説明

距離測定装置

【課題】トランスポンダの動作を監視する監視処理部自体の動作の監視を確実に行い、トランスポンダを正確に動作させるDME(距離測定装置)を提供する。
【解決手段】受信信号の受信及び応答信号の送信を実行するトランスポンダ12aと、受信信号と同一の形式であって、トランスポンダ12aの動作を監視するためのトランスポンダ検査信号を定期的に出力するトランスポンダ検査手段131と、トランスポンダの監視動作を検査するためのセルフ検査信号を定期的に出力するセルフ検査手段132と、トランスポンダからトランスポンダ検査信号に応答して出力される応答信号及びセルフ検査信号を入力して、トランスポンダ及びトランスポンダの監視動作を判定する判定手段137とを有する監視処理部13aと、判定手段137の判定結果に基づいてトランスポンダ12a及び監視処理部13aの動作を制御する制御部15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上局に設置され、地上との距離を測定する航空機から受信する信号に対して応答信号を送信する際に動作診断を行なう距離測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機と地上局間の距離を測定するため、DME(距離測定装置:Distance Measuring Equipment)を利用することがある。また、DMEの動作を確実にするためDMEの動作を検査する技術もある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図4に示すように、DME1aは、地上局に設置される装置であり、航空機3に設置されるインタロゲータ30から送信される信号であるツインパルスを受信すると、受信した信号に応答する信号であるツインパルスをインタロゲータ30に送信する。航空機3では、この信号の送受信に要する時間と信号の送信速度を利用して、DME1aや地上の基準位置(例えば、DME1aの設置位置)との距離を測定することができる。
【0004】
具体的には、DME1aは、図5に示すように、複数のトランスポンダ12a,12bと、複数の監視処理部13c,13dと、受信する信号の出力や入力する信号の送信または出力を制御するスイッチ回路14と、トランスポンダ12a,12b及び監視処理部13c,13dを制御する制御部15を備えている。
【0005】
DME1aは、運転状態の第1トランスポンダ12aと待機状態の第2トランスポンダ12bを備え、運転状態の第1トランスポンダ12aを監視している。また、運転状態の第1トランスポンダ12aの異常が発生した際には、制御部15が待機状態のトランスポンダ12bを運転させて、航空機3から受信する信号に対する応答を確実に行なっている。
【0006】
2つの監視処理部13c,13dは、一方が運転状態であり他方が待機状態であってもよいし、双方が運転状態であってもよいが、DME1aは、オペレータ端末2と接続されており、オペレータ端末2を介してオペレータによって操作されると、監視処理部13c,13d自体の動作を検査する。これにより例えば第1監視処理部13cの異常が検出されると、異常が発生している第1監視処理部13cはトランスポンダ12a,12bの監視を中止し、異常が発生していない第2監視処理部13dがトランスポンダ12a,12bの監視を実行していた。なお、オペレータは、例えば、監視処理部13c,13dがトランスポンダ12a,12bの異常を検出したタイミングやDME1aの定期メンテナンスのタイミング等にオペレータ端末2を利用してセルフ検査手段132を制御し、監視処理部13c,13dを検査していた。
【0007】
上述するように、従来のDME1aでは、オペレータによる操作のタイミングで監視処理部13c,13dの監視が実行されており、監視処理部13c,13dの検査は頻繁に行われていない。したがって、従来のDME1aでは監視処理部13a,13bで発生している異常が監視されないこともあった。異常が発生している監視処理部13c,13dによるトランスポンダ12a,12bの監視結果は信頼性が低く、トランスポンダ12a,12bの異常を正確に検査できないこともある。仮にトランスポンダ12a,12bに異常が発生しているDME1aでは、必要な信号を送信できないことや、不要な信号を送信することも起こりうる。DME1aがこのように正確に信号を送信することができない場合には、航空機3はDME1aとの正確な距離を測定することができず、航空機3の安全な飛行を妨げるおそれもある。
【特許文献1】特開2001−249172号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、従来のDME1aでは、異常が発生している監視処理部13c,13dが運転状態であることによってトランスポンダ12a,12bを正確に監視できないおそれがあった。また仮に、異常が発生しているトランスポンダ12a,12bによって誤った信号が送信された場合には、航空機3ではDME1aとの正確な距離を測定することができず、安全な飛行を妨げるおそれがあった。
【0009】
従って本発明は、トランスポンダの動作を監視する監視処理部自体の動作の監視を確実に行い、トランスポンダを正確に動作させるDMEを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の特徴に係る距離測定装置は、地上に設置され、航空機から受信する所定の形式の質問信号に応答して航空機において地上の基準位置との距離を測定するために利用される応答信号を送信する距離測定装置であって、所定の形式の信号を入力すると、信号に応答する応答信号を生成するトランスポンダと、所定の形式を持つとともに、トランスポンダの動作を監視するためのトランスポンダ検査信号を定期的に出力するトランスポンダ検査手段と、トランスポンダの監視動作を検査するためのセルフ検査信号を定期的に出力するセルフ検査手段と、トランスポンダ検査信号に応答する応答信号及びセルフ検査信号を入力して、トランスポンダの動作及びトランスポンダの監視動作の異常を判定する判定手段とを有する監視処理部と、航空機から受信する質問信号をトランスポンダに出力するとともにトランスポンダで質問信号に応答して生成される応答信号を航空機に送信し、監視処理部から入力するトランスポンダ検査信号をトランスポンダに出力するとともにトランスポンダでトランスポンダ検査信号に応答して生成される応答信号を監視処理部に出力するスイッチ回路と、判定手段の判定結果に基づいてトランスポンダ及び監視処理部の動作を制御する制御部とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、トランスポンダの動作を監視する監視処理部自体の動作の監視を確実に行い、トランスポンダを正確に動作させるDMEを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、図面を用いて本発明の最良の実施形態に係るDMEについて説明する。本発明の最良の実施形態に係るDMEも、図4を用いて説明した従来のDME1aと同様に地上局に設置され、航空機3からの信号に応答して信号を送信する。以下の説明では、従来と同一の構成には、同一の符号を付して説明する。
【0013】
図1に示すように、本発明の最良の実施形態に係るDME1は、アンテナ11と、アンテナ11を介して信号の送受信を実行するトランスポンダ12a,12bと、トランスポンダ12a,12bの動作を監視(モニタ)する監視処理部13a,13bと、アンテナ11、トランスポンダ12a,12b及び監視処理部13a,13b間の信号の入出力を切り替えるスイッチ回路14と、トランスポンダ12a,12b及び監視処理部13a,13bの動作を制御する制御部15を有している。
【0014】
DME1は、第1トランスポンダ12a及び第2トランスポンダ12bの2つのトランスポンダを備えているが、一方のトランスポンダのみが運転されており、他方のトランスポンダは待機状態である。図1に示す例では、第1トランスポンダ12aが運転状態(運転系)であり、第2トランスポンダ12bは待機状態(待機系)である。
【0015】
また、DME1は、第1監視処理部13a及び第2監視処理部13bの2つの監視処理部を備えているが、両方の監視処理部が運転されていても、一方の監視処理部のみが運転されていてもよい。例えば、両方の監視処理部が正常であるときには両方の監視処理部を運転し、一方の監視処理部に異常が発生したときには異常が発生した監視処理部を停止させることもできる。または、トランスポンダと同様に一方の監視処理部を運転系にし、他方の監視処理部を待機系にして異常の発生に応じて状態を切り替えてもよい。
【0016】
DME1では、監視処理部13a,13bの監視結果Rを入力する制御部15が、入力する監視結果Rに基づいてトランスポンダ12a,12bや監視処理部13a,13bを制御する。
【0017】
第1トランスポンダ12aは、図1に示すように、信号を受信する受信手段121、受信信号を解析して応答信号を生成する応答手段122、応答手段122で生成された応答信号を送信する123を備えている。
【0018】
具体的には、第1トランスポンダ12aが制御部15によって運転状態に設定されているとき、受信手段121は、アンテナ11で受信した受信信号をスイッチ回路14を介して受信し、応答手段122に出力する。応答手段122は、受信手段121から受信信号を解析して航空機3からDME1に送信された信号であるか否かを判定する。受信信号がDME1に送信された信号であると判定した場合、応答手段122は、受信信号に応答する送信信号を生成し、送信手段123に出力する。送信手段123は、応答手段122から入力した送信信号を、スイッチ回路14及びアンテナ11を介して受信信号を送信した航空機3に送信する。
【0019】
ここで、航空機3がDME1に送信する信号は、所定のパルス幅及びパルス間隔のツインパルスからなる形式の信号であるため、応答手段122は、信号がDME1に送信された信号であるか否かの判定にはこれらの形式に該当する信号であるか否かを判定する。
【0020】
なお、第1トランスポンダ12aは、運転状態のときにスイッチ回路14から入力する受信信号に対して応答する処理を実行するが、待機状態のときには受信信号に対して処理を実行することはない。
【0021】
第2トランスポンダ12bは、第1トランスポンダ12aと同様に、受信手段121、応答手段122及び送信手段123を有し、第1トランスポンダ12aと同一の処理を実行するが、ここでは図示を用いた説明を省略する。
【0022】
DME1では、制御部15の制御にしたがって、第1トランスポンダ12a又は第2トランスポンダ12bの一方が運転状態となる。すなわち、第1トランスポンダ12aが運転状態の時には第2トランスポンダ12bが待機状態となり、第2トランスポンダ12bが運転状態の時には第1トランスポンダ12aが待機状態となる。
【0023】
第1監視処理部13aは、トランスポンダ検査信号S3を生成するトランスポンダ検査手段131と、セルフ検査信号S4を生成するセルフ検査手段132と、切替信号S1,S2を出力してトランスポンダ検査手段131及びセルフ検査手段132の動作を切り替える切替手段133と、切替信号S1,S2を生成してトランスポンダ検査信号S3とセルフ検査信号S4を出力する出力手段134と、入力する信号S3,S4,Aを選択する選択手段135と、選択手段135を介してトランスポンダ検査信号S3に対する応答信号A及びセルフ検査信号S4を入力する入力手段136と、応答信号A又はセルフ検査信号S4に基づいてトランスポンダ12a,12b又は第1監視処理部13aの動作状態を判定する判定手段137を有している。
【0024】
具体的には、制御部15によって運転状態に設定されている第1監視処理部13aの切替手段133は、図2(a)に示すように、予め定められるタイミングに従って、トランスポンダ検査期間T1の開始時に第1切替信号S1を生成し、セルフ検査期間T2の開始時に第2切替信号S2を生成する。また、切替手段133は、生成した第1切替信号S1及び第2切替信号S2をトランスポンダ検査手段131、セルフ検査手段132、選択手段135及び判定手段137に出力する。なお、トランスポンダ検査期間T1とセルフ検査期間T2とは同じ長さであっても異なる長さであってもよい。
【0025】
トランスポンダ検査手段131は、第1切替信号S1を入力すると、動作を開始してトランスポンダ検査信号S3を生成して出力手段134に出力する。一方、トランスポンダ検査手段131は、第2切替信号S2を入力すると、動作を停止する。ここで、トランスポンダ検査手段131が生成する「トランスポンダ検査信号S3」は、航空機3のインタロゲータ30が距離測定の為にDME1に送信する信号と同一形式の信号である。
【0026】
セルフ検査手段132は、第2切替信号S2を入力すると、動作を開始してセルフ検査信号S4を生成して出力手段134に出力する。一方、セルフ検査手段132は、第1切替信号S1を入力すると、動作を停止する。
【0027】
出力手段134は、入力するトランスポンダ検査信号S3及びセルフ検査信号S4を、スイッチ回路14及び選択手段135に出力する。
【0028】
スイッチ回路14は、出力手段134から入力するトランスポンダ検査信号S3についてはトランスポンダ12a,12bの受信手段121に出力し、セルフ検査信号S4については破棄する。
【0029】
上述したように、トランスポンダ検査信号S3は、トランスポンダ12a,12bが航空機3のインタロゲータ30から受信する信号と同一の形式である。したがって、運転状態の第1トランスポンダ12aは、スイッチ回路14から入力するトランスポンダ検査信号S3をインタロゲータ30から通常の信号を受信した場合と同様に処理する。すなわち、受信手段121を介してトランスポンダ検査信号S3を入力した応答手段122は、トランスポンダ検査信号S3に応答する応答信号Aを生成して出力する。この応答手段122が生成する応答信号Aは、通常の応答信号Aと同一のフォーマットである。応答手段122に生成された応答信号Aは、送信手段123を介してスイッチ回路14に出力される。なお、待機状態の第2トランスポンダ12bではスイッチ回路14から信号を入力しても、処理が実行されず、運転状態のトランスポンダのみで応答信号が生成される。
【0030】
スイッチ回路14は、送信手段123から通常の応答信号を入力したときにはアンテナ11を介して送信し、トランスポンダ検査信号S3に応答する応答信号Aを入力したときには監視処理部13a,13bの選択手段135に出力する。
【0031】
選択手段135は、切替手段133から第1切替信号S1が入力されてトランスポンダ検査期間T1に設定されているとき、出力手段134から出力されるトランスポンダ検査信号S3とスイッチ回路14から出力される応答信号Aとを入力するが、トランスポンダ検査信号S3を破棄し、応答信号Aのみを入力手段136に出力する。
【0032】
また、選択手段135は、切替手段133から第2切替信号S2が入力されてセルフ検査期間T2に設定されているとき、出力手段134からセルフ検査信号S4を入力し、入力手段136に出力する。
【0033】
入力手段136は、選択手段135から入力した応答信号A及びセルフ検査信号S4を判定手段137に出力する。
【0034】
判定手段137は、トランスポンダ検査期間T1には、入力手段136から入力する応答信号Aを利用して、検査対象である運転状態の第1トランスポンダ12aが正常であるか否かを判定する。具体的には、判定手段137は、応答信号Aの入力の有無、応答信号の波形や、トランスポンダ検査手段131によるトランスポンダ検査信号S3の出力時刻から判定手段137における応答信号Aの入力時刻までの時間等に基づいて、トランスポンダ12a,12bが正常であるか否かを判定する。
【0035】
また、判定手段137は、セルフ検査期間T2には、入力手段136から入力するセルフ検査信号S4を利用して、第1監視処理部13aが正常であるか否かを判定する。具体的には、判定手段137は、セルフ検査信号S4の入力の有無、セルフ検査手段132によるセルフ検査信号の出力時刻から判定手段137における応答信号Aの入力時刻までの時間等に基づいて、第1監視処理部13aが正常であるか否かを判定する。
【0036】
さらに、判定手段137は、トランスポンダ検査期間T1及びセルフ検査期間T2が終了すると、検査対象の第1トランスポンダ12a及び第1監視処理部13aに関する判定結果Rを制御部15に出力する。なお、選択手段135及び判定手段137は、第1切替信号S1及び第2切替信号S2を入力しているため、第1切替信号S1の入力から第2切替信号S2の入力までをトランスポンダ検査期間T1とし、第2切替信号S2の入力から第1切替信号S1の入力までをセルフ検査期間T2として把握することができる。
【0037】
第2監視処理部13bは、第1監視処理部13aと同様に、判定対象のトランスポンダを監視するトランスポンダ検査手段131、第2監視処理部13bの監視動作を検査するセルフ検査手段132、トランスポンダ検査期間T1及びセルフ検査期間T2を切り替える切替手段133、出力手段134、信号を選択して入出力を実行する選択手段135、入力手段136及び入力する信号に基づいて監視の結果を検査結果Rとして出力する判定手段137を有し、第1監視処理部13aと同一の処理を実行するが、ここでは図示を用いた説明を省略する。
【0038】
なお、監視処理部13a,13bでは、制御部15によって運転状態に設定されている場合に監視処理を実行し、待機状態に設定されているときには監視処理を実行することはない。
【0039】
制御部15は、判定手段137から入力する判定結果Rに基づいて、トランスポンダ12a,12b及び監視処理部13a,13bを制御する。ここで、制御部15は、1つの監視処理部のみが運転状態であるときには1つの監視処理部の判定結果Rを利用して、トランスポンダ及び監視処理部の状態を判断して制御し、複数の監視処理部が運転状態であるときには、複数の監視処理部の判定結果Rを合わせてトランスポンダ及び監視処理部の状態を判断して制御する。
【0040】
ここで、図2を用いて、第1トランスポンダ12aが正常と判定された場合と異常と判定された場合の一例について説明する。図2で説明するのは、第1監視処理部13aで監視された検査結果Rのみを利用する場合の一例である。
【0041】
例えば、図2(b)に示すように第1トランスポンダ12aが運転状態であってトランスポンダ検査期間T1及びセルフ検査期間T2の終了時に、制御部15が図2(c)に示すように第1トランスポンダ12a及び第1監視処理部13aのいずれも正常である判定結果R1を入力したとする。このとき、図3に示すように、制御部15は現在の制御を継続する。すなわち、制御部15は、第1トランスポンダ12a及び第1監視処理部13aに運転を継続する制御信号を出力する。これにより、続く処理でも図2(b)に示すように第1トランスポンダ12aが運転状態とされる。
【0042】
一方、図2(b)に示すように第1トランスポンダ12aが運転状態であってトランスポンダ検査期間T1及びセルフ検査期間T2の終了時に、制御部15が図2(c)に示すように運転状態の第1トランスポンダ12aは異常であり、第1監視処理部13aが正常である判定結果R2を入力したとする。このとき、図3に示すように、制御部15は異常である第1トランスポンダ12aの運転を切り替え、正常である第1監視処理部13aの運転を継続する。すなわち、制御部15は、運転状態の第1トランスポンダ12aには運転を中止する制御信号を出力し、待機状態の第2トランスポンダ12には運転を開始する制御信号を出力するとともに、運転状態の第1監視処理部13aに運転を継続する制御信号を出力する。これにより、続く処理では図2(b)に示すように第1トランスポンダ12aが待機状態となり、第2トランスポンダ12bが運転状態とされる。
【0043】
また、図2では示していないが、第1トランスポンダ12aは正常であり、第1監視処理部13aが異常である判定結果Rを入力した場合、制御部15は図3に示すように第1トランスポンダ12aの運転を継続し、異常である第1監視処理部13aの運転を切り替える。すなわち、制御部15は、第1トランスポンダ12aに運転を継続する制御信号を出力し、第1監視処理部13aに運転させる制御信号を出力するとともに、第2監視処理部13bに運転させる制御信号を出力する。
【0044】
さらに、第1トランスポンダ12a及び第1監視処理部13aのいずれも異常である判定結果Rを入力した場合、制御部15は図3に示すようにトランスポンダ12a,12b及び監視処理部13a,13bの運転を切り替える。すなわち、制御部15は、第2トランスポンダ12b及び第2監視処理部13bに運転させる制御信号を出力するとともに、運転状態の第1トランスポンダ12a及び第1監視処理部13aに運転を中止する制御信号を出力する。
【0045】
図2を用いて説明する例では、第1監視処理部13aで監視された検査結果Rのみを利用するものとして説明したが、第2監視処理部13bも運転状態であり、2つの監視処理部13a,13bの検査結果Rを合わせて利用しても同様に処理することができる。なお、複数の監視処理部13a,13bの検査結果Rが異なる場合には、いずれかの監視処理部13a,13bに信頼性がないとして、オペレータにこれを通知することが考えられる。
【0046】
上述したように、本発明の最良の実施形態に係るDME1では、切替手段133でカウントされるタイミングで定期的にトランスポンダ検査期間T1及びセルフ検査期間T2を設け、監視処理部13a,13bはトランスポンダ12a,12bの動作の監視だけでなく、監視処理部13a,13bの動作も監視している。したがって、従来のDME1aのようにメンテナンス時等のみに監視処理部13c,13dを監視するのではなく定期的に監視処理部13a,13bの動作を監視することができるため、監視処理部13a,13bで異常が発生しても早期に解決することが可能となる。これにより、上述したDME1によれば、監視処理部13a,13b自体の異常が早期に解決することによってトランスポンダ12a,12bの監視も正確に行うことができるようになる。
【0047】
なお、図1で上述したDME1では、それぞれ2台のトランスポンダ12a,12b及び監視処理部13a,13bが表わされているが、複数台存在し制御部15によって各動作が切り替え可能なトランスポンダ及び監視処理部が備えられていれば、その数は限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の最良の実施形態に係るDMEの構成を説明する機能ブロック図である。
【図2】図1のDMEにおける処理のタイミングの一例を説明する図である。
【図3】図1のDMEの制御部が判定結果を利用する制御の一例を説明する図である。
【図4】従来のDMEについて説明する図である。
【図5】図4のDMEの構成を説明する機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0049】
1…DME
11…アンテナ
12a,12b…トランスポンダ
121…受信手段
122…応答手段
123…送信手段
13a,13b…監視処理部
131…トランスポンダ検査手段
132…セルフ検査手段
133…切替手段
134…出力手段
135…選択手段
136…入力手段
137…判定手段
14…スイッチ回路
15…制御部
2…オペレータ端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上に設置され、航空機から受信する所定の形式の質問信号に応答して前記航空機において地上の基準位置との距離を測定するために利用される応答信号を送信する距離測定装置であって、
前記所定の形式の信号を入力すると、前記信号に応答する応答信号を生成するトランスポンダと、
前記所定の形式を持つとともに、前記トランスポンダの動作を監視するためのトランスポンダ検査信号を定期的に出力するトランスポンダ検査手段と、前記トランスポンダの監視動作を検査するためのセルフ検査信号を定期的に出力するセルフ検査手段と、前記トランスポンダ検査信号に応答する応答信号及び前記セルフ検査信号を入力して、前記トランスポンダの動作及び前記トランスポンダの監視動作の異常を判定する判定手段とを有する監視処理部と、
前記航空機から受信する質問信号を前記トランスポンダに出力するとともに前記トランスポンダで前記質問信号に応答して生成される応答信号を前記航空機に送信し、前記監視処理部から入力する前記トランスポンダ検査信号を前記トランスポンダに出力するとともに前記トランスポンダで前記トランスポンダ検査信号に応答して生成される応答信号を前記監視処理部に出力するスイッチ回路と、
前記判定手段の判定結果に基づいて前記トランスポンダ及び前記監視処理部の動作を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする距離測定装置。
【請求項2】
前記監視処理部は、
前記トランスポンダ検査手段を動作させる第1切替信号又はセルフ検査手段を動作させる第2切替信号を定期的に出力する切替手段をさらに備え、
前記トランスポンダ検査手段は、前記第1切替信号の出力から前記第2切替信号の出力までのタイミングで前記トランスポンダ検査信号を出力し、
前記セルフ検査手段は、前記第2切替信号の出力から前記第1切替信号の出力までのタイミングで前記セルフ検査信号を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の距離測定装置。
【請求項3】
運転状態の前記トランスポンダとともに、待機状態のトランスポンダを備え、
前記制御部は、前記判定手段によって前記運転状態のトランスポンダが異常と判定されると、前記待機状態のトランスポンダを運転状態に切り替えるとともに、前記運転状態のトランスポンダを待機状態に切り替える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の距離測定装置。
【請求項4】
複数の前記監視処理部を備え、
前記制御部は、複数の前記監視処理部の前記判定結果を利用して前記トランスポンダ及び前記監視処理部の異常を判定する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の距離測定装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記判定手段によっていずれかの監視処理部の監視動作が異常と判定されると、他の監視処理部で前記トランスポンダを監視するとともに、異常が判定された監視処理部を待機状態に切り替える
ことを特徴とする請求項4に記載の距離測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−156636(P2009−156636A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−332743(P2007−332743)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】