説明

車両制御装置、車両、及び車両制御プログラム

【課題】追従車の安全を確保しながらスムーズに追従させる。
【解決手段】追従車1は、先行車2の走行軌跡上の地点と当該地点における先行車2の車速を逐次対応づけて記憶する。追従車1は、記憶した地点のうち、自車よりも最小制御縦距離Dminより前方にある地点を制御直近点として選択し、自車が制御直近点に向かうように旋回指令を出力する。車速が大きいほど最小制御縦距離Dminが大きくなる。追従車1は、自車から制御直近点への方位角θrlが閾値α未満である場合には、目標点Pbcから自車までの目標点距離Ddが0となるように車速指令を出力し、α以上である場合には、制御直近点での先行車2の車速を車速指令として出力する。または、先行車2の地点、ヨーレート、及び車速を逐次対応づけて記憶し、追従車1の横加速度が先行車2の横加速度と等しくなるような車速指令も可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置、車両、及び車両制御プログラムに関し、例えば、先行車に対して追従走行するものに関する。
【背景技術】
【0002】
先行して走行する車両(以下、先行車)に追従しながら協調走行する車両(以下、追従車)の開発が進められている。
追従制御には、例えば、先行車から単純に一定距離後方に目標点を設け、追従車が当該目標点の位置に到達するように制御するものがあるが、この制御では、先行車が旋回すると追従車が先行車とは異なるルートを走行するために追従車が壁などの障害物に接触したり、縁石に乗り上げたりする場合がある。
【0003】
このような問題が回避可能な追従制御方法として、特許文献1の「追尾方法、追尾装置、追尾システム及び追尾プログラム」がある。
この技術は、被追従対象の移動軌跡上の地点を離散的にメモリに記憶し、被追従対象から一定距離を保ちながら当該地点を辿ることにより、被追従対象に追従するものである。
この技術を用いると、追従車が先行車の走行軌跡に沿って走行する、所謂同轍(どうてつ)走行が可能となり、先行車が障害物を避けて走行したように、追従車も障害物を避けて走行することができる。
【0004】
しかし、先行車の走行軌跡に沿った追従距離を一定に保つと、先行車と追従車の車速はほぼ等しくなる。
そのため、追従車の旋回中に先行車が旋回を終えて加速すると、追従車が旋回中に加速して追従車がコースアウトしたり、不安定になるという問題があった。
例えば、図15(a)に示したように、追従車1は先行車2から一定の追従距離103を保ちながら同轍走行しており、先行車2が障害物100の先を右旋回するとする。
【0005】
図15(b)は、先行車2が右旋回しているところを示しており、図15(c)は、先行車2が右旋回を終えたところを示している。先行車2は、右旋回をするに際して安全に旋回できるように通常車速を低減し、追従距離103が一定なため、追従車1も減速する。
図15(d)は、先行車2が右折を終え、加速するところを示している。このとき、追従車1は、まだ右旋回を行っているが、先行車2が加速すると、追従距離103が一定なため、追従車1は、右旋回中に加速し、遠心力が作用するなどして走行が不安定となる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−155349公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、追従車の安全を確保しながら先行車にスムーズに追従させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、先行車の走行した
地点と当該地点における前記先行車の車速に対応する車速対応情報を含む走行データを取得する走行データ取得手段と、前記先行車に追従走行するための目標点を設定する目標点設定手段と、前記設定した目標点に到達するように追従車の走行を制御する走行制御手段と、前記取得した走行データを用いて前記先行車の旋回量を取得する旋回量取得手段と、を具備し、前記走行制御手段は、前記取得した旋回量が所定量以上である場合には、前記追従車の現在位置を基準として対応する地点における前記先行車の車速対応情報を用いて当該追従車の車速を設定することを特徴とする車両制御装置を提供する。
請求項2に記載の発明では、前記車速対応情報が、前記先行車の車速であり、前記走行制御手段は、前記取得した旋回量が所定量以上である場合には、前記追従車の現在位置を基準として対応する地点における前記先行車の車速以下となるように前記追従車の車速を設定することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置を提供する。
請求項3に記載の発明では、前記車速対応情報が、前記先行車の横加速度を特定する情報であり、前記走行制御手段は、前記取得した旋回量が所定量以上である場合には、前記追従車の横加速度が、当該追従車の現在位置を基準として対応する地点における前記先行車の横加速度以下となるように前記追従車の車速を設定することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置を提供する。
請求項4に記載の発明では、前記設定した目標点に到達するための車速指令値を取得する車速指令値取得手段を具備し、前記取得した旋回量が所定量未満の場合、前記走行制御手段は、前記追従車の車速を前記取得した車速指令値に設定することを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載の車両制御装置を提供する。
請求項5に記載の発明では、前記走行制御手段は、前記取得した旋回量が所定量以上であり、かつ、前記取得した車速指令値の値が0より大きい場合に、前記追従車の現在位置を基準として対応する地点における前記先行車の車速対応情報を用いて当該追従車の車速を設定することを特徴とする請求項1から請求項4までのうちの何れか1の請求項に記載の車両制御装置を提供する。
請求項6に記載の発明では、請求項1から請求項5までのうちの何れか1の請求項に記載の車両制御装置を搭載し、先行車に追従走行する車両を提供する。
請求項7に記載の発明では、先行車の走行した地点を特定する地点情報と当該地点における前記先行車の車速に対応する車速対応情報を含む走行データを取得する走行データ取得機能と、前記先行車に追従走行するための目標点を設定する目標点設定機能と、前記設定した目標点に到達するように追従車の走行を制御する走行制御機能と、前記取得した走行データを用いて前記先行車の旋回量を取得する旋回量取得機能と、をコンピュータで実現し、前記走行制御機能は、前記取得した旋回量が所定量以上である場合には、前記追従車の現在位置を基準として対応する地点における前記先行車の車速対応情報を用いて当該追従車の車速を設定することを特徴とする車両制御プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、追従車が旋回時に先行車の旋回時における車速などを用いることにより、追従車の安全を確保しながら先行車にスムーズに追従させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】追従車と先行車の機能的な構成を示したブロック図である。
【図2】レーザレーダを用いて先行車を認識する方法を説明するための図である。
【図3】追従車が記憶した先行車の走行軌跡の一例を説明するための図である。
【図4】先行車軌跡情報の論理的な構成の一例を示した図である。
【図5】制御直近点の選択方法を説明するための図である。
【図6】旋回指令を説明するための図である。
【図7】目標点距離などを説明するための図である。
【図8】追従制御の手順を説明するためのフローチャートである。
【図9】先行車軌跡情報保存処理の手順を説明するためのフローチャートである。
【図10】追従制御指令値算出処理の手順を説明するためのフローチャートである。
【図11】図10の続きのフローチャートである。
【図12】横加速度を用いて車速指令を生成する場合を説明するための図である。
【図13】第2の実施の形態における先行車軌跡情報の論理的な構成の一例を示した図である。
【図14】第2の実施の形態における追従制御指令値算出処理の手順を説明するためのフローチャートである。
【図15】従来例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1)実施の形態の概要
追従車1(図3)は、先行車2の走行軌跡上の地点と当該地点における先行車2の車速を逐次対応づけて記憶する。
追従車1は、記憶した地点のうち、自車よりも最小制御縦距離Dmin(図5)より進行方向前方にある地点を制御直近点として選択し、自車が制御直近点に向かうように旋回指令を出力する。このように旋回指令を出力することにより、追従車1は、先行車2の走行軌跡上の地点に沿って先行車2に同轍追従走行する。
【0012】
追従車1は、追従車1の車速が大きいほど最小制御縦距離Dminが大きくなるように設定し、追従車1の車速が大きい場合には、より先に存在する地点を制御直近点として選択する。
このように、制御対象の座標点である制御直近点を定める判定距離を車速に応じて可変とすることにより、高速走行時に発生する不安定な旋回動作を軽減することができる。
【0013】
また、追従車1(図3)は、先行車2からの距離を各地点を結ぶ線分に沿って計測し、先行車2から追従距離Dbcの位置に目標点Pbcを設定する。
追従車1は、旋回指令と車速指令を計算してこれにより追従走行するが、旋回指令に関しては、自車から制御直近点への方位角θrl(即ち、方位角θrlは、旋回量に対応している)が0となるように出力する。
一方、車速指令に関しては、追従車1は、自車から制御直近点への方位角θrlが閾値α未満である場合には、目標点Pbcから自車までの目標点距離Ddが0となるように車速指令を出力し(第1の車速制御)、方位角θrlが閾値α以上である場合には、制御直近点での先行車2の車速を車速指令として出力する(第2の車速制御)。
【0014】
または、先行車2の地点、ヨーレート、及び車速を逐次対応づけて記憶し、追従車1の横加速度(ヨーレート×車速)が先行車2の横加速度と等しくなるような車速指令も可能である(第3の車速制御)。
この場合、追従車1は、自車から制御直近点への方位角θrlが閾値α未満である場合には、第1の車速制御によって車速指令を出力し、方位角θrlが閾値α以上である場合には、第3の車速制御によって車速指令を出力する。
【0015】
このように、追従車1は、旋回量に応じて第1の車速制御と第2の車速制御、あるいは、第1の車速制御と第3の車速制御を切り替えることより、追従車1が旋回していない場合(あるいは、旋回量が小さい場合)には、先行車2と追従距離Dbcを保って同轍追従し、追従車1が旋回している場合(あるいは、旋回量が大きい場合)には、先行車2との追従距離を一定に保とうとせず、追従距離が増えることを許容し、追従車1の当該地点通過時の車速、あるいは横加速度を基準とした減速を行う。
【0016】
なお、追従車1が減速により先行車2から遅れた分は、追従車1が旋回箇所を通過し終え、第1の車速制御に復帰した際に加速して速やかに解消する。このように、追従車1は
、旋回を終えると、すばやく先行車2の軌跡をたどり車間距離の偏差をつめることができる。
【0017】
以上のように、追従車1は、旋回量が小さい場合には、先行車2と距離に応じた車速制御を行い、旋回量が大きい場合には、先行車2の制御直近点での車速などを基準とした車速制御を行うことにより、先行車2に対して、安全でスムーズな同轍追従走行を行うことができる。
【0018】
(2)実施の形態の詳細
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態に係る追従車1と先行車2の機能的な構成を示したブロック図である。
先行車2は、車間通信部41、ECU(Electronic Control Unit)42、車速センサ43、姿勢センサ44などを備えている。
いる。
車間通信部41は、追従車1の車間通信部14と無線にて車車間通信することができ、先行車2は、車間通信部41を介して追従車1に走行データ(先行車情報)を送信する。
走行データには、先行車2の車速、ヨーレート、タイムスタンプ(例えば、追従車1が車速、ヨーレートを受信した際の日時刻)などが含まれている。
【0019】
なお、タイムスタンプは、先行車2が追従車1に車速、ヨーレートを送信し、追従車1がこれらを受信した際に、現在日時刻をタイムスタンプとして付与するように構成してもよいし、あるいは、先行車2が車速、ヨーレートに、これらを計測した際の日時刻をタイムスタンプとして付与し、これらを追従車1に送信するように構成してもよい。
【0020】
詳細は後述するが、追従車1は、車速とヨーレート、及びタイムスタンプから得られる測定時刻の間隔ΔTから先行車2の移動量を計算することにより、先行車2の走行した地点を追跡・記録していく。
このため、車速、ヨーレート、及びタイムスタンプは、先行車2の走行した地点を特定する地点情報として機能している。
なお、先行車2から走行データにて、先行車2の現在位置を送信してもらい、これにより先行車2が走行した地点を記録するように構成することもできる。
【0021】
ECU42は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、大容量の記憶装置などを備えたコンピュータを用いて構成されており、CPUが記憶装置に記憶されたプログラムに従って先行車2に対する各種の電子制御を行う。
車速センサ43は、先行車2の車速を計測するセンサであり、姿勢センサ44は、車速センサ43のヨーレートなどを計測するセンサである。
これらセンサで測定された値は、走行データとして追従車1に送信される。
【0022】
追従車1は、車間通信部14、レーザレーダ15、ECU17、車両駆動部11、車速センサ12、姿勢センサ13などを備えている。
車間通信部14は、車間通信部41と無線通信し、先行車2から走行データを受信する。
レーザレーダ15は、レーザビームを追従車1の前方や側方に2次元走査し、その反射を検知するレーダ装置である。
追従車1は、先行車2の移動量を計算して先行車2の走行した地点を記録していくが、その場合、最初に先行車2の初期位置を計測して、これに移動量を加算していく必要がある。レーザレーダ15は、当該初期位置を計測するのに用いられる。
【0023】
車両駆動部11は、車両制御指令算出部20から発せられる速度指令と旋回指令により追従車1の車速と旋回を制御する。
車速センサ12は、追従車1の車速を検出するセンサであり、姿勢センサ13は、ヨーレートなどを計測するセンサである。
ECU17は、CPU、ROM、RAM、大容量の記憶装置などを備えたコンピュータであり、CPUが記憶装置に記憶されているプログラムを実行することにより先行車走行軌跡認識部18、先行車軌跡情報記憶部19、車両制御指令算出部20、追従車走行軌跡認識部21などが構成されている。
【0024】
先行車走行軌跡認識部18は、先行車2の追跡開始時には、レーザレーダ15を用いて先行車2の位置を計測することにより認識し、その後は、車間通信部14で受信した走行データによって先行車2の移動量を計算し、これをレーザレーダ15で計測した先行車2の位置に加算していくことにより先行車2の現在位置を認識する。
【0025】
先行車軌跡情報記憶部19は、追従車走行軌跡認識部21が認識した地点と、先行車2が当該地点を通過した際の車速(走行データより得られる)を対応づけ、これに地点インデックスを付与して地点データを構成し、これら地点データを先行車軌跡情報としてRAMなどの記憶媒体に順次記憶する。
地点インデックスは、先行車2の走行の時系列に従って付与されるため、地点データを地点インデックス順に線分で結ぶと先行車2の走行軌跡が得られる。
【0026】
追従車走行軌跡認識部21は、車速センサ12からの車速や姿勢センサ13からヨーレートを用いて追従車1の移動量を計算し、これを追従走行開始時の追従車1の位置に加算していくことにより追従車1の走行軌跡、現在位置、及び姿勢(絶対座標系における追従車1の方位角など)を認識する。
【0027】
車両制御指令算出部20は、先行車2から地点データの線分に沿った所定距離の追従距離(車間距離)の位置に目標点を設定すると共に、追従車走行軌跡認識部21から追従車1の現在位置や車速、ヨーレートなどを取得して、追従車1が当該目標点に到達するように車速指令値と旋回指令値を生成し、車両駆動部11に出力する。
【0028】
車両制御指令算出部20は、旋回指令については、追従車1の前方向(進行方向前方)と、後述する制御直近点(追従車1の前方所定量に存在する地点データのうち、時系列が最も古いもの)の成す方位角θrlが0となるように設定する。即ち、方位角θrlは、追従車1の旋回量を表している。
一方、車速指令については、方位角θrlが所定の閾値α未満の場合には、地点データを結んだ線分に沿った目標点から追従車1までの距離に応じた値とし(第1の車速制御)、方位角θrlが所定の閾値α以上の場合には、先行車2が制御直近点を通過した際の先行車2の車速を車速指令値とする(第2の車速制御)。
【0029】
このように、追従車1は、閾値αによって追従車1の旋回量の大小を判断し、旋回量が小さい場合には、第1の車速制御によって、追従車1と先行車2の車間距離を一定に保つように走行し、旋回量が大きい場合には、追従車1と先行車2の車間距離が一定値よりも大きくなることを許容して、追従車1の車速を先行車2がその地点を通過した際の車速とすることにより、安全に旋回することができる。
【0030】
図2は、先行車走行軌跡認識部18がレーザレーダ15を用いて先行車2を認識する方法を説明するための図である。
レーザレーダ15は、例えば、回転走査型レーザレーダであり、追従車1の周囲を2次
元(3次元でもよい)走査する。
レーザレーダ15は、走査可能角度(上記図では270°)を走査し、対象物までの距離を単位角度ごとに出力する。図では、レーザレーダ走査点を白抜きの円で示してある。これらの出力は以下のように先行車走行軌跡認識部18で解析される。
【0031】
先行車走行軌跡認識部18は、上記角度と距離のセットからなる走査結果の点列(白抜きの円)を線で結んでレーザレーダ線分を生成し、追従車1を基準とするRAMに形成された平面座標上にこれを展開する。
なお、その際、点間の線分が閾値を超えたものは線分としないとすることでパターンマッチングの処理を軽減することができる。
【0032】
先行車走行軌跡認識部18は、このようにレーザレーダ線分を平面座標上に展開した後、先行車2のモデルパターン2aを回転させながら平面上を移動させてマッチングさせ、線分の一致度が予め定めた基準値を超えた場合、そのときのモデルパターン2aを先行車2と認識する。
先行車2には、追従制御の基準となる車両中心点6が予め設定されており、先行車走行軌跡認識部18は、マッチングしたモデルパターン2aにより車両中心点6を特定する。
【0033】
このようにして、先行車走行軌跡認識部18は、マッチング結果により、先行車2の方位35、相対角31、及び車両中心点3(追従制御の基準となる自車の中心点)と車両中心点6を結んで追従車1と先行車2の相対距離34を求めることができ、相対距離34を縦横方向に分解して縦距離32、及び横距離33を求めることができる。
【0034】
なお、このようにして、ひとたびモデルパターン2aをマッチングした後は、全てのレーザレーダ線分を対象にマッチングのための検索を行う必要はなく、前回に検出された先行車2の車両中心点6から、定義済みの閾値の範囲を検索範囲として検索を行うことによりマッチング処理を軽減することができる。
【0035】
なお、先行車2の認識処理は上記のレーザレーダ15のパターンマッチングに限らず、先行車2の位置、相対角が検出できるのであれば、例えば、特開2008−82750のような構成を用いてもよい。
この技術は、所定の投光パターンを対象車両に投光し、その反射光の形状を用いて対象車両との距離や傾きを検出するものである。
以上のようにして、先行車走行軌跡認識部18は、先行車2の相対位置、即ち、追従車1の車両中心点3に対する先行車2の車両中心点6の位置を検出することができる。
【0036】
図3は、先行車走行軌跡認識部18が認識し、先行車軌跡情報記憶部19が記憶した先行車2の走行軌跡の一例を説明するための図である。
この例では、先行車2は、障害物100、100の間を蛇行するように走行している。
なお、以下で用いる添字について、a(absolute)は絶対座標系、r(relation)は相対座標系、l(leader)は先行車2、f(follower)は追従車1、d(destination)は目標点、をそれぞれ表しているものとする。
例えば、地点PをPal(2)と表す場合、これは、絶対座標系における先行車2の地点のうち、3番目に記録したもの(括弧内の地点インデックスは0から始まるため)を意味し、xalは、先行車2の絶対座標系におけるx座標値を意味する。
また、追従車1の位置は、追従車1の車両中心点3の位置によって表され、先行車2の位置は、先行車2の車両中心点6によって表されるものとする。
【0037】
先行車2は、車速センサ43、姿勢センサ44により車速Vl、ヨーレートωl、タイムスタンプTl(現在日時刻)を所定のサンプリング周期(制御周期)で計測し、これら
を走行データとして追従車1に送信する。なお、タイムスタンプは、追従車1で付与してもよい。
追従車1は、先行車2の初期位置の地点Pal(0)をレーザレーダ15で計測し、その後は、走行データを用いて先行車2の移動量を計算して加算していくことにより、先行車2の走行した地点Pal(1)、Pal(2)、・・・、Pal(n)、・・・を記憶していく。
これらの線分を順に結ぶと先行車2の走行軌跡となり、nが最大となるPal(n)(図ではn=9)が、先行車2の現在位置となる。なお、この点は先行車2の車両中心点6ともなっている。
【0038】
Pal(n)(xal、yal)の具体的な計算式は、次の式(1)〜(4)ようになる。
ただし、xal、yalは、Pal(n)の絶対座標系におけるx、y座標値であり、Tl(n)、ωl(n)、Vl(n)は、それぞれ、Pal(n)を計算するための走行データに含まれていたタイムスタンプ、ヨーレート、車速であり、先行車2のyawはヨー角を表す。
【0039】
ΔT=Tl(n)−Tl(n−1)・・・(1)
yaw(n)=∫(ωl(n−1)×ΔT)dt=ωl(n−1)×ΔT+yaw(n−1)・・・(2)
xal(n)=Vl(n)×ΔT×sin(−yaw)+xal(n−1)・・・(3)
yal(n)=Vl(n)×ΔT×cos(−yaw)+yal(n−1)・・・(4)
【0040】
今、Pal(1)が後述の制御直近点として選択されたとする。追従車1は、自車を基準とする相対座標でのPal(1)の方位角θrlが0となるように旋回指令を発する。
また、追従車1は、先行車2の現在位置Pal(9)から各地点を結ぶ線分に沿って追従距離Dbcの位置に目標点Pbcを設定する。
更に、追従車1は、各地点を結ぶ線分に沿って目標点Pbcから自車の車両中心点3までの目標点距離Ddを計算し、追従車1の旋回量が小さい場合には、第1の車速制御にて目標点距離Ddが0となるように車速を設定し、追従車1の旋回量が大きい場合には、第2の車速制御にてPal(1)での先行車2の車速を設定する。
以上により、追従車1は、先行車2の走行軌跡上の地点に沿って最短の車間距離がDbcとなるように先行車2に同轍走行することができる。
【0041】
図4は、先行車軌跡情報記憶部19に記憶される先行車軌跡情報の論理的な構成の一例を示した図である。なお、これらは0.5秒間隔で記録したものであり、何れのデータもΔTは0.5となっている。
先行車軌跡情報は、先行車2が走行した走行軌跡上の各地点における先行車2の車速と絶対座標系における位置に地点インデックスを付与した地点データから構成されている。
【0042】
項目「n」は、地点インデックスであり、車車間通信によって先行車2から送信されてきた走行データに対応して昇順に付与される番号であり、地点データの時系列を表している。即ち、新しい地点データほど、大きな地点インデックスが付与されている。
項目「車速Vl」は、先行車2の走行軌跡上の各地点での車速Vlであり、走行データに含まれていたものである。
項目「座標Pal」は、先行車2の絶対座標系での座標値であり、項目「xal」、「yal」は、それぞれx、y座標値である。
これらの座標値は、走行データを用いて式(3)、(4)により算出されたものである

【0043】
このように、先行車軌跡情報では、先行車2の走行軌跡上の各地点での車速Vl、及び座標値Pal(xal、yal)が対応づけて記憶されており、追従車1は、先行車2から走行データを受信するごとに地点データを追加していく。
なお、初回開始時におけるV(0)、Pal(0)は、レーザレーダ15によって計測した値を用いる。又は、追従車1の車速と車両中心点3の位置とすることも可能である。
【0044】
図5は、制御直近点の選択方法を説明するための図である。
追従車1は、自車両の車両中心点3を原点とする相対座標を設定し、最小制御縦距離Dminから先にある位置のうち、タイムスタンプによる時系列が最も古いもの、即ち、地点インデックスが最も小さいものを制御直近点として選択する。
【0045】
換言すれば、前回の制御に使用した地点から時系列に従ってPal(n)を昇順に辿り、追従車1を中心とした相対座標系でPal(n)の縦距離y(n)が最小制御縦距離Dmin以上のものを選択する。
このように、追従車1の進行方向前方に存在する地点を選択することにより、追従車1の急旋回を抑制することができる。
【0046】
図5の例では、先行車2の地点が時系列順にPal(n+1)、・・・、Pal(n+4)と記憶されており、これを時系列に従って辿っていくと、地点Pal(n+3)の縦距離y(n+3)が最小制御縦距離Dminより進行方向前方にあるため、Pal(n+3)が制御直近点として選択される。
【0047】
また、最小制御縦距離Dminは、固定値とすることもできるし、追従車1の車速の関数とすることもできる。
追従車1の車速の関数とする場合、例えば、最小制御縦距離Dminが追従車1の車速Vfに比例し、追従車1の車速が0の場合はbとすると、Dminは、次の1次式(5)によって計算される。ここで、aとbは、共に正の数である。
【0048】
Dmin=a×Vf+b・・・(5)、
【0049】
この例では、追従車1の車速が大きいほど最小制御縦距離Dminが大きくなり、追従車1は、より先に存在する地点を制御直近点として選択するため、追従車1の旋回時のオーバーシュートを低減することができる。
このように、追従車1の車速に応じた適切な制御直近点を使用することにより、追従車1の走行軌跡に応じた制御指令値の補正が行われる。
なお、図5では、追従車1の車体に固定した相対座標系を用いて追従車1の進行方向前方を規定したが、例えば、追従車1の進行方向(旋回の接線方向)を軸とする相対座標系を用いて進行方向前方を規定してもよい。
【0050】
図6の各図は、追従車1が行う旋回指令を説明するための図である。
この例では、追従車1は、絶対座標系における制御直近点の方位角と自身の方位角を求め、これらから追従車1に対する制御直近点の相対的な方位角を求める。
【0051】
図6(a)において、Pal(n)を選択された制御直近点とする。
追従車1は、追従車1の車両中心点3(絶対座標系における座標値は(xf、yf))を原点とし、追従車1の向きを縦軸、方位角を0とする相対座標系を設定する。
追従車1は、当該相対座標系における制御直近点Pal(n)への方位角θrlを、次の式(6)により計算する。
【0052】
θrl=θan−θaf・・・(6)
【0053】
ここで、θanは、絶対座標系での制御直近点Pal(n)の方位角であり、次の式(7)により計算される。
【0054】
θan=arctan2(xal(n)−xf,yal(n)−yf)・・・(7)
【0055】
また、θafは、絶対座標系での自車の方位角であり姿勢センサ13などによって得ることができる。
なお、絶対座標系における角度の正負を、第1、4象限が負、第2、3象限を正としたため、θafは減算となっている。
【0056】
このようにして計算された方位角θrlは、追従車1が第1の車速制御と第2の車速制御を選択する際の判断に用いられる。
即ち、追従車1は、方位角θrlが所定の閾値α未満である場合には第1の車速制御を行い、所定の閾値α以上である場合には第2の車速制御を行う。
【0057】
ところで、本実施の形態では、追従車1に対する制御直近点の方位角θrlで、即ち、追従車1の旋回量によって第1の車速制御と第2の車速制御の切り替えを判断した。
これに対し、先行車2の旋回量に応じて車速制御を切り替えるように構成した変形例も可能である。
例えば、図6(b)に示したように、追従車1は、制御直近点Pal(n)と、これの手前の地点Pal(n−1)を結ぶ線と、制御直近点Pal(n)と、これより1つ先の地点Pal(n+1)を結ぶ線のなす角θrl’を計算する。この角θrl’は、先行車2の旋回角に相当するものである。
【0058】
そして、追従車1は、方位角θrl’が所定の閾値α以上か否かを判断し、α未満である場合には第1の車速制御を行い、α以上である場合には第2の車速制御を行う。
旋回指令値は、図6(a)と同様に相対座標系における制御直近点Pal(n)の方位角が0に収束するように発する。
このように、第1の車速制御と第2の車速制御の切り替えには、追従車1の旋回量を用いて行うこともできるし、先行車2の旋回量を用いて行うこともできる。
【0059】
図7(a)は、目標点距離を説明するための図である。
追従車1は、Pal(n)(nは最も大きいnであり、図の例ではPal(9)で先行車2の車両中心点6に対応する)から先行車2の後方に各地点を結ぶ線分に沿って追従距離(車間距離)Dbcの位置に目標点Pbcを設定する。
目標点距離Ddは、目標点Pbcから車両中心点3までの各地点を結ぶ線に沿った距離である。
【0060】
地点Pal(n)とPal(n−1)の距離Dal(n)は、図7(b)の式(8)で表される。
一方、追従車1の車両中心点3から最も近い地点Pal(n)(図ではPal(0))までの距離は、図7(b)の式(9)の第1項で表される。
そこで、当該第1項に、地点を遡りながらnの最大値(図では9)を式(8)に加算していけば(式(9)の第2項)、先行車2から追従車1までの地点を結ぶ線分に沿った距離が計算される。
これから、追従距離Dbcを減算すると(式(9)の第3項)、線分に沿った追従車1から目標点Pbcまでの目標点距離Ddが計算される(式(9))。
【0061】
第1の車速制御では、追従車1が位置3aなど、ほぼ直線状の走行軌跡上にある場合に行われ、単純な比例制御を行う場合は、目標点距離Ddに比例ゲインKpを乗算し、更に先行車2の現在の車速Vl(n)(nは最大値)を加算して追従車1の車速指令値Vtsを算出する。
【0062】
第2の車速制御では、第1の車速制御の指令速度Vtsをそのまま使用すると、追従車1が旋回状態であるにもかかわらず速度が出てしまうため、制御直近点Pal(n)を先行車2が通過した車速を先行車軌跡情報から読み出し、これを速度指令値Vtsとする。
これにより、追従車1は、先行車2と同様の速度で旋回を行い、旋回時に速度が上がることを防ぐことができる。
【0063】
先行車2は、当該地点を当該車速によって旋回したため、当該車速以下であれば当該地点を安全に旋回できると考えることができる。
そのため、追従車1は、先行車2の車速を用いることにより、安全かつ、不必要に遅くならない車速で当該地点を旋回することができる。
【0064】
ところで、先行車2が旋回中に停止した場合、先行車軌跡情報に車速Vl(n)が0で座標値が同じ地点データが先行車軌跡情報に複数記録される。
この場合、追従車1が旋回時に先行車2の車速を用いると、車速Vl(n)が0であるため、停止する必要がなくても追従車1は、停止してしまう。
【0065】
そこで、追従車1は、地点Pal(n)の車速Vl(n)が停止状態であると判断される場合には、当該地点データを制御直近点として採用せず、先行車2に現在位置に向かって車速V(n)が所定の閾値を超えるまで、時系列の昇順に車速V(n)と閾値の比較を行い、閾値を超えたものを制御直近点として採用する。
また、閾値を超える地点Pal(n)がなかった場合、追従車1は、先行車2の車両中心点6(軌跡情報の最新のもの)を制御直近点として採用する。
【0066】
なお、本実施の形態では、車速Vl(n)が0である地点データをスキップする(採用しない)ように構成したが、例えば、車速Vl(n)が1[Km/h]以下の地点データをスキップするなど、所定の値以下の地点データをスキップするように構成してもよい。
【0067】
図8は、追従車1が行う追従制御の手順を説明するためのフローチャートである。
以下の各フローチャートで追従車1が行う処理は、追従車1のECU17が所定のプログラムに従って行うものである。
まず、追従車1は、追従走行を開始する場合、先行車2の初期位置を取得する(ステップ5)。
追従走行の開始は、例えば、追従車1の搭乗者が追従開始ボタンを押下するなど、何らかのトリガによって開始する。
このステップにおいて、追従車1は、レーザレーダ15により、先行車2の現在位置を相対座標系で計測し、これを自車の絶対座標値を用いて絶対座標系に変換することにより、追従車1の絶対座標値を取得する。
【0068】
次に、追従車1は、各種の値を初期化する(ステップ10)。
この初期化により、地点データに時系列による順序を付与する地点インデックスnは0に、先行車2の車速Vl(n)は0に、自車の絶対座標における座標値(xal(n)、yal(n))は現在位置の絶対座標における座標値(x、y)に、前回(即ち、地点インデックスが1つ前の)のタイムスタンプを格納するパラメータであるToldは、追従車1が、先行車2の初期位置取得の際の日時刻に設定される。
次に、追従車1は、地点インデックスnを1だけインクリメントする(ステップ15)。
【0069】
次に、追従車1は、先行車軌跡情報保存処理を行い(ステップ20)、追従し制御指令値算出処理を行い(ステップ25)、これによって算出される旋回指令、及び車速指令を用いて追従走行を行うように車両制御処理を行う(ステップ30)。
次に、追従車1は、追従走行を継続するか否かを判断し(ステップ35)、継続する場合には(ステップ35;Y)、ステップ20に戻り、継続しない場合には(ステップ35;N)、追従制御を終了する。
追従走行の終了は、例えば、追従車1の搭乗者が追従走行終了ボタンを押下するなど、何らかのトリガによって終了する。
【0070】
図9は、ステップ20(図8)の先行車軌跡情報保存処理の手順を説明するためのフローチャートである。
追従車1は、車車間通信により先行車の走行データ(ヨーレートω、車速V、タイムスタンプTが含まれている)を受信する(ステップ55)。なお、タイムスタンプは、追従車1がヨーレートω、車速Vを受信した際に、現在日時刻を付与するように構成してもよい。
次に、追従車1は、前回のヨーレートωを格納するパラメータであるωoldに前回のヨーレートω(n−1)を設定し、ΔTには、式(1)に従ってΔT=T−Toldを設定する(ステップ60)。
【0071】
次に、追従車1は、先行車の絶対座標系における座標値を次のようにして算出する(ステップ65)。
まず、追従車1は、先行車2のヨー角を格納するパラメータであるyawには、式(2)に従ってωold×ΔT+yawを設定する。
次に、追従車1は、式(3)、式(4)に従って、先行車2の絶対座標系におけるx座標値xal(n)と、y座標値yal(n)を算出する。
【0072】
追従車1は、このようにして先行車2の座標値を算出すると、走行データで受信した車速VをV(n)と、ステップ65で算出したxal(n)、yal(n)を対応づけて、地点インデックスを付与して地点データとし、先行車軌跡情報に保存する(ステップ70)。
更に、追従車1は、走行データに含まれるタイムスタンプTをToldとしてRAMなどのメモリに記憶する(ステップ75)。
そして、追従車1は、地点インデックスをn←n+1として1だけインクリメントする(ステップ80)。
【0073】
図10は、ステップ25(図8)の追従制御指令値算出処理の手順を説明するためのフローチャートである。
まず、追従車1は、自車の絶対座標系における現在位置とヨー角を取得する(ステップ105)。
そして、追従車1は、xfに現在位置のx座標値を設定し、yfに現在位置のy座標を設定し、更に、θafにヨー角を設定する。
【0074】
次に、追従車1は、自車の車速を式(5)に適用して最小制御縦距離Dminを計算し、これを用いて先行車軌跡情報で制御直近点を探索することにより、制御直近点の地点インデックスを取得する(ステップ110)。制御直近点のインデックスをnとする。なお、このnは、先の先行車軌跡情報保存処理で使用したnから独立したパラメータである。
次に、追従車1は、絶対座標系における制御直近点の方位角θanを計算する(ステッ
プ115)。この計算は、式(7)を用いて行うことができる。
【0075】
次に、追従車1は、式(6)にθafとθanを適用して相対座標系での追従車1に対する制御直近点の方位角θrlを算出することにより(ステップ120)、自車に対する制御直近点の方位角を相対座標系から絶対座標系に変換する。
次に、追従車1は、方位角θrlに比例ゲインKpを乗じて(Kp×θrl)旋回指令値ωfを算出する(ステップ125)。
【0076】
次に、追従車1は、パラメータiと目標点距離Ddの初期値を0に設定する(ステップ130)。
目標点距離Ddを0に初期化すると、追従車1は、まず、追従車1から制御直近点までの距離(式(9)の第1項)を算出する(ステップ135)。
次に、追従車1は、式(8)を用いてDal(n+i+1)を計算し、Dd←Dd+Dal(n+i+1)として、Ddを2地点Pal(n+i)、Pal(n+i+1)の距離だけインクリメントする(ステップ140)。
【0077】
次に、追従車1は、iをi←i+1として1だけインクリメントし(ステップ145)し、n+i+1が地点インデックスnの最大値以下であるか否かを判断する(ステップ150)。
n+i+1が最大値以下である場合(ステップ150)、先行車2の位置までの全ての地点データについて地点データ間の距離を合計したわけではないので、追従車1は、ステップ140に戻り、更に、地点データを遡って同様の計算を行い、目標点距離Ddを更新する。ステップ140〜145は、式(9)の第2項に対応する処理である。
【0078】
一方、n+i+1が最大値以下でない場合(この場合、n+i+1が最大値と等しくなる)(ステップ150)、先行車2の現在位置まで地点データを遡って地点間の距離を合計したため、追従車1は、図11のフローチャートに移行し、目標点距離Ddの値から追従距離Dbcを減算して、目標点距離Ddの最終値を得る(ステップ155)。
以上により、式(9)に従って、目標点距離Ddが算出される。
【0079】
次に、追従車1は、目標点距離Ddに比例ゲインKpを乗じた次の式(10)により、目標速度Vtsを算出する(ステップ160)。
【0080】
Vts=Kp×Dd+Vl(nの最大値)・・・(10)
【0081】
次に、追従車1は、方位角θrlが閾値α以上であり、かつ、Vtsが0より大きいか否かを判断する(ステップ165)。
何れか一方、あるいは両方の条件が満たされていない場合(ステップ165;N)、追従車1は、車速指令値Vtとして目標速度Vtsを設定する(ステップ175)。
【0082】
一方、両方の条件が満たされている場合(ステップ165;Y)、追従車1は、制御直近点通過時の先行車2の車速Vl(n)を車速指令値Vtに設定する(ステップ170)。
なお、本実施の形態では、一方、両方の条件が満たされている場合(ステップ165;Y)にVt←Vl(n)としたが、Vl(n)以下の車速であれば安全に旋回できるため、Vl(n)以下の値を車速指令値とするように構成することもできる。
【0083】
ステップ165の判断で、Vtsが0より大きいか否かを判断したのは、先行車2が停止して、追従車1が目標点Pbcに到達したにもかかわらず、追従車1が第2の車速制御を行って地点Pal(n)での車速で走行することにより、追従車1が追従距離Dbcよ
りも先行車2に接近するのを防ぐためである。
【0084】
以上に説明した本実施の形態では、追従車1は、先行車2の初期位置をレーザレーダ15で計測した後は、先行車2から受信した先行車2の車速とヨーレートを用いて先行車2の地点を計算したが、これは、一例であって、レーザレーダ15を用いて持続的に先行車2の地点と車速を計測するように構成することもできる。
【0085】
以上、第1の実施の形態について説明したが、これにより次のような効果を得ることができる。
(1)先行車2の走行軌跡上の地点について、その位置と、その地点を通過した際の先行車2の車速を対応づけて記憶することができる。
(2)先行車2の走行軌跡の地点から制御直近点を選択し、当該制御直近点への方位角θrlが0となるように旋回指令を発することにより、追従車1は、先行車2の走行軌跡に沿って同轍走行することができる。
(3)制御直近点の方位角θrlが閾値α未満の場合に、目標点距離Ddが0となるように第1の車速制御を行うことにより、追従車1は、先行車2との追従距離を一定に保ちながら同轍追従走行を行うことができる。
(4)制御直近点の方位角θrlが閾値α以上の場合に、制御直近点での先行車2の車速が追従車1の車速となるように第2の車速制御を行うことにより、追従車1は、安全に旋回することができる。
(5)制御直近点の方位θrlによって第1の車速制御と第2の車速制御を切り替えることにより、追従車1は、安全かつスムーズに同轍追従走行することができる。
(6)追従車1から所定距離進行方向前方にあり、最も古い地点を制御直近点として選択することにより、常に追従車1の前方に制御直近点を設定することができ、安全な旋回を行うことができる。
(7)追従車1の車速に応じて最小制御縦距離Dminを設定することにより、より適切な地点を制御直近点として選択することができ、高速走行時に発生する不安定な旋回動作を軽減すると共に、地点データに対応づけられた先行車2の車速も適切なものが選択されるため、遅れのない制御を行うことができる。
【0086】
(第2の実施の形態)
先に説明した実施の形態では、第2の車速制御において、追従車1は、先行車2の制御直近点での車速を車速指令に用いたが、第2の実施の形態では、先行車2の制御直近点での横加速度を用いて車速指令を算出する。
【0087】
図12は、横加速度を用いて追従車1の車速指令を生成する場合を説明するための図である。
追従車1は、制御性能が異なるなどの各種の理由から、必ずしも先行車2が各地点を通過したときの姿勢と同じ姿勢で各地点を通過するわけではない。
このため、制御直近点Pal(n)に向かう追従車1の向きは、制御によって先行車2と異なる場合がある。
この場合、追従車1は、制御のずれにより、先行車2がPal(n)を通過した際のヨーレートより大きなヨーレートで旋回する場合がある。
【0088】
例えば、図の線分で示した右旋回の走行軌跡を先行車2が通過した際の姿勢に対して、追従車1の姿勢が旋回の外側を向いていたとする。
この場合、追従車1の制御直近点Pal(n)に対する方位角の方が先行車2より大きいため、追従車1は、先行車2と同じ車速で制御直近点に向けて旋回すると横加速度が大きくなり、車体が不安定になったり、搭乗者が不快な感じを受けたりする可能性がある。
【0089】
そこで、本実施の形態では、先行車2が当該地点を通過した際の横加速度を取得し、追従車1が当該地点を通過する際に、先行車2の当該地点での横加速度と同じ横加速度(あるいは、当該横加速度以下)となるように追従車1の車速を設定する。
このように、先行車通過時の横加速度と同じ横加速度で追従車1が旋回することにより、より追従性のよい旋回を行うことができる。
【0090】
図13は、第2の実施の形態における追従車1が記録した先行車軌跡情報の論理的な構成の一例を示した図である。ただし、何れのデータもΔTは0.5となっている。
第2の実施の形態の先行車軌跡情報は、第1の実施の形態の地点データに、先行車2の走行データから取得した項目「ヨーレート」を加えたものとなっている。
このように、本実施の形態の地点データは、先行車2が通過した地点での先行車2の車速、ヨーレート、及び座標値に地点インデックスを付与して構成されている。
【0091】
一般に、横加速度は、車速にヨーレートを乗じた値であり、先行車2の横加速度は、Vl(n)×ωl(n)で計算される。
追従車1は、これを用いて以下のように追従制御を行う。
まず、旋回指令は、第1の実施の形態と同様であり、追従車1は、制御直近点の方位角が0となるように旋回指令を出力する。
【0092】
車速指令に関しては、追従車1は、制御直近点の方位角θrlが閾値α未満の場合には、目標点距離Ddを0にするように車速指令を出力する。これは、第1の車速制御と同じである。
一方、方位角θrlが閾値α以上の場合には、追従車1は、制御直近点での先行車2の車速とヨーレートを先行車軌跡情報から読み出して制御直近点での先行車2の横加速度を計算し(この際、追従車1のヨーレートは旋回指令ωfを用いる)、これを自車の旋回指令値で除することにより、先行車2と同じ横加速度となる自車の車速を計算・出力する(第3の車速制御)。
【0093】
例えば、制御直近点が地点Pal(n)であったとすると、方位角θrlが閾値α以上となる場合、追従車1は、地点Pal(n)での車速V(n)とヨーレートωl(n)を先行車軌跡情報から読み出して、次の式(11)で表されるPal(n)での先行車2の横加速度Alを計算し、更に、これをωfで除した次の式(12)のVtを自車の車速指令値とする。または、当該Vtを上限として、これ以下の値を設定してもよい。
【0094】
横加速度Al(n)=Pal(n)×車速V(n)・・・(11)
Vt=Al(n)/ωfの絶対値・・・(12)
【0095】
以上のように、追従車1の旋回量が大きい場合に、制御直近点での先行車2の横加速度を追従車1の横加速度と等しく、あるいは上限とすることにより、先行車2と同様の横加速度で旋回を行い、旋回時に車速が過度に上がることを防止することができる。
【0096】
図14は、追従制御指令値算出処理の手順を説明するためのフローチャートであり、第1の実施の形態の図11に対応するものである。
なお、図10に対応する処理は、第1の実施の形態と同じであり、説明は省略する。
図14のフローチャートにおいて、ステップ155〜175は、図11と同じであり、追従車1は、追従距離Dbcを減算して(ステップ155)、目標速度Vtsを算出する(ステップ160)。
次いで、追従車1は、方位角θrlが閾値α以上であり、かつ、Vtsが0より大きいか否かを判断する(ステップ165)。
何れか一方、あるいは両方の条件が満たされていない場合(ステップ165;N)、追
従車1は、車速指令値Vtとして目標速度Vtsを設定する(ステップ175)。
【0097】
一方、両方の条件が満たされている場合(ステップ165;Y)、追従車1は、制御直近点通過時の先行車2の横加速度Al(n)を式(11)によって算出し(ステップ205)、式(12)によるAl(n)/ωfの絶対値を車速指令値Vtに設定する(ステップ210)。
以上のようにして、本実施の形態では、追従車1の旋回量が大きい場合に、当該地点を通過した際の先行車2の横加速度によって追従車1の横加速度を規制することができる。
【0098】
(変形例1)
第2の実施の形態では、直近制御点の方位角θrlによって第1の車速制御と第3の車速制御を切り替えたが、方位角θrlにかかわらず、当該切り替えを行わずに第3の車速制御を実行するように追従車1を構成することも可能である。即ち、追従車1は、追従走行の開始から終了まで、上記の旋回指令と第3の車速制御による車速制御によって追従走行する。
この場合、追従車1は、旋回指令に関しては、制御直近点の方位角θrlが0となるように指令を出力し、車速指令に関しては、当該旋回指令に対し、制御直近点での横加速度が当該制御直近点を通過した際の先行車2の横加速度と同じになるように指令を出力する。
【0099】
(変形例2)
第2の実施の形態では、制御直近点の方位角θrlによって第1の車速制御と第3の車速制御を切り替えたが、この他に、追従車1が旋回指令のヨーレートωfを監視し、ωfの絶対値が所定の閾値β未満の場合には、第1の車速制御を行い、ωfの絶対値が閾値β以上の場合には、第3の車速制御を行うように構成することも可能である。
例えば、制御直近点が地点Pal(n)であったとすると、旋回指令のヨーレートωfの絶対値が閾値β以上となる場合、追従車1は、地点Pal(n)での車速V(n)とヨーレートωl(n)を先行車軌跡情報から読み出して、Pal(n)での先行車2の横加速度Aal(n)=Pal(n)×車速V(n)を計算し、更に、これをωfで除したVt=Aal(n)/ωfを自車の車速指令値とする。または、当該Vtを上限として、これ以下の値を設定してもよい。
【0100】
以上に説明した第2の実施の形態により、次のような効果を得ることができる。
(1)追従車1は、先行車2の走行軌跡上の地点に沿って走向する場合に、当該地点における先行車2の横加速度と同じ、又は、それ以下の横加速度となるように車速を設定することができる。
(2)制御直近点の方位角θrlが閾値α以上の場合には、第3の車速制御により、追従車1の横加速度が当該地点での先行車2の横加速度以下となるように車速を制御し、α未満の場合には、第1の車速制御により、先行車2からの追従距離が一定となるように制御することにより、追従車1は、先行車2に安全かつスムーズに追従することができる。
【0101】
以上に説明した第1の実施の形態、及び第2の実施の形態において、追従車1を制御する車両制御装置は、車車間通信によって先行車2から、地点を特定する情報(車速、ヨーレート、タイムスタンプ)と車速対応する車速情報(この場合、車速や横加速度)を含む走行データを受信するため、先行車の走行した地点を特定する地点情報と当該地点における先行車の車速に対応する車速対応情報を含む走行データを取得する走行データ取得手段を備えている。
また、当該車両制御装置は、目標点Pbcを設定し、当該目標点Pbcに到達するように追従車1を制御するため、先行車に追従走行するための目標点を設定する目標点設定手段と、設定した目標点に到達するように追従車の走行を制御する走行制御手段を備えてい
る。
また、当該車両制御装置は、走行データを用いて先行車2の走行軌跡上の地点を取得し、当該地点から制御直近点を選択し、追従車1と制御直近点の位置関係からの方位角θrlを旋回量とするため、取得した走行データを用いて旋回量を取得する旋回量取得手段を備えている。
そして、当該車両制御装置は、方位角θrlが閾値α以上である場合には、追従車1の現在位置を基準として対応する地点、ここでは、制御直近点における先行車2の車速を用いて追従車1の車速を設定するため、走行制御手段は、取得した旋回量が所定量以上である場合には、追従車の現在位置を基準として対応する地点における先行車の車速対応情報を用いて当該追従車の車速を設定している。
【0102】
第1の実施の形態では、旋回量、即ち、方位角θrlが閾値α以上の場合、当該車両制御装置は、制御直近点での先行車2の車速以下となるように追従車1の車速を制御するため、車速対応情報は、先行車の車速であり、走行制御手段は、取得した旋回量が所定量以上である場合には、追従車の現在位置を基準として対応する地点における先行車の車速以下となるように追従車の車速を設定している。
【0103】
第2の実施の形態では、方位角θrlが閾値α以上に場合、当該車両制御装置は、追従車1の横加速度が制御直近点での先行車2の横加速度以下となるように追従車1の車速を制御するため、車速対応情報は、先行車の横加速度を特定する情報(車速、ヨーレートなど)であり、走行制御手段は、取得した旋回量が所定量以上である場合には、追従車の横加速度が、当該追従車の現在位置を基準として対応する地点における先行車の横加速度以下となるように追従車の車速を設定している。
【0104】
また、第1の車速制御では、当該車両制御装置は、目標点距離Ddが0となるように車速指令を設定するため、当該車両制御装置は、設定した目標点に到達するための車速指令値を取得する車速指令値取得手段を備えている。
また、当該車両制御装置は、方位角θrlが閾値α未満の場合には、第1の車速制御を行うため、取得した旋回量が所定量未満の場合、走行制御手段は、追従車の車速を取得した車速指令値に設定している。
【0105】
そして、当該車両制御装置は、方位角θrlが閾値α以上であり、かつ、目標点距離Ddとの距離で定まる車速指令が0より大きい場合に、第2の車速制御、又は第3の車速制御を行うため、走行制御手段は、取得した旋回量が所定量以上であり、かつ、取得した車速指令値の値が0より大きい場合に、追従車の現在位置を基準として対応する地点における先行車の車速対応情報を用いて当該追従車の車速を設定している。
【0106】
更に、追従車1を制御する車両制御装置は、上に述べたように、走行データ取得手段と、目標点設定手段と、走行制御手段と、旋回量取得手段と、を備えており、当該車両制御装置は、旋回量、即ち、方位角θrlが閾値α以上である場合には、最小制御縦距離Dminから先にあり、先行車2が通過した順序が最も古い地点データを制御直近点として選択し、その地点データでの先行車2の車速を追従車1の車速に設定するため、走行制御手段は、取得した旋回量が所定量以上である場合には、追従車の進行方向前方の所定距離(から先)で、先行車が通過した順序が最も古い地点を選択し、当該選択した地点における先行車の車速対応情報を用いて追従車の車速を設定している。
【0107】
また、当該車両制御装置は、車速センサ12によって追従車1の車速を計測し、式(5)によって最小制御縦距離Dminを設定するため、当該車両制御装置は、追従車の車速を取得する車速取得手段を備え、走行制御手段は、取得した車速が大きいほど追従車の進行方向前方の所定距離を大きく設定している。
【0108】
また、当該車両制御装置は、地点データにおける先行車2の車速が0の場合、当該地点データをスキップして所定の閾値以上の車速となる最も古い地点データを選択するため、選択した地点における先行車の車速情報による車速が0の場合、走行制御手段は、当該地点よりも順序が新しい地点のうち、車速情報による車速が所定の閾値以上の最も古い地点を選択している。
【0109】
また、当該車両制御装置は、先行車2からの目標点距離Ddに基づく車速指令値を設定し、当該車速指令値が0よりも大きい場合に、地点データでの先行車2の車速に基づく追従車1の車速指令を設定するため、設定した目標点に到達するための車速指令値を取得する車速指令値取得手段を備え、走行制御手段は、設定した車速指令値が0よりも大きく、かつ、取得した旋回量が所定量以上である場合に、追従車の進行方向前方の所定距離(から先)で、先行車が通過した順序が最も古い地点を選択し、当該選択した地点における先行車の車速対応情報を用いて追従車の車速を設定している。
【0110】
また、第2の実施の形態において、追従車1を制御する車両制御装置は、車車間通信によって先行車2から、地点を特定する情報(車速、ヨーレート、タイムスタンプ)と横加速度を特定する横加速度情報(車速とヨーレート)を含む走行データを受信するため、先行車の走行した地点と当該地点における先行車の横加速度を特定する横加速度情報を含む走行データを取得する走行データ取得手段を備えている。なお、タイムスタンプは、車速、ヨーレートを受信した際に追従車1が付与してもよい。
また、当該車両制御装置は、目標点Pbcを設定し、当該目標点Pbcに到達するように追従車1を制御するため、先行車に追従走行するための目標点を設定する目標点設定手段と、設定した目標点に到達するように追従車の走行を制御する走行制御手段を備えている。
そして、当該車両制御装置は、方位角θrlが閾値α以上である場合には、追従車1の横加速度が、追従車1の現在位置を基準として対応する地点、ここでは、制御直近点における先行車2の横加速度以下となるように設定するため、走行制御手段は、追従車の横加速度が、当該追従車の現在位置を基準に対応する地点における先行車の横加速度以下となるように追従車の車速を設定している。
【0111】
また、当該車両制御装置は、追従車1と制御直近点の位置関係からの方位角θrlを旋回量とするため、取得した走行データを用いて旋回量を取得する旋回量取得手段を備えている。
そして、当該制御手段は、方位角θrlが閾値α以上となる地点において、第3の車速制御を行い、閾値α未満の地点では第1の車速制御を行うため、走行制御手段は、取得した旋回量が所定量以上となる地点においては、当該追従車の現在位置を基準に対応する地点の横加速度情報を用いて車速の設定を行い、取得した旋回量が所定量未満となる地点においては、目標点に基づいて車速の設定を行っている。
【0112】
また、第2の実施の形態の変形例2では、当該車両制御装置は、走行データを用いてヨーレートを取得するため、取得した走行データを用いてヨーレートを取得するヨーレート取得手段を備えている。
そして、当該車両制御装置は、追従車1のヨーレートが閾値β以上の場合には第3の車速制御を行い、閾値β未満の場合には第1の車速制御を行うため、走行制御手段は、取得したヨーレートが所定量以上となる地点においては、当該追従車の現在位置を基準に対応する地点の横加速度情報を用いて車速の設定を行い、取得したヨーレートが所定量未満となる地点においては、目標点に基づいて車速の設定を行っている。
【符号の説明】
【0113】
1 追従車
2 先行車
11 車両駆動部
12 車速センサ
13 姿勢センサ
14 車間通信部
15 レーザレーダ
17 ECU
18 先行車走行軌跡認識部
19 先行車軌跡情報記憶部
20 車両制御指令算出部
21 追従車走行軌跡認識部
41 車間通信部
42 ECU
43 車速センサ
44 姿勢センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先行車の走行した地点を特定する地点情報と当該地点における前記先行車の車速に対応する車速対応情報を含む走行データを取得する走行データ取得手段と、
前記先行車に追従走行するための目標点を設定する目標点設定手段と、
前記設定した目標点に到達するように追従車の走行を制御する走行制御手段と、
前記取得した走行データを用いて旋回量を取得する旋回量取得手段と、
を具備し、
前記走行制御手段は、前記取得した旋回量が所定量以上である場合には、前記追従車の現在位置を基準として対応する地点における前記先行車の車速対応情報を用いて当該追従車の車速を設定することを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記車速対応情報は、前記先行車の車速であり、
前記走行制御手段は、前記取得した旋回量が所定量以上である場合には、前記追従車の現在位置を基準として対応する地点における前記先行車の車速以下となるように前記追従車の車速を設定することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記車速対応情報は、前記先行車の横加速度を特定する情報であり、
前記走行制御手段は、前記取得した旋回量が所定量以上である場合には、前記追従車の横加速度が、当該追従車の現在位置を基準として対応する地点における前記先行車の横加速度以下となるように前記追従車の車速を設定することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記設定した目標点に到達するための車速指令値を取得する車速指令値取得手段を具備し、
前記取得した旋回量が所定量未満の場合、前記走行制御手段は、前記追従車の車速を前記取得した車速指令値に設定することを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記走行制御手段は、前記取得した旋回量が所定量以上であり、かつ、前記取得した車速指令値の値が0より大きい場合に、前記追従車の現在位置を基準として対応する地点における前記先行車の車速対応情報を用いて当該追従車の車速を設定することを特徴とする請求項1から請求項4までのうちの何れか1の請求項に記載の車両制御装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのうちの何れか1の請求項に記載の車両制御装置を搭載し、先行車に追従走行する車両。
【請求項7】
先行車の走行した地点を特定する地点情報と当該地点における前記先行車の車速に対応する車速対応情報を含む走行データを取得する走行データ取得機能と、
前記先行車に追従走行するための目標点を設定する目標点設定機能と、
前記設定した目標点に到達するように追従車の走行を制御する走行制御機能と、
前記取得した走行データを用いて旋回量を取得する旋回量取得機能と、
をコンピュータで実現し、
前記走行制御機能は、前記取得した旋回量が所定量以上である場合には、前記追従車の現在位置を基準として対応する地点における前記先行車の車速対応情報を用いて当該追従車の車速を設定することを特徴とする車両制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−235083(P2010−235083A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88153(P2009−88153)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】