精度に相当する高周波数まで大きくするが、CWレーザー起動直後は各CWレーザー113、114の発振周波数が非常に近いかもしれない。その場合、光コムとのビート信号も非常に近い周波数に2つ現れることになる。その場合、CWレーザーを安定化させるために用いる回路を図13のように構成すると、フィルター139とフィルター141のどちらか片方のみを透過することとなり、例えばフィルター139を透過した場合は出力Fが得られないこととなる。そうすると、一方のCWレーザーの駆動器には入力が無く、発振周波数の制御がなされない。また、出力Dを用いて発振周波数を制御しているCWレーザーにおいても、FVコンバーターに二つの周波数の信号が入力され、それを基にPI制御を行うため、不安定になる。しかし、図20に示した構成では、CWレーザーは各々別々に光コムと結合してビート信号を生成し、各々のビート信号は別々の光検出器で検出されるため、上記の問題は起こらない。ビート信号をフィルタリングして抽出した信号の中には、CWレーザー自身と光コムとのビートしか存在しないため、周波数制御が不安定になる問題は生じない。
【0044】
図20に示した構成図の回路181の具体的構成例を図23に示す。
光検出器121からの入力は、増幅器137で増幅され、m, nの二つに分割される。分割された信号mは、周波数fr-LD1の周波数のみを透過するバンドパスフィルター139によって光コムとCWレーザーのビート23のみを抽出され、また、信号nは周波数fs-LD2付近のみを透過するバンドパスフィルター141によって、光コムとCWレーザーのビート24のみを抽出され、ミキサー140へ導かれる。ミキサー140では、周波数fr-LD1とfs-LD2の周波数信号を混合し、ビート信号25と26を生成する。ビート信号25と26は、バンドパスフィルター142によって、例えば、低周波数側のビート25のみを抽出され、位相比較器124へ送られる(出力M)。なお、回路110と回路123でビート信号25と26に対して用いられるバンドパスフィルター142は、高周波数側のビート26を抽出するように設定しても良い。
【0045】
次に、光コムを用いた測長・測距の、電気機械工業への適用に関する課題(B)について、まず原因を述べ、次に対策を説明する。
光コムを用いて測長・測距を行う場合、自己ビートを観測することで行う。光検出器で光コムを検出して発生する自己ビートは、光検出器の周波数帯域にも因るが、おおよそ104程度発生する。しかし実際の距離測定に用いるビート信号はそれらビートの中の1ビートに過ぎない。そのため、光検出器で検出した全周波数帯域に広がる信号(以後、バックグラウンドとよぶ)から目的とするビートのみを抽出することは、困難である。さらに、目的とするビート信号の強度は検出された光信号の103-104程度と弱く、光検出器が飽和しないように光を弱めて測定をする場合は、必要となるビート信号が非常に微弱となる。そのため信号対雑音比が低下し、測定精度が低下する。この問題解決の為に、光検出器で光を検出する前に、光学的なバンドバスフィルタを用いて必要なビート信号周辺のみを選択的に抽出し、検出される光信号に占める必要な信号の比率を大きくするなど工夫をするが、本質的な解決に至っていない。
【0046】
そこで、本発明においては、バックグラウンドが存在せず測長に必要な光のみを用いる方式を提案する。
光源には発振周波数が制御された単一周波数で発振するCWレーザーを複数台、または単一CWレーザーで複数モード発振するCWレーザー、または単一の周波数で発振するCWレーザーを2分割し、一方ないし両方に周波数変調を加えたものを用いる。以後、図24(a)に示したように周波数f1で発振するCWレーザー(201)と周波数f2で発振するCWレーザー(202)を光源として用いる場合を例に、原理と構成例を説明する。
【0047】
光源から照射されたCWレーザーを二つに分割し、一方を参照光として、もう一方を測定光とする。参照光は分割された後に光検出器に検出され、図24(b)に示すように差周波数に相当するビート信号を得る(203)。測定光は、分割された後に被測定物へ照射される。被測定物で反射または散乱された測定光を採光して光検出器で検出し、差周波数に相当するビート信号を得る。測定光のビート信号は参照光のビート信号に比べ、被測定物に伝播して戻ってくる距離に相当する分、位相が遅れている。この位相遅れとビートの周波数から、被測定物までの距離を求められる。距離の測定精度はビート信号の周波数、すなわち光源から照射される光の周波数差と周波数差の安定性、および位相の測定精度によって決定され、例えば50 GHzの周波数差の光を用いて位相をπ/50の精度で決定した場合、距離測定精度は約30 μmとなる。
【0048】
本検出原理においては、光検出器で検出される測定光は2モードしかない。そのため、周波数f1の光強度がa1で周波数f2の光強度がa2で合った場合、検出される信号は数式1で表される。
(数1)|a1*exp(i 2π f1 t)+a2*exp(i 2π f2 t)|^2 = a1^2+a2^2+a1*a2*exp(i 2π (f1-f2) t)+a1*a2*exp(-i 2π (f1-f2) t)
これより、ビート信号は検出される全信号の2*a1*a2/(a1^2+a2^2+2*a1*a2)となることがわかり、a1=a2である場合は全体の50 %が測定に使えるビート信号である。周波数の参照として光コムを用いる場合が全信号の数 %であるので、本検出方法において約10倍に信号強度を高めることが可能である。
【0049】
本測定原理に基づいて測定を行う距離測定系の具体的構成例を図25に示す。
周波数f1で発振するCWレーザー204は回路205で駆動と発振周波数の制御がなされ、周波数f2で発振するCWレーザー206は回路207で駆動と発振周波数が制御される。CWレーザー204、206にはその発振周波数を制御可能で狭帯域発振をするCWレーザーを用い、例えば、帰還形CWレーザーを用いることが考えられる。CWレーザー204はアイソレーター208によって、またCWレーザー206はアイソレーター209によって、外部からの反射光や散乱光が発振器に戻らないようにし、CWレーザー発振を安定化させる。CWレーザー204から射出した光は、ファイバーカプラー210で2つに分割され、一方が光検出器211に達する。CWレーザー206から射出した光はファイバーカプラー212で2つに分割され、一方が光検出器211に達する。光検出器211は、CWレーザー204とCWレーザー206からの光を検出し、その差周波数f1-f2(図24の203)に相当するビート信号を出力する。光検出器211から出力されたビート信号は回路213へ導かれ、周波数源214の周波数と比較される。周波数源214には、図10に示したように、原子時計や高精度発振器、またはGPS(全地球測位システム)で用いられている一定周波数の電波信号を用いることができる。回路213においてはビート信号と参照周波数を比較して、その周波数差に比例する電流又は電圧を出力する。周波数差に比例する信号は回路205と回路207に入力され、CWレーザー204とCWレーザー206の発振周波数を制御し、周波数差を一定になるような制御のために用いる。このように、外部の参照周波数を用いることにより、複数のCWレーザーの発振周波数の差を一定に保つことができる。
【0050】
次に測定系の説明を行う。
CWレーザー204から射出されファイバーカプラー210で分割された光の一部は、ファイバーカプラー215に達し、CWレーザー206から射出されファイバーカプラー212で分割された光の一部と混合される。混合されて伝播する光はファイバーカプラー215によって参照光と測定光に分割される。ここで、ファイバーカプラー215の光の分割比は1:1の必要は無く、参照光は弱くして測定光を強くするように適宜選択してもよい。参照光は光検出器216で受光され、周波数差に相当するビート信号に変換され、回路217へ送られる。測定光はファイバーカプラー215で分割された後、アイソレーター218を通りアウトプットカプラー219によりファイバーから大気中へ射出され、光学系220を通って被測定物221へ照射される。被測定物で反射または散乱された光は光学系221によって受光され、ビームスプリッター222で光路を分岐され、光検出器223で検出される。光検出器223は測定光を周波数差に相当するビート信号に変換し、回路217に送る。回路217では、入力である参照光のビート信号と測定光のビート信号の位相を測定し、参照光のビート信号の位相に対する測定光のビート信号の位相遅れを測定し、位相遅れとビート信号の周波数から被測定物までの距離を算出し、算出された距離を表示手段224に表示する。
【0051】
光検出器223には測定光の他に、測定環境に満ちている背景光も入射する。そのため、背景光起因の信号が広帯域にわたって得られ、必要である測定光のビート信号が埋もれてしまう、または劣化してしまう懸念がある。そこで、光検出器223の直前に測定光の極近傍の周波数のみを透過するフィルター225を適宜用いて必要なビート信号が背景に埋もれてしまうことを防ぐことができる。
【0052】
回路213は、例えば、図26に示すように分周器226と位相比較器227を用いて構成されている。光検出器211からの入力pは分周器226によって参照周波数とほぼ等しい周波数まで分周される。分周器226の出力は周波数比較器227の入力となり、参照周波数qとの周波数差Pを求めるために用いる。ここで、周波数比較器227は、例えばロックイン増幅器やフェイズロックループ回路(phase lock loop回路:PLL回路)を用いても良い。
【0053】
回路205、207は、例えば図27に示すように、PI制御器228とCWレーザー駆動回路229を用いて構成される。PI制御器228は、回路213から出力されるCWレーザーのビート信号と参照周波数の周波数差が所定量になるようにCWレーザー駆動回路229を制御する。ここで、CWレーザー204とCWレーザー206の制御は、両方のCWレーザーの周波数を制御してその発振周波数差を一定に保つようにしても良く、または一方のCWレーザーは制御なしで発振させ、もう一方のCWレーザーの発振周波数を制御することによって、CWレーザー間の発振周波数差を一定に保つようにしてもよい。両方のCWレーザーを制御する際はお互いのPI制御器228の動作を反転させてCWレーザー駆動回路を制御することにより、周波数制御範囲を大きくすることができる。
【0054】
回路217の構成例を、図28に示す。
光検出器216で測定された参照光はビート信号に変換され回路217に入力され(図28のr)、光検出器223で測定された測定光はビート信号に変換され回路217に入力される(図28のs)。入力rはミキサー230において、周波数源232で発振された一定周波数の参照信号と混合され、入力sはミキサー231において、周波数源232で発振された一定周波数の参照信号と混合される。ここで、参照信号は測定したビートの周波数と同一ではなく、kHzないしMHz程度、周波数が異なる。参照信号と混合された信号r, sは、各々フィルター233, 234によって、その差周波数に相当するビート信号のみが抽出され、位相比較器235に入力される。位相比較器おいて、測定光と参照信号から生成されたビート信号と参照光と参照信号から生成されたビート信号の位相が比較され、その位相差から被測定物までの距離を算出する。このようにして、フィルタリングや位相比較を直接実施困難な高周波数のビートに対しても、比較的簡単に処理することができる。なお、用いるフィルターや位相比較の周波数帯域がビート周波数を直接処理可能である場合は、参照信号との混合やフィルタリングを行わずに、直接位相比較器へ入力し、その位相差を測定することができる。
【0055】
図25に示した構成例では2台のCWレーザーを用いて測長を行う。この構成においては、測長に用いるビート信号は1周波数となり、測定レンジはビート周波数に相当する波長程度に留まる。測定レンジを拡大し、広範囲で高精度の測長を実現するには、別の測長・測距方式と組み合わせるか、より低周波数のビートを用いる必要がある。ここでは、3つ以上で異なる周波数で発振するCWレーザーを制御し、それらCWレーザーの間のビート信号を用いた測長・測距を提案する。
【0056】
図29を用いて原理を説明する。図29では用いるCWレーザーの周波数がf1>f2>f3であるf1, f2, f3の3周波数であるとし、測定した位相を1/100の精度で測定するとする。f1, f2, f3の3周波数のCWレーザーを光検出器で検出した場合、得られる信号はf1-f2, f2-f3, f1-f3の3種類のビート周波数となる。ここで、f1-f3=100*(f2-f3)とするようにf1, f2, f3の周波数を選定すると、最も周波数が高いf1-f3のビートにより測長精度が決まり、その1/100の周波数のf2-f3のビートにより、f1-f3の100倍の測定レンジを得られる。同様に、CWレーザーの周波数を4つに増やし、その発振周波数間隔を制御することにより、測長精度を維持したまま測定レンジを拡大可能または、測定レンジを維持したまま測長精度を向上させることが可能である。具体的には、例えば、f1>f2>f3>f4の四つの周波数f1, f2, f3, f4で発振する四台のCWレーザーを用い、f1-f4=100 GHz, (f2-f4)=(f1-f4)/100=1 GHz, (f3-f4)=(f1-f4)/10000=10 MHzとなるように周波数を制御すると精度15 μmで測定レンジ15 mとなる。本方式では、測定精度は光検出器や回路の周波数上限によって決定され、測定レンジは用いるCWレーザーの発振線幅によって決まる。つまり、測定レンジを決定する最低周波数のビート周波数は最近接のモード間隔によって決まるが、モード間隔は発振線幅以下に近づけることができないためである。現実的には、100 kHz程度の発振線幅を持つCWレーザーを用いると200 kHz程度のビート信号まで用いることが可能で、その場合の測定レンジは750 m程度となる。精度15 μmを維持したまま測定レンジ750 mとするには、1/100の精度でビート信号の位相を決定するとして、最低でも5つのCWレーザーが必要である。また、測長精度を向上させるために必要な更に高周波数のビートを生成する目的で、CWレーザーを追加することが可能である。
【0057】
図30を用いて、3台のCWレーザーを用いて測長を行う場合の構成例を説明する。
単一周波数で発振するCWレーザー242, 243, 244が、各々の駆動回路245, 246, 247によって駆動されている。CWレーザー242から発振した光はCWレーザーを安定化させるためのアイソレーター248をとおり、ファイバーカプラー249に導かれ、2分割される。分割された一方は発振周波数を制御させるための参照として用いるためファイバーカプラー250に導かれ、もう一方は測定光として用いるためにファイバーカプラー251に導かれる。ファイバーカプラー249の光の分割比は1:1である必要は無く、ファイバーカプラー250へ導かれる光を弱くし、ファイバーカプラー251へ導かれる光を強くして測定光を強くするなど、必要に応じて適宜強度を決められる。CWレーザー243から発振した光はCWレーザーを安定化させるためのアイソレーター248をとおり、ファイバーカプラー252へ導かれ、3分割される。分割された光の一部はCWレーザー242との周波数差を制御する為の参照として用いるためにファイバーカプラー250に導かれる。ファイバーカプラー253に導かれた光はCWレーザー244との周波数差を制御するための参照として用いる。ファイバーカプラー251に導かれた光は測定光として用いる。ここで、ファイバーカプラー252の光の分岐比は1:1:1である必要が無く、測定に用いる光を強くするなど、必要に応じて適宜強度比を決められる。CWレーザー244から発振した光はCWレーザーを安定化させるためのアイソレーター248をとおり、ファイバーカプラー254に導かれ、2分割される。分割された一方は発振周波数を制御させるための参照として用いるためファイバーカプラー253に導かれ、もう一方は測定光として用いるためにファイバーカプラー251に導かれる。ファイバーカプラー254の光の分割比は1:1である必要は無く、ファイバーカプラー253へ導かれる光を弱くし、ファイバーカプラー251へ導かれる光を強くして測定光を強くするなど、必要に応じて適宜強度を決められる。
【0058】
ファイバーカプラー250によって混合されたCWレーザー242とCWレーザー243の光は光検出器255で検出され、ビート信号に変換される。光検出器255の出力であるビート信号は、回路256に導かれ、周波数源257で発振される一定周波数の参照周波数と周波数比較される。回路256の出力は駆動回路245へ導かれ、回路256の出力に基づいてCWレーザー242の発振周波数を、CWレーザー243の発振周波数と一定の周波数差となるように制御する。ファイバーカプラー253によって混合されたCWレーザー243とCWレーザー244の光は光検出器258で検出され、ビート信号に変換される。光検出器258の出力であるビート信号は、回路259に導かれ、周波数源257で発振される一定周波数の参照周波数と周波数比較される。回路259の出力は駆動回路246および247へ導かれ、回路256の出力に基づいてCWレーザー243とCWレーザー244の発振周波数を、CWレーザー243とCWレーザー244の発振周波数が一定となるように制御する。ここで、周波数源257は、例えば図10に例示したように、原子時計やGPS信号、安定化発振器の出力などを用いることができる。
【0059】
ファイバーカプラー251に導かれたCWレーザー242, 243, 244の光は混合され、2つに分割される。分割された光の一方は、位相の参照光とするため光検出器260に導かれてCWレーザー242, 243, 244の周波数差に相当するビート信号へ変換され、回路261へ導かれる。ファイバーカプラー251で分割されたもう一方の光は測定光として用いる。測定光はアウトプットカプラー262においてファイバーから射出され、光学系263を通って、被測定物264へ照射される。被測定物で反射又は散乱された測定光は、光学系263において集光され、ビームスプリッター265によって光路を分けられ、フィルター266を通って光検出器267で検出される。光検出器267でビート信号へ変換された測定光は、回路261へ導かれ、参照光のビート信号と位相比較がなされる。ここで、光学系263は、図15乃至図19に例示したような測定光を走査する光学系と投光の為の光学系で構成すればよく、説明は省略する。光検出器267直前に配されたフィルター266は、光学系263において測定光に混じって集光される背景光を除去するために用いられ、例えば、CWレーザー242, 243, 244の周波数のみを透過させるようなバンドパスフィルターなどである。
【0060】
回路256, 259の具体的構成の例を図31に示す。
光検出器255, 258の出力であるCWレーザーによるビート信号は、図31のQから回路246または259に入力され、分周器269によって周波数が例えば整数分の一の周波数に低周波数化される。その後、周波数比較器270によって周波数源257からの一定周波数の信号と周波数比較がなされ、それら周波数の差によって決まる電圧又は電流が出力される(図31のq)。図31に示したような構成は、光のビート周波数が比較的高周波である場合、または周波数源に用いる発振器等の発振周波数と光のビート周波数そとの差が大きい場合等に有効である。一方、用いる周波数源の周波数がビート信号と同程度である場合や、ビート信号が位相比較器の帯域に含まれている場合には、分周器269を用いる必要は無く、ビート信号と周波数源257の信号を直接位相比較してもよい。
【0061】
回路245, 246, 247の具体的構成例を図32に示す。
位相比較器270の出力であるビート信号と周波数源257の周波数差によって決まる電圧又は電流は、Rから回路245または246または247に入力される。入力RはPI制御器271によって、CWレーザーの発振周波数が設定周波数となるように、CWレーザー駆動回路272を制御する。このように、CWレーザーとビートを検出する光検出器、参照周波数と位相比較する回路、およびPI制御器によるCWレーザー駆動回路の制御により、CWレーザーの発振周波数を安定化できる。なお、PI制御器272はPID制御器を用いても良い。
【0062】
図30に示した構成においては、回路245, 246, 247によってCWレーザー242, 243, 244が駆動・制御されているが、CWレーザー243の制御をせずに自由に発振させ、その周波数に対する相対的に一定の周波数となるようにCWレーザー242, 244を制御するように構成してよい。なお、その場合、回路246は不要となる。
【0063】
光検出器260と光検出器267からビート信号を入力する回路261の具体的構成例を図33に示す。
光検出器260でビート信号に変換された参照光は、回路261にTから入力されるとする。参照光のビート信号は分岐されて一部はミキサー273へ導かれ、周波数源274からの信号と混合される。ここで、周波数源274の周波数は、参照光のビート信号の中の最も高い周波数に一致はしないものの、非常に近い周波数に選ばれている。参照光のビート信号と周波数源274の信号の混合された信号は、フィルター275に導かれ、参照光のビート信号と周波数源274の信号の周波数差に相当するビート信号の周波数のみを抽出される。このように、抽出したい信号が高周波数である場合には、目的とする周波数に一致はしないものの非常に接近した周波数の信号と混合してビートを生成し、低周波数の信号として抽出できる。同様に、光検出器267によってビート信号に変換された測定光は、回路261にUから入力され、分岐され、その一部がミキサー276へ導かれる。ミキサー276において周波数源274からの信号と混合され、ビート信号の中の測定光の最も高い周波数のビート周波数と周波数源274からの信号との周波数差に相当する低周波数のビートが生成される。フィルター277によってそのビートが抽出され、フィルター275の出力と共に位相比較器278へと導かれる。位相比較278において、フィルター275とフィルター277で抽出されたビート信号の位相が比較され、位相差によって決定される電圧または電流が出力される(図33のt)。一方、回路261入力後に分割された入力Tと入力Uの一部は、各々フィルター279, 280に導かれ、最も低周波数のビート信号のみを残すようにフィルタリングされる。フィルタリングの結果は位相比較器281によって位相が比較され、位相差で決定される電圧又は電流が出力uとして回路から出力される(図33のu)。
【0064】
ここで、フィルター275, 277, 279, 280は、それぞれバンドパスフィルターやローパスフィルター、ハイパスフィルターのいずれかまたはそれらの組み合わせであり、透過率や帯域、位相特性を鑑みて適時選択することができる。周波数源274は、必要な精度に応じてGPS信号や原子時計、安定化発振器などを用いることができ、また、図30の周波数源257を用いても良い。
【0065】
図34に回路261の別の構成例を示す。
用いる位相比較器やフィルターの帯域によっては、周波数源274を用いて測定光及び参照光のビート信号を低周波数化させる必要が無く、直接、光検出器255, 258で生成されたビート信号の位相を比較してもよい。その場合は、図34に示すように、入力Tないし入力Uを各々二つに分割し、フィルター282, 283によって最も高く測長精度を決定するビート信号のみを抽出し、位相比較器284においてそれらの位相を比較し、位相差によって決定される電圧または電流を出力する(図34のt)。低周波数のビート信号抽出および位相比較は図33に示した構成例と同じでよい。
【0066】
図30乃至図34において、CWレーザーを3台用い、ビート信号を2周波数生成し、測定光と参照光の位相差を測定することによって被測定物までの距離を測定する装置構成を、具体的構成を例にして説明した。本発明においては、用いるCWレーザーは3台に限らず、適時任意台数へ増やすことが可能である。そして、n台のCWレーザーの周波数差を一定になるように制御し、n!/2(n-2)!だけ生成されるビート信号からフィルタリングによって測定に必要なビート信号を抽出し、その周波数における測定光と参照光の位相差とビート周波数から被測定物までの距離を求めることができる。
【0067】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0068】
7…光検出器
8…自己ビート
11…参照光
12…測定光
13…被測定物
14…位相差
22…CWレーザーの周波数差に相当するビート信号
23…光コムとCWレーザーの周波数差に相当するビート信号
24…光コムとCWレーザーの周波数差に相当するビート信号
25…光コムとCWレーザーのビート信号のビート信号
26…光コムとCWレーザーのビート信号のビート信号
101…光コム発振器
102…励起光源
103…光ファイバー
104…アイソレーター
105…アウトプットカプラー
108…光検出器
109…フィルター
112…周波数源
113…周波数可変CWレーザー発振器
114…周波数可変CWレーザー発振器
115…CWレーザー駆動回路
116…CWレーザー駆動回路
117…ファイバーカプラー
118…アウトプットカプラー
121…光検出器
122…フィルター
123…回路
124…位相比較器
125…光学系
126…被測定物
128…発振器
129…原子時計
130…GPS信号
131…アンテナ
153…ポリゴンミラー
163…凹面鏡。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物までの距離を測定する距離測定装置であって、
一定周波数間隔の光を発振する光源と、
前記光源の周波数に対して一定の周波数差となるように制御された複数のCWレーザーと、
前記複数のCWレーザーを前記対象物へ照射する手段と、
前記複数のCWレーザーを対象物表面上で空間的に走査する手段と、
前記光源と前記対象物で反射または散乱された前記複数のCWレーザーを受光しビートを観測する手段と、
前記光源と前記対象物で反射または散乱された前記複数のCWレーザーによるビート信号のビート信号を生成する手段と、
前記光源と前記対象物で反射または散乱された前記複数のCWレーザーによるビート信号のビート信号の位相を抽出する手段と、
前記光源と前記対象物へ照射する前の前記複数のCWレーザーによるビート信号のビート信号の位相を抽出する手段を備え、
前記光源と前記対象物で反射または散乱された前記複数のCWレーザーの間のビート信号のビート信号の位相と,前記光源と前記対象物へ照射する前の前記複数のCWレーザーによるビート信号のビート信号の位相を比較することによって前記対象物までの距離を測定することを特徴とする距離測定装置。
【請求項2】
前記光源と前記複数のCWレーザーによるビートを抽出し、
複数発生する前記ビートの間のビートを抽出することにより、
前記複数のCWレーザーの間のビートの位相を抽出することを特徴とする請求項1記載の距離測定装置。
【請求項3】
前記光源や前記複数のCWレーザーを用い、
三角測量法や飛行時間法を用い、
前記対象物までの距離を測定することを特徴とする請求項1記載の距離測定装置。
【請求項4】
前記光源から発せられる光によって、
前記対象物までの距離を測定することを特徴とする請求項1記載の距離測定装置。
【請求項5】
前記光源に対して一定の周波数差となるように制御された前記複数のCWレーザーの間の周波数差を変化させることによって、
距離測定精度と距離測定レンジを変化させることを特徴とする請求項1記載の距離測定装置。
【請求項6】
前記複数のCWレーザーを、
鏡面を有する回転多面体によって対象物表面上で空間的に走査することを特徴とする、
請求項1記載の距離測定装置。
【請求項7】
前記複数のCWレーザーを、
対になった鏡を回転または振動させることによって対象物表面上で空間的に走査することを特徴とする請求項1記載の距離測定装置。
【請求項8】
前記複数のCWレーザーを、
凹面鏡と鏡面を有する回転多面体によって対象物表面上で空間的に走査することを特徴とする請求項1記載の距離測定装置。
【請求項9】
前記CWレーザーを、
2つの回転軸を持つ鏡面を回転させることによって対象物表面上で空間的に走査することを特徴とする請求項1記載の距離測定装置。
【請求項10】
対象物までの距離を測定する距離測定装置であって、
一定周波数間隔の光を発振する光源と、
前記光源の周波数に対して一定の周波数差となるように制御された複数のCWレーザーと、
前記複数のCWレーザーを前記対象物へ照射する手段と、
前記複数のCWレーザーを前記対象物表面上で空間的に走査する手段と、
前記光源と前記対象物で反射または散乱された前記複数のCWレーザーを受光しビートを観測する手段と、
前記光源と前記対象物で反射または散乱された前記複数のCWレーザーによるビート信号のビート信号を生成する手段と、
前記光源と前記対象物で反射または散乱された前記複数のCWレーザーによるビート信号のビート信号の位相を抽出する手段と、
前記光源と前記対象物へ照射する前の前記複数のCWレーザーによるビート信号のビート信号の位相を抽出する手段を備え、
前記光源と前記対象物で反射または散乱された前記複数のCWレーザーの間のビート信号のビート信号の位相と,前記光源と前記対象物へ照射する前の前記複数のCWレーザーによるビート信号のビート信号の位相を比較することによって前記対象物までの距離を測定することを特徴とする距離測定装置。
【請求項11】
対象物までの距離を測定する距離測定装置であって、
複数の発振周波数が可変であるCWレーザーと、
前記複数のCWレーザーによるビートを取得する手段と、
前記複数のCWレーザーの発振周波数差を一定に保つ周波数安定化の手段と、
前記対象物に前記CWレーザーを照射する光学系と、
前記複数のCWレーザーを前記対象物表面上で走査させる光学系と、
前記対象物から反射または散乱した前記複数のCWレーザーを受光する光学系と、
前記対象物から反射または散乱した前記複数のCWレーザーの間のビートを抽出する手段と、
前記対象物から反射または散乱した前記複数のCWレーザーの間のビートの位相を抽出する手段と、
前記抽出した位相から前記対象物までの距離を算出する手段を備え、
前記対象物からの反射光または散乱光の少なくともどちらか一方の位相と前記対象物へ照射する前の位相の差によって前記対象物までの距離を測定することを特徴とする距離測定装置。
【請求項12】
前記複数のCWレーザーの周波数の安定化に、
前記複数のCWレーザーによるビートを用いることを特徴とする請求項11記載の距離測定装置。
【請求項13】
前記複数のCWレーザーの周波数の安定化に、
校正された周波数信号を周波数基準として用いることを特徴とする請求項11記載の距離測定装置。
【請求項14】
前記周波数基準に、
全地球測位システム(GPS)信号を用いることを特徴とする請求項11記載の距離測定装置。
【請求項15】
前記周波数基準に、
原子時計を用いることを特徴とする請求項11記載の距離測定装置。
【請求項16】
前記周波数基準に、
安定化された発振器を用いることを特徴とする請求項11記載の距離測定装置。
【請求項17】
前記複数のCWレーザーの周波数の安定化を、
前記複数のCWレーザーによるビートと周波数基準の差周波数を一定に保つことで実現することを特徴とする請求項11記載の測距装置
【請求項18】
前記複数のCWレーザーのビートと周波数基準との差周波数が複数あることを特徴とする請求項11記載の距離測定装置。
【請求項19】
前記複数のCWレーザーのビートを分周して低周波数化し、
位相比較を行うことを特徴とする請求項11記載の距離測定装置。
【請求項20】
前記複数のCWレーザーのビートを、
ビートの周波数と極近い周波数での信号と混合することで低周波数化し、
ビートの位相を抽出することを特徴とする請求項11記載の距離測定装置。
【請求項21】
前記複数のCWレーザーに、
周波数安定化CWレーザーまたは外部共振CWレーザーまたは狭帯域発振CWレーザーを用いることを特徴とする請求項11記載の距離測定装置。
【請求項22】
前記複数のCWレーザーを用いた三角測量法や飛行時間法により、
前記対象物までの距離を測定することを特徴とする請求項11記載の距離測定装置。
【請求項23】
前記複数のCWレーザーを、
鏡面を有する回転多面体によって対象物表面上で空間的に走査することを特徴とする請求項11記載の距離測定装置。
【請求項24】
前記複数のCWレーザーを、
対になった鏡を回転または振動させることによって対象物表面上で空間的に走査することを特徴とする請求項11記載の距離測定装置。
【請求項25】
前記複数のCWレーザーを、
凹面鏡と鏡面を有する回転多面体によって対象物表面上で空間的に走査することを特徴とする請求項11記載の距離測定装置。
【請求項26】
前記CWレーザーを、
2つの回転軸を持つ鏡面を回転させることによって対象物表面上で空間的に走査することを特徴とする請求項11記載の距離測定装置。
【請求項27】
対象物までの距離を測定する距離測定装置であって、
複数の発振周波数が可変であるCWレーザーと、
前記複数のCWレーザーによるビートを取得する手段と、
前記複数のCWレーザーの発振周波数差を一定に保つ周波数安定化の手段と、
前記対象物に前記CWレーザーを照射する光学系と、
前記複数のCWレーザーを前記対象物表面上で走査させる光学系と、
前記対象物から反射または散乱した前記複数のCWレーザーを受光する光学系と、
前記対象物から反射または散乱した前記複数のCWレーザーの間のビートを抽出する手段と、
前記対象物から反射または散乱した前記複数のCWレーザーの間のビートの位相を抽出する手段と、
前記抽出した位相から前記対象物までの距離を算出する手段を用い、
前記対象物からの反射光または散乱光の少なくともどちらか一方の位相と前記対象物へ照射する前の位相の差によって前記対象物までの距離を測定することを特徴とする距離測定装置。
【請求項28】
対象物までの距離を測定する距離測定装置であって、
複数の発振周波数を有する光源CWレーザーと、
前記光源のビートを取得する手段と、
前記対象物に前記光源から発せられた光を照射する光学系と、
前記光源から発せられた光を前記対象物表面上で走査させる光学系と、
前記対象物から反射または散乱した前記光源から発せられた光を受光する光学系と、
前記対象物から反射または散乱した前記光源から発せられた光の間のビートを抽出する手段と、
前記対象物から反射または散乱した前記光源から発せられた光の間のビートの位相を抽出する手段と、
前記抽出した位相から前記対象物までの距離を算出する手段を備え、
前記対象物からの反射光または散乱光の少なくともどちらか一方の位相と前記対象物へ照射する前の光の位相の差によって前記対象物までの距離を測定することを特徴とする距離測定装置。
【請求項29】
前記光源を、
単一周波数で発振するCWレーザーを複数台組み合わせて実現することを特徴とする請求項28記載の距離測定装置。
【請求項30】
前記光源を、
単一周波数で発振するCWレーザーを分割し、各々にそれぞれ異なった周波数変調を加えることで実現することを特徴とする請求項28記載の距離測定装置。
【請求項31】
前記光源を、
広帯域で発光する光源から各々異なる周波数成分を抽出することによって実現することを特徴とする請求項28記載の距離測定装置。
【請求項32】
対象物までの距離を測定する距離測定方法であって、
複数の発振周波数を有する光源CWレーザーと、
前記光源のビートを取得する手段と、
前記対象物に前記光源から発せられた光を照射する光学系と、
前記光源から発せられた光を前記対象物表面上で走査させる光学系と、
前記対象物から反射または散乱した前記光源から発せられた光を受光する光学系と、
前記対象物から反射または散乱した前記光源から発せられた光の間のビートを抽出する手段と、
前記対象物から反射または散乱した前記光源から発せられた光の間のビートの位相を抽出する手段と、
前記抽出した位相から前記対象物までの距離を算出する手段を用い、
前記対象物からの反射光または散乱光の少なくともどちらか一方の位相と前記対象物へ照射する前の光の位相の差によって前記対象物までの距離を測定することを特徴とする距離測定方法。
【請求項33】
対象物までの距離を測定する距離測定装置であって、
一定周波数間隔の光を発振する光源と、
前記光源の周波数に対して一定の周波数差となるように制御された複数のCWレーザーと、
前記複数のCWレーザーによる光を測定光と参照光とに分岐する光分岐手段と、
前記光分岐手段により得た測定光を前記対象物に照射し、前記測定光による前記対象物からの反射光または散乱光と、前記光源からの光と、を検出する第一の検出手段と、
前記参照光と、前記光源からの光と、を検出する第二の検出手段と、
前記第一の検出手段により得られた信号に基づいて算出される、前記光源からの光と前記測定光による反射光又は散乱光によるビート信号の位相と、前記第二の検出手段により得られた信号に基づいて算出される、前記光源からの光と前記参照光によるビート信号の位相と、を比較することによって前記対象物までの距離を算出する処理手段と、
を有することを特徴とする距離測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2011−203188(P2011−203188A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−72687(P2010−72687)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】