説明

車両の電子スロットル配置構造

【課題】車体の左右重量バランスを良好としつつ駆動モータの突出を抑えることができ、且つ、駆動モータの冷却性を良好にできる車両の電子スロットル配置構造を提供する。
【解決手段】エンジン6のシリンダ部41から吸気通路71が後方に延び、後部メインフレーム23の側方を通り、車体中心C1に対して車幅方向一方側にオフセットして配置され、吸気通路71を開閉するスロットル弁72を駆動する駆動モータ75が、車体中心C1に対して吸気通路71がオフセットされる車幅方向一方側にオフセットして配置されるとともに、発電機97が車体中心C1に対して車幅方向他方側にオフセットして配置されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの吸気通路を開閉するスロットル弁を駆動する駆動モータを有する車両の電子スロットル配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車等の車両には、エンジンの吸気通路を開閉するスロットル弁を駆動する駆動モータを配置し、この駆動モータをスロットル操作量に応じて制御する電子スロットル部を備えるものがある。この種の車両には、ヘッドパイプから後方に延びる左右一対のメインフレームを有し、このメインフレーム間に、ヘッドパイプに対して多気筒エンジンの各気筒を車幅方向に略均等に配置するとともに、各気筒の吸気通路に設けられたスロットル弁を駆動する複数の駆動モータを車幅方向の一方と他方とに振り分け配置した構造がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−38734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自動二輪車には、ヘッドパイプから1本のメインフレームが車体中心を通って後方に延出するセンターフレームタイプがある。この自動二輪車に電子スロットル部を搭載しようとした場合、電子スロットル部の駆動モータが重量を有するため、駆動モータの突出を抑えつつ車体の左右重量バランスを良好にすることが望まれる。
しかしながら、車体中心に駆動モータを配置しようとすると、車体中心にセンターフレームがあるため、駆動モータの配置スペースの確保が難しい。仮にセンターフレームとエンジンに囲まれるスペース内で駆動モータを車体中心に配置できたとしても、駆動モータがエンジンの熱影響を大きく受けてしまう、といった課題が生じてしまう。
【0005】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、車体の左右重量バランスを良好としつつ駆動モータの突出を抑えることができ、且つ、駆動モータの冷却性を良好にできる車両の電子スロットル配置構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明は、ヘッドパイプ(20)から1本のメインフレーム(21)が車体中心を通って後方に延出し、メインフレーム(21)の後部を構成する後部メインフレーム(23)が下方に延出する車体フレーム(2)と、メインフレーム(21)の下方かつ後部メインフレーム(23)の前方に配置され、クランク軸(51)を支持するクランクケース(40)の前部から上方に立設するシリンダ部(41)を有すると共に、前記クランク軸(51)の回転動力で発電する発電機(97)を有するエンジン(6)と、前記シリンダ部(41)の後方に配置され、前記エンジン(6)のシリンダ部(41)から後方に延びる吸気通路(71)に接続されるエアクリーナ(81)と、前記吸気通路(71)を開閉するスロットル弁(72)を駆動する駆動モータ(75)を有し、この駆動モータ(75)をスロットル操作量に応じて制御する電子スロットル部(76)とを備えた車両の電子スロットル配置構造において、前記吸気通路(71)は、前記後部メインフレーム(23)の側方を通り、車体中心に対して車幅方向一方側にオフセットして配置され、前記駆動モータ(75)を車体中心に対して車幅方向一方側にオフセットして配置するとともに、前記発電機(97)を車体中心に対して車幅方向他方側にオフセットして配置したことを特徴とする。
【0007】
上記構成において、前記クランクケース(40)と前記シリンダ部(41)との間にスタータモータ(151)を備え、前記駆動モータ(75)は、車体側面視で前記スタータモータ(151)に重なる位置に配置されるようにしても良い。
また、上記構成において、前記スタータモータ(151)は車体前面視で車体中心に直交して配置され、前記駆動モータ(75)は、前記吸気通路(71)の下方にて、車幅方向でスタータモータ(151)に近づくほど後方となる傾斜で配置されるようにしても良い。
【0008】
また、上記構成において、前記駆動モータ(75)と前記スタータモータ(151)とを、車体中心に対して車幅方向一方側と他方側とにオフセットして配置するようにしても良い。
また、上記構成において、前記駆動モータ(75)は、前記シリンダ部(41)の後方に配置されるようにしても良い。
【0009】
また、上記構成において、前記吸気通路(71)は、車体平面視で、前記シリンダ部(41)から後方、且つ、車幅方向外側に向かって延び、前記後部メインフレーム(23)の車幅方向外側を通って前記後部メインフレーム(23)の後方に配置された前記エアクリーナ(81)に接続され、前記駆動モータ(75)は、前記後部メインフレーム(23)よりも前方にて車幅方向に沿って配置され、車体平面視で前記吸気通路(71)に重なると共に車幅方向外側部分が前記吸気通路(71)よりも車幅方向外側に突出するようにしても良い。
また、上記構成において、前記吸気通路(71)は、車体側面視で、前記シリンダ部(41)から後上がりに延びる傾斜で後方へ延びて前記後部メインフレーム(23)の後方に配置された前記エアクリーナ(81)に接続され、前記駆動モータ(75)は、前記吸気通路(71)の下方、且つ、前記後部メインフレーム(23)よりも前方にて車体上下方向に沿って配置されるようにしても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、エンジンの吸気通路は、後部メインフレームの側方を通り、車体中心に対して車幅方向一方側にオフセットして配置され、吸気通路を開閉する駆動モータを車体中心に対して車幅方向一方側にオフセットして配置するとともに、エンジンのクランク軸の回転動力で発電する発電機を車体中心に対して車幅方向他方側にオフセットして配置したので、ヘッドパイプから1本のメインフレームが車体中心を通って後方に延出し、後部メインフレームが下方に延出するセンターフレームタイプにおいて、車体フレームに影響されることなく吸気系(吸気通路、駆動モータ等)を配置できる。しかも、重量部品である駆動モータと発電機とが車幅方向で左右に振り分けられるので、車体の左右重量バランスを良好としつつ駆動モータの突出を抑えることができ、且つ、駆動モータの冷却性を良好にできる。
また、クランクケースとシリンダ部との間にスタータモータを備え、駆動モータは、車体側面視でスタータモータに重なる位置に配置されるようにすれば、駆動モータをスタータモータの側方スペースを利用してコンパクトに配置することができる。
【0011】
また、スタータモータは車体前面視で車体中心に直交して配置され、駆動モータは、吸気通路の下方にて、車幅方向でスタータモータに近づくほど後方となる傾斜で配置されるようにすれば、駆動モータの車幅方向への突出を抑え、且つ、スタータモータを避けつつシリンダ部に寄せて配置できる。
また、駆動モータとスタータモータとを、車体中心に対して車幅方向一方側と他方側とにオフセットして配置するようにすれば、車体の左右重量バランスを良好にすることができる。
また、駆動モータは、シリンダ部の後方に配置されるようにすれば、シリンダ部によって駆動モータを保護することができる。
【0012】
また、吸気通路は、車体平面視で、シリンダ部から後方、且つ、車幅方向外側に向かって延び、後部メインフレームの車幅方向外側を通って後部メインフレームの後方に配置されたエアクリーナに接続され、駆動モータは、後部メインフレームよりも前方にて車幅方向に沿って配置され、車体平面視で吸気通路に重なると共に車幅方向外側部分が吸気通路よりも車幅方向外側に突出するようにすれば、吸気通路を大きく屈曲させずに後部メインフレームを避けつつコンパクトに配置できるとともに、駆動モータを車幅方向にコンパクトに配置しつつ冷却性をより向上することができる。
また、吸気通路は、車体側面視で、シリンダ部から後上がりに延びる傾斜で後方へ延びて後部メインフレームの後方に配置されたエアクリーナに接続され、駆動モータは、吸気通路の下方、且つ、後部メインフレームよりも前方にて車体上下方向に沿って配置されるようにすれば、吸気通路下方にスペースを確保でき、このスペースを利用して駆動モータをコンパクトかつ車幅方向への突出を抑えて配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態を適用した自動二輪車の左側面図である。
【図2】自動二輪車を上方から見た図である。
【図3】シリンダ部を貫通するエンジン縦断面図である。
【図4】スタータモータを周辺構成と共に示すエンジン縦断面図である。
【図5】(A)は、スロットルボディを吸気通路軸に対して左側から見た図であり、(B)は吸気通路軸に対して後方から見た図である。
【図6】第2実施形態を適用した自動二輪車の左側面図である。
【図7】駆動モータとスタータモータとを共に示すエンジン縦断面図である。
【図8】第3実施形態を適用したエンジンの側断面図である。
【図9】変形例の説明に供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、説明中、前後左右及び上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号Lは車体左方を示している。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態を適用した自動二輪車1の左側面図を示し、図2は自動二輪車1を上方から見た図を示している。なお、図2中、符号C1は自動二輪車1の車体中心(車幅中心)を示している。
この自動二輪車1は、単気筒のエンジン(内燃機関)を搭載した小型車両であり、車体フレーム2と、車体フレーム2の前部に操舵自在に支持された左右一対のフロントフォーク3と、フロントフォーク3の上端を支持するトップブリッジ3Aに取り付けられた操舵用のハンドル4と、フロントフォーク3,3の下端部に回転自在に支持された前輪5と、車体の略中央で車体フレーム2に支持されたエンジン6と、エンジン6の後方で車体フレーム2に上下に揺動自在に支持されたスイングアーム7と、このスイングアーム7の後端部に回転自在に支持された後輪8と、スイングアーム7の後部と車体フレーム2との間に配設された左右一対のリヤクッション9と、車体フレーム2の上部に配置された燃料タンク10と、この燃料タンク10の後方に配置された乗員用シート11とを備えている。
【0015】
フロントフォーク3を上下で支持するトップブリッジ3Aとボトムブリッジ3Bとの間には、ブラケット(不図示)を介してヘッドライト12やフロントカウル13等が取り付けられ、また、フロントフォーク3には前輪5の上方を覆うフロントフェンダ14が取り付けられる。また、ハンドル4には左右一対のサイドミラー15が取り付けられると共に、車体フレーム2の後部には、リヤカウル16及びリヤフェンダ17等が取り付けられる。
【0016】
車体フレーム2は、ヘッドパイプ20から車体中心C1を通って後下がりに延出する1本のメインフレーム21と、このメインフレーム21における車体前後中間位置から下方に延出する1本の後部メインフレーム23とを備え、このメインフレーム21の下方かつ後部メインフレーム23の前方にエンジン6が支持される。
車体フレーム2は、更に、ヘッドパイプ20下部から下方に延びてエンジン6の前下部を支持する1本のフロントメンバ22と、後部メインフレーム23の下部から後上がりに延びるリヤメンバ24とを備えている。
【0017】
メインフレーム21、フロントメンバ22、後部メインフレーム23及びリヤメンバ24は、鋼板素材をプレス加工して得られるプレスフレームで形成されている。詳述すると、メインフレーム21は、鋼板素材をプレス加工して得られる下向き凹状の断面形状を有するアッパメンバ21Aと、上向き凹状の断面形状を有するロアメンバ21Bとを備え、この上下一対のアッパメンバ21Aとロアメンバ21Bは、その間にリヤクッション9の上端部を支持する軸状のクロスメンバ21Cを介在させて溶接で接合される。このメインフレーム21は、図2に示すように、後部メインフレーム23を基準とした前側部分が、狭い幅で前後に延びる幅狭フレームに形成され、後側部分が、前側部分に比して幅広で前後に延びる幅広フレームに形成されている。
【0018】
フロントメンバ22は、プレス加工された左右一対の鋼板素材を接合して形成され、エンジンハンガ25を介してエンジン6の前下部を支持する。
後部メインフレーム23は、プレス加工された鋼板素材からなり、エンジン6の後下部を支持すると共に、エンジン6の後方にピボットボルト28が挿通され、このピボットボルト28を介してスイングアーム7の前端を回動自在に支持する。
リヤメンバ24は、プレス加工された鋼板素材からなり、下部が後部メインフレーム23の下部側方を覆って下方に延び、その下端にはサイドスタンド30やメインスタンド31や運転者用のステップ32等が取り付けられる。
【0019】
エンジン6は、クランク軸51を支持するクランクケース40の前部から上方に立設するシリンダ部41を有する4サイクルの単気筒エンジンである。単気筒エンジンは、同じ排気量の多気筒エンジンに比べてシリンダ部41を含むエンジン幅が狭くなり、幅方向にスリムなエンジンにすることができる。
クランクケース40の前部には、車幅方向に沿ってクランク軸51が回転自在に支持され、このクランク軸51の回転は、クランクケース40内の変速機構(不図示)で変速されてクランクケース40の後部に設けられた出力軸45を回転させる。この出力軸45の回転は、チェーン伝動機構48を介して後輪8に伝達される。
【0020】
シリンダ部41は、クランクケース40に連結されるシリンダブロック42と、シリンダブロック42の上部に連結されるシリンダヘッド43と、シリンダヘッド43の上部連結されるヘッドカバー44とを備えている。シリンダヘッド43の前面には、シリンダ部41の排気ポートに連通する排気口43Aが設けられ、この排気口43Aには、排気管61が接続される。排気管61は、排気口43Aから車体下方へ延び、クランクケース40の下方を車体後方へ延出し、その後端がマフラー62に接続される。
【0021】
シリンダヘッド43の背面には、シリンダ部41の吸気ポートに連通する吸気口43Bが設けられ、吸気口43Bには、1本の吸気通路71が接続される。この吸気通路71は、図2に示すように、車体平面視で後方かつ車幅方向外側に直線状に延びて後部メインフレーム23の車幅方向外側を通り、後部メインフレーム23の後方に配置されたエアクリーナ81に接続される。
エアクリーナ81は、乗員用シート11、後部メインフレーム23及びリヤメンバ24によって形成されるスペース内に配置されるエアクリーナ本体82と、エアクリーナ本体82の前面における車幅方向一端側(右側)から前方に延びる突出部83を有し、この突出部83は、後部メインフレーム23の右側方を円弧状に湾曲しつつ前方に延びて吸気通路71の後端に接続される。
【0022】
吸気通路71は、吸気通路71を開閉するスロットル弁(吸気絞り弁とも称する)72を有するスロットル・バイ・ワイヤ(TBW)形式のスロットルボディ73を有し、スロットル弁72は、スロットル弁駆動モータ(以下、駆動モータと言う)75で駆動される。すなわち、本実施形態の自動二輪車1は、駆動モータ75によってスロットル弁72を開閉駆動する電子スロットル部76を備えている。
この自動二輪車1は、ユーザー(運転者)が右手で操作するスロットルグリップ(スロットル操作子)4A(図2参照)の操作を検出するスロットルセンサ(不図示)を更に備えており、この検出結果に基づいて不図示のエンジン制御部(エンジンコントロールユニット(ECU)とも言う)が電子スロットル部76を制御する。
また、吸気通路71の前上部には、単一のインジェクタ(燃料噴射弁)77が設けられる。このインジェクタ77は、スロットル弁72の下流に位置し、上記エンジン制御部の制御の下、スロットル弁72を通過した空気に燃料を噴射し、空気と燃料の混合気をエンジン6に供給する。
【0023】
図3は、シリンダ部41を貫通するエンジン縦断面図である。
クランクケース40は、左右分割構造を有し、左右一対の軸受91によってクランク軸51を回転自在に支持する。このクランク軸51の軸線(クランク軸線)C2は、自動二輪車1の車幅方向に水平に延びている。
クランク軸51は、車体中心C1を略中心にして左右に延在し、このクランク軸51の左右中央には、コンロッド93の基端部が連結され、このコンロッド93の先端に不図示のピストンが連結される。シリンダ部41は、ピストンが摺動するシリンダを有し、このシリンダの中心軸(シリンダ軸)C3が、車体前面視で車体中心C1と重なる。つまり、このエンジン6は、車体中心C1とシリンダ軸C3とを一致させて配置される。
また、本実施形態のエンジン6は、クランクケース40に対してシリンダ部41が前傾する前傾エンジンであり、シリンダ部41が前傾する分だけエンジン6の高さが抑えられている。
【0024】
クランク軸51の右端部51Rは、クランクケース40を右方に貫通する。この右端部51Rには、クランク軸51の回転を出力側(不図示のクラッチ機構)に伝達するための駆動ギヤ95及びオイルポンプ駆動用の駆動ギヤ96が設けられる。クランクケース40の右側面には、車幅方向右側に向かう膨出形状を有するクラッチカバー101がボルト連結され、このクラッチカバー101によって、上記駆動ギヤ95,96やクランク軸51の右端部51Rが覆われる。
また、クランク軸51の左端部51Lは、クランクケース40を左方に貫通する。この左端部51Lには、クランク軸51の回転動力で発電する発電機97が設けられる。この発電機97は、クランクケース40の左側面よりも更に左側に設けられ、エンジン6内の部品のうち最も左側に配置される。クランクケース40の左側面には、車幅方向左側に向かう膨出形状を有する発電機カバー103がボルト連結され、この発電機カバー103によって発電機97が覆われる。
【0025】
発電機97は、クランク軸51の左端部51Lに固定されるロータ98と、ロータ98内に配置されるステータ99とを備え、ステータ99は発電機カバー103に固定される。
ロータ98には、1方向クラッチ105が連結され、1方向クラッチ105を介して、エンジン始動用のスタータモータ151(図1参照)によって駆動されるスタータ従動ギヤ107が設けられる。このスタータ従動ギヤ107とコンロッド93の基端部との間、つまり、クランク軸51の左端部51Lにおける発電機97の車幅方向内側には、カムチェーン駆動スプロケット109が設けられ、このカムチェーン駆動スプロケット109によって、クランク軸51の回転がカムチェーン110を介してシリンダ部41のヘッドカバー44内に設けられた動弁機構(不図示)に伝達される。
シリンダ部41の左側壁には、上記カムチェーン110を通すカムチェーン室111が上下方向に延在して設けられる。このようにシリンダ部41の左側壁にカムチェーン室111を設けたため、カムチェーン室111の分だけ、シリンダ部41がシリンダ軸C3に対して車幅方向左側に張り出すことになる。また、シリンダ部41の右上部(カムチェーン室111と反対側)には点火プラグ78が設けられる。
【0026】
図4は、スタータモータ151を周辺構成と共に示すエンジン縦断面図である。
図4及び図1に示すように、スタータモータ151は、クランクケース40の上部にてシリンダ部41に近接して車幅方向中央(車体中心C1)に配置される。これによって、クランクケース40とシリンダ部41との間のスペース(図1参照)を有効利用してスタータモータ151が配置される。
スタータモータ151は、円筒状の外観を有し、駆動軸152の軸線(駆動軸線)CMが車幅方向に水平に延び、車体中心C1と直交する。これによって、スタータモータ151の駆動軸152とクランク軸51とが上下に間隔を空けて平行に配置される。スタータモータ151は、駆動軸152の先端部を左方に向けて突出させ、このスタータモータ151の先端部が、クランクケース40に設けられたモータホルダ161に右方から取り付けられて支持される。この状態で、駆動軸152の先端部のピニオンギヤ155がスタータアイドルギヤ156を介してスタータ従動ギヤ107に係合し、クランク軸51がエンジン始動方向に回転駆動可能に構成される。
また、クランクケース40の底部には、オイルパン40Aが一体に設けられ、このオイルパン40A内にエンジンオイルが貯溜される。このエンジンオイルはオイルポンプに吸引されて潤滑箇所に供給される。
【0027】
図5(A)は、スロットルボディ73を吸気通路軸(吸気通路71の軸線)C4に対して左側から見た図であり、図5(B)は吸気通路軸C4に対して後方から見た図である。
スロットルボディ73を含む吸気通路71は、車体側面視(図5(A)及び図1参照)で、シリンダ軸C3と直交するようにシリンダ部41から後上がりの傾斜で直線状に延び、車体平面視(図2参照)では、吸気口43Bから車幅方向一方側である右側に向かって斜め後方に直線状に延びる。これによって、吸気通路71は、後部メインフレーム23の右側方を通って車体右側にオフセットして配置される。
図2に示すように、エアクリーナ81のエアクリーナ本体82は、後部メインフレーム23の後方にて車体中心C1の左右に渡って配置されるので、後部メインフレーム23後方の広いスペースを利用してエアクリーナ本体82を配置でき、エアクリーナ81を大容量にできる。
【0028】
図5(B)に示すように、スロットルボディ73の左側には、縦長のギヤケース121が設けられており、このギヤケース121の下部に、スロットル弁72を駆動する駆動モータ75が取り付けられる。
この駆動モータ75は、車体前面視(車体背面視でも同様)で車幅方向に水平に支持され、駆動軸の先端に設けられた駆動ギヤ123がギヤケース121内に配置される。このギヤケース121の上半部内には、回転軸を車幅方向に沿わせて配置したスロットル弁72の左端部に設けられた従動ギヤ125が配置され、この従動ギヤ125と駆動ギヤ123との間に、減速ギヤ(不図示)が配置される。これによって、駆動モータ75の回転が減速されてスロットル弁72が回転駆動される。
同図5(B)に示すように、この駆動モータ75は、吸気通路71の下方で吸気通路71に近接し、吸気通路71下方のスペースを利用してコンパクトに配置されている。
【0029】
ところで、本自動二輪車1は、ヘッドパイプ20から1本のメインフレーム21が車体中心C1を通って後方に延出し、後部メインフレーム23が下方に延出するするセンターフレームタイプであるため、車体フレーム2を避けつつ電子スロットル部76を車体中心C1に配置することが難しくなる。
電子スロットル部76については、特に駆動モータ75が比較的大型で重量を有する部品であるため、駆動モータ75を車体中心C1に配置することなく車体の左右重量バランスを均等にすることが望まれる。
そこで、本構成では、図2に示すように、吸気通路71を車体中心C1に対して車幅方向一方側である右側にオフセットして配置するとともに、駆動モータ75を車体中心C1に対して同右側にオフセットして配置し、かつ、発電機97を、車体中心C1に対して車幅方向他側である左側にオフセットして配置することによって、比較的重量を有する駆動モータ75と発電機97とを車幅方向で左右に振り分けて配置し、車体の左右重量バランスを均等に揃えている。
【0030】
この場合、駆動モータ75及び吸気通路71が車幅方向一方側にオフセットされるので、駆動モータ75及び吸気通路71に、シリンダ部41の側方を通る走行風をあてることができ、走行風で冷却することも可能になる。特に、本実施形態では、駆動モータ75及び吸気通路71が、シリンダ部41の後方、且つ、後部メインフレーム23の前方、及び、クランクケース40の上方、且つ、燃料タンク10の下方という前後及び上下が部品で囲まれると共にエンジン6の熱影響を受けやすいスペースに配置されるため、駆動モータ75及び吸気通路71を走行風で冷却することによって、該スペースを利用しつつ吸気系への熱影響を十分に抑制することが可能である。
【0031】
次いで、駆動モータ75の配置について詳述する。
本実施形態では、駆動モータ75の軸線C5が、車体平面視(図2参照)で、吸気通路71の軸線C4に直交するように車体中心C1に対して斜めであり、この駆動モータ75が吸気通路71の車幅方向外側に張り出し、吸気通路71の車幅方向内側にギヤケース121が配置される。
駆動モータ75を、吸気通路71の軸線C4に直交して配置すれば、駆動モータ75が車体中心C1に対して斜めに配置されるので、駆動モータ75を平面視で車体中心C1に直交配置する場合に比して車幅方向に必要な寸法を小さくすることができる。これにより、駆動モータ75の車幅方向への張り出しを抑えることができる。
しかも、この配置では、駆動モータ75とスロットル弁72とが上下に間隔を空けて平行に配置されるので、駆動モータ75とスロットル弁72とを平行なギヤ輪列からなる簡易なギヤ機構で動力伝達させることができる。また、駆動モータ75が車体中心C1に近づくほど後方に位置するので、車体中心C1に配置されるスタータモータ151を避けつつ駆動モータ75をシリンダ部41に寄せて配置することができる。
【0032】
また、本実施形態では、車体平面視(図2参照)で、駆動モータ75の車幅中心側となる左端部がスタータモータ151の背面に近接して配置され、これによって、駆動モータ75の車幅方向一方側である右端部が、スタータモータ151の背面の位置(図2中、符号Mで示す)よりも前方に配置される。つまり、本実施形態では、車体側面視(図1参照)で、駆動モータ75の右端部がスタータモータ151と重なるように配置される。
これにより、駆動モータ75をスタータモータ151を避けつつ、スタータモータ151から離れた車幅方向外側端部(右端部)をスタータモータ151よりもシリンダ部41に寄せて配置することができる。また、駆動モータ75は、車体平面視(図2参照)で、エンジン6の最大幅よりも車幅方向内側(クラッチカバー101よりも内側)であって、シリンダ部41の最大幅とほぼ同じ幅内に配置される。
従って、駆動モータ75の車幅方向への突出を抑えつつ、且つ、エンジン6のシリンダ部41に寄せてコンパクトに配置することができる。
また、本実施形態では、ギヤケース121を吸気通路71の車幅方向内側に配置するので、ギヤケース121を車体中心C1近傍に配置でき、ギヤケース121による車体の左右重量バランスのずれを抑えることができるとともに、ギヤケース121が車幅方向外側に露出しないのでギヤケース121を保護し易くなる。
【0033】
さらに、本実施形態では、図1に示すように、駆動モータ75が吸気通路71の下方に位置するので、吸気通路71と、エンジン6のシリンダ部41及びクランクケース40と、スタータモータ151とによって囲まれる狭いスペースを利用して駆動モータ75を配置することができ、かつ、これらエンジン部品によって駆動モータ75を保護することもできる。
また、吸気通路71の上部には、インジェクタ77が配置されるので、インジェクタ77と駆動モータ75とを上下に振り分けて配置でき、これらのメンテナンスが容易である。
【0034】
以上説明したように、本実施の形態によれば、エンジン6のシリンダ部41から吸気通路71が後方に延び、後部メインフレーム23の側方を通り、車体中心C1に対して車幅方向一方側にオフセットして配置され、吸気通路71を開閉するスロットル弁72を駆動する駆動モータ75が、車体中心C1に対して吸気通路71がオフセットされる車幅方向一方側にオフセットして配置されるとともに、発電機97が車体中心C1に対して車幅方向他方側にオフセットして配置されるレイアウトとしたので、ヘッドパイプ20から1本のメインフレーム21が車体中心C1を通って後方に延出し、メインフレーム21の後部を構成する後部メインフレーム23が下方に延出するセンターフレームタイプにおいて、車体フレーム2に影響されることなく吸気系(吸気通路71、駆動モータ75等)を配置することができる。
しかも、このレイアウトでは、重量部品である駆動モータ75と発電機97とが車幅方向で左右に振り分けられるので、車体の左右重量バランスを良好としつつ駆動モータ75の突出を抑えることができ、且つ、駆動モータ75の冷却性を良好にできる。また、駆動モータ75と発電機97とを前後方向に近づけて配置でき、マスの集中化を図ることができる。従って、センターフレームタイプに好適なレイアウトを提供することが可能である。
【0035】
また、本実施形態では、クランクケース40とシリンダ部41との間にスタータモータ151を備え、駆動モータ75は、車体側面視でスタータモータ151に重なる位置に配置されるので、駆動モータ75をスタータモータ151の側方スペースを利用してコンパクトに配置することができる。
しかも、駆動モータ75はシリンダ部41の後方に配置されるので、シリンダ部41やシリンダ部41周辺の車体フレーム2によって駆動モータ75を保護することができる。
さらに、スタータモータ151は車体前面視で車体中心C1に直交して配置され、駆動モータ75は、吸気通路71の下方にて、車幅方向でスタータモータ151に近づくほど後方となる傾斜で配置されるので、駆動モータ75の車幅方向への突出を抑え、且つ、スタータモータ151を避けつつシリンダ部41に寄せて配置できる。更に、駆動モータ75を車体の低重心化に有利で、且つ、モータ保護を図れる位置に配置できる。
【0036】
また、吸気通路71は、車体平面視で、シリンダ部41から後方、且つ、車幅方向外側に向かって延び、後部メインフレーム23の車幅方向外側を通って後部メインフレーム23の後方に配置されたエアクリーナ81に接続されるので、吸気通路71を大きく屈曲させずに後部メインフレーム23を避けつつコンパクトに配置できる。
しかも、駆動モータ75は、後部メインフレーム23よりも前方にて車幅方向に沿って配置され、車体平面視で吸気通路71に重なると共に車幅方向外側部分を吸気通路71よりも車幅方向外側に突出して配置されるので、駆動モータ75を車幅方向にコンパクトに配置しつつ、駆動モータ75を走行風に接触し易くして冷却性をより向上することができる。
【0037】
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態を適用した自動二輪車1の左側面図を示し、図7は、この自動二輪車1の駆動モータ75とスタータモータ151とを共に示すエンジン縦断面図である。以下、第1実施形態と異なる箇所を説明し、同一の部分は詳細な説明を省略する。
第2実施形態では、駆動モータ75は、車体中心C1に対して、吸気通路71がオフセットされる車幅方向一方側(右側)にオフセットして配置され、スタータモータ151は、車体中心C1に対して車幅方向他方側(左側)にオフセットして配置される。
本実施形態では、図6に示すように、吸気通路71の下面に沿ってギヤケース121が配置され、このギヤケース121の前下部に駆動モータ75が、その軸線C5(図7参照)を車体上下方向に沿わせて支持される。この場合、吸気通路71は、第1実施形態と同様に、車体中心C1に対して車幅方向一方側である右側に配置されるので、駆動モータ75も同じ右側に配置される。
【0038】
ここで、本実施形態では、スロットル弁72が回転軸を縦にして配置されており、この回転軸と駆動モータ75のスロットル弁72の軸線C5とが前後に間隔を空けて平行に配置される。このため、駆動モータ75とスロットル弁72とを平行なギヤ輪列からなる簡易なギヤ機構で動力伝達させることができる。
スタータモータ151は、車体側面視(図6参照)で、クランクケース40の上部でシリンダ部41に近接する位置であって、車体背面視(図7参照)で、車体中心C1よりも車幅方向他方側(左側)に配置される。
この場合、スタータモータ151の駆動軸152は、クランクケース40に設けられたモータホルダ161に車幅方向外側(左側)から先端を車体中心C1に向けて車幅方向に水平に取り付けられ、車体中心C1には重ならない位置に保持される。この状態で、駆動軸152の先端部のピニオンギヤ155がスタータアイドルギヤ156を介してスタータ従動ギヤ107に係合し、クランク軸51がエンジン始動方向に回転駆動可能に構成される。
【0039】
すなわち、駆動モータ75は、スタータモータ151が車幅方向外側に取り付けられることによって空いたスペース(車体中心C1周辺のスペース)を利用して配置される。また、この駆動モータ75は、車体側面視(図6参照)で、スタータモータ151と側面視で重なる位置に配置されており、これにより、上記スペース(車体中心C1周辺のスペース)を効率よく利用して、駆動モータ75の上下方向の突出を抑えてコンパクトに配置することができる。つまり、本実施形態では、クランクケース40の上面と吸気通路71との間に空く上記スペースを利用して駆動モータ75をコンパクトに配置することができる。
このように駆動モータ75を車体上下方向に沿わせて配置した場合には、駆動モータ75の車幅方向の長さは短くなるので、駆動モータ75の車幅方向への突出を抑えることが可能である。
【0040】
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、吸気通路71が車体中心C1に対して車幅方向一方側にオフセットして配置され、駆動モータ75が車体中心C1に対して吸気通路71がオフセットされる車幅方向一方側にオフセットして配置されるとともに、発電機97を車体中心C1に対して車幅方向他方側にオフセットして配置される。このため、車体の左右重量バランスを良好としつつ駆動モータ75の突出を抑えることができ、且つ、駆動モータ75の冷却性を良好にできる、といった第1実施形態と同様の効果を奏する。
しかも、本実施形態では、重量物である駆動モータ75とスタータモータ151とを、車体中心C1に対して車幅方向一方側と他方側とにオフセットして配置するので、これによっても車体の左右重量バランスを良好にし易くなる。
【0041】
さらに、本実施形態では、吸気通路71が、車体側面視で、シリンダ部41から後上がりに延びる傾斜で後方へ延びて後部メインフレーム23の後方に配置されたエアクリーナ81に接続されるので、吸気通路71下方にスペースを確保でき、このスペースに駆動モータ75を車体上下方向に沿わせて配置するので、駆動モータ75をコンパクトかつ車幅方向への突出を抑えて配置することができる。
【0042】
<第3実施形態>
図8は第3実施形態を示す。第3実施形態では、駆動モータ75をエンジン6の吸気通路71の上方に配置している点が上記第1実施形態と異なる。
駆動モータ75は、吸気通路71の上方、シリンダ部41の後方、且つ、吸気通路71の前上部に設けられるインジェクタ(燃料噴射弁)77よりも前方のスペースにて、車体前面視で車幅方向に水平に支持される。この場合、駆動モータ75がシリンダ部41よりも上方に突出しないので、駆動モータ75をコンパクトに配置できるとともに、駆動モータ75をシリンダ部41や車体フレーム2(図8には図示されず)で保護することができる。
また、駆動モータ75がシリンダ部41の上部材であるヘッドカバー44の後方に近接配置されるので、車体前方からヘッドカバー44の上面に沿って後方に流れる走行風(図8中、矢印にて示す)が、駆動モータ75にあたり、走行風で冷却することができる。言い換えると、本構成では、インジェクタ77を基準に、吸気通路71を下方に、駆動モータ75を上方に振り分けて配置しており、この構成によって、これら部品をコンパクトに配置してマスの集中を図ることができるとともに駆動モータ75の保護や冷却性を確保することができる。
【0043】
また、本実施形態でも、第1実施形態と同様に、スロットル弁72が回転軸を車幅方向に沿わせて配置されており、この回転軸と駆動モータ75のスロットル弁72の軸線とが上下に間隔を空けて平行に配置されるので、平行なギヤ輪列を介して動力伝達させることができる。
しかも、本実施形態では、駆動モータ75が、スロットル弁72の回転軸よりも前方に位置しているので、スロットル弁72と駆動モータ75とを前後に距離を空けて配置でき、これらの間のギヤスペースを確保できる。
【0044】
さらに、この駆動モータ75は、車体中心C1に対して吸気通路71がオフセットされる車幅方向一方側にオフセットして配置されている。このため、第1実施形態と同様に、駆動モータ75と発電機97(図8中、図示されず)とが車幅方向で左右に振り分けられ、車体の左右重量バランスを良好にしつつ駆動モータ75の突出を抑え、且つ、駆動モータ75の冷却性を良好にできる、といった第1実施形態と同様の効果を奏する。
なお、本実施形態では、吸気通路71及び駆動モータ75を車幅方向にオフセットして配置する構成を説明したが、これに限らず、オフセット配置しない構成(例えば、駆動モータ75を車体中心C1に配置する構成)にしても、駆動モータ75の冷却性を確保することができる。
【0045】
また、図8にはエンジン6の内部構成も示している。シリンダヘッド43内には、排気口43Aに連なる排気ポート171、排気ポート171を開閉する排気弁172、吸気口43Bに連なる吸気ポート173、吸気ポート173を開閉する吸気弁174が配置され、シリンダヘッド43とヘッドカバー44との間には動弁機構181が配置される。動弁機構181は、カム軸182、排気ロッカー軸183、吸気ロッカー軸184、排気ロッカーアーム185及び吸気ロッカーアーム186等から構成されている。また、図中、符号188はピストンを示している。
【0046】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
例えば、上記各実施形態において、駆動モータ75を吸気通路71の下方に配置する場合を説明したが、これに限らず、吸気通路71の下方以外に空きスペースがあればそこに配置してもよい。例えば、第2実施形態では、駆動モータ75を車幅方向一方側にオフセットされる吸気通路71下方に縦配置し、スタータモータ151を、車幅方向他方側である左側にオフセットして配置する場合を説明したが、図9に示すように、駆動モータ75(図9中、一点鎖線で示す)を吸気通路71の車幅方向内側の車体中心C1に縦配置しても良いし、或いは、駆動モータ75(図9中、二点鎖線で示す)を吸気通路71の車幅方向外側、且つ、エンジン最大幅よりも内側(クラッチカバー101よりも内側)に縦配置しても良い。駆動モータ75を縦配置するので、車幅方向に必要な寸法が小さくて済み、車幅方向にコンパクトに配置することができる。
【0047】
また、上記第1実施形態では、駆動モータ75を車幅方向に沿わせて配置する場合を説明したが、駆動モータ75を車体上下方向に沿わせて配置しても良い。また、上記第2実施形態では、駆動モータ75を車体上下方向に沿わせて配置する場合を説明したが、駆動モータ75を車幅方向に沿わせて配置しても良い。
また、上記各実施形態では、自動二輪車の電子スロットル配置構造に本発明を適用する場合を説明したが、これに限らず、鞍乗り型車両等の車両の電子スロットル配置構造に本発明を広く適用することができる。なお、鞍乗り型車両とは、車体に跨って乗車する車両全般を含み、自動二輪車(原動機付き自転車も含む)のみならず、ATV(不整地走行車両)に分類される三輪車両や四輪車両を含む車両である。
【符号の説明】
【0048】
1 自動二輪車(鞍乗り型車両)
2 車体フレーム
6 エンジン
20 ヘッドパイプ
21 メインフレーム
23 後部メインフレーム
40 クランクケース
41 シリンダ部
51 クランク軸
71 吸気通路
72 スロットル弁
75 スロットル弁駆動モータ(駆動モータ)
76 電子スロットル部
81 エアクリーナ
97 発電機
151 スタータモータ
C1 車体中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドパイプ(20)から1本のメインフレーム(21)が車体中心を通って後方に延出し、メインフレーム(21)の後部を構成する後部メインフレーム(23)が下方に延出する車体フレーム(2)と、
メインフレーム(21)の下方かつ後部メインフレーム(23)の前方に配置され、クランク軸(51)を支持するクランクケース(40)の前部から上方に立設するシリンダ部(41)を有すると共に、前記クランク軸(51)の回転動力で発電する発電機(97)を有するエンジン(6)と、
前記シリンダ部(41)の後方に配置され、前記エンジン(6)のシリンダ部(41)から後方に延びる吸気通路(71)に接続されるエアクリーナ(81)と、
前記吸気通路(71)を開閉するスロットル弁(72)を駆動する駆動モータ(75)を有し、この駆動モータ(75)をスロットル操作量に応じて制御する電子スロットル部(76)とを備えた車両の電子スロットル配置構造において、
前記吸気通路(71)は、前記後部メインフレーム(23)の側方を通り、車体中心に対して車幅方向一方側にオフセットして配置され、
前記駆動モータ(75)を車体中心に対して車幅方向一方側にオフセットして配置するとともに、前記発電機(97)を車体中心に対して車幅方向他方側にオフセットして配置したことを特徴とする車両の電子スロットル配置構造。
【請求項2】
前記クランクケース(40)と前記シリンダ部(41)との間にスタータモータ(151)を備え、
前記駆動モータ(75)は、車体側面視で前記スタータモータ(151)に重なる位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の車両の電子スロットル配置構造。
【請求項3】
前記スタータモータ(151)は車体前面視で車体中心に直交して配置され、
前記駆動モータ(75)は、前記吸気通路(71)の下方にて、車幅方向でスタータモータ(151)に近づくほど後方となる傾斜で配置されることを特徴とする請求項2に記載の車両の電子スロットル配置構造。
【請求項4】
前記駆動モータ(75)と前記スタータモータ(151)とを、車体中心に対して車幅方向一方側と他方側とにオフセットして配置したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両の電子スロットル配置構造。
【請求項5】
前記駆動モータ(75)は、前記シリンダ部(41)の後方に配置されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の車両の電子スロットル配置構造。
【請求項6】
前記吸気通路(71)は、車体平面視で、前記シリンダ部(41)から後方、且つ、車幅方向外側に向かって延び、前記後部メインフレーム(23)の車幅方向外側を通って前記後部メインフレーム(23)の後方に配置された前記エアクリーナ(81)に接続され、
前記駆動モータ(75)は、前記後部メインフレーム(23)よりも前方にて車幅方向に沿って配置され、車体平面視で前記吸気通路(71)に重なると共に車幅方向外側部分が前記吸気通路(71)よりも車幅方向外側に突出することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の車両の電子スロットル配置構造。
【請求項7】
前記吸気通路(71)は、車体側面視で、前記シリンダ部(41)から後上がりに延びる傾斜で後方へ延びて前記後部メインフレーム(23)の後方に配置された前記エアクリーナ(81)に接続され、
前記駆動モータ(75)は、前記吸気通路(71)の下方、且つ、前記後部メインフレーム(23)よりも前方にて車体上下方向に沿って配置されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の車両の電子スロットル配置構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−11209(P2013−11209A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143784(P2011−143784)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】