説明

車両位置測定装置及び車両位置測定プログラム

【課題】車両の位置を高精度に特定することができるようにする。
【解決手段】レーザーレンジファインダ3により距離が測定された地物のカメラ画像上での位置を特定し、その地物のカメラ画像上での位置から上記地物の形状及び色を検出する形状色検出部19と、形状色検出部19により検出された地物の形状及び色が基準地物の形状及び色と一致する場合、位置情報記録部11から上記基準地物の正確な位置情報を取得する位置情報取得部20とを設け、車両位置算出部21が位置情報取得部20により取得された基準地物の正確な位置情報とレーザーレンジファインダ3により測定された地物までの距離から車両1の位置を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の位置を高精度に測定することが可能な車両位置測定装置及び車両位置測定プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、屋外測位に関しては、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信して測位する方法が主流となっている。
しかしながら、高層建造物の多い都市部等では、測定場所からGPS衛星が見えず(例えば、測定場所がビルの谷間である場合、GPS衛星がビルに隠れてしまうことがある)、測定環境が悪くなることがある。
測定環境が悪い場合には、全く位置を測定できない状況や、測定できても誤差が大きくなる状況が発生する。
【0003】
この測定誤差を解消する手法として、地図と地物の距離を用いて、測定位置を補正する手法がある。
例えば、以下の特許文献1では、レーダを用いて、車両から地物までの距離を測定し、また、以下の特許文献2では、ステレオカメラを用いて、車両から地物までの距離を測定し、車両から地物までの距離によって測定位置を補正する車両位置測定装置が開示されている。
しかし、特許文献1,2に開示されている車両位置測定装置では、あくまでも、道路の地図データに基づいて現在の位置を推定して、その位置を補正するものであるため、その位置が補正されても、その位置の精度が地図の精度に依存するものである。
ここでの地図の精度は、地図上の道路の精度の他に、どの程度の正確性をもって、地物が地図に記載されているかという意味も含んでいる。
【0004】
特許文献1,2に開示されている車両位置測定装置では、主に、車両が現在どの車線上に存在しているかを特定することを主眼とするものであって、車両の正確な位置を特定するものではない。
これに加えて、特許文献1,2に開示されている車両位置測定装置では、地物の形状等を把握する手段がないため、レーダやステレオカメラを用いて、車両から地物までの距離を測定しても、その測定した距離が、地物のどの辺りを測定したものであるのかが分からない。
このため、レーダやステレオカメラにより測定された距離を用いても、位置を正確に補正することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−218848号公報(段落番号[0016]、図1)
【特許文献2】特開2007−232690号公報(段落番号[0029]、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の車両位置測定装置は以上のように構成されているので、レーダやステレオカメラを用いて、車両から地物までの距離を測定しても、その測定した距離が、地物のどの辺りを測定したものであるのかが分からない。このため、レーダやステレオカメラにより測定された距離を用いて、測定した車両の位置を補正しても、車両の正確な位置を特定することができないなどの課題があった。
【0007】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、車両の位置を高精度に特定することができる車両位置測定装置及び車両位置測定プログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る車両位置測定装置は、車両の周囲を撮影して周囲の画像を取得する画像取得手段と、車両から周囲に存在している地物までの距離を測定する距離測定手段と、距離測定手段により距離が測定された地物の画像上での位置を特定し、その地物の画像上での位置から上記地物の形状及び色を検出する形状色検出手段と、形状色検出手段により検出された地物の形状及び色が基準地物の形状及び色と一致する場合、位置情報記録手段から上記基準地物の正確な位置情報を取得する位置情報取得手段とを設け、車両位置算出手段が位置情報取得手段により取得された基準地物の正確な位置情報と距離測定手段により測定された地物までの距離から車両の位置を算出するようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、車両の周囲を撮影して周囲の画像を取得する画像取得手段と、車両から周囲に存在している地物までの距離を測定する距離測定手段と、距離測定手段により距離が測定された地物の画像上での位置を特定し、その地物の画像上での位置から上記地物の形状及び色を検出する形状色検出手段と、形状色検出手段により検出された地物の形状及び色が基準地物の形状及び色と一致する場合、位置情報記録手段から上記基準地物の正確な位置情報を取得する位置情報取得手段とを設け、車両位置算出手段が位置情報取得手段により取得された基準地物の正確な位置情報と距離測定手段により測定された地物までの距離から車両の位置を算出するように構成したので、車両の位置を高精度に特定することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1による車両位置測定装置により位置が測定される車両を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による車両位置測定装置を示す構成図である。
【図3】この発明の実施の形態1による車両位置測定装置の処理内容を示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態1による車両位置測定装置における形状色検出部19の処理内容を示すフローチャートである。
【図5】信号機を模式的に示す説明図である。
【図6】地物がトンネルである場合の距離測定点を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による車両位置測定装置により位置が測定される車両を示す構成図である。
図1において、車両1は車両位置測定装置により現在の位置が測定される被測定対象である。
カメラ2は車両1に設置され、車両1の前方上部(周囲)を撮影して、前方上部の画像を示す画像データを出力する処理を実施する。
レーザーレンジファインダ3は車両1に設置され、車両1の前方上部に存在している地物(例えば、信号機、標識、トンネル)までの距離を測定し、その地物までの距離を示す距離データを出力する処理を実施する。
【0012】
GPS受信機4はGPS衛星から送信されるGPS信号を受信し、そのGPS信号を用いて車両1の位置を測定する処理を実施する。
GPS受信機4の測定結果は、主に、後述する位置情報取得部20が基準地物の正確な位置情報を取得する際に利用するものであり、車両位置測定装置の算出結果として出力するものではない。
ここでは、GPS信号を用いて車両1の位置を測定するものについて示したが、例えば、ジャイロによる角度・加速度の測定結果や、車両速度・車輪の回転数・ハンドル角度などの車両情報を用いて車両1の位置を測定するようにしてもよい。
【0013】
図2はこの発明の実施の形態1による車両位置測定装置を示す構成図である。
図2において、位置情報記録部11は予め特徴的な形状及び色を有している基準地物の正確な位置情報を記録している例えばハードディスクなどの記録媒体である。
ここで、基準地物は、例えば、道路上に存在する全ての信号機等でもよいが、全ての信号機等の正確な位置情報を事前に測定しておくことは困難であるため、この実施の形態1では、道路上に存在する一部の信号機等を想定している。
なお、位置情報記録部11は位置情報記録手段を構成している。
【0014】
制御部12はカメラ2の撮影時刻、レーザーレンジファインダ3の測定時刻及びレーザーレンジファインダ3の走査角度などを制御する処理を実施する。
画像データ取得部13はカメラ2から出力された画像データを取得して、その画像データを画像データ格納部14に記録するとともに、カメラ2の撮影時刻を撮影時刻格納部15に記録する処理を実施する。
画像データ格納部14は画像データを格納する例えばハードディスクなどの記録媒体である。
撮影時刻格納部15はカメラ2の撮影時刻を格納する例えばハードディスクなどの記録媒体である。
なお、カメラ2及び画像データ取得部13から画像取得手段が構成されている。
【0015】
距離データ取得部16はレーザーレンジファインダ3から出力された距離データを取得して、その距離データを距離データ格納部17に記録するとともに、レーザーレンジファインダ3の測定時刻を測定時刻格納部18に記録する処理を実施する。
距離データ格納部17は距離データを格納する例えばハードディスクなどの記録媒体である。
測定時刻格納部18はレーザーレンジファインダ3の測定時刻を格納する例えばハードディスクなどの記録媒体である。
なお、レーザーレンジファインダ3及び距離データ取得部16から距離測定手段が構成されている。
【0016】
形状色検出部19は画像データ格納部14により格納されている画像データ、撮影時刻格納部15により格納されているカメラ2の撮影時刻、距離データ取得部16により格納されている距離データ及び測定時刻格納部18により格納されているレーザーレンジファインダ3の測定時刻を用いて、レーザーレンジファインダ3により距離が測定された地物の上記画像上での位置を特定し、その地物の画像上での位置から上記地物の形状及び色を検出する処理を実施する。なお、形状色検出部19は形状色検出手段を構成している。
【0017】
位置情報取得部20は形状色検出部19により検出された地物の形状及び色が基準地物の形状及び色と一致する場合、GPS受信機4により測定された位置を参照して、位置情報記録部11により記録されている基準地物の位置情報の中から、上記地物に対応する基準地物の位置情報を取得する処理を実施する。なお、位置情報取得部20は位置情報取得手段を構成している。
車両位置算出部21は位置情報取得部20により取得された基準地物の正確な位置情報と距離データ格納部17により格納されている距離データから車両1の位置を算出する処理を実施する。なお、車両位置算出部21は車両位置算出手段を構成している。
【0018】
図2の例では、車両位置測定装置の構成要素である制御部12、画像データ取得部13、距離データ取得部16、形状色検出部19、位置情報取得部20及び車両位置算出部21のそれぞれが専用のハードウェア(例えば、CPUを実装している半導体集積回路)で構成されているものを想定しているが、車両位置測定装置がコンピュータで構成される場合、制御部12、画像データ取得部13、距離データ取得部16、形状色検出部19、位置情報取得部20及び車両位置算出部21の処理内容が記述されている車両位置測定プログラムを当該コンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されている車両位置測定プログラムを実行するようにしてもよい。
【0019】
図3はこの発明の実施の形態1による車両位置測定装置の処理内容を示すフローチャートであり、また、図4はこの発明の実施の形態1による車両位置測定装置における形状色検出部19の処理内容を示すフローチャートである。
【0020】
次に動作について説明する。
カメラ2は、制御部12の指示の下、車両1の前方上部を定期的に撮影して、前方上部の画像を示す画像データを画像データ取得部13に出力する。
画像データ取得部13は、カメラ2から画像データを受けると、その画像データを画像データ格納部14に記録するとともに、そのカメラ2の撮影時刻を撮影時刻格納部15に記録する。
【0021】
レーザーレンジファインダ3は、制御部12の指示の下、車両1の前方上部に存在している地物(例えば、信号機、標識、トンネル)までの距離を測定して、その地物までの距離を示す距離データを距離データ取得部16に出力する。
ここで、制御部12は、レーザーレンジファインダ3から送出されるレーザーの角度を定期的に変化させることで、レーザーレンジファインダ3が車両1の前方上部を走査するようにする(図1を参照)。
また、制御部12は、カメラ2の撮影頻度より、レーザーレンジファインダ3の測定頻度の方が高くなるように、カメラ2の撮影時刻とレーザーレンジファインダ3の測定時刻を制御する。
距離データ取得部16は、レーザーレンジファインダ3から距離データを受けると、その距離データを距離データ格納部17に記録するとともに、そのレーザーレンジファインダ3の測定時刻を測定時刻格納部18に記録する。
【0022】
ここで、カメラ2が車両1の前方上部を撮影し、レーザーレンジファインダ3が車両1の前方上部に存在している地物までの距離を測定している理由は下記の通りである。
車両1の進行方向に対して左右方向には、例えば、建物、街路樹、標識などの地物が多数配置されている。
一方、車両前方は、通路であるが故に、地物が上方にのみ存在しており、存在している地物の種類も限られる。存在している地物としては、信号機、陸橋やトンネルの上部、標識などに限られる。
このため、車両の左右方向に存在している地物を検知するよりも、車両の前方上部に存在している地物を検知する方が好条件(見落としなどの検知間違いが少ない可能性が高い)であるため、カメラ2が車両1の前方上部を撮影し、レーザーレンジファインダ3が車両1の前方上部に存在している地物までの距離を測定している。
【0023】
この実施の形態1では、これらの地物のうち、特徴的な形状を有する地物を検知対象とすることで、より検知を容易にすることを考える。
この実施の形態1では、例えば、「同形状の物体が3つ並んでいる」「並び順・色順が決まっている」という特徴を有する信号機を検知対象の地物とする。
図5は信号機を模式的に示す説明図である。
レーザーレンジファインダ3により測定された距離とカメラ画像による色関係から、信号機に当たったレーザーの色情報を並べることで、「赤・黄・青(ないしは緑)」の組がほぼ同数並ぶことになる。後述する形状色検出部19では、このことを検知することにより信号機の形状及び色を検出する。
【0024】
形状色検出部19は、画像データ格納部14により格納されている画像データ、撮影時刻格納部15により格納されているカメラ2の撮影時刻、距離データ取得部16により格納されている距離データ及び測定時刻格納部18により格納されているレーザーレンジファインダ3の測定時刻を用いて、レーザーレンジファインダ3により距離が測定された地物のカメラ画像上での位置を特定し、その地物のカメラ画像上での位置から上記地物の形状及び色を検出する(図3のステップST1)。
以下、形状色検出部19の処理内容を具体的に説明する。
【0025】
まず、形状色検出部19は、車両1におけるカメラ2の設置位置及び設置角度と、車両1におけるレーザーレンジファインダ3の設置位置及び設置角度とが異なるので(ただし、カメラ2とレーザーレンジファインダ3の設置位置及び設置角度は既知である)、レーザーレンジファインダ3の測定結果である距離データをカメラ2の相対座標に変換する(図4のステップST11)。
レーザーレンジファインダ3の測定データをカメラ2の相対座標に変換する処理自体は公知の技術であるため詳細な説明を省略するが、例えば、レーザーレンジファインダ3の測定結果を3次元回転・平行移動することで計算することができる。
【0026】
形状色検出部19は、レーザーレンジファインダ3の測定データをカメラ2の相対座標に変換すると、変換後の測定データのカメラ画像上での位置を特定する。
ただし、変換後の測定データのカメラ画像上での位置を特定する際、レーザーレンジファインダ3による距離データの測定頻度が、カメラ2による画像データの撮影頻度よりも高いので、その距離データをカメラ2の撮影時における車両の位置からの距離・位置に補正する必要がある。
そこで、形状色検出部19は、撮影時刻格納部15により格納されているカメラ2の撮影時刻と、測定時刻格納部18により格納されているレーザーレンジファインダ3の測定時刻とを参照して、実際に、レーザーレンジファインダ3により距離が測定された時点の車両位置と、その前にカメラ2により撮影された時点の車両位置との差(画像撮影時点の車両位置に対する距離測定時点の車両位置の相対位置)を計算する(ステップST12)。
なお、レーザーレンジファインダ3により距離が測定された時点の車両位置と、カメラ2により撮影された時点の車両位置としては、例えば、GPS受信機4の測定結果を利用するようにしてもよいし、後述する車両位置算出部21による過去の算出結果を利用するようにしてもよい。
【0027】
形状色検出部19は、画像撮影時点の車両位置と距離測定時点の車両位置との差を計算すると、それらの車両位置の差を、先にカメラ2の相対座標に変換している距離データに加算することで、レーザーレンジファインダ3により距離が測定された地物のカメラ画像上での位置を計算する(ステップST13)
地物のカメラ画像上での位置を計算するに際して、カメラ2の諸元(例えば、画像サイズ、焦点距離など)は既知であるとする。
【0028】
形状色検出部19は、レーザーレンジファインダ3により距離が測定された地物のカメラ画像上での位置を計算すると、その位置における画像の色を確認して、当該地物の色を特定する
即ち、形状色検出部19は、地物が存在するカメラ画像上の位置の画素の色を当該地物の色とする(ステップST14)。
形状色検出部19は、連続する一定時間内の距離データに対して、ステップST11〜ST14の処理を繰り返し実施することで、地物における複数の点の位置を求めて、地物の形状や地物の内部の色を把握する。
【0029】
位置情報取得部20は、形状色検出部19が地物の形状及び色を検出すると、その地物の形状及び色が基準地物の形状及び色と一致するか否かを判別する(図3のステップST2)。
即ち、位置情報取得部20は、例えば、基準地物が信号機である場合、図5に示すように、地物の色として、「赤・黄・青(緑)」が連続して現れているか否かを確認し、「赤・黄・青(緑)」が連続して現れていれば、「赤・黄・青(緑)」の形状が円形として現れているか否かを確認する。
なお、形状が円形であるか否かを確認するに際して、「赤・黄・青(緑)」の連続が高さ方向で上下にも同様の形で現れている(連続して現れる個数が前後して現れている)か否かを確認する。
【0030】
位置情報取得部20は、形状色検出部19により検出された地物の形状及び色が基準地物の形状及び色と一致する場合、GPS受信機4により測定された位置を参照して、その地物に対応する基準地物の位置情報が位置情報記録部11により記録されているか否かを確認する(ステップST3)。
例えば、GPS受信機4により測定された位置にレーザーレンジファインダ3による距離データを加算して、地物の概略の位置を求め、その概略の位置に近い位置を示す位置情報は、基準地物の位置情報であると判断する。
GPS受信機4により測定された位置は誤差を含み、地物の正確な位置を求めることはできないが、基準地物である信号機は、1〜2mの間に何個も設置されることはないので、多少の誤差は許容される。
ここでは、GPS受信機4により測定された位置を用いて、地物の概略の位置を求めているが、例えば、車両1が走っている道路の情報を参照して、基準地物である信号機を推測するようにしてもよい。
【0031】
位置情報取得部20は、形状色検出部19により形状及び色が検出された地物に対応する基準地物の正確な位置情報が位置情報記録部11により記録されていれば、その基準地物の正確な位置情報を車両位置算出部21に出力する。
【0032】
車両位置算出部21は、位置情報取得部20から基準地物である信号機の正確な位置情報を受けると、その正確な位置情報と距離データ格納部17により格納されている距離データから車両1の位置を算出する。
以下、車両位置算出部21における車両1の位置算出処理を具体的に説明する。
【0033】
車両位置算出部21は、レーザーレンジファインダ3の測定結果である距離データを用いて、地物である信号機と車両1の相対位置を算出する(ステップST4)。
例えば、基準地物である信号機の位置情報として、信号機の黄色信号の中心の位置が測定されている場合、その信号機の黄色信号の中心の位置と車両1の相対位置を算出する。
車両位置算出部21は、地物である信号機と車両1の相対位置を算出すると、基準地物である信号機の正確な位置情報が示す信号機の真の位置を把握し、信号機の位置の座標系と、車両1の位置の座標系を合わせた上で、信号機の真の位置を上記の相対位置分だけ平行移動することで、車両1の位置を算出する(ステップST5)。
【0034】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、レーザーレンジファインダ3により距離が測定された地物のカメラ画像上での位置を特定し、その地物のカメラ画像上での位置から上記地物の形状及び色を検出する形状色検出部19と、形状色検出部19により検出された地物の形状及び色が基準地物の形状及び色と一致する場合、位置情報記録部11から上記基準地物の正確な位置情報を取得する位置情報取得部20とを設け、車両位置算出部21が位置情報取得部20により取得された基準地物の正確な位置情報とレーザーレンジファインダ3により測定された地物までの距離から車両1の位置を算出するように構成したので、車両1の位置を高精度に特定することができる効果を奏する。
この場合、車両位置算出部21により算出される位置の誤差は、レーザーレンジファインダ3の誤差と信号機の位置測定時の誤差によるが、GPS信号を受信して測位する場合と比べて高精度な測位が可能である。
【0035】
なお、信号機は、各色が同時に2色点灯することはないため、状況によっては、1色しか取得できない場合がある。
その場合、同一の場所を複数回通過することによって、同一の場所を何度も取得し、信号の色すべてを取得する。この場合、取得時間に応じて位置関係がずれる可能性が高いが、信号機の認識の段階で多少のずれを許容することで目的は達成することができる。
【0036】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、基準地物が信号機である例を示したが、基準地物が信号機であるものに限るものではなく、例えば、基準地物が標識であってもよい。
標識も信号機と同様に、特徴的な形状と色を有している。
標識は、信号機と異なり、明滅がないため色の変化が少ない。また、信号機と同様に、道路上方に配置されることもあり、標識を検知対象の地物とすることができる。
【0037】
実施の形態3.
上記実施の形態1では、基準地物が信号機である例を示したが、基準地物が信号機であるものに限るものではなく、例えば、トンネルの入口のような場所を基準地物としてもよい。
トンネルの場合、信号機や標識と異なり、「車両上方が空いている(測定した距離データが存在しない)」ことを確認することで認識することができる(図6を参照)。
【符号の説明】
【0038】
1 車両、2 カメラ(画像取得手段)、3 レーザーレンジファインダ(距離測定手段)、4 GPS受信機、11 位置情報記録部(位置情報記録手段)、12 制御部、13 画像データ取得部(画像取得手段)、14 画像データ格納部、15 撮影時刻格納部、16 距離データ取得部(距離測定手段)、17 距離データ格納部、18 測定時刻格納部、19 形状色検出部(形状色検出手段)、20 位置情報取得部(位置情報取得手段)、21 車両位置算出部(車両位置算出手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め特徴的な形状及び色を有している基準の地物の正確な位置情報を記録している位置情報記録手段と、車両の周囲を撮影して周囲の画像を取得する画像取得手段と、上記車両から周囲に存在している地物までの距離を測定する距離測定手段と、上記距離測定手段により距離が測定された地物の上記画像上での位置を特定し、上記地物の画像上での位置から上記地物の形状及び色を検出する形状色検出手段と、上記形状色検出手段により検出された地物の形状及び色が基準地物の形状及び色と一致する場合、上記位置情報記録手段から上記基準地物の正確な位置情報を取得する位置情報取得手段と、上記位置情報取得手段により取得された基準地物の正確な位置情報と上記距離測定手段により測定された地物までの距離から上記車両の位置を算出する車両位置算出手段とを備えた車両位置測定装置。
【請求項2】
画像取得手段が車両の前方上部を撮影し、距離測定手段が車両の前方上部に存在している地物までの距離を測定することを特徴とする請求項1記載の車両位置測定装置。
【請求項3】
地物が道路上の信号機であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両位置測定装置。
【請求項4】
地物が道路上の標識であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両位置測定装置。
【請求項5】
地物がトンネルであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両位置測定装置。
【請求項6】
予め特徴的な形状及び色を有している基準の地物の正確な位置情報を記録する位置情報記録処理手順と、車両の周囲を撮影して周囲の画像を取得する画像取得処理手順と、上記車両から周囲に存在している地物までの距離を測定する距離測定処理手順と、上記距離測定処理手順により距離が測定された地物の上記画像上での位置を特定し、上記地物の画像上での位置から上記地物の形状及び色を検出する形状色検出処理手順と、上記形状色検出処理手順により検出された地物の形状及び色が基準地物の形状及び色と一致する場合、上記位置情報記録処理手順から上記基準地物の正確な位置情報を取得する位置情報取得処理手順と、上記位置情報取得処理手順により取得された基準地物の正確な位置情報と上記距離測定処理手順により測定された地物までの距離から上記車両の位置を算出する車両位置算出処理手順とをコンピュータに実行させるための車両位置測定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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