説明

車両制御装置

【課題】アイドリング停車中にアクセルペダルが踏み込まれている場合、その状態をドライバが認識することができるようにした、車両制御装置を提供する。
【解決手段】車両に搭載されたアクセルペダル14aの開度を検出するアクセル開度センサ13と、アクセルペダル14aを動作させるアクチュエータ14bと、車両のアイドリング停車中に、アクセル開度センサ13により検出された開度が所定開度以上であるペダル踏み込み状態か否かを判定する判定手段1,2と、判定手段1,2により判定されたペダル踏み込み状態に応じて、アクチュエータ14bを制御するペダル制御手段3とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイドリング停車中にアクセルペダルの踏み込みが検出されたら、そのペダル踏み込み状態に応じて車両を制御する車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば長距離走行をする自動車やトラックのドライバ、駐車場で人待ちをしているときのドライバ等の中には、車内の空調を快適に保つためにアイドリング停車しながら車内で仮眠をとるドライバがいる。このとき、仮眠中のドライバの足がアクセルペダルにかかり、無意識のうちにアクセルペダルを踏み込んでしまうことがある。
【0003】
アイドリング停車中は、シフトレバー(又はセレクトレバー)の位置がニュートラル(Nレンジ)やパーキング(Pレンジ)にされているため、アクセルペダルが踏み込まれても誤って車両が走行することはない。しかし、アクセルペダルが踏み込まれることによって、エンジン回転数が高回転となってしまい、このような状態が継続すると、燃料を無駄に消費してしまうため燃費が悪化し、環境に対する影響も懸念される。
【0004】
これに対して、アイドリング停車中にアクセルペダルの踏み込みがあったときに、エンジン回転数を低下させる技術として、例えば特許文献1に記載のような技術が提案されている。この技術では、車両が停止しており、且つ、ドライバに運転意思がないと推定された場合に、エンジン制御手段に対してアイドリング状態を維持する指令を出力し、エンジンの空吹かしを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−121544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の特許文献1の技術では、エンジンの空吹かし状態(すなわち、アイドリング停車中にアクセルペダルが踏み込まれることによりエンジンが高回転になってしまう状態)を防止することはできても、空吹かし状態を防止するための制御が実施中であることをドライバに知らせる術がない。つまり、特許文献1の技術では、アクセルペダルを踏んでいることにドライバ自らが気づくまでは、アイドリング状態を維持する制御が実施されることになり、長時間のあいだエネルギーが浪費されたままとなる点には変わりがない。
【0007】
また、例えばドライバがエンジンを早期に暖機させたいと考えて、アイドリング停車中に意図的にアクセルペダルを踏み込むような場合も想定される。しかしこのような場合であっても、上記の特許文献1の技術では、強制的にアイドリング状態を維持してしまうため、その制御がドライバの意思に沿わないことがある。
【0008】
本件はこのような課題に鑑み案出されたもので、アイドリング停車中にアクセルペダルが踏み込まれている場合、その状態をドライバが認識することができるようにした、車両制御装置を提供することを目的とする。
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置づけることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)ここで開示する車両制御装置は、車両に搭載されたアクセルペダルの開度を検出するアクセル開度センサと、前記アクセルペダルを動作させるアクチュエータと、前記車両のアイドリング停車中に、前記アクセル開度センサにより検出された前記開度が所定開度以上であるペダル踏み込み状態か否かを判定する判定手段と、前記判定手段により判定された前記ペダル踏み込み状態に応じて、前記アクチュエータを制御するペダル制御手段とを備えることを特徴としている。
【0010】
ここでいう前記アクチュエータとは、前記車両の通常走行中の前記アクセルペダルへの踏み込み操作の有無に関わらず、前記アクセルペダルを動かすもの(駆動手段)である。言い換えると、前記アクチュエータとは、前記アクセルペダルへの踏み込み操作を補助するために用いられるものに限られず、前記アクセルペダルを動かすものである。また、前記アクチュエータによる前記アクセルペダルの動作方向は、前記踏み込み操作や踏み戻し操作の方向のみに限定されず、例えば踏み込み操作の方向に垂直な方向をも含む。つまり、ここでいうアクセルペダルの「動作」には、一般的なアクセルペダルの作動方向に沿った動作だけでなく、通常の作動方向とは異なる方向への動作や周期的な動作(すなわち振動動作)が含まれる。
【0011】
(2)前記ペダル制御手段が、前記アクセルペダルが振動するように前記アクチュエータを制御することが好ましい。
(3)前記ペダル制御手段が、前記ペダル踏み込み状態に応じて前記アクセルペダルを振動させるときに加える力の大きさを変更するように、前記アクチュエータを制御することが好ましい。
【0012】
(4)前記ペダル制御手段が、前記ペダル踏み込み状態に応じて前記アクセルペダルの振動周期を変更するように、前記アクチュエータを制御することが好ましい。
(5)前記ペダル踏み込み状態に応じて、エンジン回転数がアイドル回転数になるようにエンジンを制御するエンジン制御手段を備えることが好ましい。
【0013】
(6)前記ペダル制御手段が、前記ペダル踏み込み状態に応じて、前記アクセルペダルの踏み戻し方向に与えられた力を抜く時間を所定時間以下とするように前記アクチュエータを制御し、前記アクセルペダルに対する前記力を抜くときに、前記アクセルペダルとエンジンとの接続を遮断する遮断手段を備えることが好ましい。
【0014】
(7)シフトレバーのポジションを検出するシフトポジションセンサと、車速を検出する車速センサとを備え、前記判定手段が、前記シフトポジションセンサにより検出されたシフトポジションがPレンジ又はNレンジであって、且つ、前記車速センサにより検出された車速がゼロのときに、前記車両が前記アイドリング停車中であると判定することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
開示の車両制御装置によれば、アイドリング停車中にアクセルペダルが踏み込まれた状態(すなわち、ペダル踏み込み状態)に応じて、アクセルペダルを動作させるようにアクチュエータを制御するので、例えば仮眠中に誤ってアクセルペダルを踏み込んだままのドライバに対して、アクセルペダルが踏み込まれた状態であることを気づかせることができ、アクセルペダルから足を離すように促すことができる。これにより、アイドリング停車中に、無意識に足がアクセルペダルにかかることによってエンジンが高回転で連続運転されることを防ぐことができ、燃費の悪化を防止することができる。
【0016】
また、ドライバがアイドリング停車中に意図的にアクセルペダルを踏み込んだ場合であっても、アクセルペダルが踏み込まれた状態であることを気づかせるための制御(報知制御)が実施されていることを意識させることができる。したがって、このような報知制御を回避するような踏み込み操作をドライバに促すことができ、ドライバの意思に沿ったエンジンの暖機を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】一実施形態に係る車両制御装置を例示するブロック図である。
【図2】アクセルペダルの踏み込み状態を説明する図であり、(a)はペダルを踏んでいない状態、(b)はペダル踏み込み状態、(c)はペダルを振動させている状態である。
【図3】一実施形態に係る車両制御装置による制御内容を説明するフローチャートAである。
【図4】一実施形態に係る車両制御装置による制御内容を説明するフローチャートBである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面により実施の形態について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。
[1.全体構成]
本実施形態に係る車両制御装置は、車両のアイドリング停車中に、ドライバによるアクセルペダルの踏み込みが検出されたら、そのことをドライバに知らせるための報知制御を実施する。この車両制御装置による報知制御は、ECU(電子制御装置)10によって制御される。以下、図1を用いてECU10の入力側及び出力側にそれぞれ接続される装置を順に説明する。
【0019】
まず、ECU10の入力側には、シフトポジションセンサ11,車速センサ12及びアクセル開度センサ13が接続される。
シフトポジションセンサ11は、例えば図示しないシフトレバー(セレクトレバーを含む。以下同じ。)から変速機までの途中に設けられ、シフトレバーにより選択されている現在のシフトポジション(シフトレンジ)を検出するものである。シフトポジションセンサ11で検出されたシフトポジション情報は、随時ECU10に伝達される。
【0020】
車両の任意の位置に設けられた車速センサ12は、自車両の車速を検出するものであり、例えば駆動輪の回転速度に応じた車速信号(車速情報)を出力する。車速センサ12で検出された車速情報は、随時ECU10に伝達される。
また、アクセルペダル14aの近傍に設けられたアクセル開度センサ13は、アクセルペダル14aの開度を検出するものであり、例えばアクセルペダル14aの踏み込み操作量に応じた開度信号(開度情報)を出力する。アクセル開度センサ13で検出されたアクセル開度情報は、随時ECU10に伝達される。
【0021】
また、ECU10の出力側には、アクセルペダル14aを動作させるアクチュエータとしてのモータ14b及びエンジン15が接続される。
アクセルペダル14aには、図示しないリンク機構を介して電動式のモータ14bが接続されている。このモータ14bは、後述するペダル制御部3からの指令に基づいてアクセルペダル14aに力fを加え、ドライバの足を押し戻す方向(以下、これを踏み戻し方向という。)にアクセルペダル14aを動かす。このとき、モータ14bによりアクセルペダル14aに加えられる力fが、アクセルペダル14aを踏み込むドライバの足に対する反力fとなる。すなわち、反力fは、アクセルペダル14aに対して押し戻し方向へ加える力のことである。なお、ドライバがアクセルペダル14aを踏み込む方向は、踏み込み方向と呼ぶ。
【0022】
このように、ドライバによるアクセルペダル14aの踏み込みがあったとき(すなわち、アクセル開度センサ13でアクセル開度が検出されたとき)に、モータ14bでアクセルペダル14aに反力fを発生させるものを、反力作動アクセルペダル14という。一般的に反力作動アクセルペダル14は、ドライバによるアクセルペダル14aの踏み込み位置を燃費の良くなる領域まで押し戻すために用いられる。
【0023】
エンジン15は、車両の駆動源であり、後述するエンジン制御部4によりスロットル弁の開度や燃料噴射弁から噴射される燃料量及び噴射タイミング等が制御される。これにより、ドライバの出力要求に応じた走行となるように制御が実施される。
ECU10は、各種演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUでの演算結果等が一時的に記憶されるRAM、外部との間で信号を入出力するための入出力ポート、時間をカウント(計測)するタイマー等を備えたコンピュータである。
【0024】
[2.制御構成]
[2−1.制御の概要]
本実施形態のECU10では、車両のアイドリング停車中に、ドライバによるアクセルペダル14aの踏み込みが検出されたら、ドライバに対してアクセルペダル14aから足を離すように促す報知制御が実施される。ここで、アイドリング停車中とは、エンジン15が仕事をしていない状態(すなわち、空転している状態)であって、シフトポジションがパーキング(Pレンジ)又はニュートラル(Nレンジ)にされており、且つ、車速センサ12で検出される車速Vがゼロ(すなわち、停車中)であることを意味する。
【0025】
言い換えると、エンジン15は安定して回転できる最低限のエンジン回転数Ne(アイドル回転数)で回転しているが、ギヤが入っていない(Nレンジ)又はギヤに爪が入り込み固定されている(Pレンジ)ため、エンジン15の回転が駆動輪へ伝達されない状態(Dレンジ,Rレンジ,1速,2速等の走行レンジ以外のシフトポジション)となっており、且つ、車速Vがゼロである状態を意味する。なお、シフトポジションがPレンジ又はNレンジであれば、一般的には車速Vはゼロであるため、車速センサ12による車速情報は制御の確実性を高めるための確認用であって、省略することも可能である。ここでは、車速センサ12からの車速情報もチェックするものとする。
【0026】
つまり、本車両制御装置により実施される報知制御は、短時間の信号待ちや人待ち等でシフトポジションが走行レンジの状態でアイドリング停車しているときには実施されず、駐車場や路側帯等でシフトポジションがPレンジ又はNレンジの状態でアイドリング停車しているときに実施される。特に、車内の空調を快適に保つためにアイドリングしながら仮眠をとっているドライバに対して好適であり、また、アイドリング停車中にエンジン15を早期に暖機したいと考えているドライバに対しても適用されうる。
【0027】
[2−2.制御ブロック構成]
次に、本実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置の制御ブロック構成について、図1及び図2(a)〜(c)を用いて説明する。
ECU10は、上記の報知制御を実施するために、アイドリング判定部1としての機能要素と、開度判定部2としての機能要素と、ペダル制御部3としての機能要素と、エンジン制御部4としての機能要素とを有している。なお、ECU10は、エンジン15がかかった状態でないと機能しないため、エンジン15はかかっていることを前提とする。
【0028】
アイドリング判定部(判定手段)1は、車両がアイドリング停車中であるか否かを判定するものである。このアイドリング判定部1は、車速センサ12で検出される車速Vがゼロであり、且つ、シフトポジションセンサ11で検出されるシフトポジションがPレンジ又はNレンジのときに、アイドリング停車中であると判定する。また、アイドリング判定部1は、車速Vがゼロでないとき、又は、シフトポジションがPレンジでもNレンジでもないときは、アイドリング停車中ではないと判定する。アイドリング判定部1で車両がアイドリング停車中であると判定されたら、開度判定部2による判定が実施される。一方、アイドリング判定部1により車両がアイドリング停車中でないと判定されたら、報知制御は実施されず、当然開度判定部2による判定も実施されない。
【0029】
開度判定部(判定手段)2は、アクセル開度センサ13で検出されたアクセル開度θが、予め設定された所定のアクセル開度θTH以上であるか否かを判定するものである。すなわち、開度判定部2は、ドライバによりアクセルペダル14aが所定開度θTH以上踏み込まれているか否かを判定する。なお、所定のアクセル開度θTHとは、エンジン回転数Neがアイドル回転数に比べてある程度高くなる開度であり、予め実験やシミュレーション等により求められる。以下、アイドリング停車中にアクセルペダル14aが所定開度θTH以上踏み込まれている状態を、ペダル踏み込み状態という。アイドリング判定部1及び開度判定部2での判定は、ECU10が機能しているとき(エンジン15がかかっているとき)は随時行われ、その判定結果はペダル制御部3に随時伝達される。
【0030】
ペダル制御部(ペダル制御手段)3は、開度判定部2によりペダル踏み込み状態であると判定されたら、ペダル踏み込み状態に応じてモータ14bを制御してアクセルペダル14aを動作させるものである。つまり、ペダル制御部3は、アイドリング停車中に、図2(a)に示すアクセルペダル14aが踏み込まれていない状態(初期状態)から、図2(b)に示すように、ドライバの足でアクセルペダル14aが角度(開度)θ以上まで踏み込まれた状態(ペダル踏み込み状態)になったら、このペダル踏み込み状態に応じて、図2(c)に示すように、アクセルペダル14aをモータ14bによって動作させて、ドライバに報知する。
【0031】
ペダル制御部3が実施するペダル踏み込み状態に応じたモータ14bの制御内容について説明する。なお、ここではペダル制御部3は、ペダル踏み込み状態の継続時間に応じて、制御内容を変更する。つまり、ペダル踏み込み状態が開始された後アクセルペダル14aへの踏み込み操作がなくなれば、ペダル制御部3はモータ14bに対する制御をリセットする。言い換えると、ドライバが、ペダル制御部3によるペダル踏み込み状態に応じたモータ14bの制御を中止したいと考えた場合は、アクセルペダル14aへの踏み込み操作をやめればよい。
【0032】
ペダル制御部3は、開度判定部2によりペダル踏み込み状態であると判定されたら、モータ14bに対して、アクセルペダル14aを振動させるように指令を発する。このとき、ペダル制御部3は、ペダル踏み込み状態の継続時間に応じて、弱振動と強振動とを切り替える。つまり、ペダル踏み込み状態の継続時間が短いときは弱振動を実施してドライバに報知し、弱振動を実施してもペダル踏み込み状態のまま時間が経過したときは強振動に切り替える。
【0033】
ペダル制御部3は、この弱振動と強振動との切り替えを、アクセルペダル14aを振動させるときのアクセルペダル14aに発生させる反力fの大きさと、振動の周期Tとを変更することで行う。周期(振動周期)Tは、モータ14bがアクセルペダル14aに所定の反力fを発生させた後、これを取り除き(すなわち、反力fをゼロにし)、再び所定の反力fを発生させ、これ取り除く、ということを繰り返すときの時間間隔である。
【0034】
ペダル制御部3は、予め設定された第一所定時間t1(例えば10秒)以上、開度判定部2によりペダル踏み込み状態であると判定されている(すなわち、ペダル踏み込み状態が解消されていない)ときは、モータ14bに対してアクセルペダル14aを弱振動させるように指令を発する。この弱振動は、ペダル制御部3が、モータ14bによってアクセルペダル14aに反力f1(例えば5N)を周期T1(例えば0.5秒)で発生させることで行われる。
【0035】
ペダル制御部3は、アクセルペダル14aを弱振動させてもなお、第一所定時間t1よりも長い第二所定時間t2(例えば20秒)以上、開度判定部2によりペダル踏み込み状態であると判定されているときは、モータ14bに対してアクセルペダル14aを強振動させるように指令を発する。つまり、第二所定時間t2以上ペダル踏み込み状態が継続されているときは、弱振動から強振動へ、アクセルペダル14aの動作が切り替えられる。この強振動は、ペダル制御部3が、モータ14bによってアクセルペダル14aに反力f2(反力f1よりも大きい反力で、例えば10N)を周期T2(周期T1とは異なる周期で、例えば0.3秒)で発生させることで行われる。
【0036】
なお、ここで例示した第一所定時間t1及び第二所定時間t2,反力f1及び反力f2,周期T1及び周期T2は、これらに限定されるものではない。第一所定時間t1及び第二所定時間t2は、ペダル踏み込み状態に応じたモータ14bに対する制御内容を切り替えるときの閾値としての機能を有し、第二所定時間t2が第一所定時間t1よりも長く設定されていればよい(例えば、t1=5秒,t2=15秒等)。
【0037】
また、反力fは、アクセルペダル14aを弱振動から強振動に切り替えるため、反力f2が反力f1よりも大きければよい。なお、周期Tは、ここでは周期T2が周期T1よりも短くされているが、周期T2が周期T1より長くされていてもよく、周期T1と周期T2が同じであってもよい。つまり、反力fが大きくされれば、アクセルペダル14aが大きく振動することになるため、周期Tは変更されなくても強振動に切り替えることができる。ただし、周期Tを変更したほうがアクセルペダル14aの振動の仕方が変化するため、ドライバに報知するという観点からは有効である。
【0038】
ペダル制御部3は、アクセルペダル14aを強振動させても、第二所定時間t2よりも長い第三所定時間t3(例えば30秒)以上、開度判定部2によりペダル踏み込み状態であると判定されているときは、モータ14bに対してアクセルペダル14aを強振動させるように指令を発しながら、エンジン制御部4に対してエンジン回転数Neをアイドル回転数付近まで低下させる指令も発する。つまり、第三所定時間t3以上ペダル踏み込み状態が継続されているときは、アクセルペダル14aを強振動させてドライバに対する報知を続けながら、エンジン回転数Neを抑制し、エンジン15が空吹かし状態になることを防ぐ。
【0039】
ペダル制御部3は、以上の制御を実施しても、第三所定時間t3よりも長い第四所定時間t4(例えば60秒)以上、開度判定部2によりペダル踏み込み状態であると判定されているときは、モータ14bに対してアクセルペダル14aの強振動を停止させた後、急動作させるように指令を発する。急動作とは、モータ14bによりアクセルペダル14aに対して加える力fを徐々に大きくしてアクセルペダル14aを踏み戻し方向へ動かし、この加えた力fが第一所定値fTH1以上になったら一気に力fを抜き、アクセルペダル14aに作用している力fが第二所定値fTH2未満となるようにし、アクセルペダル14aを踏み込み方向へ急に動かす動作をいう。
【0040】
ペダル制御部3は、アクセルペダル14aを急動作させる場合は、モータ14bに対して、アクセルペダル14aの踏み戻し方向に与えられた力fを抜く時間を所定時間以下とするように指令を出す。この所定時間は、予め設定された短い時間(例えば0.1秒や0.05秒等)である。つまり、アクセルペダル14aに対して力fを加える時間は適宜設定可能であるが、力fを抜く時間を極めて短くする。
【0041】
この急動作により、アクセルペダル14aを踏んでいるドライバの足は徐々に踏み戻され、その後、反力fが抜けてガクッと落ちたような感覚をドライバに与えることができる。なお、第二所定値fTH2はゼロ又はゼロに近い値であり、第一所定値fTH1は第二所定値fTH2よりも十分大きい値である。これらの第一所定値fTH1及び第二所定値fTH2は予め設定されている。また、上記の第三所定時間t3及び第四所定時間t4は、ペダル踏み込み状態に応じて、エンジン制御部4及びモータ14bに対する制御内容を切り替えるときの閾値としての機能を有し、第三所定時間t3が上記の第二所定時間t2よりも長く、第四所定時間t4が第三所定時間t3よりも長く設定されていればよい。
【0042】
また、ペダル制御部3は、モータ14bに対してアクセルペダル14aを急動作させる場合は、エンジン制御部4に対して、エンジン15とアクセルペダル14aとの接続を遮断するように指令を発する。つまり、アクセルペダル14aが急動作されているときは、アクセルペダル14aの踏み込みは無効化される。なお、ペダル制御部3は、開度判定部2によりペダル踏み込み状態が解消されたと判定されたら、エンジン制御部4に対してエンジン15とアクセルペダル14aとの接続を元の状態に戻すように指令を発する。
【0043】
エンジン制御部(エンジン制御手段,遮断手段)4は、ここでは上記したペダル制御部3からの指令に基づき、エンジン回転数Neを低下させてアイドル回転数付近になるように、スロットル弁の開度を制御する。また、エンジン制御部4は、ペダル制御部3からの指令に基づき、エンジン15とアクセルペダル14aとの接続の遮断や接続を制御する。つまり、エンジン制御部4は、遮断手段としての機能も有する。
【0044】
[3.フローチャート]
次に、図3及び図4を用いてECU10で実行される制御の手順の例を説明する。図3及び図4に示すフローチャートは、それぞれ所定の制御周期で動作する。この制御周期は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、下記の各ステップは、コンピュータのハードウェアに割り当てられた各機能(手段)が、ソフトウェア(コンピュータプログラム)によって動作することによって実施される。本車両制御装置は、エンジン15がかけられたら、図3に示すフローAをスタートする。
【0045】
図3に示すように、ステップA10では、ペダル制御部3により、アクセルペダル14aが反力f及び周期Tで振動するが、最初の制御周期では、反力fは初期値ゼロが適用され、周期Tは初期値無限大が適用されるので、実質的にはアクセルペダル14aは振動しない。次にステップA20において、シフトポジションセンサ11により、現在のシフトポジションが検出される。そしてステップA25において、検出されたシフトポジションがPレンジ又はNレンジであるか否かが判定される。
【0046】
シフトポジションがPレンジ又はNレンジであれば、YESルートからステップA30へ進み、車速センサ12により現在の車速Vが検出される。次いで、ステップA35において、検出された車速Vがゼロであるか否かが判定される。車速Vがゼロ(すなわち停車中)であると判定されたら、YESルートからステップA40へ進み、アクセル開度センサ13により現在のアクセル開度θが検出される。そして、ステップA45において、検出されたアクセル開度θが所定のアクセル開度θTH以上であるか否かが判定される。
【0047】
アクセル開度θが所定のアクセル開度θTH以上であれば、YESルートからステップA50へ進む。なお、ステップA25,ステップA35及びステップA45の判定がいずれも成立し、YESルートからステップA50へ進んだということは、ペダル踏み込み状態であるということを意味する。これらの判定は、アイドリング判定部1及び開度判定部2により実施される。
【0048】
ステップA50では、フラグFがF=0であるか否かが判定される。ここで、フラグFは、上記したペダル踏み込み状態が成立しているか否かをチェックするための変数であり、制御開始時はフラグFはF=0と設定されている。そのため、ステップA50の最初の判定ではYESルートからステップA55へ進み、ステップA55において、フラグFがF=1に設定される。フラグFがF=1に設定されたら、ステップA60においてタイマーによる計測が開始されて、ステップA65へ進む。なお、ステップA25,ステップA35及びステップA45のいずれかの判定が成立しなかった場合は、NOルートからステップA110へ進む。
【0049】
ステップA60においてタイマーによる計測が開始されると、ステップA65において計測時間が第一所定時間t1以上であるか否かが判定される。タイマー計測時間が第一所定時間t1未満であれば、NOルートへ進み、制御フローがリターンされてステップA10へ戻る。ここでは、未だ反力f及び周期Tが初期値のままであるため、アクセルペダル14aは振動せずに、ステップA20〜ステップA45までが繰り返される。
【0050】
このとき、ドライバによりシフトポジションがPレンジ及びNレンジ以外に変更された場合や、車両が走行し始めた場合や、アクセル開度θが所定開度θTHよりも小さくされた場合は、ペダル踏み込み状態が解消されたと判定されてステップA110へ進む。また、ペダル踏み込み状態が継続されている場合は、ステップA50へ進む。ステップA50の判定では、一制御周期前のステップA55でフラグFがF=1に設定されているため、NOルートからステップA65へ進む。ステップA65の判定でYESルートへ進むまで(言い換えると、タイマー計測時間が第一所定時間t1以上になるまで)、これらのステップA10〜ステップA65が繰り返し実施される。
【0051】
タイマー計測時間が第一所定時間t1以上になったら、ステップA70へ進み、反力fがf=f1に設定され、周期TがT=T1に設定される。そして、ステップA75へ進み、タイマー計測時間が第二所定時間t2以上であるか否かが判定される。タイマー計測時間が第二所定時間t2未満であれば、NOルートへ進み、制御フローがリターンされてステップA10へ戻る。このとき、反力fはf=f1に設定され、周期TはT=T1に設定されているため、アクセルペダル14aはこの反力f1及び周期T1で振動する(弱振動)。すなわち、ドライバに対する報知が開始される。そして、ステップA20〜ステップA45までが繰り返される。
【0052】
このとき、未だペダル踏み込み状態が継続されている場合は、YESルートからステップA50へ進み、ステップA50の判定ではNOルートからステップA65へ進む。一方、ペダル踏み込み状態が解消されたら、ステップA110へ進む。そして、一度ステップA65の判定でYESルートへ進んだということは、タイマー計測時間はすでに第一所定時間t1を経過しているため、その後のステップA65の判定では常にYESルートからステップA70へ進む。そして、ステップA70で反力f及び周期Tが設定され、ステップA75の判定でYESルートへ進むまで(言い換えると、タイマー計測時間が第二所定時間t2以上になるまで)、これらのステップA10〜ステップA75が繰り返し実施される。
【0053】
弱振動を実施していても、ペダル踏み込み状態が継続されてタイマー計測時間が第二所定時間t2以上になったら、ステップA80へ進み、反力fがf=f2に設定され、周期TがT=T2に設定される。そして、ステップA85へ進み、今度はタイマー計測時間が第三所定時間t3以上であるか否かが判定される。タイマー計測時間が第三所定時間t3未満であれば、NOルートへ進み、制御フローがリターンされてステップA10へ戻る。このとき、反力fはf=f2に設定され、周期TはT=T2に設定されているため、アクセルペダル14aはこの反力f2及び周期T2で振動する(強振動)。つまり、アクセルペダル14aの振動が弱振動から強振動へ切り替えられる。そして、ステップA20〜ステップA45までが繰り返される。
【0054】
ペダル踏み込み状態が継続されている場合は、YESルートからステップA50へ進み、ステップA50の判定ではNOルートからステップA65を経てステップA70へ進む。一方、ペダル踏み込み状態が解消されていれば、ステップA25,ステップA35及びステップA45のいずれかのステップでNOルートからステップA110へ進む。ステップA70では、反力fがf=f1に設定され、周期TがT=T1に設定されるが、ステップA75を経てステップA80へ進むと、ステップA80において反力fがf=f2に設定され、周期TがT=T2に設定される。
【0055】
つまり、ステップA85の判定でNOルートへ進み、ステップA10に戻ったときに実施される振動の反力fと周期Tは、ステップA80で設定されたものとなり、強振動が継続される。そして、ステップA85の判定でYESルートへ進むまで(言い換えると、タイマー計測時間が第三所定時間t3以上になるまで)、これらのステップA10〜ステップA85が繰り返し実施される。
【0056】
強振動を実施していても、ペダル踏み込み状態が継続されてタイマー計測時間が第三所定時間t3以上になったら、ステップA90へ進み、エンジン制御部4によりエンジン回転数Neが下げられ、アイドル回転数近傍に制御される。そして、ステップA95へ進み、タイマー計測時間が第四所定時間t4以上であるか否かが判定される。ステップA90において、タイマー計測時間が第四所定時間t4未満であればNOルートへ進み、制御フローがリターンされてステップA10へ戻る。このとき、一制御周期前のステップA80で反力fがf=f2に設定され、周期TがT=T2に設定されているため、アクセルペダル14aの強振動は継続して実施される。そして、ステップA20〜ステップA45までが繰り返される。
【0057】
ここでもペダル踏み込み状態が継続されているときは、ステップA50〜ステップA95までが繰り返し実施される。つまり、ステップA95の判定で、タイマー計測時間が第四所定時間t4以上であると判定されるまで、これらのステップA10〜ステップA95が繰り返し実施される。一方、ペダル踏み込み状態が解消されれば、ステップA110へ進む。
【0058】
ステップA95において、タイマー計測時間が第四所定時間t4以上になったら、YESルートからステップA100へ進み、反力fと周期Tが初期値(すなわち反力fはゼロ、周期Tは無限大)にリセットされる。そして、ステップA105へ進み、図4に示すフローBへ進む。すなわち、ペダル踏み込み状態になってから第四所定時間t4以上の時間が経過したら、アクセルペダル14aの振動を停止させ、エンジン回転数Neはアイドル回転数程度に制御したまま、図4に示すフローBが実施される。このフローBは上記した急動作を実施するためのフローである。
【0059】
図4に示すように、ステップB10において、エンジン制御部4によりアクセルペダル14aとエンジン15との接続が遮断される。次いでステップB20において、シフトポジションセンサ11により、現在のシフトポジションが検出され、ステップB25において、検出されたシフトポジションがPレンジ又はNレンジであるか否かが判定される。シフトポジションがPレンジ又はNレンジであれば、YESルートからステップB30へ進み、車速センサ12により現在の車速Vが検出される。ステップB35では、検出された車速Vがゼロであるか否かが判定され、車速Vがゼロであると判定されたら、YESルートからステップB40へ進む。
【0060】
ステップB40では、アクセル開度センサ13により現在のアクセル開度θが検出され、ステップB45において、検出されたアクセル開度θが所定のアクセル開度θTH以上であるか否かが判定される。アクセル開度θが所定のアクセル開度θTH以上であれば、YESルートからステップB50へ進む。つまり、ステップB20〜ステップB45は、図3に示すステップA20〜ステップA45と同様である。
【0061】
ステップB50では、フラグGがG=1であるか否かが判定される。ここで、フラグGは、アクセルペダル14aに発生させる反力fを増加させているか減少させているかをチェックするための変数であり、G=0は反力fを増加させている状態を示し、G=1は反力fを減少させている状態を示す。なお、図4のフローBの最初の制御周期では、フラグGはG=0に設定されている。そのため、ステップB50の最初の判定ではNOルートからステップB55進む。
【0062】
ステップB55では、反力fが第一所定値fTH1以上であるか否かが判定される。一制御周期前の図3のステップA100で反力fはゼロに設定されているため、ステップB55の判定ではNOルートからステップB60へ進む。ステップB60において、反力fに加算値n1(n1>0)を加えた反力(f+n1)がアクセルペダル14aに発生するように、モータ14bが制御されて、フローがリターンされる。
【0063】
ステップB10〜ステップB45までが繰り返される間にペダル踏み込み状態が解消されれば、ステップB85へ進んで、上記した図3のフローAへ戻る。一方、ペダル踏み込み状態が継続されていれば、ステップB50を経てステップB55の判定が再び実施される。そして、ステップB55において反力fが第一所定値fTH1以上であると判定されるまで、ステップB60において、反力fに対して加算値n1が加えられる。つまり、ステップB10〜ステップB60が繰り返されるたびに、反力fが加算値n1ずつ大きくされ、徐々にドライバの足が踏み戻し方向へ動かされる。なお、この加算値n1の大きさは、ドライバの足を踏み戻し方向へ動かす速さと制御周期との関係により適宜設定される。
【0064】
ペダル踏み込み状態が解消されず、ステップB60で反力fが加算され続けた結果、反力fが第一所定値fTH1以上になったら、ステップB55からステップB65へ進み、フラグGがG=1に設定される。そして、次の制御周期のステップB50の判定で、YESルートからステップB70へ進む。ステップB70では、反力fが第二所定値fTH2未満であるか否かが判定される。
【0065】
最初にステップB70へ進んだときは、反力fは第一所定値fTH1以上であるため、NOルートからステップB75へ進む。ステップB75において、反力fから減算値n2(n2>0)が引かれた反力(f−n2)がアクセルペダル14aに発生するように、モータ14bが制御されて、フローがリターンされる。ステップB10〜ステップB45までが繰り返される間にペダル踏み込み状態が解消されれば、ステップB85へ進んで、上記した図3のフローAへ戻る。
【0066】
一方、ペダル踏み込み状態が継続されていれば、ステップB50を経てステップB70の判定が再び実施される。そして、ステップB70において反力fが第二所定値fTH2未満であると判定されるまで、ステップB75において、反力fから減算値n2が引かれる。つまり、ステップB10〜ステップB55及びステップB70〜ステップB75が繰り返されるたびに、反力fが減算値n2ずつ小さくされる。ここで、減算値n2は、加算値n1に比べて大きな値に設定される。これにより、反力fが一気に小さな値にされ、踏み戻し方向へ徐々に動かされたドライバの足が急に踏み込み方向へ動かされる(急動作)。
【0067】
ペダル踏み込み状態が解消されず、ステップB75で反力fが減算され続けた結果、反力fが第二所定値fTH2未満になったら、ステップB70からステップB80へ進み、フラグGがG=0にリセットされる。そして、次の制御周期のステップB50の判定で、再びNOルートへ進み、上記の急動作の制御が繰り返し実施される。
【0068】
急動作によりドライバがアクセルペダル14aを踏んでいることに気づき、ペダル踏み込み状態が解消されたら、ステップB85へ進み、図3のフローAへ戻る。ペダル踏み込み状態が解消されているため、図3のフローAにおいて、ステップA110へ進む。ステップA110では、フラグF及びフラグGがともにゼロにリセットされ、ステップA115において、ステップA60でタイマーによる計測が開始されていればタイマーが停止される。
【0069】
そして、ステップA120において、図4のステップB10でアクセルペダル14aとエンジン15との接続が遮断されていれば、アクセルペダル14aとエンジン15とが接続される。次いでステップA125において、反力fと周期Tが初期値に設定される。そして、ステップA130において、エンジン回転数Neを下げる制御がされていれば、エンジン回転数Neを通常の制御(すなわち、アクセル開度θに対応させた制御)に戻して、フローAをリターンする。
【0070】
[4.効果]
したがって、本実施形態に係る車両制御装置によれば、アイドリング停車中に、アクセルペダル14aが踏み込まれた状態(ペダル踏み込み状態)に応じて、アクセルペダル14aを動作させるようにモータ14bを制御するので、例えば仮眠中に誤ってアクセルペダル14aを踏み込んだままのドライバに対して、アクセルペダルが踏み込まれた状態であることを気づかせることができ、アクセルペダル14aから足を離すように促すことができる。これにより、アイドリング停車中に、無意識に足がアクセルペダル14aにかかることによってエンジン15が高回転で連続運転されることを防ぐことができ、燃費の悪化を防止することができる。
【0071】
また、ドライバがアイドリング停車中に意図的にアクセルペダル14aを踏み込んだ場合であっても、アクセルペダル14aが踏み込まれた状態であることを気づかせるための制御(報知制御)が実施されていることを意識させることができる。したがって、このような報知制御を回避するような踏み込み操作をドライバに促すことができ、ドライバの意思に沿ったエンジン15の暖機を実施することができる。報知制御を回避するような踏み込み操作とは、例えば開度判定部2で判定されるアクセル開度θが所定開度θTH未満になるようなアクセルペダル14aへの踏み込み操作である。つまり、所定開度θTH未満の範囲でなら、アクセルペダル14aを踏み込んでエンジン回転数Neを上げてエンジン15の暖機を継続することができる。
【0072】
また、反力作動アクセルペダル14が搭載されている車両であれば、これを利用することができるため、新たにアクチュエータを設ける必要がなく、構成を簡素にすることができ、コスト増を抑制することもできる。
また、アクセルペダル14aを振動させることにより、ドライバに対して、アクセルペダル14aに足が乗った状態であることを確実に報知することができる。
【0073】
このとき、例えば、ペダル踏み込み状態の継続時間が長くなるほど、又は、ペダル踏み込み状態の開度(アクセル開度θ)が大きいほど、アクセルペダル14aを振動させるために加える力fを大きくすることによって、より強くドライバに対してアクセルペダル14aから足を離すように報知することができる。また、このように段階を踏んでドライバに対する報知が強くなる(すなわち、ペダル踏み込み状態になったばかりや踏み込みが浅いときは報知が弱く、徐々に強い報知になる)ため、ドライバに対する過剰な報知を抑制することができ、利便性を向上させることができる。
【0074】
同様に、例えば、ペダル踏み込み状態の継続時間が長くなるほど、又は、ペダル踏み込み状態の開度(アクセル開度θ)が大きいほど、振動周期Tを変更する(すなわち、大きく又は小さくする)ことによって、ドライバの足に伝わる振動が変化するため、より強くドライバに対してアクセルペダル14aから足を離すように報知することができる。また、このように段階を踏んでドライバに対する報知が強くなるため、ドライバに対する過剰な報知を抑制することができ、利便性を向上させることができる。
【0075】
また、ペダル踏み込み状態に応じて、エンジン回転数を低くしてアイドル回転数になるように制御するので、エンジン15が高回転になってしまうことを防止することができ、燃費の悪化を抑制することができる。また、本実施形態では、エンジン制御部4によってエンジン回転数Neが制御される前に、ペダル制御部3によってアクセルペダル14aが振動する。言い換えると、ペダル踏み込み状態であると判定されてから時間(第三所定時間)t3が経過するまでは、エンジン回転数Neはアクセルペダル14aの踏み込みに応じて上昇し、時間t3の経過後はエンジン回転数Neは制御される。
【0076】
そのため、ドライバが予め時間t3を知っていれば、例えば意図的にアクセルペダル14aを踏み込んでいるような場合、エンジン回転数が制御されるまであとどのくらい時間があるのかを確実に認識することができ、ドライバの意図したように例えばエンジン15を早期に暖機することができる。また、例えば、意図的にエンジン15を暖機させる場合には、ドライバが間欠的にアクセルペダル14aの踏み込みを緩めることで報知制御をリセットすることもできる。
【0077】
また、アクセルペダル14aの踏み戻し方向に与えられた力を抜く時間を所定時間以下とすることにより、アクセルペダル14aに乗った状態のドライバの足は、踏み戻し方向へ移動された状態から一気に踏み込み方向へ移動される。これにより、ドライバの足はガクッと大きく動かされるので、仮眠中のドライバに対しても強く報知することができる。なお、この急動作を行うときは、アクセルペダル14aとエンジン15との接続は遮断されているため、エンジン15の作動がアクセルペダル14aの動作に影響を受けることはない。
また、シフトポジションセンサ11と車速センサ12とにより、車両がアイドリング停車中であるか否かを判定するため、判定精度を高めることができる。
【0078】
[5.その他]
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
上記実施形態では、モータ14bによりアクセルペダル14aに反力を発生させる反力作動アクセルペダル14として構成されていたが、アクセルペダル14aに与えられる力は反力に限られない。言い換えると、アクセルペダル14aに加えられる力は、アクセルペダル14aの踏み込み/踏み戻し方向に働く力でなくてもいい。例えば、アクセルペダル14aの踏み込み/踏み戻し方向に対して直交する方向に振動するようにアクセルペダル14aに力を加えるようにしてもよい。
【0079】
また、モータは電動式に限られず、例えば油圧式であってもよい。また、アクセルペダル14aを動作させることができれば、どのように接続されていてもよい。
また、ペダル制御部3によるアクセルペダル14aの動作は、ドライバに対して足がアクセルペダル14aに乗ったままであることを気づかせられればよいため、その動作は振動に限られない。例えば、上記実施形態では、振動(弱振動から強振動)させた後、エンジン回転数をアイドル回転数に設定してから、図4に示す急動作をアクセルペダル14aにさせているが、振動をさせずに急動作をさせてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、ペダル制御部3は、ペダル踏み込み状態の継続時間に応じてモータ14bに対する制御内容を変更しているが、ペダル踏み込み状態の踏み込み加減(すなわち、アクセル開度θ)の大きさに応じて、モータ14bに対する制御内容を変更してもよい。
また、一般的に、シフトポジションがPレンジ又はNレンジであれば、車両は停車状態であるため、シフトポジションがPレンジ又はNレンジであればアイドリング停車中であると判断してもよい。この場合は、車速センサ12は不要となり、図3及び図4に示すフローチャート中の車速Vを検出するステップA30及びB30と、車速Vがゼロであるか否かを判定するステップA35及びB35も不要となる。
【0081】
また、本車両制御装置が適用される車両は自動車に限られず、トラックやバス等であってもよい。また、エンジン15に加え、駆動源として電動機を備えたハイブリッド車にも本車両制御装置は適用可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 アイドリング判定部(判定手段)
2 開度判定部(判定手段)
3 ペダル制御部(ペダル制御手段)
4 エンジン制御部(エンジン制御手段,遮断手段)
10 ECU(電子制御装置)
11 シフトポジションセンサ
12 車速センサ
13 アクセル開度センサ
14 反力作動アクセルペダル
14a アクセルペダル
14b モータ(アクチュエータ)
15 エンジン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたアクセルペダルの開度を検出するアクセル開度センサと、
前記アクセルペダルを動作させるアクチュエータと、
前記車両のアイドリング停車中に、前記アクセル開度センサにより検出された前記開度が所定開度以上であるペダル踏み込み状態か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により判定された前記ペダル踏み込み状態に応じて、前記アクチュエータを制御するペダル制御手段とを備える
ことを特徴とする、車両制御装置。
【請求項2】
前記ペダル制御手段が、前記アクセルペダルが振動するように前記アクチュエータを制御する
ことを特徴とする、請求項1記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記ペダル制御手段が、前記ペダル踏み込み状態に応じて前記アクセルペダルを振動させるときに加える力の大きさを変更するように、前記アクチュエータを制御する
ことを特徴とする、請求項2記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記ペダル制御手段が、前記ペダル踏み込み状態に応じて前記アクセルペダルの振動周期を変更するように、前記アクチュエータを制御する
ことを特徴とする、請求項2又は3記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記ペダル踏み込み状態に応じて、エンジン回転数がアイドル回転数になるようにエンジンを制御するエンジン制御手段を備える
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記ペダル制御手段が、前記ペダル踏み込み状態に応じて、前記アクセルペダルの踏み戻し方向に与えられた力を抜く時間を所定時間以下とするように前記アクチュエータを制御し、
前記アクセルペダルに対する前記力を抜くときに、前記アクセルペダルとエンジンとの接続を遮断する遮断手段を備える
ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項7】
シフトレバーのポジションを検出するシフトポジションセンサと、
車速を検出する車速センサとを備え、
前記判定手段が、前記シフトポジションセンサにより検出されたシフトポジションがPレンジ又はNレンジであって、且つ、前記車速センサにより検出された車速がゼロのときに、前記車両が前記アイドリング停車中であると判定する
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−107579(P2013−107579A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256068(P2011−256068)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】