説明

車両ホイールの製造方法

【課題】 エッジでの塗膜付着が良好な車両ホイールを製造する。
【解決手段】 鋳造工程で、飾り穴を有するディスク部10とリム部20とを一体に鋳造する。加工工程では、ディスク部10にハブ穴12とボルト穴13を明けるとともに、リム部20の内外周面およびディスク部10裏面を切削する。面取り工程では、鋳肌面からなる飾り穴11の内周面と切削面からなるディスク部10裏面との境のエッジE1の面取りを行なう。さらにバレル研磨を行なって意匠面側のエッジE2〜E5の処理を行なう。また、回転ブラシ54によりブラシ研磨を行ない、エッジE1を研磨する。最後に塗装を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルミ等の軽合金製の車両ホイールを鋳造により製造する方法に関し、特に鋳造されたホイールを研磨する工程およびこの工程に用いられるブラシ研磨機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、鋳造されたアルミ製の車両ホイールを塗装することを開示している。この塗装の際に、スポークエッジ等に塗膜が良好に付着されないことがあり、長期使用により錆が発生する問題があることも開示している。特許文献1では、塗装材料を工夫することにより上記エッジでの錆発生を防止しようとするものである。
【特許文献1】特開平2−18101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1のように、塗装材料の工夫によりエッジでの錆発生を防止するには限界があった。
本願発明者は、鋳肌面と切削面との境のエッジを、手作業でバフ研磨することにより、エッジでの塗膜付着を良好にすることを試みた。しかし、手作業のため生産性が低くコスト高となってしまった。また、研磨にバラツキが生じ、塗装後の検査で不良品と判別される割合を低減することができなかった。
【0004】
なお、本出願人は先に異なる目的で本願発明に似た工程を有する車両ホイール製造方法を出願している(特願2004−183030号)。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、車両ホイールの製造方法において、鋳造車両ホイールを塗装する前に、上記ディスク部裏面における飾り穴形成領域にブラシを当て、このブラシをディスク部の中心軸線を中心する回転軌跡に沿って回転することにより、上記飾り穴の内周面とディスク部裏面との境のエッジを研磨することを特徴とする。
この方法によれば、ブラシ研磨により、飾り穴内周面とデイスク部裏面との境のエッジを研磨するので、研磨工程の生産性を向上でき、かつ研磨のバラツキを無くしてエッジでの塗膜付着を良好に行なうことができる。
【0006】
さらに本発明は、(a)飾り穴を有するディスク部とリム部とを一体に鋳造する工程と、(b)上記ディスク部にハブ穴とボルト穴を明けるとともに、ディスク部裏面を切削する加工工程と、(c)塗装工程と、を実行する車両ホイールの製造方法において、上記塗装工程の前に、バレル研磨工程とブラシ研磨工程とを実行し、ブラシ研磨工程では、上記ディスク部裏面における飾り穴形成領域にブラシを当て、このブラシをディスク部の中心軸線を中心する回転軌跡に沿って回転することにより、上記飾り穴の内周面とディスク部裏面との境のエッジを研磨することを特徴とする。
この方法によれば、バレル研磨により、ハブ穴やボルト穴の意匠面側のエッジ等を研磨し、ブラシ研磨により、飾り穴内周面とデイスク部裏面との境のエッジを研磨するので、研磨工程の生産性を向上でき、かつ研磨のバラツキを無くしてエッジでの塗膜付着を良好に行なうことができる。
【0007】
さらに本発明は、(a)飾り穴を有するディスク部とリム部とを一体に鋳造する工程と、(b)上記ディスク部にハブ穴とボルト穴を明けるとともに、ディスク部裏面を切削する加工工程と、(c)塗装工程と、を実行する車両ホイールの製造方法において、
上記塗装工程の前に、ブラシ研磨工程を実行し、ブラシ研磨工程では、上記ディスク部裏面における飾り穴形成領域にブラシを当て、このブラシをディスク部の中心軸線を中心する回転軌跡に沿って回転することにより、上記飾り穴の内周面とディスク部裏面との境のエッジを研磨するとともに、上記ディスク部意匠面にブラシを当て、このブラシをディスク部の中心軸線を中心する回転軌跡に沿って回転することにより、上記ハブ穴,ボルト穴の内周面とディスク部意匠面との境のエッジを研磨することを特徴とする。
この方法によれば、意匠面側のブラシ研磨により、ハブ穴やボルト穴の意匠面側のエッジを研磨し、裏面側のブラシ研磨により、飾り穴内周面とデイスク部裏面との境のエッジを研磨するので、研磨工程の生産性を向上でき、かつ研磨のバラツキを無くしてエッジでの塗膜付着を良好に行なうことができる。
【0008】
好ましくは、上記ブラシ工程に先立ち鋳肌面からなる上記飾り穴の内周面と切削面からなる上記ディスク部裏面との境のエッジの面取りを行なう面取り工程を実行する。
これによれば、ブラシ研磨の負担を軽減することができる。
【0009】
好ましくは、上記ディスク部裏面のブラシ研磨において、上記ブラシは、少なくとも上記飾り穴形成領域の全領域を占めるように配置されている。これにより、効率良くブラシ研磨を行なうことができる。
好ましくは、上記ブラシをそれぞれ略同時間、正逆方向に回転させる。これにより、飾り穴内周面とデイスク部裏面との境のエッジをほぼ均等に研磨できる。
【0010】
好ましくは、上記ブラシ研磨により、上記飾り穴の内周面とディスク部裏面との境のエッジを、曲率半径0.5mm以上になるように研磨し、上記塗装工程において、当該エッジでの塗膜が10ミクロン以上になるように塗装する。これにより、長期にわたって確実にエッジでの錆発生を防止できる。
【0011】
本発明はさらに、車両ホイール研磨用のブラシ研磨機において、回転円盤と、この回転円盤を回転駆動する駆動手段と、この回転円盤の一方の面に設けられたブラシとを備え、
上記回転円盤がホイールのディスク部と同軸をなしてホイールのリム部の内側に収容され、上記ブラシがホイールのディスク部裏面において少なくとも飾り穴の形成領域の全領域に当てられた状態で、回転円盤が回転することにより、飾り穴の内周面とディスク部裏面との境のエッジを研磨することを特徴とする。
このブラシ研磨機によれば、飾り穴の内周面とディスク部裏面との境のエッジを、効率良くかつバラツキなく研磨することができる。
【0012】
好ましくは、上記ブラシは、多数のブラシ要素からなり、各ブラシ要素は砥粒を担持した多数のフィラメントを保持部材で束ねることにより構成され、このブラシ要素の保持部材が回転円盤の保持穴に着脱可能に嵌め込まれる。これによれば、ブラシ要素の交換が可能なため、ブラシ研磨機の保守が簡単であり、常に良好なブラシ研磨を行なうことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、エッジ処理の生産性を高めることができ、しかもバラツキなくエッジ処理を行なえるので、エッジでの塗膜付着を良好に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は車両ホイールの製造方法を工程順に示す。まず、工程S1で、アルミ溶湯を鋳型に鋳込んで低圧鋳造を行なう。
【0015】
上記鋳造により、図2,図3に示すように、ディスク部10とリム部20を一体に有する車両ホイール1が得られる。この鋳造時に、ディスク部10にはリム部20近傍における環状領域に複数の飾り穴11が形成される。この飾り穴11は周方向に間隔をおいて形成され、これら飾り穴11間の部位がスポーク部15として提供される。なお、図2,図3ではハブ穴12,ボルト穴13,バルブ穴14が示されているが、鋳造段階ではこれら穴12〜14が形成されない。
【0016】
次の工程S2で、鋳造により生じたリム部20の外周に張り出すバリを取る。
次の工程S3で、熱処理を行なう。
【0017】
次の工程S4で、旋盤加工と穴明け加工を行なう。
上記旋盤加工により、ディスク部10の裏面の全領域が切削される。これにより、ディスク部10の裏面中央部には平坦なハブ取付面16が形成され、飾り穴11の周縁に残されたバリも除去される。また、この旋盤加工により、リム部20の内周面および外周面が削られ、リム部20の寸法出しが行なわれる。
【0018】
上記穴明け加工により、ディスク部10の中央にハブ穴12が形成され、ハブ穴12を囲うように周方向に間隔をおいて複数のボルト穴13が形成され、1つの飾り穴11の内周面からリム部20の外周面に抜けるバルブ穴14が形成される。なお、ボルト穴13の意匠面側は大径のナットを収容のためのナット収容凹部13aとなっている。
【0019】
上記穴明け加工および旋盤加工により形成された切削面を、図3において太線で示し、残された鋳肌面を細線で示す。鋳肌面は、ディスク部10の意匠面に残されるとともに、飾り穴11の内周面に残されている。
【0020】
図2、図3に示すように、上記鋳肌面と切削面との境にはエッジE1〜E5が形成される。エッジE1は、飾り穴11の内周面とディスク部10の裏面との境に形成される。エッジE2は、ハブ穴12の内周面とディスク部10の意匠面との境に形成される。エッジE3は、ナット収容凹部13aとディスク部10の意匠面との境に形成される。エッジE4は、バルブ穴14の内周面と飾り穴11の内周面との境に形成される。エッジE5はリム部20のリムフランジ切削端面と意匠面との境に形成される。
【0021】
図7は飾り穴11のエッジE1の鋳造工程S1直後の断面形状を示す。上記旋盤工程でディスク部10の裏面を、一点鎖線L1まで切削することにより、エッジE1は図8に示す形状になる。
【0022】
次の工程S5で、ペンシルグラインダを用いて飾り穴11のエッジE1を図8の一点鎖線L2まで面取りする。この面取りにより、上記旋盤加工で生じた加工ばり(かえり)も除去できる。なお、ペンシルグラインダは、先端に研磨部を有する回転工具であり、ペンシルグラインダを手で持ち研磨部を回転させながら、飾り穴11のエッジE1に沿って移動させることにより、面取りを行なう。
【0023】
上記面取り工程S5は、ペンシルグラインダによる面取りを実行するだけでもよいが、バフ研磨を行なってもよい。このバフ研磨はペンシルグラインダによる面取りで生じたエッジE1の波打ち(意匠面側から見た時の凹凸)を無くすもので、軸部を軸方向に振動させる工具を用いる。この工具の軸部の先端部は偏平形状をなしており、この先端部に布製バフが取り付けられている。布製バフを面取りされたエッジE1の面に当てるとともに軸方向振動させながら、工具をエッジE1に沿って移動させることにより、バフ研磨を行なって上記波打を解消する。
【0024】
上記面取り工程により、エッジE1は、図9(A)に示すように面取りされた形状になる。この面取り部Mと鋳肌面との境および面取り部Mとディスク部裏面との境には、新たに鈍角の局所エッジE1’,E1”が形成される。
【0025】
上記面取り工程では、エッジE2〜E5の面取りも同様にして行なう。
【0026】
次の工程S6で、バレル研磨を行う。本実施形態では湿式のバレル研磨を行なう。詳述すると、図4に示すようにタンク30には数mm程度のセラミック球等からなる研磨材31が収容されている。ホイール1は、回転シャフト35の先端にチャックを介して固定され研磨材31中に埋没されている。回転シャフト35は、回転されるとともに(周期的に正転と逆転を繰り返す)、振動を付与される。また、回転シャフト35は、回転と振動と同時に上下動したり揺動する。
【0027】
上記バレル研磨により、上記エッジE2〜E5を十分に研磨して丸めることができる。しかし、飾り穴11のエッジE1では、図9(B)に示すように面取り部Mと鋳肌面との境の局所エッジE1’は丸められるものの、面取り部Mと裏側切削面との境の局所エッジE1”は丸められず変形されて残る。
【0028】
次の工程S7ではエッジE1のブラシ研磨を行う。この工程では図5に示すように、ホイール保持機40とブラシ研磨機50を用いる。ホイール保持機40は、水平に設置された円環状の位置決め台41と、この位置決め台41の真上に位置して昇降可能な押さえ台42とを備えている。ホイール1のリム部20の裏面側のリムフランジを位置決め台41に載せて位置決めした後、押さえ台42を下降させてホイール1の意匠面側のリムフランジを押さえることにより、ホイール1を保持するようになっている。
【0029】
上記ブラシ研磨機50は、位置決め台41の中心軸線上に垂直に起立する回転シャフト51と、この回転シャフト41を回転駆動する駆動手段52と、この回転シャフト51の上端に固定された回転円盤53と、回転円盤53の上面において外周縁近傍の環状領域に設けられた円環状のブラシ54によって構成されている。
【0030】
上記ブラシ54は、図6に示す多数のブラシ要素54aからなる。このブラシ要素54aは、多数のフィラメント54bの一端部を口金54c(保持部材)で束ねることにより形成されている。この口金54cを上記回転円盤53の環状領域に形成された保持穴53aに着脱可能に嵌め込むことにより、フィラメント54bが起立状態となる。
【0031】
上記フィラメント54bは例えばナイロン(商品名)等のポリアミドからなり、30%の混入率で研磨砥粒を担持している。この研磨砥粒は例えばシリコンカーバイトからなり、番手#60,直径1.125mmである。
【0032】
上記のようにしてホイール1がホイール保持機40にセットされた状態で、ブラシ54のフィラメント54bの上端は、ディスク部10の裏面において飾り穴11が形成された環状の領域に当たる。この状態で駆動手段52を駆動すると、ブラシ54が回転して飾り穴11のエッジE1を研磨する。これにより、図9(C)に示すように、局所エッジE1”が無くなり、エッジE1の処理が完了する。なお、ブラシ54の回転は、正逆方向に同じ時間だけ行なう。このブラシ研磨により、エッジE1の曲率半径は0.5mm以上1mm以下、本実施形態では0.7mmとなる。
【0033】
次の工程S8では、塗装を行なう。詳述すると、最初に粉体塗装により下塗り塗装を行ない、さらにカラー塗装(例えばシルバー色)を行ない,最後に透明な上塗り塗装を行なう。本実施形態では、意匠面において、粉体塗装による樹脂塗膜の厚さが100ミクロン程度、カラー塗膜の厚さが30ミクロン程度、上塗り塗膜の厚さが30ミクロン程度であり、合計160ミクロン程度である。
【0034】
上記塗装工程において、ボルト穴13の内周面およびナット座,ハブ穴12の内周面(但し意匠面側端部を除く),ハブ取付面16では、全ての塗装が禁じられる。リム部20に関しては薄く下塗り塗膜だけが形成される。
【0035】
上記塗装工程により、上述したエッジE1〜E5にも塗膜が付着される。エッジE2〜E5は、上記バレル研磨により良好に処理されて丸められているので、塗膜が良好に付着される。またエッジE1はブラシ研磨により良好に処理されて丸められているので、図9(C)に示すように、塗膜60が良好に付着され、10ミクロン以上、本実施形態では20〜30ミクロン程度の厚さを確保される。
【0036】
上記のようにエッジE1〜E5が塗膜に覆われていてアルミ地金が露出しないので、長期使用による錆発生を防止できる。
【0037】
本実施形態による図9(C)に示す塗膜60を、図9(A),図9(B)に示す塗膜61,62と比較する。図9(A)に想像線で示す塗膜61は、面取り工程後にバレル研磨,ブラシ研磨の工程を経ずに塗装工程を行なった場合に形成されるものである。また、図9(B)に想像線で示す塗膜62はバレル研磨工程後にブラシ研磨を経ずに塗装工程を行なった場合に形成されるものである。塗膜61,62は局所エッジE1’,E1”で極端に薄くなるか殆ど形成されないので、長期使用により錆の発生を免れない。
【0038】
上述したように、バレル研磨によりエッジE2〜E5の人手による研磨工程を省くことができ、ブラシ研磨によりエッジE1の人手による研磨工程を省くことができる。そのため、研磨のバラツキが解消された。また、バレル研磨はホイール1個当たり3〜4分であり、ブラシ研磨も2分弱で済むので、人手による研磨(ホイール1個当たり20〜30分)に比べて生産性が大幅に向上した。
【0039】
上記塗装工程の後に、行なう試験について説明する。上記エッジE1〜E5に電極を当てて導通試験を行なうが、これらエッジE1〜E5には良好に塗膜が形成されているので、非導通となる。実際の導通試験では、100%非導通となった。これに対して人手でバフ研磨した場合、非導通率が80%程度であった。
【0040】
さらに、キャス(cass)試験を行なってみたところ、本実施形態による車両ホイールでは合格率が100%であったのに対して、人手でバフ研磨した場合、合格率が80%程度であった。なお、キャス試験は、50°Cに設定された試験槽に5%の塩水と0.027%の塩化第二銅(2水和物)の混合液を噴霧して試験片の腐食性および耐食性を評価するものである。
【0041】
本発明は上記実施形態に制約されず、種々の形態を採用可能である。例えば、ブラシ研磨の後にバレル研磨を行なうようにしてもよい。エッジE1に関しては、ブラシ研磨だけで図9(C)の断面形状にすることができる。
【0042】
ブラシ研磨の際、保持機構は、意匠面側または裏面側のリムフランジを把持することにより、車両ホイールを保持してもよい。
ブラシ研磨機において、ブラシ要素54aを回転円盤上において自転させるように構成してもよい。
ブラシは、回転円盤に円環状ではなくほぼ全領域に設けてもよい。
ブラシは、ループ状にしたフィラメントを回転円盤に植え付けてもよい。
ブラシ研磨は、図5の状態を上下逆にして行なうこともできる。
【0043】
図5に示す姿勢で車両ホイールのリムフランジを保持機構で把持し、図示のブラシ研磨機を上下に配置して、車両ホイールの裏面のみならず意匠面をもブラシ研磨してもよい。この場合、上側のブラシは、回転円盤の略全領域に設けられ、意匠面側を研磨し、ひいてはハブ穴12,ボルト穴13,バルブ穴14の内周面(切削面)と意匠面(鋳肌面)との境のエッジを研磨する。そのため、バレル研磨が不要となる。
【0044】
エッジ処理において人手による研磨を補助的に行なってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態をなす車両ホイールの製造方法を工程順に示す図である。
【図2】加工工程を経た車両ホイールの正面図である。
【図3】加工工程を経た車両ホイールの縦断面図であり、切削面を太線で示す。
【図4】バレル研磨工程を示す概略縦断面図である。
【図5】ブラシ研磨工程を示す縦断面図である。
【図6】ブラシ研磨工程で用いられるブラシ要素を示す正面図である。
【図7】ディスク裏面を切削する旋盤工程を示す飾り穴エッジ近傍の拡大断面図である。
【図8】飾り穴エッジにおける面取り工程を示す拡大断面図である。
【図9】飾り穴エッジの拡大断面図であり、(A)は面取り後、(B)はバレル研磨後,(C)はブラシ研磨および塗装後の形状を示す。
【符号の説明】
【0046】
1 車両ホイール
10 ディスク部
11 飾り穴
12 ハブ穴
13 ボルト穴
20 リム部
50 ブラシ研磨機
52 駆動手段
53 回転円盤
53a 保持凹部
54 ブラシ
54a ブラシ要素
54b フィラメント
54c 口金(保持部材)
E1〜E5 エッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳造車両ホイールを塗装する前に、上記ディスク部裏面における飾り穴形成領域にブラシを当て、このブラシをディスク部の中心軸線を中心する回転軌跡に沿って回転することにより、上記飾り穴の内周面とディスク部裏面との境のエッジを研磨することを特徴とする車両ホイールの製造方法。
【請求項2】
(a)飾り穴を有するディスク部とリム部とを一体に鋳造する工程と、
(b)上記ディスク部にハブ穴とボルト穴を明けるとともに、ディスク部裏面を切削する加工工程と、
(c)塗装工程と、
を実行する車両ホイールの製造方法において、
上記塗装工程の前に、バレル研磨工程とブラシ研磨工程とを実行し、ブラシ研磨工程では、上記ディスク部裏面における飾り穴形成領域にブラシを当て、このブラシをディスク部の中心軸線を中心する回転軌跡に沿って回転することにより、上記飾り穴の内周面とディスク部裏面との境のエッジを研磨することを特徴とする車両ホイールの製造方法。
【請求項3】
(a)飾り穴を有するディスク部とリム部とを一体に鋳造する工程と、
(b)上記ディスク部にハブ穴とボルト穴を明けるとともに、ディスク部裏面を切削する加工工程と、
(c)塗装工程と、
を実行する車両ホイールの製造方法において、
上記塗装工程の前に、ブラシ研磨工程を実行し、ブラシ研磨工程では、上記ディスク部裏面における飾り穴形成領域にブラシを当て、このブラシをディスク部の中心軸線を中心する回転軌跡に沿って回転することにより、上記飾り穴の内周面とディスク部裏面との境のエッジを研磨するとともに、上記ディスク部意匠面にブラシを当て、このブラシをディスク部の中心軸線を中心する回転軌跡に沿って回転することにより、上記ハブ穴,ボルト穴の内周面とディスク部意匠面との境のエッジを研磨することを特徴とする車両ホイールの製造方法。
【請求項4】
上記ブラシ工程に先立ち鋳肌面からなる上記飾り穴の内周面と切削面からなる上記ディスク部裏面との境のエッジの面取りを行なう面取り工程を実行することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両ホイールの製造方法。
【請求項5】
上記ディスク部裏面のブラシ研磨において、上記ブラシは、少なくとも上記飾り穴形成領域の全領域を占めるように配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両ホイールの製造方法。
【請求項6】
上記ブラシをそれぞれ略同時間、正逆方向に回転させることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の車両ホイールの製造方法。
【請求項7】
上記ブラシ研磨により、上記飾り穴の内周面とディスク部裏面との境のエッジを、曲率半径0.5mm以上になるように研磨し、上記塗装工程において、当該エッジでの塗膜が10ミクロン以上になるように塗装することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の車両ホイールの製造方法。
【請求項8】
回転円盤と、この回転円盤を回転駆動する駆動手段と、この回転円盤の一方の面に設けられたブラシとを備え、
上記回転円盤がホイールのディスク部と同軸をなしてホイールのリム部の内側に収容され、上記ブラシがホイールのディスク部裏面において少なくとも飾り穴の形成領域の全領域に当てられた状態で、回転円盤が回転することにより、飾り穴の内周面とディスク部裏面との境のエッジを研磨することを特徴とする車両ホイール研磨用のブラシ研磨機。
【請求項9】
上記ブラシは、多数のブラシ要素からなり、各ブラシ要素は砥粒を担持した多数のフィラメントを保持部材で束ねることにより構成され、このブラシ要素の保持部材が回転円盤の保持穴に着脱可能に嵌め込まれることを特徴とする請求項8に記載の車両ホイール研磨用のブラシ研磨機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−106285(P2007−106285A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−299730(P2005−299730)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(000110251)トピー工業株式会社 (255)
【Fターム(参考)】