説明

車両内通信システム、車両内通信システムの構築方法、中継機器、光ファイバ固定具及び光ファイバ余長調整具

【課題】複数の光ファイバのうちのいくつかの光ファイバが断線などの不具合が発生した場合であっても、既存の中継機器を用いて一の光ファイバが接続されていれば通信を行なうことができ、中継機器の低コスト化及び小型化を実現することができる車両内通信システムなどを提供する。
【解決手段】光ファイバ30a,30bの光経路長を略同一とすることによって、2本の光ファイバを経由して光信号が伝送された場合であっても、ECU11及びECU12には同一のタイミングで光信号が伝送されるようにする。つまり、2本の光ファイバ30a,30bを経由して光信号が伝送されようと(図2(a))、また、いずれの光ファイバ(光ファイバ30a)のみを経由して光信号が伝送されようと(図2(b))、光信号を確実に通信先の中継機器へ伝送することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ伝送路による車両内通信の信頼性を向上すべく、自動車に搭載される主に制御系LANの基幹通信媒体として利用される車両内通信システム、車両内通信システムの構築方法、中継機器、光ファイバ固定具及び光ファイバ余長調整具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な分野でネットワークが構築されており、自動車においても、いわゆる車両内ネットワークが形成されている。この車両内ネットワークにおいては、複数の車載機器が互いに接続され、情報の共有化が実現されている。自動車用では、例えば、ドア周りの電装品(ガラス窓の開閉、ミラー動作、エアコン動作など)の制御にみられる多重通信や、ナビゲーションシステムに必要な地図情報を伝送する手段として利用されている。近年では、高速かつ大容量のデータを安定して通信すべく光ファイバ伝送路による車両内通信システムに関する研究が行なわれている。
【0003】
ところで、上述したような情報は、自動車の安全性に関わる情報ではなく、通信に不具合が発生した場合であっても乗員に危害が加わるものではない。ところが、近年、搭乗者のみならず通行人など周辺の人々に対する安全を確保し、交通事故の減少を目指した取り組みが行なわれている。例えば、自動車に組み込まれた様々なセンサからの情報に基づいて、自動車自体が車両の動きを自動制御して運転者の操作を支援する運転支援システムが提案されている。
【0004】
しかしながら、運転支援システムを構築する場合、各種機器のみならず伝送媒体となる光ケーブルの信頼性向上が不可欠の要素であり、事故などによって車両が損傷した場合であっても、通信を安定して行なうことが必須の条件である。
【0005】
そこで、光伝送路を二重化などの冗長化を行なって、いずれかの光伝送路が正常であれさえすれば、ノード間通信を可能ならしめる技術が考案されている。例えば、特許文献1には、冗長化された入力端子及び出力端子と、各入力端子への入力信号光の位相を相互に調整して合波する位相調整部と、該位相調整部からの出力信号光を所定レベルに増幅する光増幅器と、該光増幅器の出力信号光を各出力端子へ分岐する分岐部とを備えた中継機器が開示されている。このような中継機器においては、位相調整部が各入力端子への入力信号光の位相を調整して合波し、一方の光伝送路に障害が発生しても、他方の光伝送路からの入力信号光を光増幅器で所定のレベルに増幅した後、この光増幅器の出力信号光を分岐部が各出力端子へ分岐して出力することにより、ノード間において二重化などの冗長化されている光伝送路に接続された中継機器において、入力側のいずれかの光伝送路が正常であればノード間通信が可能となる。
【特許文献1】特開2005−80108号公報
【特許文献2】特開平4−151110号公報
【特許文献3】特開2000−121884号公報
【特許文献4】特開2003−149457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1においては、各入力信号光の位相を相互に調整して合波する位相調整部が必須であり、中継機器に位相調整部を設ける必要がある。したがって、冗長性を考慮した通信システムを構築する場合、既存の中継機器を取り替える必要がある。したがって、既存の中継機器が無駄になるとともに、中継機器の低コスト化及び小型化には限界があるという問題があった。
【0007】
位相調整部を設けない場合は複数の光伝送路による光信号には以下のような問題が発生する。図9は2本の光ファイバ伝送路による車両内通信における光信号のタイミングチャートであり、図9(a)は一方の光ファイバを経由して中継機器に伝送された光信号を、図9(b)は他方の光ファイバを経由して中継機器に伝送された光信号を、図9(c)は両方の光信号が重畳された光信号を示す。
【0008】
図9に示すように、光信号(b)は光信号(a)より遅延したタイミングで中継機器に伝送される。したがって、一方の光ファイバのみを経由して光信号が伝送された場合、光信号は´010100110…´となり、他方の光ファイバのみを経由して光信号が伝送された場合、光信号は´000101001…´となり、情報が相違する。さらに、両方の光ファイバを経由して光信号が伝送された場合、光信号(c)は´010101111…´となり、上述のいずれの情報とも異なる。なお、光信号(c)は、光信号(b)及び光信号(a)の和となることから、信号レベルが異なるが、受光素子の受光感度が同図点線のように設定することで、信号レベルの強弱が問題となることはない。
【0009】
このように、位相調整部を設けない場合は、光伝送路の経路によって光信号の中継機器におけるタイミングに相違が発生するという問題がある。
【0010】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、光経路長が略同一の複数の光ファイバで複数の車載機器間を接続する構成とすることにより、複数の光ファイバのうちのいくつかの光ファイバが断線などの不具合が発生した場合であっても、既存の中継機器を用いて一の光ファイバが接続されていれば通信を行なうことができ、中継機器の低コスト化及び小型化を実現することができる車両内通信システム及び車両内通信システムの構築方法の提供を目的とする。
【0011】
本発明では、入力された複数の光信号を重畳して出力する必要があり、そのための光信号分岐部が必要ある。光信号分岐部には、例えば、2つの光伝送路を経由してきた光信号を内部に入射させるとともに、内部を伝播してきた信号光を二分する光分岐器を活用することができる(特許文献2及び特許文献3参照。)。このような光分岐器は、光送信時及び光受信時で接続の切り替えが不要で構成が簡単であるという利点を有する。
【0012】
しかしながら、特許文献2及び特許文献3においては、車両内通信システムの構築及び保守点検などの際に、光ファイバを経由して光信号が実際に伝送されているか否かを調べるには、中継機器に到達している光信号を機器によって調べる必要があった。
【0013】
そこで本発明の他の目的は、各光信号入力端子に入力された光信号を重畳し、重畳された光信号を複数に分岐し、分岐された一の光信号を視認するための視認窓を設ける構成とすることにより、光信号が到達しているか否かを極めて容易に確認することができる車両内通信システム及び中継装置を提供することにある。
【0014】
ところで、本発明では、光経路長が略同一の複数の光ファイバで複数の車載機器間を接続することから、光ファイバに余長部分が発生することがある。そこで、光ファイバの余長部分を適切に処置することが好ましい。特許文献4には、許容される最小の曲率半径よりも大きな曲率半径で丸めたプラスチック光ファイバコードの余長部分を載置するための基台と、その基台に立設し余長部分の円弧外側に接触して余長部分の広がりを規制する壁部と、その壁部よりも外側に位置しプラスチック光ファイバコードを引き込み、引き出すコード入出口と、基台に対し少なくとも余長部分の厚みを確保した間隔で対向する余長押さえ部とを備えたプラスチック光ファイバコードの余長収納治具が開示されている。このような余長収納治具においては、プラスチック光ファイバコードの余長部分を収納してこれを保護することができ、光損失の増大を抑えて通信不能となることを防止することができる。
【0015】
しかしながら、特許文献4においては、誰が作業を行っても同等な仕上がり及び損失値の再現が得られるが、それは、余長部分を収納して保護するための構成要素が存在するからであり、その構成要素を配置するためには空間が必要である。特に、自動車のような限られた空間においては、構成要素が少なく、かつ空間を極力不必要とし、余長部分を適切に処置できる技術が要望されている。
【0016】
そこで本発明の他の目的は、光ファイバが屈曲された場合であっても、屈曲による曲げ損失が発生することがなく、極めて簡単に光ファイバを固定することができる光ファイバ固定具を提供することにある。
【0017】
また本発明は、光ファイバの余長部分を束ねる作業をすることなく、極めて簡単に余長部分を調整することができ、また余長部分の長さを容易に視認でき、さらに余長部分の外観の印象が優れた光ファイバ余長調整具の提供を目的とする。
【0018】
さらに本発明は、光ファイバの余長調整を行なった場合であっても、屈曲による曲げ損失が発生することのない光ファイバ余長調整具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
第1発明に係る車両内通信システムは、複数の車載機器が接続された車両内通信システムにおいて、前記複数の車載機器間は、光経路長が略同一の複数の光ファイバで接続されていることを特徴とする。
【0020】
第1発明にあっては、複数の車載機器間を光経路長が略同一の複数の光ファイバで接続する。光経路長が略同一であることから、一の光ファイバを経由して光信号が伝送された場合と、複数の光ファイバを経由して光信号が伝送された場合とで、一の車載機器から他の車載機器へ略同一のタイミングで光信号が到達する。したがって、事故など車両にトラブルが生じ、複数の光ファイバのうちのいくつかの光ファイバが断線などの不具合が発生した場合であっても、一の光ファイバが接続されていれば通信を行なうことができる。
【0021】
第2発明に係る車両内通信システムは、中継機器を経由して複数の車載機器が接続された車両内通信システムにおいて、前記中継機器は、複数の光信号を入力するための複数の光信号入力端子と、該複数の光信号入力端子に入力された光信号を重畳して出力するための光信号出力端子とを備え、各光信号入力端子には光経路長が略同一の複数の光ファイバが接続されていることを特徴とする。
【0022】
第2発明にあっては、中継機器を経由して複数の車載機器を接続する。中継機器には、複数の光信号を入力するための複数の光信号入力端子と、各光信号入力端子に入力された光信号を重畳して出力するための光信号出力端子とを設け、各光信号入力端子に光経路長が略同一の複数の光ファイバを接続する。光経路長が略同一であることから、一の光ファイバを経由して光信号が中継機器へ伝送された場合と、複数の光ファイバを経由して光信号が中継機器へ伝送された場合とで、略同一のタイミングで光信号が到達する。したがって、事故など車両にトラブルが生じ、複数の光ファイバのうちのいくつかの光ファイバが断線した場合であっても、一の光ファイバが中継機器に接続されていれば通信を行なうことができる。
【0023】
第3発明に係る車両内通信システムは、前記中継機器が、前記複数の光信号入力端子に入力された光信号を重畳し、重畳された光信号を複数に分岐するための光信号分岐部と、該光信号分岐部によって分岐された一の光信号を視認するための視認窓とを備えることを特徴とする。
【0024】
第3発明にあっては、中継機器が、各光信号入力端子に入力された光信号を重畳し、重畳された光信号を複数に分岐し、分岐された一の光信号を視認するための視認窓を設ける。これにより、車載機器から中継機器へ光信号が到達しているか否かを視認窓で確認することができる。また、視認窓から出射される光強度によって正常に伝送されている光ファイバの本数を把握することも可能である。後者は、例えば、2本の光ファイバで接続されている場合、両光ファイバを経由して中継機器に到達したときの光強度は、一方の光ファイバを経由して中継機器に到達したときの光強度と比べて高くなることによる。
【0025】
第4発明に係る車両内通信システムの構築方法は、複数の光信号を入力するための複数の光信号入力端子、及び該複数の光信号入力端子に入力された光信号を重畳して出力する光信号出力端子を備える中継機器を経由して複数の車載機器が接続された車両内通信システムの構築方法であって、光経路長が略同一の複数の光ファイバを敷設し、敷設した各光ファイバを前記光信号入力端子に接続することを特徴とする。
【0026】
第4発明にあっては、先ず、光経路長が略同一の複数の光ファイバを敷設し、次いで、敷設した各光ファイバを光信号入力端子に接続する。複数の光ファイバを別々に敷設した後に、適宜の接続処理を行なえるので、作業が極めて簡単になり、作業効率が向上する。
【0027】
第5発明に係る中継機器は、複数の車載機器間を接続し、該車載機器間の通信を中継するための中継機器において、複数の光信号を入力するための複数の光信号入力端子と、該複数の光信号入力端子に入力された光信号を重畳し、重畳された光信号を複数に分岐するための光信号分岐部と、該光信号分岐部によって分岐された光信号のうちの一の光信号を出力するための光信号出力端子と、前記光信号分岐部によって分岐された光信号のうちの他の一の光信号を視認するための視認窓とを備えることを特徴とする。
【0028】
第5発明にあっては、複数の光信号を入力するための複数の光信号入力端子と、各光信号入力端子に入力された光信号を重畳し、重畳された光信号を複数に分岐し、分岐された一の光信号を視認するための視認窓を設ける。これにより、光信号が到達しているか否かを視認窓で確認することができる。また、視認窓から出射される光強度によって正常に伝送されている光ファイバの本数を把握することも可能である。
【0029】
第6発明に係る中継機器は、前記光信号分岐部が配置されたハウジングを備え、該ハウジングの端面に前記視認窓が配置されていることを特徴とする。
【0030】
第6発明にあっては、ハウジングに光信号分岐部を配置し、さらに、ハウジングの端面に視認窓を配置する。視認窓がハウジングの端面に配置されているので、光信号が到達しているか否かを容易に確認することができる。また、視認窓から出射される光強度によって正常に伝送されている光ファイバの本数を把握することも可能である。
【0031】
第7発明に係る中継機器は、前記ハウジングの端面から延出された光ファイバを備え、該光ファイバの先端に前記光信号出力端子が配置されていることを特徴とする。
【0032】
第7発明にあっては、先端に光信号出力端子が配置された光ファイバをハウジングの端面から延出する。これにより、使用形態に応じて光ファイバのファイバ長を予め決定しておけば、光ファイバを屈曲させることによって、光ファイバの先端に配置された光信号出力端子を接続先に容易に接続することができる。
【0033】
第8発明に係る中継機器は、前記ハウジングの端面から延出された複数の光ファイバを備え、各光ファイバの先端に各光信号入力端子が配置されていることを特徴とする。
【0034】
第8発明にあっては、先端それぞれに光信号入力端子が配置された複数の光ファイバをハウジングの端面から延出する。これにより、使用形態に応じて光ファイバのファイバ長を予め決定しておけば、光ファイバを屈曲させることによって、光ファイバの先端に配置された光信号入力端子を接続先に容易に接続することができる。
【0035】
第9発明に係る光ファイバ固定具は、光ファイバを固定するための光ファイバ固定具において、貫通孔を有するリング状のガイド部と、該ガイド部の表面に配置され、光ファイバを固定するための固定部とを備え、前記固定部は、前記光ファイバの許容される最小の曲率半径よりも大きい曲率半径を有する一対の円柱状をなし、該円柱状の固定部の間隙に光ファイバが配置されるようにしてあることを特徴とする。
【0036】
第9発明にあっては、光ファイバの許容される最小の曲率半径よりも大きい曲率半径の円柱状をなす固定部に光ファイバを固定する。これにより、光ファイバが屈曲された場合であっても、この固定部の側壁がストッパとして機能し、光ファイバの許容される最小の曲率半径以上に屈曲されたことはなく、屈曲による曲げ損失が発生することはない。
【0037】
第10発明に係る光ファイバ固定具は、前記固定部の円柱状の側壁に、光ファイバの外周の一部と嵌合するガイド溝を有し、該ガイド溝によって光ファイバが固定されるようにしてあることを特徴とする。
【0038】
第10発明にあっては、固定部の円柱状の側壁に光ファイバの外周の一部と嵌合するガイド溝を有する。これにより、このガイド溝に光ファイバの一部を嵌合することによって、光ファイバをガイド部に簡単に固定することができる。また同様に、光ファイバをガイド部から簡単に取り外すことができる。
【0039】
第11発明に係る光ファイバ余長調整具は、光ファイバの余長部分を調整するための光ファイバ余長調整具において、第9発明又は第10発明の一対の光ファイバ固定具と、該一対の光ファイバ固定具の各貫通孔に挿入されるチューブとを備えることを特徴とする。
【0040】
第11発明にあっては、上述の光ファイバ固定具を一対と、光ファイバ固定具のガイド部の各貫通孔に挿入されるチューブとを備えることにより、一方の光ファイバ固定具のガイド部をチューブの周りに回転させることによって、ファイバの余長部分を容易に調整することができる。したがって、光ファイバの余長部分を束ねる作業をすることなく、極めて簡単に余長部分を処理することができる。また、余長部分がチューブの周囲に捲きつけられているので外観の印象がよい。
【0041】
第12発明に係る光ファイバ余長調整具は、前記チューブが、所定の外形半径を有する円柱筒状をなしていることを特徴とする。
【0042】
第12発明にあっては、チューブが所定の外形半径を有する円柱筒状をなす。これにより、余長部分をチューブの周囲に捲きつけても、光ファイバの極率半径がチューブの外形半径より小さくなることはない。したがって、所定の外形半径を光ファイバの許容される最小の曲率半径以上とすることで、光ファイバの許容される最小の曲率半径以上に屈曲されたことはなく、屈曲による曲げ損失が発生することはない。
【0043】
第13発明に係る光ファイバ余長調整具は、一方のガイド部の他方のガイド部に対する回転数によって前記光ファイバの余長部分が調整されていることを特徴とする。
【0044】
第13発明にあっては、一方のガイド部の他方のガイド部に対する回転数によって光ファイバの余長部分を調整する。チューブの周囲に捲きつけられている余長部分の回転数によって、余長部分の長さを視認することができる。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、複数の車載機器間が光経路長が略同一の複数の光ファイバで接続されていることから、事故など車両にトラブルが生じ、複数の光ファイバのうちのいくつかの光ファイバが断線などの不具合が発生した場合であっても、一の光ファイバが接続されていれば通信を行なうことができる。複数の光伝送路により冗長化された場合であっても、位相調整部を設ける必要がないので、既存の中継機器を有効活用することができ、既存の中継機器が無駄になることはない。したがって、車両に複数の光伝送路を設けさえすれば、従来の車両内通信システムの信頼性を向上させることができる。
【0046】
本発明によれば、各光信号入力端子に入力された光信号を重畳し、重畳された光信号を複数に分岐し、分岐された一の光信号を視認するための視認窓を設けたことから、車載機器から中継機器へ光信号が到達しているか否かを視認窓で容易かつ確実に確認することができる。また、視認窓から出射される光強度によって正常に伝送されている光ファイバの本数を把握することもでき、車両内通信システムの構築及び保守点検などの際に極めて有用である。
【0047】
本発明によれば、先ず、光経路長が略同一の複数の光ファイバを敷設し、次いで、敷設した各光ファイバを光信号入力端子に接続することから、車両内通信システム構築の際の作業が極めて簡単になり、作業効率が向上する。
【0048】
本発明によれば、先端に光信号出力端子又は光信号入力端子が配置された光ファイバが中継機器のハウジングの端面から延出されていることから、使用形態に応じて光ファイバのファイバ長を予め決定しておけば、光ファイバを屈曲させることによって、光ファイバの先端に配置された光信号出力端子又は光信号入力端子を接続先に容易に接続することができ、車両内通信システムの構築及び保守点検などの際に極めて有用である。また、中継機器を取り替える際も、取替作業が極めて簡単であり、作業効率が向上する。
【0049】
本発明によれば、光ファイバの許容される最小の曲率半径よりも大きい曲率半径の円柱状をなす固定部に光ファイバが固定されることから、光ファイバが屈曲された場合であっても、この固定部の側壁がストッパとして機能し、光ファイバの許容される最小の曲率半径以上に屈曲されたことはなく、屈曲による曲げ損失が発生することはない。したがって、光信号の信号レベルを下げることができ、低出力レベルの発光素子を用いて低消費電力化を実現することができる。
【0050】
本発明によれば、固定部の円柱状の側壁に設けたガイド溝に光ファイバの一部を嵌合することによって、光ファイバをガイド部に簡単に固定することができ、また、光ファイバをガイド部から簡単に取り外すことができることから、作業効率を向上させることができる。
【0051】
本発明によれば、一方の光ファイバ固定具のガイド部をチューブの周りに回転させることによって、ファイバの余長部分を容易に調整することができることから、光ファイバの余長部分を束ねる作業をすることなく、極めて簡単に余長部分を処理することができる。また、余長部分がチューブの周囲に捲きつけられているので外観の印象がよい。チューブにはメタル配線などを挿入することによって、メタル配線に加わる応力がなくなり、メタル配線の断線を防止することが可能である。さらに、必要な構成要素が少ないことから、車両のような限られた空間に用いるのに好適である。
【0052】
本発明によれば、チューブが所定の外形半径を有する円柱筒状をなすことから、チューブの外形半径を光ファイバの許容される最小の曲率半径以上とすることで、光ファイバの許容される最小の曲率半径以上に屈曲されたことはなく、屈曲による曲げ損失が発生することはない。したがって、光信号の信号レベルを下げることができ、低出力レベルの発光素子を用いて低消費電力化を実現することができる。
【0053】
本発明によれば、一方のガイド部の他方のガイド部に対する回転数によって光ファイバの余長部分を調整することから、チューブの周囲に捲きつけられている余長部分の回転数によって、余長部分の長さを視認することができる等、優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0055】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る車両内通信システムの構成を示す斜視図である。
本発明の実施の形態1に係る車両内通信システムは、各種のECUが本発明に係る中継機器を経由して接続された構成をしている。ECUは、例えば、制御系ECU、エンターテイメント系ECU及びボディ系ECUなどである。
【0056】
制御系ECUは、自動車に必要な「走る」、「止まる」及び「曲がる」の三要素を制御するためのコントロールユニットである。エンターテイメント系ECUは、オーディオ及びビジュアルなどのAVコンテンツ、地図情報などのナビゲーションコンテンツを扱うコントロールユニットである。ボディ系ECUは、ガラス窓の開閉、ミラー動作、エアコン動作などの情報を扱うコントロールユニットである。このような制御系ECU、エンターテイメント系ECU及びボディ系ECUは、それぞれ中継機器を経由して相互に接続される。以下、2つのECU11及びECU12が接続された態様について説明する。
【0057】
第1のECU11には中継機器20aが接続され、第2のECU12には中継機器20bが接続されている。そして、中継機器20a,20b間は、2本の光ファイバ30a,30bで接続されている。光ファイバ30a,30bは、AMI−C規格に準拠した車載用POF(Plastic Optical Fiber)を伝送路として用いる。POFは、直径が1000ミクロンで、標準POFと同形状である。
【0058】
光ファイバ30aは車両1の右側面に敷設され、光ファイバ30bは車両1の左側面に敷設されている。光ファイバ30a及び光ファイバ30bの光経路長が異なる場合、ECU11からECU12へ伝送される光信号、及びECU12からECU11へ伝送される光信号には時間差が生じる。一般的には、光ファイバ30a,30bのコアの屈折率が1.5(真空は1.0)である場合、光ファイバ30a,30b内での伝送速度は略20万km/秒であり、光ファイバ30a,30b間の光経路長が1m相違すると、5ナノ秒の時間差が生じる。
【0059】
そこで、光ファイバ30a,30bの光経路長を略同一とすることによって、2本の光ファイバを経由して光信号が伝送された場合であっても、ECU11及びECU12には同一のタイミングで光信号が伝送されるようにする。つまり、図2に示すように、2本の光ファイバ30a,30bを経由して光信号が伝送されようと(図2(a))、また、いずれの光ファイバ(ここでは光ファイバ30a)のみを経由して光信号が伝送されようと(図2(b))、光信号を確実に通信先の中継機器へ伝送することができる。
【0060】
換言すれば、通常は、2本の光ファイバ30a,30bを経由して光信号を伝送するが、車両1が事故などによって損傷し、一方の光ファイバが損傷して光信号の伝送が不可能になった場合であっても、他方の光ファイバによって光信号を伝送することができる。このように、車両内通信に冗長性を持たせて、光ファイバ伝送路による車両内通信の信頼性を向上する。
【0061】
なお、図2において、2本の光ファイバ30a,30bを経由して光信号が伝送された場合と、一方の光ファイバ30aのみを経由して光信号が伝送された場合とで、中継機器に伝送される光信号の光強度が異なるが、受光感度の閾値が低い受光素子を用いることで、光強度の強弱は問題とならない。つまり、一方の光ファイバで伝送された場合の光強度Bは、両方の光ファイバで伝送された場合の光強度Aより弱いが、光強度Bのハイレベル,ローレベル間に受光素子の閾値を設定する。
【0062】
図3は本発明の実施の形態1に係る中継機器の構成を示す斜視図である。
本発明の実施の形態1に係る中継機器20(20a,20b)は、略直方体のハウジング21の内部に光信号分岐結合部22が設けられている。光信号分岐結合部22は、それ自体公知(特許文献2参照)の融着型のものを用いて過剰損失の少ない光学系を構成する。
【0063】
また、ハウジング21の一端面には通常の光コネクタプラグ23が設けられ、その一端面と対向する端面には、2つの光コネクタソケット24,25が設けられている。光コネクタプラグ23には各ECUと接続するための光ファイバ(以下、光ファイバ30a,30bと区別するためユニットハーネスという)35が接続され、光コネクタソケット24,25には上述した光ファイバ30a,30bが接続される。
【0064】
さらに、ハウジング21の一端面に、光信号が中継機器20に伝送されているか否かを目視によって確認するための視認窓26が設けられている。この視認窓26は、光信号分岐結合部22に接続されている。
【0065】
光信号分岐結合部22は、光コネクタソケット24及び25に伝送された光信号を結合(重畳)して、光コネクタプラグ23及び視認窓26に分岐させる。したがって、光コネクタソケット24又は25に光信号が伝送された場合には、伝送された光信号は視認窓26へ伝送され、光信号が中継機器20に到達しているか否かを容易に確認することができる。
【0066】
また、光ファイバ30a,30bを経由して中継機器20に到達したときの光強度は、一方の光ファイバ(光ファイバ30a又は30b)を経由して中継機器20に到達したときの光強度と比べて高くなることから、視認窓26から出射される光強度によって、正常に光信号を伝送している光ファイバの本数を把握することが可能である。
【0067】
図4は本発明の実施の形態1に係る車両内通信システムの構築方法を説明するための説明図である。
車両1に光ファイバを容易に組み込むためのハーネス設計では、経路を区分けして敷設する方法が効率的である。すなわち、複数の光ファイバを光分岐器や光結合器で両端を接続したハーネスユニットを敷設すれば、光分岐器や光結合器が作業の邪魔となって作業効率が悪化する。
【0068】
そこで、図4に示すように、先ず、光経路長が略同一の光ファイバ30aを車両1の右側面に、光ファイバ30bを車両1の左側面に敷設し、また、第1のECU11を車両1の前方に、第2のECU12を車両1の後方に配置する(図4(a))。
【0069】
次いで、敷設した光ファイバ30aの一方の端部及び光ファイバ30bの一方の端部を中継機器20aの光コネクタソケット24a及び25aに接続し、さらに中継機器20aをECU11に接続する。そして、中継機器20aを適宜の位置に配置する。同様に、光ファイバ30bの他方の端部及び光ファイバ30bの他方の端部を中継機器20bの光コネクタソケット24b及び25bに接続し、さらに中継機器20bをECU12に接続する。そして、中継機器20bを適宜の位置に配置する(図4(b))。
【0070】
このように、光ファイバ30a,30bを別々に敷設した後に、適宜の接続処理を行なえるので、作業が極めて簡単になり、作業効率が向上する。
【0071】
図5は本発明の実施の形態1に係る車両内通信システムのシステムパワーバジェットを示す説明図である。なお、車両内通信システムの構成は、説明の簡略化のため図1に示した構成とする。
一般に、光通信で使用される発光素子は可視光発光ダイオード(以下、LED)、受光素子はシリコン系フォトダイオード(以下、PD)である。光信号の波長は略650ナノメートル(赤色光)である。LED15は、車載用に設計され、AMI−C規格に準拠し、−7.5dBm以上の光出力を有するものを用いる。また、PD16は−22.0dBm以上の受光感度を有するものを用いる。
【0072】
光ファイバ30a,30b及びユニットハーネス35a,35bの固有損失は1mあたり0.25dBであり、光結合損失は2.5dBである。また、光信号分岐結合部22a,22bは、例えば、分岐損失3.0dB及び過剰損失2.0dBのものを用いる。
【0073】
上述したような特性の構成要素を用いて車両内通信システムを構築する。光ファイバ30a,30bの経路長を、一般的な車両1の外寸に基づいて8mとし、ユニットハーネス35a,35bをそれぞれ1mとして、全体の経路長が10mの車両内通信システムについてパワーバジェットを算出する。なお、光信号はECU11からECU12へ伝送される場合について説明する。
【0074】
LED15から中継機器20aまではユニットハーネス35aにて固有損失が生じることから、中継機器20aの光コネクタプラグ23aでは、光信号強度が−7.5dBm+(−0.25dB×1m)=−7.75dBmとなる。
【0075】
中継機器20aでは光信号分岐結合部22aにて分岐損失及び過剰損失が生じることから、光コネクタソケット24a,25aでは、光信号強度が、それぞれ、−7.75dBm+(−3.0dB−2.0dB)=−12.75dBmとなる。
【0076】
光ファイバ30a,30bでは固有損失が生じることから、中継機器20bの光コネクタソケット24b,25bでは、光信号強度が、それぞれ、−12.75dBm+(−0.25dB×8m)=−14.75dBmとなる。つまり、中継機器20bは、2本の光ファイバ30a,30bから−14.75dBmの光信号をそれぞれ受け取る。
【0077】
さらに、一方の経路(光ファイバ30a)を経由して伝送された光信号は、中継機器20bの光信号分岐結合部22bにて分岐損失及び過剰損失が生じることから、光コネクタプラグ23bでは、光信号強度が、−14.75dBm+(−3.0dB−2.0dB)=−19.75dBmとなる。そして、ユニットハーネス35bにて固有損失が生じることから、PD16では、光信号強度が、−19.75dBm+(−0.25dB×1m)=−20.0dBmとなる。
【0078】
同様に、他方の経路(光ファイバ30b)を経由して伝送された光信号も、全く同様に、−20.0dBmとなる。
【0079】
したがって、2本の光ファイバ30a,30bを経由してECU12が受け取る光信号は、−20.0dBm+(3dB(2倍に相当))=−17.0dBmとなる。一方、一方の経路に障害が発生し、他方の経路を経由した光信号しかECU12が受け取れない場合では、−20.0dBmとなる。
【0080】
いずれの光信号でも、ECU12のPD16は、最小受光感度が−22.0dBmなので十分に捕捉可能であり、車両内通信システムとしての信頼性を確保することができる。
【0081】
(実施の形態2)
図6は本発明の実施の形態2に係る中継機器の構成を示す斜視図である。
本発明の実施の形態2に係る中継機器は、ハウジング21の一端面から光ファイバ27が延出されており、この光ファイバ27の先端に光コネクタプラグ23が接続されている。同様に、ハウジング21の一端面と対向する端面から光ファイバ28,29が延出されており、この光ファイバ28,29の先端に光コネクタソケット24,25がそれぞれ接続されている。
【0082】
このように、光コネクタプラグ23及び光コネクタソケット24,25がハウジング21の端面から延出された光ファイバの先端に接続されていることから、光ファイバ27及び光ファイバ28,29を屈曲させることによって、光コネクタプラグ23及び光コネクタソケット24,25を接続先(光コネクタプラグ23の接続先:ECU、光コネクタソケット24,25の接続先:光ファイバ)に容易に接続することができる。なお、使用形態に応じて、光ファイバ27及び光ファイバ28,29のファイバ長を予め決定しておく。その他の構成は図3に示した中継機器と同様であるので、対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0083】
(実施の形態3)
ところで、光経路長の略同一の複数の光ファイバによって複数の光経路を構成することから、長い方の経路と同一になるように光ファイバの長さを決定しなければならない。したがって、長い方の光ファイバに合せて他方の光ファイバも長くする必要があり、その場合には、当然の如く、他方の光ファイバには余長部分が発生する。そこで、以下のように、極めて簡単かつ低コストで光ファイバの余長部分を調整するための光ファイバ余長調整具を用いる。
【0084】
図7は本発明の実施の形態3に係る光ファイバ余長調整具の構成を示す斜視図である。
本発明の実施の形態3に係る光ファイバ余長調整具40は、本発明に係る一対の光ファイバ固定具50a,50bとチューブ41とを備える。チューブ41は、所定の外形半径を有する円柱筒状をなし、一対の光ファイバ固定具50a,50bの各貫通孔に挿入される。チューブ41には、その他の車両1に設けられるメタル配線などを挿入する。これにより、メタル配線に加わる応力がなくなり、メタル配線の断線を防止することができる。
【0085】
光ファイバ固定具50a,50b(以下、区別が不要な場合は50とする)は、図8に示すように、貫通孔51aを有するリング状のガイド部51と、そのガイド部51の表面に配置され、光ファイバを固定するための固定部52とを備える。
【0086】
固定部52は、光ファイバの許容される最小の曲率半径よりも大きい曲率半径を有する一対の円柱状53a,53bをなし、円柱状53a,53bの側壁54a,54bにはガイド溝55a,55bが形成され、このガイド溝55a,55bに光ファイバの一部を嵌合することによって光ファイバを固定する。このように、円柱状の固定部52の間隙に光ファイバを押し込むことによって光ファイバを容易に固定することができる。また同様に、光ファイバを簡単に取り外すことができる。
【0087】
そして、図7に示すように、一方の光ファイバ固定具50a(ガイド部)をチューブ41の周りに回転させることによって、光ファイバ30の余長部分を調整する。
【0088】
上述したような光ファイバ余長調整具40を用いることによって、光ファイバ30の余長部分を束ねる作業をすることなく、極めて簡単に余長部分を処理することができる。また、固定部52は光ファイバの許容される最小の曲率半径よりも大きい曲率半径の円柱状をなしていることから、光ファイバが屈曲された場合であっても、この固定部52の側壁54a,54bがストッパとして機能し、光ファイバの許容される最小の曲率半径以上に屈曲されたことはなく、屈曲による曲げ損失が発生することはない。
【0089】
さらに、一方の光ファイバ固定具50a(ガイド部)の他方の光ファイバ固定具50b(ガイド部)に対する回転数によって光ファイバ30の余長部分を調整することができるとともに、固定部52と同様、所定の外形半径を有する円柱筒状をなしていることから、余長部分がチューブ41の周囲に捲きつけても、光ファイバ30の許容される最小の曲率半径以上に屈曲されることはなく、屈曲による曲げ損失が発生することはない。また、余長部分がチューブ41の周囲に捲きつけられているので外観の印象がよい。さらに、必要構成要素が少ないことから、車両1のような限られた空間に用いるのに好適である。
【0090】
さらにまた、余長部分がチューブ41の周囲に捲きつけられているので、余長部分の長さを視認することができ、ECU11,12の位置を変更したり、新たに別のECUを追加したりする場合、現在敷設されている光ファイバで新たなECUの設置位置まで光ファイバが届くか否かを判断して、光ファイバを再利用できるか否かを容易に判断することができる。また、逆に、現在敷設されている光ファイバの長さが長い場合には、一方の光ファイバ固定具50a(ガイド部)をさらに回転することによって光ファイバの新たに発生する余長部分を調整することができる。
【0091】
なお、本発明に係る車両内通信システム、車両内通信システムの構築方法、中継機器、光ファイバ固定具及び光ファイバ余長調整具について、具体的な実施の形態を示して説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。当業者であれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上述した実施の形態に係る発明の構成及び機能に様々な変更又は改良を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施の形態1に係る車両内通信システムの構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る車両内通信システムの動作状態を説明するための図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る中継機器の構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る車両内通信システムの構築方法を説明するための説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る車両内通信システムのシステムパワーバジェットを示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る中継機器の構成を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態3に係る光ファイバ余長調整具の構成を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る光ファイバ固定具の構成を示す斜視図である。
【図9】2本の光ファイバ伝送路による車両内通信における光信号のタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0093】
1 車両
11,12 ECU
20(20a,20b) 中継機器
21 ハウジング
22(22a,22b) 光信号分岐結合部
23(23a,23b) 光コネクタプラグ
24(24a,24b),25(25a,25b) 光コネクタソケット
26 視認窓
30(30a,30b) 光ファイバ
35(35a,35b) ユニットハーネス(光ファイバ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車載機器が接続された車両内通信システムにおいて、
前記複数の車載機器間は、
光経路長が略同一の複数の光ファイバで接続されていること
を特徴とする車両内通信システム。
【請求項2】
中継機器を経由して複数の車載機器が接続された車両内通信システムにおいて、
前記中継機器は、
複数の光信号を入力するための複数の光信号入力端子と、
該複数の光信号入力端子に入力された光信号を重畳して出力するための光信号出力端子と
を備え、
各光信号入力端子には光経路長が略同一の複数の光ファイバが接続されていること
を特徴とする車両内通信システム。
【請求項3】
前記中継機器は、
前記複数の光信号入力端子に入力された光信号を重畳し、重畳された光信号を複数に分岐するための光信号分岐部と、
該光信号分岐部によって分岐された一の光信号を視認するための視認窓と
を備えることを特徴とする請求項2に記載の車両内通信システム。
【請求項4】
複数の光信号を入力するための複数の光信号入力端子、及び該複数の光信号入力端子に入力された光信号を重畳して出力する光信号出力端子を備える中継機器を経由して複数の車載機器が接続された車両内通信システムの構築方法であって、
光経路長が略同一の複数の光ファイバを敷設し、
敷設した各光ファイバを前記光信号入力端子に接続すること
を特徴とする車両内通信システムの構築方法。
【請求項5】
複数の車載機器間を接続し、該車載機器間の通信を中継するための中継機器において、
複数の光信号を入力するための複数の光信号入力端子と、
該複数の光信号入力端子に入力された光信号を重畳し、重畳された光信号を複数に分岐するための光信号分岐部と、
該光信号分岐部によって分岐された光信号のうちの一の光信号を出力するための光信号出力端子と、
前記光信号分岐部によって分岐された光信号のうちの他の一の光信号を視認するための視認窓と
を備えることを特徴とする中継機器。
【請求項6】
前記光信号分岐部が配置されたハウジングを備え、
該ハウジングの端面に前記視認窓が配置されていること
を特徴とする請求項5に記載の中継機器。
【請求項7】
前記ハウジングの端面から延出された光ファイバを備え、
該光ファイバの先端に前記光信号出力端子が配置されていること
を特徴とする請求項6に記載の中継機器。
【請求項8】
前記ハウジングの端面から延出された複数の光ファイバを備え、
各光ファイバの先端に各光信号入力端子が配置されていること
を特徴とする請求項6又は請求項7に記載の中継機器。
【請求項9】
光ファイバを固定するための光ファイバ固定具において、
貫通孔を有するリング状のガイド部と、
該ガイド部の表面に配置され、光ファイバを固定するための固定部と
を備え、
前記固定部は、
前記光ファイバの許容される最小の曲率半径よりも大きい曲率半径を有する一対の円柱状をなし、
該円柱状の固定部の間隙に光ファイバが配置されるようにしてあること
を特徴とする光ファイバ固定具。
【請求項10】
前記固定部の円柱状の側壁に、光ファイバの外周の一部と嵌合するガイド溝を有し、
該ガイド溝によって光ファイバが固定されるようにしてあること
を特徴とする請求項9に記載の光ファイバ固定具。
【請求項11】
光ファイバの余長部分を調整するための光ファイバ余長調整具において、
請求項9又は請求項10に記載の一対の光ファイバ固定具と、
該一対の光ファイバ固定具の各貫通孔に挿入されるチューブと
を備えることを特徴とする光ファイバ余長調整具。
【請求項12】
前記チューブは、
所定の外形半径を有する円柱筒状をなしていること
を特徴とする請求項11に記載の光ファイバ余長調整具。
【請求項13】
一方のガイド部の他方のガイド部に対する回転数によって前記光ファイバの余長部分が調整されていること
を特徴とする請求項12に記載の光ファイバ余長調整具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−11247(P2008−11247A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−180259(P2006−180259)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】