車両の後側方警報装置
【課題】自車両1の横方向変位に伴う後側方警報エリア14,15のずれによって他車両18の検出精度が低下することを防止する。
【解決手段】自車両1の位置を基準として後側方警報エリア14,15を設定し、該後側方警報エリア14,15内に他車両18が検出されたときに警報を出すようにした車両の後側方警報装置に、走行中の車線幅員Wにおける自車両位置を検出する自車両位置検出手段と、車線幅員Wにおける自車両位置に応じて後側方警報エリア14,15を横方向に変更する警報エリア変更手段とを設ける。
【解決手段】自車両1の位置を基準として後側方警報エリア14,15を設定し、該後側方警報エリア14,15内に他車両18が検出されたときに警報を出すようにした車両の後側方警報装置に、走行中の車線幅員Wにおける自車両位置を検出する自車両位置検出手段と、車線幅員Wにおける自車両位置に応じて後側方警報エリア14,15を横方向に変更する警報エリア変更手段とを設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の後側方警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自車両の後側方に自車両位置を基準として後側方警報エリアを設定し、該後側方警報エリア内に他車両を検出したときに、自車両の運転者に警報を出すようにした車両の後側方警報装置は一般に知られている。例えば、特許文献1には、後側方警報エリア内に他車両を検出したときに第1警報を出し、その他車両が自車両に接近してきたときに第2警報を出し、さらに自車両の運転者が他車両の存在する側に車線変更すべくウィンカを出したときに第3警報を出すことが記載されている。また、同文献1には、自車両の車速に応じて後側方警報エリアの大きさを変更することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−118523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、運転者は自車両を常に車線の中央位置で走行させるとは限らず、車線の中央から右又は左にずれた位置で走行させることがある。これに対して、他車両の存在を検出する後側方警報エリアは自車両位置を基準にして設定されるから、自車両が横方向に変位すると、その後側方警報エリアも自車両の変位方向にずれることになる。自車両が車線中央位置を走行しているときに、後側方警報エリアが隣接車線の幅員をちょうどカバーするように設定されるのであれば、自車両が例えば左側に変位すると、後側方警報エリアは隣接車線の幅員から左側にずれて、該隣接車線幅員の右側の一部がカバーされなくなる。その場合、当該隣接車線の右寄りを他車両が走行していると、その他車両の一部が後側方警報エリアからはみ出してしまうことがある。そうすると、その後側方警報エリアからのレーダの反射波を受信して他車両を検出する場合、車両の一部からしか反射波を受信できなくなり、その結果、受信感度が低くなり、他車両が存在しているにも拘わらず、他車両が存在していないと誤検出する可能性が出てくる。
【0005】
本発明は、このような自車両の横方向変位に伴う後側方警報エリアのずれによって他車両の検出精度が低下することを問題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、車線幅員における自車両の位置に応じて上記後側方警報エリアを横方向に変更するようにした。
【0007】
すなわち、本発明は、自車両の後側方に自車両位置を基準として後側方警報エリアを設定する警報エリア設定手段と、該後側方警報エリア内の物標を検出する物標検出手段と、該物標が検出されたときに警報を出す警報手段とを備えている車両の後側方警報装置において、
自車両が走行している車線幅員における自車両位置を検出する自車両位置検出手段と、
上記自車両位置を基準として設定された後側方警報エリアを上記車線幅員における自車両位置に変化に応じて横方向に変更する警報エリア変更手段とを備えていることを特徴とする。
【0008】
従って、自車両が走行している車線幅員における自車両位置の変化に応じて、他車両の検出精度が高まるように後側方警報エリアを変更することができるため、自車両の車線変更など運転支援に適切な情報を運転者に与えることができる。
【0009】
上記警報エリア変更手段は、上記車線中央からの自車両の横方向変位量に応じて、上記後側方警報エリアを自車両の変位方向とは反対の方向に変位させるものとすることができる。これにより、自車両の変位方向とは反対側の後側方に警報エリアを設定するケースでは、他車両が例えば隣接車線の中央を走行せずに自車両から側方に離れた位置を通り抜けるように後方から接近してくる場合であっても、これを検出し易くなる。また、自車両の変位方向側の後側方に警報エリアを設定するケースでは、他車両が自車両の横近くを通り抜けるように後方から接近してくる場合であっても、これを検出し易くなる。
【0010】
上記警報エリア変更手段は、上記車線中央からの自車両の横方向変位量に応じて、自車両の変位方向とは反対側に設定された上記後側方警報エリアを該変位方向とは反対側に拡大させるものとすることができる。すなわち、自車両の横方向変位量に応じて後側方警報エリアをその横幅の変更なく自車両の変位方向と反対側に変位させると、その後側方警報エリアの自車両側方への離隔量が大きくなる。その場合、自車両の横近くを通り抜けるように後方から接近してくる他車両の検出精度が低下する。そこで、後側方警報エリアを自車両の変位方向とは反対側に拡大することにより、自車両横近くを通るように後方から接近してくる他車両だけでなく、自車両から側方に離れた位置を通り抜けるように後方から接近してくる他車両をも検出し易くしたものである。
【0011】
上記警報エリア変更手段は、自車両位置がその走行する車線の中央から横方向に変位しているとき、上記後側方警報エリアをそのエリア両側縁のうち、自車両から遠い外側縁が隣接車線の自車両から遠い外側縁位置になるように変更するものとすることができる。これにより、自車両から側方に離れた位置を通り抜けるように後方から接近してくる他車両を検出し易くなる。
【0012】
その場合、自車両が走行する車線の幅員を検出する車線幅員検出手段を設けておいて、自車両が走行する車線の幅員に基いて上記隣接車線の外側縁位置を推定するようにすればよい。
【発明の効果】
【0013】
以上のように本発明によれば、自車両の後側方に自車両位置を基準として後側方警報エリアを設定し、該後側方警報エリア内に他車両、その他の物標が検出されたときに警報を出すようにした車両の後側方警報装置において、自車両が走行している車線幅員における自車両位置を検出する自車両位置検出手段と、自車両位置を基準として設定された後側方警報エリアを上記車線幅員における自車両位置に変化に応じて横方向に変更する警報エリア変更手段とを備えているから、自車両が走行している車線幅員における自車両位置の変化に応じて、他車両の検出精度が高まるように後側方警報エリアを変更することができる、自車両の車線変更など運転支援に適切な情報を運転者に与える上で有利になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る車両及び道路を概略的に示す平面図である。
【図2】自車両の後側方に初期設定される警報エリアを示す平面図である。
【図3】実施形態1の自車両が車線左側に変位したときの後側方警報エリアの変更状態を示す平面図である。
【図4】実施形態1の後側方警報エリアの設定・変更、車線変更支援制御のフロー図である。
【図5】実施形態2の自車両が車線右側に変位したときの後側方警報エリアの変更状態を示す平面図である。
【図6】実施形態2の後側方警報エリアの設定・変更、車線変更支援制御のフロー図である。
【図7】実施形態3の自車両が車線左側に変位したときの後側方警報エリアの変更状態を示す平面図である。
【図8】実施形態3の後側方警報エリアの設定・変更、車線変更支援制御のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0016】
<実施形態1>
図1は本発明に係る車両の後側方警報装置を搭載した車両1を概略的に説明するための部分透視図である。車両後部の左右両側(例えば、リヤバンパーにおける左右のリヤコンビネーションランプの下方)に、自車両後側方の障害物を検出する検出手段として機能するレーダ(例えばミリ波レーダ)が搭載されている。このレーダは、左レーダ2と右レーダ3とで構成されている。
【0017】
車両1のインストルメントパネルには警報ブザー4が設けられ、インストルメントパネルの左右両端には警報ランプ5,6が設けられており、それらはそれぞれハーネス等によって制御ユニット10に接続されている。また、車両1のフロントガラスの車幅方向中央の上端には、自車両1が走行する車線11を区分する前方路面の走行区分線等を撮像するカメラ(例えばCCDカメラ)7が設けられており、該カメラ7及びレーダ2,3はCAN(Control Area Network)を介して制御ユニット10に通信可能に接続されている。
【0018】
制御ユニット10は、自車両1が車線変更を行なう場合の車線変更支援制御(Lane Change Aid System;以下、LCAシステムという)を行なうものであり、車線を検出する車線検出手段(車線幅員検出手段)10aと、自車両1が走行している車線幅員Wにおける自車両位置を検出する自車両位置検出手段10bと、自車両1の左右の後側方に後側方警報エリアを設定する警報エリア設定手段10cと、該後側方警報エリアを横方向に変更する警報エリア変更手段10dと、後側方警報エリア内の物標(他車両)をレーダによって検出する物標検出手段10eと、物標が検出されたときに警報ブザー4及び警報ランプ5,6によって自車両運転者に警報を出す警報手段10fとを構成している。以下、これらを具体的に説明する。
【0019】
車線検出手段10aは、自車両1が走行中の車線11を逸脱すると判定したときに警報ブザー41を作動させるLDW(Lane Departure Warning)システムにも利用されるものであり、カメラ7による撮像情報に基づいて、現在走行中の車線11の左右の区分線(白線)11a,11bを一般的な画像処理によって検出し、その検出した区分線11a,11bに基づいて走行中の車線幅員Wを検出する。自車両位置検出手段10bは、上記画像処理によって検出した区分線11a,11bに基づいて、図3に示すように、走行中の車線11の中央線11cに対する自車両1の車幅方向中央線の横方向変位量αを検出する。
【0020】
警報エリア設定手段10cは、図2に示すように、自車両1の特定位置を原点として直交するx軸及びy軸により規定される平面座標系(自車前方をy軸正方向とする)において、自車両1の左右の後側方に後側方警報エリア14,15を設定する。この場合、後側方警報エリア14,15は、上記車線検出手段10aによって得られた車線幅員Wと同じ幅で自車両1より後方に数メートル延びる矩形エリアとなるように、且つ自車両1の車幅方向中央線から車線幅員Wの1/2だけ側方に離れた外側に設定される。従って、図2に示すように、上記横方向変位量αが零であるとき(自車両1が車線11の中央を走行しているとき)は、走行中の車線11に隣接する車線12,13の全幅をちょうどカバーするように後側方警報エリア14,15が設定される。
【0021】
警報エリア変更手段10dは、警報エリア設定手段10cで設定された後側方警報エリア14,15を、走行中の車線幅員Wにおける自車両位置の変化に応じて横方向に変更する。具体的には、後側方警報エリア14,15を、自車両1の変位方向とは反対の方向に上記横方向変位量αだけ変位させる。従って、図3に示すように、後側方警報エリア14,15は、警報エリア設定手段10cによって同図に鎖線で示す位置に設定されるが、自車両1が走行中の車線中央から横方向にαだけ変位したときは、警報エリア変更手段10dによってαだけ逆方向に変位され、その結果、同図に実線で示すように、後側方警報エリア14,15は、走行中の車線11に隣接する車線12,13の全幅をちょうどカバーする状態になる。
【0022】
換言すれば、警報エリア設定手段10cは、走行中の車線11の幅員Wに基いて、隣接車線12,13の自車両1から遠い外側縁12a,13bは、区分線11a,11bから幅員Wだけ外側に位置している推定しているものである。この推定に基いて、警報エリア設定手段10cが後側方警報エリア14,15を上述の如く設定するから、この後側方警報エリア14,15を上記横方向変位量αだけ当該変位方向と逆方向に変位させると、後側方警報エリア14,15の自車両1から遠い外側縁14a,15bは隣接車線12,13の自車両1から遠い外側縁12a,13bに位置付けられることになる。
【0023】
物標検出手段10eは、自車両1から後側方に発したレーダ波の反射波を受信することにより、後側方警報エリア14,15に障害物、すなわち、他車両が存在するか否かを検出する。警報手段10fは、物標検出手段10eによって後側方警報エリア14,15に他車両が存在することが検出されたときに、他車両が存在する側の警報ランプ5,6を点灯させる。さらに、警報手段10fは、後側方警報エリア14,15に他車両が存在することが検出されているときに、その他車両が存在する側に自車両1の走行方向を変更すべく方向指示器(図示省略)が作動されたとき、他車両が存在する側の警報ランプ5,6を点滅させるとともに、警報ブザー4を吹鳴させる。
【0024】
図4は後側方警報エリアの設定・変更、車線変更支援制御の流れを示す。エンジンのイグニションスイッチがオンとされ(ステップA1)、LCAシステムがオンとされると(ステップA2)、続くステップA3で後側方警報エリア14,15がデフォルト値で設定される。これは、警報エリア設定手段10cによる自車両位置を基準とする設定である。ステップ4でLDWシステムのオンが確認されると、続くステップA5でカメラ7による白線情報(現在走行中の車線11の左右の区分線(白線)11a,11b)の取得が行なわれる。
【0025】
ステップA6において画像処理によって白線が認識されると、続くステップA7で走行中の車線11における自車両1の横方向変位量αが演算される。この演算結果に基づいて、続くステップA8で自車両1が当該車線中央から左方向へ変位しているか否かが判定される。左方向へ変位しているときはステップA9に進み、図3に示すように、先のデフォルト値(鎖線で示す)の後側方警報エリア14,15を上記横方向変位量αだけ右方向に変位させる。従って、後側方警報エリア14,15は走行中の車線11に隣接する左右の車線12,13の全幅をちょうどカバーするようになる。そして、続くステップA10で当該後側方警報エリア14,15に他車両が存在するか否かが判定される。
【0026】
よって、図3に示すように、後方より接近する他車両18が例えば右側隣接車線13の右寄りを走行しているときでも、この他車両18全体が後側方警報エリア15に入る。このため、右レーダ3では、他車両18からの反射波の受信感度が高くなり、これを確実に検出することができる。
【0027】
ステップA8で自車両1が左方向へ変位していないと判定されたときはステップA11に進み、自車両1が当該車線中央から右方向へ変位しているか否かが判定される。右方向に変位しているときはステップA12に進み、先のデフォルト値の後側方警報エリア14,15を上記横方向変位量αだけ左方向に変位させてステップA10に進む。ステップA11で自車両1が右方向に変位していないと判定されたときは自車両1が車線中央を走行している状態である。この場合は後側方警報エリア14,15は先のデフォルト値を維持したままステップA10に進む。
【0028】
ステップA10において後側方警報エリア14,15に他車両18が存在していることが検出されたときは、ステップA13に進み、他車両18が存在する側の警報ランプ5,6を点灯させる。続くステップA14で他車両18が存在する側の方向指示器(ウインカ)が作動したことが判定されると、続くステップA15で他車両18が存在する側の警報ランプ5,6の点滅、並びに警報ブザー4の吹鳴が行なわれる。ステップA14で方向指示器の作動が判定されないときは、後側方警報エリア14,15に他車両が存在するか否かの判定ステップA10に戻る。
【0029】
以上のように、自車両1が走行中の車線中央から横方向に変位したときは、後側方警報エリア14,15が自車両1の変位方向とは反対の方向に当該変位量αだけ変位されるから、後側方警報エリア14,15は走行中の車線11に隣接する左右の車線12,13の全幅をちょうどカバーするようになる。これにより、隣接車線を走行して後方から接近してくる他車両18を精度良く検出することができ、車線変更支援を適切なものにすることができる。
【0030】
なお、この実施形態では、LDWシステムがオンにされているときに後側方警報エリアの変更制御が行なわれるようにしたが、LDWシステムを作動させることは必ずしも要しない。LDWシステムの作動を要さずに白線情報を取得するようにして、後側方警報エリアの変更制御を行なうようにしてもよい。この点は後述する他の実施形態も同じである。
【0031】
また、車線幅員Wや自車両位置は、カメラ7の画像処理によって取得するようにしているが、これに限らず、車両ナビゲーションユニットの地図データ(車線幅員)及び自車位置情報から取得するなど種々の対応が可能である。この点は後述する他の実施形態も同じである。
【0032】
<実施形態2>
この実施形態は、図5に示すように、自車両1の片側に隣接車線13があり、反対側には隣接車線がないケースに有用な車両の後側方警報装置に関する。
【0033】
実施形態1との相違点は、車線検出手段10aが、走行中の車線11の左右の区分線11a,11bが断続白線であるか又は連続白線であるかによって、左右に隣接車線があるか否かを検出し、警報エリア変更手段10dが、自車両1が走行中の車線中央から横方向に変位しているときでも、隣接車線がない側の後側方警報エリアについてはそのエリア位置の変更を行なわないことにある。
【0034】
この場合、車線検出手段10aは、区分線11a,11bが断続白線であるときは、その断続白線が存在する側に隣接車線があると判定し、連続白線であるときは、その連続白線が存在する側には隣接車線がないと判定する。図5の例は、左側の区分線11aは連続白線であり、走行中の車線11の左側には車線がなく、右側の区分線11bは断続白線であり、車線11の右側に車線13があるケースである。
【0035】
図6は本実施形態の後側方警報エリアの設定・変更、車線変更支援制御の流れを示す。ステップB1〜B8は実施形態1のステップA1〜A8と同じである。また、ステップB18〜B21は実施形態1のステップA10,A13〜A15と同じである。
【0036】
そこで、実施形態1と異なる点を中心に説明すると、ステップB8で自車両1が左方向に変位していると判定されたときはステップB9に進み、自車両が走行している車線11の右側に車線があるか否かを判定する。右側に車線があるときはステップB10に進み、デフォルト値の右後側方警報エリア15を自車両1の横方向変位量αだけ右方向に変位させて、警報エリアに他車両が存在するか否かの判定ステップB18に進む。ステップB9で右側に車線がないと判定されたときはステップB11に進み、自車両が走行している車線11の左側に車線があるか否かを判定する。左側に車線があるときはステップB12に進み、デフォルト値の左後側方警報エリア14を自車両1の横方向変位量αだけ右方向に変位させてステップB18に進む。
【0037】
ステップB8で自車両1が左方向へ変位していないと判定されたときはステップB13に進み、自車両1が当該車線中央から右方向へ変位しているか否かが判定される。右方向に変位しているときはステップB14に進み、自車両が走行している車線11の左側に車線があるか否かを判定する。左側に車線があるときはステップB15に進み、デフォルト値の左後側方警報エリア14を自車両1の横方向変位量αだけ左方向に変位させてステップB18に進む。ステップB14で左側に車線がないと判定されたときはステップB16に進み、自車両が走行している車線11の右側に車線があるか否かを判定する。右側に車線があるときはステップB17に進み、デフォルト値の右後側方警報エリア15を自車両1の横方向変位量αだけ左方向に変位させてステップB18に進む。
【0038】
従って、自車両が走行している車線11の右側或いは左側に隣接車線がないときは、後側方警報エリア14又は15はデフォルト値のままとされる。図5は自車両1が車線11の中央から右方向に変位し、且つ車線11の右側に車線13があり左側に車線がないケースを例示している。このケースでは、右後側方警報エリア15は、自車両1の横方向変位量αだけ左方向に変位され、右側車線13の全幅をちょうどカバーする状態になるが、左後側方警報エリア14は、デフォルト値のままとされる。これにより、自車両1の左脇を通り抜けるように後方から接近してくる他車両を精度良く検出する上で有利になる。
【0039】
また、右後側方警報エリア15が右側車線13の全幅をちょうどカバーする状態になるように変位されるから、他車両18が右側車線13のさらに右側の車線16の左寄り位置を走行して後方から接近してきても、その他車両18を右側車線13を走行する車両であると誤って検出してしまうことが避けられる。なお、この効果は実施形態1でも同様に得られるものである。
【0040】
また、この実施形態では、隣接車線の有無を断続白線か連続白線かで判断しているが、これに限らず、カメラ7の画像処理で判断するなど種々の対応が可能である。
【0041】
<実施形態3>
この実施形態は、図7に示すように、後側方警報エリア15を拡大する制御を有する車両の後側方警報装置に関する。すなわち、実施形態1との相違点は、警報エリア変更手段10dが、走行中の車線11の中央からの自車両1の横方向変位量αに応じて、自車両1の変位方向とは反対側に設定された後側方警報エリアを該変位方向とは反対側に横方向変位量αだけ拡大させる、つまり、同図の例では後側方警報エリア15の外側縁15bが横方向変位量αだけ外側にずれるように拡大させることにある。この場合、後側方警報エリア15の内側縁15aの位置はデフォルト値のままとされる。
【0042】
図8は本実施形態の後側方警報エリアの設定・変更、車線変更支援制御の流れを示す。実施形態2の制御フローと比べると、ステップC1〜C21中のステップC10及びC15が実施形態2の対応するステップB10及びB15と相違するだけで、他は同じである。
【0043】
そこで、実施形態2と異なる点を中心に説明すると、ステップC8で自車両1が左方向に変位していると判定され、ステップC9で自車両が走行している車線11の右側に車線があると判定されたときはステップC10に進み、右後側方警報エリア15が自車両1の横方向変位量αだけ右方向に拡大される。また、ステップC13で自車両1が右方向に変位していると判定され、ステップC14で自車両が走行している車線11の左側に車線があると判定されたときはステップC15に進み、左後側方警報エリア14が自車両1の横方向変位量αだけ左方向に拡大される。
【0044】
従って、図7に例示する自車両1が左方向に変位したケースで説明すると、左後側方警報エリア14は、自車両1の横方向変位量αだけ右方向に変位されて、左側車線12の全幅をちょうどカバーする状態になり、右後側方警報エリア15は、横方向変位量αだけ右方向に拡大されて、右側車線13の全幅と、走行中の車線11の右寄り部分をカバーする状態になる。
【0045】
これにより、左側車線12を後方から接近してくる他車両を精度良く検出することができる。これは実施形態1,2と同じである。一方、右側車線13を後方から接近してくる他車両18は、それが右側車線13の右寄りを走行している場合でも、右後側方警報エリア15の上記拡大によって確実に検出される。さらに、右後側方警報エリア15の内側縁15aに関しては、デフォルト値のままであるから、走行中の車線11の右寄り位置を走行して自車両の右脇を通り抜けるようとする他車両(例えば二輪車)も検出され易くなり、適切な走行支援に有利になる。
【0046】
<その他>
上記実施形態1〜3ではミリ波レーダを用いて他車両を検出するようにしたが、他のレーダやカメラ等のセンサを用いてもよいことはもちろんである。
【0047】
また、後側方警報エリア14,15のデフォルト値に関しては、必ずしもそのエリア幅を車線幅員Wに一致させることを要するものではない。エリア幅は車線幅員Wより大きくしても小さくしてもよい。また、後側方警報エリア14,15は必ずしも矩形にすることを要するものではない。
【符号の説明】
【0048】
1 自車両
2 左レーダ
3 右レーダ
4 警報ブザー
5,6 警報ランプ
7 カメラ
10 制御ユニット
10a 車線検出手段(車線幅員検出手段)
10b 自車両位置検出手段
10c 警報エリア設定手段
10d 警報エリア変更手段
10e 物標検出手段
10f 警報手段
11 自車両走行中の車線
12,13 隣接車線
12a,13b 外側縁
14,15 後側方警報エリア
14a,15b 外側縁
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の後側方警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自車両の後側方に自車両位置を基準として後側方警報エリアを設定し、該後側方警報エリア内に他車両を検出したときに、自車両の運転者に警報を出すようにした車両の後側方警報装置は一般に知られている。例えば、特許文献1には、後側方警報エリア内に他車両を検出したときに第1警報を出し、その他車両が自車両に接近してきたときに第2警報を出し、さらに自車両の運転者が他車両の存在する側に車線変更すべくウィンカを出したときに第3警報を出すことが記載されている。また、同文献1には、自車両の車速に応じて後側方警報エリアの大きさを変更することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−118523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、運転者は自車両を常に車線の中央位置で走行させるとは限らず、車線の中央から右又は左にずれた位置で走行させることがある。これに対して、他車両の存在を検出する後側方警報エリアは自車両位置を基準にして設定されるから、自車両が横方向に変位すると、その後側方警報エリアも自車両の変位方向にずれることになる。自車両が車線中央位置を走行しているときに、後側方警報エリアが隣接車線の幅員をちょうどカバーするように設定されるのであれば、自車両が例えば左側に変位すると、後側方警報エリアは隣接車線の幅員から左側にずれて、該隣接車線幅員の右側の一部がカバーされなくなる。その場合、当該隣接車線の右寄りを他車両が走行していると、その他車両の一部が後側方警報エリアからはみ出してしまうことがある。そうすると、その後側方警報エリアからのレーダの反射波を受信して他車両を検出する場合、車両の一部からしか反射波を受信できなくなり、その結果、受信感度が低くなり、他車両が存在しているにも拘わらず、他車両が存在していないと誤検出する可能性が出てくる。
【0005】
本発明は、このような自車両の横方向変位に伴う後側方警報エリアのずれによって他車両の検出精度が低下することを問題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、車線幅員における自車両の位置に応じて上記後側方警報エリアを横方向に変更するようにした。
【0007】
すなわち、本発明は、自車両の後側方に自車両位置を基準として後側方警報エリアを設定する警報エリア設定手段と、該後側方警報エリア内の物標を検出する物標検出手段と、該物標が検出されたときに警報を出す警報手段とを備えている車両の後側方警報装置において、
自車両が走行している車線幅員における自車両位置を検出する自車両位置検出手段と、
上記自車両位置を基準として設定された後側方警報エリアを上記車線幅員における自車両位置に変化に応じて横方向に変更する警報エリア変更手段とを備えていることを特徴とする。
【0008】
従って、自車両が走行している車線幅員における自車両位置の変化に応じて、他車両の検出精度が高まるように後側方警報エリアを変更することができるため、自車両の車線変更など運転支援に適切な情報を運転者に与えることができる。
【0009】
上記警報エリア変更手段は、上記車線中央からの自車両の横方向変位量に応じて、上記後側方警報エリアを自車両の変位方向とは反対の方向に変位させるものとすることができる。これにより、自車両の変位方向とは反対側の後側方に警報エリアを設定するケースでは、他車両が例えば隣接車線の中央を走行せずに自車両から側方に離れた位置を通り抜けるように後方から接近してくる場合であっても、これを検出し易くなる。また、自車両の変位方向側の後側方に警報エリアを設定するケースでは、他車両が自車両の横近くを通り抜けるように後方から接近してくる場合であっても、これを検出し易くなる。
【0010】
上記警報エリア変更手段は、上記車線中央からの自車両の横方向変位量に応じて、自車両の変位方向とは反対側に設定された上記後側方警報エリアを該変位方向とは反対側に拡大させるものとすることができる。すなわち、自車両の横方向変位量に応じて後側方警報エリアをその横幅の変更なく自車両の変位方向と反対側に変位させると、その後側方警報エリアの自車両側方への離隔量が大きくなる。その場合、自車両の横近くを通り抜けるように後方から接近してくる他車両の検出精度が低下する。そこで、後側方警報エリアを自車両の変位方向とは反対側に拡大することにより、自車両横近くを通るように後方から接近してくる他車両だけでなく、自車両から側方に離れた位置を通り抜けるように後方から接近してくる他車両をも検出し易くしたものである。
【0011】
上記警報エリア変更手段は、自車両位置がその走行する車線の中央から横方向に変位しているとき、上記後側方警報エリアをそのエリア両側縁のうち、自車両から遠い外側縁が隣接車線の自車両から遠い外側縁位置になるように変更するものとすることができる。これにより、自車両から側方に離れた位置を通り抜けるように後方から接近してくる他車両を検出し易くなる。
【0012】
その場合、自車両が走行する車線の幅員を検出する車線幅員検出手段を設けておいて、自車両が走行する車線の幅員に基いて上記隣接車線の外側縁位置を推定するようにすればよい。
【発明の効果】
【0013】
以上のように本発明によれば、自車両の後側方に自車両位置を基準として後側方警報エリアを設定し、該後側方警報エリア内に他車両、その他の物標が検出されたときに警報を出すようにした車両の後側方警報装置において、自車両が走行している車線幅員における自車両位置を検出する自車両位置検出手段と、自車両位置を基準として設定された後側方警報エリアを上記車線幅員における自車両位置に変化に応じて横方向に変更する警報エリア変更手段とを備えているから、自車両が走行している車線幅員における自車両位置の変化に応じて、他車両の検出精度が高まるように後側方警報エリアを変更することができる、自車両の車線変更など運転支援に適切な情報を運転者に与える上で有利になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る車両及び道路を概略的に示す平面図である。
【図2】自車両の後側方に初期設定される警報エリアを示す平面図である。
【図3】実施形態1の自車両が車線左側に変位したときの後側方警報エリアの変更状態を示す平面図である。
【図4】実施形態1の後側方警報エリアの設定・変更、車線変更支援制御のフロー図である。
【図5】実施形態2の自車両が車線右側に変位したときの後側方警報エリアの変更状態を示す平面図である。
【図6】実施形態2の後側方警報エリアの設定・変更、車線変更支援制御のフロー図である。
【図7】実施形態3の自車両が車線左側に変位したときの後側方警報エリアの変更状態を示す平面図である。
【図8】実施形態3の後側方警報エリアの設定・変更、車線変更支援制御のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0016】
<実施形態1>
図1は本発明に係る車両の後側方警報装置を搭載した車両1を概略的に説明するための部分透視図である。車両後部の左右両側(例えば、リヤバンパーにおける左右のリヤコンビネーションランプの下方)に、自車両後側方の障害物を検出する検出手段として機能するレーダ(例えばミリ波レーダ)が搭載されている。このレーダは、左レーダ2と右レーダ3とで構成されている。
【0017】
車両1のインストルメントパネルには警報ブザー4が設けられ、インストルメントパネルの左右両端には警報ランプ5,6が設けられており、それらはそれぞれハーネス等によって制御ユニット10に接続されている。また、車両1のフロントガラスの車幅方向中央の上端には、自車両1が走行する車線11を区分する前方路面の走行区分線等を撮像するカメラ(例えばCCDカメラ)7が設けられており、該カメラ7及びレーダ2,3はCAN(Control Area Network)を介して制御ユニット10に通信可能に接続されている。
【0018】
制御ユニット10は、自車両1が車線変更を行なう場合の車線変更支援制御(Lane Change Aid System;以下、LCAシステムという)を行なうものであり、車線を検出する車線検出手段(車線幅員検出手段)10aと、自車両1が走行している車線幅員Wにおける自車両位置を検出する自車両位置検出手段10bと、自車両1の左右の後側方に後側方警報エリアを設定する警報エリア設定手段10cと、該後側方警報エリアを横方向に変更する警報エリア変更手段10dと、後側方警報エリア内の物標(他車両)をレーダによって検出する物標検出手段10eと、物標が検出されたときに警報ブザー4及び警報ランプ5,6によって自車両運転者に警報を出す警報手段10fとを構成している。以下、これらを具体的に説明する。
【0019】
車線検出手段10aは、自車両1が走行中の車線11を逸脱すると判定したときに警報ブザー41を作動させるLDW(Lane Departure Warning)システムにも利用されるものであり、カメラ7による撮像情報に基づいて、現在走行中の車線11の左右の区分線(白線)11a,11bを一般的な画像処理によって検出し、その検出した区分線11a,11bに基づいて走行中の車線幅員Wを検出する。自車両位置検出手段10bは、上記画像処理によって検出した区分線11a,11bに基づいて、図3に示すように、走行中の車線11の中央線11cに対する自車両1の車幅方向中央線の横方向変位量αを検出する。
【0020】
警報エリア設定手段10cは、図2に示すように、自車両1の特定位置を原点として直交するx軸及びy軸により規定される平面座標系(自車前方をy軸正方向とする)において、自車両1の左右の後側方に後側方警報エリア14,15を設定する。この場合、後側方警報エリア14,15は、上記車線検出手段10aによって得られた車線幅員Wと同じ幅で自車両1より後方に数メートル延びる矩形エリアとなるように、且つ自車両1の車幅方向中央線から車線幅員Wの1/2だけ側方に離れた外側に設定される。従って、図2に示すように、上記横方向変位量αが零であるとき(自車両1が車線11の中央を走行しているとき)は、走行中の車線11に隣接する車線12,13の全幅をちょうどカバーするように後側方警報エリア14,15が設定される。
【0021】
警報エリア変更手段10dは、警報エリア設定手段10cで設定された後側方警報エリア14,15を、走行中の車線幅員Wにおける自車両位置の変化に応じて横方向に変更する。具体的には、後側方警報エリア14,15を、自車両1の変位方向とは反対の方向に上記横方向変位量αだけ変位させる。従って、図3に示すように、後側方警報エリア14,15は、警報エリア設定手段10cによって同図に鎖線で示す位置に設定されるが、自車両1が走行中の車線中央から横方向にαだけ変位したときは、警報エリア変更手段10dによってαだけ逆方向に変位され、その結果、同図に実線で示すように、後側方警報エリア14,15は、走行中の車線11に隣接する車線12,13の全幅をちょうどカバーする状態になる。
【0022】
換言すれば、警報エリア設定手段10cは、走行中の車線11の幅員Wに基いて、隣接車線12,13の自車両1から遠い外側縁12a,13bは、区分線11a,11bから幅員Wだけ外側に位置している推定しているものである。この推定に基いて、警報エリア設定手段10cが後側方警報エリア14,15を上述の如く設定するから、この後側方警報エリア14,15を上記横方向変位量αだけ当該変位方向と逆方向に変位させると、後側方警報エリア14,15の自車両1から遠い外側縁14a,15bは隣接車線12,13の自車両1から遠い外側縁12a,13bに位置付けられることになる。
【0023】
物標検出手段10eは、自車両1から後側方に発したレーダ波の反射波を受信することにより、後側方警報エリア14,15に障害物、すなわち、他車両が存在するか否かを検出する。警報手段10fは、物標検出手段10eによって後側方警報エリア14,15に他車両が存在することが検出されたときに、他車両が存在する側の警報ランプ5,6を点灯させる。さらに、警報手段10fは、後側方警報エリア14,15に他車両が存在することが検出されているときに、その他車両が存在する側に自車両1の走行方向を変更すべく方向指示器(図示省略)が作動されたとき、他車両が存在する側の警報ランプ5,6を点滅させるとともに、警報ブザー4を吹鳴させる。
【0024】
図4は後側方警報エリアの設定・変更、車線変更支援制御の流れを示す。エンジンのイグニションスイッチがオンとされ(ステップA1)、LCAシステムがオンとされると(ステップA2)、続くステップA3で後側方警報エリア14,15がデフォルト値で設定される。これは、警報エリア設定手段10cによる自車両位置を基準とする設定である。ステップ4でLDWシステムのオンが確認されると、続くステップA5でカメラ7による白線情報(現在走行中の車線11の左右の区分線(白線)11a,11b)の取得が行なわれる。
【0025】
ステップA6において画像処理によって白線が認識されると、続くステップA7で走行中の車線11における自車両1の横方向変位量αが演算される。この演算結果に基づいて、続くステップA8で自車両1が当該車線中央から左方向へ変位しているか否かが判定される。左方向へ変位しているときはステップA9に進み、図3に示すように、先のデフォルト値(鎖線で示す)の後側方警報エリア14,15を上記横方向変位量αだけ右方向に変位させる。従って、後側方警報エリア14,15は走行中の車線11に隣接する左右の車線12,13の全幅をちょうどカバーするようになる。そして、続くステップA10で当該後側方警報エリア14,15に他車両が存在するか否かが判定される。
【0026】
よって、図3に示すように、後方より接近する他車両18が例えば右側隣接車線13の右寄りを走行しているときでも、この他車両18全体が後側方警報エリア15に入る。このため、右レーダ3では、他車両18からの反射波の受信感度が高くなり、これを確実に検出することができる。
【0027】
ステップA8で自車両1が左方向へ変位していないと判定されたときはステップA11に進み、自車両1が当該車線中央から右方向へ変位しているか否かが判定される。右方向に変位しているときはステップA12に進み、先のデフォルト値の後側方警報エリア14,15を上記横方向変位量αだけ左方向に変位させてステップA10に進む。ステップA11で自車両1が右方向に変位していないと判定されたときは自車両1が車線中央を走行している状態である。この場合は後側方警報エリア14,15は先のデフォルト値を維持したままステップA10に進む。
【0028】
ステップA10において後側方警報エリア14,15に他車両18が存在していることが検出されたときは、ステップA13に進み、他車両18が存在する側の警報ランプ5,6を点灯させる。続くステップA14で他車両18が存在する側の方向指示器(ウインカ)が作動したことが判定されると、続くステップA15で他車両18が存在する側の警報ランプ5,6の点滅、並びに警報ブザー4の吹鳴が行なわれる。ステップA14で方向指示器の作動が判定されないときは、後側方警報エリア14,15に他車両が存在するか否かの判定ステップA10に戻る。
【0029】
以上のように、自車両1が走行中の車線中央から横方向に変位したときは、後側方警報エリア14,15が自車両1の変位方向とは反対の方向に当該変位量αだけ変位されるから、後側方警報エリア14,15は走行中の車線11に隣接する左右の車線12,13の全幅をちょうどカバーするようになる。これにより、隣接車線を走行して後方から接近してくる他車両18を精度良く検出することができ、車線変更支援を適切なものにすることができる。
【0030】
なお、この実施形態では、LDWシステムがオンにされているときに後側方警報エリアの変更制御が行なわれるようにしたが、LDWシステムを作動させることは必ずしも要しない。LDWシステムの作動を要さずに白線情報を取得するようにして、後側方警報エリアの変更制御を行なうようにしてもよい。この点は後述する他の実施形態も同じである。
【0031】
また、車線幅員Wや自車両位置は、カメラ7の画像処理によって取得するようにしているが、これに限らず、車両ナビゲーションユニットの地図データ(車線幅員)及び自車位置情報から取得するなど種々の対応が可能である。この点は後述する他の実施形態も同じである。
【0032】
<実施形態2>
この実施形態は、図5に示すように、自車両1の片側に隣接車線13があり、反対側には隣接車線がないケースに有用な車両の後側方警報装置に関する。
【0033】
実施形態1との相違点は、車線検出手段10aが、走行中の車線11の左右の区分線11a,11bが断続白線であるか又は連続白線であるかによって、左右に隣接車線があるか否かを検出し、警報エリア変更手段10dが、自車両1が走行中の車線中央から横方向に変位しているときでも、隣接車線がない側の後側方警報エリアについてはそのエリア位置の変更を行なわないことにある。
【0034】
この場合、車線検出手段10aは、区分線11a,11bが断続白線であるときは、その断続白線が存在する側に隣接車線があると判定し、連続白線であるときは、その連続白線が存在する側には隣接車線がないと判定する。図5の例は、左側の区分線11aは連続白線であり、走行中の車線11の左側には車線がなく、右側の区分線11bは断続白線であり、車線11の右側に車線13があるケースである。
【0035】
図6は本実施形態の後側方警報エリアの設定・変更、車線変更支援制御の流れを示す。ステップB1〜B8は実施形態1のステップA1〜A8と同じである。また、ステップB18〜B21は実施形態1のステップA10,A13〜A15と同じである。
【0036】
そこで、実施形態1と異なる点を中心に説明すると、ステップB8で自車両1が左方向に変位していると判定されたときはステップB9に進み、自車両が走行している車線11の右側に車線があるか否かを判定する。右側に車線があるときはステップB10に進み、デフォルト値の右後側方警報エリア15を自車両1の横方向変位量αだけ右方向に変位させて、警報エリアに他車両が存在するか否かの判定ステップB18に進む。ステップB9で右側に車線がないと判定されたときはステップB11に進み、自車両が走行している車線11の左側に車線があるか否かを判定する。左側に車線があるときはステップB12に進み、デフォルト値の左後側方警報エリア14を自車両1の横方向変位量αだけ右方向に変位させてステップB18に進む。
【0037】
ステップB8で自車両1が左方向へ変位していないと判定されたときはステップB13に進み、自車両1が当該車線中央から右方向へ変位しているか否かが判定される。右方向に変位しているときはステップB14に進み、自車両が走行している車線11の左側に車線があるか否かを判定する。左側に車線があるときはステップB15に進み、デフォルト値の左後側方警報エリア14を自車両1の横方向変位量αだけ左方向に変位させてステップB18に進む。ステップB14で左側に車線がないと判定されたときはステップB16に進み、自車両が走行している車線11の右側に車線があるか否かを判定する。右側に車線があるときはステップB17に進み、デフォルト値の右後側方警報エリア15を自車両1の横方向変位量αだけ左方向に変位させてステップB18に進む。
【0038】
従って、自車両が走行している車線11の右側或いは左側に隣接車線がないときは、後側方警報エリア14又は15はデフォルト値のままとされる。図5は自車両1が車線11の中央から右方向に変位し、且つ車線11の右側に車線13があり左側に車線がないケースを例示している。このケースでは、右後側方警報エリア15は、自車両1の横方向変位量αだけ左方向に変位され、右側車線13の全幅をちょうどカバーする状態になるが、左後側方警報エリア14は、デフォルト値のままとされる。これにより、自車両1の左脇を通り抜けるように後方から接近してくる他車両を精度良く検出する上で有利になる。
【0039】
また、右後側方警報エリア15が右側車線13の全幅をちょうどカバーする状態になるように変位されるから、他車両18が右側車線13のさらに右側の車線16の左寄り位置を走行して後方から接近してきても、その他車両18を右側車線13を走行する車両であると誤って検出してしまうことが避けられる。なお、この効果は実施形態1でも同様に得られるものである。
【0040】
また、この実施形態では、隣接車線の有無を断続白線か連続白線かで判断しているが、これに限らず、カメラ7の画像処理で判断するなど種々の対応が可能である。
【0041】
<実施形態3>
この実施形態は、図7に示すように、後側方警報エリア15を拡大する制御を有する車両の後側方警報装置に関する。すなわち、実施形態1との相違点は、警報エリア変更手段10dが、走行中の車線11の中央からの自車両1の横方向変位量αに応じて、自車両1の変位方向とは反対側に設定された後側方警報エリアを該変位方向とは反対側に横方向変位量αだけ拡大させる、つまり、同図の例では後側方警報エリア15の外側縁15bが横方向変位量αだけ外側にずれるように拡大させることにある。この場合、後側方警報エリア15の内側縁15aの位置はデフォルト値のままとされる。
【0042】
図8は本実施形態の後側方警報エリアの設定・変更、車線変更支援制御の流れを示す。実施形態2の制御フローと比べると、ステップC1〜C21中のステップC10及びC15が実施形態2の対応するステップB10及びB15と相違するだけで、他は同じである。
【0043】
そこで、実施形態2と異なる点を中心に説明すると、ステップC8で自車両1が左方向に変位していると判定され、ステップC9で自車両が走行している車線11の右側に車線があると判定されたときはステップC10に進み、右後側方警報エリア15が自車両1の横方向変位量αだけ右方向に拡大される。また、ステップC13で自車両1が右方向に変位していると判定され、ステップC14で自車両が走行している車線11の左側に車線があると判定されたときはステップC15に進み、左後側方警報エリア14が自車両1の横方向変位量αだけ左方向に拡大される。
【0044】
従って、図7に例示する自車両1が左方向に変位したケースで説明すると、左後側方警報エリア14は、自車両1の横方向変位量αだけ右方向に変位されて、左側車線12の全幅をちょうどカバーする状態になり、右後側方警報エリア15は、横方向変位量αだけ右方向に拡大されて、右側車線13の全幅と、走行中の車線11の右寄り部分をカバーする状態になる。
【0045】
これにより、左側車線12を後方から接近してくる他車両を精度良く検出することができる。これは実施形態1,2と同じである。一方、右側車線13を後方から接近してくる他車両18は、それが右側車線13の右寄りを走行している場合でも、右後側方警報エリア15の上記拡大によって確実に検出される。さらに、右後側方警報エリア15の内側縁15aに関しては、デフォルト値のままであるから、走行中の車線11の右寄り位置を走行して自車両の右脇を通り抜けるようとする他車両(例えば二輪車)も検出され易くなり、適切な走行支援に有利になる。
【0046】
<その他>
上記実施形態1〜3ではミリ波レーダを用いて他車両を検出するようにしたが、他のレーダやカメラ等のセンサを用いてもよいことはもちろんである。
【0047】
また、後側方警報エリア14,15のデフォルト値に関しては、必ずしもそのエリア幅を車線幅員Wに一致させることを要するものではない。エリア幅は車線幅員Wより大きくしても小さくしてもよい。また、後側方警報エリア14,15は必ずしも矩形にすることを要するものではない。
【符号の説明】
【0048】
1 自車両
2 左レーダ
3 右レーダ
4 警報ブザー
5,6 警報ランプ
7 カメラ
10 制御ユニット
10a 車線検出手段(車線幅員検出手段)
10b 自車両位置検出手段
10c 警報エリア設定手段
10d 警報エリア変更手段
10e 物標検出手段
10f 警報手段
11 自車両走行中の車線
12,13 隣接車線
12a,13b 外側縁
14,15 後側方警報エリア
14a,15b 外側縁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の後側方に自車両位置を基準として後側方警報エリアを設定する警報エリア設定手段と、該後側方警報エリア内の物標を検出する物標検出手段と、該物標が検出されたときに警報を出す警報手段とを備えている車両の後側方警報装置において、
自車両が走行している車線幅員における自車両位置を検出する自車両位置検出手段と、
上記自車両位置を基準として設定された後側方警報エリアを上記車線幅員における自車両位置に変化に応じて横方向に変更する警報エリア変更手段とを備えていることを特徴とする車両の後側方警報装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記警報エリア変更手段は、上記車線中央からの自車両の横方向変位量に応じて、上記後側方警報エリアを自車両の変位方向とは反対の方向に変位させることを特徴とする車両の後側方警報装置。
【請求項3】
請求項1において、
上記警報エリア変更手段は、上記車線中央からの自車両の横方向変位量に応じて、自車両の変位方向とは反対側に設定された上記後側方警報エリアを該変位方向とは反対側に拡大させることを特徴とする車両の後側方警報装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
上記警報エリア変更手段は、自車両位置がその走行する車線の中央から横方向に変位しているとき、上記後側方警報エリアをそのエリア両側縁のうち自車両から遠い外側縁が隣接車線の自車両から遠い外側縁位置になるように変更することを特徴とする車両の後側方警報装置。
【請求項5】
請求項4において、
自車両が走行する車線の幅員を検出する車線幅員検出手段を備え、
上記警報エリア変更手段は、自車両が走行する車線の幅員に基いて上記隣接車線の外側縁位置を推定することを特徴とする車両の後側方警報装置。
【請求項1】
自車両の後側方に自車両位置を基準として後側方警報エリアを設定する警報エリア設定手段と、該後側方警報エリア内の物標を検出する物標検出手段と、該物標が検出されたときに警報を出す警報手段とを備えている車両の後側方警報装置において、
自車両が走行している車線幅員における自車両位置を検出する自車両位置検出手段と、
上記自車両位置を基準として設定された後側方警報エリアを上記車線幅員における自車両位置に変化に応じて横方向に変更する警報エリア変更手段とを備えていることを特徴とする車両の後側方警報装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記警報エリア変更手段は、上記車線中央からの自車両の横方向変位量に応じて、上記後側方警報エリアを自車両の変位方向とは反対の方向に変位させることを特徴とする車両の後側方警報装置。
【請求項3】
請求項1において、
上記警報エリア変更手段は、上記車線中央からの自車両の横方向変位量に応じて、自車両の変位方向とは反対側に設定された上記後側方警報エリアを該変位方向とは反対側に拡大させることを特徴とする車両の後側方警報装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
上記警報エリア変更手段は、自車両位置がその走行する車線の中央から横方向に変位しているとき、上記後側方警報エリアをそのエリア両側縁のうち自車両から遠い外側縁が隣接車線の自車両から遠い外側縁位置になるように変更することを特徴とする車両の後側方警報装置。
【請求項5】
請求項4において、
自車両が走行する車線の幅員を検出する車線幅員検出手段を備え、
上記警報エリア変更手段は、自車両が走行する車線の幅員に基いて上記隣接車線の外側縁位置を推定することを特徴とする車両の後側方警報装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2011−141746(P2011−141746A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2078(P2010−2078)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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