説明

車両のアンダフロア構造

【課題】フロアトンネル前部で発生する渦を抑制することで、空力性能とフロアトンネル内の冷却性能とを効率よく向上させることができる車両のアンダフロア構造を提供する。
【解決手段】エンジンルーム2の後方において車幅方向中央部を車両前後方向に延びる排気系11に沿って車両前後方向に延設されたフロアトンネル6aを有する車両のアンダフロア構造であって、エンジンルーム2内からフロアトンネル6aの前部を通って該フロアトンネル6aの外側に向かう空気と、車両前方からの走行風との干渉を抑制するためのガイド部材20が、フロアトンネル6aの前部に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エンジンルーム後方において車幅方向中央部を車両前後方向に延びる排気系に沿って車両前後方向に延設されたフロアトンネルを有する車両のアンダフロア構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、車両のアンダフロア部では、車両走行時に、エンジンルームから車両後方へ移動した熱気がフロアトンネル内に入り込む現象が起きる。そして、このようにエンジンルームからの熱気がフロアトンネル内に入り込む現象は、以下に述べるような問題を引き起こしている。
【0003】
具体的には、エンジンルームからの熱気がフロアトンネル内に入り込むと、この熱気がアンダフロア部の下方を流れる走行風とぶつかり合った時、上記熱気と上記走行風との温度差により、フロアトンネルの前部に空気の渦が発生する。このようにして発生した渦は、空力性能(CD値)の悪化を招き、結果として車両の走行性能を悪化させる要因となっていた。
【0004】
また、一般的に、フロアトンネルには、エンジンの排気側に接続された排気系が配設されている。ここで、エンジンルームからの熱気が走行風とぶつかって上述したような渦が発生すると、比較的温度の高い熱気は上方へ流れて、上記排気系とぶつかり、フロアトンネル内でさらなる空気の乱れを生じさせる。このため、車両の走行性能は、上記渦と相俟ってより悪化することになる。
【0005】
そこで、車両の走行性能を改善するため、フロアトンネル部分の全体を覆い、上記熱気と上記走行風とが干渉しないようにすることが考えられる。しかしながら、この場合、上記熱気に由来する熱がフロアトンネル内にこもることになるため、好ましくない。
【0006】
ところで、従来、フロアトンネル下部を開閉可能とするアンダーカバーを設けたものが提案されている(下記特許文献1参照)。下記特許文献1では、フロアトンネル内の温度が所定の高温である場合には、上記アンダーカバーを開いてフロアトンネル内を冷却する一方、車速が所定の車速以上になると、上記アンダーカバーを閉じて空力性能を向上させるように構成されている。
【0007】
また、従来、フロアトンネルの下部に、放熱孔としてのスリットを複数形成したアンダーカバーと、上記スリットを開閉するためのスライドカバーとを備えたものが提案されている(下記特許文献2参照)。下記特許文献2では、車両の空気抵抗を下げて空力性能を向上させたい場合には、スリットの実効開口面積を小さくする一方、排気管近傍(トンネル内)の温度上昇を防止する場合には、スリットの実効開口面積を大きくしてトンネル内を冷却するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平4−143175号公報
【特許文献2】特開平7−215074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1、2に開示された従来技術では、いずれもフロアトンネル前部で発生する渦を抑制することについて何ら開示されていない。
【0010】
そして、上記特許文献1、2に開示された従来技術では、いずれもフロアトンネルの下部を車両前後方向の略全体に亘って覆うとともに、このアンダーカバーを車両前後方向の略全体に亘って開閉する構成となっている。
【0011】
このため、空力性能を向上させようとしてアンダーカバーを閉鎖すると、フロアトンネル内に熱がこもり、上述した各従来技術では、空力性能向上とフロアトンネル内の冷却性能向上とを両立させることはできなかった。
【0012】
また、上記特許文献1、2に開示された従来技術では、いずれもアンダーカバーが車両前後方向の略全体に亘って開閉することから、大きな駆動力を有する駆動源が必要となるばかりでなく、アンダフロア部の重量も重くなり、コストや車両重量の観点で言えば、必ずしも効率的とは言い難いものであった。
【0013】
この発明は、フロアトンネル前部で発生する渦を抑制することで、空力性能とフロアトンネル内の冷却性能とを効率よく向上させることができる車両のアンダフロア構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明の車両のアンダフロア構造は、エンジンルーム後方において車幅方向中央部を車両前後方向に延びる排気系に沿って車両前後方向に延設されたフロアトンネルを有する車両のアンダフロア構造であって、上記エンジンルーム内から上記フロアトンネル前部を通って該フロアトンネル外側に向かう空気と、車両前方からの走行風との干渉を抑制するためのガイド手段が、上記フロアトンネル前部に設けられているものである。
【0015】
この構成によれば、温度の低い走行風と温度の高いエンジンルームからの熱気とが干渉することに起因して、フロアトンネルの前部で渦が発生することを防止できる。従って、車両の下部における空気の乱れを抑制でき、車両の空力性能の向上を図ることができる。
【0016】
そして、特に、上記渦が発生し易いフロアトンネルの前部にガイド手段を設けたことにより、フロトンネルの下部を全体に亘って覆わなくても、車両のアンダフロア部下方における空気の乱れを効果的に抑制できる。
ここで、ガイド手段をフロアトンネルの前部のみに配設することで、フロアトンネルの後部を常時開放状態とすることができる。これにより、エンジンルームからフロアトンネル内に流れ込んだ熱気は、該フロアトンネルの後部の開放部分で冷却され、フロアトンネル内に熱がこもることを防止できる。このように、フロアトンネルの後部の下部を常時開放状態とすることで、フロアトンネル内の冷却性能を向上させることができる。
【0017】
従って、ガイド手段により、空力性能向上とフロアトンネル内の冷却性能向上とを両立させることができる。さらに、フロアトンネルの下部を全体に亘って開閉する必要もないことから、空力性能とフロアトンネル内の冷却性能とを効率良く向上させることができる。
【0018】
この発明の一実施態様においては、上記ガイド手段が、上記フロアトンネル前部において触媒装置の前部近傍に設けられ、上記エンジンルームからの空気が、上記触媒装置の下方へ移動することを抑制可能に設けられているものである。
【0019】
この構成によれば、上記熱気が触媒装置の下方へ回り込むことに起因する空力性能の低下を確実に抑制し、空力性能向上とフロアトンネル内の冷却性能向上との両立をより確実に実現することができる。
【0020】
この発明の一実施態様においては、上記ガイド手段が、車両が所定以上の車速で走行する上記所定高速走行中に、上記エンジンルームからの空気と、車両前方からの走行風との干渉を抑制する抑制位置に移動する可動ガイド部材であるものである。
【0021】
この構成によれば、特に、アンダフロア部の空力によって走行性能が大きく左右される上記所定高速走行状態における空力性能を向上させて、走行性能を確保することができる。
【0022】
さらに、可動ガイド部材は、フロアトンネルの前部のみで進退可能とされている。これにより、フロアトンネルの下部を全体亘って開閉する場合に比べ、大きな駆動力を有する駆動源を備えなくてもよいという利点がある。このため、空力性能とフロアトンネルの冷却性能とを効率よく向上させることができる。
【0023】
この発明の一実施態様においては、上記可動ガイド部材が、上記所定高速走行時以外は、左右の前輪を連結するサスペンションクロスメンバ内に収納されているものである。
【0024】
この構成によれば、サスペンションクロスメンバ内のデッドスペースを有効に利用して可動ガイド部材をコンパクトに収納することができる。
【0025】
この発明の一実施態様においては、車両前後方向に延びるガイドレールが設けられ、上記可動ガイド部材の後端部が、上記ガイドレールと係合しており、上記可動ガイド部材は、上記ガイドレールに沿って車両後方へ移動することで、上記抑制位置へ移動するものである。
【0026】
この構成によれば、可動ガイド部材の後端部を車両前後方向に延びるガイドレールに沿って後方へ移動させる構成にしたことにより、可動ガイド部材の移動を容易にすることができる。また、可動ガイド部材やガイドレール等の上下方向の幅を小さく抑えることができ、車両の最低地上高を確保できる。
【0027】
この発明の一実施態様においては、上記可動ガイド部材が、上記フロアトンネル内側面において上下方向に設けられたガイドレールにより案内されて車幅方向に開閉可能であり、開状態時は、上記フロアトンネル内側面に位置して、該フロアトンネル内からの熱が車室内へ伝達されるのを抑制する遮熱部材として機能し、閉状態時は、上記フロアトンネル下部に位置して、上記エンジンルームからの空気と上記走行風との干渉を抑制する上記ガイド手段として機能するものである。
【0028】
この構成によれば、可動ガイド部材が上記抑制位置に配設されていないことによって、これが開状態になっていたとしても、この可動ガイド部材を、車室への熱の伝達を抑制する遮熱部材として有効に利用することができる。
【0029】
この発明の一実施態様においては、上記可動ガイド部材を駆動するためのアクチュエータが、エンジン負荷の検出結果に基づいて駆動され、上記所定高速走行時、上記エンジン負荷が所定以上であった時、上記アクチュエータは、上記可動ガイド部材を上記抑制位置から退避させるものである。
【0030】
一般的に、エンジンの負荷が高くなると、エンジンの排気温が高くなり、それに伴って排気系が配設されたフロアトンネル内の温度が上昇する傾向がある。そこで、この構成によれば、上記所定高速走行状態であったとしても、エンジンの負荷が所定以上であった時、可動ガイド部材を上記抑制位置から退避させ、これを開状態にするため、エンジンの負荷が所定以上となった時には、フロアトンネル内の冷却性能を優先させることができ、フロアトンネル内に熱がこもることを確実に抑制できる。
【0031】
この発明の一実施態様においては、上記ガイド手段が、上記フロアトンネル前方からの走行風を車幅方向外側へ逃がすよう、前端部において先端が尖った縦壁部を有しているものである。
【0032】
この構成によれば、走行風を車幅方向外側にガイドして車幅方向中央部のフロアトンネルから離間させることができる。このため、上記走行風と上記熱気との干渉をより確実に回避することができる。
【発明の効果】
【0033】
この発明によれば、温度の低い走行風と温度の高いエンジンルームからの熱気とが干渉することに起因して、フロアトンネルの前部で渦が発生することを防止できる。従って、車両の下部における空気の乱れを抑制でき、車両の空力性能の向上を図ることができる。
【0034】
そして、特に、上記渦が発生し易いフロアトンネルの前部にガイド手段を設けたことにより、フロトンネルの下部を全体に亘って覆わなくても、車両のアンダフロア部下方における空気の乱れを効果的に抑制でき、かつフロアトンネルの後部を常時開放状態とすることによって、フロアトンネル内の冷却性能を向上させることができる。
【0035】
従って、ガイド手段により、空力性能向上とフロアトンネル内の冷却性能向上とを両立させることができる。さらに、フロアトンネルの下部を全体的に開閉する必要もないことから、空力性能とフロアトンネル内の冷却性能とを効率良く向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明の第1実施形態に係るアンダフロア構造を備える車両を示す底面図。
【図2】図1のA−A線矢視断面図。
【図3】図1のB−B線矢視断面図。
【図4】図1の要部を示す斜視図。
【図5】本発明の第2実施形態に係るアンダフロア構造を示す側断面図。
【図6】ガイド部材を示す斜視図。
【図7】本発明の第3実施形態に係るアンダフロア構造を示す側断面図。
【図8】図7のC−C線矢視断面図。
【図9】ガイド部材及びガイドレールを示す斜視図。
【図10】本発明の第4実施形態に係るアンダフロア構造を示す底面図であり、ガイド部材の開状態を示す図。
【図11】図10のD−D線矢視断面図。
【図12】ガイド部材の開状態におけるピンの位置を説明するための図。
【図13】ガイド部材の閉状態を示す底面図。
【図14】図13のE−E線矢視断面図。
【図15】ガイド部材の閉状態におけるピンの位置を説明するための図。
【図16】本発明の他の実施形態に係るアンダフロア構造を示す底面図であり、ガイド部材の開状態を示す図。
【図17】図16のF−F線矢視断面図。
【図18】ガイド部材の開状態におけるピンの位置を説明するための図。
【図19】ガイド部材の閉状態を示す底面図。
【図20】図19のG−G線矢視断面図。
【図21】ガイド部材の閉状態におけるピンの位置を説明するための図。
【図22】本発明のさらに他の実施形態に係るアンダフロア構造を示す断面図。
【図23】本発明の第5実施形態に係るアンダフロア構造を示す側断面図。
【図24】アンダフロア構造を示す底面図。
【図25】本発明の他の実施形態に係るアンダフロア構造を示す側断面図。
【図26】本発明のさらに他の実施形態に係るアンダフロア構造を示す側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
(第1実施形態)
まず、図1〜図4に示す第1実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るアンダフロア構造を備える車両Vを示す底面図であり、図2、図3は、それぞれ図1のA−A線矢視断面図、B−B線矢視断面図である。また、図4は、図1の要部を示す斜視図である。なお、図中において矢印(F)は車体前方、矢印(R)は車体後方を示す。
【0038】
本実施形態に係る車両Vでは、その下部の前側において、図1、図2に示すように、アンダーカバー1が配設されている。このアンダーカバー1は、エンジンやトランスミッション等からなるパワートレイン(不図示)が配設されるエンジンルーム2(図2参照)を下方から覆うためのものであり、図示のように板状をなしている。
【0039】
また、本実施形態では、エンジンルーム2の下方にサスペンションクロスメンバ(以下、サスクロスと略記する。)3が配設されている。このサスクロス3は、車両Vの前輪Wa用のサスペンションアーム(不図示)を支持するものであり、エンジンルーム2の車両前後方向に延設された左右一対の縦メンバ3A、3Aと、車幅方向に延設されて縦メンバ3A、3A同士を連結する前後の横メンバ3B、3Cとを有している。
【0040】
このようにサスクロス3を構成する各メンバ3A、3B、3Cは、いずれも、図2に示す横メンバ3Cのように、上下のパネル3a、3bを接合することによって閉断面3Dが形成された管状のフレーム部材とされている。
【0041】
また、本実施形態において、サスクロス3は、上述した左右一対の縦メンバ3A、3Aと前後の横メンバ3B、3Cとにより、底面視で略井桁状に形成された所謂ペリメータフレームとされている。但し、本発明では、サスクロスをペリメータフレームとすることに必ずしも限定されない。
【0042】
ところで、車両Vは、図2に示すように、エンジンルーム2の後方に、乗員の居住空間となる車室4を備えている。これらエンジンルーム2と車室4とは、ダッシュパネル5により仕切られている。また、車室4には、そのフロア面を構成するフロアパネル6を備えており、該フロアパネル6は、板状をなす第2アンダーカバー7によって下方が覆われている。本実施形態では、主に、エンジンルーム2の下方を覆うアンダーカバー1と、車室4のフロアパネル6と、該フロアパネル6の下方を覆う第2アンダーカバー7とによりアンダフロア部を構成している。
【0043】
このうち、フロアパネル6の下部には、図1に示すように、車両前後方向に延設された左右一対のフロアフレーム8、8と、車幅方向に延設されたクロスメンバ9とが配設されている。そして、フロアパネル6の下方において、クロスメンバ9の後方には、燃料タンク10が配設されており、上述した第2アンダーカバー7は、フロアパネル6の他、フロアフレーム8、8、クロスメンバ9、及び燃料タンク10を下方から覆っている。
【0044】
また、フロアパネル6は、フロアフレーム8、8間において、図3に示すように他よりも車室4側に突出したフロアトンネル6aを有している。フロアトンネル6aは、図1〜図3に示すように、エンジンルーム2の後方において車幅方向中央部を前後方向に延びるように配設された排気系11に沿って車両前後方向に延びている。
【0045】
排気系11は、主に、エンジンの排気側を構成する排気マニホールド12(図2参照)に接続された排気管13と、触媒コンバータ14と、プリサイレンサ15と、メインサイレンサ16(図1参照)と、テールパイプ17(図1参照)とにより構成され、排気系11は、フロアトンネル6aの凹部空間内(以下、フロアトンネル6a内と言う。)に収納されている。
【0046】
このうち、プリサイレンサ15には、左右に取付ブラケット19、19が取付けられており、この取付ブラケット19、19を介して図1、図3に示すラバー製のハンガーラバー18が取付けられている。排気系11は、このハンガーラバー18によってフロアパネル6の下面部に弾性的に支持されている。
【0047】
また、フロアパネル6の下方を覆う第2アンダーカバー7、7は、車幅方向の略中央部で左右に分割されており、これによって、フロアトンネル6aの下方は開放された状態となっている。また、第2アンダーカバー7、7の車幅方向中央部側の端部は、図3、図4に示すように上方に突出しており、断面が略三角形をなす溝部7a、7aと、上下に延びる縦壁部7b、7bとが底面部に形成されている。
【0048】
また、本実施形態では、図1、図2、図4に示すように、フロアトンネル6aの前部において、第2アンダーカバー7、7の間にガイド部材20が配設されている。
【0049】
ガイド部材20は、図4に示すように、サスクロス3の後側の横メンバ3Cに向かって先端が尖った前端部21aを有する左右一対の縦壁部21、21と、該縦壁部21、21の下端から連続する底面部22とを有し、触媒コンバータ14の前端下部近傍に位置してこれの下方を覆っている。
【0050】
ガイド部材20では、その両縦壁部21が、前端部21aから後方かつ下方に傾斜するとともに、図4に示すように後方に向かうにつれて車幅方向外側に広がるように形成されている。
【0051】
また、底面部22は、略水平方向に延びており、前端部21aから後方に離間するにつれて車幅方向の幅が拡大するように略三角形状に形成されている。
【0052】
また、フロアトンネル6aの上端部において、その車室4側は、一般的にセンターコンソールに設定される。センターコンソール上には、図2に示すように、変速レバーとしてのチェンジレバー30と、パーキングブレーキ31とが配設されている。
【0053】
このうち、パーキングブレーキ31は、乗員が所定の操作を行うパーキングレバー31aと、該パーキングレバー31aを回動操作可能に支持するレバー支持部材31bと、レバー支持部材31bをセンターコンソール(フロアトンネル6a)に取付ける取付ブラケット31cとを備えている。そして、このパーキングブレーキ31には、ラバー製のチューブ32に覆われたケーブル33の一端側が接続されており、パーキングブレーキ31は、このケーブル33を介して後輪Wb(図1参照)用のブレーキ装置(不図示)に接続されている。
【0054】
ケーブル33は、パーキングブレーキ31からフロアトンネル6a上を後方に延び、フロアトンネル6aに穿設された挿通孔を通ってフロアトンネル6a内に配索される。そして、ケーブル33は、図1に示すようにクロスメンバ9内を通り、最終的に後輪Wb用のブレーキ装置に接続される。
【0055】
なお、フロアトンネル6a内には、上述したハンガーラバー18や、パーキングブレーキ31のケーブル33用のチューブ32の他、例えば、ラバー製の外皮を有して車両Vの各種電装機器同士を電気的に接続するハーネスが配索される。また、車種によっては、FR車のように、チェンジレバー30とパワートレインとを接続するためのチェンジケーブルと、これを覆うラバー製のチューブとがフロアトンネル6a内に配索される。
【0056】
ところで、車両Vの走行時、走行風は、図1中実線の矢印αで示すように、アンダーカバー1の下方を車両前方から後方に向かって略真っ直ぐ流れる。その一方で、エンジンにより熱せられた熱気は、図2中破線の矢印βで示すように、エンジンルーム2からフロアトンネル6a内に流れ込む。
【0057】
この時、フロアトンネル6aの前部では、走行風が、図1、図2に示すように、アンダーカバー1の下方からその後方の第2アンダーカバー7の下方に向かって流れる。
【0058】
一方、上記熱気は、フロアトンネル6aの前部において、その下方の外側に流れようとするが、図2、図4に示すように、前方に尖った前端部21aによって、ガイド部材20の上面側にガイドされ、さらには、側面部21及び底面部22によって下方への移動が阻止される。このため、上記熱気は、該フロアトンネル6aの下方の外側へ流れることなく、該フロアトンネル6aの下部を後方に向かって略真っ直ぐ流れる。
【0059】
この結果、アンダーカバー1、7の下方を流れる走行風と、エンジンルーム2からフロアトンネル6aに流れ込む熱気とは、図2に示すように上下方向において互いにぶつかり合うことなく、略平行に後方へと流れることになる。
【0060】
また、走行風のうち、車幅方向中央部を流れるものについては、図1、図4に示すように、ガイド部材20の側面部21に衝突することで、フロアトンネル6aから車幅方向両側に逃げるようにガイドされ、第2アンダーカバー7の溝部7a内を後方に向かって流れる。これにより、車幅方向中央部を流れる走行風と上記熱気とは、車幅方向において互いに重複することなく、略平行に後方へと流れる。
【0061】
このように、本実施形態では、フロアトンネル6aの前部にガイド部材20を設けることにより、エンジンルーム2からフロアトンネル6aの前部を通って外側へと向かう熱気と、車両前方からの走行風とが干渉することを抑制できるようになっている。これにより、温度の低い走行風と温度の高い熱気とが干渉することに起因して、図2中二点鎖線の矢印γで示すような渦がフロアトンネル6aの前部で発生することを防止できる。従って、車両Vの下部における空気の乱れを抑制でき、車両Vの空力性能の向上を図ることができる。
【0062】
そして、特に、上記渦が発生し易いフロアトンネル6aの前部にガイド部材20を設けたことにより、フロトンネル6aの下部を全体に亘って覆わなくても、車両Vのアンダフロア部の下方における空気の乱れを効果的に抑制できる。
【0063】
ここで、ガイド部材20をフロアトンネル6aの前部のみに配設することで、フロアトンネル6aの後部を常時開放状態とすることができる。これにより、エンジンルーム2からフロアトンネル6a内に流れ込んだ熱気は、該フロアトンネル6aの後部の開放部分で冷却することができ、フロアトンネル6a内に熱がこもることを防止できる。このように、フロアトンネル6aの後部の下部を常時開放状態とすることで、フロアトンネル6a内の冷却性能を向上させることができる。
【0064】
従って、本実施形態では、ガイド部材20により、空力性能向上とフロアトンネル6a内の冷却性能向上とを両立させることができる。さらに、フロアトンネル6aの下部を全体に亘って開閉する必要もないことから、空力性能とフロアトンネル6a内の冷却性能とを効率良く向上させることができる。
【0065】
また、本実施形態では、ガイド部材20を、触媒コンバータ14の前部近傍に配設して、上記熱気が触媒コンバータ14の下方に移動することを底面部22によって抑制可能としている。これにより、上記熱気が触媒コンバータ14の下方へ回り込むことに起因する空力性能の低下を確実に抑制し、空力性能向上とフロアトンネル6a内の冷却性能向上との両立をより確実に実現することができる。
【0066】
また、ガイド部材20が、車幅方向中央部の走行風を車幅方向外側へ逃がすよう、前端部21aにおいて先端が尖った縦壁部21を有することにより、上記走行風を車幅方向外側にガイドして車幅方向中央部のフロアトンネル6aから離間させることができる。このため、上記走行風と上記熱気との干渉をより確実に回避することができる。
【0067】
また、第2アンダーカバー7の車幅方向中央部側に溝部7a、縦壁部7bを形成することで、フロアトンネル6aから車幅方向外側に離間した走行風がフロアトンネル6a内に流れ込むことをより確実に防止できる。
【0068】
なお、本実施形態では、ガイド部材20において、縦壁部21が後方かつ下方に傾斜する傾斜面とされているが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、ガイド部材が、その後部において上側に傾斜する傾斜面を有するものであってもよい。この場合、エンジンルーム2からの熱気をフロアトンネル6a内に留めることができ、かつ、上記傾斜面によって、走行風がフロアトンネル6aの下方を通るようにガイドすることができる。
【0069】
また、排気系11を支持するハンガーラバー18を第2アンダーカバー7で覆っているが、必ずしもハンガーラバー18を覆わなくてもよい。
【0070】
(第2実施形態)
次に、図5、図6に示す第2実施形態について説明する。図5は、本発明の第2実施形態に係るアンダフロア構造を示す側断面図であり、図6は、ガイド部材120を示す斜視図である。なお、図5、図6において、図1〜図4に示す第1実施形態と同様の構成要素については、同一の番号を付して説明を省略する。
【0071】
本実施形態では、第1実施形態のガイド部材20に相当するガイド部材120が、図5に示すように車両前後方向に移動可能な可動ガイド部材とされている。
【0072】
ガイド部材120は、図5、図6に示すように板状をなしており、車両前後方向に延びる複数の溝部121aが上下両面に形成されたスライド部121と、後方かつ下方に傾斜する傾斜面部122と、車両前後方向に延びる後面部123とを有している。
【0073】
スライド部121は、図5に示すように、サスクロス103の後側の横メンバ103Cの閉断面103D内に収納可能に設けられ、車両前後方向に移動可能に支持されている。
【0074】
ここで、サスクロス103では、横メンバ103Cの上下のパネル103a、103bのうち、上面パネル103aの後部に、スライド部121の出入口となる開口部103cが形成されており、閉断面103D内には、車幅方向に延びる回転軸140に支持された滑車141、141、…が上下に複数設けられている。
【0075】
滑車141は、スライド部121の溝部121aの位置に対応して設けられ、スライド部121は、上下の滑車141、141、…に挟まれた状態で支持されている。このため、閉断面103D内におけるスライド部121の上下及び車幅方向の位置が規制される一方、スライド部121が移動する時には、滑車141が溝部121a上を回転することにより、スライド部121の移動がスムーズに行われるようになっている。
【0076】
また、サスクロス103では、横メンバ103Cの上面パネル103a上に回動軸142が取付けられており、この回動軸142を中心に回動可能な遮断板143が設けられている。
【0077】
遮断板143では、回動軸142と反対側の端部が、スプリング144及びリンク145に接続されている。そして、遮断板143は、スプリング144の弾性力により、図5中実線で示すように横メンバ103Cの上方で直立状態が保持されるように付勢されている。
【0078】
スプリング144は、遮断板143と接続された側と反対側の端部が上面パネル103aに固定されている。また、スプリング144では、車両Vが所定の高速走行状態となる車速(例えば時速50km)未満の低速走行時であって、エンジンルーム2から流れ込む熱気が遮断板143を押圧する押圧力が所定未満である時、遮断板143を直立状態に保持できるよう弾性力が設定されている。
【0079】
また、リンク145は、遮断板143と接続された側と反対側の端部が、ガイド部材120のスライド部121に接続されている。
【0080】
本実施形態では、車両Vが低速走行状態である時、スプリング144の弾性力によって、遮断板143が直立状態に保持されるとともに、ガイド部材120のスライド部121が、閉断面103D内に収納された状態に保持されるようになっている。この時、ガイド部材120の傾斜面部122及び後面部123は、図5中実線で示すように排気系11の触媒コンバータ14の下方位置から車両前方に退避した退避位置に保持されている。
【0081】
そして、車両Vが低速走行状態から、上記所定高速走行状態となった時、エンジンルーム2からの熱気が遮断板143を押圧する押圧力がスプリング144の弾性力を上回ることにより、遮断板143は、直立状態から図5中二点鎖線で示すように後方へと倒伏する。
【0082】
この時、遮断版143の上端が後方へ移動することに伴い、リンク145の後端部が後方へ移動し、ガイド部材120のスライド部121を後方に押圧する。これにより、ガイド部材120では、滑車141の回転によってスライド部121が後方へスムーズに移動し、傾斜面部122及び後面部123は、図5中二点鎖線で示すように触媒コンバータ14の下方位置に進出する。これにより、ガイド部材120は、エンジンルーム2からの熱気と走行風との干渉を抑制する抑制位置に進出することができる。
【0083】
一方、車両Vが上記所定高速走行状態から、低速走行状態となった時には、エンジンルーム2からの熱気が遮断板143を押圧する押圧力がスプリング144の弾性力を下回ることにより、遮断板143は、スプリング144の弾性力によって再び上述した直立状態に復帰し、ガイド部材120の傾斜面部122及び後面部123を、上記抑制位置から車両前方に退避した退避位置に移動させる。
【0084】
このような構成により、車両Vが上記所定高速走行状態になると、上記熱気は、図5に示すように、上記抑制位置にあるガイド部材120の傾斜面部122及び後面部123によって下方への移動が阻止され、フロアトンネル6aの下方の外側へ流れることが抑制される。このため、走行風と熱気とは、第1実施形態と同様、上下方向において互いにぶつかり合うことなく、略平行に後方へと流れる。
【0085】
一般に、車両Vが上記所定高速走行状態になると、アンダフロア部の空力によって走行性能が大きく左右されることが知られている。そこで、本実施形態のように、上記所定高速走行状態となった時、上記熱気と上記走行風との干渉をフロアトンネル6aの前部で抑制することにより、上記所定高速走行状態における空力性能を向上させて、走行性能を確保することができる。
【0086】
一方、車両Vが上記所定高速走行状態でない場合、ガイド部材120を上記退避位置に保持することで、フロアトンネル6aの前部を開放することができ、フロアトンネル6a内の冷却性能を向上させることができる。
【0087】
さらに、ガイド部材120は、フロアトンネル6aの前部のみで進退可能とされている。これにより、フロアトンネル6aの下部を全体に亘って開閉する場合に比べ、大きな駆動力を有する駆動源を備えなくてもよいという利点がある。このため、空力性能とフロアトンネルの冷却性能とを効率よく向上させることができる。
【0088】
また、ガイド部材120が上記退避位置にある時、サスクロス103の横メンバ103Cの閉断面103D内にスライド部121を収納可能とすることで、閉断面103D内のデッドスペースを有効に利用してガイド部材120をコンパクトに収納することができる。
【0089】
(第3実施形態)
次に、図7〜図9に示す第3実施形態について説明する。図7は、本発明の第3実施形態に係るアンダフロア構造を示す側断面図であり、図8は、図7のC−C線矢視断面図、図9は、ガイド部材220及びガイドレール240を示す斜視図である。なお、図7〜図9において、上述した実施形態と同様の構成要素については、同一の番号を付して説明を省略する。
【0090】
本実施形態では、ガイド部材220が車両前後方向に移動可能な可動ガイド部材とされるとともに、サスクロス203の横メンバ203Cの閉断面203D内に巻取り状態で収納可能となっている。そして、サスクロス203では、横メンバ203Cの上下のパネル203a、203bのうち、上面パネル203aの後部に、ガイド部材220の出入口となる開口部203cが形成されている。
【0091】
ガイド部材220は、車幅方向に延びる複数の板部材221、221、…が車両前後方向に連結されたシャッタ部材を有している。一方、フロアトンネル6aの内側面下部には、図7、図8に示すように、車両前後方向に延設された断面コ字状の一対のガイドレール240が取付けられ、閉断面203Dから繰り出されたガイド部材220の後端部の車幅方向両端と係合している。これにより、ガイド部材220の後部は、ガイドレール240に沿って車両前後方向に移動可能とされている。
【0092】
また、横メンバ203Cの閉断面203D内には、ガイド部材220を巻取る巻取り部241が配設されている。巻取り部241は、ガイド部材220の一端側が固定された巻取りシャフト241aと、巻取りシャフト241aを回転させるべくこれに連結されたアクチュエータとしてのモータ241b(図9参照)とを備えている。
【0093】
巻取り部241では、モータ241bの正逆回転駆動により、巻取りシャフト241aが正逆回転し、ガイド部材220を巻取ったり、後方へ繰り出したりすることが可能になっている。本実施形態では、このガイド部材220の巻取り、繰り出しにより、ガイド部材220の後端部が、上記抑制位置に対して車両前後方向に進退可能となっている。
【0094】
巻取り部241のうち、モータ241bは、図9に示す駆動回路242により正逆回転駆動されるものであり、車両Vに搭載されたCPU243により正逆回転制御が実行されるようになっている。CPU243には、車速センサ244が接続されており、CPU243は、車速センサ244の検出結果を入力可能としている。また、CPU243には、メモリ245が接続され、このメモリ245には、車両Vが上記所定高速走行時であるか否かを判定するための車速の閾値が記憶されている。
【0095】
本実施形態では、CPU243が、車速センサ244から入力される車速の検出結果と、メモリ245に記憶されている閾値とを比較している。ここで、車速センサ244により検出された車速が上記閾値未満である時、つまり車両Vが低速走行時状態である時、ガイド部材220が閉断面203D内に巻取られ、その後端部が上記抑制位置から車両前方に退避した退避位置に保持される。
【0096】
そして、車速センサ244により検出された車速が上記閾値以上となった時、つまり、車両Vが低速走行状態から上記所定高速走行状態となった時には、CPU243は、駆動回路242を制御してモータ241bを回転駆動させ、モータに連結された巻取りシャフト241aを、図7の時計方向に回転させる。これにより、ガイド部材220は、閉断面203Dから車両後方に繰り出され、その後端部が上記抑制位置まで進出する。
【0097】
一方、車速センサ244により検出された車速が上記閾値未満となった時、つまり車両Vが上記所定高速走行状態から低速走行状態になった時には、CPU243は、駆動回路242を制御してモータ241bを上記所定高速走行時とは逆方向に回転駆動させ、巻取りシャフト241aを、図7の反時計方向に回転させる。これにより、ガイド部材220は、閉断面203D内に巻取られ、その後端部が上記抑制位置から車両前方に退避する。
【0098】
このように、本実施形態では、車速センサ244の検出結果と所定の閾値との比較に基づいてCPU243がアクチュエータとしてのモータ241bを制御し、ガイド部材220の巻取り、繰り出し動作によって、ガイド部材220の後端部を上記抑制位置に対して進退させることができるようになっている。
【0099】
さらに、ガイド部材220は、フロアトンネル6aの前部のみで進退可能とされている。これにより、フロアトンネル6aの下部を全体に亘って開閉する場合に比べ、駆動源(アクチュエータとしてのモータ241b)として大きな駆動力を有するものを備えなくてもよいという利点がある。このため、空力性能とフロアトンネルの冷却性能とを効率よく向上させることができる。
【0100】
さらに、ガイド部材220の後端部を車両前後方向に延びるガイドレール240に沿って後方へ移動させる構成にしたことにより、ガイド部材220の移動を容易にすることができる。また、ガイド部材220やガイドレール240等の上下方向の幅を小さく抑えることができ、車両Vの最低地上高を確保できる。
【0101】
なお、本実施形態では、最低地上高を確保するために、スライドレール240をフロアトンネル6aの内側面下部に配設することとしたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、図8中二点鎖線で示すガイドレール240′のように、フロアトンネル6aの両側方に取付けてもよいし、240″のように、フロアパネル6の下面のフロアフレーム8に取付けてもよい。
【0102】
(第4実施形態)
次に、図10〜図15に示す第4実施形態について説明する。図10は、本発明の第4実施形態に係るアンダフロア構造を示す底面図であり、ガイド部材320の開状態を示す図である。また、図11は、図10のD−D線矢視断面図であり、図12は、ガイド部材320の開状態におけるピン321a、321bの位置を説明するための図である。図13は、ガイド部材320の閉状態を示す底面図であり、図14は、図13のE−E線矢視断面図、図15は、ガイド部材320の閉状態におけるピン321a、321bの位置を説明するための図である。なお、図10〜図15において、上述した実施形態と同様の構成要素については、同一の番号を付して説明を省略する。
【0103】
本実施形態では、ガイド部材320が、図10〜図15に示すように、左右一対の板状の扉部材321、321により構成されるとともに、これら扉部材321、321のピン321a、321bをガイドするガイドレール340、341が、扉部材321の前後端位置に対応して配設されている。そして、ガイド部材320(扉部材321、321)は、ピン321a、321bがガイドレール340、341に沿って移動することにより、車幅方向に開閉可能とされている。
【0104】
ガイド部材320では、各扉部材321がその前後端に2つのピン321a、321bを有しており、各ピン321a、321bの移動方向は、上述したガイドレール340、341によって規制されている。そして、ガイドレール340、341は、例えば、断面コ字状に形成され、扉部材321のピン321a、321bと凹部で係合している。
【0105】
このうち、ガイドレール340は、図10〜図15に示すようにフロアトンネル6aの下方において車幅方向に延設されている。ここで、フロアトンネル6aの車幅方向両側方には、車両前後方向に延設された左右一対のトンネルフレーム308、308が設けられており、さらには、該トンネルフレーム308、308を橋渡すようにトンネルメンバ309が車幅方向に延設されている。ガイドレール340のうち、車両後側のガイドレール340は、トンネルメンバ309に固定されている。また、ガイドレール340は、図10、図12、図13、図15に示すように、各扉部材321、321の下側に位置するピン321aと係合している。
【0106】
一方、ガイドレール341は、フロアトンネル6aの内側面において上下方向に延設されるように固定されており、図12、図15に示すように、各扉部材321、321の上側に位置するピン321bと係合している。
【0107】
また、本実施形態では、図10〜図15に示すように、ピン321a、321aを移動させるピン移動機構342が配設されている。このピン移動機構342は、ピン321a、321aに連結されたワイヤ342aを有している。
【0108】
ピン移動機構342は、主に、ワイヤ342aの他、ワイヤ342aを巻取る巻取りドラム342bと、ガイド部材320を駆動させるアクチュエータとしてのモータ342cと、巻取りドラム342b及びモータ342cに連結されたプーリ342d、342dと、プーリ342d、342dに巻き掛けられた無端ベルト342eとを有している。
【0109】
ピン移動機構342では、モータ342cを回転駆動させることにより、この回転力をプーリ342d及び無端ベルト342eを介して巻取りドラム342bに伝達させ、巻取りドラム342bを回転させる。この巻取りドラム342bの回転により、ワイヤ342aを巻取ったり、ガイドレール340に沿って車幅方向中央部に繰り出したりすることが可能となっている。
【0110】
また、モータ342cは、図11に示す駆動回路343により正逆回転駆動されるものであり、第3実施形態と同様、車速センサ244及びメモリ245が接続されたCPU344により正逆回転制御が実行されるようになっている。ここで、左右一対のモータ342c、342cは、CPU344により回転方向が反対でかつ回転角度が略同じになるように制御される。
【0111】
本実施形態では、車速センサ244により検出された車速が上記閾値未満である時、つまり車両Vが低速走行状態である時には、ガイド部材320は、図10〜図12に示すように、車幅方向において開状態に保持される。
【0112】
具体的には、図10、図12に示すように、ピン321a、321aは、互いに車幅方向において離間した位置関係に保持されるとともに、ピン321bは、ガイドレール341に沿って上端部近傍の位置に保持される。その結果、左右一対の扉部材321、321は、略直立状態に保持され、これにより、ガイド部材320は、車幅方向において開状態に保持される。
【0113】
そして、車両Vが低速走行状態から上記所定高速走行状態となった時には、CPU344は、駆動回路343を制御してモータ342cを回転駆動させ、巻取りドラム342bの回転によってワイヤ342aを車幅方向中央部に向かって繰り出す。これにより、ガイド部材320は、図13〜図15に示すように、車幅方向において閉状態となる。
【0114】
具体的には、図13、図15に示すように、ピン321a、321aは、ガイドレール340に沿って車幅方向中央部にガイドされ互いに接近するとともに、扉部材321の上部が下方に引張られることで、ピン321bがガイドレール341に沿って下方に案内される。その結果、左右一対の扉部材321、321は、車幅方向において略倒伏状態となり、ガイド部材320は、閉状態となる。
【0115】
一方、車両Vの上記所定高速走行状態から低速走行状態になった時には、CPU344は、駆動回路343を制御してモータ342cを上記所定高速走行時とは逆方向に回転駆動させ、ワイヤ342aを巻取りドラム342bの逆回転によって巻取らせる。これにより、ピン321a、321aは、ガイドレール340に沿って車幅方向外側にガイドされ互いに離間するとともに、扉部材321の上部が上方に押し上げられることで、ピン321bがガイドレール341に沿って上方に案内される。その結果、左右一対の扉部材321、321は、図10〜図12に示すように、車幅方向において略直立状態となり、ガイド部材320は、開状態となる。
【0116】
本実施形態では、車速センサ244の検出結果と所定の閾値との比較に基づいてCPU344がモータ342cを制御し、扉部材321、321を車幅方向に開閉することによって、ガイド部材320は、フロアトンネル6aの前部の下部を開閉可能としている。
【0117】
そして、ガイド部材320が開状態の時(図10〜図12参照)、扉部材321、321は、それぞれフロアトンネル6aの内側面に沿って略直立状態となっている。この時、ガイド部材320(扉部材321)は、フロアトンネル6a内に流れ込んだ上記熱気に由来する熱が、図11中二点鎖線の矢印δで示すように車室4側に伝達されることを抑制する遮熱部材として機能する。
【0118】
一方、ガイド部材320が閉状態の時(図13〜図15参照)、扉部材321、321は、触媒コンバータ14の下方位置に配置され、これによって、ガイド部材320は、上記抑制位置に配置される。この時、ガイド部材320(扉部材321)は、フロアトンネル6aの前部の下部を閉鎖しており、エンジンルーム2からの熱気と車両前方からの走行風との干渉を抑制するガイド部材として機能する。
【0119】
このように、扉部材321、321が上記抑制位置に配置されていないことによって、ガイド部材320が開状態になっていたとしても、このガイド部材320を、車室4への熱の伝達を抑制する遮熱部材として有効に利用することができる。
【0120】
なお、その他の作用効果は、上述した第3実施形態と同様である。
【0121】
ところで、図10〜図15では、左右一対の扉部材321に応じて、それぞれを開閉動作させるモータ342c、342cを備えているが、必ずしもこれに限定されない。例えば、図16〜図21に示すように、1つのモータ352cの回転駆動によって左右のピン321a、321aを同時に移動させるようにしてもよい。
【0122】
図16は、本発明の他の実施形態に係るアンダフロア構造を示す底面図であり、ガイド部材320の開状態を示す図である。また、図17は、図16のF−F線矢視断面図であり、図18は、ガイド部材320の開状態におけるピン321a、321bの位置を説明するための図である。図19は、ガイド部材320の閉状態を示す底面図であり、図20は、図19のG−G線矢視断面図、図21は、ガイド部材320の閉状態におけるピン321a、321bの位置を説明するための図である。なお、図16〜図21において、図10〜図15に示すものと同様の構成要素については、同一の番号を付して説明を省略する。
【0123】
図16〜図21に示す実施形態では、ピン移動機構352の構成のみが図10〜図15に示すものと異なっている。具体的には、ピン移動機構352は、主に、ピン321a、321aが取付けられた無端ワイヤ352aと、無端ワイヤ352aが巻き掛けられた左右一対のプーリ352b、352bと、一方のプーリ352bを回転駆動させるべくこれに連結された単一のモータ352cとを有している。
【0124】
ピン移動機構352では、無端ワイヤ352aが、図16〜図21に示すように、左右一対のプーリ352aに巻き掛けられることによって、ガイドレール340の凹部内を車幅方向に延びるように配設されている。そして、モータ352cを回転駆動させることにより、この回転力が一方のプーリ352bに伝達され、このプーリ352bの回転によって無端ワイヤ352aが回転するようになっている。
【0125】
モータ352cは、図17に示す駆動回路353により回転駆動されるものであり、CPU354により正逆回転制御が実行されるようになっている。なお、CPU354に、車速センサ244及びメモリ245が接続される構成は、図11に示す場合と同様である。
【0126】
また、無端ワイヤ352aには、ピン321a、321aが取付けられており、無端ワイヤ352aの上部、下部それぞれに、左右のピン321a、321aの一方が取付けられている。これにより、無端ワイヤ352aが回転した時には、左右のピン321a、321aが車幅方向において互いに反対方向に移動できるようになっている。
【0127】
本実施形態では、車両Vが低速走行状態である時には、ガイド部材320が、図16〜図18に示すように車幅方向において開状態に保持される。具体的には、図16、図18に示すように、ピン321a、321aは、車幅方向において互いに離間した位置関係に保持される。その結果、左右一対の扉部材321、321は、略直立状態に保持され、ガイド部材320は、車幅方向において開状態に保持される。
【0128】
そして、車両Vが低速走行状態から上記所定高速走行状態となった時には、CPU354は、駆動回路354を制御して、モータ352cを回転駆動させることにより、図19〜図21に示すようにプーリ352bを介して無端ワイヤ352aを回転させ、ピン321a、321aを移動させる。
【0129】
ここでは、CPU354の回転駆動制御により、モータ352cを、図20、図21に示すように時計方向に回転駆動させる。これにより、ガイド部材320は、図19〜図21に示すように車幅方向において閉状態となる。
【0130】
具体的には、ピン321a、321aのうち、無端ワイヤ352aの上部に取付けられたピン321a(ここでは、図18の左側のピン321a)は、図19、図21に示すように右側に移動すると同時に、無端ワイヤ352aの下部に取付けられたピン321a(ここでは、図18の右側のピン321a)は、左側に移動する。
【0131】
これにより、ピン321a、321aは、ガイドレール340に沿って車幅方向中央部にガイドされながら互いに接近するとともに、扉部材321の上部が下方に引張られることで、ピン321bがガイドレール341に沿って下方に案内される。その結果、左右一対の扉部材321、321は、車幅方向において略倒伏状態となり、ガイド部材320は閉状態となる。
【0132】
一方、車両Vの上記所定高速走行状態から低速走行状態になった時には、CPU354は、駆動回路354を制御してモータ352cを上記所定高速走行時とは逆方向に回転駆動させる。ここでは、CPU354の回転駆動制御により、モータ352cを図20、図21の反時計方向に回転駆動させる。これにより、ガイド部材320は、図16〜図18に示すように、車幅方向において開状態となる。
【0133】
具体的には、無端ワイヤ352aの下部に取付けられたピン321aが、図16、図18に示すように左側に移動すると同時に、無端ワイヤ352aの下部に取付けられたピン321aが右側に移動する。
【0134】
これにより、ピン321a、321aは、ガイドレール340に沿って車幅方向外側にガイドされ互いに離間するとともに、扉部材321の上部が上方に引張られることで、ピン321bがガイドレール341に沿って上方に案内される。その結果、左右一対の扉部材321、321は、図16〜図18に示すように、車幅方向において略直立状態となり、ガイド部材320は開状態となる。
【0135】
このように、無端ワイヤ352aの上部、下部それぞれに、左右のピン321a、321aの一方を取付け、無端ワイヤ352aを回転させた時、左右のピン321a、321aを車幅方向において互いに反対方向に移動させるように構成することで、単一のモータ352cによって左右のピン321a、321aを同時に移動させることができる。このため、CPU354の制御プログラムや駆動回路354の構成を簡素化することができ、効率よくガイド部材320を開閉駆動させることができる。
【0136】
なお、上述した実施形態では、上側のピン321b、321bが無端ワイヤ352aに取付けられないフリーな状態となっているが、ガイド部材320の動作の精度を向上させたい場合には、両方のピン321a、321bが確実に連動できるように、両者を無端ワイヤ352aに取付けてもよい。
【0137】
また、単一のモータによって左右のピン321を移動させるものとしては、無端ワイヤ352aを用いることに必ずしも限定されない。例えば、図22に示すピン移動機構362のように、螺旋状に成形された棒状の2つの送り部材362a、362aと、これらを同時に回転させる単一のモータ362bとで構成してもよい。ピン移動機構362は、送り部材362a、モータ362bの他、2つの送り部材362aを連結するカップリング362cと、モータ362b側と反対側の送り部材362aを回転可能に支持する支持部362dとを有している。
【0138】
図22では、螺旋の巻き方向が左右で反対となるように、送り部材362a、362aが配設されており、ピン321a、321aがそれぞれ対応する送り部材362a、362aに係合している。このため、回転駆動によって送り部材362a、362aを一方向に回転させると、左右のピン321a、321aが車幅方向において互いに反対方向に移動するようになっている。
【0139】
(第5実施形態)
次に、図23、図24に示す第5実施形態について説明する。図23は、本発明の第5実施形態に係るアンダフロア構造を示す側断面図であり、図24は、同底面図である。なお、図23、図24において、上述した実施形態と同様の構成要素については、同一の番号を付して説明を省略する。
【0140】
本実施形態では、フロアパネル6の前部において、第2アンダーカバー7、7の間に板状のガイド部材420が配設されている。
【0141】
ガイド部材420は、主に、ガイド本体421と、ルーバー部材422と、連結ロッド423とを有し、排気系411の触媒コンバータ414の下方に位置してこれを覆っている。
【0142】
ガイド部材420のうち、ガイド本体421には、複数のスリット孔421a、421a、…が車両前後方向に整列するように形成されており、ルーバー部材422は、このスリット孔421に対応して複数設けられている。但し、これらスリット孔421a及びルーバー部材422は、触媒コンバータ414と上下方向でラップしない位置に形成、配設されている。
【0143】
ルーバー部材422は、その一端側が共通の連結ロッド423に連結されており、連結ロッド423の昇降によって、ガイド本体421に配設された回動軸424を中心に回動可能とされている。ルーバー部材422は、この回動動作によって複数のスリット孔421を同時に開閉することが可能になっている。
【0144】
また、本実施形態では、連結ロッド423の前端部が、滑車440により所定の張力が付与されたワイヤ441を介してピストン442のロッド442aに接続されている。
【0145】
ここで、上述した滑車440、ピストン442は、サスクロス3の横メンバ3Cの上方に配設されており、好ましくは、前輪Wa(図1参照)用のサスペンションの補強部材であるトランスバースメンバ上に設けられる。
【0146】
また、ピストン442は、電磁弁443によって供給される流体の量が調整可能とされ、さらに電磁弁443は、車両Vに搭載されたCPU444により制御される。
【0147】
CPU444には、車速センサ244と、エンジン冷却水温を検出する水温センサ445と、ブレーキ負圧を検出する負圧センサ446と、パワートレインを構成するトランスミッションのオイル圧を検出するオイル圧検出センサ447とが接続されており、CPU444は、これら各種センサの検出結果を入力可能としている。また、CPU444には、メモリ448が接続され、このメモリ448には、車両Vが上記所定高速走行時であるか否かを判定するための車速の閾値の他、エンジン冷却水温、ブレーキ負圧、及びトランスミッションのオイル圧に関連する各種閾値が記憶されている。
【0148】
本実施形態では、CPU444が、車速センサ244から入力される車速の検出結果と、メモリ448に記憶されている閾値とを比較しており、その結果、車両Vが低速走行状態であった時、CPU444は、電磁弁443を制御して、ピストン442のロッド442aを、図23中二点鎖線で示すように後方の位置に保持する。
【0149】
このように、ピストン442のロッド422aが後方に位置している時には、ワイヤ440に大きな張力が発生し、ガイド部材420の連結ロッド423が、図23中二点鎖線で示すように上昇位置に保持される。そして、ルーバー部材422は、連結ロッド423に取付けられた側が引き上げられることにより略直立状態となり、ガイド本体421に形成されたスリット孔421aを開放した開状態となる。
【0150】
この時、ガイド部材420では、ルーバー部材422が開状態となっていることにより、フロアトンネル6aの前部の下部において、ルーバー部材422が上記抑制位置から退避した状態となる。
【0151】
そして、車両Vが低速走行状態から上記所定高速走行状態となった時には、CPU444は、電磁弁443を制御してピストン442のロッド442aを、図23中実線で示すように前方に縮退させる。これにより、ワイヤ440の張力が小さくなり、ガイド部材420の連結ロッド423が自重により図23中実線で示す位置に下降する。この時、ルーバー部材422は、回動軸424を中心に回動し、スリット孔421aを閉塞する閉状態となる。
【0152】
この時、ガイド部材420では、ルーバー部材422が閉状態となっていることにより、ルーバー部材422は、フロアトンネル6aの前部の下部において上記抑制位置に配置された状態となる。
【0153】
一方、車両Vの上記所定高速走行状態から低速走行状態になった時には、CPU444は、電磁弁443を制御してピストン442のロッド442aを、図23中二点鎖線で示すように後方に伸長させる。これにより、ワイヤ440の張力が大きくなり、ガイド部材420の連結ロッド423が図23中二点鎖線で示す位置まで上昇する。この時、ルーバー部材422は、回動軸424を中心に回動し、スリット孔421aを開放した開状態となる。
【0154】
また、本実施形態では、水温センサ445、負圧センサ446、オイル圧検出センサ447の検出結果に基づいて、車両Vのエンジンにかかる負荷を判定している。具体的には、CPU444が、水温センサ445、負圧センサ446、オイル圧検出センサ447から入力される検出結果と、メモリ448に記憶されている閾値とを比較しており、その結果、各種検出結果のいずれか、またはいずれもが閾値以上になった時、エンジンの負荷が所定以上であると判定するようになっている。
【0155】
ここで、車両Vが上記所定高速走行状態であったとしても、車両Vの登坂時等において、エンジンの負荷が所定以上となった時には、車両Vの車速に関わらず、CPU444が電磁弁442(ピストン442)を制御して、ルーバー部材422を上記抑制位置から退避させ、これを開状態とするようになっている。
【0156】
このように、本実施形態では、車速センサ244の検出結果と所定の閾値との比較に基づいてCPU444がアクチュエータとしてのピストン442を制御することによって、ガイド部材420のルーバー部材422を上記抑制位置に対して進退させるようになっている。
【0157】
従って、上記所定高速走行状態において、ピストン442を縮退させ、ルーバー部材422を上記抑制位置に配置することにより、スリット孔421aを閉塞することができる。このため、エンジンルーム2からの熱気と、車両前方からの走行風とがフロアトンネル6aの前部の下部で干渉することを抑制できる。
【0158】
一方、車両Vが上記所定高速走行状態でない場合、ピストン442を伸長させ、ルーバー部材422を上記抑制位置から退避させることにより、スリット孔421aを開放することができる。このため、フロアトンネル6aの前部の下部を開放することができ、図23中破線で示すβ′で示すように、上記熱気をフロアトンネル6aの下方の外側に逃がすことによって、フロアトンネル6a内の冷却性能を向上させることができる。
【0159】
一般的に、エンジンの負荷が高くなると、エンジンの排気温が高くなり、それに伴って排気系411が配設されたフロアトンネル6a内の温度は上昇する傾向がある。
【0160】
そこで、本実施形態では、上述したように、上記所定高速走行状態であったとしても、エンジンの負荷が所定以上であった時には、ピストン442を伸長させることによって、ルーバー部材422を上記抑制位置から退避させ、これを開状態にしている。このため、エンジンの負荷が所定以上となった時には、フロアトンネル6a内の冷却性能を優先させることができ、フロアトンネル6a内に熱がこもることをより確実に抑制できる。
【0161】
なお、本実施形態では、エンジンの負荷を水温センサ445、負圧センサ446、オイル圧検出センサ447の検出結果に基づいて判定することとしているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、エアフロセンサやエンジン回転数センサを用いてもよい。
【0162】
図25は、本発明の他の実施形態に係るアンダフロア構造を示す側断面図である。図25に示す実施形態では、ピストン442を駆動させる方式が図23、図24に示す実施形態と異なっている。具体的には、ピストン442が、排気マニホールド12の近傍に配設されたタンク450とパイプ451を介して接続され、該タンク450内に貯留された液体がピストン442のシリンダ441b内に供給されるようになっている。なお、図25において、図23、図24に示す実施形態と同様の構成要素については、同一の番号を付して説明を省略する。
【0163】
タンク450には、水やオイル等、熱膨張性を有する液体が貯留されている。ここで、エンジンの負荷が高くなると、エンジンの排気温が高くなり、それに伴って排気マニホールド12周辺の温度が上昇することから、図25に示す実施形態では、この時、タンク450内に貯留された液体が膨張する現象を利用してピストン442のロッド442aを伸長させるようにしている。
【0164】
逆に、エンジンの負荷が低くなると、エンジンの排気温が低くなり、それに伴って排気マニホールド12周辺の温度が低下することから、この時、タンク450内に貯留された液体が収縮する現象を利用してピストン442のロッド442aを縮退させる。
【0165】
この場合、エンジン負荷を判定するためにセンサを設けることなく、ピストン442を駆動させることが可能になるため、駆動系の構成を簡素化することができるという利点がある。
【0166】
ところで、車両Vの停車時には、車両Vのアンダフロア部下方の空力について考慮しなくてもよいことから、車両Vの停車時にフロアトンネル6aの前部の下部を開放することは何ら支障がないと言える。そこで、車両Vの停車時に対応してルーバー部材422が開状態となるように構成してもよい。図26は、本発明のさらに他の実施形態に係るアンダフロア構造を示す側断面図である。
【0167】
図26に示す実施形態では、チェンジレバー30のピボット部30aより下方に位置する下端部30bにワイヤ460の一端側が取付けられ、チェンジレバー30は、このワイヤ460を介してガイド部材420の連結ロッド423に接続されている。
【0168】
本実施形態では、チェンジレバー30がパーキングレンジの位置にシフトされると、ワイヤ460が引張られ、ガイド部材420の連結ロッド423が上昇するようになっている。この時、ルーバー部材は、図23〜図25の場合と同様、回動軸424を中心に回動して開状態となり、スリット孔421aが開放される。
【0169】
一方、チェンジレバー30が、パーキングレンジの位置にある状態から、それ以外のレンジにシフトされると、ガイド部材420の連結ロッド423が、これと連動して下降するようになっている。この時、ルーバー部材422は、図23〜図25の場合と同様、回動軸424を中心に回動して閉状態となり、スリット孔421aが閉塞される。
【0170】
このように、チェンジレバー30をパーキングレンジの位置にシフトさせた時、ルーバー部材422が回動して開状態となることにより、車両Vの停車時には、フロアトンネル6aの前部の下部を確実に開放することができる。このため、車両Vの停車時にフロアトンネル6a内を素早く冷却することができる。
【0171】
なお、車両Vの停車時に対応してルーバー部材422が開状態となるように構成する場合、例えば、図26中二点鎖線で示すように、パーキングレバー31にワイヤ461の一端側を取付けて、これをガイド部材420の連結ロッド423に接続してもよい。この場合、パーキングレバー31の引き上げ操作に連動して、連結ロッド423を上昇させるように構成すればよい。
【0172】
(その他の実施形態)
上述した第5実施形態では、車両Vにおいてエンジンの負荷が所定以上となった時、アクチュエータとしてのピストン442を制御して、フロアトンネル6aの前部の下部を開状態とするようにしたが、このようなエンジンの負荷に基づくアクチュエータの制御を、第3、第4実施形態に適用してもよい。
【0173】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の、ガイド手段は、ガイド部材20、120、220、320、420に対応し、
以下同様に、
触媒装置は、触媒コンバータ14、414に対応し、
可動ガイド部材は、ガイド部材120、220、320、420に対応し、
アクチュエータは、モータ241b、342c、352c、ピストン442に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【符号の説明】
【0174】
2…エンジンルーム
3…サスペンションクロスメンバ
6a…フロアトンネル
11、411…排気系
14、414…触媒コンバータ
20、120、220、320、420…ガイド部材
240、340、341…ガイドレール
241b、342c、352c…モータ
442…ピストン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンルーム後方において車幅方向中央部を車両前後方向に延びる排気系に沿って車両前後方向に延設されたフロアトンネルを有する車両のアンダフロア構造であって、
上記エンジンルーム内から上記フロアトンネル前部を通って該フロアトンネル外側に向かう空気と、車両前方からの走行風との干渉を抑制するためのガイド手段が、上記フロアトンネル前部に設けられている
車両のアンダフロア構造。
【請求項2】
上記ガイド手段は、上記フロアトンネル前部において触媒装置の前部近傍に設けられ、
上記エンジンルームからの空気が、上記触媒装置の下方へ移動することを抑制可能に設けられている
請求項1記載の車両のアンダフロア構造。
【請求項3】
上記ガイド手段は、車両が所定以上の車速で走行する上記所定高速走行中に、上記エンジンルームからの空気と、車両前方からの走行風との干渉を抑制する抑制位置に移動する可動ガイド部材である
請求項1または2記載の車両のアンダフロア構造。
【請求項4】
上記可動ガイド部材は、上記所定高速走行時以外は、左右の前輪を連結するサスペンションクロスメンバ内に収納されている
請求項3記載の車両のアンダフロア構造。
【請求項5】
車両前後方向に延びるガイドレールが設けられ、
上記可動ガイド部材の後端部が、上記ガイドレールと係合しており、
上記可動ガイド部材は、上記ガイドレールに沿って車両後方へ移動することで、上記抑制位置へ移動する
請求項3または4記載の車両のアンダフロア構造。
【請求項6】
上記可動ガイド部材が、上記フロアトンネル内側面において上下方向に設けられたガイドレールにより案内されて車幅方向に開閉可能であり、
開状態時は、上記フロアトンネル内側面に位置して、該フロアトンネル内からの熱が車室内へ伝達されるのを抑制する遮熱部材として機能し、
閉状態時は、上記フロアトンネル下部に位置して、上記エンジンルームからの空気と上記走行風との干渉を抑制する上記ガイド手段として機能する
請求項3記載の車両のアンダフロア構造。
【請求項7】
上記可動ガイド部材を駆動するためのアクチュエータが、エンジン負荷の検出結果に基づいて駆動され、
上記所定高速走行時、上記エンジン負荷が所定以上であった時、上記アクチュエータは、上記可動ガイド部材を上記抑制位置から退避させる
請求項3〜6のいずれか一項に記載の車両のアンダフロア構造。
【請求項8】
上記ガイド手段は、上記フロアトンネル前方からの走行風を車幅方向外側へ逃がすよう、前端部において先端が尖った縦壁部を有している
請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両のアンダフロア構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2011−235717(P2011−235717A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107881(P2010−107881)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】