説明

車両ドアロック制御装置

【課題】車両セキュリティの確保とユーザ利便性とを適切に両立させた車両ドアロック制御装置を提供すること。
【解決手段】車両に搭載され、ユーザ操作に基づいて、閉められた状態のドアをロック又はアンロックする車両ドアロック制御装置が、ユーザ操作に基づいてドアがアンロックされた後、所定のタイムアウト時間内に、車両ドアの開作動が検出されなかったとき、ドアロックを実行するオートドアロック手段と、ユーザがドアをアンロックしたとき、自車両位置を検出し、検出された自車両位置に基づいて上記所定のタイムアウト時間の長さを決定するタイムアウト時間決定手段とを備える。タイムアウト時間決定手段は、オートドアロック手段によってドアロックされた後、所定期間内に、ユーザからドアアンロックが要求されたとき、そのときの自車両位置を上記所定のタイムアウト時間を延長すべき地点として学習する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、車両に搭載され、ユーザ操作に基づいて、閉められた状態のドアをロック又はアンロックする車両ドアロック制御装置に係り、特に、車両セキュリティの確保とユーザ利便性とを適切に両立させた車両ドアロック制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載され、ユーザ操作に基づいて、閉められた状態のドアをロック又はアンロックする車両ドアロック制御装置が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
特許文献1及び2には、ワイヤレスキーからドアアンロック信号が受信されたとき、ドアロック機構を駆動制御して、ロック状態の車両ドアをアンロック状態にすると共に、このようなワイヤレスドアアンロック操作完了から所定のタイムアウト時間が経過しても車両ドアが開作動されなかったときには、車両のセキュリティを考慮して、車両ドアを自動的にロック状態へ戻す装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献1には、上記のようなワイヤレスドアアンロック操作後に自動的にドアロックされるまでの所定のタイムアウト時間の長さを状況に応じて変えることが記載されている。
【0005】
より具体的には、特許文献1には、1)ドアロックされてから次にドアアンロックされるまでの経過時間が所定時間よりも短い場合には、ユーザは降車しようとしており、ドアアンロック操作は誤操作であると判断して、上記の所定のタイムアウト時間を短くし、2)ドアロックされてから次にドアアンロックされるまでの経過時間が所定時間よりも長い場合には、ユーザは乗車しようとしていると判断して、上記の所定のタイムアウト時間を長くする、ことが記載されている(例えば、段落[0028]〜[0032]の記載など参照)。
【特許文献1】特開平6−108726号公報
【特許文献2】特開平7−052751号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献2記載の従来装置のように、ドアアンロック操作後に自動的にドアロックされるまでのタイムアウト時間が固定的である場合、車両のセキュリティを確保する観点からこのタイムアウト時間を比較的短く設定すると、ドアアンロック操作してもすぐにオートドアロックされてしまい、再度ドアアンロック操作しなければならないため、煩わしい、との印象をユーザに与えてしまう可能性がある。
【0007】
他方、このような煩わしさをユーザに与えないようにする観点から上記タイムアウト時間を比較的長く設定すると、ドアアンロック操作後、車両ドアがアンロック状態のまま放置される許容時間が長くなるため、車両のセキュリティ確保の観点からは好ましくない。
【0008】
この点で、上記特許文献1記載の従来装置のように、ドアアンロック操作後に自動的にドアロックされるまでのタイムアウト時間を可変とすることは方向性としては好ましいと言える。
【0009】
しかしながら、車両のドアがアンロック状態のまま放置されたときに盗難等の被害に遭う確率は、そのときの車両駐車位置(及びその周辺環境)によって大きく変動し得ると考えられる。
【0010】
例えば、自宅の敷地内に駐車している場合と、繁華街の道路上に駐車している場合とでは、後者の方が盗難等の被害に遭う確率は相対的に高い、と言い得る。換言すれば、前者の方がより長い時間、車両ドアがアンロック状態で放置されることが許容される、と言い得る。さらに、例えば、ユーザが自宅の敷地内で駐車した自車両から荷物を出したり、自車両へ荷物を載せたりしている場合には、ドアアンロック操作後、しばらくの間、車両ドアが自動的にロックされない方がユーザ利便性の観点からはむしろ好ましい、とすら言える。
【0011】
上記特許文献1記載の従来装置では、車両駐車位置及びその周辺環境が何ら考慮されておらず、ドアロックからドアアンロックまでの経過時間の長短にのみ基づいて、ドアアンロック操作後に自動的にドアロックされるまでのタイムアウト時間の長さを第一の固定時間長とするか、或いは、第一の固定時間長よりも長い第二の固定時間長とするかが決定されている。
【0012】
このように場所に依らず固定的なタイムアウト時間が用いられると、車両駐車位置によっては、車両のセキュリティ確保が十分でなくなったり、ユーザにオートドアロックまでの時間が短すぎるという印象を与えてしまったりする可能性がある。
【0013】
より具体的には、上記特許文献1記載の従来装置によれば、車両が例えば繁華街などに駐車されている場合には、短い方のタイムアウト時間が用いられたとしても、車両セキュリティが十分に確保できない状況も生じ得る。また、車両が例えば自宅の敷地内などに駐車されている場合には、長い方のタイムアウト時間が用いられたとしても、ユーザにオートドアロックされるまでの時間が短すぎるとの印象を与えてしまう状況も生じ得る。
【0014】
このように、上記特許文献1及び2に開示されたような従来装置では、車両のセキュリティを確保することと、ユーザ利便性とを適切に両立させることができない。
【0015】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、車両セキュリティの確保とユーザ利便性とを適切に両立させた車両ドアロック制御装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、車両に搭載され、ユーザ操作(ワイヤレスキー操作やメカニカルキー操作など)に基づいて、閉められた状態のドアをロック又はアンロックする車両ドアロック制御装置であって、ユーザ操作に基づいてドアがアンロックされた後、所定のタイムアウト時間内に、車両ドアの開作動が検出されなかったとき、ドアロックを実行するオートドアロック手段と、ユーザがドアをアンロックしたとき、自車両位置を検出し、検出された自車両位置に基づいて上記所定のタイムアウト時間の長さを決定するタイムアウト時間決定手段とを有する車両ドアロック制御装置である。
【0017】
上記一態様において、上記タイムアウト時間決定手段は、例えば、検出された自車両位置を地図情報に照らしてその位置において要求されるセキュリティレベルの高さを推定し、この推定されたセキュリティレベルの高さに応じて上記所定のタイムアウト時間の長さを決定する。より具体的には、上記タイムアウト時間決定手段は、例えば、上記地図情報を上記セキュリティレベルの高さの違いに応じて予め複数種類のエリアに分類し、各エリア種類に互いに異なる時間長値を割り当てておき、ユーザがドアをアンロックしたとき、自車両位置を検出し、検出された自車両位置を上記地図情報に照らして該位置が属するエリア種類を特定し、この特定されたエリア種類に割り当てられた時間長値を読み出すことによって、上記所定のタイムアウト時間の長さを決定する。
【0018】
また、上記一態様において、上記ユーザ操作がワイヤレスキー操作である場合、ユーザは、ワイヤレスキー操作によってドアのロック又はアンロックを要求し、上記オートドアロック手段は、ユーザからの要求に基づいてドアアンロックが実行された後、所定のタイムアウト時間内に、車両ドアの開作動が検出されなかったとき、ドアロックを実行し、上記タイムアウト時間決定手段は、ユーザからドアアンロックが要求されたとき、自車両位置を検出し、検出された自車両位置に基づいて前記所定のタイムアウト時間の長さを決定する。
【0019】
上記一態様によれば、ドアアンロック操作後に自動的にドアロックされるまでのタイムアウト時間の長さが車両の位置に応じて決定されるため、当該車両位置の周辺環境に照らして必要且つ十分なセキュリティが確保されるようにタイムアウト時間の長さを決定することによって、車両のセキュリティの確保とユーザ利便性とを適切に両立させることができる。
【0020】
なお、上記一態様において、上記タイムアウト時間決定手段は、上記オートドアロック手段によってドアロックされた後、所定期間内に、ユーザがドアをアンロックしたとき、そのときの自車両位置を上記所定のタイムアウト時間を延長すべき地点として記憶し、検出された自車両位置が上記所定のタイムアウト時間を延長すべき地点を含む所定の領域内に位置すると判断されたとき、検出された自車両位置が上記所定の領域内に位置しないと判断されたときよりも、上記所定のタイムアウト時間を長くする、ことが好ましい。
【0021】
また、上記一態様において、上記タイムアウト時間決定手段が、ユーザがドアをアンロックしたのが昼間であると判断されたとき、夜間であると判断されたときよりも、上記所定のタイムアウト時間を長くしてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、車両セキュリティの確保とユーザ利便性とを適切に両立させた車両ドアロック制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。下記実施例では、一例として、ワイヤレスキー操作によりドアのロック/アンロックが可能なワイヤレスキーシステムが採用されているものとする。
【0024】
なお、ユーザからのワイヤレス操作に基づいて、閉められた状態のドアをロック又はアンロックする車両ドアロック制御装置の基本概念、主要なハードウェア構成、作動原理、及び基本的な制御手法等については当業者には既知であるため、詳しい説明を省略する。
【実施例】
【0025】
以下、図1及び2を参照して、本発明の一実施例に係る車両用ワイヤレスドアロック制御システムについて説明する。
【0026】
図1は、本実施例に係る車両用ワイヤレスドアロック制御システム100の概略構成図である。
【0027】
本実施例に係るワイヤレスドアロック制御システム100は、ユーザによって携帯され、所定のユーザ操作(例えば、所定のボタンの押下、など)によりドアロック/アンロック無線信号を送出するワイヤレスキー101と、図示しない制御対象車両に搭載されるドアロック制御装置102とから成る。
【0028】
ドアロック制御装置102は、概して、1)ワイヤレスキー101から送信されたドアロック無線信号が受信されたときに自車両の車両ドアをロックすると共に、ワイヤレスキー101から送信されたドアアンロック無線信号が受信されたときに自車両の車両ドアをアンロックするワイヤレスドアロック/アンロック機能と、2)ユーザからの要求に応じてワイヤレスドアアンロックを実行した後、所定のタイムアウト時間が経過しても車両ドアの開作動が検出されなかった(ユーザがドアを開けなかった)ときに、車両のセキュリティ確保のために自動的に(すなわち、ユーザ操作に依らずに)ドアロックを実行するオートドアロック機能と、を有する。
【0029】
ドアロック制御装置102は、ワイヤレスキーから送出されたドアロック無線信号及びドアアンロック無線信号を受信するキー信号受信部103を有する。キー信号受信部103は、ワイヤレスキーから送出されたドアロック/アンロック無線信号を受信すると、後述する主制御部107にユーザからドアロック/アンロック操作が要求されたことを伝達する。
【0030】
ドアロック制御装置102は、更に、例えばGPS(Global Positioning System;全地球測位システム)を利用して自車両の位置を検出する自車両位置検出部104を有する。自車両位置検出部104の検出精度(分解能)は高い(細かい)ほど好ましく、例えばRTK(Real Time Kinematic)−GPSなどの高精度GPSが利用されることが好ましい。
【0031】
ドアロック制御装置102は、更に、地図情報を予め記憶保持する記憶部105を有する。記憶部105は、任意の種類・規格の記憶媒体でよい。記憶部105に記憶保持された地図情報は、例えば通信を利用して、最新のバージョン/内容に適宜更新されることが好ましい。また、記憶部105には、後に詳述する学習データが逐次記憶され、蓄積されていくものとする。
【0032】
ドアロック制御装置102は、更に、後述する主制御部107の指示に基づいて、ドアロック機構を駆動制御して、閉じている状態の自車両ドアをロック又はアンロックさせるドアロック機構制御部106を有する。
【0033】
ドアロック制御装置102は、更に、ドアロック制御装置102の各構成要素を統括的に制御する主制御部107を有する。本実施例において、主制御部107は、例えば、ボデーECU(Electronic Control Unit;電子制御装置)である。また、本実施例において、主制御部107には、自車両のドアの開閉作動情報が入力されるものとする。
【0034】
このような構成のドアロック制御装置102において、主制御部107は、ワイヤレスドアアンロック操作後、車両ドアの開動作が検出されなかったときに、車両ドアを自動的にロックするまでのタイムアウト時間の長さを、自車両現在位置において要求されるセキュリティレベルに応じて変更する。
【0035】
ここで、「要求されるセキュリティレベル」とは、当該位置及びその周辺環境に照らして車両の盗難等を防止するためにはどの程度厳重なセキュリティが要求されるのかを表すレベルであり、本実施例においては、「要求されるセキュリティレベル」が高い場合ほど車両ドアをアンロック状態で放置することが許容される時間の長さが短いものとする。
【0036】
本実施例では、このような位置ごとのセキュリティレベルをワイヤレスドアアンロック操作のたびに逐一判定しなくても済むように、記憶部105が記憶保持する地図情報を、予め、要求されるセキュリティレベルに応じて複数のエリアカテゴリに分類しておくものとする。
【0037】
分類の一例としては、例えば、地図情報を、カテゴリ1:ユーザ自宅周辺エリア、カテゴリ2:駅周辺エリア、カテゴリ3:市街地エリア、カテゴリ4:その他のエリア、に分類しておくことが考えられる。
【0038】
記憶部105には、更に、これらエリアカテゴリと、これらエリアカテゴリの各々についてその推定されるセキュリティレベルに応じて予め設定されたタイムアウト時間の長さとの対応関係が、例えばテーブル形式で、記憶保持される。
【0039】
このような構成のドアロック制御装置102における、オートドアロック処理の流れについて、次に、図2のフローチャートを参照して説明する。
【0040】
まず、主制御部107は、キー信号受信部103によってワイヤレスキーから送信されたドアアンロック無線信号が受信されたか否か、すなわちユーザがワイヤレスドアアンロックの実行を要求したか否か、を判定する(S201)。
【0041】
キー信号受信部103がワイヤレスキーから送信されたドアアンロック無線信号を受信したと判断された場合(S201の「YES」)、主制御部107は、ドアロック機構駆動制御部106に指示して車両ドアをアンロックさせると共に、自車両位置検出部104に自車両位置の検出を開始するように指示する(S202)。
【0042】
自車両位置検出部104によって自車両現在位置が(例えば緯度・経度情報として)検出されると、次いで、主制御部107は、この検出された自車両現在位置を記憶部105に予め記憶保持された地図情報に照らして自車両現在位置が属するエリアカテゴリを特定し、その特定されたエリアカテゴリについて予め設定されたタイムアウト時間の長さを読み出すことによって、ワイヤレスドアアンロックが実行されてからオートドアロックが実行されるまでのタイムアウト時間の長さを決定する(S203)。
【0043】
このようにしてオートドアロック実行までのタイムアウト時間の長さが決定されると、次いで、主制御部107は、入力された車両ドア開閉情報から、ドアが開けられたか否かを判定する(S204)。
【0044】
ドアが開けられたと判断された場合(S204の「YES」)、これは、ユーザがワイヤレス操作でドアをアンロックし、ドアを開け、車両に乗り込む、という典型的な一連のユーザ乗車時行動パターンであると判定して、本フローの1ルーチンを終了する。
【0045】
他方、ワイヤレス操作によりドアがアンロックされたにもかかわらず、いまだドアが開けられていないと判断された場合(S204の「NO」)、次いで、主制御部107は、S201におけるユーザ要求に基づいて実行されたドアアンロックが実行完了してからS203で決定されたタイムアウト時間が経過したか否かを判定する(S205)。
【0046】
ワイヤレスドアアンロック完了からいまだタイムアウト時間が経過していない場合(S205の「NO」)、S204に戻って、S203において決定されたタイムアウト時間が経過するまで(すなわち、S205において「YES」となるまで)、車両ドア開作動が待機される。
【0047】
ユーザ要求に基づくワイヤレスドアアンロックが実行完了し、車両ドアがアンロック状態となってから、ドアの開作動が検出されないまま、S203で決定されたタイムアウト時間が経過した場合(S205の「YES」)、主制御部107は、これ以上長い時間、車両ドアをアンロック状態のままとしておくことはセキュリティ上好ましくないと判断し、ドアロック機構駆動制御部106にドアロックを実行するように指示する(S206)。
【0048】
このように、本実施例においては、ワイヤレスドアアンロックが実行完了してから、自車両現在位置に基づいて決定されたタイムアウト時間が経過するまでにドアが開けられなかった場合、ユーザ操作に依らず、自動的にドアを再びロック状態へと戻し、車両のセキュリティを確保する。
【0049】
このようなオートドアロック(S206)が実行された後、主制御部107は、オートドアロック実行完了後、所定時間内に、ユーザからワイヤレスキー101を用いてドアアンロック操作の実行が要求されたか否かを判断する(S207)。
【0050】
オートドアロック完了後、比較的短い所定時間内に、ワイヤレスドアアンロックが要求されなかった場合(S207の「NO」)、主制御部107は、S201において検出されたワイヤレスドアアンロック要求は押し間違い等の誤操作などに起因するものであって、ユーザは、オートドアロック(S206)により車両ドアがロックされ、車両のセキュリティが確保された現在の車両ドアロック状態に満足していると判断して、本フローの1ルーチンを終了する。
【0051】
他方、オートドアロック(S206)実行完了から所定時間内にユーザからワイヤレス操作によってドアアンロックが要求された場合(S207の「YES」)、主制御部107は、自車両現在位置に基づいてS203において決定されたタイムアウト時間の長さがユーザにとっては短すぎた、換言すれば、ユーザはより長いタイムアウト時間を所望していた、と判断して、そのときの自車両現在位置を、自車両現在位置の属するエリアカテゴリについて予め設定された通常のタイムアウト時間の長さよりもタイムアウト時間の長さを延長すべき地点として学習し、記憶部105に記憶保持された地図情報上にカスタマイズ情報として記憶させておく(S208)。
【0052】
このようにしてオートドアロック後すぐにワイヤレスドアアンロック操作が再び行われた場合、そのときの車両位置を学習データとして蓄積しておき、以降、このように学習された位置又はその周辺領域(例えば、学習された位置を中心とした所定半径の円形領域)において自車両が駐車されているときの上記タイムアウト時間を、エリアカテゴリに基づいて予め設定された値よりも、例えば所定時間、長くする。
【0053】
このように、本実施例によれば、ワイヤレス操作によりドアがアンロックされてからオートドアロック機能によりドアがロックされるまでのタイムアウト時間の長さが、そのときの車両の位置に応じて変更されるため、車両周辺の状況に照らしてセキュリティ上必要且つ十分な長さのタイムアウト時間を設定することによって、十分な車両セキュリティを確保しつつ、セキュリティ上許容される限りタイムアウト時間を短くすることができるため、車両のセキュリティの確保とユーザ利便性とを適切に両立させることができる。
【0054】
また、本実施例によれば、オートドアロック完了後、所定時間内に、ユーザによりワイヤレスドアアンロック操作が再度要求されたか否かによって、そのときの自車両現在位置に基づいて決定されたタイムアウト時間の長さがユーザにとって適切な長さであった否かを判定し、必ずしもユーザ所望の長さでなかったと判断された場合には、その車両位置をタイムアウト時間を延長すべき地点として学習し、またこのような学習を繰り返して学習データを蓄積していくことにより、ユーザ所望のタイムアウト時間の長さを実現させることができる。
【0055】
なお、上記一実施例において、ワイヤレスドアアンロック操作が行われたときに、自車両現在位置に加えて、その時の時刻も考慮し、同じ場所でもセキュリティレベルが相対的に低いと考えられる昼間であれば、セキュリティレベルが相対的に高いと考えられる夜間よりも、タイムアウト時間を長くするようにしてもよい。
【0056】
また、上記一実施例において、周辺の動きが慌ただしいところほど危険度が比較的高く、人っ子一人いないところほど危険度が比較的低いであろうとの洞察に基づき、アンロック後、一定時間の間、周辺監視カメラによる画像認識や画像処理によって周辺の状況、例えば、周辺に存在する人の数、通過した人の数、車両の数、通過した車両の数、画像の変化量などに基づいて、タイムアウト時間を増減してもよい。
【0057】
この場合、車両側にアレイアンテナを使用したり、ワイヤレスキーにGPSを内蔵させたりすることによって、ドアをアンロックした操作者の方向を検知し、アンロックした操作者は加味しないことが望ましい。これにより、アンロックした操作者の動きによって短時間にロックされてしまうことが防止される。アンロックした操作者の動きが捉えられている間は、当然、タイムアウト時間を延長するものとしてもよい。
【0058】
また、上記一実施例において、ユーザが乗車しようとしているにもかかわらずロックされてしまうことを防止するために、アンロック後、ワイヤレスキーと受信機をタイムアウト時間の間、一定時間間隔で通信させ、ワイヤレスキーからの電波強度が所定値以上又は増加基調の場合には、タイムアウト時間を延長するようにしてもよい。ここでは、電波強度の代わりに、ワイヤレスキーにGPSを内蔵させ、車両からの距離が近くなりつつあることを検出するようにしてもよい。
【0059】
また、上記一実施例においては、地図情報を要求されるセキュリティレベルに応じて複数のエリアカテゴリに分類する場合の一例として、地図情報を、カテゴリ1:ユーザ自宅周辺エリア、カテゴリ2:駅周辺エリア、カテゴリ3:市街地エリア、カテゴリ4:その他のエリア、に分類するものとしたが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではない。例えば、車両が停車している施設に着目し、施設の種類/属性に応じて、カテゴリ1:警察署、消防署など、カテゴリ2:官公庁、学校、墓地など、カテゴリ3:公園、デパートなど、カテゴリ4:コンビニエンスストア、ゲームセンター、パチンコ店など、のようによりきめ細かに分類するものとしてもよい。
【0060】
加えて、このようなエリアカテゴリの分類は、国ごとに変更されることが好ましい。なぜなら、国それぞれの国民の考えによってセキュリティの考え方が異なるからである。共通の装置が設定の変更により各国のカテゴリ分類に対応するようにして、機器の共通化が図られることが好ましい。
【0061】
さらに、上記一実施例においては、一例として、ワイヤレスキー操作によりドアがロック/アンロックされるワイヤレスキーシステムが採用されていることを前提としたが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、車両側に時限式のロック機構が備えられている場合、ドアのロック/アンロックがメカニカルキーにより行われる車両であっても本発明は適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、車両に搭載され、ユーザ操作に基づいて、閉められた状態のドアをロック又はアンロックする車両ドアロック制御装置に利用できる。搭載される車両の動力源種類、燃料種類、外観デザイン、重量、サイズ、走行性能等はいずれも不問である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施例に係るワイヤレスドアロック制御システムの概略構成図である。
【図2】本発明の一実施例に係るワイヤレスドアロック制御システムによるオートドアロック処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
100 ワイヤレスドアロック制御システム
101 ワイヤレスキー
102 ドアロック制御装置
103 キー信号受信部
104 自車両位置検出部
105 記憶部
106 ドアロック機構駆動制御部
107 主制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、ユーザ操作に基づいて、閉められた状態のドアをロック又はアンロックする車両ドアロック制御装置であって、
ユーザ操作に基づいてドアがアンロックされた後、所定のタイムアウト時間内に、車両ドアの開作動が検出されなかったとき、ドアロックを実行するオートドアロック手段と、
ユーザがドアをアンロックしたとき、自車両位置を検出し、検出された自車両位置に基づいて前記所定のタイムアウト時間の長さを決定するタイムアウト時間決定手段と、を有することを特徴とする車両ドアロック制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両ドアロック制御装置であって、
前記タイムアウト時間決定手段は、検出された自車両位置を地図情報に照らして該位置において要求されるセキュリティレベルの高さを推定し、この推定されたセキュリティレベルの高さに応じて前記所定のタイムアウト時間の長さを決定する、ことを特徴とする車両ドアロック制御装置。
【請求項3】
請求項2記載の車両ドアロック制御装置であって、
前記タイムアウト時間決定手段は、前記地図情報を前記セキュリティレベルの高さの違いに応じて予め複数種類のエリアに分類し、各エリア種類に互いに異なる時間長値を割り当てておき、ユーザがドアをアンロックしたとき、自車両位置を検出し、検出された自車両位置を前記地図情報に照らして該位置が属するエリア種類を特定し、この特定されたエリア種類に割り当てられた時間長値を読み出すことによって、前記所定のタイムアウト時間の長さを決定する、ことを特徴とする車両ドアロック制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項記載の車両ドアロック制御装置であって、
前記タイムアウト時間決定手段は、前記オートドアロック手段によってドアロックされた後、所定期間内に、ユーザがドアをアンロックしたとき、そのときの自車両位置を前記所定のタイムアウト時間を延長すべき地点として記憶する、ことを特徴とする車両ドアロック制御装置。
【請求項5】
請求項4記載の車両ドアロック制御装置であって、
前記タイムアウト時間決定手段は、検出された自車両位置が前記所定のタイムアウト時間を延長すべき地点を含む所定の領域内に位置すると判断されたとき、検出された自車両位置が前記所定の領域内に位置しないと判断されたときよりも、前記所定のタイムアウト時間を長くする、ことを特徴とする車両ドアロック制御装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項記載の車両ドアロック制御装置であって、
前記タイムアウト時間決定手段は、ユーザがドアをアンロックしたのが昼間であると判断されたとき、夜間であると判断されたときよりも、前記所定のタイムアウト時間を長くする、ことを特徴とする車両ドアロック制御装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項記載の車両ドアロック制御装置であって、
ユーザは、ワイヤレスキー操作によってドアのロック又はアンロックを要求し、
前記オートドアロック手段は、ユーザからの要求に基づいてドアアンロックが実行された後、所定のタイムアウト時間内に、車両ドアの開作動が検出されなかったとき、ドアロックを実行し、
前記タイムアウト時間決定手段は、ユーザからドアアンロックが要求されたとき、自車両位置を検出し、検出された自車両位置に基づいて前記所定のタイムアウト時間の長さを決定する、ことを特徴とする車両ドアロック制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−88737(P2008−88737A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−271993(P2006−271993)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】