説明

車両と家屋間の電力供給システム

【課題】電源を備えた車両と家屋間のプラグイン及びプラグアウトの電力供給の態様を、車両電源の温度管理を向上させて、電力を有効に制御することができる車両と家屋間の電力供給システムを提供する。
【解決手段】燃料電池車両1aのプラグ差込口10と家屋の電源コンセント71とが、電源ケーブル100により接続された状態にあるときに、車両電源状態検出手段61により検出される燃料電池20及びバッテリ21の温度を含む状態と、家屋電源状態検出手段81により検出される家屋70における商用電源75の状態とに基づいて、燃料電池20又はバッテリ21から家屋70に電力を供給するプラグアウト電力供給と、商用電源75から燃料電池車両1aに電力を供給するプラグイン電力供給とを切換える電力供給制御手段62を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源を備えた車両及び家屋の間で、電力を供給するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に設けられた外部電源接続用のコネクタと、家屋に設けられている商用電源のコンセントとを、電源ケーブルで接続して、商用電源から車両への電力供給を可能とするいわゆるプラグイン電力供給を行うシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
プラングイン電力供給を行うことによって、モータを駆動源とするハイブリッド車両や電気自動車に備えられたバッテリを、家屋から供給される商用電源の電力により充電することができる。そして、特許文献1には、家屋に設けられたコンセントからの電力の盗難を防止するために、車両と家屋の電源供給部との間で認証を行い、認証の成立を条件として家屋から車両へのプラグイン電力供給を許可するようにした構成が記載されている。
【0004】
また、車両に設けられた商用電源と同一形状のコンセントに、車両に搭載されたバッテリから商用電源と同等の交流電力を生成して出力するようにした、いわゆるプラグアウト電力供給を行うシステムが提案されている(例えば、特開2006−20445公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−61432号公報
【特許文献2】特開2006−20445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、プラグイン電力供給を行うシステムとプラグアウト電力供給を行うシステムが提案されているが、両システムを組み合わせた構成は開示されていない。
【0007】
そこで、本発明は、電源を備えた車両と家屋間のプラグイン及びプラグアウトの電力供給の態様を双方化し、電源である燃料電池やバッテリ等の温度管理の方法の向上を目指したものであり、かつ、電力を有効に制御することができる車両と家屋間の電力供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的を達成するためになされたものであり、車両用電源を有する車両と、家屋用電源を有する家屋との間を、双方向の電力供給を可能とし、且つ、着脱自在に接続する電源接続手段と、前記家屋に設けられ、前記家屋用電源の状態を検出する家屋電源状態検出手段と、前記車両に設けられ、前記車両用電源の状態を検出する車両電源状態検出手段と、前記車両に設けられ、前記電源接続手段により、前記車両と前記家屋とが、双方向の電力供給を可能として接続された状態にあるときに、前記車両電源状態検出手段により検出される少なくとも前記車両用電源の温度を含む前記車両用電源の状態と、前記家屋状態検出手段により検出される前記家屋用電源の状態とに基づいて、前記車両用電源から前記家屋に電力を供給するプラグアウト電力供給と、前記家屋用電源から前記車両に電力を供給するプラグイン電力供給とを切換える電力供給制御手段とを備えたことを特徴とする(第1発明)。
【0009】
第1発明によれば、前記車両に設けられた前記電力供給制御手段により、少なくとも前記車両用電源の温度を含む前記車両用電源の状態と前記家屋用電源の状態とに基づいて、前記車両用電源から前記家屋に電力を供給するプラグアウト電力供給と、前記家屋用電源から前記車両に電力を供給するプラグイン電力供給とが切換えられる。そして、これにより、前記車両用電源の温度を適正として前記車両用電源の性能を安定化することができると共に、前記車両用電源と前記家屋用電源の能力を相互に補完して、前記車両用電源と前記家屋用電源から供給される電力を有効に活用することができる。
【0010】
また、前記電源接続手段は、前記車両と前記家屋との間を、電源ケーブルを介して、双方向の電力供給を可能とし、且つ、着脱自在に接続し、前記家屋及び前記車両に設けられ、前記電源ケーブルの電力線にデータを重畳させて、前記家屋と前記車両間で通信を行うPLC通信手段を備え、前記電力供給制御手段は、前記PLC通信手段による前記車両と前記家屋間の通信が可能となっているときに、前記電源接続手段により前記車両と前記家屋とが双方向の電力供給を可能として接続された状態にあると判断して、前記プラグアウト電力供給と前記プラグイン電力供給とを切換えることを特徴とする(第2発明)。
【0011】
第2発明によれば、前記電力供給制御手段は、前記PLC通信手段による前記車両と前記家屋間の通信が可能となっているときに、前記電源接続手段により前記車両と前記家屋とが双方向の電力供給を可能として接続された状態にあると判断することができる。
【0012】
また、前記第1発明又は前記第2発明において、前記車両用電源は燃料電池であり、前記電力供給制御手段は、前記車両電源状態検出手段により検出された前記燃料電池の温度が所定の下限温度よりも低いときに、前記燃料電池の発電により前記燃料電池の温度を上昇させる暖気運転をすると共に、前記プラグアウト電力供給を行って、前記燃料電池の発電電力を前記家屋側で消費させることを特徴とする(第3発明)。
【0013】
従来は、前記燃料電池が暖気運転を行なう際には、暖機運転に伴って発生する発電電力を消費する必要があった。そして、該発電電力を前記車両に備えられた電装機器で消費することができないときには、該発電電力を熱に変えるための大きな抵抗器を前記車両に備えて、該発電電力を該抵抗器で消費させる必要があった。そして、この場合は、前記燃料電池で発電された電力が無駄に消費されると共に、大きな抵抗器を備えることによる体積増加とコストアップが必須となる。
【0014】
そこで、前記車両に設けられた前記電力供給制御手段は、低温環境下で前記燃料電池の暖気運転を行うときに、前記燃料電池の発電電力を前記家屋に供給して、前記家屋側で消費させる。これにより、前記燃料電池の発電電力により前記家屋内の家電製品等の電気負荷を作動させたり該発電電力を電力会社に売却等して、前記燃料電池の発電電力を有効に利用することができる。また、前記燃料電池の発電電力を消費させるために前記車両に備えられる抵抗器を小型化してコストダウンを図ることができる。
【0015】
また、前記第1発明又は前記第2発明において、前記車両は、モータにより駆動輪を駆動する電気車両であり、前記車両用電源は蓄電手段であって、前記電力供給制御手段は、前記車両電源状態検出手段により検出された前記蓄電手段の残充電量が所定レベル以上であると共に前記蓄電手段の温度が所定の下限温度よりも低いときに、前記蓄電手段の放電により前記蓄電手段の温度を上昇させる暖気運転を行うと共に、前記プラグアウト電力供給を行って、前記蓄電手段の放電電力を前記家屋側で消費させることを特徴とする(第4発明)。
【0016】
第4発明によれば、前記蓄電手段の暖気運転を行なう際には、暖機運転に伴って発生する放電電力を消費する必要がある。そして、該放電電力を前記車両に備えられた電装機器で消費することができないときには、該放電電力を熱に変えるための大きな抵抗器を前記車両に備えて、該放電電力を該抵抗器で消費させる必要がある。そして、この場合は、前記蓄電手段から放電される電力が無駄に消費されると共に、大きな抵抗器を備えることによる体積増加とコストアップが必須となる。
【0017】
そこで、前記車両に設けられた前記電力供給制御手段は、前記車両電源状態検出手段により検出された前記蓄電手段の残充電量が所定レベル以上であると共に前記蓄電手段の温度が所定の下限温度よりも低く、充電による前記充電手段の暖気を行うことができないときに、放電による前記蓄電手段の暖気を行うと共にプラグアウト電力供給により、放電電力を前記家屋に供給して前記家屋側で消費させる。これにより、前記蓄電手段の放電電力により前記家屋内の家電製品等の電気負荷を作動させたり該放電電力を電力会社に売却等して、前記蓄電手段の放電電力を有効に利用することができる。また、前記蓄電手段の放電電力を消費させるために前記車両に備えられる抵抗器を小型化してコストダウンを図ることができる。
【0018】
また、前記第1発明又は前記第2発明において、前記車両は、モータ及びエンジンにより駆動輪を駆動するハイブリッド車両であり、前記車両用電源は蓄電手段であって、前記電力供給制御手段は、前記車両電源状態検出手段により検出された前記蓄電手段の残充電量が所定レベル以上であると共に前記蓄電手段の温度が所定の下限温度よりも低いときに、前記蓄電手段の放電により前記蓄電手段の温度を上昇させる第1の暖気運転を行い、また、前記車両電源状態検出手段により検出された前記蓄電手段の残充電量が前記所定レベルよりも低いために、前記第1の暖気運転による放電での前記蓄電手段の温度上昇ができないときには、前記エンジンの作動により前記モータを発電機として動作させて、前記モータの発電電力による前記蓄電手段の充電により前記蓄電手段の温度を上昇させる第2の暖気運転を行ない、前記第1の暖気運転又は前記第2の暖気運転を行っているときに、前記プラグアウト電力供給を行って、前記蓄電手段の放電電力又は前記モータの発電電力を前記家屋側で消費させることを特徴とする(第5発明)。
【0019】
第5発明によれば、前記蓄電手段について前記第1の暖気運転又は前記第2の暖気運転を行なう際には、これらの暖機運転に伴って発生する電力を消費する必要がある。そして、発生する電力を前記車両に備えられた電装機器で消費することができないときには、該電力を熱に変えるための大きな抵抗器を前記車両に備えて、該電力を該抵抗器で消費させる必要がある。そして、この場合は、前記蓄電手段の放電電力と前記モータの発電電力が無駄に消費されると共に、大きな抵抗器を備えることによる体積増加とコストアップが必須となる。
【0020】
そこで、前記車両に設けられた前記電力供給制御手段は、前記蓄電手段の放電電力と前記モータの発電電力を前記家屋に供給して、前記家屋側で消費させる。これにより、前記蓄電手段の放電電力や前記モータの発電電力により前記家屋内の家電製品等の電気負荷を作動させたり該放電電力や発電電力を電力会社に売却等して、前記蓄電手段の放電電力と前記モータの発電電力を有効に利用することができる。また、前記蓄電手段の放電電力と前記モータの発電電力を消費させるために前記車両に備えられる抵抗器を小型化してコストダウンを図ることができる。
【0021】
また、前記第1発明から前記第5発明のうちのいずれかにおいて、前記電力供給制御手段は、前記家屋電源状態検出手段により、前記家屋用電源の出力電圧が所定レベル以下に低下していることが検出されたときに、前記プラグアウト電力供給を行って、前記車両用電源から前記家屋に供給される電力により前記家屋用電源の出力電力の不足を補うことを特徴とする(第6発明)。
【0022】
第6発明によれば、前記家屋における電力消費の増加や停電等により、前記家屋用電源の出力電圧が低下したときに、前記プラグアウト電力供給を行うことによって、前記家屋用電源からの出力電力の不足を補うことができる。
【0023】
また、前記第1発明から前記第6発明のうちのいずれかにおいて、前記車両は、シフトレバーの位置がパーキングであることを検出するシフト位置検出手段と、駆動輪を駆動するモータと、該モータへの電力供給が可能な状態と不能な状態とを切換えるモータスイッチとを有し、前記シフト位置検出手段によりシフト位置がパーキングであることが検出され、且つ、前記モータスイッチにより前記モータへの電力供給が不能な状態となっていることを条件として、前記電源接続手段により、前記車両と前記家屋間を双方向の電力供給を可能として接続することを許可する電源接続許可手段を備えたことを特徴とする(第7発明)。
【0024】
第7発明によれば、前記車両のシフトレバーの位置がパーキングであって、前記モータスイッチにより前記モータへの電力供給が不能な状態であるときは、前記車両を発進させることができない。そして、前記電源接続許可手段により、このように前記車両を発進させることができない状態であることを条件として、前記電源接続手段による前記車両と前記家屋との接続を許可することによって、前記電源接続手段により前記車両と前記家屋とが接続された状態で、前記車両が誤発進することを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】燃料電池車両と家屋間の電力供給システムの全体構成図。
【図2】燃料電池車両と家屋間の接続許可の処理と、燃料電池車両から家屋へのプラグアウト電力供給の判断処理のフローチャート。
【図3】燃料電池車両から家屋へのプラグアウト電力供給の処理のフローチャート。
【図4】燃料電池の暖気運転に伴なう発電電力の消費処理のフローチャート。
【図5】家屋から燃料電池車両へのプラグイン電力供給によるバッテリ充電処理のフローチャート。
【図6】電気車両と家屋間の電力供給システムの全体構成図。
【図7】ハイブリッド車両と家屋間の電力供給システムの全体構成図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の形態について、図1〜図7を参照して説明する。図1は本発明を燃料電池車両に適用した場合の車両と家屋間の電力供給システムの全体構成図である。
【0027】
図1を参照して、燃料電池車両1aは、車両用電源として燃料電池20とバッテリ21(例えばリチウムイオンバッテリ)とキャパシタ23を備え、これらの車両用電源から供給される電力により、PDU(Power Drive Unit)40から、駆動輪(図示しない)に接続されたモータ41に駆動電力が供給される。
【0028】
燃料電池車両1aには、さらに、燃料電池20及びキャパシタ23とPDU40との間に接続されたDC/DCコンバータ30、DC/DCコンバータ30及びPDU40とバッテリ21との間に接続されたDC/DCコンバータ31、DC/DCコンバータ31及びバッテリ21と電装補機43(燃料電池20に反応ガスを供給する反応ガス供給装置や、空調装置、燃料電池20を冷却/加熱するための冷媒循環回路に冷媒を循環させるウォータポンプ等)間に接続されたPDU42、PDU40への電力供給を遮断するためのモータスイッチ35(本発明の切換手段に相当する)、プラグ差込口10(本発明の外部電源コネクタに相当する)、プラグ差込口10の差込口を開閉する開閉蓋10a、及び燃料電池車両1aと家屋70との間の電力供給を制御するコントローラ60aが備えられている。
【0029】
燃料電池20には、燃料電池20の温度、端子間電圧、出力電流、反応ガス(本実施の形態では水素と空気)の供給圧力等の、燃料電池20の状態を検出する燃料電池センサ50が設けられている。
【0030】
バッテリ21には、バッテリ21の温度、端子間電圧、出力電流等を検出するバッテリセンサ52が設けられている。また、キャパシタ23には、キャパシタ23の温度、端子間電圧、出力電流等を検出するキャパシタセンサ51が設けられている。
【0031】
コントローラ60aは、マイクロコンピュータ(図示しない)等により構成された電子ユニットである。該マイクロコンピュータが燃料電池車両1aと家屋70間の電力供給用の制御プログラムを実行することによって、コントローラ60aは、車両電源状態検出手段61a、電力供給制御手段62a、PLC(Power Line Carrier、高速電力線通信)通信手段63、及び電源接続許可手段64として機能する。
【0032】
コントローラ60aには、燃料電池センサ50による燃料電池20の温度、端子間電圧、出力電流、反応ガスの供給圧力等の検出信号FC_sと、キャパシタセンサ51によるキャパシタ23の温度、端子間電圧、出力電流等の検出信号UC_s等の検出信号UC_sと、バッテリセンサ52によるバッテリ21の温度、端子間電圧、出力電流等の検出信号BT_sとが入力される。
【0033】
また、コントローラ60aから出力される制御信号によって、DC/DCコンバータ30、DC/DCコンバータ31、PDU42、モータスイッチ35、開閉蓋10a、反応ガス供給装置、ウォータポンプ等の作動が制御される。
【0034】
車両電源状態検出手段61aは、燃料電池センサ50から出力される検出信号FC_sに基づいて、燃料電池20の温度、端子間電圧、出力電流、発電電力等を検出する。また、車両電源状態検出手段61aは、キャパシタセンサ51から出力される検出信号UC_sに基づいて、キャパシタ23の温度、端子間電圧、出力電流、SOC(State Of Charge、満充電時の充電量を100%としたときの残充電量)等を検出する。また、車両用電源状態検出手段61aは、バッテリセンサ52から出力される検出信号BT_sに基づいて、バッテリ21の温度、端子間電圧、出力電流、SOC等を検出する。
【0035】
電力供給制御手段62aは、車両電源状態検出手段61aにより検出される燃料電池20及びバッテリ21の状態と、後述する家屋電源状態検出手段81により検出される家屋70での商用電源の状態とに基づいて、家屋70から燃料電池車両1aに電源ケーブル100を介して電力を供給するプラグイン電力供給と、燃料電池車両1aから家屋70に電源ケーブル100を介して電力を供給するプラグアウト電力供給とを切換える。
【0036】
PLC通信手段63は、燃料電池車両1aのコントローラ60と、後述する家屋70のコントローラ80との間で、電源ケーブル100を含む電力線にデータを重畳させて通信を行う。
【0037】
電源接続許可手段64は、シフトレバー(図示しない)の位置を検出するシフト位置センサ(図示しない)の検出信号Sh_sにより、シフトレバーの位置がP(パーキング)であることが検出された状態で、運転者によりプラグ差込口10の開閉蓋10aの開操作がなされたときに、モータスイッチ35をOFF(遮断状態)として開閉蓋10aを開ける。
【0038】
次に、家屋70に備えられたコントローラ80は、マイクロコンピュータ(図示しない)等により構成された電子ユニットである。該マイクロコンピュータが燃料電池車両1aと家屋70間の電力供給用の制御プログラムを実行することによって、コントローラ80は、家屋電源状態検出手段81及びPLC通信手段82として機能する。
【0039】
コントローラ80は、電力使用メータ72及び電力売却メータ73を備えた配電ボックス74を介して商用電源75と接続されている。なお、商用電源75から供給される電力を家屋70内の電源コンセントに分配する配電ボックス74は、本発明の家屋に備えられた家屋用電源に相当する。また、配電ボックス74の商用電源75との接続部は、電力線85により電源コンセント71と接続されている。
【0040】
家屋電源状態検出手段81は、電力使用メータ72から出力される商用電源の電圧や使用電力等の検出信号Pi_sと、電力売却メータ73から出力される商用電源への売却電力等の検出信号Po_sとにより、家屋70における商用電源の状態を検出する。また、PLC通信手段82は、電力線85にデータを重畳させて、燃料電池車両1aとの間で通信を行う。
【0041】
次に、図2〜図5に示したフローチャートに従って、電力供給制御手段62a及び電源接続許可手段64による処理について説明する。
【0042】
図2のSTEP1〜STEP4及びSTEP20〜STEP21は、電源接続許可手段64による処理である。電源接続許可手段64は、燃料電池車両1aの使用者(運転者)が、燃料電池車両1aに備えられた開閉蓋10aの開スイッチ(図示しない)を操作したときに、STEP1で、シフトレバーの位置がP(パーキング)になっているか否かを、シフト位置センサからの検出信号Sh_sにより判断する。なお、シフトレバーの位置がPであるときには、機械式ブレーキにより燃料電池車両1aが制動された状態となっている。
【0043】
そして、シフトレバーの位置がPであったときはSTEP2に進み、電源接続許可手段64は、モータスイッチ35をOFFしてPDU40への電力供給を遮断する。これにより、燃料電池車両1aは、機械式ブレーキにより制動されると共に、モータ41による駆動輪の駆動が不能な状態とされる。
【0044】
電源接続許可手段64は、このように、燃料電池車両1aが、機械式ブレーキにより制動されると共に、モータ41による駆動輪の駆動が不能な状態となっているときに、STEP3に進んで開閉蓋10aを開ける。これにより、プラグ差込口10に、電源ケーブル100のプラグ101を挿すことが可能となる。一方、STEP1で、シフトレバーの位置がPになっていなかったときにはSTEP20に分岐し、電源接続許可手段64は、開閉蓋10aによりプラグ差込口10を閉めたままに維持する。そして、STEP21に進んで処理を終了する。この場合には、使用者によるプラグ差込口10へのプラグ101の差込が禁止される。
【0045】
続くSTEP4以降は、電力供給制御手段62aによる処理である。電力供給制御手段62aは、STEP4で、家屋70のコントローラ80との間で、PLC通信が可能となったか否かを確認することにより、電源ケーブル100により、燃料電池車両1aのプラグ差込口10と家屋70の電源コンセント71が接続されたか否かを判断する。
【0046】
そして、燃料電池車両1aのプラグ差込口10と家屋70の電源コンセント71とが接続されたときにSTEP5に進み、電力供給制御手段62aは、家屋電源状態検出手段81からPLC通信手段82を用いてPLC通信により送信される家屋70における商用電源の電圧が、電圧低下判定レベル(例えば通常の商用電源の出力電圧の85%、または一般家庭の契約電力の上限に達すると予測されるとき)以下となっているか否かを判断する。
【0047】
家屋70における商用電源の電圧が電圧低下判定レベル以下に低下しているときは、図3のSTEP6に進む。一方、家屋70における商用電源の電圧が電圧低下判定レベルよりも高いときには、STEP30に分岐し、電力供給制御手段62aは、車両電源状態検出手段61aにより検出される燃料電池20の温度が0℃以上であるか否かを判断する。
【0048】
そして、燃料電池20の温度が0℃(本発明の下限温度に相当する)以上であるとき(この場合は、燃料電池20の暖気運転は不要)は図5のSTEP70に分岐し、電力供給制御手段62aは、バッテリ21の充電の要否を判断してバッテリ21を充電する。一方、燃料電池20の温度が0℃よりも低いとき(この場合は、燃料電池20の暖気運転が必要)には、STEP31に進み、電力供給制御手段62aは、燃料電池20の暖気運転を開始して図4のSTEP32に進む。図4のSTEP32〜STEP35,STEP40,STEP50,STEP60は、燃料電池20の暖気運転の処理である。
【0049】
次に、図3を参照して、家屋70における商用電源の電圧が電圧低下判定レベル以下に低下しているときの処理について説明する。
【0050】
電力供給制御手段62aは、STEP6で、車両電源状態検出手段61aにより検出されるバッテリ21のSOCが35%以上であるか否かを判断する。そして、バッテリ21のSOCが35%以上であったときはSTEP7に進み、電力供給制御手段62aは、バッテリ21の出力電力からPDU42により商用電源75の出力電力と同仕様の電力を生成して、プラグ差込口10に出力する。これにより、バッテリ21の出力電力がPDU42を経由して家屋70に供給され(プラグアウト電力供給)、家屋70における商用電力の供給がアシストされる。
【0051】
そして、このように、バッテリ21の出力電力により生成した商用電源と同仕様の電力を供給したときに、STEP8で家屋70における商用電源の電圧が電圧低下判定レベルよりも高くなるときは、プラグアウト電力供給が十分であるので、STEP6に戻り、バッテリ21の出力電力のみによるプラグアウト電力出力を継続する。
【0052】
一方、STEP8で、家屋70における商用電源の電圧が電圧判定レベル以下となったときには、プラグアウト電力供給が不十分である。そこで、この場合はSTEP9に進み、電力供給制御手段62aは、ウォータポンプを起動し、STEP10で燃料電池補機による燃料電池20に対する反応ガスの供給を開始する。
【0053】
そして、電力供給制御手段62aは、STEP11で、燃料電池20の出力電力からPDU42により商用電源75と同仕様の電力を生成して、プラグ差込口10に出力する。これにより、燃料電池20に出力電力がPDU42を経由して家屋70に供給され(プラグアウト電力供給)、家屋70における商用電力の供給がアシストされる。そして、STEP12に進み、電力供給制御手段62aは処理を終了する。
【0054】
次に、図4を参照して、燃料電池20の暖気運転の処理について説明する。電力供給制御手段62aは、STEP32で、車両電源状態検出手段61aにより検出される燃料電池20の発電電力(暖気電力)が、車両電源状態検出手段61aにより検出されるバッテリ21の受電量(充電可能な電力の最大値)よりも大きいか否かを判断する。なお、燃料電池20の暖気運転は、例えば、燃料電池20の発電電力を10〜30kw程度に設定して、10〜60秒程度作動させることによって行われる。
【0055】
ここで、燃料電池20の発電電力がバッテリ21の受電量以下であるときは、燃料電池20の発電電力をバッテリ21の充電により全て消費させることができる。そのため、この場合はSTEP40に分岐し、電力供給制御手段62aは、燃料電池20の発電電力をバッテリ21の充電によって消費させる。そして、STEP36に進んで、電力供給制御手段62aは処理を終了する。
【0056】
一方、STEP32で、燃料電池20の発電電力がバッテリ21の受電量よりも大きいときには、燃料電池20の発電電力をバッテリ21の充電のみで消費させることはできない。そこで、この場合はSTEP33に進み、電力供給制御手段62aは、燃料電池20の発電電力が、電装補機43の消費電力とバッテリ21の受電量との合計よりも大きいか否かを判断する。
【0057】
ここで、燃料電池20の発電電力が、電装補機43の消費電力とバッテリ21の受電量との合計以下であるときは、燃料電池20の発電電力を、電装補機43による電力消費とバッテリ21の充電により全て消費させることができる。そのため、この場合はSTEP50に分岐し、電力供給制御手段62aは、燃料電池20の消費電力を、電装補機43による電力消費とバッテリ21の充電とによって消費させる。そして、STEP36に進んで、電力供給制御手段62は処理を終了する。
【0058】
一方、STEP33で、燃料電池20の発電電力が電装補機43の消費電力とバッテリ21の受電量との合計よりも大きいときには、燃料電池20の発電電力を、電装補機43による電力消費とバッテリ21の充電のみで、全て消費させることができない。そこで、この場合はSTEP34に進み、電力供給制御手段62aは、燃料電池20の発電電力が、家屋70内で使用されている家電製品(本発明の電気負荷に相当する)の消費電力と電装補機43の消費電力とバッテリ21の受電量との合計よりも大きいか否かを判断する。
【0059】
ここで、燃料電池20の発電電力が、家屋70内で使用されている家電製品の消費電力と電装補機43の消費電力とバッテリ21の受電量との合計以下であるときは、燃料電池20の発電電力を、家屋70内で使用されている家電製品による電力消費と電装補機43の電力消費とバッテリ21の充電とにより全て消費させることができる。
【0060】
そのため、この場合はSTEP60に分岐し、電力供給制御手段62aは、燃料電池20の発電電力の一部からPDU42により商用電源75と同仕様の電力を生成して、プラグ差込口10に出力する。これにより、燃料電池20の出力電力の一部がPDU42を経由して家屋70に供給され(プラグアウト電力供給)、家屋70の電気製品により有効に消費される。そして、STEP60に進んで、電力供給制御手段62aは処理を終了する。
【0061】
一方、STEP34で、燃料電池20の発電電力が、家屋70内で使用されている電気製品の消費電力と電装補機43の消費電力とバッテリ21の受電量との合計よりも大きいときには、燃料電池20の発電電力を、家屋70内で使用されている電気製品の電力消費と電装補機43の電力消費とバッテリ21の充電のみで、全て消費させることができない。
【0062】
そこで、この場合はSTEP35に進み、電力供給制御手段62aは、燃料電池20の発電電力を、バッテリ21の充電と電装補機43の電力消費と家屋70内で使用されている電気製品の電力消費と、燃料電池20の出力端子間に接続された抵抗器(図示しない)による電力消費と、家屋70から商用電力線(AC100V等)へのリターン(電力の売却)によって消費する。そして、STEP36に進み、電力供給制御手段62aは処理を終了する。
【0063】
次に、図5を参照して、バッテリ21の充電処理について説明する。STEP70で、電力供給制御手段62aは、車両電源状態検出手段61aにより検出されるバッテリ21のSOCが90%以上であるか否かを判断する。
【0064】
そして、バッテリ21のSOCが90%以上であったときは、バッテリ21の充電量が十分であるため、STEP71に進み、電力供給制御手段62aはバッテリ21を充電せずに処理を終了する。
【0065】
一方、STEP70でバッテリ21のSOCが90%よりも少なかったときにはSTEP80に分岐し、電力供給制御手段62aは、家屋70から電源ケーブル100を介して供給される電力を、PDU42により直流電力に変換してバッテリ21に供給する。これにより、電力供給制御手段62aは、続くSTEP81でバッテリ21を充電し、続くSTEP82で、バッテリ21のSOCが90%以上となったときにSTEP71に進んで処理を終了する。
【0066】
なお、本実施の形態では、本発明の車両用電源として、燃料電池20とリチウムイオンバッテリ21を示したが、車両用電源としてキャパシタや他の種類のバッテリを搭載した車両と家屋との間で、電力供給を行う場合であっても本発明の適用が可能である。
【0067】
また、本実施の形態では、燃料電池の暖気運転を行なう場合に、燃料電池の発電電力により生成した電力を家屋に供給して、家屋で使用されている電気製品に消費させる処理を行ったが、かかる処理を行わない場合であっても、本発明の効果を得ることができる。
【0068】
また、本実施の形態では、本発明の車両として燃料電池を搭載した燃料電池車両を示したが、電気車両やハイブリッド電気車両等、電源を備えた車両であれば、本発明の適用が可能である。以下、本発明を電気車両とハイブリッド電気車両に適用した実施形態について説明する。
【0069】
先ず、図6を参照して、本発明を電気車両に適用した実施形態について説明する。図6は、本発明を電気車両(EV,Electric Vehicle)1bに適用した場合の車両と家屋間の電力供給システムの全体構成図を示している。なお、上述した図1の燃料電池車両1aについての実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0070】
電気車両1bは、本発明の車両用電源としてバッテリ21(例えばリチウムイオン電池、本発明の蓄電手段に相当する)を備え、バッテリ21から供給される電力により、PDU40からモータ41に駆動電力が供給される。
【0071】
コントローラ60bは、マイクロコンピュータ(図示しない)等により構成された電子ユニットである。該マイクロコンピュータが電気車両1bと家屋70間の電力供給用の制御プログラムを実行することによって、コントローラ60bは、車両電源状態検出手段61b、電力供給制御手段62b、PLC通信手段63、及び電源接続許可手段64として機能する。
【0072】
コントローラ60bには、バッテリセンサ52によるバッテリ21の温度、端子間電圧、出力電流等の検出信号BT_sが入力される。また、コントローラ60bから出力される制御信号によって、DC/DCコンバータ31、PDU42、モータスイッチ35、開閉蓋10a等の作動が制御される。
【0073】
車両電源状態検出手段61bは、バッテリ21から出力される検出信号BT_sに基づいて、バッテリ21の温度、端子間電圧、出力電流、SOC等を検出する。電力供給制御手段62bは、車両電源状態検出手段61bにより検出されるバッテリ21の状態と、家屋電源状態検出手段81により検出される家屋70での商用電源の状態とに基づいて、プラグイン電力供給とプラグアウト電力供給とを切換える。
【0074】
電力供給制御手段62bは、電源ケーブル100により電気車両1bのプラグ差込口10と家屋70の電源コンセント71が接続されているときに、バッテリ21のSOCが90%未満であるときには、プラグイン電力供給を行う。そして、これにより、家屋から供給される電力によってバッテリ21を充電する。
【0075】
なお、この充電によりバッテリ21の温度が上昇する。そのため、電力供給制御手段62bは、バッテリ21を充電することによって、バッテリ21のSOCを増大させると共に、バッテリ21を暖気することができる。
【0076】
また、電力供給制御手段62bは、バッテリ21のSOCが100%(本発明の所定レベルに相当する)に近く、バッテリ21をさらに充電することができないときに、バッテリ21の温度が所定の下限温度以下となったときには、バッテリ21を放電させてプラグアウト電力供給を行い、バッテリ21の放電電力を家屋70に供給する。そして、この放電によりバッテリ21を暖気する(バッテリ21の暖気運転)。
【0077】
次に、図7を参照して、本発明をハイブリッド電気車両に適用した実施形態について説明する。図7は、本発明をハイブリッド電気車両(HEV,Hybrid Electric Vehicle)1cに適用した場合の車両と家屋間の電力供給システムの全体構成図を示している。なお、上述した図1の燃料電池車両1aについての実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0078】
ハイブリッド電気車両1cは、本発明の車両用電源としてバッテリ21(例えばリチウムイオン電池、本発明の蓄電手段に相当する)を備え、バッテリ21から供給される電力により、PDU40からモータ41に駆動電力が供給される。
【0079】
モータ41の回転軸はエンジン90の回転軸と直結されており、エンジン90とモータ41の駆動力は、トランスミッション91を介して車輪92,92に伝達される。モータ41は三相交流の電動機及び発電機として動作する。そして、エンジン90が停止しているときは、モータ41の駆動力がトランスミッション91を介して車輪92,92に伝達され、エンジン90が駆動している状態では、エンジン90によってモータ41が回転されて、モータ41は発電機として機能する。
【0080】
エンジンコントローラ95は、マイクロコンピュータ(図示しない)等により構成された電子ユニットである。エンジンコントローラ95には、エンジン90から出力されるエンジン回転数、吸気管負圧、水温等の検出信号と、アクセルペダル96の踏み込み角度の検出信号とが入力される。そして、エンジンコントローラ95は、これらの検出信号のレベルに応じてエンジン90に供給する燃料の量や点火時期を算出し、エンジン90に供給する燃料と点火時期の制御信号を出力する。
【0081】
また、エンジンコントローラ95は、モータ41の動作の制御も行う。エンジンコントローラ95は、PDU40に対して、モータ41の出力を指示する制御信号を出力する。また、コントローラ60cからエンジンコントローラ95に対して、モータ41の発電量を指示する信号が出力され、この信号に応じて、エンジンコントローラ95は、エンジン90に供給する燃料と点火時期の制御信号を出力する。
【0082】
モータ41にはロータの角度センサ93が設けられており、PDU40は、角度センサ93によるロータの検出角度に基づいて、モータ41に出力する駆動電圧を出力し、また、モータ41から出力される発電電力を直流電力に変換する。
【0083】
コントローラ60cは、マイクロコンピュータ(図示しない)等により構成された電子ユニットである。該マイクロコンピュータがハイブリッド電気車両1cと家屋70間の電力供給用の制御プログラムを実行することによって、コントローラ60cは、車両電源状態検出手段61c、電力供給制御手段62c、PLC通信手段63、及び電源接続許可手段64として機能する。
【0084】
コントローラ60cには、バッテリセンサ52によるバッテリ21の温度、端子間電圧、出力電流等の検出信号BT_sが入力される。また、コントローラ60cから出力される制御信号によって、DC/DCコンバータ31、PDU42、モータスイッチ35、開閉蓋10a等の作動が制御される。
【0085】
車両電源状態検出手段61cは、バッテリ21から出力される検出信号BT_sに基づいて、バッテリ21の温度、端子間電圧、出力電流、SOC等を検出する。電力供給制御手段62cは、車両電源状態検出手段61cにより検出されるバッテリ21の状態と、家屋電源状態検出手段81により検出される家屋70での商用電源の状態とに基づいて、プラグイン電力供給とプラグアウト電力供給とを切換える。
【0086】
電力供給制御手段62cは、電源ケーブル100により電気車両1cのプラグ差込口10と家屋70の電源コンセント71が接続されているときに、バッテリ21のSOCが90%未満であるときには、プラグイン電力供給を行う。そして、これにより、家屋から供給される電力によってバッテリ21を充電する。
【0087】
なお、この充電によりバッテリ21の温度が上昇する。そのため、電力供給制御手段62bは、バッテリ21を充電することによって、バッテリ21のSOCを増大させると共に、バッテリ21を暖気することができる。
【0088】
また、電力供給制御手段62cは、バッテリ21のSOCが100%に近く、バッテリ21をさらに充電することができないときに、バッテリ21の温度が所定の下限温度以下となったときには、バッテリ21を放電させてプラグアウト電力供給を行い、バッテリ21の放電電力を家屋70に供給する。そして、この放電によりバッテリを暖気する(バッテリ21の第1の暖気運転)。
【0089】
さらに、電力供給制御手段62cは、バッテリ21のSOCが低いために放電によるバッテリ21の暖気ができず、且つ、家屋70における電力供給に余裕がないためにプラグイン電力によりバッテリ21を充電することができないときには、エンジン90を始動してモータ41を発電機として動作させる。そして、電力供給制御手段62cは、モータ41の発電電力によりバッテリ21を充電すると共に、モータ41の発電電力の一部をプラグアウト電力供給によって家屋70に供給する(バッテリ21の第2の暖気運転)。
【0090】
これにより、充電によりバッテリ21が暖気されると共に、プラグアウト電力供給により家屋70における商用電源の供給をアシストすることができる。
【0091】
また、本実施の形態では、車両のシフトレバーの位置がP(パーキング)であって、モータへの電力供給が遮断された状態であるときに、電源ケーブルにより車両と家屋間の接続を許可する電源接続許可手段を備えたシステムを示したが、電源接続許可手段を備えない場合であっても、本発明の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0092】
1…燃料電池車両、10…プラグ差込口、20…燃料電池、21…バッテリ、23…キャパシタ、35…モータスイッチ、41…モータ、50…燃料電池センサ、51…キャパシタセンサ、52…バッテリセンサ、60…(燃料電池車両に備えられた)コントローラ、61…車両電源状態検出手段、62…電力供給制御手段、63…PLC通信手段、64…電源接続許可手段、70…家屋、71…電源コンセント、75…商用電源、80…(家屋に備えられた)コントローラ、81…家屋電源状態検出手段、82…PLC通信手段、100…電源ケーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用電源を有する車両と、家屋用電源を有する家屋との間を、双方向の電力供給を可能とし、且つ、着脱自在に接続する電源接続手段と、
前記家屋に設けられ、前記家屋用電源の状態を検出する家屋電源状態検出手段と、
前記車両に設けられ、前記車両用電源の状態を検出する車両電源状態検出手段と、
前記車両に設けられ、前記電源接続手段により、前記車両と前記家屋とが、双方向の電力供給を可能として接続された状態にあるときに、前記車両電源状態検出手段により検出される少なくとも前記車両用電源の温度を含む前記車両用電源の状態と、前記家屋状態検出手段により検出される前記家屋用電源の状態とに基づいて、前記車両用電源から前記家屋に電力を供給するプラグアウト電力供給と、前記家屋用電源から前記車両に電力を供給するプラグイン電力供給とを切換える電力供給制御手段とを備えたことを特徴とする車両と家屋間の電力供給システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両と家屋間の電力供給システムにおいて、
前記電源接続手段は、前記車両と前記家屋との間を、電源ケーブルを介して、双方向の電力供給を可能とし、且つ、着脱自在に接続し、
前記家屋及び前記車両に設けられ、前記電源ケーブルの電力線にデータを重畳させて、前記家屋と前記車両間で通信を行うPLC通信手段を備え、
前記電力供給制御手段は、前記PLC通信手段による前記車両と前記家屋間の通信が可能となっているときに、前記電源接続手段により前記車両と前記家屋とが双方向の電力供給を可能として接続された状態にあると判断して、前記プラグアウト電力供給と前記プラグイン電力供給とを行うことを特徴とする車両と家屋間の電力供給システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両と家屋間の電力供給システムにおいて、
前記車両用電源は燃料電池であり、
前記電力供給制御手段は、前記車両電源状態検出手段により検出された前記燃料電池の温度が所定の下限温度よりも低いときに、前記燃料電池の発電により前記燃料電池の温度を上昇させる暖気運転をすると共に、前記プラグアウト電力供給を行って、前記燃料電池の発電電力を前記家屋側で消費させることを特徴とする車両と家屋間の電力供給システム。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の車両と家屋間の電力供給システムにおいて、
前記車両は、モータにより駆動輪を駆動する電気車両であり、
前記車両用電源は蓄電手段であって、
前記電力供給制御手段は、前記車両電源状態検出手段により検出された前記蓄電手段の残充電量が所定レベル以上であると共に前記蓄電手段の温度が所定の下限温度よりも低いときに、前記蓄電手段の放電により前記蓄電手段の温度を上昇させる暖気運転を行うと共に、前記プラグアウト電力供給を行って、前記蓄電手段の放電電力を前記家屋側で消費させることを特徴とする車両と家屋間の電力供給システム。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の車両と家屋間の電力供給システムにおいて、
前記車両は、モータ及びエンジンにより駆動輪を駆動するハイブリッド車両であり、
前記車両用電源は蓄電手段であって、
前記電力供給制御手段は、前記車両電源状態検出手段により検出された前記蓄電手段の残充電量が所定レベル以上であると共に前記蓄電手段の温度が所定の下限温度よりも低いときに、前記蓄電手段の放電により前記蓄電手段の温度を上昇させる第1の暖気運転を行い、また、前記車両電源状態検出手段により検出された前記蓄電手段の残充電量が前記所定レベルよりも低いために、前記第1の暖気運転による放電での前記蓄電手段の温度上昇ができないときには、前記エンジンの作動により前記モータを発電機として動作させて、前記モータの発電電力による前記蓄電手段の充電により前記蓄電手段の温度を上昇させる第2の暖気運転を行ない、前記第1の暖気運転又は前記第2の暖気運転を行っているときに、前記プラグアウト電力供給を行って、前記蓄電手段の放電電力又は前記モータの発電電力を前記家屋側で消費させることを特徴とする車両と家屋間の電力供給システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載の車両と家屋間の電力供給システムにおいて、
前記電力供給制御手段は、前記家屋電源状態検出手段により、前記家屋用電源の出力電圧が所定レベル以下に低下していることが検出されたときに、前記プラグアウト電力供給を行って、前記車両用電源から前記家屋に供給される電力により前記家屋用電源の出力電力の不足を補うことを特徴とする車両と家屋間の電力供給システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載の車両と家屋間の電力供給システムにおいて、
前記車両は、シフトレバーの位置がパーキングであることを検出するシフト位置検出手段と、駆動輪を駆動するモータと、該モータへの電力供給が可能な状態と不能な状態とを切換える切換手段とを有し、
前記シフト位置検出手段によりシフトレバーの位置がパーキングであることが検出され、且つ、前記切換手段により前記モータへの電力供給が不能な状態となっていることを条件として、前記電源接続手段により、前記車両と前記家屋間を双方向の電力供給を可能として接続することを許可する電源接続許可手段を備えたことを特徴とする車両と家屋間の電力供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−239674(P2011−239674A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115190(P2011−115190)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【分割の表示】特願2008−329281(P2008−329281)の分割
【原出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】