車両の窓閉め報知装置
【課題】セキュリティ性を確保しつつ、信頼性を向上させることのできる車両の窓閉め報知装置を提供する。
【解決手段】この車両の窓閉め報知装置では、ドアミラー3を支持するステー部4に、車室内と車室外とを連通する空気通路10を設ける。また、空気通路10には、同通路内の空気の流れに基づき回転する回転体5を設ける。
【解決手段】この車両の窓閉め報知装置では、ドアミラー3を支持するステー部4に、車室内と車室外とを連通する空気通路10を設ける。また、空気通路10には、同通路内の空気の流れに基づき回転する回転体5を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の窓が閉められているか否かを確認するための車両の窓閉め報知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両の窓閉め報知装置としては、例えば特許文献1に記載の装置が知られている。この特許文献1に記載の窓閉め報知装置では、開状態の車両ドアが閉められた際に、車両に設けられた気圧センサを通じて車室内の気圧が検出される。そしてこの検出された車室内の気圧が予め設定された閾値よりも小さい場合には、ユーザに対して警告が発せられる。なお、特許文献1に記載の装置では、車両の全ての窓が閉められた状態で車両ドアを閉めた際に発生する車室内の気圧の変化を実験などを通じて計測し、この計測された気圧の変化に基づいて上記閾値を設定することとしている。これにより、例えばユーザが降車しようとして車両ドアを一旦開けてから閉めたときに、車両の窓のいずれかが開いている場合には、車室内の気圧が僅かしか上昇しないため、ユーザに対して警告が発せられる。したがって、ユーザは、警告によって車両の窓のいずれかが開いた状態であることを知ることができるため、窓を閉め直すことができる。これにより、車上荒らしなどを未然に防止することができるため、セキュリティ性を確保することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−138128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の窓閉め報知装置では、気圧センサが劣化したり、あるいはその給電線が断線するなど、気圧センサに何らかの異常が生じると、車室内の気圧を適切に検出することができなくなる。そしてこのような状況に陥ると、ユーザに対する警告を適切に行うことができなくなるため、窓閉め報知装置としての著しい信頼性の低下を招くおそれがある。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、セキュリティ性を確保しつつ、信頼性を向上させることのできる車両の窓閉め報知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両に設けられて車室内と車室外とを連通する空気通路が形成された本体部と、前記空気通路内の空気の流れに基づき駆動して報知を行う報知手段とを備えることを要旨としている。
【0007】
同構成によれば、車両の全ての窓が閉められている状態でユーザが車両ドアを閉めたときに、車室内の気圧が車室外の気圧よりも一時的に上昇するため、本体部に形成された空気通路内を空気が流れる。すなわちこの場合には、報知手段による報知が行われる。したがって、ユーザは、降車に伴って車両ドアを閉める都度、報知手段による報知が行われるか否かを確認することで、車両の全てのドアが閉められているか否かを確認することができる。このため、セキュリティ性を確保することができるようになる。また、車室内の気圧を検出するための気圧センサが不要であるため、センサの経年劣化や給電線の断線などの不具合が生じることがない。このため、信頼性が向上するようにもなる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両の窓閉め報知装置において、前記空気通路を閉塞して且つ、車室内の気圧と車室外の気圧との差圧に基づき変形するダイヤフラムを更に備えることを要旨としている。
【0009】
同構成によるように、ダイヤフラムによって空気通路を閉塞することとすれば、空気通路内を空気が流れ続けるような状況を回避することができる。このため、例えば車両走行中に車両の周辺に発生する空気の乱れによって空気通路の車室外側の開口端付近に大気圧よりも大きい気圧(正圧)や、大気圧よりも小さい気圧(負圧)が発生したとしても、空気通路内を空気が流れ続けるような状況を回避することができる。これにより、車両走行中に報知手段による報知が継続して行われることがないため、ユーザの違和感を払拭することができるようになる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車両の窓閉め報知装置において、前記空気通路の車室外側の開口部は、車両の前進走行時に大気圧よりも大きい気圧が付与される形状を有するものであり、前記空気通路内に車室外から車室内に向かう空気の流れが発生したときに前記空気通路を閉塞する逆止弁を更に備えることを要旨としている。
【0011】
同構成によれば、車両の前進走行時に、空気通路の車室外側の開口部に正圧が付与されるため、空気通路内に車室外から車室内に向かう空気の流れが発生する。したがってこの場合には、逆止弁により空気通路が閉塞されるため、空気通路内の空気の流れが遮断される。これにより、車両の前進走行時に報知手段による報知が行われるような状況を的確に回避することができるため、ユーザの違和感を好適に払拭することができるようになる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車両の窓閉め報知装置において、前記空気通路の車室外側の開口部は、車両の前進走行時に大気圧よりも大きい気圧が付与される形状を有するものであり、前記報知手段が、車室内から車室外に向かう空気の流れのみに基づいて駆動するものであることを要旨としている。
【0013】
同構成によれば、車両の前進走行時に、空気通路の車室外側の開口部に正圧が印可されるため、空気通路内に車室外から車室内に向かう空気の流れが発生する。したがってこの場合には、報知手段が駆動しない。これにより、車両の前進走行時に報知手段による報知が行われるような状況を的確に回避することができるため、ユーザの違和感を好適に払拭することができるようになる。
【0014】
そしてこの場合、請求項5に記載の発明によるように、前記空気通路の車室外側の開口部を、車両前方に向けて開口するかたちで形成することとすれば、車両の前進走行時に、空気通路の車室外側の開口部に正圧を容易に付与することができる。このため、請求項3又は4に記載の発明を容易に実現することができるようになる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両の窓閉め報知装置において、前記報知手段が、前記空気通路内の空気の流れに基づき回転する回転体であり、前記本体部には、前記回転体が外部から視認可能に設けられていることを要旨としている。
【0016】
同構成によれば、ユーザは、降車に伴って車両ドアを閉めた際に、本体部に設けられている回転体を目視して同回転体が回転しているか否かを確認するだけで、車両の全ての窓が閉められているか否かを容易に確認することができるようになる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の車両の窓閉め報知装置において、ことを要旨としている。
同構成によれば、空気通路内の空気の流れに基づき回転体が回転すると、本体部の窓部から見える回転体の色が変化するため、ユーザは回転体の色が変化するか否かを確認するだけで、回転体が回転しているか否かを容易に確認することができるようになる。
【0018】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の車両の窓閉め報知装置において、前記本体部には、前記回転体を外部から視認可能にするための窓部が設けられ、前記回転体の前記窓部から視認可能な面が、2色以上の色により着色されてなることを要旨としている。
【0019】
同構成によれば、空気通路内の空気の流れに基づき回転体が回転すると、本体部の窓部から見える回転体の色が特定の色以外の色に変化する。このため、ユーザは、本体部の窓部を目視する際に、回転体の色が特定の色以外の色に変化するか否かを確認するだけで、回転体が回転しているか否かを容易に確認することができる。
【0020】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両の窓閉め報知装置において、前記報知手段が、前記空気通路内の前記車室内から前記車室外に向かう空気の流れに基づき警笛を発する警笛発生手段からなることを要旨としている。
【0021】
同構成によれば、ユーザは、降車に伴って車両ドアを閉めた際に、警笛発生手段から警笛が発せられるか否かを確認するだけで、車両の全ての窓が閉められているか否かを確認することができる。このため、前述のように回転体が回転しているか否かを確認する場合と比較すると、車両の全ての窓が閉められているか否かをさらに容易に確認することができるようになる。
【0022】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の車両の窓閉め報知装置において、前記本体部が、車両のドアミラーを支持するステー部であり、前記報知手段が、前記ステー部に設けられていることを要旨としている。
【0023】
同構成によるように、車両のドアミラーに設けられたステー部を本体部として採用することとすれば、車室内と車室外とを連通する空気通路を容易に形成することができるため、請求項1〜8に記載の発明を容易に実現することができるようになる。一方、ユーザが降車に伴って車両ドアを閉めたとき、ユーザは車両ドアの近傍に立っている状態となり、ステー部とユーザとが互いに接近する。したがって、上記構成によるように、ドアミラーのステー部に報知手段を設けることとすれば、ユーザが降車に伴って車両ドアを閉めた際に、報知手段がユーザに接近するため、ユーザは報知手段による報知を容易に確認することができる。このため、利便性が向上するようになる。
【0024】
請求項11に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の車両の窓閉め報知装置において、前記本体部が、車両のルーフに設けられたアンテナ基台であり、前記報知手段が、前記アンテナ基台に設けられていることを要旨としている。
【0025】
同構成によるように、車両のルーフに設けられたアンテナ基台を本体部として採用することとすれば、車室外と車室外とを連通する空気通路を容易に形成することができるため、請求項1〜8に記載の発明を容易に実現することができるようになる。一方、ユーザが降車に伴って車両ドアを閉めたとき、ユーザは車両ドアの近傍に立っている状態となり、ユーザとアンテナ基台とが互いに接近する。したがって、上記構成によるように、ルーフのアンテナ基台に報知手段を設けることとすれば、ユーザが降車に伴って車両ドアを閉めた際に、ユーザの近くに報知手段が位置することとなるため、ユーザは報知手段による報知を容易に確認することができる。このため、利便性が向上するようになる。
【発明の効果】
【0026】
本発明にかかる車両の窓閉め報知装置によれば、セキュリティ性を確保しつつ、信頼性を向上させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明にかかる車両の窓閉め報知装置の第1の実施形態について同装置を搭載した車両の側面構造を示す側面図。
【図2】車両のドアミラーについてその車両後方側から見た構造を示す背面図。
【図3】同第1の実施形態にかかる車両の窓閉め報知装置についてその断面構造を示す断面図。
【図4】図3のA−A線に沿った断面構造を示す断面図。
【図5】(a),(b)は、同第1の実施形態の車両の窓閉め報知装置についてその回転体の斜視構造及び平面構造をそれぞれ示す斜視図及び平面図。
【図6】図4のB−B線に沿った断面構造を示す断面図。
【図7】同第1の実施形態にかかる車両の窓閉め報知装置についてその変形例を示す断面図。
【図8】同第2の実施形態にかかる車両の窓閉め報知装置についてその断面構造を示す断面図。
【図9】図8のC−C線に沿った断面構造を示す断面図。
【図10】ドアミラーのステー部についてその車両下方側から見た構造を示す底面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第1の実施形態>
以下、本発明にかかる車両の窓閉め報知装置の第1の実施形態について図1〜図6を参照して説明する。はじめに、図1及び図2を参照して、本実施形態にかかる車両の窓閉め報知装置の概要について説明する。
【0029】
図1に示すように、この車両では、運転席のウィンドウガラス1を囲繞するドアサッシ2に、車両後方を視認するためのドアミラー3が取り付けられている。ここで、図2に示すように、ドアミラー3は、ステー部4を介してドアサッシ2により支持されている。このうち、ステー部4の車両後方側の外面40には窓部41が形成されており、この窓部41より、ステー部4の内部に収容された回転体(風車)5の側面の一部が外部から視認可能となっている。そして、この窓閉め報知装置では、車室内の気圧と車室外の気圧との間に差圧が生じると、回転体5が図中の矢印aで示す方向に回転する。すなわち、車両の全ての窓が閉められている状態でユーザが車両ドアを閉めたときに車室内の気圧が車室外の気圧よりも一時的に上昇すると、回転体5が矢印aで示す方向に回転する。そしてこの装置は、回転体5の回転を通じて、車両の全てのドアが閉められているか否かをユーザに報知する。
【0030】
次に、図3及び図4を参照して、本実施形態にかかる車両の窓閉め報知装置の構造について詳述する。
図3に示すように、ステー部4のドアサッシ2に対向する側面43には、ドアサッシ2に向けて突出する円筒部42が形成されるとともに、この円筒部42の内部に第1のパイプ6が収容されている。この第1のパイプ6は、ステー部4側の開口端部60からドアサッシ2側の開口端部61に向かうほど断面積が大きくなるように形成されるとともに、開口端部61にフランジ部62を有している。また、開口端部61にはダイヤフラム7が配設されており、このダイヤフラム7によって開口端部61が閉塞されている。ちなみに、第1のパイプ6のフランジ部62及びダイヤフラム7の外縁部は、円筒部42とドアサッシ2との間に挟み込まれている。そして、ドアサッシ2から円筒部42に向けて複数のボルト8が螺入されることによって、ステー部4が、第1のパイプ6及びダイヤフラム7と共々、ドアサッシ2に固定されている。またこのように、各要素がボルト8によって締結されることで、円筒部42、第1のパイプ6、ダイヤフラム7、及びドアサッシ2のそれぞれの間がシールされて、それらの間の隙間を介しての車室外の空気の第1のパイプ6への流入、並びに第1のパイプ6内を流れる空気の流出が抑制されている。また、ボルト8が締結された状態では、第1のパイプ6のステー部4側の端面がステー部4の側面43に当接するため、それらの間の隙間を介しての第1のパイプ6内への空気の流入、及び第1のパイプ6内を流れる空気の流出が抑制されている。
【0031】
一方、上記ドアサッシ2には、ダイヤフラム7の部分に対応して、車室内から車室外に貫通する貫通孔21が形成されている。すなわち、ダイヤフラム7のドアサッシ2側の面には、貫通孔21を通じて車室内の気圧が付与されている。
【0032】
また一方、上記ステー部4の内部には、その側面43に開口部を有して第1のパイプ6の開口端部60に接続される第2のパイプ9が設けられている。この第2のパイプ9は、第1のパイプ6に接続される部分からドアミラー3に向けてステー部4の先端部まで延伸されている。また、この第2のパイプ9は、図中のA−A線に沿った断面構造を図4に示すように、ステー部4の先端部まで延伸された部分から車両前方に向けて屈曲されて、ステー部4の車両前方側の面に形成された開口部44に接続されている。そしてこの第2のパイプ9、並びに上記第1のパイプ6及び上記貫通孔21により、車室内と車室外とを連通する空気通路10が構成されている。これにより、先の図3に示されるように、ダイヤフラム7のステー部4側の面には、空気通路10を通じて車室外の気圧が付与される。ちなみに、図4に示されるように、第2のパイプ9の開口部44に接続される部分となる開口端部にはエアクリーナ11が設けられており、このエアクリーナ11によって、開口部44から第2のパイプ9内に進入する空気内の塵等が除去される。また、第2のパイプ9において、エアクリーナ11の上流には、車室外から車室内へ向かう空気の流れが生じたときに同パイプ9を閉塞する逆止弁12が設けられている。さらに、第2のパイプ9において、逆止弁12の上流には、回転体5を収容するための収容部91が形成されている。
【0033】
次に、図5及び図6を参照して、回転体5の構造について説明する。図5(a)は、回転体5の斜視構造を、また、図5(b)は、回転体の平面構造をそれぞれ示したものである。また、図6は、先の図4のB−B線に沿った断面構造を示したものである。
【0034】
図5(a)に示されるように、回転体5は、基本的には、円柱状の部材であって、その中央部に回転軸50を有している。また、図5(b)に併せ示されるように、回転体5の上面には、図中の矢印bで示す方向の空気の流れを受けるための複数の羽部52が形成されている。そして、回転体5は、この羽部52で空気の流れを受けることにより、回転軸50を中心に矢印cで示す方向に回転する。また、図5(a)に示されるように、この回転体5の側面53は黒色で着色されるとともに、その一部に緑色に着色された部位53aを有している。
【0035】
そしてこのような形状からなる回転体5は、図6に示されるように、回転軸50の両端部が図示しない軸受けを介して収容部91の内壁面に回転可能に支持されることにより、回転軸50が鉛直方向と平行となるように収容部91に収容されている。また、先の図4に示されるように、収容部91に収容された回転体5は、羽部52の一部が空気通路10内に位置するかたちで配置されている。これにより、回転体5は、空気通路10内に図中の矢印dで示す方向の空気の流れが発生したときに、すなわち車室内から車室外に向かう空気の流れが発生したときに、この空気の流れを羽部52で受けて矢印cで示す方向に回転する。一方、収容部91には、ステー部4に形成された上記窓部41の位置に対応して開口部92が形成されており、これらの窓部41及び開口部92を通じて回転体5の側面53が外部から視認可能となっている。ちなみに、この開口部92には、例えば樹脂材料やガラスなどからなる透明な部材93が設けられており、この部材93によって、開口部92が閉塞されている。そして、回転体5が回転軸50を中心に回転すると、窓部41から見える回転体5の色が黒色及び緑色に変化する。
【0036】
次に、先の図3及び図4を参照して、本実施形態にかかる車両の窓閉め報知装置の動作について説明する。
例えばいま、ユーザが降車に伴って車両ドアを閉めたとする。このとき、各車両ドアの全ての窓が閉められていたとすると、車室内の気圧が車室外の気圧よりも上昇するため、図3に破線で示されるように、ダイヤフラム7がドアミラー3の方向に変形する。このとき、空気通路10には、図中の矢印dで示す方向の空気の流れ、すなわち車室内から車室外に向かう空気の流れが発生するため、図4に示されるように、回転体5が矢印cで示す方向に回転する。これにより、上記窓部41から見える回転体5の色が黒色及び緑色に変化する。
【0037】
一方、ユーザが車両ドアを閉めた際に、各車両ドアのいずれかの窓が開いていたとすると、車室内の気圧はほとんど上昇しないため、上記ダイヤフラム7は変形しない。この場合、空気通路10内に空気が流れないことから、回転体5は回転しない。すなわちこの場合、上記窓部41から見える回転体5の色は変化しない。
【0038】
このような構成からなる窓閉め報知装置によれば、ユーザが降車に伴って車両ドアを閉めたとき、ユーザは車両ドアの近傍に立っている状態となる。したがって、ユーザとステー部4とが互いに接近するため、ユーザは窓部41から回転体5を容易に目視することができる。また、回転体5は、一旦回転すれば慣性により所定時間回転し続けるため、ユーザは、車両ドアを閉めた時点から所定時間が経過するまでは、回転体5が回転しているか否かを容易に確認することができる。そして、ユーザは、降車に伴って車両ドアを閉める都度、ステー部4の窓部41を目視して回転体5の色が変化するか否かを確認すれば、各車両ドアの全ての窓が閉められているか否かを確認することができるため、セキュリティ性を確保することができるようになる。また、車室内の気圧を検出するための気圧センサが不要であるため、センサの経年劣化や給電線の断線などの不具合が生じることもない。このため、信頼性が向上するようにもなる。
【0039】
ちなみに、ユーザが車両ドアを閉めた際に、各車両ドアのいずれかの窓が僅かに開いていたとすると、車室内の気圧が僅かに上昇するため、上記ダイヤフラム7が若干変形する。この場合、空気通路10内を流れる空気の速度は、各車両ドアの全てが閉められている場合と比較すると遅いため、回転体5の回転速度が遅くなる。したがってこの場合にも、ステー部4の窓部41から見える回転体5の色が変化することとなるが、その変化速度が遅くなる。このため、ユーザは、車両ドアを閉めてステー部4の窓部41を目視した際に、回転体5の色の変化速度が通常よりも遅いか否かを確認することで、車両ドアの窓が僅かに開いているか否かを確認することも可能である。
【0040】
また、先の図4に示されるように、空気通路10の車室外側の開口部44が車両前方に向けて開口するかたちで形成されているため、車両の前進走行時、同開口部44には、車両の走行風により大きい気圧(正圧)が付与される。したがって、空気通路10内には、車室外から車室内に向かう空気の流れが発生するため、上記逆止弁12によって空気通路10が閉塞される。これにより、空気通路10内の空気の流れを遮断することができるため、車両の前進走行時に回転体5が回転するような状況を的確に回避することができる。したがって、ユーザの違和感を払拭することができるようになる。
【0041】
さらに、先の図3に示されるように、空気通路10はダイヤフラム7により閉塞されているため、空気通路10内を空気が流れ続けるような状況を回避することができる。このため、車両の前進走行時に車両周辺に発生する空気の乱れによって、仮に大気圧よりも小さい気圧(負圧)が空気通路10の車室外側の開口部44に発生したとしても、空気通路10内を車室内から車室外に向けて空気が流れ続けるような状況を回避することができる。このため、車両の前進走行時に回転体5が回転し続けることがないため、ユーザの違和感を払拭することができるようになる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態にかかる車両の窓閉め報知装置によれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)車室内と車室外とを連通する空気通路10をステー部4に設けることとした。また、空気通路10内の空気の流れに基づき回転する回転体5を設けることとした。これにより、ユーザは、降車に伴って車両ドアを閉める都度、回転体5の回転態様を確認することで、車両の全てのドアが閉められているか否かを確認することができるため、セキュリティ性が向上するようになる。また、車室内の気圧を検出するための気圧センサが不要となるため、センサの異常などの不具合が生じることがない。このため、信頼性が向上するようになる。
【0043】
(2)空気通路10を閉塞して且つ、車室内の気圧と車室外の気圧との差圧に基づき変形するダイヤフラム7を設けることとした。これにより、車両の前進走行時に回転体5が回転し続けるような状況を回避することができるため、ユーザの違和感を払拭することができるようになる。また、車室外の空気が空気通路10を介して車室内に進入したり、あるいは雨水が空気通路10を介して車室内に進入することを防止することができるようにもなる。
【0044】
(3)第1のパイプ6には、その流路断面が部分的に拡大された部分にダイヤフラム7を配置することとした。これにより、空気通路10において開口端部61以外の部分にダイヤフラムを配置する場合と比較すると、サイズの大きいダイヤフラムを用いることができるため、ダイヤフラムの変形に伴って空気通路10内に十分な空気の流れを形成することができる。したがって、車室内の気圧と車室外の気圧との間に差圧が生じたときに、回転体5を確実に回転させることができるため、信頼性が向上するようになる。
【0045】
(4)空気通路10の車室外側の開口部44を車両前方に向けて開口させることによって、車両の前進走行時に開口部44に正圧を付与させることとした。また、空気通路10内に車室外から車室内に向かう空気の流れが生じたときに空気通路10を閉塞する逆止弁12を設けることとした。これにより、車両の前進走行時に回転体5が回転するような状況を的確に回避することができるため、ユーザの違和感を好適に払拭することができるようになる。
【0046】
(5)各車両ドアの全ての窓が閉められているか否かを報知するための報知手段として、回転体5を採用することとした。これにより、ユーザは、降車に伴って車両ドアを閉めた際に、回転体5が回転しているか否かを確認するだけで、車両の全ての窓が閉められているか否かを確認することができるようになる。
【0047】
(6)ドアミラー3のステー部4に回転体5を設けることとした。これにより、ユーザが降車に伴って車両ドアを閉めた際に、ユーザと回転体5とが互いに接近するため、ユーザは回転体5が回転しているか否かを容易に確認することができる。このため、利便性が向上するようになる。また、車室内と車室外とを連通する空気通路10を設けて且つ、空気通路10の車室外側の開口部44を車両前方に向けて開口させるといった構造を採用しながらも、空気通路10の全長を短くすることができるため、窓閉め報知装置としての小型化を図ることができるようにもなる。
【0048】
(7)窓部41から視認可能な回転体5の側面53を、2色の色により着色することとした。これにより、ユーザは、回転体5の色の変化を見るだけで、回転体5が回転しているか否かを容易に確認することができるようになる。
【0049】
(変形例)
図7に、上記第1の実施形態にかかる車両の窓閉め報知装置の変形例を示す。
同図7に示されるように、この変形例では、収容部91全体を傾けて配置することにより、回転体5の回転軸50を鉛直方向と所定角度をなすように配置するようにしている。また、回転体5には、その軸心を偏心させるべく、肉抜きされた部位51が形成されている。これにより、回転体5は通常、図中に示すように、肉抜きされた部位51が窓部41側に位置した状態を基準位置としてその姿勢が保たれている。一方、回転体5の側面53は、上記第1の実施形態と同様、その大部分が黒色に着色されている。また、この回転体5の側面53には、回転体5が基準位置に位置している状態で窓部41から見えない部分に、上記緑色に着色された部位53aが設けられている。そしてこのように回転体5を配置することにより、窓部41には通常、回転体5の黒色に着色された部分が位置する。そして、空気通路10内の空気の流れに基づき回転体5が回転したときにのみ、緑色に着色された部位53aが見えることとなる。車両の窓閉め報知装置としてのこのような構成によっても、上記第1の実施形態に準じた効果が得られるようになる。また、ユーザは、窓部41を目視する際に、回転体5の色が緑色に変化するか否かを確認するだけで、回転体5が回転しているか否かを容易に確認することができるようになる。
【0050】
<第2の実施形態>
続いて、本発明にかかる車両の窓閉め報知装置の第2の実施形態について図8〜図10を参照して説明する。なお、この第2の実施形態もその基本構造は先の図1〜図3に示した構造に準ずるものであり、ここでは先の図3に対応する図として、ステー部4の断面構造を図8に示している。また、図9は、図8のC−C線に沿った断面構造を示したものである。さらに、図10は、ドアミラーのステー部についてその車両下方側から見た構造を示している。以下、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0051】
同図8に示されるように、この車両の窓閉め報知装置では、上記第2のパイプ9が、ステー部4の先端部まで延伸した部分から車両下方に向けて屈曲されて、ステー部4の底面に形成された掘り込み部45に接続されている。この掘り込み部45の上壁には、図9に併せ示されるように、第2のパイプ9の開口部9aから掘り込み部45の内部に貫通するかたちで開口部44が形成されており、第2のパイプ9の開口部9aには、この開口部44を介して車室外の気圧が付与されている。また、掘り込み部45は、図10に併せ示されるように、その上壁から下方に向かうほど、車両前方に向けて断面積が拡大する形状を有している。これにより、車両の前進走行時に、掘り込み部45には、車両の走行風によって空気が導入されるため、開口部44には正圧が付与される。また、先の図8に示されるように、第2のパイプ9において開口部9aの近傍には、上記エアクリーナ11が設けられている。さらに、図8に示されるように、第2のパイプ9において、エアクリーナ11の上流には、逆止弁12が設けられるとともに、この逆止弁12の上流には、第2のパイプ9内の空気の流れに基づき警笛を発する笛部材13が配置されている。なお本実施形態では、この笛部材13が警笛発生手段となる。
【0052】
このような構成からなる窓閉め報知装置にあって、ユーザが降車に伴って車両ドアを閉めたとすると、同装置は次のように動作する。まず、各車両の全ての窓が閉められていた場合には、ダイヤフラム7の変形に基づき空気通路10内に車室内から車室外に向かう空気の流れが発生するため、笛部材13は警笛を発する。一方、各車両ドアのいずれかの窓が開いていた場合には、ダイヤフラム7がほとんど変形しないため、空気通路10内には空気の流れが発生しない。したがってこの場合には、笛部材13は警笛を発しない。
【0053】
車両の窓閉め報知装置としてのこのような構成によれば、ユーザは、降車に伴って車両ドアを閉める都度、笛部材13が警笛を発するか否かを確認すれば、各車両ドアの全ての窓が閉められているか否かを確認することができる。また、空気通路10の車室外側の開口部44が車両下方に向けて開口しているため、笛部材13から発せられる音は、第2のパイプ9の開口部9a及び掘り込み部45を通じて車室外に放出された後に地面で反射される。したがって、笛部材13から発せられる音がユーザの耳に届き易くなるため、ユーザは笛部材13から警笛が発せられているか否かを容易に認知することができるようになる。
【0054】
なお、ユーザが車両ドアを閉めた際に、各車両ドアのいずれかの窓が僅かに開いていた場合には、上記ダイヤフラム7が若干変形するだけであるため、空気通路10内を流れる空気の速度は、各車両ドアの全ての窓が閉められている場合と比較すると遅くなる。そしてこの場合には、笛部材13から発せられる警笛の音が変化する。このため、ユーザは、車両ドアを閉めた際に、笛部材13から発せられる音に変化があるか否かを確認することで、車両ドアの窓が僅かに開いているか否かを確認することも可能である。
【0055】
以上説明したように、本実施形態にかかる車両の窓閉め報知装置によれば、上記第1の実施形態による(1)〜(6)に代わる効果として、次のような効果が得られるようになる。
【0056】
(1’)車室内と車室外とを連通する空気通路10をステー部4に設けることとした。また、空気通路10内の空気の流れに基づき警笛を発する笛部材13を設けることとした。これにより、ユーザは、降車に伴って車両ドアを閉める都度、笛部材13から警笛が発せられるか否かを確認することで、車両の全てのドアが閉められているか否かを確認することができるため、セキュリティ性が向上するようになる。また、車室内の気圧を検出するための気圧センサが不要となるため、センサの異常などの不具合が生じることがない。このため、信頼性が向上するようになる。
【0057】
(2’)空気通路10を閉塞して且つ、車室内の気圧と車室外の気圧との差圧に基づき変形するダイヤフラム7を設けることとした。これにより、車両の前進走行時に笛部材13が警笛を発し続けるような状況を回避することができるため、ユーザの違和感を払拭することができるようになる。また、車室外の空気が空気通路10を介して車室内に進入したり、あるいは雨水が空気通路10を介して車室内に進入することを防止することができるようになる。
【0058】
(3’)第1のパイプ6には、その流路断面が部分的に拡大された部分にダイヤフラム7を配置することとした。これにより、空気通路10において開口端部61以外の部分にダイヤフラムを配置する場合と比較すると、サイズの大きいダイヤフラム7を用いることができるため、ダイヤフラム7の変形に伴って空気通路10内に十分な空気の流れを形成することができる。したがって、車室内の気圧と車室外の気圧との間に差圧が生じたときに、笛部材13から警笛を確実に発することができ、信頼性が向上するようになる。
【0059】
(4’)車両の前進走行時に、空気通路10の車室外側の開口部44に正圧を付与させることとした。また、空気通路10内に、車室外から車室内に向かう空気の流れが生じたときに空気通路10を閉塞する逆止弁12を設けることとした。これにより、車両の前進走行時に笛部材13により警笛が発せられるような状況を的確に回避することができるため、ユーザの違和感を好適に払拭することができるようになる。
【0060】
(5’)車両の全ての窓が閉められているか否かを報知するための報知手段として、笛部材13を採用することとした。これにより、ユーザは、降車に伴って車両ドアを閉めた際に、笛部材13から警笛が発せられるか否かを確認するだけで、車両の全ての窓が閉められているか否かを確認することができる。このため、第1の実施形態のように回転体が回転しているか否かを確認する場合と比較すると、車両の全ての窓が閉められているか否かを容易に確認することができるようになる。
【0061】
(6’)ドアミラー3のステー部4に笛部材13を設けることとした。これにより、ユーザが降車に伴って車両ドアを閉めた際に、ユーザと笛部材13とが互いに接近するため、騒音環境であっても、ユーザは笛部材13から警笛が発せられているか否かを確認することができる。このため、利便性が向上するようになる。また、空気通路10の車室外側の開口部44を車両下方に向けて開口させるといった構造を採用しながらも、空気通路10の全体の長さを短くすることができるため、窓閉め報知装置としての小型化を図ることができるようにもなる。
【0062】
(7)空気通路10の車室外側の開口部44を、車両下方に向けて開口させることとした。これにより、笛部材13から発せられた音は地面で反射されるため、ユーザの耳に届き易くなる。このため、ユーザは笛部材13から警笛が発せられているか否かを容易に認知することができるようになる。
【0063】
<他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記第1の実施形態では、窓部41の近傍にLEDなどの発光部材を設けた上で、この発光部材を点灯させることにより、夜間の回転体5の視認性を向上させてもよい。またこの場合、回転体5の回転を利用して発電を行う発電機を設け、この発電機の発電電力により発光部材を点灯させてもよい。
【0064】
・上記第1の実施形態では、回転体5の側面53の大部分を黒色で着色するとともに、その一部を緑色で着色することとした。これに代えて、例えば回転体5の側面53の大部分を白色で着色するとともに、その一部を赤色で着色してもよい。このように、回転体5の側面53の色は適宜変更することが可能である。さらに、回転体5の側面53を2色以上の色により着色したり、あるいは単一色で着色してもよい。またさらに、回転体5の側面53を着色するといった方法に代えて、例えば回転体5の側面53に図形や絵柄などを設けたり、あるいは凹凸などを設けてもよい。これらの構成によっても、ユーザは、窓部41を見ることによって、回転体5が回転しているか否かを確認することができる。
【0065】
・上記第1の実施形態では、空気通路10の車室外側の開口部44を車両前方に向けて開口させることとしたが、これに代えて、例えば車両下方や車両後方に向けて開口させてもよい。
【0066】
・上記第2の実施形態では、空気通路10の車室外側の開口部44を車両下方に向けて開口させることとしたが、これに代えて、例えば車両前方や車両後方に向けて開口させてもよい。
【0067】
・上記各実施形態では、車両の全ての窓が閉められているか否かを報知するための報知手段として、回転体5あるいは笛部材13を採用することとした。これに代えて、例えば回転体5の回転を利用して発電を行う発電機を上記ステー部4に設ける。また、同ステー部4には、発電機の発電電力により点灯するLEDなどの発光部材を設ける。このような構成によれば、車両の全ての窓が閉められている状態でユーザが車両ドアを閉めたときに、発光部材が点灯する。したがって、ユーザは、降車に伴って車両ドアを閉める都度、発光部材が点灯するか否かを確認することで、車両の全てのドアが閉められているか否かを確認することができる。
【0068】
・上記各実施形態では、第2のパイプ9内に逆止弁12を設けることとしたが、この逆止弁12を省略してもよい。この場合、上記第1の実施形態では、例えば羽部52の角度を適宜に調整することにより、上記回転体5として、空気通路10内に車室内から車室外へ向かう空気の流れが生じたときにのみ回転するといった構造を採用することが有効である。このような構成によっても、車両の前進走行時に回転体5が回転するような状況を的確に回避することができるため、ユーザの違和感を好適に払拭することができるようになる。なお、上記第2の実施形態でも、同様に、上記笛部材13として、空気通路10内に車室内から車室外へ向かう空気の流れが生じたときにのみ警笛を発するといった構造を採用することが有効である。
【0069】
・上記各実施形態では、車室内と車室外とを連通する空気通路10が形成された本体部として、ドアミラー3のステー部4を用いることとしたが、これに代えて、例えば車両のルーフにアンテナが取り付けられている車両にあっては、アンテナの基台を用いてもよい。なお、上記第2の実施形態にかかる窓閉め報知装置をアンテナ基台に設ける場合には、空気通路10の車室外側の開口部44を車両下方に向けて開口させることは難しい。したがってこの場合には、例えばアンテナ基台の車両前方側の外面に開口部44を設けるなどすればよい。このような構成によっても、本発明にかかる車両の窓閉め報知装置をドアミラー3のステー部4に設けた場合とほぼ同様の効果を得ることが可能である。さらに、上記第2の実施形態にかかる車両の窓閉め報知装置をアンテナ基台に設けた場合には、特に、笛部材13から発せられる警笛が車両周囲の全方位に対して均等に届くため、例えば助手席から降車したユーザであっても、各車両ドアの全ての窓が閉められているか否かを容易に確認することができるようになる。なお、車室内と車室外とを連通する空気通路10が形成された本体部として、ドアミラー3のステー部4やアンテナ基台の他、例えば車両のピラーなど、適宜の車載部品を採用してもよい。要は、車室内と車室外とを連通する空気通路が形成された本体部と、空気通路内の空気の流れに基づき駆動して報知を行う報知手段とが設けられていればよい。
【0070】
<付記>
次に、上記実施形態及びその変形例から把握できる技術的思想について追記する。
(イ)請求項2に記載の車両の窓閉め報知装置において、前記空気通路には、その流路断面が部分的に拡大された部分が設けられて、前記ダイヤフラムが、前記空気通路の流路断面が拡大された部分に配置されてなることを特徴とする車両の窓閉め報知装置。同構成によるように、空気通路の流路断面が拡大された部分にダイヤフラムを配置することとすれば、空気通路のそれ以外の部分にダイヤフラムを配置する場合と比較すると、サイズの大きいダイヤフラムを用いることができるため、ダイヤフラムが変形した際に、空気通路内に十分な空気の流れを形成することができる。したがって、車室内の気圧と車室外の気圧との間に差圧が生じたときに、報知手段を確実に駆動させることができるため、信頼性が向上するようになる。
【符号の説明】
【0071】
1…ウィンドウガラス、2…ドアサッシ、3…ドアミラー、4…ステー部、5…回転体、6…第1のパイプ、7…ダイヤフラム、8…ボルト、9…第2のパイプ、9a,44,92…開口部、10…空気通路、11…エアクリーナ、12…逆止弁、13…笛部材、21…貫通孔、40…外面、41…窓部、42…円筒部、43…側面、45…掘り込み部、50…回転軸、51…部位、52…羽部、53…側面、53a…部位、60,61…開口端部、62…フランジ部、91…収容部、93…部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の窓が閉められているか否かを確認するための車両の窓閉め報知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両の窓閉め報知装置としては、例えば特許文献1に記載の装置が知られている。この特許文献1に記載の窓閉め報知装置では、開状態の車両ドアが閉められた際に、車両に設けられた気圧センサを通じて車室内の気圧が検出される。そしてこの検出された車室内の気圧が予め設定された閾値よりも小さい場合には、ユーザに対して警告が発せられる。なお、特許文献1に記載の装置では、車両の全ての窓が閉められた状態で車両ドアを閉めた際に発生する車室内の気圧の変化を実験などを通じて計測し、この計測された気圧の変化に基づいて上記閾値を設定することとしている。これにより、例えばユーザが降車しようとして車両ドアを一旦開けてから閉めたときに、車両の窓のいずれかが開いている場合には、車室内の気圧が僅かしか上昇しないため、ユーザに対して警告が発せられる。したがって、ユーザは、警告によって車両の窓のいずれかが開いた状態であることを知ることができるため、窓を閉め直すことができる。これにより、車上荒らしなどを未然に防止することができるため、セキュリティ性を確保することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−138128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の窓閉め報知装置では、気圧センサが劣化したり、あるいはその給電線が断線するなど、気圧センサに何らかの異常が生じると、車室内の気圧を適切に検出することができなくなる。そしてこのような状況に陥ると、ユーザに対する警告を適切に行うことができなくなるため、窓閉め報知装置としての著しい信頼性の低下を招くおそれがある。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、セキュリティ性を確保しつつ、信頼性を向上させることのできる車両の窓閉め報知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両に設けられて車室内と車室外とを連通する空気通路が形成された本体部と、前記空気通路内の空気の流れに基づき駆動して報知を行う報知手段とを備えることを要旨としている。
【0007】
同構成によれば、車両の全ての窓が閉められている状態でユーザが車両ドアを閉めたときに、車室内の気圧が車室外の気圧よりも一時的に上昇するため、本体部に形成された空気通路内を空気が流れる。すなわちこの場合には、報知手段による報知が行われる。したがって、ユーザは、降車に伴って車両ドアを閉める都度、報知手段による報知が行われるか否かを確認することで、車両の全てのドアが閉められているか否かを確認することができる。このため、セキュリティ性を確保することができるようになる。また、車室内の気圧を検出するための気圧センサが不要であるため、センサの経年劣化や給電線の断線などの不具合が生じることがない。このため、信頼性が向上するようにもなる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両の窓閉め報知装置において、前記空気通路を閉塞して且つ、車室内の気圧と車室外の気圧との差圧に基づき変形するダイヤフラムを更に備えることを要旨としている。
【0009】
同構成によるように、ダイヤフラムによって空気通路を閉塞することとすれば、空気通路内を空気が流れ続けるような状況を回避することができる。このため、例えば車両走行中に車両の周辺に発生する空気の乱れによって空気通路の車室外側の開口端付近に大気圧よりも大きい気圧(正圧)や、大気圧よりも小さい気圧(負圧)が発生したとしても、空気通路内を空気が流れ続けるような状況を回避することができる。これにより、車両走行中に報知手段による報知が継続して行われることがないため、ユーザの違和感を払拭することができるようになる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車両の窓閉め報知装置において、前記空気通路の車室外側の開口部は、車両の前進走行時に大気圧よりも大きい気圧が付与される形状を有するものであり、前記空気通路内に車室外から車室内に向かう空気の流れが発生したときに前記空気通路を閉塞する逆止弁を更に備えることを要旨としている。
【0011】
同構成によれば、車両の前進走行時に、空気通路の車室外側の開口部に正圧が付与されるため、空気通路内に車室外から車室内に向かう空気の流れが発生する。したがってこの場合には、逆止弁により空気通路が閉塞されるため、空気通路内の空気の流れが遮断される。これにより、車両の前進走行時に報知手段による報知が行われるような状況を的確に回避することができるため、ユーザの違和感を好適に払拭することができるようになる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車両の窓閉め報知装置において、前記空気通路の車室外側の開口部は、車両の前進走行時に大気圧よりも大きい気圧が付与される形状を有するものであり、前記報知手段が、車室内から車室外に向かう空気の流れのみに基づいて駆動するものであることを要旨としている。
【0013】
同構成によれば、車両の前進走行時に、空気通路の車室外側の開口部に正圧が印可されるため、空気通路内に車室外から車室内に向かう空気の流れが発生する。したがってこの場合には、報知手段が駆動しない。これにより、車両の前進走行時に報知手段による報知が行われるような状況を的確に回避することができるため、ユーザの違和感を好適に払拭することができるようになる。
【0014】
そしてこの場合、請求項5に記載の発明によるように、前記空気通路の車室外側の開口部を、車両前方に向けて開口するかたちで形成することとすれば、車両の前進走行時に、空気通路の車室外側の開口部に正圧を容易に付与することができる。このため、請求項3又は4に記載の発明を容易に実現することができるようになる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両の窓閉め報知装置において、前記報知手段が、前記空気通路内の空気の流れに基づき回転する回転体であり、前記本体部には、前記回転体が外部から視認可能に設けられていることを要旨としている。
【0016】
同構成によれば、ユーザは、降車に伴って車両ドアを閉めた際に、本体部に設けられている回転体を目視して同回転体が回転しているか否かを確認するだけで、車両の全ての窓が閉められているか否かを容易に確認することができるようになる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の車両の窓閉め報知装置において、ことを要旨としている。
同構成によれば、空気通路内の空気の流れに基づき回転体が回転すると、本体部の窓部から見える回転体の色が変化するため、ユーザは回転体の色が変化するか否かを確認するだけで、回転体が回転しているか否かを容易に確認することができるようになる。
【0018】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の車両の窓閉め報知装置において、前記本体部には、前記回転体を外部から視認可能にするための窓部が設けられ、前記回転体の前記窓部から視認可能な面が、2色以上の色により着色されてなることを要旨としている。
【0019】
同構成によれば、空気通路内の空気の流れに基づき回転体が回転すると、本体部の窓部から見える回転体の色が特定の色以外の色に変化する。このため、ユーザは、本体部の窓部を目視する際に、回転体の色が特定の色以外の色に変化するか否かを確認するだけで、回転体が回転しているか否かを容易に確認することができる。
【0020】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両の窓閉め報知装置において、前記報知手段が、前記空気通路内の前記車室内から前記車室外に向かう空気の流れに基づき警笛を発する警笛発生手段からなることを要旨としている。
【0021】
同構成によれば、ユーザは、降車に伴って車両ドアを閉めた際に、警笛発生手段から警笛が発せられるか否かを確認するだけで、車両の全ての窓が閉められているか否かを確認することができる。このため、前述のように回転体が回転しているか否かを確認する場合と比較すると、車両の全ての窓が閉められているか否かをさらに容易に確認することができるようになる。
【0022】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の車両の窓閉め報知装置において、前記本体部が、車両のドアミラーを支持するステー部であり、前記報知手段が、前記ステー部に設けられていることを要旨としている。
【0023】
同構成によるように、車両のドアミラーに設けられたステー部を本体部として採用することとすれば、車室内と車室外とを連通する空気通路を容易に形成することができるため、請求項1〜8に記載の発明を容易に実現することができるようになる。一方、ユーザが降車に伴って車両ドアを閉めたとき、ユーザは車両ドアの近傍に立っている状態となり、ステー部とユーザとが互いに接近する。したがって、上記構成によるように、ドアミラーのステー部に報知手段を設けることとすれば、ユーザが降車に伴って車両ドアを閉めた際に、報知手段がユーザに接近するため、ユーザは報知手段による報知を容易に確認することができる。このため、利便性が向上するようになる。
【0024】
請求項11に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の車両の窓閉め報知装置において、前記本体部が、車両のルーフに設けられたアンテナ基台であり、前記報知手段が、前記アンテナ基台に設けられていることを要旨としている。
【0025】
同構成によるように、車両のルーフに設けられたアンテナ基台を本体部として採用することとすれば、車室外と車室外とを連通する空気通路を容易に形成することができるため、請求項1〜8に記載の発明を容易に実現することができるようになる。一方、ユーザが降車に伴って車両ドアを閉めたとき、ユーザは車両ドアの近傍に立っている状態となり、ユーザとアンテナ基台とが互いに接近する。したがって、上記構成によるように、ルーフのアンテナ基台に報知手段を設けることとすれば、ユーザが降車に伴って車両ドアを閉めた際に、ユーザの近くに報知手段が位置することとなるため、ユーザは報知手段による報知を容易に確認することができる。このため、利便性が向上するようになる。
【発明の効果】
【0026】
本発明にかかる車両の窓閉め報知装置によれば、セキュリティ性を確保しつつ、信頼性を向上させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明にかかる車両の窓閉め報知装置の第1の実施形態について同装置を搭載した車両の側面構造を示す側面図。
【図2】車両のドアミラーについてその車両後方側から見た構造を示す背面図。
【図3】同第1の実施形態にかかる車両の窓閉め報知装置についてその断面構造を示す断面図。
【図4】図3のA−A線に沿った断面構造を示す断面図。
【図5】(a),(b)は、同第1の実施形態の車両の窓閉め報知装置についてその回転体の斜視構造及び平面構造をそれぞれ示す斜視図及び平面図。
【図6】図4のB−B線に沿った断面構造を示す断面図。
【図7】同第1の実施形態にかかる車両の窓閉め報知装置についてその変形例を示す断面図。
【図8】同第2の実施形態にかかる車両の窓閉め報知装置についてその断面構造を示す断面図。
【図9】図8のC−C線に沿った断面構造を示す断面図。
【図10】ドアミラーのステー部についてその車両下方側から見た構造を示す底面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第1の実施形態>
以下、本発明にかかる車両の窓閉め報知装置の第1の実施形態について図1〜図6を参照して説明する。はじめに、図1及び図2を参照して、本実施形態にかかる車両の窓閉め報知装置の概要について説明する。
【0029】
図1に示すように、この車両では、運転席のウィンドウガラス1を囲繞するドアサッシ2に、車両後方を視認するためのドアミラー3が取り付けられている。ここで、図2に示すように、ドアミラー3は、ステー部4を介してドアサッシ2により支持されている。このうち、ステー部4の車両後方側の外面40には窓部41が形成されており、この窓部41より、ステー部4の内部に収容された回転体(風車)5の側面の一部が外部から視認可能となっている。そして、この窓閉め報知装置では、車室内の気圧と車室外の気圧との間に差圧が生じると、回転体5が図中の矢印aで示す方向に回転する。すなわち、車両の全ての窓が閉められている状態でユーザが車両ドアを閉めたときに車室内の気圧が車室外の気圧よりも一時的に上昇すると、回転体5が矢印aで示す方向に回転する。そしてこの装置は、回転体5の回転を通じて、車両の全てのドアが閉められているか否かをユーザに報知する。
【0030】
次に、図3及び図4を参照して、本実施形態にかかる車両の窓閉め報知装置の構造について詳述する。
図3に示すように、ステー部4のドアサッシ2に対向する側面43には、ドアサッシ2に向けて突出する円筒部42が形成されるとともに、この円筒部42の内部に第1のパイプ6が収容されている。この第1のパイプ6は、ステー部4側の開口端部60からドアサッシ2側の開口端部61に向かうほど断面積が大きくなるように形成されるとともに、開口端部61にフランジ部62を有している。また、開口端部61にはダイヤフラム7が配設されており、このダイヤフラム7によって開口端部61が閉塞されている。ちなみに、第1のパイプ6のフランジ部62及びダイヤフラム7の外縁部は、円筒部42とドアサッシ2との間に挟み込まれている。そして、ドアサッシ2から円筒部42に向けて複数のボルト8が螺入されることによって、ステー部4が、第1のパイプ6及びダイヤフラム7と共々、ドアサッシ2に固定されている。またこのように、各要素がボルト8によって締結されることで、円筒部42、第1のパイプ6、ダイヤフラム7、及びドアサッシ2のそれぞれの間がシールされて、それらの間の隙間を介しての車室外の空気の第1のパイプ6への流入、並びに第1のパイプ6内を流れる空気の流出が抑制されている。また、ボルト8が締結された状態では、第1のパイプ6のステー部4側の端面がステー部4の側面43に当接するため、それらの間の隙間を介しての第1のパイプ6内への空気の流入、及び第1のパイプ6内を流れる空気の流出が抑制されている。
【0031】
一方、上記ドアサッシ2には、ダイヤフラム7の部分に対応して、車室内から車室外に貫通する貫通孔21が形成されている。すなわち、ダイヤフラム7のドアサッシ2側の面には、貫通孔21を通じて車室内の気圧が付与されている。
【0032】
また一方、上記ステー部4の内部には、その側面43に開口部を有して第1のパイプ6の開口端部60に接続される第2のパイプ9が設けられている。この第2のパイプ9は、第1のパイプ6に接続される部分からドアミラー3に向けてステー部4の先端部まで延伸されている。また、この第2のパイプ9は、図中のA−A線に沿った断面構造を図4に示すように、ステー部4の先端部まで延伸された部分から車両前方に向けて屈曲されて、ステー部4の車両前方側の面に形成された開口部44に接続されている。そしてこの第2のパイプ9、並びに上記第1のパイプ6及び上記貫通孔21により、車室内と車室外とを連通する空気通路10が構成されている。これにより、先の図3に示されるように、ダイヤフラム7のステー部4側の面には、空気通路10を通じて車室外の気圧が付与される。ちなみに、図4に示されるように、第2のパイプ9の開口部44に接続される部分となる開口端部にはエアクリーナ11が設けられており、このエアクリーナ11によって、開口部44から第2のパイプ9内に進入する空気内の塵等が除去される。また、第2のパイプ9において、エアクリーナ11の上流には、車室外から車室内へ向かう空気の流れが生じたときに同パイプ9を閉塞する逆止弁12が設けられている。さらに、第2のパイプ9において、逆止弁12の上流には、回転体5を収容するための収容部91が形成されている。
【0033】
次に、図5及び図6を参照して、回転体5の構造について説明する。図5(a)は、回転体5の斜視構造を、また、図5(b)は、回転体の平面構造をそれぞれ示したものである。また、図6は、先の図4のB−B線に沿った断面構造を示したものである。
【0034】
図5(a)に示されるように、回転体5は、基本的には、円柱状の部材であって、その中央部に回転軸50を有している。また、図5(b)に併せ示されるように、回転体5の上面には、図中の矢印bで示す方向の空気の流れを受けるための複数の羽部52が形成されている。そして、回転体5は、この羽部52で空気の流れを受けることにより、回転軸50を中心に矢印cで示す方向に回転する。また、図5(a)に示されるように、この回転体5の側面53は黒色で着色されるとともに、その一部に緑色に着色された部位53aを有している。
【0035】
そしてこのような形状からなる回転体5は、図6に示されるように、回転軸50の両端部が図示しない軸受けを介して収容部91の内壁面に回転可能に支持されることにより、回転軸50が鉛直方向と平行となるように収容部91に収容されている。また、先の図4に示されるように、収容部91に収容された回転体5は、羽部52の一部が空気通路10内に位置するかたちで配置されている。これにより、回転体5は、空気通路10内に図中の矢印dで示す方向の空気の流れが発生したときに、すなわち車室内から車室外に向かう空気の流れが発生したときに、この空気の流れを羽部52で受けて矢印cで示す方向に回転する。一方、収容部91には、ステー部4に形成された上記窓部41の位置に対応して開口部92が形成されており、これらの窓部41及び開口部92を通じて回転体5の側面53が外部から視認可能となっている。ちなみに、この開口部92には、例えば樹脂材料やガラスなどからなる透明な部材93が設けられており、この部材93によって、開口部92が閉塞されている。そして、回転体5が回転軸50を中心に回転すると、窓部41から見える回転体5の色が黒色及び緑色に変化する。
【0036】
次に、先の図3及び図4を参照して、本実施形態にかかる車両の窓閉め報知装置の動作について説明する。
例えばいま、ユーザが降車に伴って車両ドアを閉めたとする。このとき、各車両ドアの全ての窓が閉められていたとすると、車室内の気圧が車室外の気圧よりも上昇するため、図3に破線で示されるように、ダイヤフラム7がドアミラー3の方向に変形する。このとき、空気通路10には、図中の矢印dで示す方向の空気の流れ、すなわち車室内から車室外に向かう空気の流れが発生するため、図4に示されるように、回転体5が矢印cで示す方向に回転する。これにより、上記窓部41から見える回転体5の色が黒色及び緑色に変化する。
【0037】
一方、ユーザが車両ドアを閉めた際に、各車両ドアのいずれかの窓が開いていたとすると、車室内の気圧はほとんど上昇しないため、上記ダイヤフラム7は変形しない。この場合、空気通路10内に空気が流れないことから、回転体5は回転しない。すなわちこの場合、上記窓部41から見える回転体5の色は変化しない。
【0038】
このような構成からなる窓閉め報知装置によれば、ユーザが降車に伴って車両ドアを閉めたとき、ユーザは車両ドアの近傍に立っている状態となる。したがって、ユーザとステー部4とが互いに接近するため、ユーザは窓部41から回転体5を容易に目視することができる。また、回転体5は、一旦回転すれば慣性により所定時間回転し続けるため、ユーザは、車両ドアを閉めた時点から所定時間が経過するまでは、回転体5が回転しているか否かを容易に確認することができる。そして、ユーザは、降車に伴って車両ドアを閉める都度、ステー部4の窓部41を目視して回転体5の色が変化するか否かを確認すれば、各車両ドアの全ての窓が閉められているか否かを確認することができるため、セキュリティ性を確保することができるようになる。また、車室内の気圧を検出するための気圧センサが不要であるため、センサの経年劣化や給電線の断線などの不具合が生じることもない。このため、信頼性が向上するようにもなる。
【0039】
ちなみに、ユーザが車両ドアを閉めた際に、各車両ドアのいずれかの窓が僅かに開いていたとすると、車室内の気圧が僅かに上昇するため、上記ダイヤフラム7が若干変形する。この場合、空気通路10内を流れる空気の速度は、各車両ドアの全てが閉められている場合と比較すると遅いため、回転体5の回転速度が遅くなる。したがってこの場合にも、ステー部4の窓部41から見える回転体5の色が変化することとなるが、その変化速度が遅くなる。このため、ユーザは、車両ドアを閉めてステー部4の窓部41を目視した際に、回転体5の色の変化速度が通常よりも遅いか否かを確認することで、車両ドアの窓が僅かに開いているか否かを確認することも可能である。
【0040】
また、先の図4に示されるように、空気通路10の車室外側の開口部44が車両前方に向けて開口するかたちで形成されているため、車両の前進走行時、同開口部44には、車両の走行風により大きい気圧(正圧)が付与される。したがって、空気通路10内には、車室外から車室内に向かう空気の流れが発生するため、上記逆止弁12によって空気通路10が閉塞される。これにより、空気通路10内の空気の流れを遮断することができるため、車両の前進走行時に回転体5が回転するような状況を的確に回避することができる。したがって、ユーザの違和感を払拭することができるようになる。
【0041】
さらに、先の図3に示されるように、空気通路10はダイヤフラム7により閉塞されているため、空気通路10内を空気が流れ続けるような状況を回避することができる。このため、車両の前進走行時に車両周辺に発生する空気の乱れによって、仮に大気圧よりも小さい気圧(負圧)が空気通路10の車室外側の開口部44に発生したとしても、空気通路10内を車室内から車室外に向けて空気が流れ続けるような状況を回避することができる。このため、車両の前進走行時に回転体5が回転し続けることがないため、ユーザの違和感を払拭することができるようになる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態にかかる車両の窓閉め報知装置によれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)車室内と車室外とを連通する空気通路10をステー部4に設けることとした。また、空気通路10内の空気の流れに基づき回転する回転体5を設けることとした。これにより、ユーザは、降車に伴って車両ドアを閉める都度、回転体5の回転態様を確認することで、車両の全てのドアが閉められているか否かを確認することができるため、セキュリティ性が向上するようになる。また、車室内の気圧を検出するための気圧センサが不要となるため、センサの異常などの不具合が生じることがない。このため、信頼性が向上するようになる。
【0043】
(2)空気通路10を閉塞して且つ、車室内の気圧と車室外の気圧との差圧に基づき変形するダイヤフラム7を設けることとした。これにより、車両の前進走行時に回転体5が回転し続けるような状況を回避することができるため、ユーザの違和感を払拭することができるようになる。また、車室外の空気が空気通路10を介して車室内に進入したり、あるいは雨水が空気通路10を介して車室内に進入することを防止することができるようにもなる。
【0044】
(3)第1のパイプ6には、その流路断面が部分的に拡大された部分にダイヤフラム7を配置することとした。これにより、空気通路10において開口端部61以外の部分にダイヤフラムを配置する場合と比較すると、サイズの大きいダイヤフラムを用いることができるため、ダイヤフラムの変形に伴って空気通路10内に十分な空気の流れを形成することができる。したがって、車室内の気圧と車室外の気圧との間に差圧が生じたときに、回転体5を確実に回転させることができるため、信頼性が向上するようになる。
【0045】
(4)空気通路10の車室外側の開口部44を車両前方に向けて開口させることによって、車両の前進走行時に開口部44に正圧を付与させることとした。また、空気通路10内に車室外から車室内に向かう空気の流れが生じたときに空気通路10を閉塞する逆止弁12を設けることとした。これにより、車両の前進走行時に回転体5が回転するような状況を的確に回避することができるため、ユーザの違和感を好適に払拭することができるようになる。
【0046】
(5)各車両ドアの全ての窓が閉められているか否かを報知するための報知手段として、回転体5を採用することとした。これにより、ユーザは、降車に伴って車両ドアを閉めた際に、回転体5が回転しているか否かを確認するだけで、車両の全ての窓が閉められているか否かを確認することができるようになる。
【0047】
(6)ドアミラー3のステー部4に回転体5を設けることとした。これにより、ユーザが降車に伴って車両ドアを閉めた際に、ユーザと回転体5とが互いに接近するため、ユーザは回転体5が回転しているか否かを容易に確認することができる。このため、利便性が向上するようになる。また、車室内と車室外とを連通する空気通路10を設けて且つ、空気通路10の車室外側の開口部44を車両前方に向けて開口させるといった構造を採用しながらも、空気通路10の全長を短くすることができるため、窓閉め報知装置としての小型化を図ることができるようにもなる。
【0048】
(7)窓部41から視認可能な回転体5の側面53を、2色の色により着色することとした。これにより、ユーザは、回転体5の色の変化を見るだけで、回転体5が回転しているか否かを容易に確認することができるようになる。
【0049】
(変形例)
図7に、上記第1の実施形態にかかる車両の窓閉め報知装置の変形例を示す。
同図7に示されるように、この変形例では、収容部91全体を傾けて配置することにより、回転体5の回転軸50を鉛直方向と所定角度をなすように配置するようにしている。また、回転体5には、その軸心を偏心させるべく、肉抜きされた部位51が形成されている。これにより、回転体5は通常、図中に示すように、肉抜きされた部位51が窓部41側に位置した状態を基準位置としてその姿勢が保たれている。一方、回転体5の側面53は、上記第1の実施形態と同様、その大部分が黒色に着色されている。また、この回転体5の側面53には、回転体5が基準位置に位置している状態で窓部41から見えない部分に、上記緑色に着色された部位53aが設けられている。そしてこのように回転体5を配置することにより、窓部41には通常、回転体5の黒色に着色された部分が位置する。そして、空気通路10内の空気の流れに基づき回転体5が回転したときにのみ、緑色に着色された部位53aが見えることとなる。車両の窓閉め報知装置としてのこのような構成によっても、上記第1の実施形態に準じた効果が得られるようになる。また、ユーザは、窓部41を目視する際に、回転体5の色が緑色に変化するか否かを確認するだけで、回転体5が回転しているか否かを容易に確認することができるようになる。
【0050】
<第2の実施形態>
続いて、本発明にかかる車両の窓閉め報知装置の第2の実施形態について図8〜図10を参照して説明する。なお、この第2の実施形態もその基本構造は先の図1〜図3に示した構造に準ずるものであり、ここでは先の図3に対応する図として、ステー部4の断面構造を図8に示している。また、図9は、図8のC−C線に沿った断面構造を示したものである。さらに、図10は、ドアミラーのステー部についてその車両下方側から見た構造を示している。以下、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0051】
同図8に示されるように、この車両の窓閉め報知装置では、上記第2のパイプ9が、ステー部4の先端部まで延伸した部分から車両下方に向けて屈曲されて、ステー部4の底面に形成された掘り込み部45に接続されている。この掘り込み部45の上壁には、図9に併せ示されるように、第2のパイプ9の開口部9aから掘り込み部45の内部に貫通するかたちで開口部44が形成されており、第2のパイプ9の開口部9aには、この開口部44を介して車室外の気圧が付与されている。また、掘り込み部45は、図10に併せ示されるように、その上壁から下方に向かうほど、車両前方に向けて断面積が拡大する形状を有している。これにより、車両の前進走行時に、掘り込み部45には、車両の走行風によって空気が導入されるため、開口部44には正圧が付与される。また、先の図8に示されるように、第2のパイプ9において開口部9aの近傍には、上記エアクリーナ11が設けられている。さらに、図8に示されるように、第2のパイプ9において、エアクリーナ11の上流には、逆止弁12が設けられるとともに、この逆止弁12の上流には、第2のパイプ9内の空気の流れに基づき警笛を発する笛部材13が配置されている。なお本実施形態では、この笛部材13が警笛発生手段となる。
【0052】
このような構成からなる窓閉め報知装置にあって、ユーザが降車に伴って車両ドアを閉めたとすると、同装置は次のように動作する。まず、各車両の全ての窓が閉められていた場合には、ダイヤフラム7の変形に基づき空気通路10内に車室内から車室外に向かう空気の流れが発生するため、笛部材13は警笛を発する。一方、各車両ドアのいずれかの窓が開いていた場合には、ダイヤフラム7がほとんど変形しないため、空気通路10内には空気の流れが発生しない。したがってこの場合には、笛部材13は警笛を発しない。
【0053】
車両の窓閉め報知装置としてのこのような構成によれば、ユーザは、降車に伴って車両ドアを閉める都度、笛部材13が警笛を発するか否かを確認すれば、各車両ドアの全ての窓が閉められているか否かを確認することができる。また、空気通路10の車室外側の開口部44が車両下方に向けて開口しているため、笛部材13から発せられる音は、第2のパイプ9の開口部9a及び掘り込み部45を通じて車室外に放出された後に地面で反射される。したがって、笛部材13から発せられる音がユーザの耳に届き易くなるため、ユーザは笛部材13から警笛が発せられているか否かを容易に認知することができるようになる。
【0054】
なお、ユーザが車両ドアを閉めた際に、各車両ドアのいずれかの窓が僅かに開いていた場合には、上記ダイヤフラム7が若干変形するだけであるため、空気通路10内を流れる空気の速度は、各車両ドアの全ての窓が閉められている場合と比較すると遅くなる。そしてこの場合には、笛部材13から発せられる警笛の音が変化する。このため、ユーザは、車両ドアを閉めた際に、笛部材13から発せられる音に変化があるか否かを確認することで、車両ドアの窓が僅かに開いているか否かを確認することも可能である。
【0055】
以上説明したように、本実施形態にかかる車両の窓閉め報知装置によれば、上記第1の実施形態による(1)〜(6)に代わる効果として、次のような効果が得られるようになる。
【0056】
(1’)車室内と車室外とを連通する空気通路10をステー部4に設けることとした。また、空気通路10内の空気の流れに基づき警笛を発する笛部材13を設けることとした。これにより、ユーザは、降車に伴って車両ドアを閉める都度、笛部材13から警笛が発せられるか否かを確認することで、車両の全てのドアが閉められているか否かを確認することができるため、セキュリティ性が向上するようになる。また、車室内の気圧を検出するための気圧センサが不要となるため、センサの異常などの不具合が生じることがない。このため、信頼性が向上するようになる。
【0057】
(2’)空気通路10を閉塞して且つ、車室内の気圧と車室外の気圧との差圧に基づき変形するダイヤフラム7を設けることとした。これにより、車両の前進走行時に笛部材13が警笛を発し続けるような状況を回避することができるため、ユーザの違和感を払拭することができるようになる。また、車室外の空気が空気通路10を介して車室内に進入したり、あるいは雨水が空気通路10を介して車室内に進入することを防止することができるようになる。
【0058】
(3’)第1のパイプ6には、その流路断面が部分的に拡大された部分にダイヤフラム7を配置することとした。これにより、空気通路10において開口端部61以外の部分にダイヤフラムを配置する場合と比較すると、サイズの大きいダイヤフラム7を用いることができるため、ダイヤフラム7の変形に伴って空気通路10内に十分な空気の流れを形成することができる。したがって、車室内の気圧と車室外の気圧との間に差圧が生じたときに、笛部材13から警笛を確実に発することができ、信頼性が向上するようになる。
【0059】
(4’)車両の前進走行時に、空気通路10の車室外側の開口部44に正圧を付与させることとした。また、空気通路10内に、車室外から車室内に向かう空気の流れが生じたときに空気通路10を閉塞する逆止弁12を設けることとした。これにより、車両の前進走行時に笛部材13により警笛が発せられるような状況を的確に回避することができるため、ユーザの違和感を好適に払拭することができるようになる。
【0060】
(5’)車両の全ての窓が閉められているか否かを報知するための報知手段として、笛部材13を採用することとした。これにより、ユーザは、降車に伴って車両ドアを閉めた際に、笛部材13から警笛が発せられるか否かを確認するだけで、車両の全ての窓が閉められているか否かを確認することができる。このため、第1の実施形態のように回転体が回転しているか否かを確認する場合と比較すると、車両の全ての窓が閉められているか否かを容易に確認することができるようになる。
【0061】
(6’)ドアミラー3のステー部4に笛部材13を設けることとした。これにより、ユーザが降車に伴って車両ドアを閉めた際に、ユーザと笛部材13とが互いに接近するため、騒音環境であっても、ユーザは笛部材13から警笛が発せられているか否かを確認することができる。このため、利便性が向上するようになる。また、空気通路10の車室外側の開口部44を車両下方に向けて開口させるといった構造を採用しながらも、空気通路10の全体の長さを短くすることができるため、窓閉め報知装置としての小型化を図ることができるようにもなる。
【0062】
(7)空気通路10の車室外側の開口部44を、車両下方に向けて開口させることとした。これにより、笛部材13から発せられた音は地面で反射されるため、ユーザの耳に届き易くなる。このため、ユーザは笛部材13から警笛が発せられているか否かを容易に認知することができるようになる。
【0063】
<他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記第1の実施形態では、窓部41の近傍にLEDなどの発光部材を設けた上で、この発光部材を点灯させることにより、夜間の回転体5の視認性を向上させてもよい。またこの場合、回転体5の回転を利用して発電を行う発電機を設け、この発電機の発電電力により発光部材を点灯させてもよい。
【0064】
・上記第1の実施形態では、回転体5の側面53の大部分を黒色で着色するとともに、その一部を緑色で着色することとした。これに代えて、例えば回転体5の側面53の大部分を白色で着色するとともに、その一部を赤色で着色してもよい。このように、回転体5の側面53の色は適宜変更することが可能である。さらに、回転体5の側面53を2色以上の色により着色したり、あるいは単一色で着色してもよい。またさらに、回転体5の側面53を着色するといった方法に代えて、例えば回転体5の側面53に図形や絵柄などを設けたり、あるいは凹凸などを設けてもよい。これらの構成によっても、ユーザは、窓部41を見ることによって、回転体5が回転しているか否かを確認することができる。
【0065】
・上記第1の実施形態では、空気通路10の車室外側の開口部44を車両前方に向けて開口させることとしたが、これに代えて、例えば車両下方や車両後方に向けて開口させてもよい。
【0066】
・上記第2の実施形態では、空気通路10の車室外側の開口部44を車両下方に向けて開口させることとしたが、これに代えて、例えば車両前方や車両後方に向けて開口させてもよい。
【0067】
・上記各実施形態では、車両の全ての窓が閉められているか否かを報知するための報知手段として、回転体5あるいは笛部材13を採用することとした。これに代えて、例えば回転体5の回転を利用して発電を行う発電機を上記ステー部4に設ける。また、同ステー部4には、発電機の発電電力により点灯するLEDなどの発光部材を設ける。このような構成によれば、車両の全ての窓が閉められている状態でユーザが車両ドアを閉めたときに、発光部材が点灯する。したがって、ユーザは、降車に伴って車両ドアを閉める都度、発光部材が点灯するか否かを確認することで、車両の全てのドアが閉められているか否かを確認することができる。
【0068】
・上記各実施形態では、第2のパイプ9内に逆止弁12を設けることとしたが、この逆止弁12を省略してもよい。この場合、上記第1の実施形態では、例えば羽部52の角度を適宜に調整することにより、上記回転体5として、空気通路10内に車室内から車室外へ向かう空気の流れが生じたときにのみ回転するといった構造を採用することが有効である。このような構成によっても、車両の前進走行時に回転体5が回転するような状況を的確に回避することができるため、ユーザの違和感を好適に払拭することができるようになる。なお、上記第2の実施形態でも、同様に、上記笛部材13として、空気通路10内に車室内から車室外へ向かう空気の流れが生じたときにのみ警笛を発するといった構造を採用することが有効である。
【0069】
・上記各実施形態では、車室内と車室外とを連通する空気通路10が形成された本体部として、ドアミラー3のステー部4を用いることとしたが、これに代えて、例えば車両のルーフにアンテナが取り付けられている車両にあっては、アンテナの基台を用いてもよい。なお、上記第2の実施形態にかかる窓閉め報知装置をアンテナ基台に設ける場合には、空気通路10の車室外側の開口部44を車両下方に向けて開口させることは難しい。したがってこの場合には、例えばアンテナ基台の車両前方側の外面に開口部44を設けるなどすればよい。このような構成によっても、本発明にかかる車両の窓閉め報知装置をドアミラー3のステー部4に設けた場合とほぼ同様の効果を得ることが可能である。さらに、上記第2の実施形態にかかる車両の窓閉め報知装置をアンテナ基台に設けた場合には、特に、笛部材13から発せられる警笛が車両周囲の全方位に対して均等に届くため、例えば助手席から降車したユーザであっても、各車両ドアの全ての窓が閉められているか否かを容易に確認することができるようになる。なお、車室内と車室外とを連通する空気通路10が形成された本体部として、ドアミラー3のステー部4やアンテナ基台の他、例えば車両のピラーなど、適宜の車載部品を採用してもよい。要は、車室内と車室外とを連通する空気通路が形成された本体部と、空気通路内の空気の流れに基づき駆動して報知を行う報知手段とが設けられていればよい。
【0070】
<付記>
次に、上記実施形態及びその変形例から把握できる技術的思想について追記する。
(イ)請求項2に記載の車両の窓閉め報知装置において、前記空気通路には、その流路断面が部分的に拡大された部分が設けられて、前記ダイヤフラムが、前記空気通路の流路断面が拡大された部分に配置されてなることを特徴とする車両の窓閉め報知装置。同構成によるように、空気通路の流路断面が拡大された部分にダイヤフラムを配置することとすれば、空気通路のそれ以外の部分にダイヤフラムを配置する場合と比較すると、サイズの大きいダイヤフラムを用いることができるため、ダイヤフラムが変形した際に、空気通路内に十分な空気の流れを形成することができる。したがって、車室内の気圧と車室外の気圧との間に差圧が生じたときに、報知手段を確実に駆動させることができるため、信頼性が向上するようになる。
【符号の説明】
【0071】
1…ウィンドウガラス、2…ドアサッシ、3…ドアミラー、4…ステー部、5…回転体、6…第1のパイプ、7…ダイヤフラム、8…ボルト、9…第2のパイプ、9a,44,92…開口部、10…空気通路、11…エアクリーナ、12…逆止弁、13…笛部材、21…貫通孔、40…外面、41…窓部、42…円筒部、43…側面、45…掘り込み部、50…回転軸、51…部位、52…羽部、53…側面、53a…部位、60,61…開口端部、62…フランジ部、91…収容部、93…部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられて車室内と車室外とを連通する空気通路が形成された本体部と、
前記空気通路内の空気の流れに基づき駆動して報知を行う報知手段と、
を備えることを特徴とする車両の窓閉め報知装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の窓閉め報知装置において、
前記空気通路を閉塞して且つ、車室内の気圧と車室外の気圧との差圧に基づき変形するダイヤフラムを更に備える
ことを特徴とする車両の窓閉め報知装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両の窓閉め報知装置において、
前記空気通路の車室外側の開口部は、車両の前進走行時に大気圧よりも大きい気圧が付与される形状を有するものであり、
前記空気通路内に車室外から車室内に向かう空気の流れが発生したときに前記空気通路を閉塞する逆止弁を更に備える
ことを特徴とする車両の窓閉め報知装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の車両の窓閉め報知装置において、
前記空気通路の車室外側の開口部は、車両の前進走行時に大気圧よりも大きい気圧が付与される形状を有するものであり、
前記報知手段が、車室内から車室外に向かう空気の流れのみに基づいて駆動するものである
ことを特徴とする車両の窓閉め報知装置。
【請求項5】
前記空気通路の車室外側の開口部は、車両前方に向けて開口するかたちで形成されてなる
請求項3又は4に記載の車両の窓閉め報知装置。
【請求項6】
前記報知手段が、前記空気通路内の空気の流れに基づき回転する回転体であり、前記本体部には、前記回転体が外部から視認可能に設けられている
請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両の窓閉め報知装置。
【請求項7】
前記本体部には、前記回転体を外部から視認可能にするための窓部が設けられ、前記回転体の前記窓部から視認可能な面が、2色以上の色により着色されてなる
請求項6に記載の車両の窓閉め報知装置。
【請求項8】
前記回転体は、回転していない状態で、前記2色以上の色により着色された面のうちの特定の色に着色された面が前記窓部から視認可能となるように偏心された状態で配置されてなる
請求項7に記載の車両の窓閉め報知装置。
【請求項9】
前記報知手段が、前記空気通路内の前記車室内から前記車室外に向かう空気の流れに基づき警笛を発する警笛発生手段からなる
請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両の窓閉め報知装置。
【請求項10】
前記本体部が、車両のドアミラーを支持するステー部であり、前記報知手段が、前記ステー部に設けられている
請求項1〜9のいずれか一項に記載の車両の窓閉め報知装置。
【請求項11】
前記本体部が、車両のルーフに設けられたアンテナ基台であり、前記報知手段が、前記アンテナ基台に設けられている
請求項1〜9のいずれか一項に記載の車両の窓閉め報知装置。
【請求項1】
車両に設けられて車室内と車室外とを連通する空気通路が形成された本体部と、
前記空気通路内の空気の流れに基づき駆動して報知を行う報知手段と、
を備えることを特徴とする車両の窓閉め報知装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の窓閉め報知装置において、
前記空気通路を閉塞して且つ、車室内の気圧と車室外の気圧との差圧に基づき変形するダイヤフラムを更に備える
ことを特徴とする車両の窓閉め報知装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両の窓閉め報知装置において、
前記空気通路の車室外側の開口部は、車両の前進走行時に大気圧よりも大きい気圧が付与される形状を有するものであり、
前記空気通路内に車室外から車室内に向かう空気の流れが発生したときに前記空気通路を閉塞する逆止弁を更に備える
ことを特徴とする車両の窓閉め報知装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の車両の窓閉め報知装置において、
前記空気通路の車室外側の開口部は、車両の前進走行時に大気圧よりも大きい気圧が付与される形状を有するものであり、
前記報知手段が、車室内から車室外に向かう空気の流れのみに基づいて駆動するものである
ことを特徴とする車両の窓閉め報知装置。
【請求項5】
前記空気通路の車室外側の開口部は、車両前方に向けて開口するかたちで形成されてなる
請求項3又は4に記載の車両の窓閉め報知装置。
【請求項6】
前記報知手段が、前記空気通路内の空気の流れに基づき回転する回転体であり、前記本体部には、前記回転体が外部から視認可能に設けられている
請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両の窓閉め報知装置。
【請求項7】
前記本体部には、前記回転体を外部から視認可能にするための窓部が設けられ、前記回転体の前記窓部から視認可能な面が、2色以上の色により着色されてなる
請求項6に記載の車両の窓閉め報知装置。
【請求項8】
前記回転体は、回転していない状態で、前記2色以上の色により着色された面のうちの特定の色に着色された面が前記窓部から視認可能となるように偏心された状態で配置されてなる
請求項7に記載の車両の窓閉め報知装置。
【請求項9】
前記報知手段が、前記空気通路内の前記車室内から前記車室外に向かう空気の流れに基づき警笛を発する警笛発生手段からなる
請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両の窓閉め報知装置。
【請求項10】
前記本体部が、車両のドアミラーを支持するステー部であり、前記報知手段が、前記ステー部に設けられている
請求項1〜9のいずれか一項に記載の車両の窓閉め報知装置。
【請求項11】
前記本体部が、車両のルーフに設けられたアンテナ基台であり、前記報知手段が、前記アンテナ基台に設けられている
請求項1〜9のいずれか一項に記載の車両の窓閉め報知装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−121443(P2012−121443A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273608(P2010−273608)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
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