説明

車両制御装置、および車群制御システム

【課題】自車両が車群走行を行うように自車両を制御する車両制御装置または車郡制御システムにおいて、無線通信における通信途絶や通信遅延等による自車両での制御遅延を軽減できるようにする。
【解決手段】車載装置は、機能作動処理にて、自車両の作動状態または周囲の環境が、データベースに記録された作動条件データと合致するかを繰り返し判定し(S620)、合致する場合に、自車両における所定の機能を作動させる(S640)。このような車載装置によれば、データベースに予め作動条件データが記録されているので、自車両では所定の機能を作動させるための準備をすることができる。そして、作動条件データに合致したときに所定の機能を遅延なく作動させることができる。よって、通信途絶や通信遅延の影響を受け難くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両が車群走行を行うように自車両を制御する車両制御装置、および車群制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記の車両制御装置として、車群の状態に関する情報をリアルタイムで無線通信を利用して取得し、その情報に応じて、自車両の挙動等の制御を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−162282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記車両制御装置においては、無線通信における通信途絶や通信遅延等の影響を受けるため、車群の状態に関する情報が自車両に送信されたとしても、自車両が車群の状態に対応して瞬時に自車両を制御することができない虞がある。
【0005】
そこでこのような問題点を鑑み、自車両が車群走行を行うように自車両を制御する車両制御装置または車郡制御システムにおいて、無線通信における通信途絶や通信遅延等による自車両での制御遅延を軽減できるようにすることを本発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために成された本発明の車両制御装置において、作動制御手段は、自車両の作動状態または周囲の環境が、条件記録手段に記録された機能作動条件と合致するかを繰り返し判定し、合致する場合に、自車両における所定の機能を作動させる(請求項1)。
【0007】
なお、機能作動条件とは、車群の一部として自車両の機能を作動させる条件を表す。具体的な「自車両の機能」としては、自車両を車群として走行させるために自車両を加速・減速、または旋回させる機能等の走行状態を変化させる機能、ウインカ、ヘッドライト、テールライト、ブレーキライト等の報知装置の作動状態を変化させる機能等が挙げられる。
【0008】
また、具体的な「機能作動条件」としては、ある機能の作動時間が規定時間になったこと、自車両が所定の場所に到達したこと、走行距離が所定の距離に到達したこと、自車両の乗員が所定の操作をしたこと、等の自車両の作動状態に関する条件や、所定の時刻になったこと、所定の天気であること、所定の気温であること、携帯電話の着信があったこと、等周囲の環境に関する条件等が挙げられる。
【0009】
なお、本発明においては、「機能作動条件」として、上記条件のみが記録されており、上記条件に合致した場合に、常に決められた機能を作動させるようにしてもよいし、「機能作動条件」として、上記条件と作動させる機能とが対応して記録されており、合致した条件に応じて対応する異なる機能を作動させるようにしてもよい。
【0010】
このような車両制御装置によれば、条件記録手段に予め機能作動条件が記録されているので、自車両では所定の機能を作動させるための準備をすることができる。そして、機能作動条件に合致したときに所定の機能を遅延なく作動させることができる。よって、通信途絶や通信遅延に対応することができる。
【0011】
なお、本発明でいう「車群」とは、一定領域内(例えば車車間通信を実施することができる見通し範囲内)において同方向に走行する複数の車両のグループを示し、「車群走行」とは、複数の車両が同方向に走行することを意味する。つまり、「車群走行」とは、自車両の挙動が隊列の先頭車両または自車両の直前車両と実質的に同じ挙動になるように走行する隊列走行や、他車両と並んで走行する並列走行等を含む概念である。
【0012】
ところで、上記車両制御装置において、条件記録手段には、機能作動条件として、自車両の走行状態を変化させるときの条件が記録されており、作動制御手段は、自車両の走行状態が機能作動条件と合致するか否かを繰り返し判定し、合致する場合に、自車両の走行状態を変化させるようにしてもよい(請求項2)。
【0013】
例えば、車群を構成する他車両の加減速タイミングが機能作動条件として記録されており、自車両を他車両と同時に加減速させるような場合が本発明に該当する。
このような車両制御装置によれば、機能作動条件として記録された条件に基づいて自車両の走行状態を変化させることができる。
【0014】
なお、機能作動条件は、車群を構成する自車両および他車両で共有されていてもよいし、共有されていなくてもよい。また、機能作動条件を自車両および他車両で共有する場合、自車両および他車両が車群として対応する作動を行えばよいため、自車両および他車両が全く同一の機能作動条件を保持する必要はない。
【0015】
例えば、車群全体が減速する場合、少なくとも最後尾の車両のみがブレーキライトを点灯させればよく、他の車両はブレーキライトを点灯させる必要がない場合もあり得るからである。また、この場合、ブレーキをかける位置を機能作動条件として設定する際には、車両の停止位置がそれぞれ異なるため、ブレーキをかける位置も車両毎に異なるからである。
【0016】
さらに、上記車両制御装置においては、機能作動条件を取得する条件取得手段と、取得した機能作動条件を条件記録手段に記録させる記録制御手段と、を備えていてもよい(請求項3)。
【0017】
このような車両制御装置によれば、機能作動条件を新たに取得し、または更新することができる。
また、上記車両制御装置においては、機能作動条件を、自車両が含まれる車群を構成する他の車両に送信する条件送信手段を備えていてもよい(請求項4)。
【0018】
このような車両制御装置によれば、自車両が機能作動条件を送信することができるので、他車両が機能作動条件を記録させる構成を備えていれば、機能作動条件を共有することができる。
【0019】
なお、本発明では、全く同一の機能作動条件を送信する必要はなく、送信する車両毎に異なる内容の機能作動条件を送信してもよい。また、自車両が含まれる車群を構成する他車両の全てに対して機能作動条件を送信するようにしてもよい。
【0020】
さらに、上記車両制御装置においては、自車両の走行路において自車両の走行に支障となる対象物をその位置とともに検出した検出結果を取得する対象物取得手段と、自車両の走行速度の情報を取得する車速取得手段と、対象物の位置と自車両の走行速度とに基づいて自車両が対象物に到達するまでの推定時間を演算する推定時間演算手段と、演算した推定時間に基づいて、自車両が対象物の手前で停止できるように自車両を減速させるための機能作動条件を生成する対象物停止条件生成手段と、を備えていてもよい(請求項5)。また、対象物の位置に基づいて自車両が前記対象物を回避するための自車両の挙動を演算し、この挙動に沿って自車両を走行させるための機能作動条件を生成する対象物回避条件生成手段と、上記対象物取得手段と、を備えていてもよい(請求項6)。
【0021】
これらの車両制御装置によれば、自車両の走行に支障となる対象物が検出された場合に、この対象物に自車両が到達することを回避することができる。よって、自車両が対象物に到達してしまうことで自車両が損傷を受けることを防止することができる。
【0022】
なお、本発明でいう「自車両の走行に支障となる対象物」とは、例えば、縁石、落石、歩行者、緊急車両等の路上障害物、道路における凍結部位、道路における凹部、穴部等の道路状態不良部位、等が挙げられる。
【0023】
また、上記車両制御装置においては、自車両の進行方向に存在する信号機についての現在および将来の灯色と各灯色の継続時間とを含む信号機情報を取得する信号機情報取得手段と、取得した信号機情報に基づいて、自車両を含む車群の少なくとも一部を信号機の灯色が青の状態で信号機が配置された交差点を通過させるため、または交差点の手前で停止させるための機能作動条件を生成する信号通過条件生成手段と、を備えていてもよい(請求項7)。
【0024】
このような車両制御装置によれば、信号機情報に基づいて予め灯色の変化を推定することができるので、この信号が配置された交差点を通過または停止できるようにスムーズに車群の挙動を制御することができる。
【0025】
より詳細には、信号通過条件生成手段は、自車両が停止しているか否かの判定結果を取得し、自車両が停止中の場合、信号機の灯色が青に遷移するまでの待ち時間を演算する待ち時間演算手段と、自車両を前記待ち時間が経過したときに発進させるための機能作動条件を生成する発進条件生成手段と、を備えていてもよい(請求項8)。
【0026】
このような車両制御装置によれば、信号機の灯色が青に遷移したときに、自車両をスムーズに発進させることができる。なお、自車両を含む車群全体に本発明の機能作動条件が共有されていれば、信号機の灯色が青に遷移したときに、車群全体を同時に発進させることができる。
【0027】
加えて、上記車両制御装置において信号通過条件生成手段は、自車両が走行しているか否かの判定結果を取得し、自車両が走行中の場合、自車両の走行速度の情報と信号機情報とに基づいて、自車両が信号機の灯色が青の状態で信号機が配置された交差点を通過できるか否かを判定する通過判定手段と、通過判定手段により、自車両が前記交差点を通過できないと判定された場合に、交差点の手前で自車両を停止させるための機能作動条件を生成する交差点停止条件生成手段と、を備えていてもよい。(請求項9)
このような車両制御装置によれば、実際に信号機の灯色が青から他の色に変化する前に灯色が変化することを予想できるので、安全に自車両を交差点手前で停車させることができる。なお、自車両を含む車群全体に本発明の機能作動条件が共有されていれば、車群全体を同時に制動することができる。つまり、前方車両が制動を行ったことを検出してから自車両が制動を行うと、急激な制動が必要となりがちであるが、自車両を含む車群全体に本発明の機能作動条件が共有されていれば、急激な制動が行われることを防止することができる。
【0028】
また、上記車両制御装置において上記何れかの条件生成手段は、車群を構成する車両毎に機能作動条件を設定するようにしてもよい(請求項10)。
例えば、車群全体を1台の車両とみなした場合、車群の最後尾の車両のみにテールライト、ブレーキライトを点灯させる制御を行ったり、車群の先頭車両のみにヘッドライトを点灯させる制御を行ったりすることが考えられる。また、機能作動条件として位置に関する情報を利用する場合には、各車両の車群における位置によって制御を開始または終了する位置を設定することが考えられる。
【0029】
このため、車群を構成する車両毎に機能作動条件を設定することには意義がある。このような車両制御装置によれば、車両毎に細やかな作動を設定することができる。
次に、上記目的を達成するために成された車群走行システムは、送信側装置が機能作動条件を送信する条件送信手段を備えており、車両制御装置が、前述の条件取得手段、記録制御手段、作動制御手段を備えている(請求項11)。
【0030】
このような車群走行システムによれば、送信側装置が送信する機能作動条件に従って、車両制御装置を搭載した車両を車群としての制御をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】車群制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】作動条件データの一例を示す説明図である。
【図3】作動条件データ送信処理を示すフローチャートである。
【図4】作動条件データ登録処理を示すフローチャート(a)、および機能作動処理を示すフローチャート(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に本発明にかかる実施の形態を図面と共に説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0033】
[車群制御システムの構成]
まず、図1に基づいて実施形態の車群制御システムの構成を説明する。車群制御システムは、道路を走行する複数の車両にそれぞれ搭載される車載装置1(車両制御装置)と、道路交差点に設置される交通信号機毎に付随して設けられる路側機2とからなる。各車両の車載装置1は、他の車両の車載装置1と車車間通信を実施可能に構成されているとともに、各車両の車載装置1は、路側機2との間で路車間通信を実施可能に構成されている。なお、各車両の車載装置1は全て同様の構成とされているため、図1においては、ある1つの車載装置1についてのみを詳細に図示している。
【0034】
車載装置1は、図1に示すように、位置特定部10、外部機器接続部11、表示部12、音声出力部13、データベース14(条件記録手段)、無線通信部15、および車側制御部16等を備えている。
【0035】
このうち、位置特定部10は、車速センサ32や、図示しないGPS受信機、光ビーコン、ジャイロスコープ等による検出信号に基づいて車両の現在地や進行方向を特定し、その特定したデータを車側制御部16に入力する。また、外部機器接続部11は、車両に搭載されているレーダ31、車速センサ32、作動処理部33等、他のECU(Electronic Control Unit)等の各種機器との間との間で通信を行うためのインタフェースであり、各機器から送信されてくる車両情報のデータを車側制御部16に入力する。
【0036】
表示部12は、画像を表示する液晶パネル等の表示面を備えた表示装置であり、車側制御部16からの制御に基づいて各種の運転支援画像を表示する。画像を表示する表示面は、車両の運転席から視認可能な場所に配置される。音声出力部13は、音声を出力するスピーカ等を備えた音声出力装置であり、車側制御部16からの制御に基づいて運転支援のための各種の案内音声を出力する。
【0037】
データベース14は、路傍の各所に設置された路側機2から受信したエリアデータを記憶するための記憶装置であり、フラッシュメモリやハードディスクドライブ等の書き換え可能な不揮発性の記憶装置が用いられる。
【0038】
なお、ここでいうエリアデータとは、交通信号機が設置された複数の交差点を包含する所定のエリア単位でまとめられた各交通信号機における信号機情報を指す。また、信号機情報としては、各交通信号機についての現在および将来の灯色、各灯色の継続時間の情報(つまり、信号灯色に関するスケジュールの情報)と、信号機が配置された位置の情報とが含まれている。データベース14に記憶されているエリアデータは、そのエリアデータに該当の交通信号機を通過する際に実行する運転支援制御に用いられる。
【0039】
無線通信部15は、他車両の無線通信部や、路傍に設置された路側機2との間で双方向の無線通信(車車間通信および路車間通信)を行うための通信装置である。この路車間通信に用いる通信様式としては、例えばETC(登録商標)システム等で用いられる狭域通信(DSRC)や、VICS(登録商標)等で用いられる電波ビーコンおよび光ビーコンの技術を用いることが考えられる。あるいは、2011年(予定)のアナログテレビ放送の終了後に利用区分が再編される予定の700MHz帯の電波を利用することも考えられる。この700MHz帯の電波は、DSRCで用いられる5.8GHz帯の電波と比較して波長が長いため、回折を起こし易い。そのため、建築物が密集する都市部において、建物の影からでも良好に通信が行うことができる。
【0040】
なお、無線通信部15は、位置特定部10によって生成された自車両の位置情報や、後述する車群に関する情報を車側制御部16からの指令(例えば、定期的に車側制御部16から送信指令が成される。)に応じて外部送信する。
【0041】
車側制御部16は、CPU,ROM,RAM等からなる周知のマイクロコンピュータで構成されており、車載装置1の各部を統括制御する。この車側制御部16は、ROM等に記憶されたプログラムに従って、路車間通信によるエリアデータの取得・更新に関する処理や、各種の運転支援に関する処理を実行する。
【0042】
ここで、運転支援の具体的な内容としては、例えば、信号機情報が含まれるエリアデータを受けて、次に通過する交通信号機に関する情報提供や、交差点を円滑に通行するための走行制御等を行う。特に本実施形態の車側制御部16は、車群走行制御を行う。
【0043】
車群走行制御とは、自車両の挙動が隊列の先頭車両または自車両の直前車両と実質的に同じ挙動になるように制御する隊列走行や、他車両と並んで走行する並列走行等、自車両が他車両とともに同方向に走行する車群走行を行うように自車両を制御することを示す。
【0044】
車側制御部16は車群走行制御において、レーダ31や、車車間通信等によって得られる他車両の位置情報と、自車両の位置特定部10によって得られる自車両の位置情報とに基づいて、自車両が取るべき行動(加減速、旋回等)を出力する。つまり、車群を構成する他車両の挙動に合わせて、自車両が他車両の挙動に追従するための出力を行う。
【0045】
この出力に応じて、例えば、加速または減速するよう促す音声や表示を表示部12または音声出力部13から出力する構成が考えられるが、特に本実施形態では、この出力を、ECUとして構成された作動処理部33に送信し、この作動処理部33が自車両の各部(アクセル、ブレーキ、ステアリング、ライト等の被制御部)の作動制御を行なうことによって、自車両が車群として統一のある作動を行うようにする。
【0046】
なお、車群走行において他車両と同じ挙動になるように自車両の挙動を制御する処理に関する技術は周知技術であるため、本実施形態においてはこの処理の詳細は省略し、既に車群走行が実施されているものとして以下の説明を行う。また、車側制御部16は、車群に関する情報を検出する。
【0047】
具体的には、自車両および他車両の位置情報に基づいて、自車両が車群を形成する車両のうちの先頭車両であるか否か、最後尾車両であるか否か、先頭車両、最後尾車両を除く中間車両であるか否かを判断する。この判断の際には、光ビーコン等の受信結果を利用するようにしてもよい。
【0048】
また、本実施形態においては、車群に関する情報として、各車両(各車載装置1)が車車間通信において自身を特定するための「車両ID」を位置情報とともに他車両に送信することによって、各車両がどの車両がどの位置にいるかを特定する。また、各車両の位置に応じて、例えば先頭車両を、この車群を統括する代表車両として設定し、この情報を保有する。
【0049】
これらの車群に関する情報は、データベース14に登録されるとともに、無線通信部15を介してこの情報の交換が行わせることによって、車群を構成する他車両とも共有される。
【0050】
ここで、本実施形態の車側制御部16においては、上記のように他車両の挙動を検出して自車両の挙動を制御する処理に加えて、事前にデータベース14に記録された「作動条件データ」に基づいて自車両の挙動を含む作動を制御する処理も実施する。
【0051】
本実施形態でいう作動条件データの一例を図2(a)および図2(b)に示す。作動条件データとしては、図2(a),図2(b)に示すように、制御対象となる車両を特定するための「車両ID」と、車群の一部として各車両の機能を作動させる際の条件を表す「トリガ条件」と、作動させる自車両の機能の種別(作動対象)や各パラメータの目標値等を表す「作動機能」と、が対応付けられた1または複数のデータを表す。
【0052】
なお、作動条件データを有する全ての車両が常に同じ機能を作動させる場合には、作動条件データとしては上記の「トリガ条件」のみが記録されていてもよい。
また、具体的な「トリガ条件」としては、図2(a)に示すように、絶対的な時刻、自車両の現在地からの距離、或いは、図2(b)に示すように、ある交差点(α)からの距離等が挙げられる。また、ある機能の作動時間が規定時間になったこと、自車両が所定の場所に到達したこと、走行距離が所定の距離に到達したこと、自車両の乗員が所定の操作をしたこと、等の自車両の作動状態に関する条件や、所定の天気であること、所定の気温であること、携帯電話の着信があったこと、等周囲の環境に関する条件等であってもよい。
【0053】
また、具体的な「作動機能」としては、自車両を車群として走行させるために自車両を加速・減速、または旋回させる機能等の走行状態を変化させる機能、ウインカ、ヘッドライト、テールライト、ブレーキライト等の報知装置の作動状態を変化させる機能等が挙げられる。
【0054】
例えば、図2(a)に示す作動条件データがある車両のデータベース14に記録されている場合、この車両の車側制御部16は、時刻が0時01分00秒になると車速が20km/hになるように所定の減速度で自車両を減速させ、時刻が0時01分20秒になると所定の減速度で車両を停止させる。この場合、作動対象はブレーキとなる。
【0055】
そして、時刻が0時05分10秒になると車速が40km/hになるように自車両を所定の加速度で加速させる。この場合、作動対象はアクセルとなる。
また、作動条件データが登録されてから200m走行したときに、自車両を右旋回角15度で旋回させる。このような作動条件データが車群を構成する各車両に搭載されていれば、車群全体を同時に加減速させるとともに、所定の位置に到達したときに旋回させることができることになる。この場合、作動対象はステアリングとなる。
【0056】
次に、路側機2は、無線通信部20、路側通信部21、エリア内信号機情報データベース22、および路側制御部23を備えている。
このうち、無線通信部20は、道路を走行する車両に搭載された車載装置1との間で無線通信(路車間通信)を行うための通信装置である。この路車間通信に用いる通信様式としては、上述の車載装置1と同様のものを用いる。
【0057】
路側通信部21は、ネットワーク100を介して、同じ所定エリア内の他所の交差点に設置された交通信号機に付随する他の路側機2や交通信号機を制御したり、交通情報を提供する外部機関である交通管制センタ3との間で情報通信したりするための通信装置である。なお、路側通信部21による交通管制センタ3との間での情報通信は、無線によるものであってもよいし有線によるものであってもよい。
【0058】
エリア内信号機情報データベース22は、複数の交通信号機に関する各々の信号機情報をまとめたエリアデータを記憶するための記憶装置である。エリア内信号機情報データベース22には、例えばフラッシュメモリやハードディスクドライブ等の書き換え可能な不揮発性の記憶装置が用いられる。
【0059】
路側制御部23は、CPU,ROM,RAM等からなる周知のマイクロコンピュータで構成されており、路側機2の各部を統括制御する。特に、路側制御部23は、定期的に、エリア内信号機情報データベース22からエリアデータを読み出し、無線通信部20を介して車載装置1にエリアデータを無線配信する。
【0060】
[車群制御システムによる処理]
このような車群制御システムにおいて、車群を構成する複数の車両のうちの代表車両は、前述の作動条件データを生成し、車群を構成する各車両に生成した作動条件データを送信する処理を実施する。この処理について図3を用いて説明する。
【0061】
図3は代表車両の車側制御部16が実行する作動条件データ送信処理を示すフローチャートである。
作動条件データ送信処理は、自車両が代表車両になると開始され、その後、自車両が代表車両である限り、所定の周期(例えば1秒毎)で繰り返し実行される処理である。作動条件データ送信処理では、図3に示すように、まず、自車両の内外から各種情報を取得する(S110:車速取得手段、対象物取得手段、信号機情報取得手段)。
【0062】
ここで、各種情報とは、自律センサ(レーダ31による物体の検出結果やカメラ(図示省略)による撮像画像の画像処理結果)によって自車両の走行に支障となる対象物(例えば、道路における穴、路面における凍結部位、歩行車・縁石等の障害物、緊急車両等)をその位置とともに検出した検出結果や、車速センサ32によって検出された自車両の走行速度の情報、前述の信号機情報、或いは前述の車群に関する情報等が該当する。
【0063】
続いて、取得した情報に基づいて、車群に関する基本情報を更新する(S120)。即ち、車群を構成する車両の台数や、車群全体のサイズ(幅および長さ)、車群における自車両の位置等の情報を更新する。なお、S110の処理にて、自車両および他車両における各運転者の運転操作に関する情報を取得し、本処理にて、各運転者が車両を加減速させる際の加減速度を演算し、車群を加減速させる際の加減速度を設定するようにしてもよい。
【0064】
続いて、自車両の走行に支障となる対象物の検出結果とその位置とに基づいて、自車両の走行路において対象物を検出したか否かを判定する(S130)。対象物が検出されていなければ(S130:NO)、路側機2からの信号機情報を取得できているか否かを判定する(S140:NO)、信号機情報を取得できていなければ(S140:NO)、S110以下の処理を繰り返す。
【0065】
S130の処理にて対象物が検出されていれば(S130:YES)、車群(つまり先頭車両)が対象物に到達するまでの時間を算出する(S210:推定時間演算手段)。 この処理においては、先頭車両(または自車両)の車速と先頭車両から対象物までの距離に基づいて演算を行う。
【0066】
続いて、この対象物を回避するために車線変更が可能か否かを判定する(S220)。 この処理においては、例えば、レーダ31等による検出結果に基づいて対象物の横に車群が通過できるだけのスペースがあるか否かを判定することによって処理を行う。
【0067】
車線変更が可能であれば(S220:YES)、対象物を避けるパターンの作動条件データを生成し(S230:対象物回避条件生成手段)、後述するS390の処理に移行する。なお、S230の処理においては、対象物を避けるための車群としての挙動を演算し、対象物を避けるパターンの作動条件データとして、この挙動に従って各車両が旋回するような作動条件データを生成することを意味する。
【0068】
例えば、作動条件データにおける第1のデータとして、対象物の手前50mの位置を「トリガ条件」とし、右旋回15度を「作動機能」とする。そして、第2のデータとして対象物の手前10mの位置を「トリガ条件」とし、左旋回15度を「作動機能」とする。
さらに、第3のデータとして、対象物の前方40mの位置を「トリガ条件」とし、右旋回15度を「作動機能」とする。そして、対象物の前方50mの位置を「トリガ条件」とし、旋回角度0を「作動機能」とする。このような作動条件データで対象物を避けることが可能となると考えられる。
【0069】
続いて、S220の処理にて車線変更が不可能であると判定されると(S220:NO)、車群を対象物の手前で停止させる作動条件データを生成し(S240:対象物停止条件生成手段)、後述するS390の処理に移行する。
【0070】
S240の処理において作動条件データを生成する際には、例えば、S120の処理等で設定された所定の減速度で対象物の手前で車群を停止させる際に、減速を開始すべき時刻を演算し、この時刻を「トリガ条件」とし、車速0を「作動機能」とする。
【0071】
ところで、S140の処理において、路側機2から信号機情報を取得できていれば(S140:YES)、取得した信号機情報に基づいて、自車両を含む車群の少なくとも一部を信号機の灯色が青の状態で信号機が配置された交差点を通過させるため、または交差点の手前で停止させるための機能作動条件を生成する処理を実施する(S310〜S360:信号通過条件生成手段)。
【0072】
具体的には、まず、現在において車群が停止状態であるか否かを判定する(S310)。車群が停止状態であれば(S310)、車群が停止している交差点における信号機情報に基づいて、現在信号待ちの途中であると考えられるため、信号灯色が青に遷移するまでの待ち時間を算出する(S320:待ち時間演算手段)。
【0073】
そして、車群を停止状態から発進させるパターンの作動条件データを生成し(S330:発進条件生成手段)、後述するS390の処理に移行する。S330の処理にて作動条件データを生成する際には、次に信号灯色が青に遷移するときの時刻を「トリガ条件」とし、車群における目標速度(例えばその道路における制限速度)を「作動機能」とする。この際、「作動機能」としては、S120等にて設定された所定の加速度で加速するよう設定される。
【0074】
また、S310の処理にて、車両が走行中であれば(S310:NO)、車群の走行速度と次の信号機が配置された交差点までの距離とに基づいて、車群が信号交差点に到達するまでの時間を演算し、車群の少なくとも一部が信号交差点を通過できるか否か、およびどの車両が信号交差点を通過できるかを識別する(S340)。
【0075】
そして、車群を構成する全ての車両が信号交差点を通過できるか否かを判定する(S350:通過判定手段)。全ての車両が信号交差点を通過できれば(S350:YES)、走行状態を変化する必要がないため、作動条件データを生成することなく、直ちに作動条件データ送信処理を終了する。
【0076】
また、何れかの車両が信号交差点を通過できなければ(S350:NO)、信号交差点を通過できない車両を交差点の手前で停止させる作動条件データを生成する(S360:交差点停止条件生成手段)。この際、停車させる車両のIDを特定し、図2(b)に示すように、車両毎に減速を開始する異なる位置を「トリガ条件」として設定する。
【0077】
例えば、所定の減速度で現在の車速から停止するために必要な距離が30mであるとした場合、停止する1台目の車両が交差点(停止線)で停止できるように交差点の手前30mの位置で減速を開始するよう「トリガ条件」を設定する。また、停止する2台目以降の車両は、前方の車両が存在することを考慮して、1台目の車両よりも手前の位置で減速を開始するよう「トリガ条件」を設定する。
【0078】
なお、このようにすると、車群のうちの一部車両が交差点を通過し、他の車両が停止するので、車群が分断されることになるが、車群が分断された後は、それぞれの車群で代表車両が設定され、それぞれが別の車群として制御される。
【0079】
続いて、無線通信部15を介して車群を構成する各車両に生成した作動条件データを無線送信(ブロードキャスト)し(S390:条件送信手段)、作動条件データ送信処理を終了する。
【0080】
次に、作動条件データを受けて登録する処理について、図4(a)を用いて説明する。図4(a)は、車側制御部16が実行する作動条件データ登録処理を示すフローチャートである。なお、本処理は、本発明でいう作動制御手段に相当する。
【0081】
作動条件データ登録処理は、例えば車側制御部16の電源が投入されると開始される処理であって、その後、繰り返し実行される。
また、作動条件データ登録処理は、前述の作動条件データ送信処理を実施する車載装置1においても実行され、この場合、作動条件データ送信処理とは並行して実行される。具体的には、図4(a)に示すように、まず、作動条件データを受信したか否かを判定する(S510:条件取得手段)。
【0082】
この処理においては、無線通信部15を介して作動条件データを受信したか、或いは、自身が作動条件データ送信処理にて作動条件データを生成し、このデータを取得できた場合に、作動条件データを受信したと判定される。作動条件データを受信していなければ(S510:NO)、S510の処理を繰り返す。
【0083】
また、作動条件データを受信していれば(S510:YES)、作動条件データに含まれる各データのうち、自車両を示す車両IDを有するデータがあるか否かを判定する(S520)。自車両を示す車両IDを含むデータがなければ(S520:NO)、S510の処理に戻る。
【0084】
また、自車両を示す車両IDを含むデータがあれば(S520:YES)、該当のデータのみをデータベース14に登録し(S530:記録制御手段)、作動条件データ登録処理を終了する。つまり、S530の処理では、自車両の車両IDが「0001」の場合、車両IDが「0001」のデータのみが登録され、車両IDが「0002」のデータ等、他のデータは破棄される。
【0085】
次に、データベース14に登録した作動条件データに従って自車両を制御する処理について、図4(b)を用いて説明する。図4(b)は車側制御部16が実行する機能作動処理を示すフローチャートである。
【0086】
機能作動処理は、前述の作動条件データ送信処理、作動条件データ登録処理とは並行して実行される処理であり、例えば車側制御部16の電源が投入されると開始され、その後、繰り返し実行される処理である。具体的な処理は、図4(b)に示すように、まず、データベース14に登録された作動条件データのうちの1つを選択する(S610)。例えば、図2(a)に示すように、データベース14に4つのデータが登録されている場合には、そのうちの1つ(例えば記録順序が最も早いもの)を選択する。
【0087】
そして、車両の走行状態や環境が、選択したデータの「トリガ条件」に一致するか否かを判定する(S620)。トリガ条件と一致すれば(S620:YES)、データに含まれる「作動機能」に従って、車両の加速度、減速度、旋回角度等の具体的な作動内容を設定し(S630)、設定した内容を作動処理部33に指示する(S640)。
【0088】
一方、トリガ条件と一致しなければ(S620:NO)、トリガ条件が有効か否かを判定する(S650)。例えば、トリガ条件が無効な場合としては、既にトリガ条件として設定された時刻を大幅に(例えば2秒以上)経過している場合等、トリガ条件が成立する可能性がない場合が該当する。
【0089】
トリガ条件が有効であれば(S650:YES)、後述するS670の処理に移行する。また、トリガ条件が無効であれば(S650:NO)、選択しているデータを破棄し、S670の処理に移行する。
【0090】
続いて、まだ作動条件データのうち、未選択の他のデータがあるか否かを判定する(S670)。未選択の他のデータがあれば(S670:YES)、未選択のデータのうちの1つを選択し(S680)、S620以下の処理を繰り返す。
【0091】
また、未選択の他のデータがなければ(S670:NO)、機能作動処理を終了する。
[本実施形態による効果]
以上のように詳述した車群走行システムは、送信側装置として機能する車載装置1における車側制御部16が、作動条件データ送信処理にて作動条件データを送信し(S390)、この車載装置1や他の車載装置1における車側制御部16が、作動条件データ登録処理にて取得した作動条件データを前記データベース14に記録させる。
【0092】
このような車載装置1によれば、作動条件データを新たに取得し、または更新することができる。
また、車載装置1において車側制御部16は、機能作動処理にて、自車両の作動状態または周囲の環境が、データベース14に記録された作動条件データと合致するかを繰り返し判定し、合致する場合に、自車両における所定の機能を作動させる。
【0093】
このような車載装置1によれば、データベース14に予め作動条件データが記録されているので、自車両では所定の機能を作動させるための準備をすることができる。そして、作動条件データに合致したときに所定の機能を遅延なく作動させることができる。よって、通信途絶や通信遅延に対応することができる。
【0094】
また、車載装置1におけるデータベース14には、作動条件データとして、自車両の走行状態を変化させるときの条件が記録されており、車側制御部16は、機能作動処理にて、自車両の走行状態が作動条件データと合致するか否かを繰り返し判定し、合致する場合に、自車両の走行状態を変化させる。
【0095】
このような車載装置1によれば、作動条件データとして記録された条件に基づいて自車両の走行状態を変化させることができる。
また、送信側装置の車載装置1における車側制御部16は、作動条件データを、自車両が含まれる車群を構成する全ての車両に送信する。
【0096】
このような車載装置1によれば、送信側装置の車載装置1が作動条件データを送信することができるので、他車両が作動条件データを記録させる構成を備えていれば、作動条件データを共有することができる。
【0097】
さらに、車載装置1において車側制御部16は、作動条件データ送信処理にて、自車両の走行路において自車両の走行に支障となる対象物をその位置とともに検出した検出結果および自車両の走行速度の情報を取得し、対象物の位置と自車両の走行速度とに基づいて自車両が対象物に到達するまでの推定時間を演算する。そして、演算した推定時間に基づいて、自車両が対象物の手前で停止できるように自車両を減速させるための作動条件データを生成する。
【0098】
また、車側制御部16は、自車両の進行方向に存在する信号機についての現在および将来の灯色と各灯色の継続時間とを含む信号機情報を取得し、取得した信号機情報に基づいて、自車両を含む車群の少なくとも一部を信号機の灯色が青の状態で信号機が配置された交差点を通過させるため、または交差点の手前で停止させるための作動条件データを生成する。
【0099】
これらの車載装置1によれば、自車両の走行に支障となる対象物が検出された場合に、この対象物に自車両が到達することを回避することができる。よって、自車両が損傷を受けることを防止することができる。
【0100】
なお、本発明でいう「自車両の走行に支障となる対象物」とは、例えば、縁石、落石、歩行者、緊急車両等の路上障害物、道路における凍結部位、道路における凹部、穴部等の道路状態不良部位、等が挙げられる。
【0101】
また、車載装置1において車側制御部16は、作動条件データ送信処理にて、取得した信号機情報に基づいて、自車両を含む車群の少なくとも一部を信号機の灯色が青の状態で信号機が配置された交差点を通過させるため、または交差点の手前で停止させるための作動条件データを生成する。
【0102】
このような車載装置1によれば、信号機情報に基づいて予め灯色の変化を推定することができるので、この信号が配置された交差点を通過または停止できるようにスムーズに車群の挙動を制御することができる。
【0103】
より詳細には、車側制御部16は、自車両が停止しているか否かの判定結果を取得し、自車両が停止中の場合、信号機の灯色が青に遷移するまでの待ち時間を演算し、自車両を待ち時間が経過したときに発進させるための作動条件データを生成する。
【0104】
このような車載装置1によれば、信号機の灯色が青に遷移したときに、自車両をスムーズに発進させることができる。また、自車両を含む車群全体に作動条件データが共有されているので、信号機の灯色が青に遷移したときに、車群全体を同時に発進させることができる。
【0105】
加えて、車側制御部16は、自車両が走行しているか否かの判定結果を取得し、自車両が走行中の場合、自車両の走行速度の情報と信号機情報とに基づいて、自車両が信号機の灯色が青の状態で信号機が配置された交差点を通過できるか否かを判定する。そして、自車両が前記交差点を通過できないと判定された場合に、交差点の手前で自車両を停止させるための作動条件データを生成する。
【0106】
このような車載装置1によれば、実際に信号機の灯色が青から他の色に変化する前に灯色が変化することを予想できるので、安全に自車両を交差点手前で停車させることができる。また、自車両を含む車群全体に作動条件データが共有されているので、車群全体を同時に制動することができる。つまり、前方車両が制動を行ったことを検出してから自車両が制動を行うと、急激な制動が必要となりがちであるが、本実施形態では、急激な制動を行う必要がない。
【0107】
また、車載装置1において車側制御部16は、状況によって車群を構成する車両毎に作動条件データを設定する。
例えば、車群全体を1台の車両とみなした場合、車群の最後尾の車両のみにテールライト、ブレーキライトを点灯させる制御を行ったり、車群の先頭車両のみにヘッドライトを点灯させる制御を行ったりすることが考えられる。また、作動条件データとして位置に関する情報を利用する場合には、各車両の車群における位置によって制御を開始または終了する位置を設定することが考えられる。
【0108】
このような車載装置1によれば、車両毎に細やかな作動を設定することができる。
【符号の説明】
【0109】
1…車載装置、2…路側機、3…交通管制センタ、10…位置特定部、11…外部機器接続部、12…表示部、13…音声出力部、14…データベース、15…無線通信部、16…車側制御部、20…無線通信部、21…路側通信部、22…エリア内信号機情報データベース、23…路側制御部、31…レーダ、32…車速センサ、33…作動処理部、100…ネットワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、自車両が他車両とともに同方向に走行する車群走行を行うように自車両を制御する車両制御装置であって、
車群の一部として自車両の機能を作動させる条件を表す機能作動条件が記録された条件記録手段と、
自車両の作動状態または周囲の環境が、前記機能作動条件と合致するかを繰り返し判定し、合致する場合に、自車両における所定の機能を作動させる作動制御手段と、
を備えたことを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両制御装置において、
前記条件記録手段には、前記機能作動条件として、自車両の走行状態を変化させるときの条件が記録されており、
前記作動制御手段は、自車両の走行状態が前記機能作動条件と合致するか否かを繰り返し判定し、合致する場合に、自車両の走行状態を変化させること、
を特徴とする車両制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両制御装置において、
前記機能作動条件を取得する条件取得手段と、
前記取得した機能作動条件を前記条件記録手段に記録させる記録制御手段と、
を備えたこと
を特徴とする車両制御装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の車両制御装置において、
前記機能作動条件を、自車両が含まれる車群を構成する他の車両に送信する条件送信手段、
を備えたことを特徴とする車両制御装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の車両制御装置において、
自車両の進行方向において自車両の走行に支障となる対象物をその位置とともに検出した検出結果を取得する対象物取得手段と、
自車両の走行速度の情報を取得する車速取得手段と、
前記対象物の位置と自車両の走行速度とに基づいて自車両が前記対象物に到達するまでの推定時間を演算する推定時間演算手段と、
前記演算した推定時間に基づいて、自車両が前記対象物の手前で停止できるように自車両を減速させるための機能作動条件を生成する対象物停止条件生成手段と、
を備えたことを特徴とする車両制御装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の車両制御装置において、
自車両の走行路において自車両の走行に支障となる対象物をその位置とともに検出した検出結果を取得する対象物取得手段と、
前記対象物の位置に基づいて自車両が前記対象物を回避するための自車両の挙動を演算し、該挙動に沿って自車両を走行させるための機能作動条件を生成する対象物回避条件生成手段と、
を備えたことを特徴とする車両制御装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の車両制御装置において、
自車両の進行方向に存在する信号機についての現在および将来の灯色と各灯色の継続時間とを含む信号機情報を取得する信号機情報取得手段と、
前記取得した信号機情報に基づいて、自車両を含む車群の少なくとも一部を前記信号機の灯色が青の状態で前記信号機が配置された交差点を通過させるため、または前記交差点の手前で停止させるための機能作動条件を生成する信号通過条件生成手段と、
を備えたことを特徴とする車両制御装置。
【請求項8】
請求項7に記載の車両制御装置において、
前記信号通過条件生成手段は、
自車両が停止しているか否かの判定結果を取得し、自車両が停止中の場合、前記信号機の灯色が青に遷移するまでの待ち時間を演算する待ち時間演算手段と、
自車両を前記待ち時間が経過したときに発進させるための機能作動条件を生成する発進条件生成手段と、
を備えたことを特徴とする車両制御装置。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の車両制御装置において、
前記信号通過条件生成手段は、
自車両が走行しているか否かの判定結果を取得し、自車両が走行中の場合、前記自車両の走行速度の情報と前記信号機情報とに基づいて、自車両が前記信号機の灯色が青の状態で前記信号機が配置された交差点を通過できるか否かを判定する通過判定手段と、
前記通過判定手段により、自車両が前記交差点を通過できないと判定された場合に、前記交差点の手前で自車両を停止させるための機能作動条件を生成する交差点停止条件生成手段と、
を備えたことを特徴とする車両制御装置。
【請求項10】
請求項5〜請求項9の何れか1項に記載の車両制御装置において、
前記何れかの条件生成手段は、車群を構成する車両毎に機能作動条件を設定すること
を特徴とする車両制御装置。
【請求項11】
車群として各車両の機能を作動させる条件を表す機能作動条件を送信する条件送信手段を備えた送信側装置と、
車両に搭載され、受信した機能作動条件に基づいて自車両が他車両とともに同方向に走行する車群走行を行うように自車両を制御する車両制御装置と、
を備えた車群走行システムであって、
前記車両制御装置は、
前記送信側装置から送信された機能作動条件を取得する条件取得手段と、
前記取得した機能作動条件を条件記録手段に記録させる記録制御手段と、
自車両の作動状態または周囲の環境が、前記機能作動条件と合致するかを繰り返し判定し、合致する場合に、自車両における所定の機能を作動させる作動制御手段と、
を備えたことを特徴とする車群走行システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−164978(P2011−164978A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27709(P2010−27709)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】