説明

車両の制御装置

【課題】ユーザに空調装置の操作を強要することなく、蓄電装置の電力を用いた車両走行距離がユーザの意図に反して減少してしまうことを抑制する。
【解決手段】車両外部の電源で車載のバッテリを充電する外部充電が可能な車両において、ECU200は、現在のバッテリの蓄電状態(現在SOC)を算出し(210)、外部充電中にユーザがエコスイッチを押した場合、エコスイッチが押された時点の現在SOCを目標SOCに設定し(220)、目標SOCに対する現在SOCの低下量が大きくなるほどバッテリ放電上限電力Woutを小さい値に設定する(230、240、250)。そして、ECU200は、バッテリ放電許容電力Woutに充電器供給電力αを加えた値を空調許容消費電力Pmaxに設定し、空調消費電力Pが空調消費許容電力Pmaxを超えないように空調装置を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両外部の電源で車載の蓄電装置を充電する外部充電が可能な車両の制御に関し、特に、外部充電中の空調制御に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2004−147379号公報(特許文献1)には、走行用のエンジン、走行補助用のモータ、モータに電力を供給するバッテリ、エンジンにより駆動されてバッテリに充電を行う発電機を備えたハイブリッド車において、バッテリが放電モードにあるときは充電モードにあるときに比べて空調装置(いわゆるエアコン)での消費電力を低下させることによって、エンジンの出力が発電のために消費される頻度及び時間を低減する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−147379号公報
【特許文献2】特開2010−6296号公報
【特許文献3】特開2003−199211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両外部の電源からの外部電力でバッテリを充電する外部充電が可能な車両において、外部充電中に空調装置を作動させる場合、外部電力の一部または全部がバッテリに充電されずに空調装置で消費されてしまうと、バッテリの蓄電量の増加が抑制されるため、バッテリの電力を用いた走行可能距離がユーザの意図に反して減少してしまうおそれがある。しかしながら、特許文献1には、このような課題およびその解決手段について何ら示されていない。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ユーザに空調装置の操作を強要することなく、蓄電装置の電力を用いた車両走行距離がユーザの意図に反して減少してしまうことを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る制御装置は、電動機が発生する駆動力で走行する車両を制御する。車両は、電動機に供給する電力を蓄える蓄電装置と、蓄電装置を車両外部の電源からの電力で充電する外部充電を行なうための充電器と、蓄電装置および充電器の少なくともいずれかからの電力で作動する空調装置とを備える。制御装置は、ユーザが節約運転を要求する操作を入力するための入力部と、車両の電力を制御する電力制御部とを備える。電力制御部は、外部充電中に節約運転が要求された場合、節約運転が要求され始めた時点の蓄電量を目標量に設定し、蓄電装置の実蓄電量が目標量に対して所定量以上下回らないように空調装置の消費許容電力を変化させる。
【0007】
好ましくは、電力制御部は、目標量に対する実蓄電量の低下量が大きいほど空調装置の消費許容電力を低下させる。
【0008】
好ましくは、電力制御部は、目標量に対する実蓄電量の低下量が大きいほど蓄電装置の放電許容電力を低下させ、蓄電装置の放電許容電力と充電器の供給可能電力との合計を空調装置の消費許容電力に設定する。
【0009】
好ましくは、電力制御部は、実蓄電量が目標量よりも増加した場合、実蓄電量に応じて目標量を増加させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザに空調装置の操作を強要することなく、蓄電装置の電力を用いた車両走行距離がユーザの意図に反して減少してしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】車両の全体ブロック図である。
【図2】ECUの機能ブロック図である。
【図3】ΔSOC−Woutマップを示す図である。
【図4】ECUの処理手順を示すフローチャートである。
【図5】SOC、空調消費電力P、バッテリ放電電力Wの時間変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に従う車両1の全体ブロック図である。図1を参照して、この車両1は、エンジン10と、第1MG(Motor Generator)20と、第2MG30と、動力分割装置40と、減速機50と、駆動輪51と、PCU(Power Control Unit)60と、バッテリ70と、ECU(Electronic Control Unit)200とを備える。
【0014】
エンジン10、第1MG20および第2MG30は、動力分割装置40を介して連結される。そして、この車両1は、エンジン10および第2MG30の少なくとも一方から出力される駆動力によって走行する。エンジン10が発生する動力は、動力分割装置40によって2経路に分割される。すなわち、一方は減速機50を介して駆動輪51へ伝達される経路であり、もう一方は第1MG20へ伝達される経路である。
【0015】
エンジン10は、ECU200からの制御信号S1によって制御される。第1MG20および第2MG30は、交流電動機であり、たとえば、三相交流同期電動機である。第1MG20は、動力分割装置40によって分割されたエンジン10の動力を用いて発電する。第2MG30は、バッテリ70に蓄えられた電力および第1MG20により発電された電力の少なくとも一方を用いて駆動力を発生する。そして、第2MG30の駆動力は、減速機50を介して駆動輪51に伝達される。なお、車両の制動時等には、減速機50を介して駆動輪51により第2MG30が駆動され、第2MG30が発電機として動作する。これにより、第2MG30は、車両の運動エネルギを電力に変換する回生ブレーキとしても機能する。第2MG30により発電された回生電力は、バッテリ70に蓄えられる。
【0016】
動力分割装置40は、サンギヤと、ピニオンギヤと、キャリアと、リングギヤとを含む遊星歯車から成る。ピニオンギヤは、サンギヤおよびリングギヤと係合する。キャリアは、ピニオンギヤを自転可能に支持するとともに、エンジン10のクランクシャフトに連結される。サンギヤは、第1MG20の回転軸に連結される。リングギヤは第2MG30の回転軸および減速機50に連結される。このように、エンジン10、第1MG20および第2MG30が、遊星歯車からなる動力分割装置40を介して連結されることで、エンジン回転速度Ne、第1MG回転速度(第1MG20の回転軸の回転速度)Nm1および第2MG回転速度(第2MG30の回転軸の回転速度)Nm2は、共線図において直線で結ばれる関係になる。
【0017】
PCU60は、ECU200からの制御信号S2によって制御される。PCU60は、バッテリ70に蓄えられた直流電力を第1MG20および第2MG30を駆動可能な交流電力に変換して第1MG20および/または第2MG30に出力する。これにより、バッテリ70に蓄えられた電力で第1MG20および/または第2MG30が駆動される。また、PCU60は、第1MG20および/または第2MG30によって発電される交流電力をバッテリ70に充電可能な直流電力に変換してバッテリ70へ出力する。これにより、第1MG20および/または第2MG30が発電した電力でバッテリ70が充電される。
【0018】
バッテリ70は、第1MG20および/または第2MG30を駆動するための電力を蓄える直流電源であり、たとえば、ニッケル水素やリチウムイオン等の二次電池から成る。バッテリ70の電圧は、たとえば200V程度である。なお、バッテリ70として、大容量のキャパシタも採用可能である。
【0019】
ECU200は、図示しないCPU(Central Processing Unit)およびメモリを内蔵し、当該メモリに記憶された情報や各センサからの情報に基づいて、所定の演算処理を実行するように構成される。
【0020】
車両1は、電気車両走行モード(以下「EV走行モード」ともいう)およびハイブリッド自動車走行モード(以下「HV走行モード」ともいう)のいずれかの走行モードで走行される。EV走行モードは、エンジン10を停止させ第2MG30の動力によって車両1を走行させる走行モードである。HV走行モードは、エンジン10と第2MG30との双方の動力によって車両1を走行させる走行モードである。ECU200は、バッテリ70の蓄電量(以下、「SOC(State Of Charge)」という)が所定量を下回るまでは、EV走行モードで車両1を走行させ、SOCが所定量を下回った以降は、エンジン10を始動させHV走行モードで車両1を走行させる。なお、SOCは、通常、バッテリ70の満充電容量に対する蓄電量の割合(パーセント)で表わされる。
【0021】
さらに、車両1は、エコスイッチ11、監視ユニット71、空調装置80、充電器90、充電ポート91を備える。
【0022】
エコスイッチ11は、ユーザが節約運転を要求する操作を入力するためのスイッチである。ユーザがエコスイッチ11を押すと、エコスイッチ11はユーザが節約運転を要求していることを表わす信号D1をECU200へ送信する。
【0023】
監視ユニット71は、バッテリ70の状態(具体的にはバッテリ70を流れる電流Ib、バッテリ70の端子間電圧Vb、バッテリ70の温度Tb)を監視し、監視結果を示す信号D2をECU200へ送信する。
【0024】
空調装置80は、バッテリ70および充電器90(後述)に電気的に接続され、バッテリ70および充電器90の少なくともいずれかから供給される電力で作動して、車両1の室内の空調を行なう。空調装置80の消費電力は、ECU200からの制御信号S3によって制御される。この点は後に詳述する。
【0025】
充電器90は、バッテリ70と空調装置80と充電ポート91とに電気的に接続される。充電ポート91は、車両1の外部に設けられた外部電源310からのコネクタ300が接続可能に構成される。充電器90は、ECU200からの制御信号S4に基づいて、外部電源310から充電ポート91に供給される外部電力をバッテリ70を充電可能な電力に変換し、バッテリ70を充電する(以下、外部電力を用いたバッテリ70の充電を「外部充電」という)。この外部充電中に空調装置80を作動させると、バッテリ70からの電力に加えて外部電力を用いて空調装置80を作動させることができる。
【0026】
以上のような構成を有する車両1において、外部充電中に空調装置80を作動させる場合、外部電力の一部または全部がバッテリ70に充電されずに空調装置80で消費される。特に、外部電力以上の大きな電力を空調装置80で消費する場合には、外部電力だけでなくバッテリ70の電力が持ち出されることになり、SOCが低下してしまう。そのため、外部充電を行なったにも関わらず、EV走行距離(EV走行モードでの走行距離)が減少し、燃費が悪化してしまう。特に、ユーザが節約運転を要求してエコスイッチ11を押している場合には、そのユーザの意思に反して燃費が悪化してしまうことになる。
【0027】
そこで、本実施の形態によるECU200は、外部充電中にエコスイッチ11が押された場合、エコスイッチ11が押された時点のSOCを目標として、SOCがその目標よりも所定量以上下回らないように空調消費電力を制御する。この点が本発明の最も特徴的な点である。
【0028】
図2は、外部充電中に空調消費電力を制御する際のECU200の機能ブロック図である。図2に示した各機能ブロックは、ハードウェアによって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0029】
ECU200は、SOC算出部210と、目標SOC設定部220と、ΔSOC算出部230と、Wout設定部240と、マップ記憶部250と、空調制御部260を含む。
【0030】
SOC算出部210は、監視ユニット71からの信号D2に基づいて、現在のバッテリ70の蓄電状態(以下、「現在SOC(State Of Charge)」という)を算出する。なお、SOCは、通常、バッテリ70の満充電容量に対する蓄電量の比(パーセント)で表わされる。
【0031】
目標SOC設定部220は、外部充電中にエコスイッチ11からの信号D1を受信した場合(すなわちユーザがエコスイッチ11を押して節約運転を要求した場合)、信号D1を受信した時点の現在SOCを目標SOCに設定し、設定した目標SOCを記憶する。また、目標SOC設定部220は、記憶された目標SOCよりも現在SOCが大きい場合、記憶された目標SOCを現在SOCで更新する。なお、外部充電中にエコスイッチ11からの信号D1を受信していない場合(すなわちユーザが節約運転を要求していない場合)、目標SOCは設定されず、以下に説明する機能も作動しない。
【0032】
ΔSOC算出部230は、外部充電中に目標SOCが設定された場合、現在SOCから目標SOCを減じた値(=現在SOC−目標SOC)を、差分ΔSOCとして算出する。したがって、現在SOCが目標SOCよりも低下した場合には、差分ΔSOCの符号はマイナスとなる。
【0033】
Wout設定部240は、マップ記憶部250に記憶されたΔSOC−Woutマップを用いて、算出された差分ΔSOCに対応するバッテリ放電許容電力Woutを設定する。ここで、バッテリ放電許容電力Woutとは、バッテリ70の放電電力の制御上限値である。
【0034】
図3は、マップ記憶部250に記憶されるΔSOC−Woutマップを示す図である。図3に示すように、差分ΔSOC>0の範囲(すなわち現在SOCが目標SOCよりも大きい状態)では、バッテリ放電許容電力Woutは最大値Wmaxに設定される。一方、差分ΔSOC<0の範囲(すなわち現在SOCが目標SOCよりも小さい状態)では、差分ΔSOCが小さくなるほど(すなわち目標SOCに対する現在SOCの低下量が大きくなるほど)バッテリ放電許容電力Woutは徐々に小さくなるように設定される。Wout設定部240は、このマップを用いて、差分ΔSOCに対応するバッテリ放電許容電力Woutを設定する。
【0035】
空調制御部260は、バッテリ放電許容電力Woutに基づいて空調消費許容電力Pmaxを設定する。ここで、空調消費許容電力Pmaxとは、空調消費電力Pの制御上限値(すなわち空調装置80で消費可能な電力の上限)である。空調制御部260は、バッテリ放電許容電力Woutに充電器供給電力αを加えた値(=Wout+α)を、空調消費許容電力Pmaxに設定する。ここで、充電器供給電力αは、充電器90が空調装置80に供給可能な電力である。充電器供給電力αとしては、充電器90が供給可能な電力の上限値(固定値)を用いてもよいし、充電器90の供給電力を測定した値を用いてもよい。
【0036】
そして、空調制御部260は、空調消費電力Pが空調消費許容電力Pmaxを超えないように空調装置80を制御する。
【0037】
図4は、上述した機能を実現するためのECU200の処理手順を示すフローチャートである。図4に示すフローチャートは、外部充電中に予め定められた周期で繰り返し実行される。
【0038】
ステップ(以下、ステップを「S」と略す)10にて、ECU200は、エコスイッチON状態(エコスイッチ11から信号D1を受信している状態)であるか否かを判定する。エコスイッチON状態でない場合(S10にてNO)、処理はそのまま終了される。
【0039】
エコスイッチON状態である場合(S10にてYES)、ECU200は、前回サイクルでエコスイッチOFF状態(エコスイッチ11から信号D1を受信していない状態)であったか否かを判定する。
【0040】
前回サイクルでエコスイッチOFF状態である場合(S11にてYES)、ECU200は、S12にて現在SOCを目標SOCに設定し、設定した目標SOCを記憶した後、処理をS13に移す。一方、前回サイクルでエコスイッチOFF状態でない場合(S11にてNO)、ECU200は、S12の処理を行なうことなく、処理をS13に移す。
【0041】
S13にて、ECU200は、現在SOCが目標SOCよりも大きいか否かを判定する。
【0042】
現在SOCが目標SOCよりも大きい場合(S13にてYES)、ECU200は、S14にて現在SOCで目標SOCを更新した後、処理をS15に移す。一方、現在SOCが目標SOCよりも小さい場合(S13にてNO)、ECU200は、S14の処理を行なうことなく、処理をS15に移す。
【0043】
S15にて、ECU200は、現在SOC−目標SOCを差分ΔSOCとして算出する。
【0044】
S16にて、ECU200は、差分ΔSOCに対応するバッテリ放電許容電力Woutを設定する(上述の図3のΔSOC−Woutマップ参照)。
【0045】
S17にて、ECU200は、バッテリ放電許容電力Woutに充電器供給電力αを加えた値(=Wout+α)を、空調消費許容電力Pmaxに設定する。そして、ECU200は、空調消費電力Pが空調消費許容電力Pmaxを超えないように空調装置80を制御する。
【0046】
図5は、外部充電中かつ空調作動中のSOC、空調消費電力P、バッテリ放電電力Wの時間変化を示す図である。なお、図5において、バッテリ放電電力Wが0よりも下側の領域に含まれる場合はバッテリ70が放電している場合を示し、バッテリ放電電力Wが0よりも上側の領域に含まれる場合はバッテリ70が充電されている場合を示す。
【0047】
時刻t1以前のエコスイッチOFF状態では、バッテリ放電許容電力Woutおよび空調消費許容電力Pmaxは設定されない。図5に示す例では、空調消費電力Pが充電器供給電力αを超えておりバッテリ70の電力が持ち出されているため、SOCが低下している。
【0048】
従来においては、エコスイッチON状態となった時刻t1以降も、空調消費電力Pが制限されず、SOCが低下し続けていた(一点鎖線参照)。そのため、上述したようにユーザの意図に反してEV走行距離が減少していた。
【0049】
これに対し、本実施の形態によるECU200は、エコスイッチON状態となった時刻t1の実SOC(現在SOC)を目標SOCに設定し、以降の実SOCが目標SOCよりも所定量以上下回らないようにバッテリ放電許容電力Woutおよび空調消費許容電力Pmaxを設定する。そして、ECU200は、バッテリ放電電力Wをバッテリ放電許容電力Wout以下に制限する(図5では、バッテリ放電電力Wをバッテリ放電許容電力Woutよりも0に近い側にする)とともに、空調消費電力Pを空調消費許容電力Pmax以下に制限する。これにより、ユーザに空調装置80の操作を強要することなくSOCの低下を抑制し、節約運転をしたいというユーザの意図に反してEV走行距離が減少してしまうことを抑制することができる。
【0050】
時刻t2において、室内温度が目標温度に達したことなどに応じて空調装置80が一時的に停止されると、空調消費電力Pが0となり、充電器供給電力αがバッテリ70に供給されるため、実SOCが増加する。そして、実SOCが目標SOCよりも大きくなる時刻t3以降では、目標SOCが実SOC相当値に順次更新される。このように、実SOCが目標SOCよりも大きくなった場合には目標SOCを実SOCに応じて増加補正することによって、EV走行距離をさらに増加させることができる。
【0051】
時刻t4で空調装置80が再び作動し、時刻t5で再び実SOCが目標SOCよりも低下すると、目標SOCは時刻t5の実SOCに維持される。
【0052】
時刻t6で再びエコスイッチOFF状態になると、バッテリ放電電力Wおよび空調消費電力Pの制限が解除され、空調装置80に十分な電力を供給可能となり、車室内を空調したいというユーザの意図が反映されることになる。
【0053】
時刻t7で再びエコスイッチON状態になると、バッテリ放電電力Wおよび空調消費電力Pの制限が再び行なわれる。これにより、SOCの低下を再び抑制することができる。
【0054】
以上のように、本実施の形態によるECU200は、外部充電中に空調装置80を作動させる場合、ユーザが節約運転を要求した場合、節約運転が要求され始めた時点のSOCを目標として、SOCがその目標よりも所定量以上下回らないように空調消費許容電力Pmaxを変化させる。これにより、SOCの低下を抑制し、節約運転をしたいというユーザの意図に反してEV走行距離が減少されるのを抑制することができる。
【0055】
なお、本実施の形態では、本発明を外部充電が可能なハイブリッド自動車に適用する場合について説明したが、本発明は外部充電を前提とする電気自動車にも適用可能である。
【0056】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0057】
1 車両、10 エンジン、11 エコスイッチ、20 第1MG、30 第2MG、40 動力分割装置、50 減速機、51 駆動輪、70 バッテリ、71 監視ユニット、80 空調装置、90 充電器、91 充電ポート、200 ECU、210 SOC算出部、220 目標SOC設定部、230 ΔSOC算出部、240 Wout設定部、250 マップ記憶部、260 空調制御部、300 コネクタ、310 外部電源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機が発生する駆動力で走行する車両の制御装置であって、前記車両は、前記電動機に供給する電力を蓄える蓄電装置と、前記蓄電装置を車両外部の電源からの電力で充電する外部充電を行なうための充電器と、前記蓄電装置および前記充電器の少なくともいずれかからの電力で作動する空調装置とを備え、
前記制御装置は、
ユーザが節約運転を要求する操作を入力するための入力部と、
前記車両の電力を制御する電力制御部とを備え、
前記電力制御部は、前記外部充電中に前記節約運転が要求された場合、前記節約運転が要求され始めた時点の前記蓄電装置の蓄電量を目標量に設定し、前記蓄電装置の実蓄電量が前記目標量に対して所定量以上下回らないように前記空調装置の消費許容電力を変化させる、車両の制御装置。
【請求項2】
前記電力制御部は、前記目標量に対する前記実蓄電量の低下量が大きいほど前記空調装置の消費許容電力を低下させる、請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記電力制御部は、前記目標量に対する前記実蓄電量の低下量が大きいほど前記蓄電装置の放電許容電力を低下させ、前記蓄電装置の放電許容電力と前記充電器の供給電力との合計を前記空調装置の消費許容電力に設定する、請求項2に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記電力制御部は、前記実蓄電量が前記目標量よりも増加した場合、前記実蓄電量に応じて前記目標量を増加させる、請求項1に記載の車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−222930(P2012−222930A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85317(P2011−85317)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】