説明

車両前部構造

【課題】車室の前方下部に設けられた冷却ユニットの冷却と、冷却ユニットの前方に設けられたドライブシャフトブーツの冷却とを両立させる。
【解決手段】車両前部構造10は、車室12の前方下部に設けられた冷却ユニット14と、車両前部に設けられた開口部24から取り入れられた冷却風Wを、冷却ユニット14に導く冷却風通路20と、冷却風通路20の内部における冷却ユニット14よりも前方に設けられたドライブシャフトブーツ40と、冷却風通路20の内部におけるドライブシャフトブーツ40よりも前方に設けられ、冷却風通路20を流れる冷却風Wを、ドライブシャフトブーツ40に導く導風部(第一ホイールハウス導風板42、第二ホイールハウス導風板44、及び、アンダカバー導風板46)と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、客室と前室との間に設けられた熱交換器ユニットと、自動車の前部に設けられた気流入口から流入した空気を熱交換器ユニットに導くマニホールドとを備えた自動車が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−211981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この従来技術では、ドライブシャフトブーツを冷却することができなかった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、車室の前方下部に設けられた冷却ユニットの冷却と、冷却ユニットの前方に設けられたドライブシャフトブーツの冷却とを両立させることができる車両前部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の車両前部構造は、車室の前方下部に設けられた冷却ユニットと、車両前部に設けられた開口部から取り入れられた冷却風を、前記冷却ユニットに導く冷却風通路と、前記冷却風通路の内部における前記冷却ユニットよりも前方に設けられたドライブシャフトブーツと、前記冷却風通路の内部における前記ドライブシャフトブーツよりも前方に設けられ、前記冷却風通路を流れる冷却風を、前記ドライブシャフトブーツに導く導風部と、を備えている。
【0007】
この車両前部構造によれば、車両前部に設けられた開口部から取り入れられた冷却風は冷却風通路により冷却ユニットに導かれるので、これにより、冷却ユニットを冷却することができる。また、冷却風通路に設けられた導風部により冷却風がドライブシャフトブーツに導かれるので、ドライブシャフトブーツを冷却することができる。従って、冷却ユニットの冷却とドライブシャフトブーツの冷却とを両立させることができる。
【0008】
請求項2に記載の車両前部構造は、請求項1に記載の車両前部構造において、前記車室の前方に形成されたエンジンルームの側方部に、ホイールハウスが設けられ、前記導風部が、前記ホイールハウスに設けられたホイールハウス導風板を有する構成とされている。
【0009】
この車両前部構造によれば、ホイールハウス導風板は、ホイールハウスに設けられているので、ドライブシャフトブーツを冷却するための構造を簡素化することができる。
【0010】
請求項3に記載の車両前部構造は、請求項1又は請求項2に記載の車両前部構造において、前記導風部が、前記車室の前方に設けられたエンジンを下方から覆うアンダカバーに設けられたアンダカバー導風板を有する構成とされている。
【0011】
この車両前部構造によれば、アンダカバー導風板は、アンダカバーに設けられているので、ドライブシャフトブーツを冷却するための構造を簡素化することができる。
【0012】
請求項4に記載の車両前部構造は、請求項3に記載の車両前部構造において、前記アンダカバー導風板が、前記エンジンと接続された排気管を支持する排気管サポートゴムのジョイントと一体化された構成とされている。
【0013】
この車両前部構造によれば、アンダカバー導風板は、排気管サポートゴムのジョイントと一体化されているので、アンダカバー導風板と排気管サポートゴムのジョイントとが別々の場所に設けられた場合に比して、構造を簡素化することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上詳述したように、本発明によれば、車室の前方下部に設けられた冷却ユニットの冷却と、冷却ユニットの前方に設けられたドライブシャフトブーツの冷却とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両前部構造の斜視図である。
【図2】図1に示される車両前部構造の側面断面図である。
【図3】図1に示される車両前部構造の平面断面図である。
【図4】図1に示される車両前部構造の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
【0017】
なお、各図において示される矢印UP、矢印FR、矢印OUTは、車両上下方向上側、車両前後方向前側、車両幅方向外側をそれぞれ示している。
【0018】
図1に示されるように、本発明の一実施形態に係る車両前部構造10は、車室12の前方下部に設けられた冷却ユニット14を備えている。この冷却ユニット14は、例えば、ラジエータや、空調装置のコンデンサとされる。図2に示されるように、車室12の床部を構成するフロアパネル16の車両幅方向中央部には、車両上側に膨出し車両前後方向に延びるトンネル部18が設けられており、上述の冷却ユニット14は、このトンネル部18の前端開口部に配置されている。
【0019】
この冷却ユニット14の前方には、冷却風通路20が設けられている。車両前部に設けられたフロントバンパカバー22には、車両前後方向に開口する開口部24が形成されており、冷却風通路20は、この開口部24から取り入れられた冷却風を冷却ユニット14に導く構成とされている。この冷却風通路20は、具体的には、車室12の前方に形成されたエンジンルーム26に収容されたエンジン28の下面と、このエンジン28を下方から覆うアンダカバー30と、開口部24の周縁部から車両後側に延びるダクト部32と、エンジンルーム26の両側の側方部に設けられた一対のホイールハウス34,36等により構成されている。
【0020】
この冷却ユニット14とエンジン28との間には、エンジン28の駆動力を前輪に伝達するドライブシャフト38が設けられている。このドライブシャフト38は、車両幅方向を軸方向として配置されている。このドライブシャフト38における車両幅方向中間部(一対のホイールハウス34,36の間に位置する部分)には、ラバー製のドライブシャフトブーツ40が設けられている。このドライブシャフトブーツ40は、ドライブシャフト38に設けられた図示しないジョイント部を覆っている。このドライブシャフトブーツ40は、冷却風通路20の内部における冷却ユニット14よりも前方に設けられている。
【0021】
また、上述の冷却風通路20には、導風部の一例である、第一ホイールハウス導風板42、第二ホイールハウス導風板44、及び、アンダカバー導風板46が設けられている。第一ホイールハウス導風板42、第二ホイールハウス導風板44、及び、アンダカバー導風板46は、冷却風通路20の内部におけるドライブシャフトブーツ40よりも前方に設けられている。
【0022】
第一ホイールハウス導風板42及び第二ホイールハウス導風板44は、各ホイールハウス34,36に設けられている。つまり、この第一ホイールハウス導風板42及び第二ホイールハウス導風板44は、各ホイールハウス34,36に一体に形成されるか、又は、各ホイールハウス34,36と別体とされた上で各ホイールハウス34,36に一体に固定されている。
【0023】
第一ホイールハウス導風板42は、車両幅方向を板厚方向として車両前後方向に延びる本体部42Aと、この本体部42Aの後端部から車両幅方向内側(ドライブシャフトブーツ40側)に延びる中間部42Bと、この中間部42Bの車両幅方向内側の端部から車両後側に延びる後部42Cとを有している。一方、第二ホイールハウス導風板44は、車両幅方向を板厚方向として車両前後方向に延びる本体部44Aと、この本体部44Aの後側に形成され車両後側に向かうに従って車両幅方向内側(ドライブシャフトブーツ40側)に向かうように湾曲する後部44Bとを有している。
【0024】
アンダカバー導風板46は、アンダカバー30に設けられている。このアンダカバー導風板46は、アンダカバー30に一体に形成されるか、又は、アンダカバー30と別体とされた上でアンダカバー30に一体に固定されている。このアンダカバー導風板46は、アンダカバー30からエンジン28(車両上側)に向けて延出されると共に、車両前後方向に延びている。
【0025】
また、このアンダカバー導風板46は、上述の一対のホイールハウス34,36の車両幅方向間に配置されており、より具体的には、一対のホイールハウス34,36の車両幅方向間の中央部よりも他方のホイールハウス36側にずれて配置されている。このアンダカバー導風板46は、車両後側に向かうに従って車両幅方向内側(ドライブシャフトブーツ40側)に向かう前部46Aと、この前部46Aの後側に形成され車両前後方向に延びる後部46Bとを有している。このアンダカバー導風板46と上述の第二ホイールハウス導風板44との間には、エンジン28に接続された排気管48の一部48Aが配索されている。
【0026】
そして、この車両前部構造10では、冷却風通路20を流れる冷却風Wが一対のホイールハウス34,36導風板及びアンダカバー導風板46によりドライブシャフトブーツ40に導かれるようになっている。
【0027】
次に、本発明の一実施形態の作用及び効果について説明する。
【0028】
この車両前部構造10によれば、車両前部に設けられた開口部24から取り入れられた冷却風Wは冷却風通路20により冷却ユニット14に導かれるので、これにより、冷却ユニット14を冷却することができる。また、冷却風通路20に設けられた第一ホイールハウス導風板42、第二ホイールハウス導風板44、及び、アンダカバー導風板46により冷却風Wがドライブシャフトブーツ40に導かれるので、ドライブシャフトブーツ40を冷却することができる。従って、冷却ユニット14の冷却とドライブシャフトブーツ40の冷却とを両立させることができる。
【0029】
しかも、第一ホイールハウス導風板42、第二ホイールハウス導風板44、及び、アンダカバー導風板46は、ホイールハウス34,36及びアンダカバー30にそれぞれ設けられているので、ドライブシャフトブーツ40を冷却するための構造を簡素化することができる。
【0030】
次に、本発明の一実施形態の変形例について説明する。
【0031】
上記実施形態において、開口部24は、フロントバンパカバー22に開口されていたが、フロントバンパカバー22以外の部材に開口されていても良い。
【0032】
また、冷却風通路20は、エンジン28の下面と、アンダカバー30と、ダクト部32と、一対のホイールハウス34,36等により構成されていたが、その他の部材等により構成されていても良い。
【0033】
また、上記実施形態では、第一ホイールハウス導風板42、第二ホイールハウス導風板44、及び、アンダカバー導風板46により冷却風が冷却ユニット14に導かれるようになっていたが、その他の導風部により冷却風が冷却ユニット14に導かれるようになっていても良い。また、導風部は、板状の部材以外でも良い。
【0034】
また、アンダカバー導風板46は、図4に示されるように、エンジン28と接続された排気管48を支持する排気管サポートゴム62のジョイント60と一体化されていても良い。この場合に、アンダカバー導風板46は、排気管サポートゴム62のジョイント60と一体に形成されるか、又は、排気管サポートゴム62のジョイント60と別体とされた上で排気管サポートゴム62のジョイント60に一体に固定されていても良い。また、排気管サポートゴム62のジョイント60は、排気管48の振動伝達を抑制するための部材とされていても良く、また、排気管48の伝熱を抑制するための部材とされていても良い。
【0035】
このように、アンダカバー導風板46が、排気管サポートゴム62のジョイント60と一体化されていると、アンダカバー導風板46と排気管サポートゴム62のジョイント60とが別々の場所に設けられた場合に比して、構造を簡素化することができる。
【0036】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0037】
10 車両前部構造
12 車室
14 冷却ユニット
20 冷却風通路
24 開口部
26 エンジンルーム
28 エンジン
30 アンダカバー
34,36 ホイールハウス
38 ドライブシャフト
40 ドライブシャフトブーツ
42 第一ホイールハウス導風板
44 第二ホイールハウス導風板
46 アンダカバー導風板
48 排気管
60 排気管サポートゴムのジョイント
62 排気管サポートゴム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室の前方下部に設けられた冷却ユニットと、
車両前部に設けられた開口部から取り入れられた冷却風を、前記冷却ユニットに導く冷却風通路と、
前記冷却風通路の内部における前記冷却ユニットよりも前方に設けられたドライブシャフトブーツと、
前記冷却風通路の内部における前記ドライブシャフトブーツよりも前方に設けられ、前記冷却風通路を流れる冷却風を、前記ドライブシャフトブーツに導く導風部と、
を備えた車両前部構造。
【請求項2】
前記車室の前方に形成されたエンジンルームの側方部には、ホイールハウスが設けられ、
前記導風部は、前記ホイールハウスに設けられたホイールハウス導風板を有している、
請求項1に記載の車両前部構造。
【請求項3】
前記導風部は、前記車室の前方に設けられたエンジンを下方から覆うアンダカバーに設けられたアンダカバー導風板を有している、
請求項1又は請求項2に記載の車両前部構造。
【請求項4】
前記アンダカバー導風板は、前記エンジンと接続された排気管を支持する排気管サポートゴムのジョイントと一体化されている、
請求項3に記載の車両前部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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