説明

身体凹部清浄剤

【課題】へそのゴマ、耳垢、手足の爪垢等の身体凹部の汚れを、へそ凹部の内表面、耳腔の内表面、及び手足の指爪と指先端部との間の凹部の皮膚表面を傷付けることなく、容易に除去することができる身体凹部清浄剤、更には、水虫等による疾患部に直接接触することなく、手足の指の間の凹部の皮膚表面上の汚染物を容易に除去し清浄化することができ、かつ作業性に優れた身体凹部清浄剤を提供すること。
【解決手段】身体凹部に流し込まれるか又は塗布された後、一定時間経過後に硬化し、該身体凹部内の汚れを同伴して該身体凹部から取り出し可能な形態となる、シリコーンゴム組成物からなる身体凹部清浄剤であって、前記シリコーンゴム組成物が、JIS Z3284に準拠して測定した硬化物のタック性が5〜40gfである、身体凹部清浄剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、へそのゴマ、耳垢、手足の爪垢等の汚れを除去するのに用いる身体凹部清浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、所謂へそ出しルックやへそピアスが一般化し、また水着を外出着として着用する時勢もあり、へそを露出する機会が増えている。へそ凹部に所謂へそのゴマが溜っていると見栄えが悪く、またへそ凹部に細菌が繁殖して臭いを発するため、見栄え向上や防臭上、へそのゴマの除去(へそ掃除)が行われている。
【0003】
へそのゴマの除去は、一般的には、指の爪で引っ掻いたり、オイルを付けた綿棒で掻き出す(後述の非特許文献1参照)ことにより行われている。
しかし、指の爪で引っ掻いたり、綿棒で掻き出すと、へそ凹部の内表面を傷付け易い。また、へそ凹部に連接する腹膜が刺激を受け、腹部に痛みが発生し易い。
【0004】
また、従来、耳垢の除去(耳掃除)は、耳掻きや綿棒を用いて行われている。しかし、耳掻き等を用いて耳掃除を行うと、耳腔奥部の損傷を避けるために耳垢の除去が不充分となり、また耳垢を耳腔奥部に向けて押しやることもあって耳垢を掻き出し難く、また耳腔の内表面を傷付け易い。
【0005】
【非特許文献1】株式会社コジット HP事業部、「アイデア.com:『おへそクリーン』販売頁」、[online]、株式会社コジット、[平成16年8月2日検索]、インターネット<URL http://www.rakuten.co.jp/cogit/485020/452459/>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、へそのゴマ、耳垢、手足の爪垢等の身体凹部の汚れを、へそ凹部の内表面、耳腔の内表面、及び手足の指爪と指先端部との間の凹部の皮膚表面を傷付けることなく、容易に除去することができる身体凹部清浄剤、更には、水虫等による疾患部に直接接触することなく、手足の指の間の凹部の皮膚表面上の汚染物を容易に除去し清浄化することができ、かつ作業性に優れた身体凹部清浄剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記目的を達成すべく種々検討した結果、シリコーンゴム組成物であって、その硬化物が特定のタック性を有するものが、前記身体凹部清浄剤として好適であることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
即ち、本発明は、身体凹部に流し込まれるか又は塗布された後、一定時間経過後に硬化し、該身体凹部内の汚れを同伴して該身体凹部から取り出し可能な形態となる、シリコーンゴム組成物からなる身体凹部清浄剤であって、前記シリコーンゴム組成物が、JIS
Z3284に準拠して測定した硬化物のタック性が5〜40gfである、身体凹部清浄剤を提供するものである。
【0009】
前記タック性(粘着性)は、下記の方法により測定されたものである。
〔タック性の測定方法〕
JIS Z3284に準拠して、タッキネステスター(株式会社レスカ製「TACKINESS TESTER MODEL TAC-II 」)を用いて次のようにしてタック性を測定する。
(1) シリコーンゴム組成物が二液混合型組成物の場合、第1剤と第2剤とを室温(25℃)で30秒間均一になるまで混合し、シリコーンゴム組成物を調製する。
(2) 調製後直ちにシリコーンゴム組成物を10mm×75mm×1mmの型に流し込む。
(3) 5分放置後、硬化物を型から取り出し、ガラス板に載せ、タッキネステスターのステージにセットする。
(4) 以下の測定条件でプローブを硬化物に押しつけた後、2mm引き上げる時の最大抵抗値を、10分以内に7点測定し、その平均値をタック性とする。
(測定条件)
・プレート温度:室温(25℃)〔試料台の温度〕
・プローブ温度:35℃〔プローブ(径5mm)の先端にはポリエチレン板が貼着
されている。〕
・進入速度:30mm/min
・プレロード:200gf(プローブの硬化物への加圧力)
・プレスタイム:10秒(プローブの硬化物への加圧時間)
・テスト速度:120mm/min(プローブの硬化物からの引き上げ速度)
・引き上げ距離:2mm
【0010】
シリコーンゴム組成物が三剤以上の混合型組成物の場合のタック性の測定は、前記の二液混合型組成物の場合と同様にして、各剤を混合してシリコーンゴム組成物を調製し、以下同様に行われる。また、シリコーンゴム組成物が一液型組成物の場合のタック性の測定は、一液型シリコーンゴム組成物を型に流し込み、以下、前記の二液混合型組成物の場合と同様に行われる。
【0011】
かかるタック性が5〜40gfである場合には、硬化物を身体凹部から引き抜く際に簡単に脱落し、スポンという引き抜き効果感が得られる。タック性が過度に大きい場合、施術部位の皮膚への接着性が高過ぎて引き抜くために強い力を要し、痛みを伴うことがあったり、硬化物が凝集破壊を起こして、身体凹部から完全に引き抜き出せず、身体凹部に硬化物の一部が取り残されることがある。上記タック性は、特に10〜35gf、とりわけ12〜35gfであるのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の身体凹部清浄剤によれば、へそのゴマ、耳垢、手足の爪垢等の身体凹部の汚れを、へそ凹部の内表面、耳腔の内表面、及び手足の指爪と指先端部との間の凹部の皮膚表面を傷付けることなく、容易に除去することができる。更には、水虫等による疾患部に直接接触することなく、手足の指の間の凹部の皮膚表面上の汚染物を容易に除去し清浄化することができる。また、へそ凹部又は耳腔等への流し込みに要する適度な時間を確保でき、かつ充填後は短時間で取出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の身体凹部清浄剤を、その好ましい実施形態について詳しく説明する。
本発明の身体凹部清浄剤は、へそ凹部、耳腔、手足の指爪と指先端部との間の凹部、手足の指の間の凹部等の身体凹部に液状物として流し込まれるか又は塗布された後、一定時間経過後に硬化し、該身体凹部内の汚れを同伴して該身体凹部から取り出し可能な形態となる、硬化物のタック性(粘着性)が5〜40gfであるシリコーンゴム組成物からなる。このシリコーンゴム組成物は、付加反応硬化型の液状シリコーンゴム組成物であることが好ましく、特に二液混合型の液状シリコーンゴム組成物であることが好ましく、具体的には、下記(イ)及び(ロ)のシリコーンゴム組成物である。
【0014】
(イ)下記の(A)成分、(B)成分及び(C)成分を、下記の量含有するシリコーンゴム組成物。
(A)1分子中に、ケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有するジオルガノポリシロキサン
(B)1分子中に、ケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン〔該(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子が、前記シリコーンゴム組成物中のケイ素原子に結合したアルケニル基1モルに対して2.5〜10モルの範囲となる量〕
(C)白金族金属系触媒〔有効量〕
【0015】
(ロ)下記の(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を、下記の量含有するシリコーンゴム組成物。
(A)1分子中に、ケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有するジオルガノポリシロキサン、
(B)1分子中に、ケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン〔該(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子が、前記シリコーンゴム組成物中のケイ素原子に結合したアルケニル基1モルに対して0.5〜10モルの範囲となる量〕
(C)白金族金属系触媒〔有効量〕
(D)R13SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる三次元網状構造のシリコーンレジン(但し、R1は置換基を有していてもよい一価炭化水素基であり、SiO4/2単位に対するR13SiO1/2単位のモル比は0.5〜1.5である)〔(A)、(B)、(C)及び(D)成分の合計量中に10〜40質量%〕
【0016】
本発明の身体凹部清浄剤の更に好ましい実施形態は、前記(イ)及び(ロ)のシリコーンゴム組成物が、更に下記の(E)成分、(F)成分及び(G)成分から選ばれる1種以上を含有する。
【0017】
(E)チクソトロピー性付与剤
(F)比表面積50m2/g以上のシリカ微粉末
(G)メチルビニルシクロポリシロキサン等の付加反応制御剤
【0018】
前記の(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分、(F)成分、及び(G)成分について、以下に更に詳しく説明する。
【0019】
前記(A)成分は、本発明の身体凹部清浄剤を構成する前記液状シリコーンゴム組成物のベースポリマーであり、1分子中に、ケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有するジオルガノポリシロキサンである。このようなアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンとしては、好ましくは下記平均組成式(i)で示されるものを挙げることができる。
4aSiO(4-a)/2 ・・・・・・ (i)
式中、R4は互いに同一又は異種の炭素原子数1〜10、好ましくは1〜8の非置換又は置換1価炭化水素基であり、aは1.5〜2.8、好ましくは1.8〜2.5、より好ましくは1.95〜2.05の範囲の正数である。
ここで、前記R4で示されるケイ素原子に結合した非置換又は置換の1価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基やシアノエチル基等が挙げられる。
【0020】
前記平均組成式(i)で示されるジオルガノポリシロキサンの場合、前記R4のうち1分子中に平均して少なくとも2個、好ましくは平均2〜20個、より好ましくは平均2〜10個は、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜8のアルケニル基、更に好ましくは炭素原子数2〜6のアルケニル基)であることが必要である。なお、該アルケニル基の含有量は、全有機基(即ち、前記の非置換又は置換1価炭化水素基)R4中、好ましくは0.0001〜20モル%、より好ましくは0.001〜10モル%であり、特に0.01〜5モル%程度とすることが好ましい。このアルケニル基は、分子鎖末端のケイ素原子に結合していても、分子鎖途中のケイ素原子に結合していても、両者に結合していてもよいが、分子鎖両末端のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有するものが好ましい。
【0021】
また、前記(A)成分のジオルガノポリシロキサンは、25℃における粘度が50〜500,000mPa・sのものが好ましく、特に400〜200,000mPa・sのものが好ましい。
前記(A)成分のジオルガノポリシロキサンの分子構造は限定されず、例えば直鎖状、分岐鎖状、一部分岐を有する直鎖状が挙げられ、好ましくは主鎖が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のジオルガノポリシロキサンである。
前記(A)成分のジオルガノポリシロキサンは、これらの分子構造を有する単一の重合体、これらの分子構造からなる共重合体、又はこれらの重合体の混合物であり、1種単独で使用しても2種以上併用してもよい。
【0022】
前記(B)成分は、本発明の身体凹部清浄剤を構成する前記液状シリコーンゴム組成物の架橋剤であり、1分子中に、ケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。
この(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、前記(A)成分のアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンとヒドロシリル化付加反応により組成物を硬化させる架橋剤として作用するものであり、好ましくは下記平均組成式(ii)で示されるものを挙げることができる。
5bHc SiO(4-b-c)/2 ・・・・・・ (ii)
式中、R5は炭素原子数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基である。また、bは0.7〜2.1、cは0.001〜1.0で、かつb+cは0.8〜3.0を満足する正数である。
【0023】
前記(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1分子中に、ケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を少なくとも2個、好ましくは3個以上(通常、3〜200個程度)、より好ましくは3〜100個程度有することが必要である。
ここで、前記R5としては、前記平均組成式(i)中のR4と同様の基を挙げることができるが、好ましくは脂肪族不飽和結合を有さないものがよい。
【0024】
前記(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C65)SiO3/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位と(CH33SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体等が挙げられる。
【0025】
前記(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、環状、分岐状、三次元網状構造のいずれであってもよいが、1分子中のケイ素原子の数(又は重合度)が3〜1000、特に3〜300程度のものを好適に使用することができる。
また、前記(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、25℃における粘度が10〜100,000mPa・sのものが好ましく、特に10〜5,000mPa・sのものが好ましい。
【0026】
前記(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの含有量は、前記(イ)のシリコーンゴム組成物の場合、該(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子が、前記(イ)のシリコーンゴム組成物中のケイ素原子に結合したアルケニル基1モルに対して2.5〜10モル、好ましくは3〜5モルの範囲となる量であり、前記(ロ)のシリコーンゴム組成物の場合、該(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子が、前記(ロ)のシリコーンゴム組成物中のケイ素原子に結合したアルケニル基1モルに対して0.5〜10モル、好ましくは1〜5モルの範囲となる量である。
前記(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種単独で使用しても2種以上併用してもよい。
【0027】
前記(C)成分の白金族金属系触媒は、前記(A)成分中のアルケニル基と前記(B)成分中のSiH基とのヒドロシリル化付加反応を促進するための触媒であり、例えば、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と1価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒のほか、同様のパラジウム系触媒、ロジウム系触媒等が挙げられる。なお、この白金族金属系触媒の配合量は、通常、白金族金属として前記(A)及び(B)成分の合計重量に対して0.5〜1000ppm、特に1〜500ppm程度配合することが好ましい。
【0028】
本発明の身体凹部清浄剤を、硬化後、身体凹部から容易かつ不快感なく除去するには、充填・硬化した清浄剤硬化物が特定の表面タック性を有すること(前記の方法により測定した硬化物のタック性が5〜40gfであること)を要する。一般にシリコーンゴム硬化物は、表面粘着性(表面タック性)に富む硬化表面を与えるものではなく、本発明の身体凹部清浄剤に適用する液状シリコーンゴム組成物としては、通常のシリコーンゴムより表面タック性が高めの硬化物を与えることが好ましい。かかる表面タック性の向上手段としては、例えば、下記I及びIIの様な手段を選ぶことができる。
【0029】
I:シリコーンゴム組成物中に含まれるケイ素原子に結合したアルケニル基に対するSiH基のモル比、即ち、前記(A)成分、前記(D)成分及び前記(G)成分中に含まれるケイ素原子に結合したアルケニル基に対する前記(B)成分中のSiH基のモル比(以下、このモル比をH/Viと記載する)を、通常の範囲より高い領域、例えば、H/Viを2.5〜10モル/モル、特に3〜5モル/モル程度に設定する。このH/Viの値が低すぎると、身体凹部清浄剤として充分な表面タック性の向上効果が得られず、また、H/Viの値が高すぎると、シリコーンゴム硬化物が発泡する場合がある。
【0030】
II:表面タック性を向上させる成分として、前記(D)成分を所定量配合する。但し、この(D)成分は、シリコーンゴム組成物中における前記H/Viの値が2.5〜10モル/モル程度と高い領域に設定されている場合には、特に配合する必要はない。
【0031】
前記(D)成分は、R13SiO1/2単位とSiO4/2単位とを、SiO4/2単位に対するR13SiO1/2単位のモル比が0.5〜1.5、好ましくは0.8〜1.2となる割合で含有する三次元網状構造のシリコーンレジンである。
ここで、前記R1で示される置換基を有していてもよい一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基等のアリール基、3, 3, 3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基等の、炭素原子数1〜6程度の非置換又は置換一価炭化水素基が挙げられる。かかるシリコーンレジンとして具体的には、(CH33SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH2=CH)(CH32SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH33SiO1/2単位と(CH2=CH)(CH32SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH33SiO1/2単位と(CH32SiO2/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH33SiO1/2単位と(C65)SiO3/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体等が挙げられる。
【0032】
前記(D)成分のシリコーンレジンは、シリコーンゴム組成物中のシロキサン成分の合計(即ち、前記(A)、(B)、(C)及び(D)成分の合計)に対する(D)成分の比率が10〜40質量%、特に20〜39質量%、更には30〜38質量%程度となる量で配合することが好ましい。前記(D)成分の配合割合が低すぎると、特に前記H/Viの値が低い場合には、身体凹部清浄剤として充分な表面タック性の向上効果が得られず、また前記(D)成分の配合割合が高すぎると、表面タック性が高くなりすぎて、身体凹部から充填・硬化した清浄剤(硬化物)を除去することが困難になる場合がある。
【0033】
前記(E)成分のチクソトロピー性付与剤は、本発明の身体凹部清浄剤を構成する液状シリコーンゴム組成物にチクソトロピー性を付与するものである。上記液状シリコーンゴム組成物のうち(C)成分の白金族金属触媒を除いた組成物の25℃における回転速度12rpmでの粘度に対する回転速度6rpmでの粘度の比率としてのチクソトロピー係数が1.3以上、特に1.4以上のチクソトロピー性を付与し得るものが好ましい。チクソトロピー性を十分安定的に発現するためには、室温(25℃)において液状であるものが好ましく、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル化合物、或いはそれらとシロキサン化合物とのブロックポリマー、ジメチルシロキサンとジフェニルシロキサンとの共重合体等の直鎖状ポリマーが主として用いられる。
【0034】
特に、前記(E)成分のチクソトロピー性付与剤としては、前記直鎖状ポリマーの分子鎖の少なくとも片方の分子鎖末端が、好ましくは分子鎖の両末端が、一価炭化水素基又はオルガノシリル基で封鎖されていることが好ましい。分子鎖の両末端がヒドロキシ基で停止している直鎖状ポリマーの場合には、硬化したシリコーンゴムが発泡したり、或いは清浄剤としての十分な充填性や形状保持性、表面粘着性、清浄性等を発揮できなくなる場合がある。
【0035】
前記(E)成分のチクソトロピー性付与剤としては、特に下記一般式(1)で表されるポリエーテル化合物を好適に使用することができる。
R2O-(C2H4O)m(C3H6O)n-R2 ・・・・・・ (1)
〔式中、R2は水素原子、一価炭化水素基又は -C3H6SiR3k (OR3)3-k(R3は一価炭化水素基であり、kは0〜3の整数である)で示される基であり、2個のR2は同一でも異なっていてもよいが、2個のR2は同時に水素原子ではない。mは0〜100の整数、nは0〜350の整数であり、m+nは2〜350の整数である。〕
【0036】
前記一般式(1)中の前記R2及び前記R3で示される一価炭化水素基としては、炭素原子数1〜20、特に1〜12、更には1〜10のものが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、イソプロペニル基等のアルケニル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられ、好ましくはアルキル基、アルケニル基であり、特に好ましくは前記R2はメチル基、エチル基、ビニル基、アリル基又はラウリル基であり、前記R3はメチル基、エチル基又はイソプロペニル基である。
【0037】
前記一般式(1)中のmは0〜100の整数、nは0〜350の整数、m+nは2〜350の整数であり、好ましくはmは0又は3〜50の整数、nは0又は3〜320の整数、m+nは3〜320の整数であり、より好ましくはmは0又は3〜20の整数、nは0又は5〜200の整数、m+nは4〜200の整数であり、更に好ましくはmは0又は5〜20の整数、nは0又は5〜100の整数、m+nは5〜100の整数である。なお、分子中において(C2H4O)単位と(C3H6O)単位との配列はブロック状であってもランダムであってもよい。ポリエーテルの重合度(m,n又はm+n)が小さすぎると、チクソトロピー性を十分に付与することが困難である場合がある。前記一般式(1)で表されるポリエーテル化合物の数平均分子量は、150〜20,000、特に200〜15,000程度が好ましい。
【0038】
また、前記一般式(1)中の2個のR2は同一でも異なっていてもよいが、2個のR2は同時に水素原子ではない。即ち、前記R2の少なくとも1個は一価炭化水素基又は -C3H6SiR3k (OR3)3-kで示されるオルガノシリル置換プロピル基であることが必要である。これは、2個のR2が同時に水素原子であると(即ち、分子鎖両末端がヒドロキシル基で封鎖されていると)、白金族金属系触媒による脱水素反応を生じる可能性が高くなり、発泡したり、可使時間、成形品取出し時間に悪影響を与える場合があり、また清浄剤としての十分な充填性や形状保持性、表面粘着性、清浄性等を発揮できなくなる場合がある。
【0039】
前記(E)成分の配合量は、前記(A)、(B)及び(C)成分の合計100質量部に対して10質量部以下、即ち0〜10質量部が好ましく、より好ましくは0.01〜10質量部、特に0.1〜5質量部であることが好ましく、1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。前記(E)成分の配合量が少なすぎると、液状シリコーンゴム組成物にチクソトロピー性を十分に付与することが困難となり、結果として、へそ凹部又は耳腔等への流し込み性(充填性)や形状保持性、表面粘着性、清浄性に劣る場合があり、多すぎると、成形性、ゴム物性等に悪影響を与えてしまう場合がある。
【0040】
前記(F)成分のシリカ微粉末は、シリコーンゴムの補強性充填剤として、周知のものが使用可能であり、この目的のためにはBET吸着法による比表面積が50m2/g以上、好ましくは100〜400m2/gのものを用いる。このシリカ微粉末としては、煙霧質シリカ(乾式シリカ)、沈殿シリカ(湿式シリカ)が例示され、煙霧質シリカ(乾式シリカ)が好ましい。また、これらの表面をオルガノポリシロキサン、オルガノポリシラザン、クロロシラン、アルコキシシラン等で疎水化処理してもよい。これらのシリカ微粉末は、1種単独で使用しても2種以上併用してもよい。
【0041】
前記シリカ微粉末の添加量は、前記(A)成分のジオルガノポリシロキサン100質量部に対して、通常は0.1〜100重量部の範囲で使用され、好ましくは1〜100質量部、より好ましくは1〜50質量部である。かかる範囲において十分な補強効果が得られ、加工性がよく、得られるシリコーンゴムの物理特性が向上する。
【0042】
前記(G)成分の付加反応制御剤は、本発明の身体凹部清浄剤の作業性を改善するために必要に応じて配合し得る任意成分であり、前記(C)成分の白金族金属系触媒の存在下に進行する前記(A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基と前記(B)成分中のSiH基とのヒドロシリル化付加反応の速度を制御するものである。
【0043】
前記(G)成分の付加反応制御剤は、前記(A)、(B)及び(C)成分の合計100質量部に対して、通常5質量部以下(即ち、0〜5質量部)、好ましくは0.001〜5質量部、より好ましくは0.002〜2質量部、更に好ましくは0.005〜1質量部配合することによって、液状シリコーンゴム組成物の可使時間を15秒以上、特に30秒以上、更には1分以上に保持することができると同時に、成形品取出し時間を10分以下、特に7分以下とすることができる。適度の可使時間と硬化特性とを併せ持たせることにより、へそ凹部又は耳腔等への身体凹部清浄剤の流し込みに要する適度な時間を確保でき、かつ、充填後は短時間で該清浄剤が硬化した成形品を取出すことができ、作業性に優れた身体凹部清浄剤が得られる。なお、可使時間は、室温(25℃)において身体凹部清浄剤を構成する液状シリコーンゴム組成物を均一に混合した時点から該組成物がセルフレベリング(自己流動性)を示さなくなるまでの時間を意味し、成形品取出し時間は、室温(25℃)において前記液状シリコーンゴム組成物を均一に混合した時点から該組成物の硬化が進行してアスカーCで5以上の硬度のシリコーンゴム硬化物となるのに要する時間を意味する。
【0044】
前記(G)成分の付加反応制御剤としては、例えば、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリビニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタビニルシクロペンタシロキサン等のメチルビニルシクロポリシロキサン、トリアリルイソシアヌレート、アルキルマレエート、アセチレンアルコール類及びそのシランもしくはシロキサン変性物、ハイドロパーオキサイド、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾール及びそれらの混合物等が挙げられるが、好ましくはメチルビニルシクロポリシロキサン、アセチレンアルコール類及びそのシランもしくはシロキサン変性物である。前記(G)成分の付加反応制御剤は、1種単独で使用しても2種以上併用してもよい。
【0045】
本発明の身体凹部清浄剤を構成する液状シリコーンゴム組成物には、前記の(A)〜(C)成分及び必要に応じて配合し得る前記(D)〜(G)成分の他にも、無機顔料、有機染料等の着色剤、香料、離型剤等の任意性分を本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
【0046】
本発明の身体凹部清浄剤を構成する液状シリコーンゴム組成物は、(C)成分の白金族金属触媒を除いた組成物に関して、25℃における回転速度12rpmでの粘度に対する回転速度6rpmでの粘度の比率としてのチクソトロピー係数が1.3以上、特に1.4以上のチクソトロピー性を有することが好ましい。チクソトロピー係数の上限値は特に制限されないが、通常3以下、好ましくは2.5以下である。チクソトロピー係数が前記範囲であれば、身体凹部への優れた流込み性(充填性)が達成される。
【0047】
本発明の身体凹部清浄剤は、好ましくは前記(A)〜(C)成分及び必要に応じて配合された前記(D)〜(G)成分を主成分とする液状シリコーンゴム組成物を、例えば、(A)成分、(C)成分及び(F)成分を含有する第1剤と、(B)成分、(E)成分及び(G)成分を含有する第2剤とからなる二液混合型(但し、(E)成分、(G)成分は第1剤、第2剤のどちらに配合してもよい)とし、使用する直前に第1剤と第2剤とを均一に混合して身体凹部へ適用することが望ましい。
【0048】
本発明の身体凹部清浄剤は、身体(人間)のへそ凹部、耳腔等の清浄化以外にも、ペット等の動物の耳腔等の清浄化(耳掃除)にも適用することができるものであり、本発明の身体凹部清浄剤における身体には、人間及び動物が含まれる。
【実施例】
【0049】
下記の実施例及び比較例の身体凹部清浄剤を構成する液状シリコーンゴム組成物についてのチクソトロピー性、可使時間(作業時間)、成形品取出し時間、タック性は、次のように測定した。
[チクソトロピー性]
回転粘度計(BL型、ローターNo.4)を使用し、(C)成分の白金族金属触媒を除いた液状シリコーンゴム組成物について、回転速度12rpmにおける粘度(25℃)に対する回転速度6rpmおける粘度(25℃)の比率としてチクソトロピー係数を求めた。
[可使時間(作業時間)と成形品取出し時間]
可使時間は、室温(25℃)において液状シリコーンゴム組成物を均一に混合した時点から該組成物がセルフレベリング(自己流動性)を示さなくなるまでの時間を測定し、成形品取出し時間は、室温(25℃)において液状シリコーンゴム組成物を均一に混合した時点から該組成物の硬度がアスカーCで5以上となるのに要する時間を測定した。
[タック性]
前記の〔タック性の測定方法〕により測定した。
【0050】
〔実施例1〕
分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された粘度が10,000mPa・sのジメチルポリシロキサン(ビニル基;0.0055モル/100g)40部(質量部、以下同じ)と分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された粘度が600mPa・sのジメチルポリシロキサン(ビニル基;0.012モル/100g)60部とからなる(A)成分に、トリメチルシリル基で処理されたBET比表面積が300m2/gである疎水性シリカ微粉末〔(F)成分〕15部を配合したベース1を調製した。
前記ベース1の100部に対し、架橋剤組成物として、下記式で示されるポリエーテル1〔(E)成分〕を1.0部、硬化触媒としての塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体〔(C)成分〕を、白金金属として(A)成分及び(B)成分の合計量に対して50ppm、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン〔(G)成分〕0.01部、及び分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(SiH 0.005モル/g)4部と分子鎖両末端がジメチルハイドロジェンシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(SiH 0.001モル/g)10部とからなる(B)成分を加えた架橋剤組成物1を調製した。
上記ベース1と架橋剤組成物1との組み合わせからなる液状シリコーンゴム組成物1(実施例1の身体凹部清浄剤)について、チクソトロピー性(チクソトロピー係数)、可使時間、成形品取出し時間、成形品内の発泡の有無、タック性を下記表1に示す。なお、該液状シリコーンゴム組成物1のH/Viの値は、3.6モル/モルである。
【0051】
【化1】

【0052】
〔実施例2〕
ポリエーテル1の代わりに、下記式で示されるポリエーテル2を0.5部用いた以外は、実施例1と同様にして、液状シリコーンゴム組成物2(実施例2の身体凹部清浄剤)を得た。
ポリエーテル2
平均構造式: C11H23O-(CH2CH2O)3-H
得られた液状シリコーンゴム組成物2について、チクソトロピー性(チクソトロピー係数)、可使時間、成形品取出し時間、成形品内の発泡の有無、タック性を下記表1に示す。なお、該液状シリコーンゴム組成物2のH/Viの値は、3.6モル/モルである。
【0053】
〔実施例3〕
テトラメチルテトラビニルテトラシクロシロキサンの配合量を0.02部とした以外は、実施例2と同様にして、液状シリコーンゴム組成物3(実施例3の身体凹部清浄剤)を得た。
得られた液状シリコーンゴム組成物3について、チクソトロピー性(チクソトロピー係数)、可使時間、成形品取出し時間、成形品内の発泡の有無、タック性を下記表1に示す。なお、該液状シリコーンゴム組成物3のH/Viの値は、3.5モル/モルである。
【0054】
〔比較例1〕
分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(SiH 0.005モル/g)の配合量を2部、分子鎖両末端がジメチルハイドロジェンシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(SiH0.001モル/g)の配合量を5部とした以外は、実施例1と同様にして、液状シリコーンゴム組成物4(比較例1の身体凹部清浄剤)を得た。
得られた液状シリコーンゴム組成物4について、チクソトロピー性(チクソトロピー係数)、可使時間、成形品取出し時間、成形品内の発泡の有無、タック性を下記表1に示す。なお、該液状シリコーンゴム組成物4のH/Viの値は、1.8モル/モルである。
【0055】
【表1】

【0056】
前記の実施例1〜3で得られた液状シリコーンゴム組成物1〜3を身体凹部清浄剤として人間のへそ凹部にそれぞれ適用したところ、何れの場合も、へそのゴマが、へそ凹部内で硬化した清浄剤硬化物に同伴した状態で、皮膚表面を傷付けることなくへそ凹部から除去された。また、へそのゴマが除去されたへそ凹部は、臭いも除去されていた。
これに対し、比較例1で得られた液状シリコーンゴム組成物4を身体凹部清浄剤として人間のへそ凹部に適用したところ、この液状シリコーンゴム組成物4は硬化物のタック性が低すぎるため、実施例に比べて良好な引き抜き感触(スポンと引き抜ける効果感)に乏しい。
【0057】
〔実施例4〕
分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された粘度が5,000mPa・sのジメチルポリシロキサン(ビニル基;0.006モル/100g)30部と分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された粘度が600mPa・sのジメチルポリシロキサン(ビニル基;0.012モル/100g)20部とからなる(A)成分に、(CH33SiO1/2単位39.5モル%と(CH32(CH2=CH)SiO1/2単位6.5モル%とSiO2単位54モル%とからなる三次元網状構造のシリコーンレジン(ビニル基;0.00092モル/g)10部及び(CH33SiO1/2単位43モル%とSiO2単位57モル%とからなる三次元網状構造のシリコーンレジン25部からなる(D)成分を配合したベース2を調製した。
上記ベース2の100部に対し、架橋剤組成物として、ポリエーテル2〔(E)成分〕を0.5部、硬化触媒としての塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体〔(C)成分〕を、白金金属として(A)成分及び(B)成分の合計量に対して50ppm、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン〔(G)成分〕0.01部、及び分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(SiH 0.005モル/g)1部と分子鎖両末端がジメチルハイドロジェンシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(SiH 0.001モル/g)12部とからなる(B)成分を加え、架橋剤組成物2を調製した。
上記ベース2と架橋剤組成物2との組み合わせからなる液状シリコーンゴム組成物5(実施例4の身体凹部清浄剤)について、チクソトロピー性(チクソトロピー係数)、可使時間、成形品取出し時間、成形品内の発泡の有無、タック性を下記表2に示す。なお、該液状シリコーンゴム組成物5中の(A)、(B)、(C)及び(D)成分の合計に対する(D)成分の含有量は、36質量%であり、該液状シリコーンゴム組成物5のH/Viの値は、1.4モル/モルである。
【0058】
〔比較例2〕
分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された粘度が5,000mPa・sのジメチルポリシロキサン30部と分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された粘度が600mPa・sのジメチルポリシロキサン45部とからなる(A)成分に、(CH33SiO1/2単位39.5モル%と(CH32(CH2=CH)SiO1/2単位6.5モル%とSiO2単位54モル%とからなる三次元網状構造のシリコーンレジン2部及び(CH33SiO1/2単位43モル%とSiO2単位57モル%とからなる三次元網状構造のシリコーンレジン3部からなる(D)成分、及びトリメチルシリル基で処理されたBET比表面積が300m2/gである疎水性シリカ微粉末〔(F)成分〕10部を配合したベース3を調製した。
上記ベース3の100部に対し、ポリエーテル2〔(E)成分〕を0.5部、硬化触媒としての塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体〔(C)成分〕を、白金金属として(A)成分及び(B)成分の合計量に対して50ppm、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン〔(G)成分〕0.01部、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(SiH 0.005モル/g)1部と分子鎖両末端がジメチルハイドロジェンシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(SiH 0.001モル/g)7部とからなる(B)成分を加え、液状シリコーンゴム組成物6(比較例2の身体凹部清浄剤)を得た。
得られた液状シリコーンゴム組成物6について、チクソトロピー性(チクソトロピー係数)、可使時間、成形品取出し時間、成形品内の発泡の有無、タック性を下記表2に示す。なお、該液状シリコーンゴム組成物6中の(A)、(B)、(C)及び(D)成分の合計に対する(D)成分の含有量は、5質量%であり、該液状シリコーンゴム組成物6のH/Viの値は、1.2モル/モルである。
【0059】
〔比較例3〕
分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された粘度が5,000mPa・sのジメチルポリシロキサン30部と分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された粘度が600mPa・sのジメチルポリシロキサン20部とからなる(A)成分に、(CH33SiO1/2単位39.5モル%と(CH32(CH2=CH)SiO1/2単位6.5モル%とSiO2単位54モル%とからなる三次元網状構造のシリコーンレジン12部及び(CH33SiO1/2単位43モル%とSiO2単位57モル%とからなる三次元網状構造のシリコーンレジン35部からなる(D)成分を配合したベース4を調製した。
上記ベース4の100部に対し、ポリエーテル2〔(E)成分〕を0.5部、硬化触媒としての塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンの錯体〔(C)成分〕を、白金金属として(A)成分及び(B)成分の合計量に対して50ppm、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン〔(G)成分〕0.01部、及び分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(SiH 0.005モル/g)2部と分子鎖両末端がジメチルハイドロジェンシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(SiH 0.001モル/g)12部とからなる(B)成分を加え、液状シリコーンゴム組成物7(比較例3の身体凹部清浄剤)を得た。
得られた液状シリコーンゴム組成物7について、チクソトロピー性(チクソトロピー係数)、可使時間、成形品取出し時間、成形品内の発泡の有無、タック性を下記表2に示す。なお、該液状シリコーンゴム組成物7中の(A)、(B)、(C)及び(D)成分の合計に対する(D)成分の含有量は、42質量%であり、該液状シリコーンゴム組成物7のH/Viの値は、1.4モル/モルである。
【0060】
【表2】

【0061】
前記の実施例4で得られた液状シリコーンゴム組成物5を身体凹部清浄剤として人間のへそ凹部にそれぞれ適用したところ、実施例1〜3で得られた液状シリコーンゴム組成物1〜3の場合と同様の結果(効果)が得られた。
これに対し、比較例2及び3で得られた液状シリコーンゴム組成物6及び7を身体凹部清浄剤として人間のへそ凹部に適用したところ、液状シリコーンゴム組成物6は硬化物のタック性が低すぎるため、良好な引き抜き感触(スポンと引き抜ける効果感)が得られない。また、液状シリコーンゴム組成物7は硬化物のタック性が高すぎるため、引き抜く際に強い力を要し、痛みを伴うことや、完全に引き抜き出せず、ちぎれて身体凹部に一部の硬化物が残ることがある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体凹部に流し込まれるか又は塗布された後、一定時間経過後に硬化し、該身体凹部内の汚れを同伴して該身体凹部から取り出し可能な形態となる、シリコーンゴム組成物からなる身体凹部清浄剤であって、
前記シリコーンゴム組成物が、JIS Z3284に準拠して測定した硬化物のタック性が5〜40gfである、身体凹部清浄剤。
【請求項2】
前記シリコーンゴム組成物が、下記の(A)成分、(B)成分及び(C)成分を、下記の量含有する、請求項1記載の身体凹部清浄剤。
(A)1分子中に、ケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有するジオルガノポリシロキサン
(B)1分子中に、ケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン〔該(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子が、前記シリコーンゴム組成物中のケイ素原子に結合したアルケニル基1モルに対して2.5〜10モルの範囲となる量〕
(C)白金族金属系触媒〔有効量〕
【請求項3】
前記シリコーンゴム組成物が、下記の(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を、下記の量含有する、請求項1記載の身体凹部清浄剤。
(A)1分子中に、ケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有するジオルガノポリシロキサン、
(B)1分子中に、ケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン〔該(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子が、前記シリコーンゴム組成物中のケイ素原子に結合したアルケニル基1モルに対して0.5〜10モルの範囲となる量〕
(C)白金族金属系触媒〔有効量〕
(D)R13SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる三次元網状構造のシリコーンレジン(但し、R1は置換基を有していてもよい一価炭化水素基であり、SiO4/2単位に対するR13SiO1/2単位のモル比は0.5〜1.5である)〔(A)、(B)、(C)及び(D)成分の合計量中に10〜40質量%〕

【公開番号】特開2006−45164(P2006−45164A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−231630(P2004−231630)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】